本発明は、記録手段から被記録材へインクを吐出して記録するインクジェット記録装置に関する。
プリンタ、複写機、ファクシミリ、読取画像形成等の機能を有する記録装置、あるいはコンピュータやワードプロセッサ等を含む複合型電子機器やワークステーションなどの出力機器として用いられる記録装置は、記録情報に基づいて用紙やプラスチック薄板等の被記録材(記録媒体)に画像、文字、記号等を記録(印刷)していくように構成されている。そのうちのインクジェット記録装置においては、記録手段としての記録ヘッドの微細な吐出口からインクを吐出して記録を行うことから、長期間の放置により吐出口からのインク揮発性成分の蒸発によって、インクの増粘現象、染料濃度上昇あるいは固着などが発生する。
また、着脱可能なインクタンクを交換する際に記録ヘッド内に気泡が取り込まれたり、記録ヘッド内で泡が発生したりして、記録ヘッドのインク流路内に泡が滞留するとインクの吐出不良が発生することもある。このようなインクの性状劣化や気泡発生などの不都合を回避するために、記録ヘッドの吐出口をキャップで密閉するとともに、記録装置内に設けられた吸引手段としてのポンプによりキャップ内を減圧することで吐出口からインクと共に気泡を吸い出す吸引回復手段が用いられている。
前記ポンプとしては、チューブポンプやピストンポンプが使用されている。前記チューブポンプは、コロによってしごかれるチューブの復元力を利用して発生させた負圧をキャップ内に作用させるものであり、しごき量を変えることで吸引量を変化させ、しごき速度を変えることで負圧の強さを変化させることができる。前記ピストンポンプは、シリンダ内でピストンをストローク移動させることによってキャップに連通された減圧室に負圧を発生させ、ピストンが吸引孔まで移動したところで減圧室をキャップに連通させて該キャップ内に負圧を導入するものである。このピストンポンプでは、瞬間的に大きな負圧を作用させることができる。ただし、一般的には、1ストロークでの吸引量が機構的に決まってしまうので、機構を変えずに吸引量を増やすためにはストロークを繰り返す必要がある。
カラー記録や階調記録を行うインクジェット記録装置では、異なるインクを吐出するための複数の吐出口列を有する記録ヘッドが使用されている。複数の吐出口列を有する記録ヘッドの構成においては、各吐出口列にインクを供給するための複数の独立したインクタンクを個別に交換可能に装着することが行われている。そして、このようなインクタンクを交換する際には、接続部等から記録ヘッドのインク流路内に気泡が取り込まれることがある。このような気泡は正常なインク吐出の阻害原因となるため、インクタンク交換に際しては、交換後に吸引回復処理を行って吐出口からインクと共に気泡を排出させることが行われている。
特開平3−5159号公報
しかしながら、カラー記録のように複数の吐出口列を有する記録ヘッドの吸引回復処理においては、シアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)の吐出口列からカラーインクの吸引を行う場合には、カラーインクの3つの吐出口列を一体(1個)のカラー用キャップでキャッピングして吸引を行うため、シアン、マゼンタ及びイエローの3つのインクの中で最も条件の悪いものを基準として吸引回復条件が設定されていたので、次のような技術的課題があった。
すなわち、インクタンク交換後の吸引動作においては、インクタンク交換時にインク流路に泡が取り込まれたという最悪の条件を想定し、インク流路内のインクが全て空気に置換されたと想定し、吸引量をインク流路体積とほぼ同程度に設定する場合がある。この場合のインク流路体積(インク吸引量)は、上記3つのカラーインクの中で最も大きい体積を有するインク流路(例えばイエローインクの流路)を基準に設定される。そのため、吸引動作の条件は、吸引インク量がイエローのインク流路体積×3(3色分)の最大の吸引量に設定されていた。
そのため、イエローのインクタンクが交換された場合には適切な吸引量となるが、シアン又はマゼンタのインクタンクが交換された場合には、必要以上の吸引量となり、無駄なインクが排出されることになる。これにより、記録可能な被記録材の枚数が減少してしまう。また、インク排出量の増加により、廃インクを回収保持するための処理部材のコストが上がるとともに、該処理部材の大型化により装置本体が大型化するなどの不都合があった。また、高画質化のために淡色インク等が追加される場合は、これらの吐出口列を一体でキャップする構成では各インクの流路体積の差がさらに増加し、無駄なインクの排出量がさらに増加する。
また、吐出口径が異なる複数の吐出口列を一体のキャップを介して吸引する場合にも、最も条件の悪いものを基準に吸引量が設定されるため、吐出口径が小さく流路抵抗が大きくなる吐出口列を基準に吸引条件が設定されることになる。この場合も、吐出口径の小さいインクのインクタンクが交換された場合には適切な吸引量になるが、吐出口径が大きいインクのインクタンクが交換された場合には、必要以上の吸引量となり、無駄なインクが排出されてしまう。
また、インクの組成が異なる複数の吐出口列を一体のキャップを介して吸引する場合にも、最も条件の悪いものを基準に吸引量が設定されるため、インクの粘性抵抗等の流路抵抗に影響する条件が最も悪いインクを基準に吸引条件が設定されることになる。この場合も、流路抵抗(粘性抵抗等)が大きいインクのインクタンクが交換された場合には適切な吸引量になるが、流路抵抗の低いインクのインクタンクが交換された場合には、必要以上の吸引量となり、無駄なインクが排出されてしまう。
同様に、染料インクの吐出口列と顔料インクの吐出口列が混在した複数の吐出口列を一体のキャップを介して吸引する場合にも、インクの粘性抵抗等の流路抵抗に影響する条件が最も悪い方のインクを基準に吸引条件が設定されることになる。つまり、インクの粘性抵抗が高い顔料インクを基準に吸引条件が設定される。従って、この場合も、顔料インクのインクタンクが交換された場合には適切な吸引量になるが、染料インクのインクタンクが交換された場合には、必要以上の吸引量となり、無駄なインクが排出されてしまう。
本発明はこのような技術的課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、インクタンク交換後における吸引回復処理の際の排出インク量を節減することができるインクジェット記録装置を提供することである。
本発明は、上記目的を達成するため、少なくとも第1のインクを吐出する第1の吐出部及び第2のインクを吐出する第2の吐出部を含む複数の吐出部を有し、前記第1のインクを収容する第1のインクタンクと、前記第2のインクを収容する第2のインクタンクと、が着脱可能に装着される記録ヘッドと、前記複数の吐出部をキャッピングするための1個のキャップと、前記キャップに接続され、該キャップ内に負圧を発生させて前記複数の吐出部からインクを吸引するための吸引手段と、前記吸引手段を制御する制御手段と、を備え、前記記録ヘッドは、前記第1のインクタンクと前記第1の吐出部を連通する第1のインク流路と、該第1のインク流路と流路体積が異なり前記第2のインクタンクと前記第2の吐出部を連通する第2のインク流路と、を有するインクジェット記録装置であって、前記制御手段は、前記第1のインクタンクまたは前記第2のインクタンクが装着された場合は、装着されたインクタンクに対応する流路体積に基づいて前記吸引手段により前記複数の吐出部からインクを吸引するインク量を決定することを特徴とする。
本発明によれば、交換されたインクタンクに応じて吸引回復動作の作動条件を変えるので、インクタンク交換後における吸引回復処理の際の排出インク量を節減することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を具体的に説明する。なお、各図面を通して同一符号は同一又は対応部分を示すものである。図1は本発明のインクジェット記録装置の概略構成を示す斜視図である。図1において、インクジェット記録装置は、記録手段としての記録ヘッド10を搭載したキャリッジ15を両矢印X方向に往復移動させるためのキャリッジ駆動機構と、記録紙等の被記録材Sを搬送する搬送機構と、記録ヘッド10のインク吐出性能の維持回復を行うための回復装置50と、を備えている。
図1において、前記キャリッジ駆動機構は、記録ヘッド10を搭載したキャリッジ15を主走査方向(両矢印X方向)に往復移動させる。このキャリッジ駆動機構は、キャリッジ15の移動を案内するガイドシャフト31と、モータプーリ32及び従動プーリ33に掛け渡されたタイミングベルト34と、モータプーリ32を回転させるキャリッジモータ35、を備えている。そして、キャリッジモータ35を駆動することにより、タイミングベルト34を介してキャリッジ15をガイドシャフト31に沿って往復移動させることができる。
前記キャリッジ15は、キャリッジモータ35の駆動力を伝達するタイミングベルト34の一部に連結されるとともに、ガイドシャフト31に沿って両矢印X方向に摺動自在に案内支持されており、キャリッジモータ35の正転及び逆転によってガイドシャフト31に沿って往復駆動される。装置本体には、キャリッジ15の移動方向(両矢印X方向)における絶対位置を示すエンコーダストリップ38が張架されている。一方、キャリッジ15の背面には、エンコーダストリップ38を検知するためのエンコーダセンサ(不図示)が装着されている。前記エンコーダセンサでエンコーダストリップ38のコードバーを読み取ることにより記録ヘッド10の位置(速度)を検知し、記録動作中であっても該記録ヘッドの基準位置(ホームポジション等)を検知することができ、被記録材Sに対して高精度に画像を記録することができる。
前記搬送機構は、被記録材Sを主走査方向と交差(例えば直交)する矢印Y方向(副走査方向)に搬送する。この搬送機構は、一対の搬送ローラ36と、搬送ローラ36より搬送方向下流側に配設された一対の排紙ローラ37と、搬送ローラ36を駆動する不図示の搬送モータと、を備えている。搬送ローラ36及び排紙ローラ37は同期回転駆動され、被記録材Sを矢印Y方向へ搬送する。記録ヘッド10はキャリッジ15上に位置決め装着されている。
図示の記録ヘッド10は、カラー画像記録用であり、図2に示すように、ブラックインク、淡シアンインク、淡マゼンタインク、シアンインク、マゼンタインク、イエローインクの各色のインクに対応する6つの吐出口列1(1B、1ZC、1ZM、1C、1M、1Y)を備えている。これらの吐出口列1は、記録ヘッド10の被記録材Sと対向する吐出口面に形成されている。記録ヘッド10には、6つの吐出口列1のそれぞれに対応する6つのインクタンク2(インクタンク2B、2ZC、2ZM、2C、2M、2Y)が着脱可能に装着されている。なお、以下の説明においては、これらの吐出口列やインクタンクのように、複数の異なるインクのそれぞれに対して設けられる場合、必要に応じて、ブラックインク用にB、淡シアンインク用にZC、淡マゼンタインク用にZM、シアンインク用にC、マゼンタインク用にM、イエローインク用にYを付して区別する。
記録ヘッド10に設けられた複数の吐出口列1としては、例えば、各吐出口内に電気熱変換体を備え、この電気熱変換体を駆動して発熱させることにより吐出口内のインクを膜沸騰させ、この膜沸騰で発生するエネルギーを利用して吐出口からインクを吐出させるものが使用される。記録ヘッド10は、画像信号に対応するパルス電圧を印加されることにより、吐出口からインク滴を選択的に吐出することで記録していくものである。記録ヘッド10には、各吐出口列1のそれぞれに対応するインクのインクタンク2が交換可能に装着されている。記録手段10とキャリッジ15とは、それらの接合面を適正に接触させることで所要の電気的接続が実現されている。このようなインクジェット記録装置においては、キャリッジ15の移動(主走査)を制御しながら画像信号に基づいて記録ヘッド10を駆動するとともに、被記録材Sを搬送することにより、該被記録材に対する記録が行われる。
図1において、回復装置50は、キャリッジ15の移動範囲内であって記録領域を外れた所定位置に配設されている。図示の回復装置50には、記録しないときに、各吐出口列1をキャップ13で覆うことにより吐出口からのインク蒸発の防止並びに吐出口列が形成された吐出口面の保護を図るためのキャッピング機構、各吐出口列をキャッピングした状態で吸引ポンプ14を作動させてキャップ内空間に負圧を発生させることで各吐出口列からインクを吸引するための吸引回復機構、ワイパー39で記録ヘッドの吐出口面を拭き取り清掃するためのワイピング機構などから成る回復処理機構が設けられている。キャップ13は吐出口面に密着して密閉性を確保できるゴム状弾性材で形成されており、ワイパー39は板状のゴム等の弾性材で形成されており、いずれも記録ヘッド10の吐出口面に対して接触、離間するように移動可能に設けられている。
そこで、本発明を適用したインクジェット記録装置は、複数の吐出口列を有するとともに、各吐出口列にインクを供給するための複数のインクタンクがそれぞれ独立に交換可能に装着される記録手段を備え、前記吐出口列から被記録材へインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置において、前記複数の吐出口列をキャッピングするための少なくとも1つのキャップと、該キャップに接続された負圧発生手段と、前記複数のインクタンクのそれぞれの交換を個別に検知するためのインクタンク交換検知手段と、を備え、インクタンク交換後に前記キャップ及び前記負圧発生手段を用いて前記複数の吐出口列からインクを吸引する吸引回復動作を行うに際し、交換されたインクタンクに応じて吸引回復動作の作動条件を変えるように構成される。以下に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明する。
図2は実施例1に係る吸引回復手段の構成を示す縦断面図であり、図3は図2中の記録ヘッド及びインクタンクの模式的斜視図である。図2及び図3において、記録ヘッド10には、ブラックインクの吐出口列1B、淡シアンインクの吐出口列1ZC、淡マゼンタインクの吐出口列1ZM、シアンインクの吐出口列1C、マゼンタインクの吐出口列1M、イエローインクの吐出口列1Yが構成されている。記録ヘッド10の内部には、各吐出口列に通じるインク流路3がそれぞれ独立に形成されている。ブラックインクのインク流路3B、淡シアンインクのインク流路3ZC、淡マゼンタインクのインク流路3ZM、シアンインクのインク流路3C、マゼンタインクのインク流路3M、イエローインクのインク流路3Yが別々に形成されている。各インク流路の最上流の位置には、該インク流路へのゴミの侵入を防止するためのフィルタ4B、4ZC、4ZM、4C、4M、4Yが設けられている。
記録ヘッド10には、各インク流路3を通して各吐出口列1へインクを供給するためのインクタンク2がそれぞれ独立に交換可能に装着されている。すなわち、ブラックインクタンク2B、淡シアンインクタンク2ZC、淡マゼンタインクタンク2ZM、シアンインクタンク2C、マゼンタインクタンク2M、イエローインクタンク2Yの6個のインクタンクは、記録ヘッド10に対して、それぞれ独立に交換可能に装着されている。各インクタンク2の中には、該インクタンク2内にインクを所定の圧で保持するためのインク吸収体5(5B、5ZC、5ZM、5C、5M、5Y)が設けられている。インクタンク2が装着されると、インク吸収体5が記録ヘッド1のインク流路3の入口に設けられたフィルタ4に当接することで、インクタンク2内のインクをインク流路3に対して供給することができる。
各インクタンク2は、取り外すときは図3中の矢印B方向に抜き取り、装着するときは図3中の矢印C方向に挿入することで交換が可能である。インクタンクが交換されたことは検知手段(不図示)によって検知される。この検知手段は、どのインクタンクが交換されたかを個別に検出できるように構成されている。この場合のインクタンク交換の検知は、各インクタンクのそれぞれに対して、反射型又は透過型の光学センサを用いて検出する方法、メカレバーの動作を光学センサで検出する方法、あるいは電気接点を用いて電気的に検出する方法など、所望の検出方法を用いて行うことができる。
次に、記録ヘッド10の吸引回復手段の構成及び動作について説明する。図2において、記録ヘッド10の吐出口面に対して密着、離間する方向に移動可能で、密着することにより各吐出口列1を密閉するためのキャップ13が設けられている。本実施例においては、1個のキャップ13によって6個の吐出口列1の全てを同時に密閉できるように構成されている。キャップ13の内部はチューブ8を介して負圧発生手段としての吸引ポンプ14に接続されている。吸引ポンプ14の下流側には、チューブ11を介して廃インク処理部材12が接続されている。
記録動作時などにおいて記録ヘッド10のインク流路3内に泡が発生することがあり、また、インクタンク交換時にこのインク流路3内に泡を取り込むことがあり、これらに起因してインク流路3内に気泡が発生することがある。そのため、インク流路3内の気泡を排出するために吸引回復動作が行われる。この吸引回復動作においては、各吐出口列1をキャップ13で密閉した状態で吸引ポンプ14を作動させることにより、各吐出口列1から強制的にインクを排出させる。これにより、インク流路3内に発生した泡がインクと共に排出され、インク流路3内の泡を除去することができる。
次に、各インク流路3の流路体積について説明する。図2に示すように各インク流路3の長さは同じではなく、各インク流路の長さ及び流路体積の大小は、2ZM<2C<2ZC<2M<2B<2Yの関係になっている。インクタンク2が交換される場合にはインク流路3内に泡が取り込まれることが想定される。そこで、インク流路3内の泡を除去し、インク流路3内にインクをほぼ充満させた状態で充填するためには、インク流路体積とほぼ同量のインクを吸引すれば良いことになる。この場合、最大の流路体積を有するインク流路3Yに対応するイエローインクタンク2Yを交換した場合には、インク流路3Yの流路体積の6倍のインク量を吸引により排出すれば良い。
また、最小の流路体積を有するインク流路3ZMに対応する淡マゼンタインクタンク2ZMを交換した場合には、インク流路3ZMの流路体積の6倍のインク量を吸引により排出すれば良い。同様に、他のインクタンク2の交換においても、対応するインク流路の流路体積に応じて吸引量を個別に設定すれば良い。そこで、本発明を適用したインクジェット記録装置及びその吸引回復方法においては、このような条件を満たすべく、インクタンク交換後にキャップ13及び吸引ポンプ14を用いて複数の吐出口列1からインクを吸引するに際し、交換されたインクタンクに応じて吸引動作の作動条件を変えるように構成され、特に、本実施例においては、交換されたインクタンクに対応するインク流路の体積に応じて作動条件を変えるように構成される。
この作動条件は、例えば、吐出口列1からのインクの吸引量を変えることにより行われる。また、インク流路の構造やインクの性状等によってインクの流れ抵抗に差が発生するため、上記吸引量の変更だけでなく、負圧発生時間、MAX負圧値、負圧発生回数等の作動条件の設定を変えることにより、インクタンク交換後の最適な吸引条件を各インクタンク2ごとに設定することが好ましい。このような作動条件の設定変更は、ポンプの体積変化量を変える方法、負圧発生手段14の負圧値を制御する方法、あるいは、負圧発生手段14の負圧作用時間、最大負圧値又は負圧発生回数を変える方法などによって行うことができる。以上説明した構成によれば、無駄なインク排出を無くして効率の良い回復動作を行うことができ、インクタンク交換吸引時の排出インク量を節減することができる。そのため、ランニングコストを低減するとともに、廃インク処理部材のコストダウン及び廃インク処理部材の小型化による装置本体のコンパクト化を実現することができる。
図4は実施例2に係る吸引回復手段の構成を示す縦断面図である。実施例1では、異なるインクを吐出する6つの吐出口列1を一体のキャップ13によって密閉して吸引回復を行う構成について説明したが、図4に示すように記録ヘッド10の4個の吐出口列1に対して2個のキャップ13及び2個の吸引ポンプ14を用いて吸引回復を行うように構成しても良い。
図4において、キャップ13aはブラックインクの吐出口列1Bをキャッピングし、キャップ13bはカラーインクの複数の吐出口列1C、1M、1Yをキャッピングする。ブラックインクの吐出口列1Bからの吸引はキャップ13aを介して吸引ポンプ14aによって行われ、カラーインクの吐出口列1C、1M、1Y からの吸引はキャップ13bを介して吸引ポンプ14bによって行われる。吸引ポンプ14aはチューブ8a、11aを通してキャップ13a、廃インク処理部材12に接続され、吸引ポンプ14bはチューブ8b、11bを通してキャップ13b、廃インク処理部材12に接続されている。
記録ヘッド10には、ブラックインクタンク2B、シアンインクタンク2C、マゼンタインクタンク2M及びイエローインクタンク2Yがそれぞれ独立に交換可能に装着されており、対応するインク流路3B、3C、3M及び3Yを通して対応する吐出口列にインクが供給される。複数のカラーインクタンクのうち、最大の流路体積を有するインク流路3Yに対応するイエローインクタンク2Yを交換した場合には、実施例1の場合と同様に、インク流路3Yの流路体積(流路容積)×3倍のインク量を吸引排出すれば良い。最小の流路体積を有するインク流路3Cに対応するシアンインクタンク2Cを交換した場合には、インク流路3Cの流路体積×3倍のインク量を吸引排出すれば良い。
本実施例においても、このような条件を満たすべく、カラーのインクタンクを交換した後に複数のカラーインクの吐出口列1からインクを吸引するに際し、交換されたインクタンクに対応するインク流路の体積に応じて吸引動作条件を変えるように構成される。本実施例は、以上の点で実施例1と相違し、その他の点では実質的に同じ構成を有しており、それぞれ対応する部分を同じ符号で示し、それらの詳細説明は省略する。また、本実施例においても、インク流路の構造やインクの性状等によってインクの流れ抵抗に差が発生するため、吸引量の設定変更だけでなく、負圧発生時間、MAX負圧値、負圧発生回数等の作動条件を変えることにより、インクタンク交換後の最適な吸引動作の条件を各インクタンクごとに設定することが好ましい。
図9は本実施例の回復手段50の斜視図であり、図10は図9の回復手段50の内部を示す斜視図である。図9および図10において、回復手段50には、記録ヘッド10の吐出口面を覆うためにベース102のガイド102aに沿って上下動可能に装着されたキャップ13と、記録ヘッド10の吐出口面をワイピングするためにガイド102bに沿って往復移動可能に装着されたワイパー39と、吐出口面をキャッピングしている間にキャリッジ15が不用意に移動しないように掛止するロック手段105と、を備えている。
これらキャップ13、ワイパー39及びロック手段105のそれぞれの動作は、モータ106の駆動力をギア列107、108、109によって伝達するとともに、ワンウェイクラッチギア110を介して、モータ106の一方向回転のみでメインカム111を回転させることにより行われる。すなわち、メインカム111には長手方向に複数のカムが形成されており、1つのカムによりメインカム111の回転がロック手段105の回動に変換され、別の1つのカムとラック・ピニオン等によりメインカム111の回転がワイパー39の直線往復運動に変換され、さらに別の1つのカムとレバー114によりメインカム111の回転がキャップ13の上下動作に変換されるように構成される。
図示のキャップ13は2室一体型の構造をしており、チューブ8a、8bが2室のそれぞれに接続されており、各チューブ8a、8bはベース102の一部に形成した円弧状のガイド面に沿って配設されており、これらによって吸引手段としてのチューブポンプが構成されている。記録ヘッド10の吐出口から吸引された排インクは該チューブの他端11a、11bから排出される。
図11はチューブポンプのローラ保持手段115の構造を示す斜視図である。ベース102の内部には、ベース102の円弧状ガイド面の中心と同じ軸心を有するローラ保持手段115が回転可能に配設されている。このローラ保持手段115には、円周方向に2個配設されかつ2本のチューブ8a、8bに対応して軸方向に並列配置された合計4個のローラ117が回動可能に軸支されており、モータ106の駆動をギア107を介してローラ保持手段115の一端に配されたポンプギア116に伝達し該ローラ保持手段115を回転させることにより、ローラ117でチューブ8a、8bを押しつぶしながら吸引力を発生するように構成されている。
本実施例では、ローラ保持手段115の一方向の回転でローラ117がチューブ8a、8bを押圧してインクを吸引できるような構成になっている。つまり、モータ106が矢印A方向に回転するとチューブポンプが動作するが、そのときには、ワンウェイクラッチギア110が空転してメインカム111は回転せず、キャップ13、ワイパー39及びロック手段105は停止したままである。一方、モータ106が逆方向に回転すると、キャップ13、ワイパー39及びロック手段105が所定のタイミングで動作する。そのときには、ローラ117はチューブ8a、8bの押圧を解除され、チューブポンプは動作しない。
次にチューブポンプの構成について詳しく説明する。ローラ保持手段115の構造を示す図11において、各ローラ117はローラホルダ118のガイド溝119によって保持されており、該ローラホルダ118は回転板120に対して支軸120aを中心として揺動可能に取り付けられている。揺動可能なローラホルダ118はバネ121で一方向に付勢されている。つまり、このバネ付勢力でローラ117がチューブ8a、8bを押圧することになる。チューブ8a、8bと対向しない位置では、ローラホルダ118はストッパ爪118aが回転板120の一部と係合した位置で保持される。本実施例では、ローラ117及びローラホルダ118から成るセットが4組構成されていて、これらのセットを回転板120に装着することにより各チューブ8a、8bのそれぞれを2個のローラで押圧できるように構成されている。
上記構成において、インクの吸引量を変える構成について説明する。まず、第1の方法として、コロ117によりチューブ8を押圧する距離を変えることによりインクの吸引量を変えることができる。インクの吸引量を多くするときは、ポンプの動作回転角を増やして、コロ117のチューブ8を押しつぶす距離を長くする。一方、インクの吸引量を少なくするときは、ポンプの動作回転角を減らして、コロ117のチューブ8を押しつぶす距離を短くする。
また、第2の方法として、ポンプの吸引回数を変えることによりインクの吸引量を変えることができる。ポンプ動作を1回だけ行う吸引モードと、複数回行う吸引モードと、を設定することで、選択的に吸引量を変えることができる。また、第3の方法として、吸引動作中に大気連通弁を微小リークさせて、負圧を変化させることによりインクの吸引量を変えることができる。
さらに、第4の方法として、吸引ポンプを動作させ、コロ117を停止させ、記録ヘッド10の吐出口からインクを吸引するときに、完全に減圧するまでキャッピング状態を保持する場合と、減圧する前にキャッピング状態を解除する、もしくは大気連通弁を介して大気連通させる場合と、により吸引量を変えることができる。また、第5の方法として、吸引ポンプの回転スピードを変えることによりインクの吸引量を変えることができる。
さらには、上記第1の方法から第5の方法を適宜組み合わせることにより、インクの吸引量を変えることができる。
図5は実施例3に係る吸引回復手段の構成を示す縦断面図である。実施例1及び2では、各吐出口列1が同じ口径の吐出口で構成される場合を示したが、各吐出口列を構成する吐出口の口径を異ならせるように構成しても良い。インクジェット記録装置においては、濃いインクの方が粒状感が目立つ傾向にあるため、ドット径を小さく設定するためにインクの種類に応じて吐出口の口径を異ならせることがある。本実施例においては、ブラックインクの吐出口列1B、淡シアンインクの吐出口列1ZC、淡マゼンタインクの吐出口列1ZMの吐出口径に対して、シアンインク、マゼンタインク、イエローインクの吐出口列1C、1M、1Yの吐出口径を小さく設定している。
このように吐出口径が異なる複数の吐出口列を有する記録ヘッド10に対して吸引回復動作を行う場合、キャップ13を介して同じ負圧を与えても、吐出口径の違いにより吸引量に差が発生することがある。つまり、吐出口径が小さい吐出口列では、インクの流れ抵抗が大きくなり、吐出口径が大きいものに対して排出インク量が少なくなる傾向がある。図5の構成では、インク流路の長さ及びインク流路の体積が左右対称であり、3C=3ZM<3M=3ZC<3Y=3Bの関係かある。インク流路3Cと3ZMでは、流路長さ及び流路体積が同じであるため、吐出口列1C及び1ZMの吐出口径が同じであれば、インクタンク交換の際の吸引量及び吸引動作条件は同じで良い。しかし、本実施例では、吐出口列1Cと1ZMでは吐出口径が異なるため、吐出口径が大きい淡マゼンタインクの吸引量に対して吐出口径が小さいシアンインクの吸引量を多くする必要がある。
同様に、淡シアンインクの吸引量に対してマゼンタインクの吸引量を多くする必要があり、ブラックインクの吸引量に対してイエローインクの吸引量を多くする必要がある。また、本実施例においても、吐出口径の差によってインクの流れ抵抗に差が発生するため、吸引量の設定変更だけでなく、負圧発生時間、MAX負圧値、負圧発生回数等の作動条件を変えることにより、インクタンク交換後の最適な吸引条件を各インクタンクごとに設定することが好ましい。本実施例は、以上の点で実施例1と相違するが、その他の点では実質的に同じ構成を有しており、それぞれ対応する部分を同じ符号で示し、それらの詳細説明は省略する。従って、本実施例によれば、各吐出口列を構成する吐出口の口径が異なる場合でも、インクタンク交換時の吸引回復に際し、排出インク量を節減して無駄なインク消費を無くすことができ、ランニングコストを低減するとともに、廃インク処理部材のコストダウン及び廃インク処理部材の小型化による装置本体のコンパクト化を実現することができる。
図6は実施例4に係る吸引回復手段の構成を示す縦断面図である。前述の実施例3では、各吐出口列の吐出口径が異なる場合を説明したが、同じインクを吐出する吐出口列が吐出口径が異なる複数の吐出口列で構成される場合がある。つまり、口径が異なる複数の吐出口列から同じインクを吐出する場合があり、本実施例はこのようなインクジェット記録装置に係るものである。
図6において、ブラックインク、シアンインク、マゼンタインクの吐出口列1B、1C、1Mは、それぞれ、大径の吐出口から成る大径吐出口列と小径の吐出口から成る小径吐出口列の2列の吐出口列で構成されている。一方、淡シアンインク、淡マゼンタインク、イエローインクの吐出口列1ZC、1ZM、1Yは、それぞれ、大径の吐出口から成る2列の大径吐出口列で構成されている。このような吐出口列を有する記録ヘッド10に対して吸引回復動作を行う場合、同じ負圧を与えても、吐出口径の違いにより吸引量に差が発生することがある。すなわち、小径の吐出口列においてはインクの流れ抵抗が大きくなり、大径の吐出口列に比べて排出インク量が少なくなる傾向がある。
本実施例においては、図5の場合と同様、インク流路の長さ及び流路体積が左右対称であり、3C=3ZM<3M=3ZC<3Y=3Bの関係がある。しかし、本実施例では、インク流路3Cと3ZMでは、対応する2つの吐出口列の吐出口径が同じではないため、2列の大口径吐出口列を有する淡マゼンタインクZMの吸引量に対して、大小の異なる口径の2列の吐出口列を有するシアンインクCの吸引量を多くする必要がある。同様に、淡シアンインクZCの吸引量に対してマゼンタインクMの吸引を多くする必要があり、イエローインクYの吸引量に対してブラックインクBの吸引量を多くする必要がある。
本実施例は、以上説明した点で実施例1又は3と相違するが、その他の点では実質上同じ構成を有している。また、本実施例においても、吐出口径の差によってインクの流れ抵抗に差が発生するため、吸引量を変えるだけでなく、負圧発生時間、MAX負圧値、負圧発生回数等の動作条件を変えることで、インクタンク交換の際の吸引動作を各インクタンクごとに最適なシーケンスに設定することが好ましい。従って、本実施例によれば、同じインクの吐出口列に口径が異なる吐出口列が存在する構成においても、無駄なインク排出を無くして効率の良い回復動作を行うことが可能となり、ランニングコストを低減するとともに、廃インク処理部材のコストダウン及び廃インク処理部材の小型化による装置本体のコンパクト化を実現することができる。
図7は実施例5に係る吸引回復手段の構成を示す縦断面図である。前述の実施例1では記録ヘッド10のインク流路3の長さや体積に応じて、対応する吐出口列ごとに吸引量及び吸引動作の条件を変えるように構成したが、インク流路の容積が同じであっても、インクの組成に応じてインク吸引量が変化する場合がある。これは、インク組成の違いによる粘性抵抗等の差に起因して流れ抵抗に差が生じるためである。本実施例は、このような場合に、交換されたインクタンクに応じて吸引回復動作の作動条件を変えることを特徴とする。
各吐出口列から吐出されるインクの組成が異なる場合の実施例を図7を用いて以下に説明する。本実施例においても、図5の場合と同様に、インク流路の長さ及び流路体積は図示において左右対称であり、3C=3ZM<3M=3ZC<3Y=3Bの関係がある。つまり、インク流路3の長さ及び流路体積、並びに対応する吐出口列の吐出口径は、シアンインクCと淡マゼンタインクZM、マゼンタインクMとシアンインクC、及びイエローインクYとブラックインクBとでそれぞれ同じである。従って、これら同じであるもの同士では、インクの組成が同じであれば吸引動作の条件は同じで良いが、インクの組成が異なる場合には、粘性抵抗が高いインクの吐出口列の吸引量を多くする必要がある。つまり、インクの粘性抵抗に差が発生するため、交換されたインクタンクのインク色に応じて吸引回復の作動条件を変えるように制御される。
また、本実施例においても、吸引量の設定だけでなく、負圧発生時間、MAX負圧値、負圧発生回数等の動作条件を変えることにより、各インクタンクごとに最適な吸引作動条件を設定することが好ましい。本実施例によれば、吐出口列から吐出されるインクの組成が異なる場合でも、無駄なインク排出を無くして効率の良い回復動作を行うことが可能となり、ランニングコストを低減するとともに、廃インク処理部材のコストダウン及び廃インク処理部材の小型化による装置本体のコンパクト化を実現することができる。
図8は実施例6に係る吸引回復手段の構成を示す縦断面図である。前述の実施例1では各吐出口列から吐出されるインクが全て染料インクである場合を想定していたが、同一のキャップ13で密閉される複数の吐出口列に、染料インクの吐出口列と顔料インクの吐出口列が混在する場合がある。そのような場合には、染料インクであるか顔料インクであるかによってインクの吸引量が変化する場合がある。これは、顔料インクは一般に染料インクよりもインクの粘性抵抗が高くなる傾向があるため、粘性抵抗等の差によって吸引量の差が発生するためである。
本実施例は、交換されたインクタンクのインクが染料インクであるか、顔料インクであるかに応じて吸引回復の作動条件を変えることを特徴とするものである。図8において、ブラックインクBは顔料インクであり、他のカラーインクZC、ZM、C、M、Yは染料インクである。顔料インクは染料インクよりも粘性抵抗が高くなる傾向があるため、ブラックインクとカラーインクとでは、インク流路の体積及び吐出口の口径が同じである場合には、ブラックインクタンクを交換したときには、カラーインクタンクを交換したときよりも吸引量を多くする必要がある。
また、本実施例においても、吸引量の設定だけでなく、負圧発生時間、MAX負圧値、負圧発生回数等の作動条件を変えることで、インクタンク交換後の最適な吸引作動条件を設定することが好ましい。従って、本実施例によれば、顔料インクと染料インクが混在している場合においても、無駄なインク排出を無くして効率の良い回復動作を行うことが可能となり、ランニングコストを低減するとともに、廃インク処理部材のコストダウン及び廃インク処理部材の小型化による装置本体のコンパクト化を実現することができる。
前述の実施例1〜実施例6においては、交換されたインクタンクが1個である場合を想定して説明したが、本発明は、複数のインクタンクを同時に交換された場合にも同様に適用することができ、同様の効果を奏するものである。この場合は、交換された複数のインクタンクのうち、吸引動作が最も高い作動条件で行われるインクタンクを基準として該インクタンクに対応する吸引動作が行われる。本実施例によれば、複数のインクタンクを同時に交換する場合でも、無駄なインク排出を無くして効率の良い回復動作を行うことが可能となり、ランニングコストを低減するとともに、廃インク処理部材のコストダウン及び廃インク処理部材の小型化による装置本体のコンパクト化を実現することができる。
前述の実施例1〜6においては、インク流路体積、吐出口径、インク組成あるいはインクの種類などの各要素の違いにより、インクタンクごとに交換後の吸引作動条件を設定するように構成したが、これらの要素はそれぞれ単独で採用しても良く、また2つ以上の要素を複合させて採用しても良い。さらに、以上の実施例では、独立に交換可能なインクタンクの数が4個の場合及び6個の場合を例に挙げたが、インクタンクの数はこれに限定されるものではなく、本発明は、2個以上のインクタンクの場合に適用可能であり、また、レッドインク、ブルーインク、グリーンインク、グレーインク等の特別な色のインクタンクが追加される場合など、複数のインクタンクであればどのような場合にも適用できるものであり、同様の効果を奏するものである。なお、インクタンクの数が増えれば増えるほど、一般にインク流路の長さや流路体積の差がより大きくなるため、本発明を実施した場合の効果がより大きくなる。また、本発明は、使用するインクが全て顔料インクである場合にも、同様に適用することができ、同様の効果を奏するものである。
なお、以上の実施形態においては、記録ヘッドを被記録材に対して相対移動させながら記録するシリアル記録方式のインクジェット記録装置を例に挙げて説明したが、本発明は、被記録材の全幅又は一部をカバーする長さのラインタイプの記録ヘッドを用いて副走査のみで記録するライン記録方式のインクジェット記録装置に対しても同様に適用することができ、同様の効果を達成し得るものである。また、本発明は、複数の吐出口列を用いて記録するインクジェット記録装置であれば、1個の記録ヘッドを用いる記録装置、異なる色のインクで記録する複数の記録ヘッドを用いるカラー記録装置、あるいは同一色彩で異なる濃度で記録する複数の記録ヘッドを用いる階調記録装置、さらには、これらを組み合わせた記録装置の場合にも、同様に適用することができ、同様の効果を達成し得るものである。
なお、本発明は、インクジェット記録装置が、例えば、ピエゾ素子等の電気機械変換体等を用いる記録手段を使用するものである場合にも適用できるが、中でも、熱エネルギーを利用してインクを吐出する方式の記録手段を使用するインクジェット記録装置において優れた効果をもたらすものである。かかる方式によれば、記録の高密度化、高精細化が達成できるからである。
本発明のインクジェット記録装置の概略構成を示す斜視図である。
実施例1に係る吸引回復手段の構成を示す縦断面図である。
図2中の記録手段及びインクタンクの斜視図である。
実施例2に係る吸引回復手段の構成を示す縦断面図である。
実施例3に係る吸引回復手段の構成を示す縦断面図である。
実施例4に係る吸引回復手段の構成を示す縦断面図である。
実施例5に係る吸引回復手段の構成を示す縦断面図である。
実施例6に係る吸引回復手段の構成を示す縦断面図である。
実施例2の吸引回復手段の斜視図である。
図9の吸引回復手段の内部を示す斜視図である。
チューブポンプのローラ保持手段の構造を示す斜視図である。
符号の説明
1 吐出口列
2 インクタンク
3 インク流路
4 フィルタ
5 インク吸収体
8、11 チューブ
10 記録手段(記録ヘッド)
12 廃インク処理部材
13 キャップ
14 負圧発生手段(吸引ポンプ)
15 キャリッジ
31 ガイドシャフト
32 駆動プーリ
33 従動プーリ
34 タイミングベルト
35 キャリッジモータ
36、37 搬送ローラ
38 エンコーダストリップ
39 ワイパー