JP4587903B2 - 測定器具及びこれを用いた測定用キット、測定方法並びに測定装置 - Google Patents
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Description
また、流動状態における細胞接着、血液凝固などの生体反応を簡便に測定するための水晶振動子センサーを固定化したフローセルが知られている(例えば、特許文献2を参照)。
更に、フローセル以外における免疫測定法において、標識物質として磁性粒子を用い、水晶振動子上に固定された磁性粒子量を水晶振動子の発振周波数の変化を測定することにより定量する方法も知られている(例えば、特許文献3を参照)。
更にまた、圧電振動子を検出部位に組み込んだイムノクロマトグラフィー用測定器具も報告されている(例えば、特許文献4を参照)。この特許文献4には、フローセルにおける免疫測定法において、標識物質として不溶性担体を用い、圧電振動子としての水晶振動子上に固定化された不溶性担体量を水晶振動子の発振周波数の変化を測定することにより定量する方法が開示されている。
しかしながら、これらの水晶振動子の発振周波数の変化を測定する免疫測定法は、微量の抗原または抗体を測定する場合に検出感度が充分でないという技術的課題を有していた。従って、従来の水晶振動子を用いた免疫測定法は、非特許文献1、特許文献1に示すように、その適用範囲が蛋白質等の高分子に限られていた。
例えば特許文献2に示すフローセル型にあっては、水晶振動子センサーの表面近傍を流れてきたアナライト分子のみ検出するため、フローセル型反応容器の場合、殆どの試料中のアナライト分子はセンサー膜上のリガンド分子と反応できないまま水晶振動子表面上を通過してしまい、溶液中のアナライト分子の一部しか検出出来ず、センサー本来の感度が発揮できずに検出感度が充分に得られないという懸念がある。
更に、特許文献3に示すフローセル型以外における免疫測定法において、標識物質として磁性粒子を用いる方式を採用したとしても、反応効率の点で未だ不十分であり、センサー本来の感度が得られないという懸念がある。
更にまた、特許文献4に示すフローセルにおける免疫測定法において、標識物質として不溶性担体を用いたとしても、反応効率の点で未だ不十分であり、センサー本来の感度が得られないという懸念がある。
近年、検査方法の迅速化、多様化または環境分野、食品分野の検査の流れから、被検者の近傍での試料の採取から測定結果の出力を行うポイント オブ ケア テスティング(POCT)が盛んになってきており、POCTに対応可能な簡便で高感度な測定器具及びこれを用いた測定用キット、測定方法並びに測定装置の開発が望まれている。
(1) 本発明は、試料中の測定対象物及び、測定対象物類似物と磁性粒子とが結合してなる標識体が流路に沿って移動可能なフローセル型反応容器を含む測定器具であって、フローセル型反応容器の流路には、試料が添加される試料添加部位と、この試料添加部位の下流側に設けられて測定対象物が検出可能な検出部位とを設け、検出部位は、測定対象物および測定対象物類似物に特異的に結合するトラッパーが保持された圧電振動子を有し、磁力発生部材による磁場作用域に前記圧電振動子を配置したものである。
(2) そして、前記(1)記載の測定器具において、フローセル型反応容器の流路のうち少なくとも検出部位の上流側には、測定対象物類似物と磁性粒子とが結合してなる標識体が供給される標識体供給部位を備えることが好ましい。
(4) そして、前記記載の測定器具において、フローセル型反応容器の流路のうち少なくとも検出部位の上流側には、測定対象物および測定対象物類似物に特異的に結合するバインダーと磁性粒子とが結合してなる標識体が供給される標識体供給部位を備えることが好ましい。
(6) そして(2)又は(4)記載の測定器具においては、標識体供給部位は試料添加部位を兼ねるものであってもよい。
(7) 更にまた、(1)乃至(6)いずれかに記載の測定器具においては、フローセル型反応容器の流路のうち検出部位の下流側には、吸収部位を備えるものであってもよい。
(8) そしてまた、(1)乃至(7)いずれかに記載の測定器具において、圧電振動子が水晶振動子である態様がある。
(9) また、(1)乃至(8)記載の測定器具において、磁力発生部材はフローセル型反応容器の流路外で、且つ、磁力発生部材は圧電振動子のトラッパー又は測定対象物類似物が保持された面とは反対側に設けられる態様がある。
(11) 更にまた、(1)乃至(9)いずれかに記載の測定器具において、フローセル型反応容器の流路に予め標識体が移動可能に保持されていることがある。
(12) また、本発明は、(1)乃至(10)いずれかに記載の測定器具及び標識体を含む測定用キットをも対象とする。
つまり、本発明に係る測定方法は、試料中の測定対象物と、測定対象物類似物と磁性粒子とが結合してなる標識体とをフローセル型反応容器の流路に沿って移動させ、該流路下流の磁力発生部材による磁場作用域に配置されている圧電振動子上に保持されている測定対象物および測定対象物類似物に特異的に結合するトラッパーに供給し、トラッパー−標識体からなる複合体を生成させる工程と、圧電振動子上に生成したトラッパー−標識体からなる複合体の量を、圧電振動子に磁場を発生させた状態で圧電振動子の振動数の変化量として測定する振動数測定工程と、この振動数測定工程で測定した圧電振動子の振動数の変化量と予め既知濃度の試料を用いて作成した検量線とから試料中の測定対象物の濃度を決定する濃度決定工程とを備えたものである。
(16) また、(13)又は(14)記載の測定方法において、試料と標識体とをフローセル型反応容器の流路に沿って移動させ、該流路下流に配置されている圧電振動子上に保持されているトラッパー又は測定対象物類似物に供給するに際して、試料と標識体とを同時又は前後して順に流路に添加するようにしてもよい。
(17) 更に、(13)乃至(15)のいずれかに記載の測定方法において、標識体がフローセル型反応容器の流路に予め保持されており、試料の添加により共に移動するようにしてもよい。
(18) 更にまた、(13)乃至(17)のいずれかに記載の測定方法において、圧電振動子が水晶振動子であってもよい。
(20) そして、(19)記載の測定装置において、更に振動数測定手段で測定した圧電振動子の振動数の変化量と予め作成した検量線とから試料中の測定対象物の濃度を決定する濃度決定手段を備えるようにしてもよい。
また、本発明に係る測定器具及び標識体を含めて測定用キットとすれば、測定対象物の測定を極めて簡単に行うことができる。
更に、本発明に係る測定方法及びその装置によれば、フローセル型反応容器にて測定対象物の測定感度を向上させることが可能になるため、その分、測定データの信頼性をより高めることができる。
本発明に係る測定器具の代表的態様は、図1(a)(b)に示すように、試料中の測定対象物及び所定の標識体(具体的には、測定対象物類似物と磁性粒子とが結合してなる標識体)が流路3に沿って移動可能なフローセル型反応容器2を含む測定器具1であって、フローセル型反応容器2の流路3には、試料が添加される試料添加部位4と、この試料添加部位4の下流側に設けられて測定対象物が検出可能な検出部位5とを設け、検出部位5としては、測定対象物および測定対象物類似物に特異的に結合するトラッパーが保持された圧電振動子6を有し、磁力発生部材7による磁場作用域に前記圧電振動子6を配置したものであることを特徴とする。
また、前者の測定器具1は圧電振動子6に測定対象物および測定対象物類似物に特異的に結合するトラッパー11(図3,図6参照)が保持されているのに対し、後者の測定器具1は圧電振動子6に測定対象物10と競合的に反応する測定対象物類似物13(図5参照)が保持されている。
そして、前者の測定器具1の好ましい態様としては、フローセル型反応容器2の流路3のうち少なくとも検出部位5の上流側には、図2(a)(b)及び図6に示すように、測定対象物類似物12cと磁性粒子12aとが結合してなる標識体12が試料中に供給される標識体供給部位8を備えることが好ましい。
尚、図3は、前者の測定器具1の参考態様を示すもので、フローセル型反応容器の流路3のうち少なくとも検出部位5の上流側にて、測定対象物10に特異的に結合するバインダー12bと磁性粒子12aとを結合してなる標識体12が試料中に供給するものである。
一方、後者の測定器具1の好ましい態様としては、図2(a)(b)及び図5に示すように、フローセル型反応容器2の流路3のうち少なくとも検出部位5の上流側には、測定対象物10に特異的に結合するバインダー12bを磁性粒子12aに結合した標識体12が試料中に供給される標識体供給部位8を備えることが好ましい。
更に、測定器具1の好ましい態様としては、フローセル型反応容器2の流路3のうち検出部位5の下流側には未反応成分が吸収可能な吸収部位9を備えることが好ましい。
また、圧電振動子6としては代表的には水晶振動子が挙げられる。
更に、磁力発生部材7としては、磁力を発生する部材を広く含むが、代表的には永久磁石、電磁石等の磁石が用いられる。
次に、本実施の形態で用いられる各要素の概念について説明する。
試料
本実施の形態において使用できる試料には特に制限はないが、例えば全血、血漿、血清、髄液、唾液、羊水、尿、汗、膵液、涙等の生体試料が挙げられる。また、これらの試料あるいは、便、食品、土壌由来のものに水性媒体を添加して希釈したり、濃縮したり、抽出したものも試料として使用することができる。
水性媒体としては、前述の試料や標識体を溶解するものであれば特に制限はないが、例えば脱イオン水、蒸留水、緩衝液等が挙げられるが、緩衝液が好ましい。緩衝液に用いる緩衝剤は緩衝能を有するものならば特に限定されないが、pH1〜11の例えば乳酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、コハク酸緩衝剤、フタル酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、トリエタノールアミン緩衝剤、ジエタノールアミン緩衝剤、リジン緩衝剤、バルビツール緩衝剤、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝剤、イミダゾール緩衝剤、リンゴ酸緩衝剤、シュウ酸緩衝剤、グリシン緩衝剤、ホウ酸緩衝剤、炭酸緩衝剤、グリシン緩衝剤、グッド緩衝剤等が挙げられる。グッド緩衝剤としては、例えば2−モルホリノエタンスルホン酸(MES)、ビス(2−ヒドロキシエチル)イミノトリス(ヒドロキシメチル)メタン(Bis−Tris)、N−(2−アセトアミド)イミノ二酢酸(ADA)、ピペラジン−N,N’−ビス(2−エタンスルホン酸)(PIPES)、N−(2−アセトアミド)−2−アミノエタンスルホン酸(ACES)、3−モルホリノ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸(MOPSO)、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸(BES)、3−モルホリノプロパンスルホン酸(MOPS)、N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]−2−アミノエタンスルホン酸(TES)、2−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]エタンスルホン酸(HEPES)、3−[N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸(DIPSO)、N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]−2−ヒドロキシ−3−アミノプロパンスルホン酸(TAPSO)、ピペラジン−N,N’−ビス(2−ヒドロキシプロパンスルホン酸)(POPSO)、3−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸(HEPPSO)、3−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]プロパンスルホン酸[(H)EPPS]、N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]グリシン(Tricine)、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン(Bicine)、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−3−アミノプロパンスルホン酸(TAPS)、N−シクロヘキシル−2−アミノエタンスルホン酸(CHES)、N−シクロヘキシル−3−アミノ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸(CAPSO)、N−シクロヘキシル−3−アミノプロパンスルホン酸(CAPS)等が挙げられる。緩衝液の濃度は測定に適した濃度であれば特に制限はされないが、0.001〜2.0mol/Lが好ましく、0.005〜1.0mol/Lがより好ましく、0.01〜0.1mol/Lが特に好ましい。
また、食品や土壌については、これらを前処理したものも試料として使用することができる。ここで、食品や土壌の前処理とは、例えば食品や土壌中の成分の適当な溶媒による抽出、化学的修飾等が挙げられる。溶媒としては例えば、前述の水性媒体、アセトリトリル、ヘキサン、メタノール、エタノール、ジクロロメタン、クロロホルム、アセトン等の有機溶媒等が挙げられる。
化学的修飾としては例えば、食品や土壌中の成分の化学試薬による構造変換等が挙げられる。
本実施の形態における測定対象物としては、特定の物質と結合するもので有れば特に制限はなく、例えば抗原抗体反応を用いて測定される成分、酵素反応を用いて測定される成分、その他の特異的反応により測定される成分等が挙げられるが、抗原抗体反応を用いて測定される成分が好ましい。
抗原抗体反応により測定される成分としては例えば、IgG、IgM、IgA、IgE、アポ蛋白AI、アポ蛋白AII、アポ蛋白B、アポ蛋白E、リウマチファクター、D−ダイマー、酸化LDL、糖化LDL、グリコアルブミン、T3、T4、薬剤(抗テンカン剤等)、C−反応性蛋白(CRP)、サイトカイン類、α−フェトプロテイン(AFP)、癌胎児性抗原(CEA)、CA19−9、CA−125、PIVKA−II(Protein induced by vitamin K absence-II)、副甲状腺ホルモン(PTH)、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、インスリン、C−ペプタイド、エストロゲン、抗GAD抗体、ペプシノーゲン、インフルエンザA型抗原、インフルエンザB型抗原、コロナウイルス抗原、HBV抗原、抗HBV抗体、HCV抗原、抗HCV抗体、HTLV−I抗原、抗HTLV−I抗体、HIV抗体、結核抗体、マイコプラズマ抗体、ヘモグロビンA1c、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、トロポニンT、トロポニンI、クレアチニンキナーゼ−MB(CK−MB)、ミオグロビン、H−FABP(ヒト心臓由来脂肪酸結合蛋白)、DON、NIV、T2等のカビ毒類、ビスフェノールA、ノニルフェノール、フタル酸ジブチル、ポリ塩素化ビフェニル(PCB)類、ダイオキシン類、p,p’−ジクロロジフェニルトリクロロエタン、トリブチルスズ等の内分泌撹乱物質類、大腸菌等の菌類、卵、乳、小麦、そば、落花生等の食物アレルギー物質やコナヒョウダニやトヤヒョウダニ等のダニ類等のアレルギー物質、抗アレルギー物質抗体等が挙げられる。
酵素反応を用いて測定される生体成分としては例えば、グルコース、1,5−アンヒドログルシトール、ヘモグロビンA1c、グリコアルブミン、フコース、尿素、尿酸、アンモニア、クレアチニン、総コレステロール、遊離コレステロール、高密度リポタンパク中のコレステロール(HDL−C)、低密度リポタンパク中のコレステロール(LDL−C)、超低密度リポタンパク中のコレステロール(VLDL−C)、レムナント様リポタンパク中のコレステロール(RLP−C)、トリグリセライド、リン脂質、総蛋白、アルブミン、グロブリン、ビリルビン、胆汁酸、シアル酸、乳酸、ピルビン酸、遊離脂肪酸、セルロプラスミン、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、クレアチンホスホキナーゼ(CPK)、ホスホキナーゼ(PK)、アミラーゼ、リパーゼ、コリンエステラーゼ、γ−グルタミルトランスペプチダーゼ、ロイシンアミノペプチダーゼ、L−乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)、アルドラーゼ、アルカリフォスファターゼ、酸フォスファターゼ、N−アセチルグルコサミニダーゼ、グアナーゼ、モノアミンオキシダーゼ等が挙げられる。
その他の特異的結合により測定される成分としては、核酸、レクチン等を用いる方法があげられ、例えばras等のガン遺伝子、p53等のガン抑制遺伝子等をコードするDNAまたはRNA、ペプチド核酸、アプタマー、糖蛋白質等が挙げられる。
フローセル型反応容器2としては、試料、標識体12が流れる流路3を有するものを広く含むものであり、イムノクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、マイクロ化学システム等に適用されている。イムノクロマトグラフィーにおいては、試料添加部位に添加された試料溶液は、毛細現象によりメンブレン中を移動し、検出部位で測定される。液体クロマトグラフィーにおいては、ポンプにより液体が流れるフローセル中に設置された試料添加部位に測定対象物を含んだ試料を注入し、検出部位で測定される。マイクロ化学システムは、ガラスやプラスチック等の基板上に微細加工技術を利用して微小な流路を加工し、半導体集積回路のように化学装置を集積化した分析化学センサーであるが、基板上に設置された試料添加部位に試料を添加すると、流路中を移動し、流路の末端に設置された検出部位にて測定される。
また、フローセル型反応容器2の材質としては、プラスチック、シリカ、セラミックス、ガラス、金属、グラファイト、樹脂、多孔質メンブレン等が挙げられる。
フローセル型反応容器2に設置される流路3としては、試料と共に測定対象物、標識体が吸着せずに流れ、少なくとも試料添加部位4と検出部位5とを形成可能としたものであればよく、材質としてはプラスチック、シリカ、セラミックス、ガラス、金属、グラファイト、多孔質メンブレン等が好ましい。また、流路径としては、好ましくは1nm〜10cm、より好ましくは100nm〜1cm、特に好ましくは1μm〜2mmである。
また、フローセル型反応容器2の流路3としては少なくとも一つあればよいが、測定範囲を拡大するという観点からすれば、複数ラインの流路3を備え、各ラインの流路3に試料添加部位4と検出部位5とを少なくとも設けるようにしてもよい。
試料添加部位4は試料をフローセル型反応容器2に添加するための部位である。
この試料添加部位4の材質としては例えばガラス繊維、セルロース、ナイロン、架橋デキストラン、各種のクロマトグラフィー用紙、ニトロセルロース等が挙げられ、ニトロセルロースが好ましい。
標識体供給部位
標識体供給部位8は標識体12をフローセル型反応容器2に供給する部位である。
この標識体供給部位8の材質としては、試料添加部位4の材質と同一又は異なっていてもよく、例えばガラス繊維、セルロース、ナイロン、架橋デキストラン、各種のクロマトグラフィー用紙、ニトロセルロース等が挙げられ、ニトロセルロースが好ましい。
例えば標識体供給部位8として、フローセル型反応容器2の流路3に予め標識体12を移動可能に保持するように設置すれば、流路3の一部に標識体12を保持しておき、添加された試料と共に移動させることができる。
また、標識体供給部位8のレイアウトについては、フローセル型反応容器2の流路3のうち試料添加部位4の下流側に別個に設けてもよいし、あるいは、試料添加部位4を兼ねるようにしてもよい。
本実施の形態における標識体12は、磁性粒子12aとバインダー12bとが又は磁性粒子12aと測定対象物類似物12cとが結合して形成されるものである(図3,図6参照)。
−磁性粒子−
本実施の形態における磁性粒子は、フェライトやマグネタイト(磁鉄鉱、Fe3SO4)を主成分とし、質量が大きく磁石に効率良く反応するものが好ましい。磁性粒子の粒子径としては、1〜100000nmが好ましく、10〜10000nmがより好ましく、100〜5000nmが特に好ましい。標識体として流路中に供給される磁性粒子の濃度としては、0.001%〜10%が好ましく、0.01%〜5%がより好ましく、0.1%〜1%が特に好ましい。磁性粒子表面には、牛血清アルブミン等の親水性蛋白質や、ポリエチレングリコール(PEG)やポリビニルピロリドン(PVA)等の高分子化合物をコーティングしてあるものが使用できる。
本実施の形態におけるバインダーは、流路3中に移動可能な状態で存在し、磁性粒子と結合することができ、かつ、測定対象物に特異的に結合するものであれば特に制限はないが、例えば、抗体と該抗原に特異的に結合する抗体やアプタマー、糖類と該糖類に対するレクチン、DNAと該DNAに相補的なDNA等が挙げられ、それぞれ一方のものが使用できる。
−測定対象物類似物−
測定対象物類似物としては、バインダー又はトラッパー(後述)に対して、試料中の測定対象物と競合的に反応するものであれば特に制限はなく、例えば、測定対象物それ自体、バインダーまたはトラッパーに対する認識部位を含有する物質等が挙げられる。
本実施の形態において、磁性粒子とバインダーとは物理的に結合してもよいが、化学的に結合してもよい。物理的結合としては、例えば物理吸着等の非共有結合が挙げられる。化学的結合としては、例えば共有結合が挙げられる。非共有結合としては、例えば静電的結合、水素結合、疎水結合、配位結合等が挙げられる。磁性粒子とバインダーとを共有結合により結合させて標識体を調製する方法としては、例えばグルタルアルデヒド等の2価性の架橋剤を用いて、架橋剤を介して標識物質とバインダーを結合させる方法が挙げられる。
−磁性粒子と測定対象物類似物との結合方法−
本実施の形態において、磁性粒子と測定対象物類似物とは物理的に結合してもよいが、化学的に結合してもよい。物理的結合、化学的結合としては、例えば前述の結合が挙げられる。標識物質と測定対象物類似物とを共有結合により結合させて標識体を調製する方法としては、例えば前述のグルタルアルデヒド等の2価性の架橋剤を用いる方法が挙げられる。
検出部位5としては、センサーである圧電振動子6を有するものであれば特に制限はなく、圧電振動子6としては水晶振動子が好ましい。
−圧電振動子(水晶振動子)−
この圧電振動子6は、圧電効果を有する結晶からなるものであれば特に制限はなく、結晶としては、例えば水晶、ロッシェル塩、電子石などの結晶、タンタル酸リチウム(LiTaO2)、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)などの酸化物単結晶や、酸化亜鉛(ZnO)等が挙げられ、水晶が好ましい。
ここで、水晶振動子は例えば厚み滑り振動モードを有するATカット水晶振動子で、特に基本共振周波数が5〜50MHzで発振するものが好ましい。また、水晶振動子としては1つでも差し支えないが、複数用いるようにしても差し支えない。
本実施の形態において、トラッパーは圧電振動子6上に固定的に保持され、かつ、測定対象物に特異的に結合するものであれば特に制限はない。例えば抗原と該抗原に特異的に結合する抗体やアプタマー、糖類と該糖類に対するレクチン、DNAと該DNAに相補的なDNA等が挙げられ、それぞれ一方のものが使用できる。
圧電振動子6(例えば水晶振動子)上へトラッパー11又は測定対象物類似物13を固定化する方法としては、例えば物理的または化学的に結合する方法等が挙げられる。物理的結合としては、例えば物理吸着等の非共有結合が挙げられる。化学的結合としては、例えば共有結合が挙げられる。非共有結合としては、例えば静電的結合、水素結合、疎水結合、配位結合等が挙げられる。具体的には、水晶振動子上の金電極に、ジチオジプロピオン酸を作用させ金―硫黄結合を形成した後にカルボキシル基を活性化させるSAM(Self-Assembled Monolayer)―アミノカップリング法により、固定化物質を結合させることによって固定化する方法が好ましい。
本実施の形態で使用する磁力発生部材7としては、圧電振動子6(例えば水晶振動子)表面に磁性粒子を含有する標識体を磁気的に引き寄せることができれば、永久磁石、電磁石など特に制限はないが、必要に応じて、磁場作用域を可逆的に生成し得る態様が好ましい。例えば永久磁石であれば磁石を取り外し自在にするほか、水晶振動子表面に対する磁石の位置を可変とすることで磁場作用域を変化させるようにすればよく、電磁石であれば励磁コイルへの通電をオンオフするようにすればよい。また、磁力発生部材7による磁場作用域の範囲としては、水晶振動子を含む検出部位付近の局所的な範囲であることが好ましい。
そして、この磁力発生部材7のレイアウトについては流路中でも差し支えないが、試料の流れを損なわないという観点からすれば、フローセル型反応容器2の流路3外に設けることが好ましい。
吸収部位9は、未反応の試料、標識体を吸収するためにフローセル型反応容器2に設けられる部位であり、試料添加部位4及び検出部位5の下流側に位置することが好ましい。
この吸収部位9は未反応成分(未反応の試料や標識体)を吸収可能な部位であればよく、検出部位5を通過した未反応成分を吸収処理することができ、その分、未反応成分による検出部位5への影響を低減することができる。
該吸収部位9としては、吸収性高分子化合物を使用することができる。この高分子化合物としては、例えばセルロース、グラスファイバー、コットン、ポリウレタン等が挙げられる。また、この吸収部位9はポンプなどによる強制排出手段を用いることもできる。
洗浄液としては、圧電振動子6上で反応できなかった試料成分、標識体を洗い流せるものであれば特に制限はないが、水性媒体が好ましい。中でも、前述の水性媒体、特に緩衝液に界面活性剤を含有したものがより好ましい。緩衝液に用いる緩衝剤は緩衝能力を有するものであれば特に制限されず、例えば前述の緩衝剤等が挙げられる。界面活性剤は界面活性効果を有するものであれば特に制限されないが、例えば、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤等があげられ、非イオン性界面活性剤が好ましい。非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(Tween20)やポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル(TritonX-100)等が挙げられる。界面活性剤の濃度としては、特に制限はないが、0.001〜20%が好ましく、0.01〜10%がより好ましく、0.05〜1%が特に好ましい。
フローセル型反応容器2の反応液の温度を制御する方法としては、該フローセル型反応容器2の下面から全体を加温することで温度が制御できれば特に制限は無いが、例えばペルチェ素子を用いた温度制御が挙げられる。
このような測定器具1のうち、トラッパー11が保持された圧電振動子6を備えた態様にあっては、図4に示すように、トラッパー11と標識体12とで測定対象物10を挟むようなサンドイッチ反応の場合には、圧電振動子6上に固定化されるトラッパー11は、測定対象物10に結合し、測定対象物10及び標識体12が関与するサンドイッチ反応により、サンドイッチ型複合体(トラッパー−測定対象物−標識体)を生成する。
本態様においては、測定対象物類似物13は測定対象物10と競合的に反応するものであるから、測定対象物類似物13との間で反応が促進されれば、その分、試料中の測定対象物10が少ないことを意味し、その逆の反応傾向であれば、試料中の測定対象物10が多いことを意味する。
次に、上述した測定器具1を用いて測定対象物を測定する測定方法について説明する。
先ず、トラッパー11が保持された圧電振動子6を備えた測定器具1を用いて試料中の測定対象物10を測定するには、図7(a)(b)に示すように、試料及び標識体12を流路3を通じて検出部位5に供給し、圧電振動子6上にトラッパー−測定対象物−標識体又はトラッパー−標識体からなる複合体を生成する生成工程と、この生成工程にて圧電振動子6上に生成した前記複合体の量を圧電振動子6の振動数の変化量として測定する振動数測定工程と、この振動数測定工程で測定した圧電振動子6の振動数の変化量と予め作成した検量線とから試料中の測定対象物10の濃度を決定する濃度決定工程とを備えるようにすればよい。
特に、検出部位5での複合体の量を正確に把握するには、供給工程と振動数測定工程との間に検出部位5の洗浄工程を含み、検出部位5での不要成分を除去することが好ましい。
ここでいう洗浄工程を効率的に行うには、洗浄液を流すという工程の前若しくは同時に、磁力発生部材7を外しあるいは消磁し、非特異的に圧電振動子6表面に結合した未反応の標識体を洗い流すことが好ましい。
尚、本態様においても、供給工程と振動数測定工程との間に検出部位5の洗浄工程を含むことが好ましい。
また、この種の測定方法のうち、標識体供給部位8がフローセル型反応容器2の流路3に標識体12を予め移動可能に保持する態様においては、供給工程は、試料が試料添加部位4から添加され、標識体供給部位8に予め保持されている標識体12が試料と共に移動するものであればよい。
このような測定装置においては、測定器具1と振動数測定手段15、濃度決定手段16とは別個に設けられてもよいし、測定器具1に、振動数測定手段15及び濃度決定手段16を組み込むことで一体的に設けるようにしてもよい。
◎実施の形態1
図8は本発明が適用される測定装置の実施の形態1を示す説明図である。
同図において、測定装置は、試料中の測定対象物を測定するための測定器具20と、この測定器具20からのセンサー出力に基づいて解析処理する解析処理装置100とを備えている。
本実施の形態において、測定器具20は、図8及び図9に示すように、試料中の測定対象物が流路22に沿って移動可能なフローセル型反応容器21を有している。このフローセル型反応容器21はQCM(Quartz Crystal Microbalanceの略)センサー23のセンサー基板24を容器底部とし、このセンサー基板24上に所定隙間の流路22が確保されるようにカバー30で密封したものである。
そして、フローセル型反応容器21のカバー30のうち流路22の上流側に位置する部位には液体流入用開口31が開設されると共に、流路22の下流側に位置する部位には液体流出用開口32が開設されている。
本実施の形態では、一方の液体流入用開口31にはチューブ33を介して試料容器34が接続されて試料添加部位Aとして機能し、他方の液体流出用開口32にはチューブ35を介してシリンジポンプ36が接続されて吸収部位Dとして機能するようになっている。尚、本実施の形態では、試料添加部位Aから標識体が試料と同時若しくは試料添加後に供給されるようになっている。
そして、この水晶振動子25の表面にはトラッパー又は測定対象物類似物が例えば固定的に保持されている。
更に、センサー基板24の裏面のうち水晶振動子25が実装された位置に例えば永久磁石からなる磁石40が設置されている。この磁石40は取り外し自在になっており、磁石40を設置したときには、磁石40による磁場作用域に水晶振動子25の表面部が配置されるように位置調整されている。
更にまた、本実施の形態では、センサー基板24は、例えばペルチェ素子52で一定温度に保たれた例えばアルミニウム製の恒温ブロック51上に設置されていて、温度変化による水晶振動子25の共振周波数変化を防止するように配慮されている。
本実施の形態において、解析処理装置100は、水晶振動子25の共振特性を測定する振動数測定回路と、この振動数測定回路からの情報に基づいて試料中の測定対象物の濃度を演算する濃度演算回路とを備えていればよい。
本実施の形態では、振動数測定回路及び濃度演算回路としては、例えばネットワークアナライザ101を用いて水晶振動子25の共振特性を測定し、測定した共振特性のデータをパーソナルコンピュータ102に取り込んで演算により水晶振動子25の共振周波数を求め、さらに検量線を用いて共振周波数から濃度への計算を行う構成が挙げられる。尚、パーソナルコンピュータ102には濃度演算結果を表示する表示装置103が組み込まれていることが好ましい。
−水晶振動子−
本実施の形態において、水晶振動子25は例えば厚み滑り振動モードを有するATカット水晶振動子で、特に基本共振周波数が5〜50MHzで発振するものが好ましい。また、水晶振動子25としては本実施の形態のように1つでも差し支えないが、複数用いるようにしても差し支えない。
更に、水晶振動子25の等価回路は、図10に示すように、インダクタンスLxと容量Cxと損失抵抗Rxの直列共振回路と、電極容量等による並列容量Cpとの並列接続で表せる。この時、水晶振動子のアドミッタンスYは、式1および式2で求めることが出来る。
Y=j・ω・Cp+1/(J・ω・Lx+1/(J・ω・Cx)+Rx) (式1)
ω=2・π・fo (式2)
ここで、Jは複素数√(−1)、ωは角周波数、foは共振周波数、πは円周率を表す。
センサー基板24の構造としては適宜選定して差し支えないが、図11(a)(b)に一例を示す。
同図において、センサー基板24は例えばガラスエポキシ製の両面配線プリント基板61を用い、上面には、水晶振動子25の電極65、66と接続をするための2つの電極接続用ランドパターン62と、水晶振動子25の振動部分がプリント基板と接触しないようにするための台座用のコの字型パターン63とが配置されている。水晶振動子25は、電極接続用ランドパターン62の上に水晶振動子25の電極接続部が乗るように配置され、例えば導電性シリコーン樹脂で電気的な接続がなされている。さらに、水晶振動子25及びセンサー基板24間に試料溶液が染み込んで表電極65と裏電極66とがショートするのを防止するため、水晶振動子25の周囲は例えばシリコーン接着剤64で封止されている。電極接続用ランドパターン62からの配線67は、試料溶液によるショートを避ける為、スルーホールを通じて両面配線プリント基板61の下面に引き出され、接続端子68まで延びている。
更に、表電極65と裏電極66とは、図12(a)(b)に示すように、共に裏面で両面配線プリント基板61の電極接続用ランドパターン62に接続できるように接続部69aが設けられており、引き出し電極69で電気的に接続されている。表電極65は水晶振動子25の一側面を経由して裏面の接続部へと引き出し電極69で引き回されている。
本実施の形態では、センサー基板24がフローセル型反応容器21の一部を構成しているが、これに限られるものではなく、フローセル型反応容器21表面にセンサー基板24を固定するには、接着剤を用いた化学的な方法などで行うようにすればよい。使用する接着剤としては、電気的接続にはシリコーン導電性接着剤、エポキシ導電性接着剤、異方性導電フィルム(ACF)、異方性導電ペースト(ACP)等が、また防水と固定にはシリコーン接着剤、エポキシ接着剤等が使用される。
図8及び図9に示すように、測定器具20の試料添加部位Aに試料及び標識体を添加し、試料中の測定対象物及び標識体が測定器具20のフローセル型反応容器21の流路22を移動し、該試料及び該標識体とを検出部位Cである水晶振動子25上のトラッパー又は測定対象物類似物に供給し、必要があれば前述の洗浄液で洗浄し、トラッパー又は測定対象物類似物と特異的に結合させて生じた複合体の量を水晶振動子の振動数の変化量として検出し、解析処理装置100を介して測定対象物の試料中の濃度を測定する。
更に、検量線作製のための既知濃度の標準物質を用いた測定は、同一の測定器具20を用いて個別に繰り返し行ってもよいが、測定器具20を複数組み合わせて構成した装置を用いて、試料中の測定対象物の測定と既知濃度の標準物質の測定とを同時に行うことが好ましい。
このことは、後述する実施例にて裏付けられる。
図13は本発明が適用された測定装置の実施の形態2を示す。
同図において、測定装置の基本的構成は実施の形態1と略同様に測定器具20と解析処理装置100とを備えているが、実施の形態1と異なり、POCT(ポイント オブ ケア テスティング)への対応を考慮して、小型で簡便な構成となるよう設計されている。尚、実施の形態1と同様な構成要素については実施の形態1と同様な符号を付してここではその詳細な説明を省略する。
本実施の形態において、装置全体は、測定器具20に解析処理装置100を組み込んだものであり、測定器具使い捨て部S1と、測定器具解析処理部S2の二つの要素から構成されている。測定器具使い捨て部S1は、QCMセンサー23(水晶振動子25を実装したセンサー基板24)、プラスティック製の上部カバー71及び下部カバー72、各種メンブレン81〜83を備えている。
本実施の形態において、標識体保持部位Bの標識体保持メンブレン82の材質としては、試料添加部位Aの試料保持メンブレン81の材質と同一または異なってよく、例えばガラス繊維、セルロース、ナイロン、架橋デキストラン、各種のクロマトグラフィー用紙、ニトロセルロース等があげられ、ニトロセルロースが好ましい。
また、吸収部位Dの吸収用メンブレン83としては、吸水性高分子化合物を使用することができる。該高分子化合物としては例えば、セルロース、グラスファイバー、コットン、ポリウレタン等が挙げられる。
更にまた、センサー基板24及び水晶振動子25の実装方法や、電極引き出し方法等は実施の形態1と略同様の方法が用いられている。センサー基板24は、上部カバー71と下部カバー72とに挟まれた状態で、接着あるいははめ込み式で組み立てられている。また、水晶振動子25は、上下カバー71,72により密閉された空間に配置されるため、環境の温度変化や風などに対する影響を受け難い。
本実施の形態において、測定器具解析処理部S2(100)は、実施の形態1と同様に、振動数測定回路及び濃度演算回路とを備えているが、振動数測定回路として、水晶振動子25を水晶発振回路111に接続して共振周波数近傍で発振させ、その発振周波数を周波数カウンター112で測定する構成が挙げられる。この構成の場合、濃度演算回路としてはパーソナルコンピュータやマイクロプロセッサーや論理演算回路などの制御装置113を用いることができる。
つまり、本実施の形態では、水晶振動子25の共振周波数の測定は、実施の形態1と異なり、水晶発振回路111を用いて水晶振動子25を発振させると、共振周波数よりわずかに高い周波数で発振するので、これを共振周波数と見なすことができる。そして、周波数カウンター112で前記発振出力を測定することで共振周波数を取得し、CPU等を利用した制御装置113において、検量線データを用いて共振周波数から測定対象物の濃度に変換し、結果を表示装置114に表示することが出来る。
実施の形態1,2に係る測定装置はQCMセンサー23として単一の水晶振動子を用いたモデルである。これらのモデルは、水晶振動子25自体の周波数ドリフトが比較的少なく、複合体結合による周波数変化量に比較して無視できる程度であれば特に問題はない。
ここで周波数ドリフトとは、目的物質の特異的な結合に基づく周波数変化以外の周波数変動を意味し、例えば添加した試料溶液が水晶振動子25に接触することで振動子自体、あるいは周囲の温度が変化し、それにともなって共振周波数が変化したり、試料溶液中に含まれる目的物質以外の成分がセンサー膜に結合して周波数変化を起こす場合などのような、意図しない周波数変動の事である。
実施の形態1,2において、もし、このような周波数ドリフトが存在すると、ドリフト成分が測定値に加算されるため、測定値に誤差を生じてしまう懸念がある。
このようなドリフト現象による測定誤差を減らすためには、リファレンス水晶振動子を用いる方法が考えられる。
リファレンス水晶振動子という名称に対し、目的物質を検出する水晶振動子25をテスト水晶振動子と呼ぶことにする。
流路22中の検出部位Cに、このリファレンス水晶振動子をテスト水晶振動子に併設し、それぞれの共振周波数の変化を測定して、テスト水晶振動子の周波数変化から、リファレンス水晶振動子の周波数変化を差し引くことでドリフト成分の影響を取り除き、測定誤差を少なくすることが可能である。
図16はリファレンス水晶振動子を用いた実施の形態3の構成を示す図である。
本実施の形態に係る測定装置は、基本的には実施の形態2にリファレンス水晶振動子を追加したもので、さらに追加したリファレンス水晶振動子の共振周波数を計測し、差を求めるように測定器具解析処理部S2(解析処理装置100)の測定回路120に改良を加えたものである。
従って、本実施の形態の説明においては、実施の形態2と異なる部分を中心に説明を行う。
本実施の形態においては、流路22中の検出部位Cに設けたテスト水晶振動子251に対し、試料溶液の流れの下流にリファレンス水晶振動子252が設置されている。
リファレンス水晶振動子252の実装方法は、テスト水晶振動子251と同様の方法を用いることができる。
リファレンス水晶振動子252からの配線は、センサー基板24の配線パターンに通じ、コネクター85を介して測定器具解析処理部S2の測定回路120に接続されている。
リファレンス水晶振動子252とテスト水晶振動子251の位置関係は、試料溶液の流れに対して直列でも並列でもよく、直列の場合には上流下流のどちらでもよい。
但し、テスト水晶振動子251とリファレンス水晶振動子252とをなるべく近くに配置することで、両者が同じようにドリフトの影響を受けるようにした方がドリフトのキャンセルがより完全になる点で好ましい。
テスト水晶振動子251とリファレンス水晶振動子252とに対応してそれぞれ個別の水晶発振回路121,122と周波数カウンター123,124とに接続されており、両水晶振動子251,252の共振周波数を同時連続的に測定する構成となっている。
水晶発振回路121,122には実施の形態2で用いたコルピッツ型水晶発振回路を用いることができる。測定した両者の共振周波数は、制御装置125内で差を演算することでドリフト成分の差し引きが行われるよう構成されている。尚、符号126は制御装置125による演算結果を表示する表示装置である。
本構成では、両者の発振周波数を周波数カウンター123,124で求めた後に、差を演算しているが、論理回路を用いて2つの水晶発振回路121,122の出力から直接、差周波数を作りだし、差周波数をカウンターで計測する方法を用いてもよい。
この例は、リファレンス水晶振動子252とテスト水晶振動子251とを切替回路130で切替ながら1つの水晶発振回路131で交互に発振させて周波数を測定するものである。
切替回路130には、電磁リレーやアナログスイッチ等の電子的なリレーを用いることができる。
切替は、制御装置133内で発生させた切替信号により行う。
切替のタイミングは、数0.1秒から数10秒の範囲が可能だが、切替時間が短いと周波数カウンター132の計測精度が悪くなり、逆に切替時間が長いと発振させていない側の共振周波数変化の様子がわからなくなるので通常1秒から数秒程度が適している。尚、符号134は制御装置133による演算結果を表示する表示装置である。
図19はリファレンス水晶振動子252とテスト水晶振動子251とのセンサー膜を示した図である。尚、同図において、T1,T2はテスト水晶振動子251の表裏電極、R1,R2はリファレンス水晶振動子252の表裏電極を示す。
テスト水晶振動子251には複合体を捕獲するためのテスト抗体261が担持されている。一方、リファレンス水晶振動子252には、複合体を捕獲しないようなセンサー膜262が形成されている。例えば、非特異吸着を防ぐ効果のあるBSA(牛血清アルブミン)を担持しておく。
本実施の形態での測定手順については、実施の形態2と全く同様である。
本実施の形態によれば、非特異吸着や温度変化などの他にも予期せぬ原因に基づくドリフトをキャンセルした測定が可能であるため、測定精度の向上が期待できる。
実施の形態3では、テスト水晶振動子251とリファレンス水晶振動子252とに別体の水晶振動子を用いたが、例えば一つの水晶基板上に2組の電極を設けた2チャンネル水晶振動子を用いることも出来る。
図20(a)(b)に測定器具の変形形態の概要を示し、図21は2チャンネル水晶振動子250の構造の一例を示す。
同図において、1つの水晶基板255上に2組の電極を設けて、それぞれテスト電極T(裏表)、リファレンス電極R(裏表)とする。それぞれの電極の表電極は水晶の端面を経由して水晶基板裏側に配線を引き回され、引き出し電極TT1、TR1に接続されている。一方、裏電極は裏面で引き出し電極TT2、TR2に接続されている。
このように、1枚の水晶基板255に2組の電極T,Rを形成し、それぞれ個別に配線を引き出すことで2個の水晶振動子を用いた場合と同様に、それぞれの固有の共振周波数を有する2つの振動子として機能する。
従って、2チャンネル水晶振動子250の一方の電極Tをテスト水晶振動子251として用い、もう一方の電極Rをリファレンス水晶振動子252として用いることができる。
以降、この形式をリファレンス型2チャンネル水晶振動子と呼ぶことにする。
このように、2つの個別の水晶振動子を用いる代わりにリファレンス型2チャンネル水晶振動子250を用いた場合の例で、2つの個別水晶振動子を用いる場合に比較してドリフト除去能力に優れているため、さらに高い精度と検出限界が必要な場合に適している。
また、リファレンス型2チャンネル水晶振動子250を2つ用いて、複数の目的物質を検出する構成も可能である。例えば第1のリファレンス型2チャンネル水晶振動子250でA型インフルエンザウイルスを検出し、第2のリファレンス型2チャンネル水晶振動子250でB型インフルエンザウイルスを検出することができる。
図23(a)(b)は変形形態2を示す。
同図において、本例は、3チャンネル水晶振動子を使った例で、3チャンネル水晶振動子のうち1つのチャンネル、例えばテスト水晶振動子253をコントロール水晶振動子254として用いることで、検査結果の信頼性を向上させる場合に適している。
つまり、3チャンネル水晶振動子を用いて、チャンネル1はテスト水晶振動子251、チャンネル2はリファレンス水晶振動子252、チャンネル3にはコントロール水晶振動子254として用いることも可能である。
ここで、コントロール水晶振動子254とは、複合体を形成していない磁性粒子を特異的に検出するセンサー膜が形成された水晶振動子であり、磁性粒子が流路中を流れたかどうかを検出し、測定自体が正常に完了したかどうか、つまり測定の可否を示す指標として用いることもできる。
3チャンネル水晶振動子は、1つの水晶基板255上に3組の電極を設けて、それぞれテスト電極A(裏表)、リファレンス電極R(裏表)、テスト電極B(裏表)とし、夫々をテスト水晶振動子251,リファレンス水晶振動子252,テスト水晶振動子253として機能させるものである。それぞれの電極の表電極は水晶の端面を経由して水晶基板裏側に配線を引き回され、引き出し電極TA1、TR1、TB1に接続されている。一方、裏電極は裏面で引き出し電極TA2、TR2、TB2に接続されている。
尚、コントロール水晶振動子254とリファレンス水晶振動子252の位置が変形形態2の説明とは逆になっているが、各水晶振動子の位置は検出する目的物質の特性や、流路の構造などで最適な配置が考えられ、特定の位置に配置すべきものではない。
更に、ライン数を3以上に増やすことも容易に可能であり、多検体および多測定対象物の同時計測が可能となる。
また、マルチチャンネル水晶振動子を複数の目的物質の検出に用いることもできる。
例えば3チャンネル水晶振動子を用い、チャンネル1でA型インフルエンザウイルスを検出し、チャンネル2でB型インフルエンザウイルスを検出し、チャンネル3はリファレンス水晶振動子252として用いる方法などが考えられる。
チャンネルを増やせばさらに多くの目的物質の検出に用いることができる。
本実施の形態に係る測定器具は、複数の測定対象物や検査の目的に応じて、個別水晶振動子と多チャンネル水晶振動子とを使い分けることで、柔軟に対応できるものであり、以下模式図を用いて説明する。
図25(a)(b)は複数ラインの流路を具備する測定器具を示す。
本例は、フローセル型反応容器21に複数ライン(例えば2ライン)の流路22a,22bを設け、夫々の流路22a,22bに試料添加部位A(標識体添加部位を兼用)、検出部位C及び吸収部位Dを夫々設けたものである。
そして、一方の流路22aの検出部位Cにはテスト水晶振動子251を配設すると共に、他方の流路22bの検出部位Cにはリファレンス水晶振動子252を配設するものであり、夫々の水晶振動子251,252には所定のセンサー膜が形成され、各水晶振動子251,252の裏面電極側の流路外には、磁場形成用の磁石40が配置されている。
本実施の形態としては、先述の片方のラインをリファレンス水晶振動子として使用する態様以外に、両方のラインにテスト水晶振動子を具備する態様もあり得る。両方のラインにテスト水晶振動子を具備する態様においては、2つの検体における同一測定対象物の同時測定や同一検体における2種類の測定対象物の同時測定が可能である。
図26は実施の形態4に係る測定器具の変形形態1を示すものである。
同図において、本例に係る測定器具は、実施の形態4と略同様であるが、フローセル型反応容器21に2ラインの流路22a,22bを含む態様の測定器具20の各流路22a,22bに標識体保持部位Bを追加した例である。
各ラインの流路22a,22bの検出部位Cにある水晶振動子は、一方がテスト水晶振動子251で、他方がリファレンス水晶振動子252であってもよいし、両方がテスト水晶振動子251でもよい。
図27(a)(b)は実施の形態4に係る測定器具の変形形態2を示すものである。
同図において、本例に係る測定器具は、変形形態1(図26)と略同様であるが、フローセル型反応容器21に2ラインの流路22a,22bを含む態様の測定器具20の各流路22a,22bに対し試料添加部位Aを一体化したもので、同一試料溶液中の測定対象物を測定する例である。
本例において、各流路22a,22b中の水晶振動子は、一方がテスト水晶振動子251で他方がリファレンス水晶振動子252であってもよいし、両方がテスト水晶振動子251でもよい。ここで、片方がリファレンス水晶振動子252である場合は、試料添加部位Aを一体化させることにより、テスト水晶振動子251と限りなく同程度のドリフト現象の影響を受けるため、試料添加部位Aが別々に配置された場合よりも更に高い精度および検出限界を実現することが可能である。両方がテスト水晶振動子251の場合には、試料添加部位Aがライン個別の場合に比べて、同一試料溶液内の異なる測定対象物を測定するために各々のラインに個別に試料溶液を添加する必要があるが、本構成の場合は一箇所に添加することで2つのラインに同時に試料溶液を展開することが可能となる。
図28(a)(b)は実施の形態4に係る測定器具の変形形態3を示すものである。
同図において、本例は、3ライン型測定器具の例で、ライン1の流路22aの検出部位にはテスト水晶振動子A251、ライン2の流路22bにはテスト水晶振動子B253、ライン3の流路22cにはリファレンス水晶振動子252を配置することで、2種類の測定対象物についてドリフト成分の影響を取り除き、測定誤差を少なすることを可能としたものである。
図29(a)(b)は実施の形態4に係る測定器具の変形形態4を示すものである。
同図において、本例は、3ライン型測定器具の例で、ライン1の流路22aの検出部位にはテスト水晶振動子251、ライン2の流路22bにはコントロール水晶振動子254、ライン3の流路22cにはリファレンス水晶振動子252を配置することで、精度と検出限界を高め、さらに測定中に磁性粒子が正常に流路中を流れたかどうかを検出し、測定自体の可否の判断を行うことが可能である。
具体的な構造については、変形形態1(図26参照)の2ライン型に更にラインが追加され、しかも、各流路22a〜22cに対し試料添加部位Aが共通化された構造である。
また、本図に示された測定器具を用いれば、検出部位における3つの水晶振動子を全てテスト水晶振動子とすることにより、3つの検体中の同一測定対象物の同時測定や同一検体における3つの測定対象物の同時測定が可能となる。更に、3つのラインのうちの一つのラインをリファレンス水晶振動子252を具備するリファレンスラインとして使用して、異なる2種類の測定対象物もしくは1種類の測定対象物を2検体分同時に測定することも可能である。
ライン数を3以上に増やすことも容易に可能であり、多検体および多測定対象物の同時計測が可能となる。また、複数ラインの1つをリファレンスラインとして用いることで、実施の形態3で説明したような方法で、ドリフト現象による誤差をキャンセルし、精度と検出限界を向上することが可能である。
図8に示す実施の形態1モデルを実施例1とし、磁石40による影響(磁気濃縮)を調べた。
本実施例では、標識体としては、ストレプトアビジンを表面に固定化した磁性粒子(本例では、BD(ベクトンディッキンソン社)社製IMag−DMを使用)を用い、一方、水晶振動子の電極表面のトラッパーとしては、ストレプトアビジンと特異的に結合するアビジン化BSA(牛血清アルブミン)を固定化したものを用い、フローセル型反応容器21の流路22に水晶振動子25を設置して、フローセル型反応容器21に前述の磁性粒子溶液を濃度を変えて流した時の水晶振動子25の共振周波数変化から、磁気濃縮の効果を明らかにした。
また、QCMセンサー23には37.5MHzの共振周波数を有する矩形形状のATカット水晶振動子を用いた。
更に、流路22のサイズは、およそ幅3.5mm、高さ0.2mmである。実装後の水晶振動子の高さはおよそ0.1mm程度なので、検出部位での流路の高さはおよそ0.1mmになる。
更に、センサー基板24の裏面のうち水晶振動子25が実装された位置にフェライト磁石(6.0mm×4.0mm、高さ2.0mm)が設置されている。水晶振動子25表面での磁束密度は約50mTであった。磁石は、取り外し可能となっており、磁石を設置したときの周波数変化と、磁石を設置しない場合の周波数変化の両方を測定できるようにした。
また、共振周波数変化の測定には、ネットワークアナライザー(アンリツ社製MS4630B)を用いた。共振周波数の37.5MHz付近を中心に、周波数幅100KHzをスイープしたときの水晶振動子25の周波数対アドミッタンス特性を測定し、最小二乗法により水晶振動子25の等価回路定数を求め、等価回路定数からさらに共振周波数を求めた。
fo=1/(2・π・(Lx・Cx)1/2) (式3)
この様にして求めた共振周波数変化は、あらかじめ既知の濃度の試料溶液を用いて得た検量線データを用いて、測定対象物の濃度に変換し、表示装置に結果を表示することが出来る。
また、水晶振動子のサイズは、2.2mm×4.5mmで、膜厚約150nmの金電極をRFスパッタ法で形成した。
次に、トラッパーの水晶振動子への固定化について説明する。
固定化に先立ち、水晶振動子の表面の金電極を水酸化ナトリウム溶液と塩酸溶液を用いて洗浄し、次に100μg/mLのビオチン化BSA水溶液約15μLを表電極上に滴下し、湿潤箱の中に約1時間保持して固定化した。次に、非特異吸着を防ぐため、1%濃度のBSA(牛血清アルブミン)水溶液を15μL滴下して、湿潤箱中に約1時間保持してブロッキングを行なった。
以上説明した測定系と、センサー基板とを用いて、磁性粒子の反応実験を行なった。実験に使用した試料溶液は、前述の市販の磁性粒子懸濁液をPBSバッファーで40倍から5120倍まで、2倍間隔で希釈した試料溶液を用意し、これをフローセルに100μLずつ、流速20μL/minで順次流して、その時の周波数変化を計測した。最初に濃縮用の磁石を外した状態で測定を行い、次に磁石を設置した状態で測定を行なった。
同図において、磁性粒子の濃度は試料溶液中に含まれる市販磁性粒子懸濁液をv/v%で表示しており、40倍希釈が2.5v/v%に相当する。縦軸は、周波数変化率で表示してある。
磁石を外した場合、磁性粒子が0.3125v/v%(320倍希釈)以下では検出できず、0.625v/v%(160倍希釈)から測定可能となるのに対し、磁石を設置した場合、0.015v/v%(640倍希釈)から測定可能となり、およそ4倍程度の感度差が認められた。
また、本実施例では、水晶振動子25部分での流路の高さはおよそ0.1mmと非常に薄いため、フローセルを流れる全磁性粒子のうち、多くの磁性粒子が、センサー表面から距離的に近い場所を流れることとなり、磁気濃縮の効果が出にくい条件である。それにもかかわらず、明らかに4倍程度の感度増加が確認された。従って、フローセルの流路が厚くなるような応用においては、より高い濃縮効果が期待できる。また、磁石の強度を強くすることで、さらに磁気濃縮効果が向上することが期待できる。
本実施例では、磁気濃縮の効果を端的に示すために、あえてサンドイッチ反応によらず、磁性粒子を直接QCMセンサー23で検出したものであるが、サンドイッチ反応を用いた場合も当然、磁気濃縮効果が期待できる。
図13に示す実施の形態モデルを実施例2として用い、この実施例2の測定の手順を、インフルエンザA型抗原の検査を例に説明する。
インフルエンザA型抗原の検出には、患者から採取したウイルスを含む検体を界面活性剤等を用いて核タンパク質を溶出させ、この核タンパク質をサンドイッチ反応を利用してQCMセンサー23で検出する方法を用いる。
磁性粒子には、粒径が50nmから3000nm程度の磁性粒子を用い、その表面にA型インフルエンザウイルスの核タンパクと特異的に結合する抗体を固定化する。一方、水晶振動子25の電極表面にもA型インフルエンザウイルスの核タンパクと特異的に結合する抗体をトラッパーとして固定化しておく。
検査は患者から採取した鼻空ぬぐい液、あるいは鼻空吸引液、あるいはうがい液に0.1%から数%程度の界面活性剤を加えて核タンパク質を可溶化したのち、試料溶液を一定量、試料添加用開口部75に添加する。添加した試料溶液は、試料保持メンブレン81に吸収され、続けて、隣接して設けた標識体保持メンブレン82へ展開してゆく。標識体保持メンブレン82において、試料溶液中の核タンパク質が標識体と複合体を形成し、さらに流路22に展開してゆき、水晶振動子25の電極表面に固定化した例えばトラッパー(固定化物質)11へ達する。ここで、複合体は固定化物質と結合して、水晶振動子25の共振周波数変化をもたらす。試料溶液はさらに流路22中に展開して、吸収用メンブレン83に達して、流路22中の試料溶液が吸収用メンブレン83に吸収される。
複合体の結合による周波数変化量の取得は、接触によって周波数が低下した後の一定時間Tw後から、さらに一定時間Tm経過した時の周波数低下Δfmを用いる。周波数低下量Δfmと、試料溶液に含まれるウイルス中の核タンパクの量、あるいは、ウイルス量との関係は、測定器具解析処理部S2の制御装置113内に記憶させた検量線データを用いて、周波数低下量からウイルス量あるいは、核タンパク含有量を計算し、たとえば、ウイルス量ならpfu/mL等の単位を用いて表示装置114に表示することが出来る。
図34は図16に示す実施の形態3モデルを実施例3とし、本実施例における測定時のテスト水晶振動子251とリファレンス水晶振動子252の周波数変化の様子を示した図である。
横軸は経過時間で、時間0から周波数測定を開始し、試料液体を添加する以前は、テスト水晶振動子は共振周波数faTで、リファレンス水晶振動子252はfaRで発振している。
次に時間T1で試料液体を添加すると、試料液体が流路を展開して、時間T2でテスト水晶振動子251に達し、すこし遅れてT2’でリファレンス水晶振動子に達する。
試料液体が水晶振動子251に達すると、およそ20KHz程度の周波数低下を生じ、その後、テスト水晶振動子には目的物質を含む複合体がセンサー膜に結合して周波数が低下する。
一方、リファレンス水晶振動子には、複合体は捕獲されず、ドリフト現象による周波数変化だけが現れる。
このドリフト現象による周波数変化が、テスト水晶振動子にも同様に生じていると考え、両者の差を取ることで、目的物質を含む複合体による周波数変化だけ取り出すことができる。
上記、周波数変化量の取得においては、2点間(T3からT4)の周波数データのみを用いて差分Δfmを求めたが、周波数低下量(Δfm2−Δfm1)を連続的に求めて、カーブフィティングの手法を用いて、一定時間後の低下量Δfmを推定で求めてもよい。
本実施例によれば、非特異吸着や温度変化などの他にも予期せぬ原因に基づくドリフトをキャンセルした測定が可能であるため、測定精度の向上が期待できる。
Claims (20)
- 試料中の測定対象物及び、測定対象物類似物と磁性粒子とが結合してなる標識体が流路に沿って移動可能なフローセル型反応容器を含む測定器具であって、
フローセル型反応容器の流路には、試料が添加される試料添加部位と、この試料添加部位の下流側に設けられて測定対象物が検出可能な検出部位とを設け、
検出部位は、測定対象物および測定対象物類似物に特異的に結合するトラッパーが保持された圧電振動子を有し、磁力発生部材による磁場作用域に前記圧電振動子を配置したものであることを特徴とする測定器具。 - 請求項1記載の測定器具において、
フローセル型反応容器の流路のうち少なくとも検出部位の上流側には、測定対象物類似物と磁性粒子とが結合してなる標識体が供給される標識体供給部位を備えることを特徴とする測定器具。 - 試料中の測定対象物並びに、測定対象物および測定対象物類似物に特異的に結合するバインダーと磁性粒子とが結合してなる標識体が流路に沿って移動可能なフローセル型反応容器を含む測定器具であって、
フローセル型反応容器の流路には、試料が添加される試料添加部位と、この試料添加部位の下流側に設けられて測定対象物が検出可能な検出部位とを設け、
検出部位は、測定対象物類似物が保持された圧電振動子を有し、磁力発生部材による磁場作用域に前記圧電振動子を配置したものであることを特徴とする測定器具。 - 請求項3記載の測定器具において、
フローセル型反応容器の流路のうち少なくとも検出部位の上流側には、測定対象物および測定対象物類似物に特異的に結合するバインダーと磁性粒子とが結合してなる標識体が供給される標識体供給部位を備えることを特徴とする測定器具。 - 請求項2又は4記載の測定器具において、
標識体供給部位はフローセル型反応容器の流路のうち試料添加部位の下流側に設けられるものであることを特徴とする測定器具。 - 請求項2又は4記載の測定器具において、
標識体供給部位は試料添加部位を兼ねることを特徴とする測定器具。 - 請求項1乃至6のいずれかに記載の測定器具において、
フローセル型反応容器の流路のうち検出部位の下流側には、吸収部位を備えることを特徴とする測定器具。 - 請求項1乃至7のいずれかに記載の測定器具において、
圧電振動子が水晶振動子であることを特徴とする測定器具。 - 請求項1乃至8のいずれかに記載の測定器具において、
磁力発生部材はフローセル型反応容器の流路外で、且つ、磁力発生部材は圧電振動子のトラッパー又は測定対象物類似物が保持された面とは反対側に設けられることを特徴とする測定器具。 - 請求項1乃至9のいずれかに記載の測定器具において、
フローセル型反応容器は複数の流路を備えることを特徴とする測定器具。 - 請求項1乃至10のいずれかに記載の測定器具において、
該流路に予め標識体が移動可能に保持されていることを特徴とする測定器具。 - 請求項1乃至10のいずれかに記載の測定器具及び標識体を含むことを特徴とする測定用キット。
- 試料中の測定対象物と、測定対象物類似物と磁性粒子とが結合してなる標識体とをフローセル型反応容器の流路に沿って移動させ、該流路下流の磁力発生部材による磁場作用域に配置されている圧電振動子上に保持されている測定対象物および測定対象物類似物に特異的に結合するトラッパーに供給し、トラッパー−標識体からなる複合体を生成させる工程と、
圧電振動子上に生成したトラッパー−標識体からなる複合体の量を、圧電振動子に磁場を発生させた状態で圧電振動子の振動数の変化量として測定する振動数測定工程と、
この振動数測定工程で測定した圧電振動子の振動数の変化量と予め既知濃度の試料を用いて作成した検量線とから試料中の測定対象物の濃度を決定する濃度決定工程とを備えたことを特徴とする測定方法。 - 試料中の測定対象物と、測定対象物および測定対象物類似物に特異的に結合するバインダーと磁性粒子とが結合してなる標識体とをフローセル型反応容器の流路に沿って移動させ、該流路下流の磁力発生部材による磁場作用域に配置されている圧電振動子上に保持されている測定対象物類似物に供給し、測定対象物類似体−標識体からなる複合体を生成させる工程と、
圧電振動子上に生成した測定対象物類似物−標識体からなる複合体の量を、圧電振動子に磁場を発生させた状態で圧電振動子の振動数の変化量として測定する振動数測定工程と、
この振動数測定工程で測定した圧電振動子の振動数の変化量と予め既知濃度の試料を用いて作成した検量線とから試料中の測定対象物の濃度を決定する濃度決定工程とを備えたことを特徴とする測定方法。 - 請求項13又は14記載の測定方法において、
該複合体を生成させる工程と振動数測定工程との間にさらに複合体を洗浄する工程を含むことを特徴とする測定方法。 - 請求項13乃至15のいずれかに記載の測定方法において、
試料と標識体とをフローセル型反応容器の流路に沿って移動させ、該流路下流に配置されている圧電振動子上に保持されているトラッパー又は測定対象物類似物に供給するに際して、試料と標識体とを同時又は前後して順に流路に添加することを特徴とする測定方法。 - 請求項13乃至15のいずれかに記載の測定方法において、
標識体がフローセル型反応容器の流路に予め保持されており、試料の添加により共に移動することを特徴とする測定方法。 - 請求項13乃至17のいずれかに記載の測定方法において、
圧電振動子が水晶振動子であることを特徴とする測定方法。 - 請求項1乃至11のいずれかに記載の測定器具又は請求項12記載の測定用キットと、
この測定器具の圧電振動子の振動数を測定する振動数測定手段とを備えたことを特徴とする測定装置。 - 請求項19記載の測定装置において、
さらに該振動数測定手段で測定した圧電振動子の振動数の変化量と予め作成した検量線とから試料中の測定対象物の濃度を決定する濃度決定手段を備えたことを特徴とする測定装置。
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