JP4586164B2 - 麹菌由来ホスホリパーゼa2 - Google Patents
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Description
従って、通常の菌由来の遺伝子を食品などに利用する際に必要な慢性毒性検査等の安全審査において、通常の菌由来の遺伝子の場合には約10億円要するのに対して、上記のGRASグレードである遺伝子の場合にはその約3分の1程度の経費で済むし、更に、該審査に要する時間もより短いというメリットがある。
このように、糸状菌、特に麹菌は、安全性及び経済性の点から極めて利用価値の高い遺伝子の宝庫と言える。
従って、これら菌のゲノムDNA情報を明らかにし、それにコードされる遺伝子等の機能を明らかにすることによって、バイオテクノロジーを利用した物質生産等のような、食品産業において安全な遺伝子資源の有効な活用法を提供するとともに、農薬及び医薬分野における各種遺伝子スクリーニングの為の有用な情報を提供することが出来る。
更に、近縁種であるアスペルギルス・フラバス(Aspergillus flavus)、アスペルギルス・フミガタス(Aspergillus fumigatus)等のように穀物汚染菌、ヒト感染菌のゲノム情報を解析する有用なツールともなり得るものである。
以上の背景の下で検討を行った結果、本発明者らは麹菌の一種であるアスペルギルス・オリゼのゲノムを解析することに成功し、それらの塩基配列(及びそれがコードするアミノ酸配列)及び各種機能等を決定した。かかる成果に基づいて、先の出願(特願2001−403261)においてアスペルギルス・オリゼ由来の各種DNA、並びに、これらのDNAから調製されるヌクレオチド配列からなるGRASグレードの糸状菌遺伝子の増幅用プライマーセット及び糸状菌遺伝子検出用プローブ等を開示した。
本発明者らは得られた麹菌ゲノム情報を基に更なる検討を行った。即ち、ホスホリパーゼA2に注目し、得られた塩基配列の中からホスホリパーゼA2をコードする配列を特定し、またその配列によってコードされるタンパク質のアミノ酸配列を同定することを試みた。尚、ホスホリパーゼA2はグリセロ燐脂質の2位のエステル結合を加水分解し脂肪酸とリゾ燐脂質を遊離する酵素である。動物由来のホスホリパーゼA2については古くからその存在が知られており、かかるホスホリパーゼA2は、乳化剤としてのリゾレシチンの製造(例えば特開平10−042884号公報を参照)、油脂の脱ガム工程(例えばIndustrial Enzymology 2nd ed.,p299−300(1996)を参照)、製パン(例えば特開昭60−2135号公報を参照)、機能性燐脂質(例えばオレオサイエンス 第2巻第1号(2002)を参照)など食品工業で広く利用されている。また抗炎症薬、敗血症治療薬、リウマチ治療薬、喘息治療薬、虚血性疾患治療薬、虚血再潅流傷害治療薬などの開発に使用することも出来る。しかしながら、動物由来の酵素は、近年その由来故に消費者、食品製造会社に敬遠される傾向にあり、より安全性が高いとみなされる微生物由来の酵素が望まれてきている。近年になって微生物由来のホスホリパーゼA2についての研究がなされ、放線菌の一種ストレプトマイセス・ビオラセオルーバー(Streptomyces violaceoruber)の酵素(特開平6−327468号公報を参照)が見出されていた。さらに最近になって糸状菌の一種であるチューバー・ボルチー(Tuber borchii)由来の酵素(Soragni et al.,The EMBO Journal,20(18)5079−5090(2001)を参照)、ヘリコスポリウム属糸状菌(Helicosporium sp.)由来の酵素(Wakatsuki et al.,Biochim.Biophys.Acta 1522,74,(2001)を参照)が報告された。しかしながらこれらの微生物は食品としての使用経験がなく、より安全性の高い菌種由来の酵素が望まれていた。
そこで、本発明は麹菌由来のホスホリパーゼA2及びそれをコードするDNA、並びに当該麹菌由来ホスホリパーゼA2の生産方法等を提供することを課題とする。
本発明は以上の成果に基づき完成されたものであって、以下の構成を提供する。
[1] 以下の(a)又は(b)のタンパク質からなるホスホリパーゼA2:
(a)配列番号1で示されるアミノ酸配列を有するタンパク質;
(b)配列番号1で示されるアミノ酸配列の一部を改変したアミノ酸配列を有し、ホスホリパーゼA2として機能するタンパク質。
[2] 以下の(c)又は(d)のタンパク質からなるホスホリパーゼA2:
(c)配列番号2で示されるアミノ酸配列を有するタンパク質;
(d)配列番号2で示されるアミノ酸配列の一部を改変したアミノ酸配列を有し、ホスホリパーゼA2として機能するタンパク質。
[3] 以下の(A)又は(B)のDNA:
(A)[1]に記載のホスホリパーゼA2をコードするDNA;
(B)(A)のDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、それがコードするタンパク質がホスホリパーゼA2として機能するDNA。
[4] 以下の(C)又は(D)のDNA:
(C)[2]に記載のホスホリパーゼA2をコードするDNA;
(D)(C)のDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、それがコードするタンパク質がホスホリパーゼA2として機能するDNA。
[5] 以下の(i)〜(vi)のいずれかの配列を有するDNA:
(i)配列番号3で示される塩基配列;
(ii)配列番号4で示される塩基配列;
(iii)配列番号5で示される塩基配列;
(vi)配列番号6で示される塩基配列;
(v)配列番号7で示される塩基配列;
(vi)配列番号8で示される塩基配列;
[6] [3]〜[5]のいずれかに記載のDNAを保持するベクター。
[7] [3]〜[5]のいずれかに記載のDNAが外来的に導入されている糸状菌。
[8] 以下の(1)及び(2)のステップを含む、ホスホリパーゼA2の生産方法:
(1)[7]に記載の糸状菌を、前記DNAのコードするタンパク質が産生可能な条件で培養するステップ;及び
(2)産生されたタンパク質を回収するステップ。
本発明における「DNA」は2本鎖DNAに限らず、それを構成する1本鎖DNA(センス鎖及びアンチセンス鎖)を含む意味で用いられる。また、本発明のDNAにはコドンの縮重を考慮した任意の塩基配列を有するDNAが包含される。さらにはその形態も限定されず、cDNA、ゲノムDNA、合成DNAが含有される。
本発明において「タンパク質をコードするDNA」とは、それを発現させた場合に当該タンパク質が得られるDNAのことをいい、当該タンパク質のアミノ酸配列に対応する塩基配列を有するDNAは勿論のこと、そのようなDNAにアミノ酸配列をコードしない配列が付加されてなるDNA(例えば1又は複数個のイントロンを含むDNA)をも含む。
本発明における「麹菌由来ホスホリパーゼA2」とは、麹菌を出発材料として調製されたホスホリパーゼA2、或はそれを取得する過程において麹菌が保有するホスホリパーゼA2の情報(アミノ酸配列やDNA配列)を利用して調製されたホスホリパーゼA2のことをいい、麹菌から物理的手法や生化学的手法等を用いて調製されたホスホリパーゼA2は勿論のこと、本発明において開示されるホスホリパーゼA2のアミノ酸配列又はDNA配列を利用した遺伝子工学的手法などを用いて調製されたホスホリパーゼA2を含む。
図2は、発現ベクターpNGspaBの構成を模式的に示した図である。
図3は、ホスホリパーゼA2−spaA形質転換体及びホスホリパーゼA2−spaB形質転換体のホスホリパーゼ活性(培養上清中及び菌体破砕液中)を示した図である。
図4は、ホスホリパーゼA2−spaA遺伝子を保持する形質転換体から精製されたホスホリパーゼA2−spaAタンパク質のSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動パターンを示す図である。
図5は、CM−セルロース・カラムで精製したホスホリパーゼA2−spaA形質転換体の培養上清を用いたホスホリパーゼA2活性測定の結果をまとめたグラフである。
本発明の第1の局面は麹菌に由来するホスホリパーゼA2に関する。本発明で提供されるホスホリパーゼA2は例えば配列番号1若しくは配列番号2のアミノ酸配列を有するタンパク質からなる。後述の実施例で示されるように、当該タンパク質については糸状菌を用いた発現系において実際にホスホリパーゼA2活性を示すことが確認されている。
ここで、一般に、あるタンパク質のアミノ酸配列の一部に改変を施した場合において改変後のタンパク質が改変前のタンパク質と同等の機能を有することがある。即ちアミノ酸配列の改変がタンパク質の機能に対して実質的な影響を与えず、タンパク質の機能が改変前後において維持されることがある。このことを考慮して、上述のホスホリパーゼA2活性を有するタンパク質のアミノ酸配列(配列番号1及び2)の一部を改変して得られるアミノ酸配列を有するタンパク質(以下、「改変タンパク質」ともいう)であっても、ホスホリパーゼA2としての機能を有する限りにおいて本発明のホスホリパーゼA2(タンパク質)を構成することができる。換言すればホスホリパーゼA2としての機能が維持される限りにおいて一部のアミノ酸の改変が許容される。尚、改変の前後においてホスホリパーゼA2活性が低下しないことが好ましいが、多少の変動(上昇又は低下)があってもよい。
ここでの「アミノ酸配列の一部が改変されてなる」とは、アミノ酸配列において1又は複数のアミノ酸が欠失、置換、付加、及び/又は挿入されてなることを意味する。ホスホリパーゼA2活性が維持される限りにおいて、アミノ酸配列の改変(変異)位置は特に限定されず、また複数の位置で改変が生じていてもよい。改変にかかるアミノ酸数は、例えば全アミノ酸の10%以内に相当する数であり、好ましくは全アミノ酸の5%以内に相当する数である。さらに好ましくは全アミノ酸の1パーセント以内に相当する数である。以上のような改変タンパク質は例えば、配列番号1又は2のアミノ酸配列をコードする塩基配列に改変を加えた配列を有する核酸断片を調製し、これを適当な発現系において発現させるなど、遺伝子工学的手法を用いて作製することができる。
本発明のタンパク質(改変タンパク質を含む)の中で天然の麹菌が有するものについては、当該麹菌より抽出、精製等の操作によって調製することができる。また、本明細書で開示されるホスホリパーゼA2の情報を基にして遺伝子工学的手法を用いて本発明のタンパク質(改変タンパク質を含む)を調製することもできる。例えば、本発明のタンパク質をコードするDNAで適当な宿主細胞を形質転換し、形質転換体内で発現されたタンパク質を回収することにより調製することができる。回収されたタンパク質は目的に応じて適宜精製される。組換えタンパク質として調製する場合には種々の修飾が可能である。例えば、本発明のタンパク質をコードするDNAと他の適当なDNAとを同じベクターに挿入し、当該ベクターを用いて組換えタンパク質の生産を行えば、本発明のタンパク質に他のペプチドないしタンパク質が連結された組換えタンパク質を得ることができる。また、糖鎖及び/又は脂質の付加や、あるいはN末端若しくはC末端のプロセッシングが生ずるような修飾を施してもよい。以上のような修飾により、組換えタンパク質の抽出、精製の簡便化、又は生物学的機能の付加等が可能である。
(ホスホリパーゼA2をコードするDNA)
本発明の第2の局面は麹菌由来のホスホリパーゼA2をコードするDNAを提供する。このようなDNAの具体例としては、配列番号3又は4で示される塩基配列を有するDNA、或は配列番号7で示される塩基配列を有するDNAを挙げることができる。配列番号3又は4の配列はホスホリパーゼA2をコードするゲノムDNA(ホスホリパーゼA2遺伝子)に由来する配列であり、配列番号7の配列は配列番号4の配列からイントロン領域を除いた配列である。本発明のDNAの他の具体例としては、配列番号5、6、又は8で示される塩基配列を有するDNAを挙げることができる。配列番号5の塩基配列は、配列番号3で示されるホスホリパーゼA2遺伝子とその推定プロモータ及びターミネータ領域とを含むDNAである。同様に配列番号6の塩基配列は、配列番号4で示されるホスホリパーゼA2遺伝子とその推定プロモータ及びターミネータ領域とを含むDNAである。また、配列番号8の塩基配列は、配列番号7で示されるDNA(ホスホリパーゼA2遺伝子からイントロン領域を除いたDNA)とその推定プロモータ及びターミネータ領域とを含むDNAである。これらのDNAではプロモータ及びターミネータと構造遺伝子の組合わせが理想的となることから、当該DNAを利用してのホスホリパーゼA2生産を行えば良好な遺伝子発現を期待できる。したがって、効率的なホスホリパーゼA2生産系が構築される。
以上の本発明のDNAは、適当な糸状菌ゲノムDNAライブラリー又はcDNAライブラリー、或は糸状菌の菌体内抽出液から、本発明のホスホリパーゼA2をコードする遺伝子(例えば配列番号3又は4で示される塩基配列を有するDNA)に対して特異的にハイブリダイズ可能なプローブ、プライマーなどを適宜利用して調製することができる。尚、本発明のDNAを調製するために用いる糸状菌ゲノムDNAライブラリー又はcDNAライブラリーの作製方法については、例えばMolecular Cloning,Third Edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press,New Yorkを参照できる。
具体的には例えば、次の手順で本発明のDNAを調製することができる。まず、目的のDNAを保有すると予想される糸状菌を所定時間培養した後、ろ過により集菌する。洗浄後、菌体を凍結乾燥させる。続いて乳鉢などを用いて菌体を粉砕した後、適当量の抽出用緩衝液(例えばSDS含有Tris−HCl緩衝液)を加えて抽出液とする。続いて、フェノール抽出、エタノール沈殿等によってゲノムDNAの抽出、精製を行う。このようにして得られたゲノムDNAを鋳型として目的のDNAに特異的なプライマーを用いたPCR法を実施することにより、目的のDNAが増幅産物として得られる。
適当な糸状菌ゲノムDNAライブラリー又はcDNAライブラリーを入手可能な場合にはこれらを利用して本発明のDNAを調製することもできる。使用するライブラリーの種類に応じてプラークハイブリダイゼーション法あるいはコロニーハイブリダイゼーション法などが利用される(Molecular Cloning,Third Edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press,New York等を参照)。例えばプラスミドを用いて構築されたライブラリーの場合を例に採ればコロニーハイブリダイゼーション法が利用される。目的のDNAを保有するクローンの選択には、本発明のDNAに特異的な配列を有するプローブが用いられる。目的とするクローンが選択されれば、このクローンが保有するDNAを鋳型とし、目的のDNAの配列に特異的なプライマーを用いたPCR法等を実施することにより、本発明のDNAを増幅産物として得ることができる。
得られたクローンが保有するDNAを適当なベクターにサブクローニングして以降の利用に供することができる。これによって例えば、形質転換用の組換えベクターの構築や、或は塩基配列解読に適したプラスミドの構築ができる。
ここで、一般に、あるタンパク質をコードするDNAの一部に改変を施した場合において、改変後のDNAがコードするタンパク質が、改変前のDNAがコードするタンパク質と同等の機能を有することがある。即ちDNA配列の改変が、コードするタンパク質の機能に実質的に影響を与えず、コードするタンパク質の機能が改変前後において維持されることがある。このことを考慮して、上述した本発明のDNAの一部を改変した塩基配列を有するDNA(以下、「改変DNA」ともいう)であっても、それがコードするタンパク質がホスホリパーゼA2としての機能を有する限りにおいて本発明のDNAを構成することができる。換言すれば、コードするタンパク質が有する、ホスホリパーゼA2としての機能が維持される限りにおいて一部の配列の改変が許容される。尚、改変の前後において、コードするタンパク質のホスホリパーゼA2活性が低下しないことが好ましいが、多少の変動(上昇又は低下)があってもよい。
ここで「一部の改変」とは、典型的には、改変前の塩基配列において1若しくは複数の塩基が置換、欠失、挿入、又は付加されることをいう。このような改変は複数の部位に生じていてもよい。ここでの「複数」とは改変が行われる位置や改変の種類によっても異なるが例えば2〜100個、好ましくは2〜50個、より好ましくは2〜10個である。以上のような改変DNAは例えば、制限酵素処理、エキソヌクレアーゼやDNAリガーゼ等による処理、位置指定突然変異導入法(Molecular Cloning,Third Edition,Chapter 13,Cold Spring Harbor Laboratory Press,New York)やランダム突然変異導入法(Molecular Cloning,Third Edition,Chapter 13,Cold Spring Harbor Laboratory Press,New York)による変異の導入などによって得られる。また、ホスホリパーゼA2遺伝子を保有する糸状菌を紫外線で処理し、その後改変された遺伝子を単離することなど、公知の変異処理を利用した方法によっても取得することができる。
尚、上記のような塩基の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位等の変異にはホスホリパーゼA2を保持する微生物の個体差、種や属の違いに基づく場合など、天然に生じる変異も含まれる。
改変DNAの調製方法としては、改変DNAを保有する天然の麹菌(アスペルギルス・オリゼ)からゲノム(染色体)DNAを抽出し、これを適当な制限酵素で処理した後に本発明のDNA(例えば配列番号3又は4で示される配列を有するDNA)又はその一部をプローブとしたスクリーニングにおいてストリンジェントな条件でハイブリダイズするDNAを選択、単離する方法を例示することができる。改変DNAを保有するクローンを含むゲノム(染色体)DNAライブラリーを利用可能な場合には、当該ライブラリーを本発明のDNA(例えば配列番号3で示される配列を有するDNA)又はその一部をプローブとしてストリンジェントな条件下でスクリーニングすることによっても得ることができる
上記本発明のDNA(例えば配列番号3又は4で示される配列を有するDNAやこれに上記改変を加えて得られるDNA)とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつそれがコードするタンパク質がホスホリパーゼA2として機能するDNAを本発明のDNAとすることもできる。ここでいう「ストリンジェントな条件」とはいわゆる特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいう。ストリンジェントな条件は配列の長さや構成塩基の種類によっても変動するが、例えば、ハイブリダイゼーション液(50%ホルムアルデヒド、10×SSC(0.15M NaCl,15mM sodium citrate,pH7.0)、5×Denhardt溶液、1% SDS、10% デキストラン硫酸、10μg/mlの変性サケ精子DNA、50mM リン酸バッファー(pH7.5))を用いて42℃でインキュベーションし、その後0.1×SSC、0.1% SDSを用いて68℃で洗浄する条件である。更に好ましいストリンジェントな条件としては、ハイブリダイゼーション液として50%ホルムアルデヒド、5×SSC(0.15M NaCl,15mM sodium citrate,pH7.0)、1×Denhardt溶液、1%SDS、10%デキストラン硫酸、10μg/mlの変性サケ精子DNA、50mM リン酸バッファー(pH7.5))を用いる条件を例示することができる。
(ベクター)
本発明の他の局面は、上記本発明のDNA(改変DNAを含む)を保持するベクターを提供する。このようなベクターは、既存のベクター又はそれに改変を施したベクター内に本発明のDNAを組込むことにより作製される。本発明のDNAを保持し得るものであれば原則としていかなるベクターを出発材料としてもいが、使用目的(クローニング、ポリペプチドの発現)に応じて、また宿主細胞の種類を考慮して適当なベクターが選択される。本発明のDNAのベクターへの組込みは、制限酵素及びDNAリガーゼを用いた周知の方法(Molecular Cloning,Third Edition,1.84,Cold Spring Harbor Laboratory Press,New York)により行うことができる。
尚、プロモータ領域をも含むDNA(例えば配列番号5、6、8のいずれかに示される配列を有するDNA)を保持するベクターを構築する場合には、当該DNAのプロモータ領域とその他の領域とを別個に容易し、それぞれをベクターに組込むことにより組換えベクターを構築してもよい。このような場合には、プロモータ機能が適切に発揮されることを条件として、ベクター内において両者(プロモータ領域とその他の領域)の間に他の配列が介在していてもよい。また、まずプロモータ領域を保持するベクターを構築し、その後にその他の領域の連結を行ってもよい。
形質転換用のベクターには、典型的には、ホスホリパーゼA2遺伝子(例えば配列番号3に示される配列を有するDNA)、プロモータ、およびターミネータが含有される。プロモータによる構造遺伝子の適切な転写が達成されるように、上流から下流に向かって順にプロモータ、ホスホリパーゼA2遺伝子、及びターミネータが配置される。ベクター内に、選択マーカーやエンハンサー機能を有する配列、シグナルペプチドをコードする配列などを含有させてもよい。
(形質転換体)
形質転換用ベクターは糸状菌の形質転換に利用される。即ち、上記の形質転換用ベクターを用いて、糸状菌の形質転換体の調製方法を構築することができる。かかる調製方法によれば、本発明のDNAが外来的に導入された糸状菌が得られる。このようにして得られた糸状菌形質転換体はホスホリパーゼA2の生産に利用され得る。具体的には、本発明のDNAが外来的に導入された糸状菌形質転換体を、当該DNAのコードするタンパク質(ホスホリパーゼA2)が発現可能な条件で培養することにより、ホスホリパーゼA2を産生させることができる。培地は使用する宿主に応じて適切なものが用いられる。例えば市販の各種培地又はこれらにアルギニン、ウリジン等の形質転換体の生育、選択、タンパク質の発現促進などに必要な成分を添加した培地を用いることができる。
所望時間培養した後の培養液又は菌体より目的のタンパク質(ホスホリパーゼA2)を回収することができる。菌体外に産生された場合には培養液より、それ以外であれば菌体内より回収することができる。培養液から回収する場合には、例えば培養上清をろ過、遠心処理して不溶物を除去した後、硫安沈殿等の塩析、透析、各種クロマトグラフィーなどを組み合わせて分離、精製を行うことにより目的のタンパク質を取得することができる。他方、菌体内から回収する場合には、例えば菌体を加圧処理、超音波処理などによって破砕した後、上記と同様に分離、精製を行うことにより目的のタンパク質を取得することができる。尚、ろ過、遠心処理などによって予め培養液から菌体を回収した後、上記一連の工程(菌体の破砕、分離、精製)を行ってもよい。尚、本発明のホスホリパーゼA2は通常菌体外に産生されることから、その分離、精製は比較的容易である。
形質転換に供される宿主糸状菌の種類は特に限定されず、アスペルギルス属(アスペルギルス・オリゼ、アスペルギルス・ニガー、アスペルギルス・ニドランス、アスペルギルス・ソーヤ、アスペルギルス・アワモリ、アスペルギルス・カワチ、アスペルギルス・パラシティクス、アスペルギルス・フラバス、アスペルギルス・ノミウス、アスペルギルス・フミガタス等)、ペニシリウム属、トリコデルマ属、リゾプス属、ムコール属、又はフザリウム属等に分類される糸状菌を用いることができる。好ましくはアスペルギルス属の糸状菌が用いられる。中でもアスペルギルス・オリゼ、又はニガーを用いることが安全性点から好ましい。
形質転換用ベクターの宿主糸状菌への導入(形質転換)は公知の方法で行うことができる。例えば、プロトプラスト化した菌体を用いたTurnerら方法(Gene,36,321−331(1985))により行うことができる。その他、五味らの方法(Agric.Biol.Chem.,51,323−328(1987))などを採用してもよい。
[実施例1] ホールゲノムショットガンライブラリーの作製方法
1.インサート側の調製
(1)染色体DNAの取得
糸状菌Aspergillus oryzae RIB−40株(ATCC 42149)の胞子をYPD培地(0.5% Yeast extract,1% Peptone,2% Glucose)に植菌し30℃で一晩振盪培養した。その後、飯村(Argric.Biol.Chem.323−328,51(1987))の方法に従ってゲノムDNAの抽出を行った。ゲノムDNAに混在しているミトコンドリアDNAを除去するためWatsonらの方法(Methods Enzymol.57−75 118(1986))に従って染色体DNAのみになるよう塩化セシウム超遠心による精製を行った。
(2)染色体DNAの断片化
取得した純粋な染色体DNAをランダムDNA断片化装置HydroShear(トミー精工)にかけ、染色体DNAを1−2kb程度に断片化した。
(3)断片化したDNAの末端処理
断片化した染色体DNAをBAL31ヌクレアーゼ(TAKARA)処理、その後Klenow Fragment(TAKARA)処理を行い末端を平滑化した。
(4)末端へのAdaptorの付加
末端を平滑化した染色体DNA断片の両端に、(P)5’−CGAGAGCGGCCGCTAC−3’および(P)5’−GTAGCGGCCGCTC−3’からなるアダプターをT4 DNA Ligase(TAKARA)を用いて連結した。
2.形質転換
pUC19を制限酵素Sall(TAKARA)により切断を行った後、dTをTaq DNAポリメラーゼ(ロシュ.ダイアグノスティクス)によりSall切断部分に挿入した。このようにして作製したプラスミドをAlkaline Phosphatase(TAKARA)処理により脱リン酸化しベクターとして利用した。ベクターと上記で作製した染色体DNA断片をT4 DNA Ligaseを用いて連結させ、大腸菌DH10B(Gibco)にエレクトロポレーション法により形質転換を行った。
3.塩基配列の決定
プラスミドDNAは、大腸菌形質転換体を2xYP培地で37℃、10時間培養し、集菌後、滅菌水中で99℃、10分間加熱処理した。この上澄を鋳型DNA水溶液として用い、98℃で20秒、68℃で2分の30サイクルのPCRによって、シークエンス用プライマーがアニールする部位を含む挿入断片全長を増幅した。得られたDNA断片は、サンガー法の鋳型として用い、M13ユニバーサルプライマーあるいはM13リバースプライマーと、Perkin Elmer社製PRISM Dye−Terminatorシークエンシングキットを用いて、キットに添付の説明書に従ってシークエンス反応を行った。シークエンス反応産物は、ゲルろ過法などを用いて未反応のDye−terminatorを除去した後、Perkin Elmer社製3700 DNA Sequencerを用いて、DNA断片の塩基配列を解読した。3700DNASequencerによって出力された波形データは、Phred(Phil Green)で再解析し、ベクター及びアダプター配列を除去した後、SPS Phrap(Southwest Parallel Software社)を使用してアッセンブルし、麹菌ゲノムDNA塩基配列のコンティグを構築した。
[実施例2] 遺伝子の特定
ゲノムDNA塩基配列からの遺伝子の特定については、以下の手法を用いた。遺伝子の特定手法は、ゲノムDNA塩基配列のコンティグに対し、すでに取得したESTの配列情報、既知のタンパク質アミノ酸配列データベースとの相同性情報を考慮しながら、浅井潔らによるアルゴリズム(Pacific Symposium on Biocomputing 98,228−239.)に基づく遺伝子領域予測システムGeneDecoderと後藤修によるアルゴリズム(Bioinformatics 2000 16:190−202.)に基づく遺伝子領域予測システムALNを組み合わせて用いた。また、tRNA遺伝子の予測はtRNA−scanを用いた。
第1『BLAST相同性遺伝子候補領域の抽出』
ゲノムDNA塩基配列のコンティグから既知のタンパク質アミノ酸配列と高い相同性をもつ領域を抽出する。アミノ酸配列の相同性はKarlin and AltschulによるアルゴリズムBLAST(Proc.Natl.Acad.Sei.USA 87:2264−2268,1990、Proc.Natl.Acad.Sei.USA 90:5873−5877,1993)によって決定することができるが、このアルゴリズムに基づいて、BLASTXと呼ばれるプログラムが開発されており(Altschul et al.J.Mol.Biol.215:403−410,1990)、ゲノムDNA塩基配列がアミノ酸配列に翻訳された場合に相同性が高い領域を直接検索することができる。これらの解析方法の具体的な手法は公知である(http://www.ncbi.nlm.nih.gov.)。本手法では、ゲノムDNA塩基配列のコンティグを問い合わせ配列、SWISSPROTバージョン39(Bairoch,A.& Apweiler,R.Nucleic Acids Res.28,45−48(2000).)およびNRaaをデータベースとしてBLASTXの検索を行い、BLASTアルゴリズムにおける相同性の指標であるE−valueで10−30以下の値を持つ(E−valueは値が低いほど相同性が高いことを示す)領域を抽出する。これらの領域から、より相同性の高い部分を優先させるようにして、互いに重ならないBLAST相同性遺伝子候補領域を抽出する。
第2『ALN遺伝子候補領域の抽出』
BLAST相同性遺伝子候補領域のうち、相同性の対象となるタンパク質アミノ酸配列の全長の90%以上の領域に対して相同性をもつものを核として、コンティグ配列に対して遺伝子領域予測システムALNを適用してALN遺伝子候補領域を抽出する。ALNは、相同性の対象となるタンパク質アミノ酸配列の全長を、コンティグに対して整列させながらスプライス部位を特定することにより、遺伝子領域を予測する。
第3『GD相同性遺伝子候補領域の抽出』
BLAST相同性遺伝子候補領域のうち、相同性の対象となるタンパク質アミノ酸配列の残長の20%以上90%未満の領域に対して相同性を持つものを核として、コンティグ配列に対して遺伝子領域予測システムGeneDecoderを適用してGD相同性遺伝子候補領域を抽出する。GeneDecoderは、BLASTXのE−valueと、タンパク質コード領域の指向性の指標である2連コドン統計量を統合し、さらにスプライス部位の位置依存1次マルコフモデルによるスコアを考慮して遺伝子領域を予測する。
第4『EST−GD遺伝子候補領域の抽出』
コンティグ配列に対応したESTによって遺伝子発現が確認されている領域については、その付近のコンティグ配列にGeneDecoderを適用することにより、EST配列によって決定される遺伝子領域のみならず、遺伝子領域全体を予測し、EST−GD遺伝子候補領域とする。
第5『一般GD遺伝子候補領域の抽出』
第1から第4までの遺伝子候補領域に含まれないコンティグ配列に対しては、GeneDecoderを適用することにより、遺伝子領域を予測する。
第6『tRNA遺伝子候補領域の抽出』
tRNA−scanを全コンティグに適用することにより、tRNA遺伝子候補領域を抽出する。
第7『遺伝子候補領域の統合』
以下の手順により、第2から第6までの遺伝子候補領域を統合する。まず、第2から第6までの遺伝子候補領域のうち、ESTによって決定されるスプライス部位と矛盾した遺伝子領域を予測するものは取り除かれる。残った遺伝子候補領域を、互いに重なるものを取り除くことによって統合する。その際、tRNA、ALN相同性遺伝子候補領域、GD相同性遺伝子候補領域、GD−EST遺伝子候補領域、一般GD遺伝子候補領域の順で優先させて統合する。この統合された遺伝子候補領域を、予測遺伝子のセットとする。
以上の手順により、相同性の観点からは、既知タンパク質の全長にわたって相同性をもつ遺伝子、既知タンパク質と部分的に相同性をもつ遺伝子、既知タンパク質と相同性をもたない遺伝子がこの順に従った信頼性で特定されることが保証される。また、発現の確認の観点からは、ESTで発現が確認されている遺伝子、ESTで発現が確認されていない遺伝子の順に従った信頼性で特定され、また、すべての候補遺伝子がESTによって特定されるスプライス部位と矛盾しないことが保証される。
用いられた手法はすべて終始コドンをタンパク質コード領域中に含むことを許さないアルゴリズムを採用しており、偽遺伝子を遺伝子として予測する可能性は少ない。
機能決定に関しては、予測された遺伝子領域に対して、NraaをデータベースとするBLASTによる相同性検索を行い、機能を特定するために十分な相同性(E−valueで10−30)を閾値として機能を決定した。
[実施例3] ホスホリパーゼA2をコードする配列の検索
ヘリコスポリウム属糸状菌(Helicosporium sp.)由来ホスホリパーゼA2遺伝子のDNA配列を基にして、麹菌ゲノムDNAの全DNA配列を対象として、NCBIが提供するBLASTサーチ(Standard protein−protein BLAST:blastp)を行った。その結果、ヘリコスポリウム属糸状菌(Helicosporium sp.)由来ホスホリパーゼA2遺伝子と相同性の高い領域を2つ見いだすことに成功した。このうち一つについては、上記の遺伝子の特定の際に何らかの機能を有する配列として予想されたものの、その機能を推定するまでには至っていないものであった。尚、当該遺伝子のコード領域(推定ホスホリパーゼA2−spaAコード領域)を配列番号3に示す。また、当該領域がコードするアミノ酸配列を配列番号1に示す。
一方、もう一つの領域(配列)はtranslationの機能を持つものと当初予測され、機能推定されていない配列内部に存在していた。また、この配列は今回同定されたアミノ酸配列とは全く異なる624アミノ酸残基からなるタンパク質をコードするものと当初予測されていたが、今回の検討によって他の糸状菌由来のホスホリパーゼA2のアミノ酸配列とより相同性の高い160アミノ酸配列(配列番号2)をコードすることが見出された。当該アミノ酸配列をコードする塩基配列を配列番号7(推定ホスホリパーゼA2−spaBのコード領域)に示す(イントロンを含む配列は配列番号4に示される)。尚、このような相違が生じたことは、当初の予測ではイントロンの推定が正しく行われていなかったことに起因する。また、ノイロスポラ・クラッサに2種のホスホリパーゼA2遺伝子(GenBank データベース:ACCESSION NO.NCU06650,NCU09423)が存在する事実を考慮することで本ゲノム配列中にも先の配列(配列番号3)以外に別のホスホリパーゼA2遺伝子が存在することを予測し、当該予測に基づいて検討を重ねたことが当該アミノ酸配列(配列番号2)を見出すことに成功した一因である。
以上のように特定された二つの領域(配列)の機能を解析する目的の下、以下に示す種々の実験を行った。
[実施例4] 染色体DNAの取得
アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)RIB−40株をDPY培地(2% デキストリン、1% ポリペプトン、0.5% 酵母エキス、0.5% KH2PO4、0.05% MgSO4・7H2O、pH5.5)200mlを入れた三角フラスコを用いて30℃で2日間培養した後、ブフナー漏斗及びヌッチェ吸引瓶を用いて培養液をろ過し、菌体を得た。液体窒素で凍結させた菌体を乳鉢、乳棒を用いて破砕し、20ml Sol I(50mM EDTA、0.5% SDS、0.1mg/ml Proteinase K、pH8.0)を加え、50℃、4時間インキュベートした。フェノール処理2回、フェノール・クロロホルム処理1回、クロロホルム処理を1回行い(遠心は3,500rpm、15分、4℃で行う)、上清に十分の一量の3M酢酸ナトリウム(pH5.2)と等量のイソプロパノールを入れ一晩氷冷した。3,500rpm、20分、4℃で遠心し、沈殿を70%エタノールでリンスした後TE(10mM Tris−HCl(pH8.0)、1mM EDTA)溶液に溶解した。次にRNase Aを10μg/mlになるように加え、37℃、30分間インキュベートした。等量のフェノール・クロロホルムを加え混和した後、3,500rpm、20分、4℃で遠心し上層を回収した。十分の一量の3M酢酸ナトリウム(pH5.2)と2.5倍量のエタノールを入れ3,500rpm、20分、4℃で遠心し沈殿を得た。これを染色体DNA溶液とした。
[実施例5] ホスホリパーゼA2遺伝子の取得
実施例3で得られた麹菌ゲノムDNAコンティグの配列情報をもとに、ホスホリパーゼA2−spaA及びホスホリパーゼA2−spaB遺伝子を、実施例4で得られた麹菌のゲノムDNAを鋳型にしてクローニングした。目的の遺伝子(推定ホスホリパーゼA2−spaA及びホスホリパーゼA2−spaB遺伝子)のそれぞれの推定開始コドンから終止コドンまでと予想されるDNA断片を増幅させるプライマー対を以下の様に設計した。
ホスホリパーゼA2−spaA遺伝子用プライマー:
ホスホリパーゼA2−spaB遺伝子については、ノイロスポラ・クラッサ由来の2種のホスホリパーゼA2遺伝子(GenBankデータベース:ACCESSION NO.NCU06650,NCU09423)にイントロンがそれぞれ見出されており、本遺伝子にも同様の位置に相当するイントロンが存在すると仮定すると、より他の微生物由来のホスホリパーゼA2のアミノ酸配列と相同性が高くなる。このことを考慮してホスホリパーゼA2−spaB遺伝子の増幅用プライマー対を以下のように設計した。
ホスホリパーゼA2−spaB遺伝子用プライマー:
尚、以上の4つのプライマー中のアンダーラインは制限酵素Eco RI認識部位を、大文字はタンパク質コード領域をそれぞれ示す。
以上のプライマー対を用いてPCR反応を行った。尚、反応液の組成は以下のとおりとした。
滅菌水: 29.75μl
rTaq DNA Polymerase用 10xバッファー: 5μl
2mM dNTP溶液: 5μl
10pmol/μl Ao1724s若しくはAo0940s: 2.5μl
10pmol/μl Ao1724as若しくはAo0940as: 2.5μl
60ng/μl RIB40染色体DNA: 5μl
5U/μl rTaq DNA Polymerase(宝酒造社): 0.25μl/50μl
上記反応液をMJリサーチ社製PTC−100型PCR装置を用い、以下の条件でPCRを実施した。
(1)94℃で1分間、(2)94℃で30秒間、50℃で30秒間、及び72℃で2分間のサイクルを30サイクル、(3)4℃で放置。
PCR反応の結果、約670bp及び約700bpのDNA断片がそれぞれ特異的に増幅され、アガロースゲル電気泳動後GeneCleanIII(BIO 101社)を用いて増幅DNA断片を抽出した。抽出したDNA断片をpT7−Blue(Novagen社)にライゲーションして常法により塩基配列を決定した。
[実施例6] アミノ酸配列の分析
実施例5で得られた塩基配列を解析した結果、既に報告されている微生物由来のホスホリパーゼA2のアミノ酸配列と約35〜約55%の相同性を有する蛋白質をコードするDNA(配列番号3及び4)であることが判明し、各DNAをspaA及びspaB遺伝子とした。前者によってコードされる推定ホスホリパーゼA2−spaAは全長222アミノ酸からなり、SMART(Schultz et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95,5857−5864(1998);Letunic et al,,Nucleic Acids Res.30,242−244(2002);http://smart.embl−heidelberg.de/)によって予測したシグナル配列領域(19アミノ酸)を除いた分子量は23.4kDaであって、システインを6個含有していた。一方、spaB遺伝子によってコードされる推定ホスホリパーゼA2−spaBは全長160アミノ酸からなり、上記のSMARTによって予測したシグナル配列領域(17アミノ酸)を除いた分子量は16.4kDaであって、システインを4個含有していた。また、いずれの酵素も分泌型ホスホリパーゼA2に共通して見られる、活性中心のHis−Aspペア配列を有していた。
[実施例7] 麹菌発現ベクターpNGspaAの構築
次に、ホスホリパーゼA2−spaAを麹菌で発現させるためのプラスミドpNGspaAを構築した。まず、実施例5で得られた、pT7−BlueにクローニングされたホスホリパーゼA2−spaA遺伝子を制限酵素Hind III、Xba I(宝酒造社)で消化して約670bpのDNA断片として切り出し、インサートDNAとした。一方選択マーカーとして麹菌由来niaD遺伝子、プロモータとして麹菌由来の改良型グルコアミラーゼ遺伝子の改良型プロモータ、ターミネータとして麹菌由来のα−グルコシダーゼ遺伝子のターミネータを有する麹菌発現ベクターpNGA142(Minetoki et al.,Appl.Microbiol.Biotechnol.,50,459−467(1988))を制限酵素Hind III、Xba I(宝酒造社)で消化し、その後Alkaline Phosphatase(宝酒造社)を用いて脱リン酸化し、ベクターDNAとした。以上のようにして調製したインサートDNAとベクターDNAをLigation Kit ver.2(宝酒造社)を用いてライゲーションし、これを用いて大腸菌DH5α株コンピテントセル(TOYOBO社)を形質転換してアンピシリン耐性形質転換体を得た。得られたクローンの保持するプラスミドをpNGspaAと名づけ発現ベクター(図1)として用いた。
[実施例8] 麹菌発現ベクターpNGspaBの構築
次に、ホスホリパーゼA2−spaBを麹菌で発現させるためのプラスミドpNGspaBを構築した。まず、実施例5で得られた、pT7−BlueにクローニングされたホスホリパーゼA2−spaB遺伝子を制限酵素Hind III、Xba I(宝酒造社)で消化して700bpのDNA断片として切り出し、インサートDNAとした。一方選択マーカーとして麹菌由来niaD遺伝子、プロモータとして麹菌由来の改良型グルコアミラーゼ遺伝子の改良型プロモータ、ターミネータとして麹菌由来のα−グルコシダーゼ遺伝子のターミネータを有する麹菌発現ベクターpNGA142(Minetoki et al.,Appl.Microbiol.Biotechnol.,50,459−467(1988))を、制限酵素Hind III、Xba I(宝酒造社)で消化し、その後Alkaline Phosphatase(宝酒造社)を用いて脱リン酸化し、ベクターDNAとした。以上のようにして調製したインサートDNAとベクターDNAをLigation Kit ver.2(宝酒造社)を用いてライゲーションし、これを用いて大腸菌DH5α株コンピテントセル(TOYOBO社)を形質転換しアンピシリン耐性形質転換体を得た。得られたクローンの保持するプラスミドをpNGspaBと名づけ発現ベクター(図2)として用いた。
[実施例9] 麹菌の形質転換
硝酸還元酵素欠損株であるアスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)niaD300株(Aspergillus oryzae RIB−40株(ATCC 42149)の硝酸還元酵素欠損変異株、Minetoki et al.,Curr.Genet.,30,432−438(1996))をデキストリン・ペプトン培地(2% デキストリン、1% ポリペプトン、0.5% KH2PO4、0.05% MgSO4・7H2O、pH5.5)で30℃、3日間振とう培養した後、得られた菌体を滅菌水で洗浄した。この菌体を細胞壁溶解液[10mMリン酸緩衝液、pH6.0、0.8M NaCl、20mg/mlヤタラーゼ(宝酒造社製)]に懸濁し、30℃、2〜3時間緩やかに振とうすることによりプロトプラスト化した。得られたプロトプラストをガラスフィルターで濾過することにより残存する菌体を除去した。
次に、このプロトプラストを用いて五味らの方法(Agric.Biol.Chem.,51,323−328(1987))によりコンピテントセルの調製およびpNGA142(対照)、pNGspaA或いはpNGspaBを用いて形質転換を行い、単一窒素源として硝酸を含む培地、例えば、ツァペック・ドックス培地(0.2% NaNO3、0.1% KH2PO4、0.2% KCl、0.05% MgSO4・7H2O、0.002% FeSO4・7H2O、2% グルコース、pH5.5)で生育可能な形質転換体をそれぞれのプラスミドにつき各4株づつ合計12株取得した。プラスミドpNGA142、pNGspaA、及びpNGspaB由来の形質転換体を、それぞれベクター1〜ベクター4、SpaA−1〜SpaA−4、及びSpaB−1〜SpaB−4と名づけた。
[実施例10] ホスホリパーゼA2−spaA形質転換体によるホスホリパーゼA2の発現
得られたホスホリパーゼA2−spaA形質転換体を以下に示すDPY培地で30℃、3日間振盪培養した後、培養液を室温、10,000×g、10分間の条件で遠心分離して培養上清と菌体を得た。菌体をマルチビーズショッカー(安井器械社製)で破砕し、その結果得られた懸濁液を菌体破砕液とした。
<DPY培地>
2% デキストリン
1% ポリペプトン
0.5% 酵母エキス
0.5% KH2PO4
0.05% MgSO4・7H2O
pH 5.5
得られた培養上清と菌体破砕液について以下の方法でホスホリパーゼA2活性を測定した。その結果、特に培養上清中において対照株(即ちベクター1〜ベクター4株)に比べて明らかに高いホスホリパーゼA2活性が確認された(図3)。この結果から明らかなように、取得した推定ホスホリパーゼA2−spaA遺伝子がホスホリパーゼA2をコードすることが実証された。
(ホスホリパーゼA2の酵素活性測定方法)
ホスホリパーゼA2活性は、in vivoでラベルした大腸菌の膜から遊離する標識オレイン酸を定量する方法(Elsbach,P.,and Weiss,J.(1991)Methods Enzymol.197,24−31)に若干の変更を加えて行った。即ち、2.5 x 108の[3H]オレイン酸でラベルした後オートクレーブした大腸菌( ̄500,000dpm),25mM Tris−HCl緩衝液(pH7.5)及び10mM CaCl2及び酵素液からなる反応液(最終液量100μl)を30℃で30分間インキュベートし、氷冷した1%牛血清アルブミン(w/v)を添加した直後に遠心分離(10,000 x g)して得られる上清中の放射活性を液体シンチレーションカウンターで計測した。本条件下で計測されたカウント数(H−DPM)を基に酵素活性(H−DPM/μg−protein)を求めた。[3H]オレイン酸でラベルした大腸菌は、以下の方法で調製した。栄養培地中で37℃で1晩培養したEshcericia coli DH5α株の培養液100μlを10mlの5μCi/mlの[3H]オレイン酸を含む栄養培地に接種し、37℃で3時間培養した。その培養液を室温、3,000 x g、12分間遠心分離して集めた菌体を新鮮な10mlの上記培地に懸濁して37℃で30分間インキュベートした。菌体を、室温、3,000 x g、12分間の遠心分離で集め、5mlの1%牛血清アルブミン(w/v)で洗浄し、最後に適量の蒸留水で5 x 108細胞/mlになるように懸濁し、[3H]オレイン酸でラベルした大腸菌液とした。
[実施例11] ホスホリパーゼA2−spaB形質転換体によるホスホリパーゼA2の発現
ホスホリパーゼA2−spaB形質転換体を用いて、実施例10と同様の培養及び培養後の処理を行うことによって、ホスホリパーゼA2−spaB形質転換体の培養上清及び菌体破砕液を得た。尚、ホスホリパーゼA2−spaA形質転換体の場合に比較して、形質転換体の生育は大きく阻害された。これはホスホリパーゼA2−spaBが大量に発現した結果、菌体に対して何らかの阻害効果を及ぼしたことによるものと考えられた。
得られた培養上清と菌体破砕液について、ホスホリパーゼA2−spaAの場合と同様にホスホリパーゼA2活性を測定した。その結果、特に菌体破砕液中において対照株(即ちベクター1〜ベクター4株)に比べて明らかに高いホスホリパーゼA2活性が確認された(図3)。この結果から明らかなように、取得した推定ホスホリパーゼA2−spaB遺伝子がホスホリパーゼA2をコードすることが実証された。
[実施例12] ホスホリパーゼA2−spaA形質転換体により発現されたホスホリパーゼA2の精製
実施例10で得られたホスホリパーゼA2−spaA形質転換体の培養上清20mlを25mM Tris−HCl緩衝液(pH7.4)で10倍に希釈した後、25mM Tris−HCl緩衝液(pH7.4)で平衡化したCM−セルロース・カラムに供し、0.1M、0.25M、0.5M、1.0MのNaClを含む同緩衝液でステップワイズ・グラジエントで溶出した。それぞれの溶出液10μlをSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動に供し、クマージーブリリアントブルーで染色した。その結果、NaCl濃度0.5−1.0Mでの溶出画分に分子量約16kDaの単一バンドが検出された(図4)。得られた未吸着、0.25M NaCl、0.5M NaCl、1.0M NaClの各画分のホスホリパーゼA2活性を測定した結果、図5に示すように0.5M及び1.0M NaCl画分に活性が検出されたのに対し、未吸着及び0.25M NaCl画分にはほとんど活性が検出されなかった。従って、0.5M及び1.0M NaCl画分に溶出された分子量約16kDaの蛋白質がホスホリパーゼA2であることが証明された。
この発明は、上記発明の実施の形態及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
Claims (6)
- 以下の(c)又は(d)のタンパク質からなるホスホリパーゼA2:
(c)配列番号2で示されるアミノ酸配列を有するタンパク質;
(d)配列番号2で示されるアミノ酸配列の一部を改変したアミノ酸配列を有し、ホスホリパーゼA2として機能するタンパク質であって、改変されるアミノ酸の数が、配列番号2のアミノ酸配列を構成する全アミノ酸の10%以内に相当する数であるタンパク質。 - 以下の(C)のDNA:
(C)請求項1に記載のホスホリパーゼA2をコードするDNA。 - 以下の(i)〜(iv)のいずれかの配列を有するDNA:
(i)配列番号4で示される塩基配列;
(ii)配列番号6で示される塩基配列;
(iii)配列番号7で示される塩基配列;
(iv)配列番号8で示される塩基配列; - 請求項2又は3に記載のDNAを保持するベクター。
- 請求項2又は3に記載のDNAが外来的に導入されている糸状菌。
- 以下の(1)及び(2)のステップを含む、ホスホリパーゼA2の生産方法:
(1)請求項5に記載の糸状菌を、前記DNAのコードするタンパク質が産生可能な条件で培養するステップ;及び
(2)産生されたタンパク質を回収するステップ。
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