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JP4549837B2 - 酵素免疫測定材料の製造方法 - Google Patents

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時男 萩原
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Description

本発明は、酵素免疫測定材料及びそれを用いた酵素免疫測定方法の改良に関する。
従来より、酵素免疫測定法(Enzyme Linked Immunosorbent Assay (ELISA))は抗原−抗体反応の特異性を利用した分析法として広く生化学、生理化学および医化学の分野で用いられている。特に医療においては疾病の診断等には欠かせない分析法として広く認知され用いられている。
ELISAの測定法は大別して、下記非特許文献1等に記載されているサンドイッチ法と競合法の2通りの方法がある。
上記サンドイッチ法とは、別に用意した抗体にあらかじめ酵素を結合しておく方法であり、上記競合法とは、検出対象物質と同じ物質にあらかじめ酵素を結合しておく方法である。
P.TISSEN著、石川栄治監訳「エンザイムイムノアッセイ」"Practiceand Theory of Enzyme Immunoassays"生化学実験法 11 東京化学同人 1989
しかし、上記従来の技術においては、測定結果のばらつきが大きいという問題があった。
その原因としては、これまで抗体または抗原の安定的な固定化ができなかったことがあげられる。すなわち、ELISAは、1.抗体または抗原の基板上への固定、2.抗原または1次抗体の添加、3.酵素標識抗原または酵素標識抗体の添加、4.酵素基質の添加の各ステップにより構成されているが、その各ステップの間に妨害タンパクや未反応の抗体および/または抗原の除去のため十分な洗浄を必要とする。しかし、ステップ1の抗体または抗原の固定化が安定的になされていないと、各洗浄段階において、抗体そのもの、および/または抗体に補足された抗原、および/または抗体に補足された抗原に結合した酵素標識抗体が洗浄によって脱離し、正しい測定が出来ない。一方、洗浄が不十分であると、抗体およびまたは抗体−抗原複合体の洗浄による脱離は防げるが、基板へ非特異吸着した測定サンプル中の不純物や抗体−抗原複合体を形成させる時に用いた抗原や酵素標識抗体を十分除去できず、それが原因で測定値がばらつき、正確な結果が得られない。
特に、初期のELISA法は、抗体の固定化は単なる基板上への物理吸着によるものが主流であり、この問題を克服できず測定値のばらつきは大きく、安全率を考慮しなければならないため、閾値を本来のものよりかなり高いかまたは低い値に設定しなければならなかった。それでも擬陽性または擬陰性の結果がしばしば現れ、再検査または他の検査法による精密検査が必要となることが少なくなかった。
近年この欠点を改良するために、基体表面を改質したものがELISA方に利用されるようになった。例をあげれば、基体表面にカルボキシル基やアミノ基を導入して、イオン的相互作用にて生体分子を固定化する方法、あるいは基体表面にN−オキシコハク酸イミド、ヒドラジド部位またはマレイミド部位を導入し、それぞれ生体分子中のアミノ基、カルボキシル基またはメルカプト基と反応させて共有結合にて固定化する方法等である。これらの固定化法を用いたELISA法は生体分子の全部または一部が変性してしまうという問題はあるが、その問題を考慮しても単純な物理吸着のELISA法より優れた結果を与える。
しかしながら、これらの表面改質つまり官能基の基体表面への導入は、例としてポリスチレン表面へのアミノ基の導入においては濃硝酸/濃硫酸によるニトロ化、ついでニトロ基の還元を上げるまでもなく、どの官能基についても煩瑣な過程が必要であり、製品の価格が高価なものとなる。さらに、これらの操作では表面に数多く均質に官能基を導入することが困難であり、そのため表面のモルホロジーをコントロールできず、官能基に被覆されずに基体表面そのものの部分が残存している。このため、基体表面において抗原−抗体反応によらない非特異吸着が発生し、十分信頼性のある測定値をばらつきなく得ることが困難であった。
本発明は、上記従来の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、抗体または抗原の安定的な固定化ができ、測定結果の信頼性が高い酵素免疫測定材料及びそれを用いた酵素免疫測定方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は、酵素免疫測定材料であって、下記一般式で表わされる構造を有するポリマレイミドスチレンを抗体または抗原の固定化剤とすることを特徴とする。
Figure 0004549837
また、上記ポリマレイミドスチレンはポリスチレン基体の表面を被覆しているのが好適である。
また、上記ポリマレイミドスチレンにより表面が被覆されたポリスチレンをポリスチレン基体上に固定するのも好適である。
また、上記ポリマレイミドスチレンは、ポリスチレンとブレンドされているのも好適である。
また、上記ポリマレイミドスチレンは、ポリエーテルエーテルケトン基体の表面を被覆しているのが好適であり、また、ポリエーテルエーテルケトン基体はチューブ状に形成され、前記ポリマレイミドスチレンは、前記ポリエーテルエーテルケトンのチューブ内面を被覆しているのも好適である。
また、上記ポリマレイミドスチレンは、そのマレイミド基の一部がガラス等のセラミックスまたは官能基を導入した樹脂からなる基体の表面と共有結合し、前記基体の表面を被覆しているのが好適である。
また、本発明は、酵素免疫測定方法であって、上記酵素免疫測定材料に、抗体または抗原を、抗体または抗原が有するメルカプト基やアミノ基そのもの、より好ましくは、そのアミノ基にS−アセチルメルカプト無水コハク酸(S-Acetylmercaptosuccinic anhydride)等のチオール化剤を反応させて生じたメルカプト基を介して固定化することを特徴とする。
また、本発明は、酵素免疫測定方法であって、ポリエーテルエーテルケトンのチューブ内面をポリマレイミドスチレンにより被覆し、前記チューブ内に抗体または抗原を含む試料を通過させ、抗体または抗原を固定化することを特徴とする。
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、実施形態という)を、図面に従って説明する。
本発明者らは、ポリマレイミドスチレンにより抗体及び/または抗原等の生体分子の簡易且つ安定的な固定化が可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。ポリマレイミドスチレンは、下記一般式で表わされる構造を有する。
Figure 0004549837
上記ポリマレイミドスチレンは、マレイミド基を密にペンダントしているのに加え、主鎖部分がポリスチレン構造を持つ。ペンダント部位のマレイミド基は生体分子中に存在するメルカプト基及び/または1級アミノ基と、生体分子が変性せずに存在できる温度やpHの条件下において水中で容易に反応し、生体分子と安定な共有結合を形成する。生体分子が結合したポリマレイミドスチレンの例を以下に示す。
Figure 0004549837
上記構造式(1)が、メルカプト基を有する生体分子との結合例であり、構造式(2)が、1級アミノ基を有する生体分子との結合例である。このように、ポリマレイミドスチレンは、本発明にかかる酵素免疫測定材料の抗体及び/または抗原の固定化剤として機能する。
また、ポリマレイミドスチレンは、主鎖部分にポリスチレン構造を有するので、ELISAの基体として通常使用されるプラスチック材料、とりわけポリスチレンとの間で強力なアフィニティを有し、ポリマレイミドスチレンがポリスチレン等の基体表面にアンカー効果を含んで強く接着する。このため、超音波にて洗浄しても基体からポリマレイミドスチレンが脱離することはない。このようなポリマレイミドスチレンの特性を利用して、ポリスチレン等の基体表面をポリマレイミドスチレンで被覆することにより、洗浄に対して極めて安定な表面が実現可能となる。後述する実施例にも記載した通り、ポリマレイミドスチレンをポリスチレンビーズに被覆した後ウレアーゼを固定化したウレアーゼ固定化ポリマレイミドスチレン被覆ポリスチレンビーズは、5回の超音波照射洗浄後においても十分な酵素活性を示すことが示されている。
また、ポリマレイミドスチレンのポリスチレン等基体表面への被覆は極めて簡単であり、従来の煩瑣な官能基導入プロセスを必要としない。このため、従来のものと比べて、極めて安価にELISA測定が可能となる。さらに、共有結合を介して生体分子を固定化できる官能基であるマレイミド基は、ポリマレイミドスチレン分子に密にペンダントされているので、ELISA測定の基体の表面にマレイミド基を均一かつ密に分布させることができ、生体分子の均一かつ密な固定化が可能となる。
本発明にかかるポリマレイミドスチレンにより表面が被覆される基体としては、ポリマレイミドスチレンにアフィニティを有する材料、例えばポリスチレン、アクリロニトリルスチレン共重合体(AS)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等であればすべて利用可能である。これらの内、ポリスチレンが最も好ましく、AS樹脂、PEEKも十分利用できる。特にPEEKは、PEEKチューブ内をポリマレイミドスチレンで被覆することにより、抗体及び/または抗原等生体分子をPEEKチューブ内に安定に固定化することができ、連続的測定、フロー測定等ELISAの新しい測定法開拓に大きく寄与できる。
一方、ポリマレイミドスチレンに対し十分なアフィニティを有さない物質、例えばガラス等のセラミックスにおいても、その表面をγ−アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)などで修飾することにより、ポリマレイミドスチレンのマレイミド基の一部をアミノ基と反応させ、反応せずに残ったポリマレイミドスチレンを生体分子固定化に利用することにより、上記セラミックス材料を本発明によるELISA測定に利用可能である。また、ポリスチレン等の樹脂についても、その樹脂表面にアミノ基等の官能基が存在するか、官能基を化学修飾にて導入すれば、ポリマレイミドスチレンのマレイミド基の一部をアミノ基等官能基と反応させ、反応せずに残ったポリマレイミドスチレンを生体分子固定化に利用することができる。この場合においてもS−アセチルメルカプト無水コハク酸等のチオール化剤を用いてアミノ基をメルカプト基に変換してからポリマレイミドスチレンへの固定化を行うことがより好ましい。
以上に述べた実施形態では、基体の表面をポリマレイミドスチレンで被覆するものであったが、本発明はこれに限定されない。例えば、ポリマレイミドスチレンをポリスチレンとブレンドして使用してもよい。
基体を被覆したポリマレイミドスチレンへの生体分子の固定化に関しては、生体分子そのものが有するメルカプト基及び/または1級アミノ基をそのまま利用してもよいし、生体分子のアミノ基を、S−アセチルメルカプト無水コハク酸(S-Acetylmercaptosuccinic anhydride)等のチオール化剤との反応によってメルカプト基としたものを利用してもよい。生体分子の種類によってはS−アセチルメルカプト無水コハク酸等との反応によってメルカプト基を導入したものの方が、生体分子の本来の活性をよりよく発現するのに優れている場合もあるからである。
以下に、本発明の実施例を説明する。なお、本実施例は本発明の一例であって、本発明は本実施例に限定されるものではない。
・ポリ(N−VPMI)の合成
N−(4−ビニルフェニル)マレイミド(以後、N−VPMIという)の市販品(ACROS ORGANICS社製)を精製し、その0.5gを9.0mLのジクロロメタンに溶解させ、0℃に冷却し、そこにカチオン重合の開始剤であるBF・O(Cのジクロロメタン溶液(1.0×10−1mol/L)1mLを加え、0℃にて6時間重合反応を行った。
次に、メタノールにより重合したポリマーを析出させ、メタノールにより三回洗浄を行った後、減圧下にて乾燥させてN−VPMIのスチレン部位のビニル基により重合されたポリ(N−VPMI)を得た。この構造式を以下に示す。
Figure 0004549837
得られたポリ(N−VPMI)は僅かに黄色い粉体であり、収量0.11g(収率22%)であった。得られたポリ(N−VPMI)はテトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン、クロロホルム、ジクロロメタン、アセトン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)およびピリジンに可溶であり、エーテル、アルコールおよび炭化水素には不溶である。得られた化合物をH−NMRにて構造確認した結果、原料のN−VPMIには確認されていた5.3、5.8、6.7ppmのスチレンのビニル基に由来するプロトンのシグナルが消失しており、代わりに1.3〜2.4ppmにポリスチレン主鎖に帰属される新しいシグナルが確認され、また、水素原子の割合も一致しており、マレイミド基で重合が起こっていないことが確認された。このポリ(N−VPMI)が、本発明にかかる酵素免疫測定材料に使用されるポリマレイミドスチレンに相当する。
・ポリ(N−VPMI)被覆ポリスチレンビーズおよびウレアーゼ固定化ポリ(N−VPMI)被覆ポリスチレンビーズの調整と超音波洗浄後の固定化ウレアーゼ活性の測定
市販のポリスチレン(PS)ビーズ(200−400メッシュ 1%ジビニルベンゼン架橋)の2.0gを、アセトン(単蒸留) 30mL中に加え、1時間撹拌後、そこにポリ(N−VPMI)0.04gを添加してさらに2時間撹拌した。その後撹拌を止め、PSビーズを沈殿させた。沈殿させたPSビーズをメタノール300mL中に投入し、1時間撹拌後、ろ過にてビーズを取り出し、風乾してポリ(N−VPMI)被覆ポリスチレンビーズを調整した。また、PSビーズを沈殿させた時の上澄み液を分光分析することにより、アセトン溶液中のポリ(N−VPMI)量の減少量を測定し、PSビーズへの被覆量を計算した。
調整したポリマレイミドスチレン被覆PSビーズの表面は元の無色から淡黄色に変化していた。また、PSビーズの数平均粒径(5.2×10mm SEMによる)と比重(0.99)及び分光分析により得られたポリ(N−VPMI)量の減少量の結果から、ポリ(N−VPMI)のPSビーズへの被覆量を求めたところ、PSビーズ1gあたりポリ(N−VPMI)1.2mgつまり1gあたりマレイミド基6.0×10−3mmolであり、PSビーズ1mmあたりポリ(N−VPMI)9.2×10−9mgつまり1mmあたりマレイミド基4.6×10−11mmolであった。
このポリ(N−VPMI)被覆PSビーズ1.0gを透析精製したウレアーゼ10mg/mL溶液2mL中に撹拌しながら30間分浸漬し、その後pH7.1(0.1M(mol/L))リン酸緩衝液にて5回、さらに超音波照射により5回洗浄し、ウレアーゼ固定化ポリ(N−VPMI)被覆PSビーズを調整した。
固定化ウレアーゼの酵素活性は、尿素を基質とし、18℃でアンモニア電極を用いて電気化学的応答によって測定した。図1には、0.1M尿素リン酸緩衝溶液に0.1gのウレアーゼ固定化ポリ(N−VPMI)被覆PSビーズを加えたときのアンモニア電極の応答曲線が示される。図1において、超音波洗浄後のウレアーゼ固定化ポリ(N−VPMI)被覆PSビーズによっても、そこに固定化されたウレアーゼにより尿素が加水分解され、アンモニアに変化する応答が電気化学的に観測されている。これにより、ポリ(N−VPMI)被覆PSビーズが、超音波洗浄後においても酵素等の生体分子を安定的にその活性を保持したまま固定化できることが確認された。
・抗原の固定化法と超音波洗浄による固定化抗原の脱離試験
(1)コーニング(Corning)社製ELISA測定用ポリスチレンプレートキット(商品名:CostarO 9017 EIA/RIA Plate 96 well Flat Bottom)のウエルにアセトン30mLを入れ、そこに実施例2で調整したポリ(N−VPMI)被覆PSビーズ1mgを加えた。アセトンを蒸発させ、ウエルにポリ(N−VPMI)被覆PSビーズを接着固定化させた。ウエルを、リン酸緩衝液(pH5.5、0.01M)を使用して超音波洗浄を3分間行い、接着固定化されていない恐れがある上記ビーズを除去した。純水でウエルをリンスした後、ウエルにウレアーゼ(抗原)溶液(0.1mg/mL)を100μL入れ、4℃にて30分間反応後、0.01Mアミノエタンチオール10μLを加え、室温で15分間反応させて未反応のマレイミド基を処理した。同様な操作を12個のウエルについて行い、それらに0.01M尿素リン酸緩衝液(pH5.5、10−4M)溶液300μLと指示薬としてのブロモクレゾールパープルを入れ、室温で15分間反応させた。反応後12個のウエルの溶液を集め、590nmにて吸光度を測定した。ブロモクレゾールパープルの590nmの吸収強度は、尿素がウレアーゼによって加水分解して生じるアンモニアの量の指標である。その後、それらのウエルから反応液を除き、そこにリン酸緩衝液(pH7.0、0.01M)を加えて10分間超音波を照射して洗浄した。超音波洗浄後、純水でウエルをリンスし、0.01M尿素リン酸緩衝液(pH5.5、10−4M)溶液300μLとブロモクレゾールパープル指示薬を入れて吸光度測定を行った。この超音波洗浄から吸光度測定までのプロセスを3回繰り返した。
(2)次に、比較例として、上記(1)で使用したコーニング(Corning)社製ELISA測定用ポリスチレンプレートキット(商品名:CostarO 9017 EIA/RIA Plate 96 well Flat Bottom)を、(1)でのポリ(N−VPMI)被覆PSビーズを使用した操作を行わず、そのまま用いて、ウレアーゼの物理吸着による固定化操作を行い、その後、超音波洗浄、吸光度測定を(1)と同様に行った。
以上の(1)、(2)における吸光度測定の結果が図2に示される。図2において、縦軸には吸光度が、横軸には超音波洗浄操作の繰り返しによる超音波洗浄の累積時間がそれぞれ示される。
図2に示された結果から、超音波洗浄を用いることによって、生体分子の物理吸着の強さ、表面からの抗体および/または抗原固定化のための官能基の剥離、および共有結合している酵素の剥離の程度についての知見が得られた。
上記(1)のポリ(N−VPMI)被覆PSビーズを接着固定化させたウエルの場合には、超音波洗浄を繰り返しても、吸光度が十分に観測され、30分間超音波洗浄を行った後にも約0.90(洗浄前の64.3%)の吸光度となっている。
これに対して、上記(2)のポリ(N−VPMI)被覆PSビーズを導入ない場合には、超音波洗浄により、ウレアーゼ(抗原)がほぼ完全に脱離してしまうことが明らかとなった。この場合、ほぼ完全にウレアーゼが脱離し、吸光度がほとんど観測されなかった。
以上の結果を、ウレアーゼのみならず妨害物質も完全に除去できると考えてよい20分間の超音波照射後で比較すると、ポリ(N−VPMI)被覆PSビーズ導入表面(上記(1)の結果)では吸光度低下が少なく、ウレアーゼ脱離はあまり起こっておらず、十分な量のウレアーゼが固定化されているのに対し、比較例(上記(2)の結果)吸光度の低下が著しく、妨害物質は完全に除去できるものの、固定化したウレアーゼもかなりの量が脱離してしまうことが明かとなった。
・GOD標識抗ウレアーゼ抗体の調整及びこれを使用した固定化ウレアーゼ(抗原)との抗原−抗体反応の評価
A溶液:グルコースオキシダーゼ(GOD)(1mg/mL)に、10mg/mLのS−アセチルメルカプト無水コハク酸(S-Acetylmercaptosuccinic anhydride)溶液を30μL加え、室温で10分間インキュベートし、その後残存したS−アセチルメルカプト無水コハク酸を透析によって除去した。
B溶液:ウレアーゼ抗体(Sigma社Mouse IgG1 Monoclonal Anti-Urease)原液を10μLとり、純水で希釈し1mL溶液とした。その溶液にスルホコハク酸イミド4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート(Sulfosuccinimdyl 4-(N-maleimidomethyl)Cyclohexane-1-carboxylate、Sulfo-SMCC)10mg/mLを30μL加え、室温にて60分間インキュベートした後透析して精製した。上記A溶液とB溶液とを混合し、室温下60分攪拌し、その後4℃にて1晩置き、GOD標識抗ウレアーゼ抗体を調整した。
次に、上記GOD標識抗ウレアーゼ抗体を使用して固定化ウレアーゼ(抗原)との抗原−抗体反応の評価を行った。
カーボンシート(関西タール株式会社製)をポリマレイミドスチレンのクロロホルム溶液(0.1mg/mL)に浸漬後乾燥させてポリマレイミドスチレンをカーボンシートの表面に被覆した。
次に、上記カーボンシートをウレアーゼのリン酸緩衝液(pH7.0、0.1M)溶液(1mg/mL)に4℃で30分間浸漬し、上記カーボンシート表面にウレアーゼを固定化した。
また、別にウレアーゼをS−アセチルメルカプト無水コハク酸にて処理して、メルカプト基を導入したウレアーゼ(SH化ウレアーゼ)も同様に上記カーボンシートに固定化した。
次に、GOD標識ウレアーゼ抗体溶液(1mL)に上記カーボンシートを入れ、GOD標識ウレアーゼ抗体を4℃で固定化した。このシートを酸素電極に装着し、GODにより消費された酸素の量を、酸素透過性膜内の金電極により電解還元し、その還元電流を測定するという電気化学的手法にて種々のグルコース濃度に対する電流応答を測定することにより、GOD標識ウレアーゼ抗体のGOD活性から、固定化ウレアーゼ(抗原)との抗原−抗体反応について評価した。
ポリマレイミドスチレンに固定化されたウレアーゼ及びSH化ウレアーゼは、GOD標識ウレアーゼ抗体と抗原−抗体反応し、標識GODによるグルコースの酸化反応に起因する電気化学的な応答が観測された。この応答電流値をグルコース濃度に関してプロットした結果が図3に示される。グルコース濃度に対し応答電流値がほぼ直線関係を示している。この直線の傾きはSH化ウレアーゼの方が大きくなっており、SH化ウレアーゼの方がポリマレイミドスチレンにより多数固定化され、且つウレアーゼ(抗原)の変性が少ないことが示されている。この結果から、S−アセチルメルカプト無水コハク酸にて処理して、メルカプト基を導入する方が抗原をより多く固定化することが可能であり、また変性がより少なく、高感度で測定が可能であることがわかった。
・PEEKチューブによるフローELISA測定
PEEKチューブ(内径0.25mm、チューブ長 15cm)内にポリマレイミドスチレンの0.1mg/mLクロロホルム溶液を入れ、ポリマレイミドスチレンを被覆し乾燥した。そこへウレアーゼ抗体((Sigma社Mouse IgG1 Monoclonal Anti-Urease)原液10μLをpH7.0のリン酸緩衝液にて1000倍希釈したもの)を上記PEEKチューブ内に導入し、4℃で30分間抗体を固定化した。固定化後アミノエタンチオール(0.001M)をチューブ内に導入し、未反応で残ったマレイミド基を処理した後、純水で洗浄した。そこへ1mg/mL、0.1mg/mL、0.01mg/mL及び0.001mg/mLの各濃度のウレアーゼ溶液を、抗体が固定化されているPEEKチューブにそれぞれ導入し、4℃、30分間抗原抗体反応を行わせ、その後純水で洗浄した。抗原抗体反応させたPEEKチューブをフローシステムに取り付け、ブロモクレゾールパープル(10mg/L)を含むリン酸緩衝液(pH5.5、0.1M)を移動相(0.2mL/分)とし、そこに基質として尿素リン酸緩衝液(pH5.5、0.1M)溶液(0.1M)を100μL注入し、チューブを通った後の溶液についてフローセルを用い590nmにて吸光度の測定を行った。
図4には、上記吸光度の測定結果が示される。図4において、縦軸に吸光度、横軸にウレアーゼ濃度の対数がそれぞれ示される。
ブロモクレゾールパープルの590nmの吸収強度は、尿素がウレアーゼによって加水分解して生じるアンモニアの量の指標であり、これによりウレアーゼの酵素活性を測定することができる。つまり、PEEKチューブに被覆したポリマレイミドスチレンによる抗体の固定化の度合、固定化抗体と抗原との免疫反応の進行の程度が計測できることとなる。図4より、PEEKチューブ内にウレアーゼ抗体が固定化され、そのウレアーゼ抗体と抗原のウレアーゼが抗原−抗体反応して免疫錯体を形成し、尿素の加水分解が起きたことが観測された。さらに免疫錯体濃度は導入するウレアーゼ(抗原)濃度の対数と実験に用いた条件下でほぼ比例した。このことから、フローシステムでのELISA測定がポリマレイミドスチレン被覆PEEKチューブで可能であることを示している。
ウレアーゼ固定化ポリマレイミドスチレン被覆ポリスチレンビーズによる尿素の加水分解反応のアンモニア電極の応答曲線を示す図である。 ポリマレイミドスチレンによってウレアーゼ(抗原)を固定化した表面の洗浄に対する安定性試験の結果を示す図である。 SH化ウレアーゼ(抗原)およびウレアーゼ(抗原)にGOD標識ウレアーゼ抗体を抗原−抗体反応させて生じた抗原−抗体錯体による、グルコースの酸化反応におけるグルコース濃度と酸素電極電流応答値との関係を示す図である。 ウレアーゼ抗体を固定化したポリマレイミドスチレン被覆PEEKチューブ内に導入したウレアーゼ(抗原)の濃度と、免疫錯体を形成するウレアーゼによる尿素の加水分解量との関係を示す図である。

Claims (1)

  1. 架橋ポリスチレン基体を、アセトン中に加え、
    前記架橋ポリスチレン基体を加えたアセトン中に、下記一般式で表わされる構造を有するポリマレイミドスチレンを添加し、
    前記架橋ポリスチレン基体を沈殿させて取り出し、メタノール中に投入する、
    ことを特徴とする酵素免疫測定材料の製造方法
    Figure 0004549837
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