JP4603627B2 - 単糖類の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、単糖類の製造方法に関する。より詳しくは、多糖の加水分解による単糖類の製造方法、特に均一系の酸触媒を利用した単糖類の製造方法に関する。
原油価格が高騰している近年、再生資源であるバイオマスからエタノールや乳酸等の化学品を製造する技術が注目を浴びている。セルロースやヘミセルロース等の多糖類を含むリグノセルロース系のバイオマスは、賦存量が莫大でありその利用が期待されているが、化学変換が困難であることから利用は一部に限られている。特にリグノセルロース系のバイオマスを化学変換する上でキーとなるのが、セルロースのグルコースへの糖化反応である。セルロースは結晶性が高いため加水分解を受けにくく、効率的にセルロースを糖化することは難易度が高い。糖化により生成した単糖類は微生物発酵のための原料として主に利用され、最終的にはエタノール等の化学品へ変換される。
実用化段階で検討されているセルロースの糖化方法としては、(1)濃硫酸法、(2)希硫酸法、(3)酵素法が挙げられる(例えば、非特許文献1、非特許文献2参照)。(1)の濃硫酸法は、80%程度の高濃度硫酸中、低温条件でセルロースを処理するものである。セルロースは高濃度硫酸中に溶解するため、本方法は低温でも速やかに分解反応が進行し、かつ、高い単糖収率が期待できるというメリットがある。しかしながら大量の硫酸をリサイクルする必要があり、硫酸回収にかかるエネルギー、設備コストが課題である。従来の硫酸リサイクル法としてはイオン交換樹脂を利用するものが知られているが(例えば、特許文献1参照)、この方法では硫酸が20%程度に希釈されて回収されるため、その再濃縮に多大のエネルギーと設備を必要とする。あるいは、イオン交換膜による膜分離を利用して硫酸を回収する方法も知られているが(例えば、特許文献2参照)、この方法でも硫酸が希釈される、あるいは回収率が低いという課題がある。このように濃硫酸法は触媒リサイクルに課題を有しており、競争力の高い手法とするためにはより経済的な触媒リサイクル方法が求められていた。
また、(2)の希硫酸法は、低濃度の硫酸水溶液中にて高温高圧でセルロースを処理するものであり、(1)の濃硫酸法とは反応条件、分解メカニズムの点で根本的に異なる。セルロースは約60%以上の硫酸中には溶解するが、それより低い濃度では溶解は起こらない。つまり、濃硫酸法ではセルロースを溶解させて分解を促進するのに対して、希硫酸法では高温高圧にすることで分解を促進する。希硫酸法では硫酸の使用量は少量のため触媒リサイクルは行わないが、単糖収率が低いこと、反応副生成物が多いこと、硫酸中和の際に廃棄物が生じること等に課題を有している。その中でも低収率が最大の課題である。これは、低濃度硫酸による糖化反応の選択率が低いことに起因しており、高い反応選択率の触媒、及び反応条件の提供が求められていた。
(3)の酵素法はセルラーゼ等の酵素を触媒とするもので、高い収率は期待できるが反応速度が遅く酵素コストが高いことが実用化上の大きな課題である。以上の3手法は一長一短であり、絶対的な手法は存在しないのが現状である。
一方、研究段階ではあるが、反応液に不溶な不均一系の固体酸触媒を用いてセルロースを糖化する方法も検討されている(例えば、特許文献3参照)。この手法では、グルコースと触媒との分離は固液分離により比較的容易に達成される。しかし、リグニン等の未分解残渣と触媒との分離が困難であり、リグノセルロースを分解する際には問題となる。
一方、研究段階ではあるが、反応液に不溶な不均一系の固体酸触媒を用いてセルロースを糖化する方法も検討されている(例えば、特許文献3参照)。この手法では、グルコースと触媒との分離は固液分離により比較的容易に達成される。しかし、リグニン等の未分解残渣と触媒との分離が困難であり、リグノセルロースを分解する際には問題となる。
また、80%程度の高濃度のヘテロポリ酸を用いてセルロースを糖化する方法も開示されている(例えば、特許文献4、5参照)。この方法は濃硫酸法と同様のメカニズムと考えられ、高い単糖収率が達成されるが触媒リサイクルが必須である。濃硫酸法と同じく大量の触媒を使用するため、触媒リサイクルへの負荷は高い。また、ヘテロポリ酸は硫酸に比べて遥かに高価であるため、わずかな損失でもコストに与える影響は大きく、より高い回収率が求められる。特許文献4では、単糖と触媒を分離する方法として、酸素10員環のMFI、βゼオライト、酸素12員環のモルデナイト等の多孔性物質を用いることができることが開示されており、また、有機溶媒で単糖を再沈させる方法が開示されている。特許文献4には、ヘテロポリ酸を膜分離で回収する実施形態が記載され、モルデナイト膜を用いたリンタングステン酸を分離回収したことが記載されているが、リンタングステン酸等のヘテロポリ酸の回収率についての記載はなく、無機膜を用いる上で必須である支持体の多孔質アルミナにヘテロポリ酸が吸着することにより、ヘテロポリ酸の回収率が低下することになる。また、有機溶媒で単糖を再沈させる方法においては、再沈のために多量の溶媒を使用し、更に、触媒分離後、触媒を濃縮するための脱溶媒、及び脱水工程を必要とするため、多大なエネルギー、設備が必要となることも課題である。また、モルデナイト膜を使用した膜分離による分離方法においても膜分離工程の後に触媒の脱水工程が必要である。いずれにしても特許文献4の方法では、極めて高い濃度のヘテロポリ酸で糖化を行うことに起因して、触媒リサイクルへの負荷が高くなり、エネルギー及び設備コスト、さらに触媒コストも多大になると予想される。
また、無機膜を用いてヘテロポリ酸等の触媒を膜分離する方法が開示されている(例えば、特許文献6参照)。ここでは、ヘテロポリ酸から酢酸エチル、エタノール、水、酢酸のような蒸気化可能な化合物を、透過液側を減圧にする方法にて蒸気化して分離する方法が実施例として例示されている。しかし、糖類のように蒸気化出来ない化合物を分離する方法については実施例にない。また、特許文献6では、液中に溶解している触媒を通過させない無機膜を用いて、透過側を減圧にし、蒸気として溶媒及び除去成分を分離する方法によってヘテロポリ酸を分離するために、溶媒及び除去成分の気化が必要であり、エネルギーコストがかかってしまう。また、無機膜としてゼオライト等からなるモレキュラーシーブ膜が用いられることになるが、このような無機膜を用いてヘテロポリ酸を分離する場合、無機膜を構成する金属酸化物がヘテロポリ酸を吸着する性質を有するために、無機膜ではヘテロポリ酸が吸着してしまい、分離回収にロスを生じることになる。
更に、低濃度のヘテロポリ酸を用いてセルロースを加水分解する方法が開示されている(例えば、非特許文献3)。ここではケイタングステン酸を用い、60℃又は100℃においてセルロースの糖化反応を実施している。また同様に、低濃度のヘテロポリ酸を用いて80℃程度でセルロースを加水分解する方法が開示されている(例えば、特許文献7参照)。これらの方法は、数十時間という長い反応時間に課題を有しており、また、ヘテロポリ酸のリサイクル方法については開示がなかった。
以上のようにセルロース等の多糖類を加水分解して単糖類を製造する方法においては、触媒リサイクル方法、反応選択率等に課題を有しており、これらを解決した効率的、経済的なプロセスの提案が求められていた。
ところで、セルロースから単糖類を製造する方法において、触媒としてヘテロポリ酸が用いられている。
ヘテロポリ酸は、二種以上の酸素酸が縮合した無機酸素酸であり、種々の反応に均一系触媒として用いられることが期待され、これを用いた反応が種々検討されている。
このヘテロポリ酸を工業的に用いようとする場合、ヘテロポリ酸自体が高価であるために、たとえわずかであっても反応前後での損失(ロス)が生産コストに大きな影響を与えることになる。そこで、反応に使用した後に、分離、回収してリサイクルすることが求められている。ヘテロポリ酸触媒が種々の反応に適用され、そのような反応が工業的に多く行われるようになれば、ヘテロポリ酸の分離・回収技術の重要性は増大していくことになる。
しかしながら、ヘテロポリ酸が均一系触媒として用いられることが多いことから、そのようなヘテロポリ酸を含む反応溶液からヘテロポリ酸を高い率で分離回収することは困難であるのが現状であり、ヘテロポリ酸の効率的な分離回収を達成することができ、しかも種々の反応系に適用することができる方法が望まれるところであった。
ヘテロポリ酸は、二種以上の酸素酸が縮合した無機酸素酸であり、種々の反応に均一系触媒として用いられることが期待され、これを用いた反応が種々検討されている。
このヘテロポリ酸を工業的に用いようとする場合、ヘテロポリ酸自体が高価であるために、たとえわずかであっても反応前後での損失(ロス)が生産コストに大きな影響を与えることになる。そこで、反応に使用した後に、分離、回収してリサイクルすることが求められている。ヘテロポリ酸触媒が種々の反応に適用され、そのような反応が工業的に多く行われるようになれば、ヘテロポリ酸の分離・回収技術の重要性は増大していくことになる。
しかしながら、ヘテロポリ酸が均一系触媒として用いられることが多いことから、そのようなヘテロポリ酸を含む反応溶液からヘテロポリ酸を高い率で分離回収することは困難であるのが現状であり、ヘテロポリ酸の効率的な分離回収を達成することができ、しかも種々の反応系に適用することができる方法が望まれるところであった。
従来の触媒分離技術として、例えば、ポリアミドの逆浸透膜を用いたヘテロポリ酸の膜分離や(例えば、非特許文献4参照)、ニトロセルロースでできた孔のサイズが3μmの膜を用いたヘテロポリ酸を含む会合体の回収が開示されている(例えば、非特許文献5参照)。若しくは、ナフィオン(Nafion)を用いて、ヘテロポリ酸濃度が1%のヘテロポリ酸水溶液からヘテロポリ酸(H3[PMo12O40]・3H2O)を分離して回収することができることが開示されている(例えば、非特許文献6参照)。
非特許文献4〜6には、支持体を必要としない有機高分子膜を用いてヘテロポリ酸を分離した例が開示されている。しかしながら、非特許文献4では、膜として逆浸透膜を用いており、逆浸透膜は一般的に非常に高い圧力での運転が必要であるためにエネルギーコストが高くなってしまい、その上、透過物の透過する速度が充分ではないために分離効率が悪い。非特許文献5では、孔のサイズが3μmの膜を用いており、これは精密ろ過膜に相当するが、精密ろ過膜は一般的にゲル等の非常に細かい固形分と液体とを分離するものであり、均一に溶解したヘテロポリ酸を分離することはできない。非特許文献6では、膜としてナフィオン膜を用いているが、溶媒の透過速度が著しく低い上に、ヘテロポリ酸と溶媒との分離が悪い。
このように、ヘテロポリ酸の分離技術が開示されてはいるが、分離効率を精査して検討したような技術ではなく、これらを適用しただけでは、ヘテロポリ酸等の均一系酸触媒のロスを充分に解消することはできなかった。また、ヘテロポリ酸等の均一系酸触媒の効率的な分離回収、有効利用に寄与することができるといえるほど効率的な分離回収方法ではなかった。
非特許文献4〜6には、支持体を必要としない有機高分子膜を用いてヘテロポリ酸を分離した例が開示されている。しかしながら、非特許文献4では、膜として逆浸透膜を用いており、逆浸透膜は一般的に非常に高い圧力での運転が必要であるためにエネルギーコストが高くなってしまい、その上、透過物の透過する速度が充分ではないために分離効率が悪い。非特許文献5では、孔のサイズが3μmの膜を用いており、これは精密ろ過膜に相当するが、精密ろ過膜は一般的にゲル等の非常に細かい固形分と液体とを分離するものであり、均一に溶解したヘテロポリ酸を分離することはできない。非特許文献6では、膜としてナフィオン膜を用いているが、溶媒の透過速度が著しく低い上に、ヘテロポリ酸と溶媒との分離が悪い。
このように、ヘテロポリ酸の分離技術が開示されてはいるが、分離効率を精査して検討したような技術ではなく、これらを適用しただけでは、ヘテロポリ酸等の均一系酸触媒のロスを充分に解消することはできなかった。また、ヘテロポリ酸等の均一系酸触媒の効率的な分離回収、有効利用に寄与することができるといえるほど効率的な分離回収方法ではなかった。
バイオマスエネルギー利用の最新技術(2001年シーエムシー出版)
NEDO平成17年度成果報告書「セルロース系バイオマスを原料とする規エタノール発酵技術の開発/前処理・糖化・エタノール醗酵技術の開発」
ケンイチロウ・アライ(KENICHIRO ARAI)他1名、Journal of Applied Polymer Science, Vol.30, 3051−3057(1985)
M・A・フェドトフ(M.A. FEDOTOV)他5名、「カタリシス レターズ(Catalysis Letters)」(米国)、1990年、第6巻、pp.417−422
チヨ・マツバラ(Chiyo Matsubara)他2名、「アナリスト(ANALYST)」(英国)、1987年、第112巻、pp.1257−1260
S・ロイ・チョハリー(S. Roy Chowdhury)他3名、「デサリネーション(Desalination)」(オランダ)、2002年、第144巻、pp.41−46
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、効率的に多糖類を加水分解し単糖類を製造する手段を提供することを目的とする。特に、均一系の酸触媒を用いて多糖類から単糖類を得る方法において、低エネルギー、低コストの触媒分離方法を提供し、さらに、高い反応選択率を得るための方法を提供する。また、低エネルギーコストで、均一系酸触媒含有溶液から均一系酸触媒を高効率に分離して、高い均一系酸触媒回収率を実現し、しかも種々の反応系に適用することができる均一系酸触媒の分離方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、鋭意検討の結果、均一系の酸触媒を用いて多糖類を加水分解し単糖類を製造する方法において、分子量200以上の触媒を使用し、かつ、加水分解反応後に均一系酸触媒を分離することとし、(A)加水分解工程後の均一系酸触媒含有溶液に対して、分子ふるい膜を用いた均一系酸触媒の膜分離処理を施して均一系酸触媒を分離する方法、(B)加水分解工程後の固液分離によって分離された加水分解反応残渣に対して、有機物の熱分解処理を施して均一系酸触媒を分離する方法、及び、(C)加水分解工程後の固液分離によって分離された加水分解反応残渣に対して、アルカリ性溶液又は有機溶媒含有溶液を用いた均一系酸触媒の溶出処理を施して均一系酸触媒を分離する方法の少なくとも1つの方法により分離を行うこととすると、低エネルギー、低コストに触媒分離を分離することができることを見出した。これにより生成物である単糖類と触媒とを充分に分離、かつ回収することができ、結果として単糖類の反応収率も高めることができることを見出すとともに、均一系酸触媒としてヘテロポリ酸を用いたりすることや、加水分解反応における均一系酸触媒と水との質量割合を特定の範囲としたり、加水分解反応の反応温度を特定の範囲とすることで、より効率的に多糖類から単糖類への加水分解を効率的に進めることができ、これにより単糖類をより高い反応選択率で生成させることができる製造方法となることも見出した。
更に本発明者等は、触媒を分離する方法の中でも、分子ふるい膜を用いて均一系酸触媒を分離する方法について検討し、分子ふるい膜として有機高分子膜に着目した。有機高分子膜は、多種多様な細孔径のものがあることから、均一系酸触媒含有溶液に含まれる均一系酸触媒の分子サイズ、又は、均一系酸触媒含有溶液に均一系酸触媒以外の溶質が含まれている場合には、均一系酸触媒と均一系酸触媒以外の溶質との分子サイズに応じて適切な有機高分子膜を選択して使用することで、均一系酸触媒の回収率を高めることができるだけでなく、分離膜として無機膜を用いる場合と異なり、大容量の多孔質支持体を必要としないために、多孔質支持体への触媒の吸着に起因する触媒回収率のロスを免れることができることを見出した。また、25℃、0.1MPaにおける純水の透過速度が1g/min/m2以上である有機高分子膜を用いることによって、溶媒の透過速度が充分なものとなり、均一系酸触媒含有溶液から均一系酸触媒を高効率に分離することが可能となることも見出した。このような有機高分子膜を用いた膜分離は、均一系酸触媒含有溶液の均一系酸触媒濃度や均一系酸触媒の分子量に関わらずに均一系酸触媒を効率的に分離することができるため、均一系酸触媒濃度の高い溶液から均一系酸触媒を分離する場合や均一系酸触媒含有溶液に含まれる均一系酸触媒が単量体である場合といった、従来の均一系酸触媒分離方法では高効率な均一系酸触媒の分離回収が実現出来なかった場合において、特に有効であることを見出した。更に、均一系酸触媒含有溶液に均一系酸触媒以外の溶質が含まれる場合であって、該均一系酸触媒以外の溶質が有機物である場合には、有機高分子膜は該有機物と高い親和性を示すために、均一系酸触媒含有溶液を液状のままろ過することによって、容易に均一系酸触媒を分離することが可能であることも見出した。このような有機高分子膜を用いると、均一系酸触媒含有溶液から均一系酸触媒とその他の成分とを分離するに当たり、溶液中の成分の相変化を行うことなく、均一系酸触媒を高い透過阻止率で阻止するとともに、その他の成分を高い透過率で透過させることができ、効率的な分離が低エネルギーコストで可能となることを見出し、上記課題をみごとに解決できることに想到し、本発明に到達したものである。
本発明の単糖類の製造方法は、均一系触媒を含有する加水分解反応後の溶液という特定対象に対して特定の処理を行って均一系酸触媒を分離するという点で共通の技術思想を有する製造方法である。
更に本発明者等は、触媒を分離する方法の中でも、分子ふるい膜を用いて均一系酸触媒を分離する方法について検討し、分子ふるい膜として有機高分子膜に着目した。有機高分子膜は、多種多様な細孔径のものがあることから、均一系酸触媒含有溶液に含まれる均一系酸触媒の分子サイズ、又は、均一系酸触媒含有溶液に均一系酸触媒以外の溶質が含まれている場合には、均一系酸触媒と均一系酸触媒以外の溶質との分子サイズに応じて適切な有機高分子膜を選択して使用することで、均一系酸触媒の回収率を高めることができるだけでなく、分離膜として無機膜を用いる場合と異なり、大容量の多孔質支持体を必要としないために、多孔質支持体への触媒の吸着に起因する触媒回収率のロスを免れることができることを見出した。また、25℃、0.1MPaにおける純水の透過速度が1g/min/m2以上である有機高分子膜を用いることによって、溶媒の透過速度が充分なものとなり、均一系酸触媒含有溶液から均一系酸触媒を高効率に分離することが可能となることも見出した。このような有機高分子膜を用いた膜分離は、均一系酸触媒含有溶液の均一系酸触媒濃度や均一系酸触媒の分子量に関わらずに均一系酸触媒を効率的に分離することができるため、均一系酸触媒濃度の高い溶液から均一系酸触媒を分離する場合や均一系酸触媒含有溶液に含まれる均一系酸触媒が単量体である場合といった、従来の均一系酸触媒分離方法では高効率な均一系酸触媒の分離回収が実現出来なかった場合において、特に有効であることを見出した。更に、均一系酸触媒含有溶液に均一系酸触媒以外の溶質が含まれる場合であって、該均一系酸触媒以外の溶質が有機物である場合には、有機高分子膜は該有機物と高い親和性を示すために、均一系酸触媒含有溶液を液状のままろ過することによって、容易に均一系酸触媒を分離することが可能であることも見出した。このような有機高分子膜を用いると、均一系酸触媒含有溶液から均一系酸触媒とその他の成分とを分離するに当たり、溶液中の成分の相変化を行うことなく、均一系酸触媒を高い透過阻止率で阻止するとともに、その他の成分を高い透過率で透過させることができ、効率的な分離が低エネルギーコストで可能となることを見出し、上記課題をみごとに解決できることに想到し、本発明に到達したものである。
本発明の単糖類の製造方法は、均一系触媒を含有する加水分解反応後の溶液という特定対象に対して特定の処理を行って均一系酸触媒を分離するという点で共通の技術思想を有する製造方法である。
すなわち本発明の1つは、下記(1)を必須として構成される単糖類の製造方法であり、本発明のもう1つは、下記(13)を必須として構成される均一系酸触媒の分離方法である。本発明の好ましい形態は、下記(2)〜(12)、及び(14)、(15)のいずれか又はそれらの組み合わせによって構成されることになる。その他の好ましい形態については後述する。
(1)均一系酸触媒を用いて多糖類を加水分解し、単糖類を製造する方法であって、上記単糖類の製造方法は、分子量200以上の均一系酸触媒を用いて多糖類を加水分解して単糖類を生成する加水分解工程と、加水分解後における均一系酸触媒の分離工程とを含み、上記分離工程は、下記(A)〜(C)からなる群より選択される少なくとも1つを含む工程であることを特徴とする単糖類の製造方法。
(A)加水分解工程後の均一系酸触媒含有溶液に対して、分子ふるい膜を用いた均一系酸触媒の膜分離処理を施して均一系酸触媒を分離する工程。
(B)加水分解工程後の固液分離によって分離された加水分解反応残渣に対して、有機物の熱分解処理を施して均一系酸触媒を分離する工程。
(C)加水分解工程後の固液分離によって分離された加水分解反応残渣に対して、アルカリ性溶液又は有機溶媒含有溶液を用いた均一系酸触媒の溶出処理を施して均一系酸触媒を分離する工程。
(1)均一系酸触媒を用いて多糖類を加水分解し、単糖類を製造する方法であって、上記単糖類の製造方法は、分子量200以上の均一系酸触媒を用いて多糖類を加水分解して単糖類を生成する加水分解工程と、加水分解後における均一系酸触媒の分離工程とを含み、上記分離工程は、下記(A)〜(C)からなる群より選択される少なくとも1つを含む工程であることを特徴とする単糖類の製造方法。
(A)加水分解工程後の均一系酸触媒含有溶液に対して、分子ふるい膜を用いた均一系酸触媒の膜分離処理を施して均一系酸触媒を分離する工程。
(B)加水分解工程後の固液分離によって分離された加水分解反応残渣に対して、有機物の熱分解処理を施して均一系酸触媒を分離する工程。
(C)加水分解工程後の固液分離によって分離された加水分解反応残渣に対して、アルカリ性溶液又は有機溶媒含有溶液を用いた均一系酸触媒の溶出処理を施して均一系酸触媒を分離する工程。
(2)前記加水分解工程は、加水分解反応の際に、均一系酸触媒と反応系中に存在する水との質量割合が0.1:99.9〜50:50の範囲にて加水分解を行う工程である前記(1)に記載の単糖類の製造方法。
(3)前記均一系酸触媒は、スルホン酸基を有する有機化合物、及び/又は、ヘテロポリ酸を含むことを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の単糖類の製造方法。
(4)前記均一系酸触媒は、ヘテロポリ酸を含むことを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の単糖類の製造方法。
(5)前記単糖類の製造方法は、分離工程によって分離した均一系酸触媒を回収し、リサイクルするリサイクル工程を含むことを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載の単糖類の製造方法。
(6)前記単糖類の製造方法は、分離工程の後に、直ちにリサイクル工程を行うことを特徴とする前記(5)に記載の単糖類の製造方法。
(7)前記加水分解工程は、加水分解を100℃以上の反応温度で行うことを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれかに記載の単糖類の製造方法。
(8)前記多糖類は、脱塩工程、脱リグニン工程及び脱ヘミセルロース工程のうち、少なくとも1つを含む前処理工程を経て得られた多糖類であることを特徴とする前記(1)〜(7)のいずれかに記載の単糖類の製造方法。
(9)前記膜分離処理を施して均一系酸触媒を分離する工程において用いる分子ふるい膜は、有機高分子膜を用いた分子ふるい膜であり、該有機高分子膜の25℃、0.1MPaにおける純水の透過速度が1g/min/m2以上であることを特徴とする前記(1)〜(8)のいずれかに記載の単糖類の製造方法。
(10)前記有機高分子膜は、ナノろ過膜又は限外ろ過膜であることを特徴とする前記(1)〜(9)のいずれかに記載の単糖類の製造方法。
(11)前記有機高分子膜は、カチオン交換基を有する高分子膜であることを特徴とする前記(1)〜(10)のいずれかに記載の単糖類の製造方法。
(12)前記有機高分子膜は、スルホン酸基を有する高分子膜であることを特徴とする前記(11)に記載の単糖類の製造方法。
(13)均一系酸触媒含有溶液から均一系酸触媒を分離する方法であって、上記分離方法は、分子ふるい膜を用いた均一系触媒の膜分離処理を施して均一系触媒を分離する工程を含み、上記分子ふるい膜は、有機高分子膜を用いた分子ふるい膜であり、上記有機高分子膜の25℃、0.1MPaにおける純水の透過速度が1g/min/m2以上であることを特徴とする均一系酸触媒の分離方法。
(14)前記有機高分子膜は、ナノろ過膜又は限外ろ過膜であることを特徴とする前記(13)に記載の均一系酸触媒の分離方法。
(15)前記有機高分子膜は、カチオン交換基を有する高分子膜であることを特徴とする前記(13)又は(14)のいずれかに記載の均一系酸触媒の分離方法。
以下に本発明を詳述する。
以下に本発明を詳述する。
本発明の単糖類の製造方法は、分子量200以上の均一系酸触媒を用いて多糖類を加水分解して単糖類を生成する加水分解工程と、加水分解後における均一系酸触媒の分離工程とを含むものである。
本発明の単糖類の製造方法は、リグノセルロース等のバイオマスから単糖類であるグルコースを製造するために用いることができる。バイオマスから単糖類を製造するプロセスフローの一例を示すと、次のようである。まず、原料バイオマスに粉砕、熱水処理等の前処理を行い、均一系酸触媒を添加して糖化(加水分解)を行う。これによって得られた単糖類と均一系酸触媒とを含む糖化液から、均一系酸触媒を分離して、生成物である単糖類を得るとともに、均一系酸触媒の回収を行う。均一系酸触媒を分離する方法としては、単糖類と均一系酸触媒とを含む糖化液に対して、分子ふるい膜を用いた膜分離処理を行う方法がある。また、単糖類と均一系酸触媒とを含む糖化液を固液分離処理して反応残渣と反応液とに分離し、反応残渣に対して有機物の熱分解処理を施す方法、又は、反応残渣にアルカリ性溶液又は有機溶媒含有溶液を用いた均一系酸触媒の溶出処理を施す方法がある。固液分離を行う場合、反応残渣と分離された反応液に対して、分子ふるい膜を用いた膜分離処理を行うことにより、反応液中に残存する均一系酸触媒を更に分離回収することができる。
また、単糖類と均一系酸触媒とを含む糖化液に対して、分子ふるい膜を用いた膜分離処理を行い、得られた単糖類を分離した後の均一系酸触媒を含む溶液に対して、有機物の熱分解処理を施す、又は、反応残渣にアルカリ性溶液又は有機溶媒含有溶液を用いた均一系酸触媒の溶出処理を施すこととしてもよい。
バイオマスから単糖類を製造するプロセスフローの一例を図1に示す。
以下においては、まず、本発明の単糖類の製造方法の均一系酸触媒の分離工程について説明し、次に、多糖類を加水分解して単糖類を生成する加水分解工程や、反応原料である多糖類や生成物である単糖類、原料である多糖類の前処理等について説明する。その後に、本発明の均一系酸触媒の分離方法について説明する。
本発明の単糖類の製造方法は、リグノセルロース等のバイオマスから単糖類であるグルコースを製造するために用いることができる。バイオマスから単糖類を製造するプロセスフローの一例を示すと、次のようである。まず、原料バイオマスに粉砕、熱水処理等の前処理を行い、均一系酸触媒を添加して糖化(加水分解)を行う。これによって得られた単糖類と均一系酸触媒とを含む糖化液から、均一系酸触媒を分離して、生成物である単糖類を得るとともに、均一系酸触媒の回収を行う。均一系酸触媒を分離する方法としては、単糖類と均一系酸触媒とを含む糖化液に対して、分子ふるい膜を用いた膜分離処理を行う方法がある。また、単糖類と均一系酸触媒とを含む糖化液を固液分離処理して反応残渣と反応液とに分離し、反応残渣に対して有機物の熱分解処理を施す方法、又は、反応残渣にアルカリ性溶液又は有機溶媒含有溶液を用いた均一系酸触媒の溶出処理を施す方法がある。固液分離を行う場合、反応残渣と分離された反応液に対して、分子ふるい膜を用いた膜分離処理を行うことにより、反応液中に残存する均一系酸触媒を更に分離回収することができる。
また、単糖類と均一系酸触媒とを含む糖化液に対して、分子ふるい膜を用いた膜分離処理を行い、得られた単糖類を分離した後の均一系酸触媒を含む溶液に対して、有機物の熱分解処理を施す、又は、反応残渣にアルカリ性溶液又は有機溶媒含有溶液を用いた均一系酸触媒の溶出処理を施すこととしてもよい。
バイオマスから単糖類を製造するプロセスフローの一例を図1に示す。
以下においては、まず、本発明の単糖類の製造方法の均一系酸触媒の分離工程について説明し、次に、多糖類を加水分解して単糖類を生成する加水分解工程や、反応原料である多糖類や生成物である単糖類、原料である多糖類の前処理等について説明する。その後に、本発明の均一系酸触媒の分離方法について説明する。
本発明の単糖類の製造方法は、均一系酸触媒を用いて多糖類を加水分解して単糖類を生成する加水分解工程と、加水分解後における均一系酸触媒の分離工程とを含むものであるが、これらは、いずれも1度行ってもよく、2度以上行ってもよい。また、これらの工程を含む限り、その他の工程を含んでいてもよい。
加水分解後における均一系酸触媒の分離工程は、(A)加水分解工程後の均一系酸触媒含有溶液に対して、分子ふるい膜を用いた均一系酸触媒の膜分離処理を施して均一系酸触媒を分離する工程、(B)加水分解工程後の固液分離によって分離された加水分解反応残渣に対して、有機物の熱分解処理を施して均一系酸触媒を分離する工程、及び、(C)加水分解工程後の固液分離によって分離された加水分解反応残渣に対して、アルカリ性溶液又は有機溶媒含有溶液を用いた均一系酸触媒の溶出処理を施して均一系酸触媒を分離する工程、からなる群より選択される少なくとも1つを含むものであるが、これらの2つ以上を含むものであってもよい。均一系酸触媒の分離効率をより高めるためには、(A)〜(C)のうち2つ以上を含むことが好ましい。より好ましくは、(A)と(B)とを含むことである。
加水分解後における均一系酸触媒の分離工程は、(A)加水分解工程後の均一系酸触媒含有溶液に対して、分子ふるい膜を用いた均一系酸触媒の膜分離処理を施して均一系酸触媒を分離する工程、(B)加水分解工程後の固液分離によって分離された加水分解反応残渣に対して、有機物の熱分解処理を施して均一系酸触媒を分離する工程、及び、(C)加水分解工程後の固液分離によって分離された加水分解反応残渣に対して、アルカリ性溶液又は有機溶媒含有溶液を用いた均一系酸触媒の溶出処理を施して均一系酸触媒を分離する工程、からなる群より選択される少なくとも1つを含むものであるが、これらの2つ以上を含むものであってもよい。均一系酸触媒の分離効率をより高めるためには、(A)〜(C)のうち2つ以上を含むことが好ましい。より好ましくは、(A)と(B)とを含むことである。
上記(B)及び(C)の工程は、固液分離によって分離された加水分解反応残渣から均一系酸触媒を分離するものであるため、(B)及び(C)の工程を行う場合、固液分離は必須の工程となるが、(A)の工程は、均一系酸触媒含有溶液から均一系酸触媒を分離するものであり、固液分離は必須ではない。したがって、本発明の単糖類の製造方法において、固液分離工程は必須の工程ではないが、単糖類、及び、均一系酸触媒の回収率を高めるために、固液分離工程を行うことが好ましい。
固液分離の方法としては、特に制限されず、加圧ろ過(フィルタープレス等)、吸引ろ過、圧搾分離(スクリュープレス等)、遠心分離、沈降分離(デカンテーション等)等を用いることができる。これらの中でも、処理速度の点から、加圧ろ過、及び、圧搾分離が好ましい。
固液分離の方法としては、特に制限されず、加圧ろ過(フィルタープレス等)、吸引ろ過、圧搾分離(スクリュープレス等)、遠心分離、沈降分離(デカンテーション等)等を用いることができる。これらの中でも、処理速度の点から、加圧ろ過、及び、圧搾分離が好ましい。
上記固液分離の工程においては、ろ過等により、固液分離を行って得られた反応残渣を更に水で洗浄することが好ましい。これにより、反応残渣中に残留する単糖類を洗浄に用いた水中に回収することができ、単糖類の収率を高めることができる。
上記反応残渣には、未分解の多糖類等の有機物と触媒等が含まれている。上記(B)の工程では、有機物の熱分解処理を施して均一系酸触媒を分離することになる。
熱分解処理の温度は、300〜2000℃であることが好ましい。300℃より低いと、有機物を充分に分解して除去できないおそれがある。2000℃より高いと、触媒が分解するおそれがある。より好ましくは、350〜1000℃であり、更に好ましくは、400〜600℃である。
また、熱分解処理の時間は、反応残渣の量に応じて適宜設定すればよいが、1〜1000分であることが好ましい。1分より短いと、有機物を充分に除去できないおそれがある。1000分より長いと、分離工程の効率が低下する。より好ましくは、5〜500分であり、更に好ましくは、10〜200分である。
熱分解処理の温度は、300〜2000℃であることが好ましい。300℃より低いと、有機物を充分に分解して除去できないおそれがある。2000℃より高いと、触媒が分解するおそれがある。より好ましくは、350〜1000℃であり、更に好ましくは、400〜600℃である。
また、熱分解処理の時間は、反応残渣の量に応じて適宜設定すればよいが、1〜1000分であることが好ましい。1分より短いと、有機物を充分に除去できないおそれがある。1000分より長いと、分離工程の効率が低下する。より好ましくは、5〜500分であり、更に好ましくは、10〜200分である。
上記(C)の工程は、固液分離によって分離された反応残渣に対して、アルカリ性溶液又は有機溶媒含有溶液を加え、均一系酸触媒を溶出させる工程である。アルカリ性溶液又は有機溶媒含有溶液は、いずれか1種を用いてもよく、アルカリ性溶液と有機溶媒含有溶液とを混合して用いてもよい。
上記均一系酸触媒を溶出させる工程に用いる溶液としては、アルカリ性溶液、有機溶媒含有溶液のいずれを用いてもよいが、有機溶媒含有溶液を用いることが好ましい。有機溶媒含有溶液を用いると、酸触媒を中和せずにそのままの形で分離することができる。アルカリ性溶液を用いる場合には、酸触媒は中和されるが、高い回収率で触媒を分離することができる。
上記均一系酸触媒を溶出させる場合、用いる溶液の量としては、反応残渣100質量%(固形分)に対して10〜10000質量%であることが好ましい。溶液が10質量%より少ないと、触媒を充分に溶出させることができないおそれがある。溶液が10000質量%より多いと、触媒濃度が極端に低下する。より好ましくは、50〜1000質量%であり、更に好ましくは、100〜500質量%である。
上記アルカリ性溶液は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ性化合物の1種又は2種以上の溶液を用いることができる。これらの中でも、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウムが好ましい。より好ましくは、水酸化ナトリウムである。
上記有機溶媒含有溶液に用いる有機溶媒としては、アセトン、エタノール、ブタノール、プロパノール、メタノール、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、ヘキサン等の1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、アセトン、エタノール、ブタノール、ジエチルエーテルが好ましい。より好ましくは、アセトンである。
上記アルカリ性溶液は、アルカリ性の溶液であれば、上記アルカリ性化合物以外のその他の成分を含んでいてもよく、その他の成分としては、例えば、水や、有機溶媒が挙げられる。有機溶媒としては、上記のもの等が挙げられる。有機溶媒含有溶液もまた、有機溶媒を含むものである限り、その他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、水が挙げられる。
アルカリ性溶液において、アルカリ性化合物の含有量は、アルカリ性溶液全体を100質量%とすると、0.01〜10質量%であることが好ましく、0.1〜5質量%がより好ましい。
有機溶媒含有溶液において、有機溶媒の含有量は、有機溶媒含有溶液全体を100質量%とすると、10〜100質量%であることが好ましく、30〜80質量%がより好ましい。
アルカリ性溶液において、アルカリ性化合物の含有量は、アルカリ性溶液全体を100質量%とすると、0.01〜10質量%であることが好ましく、0.1〜5質量%がより好ましい。
有機溶媒含有溶液において、有機溶媒の含有量は、有機溶媒含有溶液全体を100質量%とすると、10〜100質量%であることが好ましく、30〜80質量%がより好ましい。
次に、上記(A)の工程、及び、均一系酸触媒について説明する。
本発明における膜分離とは、膜形状を有する分離材(分離膜)を利用して触媒と生成物の単糖類を分離するものである。分離膜はその分離原理に従って分類でき、例えば、分子量差に基づくもの、イオン性の差に基づくもの、親疎水性差に基づくもの等に分類できるが、本発明で使用する分離膜は分子量差に基づくものである。分子量差に基づく分離膜とは言い換えれば、分子ふるい膜であり、本発明で使用する分離膜はすなわち、分子ふるい膜である。分子ふるい膜は多孔性の膜であり、その細孔の大きさに従って化合物を分離する。
本発明における膜分離とは、膜形状を有する分離材(分離膜)を利用して触媒と生成物の単糖類を分離するものである。分離膜はその分離原理に従って分類でき、例えば、分子量差に基づくもの、イオン性の差に基づくもの、親疎水性差に基づくもの等に分類できるが、本発明で使用する分離膜は分子量差に基づくものである。分子量差に基づく分離膜とは言い換えれば、分子ふるい膜であり、本発明で使用する分離膜はすなわち、分子ふるい膜である。分子ふるい膜は多孔性の膜であり、その細孔の大きさに従って化合物を分離する。
分子ふるい膜の性質を表すパラメーターとしては、分画分子量と細孔径が挙げられる。分画分子量は、分離膜が阻止できる最低の分子量を表している。本発明では、分離膜により90%が阻止される分子の分子量を分画分子量とする。また本発明においては、分離膜の分画分子量は分離効率の面で500000以下である。より好ましくは300000以下であり、更に好ましくは、100000以下であり、200〜100000の範囲が最も好ましい。分離膜の細孔径としては、平均で0.01〜1000ナノメーターであることが好ましく、0.05〜500ナノメーターであることがより好ましく、0.1〜100ナノメーターであることがさらに好ましい。
上記分子ふるい膜の種類としては、限外ろ過膜、透析膜、ナノフィルトレーション膜(ナノろ過膜)、逆浸透膜が挙げられ、好ましくは限外ろ過膜、ナノフィルトレーション膜(ナノろ過膜)であり、最も好ましくはナノフィルトレーション膜(ナノろ過膜)である。
前記分子ふるい膜の材質としては、炭素膜、再生セルロース、酢酸セルロース、ニトロセルロース、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、アラミド、ポリイミド、芳香族ポリアミド、親水化ポリアミド、ポリエステル、ポリ酸化エチレン、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリアミノ酸、及び、それらにカチオン交換基を導入したもの等の有機膜、ゼオライト、アルミナ、シリカ、シリカライト、シリコーン等の無機膜が挙げられる。好ましくは酸、熱、圧力に対する安定性が高いものであり、好ましくは炭素膜、再生セルロース膜、酢酸セルロース膜、ポリスルホン膜、ポリエーテルスルホン膜、芳香族ポリアミド膜、親水化ポリアミド膜、ゼオライト膜、アルミナ膜、シリカ膜である。この中でも特に安定性の高い、再生セルロース膜、酢酸セルロース膜、ポリスルホン膜、ポリエーテルスルホン膜、芳香族ポリアミド膜、親水化ポリアミド膜、及び、それらにカチオン交換基を導入したもの等の有機膜が好ましい。
分子ふるい膜の形状としては、管状、袋状、中空糸状、平膜状、スパイラル状等が挙げられ、好ましくは管状、平膜状、中空糸状、スパイラル状である。更に好ましくは、スパイラル状である。膜の厚みとしては、10mm以下が好ましく、1mm以下がより好ましく、0.1mm以下がさらに好ましい。
前記分子ふるい膜として具体的には、以下のものが挙げられる。ポール社製限外ろ過膜:オメガシリーズ、アルファシリーズ、旭化成ケミカルズ社製限外ろ過膜:マイクローザAPシリーズ、マイクローザSPシリーズ、マイクローザAVシリーズ、マイクローザSWシリーズ、マイクローザKCVシリーズ、日東電工社製限外ろ過膜:NTU−2120、RS50、日東電工社製ナノフィルトレーション膜:NTR−7250、NTR−7259、NTR−7410、NTR−7450、日東電工社製逆浸透膜:NTR−70、NTR−759、ES−40、ES−20、ES−15、ES−10、LES90、LF−10、ミリポア社製限外ろ過膜:バイオマックス膜、ウルトラセル膜、ダイセンメンブレン・システムズ社製限外ろ過膜:NADIR UHシリーズ、NADIR UPシリーズ、NADIR USシリーズ、NADIR UCシリーズ、NADIR UVシリーズ、ダイセンメンブレン・システムズ社製ナノフィルトレーション膜:NADIR NP010、NADIR NP030、ダイセンメンブレン・システムズ社製逆浸透膜:NADIR SW、東レ社製ナノフィルトレーション膜:SUシリーズ、東レ社製逆浸透膜:SUシリーズ、SULシリーズ、SCシリーズ、GEウォーター・アンド・プロセス・テクノロジーズ社製限外ろ過膜:Gシリーズ膜、Pシリーズ膜、MWシリーズ膜、GEウォーター・アンド・プロセス・テクノロジーズ社製ナノフィルトレーション膜:DESALシリーズ、日本碍子製の市販のセラミック膜、コーク・メンブレン社製ナノろ過膜:MPTシリーズ、MPSシリーズ。
上記分子ふるい膜の中で好ましくはオメガシリーズ、マイクローザAVシリーズ、マイクローザSWシリーズ、RS50、NTR−7250、NTR−7259、NTR−7410、NTR−7450、バイオマックス膜、NADIR UHシリーズ、NADIR UPシリーズ、NADIR USシリーズ、NADIR UCシリーズ、NADIR UVシリーズ、NADIR NP010、NADIR NP030、SUシリーズ、Gシリーズ膜、Pシリーズ膜、MWシリーズ膜、DESALシリーズ、MPSシリーズ、日本碍子社製セラミック膜であり、より好ましくはNTR−7410、NTR−7450、NADIR NP010、NADIR NP030、Gシリーズ膜、DESALシリーズ、MPSシリーズ、日本碍子製セラミック膜であり、更に好ましくはNTR−7410、NTR−7450、Gシリーズ膜、DESALシリーズ、MPSシリーズである。
本発明において、均一系酸触媒とは均一系の酸触媒であり、反応液に均一に溶解する酸触媒を言う。均一系酸触媒としては、加水分解活性の観点から酸性度の高い方が好ましい。具体的な指標としては、酸触媒を5質量%濃度で水中に溶解させた場合の水溶液pHが、pH4以下を示すものであることが好ましく、pH3以下を示すものであることがより好ましく、pH2以下を示すものであることがさらに好ましい。
上記酸触媒の分子量は200以上である。これは、生成物の単糖の分子量が150〜200程度であるためである。分子量範囲としては、200〜500000が好ましく、300〜300000がより好ましく、300〜100000がさらに好ましい。また、酸触媒の分子量と分子ふるい膜の分画分子量の差が100以上であることが好ましく、1000以上であることがより好ましく、3000以上であることがさらに好ましい。
本発明は、上記均一系酸触媒として分子量200以上のものを使用することを特徴とする単糖類の製造方法でもある。このような触媒を使用することで、触媒分離をより効率的で経済的なものとすることができる。
本発明は、上記均一系酸触媒として分子量200以上のものを使用することを特徴とする単糖類の製造方法でもある。このような触媒を使用することで、触媒分離をより効率的で経済的なものとすることができる。
本発明においては、均一系酸触媒の分子量、分離膜の分画分子量、および単糖分子量の大小関係は、酸触媒の分子量>分離膜の分画分子量>単糖の分子量である。また、均一系酸触媒含有溶液に均一系酸触媒以外の溶質が含まれている場合には、均一系酸触媒の分子量>分離膜の分画分子量>均一系酸触媒以外の溶質の分子量という大小関係であることが好ましい。このような条件で膜分離を実施すると、触媒は膜を透過せずに原液側(濃縮液側)に留まり、均一系酸触媒以外の溶質及び溶媒は膜を透過し透過液側に移動する。濃縮側の触媒は水などの溶媒で希釈されにくく、高い濃度で回収することが可能である。さらに触媒の濃縮が必要な場合は、そのまま膜分離によって低エネルギーで濃縮することができる。従来技術のイオン交換樹脂で回収する方法、イオン交換膜で回収する方法では、硫酸が希釈されて回収されるためその再濃縮に多大なエネルギーを要する、あるいは高い回収率が得られないという課題があった。本発明の膜分離方法では、高い濃度で触媒を回収することができ、かつ回収率も高いことがメリットである。
また、上記酸触媒の加水分解時の濃度としては、均一系酸触媒と反応系中に存在する水との質量割合(酸触媒:水)で50:50が上限値であり、それより低い酸触媒濃度で反応を行うことが好ましい。ここで言う水とは、反応系中に存在する水の総量のことを意味しており、原料が含む水分、及び添加される水等すべてを含む。水を添加、あるいは除くことで水分量を変化させることが可能であるが、ここでは反応開始時の水分量と定義する。
前記触媒と水との質量割合の上限値としてより好ましくは30:70であり、さらに好ましくは20:80である。下限値としては0.1:99.9が好ましく、0.5:99.5がより好ましく、1:99がさらに好ましい。なお、酸触媒濃度が質量割合で50:50とは、質量%で表すと50%となる。本発明では、特に断りの無い限り、%は質量%を表すこととする。
本発明は、上記均一系酸触媒と反応系中に存在する水との質量割合が0.1:99.9〜50:50の範囲において上記加水分解を行うことを特徴とする単糖類の製造方法でもある。
このような条件で加水分解を行うことで、反応、及び触媒リサイクルをより効率的で経済的なものとすることができる。また酸触媒と水との割合を0.1:99.9〜50:50の範囲にすることで、触媒分離、及びリサイクルが容易になる。
このような条件で加水分解を行うことで、反応、及び触媒リサイクルをより効率的で経済的なものとすることができる。また酸触媒と水との割合を0.1:99.9〜50:50の範囲にすることで、触媒分離、及びリサイクルが容易になる。
膜分離のメリットの一つは、比較的高い濃度で触媒を回収できることであるが、本発明者らの検討では、液粘性、膜の目詰まり、腐食等の問題により、膜分離で酸触媒濃度を50%以上の高濃度に濃縮することは実質的に非常に困難であることが分かった。本発明の単糖類の製造方法は、濃硫酸法や特許文献4の方法等と比べて、糖化時の触媒濃度が低いため、触媒リサイクルへの負荷も低い。すなわち、リサイクルする触媒量が少なくて済む、膜分離に要する時間が短い、膜劣化、目詰まりなどの不安が低減するというメリットがある。また触媒濃度が低いことに由来して、膜分離後の触媒液をそのまま、直ちに再利用することも出来るようになる。50%以上の濃度で再利用する濃硫酸法や特許文献4の方法等では、蒸留等による脱水工程が必要となり、本発明の単糖類の製造方法はそのような工程を必ずしも必要としないことも利点である。
一方、上述したように、希硫酸法のように低触媒濃度で糖化を行い、触媒を使い捨てにする方法(希酸法)は、反応選択率が低いという課題があった。これは、触媒の選択率が低いということも原因であるが、触媒を使い捨てにすることも一因といえる。すなわち、触媒を使い捨てにするために、触媒種、および使用条件の選択肢が限られるという問題があった。本発明者らは、希酸法条件でも触媒リサイクルを導入することで、触媒の選択肢を広げ、高い反応選択率を実現可能であることを見出した。すなわち本発明は、比較的低い触媒濃度において、高性能の糖化触媒と、効率的な触媒リサイクル方法を導入したプロセスである。本発明の方法は、優れた反応選択率を実現し、かつ、触媒リサイクルの負荷が低いため、高い経済性を実現できる画期的なものである。
一方、上述したように、希硫酸法のように低触媒濃度で糖化を行い、触媒を使い捨てにする方法(希酸法)は、反応選択率が低いという課題があった。これは、触媒の選択率が低いということも原因であるが、触媒を使い捨てにすることも一因といえる。すなわち、触媒を使い捨てにするために、触媒種、および使用条件の選択肢が限られるという問題があった。本発明者らは、希酸法条件でも触媒リサイクルを導入することで、触媒の選択肢を広げ、高い反応選択率を実現可能であることを見出した。すなわち本発明は、比較的低い触媒濃度において、高性能の糖化触媒と、効率的な触媒リサイクル方法を導入したプロセスである。本発明の方法は、優れた反応選択率を実現し、かつ、触媒リサイクルの負荷が低いため、高い経済性を実現できる画期的なものである。
前記酸触媒の具体的な化合物としては、スルホン酸基を有する有機化合物類、カルボン酸基を有する有機化合物類、ホモポリ酸、ヘテロポリ酸等のポリ酸類が挙げられ、好ましくは高い酸強度を有するスルホン酸基を有する有機化合物類、及び、ヘテロポリ酸である。すなわち、本発明の均一系酸触媒は、スルホン酸基を有する有機化合物、及び/又は、ヘテロポリ酸を含むことが好ましい。スルホン酸含有化合物は種々の分子量のものが入手可能であり、またヘテロポリ酸は分子量が均一であるという利点がある。すなわち、均一系酸触媒が、スルホン酸基を有する有機化合物、及び/又は、ヘテロポリ酸を含むことは、本発明の好ましい実施形態の1つである。
前記スルホン酸基を有する有機化合物とは、分子中に少なくとも一つのスルホン酸基を有する有機化合物のことである。具体的には、ナフタレンスルホン酸、ピレンスルホン酸、リグニンスルホン酸等が挙げられ、スルホン酸基は1個又は複数個有していてもよく、また、スルホン酸基以外の置換基を有していてもよい。また、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、スルホマレイン酸、アリロキシ−ヒドロキシ−プロパンスルホン酸等のスルホン酸基含有モノマー類を重合、あるいはアクリル酸、マレイン酸等のモノマー類と共重合させて得られるポリマー類も挙げられる。または、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール等のポリマーをスルホン化して得られるポリマー類も挙げられる。この中で好ましくは、リグニンスルホン酸、及び、各種スルホン酸基含有ポリマーであり、さらに好ましくは各種スルホン酸基含有ポリマーである。スルホン酸基含有ポリマーとして好ましくは、ビニルスルホン酸、及びスチレンスルホン酸を重合させて得られるポリマー、ビニルスルホン酸、及びスチレンスルホン酸をアクリル酸、マレイン酸と共重合させて得られるポリマーである。
上記スルホン酸基を有する有機化合物は、1種類で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記スルホン酸基を有する有機化合物は、1種類で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記ヘテロポリ酸としては、ケギン型リンタングステン酸(H3PW12O40)、ドーソン型リンタングステン酸(H6P2W18O62)等のリンタングステン酸、ケギン型ケイタングステン酸(H4SiW12O40)等のケイタングステン酸、ケギン型ホウタングステン酸(H5BW12O40)等のホウタングステン酸、リンモリブデン酸、ケイモリブデン酸、リンバナドタングステン酸、ケイバナドタングステン酸、リンバナドモリブデン酸、ケイバナドタングステン酸、金属置換型ヘテロポリ酸等が挙げられる。各種反応における触媒活性の観点から、この中でも、リンタングステン酸、ケイタングステン酸、ホウタングステン酸、リンモリブデン酸、ケイモリブデン酸が好ましく、リンタングステン酸、ケイタングステン酸がより好ましく、リンタングステン酸がさらに好ましい。
また、プロトンの一部がカチオン種で置換された塩構造になっていてもよい。その場合、カチオン種は特に制限されず、例えば、ナトリウム、マグネシウム、アンモニウム等が挙げられる。
上記ヘテロポリ酸及びそれらの塩は1種類で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、プロトンの一部がカチオン種で置換された塩構造になっていてもよい。その場合、カチオン種は特に制限されず、例えば、ナトリウム、マグネシウム、アンモニウム等が挙げられる。
上記ヘテロポリ酸及びそれらの塩は1種類で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明者らは、50%以下の低触媒濃度における多糖類の加水分解反応において、ヘテロポリ酸類が硫酸など他の触媒と比べて特異的に高い選択率を示すことを見出した。とりわけリンタングステン酸が高選択率を示すことが分かった。また、低触媒濃度での糖化反応と、本発明で開示する3つの触媒分離方法とを組み合わせることで、ヘテロポリ酸等の高価な触媒を使用する場合でも現実的なプロセスとなることを見出した。すなわち、50%以下の触媒液を使用することで、触媒分離における負荷が軽減され、かつ、触媒ロスによるコストアップも低減されるという大きなメリットが得られる。
これらの酸触媒は1種類で用いても、複数を併用しても良い。またプロトンの一部がナトリウム、マグネシウム、アンモニウム等のカチオンで置換された塩構造になっていても良い。
これらの酸触媒は1種類で用いても、複数を併用しても良い。またプロトンの一部がナトリウム、マグネシウム、アンモニウム等のカチオンで置換された塩構造になっていても良い。
以下においては、本発明の単糖類の製造方法に用いる反応原料である多糖類や生成物である単糖類、原料である多糖類の前処理や、多糖類から単糖類を生成させる加水分解工程等について説明する。
本発明の単糖類の製造方法に用いる多糖類としては、リグノセルロース、セルロース、及び、キシラン、アラビナン、マンナン、ガラクタン等のヘミセルロース類、キチン、キトサン、アガロース、アルギン酸、カラギーナン、β−グルカン、及び、デンプン等が挙げられ、好ましくはリグノセルロース、セルロース、ヘミセルロース類であり、より好ましくはリグノセルロース、セルロースである。リグノセルロースとは、リグニンを含んだセルロース質、及びヘミセルロース質のことであり、植物に多量に存在するバイオマスである。
本発明の単糖類の製造方法に用いる多糖類としては、リグノセルロース、セルロース、及び、キシラン、アラビナン、マンナン、ガラクタン等のヘミセルロース類、キチン、キトサン、アガロース、アルギン酸、カラギーナン、β−グルカン、及び、デンプン等が挙げられ、好ましくはリグノセルロース、セルロース、ヘミセルロース類であり、より好ましくはリグノセルロース、セルロースである。リグノセルロースとは、リグニンを含んだセルロース質、及びヘミセルロース質のことであり、植物に多量に存在するバイオマスである。
上記多糖類の由来としては、針葉樹、広葉樹、草本類、ヤシ類、藻類、海藻類等の植物、微生物由来のバイオマスが好ましい。具体的には、針葉樹、広葉樹由来の廃木材、又は古紙、サトウキビ(バガス、葉)、トウモロコシ(芯、葉)、稲藁、麦藁、スウィッチグラス、アブラヤシ(幹、葉、空果房、実の絞りかす)、藻類(細胞壁、細胞内固形分)、海藻類(細胞壁、細胞内固形分)等のバイオマスが好ましく、より好ましくはアブラヤシ等、ヤシ類の幹、葉、空果房、実の絞りかす、及び藻類の細胞壁、細胞内固形分であり、さらに好ましくはヤシ類の空果房、及び藻類の細胞壁、細胞内固形分である。ヤシ類の空果房は多量に廃棄されているため入手しやすく、藻類はリグニンを含まないため分解しやすいというメリットがある。多糖類は粉砕、乾燥などの前処理を行い、反応に使用してもよい。
上記原料多糖中に存在する塩類、リグニン、又は、ヘミセルロースは、前処理工程で取り除いてから用いることが好ましい。このような塩類、リグニン、又は、ヘミセルロースを取り除く工程をそれぞれ脱塩工程、脱リグニン工程及び脱ヘミセルロース工程と定義する。本発明は、前記多糖類として、脱塩工程、脱リグニン工程、及び、脱ヘミセルロース工程のうち、少なくとも1つを含む前処理工程を経て得られた多糖類であることを特徴とする単糖類の製造方法でもある。リグノセルロース等の天然のバイオマスは一般に多様な塩類を含んでおり、これらの塩類が酸触媒と混合されると塩交換を起こす。塩交換は、触媒種の変化、酸強度の低下等をもたらすため、可能な限り取り除くことが好ましい。
本発明者らは、特にヘテロポリ酸をバイオマス糖化の触媒として用いる場合は、塩交換により触媒が不溶化し、極端に活性が低下したり、触媒損失の原因となることを見出した。これは、カリウム、カルシウム、アンモニウムイオン等で置換されるためと思われる。このような析出を回避するためにも脱塩工程を経た多糖類を使用することが好ましい。
また、リグニンは、均一系酸触媒を吸着する場合があるため、反応原料中にリグニンが存在すると、糖収率が低下したり、触媒の回収率が低下する原因となる。加水分解反応前の脱リグニン工程でリグニンを除去することで、加水分解時の糖収率を向上させ、加水分解後の触媒の回収率を高めることができる。
また、リグニンは低分子化して発酵阻害の原因となることがある。リグニンを除去することで発酵阻害を回避することができる。
また、リグノセルロース等のバイオマスが含有するヘミセルロースは、結晶性セルロースよりも低い温度で分解する。したがって、セルロースの分解を目的として本発明を実施する場合においては、原料多糖中にヘミセルロースが存在すると、過分解によりフルフラール等の副生成物が生成する。これは、ヘミセルロース由来の単糖類の収率低下、及び、フルフラール等による発酵阻害の原因となるため、ヘミセルロースは予め取り除くことが好ましい。
また、リグニンは低分子化して発酵阻害の原因となることがある。リグニンを除去することで発酵阻害を回避することができる。
また、リグノセルロース等のバイオマスが含有するヘミセルロースは、結晶性セルロースよりも低い温度で分解する。したがって、セルロースの分解を目的として本発明を実施する場合においては、原料多糖中にヘミセルロースが存在すると、過分解によりフルフラール等の副生成物が生成する。これは、ヘミセルロース由来の単糖類の収率低下、及び、フルフラール等による発酵阻害の原因となるため、ヘミセルロースは予め取り除くことが好ましい。
上記脱塩工程としては、水等の溶媒で溶出させ除去する方法、溶媒にさらに酸又はアルカリを添加して酸分解又はアルカリ分解を伴いながら溶出させ除去する方法等が挙げられる。加熱によって溶出を促進させてもよい。好ましくは、熱水中で溶出させ除去する方法、酸又はアルカリを添加した熱水中で溶出させ除去する方法である。これらの方法は、1つを行ってもよく、2つ以上を組み合わせて行ってもよい。
上記脱塩工程で用いる酸としては、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸、ポリ酸、炭酸等の鉱酸類、酢酸、スルホン酸等の有機酸等が好ましく、アルカリとしては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、アンモニア等が好ましい。この中でも硫酸、炭酸、塩酸、水酸化ナトリウム、アンモニアがより好ましく、硫酸及び水酸化ナトリウムがさらに好ましい。
上記脱塩工程においては、原料多糖類に溶媒を添加した後、10〜200℃の温度で塩を溶出させることが好ましい。このような温度で処理することで、塩を充分に溶出させることができる。より好ましくは、20〜150℃であり、更に好ましくは、50〜120℃である。
また、塩を溶出させる処理の時間は、0.01〜10時間であることが好ましい。より好ましくは、0.05〜3時間であり、更に好ましくは、0.1〜1時間である。
また、塩を溶出させる処理の時間は、0.01〜10時間であることが好ましい。より好ましくは、0.05〜3時間であり、更に好ましくは、0.1〜1時間である。
上記脱塩工程では、脱塩工程前に原料中に存在する塩類のうち、50%以上を取り除くことが好ましく、80%以上を取り除くことがより好ましく、90%以上を取り除くことが更に好ましい。塩類の含有量は、灰分量測定、蛍光X線測定、イオンクロマト法、ICP(誘導結合プラズマ)発光分析法等により求めることができる。
上記脱リグニン工程としては、アルカリ性水溶液で溶出させ除去する方法、有機溶媒を含有する溶液で溶出させ除去する方法が好ましい。有機溶媒には、酸又はアルカリを添加して用いてもよい。酸又はアルカリを添加することで、リグニンの分解を促進することができる。また加熱によって溶出、分解を促進させてもよい。
上記脱リグニン工程で用いる酸又はアルカリとしては、上記脱塩工程で用いるものと同様のものを用いることができる。上記脱リグニン工程で用いる有機溶媒としては、アセトン、エタノール、ブタノール、メタノール、プロパノール、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、ヘキサン、トルエン等を用いることができ、これらの中でも、アセトン、エタノール、ブタノールが好ましく、アセトンが更に好ましい。
上記脱リグニン工程においては、原料多糖類中に溶液を添加した後、10〜200℃の温度で処理することが好ましい。このような温度で処理することで、リグニンを充分に溶出させることができる。より好ましくは、50〜180℃であり、更に好ましくは、80〜150℃である。また処理時間としては、0.01〜10時間であることが好ましく、より好ましくは、0.05〜5時間であり、更に好ましくは、0.1〜2時間である。
上記脱リグニン工程では、脱リグニン工程前に原料中に存在するリグニンのうち、50%以上を取り除くことが好ましく、80%以上を取り除くことがより好ましく、90%以上を取り除くことが更に好ましい。リグニンの含有量は、例えば、分析化学便覧第4版(1991年、丸善)に記載の方法によって求めることができる。
上記脱ヘミセルロース工程としては、上記脱塩工程と同様の方法で行うことができるが、脱塩工程よりも厳しい条件が必要である。すなわち、処理温度は、50〜250℃が好ましく、100〜200℃がより好ましく、120〜180℃が更に好ましい。また、処理時間としては、0.01〜10時間であることが好ましく、より好ましくは、0.05〜5時間であり、更に好ましくは、0.1〜2時間である。
上記脱ヘミセルロース工程では、脱ヘミセルロース工程前に原料中に存在するヘミセルロースのうち、50%以上を取り除くことが好ましく、80%以上を取り除くことがより好ましく、90%以上を取り除くことが更に好ましい。ヘミセルロースの含有量は、例えば、分析化学便覧第4版(1991年、丸善)に記載の方法によって求めることができる。
上記脱塩工程、脱リグニン工程、及び、脱ヘミセルロース工程は、別々に行ってもよく、同時に行ってもよい。
上記前処理工程として好ましくは、脱塩工程を含むもの、あるいは、脱へミセルロース工程を含むものであり、より好ましくは、脱塩工程及び脱へミセルロース工程を含むもの、脱へミセルロース工程及び脱リグニン工程を含むものであり、さらに好ましくは、脱塩工程及び脱へミセルロース工程を含むものである。
上記脱塩工程、脱リグニン工程、及び、脱ヘミセルロース工程は、別々に行ってもよく、同時に行ってもよい。
上記前処理工程として好ましくは、脱塩工程を含むもの、あるいは、脱へミセルロース工程を含むものであり、より好ましくは、脱塩工程及び脱へミセルロース工程を含むもの、脱へミセルロース工程及び脱リグニン工程を含むものであり、さらに好ましくは、脱塩工程及び脱へミセルロース工程を含むものである。
本発明の単糖類の製造方法における単糖類としては、前記多糖類を加水分解して得られるものであり、具体的にはグルコース、キシロース、アラビノース、マンノース、ガラクトース、ウロン酸、グルコサミン等が挙げられる。好ましくはグルコース、キシロースである。
上記単糖類の用途としては、発酵原料、化学反応原料、肥料、飼料としての利用が挙げられ、好ましくは発酵原料である。発酵原料用途としては、単糖類はエタノール、ブタノール、1,3−プロパンジオール等のアルコール類、酢酸、乳酸、イタコン酸、リンゴ酸、クエン酸、アクリル酸、3−ヒドロキシプロピオン酸等の有機酸類、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジン等の各種アミノ酸等への変換に利用することが出来る。この中で好ましくは、エタノール、ブタノール、及びアクリル酸、3−ヒドロキシプロピオン酸製造への利用である。
本発明の単糖類の製造方法の加水分解工程における多糖類の加水分解方法としては、上記酸触媒と多糖類とを水の存在下に接触させるものであればよく、好ましくは酸触媒の水溶液と多糖類とを混合し反応させるものである。反応器形式はバッチ反応器、連続反応器、半連続反応器等が挙げられ、好ましくは連続反応器である。反応の際に有機溶媒を混合しても良い。有機溶媒としてはエタノール、ブタノール、アセトン等が挙げられる。
上記加水分解の際の前記酸触媒濃度としては上述した通りであるが、上記の質量割合を全体(酸触媒+水)に対する質量%として言い換えれば、以下のようになる。酸触媒濃度の好ましい上限値は50%であり、30%がより好ましく、20%がさらに好ましい。酸触媒濃度の好ましい下限値は、0.1%であり、0.5%がより好ましく、1%がさらに好ましい。逆に水濃度の好ましい上限値は99.9%であり、99.5%がより好ましく、99%がさらに好ましい。水濃度の好ましい下限値は50%であり、70%がより好ましく、80%がさらに好ましい。
また、上記原料多糖類の濃度としては、反応物総量に対する原料多糖類の質量%として、上限値は70%が好ましく、60%がより好ましく、50%がさらに好ましい。下限値としては、1%が好ましく、5%がより好ましく、10%がさらに好ましい。ここで反応物総量とは、原料多糖類、酸触媒、水、その他溶媒等、すべてを含む質量である。原料多糖類の質量は乾燥体質量を意味する。
上記加水分解の反応温度としては、下限値が20℃であることが好ましく、100℃がより好ましく、150℃がさらに好ましい。反応温度の上限値としては、300℃が好ましく、270℃がより好ましく、250℃がさらに好ましい。本発明は、前記加水分解を100℃以上の反応温度で行うことを特徴とする単糖類の製造方法でもある。本発明者らは、100℃以上の反応温度とすることで、低濃度の触媒でも十分に高い反応速度を得ることができ、現実的なプロセスとなることを見出した。また、反応温度を高めることで高い反応速度だけでなく、単糖類の選択率が向上することを見出した。これは特に、ヘテロポリ酸を用いたバイオマスの加水分解反応において顕著である。
さらに、本発明者らは反応温度を高めることで、膜分離工程においてもメリットが得られることを見出した。すなわち、反応温度を高めるとフルフラールやギ酸等の反応性副生成物の生成が抑えられる。これらの反応性化合物は分離膜と反応して膜劣化を早めたり、あるいは重合して高分子化合物を形成し膜の目詰まりを起こしたり、触媒と分離不可能になる等の問題を引き起こす。従って反応温度を高めることは、膜の長寿命化、膜分離の安定運転にもつながることになる。
上記加水分解の反応圧力としては、下限値が0.01MPaであることが好ましく、0.03MPaがより好ましく、0.05MPaがさらに好ましい。反応圧力の上限値としては、100MPaであることが好ましく、70MPaがより好ましく、50MPaがより好ましい。反応液pHとしては、pH4以下であることが好ましく、pH3以下であることがより好ましく、pH2以下であることがさらに好ましい。
上記加水分解の反応時間としては、0.1〜1000分が好ましい。反応時間が0.1分より短いと、単糖類の加水分解を充分に進めることができず、単糖類の収率が充分なものとならないおそれがある。また、反応時間が1000分より長いと、単糖類の過分解が起こり、単糖類の選択率が低下するおそれがある。より好ましくは、0.2〜200分であり、更に好ましくは、0.3〜60分である。
上記加水分解反応は多段階で行っても良い。特にリグノセルロースの加水分解の際は、多段で行うことが好ましい。これはリグノセルロースに含まれるヘミセルロースとセルロースの分解温度範囲が異なるためである。すなわち、一段目では比較的弱い条件で分解可能なヘミセルロースを分解し、二段目でより厳しい条件にしてセルロースの分解を行うことが好ましい。一段目と二段目に用いる酸触媒は同一のものを用いても良く、異なるものを用いても良い。
上記膜分離は加水分解工程が終了した後に行っても良く、反応と同時に行ってもよいが、好ましくは反応後に行う方法である。分子ふるい膜による膜分離の方法としては、原液側(濃縮液側)を加圧する方法、透過液側を減圧する方法、浸透圧で拡散させる方法、遠心分離による方法、電位差を利用する方法等が挙げられるが、好ましくは原液側を加圧する方法、浸透圧で拡散させる方法であり、より好ましくは原液側を加圧する方法である。原液側を加圧する方法の場合、膜分離実施時の圧力(ゲージ圧)は、0.01MPa〜10MPaが好ましく、より好ましくは0.03MPa〜5MPaであり、最も好ましくは0.05MPa〜4MPaである。
なお、反応と同時に膜分離を行う場合であっても、多糖類の少なくとも一部について、加水分解反応が行われ、溶液中に単糖類が生成している限り、本発明における加水分解工程後の均一系酸触媒含有溶液に対して膜分離を行うことに該当する。
なお、反応と同時に膜分離を行う場合であっても、多糖類の少なくとも一部について、加水分解反応が行われ、溶液中に単糖類が生成している限り、本発明における加水分解工程後の均一系酸触媒含有溶液に対して膜分離を行うことに該当する。
本発明において、膜分離実施時のろ過形式としてはデットエンド形式、クロスフロー形式いずれも適用できるが、本発明の均一系酸触媒の分離方法においては、均一系酸触媒含有溶液が高濃度であっても、均一系酸触媒の分離を高効率に行うことが可能であることから、好ましくはクロスフロー形式である。
クロスフロー形式の膜分離は、例えば、スパイラル状の分離膜モジュールに送液ポンプにて分離対象液を送液しながら加圧することで透過液を取得する方法により行うことができる。
膜分離実施時の温度は0℃〜100℃が好ましく、より好ましくは0℃〜80℃であり、最も好ましくは5℃〜50℃である。膜分離はバッチ式、連続式、半連続式、いずれの方法も用いることが出来るが、好ましくはバッチ式、連続式である。単糖の収率を向上させるために、濃縮液に水を加えながら膜分離をしても良い。
クロスフロー形式の膜分離は、例えば、スパイラル状の分離膜モジュールに送液ポンプにて分離対象液を送液しながら加圧することで透過液を取得する方法により行うことができる。
膜分離実施時の温度は0℃〜100℃が好ましく、より好ましくは0℃〜80℃であり、最も好ましくは5℃〜50℃である。膜分離はバッチ式、連続式、半連続式、いずれの方法も用いることが出来るが、好ましくはバッチ式、連続式である。単糖の収率を向上させるために、濃縮液に水を加えながら膜分離をしても良い。
分離された上記単糖類は、必要に応じて中和工程を経て発酵工程へ使用することが出来る。本発明では単糖類と酸触媒が膜分離によって分離されているため、糖液中和の必要性が低いことも利点である。すなわち、単糖類の製造方法が、分離工程によって分離した均一系酸触媒を回収し、リサイクルするリサイクル工程を含むことは、本発明の好適な実施形態の1つである。ここでリサイクルとは、膜分離によって回収した触媒を加水分解反応に繰り返し利用することを意味する。
前記膜分離によって回収される触媒液の酸触媒濃度は、好ましくは前記加水分解反応に使用される酸触媒濃度の0.8倍以上であり、より好ましくは1.0倍以上であり、さらに好ましくは1.5倍以上である。回収される酸触媒濃度を、加水分解の際の酸触媒濃度より高める(すなわち1.0倍以上の濃度にして回収する)ことで、分離した触媒液を直ちにリサイクルすることも出来る。このように、膜分離工程の後、直ちにリサイクル工程を行うことも本発明の好適な実施形態の1つである。直ちにリサイクル工程を行うとは、濃縮のための脱水工程を行わず、再度加水分解工程を行うことを意味する。加水分解の前に、水を加えて濃度調整を行っても良い。
また、回収される触媒液の酸触媒濃度としては、上限値は50%である。加水分解の際の酸触媒濃度との兼ね合いにもよるが、より好ましくは30%であり、さらに好ましくは20%であり、最も好ましくは10%である。膜分離によって回収する触媒の回収率は、50%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましく、99%以上であることが最も好ましい。
上記回収された触媒はそのまま再使用することが望ましいが、カチオン交換を受けてプロトン濃度が低下している場合は、触媒の再生工程を設けることが好ましい。ここで再生工程とは、交換したカチオンを再度プロトン型に戻すことである。再生の方法としては、カチオン交換体を使用する方法が好ましい。具体的には、プロトン型のカチオン交換体と回収した酸触媒液とをカラムを用いて接触させる方法が好ましい。カチオン交換体としては、陽イオン交換樹脂等の有機物、ゼオライト等の無機物を用いることが出来る。好ましくは陽イオン交換樹脂を用いる方法である。カチオン交換によりプロトンの減少したカチオン交換体は、硫酸等の強酸類を通液することで再生、再利用することが出来る。
このように本発明においては、分子ふるい膜によって回収された酸触媒を、脱水工程を経ることなくリサイクルできることも大きな利点である。濃硫酸法におけるイオン交換樹脂、あるいはイオン交換膜を使用する触媒回収方法、または前述の特許文献4に開示されている方法では、酸触媒が低濃度となって回収され、さらにそれを極めて高濃度に戻す必要があるため、再濃縮に多大なエネルギーを必要とする、あるいは触媒回収率が低いという課題があった。それに対して本発明で開示される方法は、より低エネルギー、低コストのプロセスである。
本発明の単糖類の製造方法は、上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
次に、本発明の均一系酸触媒の分離方法について説明する。
本発明の均一系酸触媒の分離方法は、均一系酸触媒含有溶液から均一系酸触媒を分離する方法であって、該分離方法は、分子ふるい膜を用いた均一系触媒の膜分離処理を施して均一系触媒を分離する工程を含み、該分子ふるい膜は、有機高分子膜を用いた分子ふるい膜であり、該有機高分子膜の25℃、0.1MPaにおける純水の透過速度が1g/min/m2以上である均一系酸触媒の分離方法である。
本発明の均一系酸触媒の分離方法は、均一系酸触媒含有溶液から均一系酸触媒を分離する方法であって、該分離方法は、分子ふるい膜を用いた均一系触媒の膜分離処理を施して均一系触媒を分離する工程を含み、該分子ふるい膜は、有機高分子膜を用いた分子ふるい膜であり、該有機高分子膜の25℃、0.1MPaにおける純水の透過速度が1g/min/m2以上である均一系酸触媒の分離方法である。
本発明の均一系酸触媒の分離方法は、有機高分子膜を用いて分子ふるいにより均一系酸触媒含有溶液から均一系酸触媒を分離する工程を含むものである。分子ふるいとは、上述したように分子量差に基づいて化合物を分離するものであり、本発明の均一系酸触媒の分離方法は、このような原理に従って均一系酸触媒が分離されることになる限り、有機高分子膜は、1種であっても2種以上を用いてもよい。また、少なくとも1つの有機高分子膜を用いて分離されることになる限り、その他の分離方法と組み合わせて用いてもよく、有機高分子膜を用いて分離する工程を含む限り、その他の分離工程を含んでいてもよい。
なお、本発明の均一系酸触媒の分離方法は、有機高分子膜を用いて均一系酸触媒含有溶液から均一系酸触媒を分離するものであるが、有機高分子膜を用いて均一系酸触媒の少なくとも一部が均一系酸触媒含有溶液に含まれる均一系酸触媒以外の成分のいずれかから分離されることになる限り、本発明の分離方法に該当する。中でも、均一系酸触媒の少なくとも一部が均一系酸触媒含有溶液に含まれる均一系酸触媒以外の全ての成分から分離されることが好ましい。
なお、本発明の均一系酸触媒の分離方法は、有機高分子膜を用いて均一系酸触媒含有溶液から均一系酸触媒を分離するものであるが、有機高分子膜を用いて均一系酸触媒の少なくとも一部が均一系酸触媒含有溶液に含まれる均一系酸触媒以外の成分のいずれかから分離されることになる限り、本発明の分離方法に該当する。中でも、均一系酸触媒の少なくとも一部が均一系酸触媒含有溶液に含まれる均一系酸触媒以外の全ての成分から分離されることが好ましい。
本発明の均一系酸触媒の分離方法において用いられる有機高分子膜は、25℃、0.1MPaにおける純水の透過速度が1g/min/m2以上のものである。したがって、非特許文献6に開示のナフィオン膜のように25℃、0.1MPaの条件において純水が透過しない膜は、本発明における有機高分子膜には該当しない。有機高分子膜の25℃、0.1MPaにおける純水の透過速度が1g/min/m2以上であることにより、溶媒の透過速度が充分な膜となり、均一系酸触媒含有溶液から均一系酸触媒を高効率に分離することが可能となる。
上記純水の透過速度は、5〜1000g/min/m2であることが好ましい。より好ましくは、10〜800g/min/m2である。更に好ましくは、20〜800g/min/m2であり、特に好ましくは、30〜800g/min/m2である。
なお、純水の透過速度は、例えば、各分離膜のモジュールに純水を通液した状態で0.1MPaに加圧した時に得られる透過液の流速を測定することにより求めることができる。
本発明における均一系酸触媒としては、上述したスルホン酸基を有する有機化合物、カルボン酸基を有する有機化合物、ホモポリ酸、ヘテロポリ酸等のポリ酸類が挙げられ、これらいずれのものについても、均一系酸触媒を分離する際の好ましい条件は上記と同様である。
上記純水の透過速度は、5〜1000g/min/m2であることが好ましい。より好ましくは、10〜800g/min/m2である。更に好ましくは、20〜800g/min/m2であり、特に好ましくは、30〜800g/min/m2である。
なお、純水の透過速度は、例えば、各分離膜のモジュールに純水を通液した状態で0.1MPaに加圧した時に得られる透過液の流速を測定することにより求めることができる。
本発明における均一系酸触媒としては、上述したスルホン酸基を有する有機化合物、カルボン酸基を有する有機化合物、ホモポリ酸、ヘテロポリ酸等のポリ酸類が挙げられ、これらいずれのものについても、均一系酸触媒を分離する際の好ましい条件は上記と同様である。
本発明の均一系酸触媒の分離方法は、均一系酸触媒がヘテロポリ酸を含む場合により好適に適用することができる。上述したように、ヘテロポリ酸を分離する場合に無機膜を用いると、無機膜を構成する金属酸化物がヘテロポリ酸を吸着する性質を有するため、ヘテロポリ酸の無機膜への吸着による分離回収ロスが生じる。更に、無機膜を用いる場合には、多孔質支持体が必須となるが、ヘテロポリ酸は多孔質支持体にも吸着するため、これもヘテロポリ酸の分離回収ロスの原因となる。分離に有機高分子膜を用いる本発明の分離方法では、このようなヘテロポリ酸の吸着によるロスがなく、より高い回収率で回収することが可能となる。
このように、均一系酸触媒が、ヘテロポリ酸を含むことは、本発明の好適な実施形態の1つである。
このように、均一系酸触媒が、ヘテロポリ酸を含むことは、本発明の好適な実施形態の1つである。
上記有機高分子膜の分画分子量、及び、有機高分子膜の使用形態は、上述した、本発明の単糖類の製造方法における膜分離に使用される分子ふるい膜と同様であることが好ましい。
上記有機高分子膜の種類としては、限外ろ過膜、透析膜、ナノろ過膜、逆浸透膜と一般的に呼ばれているものが挙げられるが、本発明のヘテロポリ酸の分離方法において用いられる有機高分子膜は、ナノろ過膜又は限外ろ過膜であることが好ましい。有機高分子膜が、ナノろ過膜又は限外ろ過膜であると、例えば、低分子の有機物等のヘテロポリ酸以外の溶質がヘテロポリ酸含有溶液に含まれている場合に、ヘテロポリ酸とヘテロポリ酸以外の溶質とを分離することが可能となる。より好ましくは、ナノろ過膜である。
上記有機高分子膜の材質としては、上述した、本発明の単糖類の製造方法における膜分離に使用される分子ふるい膜の材質と同様のものが挙げられ、それらの中で好ましいものも同様である。
上記有機高分子膜は、カチオン交換基を有する高分子膜であることが好ましい。均一系酸触媒がヘテロポリ酸を含む場合、カチオン交換基を有する有機高分子膜を用いてヘテロポリ酸含有溶液からのヘテロポリ酸の分離を行った場合には、ヘテロポリ酸と高分子膜のカチオン交換基とが電気的な相互作用により反発し合うこととなる。そのためにヘテロポリ酸が高分子膜に近づきにくくなり、高分子膜を通過することがより難しくなる。これにより、ヘテロポリ酸の膜の透過がより妨げられ、ロスをより少なくしたヘテロポリ酸の分離、回収が可能となる。中でも、上記有機高分子膜は、スルホン酸基を有する高分子膜であることがより好ましい。
本発明の均一系酸触媒の分離方法において用いられる有機高分子膜の具体例、及び、それらの中で好ましいものは、上述した、本発明の単糖類の製造方法における膜分離に使用される分子ふるい膜のうち、有機高分子膜であるものと同様である。
本発明の均一系酸触媒の分離方法において均一系酸触媒含有溶液の濃度は、特に制限されない。
通常、溶液の膜分離を行う際には、低濃度の溶液が用いられ、高濃度の溶液では溶質の分離を充分に行うことができない。しかしながら、本発明の均一系酸触媒の分離方法においては、均一系酸触媒含有溶液の濃度が高濃度であっても、均一系酸触媒を分離することが可能であるため、均一系酸触媒含有溶液の濃度が高濃度である場合に、本発明の効果がより顕著に発揮されることとなる。
上記均一系酸触媒含有溶液が、均一系酸触媒の濃度が1質量%以上であることもまた、本発明の好適な実施形態の1つである。本発明の好適な実施形態としてより好ましくは、2質量%以上であり、更に好ましくは、4質量%以上である。
なお、本発明においては、均一系酸触媒の質量を均一系酸触媒の質量と溶媒の質量との合計質量で除したものを均一系酸触媒の濃度として表している。
通常、溶液の膜分離を行う際には、低濃度の溶液が用いられ、高濃度の溶液では溶質の分離を充分に行うことができない。しかしながら、本発明の均一系酸触媒の分離方法においては、均一系酸触媒含有溶液の濃度が高濃度であっても、均一系酸触媒を分離することが可能であるため、均一系酸触媒含有溶液の濃度が高濃度である場合に、本発明の効果がより顕著に発揮されることとなる。
上記均一系酸触媒含有溶液が、均一系酸触媒の濃度が1質量%以上であることもまた、本発明の好適な実施形態の1つである。本発明の好適な実施形態としてより好ましくは、2質量%以上であり、更に好ましくは、4質量%以上である。
なお、本発明においては、均一系酸触媒の質量を均一系酸触媒の質量と溶媒の質量との合計質量で除したものを均一系酸触媒の濃度として表している。
上記溶媒としては、特に制限されず、均一系酸触媒含有溶液の用途等により選択することができるが、例えば、水、各種アルコール類、各種エーテル類、各種エステル類等が挙げられる。
本発明の均一系酸触媒の分離方法において、均一系酸触媒の分子量、有機高分子膜の分画分子量の大小関係は、上述した本発明の単糖類の製造方法における膜分離に使用される分子ふるい膜の分画分子量と均一系酸触媒の分子量との大小関係と同様である。
上記均一系酸触媒の分子量と上記有機高分子膜の分画分子量との差は、100以上であることが好ましく、300以上であることがより好ましく、500以上であることが更に好ましい。
また、上記均一系酸触媒の分子量としては、1000以上10000以下であることが好ましい。均一系酸触媒の分子量がこのような範囲であるような均一系酸触媒含有溶液からの均一系酸触媒の高効率な分離回収はこれまで困難であったが、本発明においてはそのような範囲の均一系酸触媒も効率よく分離することが可能であるために、均一系酸触媒の分子量が上記範囲である場合に、本発明の効果がより顕著に発揮されることとなる。より好ましくは、1000以上7500以下であり、更に好ましくは、1000以上5000以下である。
また、上記均一系酸触媒の分子量としては、1000以上10000以下であることが好ましい。均一系酸触媒の分子量がこのような範囲であるような均一系酸触媒含有溶液からの均一系酸触媒の高効率な分離回収はこれまで困難であったが、本発明においてはそのような範囲の均一系酸触媒も効率よく分離することが可能であるために、均一系酸触媒の分子量が上記範囲である場合に、本発明の効果がより顕著に発揮されることとなる。より好ましくは、1000以上7500以下であり、更に好ましくは、1000以上5000以下である。
上述したように、均一系酸触媒が、ヘテロポリ酸を含むことは、本発明の好適な実施形態の1つであるが、ヘテロポリ酸の具体例としては、上述したものと同様のものが好ましい。
また、本発明の均一系酸触媒の分離方法における、膜分離の方法、膜分離実施時の圧力は、上述した本発明の単糖類の製造方法における膜分離と同様であることが好ましい。
また、本発明の均一系酸触媒の分離方法における、分離形式、膜分離実施時の温度、及び、膜分離の形式(バッチ式、連続式、半連続式等)は、上述した本発明の単糖類の製造方法における膜分離と同様であることが好ましい。
また、本発明の均一系酸触媒の分離方法における、膜分離の方法、膜分離実施時の圧力は、上述した本発明の単糖類の製造方法における膜分離と同様であることが好ましい。
また、本発明の均一系酸触媒の分離方法における、分離形式、膜分離実施時の温度、及び、膜分離の形式(バッチ式、連続式、半連続式等)は、上述した本発明の単糖類の製造方法における膜分離と同様であることが好ましい。
本発明の均一系酸触媒の分離方法における透過液の膜透過速度は、均一系酸触媒及びその他の溶質の濃度、並びに、膜分離実施時の圧力(ゲージ圧)により設定することが可能である。
透過液の膜透過速度は、分離膜及び分離膜モジュールの耐久圧力により上限値が制限される以外は特に制限されないが、均一系酸触媒の分離効率及び後述する透過阻止率の観点から、50g/min/m2以上であることが好ましく、より好ましくは、100g/min/m2以上であり、最も好ましくは、200g/min/m2以上である。
なお、透過液の膜透過速度は、例えば、膜分離時の透過液の流速を測定することにより求めることができる。
透過液の膜透過速度は、分離膜及び分離膜モジュールの耐久圧力により上限値が制限される以外は特に制限されないが、均一系酸触媒の分離効率及び後述する透過阻止率の観点から、50g/min/m2以上であることが好ましく、より好ましくは、100g/min/m2以上であり、最も好ましくは、200g/min/m2以上である。
なお、透過液の膜透過速度は、例えば、膜分離時の透過液の流速を測定することにより求めることができる。
本発明の均一系酸触媒の分離方法における均一系酸触媒の透過阻止率としては、均一系酸触媒濃度が1質量%を超える均一系酸触媒含有溶液を膜分離に供して、透過液量が膜分離に供する溶液の液量の10%に達した時の均一系酸触媒透過阻止率(初期均一系酸触媒透過阻止率)が、70%以上であることが好ましい。初期均一系酸触媒透過阻止率がそのような範囲である場合には、均一系酸触媒の透過が充分に阻止されており、均一系酸触媒を充分に分離することができているとすることができる。より好ましくは、80%以上であり、更に好ましくは、85%以上である。
また、本発明の均一系酸触媒の分離方法は、均一系酸触媒含有溶液の濃度が高濃度であっても、均一系酸触媒を分離することが可能であるため、分離過程が進み膜分離に供した溶液が濃縮されてきても均一系酸触媒の透過阻止率を落とさずに均一系酸触媒の分離を行うことができる。すなわち、本発明の均一系酸触媒の分離方法において、均一系酸触媒濃度が1質量%を超える均一系酸触媒含有溶液を膜分離に供して、透過液量が膜分離に供する溶液の液量の50%に達した時の均一系酸触媒透過阻止率が、70%以上であることもまた本発明の好適な実施形態の1つである。好適な実施形態としてより好ましくは、透過液量が膜分離に供する溶液の液量の50%に達した時の均一系酸触媒透過阻止率が、80%以上であり、更に好ましくは、85%以上である。
なお、均一系酸触媒の透過阻止率は、下記の計算式(1)より算出することができる。
また、本発明の均一系酸触媒の分離方法は、均一系酸触媒含有溶液の濃度が高濃度であっても、均一系酸触媒を分離することが可能であるため、分離過程が進み膜分離に供した溶液が濃縮されてきても均一系酸触媒の透過阻止率を落とさずに均一系酸触媒の分離を行うことができる。すなわち、本発明の均一系酸触媒の分離方法において、均一系酸触媒濃度が1質量%を超える均一系酸触媒含有溶液を膜分離に供して、透過液量が膜分離に供する溶液の液量の50%に達した時の均一系酸触媒透過阻止率が、70%以上であることもまた本発明の好適な実施形態の1つである。好適な実施形態としてより好ましくは、透過液量が膜分離に供する溶液の液量の50%に達した時の均一系酸触媒透過阻止率が、80%以上であり、更に好ましくは、85%以上である。
なお、均一系酸触媒の透過阻止率は、下記の計算式(1)より算出することができる。
R=1−Cp/Cb (1)
上記式(1)中、Rは、均一系酸触媒の透過阻止率を、Cpは、透過液側の均一系酸触媒濃度を、Cbは、原液側の均一系酸触媒濃度をそれぞれ表している。
また、本発明の均一系酸触媒の分離方法において膜分離に供する均一系酸触媒含有溶液は、均一系酸触媒以外の溶質を含んでいてもよく、中でも、均一系酸触媒含有溶液が、分子量1000以下の有機物を含む形態もまた、本発明の好適な実施形態の1つである。そして更には、該有機物が糖類を含む形態もまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
上記均一系酸触媒含有溶液に含まれる分子量1000以下の有機物の含有濃度は、特に制限されない。
また、上記分子量1000以下の有機物を含む均一系酸触媒含有溶液を、本発明の均一系酸触媒の分離方法によって分離した時の、該有機物の膜透過率は、70%以上であることが好ましい。有機物の透過率がそのような範囲であった場合には、有機物が有機高分子膜を充分に透過しているということができ、有機物は膜を透過し、上記のとおり均一系酸触媒は膜の透過が阻止されることから、均一系酸触媒と、有機物及び溶媒とを充分に効率的に分離することができているとすることができる。より好ましくは、80%以上であり、更に好ましくは、90%以上である。
なお、有機物の膜透過率は、膜分離に供する溶液の有機物濃度と透過液の有機物濃度とから算出することができる。
また、上記分子量1000以下の有機物を含む均一系酸触媒含有溶液を、本発明の均一系酸触媒の分離方法によって分離した時の、該有機物の膜透過率は、70%以上であることが好ましい。有機物の透過率がそのような範囲であった場合には、有機物が有機高分子膜を充分に透過しているということができ、有機物は膜を透過し、上記のとおり均一系酸触媒は膜の透過が阻止されることから、均一系酸触媒と、有機物及び溶媒とを充分に効率的に分離することができているとすることができる。より好ましくは、80%以上であり、更に好ましくは、90%以上である。
なお、有機物の膜透過率は、膜分離に供する溶液の有機物濃度と透過液の有機物濃度とから算出することができる。
本発明の均一系酸触媒の分離方法によって効率的に分離された均一系酸触媒を回収することによって、高い均一系酸触媒回収率を実現することができる。このような、本発明の均一系酸触媒の分離方法を用いて、均一系酸触媒を回収する工程を含む均一系酸触媒の回収方法もまた、本発明の1つである。
上記均一系酸触媒回収率としては、均一系酸触媒濃度が1質量%を超える均一系酸触媒含有溶液を膜分離に供した時に、70%以上であることが好ましい。より好ましくは、80%以上であり、更に好ましくは、90%以上である。
なお、均一系酸触媒の回収率は、分離後の濃縮液側に残存した均一系酸触媒量の、分離前に均一系酸触媒含有溶液に含有される均一系酸触媒量に対する割合として求めることができる。
上記均一系酸触媒回収率としては、均一系酸触媒濃度が1質量%を超える均一系酸触媒含有溶液を膜分離に供した時に、70%以上であることが好ましい。より好ましくは、80%以上であり、更に好ましくは、90%以上である。
なお、均一系酸触媒の回収率は、分離後の濃縮液側に残存した均一系酸触媒量の、分離前に均一系酸触媒含有溶液に含有される均一系酸触媒量に対する割合として求めることができる。
本発明の均一系酸触媒の分離方法は、有機高分子膜を用いた分子ふるいによる分離方法であり、該有機高分子膜の25℃、0.1MPaにおける純水の透過速度が1g/min/m2以上であることを特徴とするものである。この分離方法は、有機高分子膜を用いて分子ふるいにより分離することから、特殊な操作を必要とすることなく、均一系酸触媒を用いて多糖類を加水分解し、単糖類を製造する方法以外にも、工業的に種々の均一系酸触媒を用いる反応系に適用することができる均一系酸触媒の分離方法である。
上記反応系としては例えば、エポキシ化反応、アルカン酸化反応、芳香族側鎖アルキル基酸化反応、芳香族水酸基酸化反応、アルコール酸化反応等の酸化反応;オレフィンの異性化反応及び水和反応、アルコール脱水反応、エーテル化反応、エステル化反応、フリーデル・クラフツ反応、重合反応、バイオマス糖化反応を含む加水分解反応等の酸触媒反応が挙げられる。これらの中でも、本発明の均一系酸触媒の分離方法を適用する特に好ましい1つの形態としては、均一系酸触媒を用いたバイオマス糖化方法において、糖化反応後の均一系酸触媒含有溶液から均一系酸触媒を分離する際に適用することが挙げられる。バイオマスの糖化方法は、近年注目される石油代替エネルギー技術の1つであり、このような技術に本発明を適用することは、バイオマス生成物の精製技術、コスト低減技術として特に重要な技術的意義を有することになる。
上記バイオマスからの単糖類の製造において、反応後の均一系酸触媒含有溶液には、バイオマスの糖化反応により得られる反応生成物である糖類が含まれることになるが、このような均一系酸触媒含有溶液から均一系酸触媒と糖類とを分離する工程に、本発明の均一系酸触媒の分離方法を好適に用いることができる。すなわち、本発明の単糖類の製造方法において、均一系酸触媒の分離工程を(A)の工程で行う場合に、本発明の均一系酸触媒の分離方法を用いることは、本発明の均一系酸触媒の分離方法の好適な実施形態の1つである。本発明の単糖類の製造方法において、本発明の均一系酸触媒の分離方法を用いる場合、上述した本発明の均一系酸触媒の分離方法における好ましい形態を用いることがより好ましい。
上記糖類としては、例えば、グルコース、キシロース、アラビノース、マンノース、ガラクトース、ウロン酸、グルコサミン等が挙げられる。
上記反応系としては例えば、エポキシ化反応、アルカン酸化反応、芳香族側鎖アルキル基酸化反応、芳香族水酸基酸化反応、アルコール酸化反応等の酸化反応;オレフィンの異性化反応及び水和反応、アルコール脱水反応、エーテル化反応、エステル化反応、フリーデル・クラフツ反応、重合反応、バイオマス糖化反応を含む加水分解反応等の酸触媒反応が挙げられる。これらの中でも、本発明の均一系酸触媒の分離方法を適用する特に好ましい1つの形態としては、均一系酸触媒を用いたバイオマス糖化方法において、糖化反応後の均一系酸触媒含有溶液から均一系酸触媒を分離する際に適用することが挙げられる。バイオマスの糖化方法は、近年注目される石油代替エネルギー技術の1つであり、このような技術に本発明を適用することは、バイオマス生成物の精製技術、コスト低減技術として特に重要な技術的意義を有することになる。
上記バイオマスからの単糖類の製造において、反応後の均一系酸触媒含有溶液には、バイオマスの糖化反応により得られる反応生成物である糖類が含まれることになるが、このような均一系酸触媒含有溶液から均一系酸触媒と糖類とを分離する工程に、本発明の均一系酸触媒の分離方法を好適に用いることができる。すなわち、本発明の単糖類の製造方法において、均一系酸触媒の分離工程を(A)の工程で行う場合に、本発明の均一系酸触媒の分離方法を用いることは、本発明の均一系酸触媒の分離方法の好適な実施形態の1つである。本発明の単糖類の製造方法において、本発明の均一系酸触媒の分離方法を用いる場合、上述した本発明の均一系酸触媒の分離方法における好ましい形態を用いることがより好ましい。
上記糖類としては、例えば、グルコース、キシロース、アラビノース、マンノース、ガラクトース、ウロン酸、グルコサミン等が挙げられる。
本発明の単糖類の製造方法は、上述の構成よりなり、リグノセルロース等の安価なバイオマスから効率的、経済的に単糖類を製造できるため、エタノール、乳酸等の化学品製造のための原料として好適に使用できる製造方法である。
また、本発明の均一系酸触媒の分離方法は、上述の構成よりなり、低エネルギーコストで、均一系酸触媒含有溶液から均一系酸触媒を高効率に分離して、高い均一系酸触媒回収率が得られるような均一系酸触媒の分離方法である。
また、本発明の均一系酸触媒の分離方法は、上述の構成よりなり、低エネルギーコストで、均一系酸触媒含有溶液から均一系酸触媒を高効率に分離して、高い均一系酸触媒回収率が得られるような均一系酸触媒の分離方法である。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
実施例で用いた分析方法、計算方法を以下に示す。
(単糖類の定量)液体クロマトグラフィー(HPLC)で行った。カラムは東ソー社製、TSK−GEL Amide80を用い、屈折率計(RI)で検出した。単糖類の収率は以下の式に従って算出した。
単糖収率(質量%)=生成した単糖類総質量/原料多糖類の質量X100
ここで原料多糖類の質量とは、セルロースの場合は原料セルロースの乾燥質量、パーム空果房(パームの実を取った後の果房、以後、パームEFBと称する)の場合は原料パームEFBの乾燥質量のこととする。
(単糖類の定量)液体クロマトグラフィー(HPLC)で行った。カラムは東ソー社製、TSK−GEL Amide80を用い、屈折率計(RI)で検出した。単糖類の収率は以下の式に従って算出した。
単糖収率(質量%)=生成した単糖類総質量/原料多糖類の質量X100
ここで原料多糖類の質量とは、セルロースの場合は原料セルロースの乾燥質量、パーム空果房(パームの実を取った後の果房、以後、パームEFBと称する)の場合は原料パームEFBの乾燥質量のこととする。
(副生成物の定量)HPLCにて行った。カラムは東ソー製、TSK−GEL ODS−100Vを用い、紫外分光光度計(UV)、及びRIを用いて検出した。糖化反応の単糖選択率は以下の式に従って算出した。
選択率(質量%)=生成した単糖類総質量/生成物総質量(単糖類及び副生成物)X100
副生成物とは、単糖類が過分解して生成するフルフラール、ヒドロキシメチルフルフラール、ギ酸、レブリン酸、及び酢酸のことである。
選択率(質量%)=生成した単糖類総質量/生成物総質量(単糖類及び副生成物)X100
副生成物とは、単糖類が過分解して生成するフルフラール、ヒドロキシメチルフルフラール、ギ酸、レブリン酸、及び酢酸のことである。
(酸の定量)液中スルホン酸化合物の濃度は、島津製作所製 ICPE−9000を用いた結合誘導プラズマ分析(以下、ICP分析)により定量した硫黄量より算出した。また液中リンタングステン酸濃度は、ICPにより定量したタングステン量より算出した。
(固体中の触媒定量)
固体中に存在するリンタングステン酸の量は、蛍光X線測定から求めたタングステン含量(灰分中に占める割合)と、灰分測定から求めた灰分含量から決定した。
(触媒回収率)触媒回収率は以下の式に従って算出した。
触媒回収率(質量%)=回収した触媒の質量/回収前に存在していた触媒の質量×100
(固体中の触媒定量)
固体中に存在するリンタングステン酸の量は、蛍光X線測定から求めたタングステン含量(灰分中に占める割合)と、灰分測定から求めた灰分含量から決定した。
(触媒回収率)触媒回収率は以下の式に従って算出した。
触媒回収率(質量%)=回収した触媒の質量/回収前に存在していた触媒の質量×100
(実施例1)
内容積15mlの耐圧容器に、均一系酸触媒としてポリスチレンスルホン酸(Polysciences社、平均分子量7万)の30%水溶液を9.0g、原料の多糖類として粉砕したパームEFB(インドネシアより入手、乾燥後、カッターミルで粉砕したもの)を1.0g仕込み、90℃で2時間、加水分解反応を実施した。反応後、反応液と未分解の残渣(リグニンが主成分)をろ過により分離した。反応液をHPLCで分析したところ、グルコース、キシロース、マンノースの単糖類が生成しており、それらの合計収率は30%であった(1.0gの原料から0.30gの単糖類が得られたことを意味する)。
さらに、未分解残渣を5mlの水で洗浄し洗浄液を回収した。回収した反応液および洗浄液を、分離膜を備えた遠心濃縮器(ザルトリウス社ビバスピン20、内容積20ml、分画分子量10000、膜材質ポリエーテルスルホン、膜面積6.0cm2)に投入し、遠心分離機にかけた(4000G、10分)。約5mlまで濃縮された段階で10mlの水を加えて再度遠心分離処理を行った。同様の操作をさらに2度繰り返し、最後に約8mlまで濃縮を行い、主に単糖類を含む透過液約35mlと、主に触媒を含む濃縮液8ml(約8g)を得た。濃縮液の触媒濃度は32%であり、原液(30%)に対して1.1倍の濃度であった。触媒回収率は95%であった。高濃度、高回収率で触媒を回収することができた。
回収した触媒を含む濃縮液8gをそのままパームEFB1.0gと混合し、再び加水分解反応を行った。90℃、2時間反応での単糖類の合計収率は30%であり、膜分離で回収した触媒は濃縮操作などを必要とせずそのままリサイクルできることが分かった。
内容積15mlの耐圧容器に、均一系酸触媒としてポリスチレンスルホン酸(Polysciences社、平均分子量7万)の30%水溶液を9.0g、原料の多糖類として粉砕したパームEFB(インドネシアより入手、乾燥後、カッターミルで粉砕したもの)を1.0g仕込み、90℃で2時間、加水分解反応を実施した。反応後、反応液と未分解の残渣(リグニンが主成分)をろ過により分離した。反応液をHPLCで分析したところ、グルコース、キシロース、マンノースの単糖類が生成しており、それらの合計収率は30%であった(1.0gの原料から0.30gの単糖類が得られたことを意味する)。
さらに、未分解残渣を5mlの水で洗浄し洗浄液を回収した。回収した反応液および洗浄液を、分離膜を備えた遠心濃縮器(ザルトリウス社ビバスピン20、内容積20ml、分画分子量10000、膜材質ポリエーテルスルホン、膜面積6.0cm2)に投入し、遠心分離機にかけた(4000G、10分)。約5mlまで濃縮された段階で10mlの水を加えて再度遠心分離処理を行った。同様の操作をさらに2度繰り返し、最後に約8mlまで濃縮を行い、主に単糖類を含む透過液約35mlと、主に触媒を含む濃縮液8ml(約8g)を得た。濃縮液の触媒濃度は32%であり、原液(30%)に対して1.1倍の濃度であった。触媒回収率は95%であった。高濃度、高回収率で触媒を回収することができた。
回収した触媒を含む濃縮液8gをそのままパームEFB1.0gと混合し、再び加水分解反応を行った。90℃、2時間反応での単糖類の合計収率は30%であり、膜分離で回収した触媒は濃縮操作などを必要とせずそのままリサイクルできることが分かった。
(実施例2)
実施例1と同様にして、均一系酸触媒としてリグニンスルホン酸(アルドリッチ社、平均分子量7000、ナトリウム塩型をイオン交換樹脂により酸型に変換したもの)の10%水溶液を9.0g、及び粉砕パームEFBを1.0g仕込み、120℃で2時間、加水分解反応を実施した。反応後、反応液を未分解の残渣とろ過分離した。単糖類の合計収率は32%であった。
さらに、未分解残渣を5mlの水で洗浄し洗浄液を回収した。回収した反応液および洗浄液を、分離膜を備えた遠心濃縮器(分画分子量3000)に投入し、遠心分離機にかけた(4000G、10分)。実施例1と同様にして単糖類と触媒を膜分離により分離した。最終的な触媒濃縮液の液量は5ml(約5g)であり、触媒濃度は15%であり、原液(10%)に対して1.5倍の濃度であった。触媒回収率は90%であった。高濃度、高回収率で触媒を回収することができた。
実施例1と同様にして、均一系酸触媒としてリグニンスルホン酸(アルドリッチ社、平均分子量7000、ナトリウム塩型をイオン交換樹脂により酸型に変換したもの)の10%水溶液を9.0g、及び粉砕パームEFBを1.0g仕込み、120℃で2時間、加水分解反応を実施した。反応後、反応液を未分解の残渣とろ過分離した。単糖類の合計収率は32%であった。
さらに、未分解残渣を5mlの水で洗浄し洗浄液を回収した。回収した反応液および洗浄液を、分離膜を備えた遠心濃縮器(分画分子量3000)に投入し、遠心分離機にかけた(4000G、10分)。実施例1と同様にして単糖類と触媒を膜分離により分離した。最終的な触媒濃縮液の液量は5ml(約5g)であり、触媒濃度は15%であり、原液(10%)に対して1.5倍の濃度であった。触媒回収率は90%であった。高濃度、高回収率で触媒を回収することができた。
(実施例3)
内容量50mlの耐圧ガラスビンに、均一系酸触媒としてリンタングステン酸(日本無機化学工業社製、結晶水として約16%の水分含有、水分を除いた分子量は2881)の10%水溶液(pH0.9)を20.0g、及び微結晶セルロースのアビセル(Merck社製)を4.0g仕込み、オイルシェーカーで振とうしながら150℃で6時間、糖化反応を実施した。グルコース収率は37%であり、グルコース選択率は80%であった。反応後、遠心分離により溶解せずに残存している固形分を除去して反応液を得た。更に固形分を約50gの水で洗浄し、反応液と合わせたサンプル(糖化液A)を得た。
続いて、単糖と触媒の分離工程を実施した。すなわち、分子ふるい膜としてナノフィルトレーション膜のフラットシート・メンブレンNTR−7450(日東電工製、材質は有機高分子のスルホン化ポリエーテルスルホン)を取り付けた撹拌型分離膜評価機UHP−43K(アドバンテック製)に、上述の糖化液Aを40.7g(リンタングステン酸1.4g、グルコース0.7g含有)加えた。続いて、濃縮液側(糖化液Aを含む側)を0.3MPaに加圧して膜分離を行い、膜を隔てた透過側に約20gの透過液を得た。濃縮液に約20gの水を加え膜分離を行って約20gの透過液を得る操作を2度繰り返し、最終的に13.7gの濃縮液(触媒回収液A)と計63.8gの透過液を得た。濃縮液の酸濃度は10.2%であり、透過液の酸濃度は0.004%であった。触媒回収率は99.8%(透過液基準)と計算され、極めて高い回収率であることが分かった。グルコースは91%が透過液に存在しており、触媒とグルコースは膜分離できることが分かった。
続いて、触媒のリサイクル工程を行った。先に得られた触媒回収液A10.0gとアビセル2.0gをガラスビンに仕込み、150℃で6時間、加水分解反応を実施した。グルコース収率は38%、選択率は78%であり、1回目の反応と同等であった。これより、膜分離で回収した触媒は濃縮操作などを経ずに、そのままリサイクルできることが分かった。
内容量50mlの耐圧ガラスビンに、均一系酸触媒としてリンタングステン酸(日本無機化学工業社製、結晶水として約16%の水分含有、水分を除いた分子量は2881)の10%水溶液(pH0.9)を20.0g、及び微結晶セルロースのアビセル(Merck社製)を4.0g仕込み、オイルシェーカーで振とうしながら150℃で6時間、糖化反応を実施した。グルコース収率は37%であり、グルコース選択率は80%であった。反応後、遠心分離により溶解せずに残存している固形分を除去して反応液を得た。更に固形分を約50gの水で洗浄し、反応液と合わせたサンプル(糖化液A)を得た。
続いて、単糖と触媒の分離工程を実施した。すなわち、分子ふるい膜としてナノフィルトレーション膜のフラットシート・メンブレンNTR−7450(日東電工製、材質は有機高分子のスルホン化ポリエーテルスルホン)を取り付けた撹拌型分離膜評価機UHP−43K(アドバンテック製)に、上述の糖化液Aを40.7g(リンタングステン酸1.4g、グルコース0.7g含有)加えた。続いて、濃縮液側(糖化液Aを含む側)を0.3MPaに加圧して膜分離を行い、膜を隔てた透過側に約20gの透過液を得た。濃縮液に約20gの水を加え膜分離を行って約20gの透過液を得る操作を2度繰り返し、最終的に13.7gの濃縮液(触媒回収液A)と計63.8gの透過液を得た。濃縮液の酸濃度は10.2%であり、透過液の酸濃度は0.004%であった。触媒回収率は99.8%(透過液基準)と計算され、極めて高い回収率であることが分かった。グルコースは91%が透過液に存在しており、触媒とグルコースは膜分離できることが分かった。
続いて、触媒のリサイクル工程を行った。先に得られた触媒回収液A10.0gとアビセル2.0gをガラスビンに仕込み、150℃で6時間、加水分解反応を実施した。グルコース収率は38%、選択率は78%であり、1回目の反応と同等であった。これより、膜分離で回収した触媒は濃縮操作などを経ずに、そのままリサイクルできることが分かった。
(実施例4)
実施例3と同様に、リンタングステン酸を触媒とした糖化反応、及び膜分離実験を行った。ただし、今度は分子ふるい膜としてナノフィルトレーション膜のフラットシート・メンブレンNTR−7410(日東電工製)を使用した。膜分離工程を行った結果、濃縮液に81%の触媒が回収され、透過液に92%のグルコースが回収された。
実施例3と同様に、リンタングステン酸を触媒とした糖化反応、及び膜分離実験を行った。ただし、今度は分子ふるい膜としてナノフィルトレーション膜のフラットシート・メンブレンNTR−7410(日東電工製)を使用した。膜分離工程を行った結果、濃縮液に81%の触媒が回収され、透過液に92%のグルコースが回収された。
(実施例5)
実施例3と同様に、ただし触媒としてポリビニルスルホン酸(Aldrich製、イオン交換樹脂にて酸型に置換して使用、平均分子量2000)の1%水溶液(pH0.8)を用い、セルロースの糖化反応を実施した。165℃、1時間の反応でグルコース収率は25%、選択率は80%であった。さらに実施例3と同様に、NTR−7450を用いて膜分離工程を実施した。その結果、濃縮液に73%の触媒が回収され、透過液に90%のグルコースが回収された。
実施例3と同様に、ただし触媒としてポリビニルスルホン酸(Aldrich製、イオン交換樹脂にて酸型に置換して使用、平均分子量2000)の1%水溶液(pH0.8)を用い、セルロースの糖化反応を実施した。165℃、1時間の反応でグルコース収率は25%、選択率は80%であった。さらに実施例3と同様に、NTR−7450を用いて膜分離工程を実施した。その結果、濃縮液に73%の触媒が回収され、透過液に90%のグルコースが回収された。
(実施例6)
実施例3と同様に、ただし触媒としてポリ(スチレンスルホン酸/マレイン酸)(モル比で1:1の共重合体、Aldrich製、イオン交換樹脂にて酸型に置換して使用、平均分子量20000)の2%水溶液を用い、セルロースの糖化反応を実施した。150℃、2時間の反応でグルコース収率は22%、選択率は79%であった。さらに実施例3と同様に、ただし今度は膜分離の際に、限外ろ過膜(ポール製オメガシリーズ65D)を備えた限外ろ過カプセルMinimate65D(ポール製)を使用した。膜分離工程を行った結果、濃縮液に84%の触媒が回収され、透過液に91%のグルコースが回収された。
実施例3と同様に、ただし触媒としてポリ(スチレンスルホン酸/マレイン酸)(モル比で1:1の共重合体、Aldrich製、イオン交換樹脂にて酸型に置換して使用、平均分子量20000)の2%水溶液を用い、セルロースの糖化反応を実施した。150℃、2時間の反応でグルコース収率は22%、選択率は79%であった。さらに実施例3と同様に、ただし今度は膜分離の際に、限外ろ過膜(ポール製オメガシリーズ65D)を備えた限外ろ過カプセルMinimate65D(ポール製)を使用した。膜分離工程を行った結果、濃縮液に84%の触媒が回収され、透過液に91%のグルコースが回収された。
(実施例7)
パームEFBの脱塩及び脱ヘミセルロース工程を行った。すなわち、粉砕パームEFB2.0g(乾燥体)と2%硫酸水溶液20.0gを耐圧容器に仕込み、125℃で3時間加熱した。その後、ろ過により液分と固形分を分離し、さらに固形分を水で洗浄した。回収したろ液を分析したところ、キシロース0.4g、グルコース0.03gの生成が確認された。一方、固形分(ウェット体)を耐圧容器に入れ、触媒として2.0gのリンタングステン酸を加え、さらに反応物トータルで20.0gになるように水を加えた。これを150℃で6時間、オイルシェーカーで振とうしながら加熱し、加水分解工程を実施した。反応液を分析したところ、グルコース0.5gの生成が確認された。続いて、実施例3と同様の方法で固形分を除去して糖化液を得た。
続いて、糖化液中に存在する単糖と触媒の分離工程を実施した。膜分離は、実施例3に記載された方法と同様にして行った。すなわち、分子ふるい膜としてはNTR−7450(日東電工製)を使用した。膜分離の結果、濃縮液(触媒回収液B)に99.8%のリンタングステン酸が回収され、透過液に90%のグルコースが回収された。極めて高い触媒回収率が得られた。
パームEFBの脱塩及び脱ヘミセルロース工程を行った。すなわち、粉砕パームEFB2.0g(乾燥体)と2%硫酸水溶液20.0gを耐圧容器に仕込み、125℃で3時間加熱した。その後、ろ過により液分と固形分を分離し、さらに固形分を水で洗浄した。回収したろ液を分析したところ、キシロース0.4g、グルコース0.03gの生成が確認された。一方、固形分(ウェット体)を耐圧容器に入れ、触媒として2.0gのリンタングステン酸を加え、さらに反応物トータルで20.0gになるように水を加えた。これを150℃で6時間、オイルシェーカーで振とうしながら加熱し、加水分解工程を実施した。反応液を分析したところ、グルコース0.5gの生成が確認された。続いて、実施例3と同様の方法で固形分を除去して糖化液を得た。
続いて、糖化液中に存在する単糖と触媒の分離工程を実施した。膜分離は、実施例3に記載された方法と同様にして行った。すなわち、分子ふるい膜としてはNTR−7450(日東電工製)を使用した。膜分離の結果、濃縮液(触媒回収液B)に99.8%のリンタングステン酸が回収され、透過液に90%のグルコースが回収された。極めて高い触媒回収率が得られた。
(実施例8)
実施例7に続いて、触媒のリサイクル工程を行った。実施例7と全く同じ方法、量で脱塩処理を行ったパームEFBを調製し、先に得られた触媒回収液B(リンタングステン酸濃度10.4%)と混合した。150℃で6時間、加水分解反応を実施したところ、グルコース0.5gの生成が確認された。これより、膜分離で回収した触媒は濃縮操作などを経ずに、そのままリサイクルできることが分かった。
実施例7に続いて、触媒のリサイクル工程を行った。実施例7と全く同じ方法、量で脱塩処理を行ったパームEFBを調製し、先に得られた触媒回収液B(リンタングステン酸濃度10.4%)と混合した。150℃で6時間、加水分解反応を実施したところ、グルコース0.5gの生成が確認された。これより、膜分離で回収した触媒は濃縮操作などを経ずに、そのままリサイクルできることが分かった。
(実施例9)
耐圧容器にリンタングステン酸の10%水溶液20.0gと、アビセル2.0gを混合し、150℃で糖化反応を行った。経時的に反応液をサンプリングし、グルコース収率、及び選択率を測定した。結果を反応条件とともに表1に示す。続いて、反応後の反応液より固形分をろ過で除去し、糖化液を得た。さらに、糖化液を実施例3と同様の方法で、分離膜としてNTR−7450(日東電工製)を用いて触媒と単糖の分離実験を行ったところ、実施例3と同等の良好な分離結果が得られた。
耐圧容器にリンタングステン酸の10%水溶液20.0gと、アビセル2.0gを混合し、150℃で糖化反応を行った。経時的に反応液をサンプリングし、グルコース収率、及び選択率を測定した。結果を反応条件とともに表1に示す。続いて、反応後の反応液より固形分をろ過で除去し、糖化液を得た。さらに、糖化液を実施例3と同様の方法で、分離膜としてNTR−7450(日東電工製)を用いて触媒と単糖の分離実験を行ったところ、実施例3と同等の良好な分離結果が得られた。
(実施例10〜14)
各種条件で、リンタングステン酸を触媒としたアビセルの加水分解反応を行った。すなわち、実施例9と同様の方法で、ただし、リンタングステン酸濃度、反応温度、反応時間は表1に示した各条件に変更して実施した。結果も合わせて表1に示す。グルコース収率は反応時間とともに向上するが選択率は低下する。これは過分解が起こるためである。表1の結果より、選択率は、触媒濃度が高い方が優れていることが分かった(実施例9と10、同程度のグルコース収率における比較)。また、反応温度も高い方が、選択率が優れていることが分かった(実施例10と11の比較)。次に、得られた各種糖化液を用いて、実施例3と同様の方法で触媒と単糖の膜分離実験を行ったところ、実施例3と同等の良好な分離結果が得られた。
各種条件で、リンタングステン酸を触媒としたアビセルの加水分解反応を行った。すなわち、実施例9と同様の方法で、ただし、リンタングステン酸濃度、反応温度、反応時間は表1に示した各条件に変更して実施した。結果も合わせて表1に示す。グルコース収率は反応時間とともに向上するが選択率は低下する。これは過分解が起こるためである。表1の結果より、選択率は、触媒濃度が高い方が優れていることが分かった(実施例9と10、同程度のグルコース収率における比較)。また、反応温度も高い方が、選択率が優れていることが分かった(実施例10と11の比較)。次に、得られた各種糖化液を用いて、実施例3と同様の方法で触媒と単糖の膜分離実験を行ったところ、実施例3と同等の良好な分離結果が得られた。
(比較例1)
実施例9と同様に、ただし触媒として1%硫酸を用いてアビセルの加水分解反応を行った。反応結果を表1に示す。リンタングステン酸に比して、選択率、反応速度とも低いことが分かった(同程度のプロトン量の実施例9との比較)。次に、得られた糖化液を用いて、実施例3と同様の方法で触媒と単糖の膜分離実験を行った。触媒の硫酸とグルコースは全く分離されず、ともに膜を透過して透過側に回収された。
実施例9と同様に、ただし触媒として1%硫酸を用いてアビセルの加水分解反応を行った。反応結果を表1に示す。リンタングステン酸に比して、選択率、反応速度とも低いことが分かった(同程度のプロトン量の実施例9との比較)。次に、得られた糖化液を用いて、実施例3と同様の方法で触媒と単糖の膜分離実験を行った。触媒の硫酸とグルコースは全く分離されず、ともに膜を透過して透過側に回収された。
(実施例15)
パームEFBの糖化反応、及び触媒回収を以下に示す一連のプロセスで行った。
前処理工程(1)(熱水処理):まず熱水処理により可溶性塩類を除去する操作を行った(脱塩工程)。すなわち、粉砕パームEFB12.5g(10%含水体)と50gのイオン交換水を100mlの耐圧容器に仕込み、密閉して150℃で30分加熱した。その後、ろ過により反応液と固体残渣(残渣Aとする)を分離し、さらに残渣Aを水20gで2回洗浄した。回収した反応ろ液、及び、洗浄液をICP分析したところ、単糖類の生成は見られなかったが、カリウム、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム等の可溶性塩類の溶出が確認された。
前処理工程(2)(希硫酸処理):続いて希硫酸処理によりヘミセルロースの分解を行った(脱へミセルロース工程)。残渣Aの全量(水ウェット体25.6g)に硫酸0.25gと純水36.6gを混合し(硫酸終濃度0.4%)、耐圧容器中、150℃で1時間加熱した。その後、ろ過により反応液と固体残渣(残渣Bとする)を分離し、さらに固体残渣Bを水20gで2回洗浄した。回収した反応ろ液、及び、洗浄液を分析したところ、キシロース1.9g、グルコース0.1g、マンノース0.1gの生成が確認された。
糖化工程(ヘテロポリ酸処理):続いてヘテロポリ酸を触媒としたセルロースの糖化反応を行った。残渣Bの全量(水ウェット体21.6g)に触媒としてリンタングステン酸3.75g、純水37.2gを加え(触媒終濃度6%)、175℃で3時間加熱した。その後、ろ過で反応液と固体残渣(残渣Cとする)を分離し、さらに残渣Cを水20gで2回洗浄した。回収した反応ろ液、及び、洗浄液(合計80.5g)を分析したところ、グルコース計1.8gの生成が確認された。また、ICP測定の結果より、触媒のリンタングステン酸は反応ろ液、及び洗浄液中に計2.1g存在することが分かった(仕込み触媒の55%量)。一方、残渣Cを乾燥し、リンタングステン酸を灰分量測定、及び蛍光X線にて定量したところ、残渣C中にリンタングステン酸が1.8g存在することが分かった(仕込み触媒の45%量)。リンタングステンは固体残渣に吸着していることが分かった。
パームEFBの糖化反応、及び触媒回収を以下に示す一連のプロセスで行った。
前処理工程(1)(熱水処理):まず熱水処理により可溶性塩類を除去する操作を行った(脱塩工程)。すなわち、粉砕パームEFB12.5g(10%含水体)と50gのイオン交換水を100mlの耐圧容器に仕込み、密閉して150℃で30分加熱した。その後、ろ過により反応液と固体残渣(残渣Aとする)を分離し、さらに残渣Aを水20gで2回洗浄した。回収した反応ろ液、及び、洗浄液をICP分析したところ、単糖類の生成は見られなかったが、カリウム、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム等の可溶性塩類の溶出が確認された。
前処理工程(2)(希硫酸処理):続いて希硫酸処理によりヘミセルロースの分解を行った(脱へミセルロース工程)。残渣Aの全量(水ウェット体25.6g)に硫酸0.25gと純水36.6gを混合し(硫酸終濃度0.4%)、耐圧容器中、150℃で1時間加熱した。その後、ろ過により反応液と固体残渣(残渣Bとする)を分離し、さらに固体残渣Bを水20gで2回洗浄した。回収した反応ろ液、及び、洗浄液を分析したところ、キシロース1.9g、グルコース0.1g、マンノース0.1gの生成が確認された。
糖化工程(ヘテロポリ酸処理):続いてヘテロポリ酸を触媒としたセルロースの糖化反応を行った。残渣Bの全量(水ウェット体21.6g)に触媒としてリンタングステン酸3.75g、純水37.2gを加え(触媒終濃度6%)、175℃で3時間加熱した。その後、ろ過で反応液と固体残渣(残渣Cとする)を分離し、さらに残渣Cを水20gで2回洗浄した。回収した反応ろ液、及び、洗浄液(合計80.5g)を分析したところ、グルコース計1.8gの生成が確認された。また、ICP測定の結果より、触媒のリンタングステン酸は反応ろ液、及び洗浄液中に計2.1g存在することが分かった(仕込み触媒の55%量)。一方、残渣Cを乾燥し、リンタングステン酸を灰分量測定、及び蛍光X線にて定量したところ、残渣C中にリンタングステン酸が1.8g存在することが分かった(仕込み触媒の45%量)。リンタングステンは固体残渣に吸着していることが分かった。
(実施例16)
反応液中からの触媒回収:実施例15で得られた反応液を用いて、反応液中からリンタングステン酸を回収する操作を行った。すなわち、実施例15のヘテロポリ酸処理で得られた反応ろ液と洗浄液の混合液のうち、38g(リンタングステン酸1.0g、グルコース0.9g含む)を実施例3と同様に分離膜NTR−7450を用いて膜分離にかけた。ただし、操作条件は室温、操作圧は0.6MPaとした。その結果、リンタングステン酸は99%以上が濃縮側に回収され、グルコースは90%以上が透過側に回収された。最終的にリンタングステン酸は8%まで濃縮した。
反応液中からの触媒回収:実施例15で得られた反応液を用いて、反応液中からリンタングステン酸を回収する操作を行った。すなわち、実施例15のヘテロポリ酸処理で得られた反応ろ液と洗浄液の混合液のうち、38g(リンタングステン酸1.0g、グルコース0.9g含む)を実施例3と同様に分離膜NTR−7450を用いて膜分離にかけた。ただし、操作条件は室温、操作圧は0.6MPaとした。その結果、リンタングステン酸は99%以上が濃縮側に回収され、グルコースは90%以上が透過側に回収された。最終的にリンタングステン酸は8%まで濃縮した。
(実施例17)
固体残渣からの触媒回収(有機物熱分解):有機物の熱分解による残渣からの触媒回収操作を行った。すなわち、実施例15で得られた残渣Cを乾燥させ(乾燥重量6.4g)、そのうち0.5g(リンタングステン酸0.14g含む)を焼成皿に取り、マッフル炉中、450℃で1時間加熱処理をした。なお、加熱中は空気を流通させた。加熱後、茶色の残渣0.15gが得られた。この残渣に純水1.0gを加えて室温で30分間攪拌して水溶性成分を溶出させ、遠心分離にかけて遠心分離後の上澄みを回収した。この操作を更に2回繰り返し、合計約3gの溶出液を得た。この溶出液をLC分析したところ、0.11gのリンタングステン酸が確認された(回収率85%)。LC分析におけるリテンションタイムはフレッシュな触媒と同様であり、構造変化は見られなかった。これより触媒リンタングステン酸は、有機物を熱分解することで固体残渣から回収可能であることが分かった。
固体残渣からの触媒回収(有機物熱分解):有機物の熱分解による残渣からの触媒回収操作を行った。すなわち、実施例15で得られた残渣Cを乾燥させ(乾燥重量6.4g)、そのうち0.5g(リンタングステン酸0.14g含む)を焼成皿に取り、マッフル炉中、450℃で1時間加熱処理をした。なお、加熱中は空気を流通させた。加熱後、茶色の残渣0.15gが得られた。この残渣に純水1.0gを加えて室温で30分間攪拌して水溶性成分を溶出させ、遠心分離にかけて遠心分離後の上澄みを回収した。この操作を更に2回繰り返し、合計約3gの溶出液を得た。この溶出液をLC分析したところ、0.11gのリンタングステン酸が確認された(回収率85%)。LC分析におけるリテンションタイムはフレッシュな触媒と同様であり、構造変化は見られなかった。これより触媒リンタングステン酸は、有機物を熱分解することで固体残渣から回収可能であることが分かった。
(実施例18〜22)
各種温度条件にて残渣Cからの触媒回収を試みた。実施例17と全く同様に、ただし加熱温度、時間は表2に示した条件に変えて回収実験を行った。リンタングステン酸の回収率を表2に合わせて示す。
なお、高温条件の実施例21、22においては、リンタングステンとしてはほとんど回収されなかった。高温条件ではリンタングステン酸が脱水を受け、三酸化タングステンが生成していることが分かった。そこで、加熱後の残渣をアルカリ処理(1%水酸化ナトリウム水溶液)したところ、タングステン酸イオンとして溶出され、回収可能であることが分かった。
各種温度条件にて残渣Cからの触媒回収を試みた。実施例17と全く同様に、ただし加熱温度、時間は表2に示した条件に変えて回収実験を行った。リンタングステン酸の回収率を表2に合わせて示す。
なお、高温条件の実施例21、22においては、リンタングステンとしてはほとんど回収されなかった。高温条件ではリンタングステン酸が脱水を受け、三酸化タングステンが生成していることが分かった。そこで、加熱後の残渣をアルカリ処理(1%水酸化ナトリウム水溶液)したところ、タングステン酸イオンとして溶出され、回収可能であることが分かった。
(実施例23)
固体残渣からの触媒回収(有機溶媒溶出):有機溶媒処理による残渣からの触媒溶出実験を行った。すなわち、実施例15で得られた残渣Cの乾燥体0.1g(リンタングステン酸0.027g含む)を1mlの50%アセトン水溶液と混合し、室温で30分間攪拌した。その後、遠心分離により固液分離し、上澄み(溶出液)と固体残渣を得た。同様の操作を更に2度繰り返して溶出を行い、合計約3mlの溶出液を得た。溶出液をLC分析したところ、0.023gのリンタングステン酸が確認された(回収率85%)。これより触媒リンタングステン酸は、アセトン溶出により回収可能であることが分かった。
固体残渣からの触媒回収(有機溶媒溶出):有機溶媒処理による残渣からの触媒溶出実験を行った。すなわち、実施例15で得られた残渣Cの乾燥体0.1g(リンタングステン酸0.027g含む)を1mlの50%アセトン水溶液と混合し、室温で30分間攪拌した。その後、遠心分離により固液分離し、上澄み(溶出液)と固体残渣を得た。同様の操作を更に2度繰り返して溶出を行い、合計約3mlの溶出液を得た。溶出液をLC分析したところ、0.023gのリンタングステン酸が確認された(回収率85%)。これより触媒リンタングステン酸は、アセトン溶出により回収可能であることが分かった。
(実施例24〜28)
各種溶出剤での触媒溶出実験を行い、溶媒種の影響を調べた。50%アセトン水溶液の代わりに各種溶出剤を用いた以外は実施例23と全く同様に実験を行った。溶媒種の差を明確にするため、溶出操作1回終了時点でのリンタングステン酸溶出率を比較した。結果を表3に示す。なお、実施例28のアルカリ処理では、タングステン酸イオンとして溶出していることが分かった。
各種溶出剤での触媒溶出実験を行い、溶媒種の影響を調べた。50%アセトン水溶液の代わりに各種溶出剤を用いた以外は実施例23と全く同様に実験を行った。溶媒種の差を明確にするため、溶出操作1回終了時点でのリンタングステン酸溶出率を比較した。結果を表3に示す。なお、実施例28のアルカリ処理では、タングステン酸イオンとして溶出していることが分かった。
(比較例2、3)
実施例23と同様に、水、および1%硫酸水溶液を用いて触媒の溶出実験を行った。結果を表3に合わせて示す。水、および硫酸では触媒はほとんど溶出されないことが分かった。
実施例23と同様に、水、および1%硫酸水溶液を用いて触媒の溶出実験を行った。結果を表3に合わせて示す。水、および硫酸では触媒はほとんど溶出されないことが分かった。
(実施例29)
パームEFBの糖化実験を以下に示す一連のプロセスで行った。
前処理工程(1):可溶性塩類の除去、およびヘミセルロース分解を目的とした希硫酸処理を行った(脱へミセルロース工程)。すなわち、粉砕パームEFB24.0g(10%含水体)と120gの1%硫酸水溶液を200mlの耐圧容器に仕込み、密閉して150℃で1時間加熱した。反応液をLC分析したところ、キシロース4.8g、グルコース0.2g、マンノース0.2g(トータルの単糖収率は24%)の生成が確認された。その後、ろ過により反応液と固体残渣を分離し、さらに残渣を水200gで3回洗浄した。洗浄後の残渣を真空乾燥にかけた(70℃、2時間)ところ、15.4gの固体(前処理EFB−1)が得られた(乾燥体基準の重量収率71%)。
前処理工程(2):続いてリグニンの除去を目的としたアセトン処理を行った。(脱リグニン工程)。すなわち、得られた前処理EFB−1のうち1.0gを分取し、10mlの50%アセトン水溶液と混合し、50mlの耐圧容器に仕込んで120℃、2時間の加熱処理を施した。その後、ろ過により固液分離を行い、固体残渣を30mlの純水で3回洗浄した。続いて真空乾燥にかけたところ、0.81gの固体(前処理EFB−2)が得られた。
触媒吸着実験:上記工程で得られた前処理EFB−2の全量を10mlの1%リンタングステン酸水溶液と混合し、150℃で30分間加熱した。静置した後、少量の上澄みをLC分析にかけ、遊離のリンタングステン酸濃度を定量し、前処理EFBに吸着したリンタングステン酸量を算出した。その結果、吸着率は58%であった。
セルロース糖化実験:上記触媒吸着実験の後、反応液にリンタングステン酸を0.4g追加し、触媒濃度を5%とした。つづいて150℃で12時間加熱し、セルロースの糖化反応を行った。グルコースの生成量は0.16gであった。
触媒回収実験:反応液からの触媒回収を行った。すなわち、上記糖化実験で得られた糖化反応液をろ過で固液分離し、固体残渣を20mlの純水で2回洗浄した。反応ろ液と洗浄液を混合し、そのうち40gを用いて、実施例3と同様に分離膜NTR−7450でリンタングステン酸の回収実験を行った。触媒の回収率は99%以上であった。
パームEFBの糖化実験を以下に示す一連のプロセスで行った。
前処理工程(1):可溶性塩類の除去、およびヘミセルロース分解を目的とした希硫酸処理を行った(脱へミセルロース工程)。すなわち、粉砕パームEFB24.0g(10%含水体)と120gの1%硫酸水溶液を200mlの耐圧容器に仕込み、密閉して150℃で1時間加熱した。反応液をLC分析したところ、キシロース4.8g、グルコース0.2g、マンノース0.2g(トータルの単糖収率は24%)の生成が確認された。その後、ろ過により反応液と固体残渣を分離し、さらに残渣を水200gで3回洗浄した。洗浄後の残渣を真空乾燥にかけた(70℃、2時間)ところ、15.4gの固体(前処理EFB−1)が得られた(乾燥体基準の重量収率71%)。
前処理工程(2):続いてリグニンの除去を目的としたアセトン処理を行った。(脱リグニン工程)。すなわち、得られた前処理EFB−1のうち1.0gを分取し、10mlの50%アセトン水溶液と混合し、50mlの耐圧容器に仕込んで120℃、2時間の加熱処理を施した。その後、ろ過により固液分離を行い、固体残渣を30mlの純水で3回洗浄した。続いて真空乾燥にかけたところ、0.81gの固体(前処理EFB−2)が得られた。
触媒吸着実験:上記工程で得られた前処理EFB−2の全量を10mlの1%リンタングステン酸水溶液と混合し、150℃で30分間加熱した。静置した後、少量の上澄みをLC分析にかけ、遊離のリンタングステン酸濃度を定量し、前処理EFBに吸着したリンタングステン酸量を算出した。その結果、吸着率は58%であった。
セルロース糖化実験:上記触媒吸着実験の後、反応液にリンタングステン酸を0.4g追加し、触媒濃度を5%とした。つづいて150℃で12時間加熱し、セルロースの糖化反応を行った。グルコースの生成量は0.16gであった。
触媒回収実験:反応液からの触媒回収を行った。すなわち、上記糖化実験で得られた糖化反応液をろ過で固液分離し、固体残渣を20mlの純水で2回洗浄した。反応ろ液と洗浄液を混合し、そのうち40gを用いて、実施例3と同様に分離膜NTR−7450でリンタングステン酸の回収実験を行った。触媒の回収率は99%以上であった。
(実施例30〜34)
実施例29と同様に、ただし前処理工程(2)の条件を変えて一連の実験を行った。50%アセトンの代わりに表4に示した種々の処理液、及び処理条件を用いた。ただし、実施例34では前処理工程(2)を行わず、1.0gの前処理EFB−1を用いて直ちに触媒吸着実験を行った。これらの結果を表4に示す。有機溶媒処理、アルカリ処理等のリグニンを除去するような処理を施すことで、触媒吸着率が低下することが分かった。
実施例29と同様に、ただし前処理工程(2)の条件を変えて一連の実験を行った。50%アセトンの代わりに表4に示した種々の処理液、及び処理条件を用いた。ただし、実施例34では前処理工程(2)を行わず、1.0gの前処理EFB−1を用いて直ちに触媒吸着実験を行った。これらの結果を表4に示す。有機溶媒処理、アルカリ処理等のリグニンを除去するような処理を施すことで、触媒吸着率が低下することが分かった。
(比較例4)
実施例29と同様に、ただし触媒として硫酸を用いて糖化実験を行った。すなわち、実施例29と同様に前処理工程(2)まで実施した後、前処理EFB−2に10mlの5%硫酸水溶液を加え、150℃で12時間加熱して糖化反応を行った。グルコースの生成量は0.08gであった。続いてNTR−7450を用いた触媒回収実験を行ったが、触媒の硫酸は全く回収されなかった。
実施例29と同様に、ただし触媒として硫酸を用いて糖化実験を行った。すなわち、実施例29と同様に前処理工程(2)まで実施した後、前処理EFB−2に10mlの5%硫酸水溶液を加え、150℃で12時間加熱して糖化反応を行った。グルコースの生成量は0.08gであった。続いてNTR−7450を用いた触媒回収実験を行ったが、触媒の硫酸は全く回収されなかった。
(実施例35〜37)
種々のヘテロポリ酸を触媒として用いて実施例34と同様の実験を行った。すなわち、実施例34と同様に(前処理工程(2)は行わず)、ただし、触媒吸着実験、及びセルロース糖化実験における触媒として、リンタングステン酸の代わりに表5に示したヘテロポリ酸を用いて実験を行った。結果を合わせて表5に示す。なお、ケイタングステン酸、リンモリブデン酸は日本無機化学工業社製、ホウタングステン酸は調製品である。
種々のヘテロポリ酸を触媒として用いて実施例34と同様の実験を行った。すなわち、実施例34と同様に(前処理工程(2)は行わず)、ただし、触媒吸着実験、及びセルロース糖化実験における触媒として、リンタングステン酸の代わりに表5に示したヘテロポリ酸を用いて実験を行った。結果を合わせて表5に示す。なお、ケイタングステン酸、リンモリブデン酸は日本無機化学工業社製、ホウタングステン酸は調製品である。
(実施例38)
ポリビニルスルホン酸を用いて実施例34と同様の実験を行った。すなわち、実施例29で得られた前処理EFB−1を1.0g分取し、10mlの2.5%ポリビニルスルホン酸(実施例5で用いたもの)を加え、150℃で6時間、糖化反応を行った。続いて固液分離の後、液体中に存在する触媒成分の回収実験を行った。結果を表5に合わせて示す。なお、触媒吸着実験は行わなかった。
ポリビニルスルホン酸を用いて実施例34と同様の実験を行った。すなわち、実施例29で得られた前処理EFB−1を1.0g分取し、10mlの2.5%ポリビニルスルホン酸(実施例5で用いたもの)を加え、150℃で6時間、糖化反応を行った。続いて固液分離の後、液体中に存在する触媒成分の回収実験を行った。結果を表5に合わせて示す。なお、触媒吸着実験は行わなかった。
(実施例39)
ビニルスルホン酸とアクリル酸の共重合体を用いて実施例38と同様の実験を行った。糖化反応は実施例38と全く同様に、ただし触媒としてポリビニルスルホン酸の代わりにビニルスルホン酸とアクリル酸の共重合体を用いた。結果を表5に合わせて示す。
なお、共重合体の調製は以下のようにして行った。すなわち、25%のビニルスルホン酸ナトリウム水溶液60gと37%アクリル酸ナトリウム水溶液7.3gをフラスコ中で混合し(モル比は8対2)、さらに純水を106.9g加えて80℃に昇温した。続いて、10%の過硫酸ナトリウム水溶液を2.9g添加し、内温80℃〜90℃で1時間保持して重合反応を進行させた。GPC分析の結果、平均分子量約3000のポリマーが生成していた。このポリマーをイオン交換樹脂で酸型に変換し、触媒として用いた。
ビニルスルホン酸とアクリル酸の共重合体を用いて実施例38と同様の実験を行った。糖化反応は実施例38と全く同様に、ただし触媒としてポリビニルスルホン酸の代わりにビニルスルホン酸とアクリル酸の共重合体を用いた。結果を表5に合わせて示す。
なお、共重合体の調製は以下のようにして行った。すなわち、25%のビニルスルホン酸ナトリウム水溶液60gと37%アクリル酸ナトリウム水溶液7.3gをフラスコ中で混合し(モル比は8対2)、さらに純水を106.9g加えて80℃に昇温した。続いて、10%の過硫酸ナトリウム水溶液を2.9g添加し、内温80℃〜90℃で1時間保持して重合反応を進行させた。GPC分析の結果、平均分子量約3000のポリマーが生成していた。このポリマーをイオン交換樹脂で酸型に変換し、触媒として用いた。
(実施例40)
パームEFBの糖化反応、及び触媒回収を以下に示す一連のプロセスで行った。
前処理工程(熱水処理):実施例15と全く同様に、粉砕パームEFB12.5g(10%含水体)を原料として熱水処理を行った(脱塩工程)。
糖化工程(1):続いて、リンタングステン酸によるヘミセルロースの分解を行った。熱水処理後の残渣(水ウェット体24.9g)に純水35g、リンタングステン酸2.5g加え、耐圧容器中、150℃で1時間加熱した。その後、反応液と固体残渣をろ過分離し、さらに固体残渣を水30gで2回洗浄した。回収した反応ろ液、及び洗浄液を分析したところ、キシロース2.7g、グルコース0.1g、マンノース0.1gの生成が確認された。
糖化工程(2):続いて、リンタングステン酸によるセルロースの分解を行った。糖化工程(1)で得られた固体残渣の全量(水ウェット体20.8g)に純水25g、リンタングステン酸2.5gを加え、180℃で3時間加熱した。その後、反応液と固体残渣をろ別し、さらに固体残渣を純水30gで2回洗浄した。回収した反応ろ液、及び、洗浄液を分析したところ、グルコース2.3gの生成が確認された。
反応液中からの触媒回収:糖化工程(1)及び(2)で得られた反応液、及び洗浄液を全て混合し、そのうち40g(リンタングステン酸1.1g、キシロース0.5g、グルコース0.5g含む)を分取し、実施例3と同様に分離膜NTR−7450を用いて膜分離を行った。ただし、操作条件は室温、操作圧は0.6MPaとした。その結果、リンタングステン酸は99.8%が濃縮側に回収され、キシロース、グルコースは91%が透過側に回収された。
パームEFBの糖化反応、及び触媒回収を以下に示す一連のプロセスで行った。
前処理工程(熱水処理):実施例15と全く同様に、粉砕パームEFB12.5g(10%含水体)を原料として熱水処理を行った(脱塩工程)。
糖化工程(1):続いて、リンタングステン酸によるヘミセルロースの分解を行った。熱水処理後の残渣(水ウェット体24.9g)に純水35g、リンタングステン酸2.5g加え、耐圧容器中、150℃で1時間加熱した。その後、反応液と固体残渣をろ過分離し、さらに固体残渣を水30gで2回洗浄した。回収した反応ろ液、及び洗浄液を分析したところ、キシロース2.7g、グルコース0.1g、マンノース0.1gの生成が確認された。
糖化工程(2):続いて、リンタングステン酸によるセルロースの分解を行った。糖化工程(1)で得られた固体残渣の全量(水ウェット体20.8g)に純水25g、リンタングステン酸2.5gを加え、180℃で3時間加熱した。その後、反応液と固体残渣をろ別し、さらに固体残渣を純水30gで2回洗浄した。回収した反応ろ液、及び、洗浄液を分析したところ、グルコース2.3gの生成が確認された。
反応液中からの触媒回収:糖化工程(1)及び(2)で得られた反応液、及び洗浄液を全て混合し、そのうち40g(リンタングステン酸1.1g、キシロース0.5g、グルコース0.5g含む)を分取し、実施例3と同様に分離膜NTR−7450を用いて膜分離を行った。ただし、操作条件は室温、操作圧は0.6MPaとした。その結果、リンタングステン酸は99.8%が濃縮側に回収され、キシロース、グルコースは91%が透過側に回収された。
下記実施例及び比較例では、下記のようにして、測定を行った。
(1)透過液の膜透過速度
膜分離時の透過液の流速を測定することにより求めた。
(2)リンタングステン酸の定量
結合誘導プラズマ分析(ICP分析)により、下記装置を用いて、タングステン量を定量し、リンタングステン酸量を算出した。
装置:ICPE−9000(商品名、島津製作所社製)
(3)グルコースの定量
液体クロマトグラフィ(HPLC)LC−8020(東ソー社製)を用いて、以下の条件により行った。
測定条件:
カラム TSK−GEL Amide80(商品名、東ソー社製)
カラム温度 60℃
移動相 アセトニトリル−水混合溶媒(体積比:75/25)
検出器 RI
(1)透過液の膜透過速度
膜分離時の透過液の流速を測定することにより求めた。
(2)リンタングステン酸の定量
結合誘導プラズマ分析(ICP分析)により、下記装置を用いて、タングステン量を定量し、リンタングステン酸量を算出した。
装置:ICPE−9000(商品名、島津製作所社製)
(3)グルコースの定量
液体クロマトグラフィ(HPLC)LC−8020(東ソー社製)を用いて、以下の条件により行った。
測定条件:
カラム TSK−GEL Amide80(商品名、東ソー社製)
カラム温度 60℃
移動相 アセトニトリル−水混合溶媒(体積比:75/25)
検出器 RI
下記実施例及び比較例では、下記の計算式により、評価を行った。
(1)初期リンタングステン酸透過阻止率
初期リンタングステン酸透過阻止率は、透過液量が膜分離に供する溶液の液量の10%に達した時のリンタングステン酸透過阻止率を表している。
リンタングステン酸透過阻止率(%)=[{(膜分離に供する溶液のリンタングステン酸濃度)−(透過液のリンタングステン酸濃度)}/(膜分離に供する溶液のリンタングステン酸濃度)]×100
(2)グルコース透過率
グルコース透過率(%)={(透過液のグルコース濃度)/(膜分離に供する溶液のグルコース濃度)}×100
(1)初期リンタングステン酸透過阻止率
初期リンタングステン酸透過阻止率は、透過液量が膜分離に供する溶液の液量の10%に達した時のリンタングステン酸透過阻止率を表している。
リンタングステン酸透過阻止率(%)=[{(膜分離に供する溶液のリンタングステン酸濃度)−(透過液のリンタングステン酸濃度)}/(膜分離に供する溶液のリンタングステン酸濃度)]×100
(2)グルコース透過率
グルコース透過率(%)={(透過液のグルコース濃度)/(膜分離に供する溶液のグルコース濃度)}×100
金属酸化物によるヘテロポリ酸吸着実験
(比較例5)
サンゴバン・ノルプロ社製γ−アルミナ(商品名「SA6576」)1gを15.5%のリンタングステン酸水溶液30gに加えて1時間浸漬後の溶液中のリンタングステン酸濃度を測定したところ、リンタングステン酸濃度が14.2%まで低下した。仕込みのリンタングステン酸の8.4%がγ−アルミナに吸着したことを確認した。
なお、リンタングステン酸としては、リンタングステン酸(商品名、日本無機化学工業社製)を用いた。
(比較例5)
サンゴバン・ノルプロ社製γ−アルミナ(商品名「SA6576」)1gを15.5%のリンタングステン酸水溶液30gに加えて1時間浸漬後の溶液中のリンタングステン酸濃度を測定したところ、リンタングステン酸濃度が14.2%まで低下した。仕込みのリンタングステン酸の8.4%がγ−アルミナに吸着したことを確認した。
なお、リンタングステン酸としては、リンタングステン酸(商品名、日本無機化学工業社製)を用いた。
金属酸化物によるヘテロポリ酸吸着実験
(比較例6〜9)
金属酸化物として表6に記載の金属酸化物を用いて、比較例5と同様に吸着実験を行った。
(比較例6〜9)
金属酸化物として表6に記載の金属酸化物を用いて、比較例5と同様に吸着実験を行った。
有機高分子膜によるヘテロポリ酸吸着実験
(実施例41〜44)
金属酸化物の代わりに、表6に記載の有機高分子膜を用いて、比較例5と同様に吸着実験を行った。
ヘテロポリ酸吸着実験の結果を表6に示す。
(実施例41〜44)
金属酸化物の代わりに、表6に記載の有機高分子膜を用いて、比較例5と同様に吸着実験を行った。
ヘテロポリ酸吸着実験の結果を表6に示す。
ヘテロポリ酸分離実験
(実施例45)
ナノ濾過膜であるNTR−7450(日東電工社製)の平膜を取り付けた分離膜評価装置メンブレンマスターC10−T(日東電工社製;膜面積60cm2)を用いて、ヘテロポリ酸の分離実験を行った。このメンブレンマスターC10−Tに分離対象液を送液ポンプにて供給することで膜に対して平行な液の流れができるのでクロスフロー形式での分離膜評価が可能になる。膜分離に供する分離対象液を100g(リンタングステン酸(日本無機化学工業社製、商品名「リンタングステン酸」)4g、グルコース(関東化学社製、商品名「D(+)−グルコース」)10g含有)加えた。続いて、濃縮液側(膜分離に供する溶液を含む側)を0.3MPaに加圧して、温度25℃、フィード流速100ml/分で膜分離を行った。その際の透過液の膜透過速度は105g/min/m2であった。そして、膜を隔てた透過側に50gの透過液を得た。
初期リンタングステン酸透過阻止率は、99.8%であり、グルコースの透過率は、99%であった。
(実施例45)
ナノ濾過膜であるNTR−7450(日東電工社製)の平膜を取り付けた分離膜評価装置メンブレンマスターC10−T(日東電工社製;膜面積60cm2)を用いて、ヘテロポリ酸の分離実験を行った。このメンブレンマスターC10−Tに分離対象液を送液ポンプにて供給することで膜に対して平行な液の流れができるのでクロスフロー形式での分離膜評価が可能になる。膜分離に供する分離対象液を100g(リンタングステン酸(日本無機化学工業社製、商品名「リンタングステン酸」)4g、グルコース(関東化学社製、商品名「D(+)−グルコース」)10g含有)加えた。続いて、濃縮液側(膜分離に供する溶液を含む側)を0.3MPaに加圧して、温度25℃、フィード流速100ml/分で膜分離を行った。その際の透過液の膜透過速度は105g/min/m2であった。そして、膜を隔てた透過側に50gの透過液を得た。
初期リンタングステン酸透過阻止率は、99.8%であり、グルコースの透過率は、99%であった。
ヘテロポリ酸分離実験
(実施例46〜54)
分離条件を表7のように変更した以外は、実施例45と同様に分離実験を行った。
ヘテロポリ酸分離実験の結果を表7に示す。
なお、表6及び表7中の略語は以下のとおりである。
NORPRO:サンゴバン・ノルプロ社
KOCH:コーク・メンブレン社
GE:GEウォーター・アンド・プロセス・テクノロジーズ社
NF:有機高分子ナノ濾過膜
UF:有機高分子限外濾過膜
(実施例46〜54)
分離条件を表7のように変更した以外は、実施例45と同様に分離実験を行った。
ヘテロポリ酸分離実験の結果を表7に示す。
なお、表6及び表7中の略語は以下のとおりである。
NORPRO:サンゴバン・ノルプロ社
KOCH:コーク・メンブレン社
GE:GEウォーター・アンド・プロセス・テクノロジーズ社
NF:有機高分子ナノ濾過膜
UF:有機高分子限外濾過膜
実施例1〜14、比較例1の結果から、均一系酸触媒を用いて多糖類の加水分解によって単糖類を生成させ、得られた反応液に膜分離を施すことによって、単糖類と触媒とを分離して単糖類を高い収率で得るとともに、触媒を高い回収率で回収できることが確認された。また、加水分解反応の反応時間が長くなると、単糖類の過分解が起こり、単糖類の収率は高くなるが、単糖類の選択率が低下すること、及び、加水分解反応時の触媒濃度が高いほど、また反応温度が高いほど、選択率が高くなることが確認された。
実施例15〜22の結果から、均一系酸触媒を用いて多糖類の加水分解によって単糖類を生成させ、得られた反応液を固液分離して反応残渣をとりだし、これを熱分解することでも、触媒を高い回収率で回収できることが確認された。
実施例23〜28、及び、比較例2、3の結果から、均一系酸触媒を用いて多糖類の加水分解によって単糖類を生成させ、得られた反応液を固液分離して反応残渣をとりだし、この残渣に溶出剤を加えることで、触媒を溶出させて高い回収率で回収できることが確認された。
実施例29〜34、及び、比較例4の結果から、加水分解に供される前に多糖類からリグニンを除去する処理として、希硫酸処理及びアセトン処理を行った後、均一系酸触媒を加えて加水分解を行うことで、触媒のリグニンへの吸着率を抑えることができることが確認され、また、アセトン処理の条件が吸着率に影響することが確認された。また、吸着率が比較的高い実施例29においても、固液分離と、反応残渣の洗浄、及び、該洗浄液を加えた反応液の分子ふるい膜による膜分離によって、高い触媒回収率が得られることが確認された。更に、分子量200以上の均一系酸触媒を用いない場合には、触媒が回収されない結果となった。
実施例35〜39の結果から、均一系酸触媒として様々な種類の化合物を用い、前処理としてアセトン処理を行わず、希硫酸処理のみを行うと、化合物によって触媒吸着率に差がみられるものの、実施例29と同様に、分子ふるい膜による膜分離によって、触媒を高い回収率で回収できることが確認された。
実施例40の結果から、加水分解に供される前の多糖類の前処理として熱水処理を行い、前処理後の多糖類に均一系酸触媒を添加して加水分解反応を行った後、固液分離を行って得た反応残渣に更に均一系酸触媒を添加して2回目の加水分解を行うことで、より多くの単糖類を製造することができることが確認された。また、2回の加水分解で得られた溶液を合わせ、固液分離と、反応残渣の洗浄、及び、該洗浄液を加えた反応液の分子ふるい膜による膜分離を行うことによって、高い触媒回収率が得られることが確認された。
なお、上記実施例1〜40においては、特定の均一系酸触媒、多糖類を用い、加水分解、及び、触媒の分離を行った例が示されているが、加水分解反応後の均一系酸触媒含有溶液から均一系酸触媒を分離する機構は、すべて同様であることから、上記実施例1〜40、比較例1〜4の結果から、本明細書において開示した種々の形態において本発明の単糖類の製造方法が適用でき、有利な作用効果を発揮することができるといえる。
実施例15〜22の結果から、均一系酸触媒を用いて多糖類の加水分解によって単糖類を生成させ、得られた反応液を固液分離して反応残渣をとりだし、これを熱分解することでも、触媒を高い回収率で回収できることが確認された。
実施例23〜28、及び、比較例2、3の結果から、均一系酸触媒を用いて多糖類の加水分解によって単糖類を生成させ、得られた反応液を固液分離して反応残渣をとりだし、この残渣に溶出剤を加えることで、触媒を溶出させて高い回収率で回収できることが確認された。
実施例29〜34、及び、比較例4の結果から、加水分解に供される前に多糖類からリグニンを除去する処理として、希硫酸処理及びアセトン処理を行った後、均一系酸触媒を加えて加水分解を行うことで、触媒のリグニンへの吸着率を抑えることができることが確認され、また、アセトン処理の条件が吸着率に影響することが確認された。また、吸着率が比較的高い実施例29においても、固液分離と、反応残渣の洗浄、及び、該洗浄液を加えた反応液の分子ふるい膜による膜分離によって、高い触媒回収率が得られることが確認された。更に、分子量200以上の均一系酸触媒を用いない場合には、触媒が回収されない結果となった。
実施例35〜39の結果から、均一系酸触媒として様々な種類の化合物を用い、前処理としてアセトン処理を行わず、希硫酸処理のみを行うと、化合物によって触媒吸着率に差がみられるものの、実施例29と同様に、分子ふるい膜による膜分離によって、触媒を高い回収率で回収できることが確認された。
実施例40の結果から、加水分解に供される前の多糖類の前処理として熱水処理を行い、前処理後の多糖類に均一系酸触媒を添加して加水分解反応を行った後、固液分離を行って得た反応残渣に更に均一系酸触媒を添加して2回目の加水分解を行うことで、より多くの単糖類を製造することができることが確認された。また、2回の加水分解で得られた溶液を合わせ、固液分離と、反応残渣の洗浄、及び、該洗浄液を加えた反応液の分子ふるい膜による膜分離を行うことによって、高い触媒回収率が得られることが確認された。
なお、上記実施例1〜40においては、特定の均一系酸触媒、多糖類を用い、加水分解、及び、触媒の分離を行った例が示されているが、加水分解反応後の均一系酸触媒含有溶液から均一系酸触媒を分離する機構は、すべて同様であることから、上記実施例1〜40、比較例1〜4の結果から、本明細書において開示した種々の形態において本発明の単糖類の製造方法が適用でき、有利な作用効果を発揮することができるといえる。
また表6の結果から、無機膜を構成する金属酸化物がリンタングステン酸を吸着するのに対して、有機高分子膜は、リンタングステン酸を吸着しないことが確認された。このことから、無機膜を用いてリンタングステン酸を分離する際に問題となる金属酸化物がリンタングステン酸を吸着することによるリンタングステン酸のロスを、有機高分子膜を用いることで抑制することができることがわかった。
表7の結果から、ヘテロポリ酸含有溶液からのヘテロポリ酸の分離に、25℃、0.1MPaにおける純水の透過速度が1g/min/m2以上である有機高分子膜を用いた膜分離を行うことにより、ヘテロポリ酸含有溶液のヘテロポリ酸濃度が高い場合であっても、ヘテロポリ酸を極めて高い透過阻止率で透過を阻止することができ、ヘテロポリ酸を高効率に分離することが可能であることが分かった。そして、ヘテロポリ酸含有溶液にグルコースが含まれている場合に、ヘテロポリ酸とグルコースとを充分に分離することが可能であることが分かった。
なお、上記実施例41以降においては、特定の有機高分子膜を用い、均一系酸触媒としてヘテロポリ酸を用いて膜分離を行った例が示されているが、有機高分子膜が均一系酸触媒を均一系酸触媒含有溶液から分離する機構は、すべて同様であることから、上記実施例41〜54、比較例5〜9の結果から、本明細書において開示した種々の形態において本発明の均一系触媒の分離方法が適用でき、有利な作用効果を発揮することができるといえる。
表7の結果から、ヘテロポリ酸含有溶液からのヘテロポリ酸の分離に、25℃、0.1MPaにおける純水の透過速度が1g/min/m2以上である有機高分子膜を用いた膜分離を行うことにより、ヘテロポリ酸含有溶液のヘテロポリ酸濃度が高い場合であっても、ヘテロポリ酸を極めて高い透過阻止率で透過を阻止することができ、ヘテロポリ酸を高効率に分離することが可能であることが分かった。そして、ヘテロポリ酸含有溶液にグルコースが含まれている場合に、ヘテロポリ酸とグルコースとを充分に分離することが可能であることが分かった。
なお、上記実施例41以降においては、特定の有機高分子膜を用い、均一系酸触媒としてヘテロポリ酸を用いて膜分離を行った例が示されているが、有機高分子膜が均一系酸触媒を均一系酸触媒含有溶液から分離する機構は、すべて同様であることから、上記実施例41〜54、比較例5〜9の結果から、本明細書において開示した種々の形態において本発明の均一系触媒の分離方法が適用でき、有利な作用効果を発揮することができるといえる。
a:前処理(粉砕、熱水処理等)
b:糖化(均一系酸触媒を用いた多糖類の加水分解)
c:固液分離
d:膜分離処理(分子ふるい膜)
e:熱分解処理
f:溶出処理
b:糖化(均一系酸触媒を用いた多糖類の加水分解)
c:固液分離
d:膜分離処理(分子ふるい膜)
e:熱分解処理
f:溶出処理
Claims (15)
- 均一系酸触媒を用いて多糖類を加水分解し、単糖類を製造する方法であって、
該単糖類の製造方法は、分子量200以上の均一系酸触媒を用いて多糖類を加水分解して単糖類を生成する加水分解工程と、加水分解後における均一系酸触媒の分離工程とを含み、
該分離工程は、均一系酸触媒含有溶液と加水分解反応残渣とに分離する固液分離、及び、下記(A)〜(C)からなる群より選択される少なくとも1つを含む工程であることを特徴とする単糖類の製造方法。
(A)加水分解工程後の固液分離によって分離された均一系酸触媒含有溶液に対して、有機高分子膜の分子ふるい膜を用いた均一系酸触媒の膜分離処理を施して均一系酸触媒を分離する工程。
(B)加水分解工程後の固液分離によって分離された均一系酸触媒の一部が吸着した加水分解反応残渣に対して、残渣内の有機物の熱分解処理を施して均一系酸触媒を分離する工程。
(C)加水分解工程後の固液分離によって分離された均一系酸触媒の一部が吸着した加水分解反応残渣に対して、アルカリ性溶液又は有機溶媒含有溶液を用いた均一系酸触媒の溶出処理を施して均一系酸触媒を分離する工程。 - 前記加水分解工程は、加水分解反応の際に、均一系酸触媒と反応系中に存在する水との質量割合が0.1:99.9〜50:50の範囲にて加水分解を行う工程であることを特徴とする請求項1に記載の単糖類の製造方法。
- 前記均一系酸触媒は、スルホン酸基を有する有機化合物、及び/又は、ヘテロポリ酸を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の単糖類の製造方法。
- 前記均一系酸触媒は、ヘテロポリ酸を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の単糖類の製造方法。
- 前記単糖類の製造方法は、分離工程によって分離した均一系酸触媒を回収し、リサイクルするリサイクル工程を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の単糖類の製造方法。
- 前記単糖類の製造方法は、分離工程の後に、直ちにリサイクル工程を行うことを特徴とする請求項5に記載の単糖類の製造方法。
- 前記加水分解工程は、加水分解を100℃以上の反応温度で行うことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の単糖類の製造方法。
- 前記多糖類は、脱塩工程、脱リグニン工程及び脱ヘミセルロース工程のうち、少なくとも1つを含む前処理工程を経て得られた多糖類であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の単糖類の製造方法。
- 前記膜分離処理を施して均一系酸触媒を分離する工程において用いる有機高分子膜の分子ふるい膜は、該有機高分子膜の25℃、0.1MPaにおける純水の透過速度が1g/min/m2以上であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の単糖類の製造方法。
- 前記有機高分子膜は、ナノろ過膜又は限外ろ過膜であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の単糖類の製造方法。
- 前記有機高分子膜は、カチオン交換基を有する高分子膜であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の単糖類の製造方法。
- 前記有機高分子膜は、スルホン酸基を有する高分子膜であることを特徴とする請求項11に記載の単糖類の製造方法。
- 均一系酸触媒含有溶液から均一系酸触媒を分離する方法であって、
該分離方法は、分子ふるい膜を用いた均一系酸触媒の膜分離処理を施して均一系酸触媒を分離する工程を含み、
該分子ふるい膜は、有機高分子膜を用いた分子ふるい膜であり、該有機高分子膜の25℃、0.1MPaにおける純水の透過速度が1g/min/m2以上であることを特徴とする均一系酸触媒の分離方法。 - 前記有機高分子膜は、ナノろ過膜又は限外ろ過膜であることを特徴とする請求項13に記載の均一系酸触媒の分離方法。
- 前記有機高分子膜は、カチオン交換基を有する高分子膜であることを特徴とする請求項13又は14に記載の均一系酸触媒の分離方法。
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