以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
(実施の形態1)
本実施の形態では、具体的な結晶性半導体膜の作製方法について説明する。
まず図1(A)に示すように、絶縁表面を有する基板100上に下地膜101を形成する。基板100には、例えばバリウムホウケイ酸ガラスや、アルミノホウケイ酸ガラスなどのガラス基板、石英基板、ステンレス(SUS)基板等を用いることができる。また、PET、PES、PENに代表されるプラスチックや、アクリル等の可撓性を有する合成樹脂からなる基板は、一般的に他の基板と比較して耐熱温度が低い傾向にあるが、作製工程における処理温度に耐え得るのであれば用いることが可能である。
下地膜101は基板100中に含まれるNaなどのアルカリ金属やアルカリ土類金属が、半導体膜中に拡散し、半導体素子の特性に悪影響を及ぼすのを防ぐために設ける。よってアルカリ金属やアルカリ土類金属の半導体膜への拡散を抑えることができる酸化珪素や、窒化珪素、窒化酸化珪素などの絶縁膜を用いて形成する。本実施の形態では、プラズマCVD法を用いて窒化酸化珪素膜を10〜400nm(好ましくは50〜300nm)の膜厚になるように形成する。なお下地膜101は積層構造を有してもよく、例えば酸化窒化珪素膜を10〜200nm(好ましくは50〜100nm)、酸化窒化珪素膜を50〜200nm(好ましくは100〜150nm)の順に積層してもよい。第1の酸化窒化珪素膜は、酸素の成分と窒素の成分が同程度であり、組成比で示すと例えば、Si=32%、O=27%、N=24%、H=17%である。一方第2の窒化酸化珪素膜は、酸素の成分が窒素の成分より非常に多い膜であり、組成比で示すと例えば、Si=32%、O=59%、N=7%、H=2%である。
ガラス基板、SUS基板またはプラスチック基板のように、アルカリ金属やアルカリ土類金属が多少なりとも含まれている基板を用いる場合、不純物の拡散を防ぐという観点から下地膜を設けることは有効であるが、石英基板など不純物の拡散がさして問題とならない場合は、必ずしも設ける必要はない。
下地膜101上に非晶質半導体膜102を形成する。非晶質半導体膜102の膜厚は25〜100nm(好ましくは30〜60nm)とする。また非晶質半導体は珪素だけではなくシリコンゲルマニウムも用いることができ、シリコンゲルマニウムを用いる場合、ゲルマニウムの濃度は0.01〜4.5atomic%程度であることが好ましい。本実施の形態では40nmの珪素を主成分とする半導体膜(非晶質珪素膜とも表記する)を用いる。
次に図1(B)に示すように、好ましくは非晶質半導体膜102に金属元素を添加する。ここで添加とは、少なくとも結晶化が促進されるように非晶質半導体膜102の表面上に金属元素を形成することをいう。金属元素を添加することにより、低温で結晶化できるため好ましい。しかし高温の結晶化に耐えうる基板上に形成する場合等、金属元素を添加する必要はない。
例えば、非晶質半導体膜102上にスピンコーティング法やディップ法といった塗布方法によりNi溶液(水溶液や酢酸溶液を含む)を塗布し、Niを含む物質103(但し、極めて薄いため膜として観測できない場合もある)を形成する。このとき非晶質半導体膜102の表面の濡れ性を改善し、非晶質半導体膜の表面全体に水溶液を行き渡らせるため、酸素雰囲気中でのUV光の照射、熱酸化法、ヒドロキシラジカルを含むオゾン水又は過酸化水素による処理等により、酸化膜(図示しない)を10〜50Åに成膜することが望ましい。また、イオン注入法によりNiイオンを非晶質半導体膜中に注入したり、Niを含有する水蒸気雰囲気中で加熱したり、ターゲットをNi材料としてArプラズマでスパッタリングしてもよい。本実施の形態では、Ni酢酸塩10ppmを含有した水溶液をスピンコーティング法により塗布する。
その後、非晶質半導体膜102を500〜550℃で2〜20時間かけて熱処理を行い、非晶質半導体膜を結晶化し結晶性半導体膜を形成する。このとき加熱温度を徐々に変化させると好ましい。最初の低温加熱工程により、非晶質半導体膜の水素等が出てくるため、結晶化の際の膜荒れを低減することができる。また磁場をかけて、その磁気エネルギーと合わせて結晶化させてもよいし、高出力マイクロ波を使用しても構わない。本実施の形態では、縦型炉を用いて500℃で1時間熱処理後、550℃4時間で熱処理を行う。
次に結晶性半導体膜の表面に形成された酸化膜をフッ酸でエッチング除去した後、図1(C)に示すように、結晶化が行われた非晶質半導体膜102にパルスレーザ光104を照射する。なお本実施の形態では、結晶化が行われた非晶質半導体膜へパルスレーザを照射する場合で説明するが、非晶質半導体膜へパルスレーザを照射してもよい。つまり、半導体膜へパルスレーザを照射する。
このときパルスレーザ光104は、結晶性半導体膜の全面に対して一度のみ走査を行うことにより、格子状に整列したリッジを形成することができる。本実施の形態では、パルス発振型のエキシマレーザ(XeCl、発振波長308nm)をエネルギー密度420mJ/cm2、25ショットの条件で照射する。このとき線状レーザの形状は、400μm×120mmである。
すると図1(D)に示すように、結晶性半導体膜の表面にリッジと呼ばれる凸部105が整列して形成される。このリッジの大きさはレーザ照射条件に依存し、エネルギー密度、ショット数が多いほど増加する傾向がある。なおリッジとは、結晶粒がぶつかり合う点に形成される膜の不規則な隆起点、凸部であり、リッジが整列していることは、結晶粒106が整列していることになる。なお図1(D)はリッジの形状を模式的に示した断面図である。
具体的には実施例1で示すが、図6(A)のSEM写真のように、リッジが整列して形成されており、同様に結晶粒が整列して形成されていることがわかる。なおSEM写真において、白く見える点がリッジとなっている。
このリッジの整列間隔は、パルスレーザ光104の波長に依存している。すなわち本実施の形態では、発振波長308nmのエキシマレーザを照射するため、リッジの間隔、つまり結晶粒の大きさが概ね308nmとなり整列している。
そのため、発振波長527nmのYLFを用いると、結晶粒の大きさは概ね527nmとなり整列した結晶性半導体膜を得ることができる。
また例えばNd:YAGレーザの第2高調波(発振波長:532nm)を用いると、結晶粒の大きさは概ね532nmとなり整列した結晶性半導体膜を得ることができる。
なおリッジ105には、結晶化を促進する金属元素が偏析している。例えば本実施の形態のように、金属元素にNiを用いて結晶性珪素膜を形成する場合、リッジにニッケルシリサイド(NiSi2、Ni3Si2、Ni2Si等)が偏析する。このように結晶性珪素膜のリッジへニッケルシリサイドが偏析すると、リッジ外にはNiが存在しなくなっており、効果的にNiを代表とする金属元素を除去することができる。
図1(E)には、リッジ105に金属元素が偏析した状態で不活性元素、例えばArが添加された非晶質半導体膜107を形成し、加熱処理を行うゲッタリング工程を施す。なお、リッジ105を除去した状態でゲッタリング工程を施してもよい。
非晶質半導体膜107は、Siを有するターゲットを用いたスパッタリング法、又はCVD法により形成することができる。例えばスパッタリング装置において、高周波電源を動作させてターゲットに高周波を印加し、さらに永久磁石を用いて磁場をかけるとよい。なおターゲット(12インチサイズ)に印加する電力は0.5〜3Kwとする。またこのとき、基板100を室温(25℃)〜300℃に加熱すると好ましい。すると、ゲッタリングシンクとなる非晶質半導体膜107が形成される。より好ましくは、基板100上方から加熱されたアルゴンガスを供給し、非晶質半導体膜107の成膜面と反対の面(非成膜面)に吹き付けるとよい。この加熱されたアルゴンガスの流量は10〜50sccm程度とすればよい。なお処理時間は成膜条件やスループットを考慮する必要があるが、1〜20分、好ましくは5分程度とする。
なお非晶質半導体膜107を半導体膜上に形成する場合、濡れ性を向上させ、膜剥がれがないように酸化膜を形成すると好ましい。酸化膜は、オゾン水、又は硫酸、塩酸又は硝酸等の過酸化水素水を混同させた水溶液で処理することにより形成される薄い膜(ケミカルオキサイド)を用いることができる。他の方法としては、酸素雰囲気中でのプラズマ処理や、酸素含有雰囲気中で紫外線照射することによりオゾンを発生させて酸化処理を行ってもよい。
本実施の形態では、図1(D)に示すように、結晶性半導体膜にレーザ光を照射すると、半導体膜表面には酸化膜が形成される。そのため酸化膜を除去せずに、酸化膜を利用して非晶質半導体膜107を形成することができる。
さらに、不純物領域の一部へ不純物元素を注入してゲッタリングシンクとし、加熱を行うゲッタリング工程を行っても構わない。
なお本実施の形態では、パルスレーザ結晶化後に、ゲッタリング工程を施すため、結晶性半導体膜中の非晶質状態の半導体膜を低減した後に、ゲッタリング工程を行うことができる。そのため、結晶化を促進させる金属元素を効率よくゲッタリングシンクへ捕獲することができる。なお、ゲッタリング工程後にパルスレーザ結晶化を行っても構わない。
その後図1(F)に示すように、ウェットエッチング、ドライエッチング、又はCMP法(Chemical Mechanical Polishing、化学的・機械的ポリッシング)による研磨などを用いて、非晶質半導体膜107を除去する。例えば、ヒドラジンやテトラエチルアンモニウムハイドロオキサイト(TMAH、化学式:(CH3)4NOH))を代表とするアルカリ性溶液を使用したウェットエッチングにより非晶質半導体膜107の除去ができる。
その後酸化膜を、フッ酸系のエッチング溶液を用いてウェットエッチングにより除去する。またフッ酸系のエッチング溶液は、界面活性剤が含まれていると好ましい。
なお薄膜トランジスタのチャネル形成領域、ドレイン領域、又はソース領域にニッケルシリサイド等が存在すると電流のパスとなり、オフ電流増大の原因となる。そのため、本実施の形態のように金属元素を効率的にゲッタリングすることは結晶性半導体膜を形成する工程において重要である。
リッジの除去を行わずに、非晶質半導体膜107と、酸化膜のみを除去する場合、リッジ105が残ってしまうため、この時点で結晶性半導体膜表面に平坦化処理を施してもよい。平坦化処理の方法は、実施の形態2を参照すればよい。
このように形成された結晶性半導体膜を、図2(A)に示すように、所定の形状にパターニングし、島状の結晶性半導体膜111、112を形成する。なお図2では、結晶性半導体膜に対して平坦化処理を行わない構成を例示する。そして、フッ酸を含むエッチャントで島状の結晶性半導体膜111、112の表面を洗浄し、結晶性半導体膜111、112を覆うゲート絶縁膜113を形成する。ゲート絶縁膜113はプラズマCVD法またはスパッタ法を用い、厚さを10〜150nm、サブミクロンTFTの場合好ましくは10〜50nmとしてシリコンを含む絶縁膜で形成する。本実施の形態では、プラズマCVD法により30nmの厚さで酸化窒化珪素膜(例えば、組成比Si=32%、O=59%、N=7%、H=2%の膜)で形成する。勿論、ゲート絶縁膜は酸化窒化珪素膜に限定されるものでなく、他のシリコンを含む絶縁膜を単層または積層構造として用いても良い。
ゲート絶縁膜を形成するとき、リッジ105が残っているとゲート絶縁膜が切断される恐れがある。特に薄膜トランジスタのサイズを小さくする場合、それに伴ってゲート絶縁膜が薄くなる。本実施の形態においても、50nmの厚さでゲート絶縁膜を形成しているため、上記問題は無視できない。そのため、平坦化処理を行うと好ましい。平坦化処理の方法は、実施の形態2を参照すればよい。
また特に、ゲート電極下のゲート絶縁膜が断線することが問題となる。そのため本実施の形態では、以下に示すように隣接するリッジ間にゲート電極を形成するように、設計することを特徴とする。
その後図2(B)に示すように、ゲート電極となる導電膜114を形成する。導電膜は、Ta、W、Ti、Mo、Al、Cuから選ばれた元素、または前記元素を主成分とする合金材料もしくは化合物材料で形成すればよく、単層であっても積層であってもよい。本実施の形態では、ゲート絶縁膜113を覆うように、膜厚50nmの窒化タンタル膜、膜厚370nmのタングステン膜を順次積層して形成して導電膜114とする。
そして、感光剤を有する樹脂をスピンコーティング法により塗布し、ステッパーを用いて露光しマスクパターンを転写する。すると、幅(本実施の形態において幅とは、チャネル形成領域のチャネル長方向の幅をいう)0.3〜1μmを有するマスク115、116が形成される。
図2(C)に示すように、マスク115、116を用いて導電膜114をエッチングする。エッチングは、ドライエッチング、又はウェットエッチングを用いることができ、本実施の形態では、CF4とO2の混合ガスを用いてドライエッチングを行う。すると、等方的にエッチングされる場合があり、マスク115、116の幅より細く導電膜がエッチングされてゲート電極117、118が形成される。もちろん導電膜114が、マスク115、116と同一幅にエッチングされることもある。なお、ゲート電極117、118は隣接するリッジ間に形成される。このときゲート電極の幅は、0.2〜0.8μmとなっている。すなわちチャネル形成領域の幅が、0.2〜0.8μmとなっている。
その後、ゲート電極117、118をマスクとして不純物元素を添加する。不純物元素としては、P(リン)やB(ボロン)を用いることができる。
すなわち、このようにゲート電極を形成すると、チャネル形成領域は、パルスレーザの発振波長と同程度の大きさに形成された結晶粒を一つ有することができる。本実施の形態では、308nmの発振波長を有するエキシマレーザを用いて結晶化を行うため、結晶粒の大きさ(幅)は概ね308nmとなっており、その上に0.3μmの幅を有するゲート電極を形成することにより、チャネル形成領域が一つの結晶粒を有するTFT、いわゆるサブミクロンTFTを形成することができる。
その後好ましくは、ゲート電極117、118上に、酸化窒化珪素膜、酸化シリコンなどの絶縁膜からなるパッシベーション膜を形成する。その後、クリーンオーブンを用いて、300〜550℃で1〜12時間加熱し、半導体膜の水素化を行う。
そして図2(D)に示すように、ゲート電極117、118上に層間絶縁膜119を形成する。層間絶縁膜119は、無機材料又は有機材料を有する絶縁膜により形成することができる。本実施の形態では、酸化珪素を有する絶縁膜を用いて1.05μmに形成する。
次いで図2(E)に示すように、ソース領域、及びドレイン領域と接続される配線120〜123(ソース配線、又はドレイン配線ともいう)を形成し、nチャネル型TFT124、pチャネル型TFT125が形成される。
なお、本実施の形態では、ソース・ドレイン領域を有するTFT構造を例示したが、LDD構造を有するTFT、GOLD構造を有するTFTを形成することができる。
そして、以上のように形成された薄膜トランジスタを有する半導体装置を作製することができる。半導体装置は、集積回路や半導体表示装置であって、特に液晶表示装置、有機発光素子に代表される発光素子を各画素に備えた発光装置、DMD(Digital Micromirror Device)、PDP(Plasma Display Panel)、FED(Field Emission Display)等の半導体表示装置の画素部及び駆動回路部に薄膜トランジスタを用いることができる。
特に結晶粒を小さくすることができるため、集積回路を有するCPUの薄膜トランジスタのように、チャネルサイズが小さい薄膜トランジスタに好適である。
また半導体表示装置において、画素部と駆動回路部とにおいて結晶性半導体膜を作り分けてもよい。詳細は実施の形態5を参照すればよい。
以上により、格子状に整列した結晶粒を有する結晶性半導体膜を有する薄膜トランジスタ、特にチャネル形成領域が一つの結晶粒のみ有するように形成された薄膜トランジスタ、及びその作製方法を提供することができる。チャネル形成領域に一つの結晶粒が存在するように薄膜トランジスタを形成することにより、結晶粒界での悪影響が低減、又はなくなることができる。その結果、電気特性が揃い、更に移動度の高い薄膜トランジスタを作製することができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、半導体膜の平坦化処理について説明する。
図1(D)のように、パルスレーザを照射すると半導体膜表面にリッジ105が形成される。このリッジがTFT特性等の弊害となる場合、平坦化処理を施すとよい。
例えば、パルスレーザを大気中で行った後、レーザ照射室へ窒素を導入し、窒素を混入した状態でパルスレーザを照射することでリッジの高さが低減され、平坦性を向上させることができる(図8(A)参照)。このとき、レーザ照射室の窒素濃度が高すぎると、リッジが消失する、具体的には格子状に整列した結晶粒の整列が変化する場合があるため、窒素濃度と酸素濃度の比率に注意が必要である。このようなレーザ照射室の雰囲気を制御する平坦化処理は、処理室の移動がなく処理時間が短い。
また、CMP法(Chemical Mechanical Polishing、化学的・機械的ポリッシング)による研磨を行って平坦性を向上させることができる(図8(B)参照)。また、CF4、又はNF3等のフッ化ガスを用いたドライエッチによるエッチバックを行ってもよい。また、パルスレーザ照射時に形成される酸化膜をHF処理により除去してもよい。酸化膜が除去されることにより、平坦性が向上し、更に加えて一部のリッジを伴って酸化膜が除去されることもある。
これら場合、結晶性半導体膜表面の除去する厚みにもよるが、最も平坦性が高い結晶性半導体膜を得ることができる。
また特にリッジを除去するために、フッ酸系のエッチング溶液を用いてウェットエッチングすればよい。またフッ酸系のエッチング溶液は、界面活性剤が含まれていると好ましい。リッジを除去する場合、リッジを除去する際に、くぼんだ穴(凹部)130が形成される(図8(C)参照)。そこで、リッジが除去された結晶性半導体膜表面に平坦化処置を施すとよい。例えば、酸素が存在しないガス雰囲気、つまり不活性ガス雰囲気中でレーザ光を照射するとよい。具体的には、窒素ガス雰囲気で、パルス発振型のエキシマレーザ(XeCl、発振波長308nm)をエネルギー密度480mJ/cm2、12ショットの条件で照射し平坦化処理を行う。
特に薄膜トランジスタを形成す場合、ゲート電圧印加時、リッジの先端に電界集中が生じる恐れがある。そのため、リッジ105を除去し、さらに平坦化すると好ましい。
なお、以上の平坦化処理により多少の影響がでる可能性はあるが、結晶粒の整列状態は保持されている。
このように平坦化処理を行った後に、ゲッタリング工程を行うことができる。またゲッタリング工程後に、リッジの平坦化処理を行ってもよい。
このように、半導体表面の荒れを抑えることができ、界面準位密度のばらつきによって生じる閾値のばらつきを抑えることができる。
もちろん半導体膜表面の平坦性が問題とならない場合は、平坦化処理を行う必要はない。
本実施の形態は、上記の実施の形態と自由に組み合わせることができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態1と異なる方法による結晶性半導体膜の作製方法について説明する。
図3(A)には、実施の形態1と同様に、非晶質半導体膜102にNi酢酸塩10ppmを含有した水溶液をスピンコーティング法により塗布する状態を示す。その後、非晶質半導体膜102を500〜550℃で2〜20時間かけて熱処理を行い、非晶質半導体膜を結晶化し結晶性半導体膜を形成する。
そして図3(B)に示すように、パルスレーザ光104を、照射角度θ(0<θ<90°)を有するように斜めに照射する。なおレーザ条件は実施の形態1と同様であり、パルス発振型のエキシマレーザ(XeCl、発振波長308nm)をエネルギー密度420mJ/cm2、25ショットの条件で照射する。
すると図3(C)に示すようにリッジ105の間隔は、パルスレーザの発振波長より長くなるように形成される。つまり結晶粒106は、パルスレーザの発振波長より大きくなるように形成される。本実施の形態では、θ=30°で入射したため、結晶粒106の大きさは2倍となり、概ね616nmとなる。このとき、斜め方向と垂直な方向への結晶粒の大きさはパルスレーザの波長と同程度である概ね308nmとなる。すなわち、結晶粒は308nm×616nmとなる。
このように、パルスレーザ光104の入射角度を制御することにより、結晶粒106の大きさを変えることができる。特に、結晶粒を大きくすることができる。
その後実施の形態2に示すような平坦化処理を施すと好ましい。そして図3(D)に示すように、実施の形態1と同様な工程によりゲート電極117、118、ゲート電極を覆ってパッシベーション膜126、及び層間絶縁膜119、及び配線120〜123、を有する薄膜トランジスタを形成することができる。
本実施の形態においても、チャネル形成領域が一つの結晶粒を有するようにゲート電極117、118を形成することができる。特に、本実施の形態のようにパルスレーザ光104を斜めから照射することにより、結晶粒106を大きく形成することができ、それに伴ってゲート電極117、118の幅を大きくすることができる。そのため、チャネル形成領域に一つの結晶粒を有する薄膜トランジスタを形成する場合、マージンが広がり精度よく形成することができる。
以上により、格子状に整列した結晶粒を有する結晶性半導体膜を有する薄膜トランジスタ、特にチャネル形成領域が一つの結晶粒のみ有するように形成された薄膜トランジスタ、及びその作製方法を提供することができる。チャネル形成領域に一つの結晶粒が存在するように薄膜トランジスタを形成することにより、結晶粒界での悪影響が低減、又はなくなることができる。その結果、電気特性が揃い、更に移動度の高い薄膜トランジスタを作製することができる。
本実施の形態は、上記の実施の形態と自由に組み合わせることができ、特に斜めにパルスレーザを照射する工程以外は実施の形態1と同様にして薄膜トランジスタを作製することができる。そして結晶性半導体膜の平坦化処理については実施の形態2を組み合わせることができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、実施の形態1、3と異なる方法による結晶性半導体膜の作製方法について説明する。
図4(A)には、実施の形態1と同様に、非晶質半導体膜102を形成する状態を示す。その後図4(B)に示すように、非晶質半導体膜102を希ガス元素、窒素およびアンモニアから選ばれた一種または複数種を主成分とする気体をプラズマ化した雰囲気中に曝す。これらの元素のプラズマ化は、プラズマ発生装置(プラズマCVD装置、ドライエッチング装置等)を用いて、30秒〜20分(好ましくは3〜15分)かけて行うことができる。さらに、ガスの流量を50〜300sccm、基板の温度を200〜500度、RFを100〜400Wとして処理すると好ましい。
そして図4(C)に示すように、非晶質半導体膜102にNi酢酸塩10ppmを含有した水溶液103をスピンコーティング法により塗布する。その後、非晶質半導体膜102を500〜550℃で2〜20時間かけて熱処理を行い、非晶質半導体膜を結晶化し結晶性半導体膜を形成する。
もちろん、非晶質半導体膜102上に金属元素を添加した後、プラズマ化した希ガス元素、窒素およびアンモニアから選ばれた一種または複数種を主成分とする雰囲気に曝す処理を行ってもよい。
そして図4(D)に示すように、パルスレーザ光104を照射する。なおレーザ条件は実施の形態1と同様であり、パルス発振型のエキシマレーザ(XeCl、発振波長308nm)をエネルギー密度420mJ/cm2、25ショットの条件で照射する。
すると図4(E)に示すようにリッジ105の間隔は、パルスレーザの発振波長と同程度に形成される。すなわち本実施の形態では、発振波長308nmのエキシマレーザを照射するため、リッジの間隔、つまり結晶粒の大きさが概ね308nmとなり整列している。
その後実施の形態2に示すような平坦化処理を施すと好ましい。そして図4(F)に示すように、実施の形態1と同様な工程によりゲート電極117、118、ゲート電極を覆ってパッシベーション膜126、及び層間絶縁膜119、及び配線120〜123、を有する薄膜トランジスタを形成することができる。
本実施の形態のようにプラズマ処理を行うことにより、金属元素の使用量を増加することなく、該金属元素を用いて得られる結晶質半導体膜の結晶粒を小さくすることができる。その結果、サブミクロンTFTを形成することができる。
以上により、格子状に整列した結晶粒を有する結晶性半導体膜を有する薄膜トランジスタ、特にチャネル形成領域が一つの結晶粒のみ有するように形成された薄膜トランジスタ、及びその作製方法を提供することができる。チャネル形成領域に一つの結晶粒が存在するように薄膜トランジスタを形成することにより、結晶粒界での悪影響が低減、又はなくなることができる。その結果、電気特性が揃い、更に移動度の高い薄膜トランジスタを作製することができる。
本実施の形態は、上記の実施の形態と自由に組み合わせることができ、特にプラズマ処理工程以外は実施の形態1と同様にして薄膜トランジスタを作製することができる。さらにパルスレーザを斜めに照射する工程を有する実施の形態2と組み合わせることができる。そして結晶性半導体膜の平坦化処理については実施の形態2を組み合わせることができる。
(実施の形態5)
本実施の形態では、結晶性半導体膜を有するアクティブマトリクス基板の作製方法について説明する。なおアクティブマトリクス基板とは、実施の形態1乃至4に記載の薄膜トランジスタが形成された基板を指す。具体的には薄膜トランジスタがマトリクス状に形成された画素部と、複数の薄膜トランジスタが形成された駆動回路部を有する基板である。
図5(A)には、アクティブマトリクス基板の上面図を示す。基板401上に画素部402、信号線駆動回路403、第1の走査線駆動回路404、第2の走査線駆動回路405が形成されている。
このようなアクティブマトリクス基板において、全体へパルスレーザを照射して結晶化を行ってもよいが、必要とされるTFTの電気特性に応じてパルスレーザを打ち分けると好ましい。例えば、信号線駆動回路や走査線駆動回路を有する駆動回路部では、高移動度を有するTFTが設けられると好ましい。一方、画素部ではバラツキの少ないTFTが設けられると好ましい。
そこで、パルスレーザを照射する照射領域と、照射しない非照射領域とに分ける。例えば、図5(B)に示すA−A’断面図のように、第1の走査線駆動回路404、及び第2の走査線駆動回路405を照射領域とし、画素部402を非照射領域とすることができる。この場合、パルスレーザ光104が非照射領域に当たらないようにするため、メタルマスク132を設けた状態でレーザ照射を行うこともできる。
さらに、非晶質半導体膜への金属元素の添加を行う領域と行わない領域を設けても構わない。
またさらに画素部内においても結晶性半導体膜を作り分けることができる。例えば、画素部が有するTFT、特に発光素子と接続される駆動用TFTと、容量素子とを打ち分けることができる。駆動用TFTがばらつくと、それに駆動される発光素子や液晶素子による表示がばらついてしまう。一方容量素子にリッジが形成されると、リーク電流が発生する恐れがある。そのため画素部のTFT、特に駆動用TFTにのみレーザ結晶化を行い、容量素子にはレーザ結晶化を行わないようにしてもよい。
例えば、容量素子形成領域にマスクを設けて、パルスレーザが照射されないようにすればよい。具体的には、少なくとも容量素子上にマスクとして屈折率のより高い膜と、屈折率のより低い膜とを順次積層し積層膜を形成する。このとき照射レーザの波長をλ、それぞれの屈折率をnとすると、膜厚が(λ/4)・nを満たすように積層するとよい。このとき、積層膜全体の膜厚は、数百nm〜数μmとなるように形成する。画素部全面にパルス発振型のエキシマレーザ(発振波長308nm)を照射する場合、厚さ42nmのSiON膜を、厚さ36nmのITO膜を順に形成した積層膜を形成することができる。
エキシマレーザは積層膜により屈折するため、容量素子へレーザは照射されない、又はエネルギーが低減されて照射される。そのため、積層膜が形成された容量素子はリッジが形成されない、又はリッジの高さが低減されている。その結果、リーク電流を低減することができる。なお容量素子以外のであってリッジを形成したくない領域に積層膜を形成してもよい。
また全面にパルスレーザを照射し、特にリッジの形成を防止したい容量形成領域へ連続発振型レーザ(CWレーザ)を照射し、溶融させてリッジを平坦化してもよい。さらにこの場合、金属元素であるNiを用いて結晶化を行い、配向性を制御した領域も溶融するため、配向性がランダムとなる。
以上のように、画素部において、所定箇所にパルスレーザを照射することによりTFTのバラツキを低減させ、且つ他の箇所にパルスレーザを照射しないことにより容量素子からのリーク電流を防止することができる。
本実施の形態において、アクティブマトリクス基板は画素部と、信号線駆動回路部、走査線駆動回路部等の駆動回路部が一体形成されている構成を例示したが、画素部と、駆動回路部とを必ずしも一体形成する必要はない。信号線駆動回路部、走査線駆動回路部をICチップにより形成してバンプ等により接続してもよい。特に、信号線駆動回路をICチップにより形成して、異方導電性フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)やフレキシブルプリント基板(FPC:Flexible printed circuit)を介したり、COF法やTAB法を用いて信号線や走査線を代表とする配線と接続することができる。
本実施の形態は、上記の実施の形態と自由に組み合わせることができる。
(実施の形態6)
本実施の形態では、結晶性半導体膜を有する半導体装置の一例である発光装置について説明する。
図9(A)には、第1の基板1210上に信号線駆動回路1200、走査線駆動回路1201、及び画素部1202が形成された発光装置を示す。
図9(B)は表示装置のA−A’の断面図を示し、第1の基板1210上に、nチャネル型TFT1223とpチャネル型TFT1224とを有するCMOS回路を備えた信号線駆動回路1200を示す。nチャネル型TFT1223とpチャネル型TFT1224とは、パルスレーザを用いてレーザニールすることにより、結晶粒が格子状に整列した結晶性半導体膜を有するように形成される。特に好ましくは、チャネル形成領域が一つの結晶粒のみ有するように形成されたTFTである。信号線駆動回路1200や走査線駆動回路1201を形成するTFTは、CMOS回路、PMOS回路又はNMOS回路で形成してもよい。
画素部1202は、スイッチング用TFT1221及び駆動用TFT1212を有する。スイッチング用TFT1221及び駆動用TFT1212とは、パルスレーザを用いてレーザニールすることにより、結晶粒が格子状に整列した結晶性半導体膜を有するように形成される。特に好ましくは、チャネル形成領域が一つの結晶粒のみ有するように形成されたTFTである。なお、画素部1202のTFTは信号線駆動回路1200や走査線駆動回路1201と比べると、高い結晶性を有する必要がない。また画素部1202は、駆動用TFT1212の一方の電極と接続された発光素子の第1の電極1213と、スイッチング用TFT1221及び駆動用TFT1212を覆い、発光素子の第1の電極1213に相当する位置に開口部を有する絶縁物1214と、第1の電極1213上に設けられた電界発光層1215と、対向して設けられた発光素子の第2の電極1216を有する発光素子1218とを有する。なお電界発光層は、有機材料、又は無機材料を有し、電子注入層、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層等を適宜組み合わせて構成される。
絶縁物1214はレジスト、ポリイミド、若しくはアクリル等の有機樹脂膜、又は窒化珪素、若しくは酸化珪素等の珪素を含む無機絶縁膜で形成すればよい。ここでは、絶縁物1214として、ポジ型の感光性アクリル樹脂膜を用いて形成する。なお有機樹脂膜等を用いる場合、水分や酸素の侵入を防止するため窒化珪素または窒化酸化珪素を主成分とする絶縁膜、または水素を含むDLC膜(Diamond Like Carbon)を形成するとよい。
なお、後に形成する電極や電界発光層の段差被覆性を良好なものとするため、絶縁物1214の上端部又は下端部に曲率を有する曲面が形成されるようにすると好ましい。例えば、絶縁物1214の材料としてポジ型の感光性アクリルを用いた場合、絶縁物1214の上端部のみに曲率半径(0.2μm〜3μm)を有する曲面を持たせるとよい。また、絶縁物1214として、感光性の光によってエッチャントに不溶解性となるネガ型、又は光によってエッチャントに溶解性となるポジ型のいずれも使用することができる。
発光素子の第1の電極1213が駆動用トランジスタ1212の第1の電極と接している構成となっているため、発光素子の第1の電極1213の少なくとも下面は、半導体膜の第1の電極領域とオーミックコンタクトのとれる材料とし、電界発光層と接する表面に仕事関数の大きい材料を用いて形成することが望ましい。例えば発光素子の第1の電極1213は、窒化チタン膜の単層としてもよいし、3層以上の積層を用いてもよい。
発光素子の第1の電極1213、及び第2の電極1216として透光性を有する導電膜を用いれば両面発光型の発光装置を作製することができる。
また第1の電極1213は非透光性、好ましくは反射性の高い導電膜とし、第2の電極1216は透光性を有する導電膜とすることができる。すると、光は封止基板側のみへ出射される上面出射型の発光装置を作製することができる。
また第1の電極1213は透光性を有する導電膜とし、第2の電極1216は非透光性、好ましくは反射性の高い導電膜とすることができる。すると、光は基板側のみへ出射される下面出射型の発光装置を作製することができる。
なお、光の出射方向とならない側に設けられた発光素子の電極に、反射性の高い導電膜を用いることにより光を有効利用することができる。
なお画素構成により、第1の電極及び第2の電極のいずれも陽極、又は陰極となりうる。例えば、第1の電極を陽極とし、第2の電極を陰極とする場合で具体的な電極材料について説明する。
陽極材料としては、仕事関数の大きい(仕事関数4.0eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などを用いることが好ましい。陽極材料の具体例としては、ITO(indium tin oxide)、酸化インジウムに2〜20%の酸化亜鉛(ZnO)を混合したIZO(indium zinc oxide)の他、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、または金属材料の窒化物(TiN)等を用いることができる。
一方、陰極材料としては、仕事関数の小さい(仕事関数3.8eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などを用いることが好ましい。陰極材料の具体例としては、元素周期律の1族または2族に属する元素、すなわちLiやCs等のアルカリ金属、およびMg、Ca、Sr等のアルカリ土類金属、およびこれらを含む合金(Mg:Ag、Al:Li)や化合物(LiF、CsF、CaF2)の他、希土類金属を含む遷移金属を用いて形成することができる。但し、陰極は透光性を有する必要があるため、これら金属、又はこれら金属を含む合金を非常に薄く形成し、ITO等の金属(合金を含む)との積層により形成する。これら陽極、及び陰極は蒸着法、スパッタリング法等により形成することができる。
また、電界発光層1215として、フルカラー表示とする場合、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の発光を示す材料を、それぞれ蒸着マスクを用いた蒸着法、またはインクジェット法などによって選択的に形成すればよい。具体的には、HILとしてCuPcやPEDOT、HTLとしてα−NPD、ETLとしてBCPやAlq3、EILとしてBCP:LiやCaF2をそれぞれ用いる。また例えばEMLは、R、G、Bのそれぞれの発光色に対応したドーパント(Rの場合DCM等、Gの場合DMQD等)をドープしたAlq3を用いればよい。
より具体的な電界発光層1215の積層構造は、赤色の発光を示す電界発光層を形成する場合、例えば、CuPcを30nm形成し、α-NPDを60nm形成した後、同一のマスクを用いて、赤色の発光層としてDCM2及びルブレンが添加されたAlq3を40nm形成し、電子輸送層としてBCPを40nm形成し、電子注入層としてLiが添加されたBCPを1nm形成する。また、緑色の発光を示す電界発光層を形成する場合、例えば、CuPcを30nm形成し、α―NPDを60nm形成した後、同一の蒸着マスクを用いて、緑色の発光層としてクマリン545Tが添加されたAlq3を40nm形成し、電子輸送層としてBCPを40nm形成し、電子注入層としてLiが添加されたBCPを1nm形成する。また、青色の発光を示す電界発光層を形成する場合、例えば、CuPcを30nm形成し、α-NPDを60nm形成した後、同一のマスクを用いて発光層としてビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾオキサゾラト]亜鉛:Zn(PBO)2を10nm形成し、電子輸送層としてBCPを40nm形成し、電子注入層としてLiが添加されたBCPを1nm形成する。なお、上記電界発光層の積層構造に限定されない。
以上、各色の電界発光層のうち、共通しているCuPcやα-NPDは、画素部全面に形成することができる。またマスクは、各色で共有することもでき、例えば、赤色の電界発光層を形成後、マスクをずらして、緑色の電界発光層、再度マスクをずらして青色の電界発光層を形成することができる。形成する各色の電界発光層の順序は適宜設定すればよい。
また白色発光の場合、カラーフィルタ、又はカラーフィルタ及び色変換層などを別途設けることによってフルカラー表示を行ってもよい。カラーフィルタや色変換層は、第2の基板に設けた後、張り合わせればよい。
さらに水分や酸素等による発光素子の劣化を防止するために、発光素子の第2の電極を覆って設けられた保護膜1217を有する。本実施の形態では保護膜1217にスパッタ法(DC方式やRF方式)により得られる窒化珪素または窒化酸化珪素を主成分とする絶縁膜、または水素を含むDLC膜を使用する。
そして図9に示すように、発光素子の第2の電極1216は、接続領域の絶縁物1214に設けられた開口部(コンタクト)から引き回し配線を介して、接続配線1208と接続される。接続配線1208は、異方性導電樹脂(ACF)によりフレキシブルプリント基板(FPC)1209に接続されている。そして、FPC1209を介して外部入力信号となるビデオ信号やクロック信号を受け取る。ここではFPCしか図示されていないが、このFPCにはプリント配線基板(PWB)が取り付けられていてもよい。
本実施の形態では、基板1210上に信号線駆動回路1200及び走査線駆動回路1201を形成したドライバ一体型の発光装置を示すが、信号線駆動回路及び走査線駆動回路はICにより形成し、SOG法やTAB法により信号線、又は走査線等と接続してもよい。
また加圧や加熱によりACFを接着するときに、基板のフレキシブル性や加熱による軟化のため、クラックが生じないように注意する。例えば、接着領域に硬性の高い基板を補助として配置したりすればよい。
また第1の基板の周縁部にはシール材1205が設けられ、第2の基板1204と張り合わせられ、封止されている。シール材1205はエポキシ系樹脂を用いるのが好ましい。
第2の基板1204で封止すると、保護膜1217との間に空間が形成される。空間には、不活性ガス、例えば窒素ガスを充填したり、吸水性の高い材料を形成して、水分や酸素の侵入を防止する。本実施の形態では、透光性を有し、吸水性の高い樹脂1230を形成する。樹脂1230は透光性を有するため、発光素子からの光が第2の基板側へ出射される場合であっても、透過率を低減することなく形成することができる。
以上のように、格子状に整列した結晶粒を有する結晶性半導体膜を有する薄膜トランジスタ、特にチャネル形成領域が一つの結晶粒のみ有するように形成された薄膜トランジスタを有する発光装置を作製することができる。
チャネル形成領域に一つの結晶粒が存在するように薄膜トランジスタを形成することにより、結晶粒界での悪影響が低減、又はなくなることができる。その結果、電気特性が揃い、更に移動度の高い薄膜トランジスタを作製することができ、高品質な発光装置を提供することができる。
(実施の形態7)
本実施の形態では、結晶性半導体膜を有する半導体装置の一例である液晶表示装置について説明する。
図10(A)には、第1の基板1210上に信号線駆動回路1200、走査線駆動回路1201、及び画素部1202が形成された液晶表示装置を示す。
図10(B)は表示装置のA−A’の断面図を示し、第1の基板1210上に、nチャネル型TFT1223とpチャネル型TFT1224とを有するCMOS回路を備えた信号線駆動回路1200を示す。nチャネル型TFT1223とpチャネル型TFT1224とは、パルスレーザを用いてレーザニールすることにより、結晶粒が格子状に整列した結晶性半導体膜を有するように形成される。特に好ましくは、チャネル形成領域が一つの結晶粒のみ有するように形成されたTFTである。信号線駆動回路1200や走査線駆動回路1201を形成するTFTは、CMOS回路、PMOS回路又はNMOS回路で形成してもよい。
画素部1202は、スイッチング用TFT1221及び容量素子1245を有する。スイッチング用TFT1221は、パルスレーザを用いてレーザニールすることにより、結晶粒が格子状に整列した結晶性半導体膜を有するように形成される。特に好ましくは、チャネル形成領域が一つの結晶粒のみ有するように形成されたTFTである。容量素子1245は、不純物が添加された半導体膜と、ゲート電極とに挟まれたゲート絶縁膜により構成される。なお、画素部1202のTFTは信号線駆動回路1200や走査線駆動回路1201と比べると、高い結晶性を有する必要がない。スイッチング用TFT1211の一方の電極と接続された画素電極1250を有し、nチャネル型TFT1223、pチャネル型TFT1224、画素電極1250、及びスイッチング用TFT1211を覆うように絶縁物1214が設けられている。
対向基板となる第2の基板1204には、信号線駆動回路1200に相当する位置にブラックマトリクス1253が設けられ、少なくとも画素部に相当する位置にカラーフィルタ1252が設けられる。そして対向電極1251が形成された第2の基板1204に、ラビング処理を施し、第1の基板1210とスペーサ1255を介して張り合わせる。
第1の基板1210、及び第2の基板1204の間に液晶層を注入する。液晶層を注入する場合は、真空中で行うとよい。また第1の基板1210へ液晶層を滴下し、第2の基板1204で張り合わせてもよい。特に、大型基板になると液晶層を注入するより、滴下する方が好ましい。
第1の基板1210と、第2の基板1204とをシール材1205を用いて接着する。第1の基板1210と、第2の基板1204とには適宜偏光板を設け、コントラストを高めるとよい。
以上のように、格子状に整列した結晶粒を有する結晶性半導体膜を有する薄膜トランジスタ、特にチャネル形成領域が一つの結晶粒のみ有するように形成された薄膜トランジスタを有する液晶表示装置を作製することができる。チャネル形成領域に一つの結晶粒が存在するように薄膜トランジスタを形成することにより、結晶粒界での悪影響が低減、又はなくなることができる。その結果、電気特性が揃い、更に移動度の高い薄膜トランジスタを作製することができ、高品質な液晶表示装置を提供することができる。
(実施の形態8)
本発明を適用して作製される電子機器の一例として、デジタルカメラ、カーオーディオなどの音響再生装置、ノート型パーソナルコンピュータ、ゲーム機器、携帯情報端末(携帯電話、携帯型ゲーム機等)、家庭用ゲーム機などの記録媒体を備えた画像再生装置などが挙げられる。それら電子機器の具体例を図11に示す。
図11(A)は表示装置であり、筐体2001、支持台2002、表示部2003、スピーカー部2004、ビデオ入力端子2005等を含む。表示部2003は、発光素子、又は液晶素子を有し、パルスレーザを用いてレーザニールすることにより、結晶粒が格子状に整列した結晶性半導体膜を有するように形成され、特に好ましくは、チャネル形成領域が一つの結晶粒のみ有するように形成されたTFTを有する。なお、表示部2003は、画素部と駆動回路部を有する。図11(B)はデジタルスチルカメラであり、本体2101、表示部2102、受像部2103、操作キー2104、外部接続ポート2105、シャッター2106等を含む。表示部2102は、発光素子、又は液晶素子を有し、パルスレーザを用いてレーザニールすることにより、結晶粒が格子状に整列した結晶性半導体膜を有するように形成され、特に好ましくは、チャネル形成領域が一つの結晶粒のみ有するように形成されたTFTを有する。なお、表示部2102は、画素部と駆動回路部を有する。図11(C)はノート型パーソナルコンピュータであり、本体2201、筐体2202、表示部2203、キーボード2204、外部接続ポート2205、ポインティングマウス2206等を含む。表示部2203は、発光素子、又は液晶素子を有し、パルスレーザを用いてレーザニールすることにより、結晶粒が格子状に整列した結晶性半導体膜を有するように形成され、特に好ましくは、チャネル形成領域が一つの結晶粒のみ有するように形成されたTFTを有する。なお、表示部2203は、画素部と駆動回路部を有する。
図11(D)はモバイルコンピュータであり、本体2301、表示部2302、スイッチ2303、操作キー2304、赤外線ポート2305等を含む。表示部2302は、発光素子、又は液晶素子を有し、パルスレーザを用いてレーザニールすることにより、結晶粒が格子状に整列した結晶性半導体膜を有するように形成され、特に好ましくは、チャネル形成領域が一つの結晶粒のみ有するように形成されたTFTを有する。なお、表示部2302は、画素部と駆動回路部を有する。図11(E)は記録媒体を備えた携帯型の画像再生装置であり、本体2401、筐体2402、表示部A2403、表示部B2404、記録媒体読込部2405、操作キー2406、スピーカー部2407等を含む。表示部A2403は主として画像情報を表示し、表示部B2404は主として文字情報を表示する。表示部A2403、表示部B2404は、発光素子、又は液晶素子を有し、パルスレーザを用いてレーザニールすることにより、結晶粒が格子状に整列した結晶性半導体膜を有するように形成され、特に好ましくは、チャネル形成領域が一つの結晶粒のみ有するように形成されたTFTを有する。なお、表示部2403、2404は、画素部と駆動回路部を有する。図11(F)はゴーグル型ディスプレイであり、本体2501、表示部2502、アーム部2503を含む。表示部2502は、発光素子、又は液晶素子を有し、パルスレーザを用いてレーザニールすることにより、結晶粒が格子状に整列した結晶性半導体膜を有するように形成され、特に好ましくは、チャネル形成領域が一つの結晶粒のみ有するように形成されたTFTを有する。なお、表示部2502は、画素部と駆動回路部を有する。
図11(G)はビデオカメラであり、本体2601、表示部2602、筐体2603、外部接続ポート2604、リモコン受信部2605、受像部2606、バッテリー2607、音声入力部2608、操作キー2609等を含む。表示部2602は、発光素子、又は液晶素子を有し、パルスレーザを用いてレーザニールすることにより、結晶粒が格子状に整列した結晶性半導体膜を有するように形成され、特に好ましくは、チャネル形成領域が一つの結晶粒のみ有するように形成されたTFTを有する。なお、表示部2602は、画素部と駆動回路部を有する。図11(H)は携帯端末のうちの携帯電話機であり、本体2701、筐体2702、表示部2703、音声入力部2704、音声出力部2705、操作キー2706、外部接続ポート2707、アンテナ2708等を含む。表示部2703は、発光素子、又は液晶素子を有し、パルスレーザを用いてレーザニールすることにより、結晶粒が格子状に整列した結晶性半導体膜を有するように形成され、特に好ましくは、チャネル形成領域が一つの結晶粒のみ有するように形成されたTFTを有する。なお、表示部2703は、画素部と駆動回路部を有する。
上記の電子機器において、格子状に整列した結晶粒を有する結晶性半導体膜を有する薄膜トランジスタ、特にチャネル形成領域が一つの結晶粒のみ有するように形成された薄膜トランジスタを有することができる。チャネル形成領域に一つの結晶粒が存在するように薄膜トランジスタを形成することにより、結晶粒界での悪影響が低減、又はなくなることができる。その結果、電気特性が揃い、更に移動度の高い薄膜トランジスタを作製することができる。
本実施の形態は、上記の実施の形態と自由に組み合わせることができる。