JP4590542B2 - マイクロ液滴輸送デバイス - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明はマイクロ液滴輸送デバイス、詳しくは表面張力を利用してマイクロ液滴を一方向に輸送するデバイスの技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体の製造技術および微細加工技術などが発達し、近年、微小な構造、機械、さらにはシステムなどの技術分野が注目されている。そして、これらの技術分野を用いて、微小な流路やチャンバ、ポンプなどを製作し、化学実験、環境分析に貢献しようとする試みがなされている。
例えば、化学実験において、実験装置類のマイクロ化により、試料や廃液を少なくすることで反応の高速化が図れる。また、爆発の危険を伴う反応において、実験装置類のマイクロ化により安全に実験することができる。
医療の分野において、装置、器具の汚染は重要な問題である。衛生面上、装置や器具を毎回新しいものと交換する必要がある。この医療の分野では、マイクロ化して安価な装置や器具を製作する試みがなされている。特に、血液や尿などのマイクロ液滴を診断、分析する医療診断チップが注目されている。ハンドリングせずに血液や尿などのマイクロ液滴を輸送する方法があれば、医療診断チップなどにも応用できる。
現状、マイクロ液滴を輸送するには、外部から空気圧を加える方法またはマイクロ液滴を吸引する方法がある。微小な電極アレイを用いて静電気力でマイクロ液滴を引きつけて輸送する方法もある。さらに、熱、静電気、光などを用いて液滴前後の表面張力に差を与えることにより駆動力を発生させ輸送する方法なども存在する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これらの方法を実現するには、外部に圧力源、電源、熱源、光源などを構築する必要があった。また、微小のシステムを製作するのに、全体のシステムや製造方法が大掛かりで複雑かつ高価なものとなってしまうという問題があった。これらの問題が、医療診断チップや環境分析チップなどへの応用を阻む大きな要因となっていた。
【0004】
【発明の目的】
この発明は、外部に特別な機構を必要とせず、マイクロ液滴を一方向に確実に輸送できるマイクロ液滴輸送デバイスを得ることを目的とする。また、使い捨てができるほど安価であり、しかも簡便なマイクロ液滴輸送デバイスを提供することを目的とする。さらに、医療診断チップや環境分析チップに使用されるマイクロ液滴輸送デバイスを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、基板と、この基板の上面に搭載された断面凹字型のカバーと、このカバーの開口側を上記基板の上面に重ね合わせることによって画成された一方向に延びる流路と、この流路の上流から下流に向かって液滴を輸送させる液滴輸送手段と、を備えたマイクロ液滴輸送デバイスであって、上記カバーの内面を疎水面で構成し、上記基板の上面で構成される上記流路の一面を親水面と疎水面とを含んで構成し、上記液滴輸送手段は、上記流路の一面についてその親水面の面積をその疎水面のそれで除した値をその上流から下流に向け連続的に増加させて水分を含む液滴を輸送させるマイクロ液滴輸送デバイスである。
表面張力は、液体または固体の表面が、自ら収縮してできるだけ小さな面積をとろうとする力である。液滴と固体面との関係において、液滴は親水性を有する固体面に対して表面張力があまり働かない。すなわち、液滴は親水面に対してなじみやすい。一方、液滴は疎水性を有する固体面に対しては表面張力が働きやすい。すなわち、液滴は疎水面に対してなじみにくい。
この性質を生かして、流路の一面を親水面と疎水面とを含んで構成し、これを基板上に形成する。この流路には、一方向に向かって液滴を輸送する液滴輸送手段を設ける。すなわち、流路の上流は疎水性の強い面、下流は親水性の強い面を基板上に設けることで構成する。例えば、三角形パターンからなる疎水面および親水面を交互に組み合わせて形成する。これらの三角形パターンからなる親水面の面積を疎水面の面積で除した値を上流から下流に向け連続的に増加させるように形成する。
なお、流路は複数設けてもよい。または、始めは複数の流路を形成し、その途中で一つの流路に統合してもよい。もしくは、始めは一つの流路を形成し、その途中で複数の流路に分岐するようにしてもよい。
流路の一面、例えば、底面を構成する疎水面の素材等は限定されない。また、親水面の素材等も限定されない。疎水面はフッ素系のポリマー、例えば、CPFPをパーフルオロ溶媒で薄めたポリマー(商品名:CytopCTL−809M、旭硝子)で形成する。親水面は、例えば、SiO2で形成する。フッ素系ポリマーおよびSiO2は、シリコンウェーハ表面上にフォトリソグラフィ等の半導体プロセスを用いて形成する。
基板の素材は、限定されない。例えば、シリコンウェーハやガラス基板などを使用する。
カバーの素材は、限定されない。例えば、シリコンウェーハ、シリコン樹脂を使用する。シリコン樹脂のカバーの製造方法は、鋳型を作製し、シリコン樹脂を流し込み固化させ、鋳型からシリコン樹脂を引き抜き、カバーを完成させる。
【0006】
マイクロ液滴は、カバーに接しながら流路内を一方向に輸送される。そのためカバーは、液滴が吸着しない疎水性の面で構成される。カバーを親水性の素材で形成するとカバーに液滴が吸着し、液滴を輸送できないおそれがある。
【0007】
請求項2に記載の発明は、上記流路の一面での上記親水面は、上流から下流に向かって、面積が徐々に増加した三角形パターンで形成され、上記流路の一面での上記疎水面は、上流から下流に向かって、面積が徐々に減少する三角形パターンで形成され、上記親水面の三角形パターンと、上記疎水面の三角形パターンとを隣接させて1組の三角形パターンとし、複数組の三角形パターンを流路の幅方向に並べた請求項1に記載のマイクロ液滴輸送デバイスである。
【0008】
上記液滴を輸送する能力は、断面の大きさも一つの要因である。液滴の輸送能力を高めるために、上流から下流に向け徐々に流路の断面を大きくすることもできる。
【0009】
上流には、流路を流れる液滴を供給する。液滴の供給方法は、限定されない。例えば、カバーの上流部に孔を設け、この孔から液滴を供給する。または、流路の流入口からスポイトなどの供給手段を用いて供給する。供給する液滴は、例えば、血液や尿、環境因子を含む検体などである。
また、下流には、血液や尿、環境因子を含む検体を分析する試験媒体を設ける。試験媒体には、例えば、ISFET(イオン感受性FET)やバイオセンサなどを設ける。
【0010】
【作用】
請求項1,2に記載のマイクロ液滴輸送デバイスにあっては、基板の上面にカバーを搭載し、基板とカバーとの間に一方向に延びる流路を形成する。流路を構成する基板の上面は、親水面と疎水面とを含んで構成する。その上流は、疎水面の割合を多くし、その下流に向けて連続的に親水面の割合を多くする。これにより、上流から下流に向けて流路内で液滴を自動的に輸送することができる。この結果、液滴を輸送するための外部からの空気圧や熱などの駆動源および配線が不要である。また、駆動源が不要であるため、マイクロ液滴輸送デバイスを安価に製造することができる。
【0011】
また、マイクロ液滴は、カバーに接しながら移動する。カバーが親水性の素材で形成されると、カバーにマイクロ液滴が吸着し移送されないおそれがある。そこで、カバーを疎水性の面で構成すると、カバーに液滴が吸着されない。これにより、液滴を一方向にスムーズに輸送することができる。
【0012】
また、マイクロ液滴輸送デバイスにあっては、上記流路の断面が上流から下流に向かって徐々に増大される。この結果、上流から下流に向かって液滴を輸送する能力が増す。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の第1の実施形態を図1、図2を参照して説明する。
本実施形態に係るマイクロ液滴輸送デバイス10は、矩形平面のシリコンウェーハからなる所定厚さの基板11と、この基板11の上面に搭載され、シリコン樹脂からなる断面凹型のカバー12とで構成される。すなわち、カバー12は凹型の開口側を基板11の上面に重ね合わせて搭載されている。そして、基板11と、凹型のカバー12との間の矩形断面の空間部が、液滴16を輸送する流路13を構成する。流路13のうち基板11側の面を、疎水面14と親水面15とで構成する。疎水面14はフッ素系のポリマー、例えば、CPFPをパーフルオロ溶媒で薄めたポリマー(商品名:CytopCTL−809M、旭硝子)を使用して形成する。また、親水面15は、SiO2をシリコンウェーハの表面に酸化処理して形成する。
疎水面14は、底辺が1μmから200μm、高さが10μmから200μmの三角形パターンで形成する。また、親水面15も同様に、1μmから200μm、高さが10μmから200μmの三角形パターンによって形成する。これらの三角形のパターンを、親水面15と疎水面14とが交互になるよう組み合わせて形成する。図1に示すように、流路の上流は疎水面14の面積が親水面15のそれに対して大きい面で、下流は親水面15の面積が疎水面14のそれに対して大きい面となるように形成する。すなわち、上流から下流に向け、親水面15の面積を疎水面14の面積で除した値が連続的に増加させるように上記三角形パターンを形成する。なお、親水面15と疎水面14を形成するパターンは、三角形パターンに限られない。
【0014】
次にマイクロ液滴輸送デバイス10の製造方法を、図2を参照して説明する。ここでは、半導体製造プロセスを用いて流路13を基板上に形成する。まず、図2(a)に示すように、シリコンウェーハの基板21を準備する。図2(b)に示すように、このシリコンウェーハ21を900℃、2時間の熱酸化により、表裏面にSiO215を形成する。次いで、図2(c)に示すように、所定厚さのSiO215の表面にフッ素系ポリマー14を、スピンコート法により所定厚さ塗布して薄膜とする。さらに、図2(d)に示すように、このフッ素系ポリマー14上にレジスト22を塗布して、所定のフォトプロセスを用いて露光装置により露光して所定のレジストでパターンを形成する。さらに、図2(e)に示すように、このレジスト22をマスクにこのフッ素系ポリマー14をO2のプラズマによりエッチングする。そして、図2(f)に示すように、レジスト22を除去する。これにより、基板11上に液滴16を輸送する流路の底面が形成される。
初めにSiO215を形成してからフッ素系ポリマー14を形成する流路が形成し易い。SiO215は、シリコンウェーハを熱酸化することにより簡単に得られるからである。また、疎水面のフッ素系ポリマー14は、親水面のSiO215の上に形成しやすいからである。
次に、シリコンカバー12の製造方法について説明する。図2(g)に示すように、シリコンカバー12を成形するための鋳型23を準備する。次いで、図2(h)に示すように、この鋳型23に溶融したシリコン樹脂12を流し込む。そして、所定時間を経てこのシリコン樹脂12を硬化する。図2(i)に示すように、硬化したシリコン樹脂12を鋳型23から取り出す。そして、カバー12の表面などの仕上げをして完成させる。カバー12の素材は、シリコン樹脂に限定されず、シリコンウェーハなどを使用してもよい。
さらに、図2(j)に示すように、上記製造方法により作製された、流路13の底面が形成された基板11上にカバー12の凹面を下にして接着する。この結果、基板11の上面とカバー12の凹面との間に所定の流路13が形成される。流路13は、偏平な矩形断面で上流から下流に向かって均一断面積を有している。流路13内の液滴16が蒸発したり、漏れたりしないように、基板11とカバー12とを強固に密着する必要がある。接着は、酸素プラズマで処理する。これにより基板11とカバー12との強固な接着ができる。
【0015】
さらに、このマイクロ液滴の輸送手段について図1を参照して説明する。
流路13は、上流から下流に向かって疎水性の強い面から親水性の強い面になるように形成する。そして、この流路13の一面に液滴16を裁置する。すると液滴16の前端と後端において流路13の面に対する液滴16の接触角が異なる。これは、液滴16の前後において、流路13の疎水性と親水性との強さが異なることによる。この結果、液滴16を親水面15の強い方向に向かって輸送することができる。
液滴16を一方向に確実に輸送するには、流路を構成するその内壁面に図1に示すような複数の三角形のパターンを構成するとよい。三角形パターンの底辺の長さと高さと、三角形パターンの数とは、基板11の大きさや流路13の長さや幅によって決定される。これらのパラメータ(長さ、幅)は、液滴16を輸送する駆動能力にも影響を及ぼす。三角形パターンの高さを一定とした場合、その底辺の長さを大きくした方が、親水性と疎水性との単位長さの変化の割合が大きくなる。すなわち、疎水面14から親水面15への変化が大きくなる。したがって、底辺の長さを大きくすれば、流路13の輸送能力が大きくなる。
【0016】
さらに、この発明の第2の実施形態を、図1および図3を参照して説明する。本実施形態に係るマイクロ液滴輸送デバイス10は、上記実施形態に係るマイクロ液滴輸送デバイス10に対して以下の変更を加えたものである。
すなわち、図1において、凹型カバー12の内面を疎水面14で形成する。カバー12の疎水面14は、フッ素系ポリマー14で形成する。カバー12の内面にフッ素系ポリマー14を形成するには、例えば、図3に示すように、シリコンウェーハ31の裏面にスピンコート法によりフッ素系ポリマー14を塗布して薄膜化する。そして、このシリコンウェーハ31の下面に、疎水面14と親水面15とを形成したシリコンウェーハ33を重ね合わせる。そして、シリコンウェーハから加工された2つの長い棒状の板材32a、32bとで、シリコンウェーハ31とシリコンウェーハ33とを貼り合わせる。なお、シリコンウェーハ31の表面と、シリコンウェーハ33との裏面には図示しないパイレックス(登録商標)ガラス板を重ねる。パイレックス(登録商標)ガラス板に0V、板材32a、32bに500V〜1000Vの電圧をかける。すると、パイレックス(登録商標)ガラス板内に含まれていた正イオンが電極側に移動する。そして、シリコンウェーハ31,33間に静電引力が生じ、シリコンウェーハ同士が密着する。この陽極接合は、接着剤を使用しないので、シリコンウェーハ表面が汚れない。
液滴16は、カバー12の内面に接しながら流路13を移動する。カバー12の内面を親水面15で形成すると、カバー12に液滴16が吸着して、輸送されないおそれがある。そこで、カバー12の内面を疎水面14で形成すると、カバー12に液滴16が吸着されない。これにより、液滴16を流路内の一方向に向かってスムーズに輸送することができる。
【0017】
さらに、この発明の第3の実施形態を、図4を参照して説明する。本実施形態に係るマイクロ液滴輸送デバイス10は、上記実施形態に係るマイクロ液滴輸送デバイス10に対して以下の変更を加えたものである。
すなわち、図4において、カバー12の凹部の断面を上流から下流へ向け連続的に大きくなるように形成する。断面を上流から下流へ向け連続的に大きくすると、基板11に形成される流路13の単位面積の親水面15と疎水面14との単位長さ当たりの変化量が、断面が一定の場合と比べて大きくなる。すなわち、疎水性から親水性への変化が大きくなる。これにより、断面が一定の場合と比べてより輸送能力の大きな流路13を得ることができる。
【0018】
さらに、この発明の第4の実施形態を、図5を参照して説明する。本実施形態に係るマイクロ液滴輸送デバイス10は、上流に液滴16を供給する供給部41を設け、下流部にこの液滴16を分析する試験媒体42を設ける。例えば、カバー12の上流部に液滴16を供給する孔41を設ける。一方、下流には液滴16を分析する試験媒体42、例えば、バイオセンサなどを設ける。上流の孔41から血液や尿を供給し、液滴16は流路13により下流に向けて輸送され、下流に設けた試験媒体42に供給される。試験媒体42によりこの液滴16を分析し、液滴16の組成や液質などを調査することができる。
また、上流を複数の流路13にて形成し、下流はこれらの流路13をまとめて一つの流路13にする。上流から複数の液滴16を供給し、これらの液滴16は、流路13の途中で混合され、下流に設けたISFETやバイオセンサなどで混合液を分析するように構成してもよい。上記のような構成は、医療診断チップや環境分析チップなどに応用できる。
【0019】
【発明の効果】
この発明によれば、基板と、基板の上面に搭載されたカバーと、基板とカバーとの間に画成された一方向に延びる流路を形成する。基板の上面である流路の一面を親水面と疎水面とで構成する。上流から下流に向け、親水面に対して疎水面を除した値を連続的に増加させるようにする。これにより、液滴を一方向に確実に輸送することができる。そのため、液滴を輸送する外部からの空気圧や熱などの駆動源および配線が不要である。さらに、駆動源が不要であるため、このマイクロ液滴輸送デバイスを安価に製造することができる。さらに、上流に液滴の供給部を設け、下流に液滴を分析する試験媒体を設けるなどして、医療診断チップや環境分析チップなどに応用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施形態に係るマイクロ液滴輸送デバイスの構成を示す斜視図である。
【図2】この発明の第1の実施形態に係るマイクロ液滴輸送デバイスの製造方法を示すフロー図である。
【図3】この発明の第2の実施形態に係るマイクロ液滴輸送デバイスの構成を示す斜視図である。
【図4】この発明の第3の実施形態に係るマイクロ液滴輸送デバイスの構成を示す斜視図である。
【図5】この発明の第4の実施形態に係るマイクロ液滴輸送デバイスの構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
10 マイクロ液滴輸送デバイス
11 基板、
12 カバー、
13 流路、
14 疎水面(フッ素系ポリマー)、
15 親水面(SiO2)、
16 液滴。
Claims (2)
- 基板と、
この基板の上面に搭載された断面凹字型のカバーと、
このカバーの開口側を上記基板の上面に重ね合わせることによって画成された一方向に延びる流路と、
この流路の上流から下流に向かって液滴を輸送させる液滴輸送手段と、を備えたマイクロ液滴輸送デバイスであって、
上記カバーの内面を疎水面で構成し、
上記基板の上面で構成される上記流路の一面を親水面と疎水面とを含んで構成し、
上記液滴輸送手段は、上記流路の一面についてその親水面の面積をその疎水面のそれで除した値をその上流から下流に向け連続的に増加させて水分を含む液滴を輸送させるマイクロ液滴輸送デバイス。 - 上記流路の一面での上記親水面は、上流から下流に向かって、面積が徐々に増加した三角形パターンで形成され、
上記流路の一面での上記疎水面は、上流から下流に向かって、面積が徐々に減少する三角形パターンで形成され、
上記親水面の三角形パターンと、上記疎水面の三角形パターンとを隣接させて1組の三角形パターンとし、
複数組の三角形パターンを流路の幅方向に並べた請求項1に記載のマイクロ液滴輸送デバイス。
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