JP4517975B2 - 便器洗浄装置 - Google Patents

Description

本発明は、便器洗浄装置及び洗浄方法に関するものである。

便鉢の下部に連なる第１トラップ部と、この第１トラップ部の下流側の第２トラップ部と、便器洗浄時に第１トラップ部と第２トラップ部との間から排気してサイホン形成を早期化するための負圧発生用アスピレータとを設けた洋風便器設備が特開平１０−９６２５５号公報に記載されている。

特開２００２−６１２６２号には、便器洗浄に際し、トラップの頂部から空気を吸い出し、この空気をトラップの下降管路へ吐出するようにした便器の洗浄方法が記載されている。

特開平７−５４３８８号には、エゼクタで発生した負圧によってベローズを増容させ、このベローズ内ヘ排水流路内の空気を吸い込み、その後、このベローズ内の空気を排水流路に戻すことが記載されている。

特開平７−４２２１７号には、ロータンク内に、上端閉止筒状であって下端がロータンクと連通しているブースが配置され、該ブースが吸気管及びホースを介してトラップ下流の排水流路に接続された水洗便器が記載されている。この水洗便器において、洗浄時にロータンク内の水位が低下するとブース内が負圧となり、この負圧によって排水流路内の空気がブース内に吸引される。

この特開平７−４２２１７号の図７には、ブース内に配置された吸気管の上端に有蓋筒状のフロートが被せられた構成が図示されている。そして、非洗浄時はフロートの蓋部は吸気管の上端よりも上方に位置し、洗浄時にロータンク内の水位が低下し、これに伴いブース内の水位が低下すると、フロートが下降してフロートの蓋部が吸気管の上端を塞ぎ、その後に排水流路からブース内に水が逆流することが防止される。

また、この特開平７−４２２１７号の図８には、排水流路のホース接続部に開閉弁が設けられた構成が図示されている。この開閉弁は、非洗浄時にはスプリングによって該接続部から離隔されて開となっており、洗浄時に排水流路を流れる水によって該開閉弁が水圧を受けると、スプリングが収縮して閉となる。これにより、排水流路からブース内に水が逆流することが防止される。
特開平１０−９６２５５号公報 特開２００２−６１２６２号公報 特開平７−５４３８８号公報 特開平７−４２２１７号公報

上記特開平１０−９６２５５号公報及び特開２００２−６１２６２号公報では、排水流路から空気を吸い出すための配管に汚水が浸入し、汚れが固着して閉塞や臭気発生等の不具合をもたらすおそれがある。特開平７−５４３８８号公報においても、ベローズ内に汚れが溜り、不衛生である。また、ベローズの劣化を早め、耐久性を損ねるおそれがある。

上記特開平７−４２２１７号公報の図７のフロートでは、汚物が詰まり、ラバーカップ等を用いて詰まりを取り除く際、ロータンク内は満水状態になっている。このため、フロートは吸気管の上端に着座しておらず、汚水が排水流路からブース内に逆流する。

また、上記特開平７−４２２１７号公報の図８の開閉弁では、汚物が詰まり、ラバーカップ等を用いて詰まりを取り除く際、汚水の流速が小さい場合に開閉弁が作動せず、汚水が吸気管に流入する可能性がある。この際、汚水にトイレットペーパー等の固形物が混じっていると、この開閉弁の弁体に引っかかったりするなどして開閉弁の機能を損ね、その後の便器洗浄が機能しなくなるおそれがある。これらの場合、汚水が排水流路からブース内に逆流する。

本発明は、排水流路から空気を吸引排出するための負圧通路への汚水の浸入を防止するようにした便器洗浄装置を提供することを目的とする。

請求項１の便器洗浄装置は、便器の便鉢に便器洗浄水を供給する給水手段と、便器のトラップの下流側に連なる排水流路と、該排水流路から空気を負圧通路を介して吸引排出する吸排気手段とを有する便器洗浄装置において、該負圧通路に、該負圧通路の水位を検知して該排水流路から汚水が浸入することを防止するための汚水浸入防止手段を設けた便器洗浄装置であって、該汚水浸入防止手段は、汚水が流入するとフロート弁が浮上して閉弁するフロート弁装置であり、該フロート弁装置の下部が該負圧通路を介して該排水流路に連通しており、該フロート弁装置の内部にフロート弁支持体が設けられており、該フロート弁は該フロート弁支持体の上側を上下方向に遊動可能であることを特徴とするものである。

請求項２の便器洗浄装置は、請求項１において、前記吸排気手段は、前記排水流路の空気吸引箇所よりも下流側へ空気を排出するものであることを特徴とするものである。

本発明では、便器洗浄に際し、トラップ下流側の排水流路から空気を吸引排出するので、便鉢から排水流路へ流出するサイホン排出流が早期に形成される。

本発明では、負圧通路への汚水の浸入防止手段を設けているので、負圧通路に汚水が浸入して閉塞したり臭気を発生させたりすることが防止される。

上記の汚水浸入防止手段としては、汚水が流入するとフロート弁が浮上して閉弁するフロート弁装置が用いられる。このフロート弁装置は、構成が簡易であり、しかも汚水の浸入を確実に防止する。

以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。

第１図は実施の形態に係る便器洗浄装置を備えた洋風便器設備の模式図、第２図は第１図の便器洗浄装置の作動を説明するフロー図である。第３図〜第８図は、第１図の洋風便器設備が、それぞれ順に、非洗浄時、便鉢水位上昇工程、汚物排出工程、トラップ−サブとラップ間圧力の大気開放工程、覆水・負圧蓄積工程及び待機状態にあるときの作動状態を示す模式図である。なお、第３図〜第８図では、見易くするために第１図のうちの一部の図示を省略している。

陶器製の洋風便器本体１における便鉢２の上部内周にリム３が設けられている。便鉢２は、トラップ４、排水流路５及びサブトラップ６を介して排水口７と連通している。この排水流路５は、トラップ最高位部４ａから、下方に立ち下がってサブトラップ６に連なっている。排水口７は排水管に接続される。

このサブトラップ６は、該排水流路５の管壁下部の最低位部６ｂの下側を回り込み、次いで溢出用の最高位部６ａに到るＵ字状流路よりなる。このサブトラップ６の該最高位部６ａの高さは、該最低位部６ｂよりも若干高位となっており、便器の非使用時に該最低位部６ｂがサブトラップ６の封水中に没している。

ただし、該最低位部６ｂは、最高位部６ａよりも若干高位とされ、便器非使用時のサブトラップ６の封水面よりも若干上位に位置してもよい。このように最低位部６ｂが封水面よりも上位となっていても、排水流路５に負圧がかけられたり、サブトラップ６に水が流れ込んだりして水位が上昇したときには、該最低位部６ｂが封水中に浸り、排水流路５内と排水口７側とを封隔することが可能である。

上記リム３に対し給水管１０が接続されている。なお、この便器本体１は、リム３に対し便鉢後方側から右側又は左側３にのみ水が供給される片回り給水方式となっている。給水管１０より便鉢後方側から右側又は左側のリム３に向って水が前方に供給されると、便鉢２内に右回り又は左回りの旋回流が形成される。

この給水管１０には、上流側から順次に主弁Ｖ_１、調圧弁Ｖ_ＲＥＧ、水車１２を有する水車ユニット１１及びバキュームブレーカ１４が設けられている。

この主弁Ｖ_１は弁体のヘッド側に給水圧を印加して弁体を弁シート部に着座させて閉弁させると共に、このヘッド側の水圧を第１起動弁Ｖ_２又は第２起動弁Ｖ_７によって開放することにより開弁する水圧管制式の弁である。

この第１起動弁Ｖ_２の排水側は配管１８ａを介して主弁Ｖ_１と調圧弁Ｖ_ＲＥＧとの間に接続されている。第２起動弁Ｖ_７の排水側は配管１８ｂによって後述するケーシング５０内に連通している。第１起動弁Ｖ_２は、押すことにより開弁し、手を離すと閉弁する自閉弁よりなる。

該給水管１０の水車ユニット１１とバキュームブレーカ１４との間の位置から、エゼクタ給水弁Ｖ_４を備えた配管１５が分岐している。この配管１５の末端は、負圧蓄積用エアタンク２０内に配置されたエゼクタ２１の流入口に接続されている。

エゼクタ２１のスロート部に設けられた空気吸引口に、逆止弁２３を備えた空気吸引配管２２の基端が接続されている。該配管２２の先端はエアタンク２０の底面近傍に配置されており、エアタンク２０内に水が溜っても、エゼクタ２１の作動時にこの水を配管２２を介して吸引排出することが可能とされている。

上記逆止弁２３は、空気が空気吸引配管２２からエゼクタ２１へ流れることを許容し、これと反対方向へ空気が流れることを阻止するものである。

エゼクタ２１の流出口に配管１６の一端が接続されており、該配管１６の他端はエアタンク２０外に引き出され、フロート弁装置（排水流路５からの汚水の浸入防止手段）３０の上部の水用ポート３０ａに接続されている。このフロート弁装置３０の下部は配管３３を介して排水流路５の上部に連通している。フロート弁装置３０の構成については後述する。

エゼクタ２１は通水方向を上向きとして設置されており、前記配管１５はエゼクタ給水弁Ｖ_４から立ち下ってエゼクタ２１の下端の流入口に連なっている。前記配管１６は、エゼクタ２１の上端の流出口に連なって上方に立ち上っている。これらの配管１５、エゼクタ２１及び配管１６により、略Ｕ字形のトラップが構成されている。このトラップは、配管１６から配管１５側への水の流れを阻止する機能を有する。

エアタンク２０の上部に負圧伝達用の配管２４が接続されており、該配管２４は開閉弁Ｖ_５及び配管２５を介してフロート弁装置３０の上端部の負圧用ポート３０ｂに接続されている。

フロート弁装置３０内の下部にはフロート弁支持体３２が設けられており、このフロート弁支持体３２の上側に上下方向に遊動可能なフロート弁３１が配置されている。フロート弁３１が支持体３２上に載っているときには、前記ポート３０ａ，３０ｂは配管３３を介して排水流路５に連通している。配管３３を介して排水流路５から水がフロート弁装置３０内に流入してきたときには、このフロート弁３１はこの水に乗って上昇し、ポート３０ｂに下側から着座して該ポート３０ｂを塞ぎ、汚水がフロート弁装置３０よりもエアタンク２０側の配管２５へ浸入することを阻止する。

このように、この実施の形態では、配管２４，２５，３３によって負圧通路が構成され、この負圧通路の途中に開閉弁Ｖ_５が設けられ、それよりも排水流路５側に汚水浸入防止手段としてのフロート弁装置３０が設置されている。

配管２５の途中部分から配管２６が分岐しており、この配管２６の末端がサブトラップ６よりも下流側（排水口７の近傍）に接続されている。この配管２６に開閉弁Ｖ_６が設けられている。

前記エゼクタ給水弁Ｖ_４は弁体のヘッド側に給水圧を印加して弁体を弁シート部に着座させて閉弁させると共に、このヘッド側の水圧を起動弁Ｖ_８によって開放することにより開弁する水圧管制式の弁である。この起動弁Ｖ_８は配管３５によって該エゼクタ給水弁Ｖ_４のヘッド側に連通している。

前記主弁Ｖ_１の管制用の第２起動弁Ｖ_７と、このエゼクタ起動弁Ｖ_８と、前記開閉弁Ｖ_５，Ｖ_６とは、いずれもカム駆動式となっており、共通のカムシャフト４０に固着されたカム４１，４２，４３，４４とカムロッド４１ａ，４２ａ，４３ａ，４４ａとによって作動される。このカムシャフト４４は、前記水車ユニット１１内の水車１２に対し歯車列４５を介して連結されている。また、このカムシャフト４０には手動レバー４６が固着され、手動によっても回動可能とされている。

起動弁Ｖ_７，Ｖ_８を囲むようにケーシング５０が設けられている。起動弁Ｖ_７，Ｖ_８からの排水は、該ケーシング５０から配管５１を介してリム３へ排出される。

このように構成された洋風便器設備の作動について次に説明する。

［非洗浄時（第３図）］
第２図において、ｔ_１時点よりも前の非洗浄時には、主弁Ｖ_１及び主弁用の第１，第２起動弁Ｖ_２，Ｖ_７は閉弁している。

この状態では、エゼクタ起動弁Ｖ_８が開とされており、エゼクタ給水弁Ｖ_４も開となっている。ただし、給水管１０には通水されていないので、エゼクタ２１は停止している。

この状態では、開閉弁Ｖ_５は閉弁しており、エアタンク２０内が密閉されている。従って、後述する覆水・負圧蓄圧工程においてエアタンク２０内に蓄圧された負圧がそのまま保持されている。

また、この状態では、開閉弁Ｖ_６は開弁している。開閉弁Ｖ_６が開弁しているため、排水流路５は排水管内と連通し、通常は大気圧となっている。

［便鉢水位上昇工程（第４図）］
用便後、便器使用者によって第１起動弁Ｖ_２又は手動レバー４５が操作される。

説明の便宜上、ここでは第１起動弁Ｖ_２が操作された場合について説明する。

起動弁Ｖ_２が操作されたときには、主弁Ｖ_１のヘッド側の水圧が起動弁Ｖ_２を介して主弁Ｖ_１の下流側へ抜け、主弁Ｖ_１が開弁する。これにより、給水管１０から洗浄水がリム３に供給され、便鉢２の内面に沿って旋回しながら流れ落ち、便鉢２内に旋回流が形成される。このとき、便鉢２内の水の一部はトラップ最高位部４ａを溢流して流出するが、リム３からの流入水量の方が多いので、便鉢２内の水位が上昇する。この旋回流により、固形排泄物が便鉢の中央側に集められると共に、ペーパーがほぐれて水となじみ、水中に分散するようになるので、後にサイホン排出流が形成されると、排泄物及びペーパーがスムーズに排出される。なお、トラップ最高位部４ａを溢流した水はサブトラップ６に溜まる。このため、乾燥等によってサブトラップ６内の水位が低下していた場合にあっても、この溢流水によってサブトラップ６内の水位が上昇する。これにより、後述するサイホン排出流の形成が容易になる。

また、給水管１０内に洗浄水が流れると、水車ユニット１１内の水車１２が回転し、歯車列４５を介してカムシャフト４０が水車１１の回転よりも減速して回転する。

カムシャフト４０の回転に伴ってカム４２，４３，４４も回転し、弁Ｖ_８，Ｖ_５，Ｖ_６が所定のタイミングで開弁する。

この開弁や閉弁のタイミングについて第２図を参照して説明する。

ｔ_１時点でカムシャフト４０の回転が開始すると、直ちに主弁用の第２起動弁Ｖ_７が開弁する。そのため、第１起動弁Ｖ_２から手を離して該第１起動弁Ｖ_２が閉弁した後も、主弁Ｖ_１のヘッド側には水圧がかからず、主弁Ｖ_１は開のままとなる。なお、主弁Ｖ_１は、後述の通り、第２起動弁Ｖ_７が閉となるまで開のままである。

主弁Ｖ_１の開の後、所定時間は便鉢２内の水位が上昇すると共に鉢面が洗浄され、また、前述の通り旋回流が形成される。

このとき、エゼクタ起動弁Ｖ_８が開のままでありエゼクタ給水弁Ｖ_４も開となっているので、給水管１０に水が流れるとエゼクタ２１にも水が流れて負圧が発生し、この負圧によってエアタンク２０内に負圧が蓄積される。なお、エゼクタ２１の排出水は、配管１６、フロート弁装置３０を介して排水流路５へ排出される。このときのエゼクタ排水により、フロート弁装置３０内及び配管３３が水洗いされる。また、このエゼクタ排水は、排水流路５を通ってサブトラップ６内に溜まり、これによりサブトラップ６内の水位が上昇する。

所定時間が経過した時点ｔ_２になると、エゼクタ起動弁Ｖ_８が閉となり、エゼクタ給水弁Ｖ_４が閉となる。これにより、給水管１０を通る水のすべてが便鉢２へ供給されるようになる。

このｔ_２と同一又は近接した時点ｔ_３に達すると、開閉弁Ｖ_６が閉とされ、排水流路５と排水口７側との配管２５，２６を介した連通が遮断され、排水流路５が閉空間となる。

［汚物排出工程（第５図）］
ｔ_４の時点に達すると開閉弁Ｖ_５が開放する。これにより、エアタンク２０内の負圧が配管２４，２５、フロート弁装置３０及び配管３３を介して排水流路５に伝達され、排水流路５内が減圧される。このとき、便鉢２内の水位は第１図のΔＨで示されるように十分に高くなっており、トラップ最高位部４ａとの間の水頭差ΔＨが十分に大きなものとなっている。このため、便鉢２内の汚水は、この水頭差ΔＨと排水流路５内の負圧との重畳した付勢力によりトラップ４から排水流路５へ勢いよく排出され、トラップ４及び排水流路５内に強力なサイホン排出流が形成される。

このように、本工程では負圧蓄圧のためにエゼクタ２１に水を供給する必要がないため、給水管１０を通るすべての水が便鉢２へ供給される。このため、便鉢２内の水位が十分に大きなものとなり、強力なサイホン排出流が形成される。また、前記便鉢水位上昇工程で予めエアタンク２０内に十分に負圧が蓄積され、この負圧が本工程で排水流路５に伝達されるため、排水流路５内が瞬間的に減圧され、早期にサイホン排出流が形成される。

なお、排水流路５内の汚水がフロート弁装置３０内に吸引された場合、フロート弁３１が浮力によって上昇し、ポート３０ｂを閉止する。これにより、排水流路５内の汚水が配管２５やエアタンク２０内に逆流することが防止される。また、汚水で汚染されたフロート弁装置３０の内面は、前述の通り、エゼクタ２１の動作時にエゼクタ排出水により水洗いされる。

この汚物排出工程の末期の時点ｔ_５になると、開閉弁Ｖ_５が閉弁し、エアタンク２０からの負圧伝達が停止される。

［トラップ−サブトラップ間圧力の待機開放工程（第６図）］
その後、ｔ_５’の時点になると、開放弁Ｖ_６が開となり、トラップ４とサブトラップ６との間が排水口７と連通し、このトラップ４とサブトラップ６との間が大気圧に戻る。これにより、後述する覆水・負圧蓄積工程において、便鉢２、トラップ４及びサブトラップ６への覆水・封水を安定して行うことができる。

［覆水・負圧蓄積工程（第７図）］
その後、ｔ_６の時点になると、エゼクタ起動弁Ｖ_８が開とされ、これによりエゼクタ給水弁Ｖ_４が開とされる。また、開閉弁Ｖ_６が開とされる。このｔ_６の時点では便鉢２内の汚水はほぼ全量が排出されており、汚水と空気とが混合して所謂ゴボゴボと音をたてて排水流路５に向って流れている。このとき、開閉弁Ｖ_５が閉とされているので、エアタンク２０へ排水流路５から大気が流入することがなく、エアタンク３０内の負圧の無駄な消費が回避される。

ｔ_６の時点で開閉弁Ｖ_６が開とされることにより排水流路５の負圧が解消し、便鉢２からの排水も停止する。このとき、主弁Ｖ_１、給水管１０を介してリム３への給水が継続しているので、便鉢２内に徐々に水が溜まり、覆水が行われる。便鉢２内の水位は、トラップ最高位部４ａと同水位まで上昇する。

なお、ｔ_６の時点でエゼクタ給水弁Ｖ_４が開となることにより、エゼクタ２１が起動し、エアタンク２０内に再び負圧が蓄積される。また、エゼクタ２１の排出水によってフロート弁装置３０及び配管３３内が水洗いされる。

［待機状態（第８図）］
ｔ_７の時点になると、主弁用第２起動弁Ｖ_７が閉となり、これに追従して主弁Ｖ_１が閉となり、給水管１０の通水が停止する。これにより、便器洗浄装置は待機状態となる。

給水管１０の通水停止に伴って、エゼクタ２１への通水も停止する。エゼクタ２１のスロート部とエアタンク２０との間には逆止弁２３が設けられているので、停止したエゼクタ２１からエアタンク２０内へ大気が流入することはなく、エアタンク２０内に蓄積された負圧がそのまま維持される。

なお、ｔ_７の時点になってもエゼクタ給水弁Ｖ_４、開閉弁Ｖ_６は開のままであり、この状態が次回の便器洗浄（第１起動弁Ｖ_２の操作）まで継続する。

＜手動ハンドル時の動作＞
上記の動作説明は主弁用第１起動弁Ｖ_２を操作した場合であるが、手動ハンドル４６を操作した場合にも同様の一連の動作が行われる。この場合、主弁用第１起動弁Ｖ_２は閉のままである。主弁Ｖ_１は第２起動弁Ｖ_７の開閉に追従して開閉する。その他の弁Ｖ_４〜Ｖ_６，Ｖ_８の動作順序は第２図と同一である。

＜ｔ_１とｔ_４との時間差＞
主弁Ｖ_１が開となり、リム３へ給水が開始される時点ｔ_１と、排水流路５内を吸引開始する時点ｔ_４との時間差は３〜２０秒特に７〜１５秒程度が好ましい。このようにｔ_１〜ｔ_４の間隔を時間差で設定する代りに、リム３への給水量で設定してもよい。

＜別効果＞
上記のフロート弁装置３０を設けたことにより、便器が詰まったときにラバーカップを用いて詰まりを取り除くことが可能であり、このラバーカップは、柄の先に椀形のゴムカップを設けたトイレ用品の一種である。このゴムカップを便鉢２の底部のトラップ入口部分に当てがい、柄を押すと、ゴムカップ内の水がトラップ側へ押し込まれ、トラップ４や排水流路５あるいはサブトラップ６内の閉塞物を排水管へ押し流すことができる。

ラバーカップを押したときに排水流路５内の汚水が上記フロート弁装置３０内に入り込むが、この際フロート弁３１がポート３０ｂを塞ぐので、汚水はそれ以上フロート弁装置３０内に入り込むことがなく、ラバーカップからの水圧によってトラップ４内等の水圧を高め、閉塞物を排水管へ排出させることが可能となる。

＜別態様＞
第９図（ａ）は別の実施の形態に係る洋風便器設備の非洗浄時における状態を示す断面図、第９図（ｂ）は第９図（ａ）の洋風便器設備の洗浄時における状態を示す断面図である。

陶器製の洋風便器本体６１における便鉢６２の上部内周にリム６３が設けられている。便鉢６２の下部にトラップ６４が設けられている。このトラップ６４は第１排水流路６５を介してサブトラップ６６と連通している。この第１排水流路６５は、該トラップ６４から斜め上方に立ち上る上昇部と、該上昇部に連なり、下方に立ち下がってサブトラップ６６と連なる立下部とからなる。

このサブトラップ６６は、第２排水流路６７を介して排水口６８と連通している。このサブトラップ６６は、該第１排水流路６５の管壁下部の最低位部６６ｂの下側を回り込み、次いで溢出用の最高位部６６ａに到るＵ字状流路よりなる。このサブトラップ６６の該最高位部６６ａの高さは、該最低位部６６ｂよりも若干高位となっている。

便器本体６１のリム６３に対し、洗浄制御弁Ｖ_１１を備えた給水管７０が接続されている。この給水管７０の洗浄制御弁Ｖ_１１より上流側から、分岐管７１が分岐している。この分岐管７１は、逆Ｕ字形状に立ち上がるＵ字管７２及びエゼクタ給水弁Ｖ_１２を介してエゼクタ８０に接続されている。エゼクタ８０の水の排出口は配管７３を介して第２排水流路６７に接続されている。Ｕ字管１２は、第２排水流路６７の排水が給水管７０側に逆流するのを防止するためのものである。

このエゼクタ８０は、給水管７０からの給水が分岐管７１を介して上流端（作動流体導入口）に導入され、下流端（排出水流の流出口）からの排出水流がサブトラップ６に流出するように取り付けられている。

エゼクタ８０のスロート部に設けられた空気吸引口７０ａに、負圧通路８１の一端が接続されている。この負圧通路８１の他端は、第１排水流路６５の上部６５ａに接続されている。

本実施の形態に係る洋風便器設備は、負圧通路８１の途中にエアタンク８５が設けられている。該エアタンク８５と第１排水流路６５との間の負圧通路８１に、負圧伝達弁Ｖ_１３が設けられ、該エアタンク８５とエゼクタ８０との間の負圧通路８１に、流体がエアタンク８５からエゼクタ８０へ流れることを許容し、これと反対方向へ流れることを阻止する逆止手段としての逆止弁Ｖ_１４が設けられている。

この負圧伝達弁Ｖ_１３と第１排水流路６５との間にフロート弁装置３０Ａが設置されている。このフロート弁装置３０Ａは、ポート３０ａを省略したほかは第１図のフロート弁装置３０と同一構成のものである。

洗浄制御弁Ｖ_１１、エゼクタ給水弁Ｖ_１２及び負圧伝達弁Ｖ_１３は、それぞれ弁制御手段９０によって開閉制御される。この弁制御手段９０は、本実施の形態では、便器本体６１の後部上面に載置された便座ボックス（図示略）内に配置されている。

このように構成された洋風便器設備の作動について次に説明する。

［非洗浄時］
非洗浄時には、洗浄制御弁Ｖ_１１，エゼクタ給水弁Ｖ_１２及び負圧伝達弁Ｖ_１３が閉弁されている。

［洗浄時］
１．負圧タンク内への負圧蓄積
便器使用者により洗浄スイッチが操作されると、第９図（ａ）の通り、弁制御手段９０が先ずエゼクタ給水弁Ｖ_１２を開弁する。これにより、エアタンク８５内の空気がエゼクタ８０に吸引され、エアタンク８５内が負圧となる。なお、逆止弁Ｖ_１４が設けられているので、エゼクタ８０への通水が停止されても、エアタンク８５内には負圧が蓄積されたままとなる。

２．便器洗浄
次いで、第９図（ｂ）の通り、弁制御手段９０がエゼクタ給水弁Ｖ_１２を閉弁すると共に、洗浄制御弁Ｖ_１１及び負圧伝達弁Ｖ_１３を開弁する。この洗浄制御弁Ｖ_１１の開弁により、給水管７０からリム６３を介して便鉢６２に給水され、リム洗浄が行われる。また、負圧伝達弁Ｖ_１３の開弁により、第１排水流路６５の空気がエアタンク８５内に吸引され、サイホン作用が迅速かつ強力に発生する。

なお、負圧伝達弁Ｖ_１３よりも排水流路６５側にフロート弁装置３０Ａが設けられているので、該排水流路６５内の汚水がフロート弁装置３０Ａよりもエアタンク８５側へ浸入することが防止される。

上記のように形成されたサイホン排出流により、便鉢６２内の汚水が第２排出流路７へ排出される。やがて、便鉢６２内の汚水の大部分が排出され、トラップ６４のサイホンがブレークされる。その後、リム６３からの水により便鉢６２の底部に水が徐々に溜まる。

３．停止
そこで、弁制御手段９０が洗浄制御弁Ｖ_１１を閉弁し、洗浄が終了する。リム６３内に残っていた水が便鉢６２内に流れ込んで十分な溜水面が形成される。

この実施の形態では、第１排水流路６５からエアタンク８５に吸い出された空気は、次回の便器洗浄時の負圧タンク内負圧蓄積工程においてサブトラップ６６側へ排出される。

なお、本実施の形態では、リム洗浄時に第９図（ｂ）の通り、洗浄制御弁Ｖ_１１と負圧伝達弁Ｖ_１３を同時に開弁したが、負圧伝達弁Ｖ_１３を若干早く開弁してトラップ４内を早期に吸引してサイホン形成を早めるようにしてもよい。逆に、洗浄制御弁Ｖ_１１を早く開弁し、リム洗浄、及び溜水面の上昇を行ってもよい。

本実施の形態では、リム洗浄時に、逆流防止のためにエゼクタ給水弁Ｖ_１２を閉弁したが、開弁のままとしてもよい。

本実施の形態では、洗浄スイッチの操作信号を受けてエゼクタ給水弁Ｖ_１２を開弁させてエゼクタ８０の起動を行っているが、人体検知センサや着座センサによって使用者を検知すると弁Ｖ_１２を開弁させてエゼクタ８０を起動させるようにしてもよい。

なお、第２図において、逆止弁Ｖ_１４を省略してもよい。この場合、便器洗浄に際し、先ずエゼクタ給水弁Ｖ_１２を開弁し、エゼクタ８０の吸引力によってエアタンク８５内を負圧にする。次いで、負圧伝達弁Ｖ_１３及び洗浄制御弁Ｖ_１１を開弁し、第１排水流路６５内に水を流すと共に第１排水流路６５内の空気をエアタンク８５に吸引させ、サイホン排出流を発生させる。

本実施の形態は本発明の一例であり、本発明は上記実施の形態に何ら限定されない。例えば、排水流路５，６５から空気を吸引排出する吸排気手段の負圧源を電動式真空ポンプなどエゼクタ以外のものとしてもよい。

上記実施の形態はサイホン式洗浄であるが、サイホンジェット式洗浄としてもよい。

実施の形態に係る洋風便器設備の模式図である。 第１図の洋風便器設備の作動を説明するフローである。 非洗浄時における第１図の洋風便器設備の作動を説明する模式図である。 便鉢水位上昇工程における第１図の洋風便器設備の作動を説明する模式図である。 汚物排出工程における第１図の洋風便器設備の作動を説明する模式図である。 トラップ−サブトラップ間圧力の大気開放工程における第１図の洋風便器設備の作動を説明する模式図である。 覆水・負圧蓄積工程における第１図の洋風便器設備の作動を説明する模式図である。 待機状態における第１図の洋風便器設備の作動を説明する模式図である。 第９図（ａ）は異なる実施の形態に係る洋風便器設備における負圧タンク内を負圧にする過程を示す断面図、第９図（ｂ）はリム洗浄時の状態を示す断面図である。

符号の説明

１，６１ 便器本体
２，６２ 便鉢
３，６３ リム
４，６４ トラップ
５，６５ 排水流路
６，６６ サブトラップ
７，６８ 排水口
１０，７０ 給水管
１１ 水車ユニット
２０，８５ エアタンク
２１，８０ エゼクタ
３０，３０Ａ フロート弁装置
４０ カムシャフト
４１，４２，４３，４４ カム

Claims (2)

1. 便器の便鉢に便器洗浄水を供給する給水手段と、
   便器のトラップの下流側に連なる排水流路と、
   該排水流路から空気を負圧通路を介して吸引排出する吸排気手段とを有する便器洗浄装置において、
   該負圧通路に、該負圧通路の水位を検知して該排水流路から汚水が浸入することを防止するための汚水浸入防止手段を設けた便器洗浄装置であって、
   該汚水浸入防止手段は、汚水が流入するとフロート弁が浮上して閉弁するフロート弁装置であり、
   該フロート弁装置の下部が該負圧通路を介して該排水流路に連通しており、
   該フロート弁装置の内部にフロート弁支持体が設けられており、該フロート弁は該フロート弁支持体の上側を上下方向に遊動可能であることを特徴とする便器洗浄装置。
2. 請求項１において、前記吸排気手段は、前記排水流路の空気吸引箇所よりも下流側へ空気を排出するものであることを特徴とする便器洗浄装置。

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