JP4590705B2 - 反射防止積層体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、反射防止積層体に関するもので、ガラスやプラスチックなどの透明基材などに塗工して、光学多層膜が形成された反射防止積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ガラスやプラスチックなどの基材に、酸化チタンや酸化ケイ素などの無機酸化物を蒸着法あるいはスパッタ法などのドライコーティングによって薄膜を形成して反射防止膜などの光干渉による光学多層膜を形成する方法が知られている。しかし、このようなドライコーティングプロセスでは装置が高価で、成膜速度が遅く、生産性が高くないなどの課題を有している。
これに対して、金属アルコキシドなどを出発組成物として、基材に塗工して光学多層膜を形成する方法が知られており、高屈折率材料としては、TiやZrなどのアルコキシドを用い、一方、低屈折率材料としては、ケイ素系アルコキシドあるいはケイ素アルコキシドの一部をエポキシ基やアルキル基など他の有機置換基に置き換えた有機ケイ素化合物、いわゆるシランカップリング剤などを用いる方法が提案されている。
しかし、これらの塗膜では、加熱重合に高温、長時間を必要とするため生産性に問題があった。また、ある程度の低い屈折率を得ることはできるが、硬度や耐擦傷性、基材との密着性などの物理的強度が不十分であり、光学多層膜は最外層に使用されるため、実用に耐えることができないといった欠点を有していた。
【0003】
これらを改善するために、例えば特開平9ー220791号公報等で示されているように、ケイ素アルコキシドを出発物質としたシリカゾルと反応性有機ケイ素化合物(シランカップリング剤や末端に反応基を有するジメチルシリコーンなど)との複合材料などが提案されている
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの酸化ケイ素(SiO2)系複合膜組成物も所望の物性を得ようとすると加熱に長時間を要するもので、アクリロイル基などの重合性不飽和基を含有する有機ケイ素化合物も記載されているが、いずれもアクリロイル基が1個乃至は2個の単官能あるいは2官能性の化合物であり、光(電子線(EB)も含む)重合しても高い架橋密度が得られない。硬度や耐擦傷性などの物理的強度を向上させようとすると、上記複合膜成分中にシリカ成分以外の成分、例えはアクリル系化合物を複合し、アクリル成分比率を高くする必要がある。そうすると、光学特性を決定するケイ素系などのアルコキシドを出発組成物とするシリカ成分の体積比が減少して、低屈折率化をはかることができないという欠点を有する。従来から、光学多層膜の低屈折率化と、硬度や耐擦傷性、基材との密着性などの物理的特性とが両立できる組成物は見出されていない。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、低屈折率を有し、かつ硬度や耐擦傷性、基材との密着性などの物理的強度にも優れ、安価で、生産性に優れた反射防止積層体を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
プラスチック基材の少なくとも片面に、ナノポーラス構造を有する低屈折率組成物被膜が形成された反射防止積層体において、前記低屈折率組成物被膜が、平均粒径が5〜100nmであるシリカゾル粒子に(3ーアクリロキシプロピル)トリメトキシシランを修飾させた複合ゾルと、分子中にアクリロイル基、メタクリロイル基から選択される不飽和結合を少なくとも3個以上を有し、平均分子量が200〜1000である多官能アクリル化合物とを含み、前記低屈折率組成物被膜のヘイズが1%以下であり、かつ5μm四方の微小領域における10点平均粗さRzが100nm以下でかつ算術平均粗さRaが2〜10nmであることを特徴とする反射防止積層体である。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の反射防止積層体において、前記複合ゾルが、低屈折率組成物に添加する前に、シリカゾル粒子/(3ーアクリロキシプロピル)トリメトキシシランのモル比で1/0.04〜1/0.25の範囲を満たす比率で、前記シリカゾル粒子に前記(3ーアクリロキシプロピル)トリメトキシシランをあらかじめ修飾させた複合ゾルであることを特徴とする。
【0013】
<作用>
本発明によれば、無機微粒子とバインダーとからなる低屈折率組成物被膜の表面粗さが、原子間力顕微鏡による測定で、5μm四方の微小領域における10点平均粗さRzが100nm以下でかつ算術平均粗さRaが 2〜10nmになるように形成することで光散乱の影響を受けずに、透明性を保持した(ヘイズが低い値の)まま、表面を微細なナノオーダーの凹凸を有するナノポーラス構造の低屈折率層を形成することができるものであり、ナノオーダーの凹凸を有するナノポーラス構造を形成することで、被膜中に空気孔を取り込み、見掛けの屈折率を低下させるものである。
【0014】
低屈折率組成物として、シリカゾル粒子と末端にビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基などの重合可能な不飽和結合を複数個有する多官能アクリル化合物を主成分とすることで、塗膜形成後に紫外線(UV)あるいは電子線(EB)照射により塗膜中のアクリロイル基などの重合可能な不飽和結合基の光重合による架橋により硬化するものであり、組成物中のシリカゾルの粒子径およびバインダーである多官能アクリル化合物の比率を制御することで、適度のナノポーラス構造を形成することができる。
組成物自身が低屈折率成分として機能するものではあるが、ナノポーラス構造により、材料自身の屈折率(シリカの屈折率1.45程度、アクリル成分の屈折率 1.50程度)では到達できない低屈折率化(1.40以下)をはかることができるものである。
【0015】
また、硬度、耐擦傷性等の物理的強さは、通常、アクリル基などの導入量によって決定されるものであり、これらのアクリル基成分は、通常、シリカ成分などに比べると屈折率がやや高く、アクリル成分が増加すると強度は向上するが、屈折率が高くなってしまう。本発明の低屈折率組成物は、特定の多官能アクリル化合物を用いることで、少ないバインダー量でも強度を発現させるものである。
なかでも、アクリル化合物として、分子量が大きなプレポリマーではなく、ジペンタエリストールヘキサアクリレート(DPHA)などの3官能以上の多官能アクリルモノマー用いることで、より均質で架橋密度の高いハイブリッド膜を形成することができる。
さらに、アクリロイル基を含有した有機ケイ素化合物による複合化(粒子修飾化)で、より被膜の架橋密度を向上させることができる。分子レベルで均一なハイブリッド構造を呈しているので、シリカゾルなどの低屈折率化成分の体積比が大きく、ナノポーラス構造を呈していても充分な強度を発揮できるもので、硬度が高く、耐擦傷性にも優れ、従来の低屈折率組成物からなる反射防止積層体の欠点を大幅に改善することができ、低屈折率化と高強度化の両立可能な反射防止積層体を提供するものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態について詳細に説明する。
本発明の反射防止積層体は、ガラス、プラスチックなどの基材の少なくとも片面に、ナノポーラス構造を有する低屈折率組成物被膜が形成された反射防止積層体において、前記低屈折率組成物被膜のヘイズが1%以下であり、かつ5μm四方の微小領域における10点平均粗さRzが100nm以下でかつ算術平均粗さRaが 2〜10nmであることを特徴とするものである。
【0017】
本発明における表面粗さの算術平均粗さRaおよび10点平均粗さRzおよびその計算はJIS-B0601の定義に準じた。原子間力顕微鏡などによって測定される微小領域、微小スケールにおける表面粗さのことである。
本発明における反射防止積層体は、可視領域の光学干渉を利用した反射防止層であるため、おおよそ積層される被膜の膜厚が100nm〜200nm程度であり、連続した膜で、光散乱の影響がでない程度の表面粗さである必要があり、凹凸の差が大き過ぎたり、凸凹の頻度が高過ぎると被膜のヘイズの増加および強度の低下を引き起こすので、Rzが100nm以下で、かつRaが2〜10nmの範囲が好適である。
【0018】
本発明の反射防止積層体は、前記低屈折率組成物被膜が、平均粒径が5〜100nmの無機超微粒子と、分子中にビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基などの重合可能な不飽和結合を少なくとも3個以上を有するアクリル系化合物とを主成分とし、前記無機超微粒子が、50〜100nmの範囲の粒径が10%以上有するシリカゾル粒子であって、低屈折率組成物被膜中のシリカゾル粒子の含有量が40〜80%であることを特徴とする。
低屈折率組成物は、無機微粒子とバインダーとからなるもので、無機微粒子としては、MgF2などのフッ化物、酸化珪素などの低屈折率粒子が例示され、またバインダーとしては、メラミン樹脂、ウレタン樹脂などが例示される。
しかし、本発明の反射防止積層体は、通常LCDディスプレイなどの表示装置の最外層に装着され、使用されるもので、耐擦傷性などの強度が必要とされるものでこれらを解決するためには特定の低屈折率組成物が必要となる。
【0019】
本発明において用いられるシリカゾル粒子としては、平均粒径が5〜100nmの粒子径のシリカ粒子が溶媒中に分散されたもので、ケイ酸ナトリムなどのケイ酸アルカリからイオン交換等でアルカリを除去したり、酸で中和したりする方法で得られるシリカゾルであって、水性でも、有機溶剤置換された有機溶媒系シリカゾルでも特に限定されないが、アクリルモノマーとの相溶性やプラスティック基材への塗工適性などから有機溶媒系のものが望ましい。
5nm以下は製造が困難であり、100nm以上では光の散乱のため透明性が損なわれる。
ナノポーラス構造とするためには粒子とバインダーとの比率が重要であり、本発明の低屈折率組成物被膜中の全シリカ粒子成分が30〜80wt%、さらに好適には40〜70wt%含有されていることがが望ましく、30wt%以下では所望の屈折率が得られにくく、80%以上では十分な強度を発現できなくなる。なかでも、粒径が50〜100nmである大粒子径成分が10wt%以上、さらに好適には20wt%以上含有されることで、最適なナノポーラス構造とすることができるものであって、10wt%以下では効果が少ない。
【0020】
本発明で用いられる多官能アクリル化合物としては、その分子中にビニル基、アクリロイル基やメタクルロイル基など重合可能なの不飽和結合を少なくとも3個以上有するものであって、例えばジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)などのアクリルモノマー類と、これらのモノマーの変性体、および誘導体などが使用できる。
なかでも、DPHA、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)、あるいはPETAとヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)などのジイソシアネートとの反応生成であるプレポリマーなど多官能アクリルモノマー類およびその変性体などで、平均分子量200〜1000のものであれば、シリカゾルとの相溶性も良く、被膜形成時に相分離することなく、架橋密度の高い、均質で透明なハイブリッド被膜が形成できる。
【0021】
さらに、本発明の反射防止積層体において、上記の低屈折率組成物被膜の成分に、
一般式(A) R’X Si(OR)4-X
(R:アルキル基、R’:末端にビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基などの重合可能な不飽和結合を有する官能基、xは0<x<4の置換数)で表される有機ケイ素化合物、およびその加水分解物とが含まれてなることを特徴とする。
アクリロイル基含有有機ケイ素化合物としては、ビニルトリメトキシチタン、メタクリロキシトリイソプロポキシチタネート、メタクリロキシプロピルトリイソプロポキシジルコネートなどが例示される。
なかでも、(3ーアクリロキシプロピル)トリメトキシシランなどに代表される
一般式(B) CH2=CHCOO−(CH)n―Si(OR)4
(R:アルキル基、xは0<x<4の置換数、nはn<5の整数)で表されるアクリロイル基含ケイ素化合物が好適である。
これらの有機金属ケイ素化合物は組成物中にp−トルエンスルホン酸などの有機酸触媒を含有させることで、塗工後に大気中の水分でもって加水分解反応させて被膜形成しても良いし、またあらかじめ水(塩酸などの触媒を含む)を添加し加水分解反応させたものを用いることもできる。
その際に、有機ケイ素化合物の加水分解物が、その有機ケイ素化合物の全アルコキシル基を加水分解させるのに必要な水の量の1/8〜7/8の量の水で部分加水分解されたものであるとすることで安定な組成物を得ることができ、余分な水を残すことなく特別な分離精製せずに用いることができる。
【0022】
上記の有機ケイ素化合物の加水分解物の調整は、アクリル化合物と余分な水との副反応を抑制したり、ケイ素化合物の加水分解率をコントロールして、ケイ素化合物ポリマーの成長を抑制したり、相溶性を高めることで、相分離を抑制し、均質で分子架橋密度が高く、分子レベルのハイブリッド膜を形成至らしめるものである。
これらのハイブリッド系組成物の組み合わせは、一般に公知ではあるが、本発明の組成物は単なる組み合わせではなく、マトリックスであるコート組成物の無機のネットワークと無機フィラーとの相溶性、親和性が高く、単に有機樹脂中に分散するより、より良い分散状態、フィラーとマトリックスとの密着性が高い被膜が得られる材料系で、通常の添加効果よりも高い効果が得られるものであり、特に、これらのアクリロイル基含有ケイ素化合物の添加の際に、シリカゾル粒子と前出の一般式(A)の有機ケイ素化合物を別の系にて混合反応させ、あらかじめ粒子表面に修飾させると、バインダー成分となるアクリル化合物の量を減少しても十分な強度を得られるなどの効果が大きくなりナノポーラス構造が、本発明の反射防止積層体の組成物には好適である。
【0023】
上記粒子表面の修飾方法は、塩酸、有機酸の存在下で両者を混合し、有機金属のアルコキシド基と粒子表面のOH基とを反応させることで容易に処理されるものであり、特別に分離精製することなく、そのまま他の成分を添加してコーティング組成物を調整することができる。
なかでも、アクリロイル基含有ケイ素化合物を粒子修飾する際に、アルコールやケトン系などの有機溶媒中でp−トルエンスルホン酸などのスルホン酸触媒下で反応させるのが修飾効率が良好で溶媒中への水の混入を防止することができ好適である。
【0024】
さらに、シリカゾル粒子とアクリロイル基含有ケイ素化合物との比率をシリカゾル粒子/アクリロイル基含有ケイ素化合物のモル比が1/0.04〜1/0.25(重量換算で90/10〜60/40wt%相当)とすることで、ナノポーラス構造と強度の両立することができ好適である。
本発明におけるナノポーラス構造とは、光の散乱の影響を受けないほどの微細な空隙を意味するもので、空隙の形態は閉じられたもの、開かれたものでも特に限定されるものではない。
上記空隙は、物理的にはある大きさを有するものであるが微細かつ不定形の場合が多く、電子顕微鏡などでは直接観察されないことも多い。その場合には光学的な手法で屈折率を測定すると、多成分系における加成性から逸脱する現象が観察されることでナノポーラス構造と推定した。
例えば、屈折率1.45のシリカ粒子と屈折率1.52のアクリルバインダーを用いた場合、通常50/50vol%の混合物ではほぼ中間的屈折率である1.47〜1.49の間になることが観察される。本発明のようなナノポーラス構造の場合はこれよりも小さくなり、見掛け屈折率が1.45以下、粒径によっては1.35以下と大きく加成性から逸脱する現象が見られる。これらの現象は、被膜がナノポーラス構造を呈していること、すなわち微細な空隙が存在することで見掛けの屈折率が低下したためと推測されるもので、本発明の低屈折率組成物もこの屈折率測定手法によりバインダー比率を変えた組成物の屈折率を測定することで、ナノポーラス構造を呈しているとして定義したもので、ポーラス構造の形態や、その組成物被膜の膜厚方向の分布(例えば、表面方向に傾斜構造を有するなど)など特に限定されるものではない。
【0025】
UV照射による硬化を行う際には、ラジカル重合開始剤を添加すると好適であり、ベンゾインメチルエーテルなどのベンゾインエーテル系開始剤、アセトフェノン、2、1- ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、などのアセトフェノン系開始剤、ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系開始剤など特に限定されるものではない。
【0026】
上述した各成分をいくつか組み合わせてコーティング組成物に加えることができ、さらに、物性を損なわない範囲で、分散剤、安定化剤、粘度調整剤、着色剤など公知の添加剤を加えることができる。
【0027】
また、本発明の反射防止積層体は、最外層に設置されるため、表面の汚れ防止、指紋などの汚れの易拭き取り性などのいわゆる防汚性が要求される。その場合、フッ素系添加剤やシリコーン系添加剤などいわゆる防汚剤を添加することができる。なかでも、フッ素含有アクリル化合物、あるいはフッ素含有シランカップリング剤などが被膜成分と反応性を有するため好適である。
【0028】
コーティング組成物の塗布方法には、通常用いられる、ディッピング法、ロールコティング法、スクリーン印刷法、スプレー法など従来公知の手段が用いられる。
被膜の厚さは目的の光学設計にあわせて、液の濃度や塗工量によって適宜選択調整することができる。
【0029】
本発明の低屈折率組成物は、ガラスやプラスチックフィルムなど特に限定されるものではなく、さらに必要に応じて各種ハードコート剤、高屈折率材料、低屈折率材料、セラミック蒸着膜と積層することが可能で、また必要に応じて組成比を変えて積層することも可能である。
【0030】
【実施例】
本発明の反射防止積層体を具体的な実施例をあげて説明する。
【0031】
<実施例1>
表面にUV硬化樹脂ハードコート(HC)層(5μm)を設けた80μm厚のトリアセチルセルロース(TAC)フィルムを基材として、下記に示したコーティング組成物の各成分の固形分で、B成分60重量部とD成分40重量部の割合になるように組み合わせて調液して、紫外線(UV)硬化の開始剤としてアセトフェノン系開始剤を重合成分に対して2%添加し、コーティング組成物を作成した。
そのコーティング組成物をバーコーターにより塗布し、乾燥機で100℃−1min乾燥し、高圧水銀灯により1000mJ/cm2の紫外線を照射して硬化させ、光学膜厚(nd=屈折率n*膜厚d(nm))がnd=550/4nmになるよう適宜濃度調整をして低屈折率被膜を形成し、試験用の試験体を得た。そして、下記に示す評価試験方法に基づいて試験体を評価し、その結果を表1に示した。
【0032】
<実施例2>
コーティング組成物として、A成分30重量部、B成分30重量部、D成分40重量部の割合になるように組み合わせて調液して、コーティング組成物の低屈折率被膜を形成した以外は実施例1と同様にして試験用の試験体を得た。そして、実施例1と同様に試験体を評価し、その結果を表1に示した。
【0033】
<実施例3>
コーティング組成物として、C成分80重量部、D成分20重量部の割合になるように組み合わせて調液して、コーティング組成物の低屈折率被膜を形成した以外は実施例1と同様にして試験用の試験体を得た。そして、実施例1と同様に試験体を評価し、その結果を表1に示した。
【0034】
<比較例1>
コーティング組成物として、A成分70重量部、D成分30重量部の割合になるように組み合わせて調液して、コーティング組成物の低屈折率被膜を形成した以外は実施例1と同様にして試験用の試験体を得た。そして、実施例1と同様に試験体を評価し、その結果を表1に示した。
【0035】
<比較例2>
コーティング組成物として、D成分40重量部、E成分60重量部の割合になるように組み合わせて調液して、コーティング組成物の低屈折率被膜を形成した以外は実施例1と同様にして試験用の試験体を得た。そして、実施例1と同様に試験体を評価し、その結果を表1に示した。
【0036】
<コーティング組成物の各成分>
(A成分)平均粒径10〜15nmのシリカゾル/MEK溶媒
(B成分)平均粒径50〜70nmのシリカゾル/MEK溶媒
(C成分)平均粒径50〜70nmのシリカゾルにモル比で1/0.08(重量比で約80/20)(3ーアクリロキシプロピル)トリメトキシシランを混合し、触媒としてpトルエンスルホン酸をアクリルシランに対して重量比で1%添加し室温で3時間攪拌し反応させ修飾させた複合ゾル。
(D成分)DPHAのMEK希釈溶液。
(E成分)平均粒径150nmのシリカゾル/MEK溶媒
【0037】
<評価試験方法>
(1)表面粗さ
原子間力顕微鏡AFM(SPI13700:セイコー電子製)を用い走査範囲5μm四方にて測定した。
(2)光学特性反射率
分光光度計により入射角5で550nmにおける反射率を測定した。
(3)ヘイズ
プラスチックの光学的特性試験方法JIS−K7105に準じて、ヘイズを測定した。
(4)密着性
塗料一般試験法JIS−K5400のクロスカット密着試験方法に準じて 塗膜の残存数にて評価した。
(5)鉛筆硬度
塗料一般試験法JIS−K5400の鉛筆引っかき値試験方法に準じて塗膜の擦り傷にて評価した。
(6)耐擦傷試験
スチールウール#0000により、250g/cm2の荷重で往復5回 擦傷試験を実施、目視による傷の外観を検査した。評価は、傷なし◎、かるく傷あり○、かなり傷つく△、著しく傷つく×の4段階とした。
【0038】
【表1】
【0039】
表1に示すように、実施例1〜3は反射率が1.5%以下と低く、なおかつ密着性、硬度、耐擦傷性など強度面にも優れるが、比較例1のシリカゾルの平均粒径の小さいものだけを用いた系では表面粗さRaが1nmと平滑で、屈折率が1.46と低くならずに低屈折率化がはかれない。また、比較例2のシリカゾルの平均粒径の大きなものを用いた系では表面粗さも大きくなり、反射率は低いものの、ヘイズも4.5%と白く曇った被膜となった。また、耐擦傷性が劣っていることがわかる。
【0040】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の反射防止積層体は、シリカゾル粒子とアクリル基含有ケイ素化合物ならびに多官能アクリルモノマーからなる低屈折率組成物を、基材に塗布し、ナノスケールの表面粗さを制御した低屈折率組成物被膜を形成し、無機と有機化合物の分子レベルのハイブリッド構造を呈した被膜とすることで、ナノポーラス構造による低屈折率という光学特性と、硬度、耐擦傷性等の物理的特性とを兼ね備えた反射防止積層体を提供することが可能となった。
従って、本発明の反射防止積層体は、ディスプレイ等の反射防止膜として基材の最外層に形成され、過酷な環境や取り扱いにも充分に耐えられるものである。
【0041】
また、本発明の反射防止積層体は、従来の蒸着法あるいはスパッタ法などのドライコーティングによって薄膜を形成して反射防止膜を形成する方法に比較して、装置コストも比較的安価で、成膜(塗工)速度も10倍以上で生産性も高く、製造も容易である。
【0042】
さらに、本発明の反射防止積層体は、被膜を形成する低屈折率組成物が光照射等で硬化するため、低温での塗工が可能で、フィルム等の巻き取り塗工で作成することができるので安価に、大量生産できるといった効果を奏するものである。
Claims (2)
- プラスチック基材の少なくとも片面に、ナノポーラス構造を有する低屈折率組成物被膜が形成された反射防止積層体において、前記低屈折率組成物被膜が、平均粒径が5〜100nmであるシリカゾル粒子に(3ーアクリロキシプロピル)トリメトキシシランを修飾させた複合ゾルと、分子中にアクリロイル基、メタクリロイル基から選択される不飽和結合を少なくとも3個以上を有し、平均分子量が200〜1000である多官能アクリル化合物とを含み、前記低屈折率組成物被膜のヘイズが1%以下であり、かつ5μm四方の微小領域における10点平均粗さRzが100nm以下でかつ算術平均粗さRaが2〜10nmであることを特徴とする反射防止積層体。
- 前記複合ゾルが、低屈折率組成物に添加する前に、シリカゾル粒子/(3ーアクリロキシプロピル)トリメトキシシランのモル比で1/0.04〜1/0.25の範囲を満たす比率で、前記シリカゾル粒子に前記(3ーアクリロキシプロピル)トリメトキシシランをあらかじめ修飾させた複合ゾルであることを特徴とする請求項1に記載の反射防止積層体。
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