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JP4537693B2 - 色素増感太陽電池 - Google Patents

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Description

本発明は、色素増感太陽電池に関する。更に詳しくは、本発明は、高い変換効率を有し、電解液を含有するキャリア輸送層を備えた色素増感太陽電池に関する。
従来、光エネルギーを電気エネルギーに直接変換する装置として、シリコン結晶太陽電池がよく知られており、すでに微弱電力消費の分野や独立電源、更には宇宙用電源として利用されている。シリコン結晶太陽電池は、シリコン単結晶やアモルファスシリコンから主に構成されるが、シリコン単結晶はもちろんのこと、アモルファスシリコンを製造するにあたっては多大なエネルギーを必要とする。そのため、電池を作るのに費やしたエネルギーを回収するには、十年近い長期間にわたって発電を続ける必要がある。
こうした状況下、増感色素を用いた色素増感太陽電池が広く注目されるようになった。この色素増感太陽電池は、例えば、透明基板上の透明導電膜に形成された増感色素を担持した多孔性半導体電極(以下、半導体電極ともいう)、対電極、及びそれらの電極間に挟持されたキャリア輸送層とから主に構成されており、作製方法の簡便さ、材料コストの低さ等から次世代の太陽電池として期待されている。
J.Am.Ceram.Soc.,80(12)3157−3171(1997)(非特許文献1)では、多孔性半導体である酸化チタン電極の表面に遷移金属錯体等の増感色素を吸着させた色素増感太陽電池の作製方法が記載されている。該方法では、透明基板上の透明導電膜に形成された酸化チタンからなる半導体電極を、増感色素を溶解した溶媒に浸漬することにより、半導体電極に増感色素を担持させる。その後、酸化還元系を含む電解液を滴下し、半導体電極上に対電極を重ねることにより太陽電池を作製している。
該太陽電池では、半導体電極に可視光が照射されると、その表面上の増感色素が光を吸収することにより、色素分子内の電子が励起され、励起電子が半導体電極へ注入される。励起電子は透明電極に移動し、更に、該電子は電気回路を通って対電極に移動する。対電極に移動した電子は、キャリア輸送層中のホール又はイオンによって運ばれ、半導体電極に戻る。このような過程が繰返されて電気エネルギーが取出されている。
しかしながら、太陽電池として実用化するためには、更なる変換効率の向上が望まれており、このためには発生電流(短絡電流)の増加とともに開放電圧の増大、更には耐久性の向上が望まれている。
開放電圧を増加させるには、半導体電極から増感色素及び/又はキャリア輸送層への逆電流を抑制する必要がある。シリコン太陽電池における等価回路では、逆電流I0と開放電圧Vocの関係が下記式(1)で表される。
Figure 0004537693
(式(1)中、Iphは光電流、nはダイオード因子、kはボルツマン定数、Tは絶対温度、qはキャリアの電荷数を表す。)
色素増感太陽電池において、厳密に式(1)が成り立たつとはいえないが、シリコン太陽電池の場合と同様に、逆電流の増加によるVocの低下が起こると考えられる。色素増感太陽電池における逆電流の抑制には、例えば、J.Am.Ceram.Soc.,80(12)3157−3171(1997)(非特許文献1)に記載されているように、電解液にt−ブチルピリジン(TBP)を混合する、あるいは、TBPを含む溶液で色素吸着電極を処理することが有効であることが知られている。
しかしながら、TBPを用いた場合、短絡電流の減少が顕著に見られる上、実際に得られる開放電圧も理論的に期待される開放電圧よりも低い。
一方、特開2003―168494号公報(特許文献1)では、増感色素として金属錯体色素を使用し、電解液中に該金属錯体色素の配位子と同種の化合物を添加する技術が記載されている。この技術によれば、金属錯体色素の配位子が電解液中に溶出すること、あるいは電解液中の電解質成分と交換されることを抑止することで、耐久性の向上がはかられている。
具体的には、ケトン類、ニトリル類、アルコール類、ピリジン類、カルボン酸、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホアミド、テトラヒドロフラン、水が上記化合物として挙げられている。また、電解質全体に対する上記化合物の濃度は、50〜99重量%とされている。
しかしながら、これらの重量濃度範囲では、電解液への添加剤として一般的に使われているイミダゾール塩の溶解性が悪くなる。その上、電解液中の溶媒の粘度が上昇することによる短絡電流の減少、フィルファクターの減少が顕著になり、その結果、変換効率が大幅に低下することとなる。特に、テトラヒドロフランは揮発性が高く、電解液に対する含有率が大きくなると、太陽電池の耐久性を著しく低下させる恐れがある。
J.Am.Ceram.Soc.,80(12)3157−3171(1997) 特開2003―168494号公報
本発明の発明者等は、上記の問題点を鑑み、鋭意検討した結果、特定の複素環式化合物を電解液に含ませることで、逆電流の抑制、高い開放電圧、高い光電変換効率を有する色素増感太陽電池を提供できることを見い出し本発明に至った。
かくして本発明によれば、透明電極と対電極との間に、増感色素が吸着された多孔性半導体層と、電解液を含有するキャリア輸送層とを備え、前記電解液が、フラン、テトラヒドロフラン、ピラン、テトラヒドロピラン、及びそれらの低級アルキル基での置換体からなる群から選ばれた複素環式化合物を含み、電解液に対する前記複素環式化合物の濃度が5〜40体積%であることを特徴とする色素増感太陽電池が提供される。
本発明によれば、環構造中に、酸素原子を1つ有する複素環式化合物を電解液に添加することにより、開放電圧が高い色素増感太陽電池を得ることができる。開放電圧を高くできる理由は、化合物中の酸素原子が半導体電極及び/又は増感色素に存在する電子の漏れ出すサイトに吸着し、電子が流れ出るのを抑制(逆電流の抑制)することによるものと考えられる。
本発明の色素増感型太陽電池は、透明電極と対電極との間に、増感色素が吸着された多孔性半導体層と、電解液を含有するキャリア輸送層とを少なくとも備えている。透明電極及び対電極は、それぞれ通常支持基板上に形成されている。透明電極側の支持基板は、透明基板が使用される。
本発明の色素増感型太陽電池の一例の概略断面図を図1に示す。
支持基板1及び8としては、ガラス基板、プラスチック基板等が挙げられる。その板厚は、太陽電池に適当な強度を付与することができるものであれば特に限定されない。また、支持基板1及び8の少なくとも一方が透明である。
支持基板1及び8上には、透明導電膜(透明電極と対電極)2及び7が形成されている。透明導電膜としては、例えば、ITO、SnO2、CuI、ZnO等の透明導電材料からなる膜が挙げられる。透明導電膜は、常法(例えば、ゾルゲル法、スパッタリング法等)によって形成され、その膜厚は0.1〜5μm程度が適当である。なお、図1では、対電極3下に透明導電膜2を形成しているが、透明導電膜2を形成しなくてもよい。
多孔性半導体層6は、透明導電膜7上に形成されており、半導体の微粒子から構成される。この半導体微粒子は、一般に光電変換材料に使用されるものであればどのようなものでも使用することができ、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ニオブ、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化タングステン、酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸化ニッケル、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、硫化カドミウム、CuAlO2、SrCu22等を単独又は組み合わせて含む粒子が挙げられる。
上記半導体微粒子の内、安定性及び安全性の点から、酸化チタン粒子が好ましい。この酸化チタンは、アナタース型酸化チタン、ルチル型酸化チタン、無定形酸化チタン、メタチタン酸、オルソチタン酸等の各種の狭義の酸化チタン及び水酸化チタン、含水酸化チタン等を包含する。半導体層は、粒子状や膜状でもよいが、多孔質の膜状等の形態であることが好ましい。
多孔性半導体層は、公知の種々の方法によって透明導電膜上に形成することができる。具体的には、
(1)透明導電膜上に半導体粒子を含有する懸濁液を塗布し、乾燥及び/又は焼成して多孔性半導体層を形成する方法、
(2)必要な原料ガスを用いたCVD又はMOCVD法等により透明導電膜上に多孔性半導体層を形成する方法、
(3)固体原料を用いるPVD法、蒸着法、スパッタリング法、ゾルゲル法等により多孔性半導体層を形成する方法
等の単独又は組み合わせた方法が挙げられる。
多孔性半導体層を製造するために使用される半導体粒子は、例えば1〜2000nmの範囲の平均粒径を有することが好ましい。ここで、平均粒径は、光散乱光度計(大塚電子社製)をもちいて、レーザー光の動的散乱を解析することにより求めた。なお、半導体粒子は、市販されているものを用いることができる。
例えば、上述の(1)の方法においては、まず、半導体粒子を適当な溶媒に懸濁する。そのような溶媒としては、エチレングリコールモノメチルエーテルのようなグライム系溶媒、イソプロピルアルコールのようなアルコール類、イソプロピルアルコール/トルエンのようなアルコール系混合溶媒、水等が挙げられる。半導体粒子の懸濁液の基板への塗布は、ドクターブレード法、スキージ法、スピンコート法、スクリーン印刷法等の公知の方法が挙げられる。その後、塗布液を乾燥及び焼成することで多孔性半導体層を形成できる。
上記方法において、乾燥及び焼成に必要な温度、時間、雰囲気等は、使用される基板及び半導体粒子の種類に応じて、適宜調整することができる。例えば、大気下又は不活性ガス雰囲気下、50〜800℃程度の範囲で10秒〜12時間程度が挙げられる。乾燥及び焼成は、単一の温度で1回のみ行ってもよいし、温度を変化させて2回以上行ってもよい。また、塗布、乾燥及び焼成は、1回のみ行ってもよいし、2回以上行ってもよい。
上述の(2)の方法で、使用される原料ガスとしては、多孔性半導体層を構成する元素を含有する単一のガス又は2種類以上の混合ガスを用いることができる。
上述の(3)の方法で、固体原料は、半導体を構成する元素を含有する単一の固体、複数の固体の組み合せ又は化合物の固体を利用することができる。
多孔性半導体層の厚みは、特に限定されるものではなく、例えば、0.1〜100μm程度が挙げられる。また、別の観点から、多孔性半導体層の表面積が大きいものが好ましく、例えば、10〜200m2/g程度が挙げられる。
多孔性半導体層6の表面には増感色素5が吸着されている。増感色素としては、種々の可視光領域及び/又は赤外光領域に吸収を持つものを用いることができる。例えば、有機色素や金属錯体色素が挙げられる。
有機色素としては、例えば、アゾ系色素、キノン系色素、キノンイミン系色素、キナクリドン系色素、スクアリリウム系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、トリフェニルメタン系色素、キサンテン系色素、ポルフィリン系色素、ペリレン系色素、インジゴ系色素、ナフタロシアニン系色素等が挙げられる。金属錯体色素としては、Cu、Ni、Fe、Co、V、Sn、Si、Ti、Ge、Cr、Zn、Ru、Mg、Al、Pb、Mn、In、Mo、Y、Zr、Nb、Sb、La、W、Pt、Ta、Ir、Pd、Os、Ga、Tb、Eu、Rb、Bi、Se、As、Sc、Ag、Cd、Hf、Re、Au、Ac、Tc、Te、Rh等の金属を中心金属とする、フタロシアニン系色素、ルテニウムビピリジン系色素等が好ましく用いられる。
本発明においては、増感色素と多孔性半導体層とを強固に吸着するため、分子中にカルボキシル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、スルホン酸基、エステル基、メルカプト基、ホスホニル基等のインターロック基を有する増感色素を使用することが好ましい。
前記増感色素の中で、ルテニウムビピリジン系色素が好ましく、下記一般式(1)で表されるRuthenium535色素、下記一般式(2)で表されるRuthenium535−bisTBA色素、下記一般式(3)で表されるRuthenium620−1H3TBA色素であることが特に好ましい。
Figure 0004537693
Figure 0004537693
Figure 0004537693
多孔性半導体層6表面に増感色素5を吸着させる前に、多孔性半導体層表面を活性化するための処理を必要に応じて行ってもよい。増感色素を多孔性半導体層に吸着させる工程において、増感色素を含有した液体に多孔性半導体層を浸漬して、該半導体層表面に該増感色素を吸着させる。前記の液体としては、使用する増感色素を溶解するものであればよく、具体的には、アルコール、トルエン、アセトニトリル、クロロホルム、ジメチルホルムアミド等の有機溶媒を用いることができる。前記の溶媒は、通常、精製されたものを用いることが好ましい。溶媒中の増感色素濃度は、使用する増感色素、溶媒の種類、増感色素吸着工程のための条件等に応じて調整することができる。増感色素の濃度は、1×10-5モル/リットル以上が好ましい。
増感色素を含有した液体に多孔性半導体層を浸漬する工程において、温度、圧力、浸漬時間は必要に応じて変えることができる。浸漬は、1回又は複数回行ってもよい。また、浸漬の工程の後、適宜乾燥を行ってもよい。
上述した方法により多孔性半導体層に吸着された増感色素は、光エネルギーにより電子を多孔性半導体層に送る光増感剤として機能する。一般的に、増感色素がインターロック基を有する場合、その基を介して多孔性半導体層に固定される。インターロック基は、励起状態の増感色素と多孔性半導体層の伝導帯との間の電子の移動を容易にする電気的結合を提供する。
対電極3は、支持基板上に直接又は透明導電膜2上に形成することができる。この導電膜は透明でもよいし、不透明であってもよい。例えば、N型又はP型の元素半導体(例えば、シリコン、ゲルマニウム等)又は化合物半導体(例えば、GaAs、InP、ZnSe、CsS等);金、白金、銀、銅、アルミニウム等の金属;チタン、タンタル、タングステン等の高融点金属;ITO、SnO2、CuI、ZnO等の透明導電材料からなる電極が挙げられる。対電極は、常法によって形成され、その膜厚は0.1〜5μm程度が適当である。
なお、対電極は、太陽電池を支持し得る支持基板又は保護層上に形成されていることが好ましい。支持基板や保護層は、通常太陽電池の基板として使用されている透明又は不透明の基板を使用できる。具体的には、スパッタ、塩化白金酸の熱分解、電着等の方法によって導電膜が被覆された支持基板上に対電極としての白金膜を形成させてもよい。この場合の白金膜の膜厚は、1〜100nm程度が好ましい。
キャリア輸送層4としては、電解液を含みさえすれば、電子、ホール、又はイオンのいずれかを輸送できるものであればどのようなものでも用いることができる。電解液中の電解液としては、液体電解質や高分子電解質等のイオン導電体を用いることができる。イオン導電体は、酸化還元性のものがよい。電解質は、一般に電池や太陽電池等において使用することができる電解質であれば特に限定されず、具体的にはLiI、NaI、KI、CaI2等の金属ヨウ化物とヨウ素の組み合わせ、LiBr、NaBr、KBr、CaBr2等の金属臭化物と臭素の組み合わせ等が挙げられる。なかでもLiIとヨウ素の組み合わせが好ましい。
電解質濃度としては、0.01〜1.5モル/リットルが適当であり、0.1〜0.7モル/リットルが好ましい。
また、電解質の溶媒としては、プロピレンカーボネートのようなカーボネート化合物、アセトニトリルのようなニトリル化合物、エタノールのようなアルコール類、その他、水や非プロトン極性物質等が挙げられ、なかでも、カーボネート化合物及びニトリル化合物が好ましい。
本発明では、電解液に添加剤として、環構造中に酸素原子を1つ有する複素環式化合物が添加される。前記複素環式化合物は、5員又は6員の環構造を有することが好ましい。
更に、複素環式化合物は、環構造中に、1個の酸素原子を有する5員環、1個の酸素原子を有する6員環、のいずれかから選ばれた化合物であることが好ましい。
より具体的な複素環式化合物としては、フラン、テトラヒドロフラン、ピラン、テトラヒドロピラン、及びそれらの低級アルキル基での置換体からなる群から選ばれた化合物が挙げられる。低級アルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル等が挙げられる。
上記複素環式化合物は、単独でも、複数種組み合わせてもよい。例えば、
フランと、テトラヒドロフラン、ピラン、テトラヒドロピラン、との組み合わせ、
テトラヒドロフランと、ピラン、テトラヒドロピラン、との組み合わせ、
ピランと、テトラヒドロピラン、との組み合わせ、
のような2種の組み合わせが挙げられる。
本発明において、複素環式化合物は、発生電流(短絡電流)と開放電圧を向上させるが、これは次の理由によると考えられる。すなわち、環構造中に1つの酸素原子を有する複素環式化合物は、分子中の酸素原子が多孔性半導体層及び/又は増感色素に存在する電子の漏れ出すサイトに吸着し、電子が流れ出るのを抑制(逆電流の抑制)することによると考えられる。
酸素原子は、窒素原子と比べ、非共有電子対の数が多い。このため、上記複素環式化合物は、従来から用いられていたTBPのような含窒素化合物よりも多孔性半導体層及び/又は増感色素への吸着力が強く、逆電流の抑止力が向上すると考えられる。
特に、環構造は、含窒素複素環式化合物やイミダゾール塩等と同様に、(1)同数の原子数を有する直鎖状分子に比べ、分子の大きさを小さくし、また、分子内自由度を小さくさせるため、多孔性半導体層内を移動しやすくし、(2)安定性を高める役割を有すると考えられる。
複素環式化合物の電解液全体に対する濃度は、前記化合物の沸点の低さ、前記化合物へのイミダゾール塩の溶解度の低さや、前記化合物の粘性度増加による短絡電流とフィルファクターの減少の問題を考慮すると、5〜40体積%であることが好ましく、10〜30体積%であることがより好ましい。
なお、特開2003―168494号公報では、電解液中に、テトラヒドロフランが添加されおり、その濃度は、50〜99重量%となっている。これらの濃度の範囲では、上述したイミダゾール塩の溶解性の低下、粘性度増加の問題に加え、揮発性の高いテトラヒドロフランを多く含むことによる耐久性の低下が生じる。それに対し、本発明では、電解液に対する複素環式化合物濃度を5〜40体積%とすることで開放電圧の向上と短絡電流の減少抑止の両立と、耐久性の向上も実現できる。
また、電解液には、従来から用いられているt−ブチルピリジン(TBP)等の含窒素複素環式化合物、あるいはジメチルプロピルイミダゾールアイオダイド(DMPII)、メチルプロピルイミダゾールアイオダイド(MPII)、エチルメチルイミダゾールアイオダイド(EMII)、エチルイミダゾールアイオダイド(EII)、ヘキシルメチルイミダゾールアイドダイド(HMII)等のイミダゾール塩、ジオキソラン、ジオキサン、ジオキソール、ジオキセン、ジオキシン、トリオキサン等の2以上の酸素原子を有する含酸素複素環式化合物、チオフェン、テトラヒドロチオフェン等の含硫黄複素環式化合物を含有させてもよい。
なお、電解液には、金属錯体色素の配位子と同種の化合物を含ませてもよい。
以下の実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1〜8及び比較例1〜7
表1の複素環式化合物を表1に示す濃度で電解液として使用し、以下のように色素増感太陽電池を作製した。
Figure 0004537693
・多孔性半導体層の作製
市販の酸化チタンペースト(Solaronix社製、商品名Ti−Nanoxide D、平均粒径13nm)を、ドクターブレード法により、透明導電膜であるSnO2膜が蒸着された透明基板であるガラス板(日本板硝子社製)に塗布した。この後、塗布膜を300℃で30分間予備乾燥し、次いで500℃で40分間焼成し、多孔性半導体層として、膜厚20μmの酸化チタン膜を得た。
・増感色素の吸着
Solaronix社製Ruthenium535−bisTBA色素を4×10-4モル/リットルの濃度となるようエタノール(Aldrich Chemical Company製)に溶解し、溶液を調製した。次に、上記酸化チタン膜を形成したガラス板を、この溶液中に30分間保持し、増感色素を酸化チタン膜に吸着させた。得られた吸着色素濃度は、酸化チタン膜に対して、7×10-8モル/cm2であった。その後、該電極をエタノール(Aldrich Chemical Company製)で洗浄・乾燥に付した。
・電解液の作製
キャリア輸送層として用いる酸化還元性電解液は、アセトニトリル(Aldrich Chemical Company製)と表1に示された化合物(すべてAldrich Chemical Company製)とを混合した溶媒に、濃度0.6モル/リットルのDMPII(四国化成製)、濃度0.1モル/リットルのヨウ化リチウム(Aldrich Chemical Company製)、濃度0.05モル/リットルのヨウ素(Aldrich Chemical Company製)、濃度0.5モル/リットルのTBP(Aldrich Chemical Company製)を溶解させて作製した。
・太陽電池の作製
上述した多孔性半導体層を形成したものと同じ透明導電性ガラス板に、白金膜を1μm蒸着して対電極を形成した。この対電極と上記で得られた光電変換層を短絡防止のためのスペーサーを挟んで重ねた。酸化還元性電解液を間隙より注入し、それらの側面を樹脂でシールした。各電極にリード線を取付けて、太陽電池を得た。
得られた太陽電池に、1kW/m2の強度の光(AM1.5ソーラーシミュレータ)を照射して、光電変換効率を測定した。その結果を表2に示す。
Figure 0004537693
表2から明らかなように、環構造中に酸素原子を1つ有する複素環式化合物を電解液に含有させることで、光電変換効率を向上できることがわかる。
本発明の色素増感太陽電池を示す模式図である。
符号の説明
1、8 支持基板
2、7 透明導電膜
3 対電極
4 キャリア輸送層
5 増感色素
6 多孔性半導体層

Claims (1)

  1. 透明電極と対電極との間に、増感色素が吸着された多孔性半導体層と、電解液を含有するキャリア輸送層とを備え、前記電解液が、フラン、テトラヒドロフラン、ピラン、テトラヒドロピラン、及びそれらの低級アルキル基での置換体からなる群から選ばれた複素環式化合物を含み、電解液に対する前記複素環式化合物の濃度が5〜40体積%であることを特徴とする色素増感太陽電池。
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