JP4561953B2 - 化合物およびその製造方法並びにそれを用いた二次電池用正極および二次電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、炭素(C)と硫黄(S)とを含む化合物およびその製造方法並びにそれを用いた二次電池用正極および二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
電池は、懐中電灯からラップトップコンピュータまで、ほとんど全てのポータブル電子機器に使用されている。また、長年にわたり、電気自動車用の用途としても注目されている。この電池に対し、最近では、軽量化、高エネルギー密度化が望まれている。
【0003】
軽量かつ高エネルギー密度を得ることができる電池としては、リチウム電池およびナトリウム電池が知られている。リチウム電池およびナトリウム電池における正極活物質としては、例えば、二硫化チタンなどの遷移金属カルコゲニドがあり、その一例としては、遷移金属リンカルコゲニド(例えば、特許文献1参照。
)が挙げられる。また、炭素と硫黄とを基本骨格とする物質(例えば、特許文献2〜5参照。)も挙げられる。なお、このうち、特許文献4に記載の物質は、具体的には、化7で表される複数の一硫化炭素単位を有するポリマー化合物であり、また、特許文献5に記載の物質は、具体的には、化8で表される化合物である。この特許文献4または特許文献5に記載の物質は、両方ともS−S結合の密度が低いため、電池に用いた場合、エネルギー密度が限られてしまうという問題がある。
【0004】
【化7】
式中、aは、5以上の数であり、好ましくは20以上の数であり、より好ましくは50以上の数である。
【0005】
【化8】
式中、bは4〜50の数である。
【0006】
また、リチウム電池およびナトリウム電池における正極活物質としては、1次元電気伝導性ポリマーと、このポリマーと電荷移動錯体を形成する少なくとも1つのポリ硫化鎖との2成分を含む物質(例えば、特許文献6参照。)も挙げられる。1次元電気伝導性ポリマーとしては、ポリアセチレン,ポリパラフェニレン,ポリチオフェン,ポリピロール,ポリアニリンおよびそれらの置換誘導体からなる群から選択される。ポリ硫化鎖は、硫黄を共役ポリマーと共に高温で加熱することによって形成される。しかし、この特許文献6に記載の物質を用いた電池の電圧は、リチウム(Li)に対してわずか2.0Vとかなり低くなってしまう。
【0007】
更に、リチウム電池およびナトリウム電池における正極活物質としては、化9で表される有機硫黄化合物(特許文献7,8参照)も挙げられる。
【0008】
【化9】
式中、cは1〜6、pは2〜20の数である。また、Rは1〜20の炭素原子を有する1種以上の異なる脂肪族部分または芳香族部分などである。
【0009】
このような特許文献7,8に記載されるような有機硫黄化合物の放電の際の主要なカソード反応は、一般に、ジスルフィド結合の切断および再形成による酸化還元反応である。このうちジスルフィド結合の切断は、RS−M+ イオン複合体(Mは金属を表す。)の形成に関与する。ジスルフィド結合が形成および切断されると、有機硫黄化合物は、重合(ダイマー化)および解重合(ジスルフィド開裂)する。よって、有機硫黄化合物は、放電の間に起こる解重合の結果、電解質に可溶な低分子量モノマー種に分解してしまい、非特許文献1に記載されているように、充放電サイクル寿命は、最大でも約200サイクル、通常では100サイクル未満であり、十分なサイクル寿命を確保することが難しい。また、室温での酸化および還元の速度が非常に遅く、電池の出力を大きく低下させてしまう。
更には、高伝導性液体,可塑化ポリマーまたはゲル電解質の存在下においては、非常に不安定であるという問題もある。
【0010】
更にまた、リチウム電池およびナトリウム電池における正極活物質としては、二硫化炭素をアルカリ金属で比較的短い反応時間で還元することによって調製した化10で表される有機硫黄化合物(ポリカーボン−スルフィド)(例えば、特許文献9参照。)または化11で表される有機硫黄化合物(ポリカーボン−スルフィド)(例えば、特許文献10参照。)も挙げられる。
【0011】
【化10】
式中、dは1.7〜2.3の数であり、qは2よりも大きい数である。
【0012】
【化11】
式中、fは2.3〜50の数であり、rは2よりも大きい数である。
【0013】
しかし、特許文献9に記載の有機硫黄化合物では、例えば硫黄含有量が86質量%未満と限られ、容量が限定されてしまう。また、特許文献10に記載の有機硫黄化合物では、硫黄元素数fが大きいと、初回放電時において高い放電容量を示すが、2サイクル目以降の放電容量が例えば初回放電時の放電容量に対して50%以下と急激に減少してしまい、結局は可逆容量は硫黄元素数fが大きくても少なくても変わらなくなってしまう。
【0014】
このような問題を解決するものとしては、リチウムポリスルフィドが提案されている(例えば、特許文献11参照。)。しかし、このリチウムポリスルフィドはリチウムストリッピング効率を向上させるのには有効であるが、電解質に対して十分な溶解性がないためか、十分な効果を得ることが難しい。また、例えば、電池の状態で熱に曝されると、質量減少が200℃から大きくなってしまうなど、耐熱性についても、正極活物質として従来より用いられているLiCoO2 , LiMnO2 などの金属酸化物に比べて十分ではないという問題があった。
【0015】
【特許文献1】
米国特許第4049879号明細書
【特許文献2】
米国特許第4143214号明細書
【特許文献3】
米国特許第4664991号明細書
【特許文献4】
米国特許第4152491号明細書
【特許文献5】
米国特許第4143294号明細書
【特許文献6】
米国特許第4664991号明細書
【特許文献7】
米国特許第4833048号明細書
【特許文献8】
米国特許第4917974号明細書
【非特許文献1】
「ジャーナル・オブ・ザ・エレクトロケミカル・ソサイエティ(Journal of The Electrochemical Society)」,1991年,第138巻,p.1891−1895
【特許文献9】
米国特許第145091号明細書
【特許文献10】
特表平11−514128号公報
【特許文献11】
特表2000−512427号公報
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、充放電サイクル寿命などの特性を向上させることができる化合物およびその製造方法並びにそれを用いた二次電池用正極および二次電池を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明による化合物は、化12で表されるものである。
【0018】
【化12】
式中、Maは長周期型周期表における1族元素および2族元素からなる群のうちの少なくとも1種の金属元素を表し、MbはMa以外の少なくとも1種の金属元素を表し、xは0よりも大きく3以下の数であり、yは0よりも大きい数であり、zは0よりも大きく4以下の数であり、nは2以上の数である。
【0019】
本発明による化合物の製造方法は、炭素と硫黄とよりなる前駆体ポリマーと、長周期型周期表における1族元素および2族元素からなる群のうちの少なくとも1種の金属元素を含む第1の原料と、この金属元素以外の他の金属元素を含む第2の原料とを反応させ、化13で表される化合物を製造するものである。
【0020】
【化13】
式中、Maは長周期型周期表における1族元素および2族元素からなる群のうちの少なくとも1種の金属元素を表し、MbはMa以外の少なくとも1種の金属元素を表し、xは0よりも大きく3以下の数であり、yは0よりも大きい数であり、zは0よりも大きく4以下の数であり、nは2以上の数である。
【0023】
本発明による二次電池用正極は、化15で表される化合物を含むものである。
【0024】
【化15】
式中、Maは長周期型周期表における1族元素および2族元素からなる群のうちの少なくとも1種の金属元素を表し、MbはMa以外の少なくとも1種の金属元素を表し、xは0よりも大きく3以下の数であり、yは0よりも大きい数であり、zは0よりも大きく4以下の数であり、nは2以上の数である。
【0025】
本発明による二次電池は、正極および負極と共に電解質を備え、正極は、化16で表される化合物を含むものである。
【0026】
【化16】
式中、Maは長周期型周期表における1族元素および2族元素からなる群のうちの少なくとも1種の金属元素を表し、MbはMa以外の少なくとも1種の金属元素を表し、xは0よりも大きく3以下の数であり、yは0よりも大きい数であり、zは0よりも大きく4以下の数であり、nは2以上の数である。
【0027】
本発明による化合物では、硫黄成分が高い割合で含まれているため、単位質量当たりの容量が高くなる。また、充電および放電により、硫黄−硫黄結合が切断および形成されるが、金属元素を含んでいるので、特に長周期型周期表における1族または2族の金属元素の挿入によるその金属元素の硫化物の生成が抑制され、重合および解重合することが少ない。よって、ポリマー骨格の一体性が維持される。また、特に室温以下の温度における電子移動が速くなる。
【0028】
本発明による化合物の製造方法では、炭素と硫黄とよりなる前駆体ポリマーが合成されたのち、前駆体ポリマーと第1の原料と第2の原料とが反応する。
【0030】
本発明による二次電池用正極および二次電池では、本発明による化合物を用いているので、高い容量が得られると共に、充放電サイクル寿命が延長され、かつ、不可逆ロスが低減される。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0032】
本発明の一実施の形態に係る化合物は、完全充電状態または酸化状態において化17で表されるものである。
【0033】
【化17】
式中、Maは長周期型周期表における1族元素および2族元素からなる群のうちの少なくとも1種の金属元素を表し、MbはMa以外の少なくとも1種の金属元素を表し、xは0よりも大きく3以下の数であり、yは0よりも大きい数であり、zは0以上4以下の数であり、nは2以上の数である。
【0034】
この化合物は、硫黄成分が高い割合で含まれているため、電気化学的に還元されると、単位質量当たりの容量が高くなる。また、酸化および還元は、硫黄−硫黄結合の形成および切断のそれぞれに基づくが、金属元素を含んでいるので、特に1族または2族の金属元素の挿入によるその金属元素の硫化物、例えば硫化リチウム(Li2 S)の生成が抑制され、重合および解重合することが少ない。よって、ポリマー骨格の一体性が維持される。また、特に室温以下の温度における電子移動が速くなる。
【0035】
化17において、Mbは任意の構成元素であり、チタン(Ti),バナジウム(V),クロム(Cr),マンガン(Mn),鉄(Fe),コバルト(Co),ニッケル(Ni),銅(Cu)および亜鉛(Zn)からなる群のうちのいずれか1種であることが好ましく、中でも、マンガン,鉄,コバルト,ニッケルおよび銅が好ましく、コバルト,ニッケルおよび銅が最も好ましい。これらは比重が重く、体積当たりのエネルギー密度を向上させることができるからである。
【0036】
また、xは0よりも大きく2以下の数であることが好ましく、yは0よりも大きく4以下の数であることが好ましく、zは0または0よりも大きく4以下の数であることが好ましく、nは4よりも大きい数であることが好ましく、10以上の数であればより好ましい。
【0037】
なお、z=0の場合、この化合物は例えば化18で表されることが好ましい。
【0038】
【化18】
式中、Maは1族元素および2族元素からなる群のうちの少なくとも1種の金属元素を表し、x1は0よりも大きく2以下の数であり、y1は0よりも大きく4以下の数であり、n1は4よりも大きい数である。
【0039】
このような構成を有する化合物は例えば次のようにして製造することができる。
【0040】
図1は、本実施の形態に係る化合物の製造方法を表すものである。まず、例えば、ジメチルスルホキシドあるいはジメチルホルムアミドなどの溶媒中において、ナトリウム(Na)などのアルカリ金属触媒により二硫化炭素を還元し、例えば化19で表されるポリカーボン−スルフィドなどの炭素と硫黄とよりなる前駆体ポリマーを合成する(ステップS101)。または、高温高圧反応法またはプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition ;化学気相成長)法などにより炭素と硫黄とよりなる前駆体ポリマーを合成するようにしてもよい(ステップS101)。その際、反応時間を調整することにより、ポリカーボン−スルフィドに約70質量%以上92質量%以下の硫黄を含むようにすることが好ましい。
【0041】
【化19】
式中、hは0よりも大きい数であり、nは2よりも大きい数である。
【0042】
次いで、例えば、1族元素および2族元素からなる群のうちの少なくとも1種の金属元素を含む第1の原料を用意すると共に、必要に応じてこの金属元素以外の他の金属元素を含む第2の原料を用意する。第1の原料としては硫化物が好ましい。化合物における不純物を少なくすることができるからである。第1の原料としては、例えば、化17においてMaがリチウムである場合には、硫化リチウム(Li2 S),ヨウ化リチウム(LiI),塩化リチウム(LiCl)あるいは臭化リチウム(LiBr)が挙げられる。第2の原料としては、例えば、1族および2族の金属元素以外の金属粉体が挙げられる。なお、第2の原料としては金属材料に限らず金属の化合物を用いてもよいが、金属材料を用いた方が純度を高くすることができるので好ましい。
【0043】
次いで、合成した前駆体ポリマーと第1の原料と必要に応じて第2の原料とについて、アルゴン(Ar)ガスあるいはヘリウム(He)ガスなどの不活性ガス雰囲気中において、メカニカルアロイング法などによりメカノシンセシスを行う(ステップS102)。すなわち、化17においてz=0である場合には前駆体ポリマーと第1の原料とを機械的に衝突させることにより化学反応させ、z>0である場合には前駆体ポリマーと第1の原料と第2の原料とを機械的に衝突させることにより化学反応させる。その際、第2の原料としては、メカノシンセシスの効率を高めるために、できるだけ微細なものを用いることが好ましく、具体的には平均粒径が0.1μm〜100μmのものを用いることが好ましく、更には、約1μmのものを用いればより好ましい。メカニカルアロイング法としては、遊星ボールミル法,回転ボールミル法,振動ボールミル法あるいはサンドグラインダ法などを用いることができる。以上の工程により、本実施の形態に係る化合物が得られる。
【0044】
なお、合成した化合物の構造は、CHNS元素分析,ICP−AES(Inductively coupled plasma atomic emission spectroscopy ;誘導結合プラズマ原子発光分光分析),TG−DTA(Thermogravimeter-Differential thermal analysis;熱重量測定−示差熱分析),X線回折分析、SEM(Scanning electron microscopy;走査型電子顕微鏡)あるいはEDX(Energy dispersive X-ray spectroscopy;エネルギー分散型X線分析)などにより確認することができる。
【0045】
この化合物は、例えば、次のようにして二次電池に用いられる。
【0046】
図2は、本実施の形態に係る化合物を用いた二次電池の断面構造を表すものである。この二次電池はいわゆるコイン型といわれるものであり、外装缶11内に収容された円板状の正極12と外装カップ13内に収容された円板状の負極14とが、電解質15を介して積層されたものである。外装缶11および外装カップ13の周縁部は絶縁性のガスケット16を介してかしめることにより密閉されている。外装缶11および外装カップ13は、例えば、ステンレスあるいはアルミニウムなどの金属によりそれぞれ構成されている。
【0047】
正極12は、例えば、正極集電体12Aと、正極集電体12Aに設けられた正極合剤層12Bとを有している。なお、図示しないが、正極12は正極合剤層12Bのみにより構成するようにしてもよい。正極集電体12Aは、例えば、ニッケル箔,アルミニウム箔あるいはステンレス箔により構成されている。正極合剤層12Bは、例えば、正極活物質として、本実施の形態に係る化合物のいずれか1種または2種以上を含んでいる。これにより、この二次電池では、高い容量が得られると共に、充放電サイクル寿命が延長され、更には不可逆ロスが低減されるようになっている。
【0048】
正極合剤層12Bは、また、導電材あるいは結着材またはその両方を含んでいることが好ましい。導電材により正極12の電気抵抗を低くすることができ、また、結着材により充放電に伴う正極12の構造破壊を抑制することができるので、容量および電気化学的リサイクル能をより向上させることができるからである。また、結着材により、正極集電体12Aの形状を維持することができると共に、正極集電体12Aの自由度を高めることもできるからである。更には、結着材により、電池の製造および組み立てを容易にすることもできるからである。
【0049】
導電材としては、電池の所望の充放電条件下において不活性であるものが望ましく、具体的には、アセチレンブラックあるいはグラファイトなどの炭素材料、または、金属粉末,金属フレークあるいは金属繊維などの金属材料、または、ポリアニリン,ポリアセチレン,ポリピロール,ポリチオフェン,ポリフェニレン,フェニレンとビニレンとの共重合体,チエニレンとビニレンとの共重合体およびそれらの誘導体などの電気伝導性ポリマーが好ましい。導電材は、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0050】
結着材としては、ポリテトラフルオロエチレン、あるいは他のフッ素化ポリマー、SBRゴム(スチレン−ブタジエンゴム)、EPDMゴム(エチレン−プロピレンゴム)またはカルボキシメチルセルロースなどが挙げられる。結着材は、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0051】
負極14は、例えば、負極集電体14Aと、負極集電体14Aに設けられた負極合剤層14Bとを有している。なお、図示しないが、負極14は、負極集電体14Aのみにより構成するようにしてもよく、負極合剤層14Bのみにより構成するようにしてもよい。負極集電体14Aのみにより構成する場合、負極集電体14Aは、充電時に1族または2族の金属元素の単体を析出させる析出基板としても機能する。負極集電体14Aは、例えば、1族の金属元素よりなる金属箔、2族の金属元素よりなる金属箔、銅箔、ニッケル箔あるいはステンレス箔により構成されている。
【0052】
負極合剤層14Bは、例えば、負極活物質として、1族または2族の金属元素を挿入および放出することが可能な負極材料、1族の金属元素の単体、または2族の金属元素の単体のいずれか1種または2種以上を含んでおり、必要に応じて正極12において説明した導電材および結着材を含んでいてもよい。1族または2族の金属元素を挿入および放出することが可能な負極材料としては、炭素材料あるいはポリマーが挙げられる。炭素材料としては例えばLiCt (t≧6)あるいはグラファイトが挙げられ、ポリマーとしては例えばポリアセチレンあるいはポリフェニレンなどの共役ポリマーが挙げられる。
【0053】
1族または2族の金属元素を挿入および放出することが可能な負極材料としては、また、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属の合金または化合物も挙げられる。例えば、合金であれば、ナトリウム−リチウム合金,鉛−ナトリウム合金,リチウム−スズ合金あるいはリチウム−ケイ素合金が挙げられる。
【0054】
このうち、負極活物質としては、リチウム,ナトリウム,カリウム,マグネシウムあるいはカルシウムを含むものが好ましく、リチウムあるいはナトリウムがより好ましい。また、負極14は、約2μm〜250μmの厚みを有するリチウム箔により構成されることが最も好ましい。
【0055】
電解質15は、例えば、イオンを蓄積すると共に、イオンを移動させる媒体でもある。この電解質15は、正極12および負極14に対して化学的および電気的に不活性であり、かつ、所望の使用温度でイオンを移動させることができるものが好ましく、室温以下でイオンを移動させることができるものであればより好ましく、特に好ましいのは、約−40℃〜約+120℃でイオンを移動させることができるものである。
【0056】
電解質15には、例えば、溶媒に電解質塩を分散させた電解液、高分子化合物に電解液を保持させたいわゆるゲル電解質、高分子化合物に電解質塩を分散させた固体ポリマー電解質あるいは高分子化合物にイオン性解離基を固定した単イオン伝導性ポリマー電解質のいずれか1種または2種以上を用いることが好ましい。中でも、ゲル電解質が好ましい。単位質量当たりの容量について高い値を得ることができるからである。
【0057】
電解液の溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、N−メチルアセトアミド、アセトニトリル、スルホラン、1,2−ジメトキシエタン、ポリエチレングリコール、1,3−ジオキソラン、ラクトン、グライム、シロキサンあるいはエチレンオキサイドグラフトシロキサンが挙げられる。
【0058】
電解質塩としてはアルカリ金属塩あるいはアルカリ土類金属塩などが挙げられ、具体的には、LiClO4 ,LiSO3 CF3 ,LiAsF6 ,LiSO3 CH3 ,LiBF4 ,LiPF6 ,LiC(SO2 CF3 )3 ,LiN(SO2 CF3 )3 ,NaClO4 ,NaSO3 CF3 ,NaAsF6 ,NaSO3 CH3 ,NaBF4 ,NaPF6 ,NaC(SO2 CF3 )3 あるいはNaN(SO2 CF3 )3 が挙げられる。電解質塩は、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。なお、電解液における電解質塩の濃度は0.3mol/l〜2.0mol/lであることが好ましい。
【0059】
ゲル電解質の高分子化合物としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデンとポリヘキサフルオロビニリデンとの共重合体、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリアクリロニトリル、ポリシロキサン、ポリイミド、ポリエーテル、スルホン化ポリイミド、スルホン酸系フッ素樹脂、ジビニルポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール−ビス(メチルアクリレート)、ポリエチレングリコール−ビス(メチルメタクリレート)、あるいはこれらの混合体,誘導体,共重合体あるいは架橋体が挙げられる。中でも、ポリエチレングリコール−ビス(メチルメタクリレート)を含むものが好ましい。なお、ポリエチレングリコール−ビス(メチルメタクリレート)は、出発原料であるモノマーを紫外線,X線,γ線,電子線あるいは他の電離放射線を用いて硬化させることにより得られる。
【0060】
ゲル電解質の溶媒としては、上述した一般的な有機溶媒の他に、ポリエチレングリコールなどの液体オリゴマーが挙げられる。中でも、グライムが好ましい。
電解質塩としては、電解液で説明したものが挙げられる。
【0061】
固体ポリマー電解質の高分子化合物としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデンとポリヘキサフルオロビニリデンとの共重合体、ポリエーテル、ポリイミド、ポリホスファゼン、ポリアクリロニトリル、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリシロキサン、ポリエーテルグラフトポリシロキサン、あるいはこれらの混合体,誘導体,共重合体あるいは架橋体が挙げられる。電解質塩としては、電解液で説明したものが挙げられる。
【0062】
単イオン伝導性ポリマー電解質としては、アニオン性部分を有し、カチオン伝導性を有するものが好ましい。アニオンは移動度が低いので電極を大きく分極させてしまう場合があるが、その分極を低減させることができると共に、イオンクラスターの挿入(インターカレーション)による正極12の容積変化を低減することができ、かつ正極集電体12Aおよび負極集電体14Aの電解質塩による腐食を低減することもできるからである。
【0063】
なお、図示しないが、正極12と負極14との間に、必要に応じて正極12と負極14とを隔離し、両極の接触による電流の短絡を防止しつつ、1族または2族の金属元素のイオンを通過させるセパレータを設けるようにしてもよい。例えば、電解質15を電解液あるいはゲル電解質により構成する場合には、セパレータを設けた方が好ましく、その場合には、例えばセパレータに電解質15が含浸された状態となる。セパレータは、例えば、ポリオレフィンなどよりなる合成樹脂製の多孔質膜、またはセラミック製の不織布などの無機材料よりなる多孔質膜により構成することができ、これらの2種以上の多孔質膜を積層した構造としてもよい。セパレータの厚みは10μm〜100μmであることが好ましい。
【0064】
この二次電池では、充電を行うと、例えば、正極12から1族または2族の金属元素のイオンが放出され、電解質15を介して負極14に挿入される。放電を行うと、例えば、負極14から1族または2族の金属元素のイオンが放出され、電解質15を介して正極12に挿入される。この放充電に伴い、本実施の形態に係る化合物の複数の硫黄−硫黄結合が切断および形成されるが、本実施の形態に係る化合物は金属元素を含んでいるので、特に1族または2族の金属元素の挿入によるその金属元素の硫化物の生成が抑制される。よって、解重合および重合することが少なく、放充電サイクル寿命が延長されると共に、不可逆ロスが低減される。また、特に室温以下の温度における電子移動が速くなる。更に、本実施の形態に係る化合物は、硫黄成分を高い割合で含んでいるので、単位質量当たりの容量が高くなる。
【0065】
この二次電池は、例えば、次のようにして製造することができる。
【0066】
まず、例えば、本実施の形態に係る化合物と必要に応じて導電材および結着材とを混合して正極合剤を調製し、N−メチル−2−ピロリドンなどの分散媒に分散させて正極合剤スラリーを作製する。次いで、この正極合剤スラリーを正極集電体12Aに塗布し乾燥させ圧縮成型して正極合剤層12Bを形成し、正極12を作製する。
【0067】
また、例えば、負極活物質と必要に応じて結着材とを混合して負極合剤を調製し、N−メチル−2−ピロリドンなどの分散媒に分散させて負極合剤スラリーを作製する。次いで、この負極合剤スラリーを負極集電体14Aに塗布し乾燥させ圧縮成型して負極合剤層14Bを形成し、負極14を作製する。
【0068】
そののち、例えば、負極14および正極12を電解質15を介して積層して、外装カップ13と外装缶11との中に入れ、それらをかしめる。これにより、図2に示した二次電池が完成する。
【0069】
このように本実施の形態に係る化合物によれば、硫黄成分が高い割合で含まれているので、単位質量当たりの容量を高くすることができる。また、放電および充電により、硫黄−硫黄結合が切断および形成されるが、金属元素を含んでいるので、特に1族または2族の金属元素の挿入によるその金属元素の硫化物の生成を抑制することができ、重合および解重合することを抑制することができる。よって、ポリマー骨格の一体性を維持することができる。また、特に室温以下の温度における電子移動を早めることができる。
【0070】
よって、この化合物を電池の正極12に用いれば、容量を向上させることができると共に、充放電サイクル寿命を延長することができ、更には、不可逆ロスを低減することもできる。
【0071】
また、本実施の形態に係る化合物の製造方法では、炭素と硫黄とを含む前駆体ポリマーを合成したのち、前駆体ポリマーと第1の原料と必要に応じて第2の原料とを反応させるようにしたので、本実施の形態に係る化合物を簡便に製造することができる。
【0072】
【実施例】
更に、本発明の具体的な実施例について詳細に説明する。
【0073】
[化合物の合成]
(実施例1〜4および参考例5)
R.K.Sadhir氏らの文献(Chem.Mater., 1996 年, vol8, p.1281-1286 )に基づきプラズマCVD法により前駆体ポリマーであるポリカーボン−スルフィドを合成した(図1;ステップS101参照)。具体的には、まず、容積10dm3 の石英管中において、50mTorr(約6.67Pa)の真空度を保持しながら、13.56MHz、5Wのラジオ高周波を用いて、アルゴンガスと二硫化炭素とを1:2の流量比で混合した混合ガス中の二硫化炭素を12時間プラズマ重合した。次いで、この工程により反応容器に析出した生成物を6g回収して150℃において真空乾燥し、ポリカーボン−スルフィドを5g得た。このポリカーボン−スルフィドについて元素分析を行ったところ、炭素が19.5質量%、硫黄が80.5質量%であった。すなわち、このポリカーボン−スルフィドは化20で表されることが分かった。
【0074】
【化20】
式中、n2は2以上の数である。
【0075】
次いで、得られたポリカーボン−スルフィドと第1の原料である硫化リチウムおよび第2の原料である表1に示した金属粉体とを、または、合成したポリカーボン−スルフィドと硫化リチウムとをアルゴンガス雰囲気中において、総質量200gの直径が10mm、5mm、2mmの3種類のボールと共に、容積250cm3 の容器に供給したのち、容器を密閉した。次いで、200rpmの回転速度で、未反応の硫化リチウムおよび金属粉体が完全に消滅するまで、ボールミルにより48時間以上メカノシンセシスを行い(図1;ステップS102参照)、化合物を合成した。未反応の硫化リチウムおよび金属粉体の確認は、メカノシンセスの途中で、化合物を容器から取り出し、その化合物についてX線回折分析を行うことにより行った。なお、ポリカーボン−スルフィドは実施例1〜4および参考例5のいずれでも10g用いた。また、実施例1〜4および参考例5で用いた硫化リチウムの質量、金属粉体の平均粒径および質量、並びに合成した化合物の収量は、表1に示した通りである。
【0076】
【表1】
【0077】
合成した実施例1〜4および参考例5の化合物について、CHNS元素分析およびICP−AESを行ったところ、表1に示した化学式で表されることが分かった。
【0078】
(実施例6〜10および参考例11)
ポリカーボン−スルフィドの合成方法を変えたことを除き、他は実施例1〜4および参考例5と同様にして化合物を合成した。
【0079】
まず、反応容器に乾燥ジメチルスルホキシド250gと金属ナトリウムフレーク10gとを収容し、これをアルゴン雰囲気中において攪拌しながら、それに乾燥した二硫化炭素100gを4時間かけて滴下した。次いで、その反応混合液を48時間加熱還流し、未反応の二硫化炭素を取り除き、残渣にメタノール200mlを添加した後、更に水200mlおよび濃塩酸40mlを添加した。次いで、この工程により生成したポリカーボン−スルフィド前駆体をデカンテーションにより分離し、水300mlとアセトン200mlとで数回洗浄したのち150℃で5時間真空予備乾燥した。次いで、乾燥したポリカーボン−スルフィド前駆体を還流クロロホルムで8時間かけてソックスレ−法により抽出し、低分子量の成分およびクロロホルムに可溶な不純成分を除去した。次いで、これにより得られたポリカーボン−スルフィド前駆体を再び150℃で5時間真空乾燥し、ポリカーボン−スルフィドを25g得た(図1;ステップS101参照)。このポリカーボン−スルフィドについて元素分析を行ったところ、炭素が15.1質量%、硫黄が84.9質量%であった。すなわち、このポリカーボン−スルフィドは、化21で表されることが分かった。
【0080】
【化21】
式中、n3は2以上の数である。
【0081】
次いで、実施例1〜4および参考例5と同様にして、合成したポリカーボン−スルフィドと硫化リチウムと表1に示した金属粉体とについて、または、合成したポリカーボン−スルフィドと、硫化リチウムとについてボールミルによりメカノシンセシスを行い(図1;ステップS102参照)、化合物を合成した。なお、ポリカーボン−スルフィドは実施例6〜10および参考例11のいずれでも10g用いた。また、実施例6〜10および参考例11で用いた硫化リチウムの質量、金属粉体の平均粒径および質量、並びに合成した化合物の収量は、表1に示した通りである。
【0082】
合成した実施例6〜10および参考例11の化合物について、実施例1〜4および参考例5と同様にして、CHNS元素分析およびICP−AESを行ったところ、表1に示した化学式で表されることが分かった。
【0083】
(比較例1)
実施例1〜4および参考例5と同様にポリカーボン−スルフィドを合成した。
【0084】
(比較例2)
実施例6〜10および参考例11と同様にポリカーボン−スルフィドを合成した。
【0085】
[電池の作製]
合成した実施例1〜4,6〜10、参考例5,11および比較例1,2の化合物を正極活物質として図2に示したコイン型の二次電池を作製した。
【0086】
正極12は次のようにして作製した。まず、合成した化合物80質量%と、結着材であるポリフッ化ビニリデン10質量%と、導電材であるアセチレンブラック10質量%との混合物を、分散媒であるN−メチル−2−ピロリドンに分散させ、十分に撹拌混合し、正極合剤スラリーを作製した。次いで、正極合剤スラリーを厚み25μmのニッケル箔よりなる正極集電体12Aに25μm〜100μmの厚みで塗布して正極合剤層12Bを形成し、これを予備乾燥させ直径15mmの円板状に打ち抜いたのち、100℃で24時間真空乾燥した。
【0087】
また、負極14には厚み0.8mm,直径16mmの円板状のリチウム金属箔を用いた。電解質15には電解液またはゲル電解質を用いた。電解液は、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)またはジエチルカーボネート(DEC)との混合溶媒に、電解質塩であるLiPF6 またはLiN(SO2 CF3 )2 を溶解させることにより作製した。また、ゲル電解質は、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとの混合溶媒に、電解質塩であるLiPF6 またはLiN(SO2 CF3 )2 を溶解させた電解液をポリフッ化ビニリデンとポリヘキサフルオロビニリデンとの共重合体に保持させることにより作製した。電池の大きさは、直径20mm、高さ2.6mmとした。
【0088】
作製した電池について23℃の環境下において充電および放電を行い、正極活物質としての化合物の特性評価を行った。充電は、上限電圧2.5V、電流密度0.5mA/cm2 、終止電流0.01mA/cm2 の条件の定電流定電圧充電とした。放電は、電流密度0.5mA/cm2 、終止電圧0.8Vの条件の定電流放電とした。この充放電の結果に基づき得られた正極活物質当たりの初回放電容量および2サイクル目の放電容量並びに不可逆ロス、100サイクル目の容量維持率を表2〜4に示す。なお、不可逆ロスは、不可逆ロス(%)=(初回放電容量−2サイクル目の放電容量)/初回放電容量×100として算出し、100サイクル目の容量維持率は、100サイクル目の容量維持率(%)=100サイクル目の放電容量/初回放電容量×100として算出した。
【0089】
【表2】
【0090】
【表3】
【0091】
【表4】
【0092】
表2〜4に示したように、実施例1〜4,6〜10および参考例5,11によれば、金属元素を含んでいるので、比較例1,2に比べて、分子量が大きく、そのため初回放電容量は低いものの、不可逆ロスを飛躍的に小さく抑えることができ、容量維持率も高めることができた。特に、化18で表される化合物を用いた参考例5,11によれば放電容量を非常に高くすることができた。すなわち、化17で表される化合物を用いるようにすれば、電池特性を向上させることができ、特に、単位質量当たりの容量を向上させるには、化18で表される化合物を用いることが好ましいことが分かった。
【0093】
なお、上記実施例では、化17で表される化合物について具体的に例を挙げて説明したが、化17で表される他の化合物を用いても同様の結果を得ることができる。また、上記実施例では、電解質15に電解液またはゲル電解質を用いる場合について説明したが、固体ポリマー電解質あるいは単イオン伝導性ポリマー電解質を用いても同様の結果を得ることができる。
【0094】
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態および実施例に限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、上記実施の形態および実施例では、正極12が化17で表される化合物を含む場合について説明したが、この化合物に加えて、他の正極活物質を含んでいてもよい。
【0095】
また、上記実施の形態および実施例では、化17で表される化合物の製造方法について具体的に例を挙げて説明したが、炭素と硫黄とよりなる前駆体ポリマーは他の方法により製造するようにしてもよい。
【0096】
更に、上記実施の形態および実施例では、電解液,ゲル電解質,固体ポリマー電解質あるいは単イオン伝導性ポリマー電解質を用いる場合について説明したが、他の電解質を用いるようにしてもよい。他の電解質としては、窒化リチウムあるいはヨウ化リチウムなどの無機固体電解質、あるいは電解液,ゲル電解質,固体ポリマー電解質あるいは単イオン伝導性ポリマーのいずれか1種または2種以上と無機固体電解質とを混合したものが挙げられる。
【0097】
加えて、上記実施の形態および実施例では、コイン型の二次電池を具体的に挙げて説明したが、本発明は、円筒型、ボタン型、角型あるいはラミネートフィルムなどの外装部材を用いた他の形状を有する二次電池、または巻回構造などの他の構造を有する二次電池についても同様に適用することができる。
【0098】
【発明の効果】
以上説明したように本発明による化合物によれば、硫黄成分が高い割合で含まれているので、単位質量当たりの容量を高くすることができる。また、放電および充電により、硫黄−硫黄結合が切断および形成されるが、金属元素を含んでいるので、特に1族または2族の金属元素の挿入によるその金属元素の硫化物の生成を抑制することができ、重合および解重合することを抑制することができる。
よって、ポリマー骨格の一体性を維持することができる。また、特に室温以下の温度における電子移動を早めることができる。
【0099】
また、本発明による化合物の製造方法によれば、本発明による化合物を簡便に製造することができる。
【0100】
更に、本発明による二次電池用正極および二次電池によれば、本発明による化合物を含むようにしたので、容量を向上させることができると共に、充放電サイクル寿命を延長することができ、更には、不可逆ロスを低減することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る化合物の製造方法を表す流れ図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る化合物を用いた二次電池の構成を表す断面図である。
【符号の説明】
11…外装缶、12…正極、12A…正極集電体、12B…正極合剤層、13…外装カップ、14…負極、14A…負極集電体、14B…負極合剤層、15…電解質、16…ガスケット。
Claims (12)
- 前記化1において、xは0よりも大きく2以下の数であり、yは0よりも大きく4以下の数であり、zは0よりも大きく4以下の数であり、nは4よりも大きい数である、請求項1記載の化合物。
- 前記化1において、Mbはチタン(Ti),バナジウム(V),クロム(Cr),マンガン(Mn),鉄(Fe),コバルト(Co),ニッケル(Ni),銅(Cu)および亜鉛(Zn)からなる群のうちのいずれか1種である、請求項1記載の化合物。
- 前記化1において、Maはリチウム(Li)である、請求項1記載の化合物。
- 更に、導電材を含む、請求項6記載の二次電池用正極。
- 前記導電材として、炭素材料,金属材料および電気伝導性ポリマーからなる群のうちの少なくとも1種を含む、請求項7記載の二次電池用正極。
- 前記導電材として、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリフェニレン、フェニレンとビニレンとの共重合体、チエニレンとビニレンとの共重合体およびそれらの誘導体からなる群のうちの少なくとも1種を含む、請求項7記載の二次電池用正極。
- 前記負極は、長周期型周期表における1族または2族の金属元素を挿入および放出することが可能な負極材料、並びに、1族および2族の金属元素の単体からなる群のうちの少なくとも1種を含む、請求項10記載の二次電池。
- 前記電解質は、電解液,ゲル電解質,固体ポリマー電解質および単イオン伝導性ポリマー電解質からなる群のうちの少なくとも1種を含む、請求項10記載の二次電池。
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