JP4531180B2 - 同期モータおよび同期モータの起動方法 - Google Patents
同期モータおよび同期モータの起動方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インバータにより固定子の界磁用巻き線の通電相を順次切り替えて回転子を回転させる同期モータ及びその起動方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
永久磁石モータやリラクタンスモータなどの同期モータは回転数に応じてモータへ印加する電源周波数を変化させることが必要で、電源周波数がモータ回転数と著しく異なる場合は同期はずれ、いわゆる脱調状態となり起動できない。したがって同期モータは、電源周波数を変化させる手段としてスイッチング動作を行なう半導体素子からなるインバータを用いて駆動されるのが一般的である。 また、エンコーダやホール素子、電流センサなどを用いてモータの回転子の位置検出を行い、これに合わせてインバータのスイッチング周波数を連続して変化させながら、起動や速度調整を行なう。さらに、回転位置を検出せずに起動する方法も提案されている。例えば特開平5−68394号公報には、運転周波数と加速時間に任意の関数を設けて、回転子の位置検出のためのセンサ類を用いずにブラシレスモータを起動する方法が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上に述べた位置検出のためのセンサ類は、高価であるとともに衝撃や熱などに弱く、また固定子に付加する必要があるため過酷な環境で使用されるモータには信頼性の面から搭載は困難であり、また制御も複雑となる。
【0004】
また、同期モータを最初インバータで起動し、その後に商用電源に切り替えるような同期モータの駆動制御を考えた場合には、切り替え時の脱調を防止するために、インバータによる駆動時の回転位相と商用電源の位相合わせを行い、インバータ駆動から商用電源に切り替えるタイミングを計る必要がある。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、単純な制御で同期モータを起動することができ、また、インバータ起動後商用電源に切り替える方式においては、切り替え時の位相合わせが不要な同期モータを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る同期モータは、商用電源の周波数及び電圧を所定値に変換するインバータを備え、少なくとも起動時から所定時間、インバータにより同期モータの固定子の界磁用の巻き線の通電相を順次切替えることにより回転子を回転させて駆動する同期モータであり、参照信号の波形を基準として上記インバータの通電相切替え制御を行う制御部を設けたものである。
【0007】
上記の参照信号は商用電源の1つの相の波形であってもよい。
【0008】
また、同期モータは参照信号を発生する信号発生部を備えてもよい。
【0009】
さらに、制御部は起動時に上記参照信号の周波数のN分のmの周波数(Nは整数の定数、mはN以下の整数の変数)で通電相を切替え、その後mの値を増加させ、mの値が所定値に達した後はmの値を固定するように制御してもよい。かかる制御により、インバータの出力電圧の周波数が順次切替えられる。
【0010】
また、通電開始から所定時間経過後、モータの駆動電源を商用電源に切替える駆動電源切替え部を備えてもよい。
【0011】
さらに、駆動電源切替え部は、通電相を切替える周波数が商用電源の周波数に達した後、駆動電源を商用電源に切替えてもよい。
【0012】
さらにまた、Nを2とし、起動時のmの値を1としてもよい。
【0013】
また、Nを3以上の整数とし、起動時のmの値を1、その後mの値がNと等しくなるまで1ずつ増加させてもよい。
【0014】
また、参照信号の波形は正負の極値を有する波形であり、制御部が、この波形が正負の所定値に達する時間、および上記波形の微分値により通電相と通電相切替えの時間を制御してもよい。
【0015】
また、制御部は、通電相の周波数の切替えにともない、インバータの出力電圧を段階的に上昇させるように制御してもよい。
【0016】
また、制御部は、通電相の周波数の切替えにともない上昇させたインバータの出力電圧を、次の通電相の周波数の切替え前に一旦降下させるように制御するようにしてもよい。
【0017】
また、制御部は、通電相の周波数の周波数領域に応じて、周波数の切替え間隔及び周波数の増加幅を変更するように制御するようにしてもよい。
【0018】
本発明に係る同期モータの起動方法は、少なくとも起動時から所定時間インバータにより、固定子の界磁用の巻き線の通電相を順次切替えて駆動して回転子を回転させる同期モータの起動方法であって、通電相の切替えは参照信号の波形を基準として行い、Nを整数の定数、mをN以下の整数の変数としたとき、起動時に参照信号の周波数のN分のmの周波数で通電相を切替え、その後mの値を増加させた周波数で通電相を切替え、mの値が所定値に達した後はmの値を固定した周波数で通電相を切替えるものである。
【0019】
上記の参照信号は商用電源の1つの相の波形としてもよい。
【0020】
また、上記mの値が所定値に達した後で駆動電源を商用電源に切替えるようにしてもよい。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、添付の図面を参照して本発明に係る同期モータの実施の形態を詳細に説明する。
【0022】
実施の形態1.
図1に本発明の実施の形態1における同期モータを示す。モータ7には突極型永久磁石埋め込みモータを使用する。図2はモータの回転子の断面図であり、回転子は永久磁石8と鉄心(コア)9を有している。モータの諸元は、
容量:0.4kW
相数:3
極数:4
スロット数:6
回転子径:40mmφ
コア幅:50mm
慣性モーメント:0.000012kg・m2
である。
【0023】
図1に示すように、同期モータはモータ7とモータ7を駆動するための駆動部とからなる。駆動部は、DSP(デジタル信号処理器)を備える制御部2と、3相の商用電源1の電圧を参照信号として制御部2へ入力するための参照信号入力部3と、商用電源1からの交流を整流して直流を得るための3相ブリッジの整流回路4と、整流後の直流を制御部2で制御して任意の周波数の交流を得るためのIGBTスイッチで構成される電圧型のインバータ5と、モータ駆動電圧を与える電源として商用電源1またはインバータ5のいずれかに切替える駆動電源切替え部6とからなる。参照信号入力部3はトランス等で構成され、整流回路4、インバータ5および制御部2はモジュール化されている。駆動電源切替え部6は、モータ7への電源を切替えるためのマグネットスイッチからなる。
【0024】
以上のように構成される同期モータについて動作を説明する。
商用電源1には60Hzの商用3相200Vを使用し、制御モジュールを介して電力を供給する。この実施の形態の同期モータにおいては、同期モータを起動し、同期回転に達した後、商用電源1のみで同期モータを駆動するようになっている。これにより、インバータ5の消耗を低減でき、また、同期モータにおいて容量の小さなインバータを使用できる。
【0025】
DSPは、あらかじめC言語によって作成された制御プログラムがダウンロードされており、このプログラムに基いた制御によりIGBTのスイッチング命令をインバータ5に送る。これにより、モータ7の固定子の3相巻き線の通電相(U相、V相、W相)を順次切り替え、固定子側の磁界を回転させ、モータ7の回転子側の突極性と磁石との間の、リラクタンストルクと磁気トルクを利用して回転させる。整流回路4に入る3相のうち、V相とW相の相間電圧が参照信号入力部(トランス)3を介して制御部2へ取り込まれている。DSPは、この取りこまれた波形を参照信号として通電相が切り替えられるようにプログラムされている。
【0026】
図3は、参照信号として取り込んだVW相間の電圧波形から位相を30°だけずらして求めたV相の電源波形と、このV相の電圧波形から求めた通電相との関係を示した図である。V相の波形はほぼ正弦波であり、あらかじめ求めておいた振幅しきい値(上側しきい値及び下側しきい値)と振幅の大小関係と、波形の微分値の正負(増加域か減少域か)により、図3の切替えパターンで示すように1周期を6分割し、各分割領域に対応してインバータ5を構成するIGBTスイッチの上側アームと下側アームのオン・オフのスイッチングパターンを決めている。
【0027】
本同期モータでは、モータ7の回転子の位置を検出する角度位置検出センサーなどは用いておらず、回転子の位置はスイッチングパターンの決定のためにはフィードバックされていない。したがって起動時に商用電源の周波数と同じ60Hzでインバータ5のIGBTをスイッチングしても脱調してしまう。これを防ぐため、起動時には60Hzのスイッチングタイミングを時間的に2分割した30Hz、すなわち、図3に示す周期(60Hz)の倍の周期で通電相の切替えを行い、あらかじめ実験的に求めておいた、30Hzで安定に回転する時間に到達後、60Hzに切り替えるようにする。このように制御することにより、問題なく60Hzの同期回転に到達することができる。さらに、60Hzの同期回転に到達後、モータ7に対する駆動電力の供給をマグネットスイッチ6により、インバータ5からの供給から、商用電源1からの直接供給に切り替える。このように、商用電源1の波形を参照して、位相が合うようにインバータを駆動することにより、位相合わせをするためのセンサやロジック回路が必要なく、位相合わせの待ち時間などもなく、単にマグネットスイッチ6により電力供給源を切り替えるだけで、スムーズに商用電源による直接駆動に切り替えることができる。図4に、30Hzでの起動時と、60Hzでのインバータ駆動時および商用直接駆動時の電流波形を示す。
【0028】
このように、起動時のみインバータで駆動し、その後、商用電源で直接的に駆動するように切替えることにより、用いるインバータは、モータの定格に比較して容量の小さなもので良く、駆動部が簡単となり、コストも低減できる。
【0029】
実施の形態2.
図5は本発明の実施の形態2における同期モータの構成図である。使用したモータ7および整流回路4、制御部2、インバータ5は実施の形態1のものと同様であるが、モータ7にカップリング(図示せず)を介して負荷モータ10をとりつけてある。負荷モータ10には例えばトルク制御が可能なACサーボモータを使用し、負荷トルクを1Nmとする。
【0030】
本実施形態においては、実施の形態1と同様、回転子の角度位置検出センサーなどは用いておらず、モータ7の回転子の位置はスイッチングパターンの決定にはフィードバックしていない。しかし、本実施形態では、負荷がかかっているため、実施の形態1と同様に30Hzから起動したのでは、起動時に大きな振動をともない、また起動時間がかかる。そこで、商用電源の電圧を参照信号とした場合の60Hzの6周期毎に通電相を切り替えることとした。図6に示すように、10、20、30、40,50Hzの各周波数と位相のゼロクロス点が60Hzの6周期毎に一致する。そこで、ゼロクロス点が一致するところで周波数を切り替えながら周波数を順次上昇させていく。つまり、常に商用電源の位相を参照しながら10Hz、20Hz、30Hz、40Hz、50Hz、60Hzの順に通電相の切り替え周波数を低い方から高い方へ切替えてくことにより、それにともないモータの回転を順次上昇させながら同期回転させることができる。図6に示すように、60Hzの波形の3周期において、10、20、30、40,50Hzに周波数を切り替えるようにしておけば、常に商用電源の電圧を参照信号として使用していることになり、位相合わせの必要なく同期回転後の位相を商用電源の位相と一致させることができる。安定な回転までに達するのに要する時間は事前に実験的に求めておき、その時間で各周波数への切り替えを行なうことにより問題なく同期回転に到達できることが確かめられている。さらに、モータ7に対する電力供給を、インバータ5を介した供給から、商用電源1からの直接供給に、マグネットスイッチ7により切り替えても、商用電源の波形を参照しながら、位相が合致するようにインバータ5を駆動しているため、位相合わせをするためのセンサやロジック、位相合わせの待ち時間など一切必要がない。このため、単にマグネットスイッチ7によりモータ7の駆動電力の供給元を切り替えるだけで、スムーズに商用電源1による直接駆動に切り替えることができる。
【0031】
実施の形態3.
図7に本発明の実施の形態3における同期モータの構成を示す。本実施形態では、実施の形態2と同様に負荷モータ10を使用し、負荷トルクを2Nmのように大きくした。このように負荷トルクが大きい時や負荷トルクが変動する場合などは、実施の形態2と同様の方法では、安定した起動が行なえない恐れがあるため、1つの相(ここでは、U相)の界磁巻き線に流れる電流用のセンサ11を設け、制御部2にフィードバックするようにした。相電流の値により、モータ7の回転子の角度位置を検出し、最適な通電相を決定することができる。ただし、通電相の決定は、実施の形態1および2と同様、商用電源の60Hz波形を参照信号として切り替えパターンを作成し、これと回転子位置との双方の一致をみながら、通電相の切り替えを行なう。周波数を、20Hz、40Hz、60Hzと3段階に上昇させてモータを駆動させたところ、スムーズな起動が得られ、同期回転することが実験的に確認できた。なお、回転子位置情報を制御部2にフィードバックしてはいるが、基本的には、商用電源の位相を参照しながら起動しているので、インバータ駆動から商用電源による直接駆動への切り替えもスムーズに行なえる。
【0032】
実施の形態4.
起動初期におけるインバータ5による駆動時において、インバータ出力電圧が一定であると、所定タイミングで周波数を切り替えた際に、必要以上に通電されることがあり、過電流によるインバータ部の破損を招いたり、負荷が大きい場合は回転が停止してしまったりする場合がある。
【0033】
そこで、本実施形態の同期モータでは、起動時のインバータ駆動においては、インバータ出力電圧の平均電圧を、周波数の切替えとともにステップ状に上昇させるようにする。すなわち、始動時から定格電圧(200V)に対して100%の電圧を出力するのではなく、低周波数で起動している段階では、IGBTのスイッチング動作をPWM制御して通電パターン中にオフ時間を設けてインバータ出力の平均電圧値を調整し、低い値から段階的に上昇させていく。
【0034】
例えば、図8に示すように、周波数10Hzのときに定格電圧の50%、周波数20Hzのときに定格電圧の60%、周波数30Hzのときに定格電圧の70%、周波数40Hzのときに定格電圧の80%、周波数50Hzのときに定格電圧の90%、周波数60Hzのときに定格電圧の100%となるように、インバータ出力電圧をステップ状に切り上げていく。インバータ出力電圧の平均電圧はIGBTのスイッチング動作をPWM制御することにより、すなわち、デューティ比を制御することにより変化させることができる。
【0035】
また、図9に示すように、低周波数領域にあるほど、一つの周波数の保持時間を長くし、かつ、周波数の増加幅を大きくし、高周波になるにしたがい保持時間を短く、かつ、周波数の増加幅が小さくなるように周波数を制御してもよい。このように切替えることにより、低周波数側の平均電圧調整のみでスムーズな始動を得ることができる。
【0036】
また、図10に示すように、周波数切上げ後、回転が安定した時点で、一旦、平均電圧を回転が停止しない範囲で所定値まで下げるようにしてもよい。例えば、周波数切上げ後の回転が安定するまでの時間を予め実験的に求めておき、周波数切上げてからその求めた時間だけ経過した後に平均電圧を下げるようにする。
【0037】
図10に示す例では、インバータ出力電圧の周波数を10Hzから20Hzに切り替える際、出力電圧を定格電圧の50%から60%に切替え、切り替えてから所定時間t2経過後に定格電圧の55%に出力電圧を降下させている。その後、周波数を20Hzから30Hzに切り替える際は、出力電圧を定格電圧の60%に上昇させた後、定格電圧の55%に降下させ、その後、70%に切替える。このように、一旦、電圧を55%に降下させることにより、周波数の切替え前後での電圧差を十分に大きく確保することができ、周波数切替え時においてより安定した運転が可能となる。なお、この場合でも、周波数領域に応じて周波数の保持時間及び増加幅を変更するようにしてもよい。このように周波数切替時に上昇させた電圧を、次に切替える前に一旦降下させることにより、電圧上昇時の各ステップにおける電圧差の値を十分に大きく確保することができるため、負荷が大きい場合であっても、周波数切上げ時に回転が停止するのを防止することができる。
【0038】
以上をまとめると、起動時に参照信号の周波数のN分のm(Nは整数の定数、mはN以下の整数)の周波数で通電相を切替え、その後mを順次増加させた周波数で通電相を切替えていき、mがN以下の所定値に達したところでmの値を固定した周波数で通電相を切替えて駆動するようにして同期回転に到達させることができる。実施の形態1では参照信号の周波数が60Hzであり、Nを2とし、起動時のmを1として、mが2になったところで、すなわち切替え周波数が60Hzになったところで同期回転に到達させることができる。実施の形態2では参照信号が60Hzであり、Nを6とし、起動時のmを1として、mを1づつ増加させ、mが6になったところ、すなわち切替え周波数が60Hzになったところで同期回転に到達させることができる。さらに、実施の形態3では、Nを3とし、起動時のmを1として、mを1づつ増加させ、mが3になったところで、すなわち切替えの周波数が60Hzになったろで同期回転に到達させることができる。
【0039】
なお、Nや起動時のmの値については種々の値を設定できる。またmの増加パターンについても、常に1ずつ増加させなくても、例えば実施の形態2において、mの値を1、2、4、6と増加させてもよく、すなわち、10Hz、20Hz、40Hz,60Hzと変化させてもよく、種々の増加パターンを設定できる。
【0040】
上記各実施の形態では、参照信号として、商用電源を用いたが、それに限られることはなく、商用電源の位相とは直接関係なく信号を発生する信号発生器や発振器を使用してもよく、信号発生器や発振器は制御モジュール内に組み込んでもよい。この場合は、発振器の周波数を変えることにより、モータの回転数を自在に変更することができる。このような、発振器から参照用信号を得てスイッチングパターンを決定する利点としては、ロジックが簡単で、プログラムソースが簡易化されるため、制御部を安価に実現できること、複数のモータを同期して起動し回転数を上げる必要のある場合に、一個の発振器からの信号により、複数のモータを一度に制御できることなどが挙げられる。
【0041】
以上のように、参照信号を用いると起動してから通電相を切替える周波数を連続的に変化させなくても、周波数を不連続に変化させても確実に目的の同期回転数を達成することができる。
【0042】
また、制御部はDSPを用いたが、マイコンやこれらに代わるものでもよく、IGBTやIPM、ASIPMなどの素子と合わせて、小型軽量なモジュールが作成できるものが望ましい。
【0043】
さらに、インバータのスイッチとしてIGBTを用いたが、サイリスタスイッチやMOSFETやこれらに代わるものでもよく、電圧型インバータに限らず、電流型インバータなどにも使用できる。
【0044】
また、使用されるモータは突極型永久磁石埋め込みモータを例にとって説明したが、モータの種別を特に限定するものではなく、磁石のないリラクタンスモータ、表面はりつけ磁石モータなど、回転磁界によって回転する回転子を有する同期モータであればよい。
【0045】
さらにここでは、同期回転後、インバータ駆動から商用電源への切り替えを行なったが、特に商用電源へ切り替えなくても、インバータ駆動のみで運転してもよい。また電力切り替えの際のスイッチはマグネットスイッチを用いたが、これに限定するものではなく、半導体スイッチやこれらに代わる簡易スイッチでもかまわない。また、商用電源に切り替える際にはスイッチによる切り替えを行なったが、インバータを切り離す前に商用電源を投入して、一定時間並行運転してから、インバータを切り離してもよい。
【0046】
【発明の効果】
本発明の同期モータは、少なくとも起動時から所定時間インバータにより、固定子の界磁用の巻き線の通電相を順次切替えて駆動して回転子を回転させる同期モータにおいて、参照信号の波形を基準として上記インバータの通電相切替え制御を行う制御部を設けたので、単純な制御で起動する同期モータを提供することができる。
【0047】
また、参照信号を商用電源の1相の波形としてもよく、単純な制御で起動でき、また駆動電源を商用電源に切替える方式において、確実に同期運転できる同期モータを提供することができる。
【0048】
また、参照信号を信号発生部により発生させるようにしてもよく、単純な制御で起動する任意の回転数の同期モータを提供することができる。
【0049】
さらに、Nを整数の定数、mをN以下の整数の変数とし、制御部は、起動時に上記参照信号の周波数のN分のmの周波数で通電相を切替え、その後mの値を増加させ、mの値が所定値に達した後はmの値を固定するよう制御するようにしてもよく、単純な制御で確実に起動する同期モータを提供することができる。
【0050】
また、通電開始から所定時間経過後、駆動電源を商用電源に切替える駆動電源切替え部を備えてもよく、インバータの容量が小さいもので済む効果が得られる。
【0051】
さらに、駆動電源切替え部は、通電相を切替える周波数が商用電源の周波数に達した後、駆動電源を商用電源に切替えるように構成してもよく、単純な制御で確実に商用電源で同期運転できる同期モータを提供することができる。
【0052】
さらにまた、Nを2とし、起動時のmの値を1としてもよく、非常に単純な制御で起動できる同期モータを提供することができる。
【0053】
また、Nを3以上の整数とし、起動時のmの値を1、その後mの値がNと等しくなるまで1ずつ増加させるようにしてもよく、単純な制御で確実に起動できる同期モータを提供することができる。
【0054】
また、参照信号の波形は正負の極値を有する波形であり、制御部が、この波形が正負の所定値に達する時間、および上記波形の微分値により通電相と通電相切替えの時間を制御する構成にしてもよく、参照波形にもとづいて確実に切替えの時間を設定できる同期モータを提供できる。
【0055】
また、通電相の周波数の切替えにともないインバータの出力電圧を段階的に上昇させてもよく、周波数切り替え時の過電流によるインバータ部の破損や、大負荷時の回転停止を防止することができ、起動時において安定した周波数の切替えが実現できる。
【0056】
また、通電相の周波数の切替えにともない上昇させたインバータの出力電圧を、次の通電相の周波数の切替え前に一旦降下させるように制御するようにしてもよく、周波数切替え前後のインバータの出力電圧差を十分に大きく確保することができ、周波数の切替え時においてより安定した運転が可能となる。
【0057】
また、通電相の周波数の周波数領域に応じて周波数の切替え間隔及び周波数の増加幅を変更するようにしてもよく、低周波数側の平均電圧調整のみでスムーズな始動を得ることができる。
【0058】
本発明の同期モータの起動方法は、少なくとも起動時から所定時間インバータにより、固定子の界磁用の巻き線の通電相を順次切替えて駆動して回転子を回転させる同期モータの起動方法において、通電相の切替えは参照信号の波形を基準として行い、Nを整数の定数、mをN以下の整数の変数としたとき、起動時に参照信号の周波数のN分のmの周波数で通電相を切替え、その後mの値を増加させた周波数で通電相を切替え、mの値が所定値に達した後はmの値を固定した周波数で通電相を切替えるようにしたので、確実に起動できる同期モータの起動方法を提供することができる。
【0059】
また、参照信号を商用電源の1相の波形としてもよく、確実に起動でき、また駆動電源を商用電源に切替える方式において、確実に同期運転できる同期モータの起動方法を提供することができる。
【0060】
さらに、上記mの値が所定値に達した後、駆動電源を商用電源に切替えるようにしてもよく、インバータの容量が小さくて済み、しかも商用電源で確実に同期運転できる同期モータの起動方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1の同期モータを示す構成図である。
【図2】 同期モータの回転子の一例の断面図である。
【図3】 本発明の実施の形態1の動作を説明するための図である。
【図4】 本発明の実施の形態1の同期モータの起動時の電流波形を示す図である。
【図5】 本発明の実施の形態2の同期モータを示す構成図である。
【図6】 本発明の実施の形態2の動作を説明するための図である。
【図7】 本発明の実施の形態3の同期モータを示す構成図である。
【図8】 本発明の実施の形態4において、周波数の切替に伴いステップ状に変化させる電圧を説明した図である。
【図9】 本発明の実施の形態4において、インバータ出力電圧の周波数領域に応じて一の周波数の保持時間及び周波数の増加分を変化させる様子を説明した図である。
【図10】 本発明の実施の形態4において、周波数切替後、一旦、電圧を低下させてステップ状に上昇させる様子を説明した図である。
【符号の説明】
1 商用電源、 2 制御部、 3 参照信号入力部、 4 整流回路、 5インバータ、 6 駆動電源切替え部、 7 モータ、 8 鉄心(コア)、9 磁石。
Claims (10)
- 商用電源の周波数及び電圧を所定値に変換するインバータを備え、少なくとも起動時から所定時間、上記インバータにより同期モータの固定子の界磁用の巻き線の通電相を順次切替えることにより回転子を回転させて駆動する同期モータであって、
上記商用電源の一つの相の波形を参照信号とし、該参照信号の波形を基準として上記インバータの通電相切替え制御を行う制御部と、
通電開始から所定時間経過後、モータの駆動電源をインバータから商用電源に切替える駆動電源切替え部とを備えたことを特徴とする同期モータ。 - Nを整数の定数、mをN以下の整数の変数とし、上記制御部は起動時に、上記参照信号の周波数のN分のmの周波数で通電相を切替え、その後mの値を増加させていき、mの値が所定値に達した後はmの値を固定するよう制御することを特徴とする請求項1記載の同期モータ。
- 上記駆動電源切替え部は、通電相を切替える周波数が商用電源の周波数に達した後、駆動電源を商用電源に切替えることを特徴とする請求項1または2に記載の同期モータ。
- Nを2とし、起動時のmの値を1としたことを特徴とする請求項3記載の同期モータ。
- Nを3以上の整数とし、起動時のmの値を1、その後mの値がNと等しくなるまで1ずつ増加させることを特徴とする請求項3に記載の同期モータ。
- 上記参照信号の波形は正負の極値を有する波形であり、上記制御部は、この波形が正負の所定値に達する時間、および上記波形の微分値により上記通電相と通電相切替えの時間を制御することを特徴とする請求項1記載の同期モータ。
- 上記制御部は、通電相の周波数の切替えにともないインバータの出力電圧を段階的に上昇させるように制御することを特徴とする請求項2から6のいずれか1つに記載の同期モータ。
- 上記制御部は、通電相の周波数の切替えにともない上昇させたインバータの出力電圧を、次の通電相の周波数の切替え前に一旦降下させるように制御することを特徴とする請求項7記載の同期モータ。
- 上記制御部は、通電相の周波数の周波数領域に応じて、周波数の切替え間隔及び周波数の増加幅を変更するように制御することを特徴とする請求項2から6のいずれか1つに記載の同期モータ。
- 少なくとも起動時から所定時間インバータにより固定子の界磁用の巻き線の通電相を順次切替えて駆動して回転子を回転させる同期モータの起動方法であって、
上記通電相の切替えは、上記商用電源の一つの相の波形を参照信号として、該参照信号の波形を基準として行い、
Nを整数の定数、mをN以下の整数の変数としたとき、起動時に上記参照信号の周波数のN分のmの周波数で通電相を切替え、その後mの値を増加させた周波数で通電相を切替え、mの値が所定値に達した後はmの値を固定した周波数で通電相を切替え、
上記mの値が上記所定値に達した後、駆動電源を商用電源に切替えることを特徴とする同期モータの起動方法。
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