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JP4528364B2 - コークス炉におけるコークス押出しの際に発生する負荷の推定方法 - Google Patents

コークス炉におけるコークス押出しの際に発生する負荷の推定方法 Download PDF

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Description

本発明は、例えば水平室式コークス炉のコークス押出し時において、特に、炭化室の炉壁に突起部がある場合に装入炭の種類や乾留条件により決まるコークスケーキの性状を考慮して、押出しの際に発生する負荷を推定する方法に関する。
本願は、2008年10月30日に、日本国に出願された特願2008−279889号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
近年のコークス炉操業では、コークス品質及び生産性の向上を図るために炭化室内への石炭の装入(充填)密度が上昇する傾向にある。そのため、コークスを押し出す際に、炭化室の側壁(炉壁)にかかる荷重が上昇し、これにともないコークス押出し負荷も増加する傾向にある。
また、建設されて30年以上が経過して炉体の老朽化が進展し、炉壁の剛性が低下したコークス炉も増えている。このようなコークス炉では、コークス炉炭化室の炉壁面に変形や凹凸が生じている。これらの変形や凹凸の生じている箇所をコークスケーキが通過する際には、コークス押出し抵抗が増加し、炉壁にかかる荷重が上昇する。その結果、このコークス炉では、炉壁煉瓦の破孔や炉壁損壊等のトラブルが発生する虞が高くなっている。
より具体的には、老朽化が進展したコークス炉の炭化室では、その炉壁にカーボンが付着して突起部(凸部)が形成されたり、炉壁煉瓦が欠損してえぐれ部(凹部)が形成されたりしている場合も多く、炉壁表面の凹凸の度合いが増加している。突起部をコークスが通過する際、この突起部の押出し機ラム側の斜面から反力を受け、この反力に相当する荷重が炉壁に作用する。一方、えぐれ部(凹部)をコークスが通過する際、このえぐれ部(凹部)のコークガイド車側の斜面から反力を受け、この反力に相当する荷重が炉壁に作用する。これらの反力に相当する荷重が剛性の低下した炉壁に作用した場合、炉壁の損傷が生じる虞がある。
このような状況から、炭化室から乾留後のコークスケーキを押出すのに必要な力や炉壁に作用する荷重を事前に評価し、炉壁に過度の荷重が負荷されないようにすることがより一層重要になっている。
コークス炉の炭化室からコークスケーキを押出すのに必要な力は、コークスケーキを移動させるときの抵抗で決まる。その抵抗を決める大きな要因としては、(i)炉体側に起因する要因、及び、(ii)コークスケーキの特性に起因する要因、の二つが考えられる。
「炉体側に起因する要因」の主たるものは、炉壁の性状である。具体的には、炉壁煉瓦の凹凸、煉瓦表面の粗度、炉壁とコークスケーキとの摩擦係数、炉壁の強度(押出し時の炉壁の変位)などがある。
このうち、炉壁煉瓦の凹凸の影響が最も大きいと考えられる。特に、近年ではコークス炉の老朽化が進展し、コークス炉の炭化室では、上述したようにその炉壁にカーボンが付着して突起部が形成されている場合が多い。このカーボンの突起部が形成されている部分では、その分だけ炉幅(炉壁間距離)が狭くなっている(炉幅狭小部)。この炉幅狭小部をコークスケーキが通過する際には、突起部の押出し機側の斜面から反力を受ける。さらに、コークスケーキは、本来の炭化室幅よりも狭い部分を通過させることになるため、当然、通常よりも余分な力が必要となる。このように、突起部をコークスケーキが通過する時には、コークスケーキを押し出す際の抵抗が増大する。
特許文献2に開示されているように、コークスケーキの押出し圧は、コークス塊と炉壁との間の空隙(クリアランス)によって決まる側圧転化率の分だけ、炉壁を押す圧力として作用する。突起部の斜面から受ける反力や炉幅狭小部を通過させるために必要な力など、通常より余分な抵抗力が発生する場合には、これらの力に打ち勝つための余分な押出し力が必要となる。そのため、その抵抗力の程度に応じて、通常よりも大きな荷重(圧力)が炉壁に作用する。
この時、炭化室の炉壁に発生した側面荷重が炉壁の剛性より大きくなった場合には、炉壁煉瓦の破孔や炉壁の損壊等のトラブルが発生する可能性が極めて高くなる。従って、これらのトラブル発生を防止するためには、炉壁に形成された突起部が押出し負荷に与える影響を考慮して、コークス炉を操業する必要がある。そのためには、炉壁に突起部がある場合の押出し負荷を精度良く予測する方法を開発することが必要となっている。
本発明者らは、このような突起部の影響について、個々の突起部の形状や突起部の存在位置を数値化した「抵抗指数」が押出し力と良好に対応していることを見出し、先に特許出願(特許文献1参照)している。
一方、「コークスケーキの特性に起因する要因」には、コークス塊の強度や、水平焼減り量(率)、コークスケーキ内の空隙量(率)などがある。
炭化室に装入された石炭では、その乾留過程において、石炭の軟化溶融層が炉幅方向中央で会合した後に炉幅方向に収縮して、その体積が水平方向に減少する水平焼減りが生じる。このコークスの水平焼減りは、コークスの炉幅方向中央に生じる空隙量、および、炉壁とコークス塊との間に形成される空隙量(これらの空隙量の合計を以下「炉幅方向の全空隙量」という)と密接に関連している。コークスケーキを炭化室から押し出す際には、押出し機からコークスケーキに与えられた押出し力(圧)の一部が、側圧として炉壁面に加わる(例えば、非特許文献1参照)。この水平焼減り量が多くて炉幅方向の全空隙が大きいほど、コークスケーキの押出しに必要な力は少なくて済み、結果として、炉壁にかかる荷重(圧力)も低減される。
このため、炉壁に過度な荷重(圧力)が加わるのを防ぐことを目的として、上述のコークスの水平焼減り量(率)を推算し、炭化室炉壁とコークス塊との間の空隙量が所定値を下回らないように、乾留時間などの操業条件を調整する技術が、特許文献2、3に開示されている。
コークスケーキの乾留状態が同じならば、押出し負荷は炉壁表面の突起部の状況(形状、存在位置等)から定義される抵抗指数で良好に表記されることが特許文献1で開示されている。しかしながら、実際のコークス炉の操業では、装入炭の水分量や燃焼室フリュー温度の変動、移動機械の設備トラブルによる乾留時間の変動等があるため、コークスケーキの乾留状態を同じに保つことは極めて難しい。特に経年劣化したコークス炉では、炭化室の両側に配置された燃焼室にも同様に経年劣化が生じている可能性が高い。そのため、各コークス炉によって、石炭の乾留条件が異なっている場合がある。また、燃焼室は複数のガス供給口とエア供給口とがコークスの押出し方向に並んで配置された構成である。そのため、個々のガス供給口やエア供給口の劣化状態によっても、石炭の乾留条件が異なってしまう虞がある。すなわち、一つのコークス炉内においても、石炭の乾留条件が異なっている場合がある。
なお、特許文献3には、炉壁に付着したカーボンの厚みを考慮することが記載されているが、付着カーボンによる炉壁の突起部を問題にしたものではない。
特開2008−201993号公報 特開平8−283730号公報 特開2000−290658号公報 特開2005−249698号公報
Ironmaking Conference Proceedings」 AIME、1998年、1155−1159頁
前述のように、コークス押出し力に対する炉体側の要因の影響は、前記の抵抗指数により関係づけられているが、コークスケーキ側の要因も同時に関与する場合については、明確な指数が開示されていない。炉体側の要因によって石炭の乾留条件が変化した場合には、コークスケーキ側の要因が変動する虞があるため、特許文献1に記載の抵抗指数を用いて押出し力を推定しても、推定精度に問題が生じる虞がある。また、従来では、炉壁とコークス塊との間の空隙に着目しているが、実際のこの空隙量はおよそ数mm程度であるのに対し、コークスの炉幅方向中央の空隙量が数十mmとなっている。従って、精度よく押出し力を推定するためには、コークスの炉幅方向中央の空隙量がコークスの押出し力に与える影響も合わせて検討する必要がある。
本発明の目的は、装入炭の種類や乾留条件により決まるコークスケーキの性状と炉体側要因との双方の影響を含む条件で、押出し力と良好な対応関係にある指数を提示し、コークス押出し負荷の推定精度をさらに向上させることである。
突起部が形成されてその分だけ炉幅が狭くなった炉幅狭小部をコークスケーキが通過する際の押出し力は、突起部の厚みと、炉幅方向の空隙の合計量(炉幅方向の全空隙量)と、炉壁間距離との関係に支配されると考えられる。
そこで、本発明者らは、押出し負荷に対する突起部の厚みと炉幅方向の全空隙量と炉壁間距離との関係を調査した結果、コークスケーキが、この炉幅狭小部を通過する際の押出し負荷は、特定の指数によって表記できることを見出した。
そのような知見に基づく本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)本発明のコークス炉におけるコークス押出しの際に発生する負荷の推定方法は、コークス炉炭化室の炉壁に存在する突起部により前記炉壁間の距離が狭くなった炉幅狭小部をコークスケーキが通過する際の押出し負荷を、炉壁間距離L、突起部の厚みh、及び炉幅方向の全空隙量wをパラメータとして下記式(1)で定義する指数Qnを用いて評価し;前記全空隙量wが、前記コークスケーキ押出し方向左右の前記炉壁と前記コークスケーキとの間の空隙量と、前記コークスケーキの中央部にある空隙量と、を合わせた空隙量とする。
Qn=(h−w)/L ・・・(1)
(2)上記(1)の場合、側壁に異なる突起部の厚みhを持つ複数の突起部を装着可能な押出し負荷測定試験装置を用いて、側壁間距離L、突起部の厚みh、および、幅方向の全空隙量wの条件での押出し負荷を、前記突起部を交換しつつ複数回測定し、請求項1に記載の前記式(1)を用いて算出した前記Qnと実測した前記押出し負荷との相関関係Xを予め求めておく。そして、コークス炉炭化室の炉壁の突起部の厚みhと装入炭の種類や乾留条件から得られる炉幅方向の全空隙量wと炉壁間距離L1とから、請求項1に記載の式(1)を用いて前記コークス炉炭化室に関する指数Qnを算出し、前記相関関係Xと前記Qnとに基づいて、前記コークス炉炭化室の前記押出し負荷を求めるのが好ましい。
(3)上記(2)の場合、前記突起部の厚みhを、前記炉壁のプロファイル情報を積分することで算出するのが好ましい。
(4)上記(2)または(3)の場合、前記押出し負荷測定試験装置に配置されたコークスケーキを押し出す際に、前記コークスケーキの押出し方向とは逆の方向から所定の力を加えて、前記Qnと実測した前記押出し負荷との相関関係Xとを求めるのが好ましい。
(5)上記(2)または(3)の場合、前記押出し負荷測定試験装置に配置されたコークスケーキを押し出す際に、前記コークスケーキの上部から所定の力を加えて、前記Qnと実測した前記押出し負荷との相関関係Xとを求めるのが好ましい。
本発明のコークス炉におけるコークス押出し負荷の推定方法では、コークスケーキの押出し負荷に関与する要因である炉壁側の要因と、コークスケーキ側の要因とを同時に考慮して行なう。このため、炉壁の状態、装入炭の種類、及び乾留条件に対応した、コークス押出し力と炉壁に作用する押し圧(炉壁側圧)とを精度良く推定できる。
このため、コークス押出し負荷に基づいて推定される炉壁側圧が炉壁の耐圧限界を超えないように、コークス炉の操業条件や装入石炭の性状を管理できる。その結果、炉壁破孔等のトラブル防止が可能となる。また、炉壁のプロファイル情報に基づいて炉壁煉瓦の破孔に至る虞のある部位を精度良く推定でき、炉壁補修の優先順位を的確に定めることが可能となり、補修効率の向上を図ることができる。
その結果、コークス炉本体の寿命が延長できるだけでなく、コークス炉の操業が安定して行なえる。
また、本発明によれば、コークスの押出しに必要とされる力が推定できるため、コークスの押出しの可否が事前に判断できる。よって、コークスの押し詰め等のトラブルが減少するため、コークスの生産性向上という相乗効果が得られる。
コークス押出し負荷測定試験によって得られたQnと突起部の乗り越えに必要な力(コークス押力−反力)との関係の1例を示す図である。 コークス押出し負荷測定試験によって得られたQnとテラス面押圧との関係の1例を示す図である。 コークス押出し負荷測定試験によって得られたQnと(テラス面押圧/押出し圧)との関係の1例を示す図である。 コークス押出し負荷測定試験によって得られたQnと炉幅方向の全空隙量wとの関係の1例を示す図である。 本発明の実施形態で用いるコークス押出し負荷測定試験装置を示す正面図である。 図5Aで示したコークス押出し負荷測定試験装置の側面図である。 図5Aで示したコークス押出し負荷測定試験装置に用いた突起部の形状の一例を示す図である。 図5A〜5Cで示されるコークス押出し負荷測定試験装置を用いた押出し試験の測定結果の一例を示す図である。 炭化室内におけるコークスケーキに関わる空隙を説明するための図である。
以下、添付の図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
炉壁に付着カーボンによる突起部が形成されている炭化室から、石炭の乾留後にコークスケーキを押し出す場合、例えば図7に示すように、コークスケーキを構成する個々のコークス塊は、押出し機側からコークガイド車側に向かってその突起部9の押出し機側の斜面21を登坂し、テラス面22を通過する(乗り越える)必要がある。
突起部9のテラス面22と、それと相対する炉壁との間の距離が、突起部9より押出し機側にあるコークスケーキの炉幅方向の長さより狭小となると、この突起部9を通過するためには、炉壁面が平滑である場合に比べて、より大きな力が必要になる。その通過に必要な力は、突起部9の炉幅方向の厚み(突起部の厚みh)、炉幅方向の空隙の合計量(炉幅方向の全空隙量w)、及び、炉壁間距離Lに支配されると考えられる。
そこで、本発明者らは、後述する押出し負荷測定試験装置を用い、コークス押出し測定試験によって、押出し負荷に対する突起部の厚みhと炉幅方向の全空隙量wとの差の関係について鋭意調査した。その結果、コークスケーキが、突起によって炉壁間の距離が狭くなった炉幅狭小部を通過する際に必要な力(押出し力)は、次の式(1)で定義される指数Qnを用いて整理できることを見出した。
Qn=(h−w)/L ・・・(1)
ここで、炉幅方向の全空隙量wは、後述するように、装入炭の種類や乾留条件などで決まる値である。この炉幅方向の全空隙量wは、図7を参照すると、炭化室の炉壁26とコークス塊25との間の空隙23の量(炭化室両側の空隙量の合計)と、コークスケーキの炉幅方向中央の空隙24の量との合計量である。また、hは突起部9の厚み(炉幅方向)であり、Lは炭化室の炉壁26間距離(炉幅)である。
上記式(1)において、(h−w)を炉壁間距離Lで割るのは、炭化室の炉幅は、押出し機側(Pusher Side, PS)からコークガイド車側(Coke Side, CS)に向かって徐々に広がっているテーパー形状であるので、炭化室の炉長方向の位置による影響を反映できるようにするためである。また、炭化室の幅(平均炉幅)はコークス炉によって異なるため、その影響も考慮した結果である。このため、Qnは結果的に無次元数となる。
後述する押出し負荷測定試験装置(図5A〜5C参照)を用い、押出し負荷測定試験装置の側壁に種々の厚みの突起部9を取り付け、両側の側壁5と試験用コークス塊との空隙量、および、このコークス塊の炉幅方向中央の空隙量を変更して、試験用コークスケーキ2に押出し力とそれに対向する反力を付加しながら押出し負荷測定試験を実施した。この試験で得られた突起部9の通過に必要な力(コークス押力から反力を差し引いた値、すなわち突起部の乗り越えに必要な力)と指数Qnとの関係を、図1に示す。また、突起部9のテラス面22に作用する圧力(テラス面押圧)と指数Qnとの関係を、図2に示す。
図1に示すように、突起部の乗り越えに必要な力は、上記式(1)で示した指数Qnを用いた指数関数により、高い相関係数(R=0.87)で近似することができる。テラス面の押圧についても同様に、指数Qnを用いた指数関数により、高い相関係数(R=0.91)で近似することができる(図2)。
また、テラス面の押圧と押出し側のコークス面とに作用する圧力(押出し圧力)の比(側圧転化率)は、図3に示すように、指数Qnに対して直線的に変化することも分かった。これは、突起部9のテラス面局所でみた場合、ランキン係数にのったとして捉えることもできる。
突起部の乗り越えに必要な力と炉幅方向の全空隙量wとの関係を図4に示すが、図1に示したような良好な対応関係は得られない。このことより、炉幅方向の全空隙量wに突起部の厚みhと炉壁間距離Lとを考慮して相関関係を求めることの有効性が確認された。
以上のように、押出し負荷(突起部の乗り越えに必要な力、テラス面押圧、及び側圧転化率)は、炉体側の要因と、装入炭の種類や乾留条件などで決まるコークスケーキ側の要因とを考慮して定めた指数Qnを用いた式で精度良く推定できることが示された。
次に、コークス押出し力やその押出し力のときに炭化室側壁にかかる荷重を推定するのに必要な、炭化室炉壁の突起部の厚みhや炉幅方向の全空隙量wの求め方、および、指数Qnとコークス押出し力との関係を求めるための試験装置について説明する。
炭化室の炉壁面に形成されている突起部について、その形成位置や突起部の厚みhは、例えば、特許文献4に記載されているように、炭化室の炉壁面に対してレーザ距離計を移動させて実測することによって得ることができる。
近年のコークス炉の老朽化に伴い、炭化室の炉壁状態を把握することの重要性が増している。そのために、炭化室内の高さ方向および炉長方向の全域について炉壁のプロファイルを測定して、炉壁煉瓦の状態や炉壁に形成された凹凸の位置と形状を調査・計測することの重要性が増している。そのような調査や計測をするための装置は、上記特許文献4以外にも種々提案されている。本発明において突起部の形成位置や突起部の厚みh、その形状を測定する際には、そのような公知の手段を適宜用いることができる。
炉幅方向の全空隙量wは、例えば次のようにして求めることができる。
コークスを製造する際、配合される複数の原料炭の銘柄や配合割合、乾留時間などの操業条件によって、乾留時のコークスの収縮率は変化する。また、炭化室は一般的に炉長方向にテーパー形状であるため、石炭への加熱が一定となるように、燃焼室の燃焼温度が列内温度分布を有している。コークスの収縮率は温度によって変化するため、コークス炉のコークス押出し方向における位置によっても、乾留時のコークスの収縮率が変化する場合がある。
そこで、例えば、特許文献2に記載されているように、小型電気炉のような試験炉(例えば炭化室の大きさが、長さ1050mm×高さ900mm×幅450mm)を用いて乾留試験を行い、さまざまな石炭の装入条件において、さまざまな炉温における乾留時間と焼減り量との関係を予め求めておく。この試験で得られたそれらの関係から、実際の操業における炉幅方向のコークスの焼減量(収縮率)を求めることができる。
また、特許文献3に記載されているような次の方法によっても求めることができる。
コークスの収縮は、コークス炉内において軟化溶融層が消滅した後に開始される。この際に、コークスは、このコークス中の収縮中心に向けて収縮する。従って、この収縮によるコークスの体積の減少は、炭化室中心部でのコークスの収縮による体積の減少と、炉壁側でのコークスの収縮による体積の減少とに分配される。
コークスの収縮率(収縮係数)は、主に石炭の揮発分と温度とから定まる。例えば、C.Meyer,D.Habermehl and O.Abel : Gluckauf-Forshungshefte, 42(1981),233には、コークスの収縮係数が石炭の揮発分と温度との関数として表されている。このような当業者に公知の手法に基づいて、揮発分と温度とを与えることにより、コークス層の各部分の収縮率を求めることができる。その際、コークス層の各部分の温度は、シース熱電対等を用いて直接測定しても良いが、例えば、田代ら、富士製鐵技報、17(1968年)、353頁等に記載されているような公知の方法を用いて、1次元熱伝導モデルの計算によって推算することができる。
以上によって、コークス押出し時におけるコークスの炉幅方向各部分のコークス収縮率を求めたら、次に、これらの各部分のコークス収縮率に基づいて、炭化室炉幅方向の任意の位置が収縮中心となった場合の炉壁側のコークス収縮量を求める。更に、各収縮中心位置で求めた炉壁側のコークス収縮量の平均値をもって炉壁側のコークス収縮量とする。
例えば、コークス炉内での乾留の進行状況は、燃焼室が炭化室の両側に配されているため、炭化室内の炉幅方向中心部を境として左右対称と考えられる。従って、炭化室の片側半分を炉幅方向に10等分し、この10等分した位置と炭化室の両端とを含む11点について、それぞれの位置が収縮中心となった場合における炉壁側のコークス収縮量を求める。次いで、これら11点の炉壁側のコークス収縮量の平均値を求めることにより、炉壁側のコークス収縮量を求め、炉壁とコークス塊との間の空隙量を求めることができる。炉幅方向中央の空隙量に関しても同様に、炉幅方向中央側のコークスの収縮量の平均を求めることで、得られる。
次いで、コークス押出し負荷測定試験装置を用いたオフライン試験で、さまざまな厚みhの突起部が側壁面に存在する場合のコークス押出し力と側壁面にかかる荷重とを、側壁とコークス塊との間の空隙量と、幅方向中央の空隙量とを種々に変えた条件で求める方法について説明する。
図5A,5Bに示すコークス押出し負荷測定試験装置において、その基台14上には、一定の間隔を置いて一対の(コークスケーキの押出し方向に対して左右の)側面支持体7、7が対向して設置されている。また、コークスケーキの押出し方向前後には、一定の間隔を置いて一対の支持体15、16が対向して設置されている。一方の支持体15には、押出し用油圧シリンダ1が取り付けられ、他方の支持体16には反力付加用油圧シリンダ3が取り付けられている。
左右の側面支持体7、7間には、左右の側壁となる一対の側面パネル5、5がそれぞれ配置されている。また、対向する押出し用油圧シリンダ1と反力付加用油圧シリンダ3との間には、可動壁となる前パネル11と後パネル12(前後パネル11、12)とがそれぞれ配置されている。これら一対の側面パネル5、5と前後パネル11、12とにより、試験用のコークスケーキ2の押出し空間が形成される。
前後パネル11、12の下端部には、それぞれローラー20が取り付けられており、基台14上を円滑に移動できるようになっている。従って、後述する押出し荷重と受け側荷重とを測定する際に、前後パネル11、12と基台14との摩擦が減少し、得られる測定結果の精度が向上する。
押出し用油圧シリンダ1は、そのロッド先端のシリンダヘッド10によって前パネル11に押力を伝えるようになっている。反力付加用油圧シリンダ3も同様に、後パネル12に押力に対抗する一定の反力を伝えるようになっている。
実際のコークス炉では、炭化室からコークスケーキを押出す際には、PS(押出し機側)からCS(コークガイド車側)に行くにしたがってコークスケーキ内を伝達する力(押し圧)が減衰する。この炉長方向の位置による押し圧の違いを擬似的に再現するために、押出し用油圧シリンダ1を用いて、側面パネル5、5と前後パネル11、12によって囲まれたコークスケーキ2を押出すとき、反力付加用油圧シリンダ3による反力の大きさを変えるようにする。これにより、実際に押出されるコークスケーキ2の炉長方向の存在位置を任意に変えた条件で、押出し負荷測定試験を行うことができる。
押出し用油圧シリンダ1のシリンダヘッド10と前パネル11との間には、荷重検出手段としてロードセル(荷重変換器)17が設置されている。同様に、反力付加用油圧シリンダ3のシリンダヘッド10と後パネル12との間には、荷重検出手段としてロードセル(荷重変換器)17が設置されている。各ロードセル17、17によって、押出し用油圧リンダ1の押出し力と、反力付加用油圧シリンダ3が受ける受力とが検出される。
実際のコークス炉においては、炉壁面とコークス塊との間に空隙(図7の符号23)が存在する。この条件を再現するために、側面パネル5、5は、コークスケーキの押出し方向と垂直な方向に変位できるように、側面パネル支持用油圧シリンダ4、4で保持された中間可動壁6、6を介して設置される。
コークスケーキ2の押出し方向と垂直な方向における側面パネル5、5とコークスケーキ2との間隔は、コークスケーキ2の押出し方向の前後に設けられた位置検出器(側面用)8、8の測定値に基づいて、側面パネル支持用油圧シリンダ4、4によって中間可動壁6、6を移動させることにより適宜調整することができる。
中間可動壁6、6と側面パネル5、5との間には、側面パネル5、5が受ける荷重を測定するためのロードセル18、18が複数個設置されている。左右の側面パネル5、5が受ける荷重(受力)は、それぞれのロードセル18で測定される値の合計値として検出される。
側面パネル5、5は、コークス押出し時にコークスケーキ2と一緒にコークス押出し方向に移動する虞がある。それを防止するために、側面パネル5、5のコークス押出し方向の両端部に、ストッパやリニアモーションガイドなどの移動規制装置を取り付けても良い。
コークス炉炭化室の炉壁表面に存在する突起部が押出し負荷に与える影響を評価するために、一方の側面パネル5のコークスケーキ2と接触する面には、図5Cに示されるような突起部9が、例えば、ボルトなどの固定手段により取り付けられている。
突起部9の形状は、前記の方法で得られた実際のコークス炉の突起部の形状に合わせて設置される。その一例として、一部に楔型の斜面を有する台形型の突起部9を図5Cに示す。この突起部9は、押出し方向と平行なテラス面22と、それに連なる斜面21とにより構成される。突起部9の厚みhや斜面21の長さ、テラス面22の長さ、突起部9の形状、及び突起部9の表面状態等が異なる突起部9を複数用いてそれぞれ試験を行なうことにより、突起部9の形状の違いによる炉壁荷重への影響を定量的に評価することができる。
図5Cの例では、一例として、一部に楔型の斜面21を有する台形型の突起部9を示したが、液滴のような曲線を有する斜面や、波状の斜面等、実際のコークス炉の実態に合わせた形状の突起部を用いる。この場合においても、楔型の斜面21を有する台形型の突起部9と同様に、突起部9の乗り越えに必要な力等は、指数Qnを用いた関数により近似できる。
実際のコークス炉では、前述のように、コークスケーキの高さ方向に自荷重の分布が存在する。そのため、図5Bに示すように、コークスケーキ2の上部に荷重としての錘19を積載することによって、炭化室の高さ方向での突起部9の想定位置を変化させた状態にて測定が行なえる。コークスケーキ上に積載する錘19としては、例えば鋼板を用いることができる。この鋼板の厚みや重ねる枚数を変更することで、荷重の大きさを変えることができる。
基台14上に設けられた押出し用油圧シリンダ支持体15には、例えばレーザ距離計のような位置検出器13が取り付けられている。この位置検出器13は、コークス押出し時の前パネル11の移動距離を連続的に計測できるようになっている。
上記のように構成されたコークスケーキ押出し負荷測定試験装置においては、例えば小型電気乾留炉などで乾留して得られた所定サイズ(例えば、長さ600×高さ370×幅430mm)の試験用コークスケーキ2を、装置の側面パネル5、5及び前後パネル11、12で囲まれる空間に配置する。このとき、一方の側の側面パネル5には、あらかじめ所定の条件(実際のコークス炉で検出された形状等)を具備した突起部9を、図5Aのように取り付けておく。また、コークスケーキ2中央部の空隙量を測定しておく。
基台14上に配置されたコークスケーキ2を構成するコークス塊と側面パネル5、5との間の空隙量を、側面支持体7、7の前後に設けられた位置検出器8、8の表示に基づいて、中間可動壁6、6を移動させることにより所定の値に調整する。また、コークスケーキ2の上部には、実際のコークス炉炭化室の炉高方向における突起部9の位置を想定した重量の錘19を積載する。
次に、押出し用油圧シリンダ1を作動させてコークスケーキ2に押出し力を付与するとともに、反力付加用油圧シリンダ3によって一定の反力を作用させながら、コークスケーキ2の押出しを開始する。
押出しの開始後、コークスケーキ2は、(押出し力−反力)の力によって反力付加用油圧シリンダ3の方向に移動し、突起部9の斜面21を移動(登坂)し、最終的には突起部9のテラス面22に乗り上げるように移動する。
コークスケーキ2が突起部9を通過する際に、ロードセル17、18により、押出し力、反力、および、左右の側面パネル5、5にかかる力のそれぞれを連続的に測定する。
押出し用油圧シリンダ1により試験用のコークスケーキ2に押出し力を作用する際には、反力付加用油圧シリンダ3による反力が一定になるように油圧シリンダ3の油圧装置を制御する。上述したように、この一定とする反力の設定値を変更(この反力の設定値により押出し力も変化する)することにより、実際のコークス炉におけるコークスケーキ2の炉長方向の想定位置を変えることができ、炉長方向の任意の位置での炉壁にかかる荷重を評価することができる。
また、上述したように、コークスケーキ2の上部に積載する錘19の量を変えることにより、実際のコークス炉におけるコークスケーキ2の炉高方向の想定位置を変えることができ、炉高方向の任意の位置での炉壁にかかる荷重を評価することができる。
以上のような手順に従って、表1に示した条件でコークスの押出し試験を実施した。この試験で得られた押出し中の負荷プロファイルの一例を、図6に示す。
図6に示すように、試験用のコークスケーキ2の押出し開始後、押出し荷重と受け側荷重とが増加し、受け側荷重が反力付加用油圧シリンダ3の設定値(約1.9tonf)に到達した後は、受け側荷重がほぼ一定値を維持して推移した。
押出し用油圧シリンダ1側のシリンダヘッド10の移動距離が120〜130mm以降では、試験用のコークスケーキ2が突起部9の斜面21を登坂しはじめ、左右の側面荷重が増加し出した。
さらに押出しが進み、コークスケーキ2が突起部9のテラス面22と押出し方向左側の側面パネル5とで構成される炉幅狭小部に侵入するにつれて、押出し荷重と左右の側面荷重はさらに増加した。押出し距離(押出し用油圧シリンダヘッド移動距離)が概ね500mmになると、コークスケーキ2のほぼ全体が炉幅狭小部に詰め込まれた状態となり、押出し荷重と左右の側面荷重が共に最大になった。押出し距離が500mmになった際に各荷重が低下しているのは、試験用のコークスケーキ2の末端が、コークス押出し負荷測定試験装置から押し出され始めたからである。
このようなコークス押出し試験を、突起部の厚みh、側壁(側面パネル)とコークス塊との間の空隙量、及びコークスケーキ中央の空隙量を変えて実施し、それぞれの場合における押出し荷重と側面荷重とを測定した。その結果、前記の図1から図4が得られた。
図1〜4中の記号で、○は、側壁とコークス塊との間の空隙の初期値を5mm(両側合計)とし、コークスケーキ中央の空隙の初期値を14mmとし、突起部の厚みhを0〜50mmの範囲で変化させて試験を行なった場合の結果である。△は、突起部の厚みhを一定(30mm)として、幅方向(側面パネル間)の全空隙量wを変化させて試験を行なった場合の結果である。□は、突起部の厚みhを一定(30mm)とし、且つ、側壁−コークス塊間の空隙の初期値を0mm(両側合計)とし、コークスケーキ中央の空隙量を変化させて試験を行なった場合の結果である。●は、突起部の厚みhを一定(30mm)とし、且つ、コークスケーキ中央の空隙量の初期値を14mmとし、側壁−コークス塊間の空隙を変化させて試験を行なった場合の結果である。
さらに、以上のようなコークス押出し負荷測定試験を、反力付加用(受け側)シリンダ3による反力と、コークスケーキの上部に積載する錘19の荷重量と、をそれぞれ変えて系統的に行えば、種々の条件で存在する突起部に対応した指数Qnと、押出し力、テラス面押圧、及び、側圧転化率との関係を得ることができる。なお、上述の押出し負荷測定試験は冷間で行なった場合の結果を示したが、温間で行なった場合であっても、同様な結果が得られる。
以上説明したように、本発明では、まず、押出し負荷測定試験により、図1から図3に示したような、指数Qnと、押出し力(突起部の乗り越えに必要な力)、テラス面押圧、及び側圧転化率とのそれぞれの関係を予め求めておく。
次に、実際のコークス炉の炭化室炉壁面における突起部の存在位置とその厚みh、及びこの突起部がある箇所の炉壁間距離Lを、例えば、特許文献4に記載されているような手段によって求めておく。さらに、この突起部がある箇所の炭化室炉幅方向の全空隙量wを、例えば、特許文献3に記載されているような方法で推算しておく。
そして、以上のようにして求めた実際のコークス炉の突起部の厚みh、炉壁間距離L、及び炉幅方向の全空隙量wから、炭化室炉壁面に存在する突起部ごとに指数Qnを算出する。次いで、予め求めておいた指数Qnと押出し力、テラス面押圧、及び側圧転化率との関係に基づいて、算出したQnから炭化室炉壁面に存在する突起部ごとに押出し力、テラス面押圧、及び側圧転化率を推算する。本発明では、炉幅方向中央部のコークスケーキの空隙量も考慮して指数Qn、Qnを算出しているため、従来よりも精度良く押出し力、テラス面押圧、及び側圧転化率を推定できる。
このようにして得られた押出し力を基に、実際のコークス炉の炭化室からコークスケーキを押出すのに必要な力を推定する。具体的には、例えば、炭化室炉壁に突起部がなく、炉壁が健全な状態にあった時期の押出し力に、突起部により形成された炉幅狭小部をコークスケーキが通過するときに必要となる押出し力を上記のように求めて加算することで求めることができる。
更に、炉壁に複数の突起部が存在する場合、これらの突起部の乗り越えに必要となる押出し力を適宜合計していくことで、コークスケーキが通過するのに必要とされる合計の押出し力を精度良く推定できる。複数の突起部がある場合、コークスケーキの押出しの進行状況によって、このコークスケーキの押出しに影響を及ぼす突起部の数も変化してく。本発明では、個々の突起部についてコークスケーキの押出しに必要とされる力を推定できるので、このような場合であっても、必要とされるコークスケーキの押出し力を精度良く推定できる。
従来では、このように炉壁に突起部が複数ある場合、これら個々の突起部に関する押出し負荷について、全く評価する手段が無かった。これに対し、本発明によれば、上述のように個々の突起部に関する押出し負荷を精度よく推定して評価できるため、個々の突起部を乗り越えるのに必要とされる押出し力を算出することが可能となった。これにより、後述する種々の効果が得られる。
本発明は、コークスケーキの炉幅方向の全空隙量と突起部の厚さとを考慮して指数Qnを算出している。そのため、燃焼室の経年劣化や、炉壁の損傷等によって燃焼室のガス供給口や空気の供給口が塞がれ、これらガスや空気の供給量が変化し、その列内温度分布が変化して石炭の乾留にばらつきが生じるようになったコークス炉であっても、必要とされるコークスケーキの押出し力を精度良く推定できる。
以上の方法などで推定したコークス炉の炭化室からコークスケーキを押出すために必要な押出し力が、押出し機の能力(または操業上の管理値)を超えていると判断される場合や、炉壁面に存在する突起部のテラス面に作用する押圧の推定値が、この突起部のある炉壁の耐圧剛性限界を超えていると判断される場合は、例えば、炉幅方向のコークスケーキの収縮による炉壁とコークス塊との間の空隙を増加させるために、乾留時間を延長した条件で再度全隙間量を推算する。次いで、この隙間量に基づいて、押出し力やテラス面押圧の値を推定して、コークスケーキを押し出すために必要な押出し力の推定値が押出し機の能力(または操業上の管理値)を下回り、且つ、テラス面押圧の推定値が炉壁の耐圧限界を下回るように、コークス炉の操業条件を管理する。これにより、過度の押出し力が炉壁に加わるのが抑制され、炉壁の損傷等が生じ難くなる。
コークス押出し力の推定値が押出し機の能力(または操業上の管理値)を超えていない場合でも、その値が管理値に近い場合は、炉壁に対して大きな力が作用していて好ましくない。そのような場合であっても、本発明によれば、事前に速やかに装入炭の配合条件を変更して、炉壁とコークス塊との間の空隙量及び炉幅方向中央部のコークスケーキの空隙量を拡大するように調整・管理することが可能となる。
また、本発明によれば、突起部のテラス面の押圧の推定値が高い箇所については、炉壁煉瓦の破孔等のトラブルを未然に防止するために、補修作業を優先して実施する順位を的確に定めるといった判断を速やかに下すことが可能となり、補修効率の向上を図ることができる。
また、上述のようにコークスの押出しに必要とされる力が推定できるため、コークスの押出しの可否が事前に判断できる。よって、コークスの押し詰め等のトラブルが減少する。
以上述べたように、本発明では炭化室炉壁面に突起部が存在する場合に、コークス押出し力、テラス面押圧、及び側圧転化率を高精度に推定することができ、その知見に基づいて操業上の対策や補修作業を実施することにより、コークスの押出し力や炉壁押圧を低減することができる。その結果、コークスの押し詰まり、炉壁煉瓦の破孔、炉壁損壊等の操業上のトラブルを防止できる。よって、炉体寿命の延長が図れる他、操業トラブル発生の低減によるコークス生産量の増加、さらには、コークス押し詰め処置として、炭化室内のコークスを人力で掻き出すことが不要となり、作業負荷が低減するといった相乗効果も得ることができる。
本発明のコークス炉におけるコークス押出し負荷の推定方法によれば、コークスの押し詰まり、炉壁煉瓦の破孔、炉壁損壊等の操業上のトラブルを防止できる。さらに、炉体寿命の延長が図れる他、操業トラブル発生の低減によるコークス生産量の増加や作業負荷の低減といった効果も得られる。
1 押出し用油圧シリンダ
2 試験用のコークスケーキ
3 反力付加用油圧シリンダ
4 側面パネル支持用油圧シリンダ
5 側面パネル
6 中間可動壁
7 側面支持体
8 位置検出器(側面用)
9 突起部
10 シリンダヘッド
11 前パネル
12 後パネル
13 位置検出器(押出し用)
14 基台
15 押出し用油圧シリンダ支持体
16 反力付加用油圧シリンダ支持体
17、18 ロードセル
19 錘
20 ローラー
21 突起斜面
22 テラス面
23 炉壁−コークス塊間の空隙
24 コークスケーキ中央の空隙
25 コークス塊
26 炉壁
h 突起部の厚み
L 炉壁間距離
w 炉幅方向の全空隙量

Claims (5)

  1. コークス炉におけるコークス押出しの際に発生する負荷の推定方法であって:
    コークス炉炭化室の炉壁に存在する突起部により前記炉壁間の距離が狭くなった炉幅狭小部をコークスケーキが通過する際の押出し負荷を、炉壁間距離L、突起部の厚みh、及び炉幅方向の全空隙量wをパラメータとして下記式(1)で定義する指数Qnを用いて評価し;
    前記全空隙量wが、前記コークスケーキ押出し方向左右の前記炉壁と前記コークスケーキとの間の空隙量と、前記コークスケーキの中央部にある空隙量と、を合わせた空隙量とする;
    ことを特徴とするコークス炉におけるコークス押出しの際に発生する負荷の推定方法。
    Qn=(h−w)/L ・・・(1)
  2. 側壁に異なる突起部の厚みhを持つ複数の突起部を装着可能な押出し負荷測定試験装置を用いて、側壁間距離L、突起部の厚みh、および、幅方向の全空隙量wの条件での押出し負荷を、前記突起部を交換しつつ複数回測定し、請求項1に記載の前記式(1)を用いて算出した前記Qnと実測した前記押出し負荷との相関関係Xを予め求めておき、
    コークス炉炭化室の炉壁の突起部の厚みhと装入炭の種類や乾留条件から得られる炉幅方向の全空隙量wと炉壁間距離L1とから、請求項1に記載の式(1)を用いて前記コークス炉炭化室に関する指数Qnを算出し、
    前記相関関係Xと前記Qnとに基づいて、前記コークス炉炭化室の前記押出し負荷を求めることを特徴とする請求項1に記載のコークス押出しの際に発生する負荷の推定方法。
  3. 前記突起部の厚みhを、前記炉壁のプロファイル情報を積分することで算出することを特徴とする請求項2に記載のコークス押出しの際に発生する負荷の推定方法。
  4. 前記押出し負荷測定試験装置に配置されたコークスケーキを押し出す際に、
    前記コークスケーキの押出し方向とは逆の方向から所定の力を加えて、前記Qnと実測した前記押出し負荷との相関関係Xとを求めることを特徴とする請求項2または3に記載のコークス押出しの際に発生する負荷の推定方法。
  5. 前記押出し負荷測定試験装置に配置されたコークスケーキを押し出す際に、
    前記コークスケーキの上部から所定の力を加えて、前記Qnと実測した前記押出し負荷との相関関係Xとを求めることを特徴とする請求項2または3に記載のコークス押出しの際に発生する負荷の推定方法。
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