JP4515387B2 - 糖鎖構造プロファイリング技術 - Google Patents
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Description
質量分析機を用いた解析では質量の値は得ることができるが、質量だけからでは種々の構造異性体(アノマー異性体、エピマー異性体、ジアステレオマー異性体、結合異性体、位置異性体)の差異(α,βの区別、単糖の種類等)を見分けることが出来ないという、本質的な難点がある。
酵素消化法と2Dマッピングを組み合わせた方法ではすべての糖鎖構造に対する酵素が揃っているわけではなく、また2つのカラムを用いて分析を行うため、手間や時間がかかるという欠点があった。またこの方法では、2種類のカラムでの溶出位置が同じかあるいは非常に近い複数の糖鎖について、構造を区別することができない。
酵素消化によって構造決定する方法は、時間のかかる酵素反応とクロマトグラフィーによる反応生成物の分析と回収操作を繰返す必要があり、多大な労力と、時間を必要とするという欠点を持っている。
レクチンは糖に結合するタンパク質として100年以上前から知られており、糖タンパク質や細胞上に発現した糖鎖等の検出などに用いられてきた。フロンタルアフィニティークロマトグラフィー(以降FAC)は解析対象を固定化したカラム担体に対し、一定濃度のアフィニティーリガンドを流し続けた際におこる溶出前端の変化が、カラム内でのリガンドとの相互作用の強さと相関することを利用した、定量的相互作用測定法である。
本発明者らはこのFACをHPLCと融合させ大幅なダウンサイジングを図ることにより、従来難しかったリガンド試料と解析対象試料の微量化、測定時間の大幅な短縮を可能とした。また検出に蛍光検出器を用いることで、大幅な感度の向上が達成されるだけでなく、多くの市販品も含めたピリジルアミノ化糖鎖(以降PA糖鎖)を利用した網羅的解析が可能となり、誰もが多数の糖鎖ライブラリーを手軽に利用できるようになった。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、今まで煩雑な操作と多量の試料量を必要とした糖鎖構造解析を、FAC装置やマイクロアレイスキャナー装置等の相互作用高速解析装置を利用して得られる糖鎖の持つ固有の相互作用と相互作用対照データ中の特定の相互作用を照合することで、極微量の糖鎖試料からその構造を迅速かつ高精度に同定、又は類推する方法(以下糖鎖構造プロファイリングと呼ぶ)を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意研究を行った。すなわち、上述のFACシステムの更なるダウンサイジングとカラムの並列化、実験操作・データ解析の完全な自動化を達成し、FAC解析の精度を高く保ちながらスループットを大幅に向上させることに成功した。その結果、本発明者らは各レクチンの特異性は今まで知られていた以上に相互に異なっており、それぞれが糖鎖構造中の極めて微小な差異を異なる親和力によって認識することを見いだした。そこで、各レクチンの高親和力から低親和力に至る幅広い識別力を有効に利用することで、比較的限られた数(たとえば10数種類)のレクチンであっても、それらの特異性が十分異なれば、各糖鎖との定量的相互作用情報、より具体的にはそれぞれのレクチンと糖鎖間の親和力の強弱パターンを総合的に比較することで、レクチンの数を遥かに凌ぐ数の糖鎖構造を相互識別できると判断した。従って、糖鎖−レクチン間の相互作用情報をより大量に集めた相互作用対照データを参照・利用することによって、被検糖鎖の構造の同定や類推が従来より遥かに容易に、かつ精度高く達成可能となる。さらに、本手段を用いることで、各糖鎖構造を特徴付ける修飾構造(α2−3シアル酸・α2−6シアル酸・α1−3ガラクトース・α1−6フコース・バイセクトN−アセチルグルコサミンなど)の有無に関する情報も容易に、かつ精度高く取得可能となる。
すなわち本発明は、糖鎖構造のプロファイリングを行う方法・システムに関し、以下の〔1〕〜〔11〕を提供するものである。
〔1〕糖鎖構造を分析する方法であって、
(a)糖鎖に相互作用を示す種々のタンパク質がそれぞれ固定化された並列化カラムを有するFAC装置に、蛍光標識した被検糖鎖を導入する工程、
(b)それぞれの糖鎖に相互作用を示すタンパク質に対する被検糖鎖の相互作用を測定する工程を含み、
測定されたそれぞれの糖鎖に相互作用を示すタンパク質に対する被検糖鎖の相互作用の組み合わせパターンが、それぞれの糖鎖に相互作用を示すタンパク質に対する複数の糖鎖の相互作用を含む対照データ中のそれぞれの糖鎖に相互作用を示すタンパク質に対する特定の糖鎖の相互作用の組み合わせパターンと一致するときに、被検糖鎖が該特定の糖鎖と同じ構造であると判定される方法。
〔2〕糖鎖に相互作用を示すタンパク質が、レクチン、糖結合ドメインを有する酵素タンパク質、糖鎖に親和性を有するサイトカイン、または糖鎖に相互作用を示す抗体である、〔1〕に記載の方法。
〔3〕以下の手段からなる、コンピューターを用いた糖鎖構造分析システム。
(a)糖鎖に相互作用を示す種々のタンパク質に対する複数の糖鎖の相互作用情報が格納されている記憶手段
(b)糖鎖に相互作用を示す種々のタンパク質がそれぞれ固定化された並列化カラムを有するFAC装置に、蛍光標識した被検糖鎖が導入された場合に、それぞれのカラムから溶出された被検糖鎖に付された標識の蛍光強度を経時的に検出する検出手段
(c)入力された蛍光強度情報を基に、それぞれの糖鎖に相互作用を示すタンパク質に対する被検糖鎖の相互作用情報を算出し、該相互作用情報の組み合わせ情報を、(a)に格納されている組み合わせ情報と照合し、組み合わせ情報のパターンが一致する構造既知糖鎖を1つないし複数選出する手段
(d)選出結果を表示する表示手段
〔4〕工程(c)に記載の演算手段が以下の(i)または(ii)からなる、〔3〕に記載のシステム。
(i)入力された蛍光強度情報を基に、それぞれのカラムからの被検糖鎖の溶出容積を算出し、該溶出容積と対照溶出容積の差を算出し、該差の組み合わせ情報を、(a)に格納されている組み合わせ情報と照合し、組み合わせ情報のパターンが一致する構造既知糖鎖を1つないし複数選出する手段
(ii)入力された蛍光強度情報を基に、それぞれのカラムからの被検糖鎖の溶出容積を算出し、該溶出容積と対照溶出容積の差を算出し、該差を基にそれぞれの糖鎖に相互作用を示すタンパク質と被検糖鎖の親和定数を算出し、該親和定数の組み合わせ情報を、(a)に格納されている組み合わせ情報と照合し、組み合わせ情報のパターンが一致する構造既知糖鎖を1つないし複数選出する手段
〔5〕糖鎖に相互作用を示すタンパク質が、レクチン、糖結合ドメインを有する酵素タンパク質、糖鎖に親和性を有するサイトカイン、または糖鎖に相互作用を示す抗体である、〔3〕または〔4〕に記載のシステム。
〔6〕糖鎖構造を分析する方法であって、
(a)糖鎖に相互作用を示す種々のタンパク質がそれぞれ固定化された基板に蛍光標識した被検糖鎖を接触させる工程、
(b)洗浄操作を行わずに励起光を作用させることで、それぞれの糖鎖に相互作用を示すタンパク質に対する被検糖鎖の相互作用を測定する工程を含み、
測定されたそれぞれの糖鎖に相互作用を示すタンパク質に対する被検糖鎖の相互作用の組み合わせパターンが、それぞれの糖鎖に相互作用を示すタンパク質に対する複数の糖鎖の相互作用を含む対照データ中のそれぞれの糖鎖に相互作用を示すタンパク質に対する特定の糖鎖の相互作用の組み合わせパターンと一致するときに、被検糖鎖が該特定の糖鎖と同じ構造であると判定される方法。
〔7〕励起光がエバネッセント波である、〔6〕に記載の方法。
〔8〕糖鎖に相互作用を示すタンパク質が、レクチン、糖結合ドメインを有する酵素タンパク質、糖鎖に親和性を有するサイトカイン、または糖鎖に相互作用を示す抗体である、〔6〕または〔7〕に記載の方法。
〔9〕以下の手段からなる、コンピューターを用いた糖鎖構造分析システム。
(a)糖鎖に相互作用を示す種々のタンパク質に対する複数の糖鎖の相互作用情報が格納されている記憶手段
(b)糖鎖に相互作用を示す種々のタンパク質がそれぞれ固定化された基板に、蛍光標識した被検糖鎖を接触させ、洗浄操作を行わずに、該基板に励起光を入射し、励起される蛍光の強度を検出する検出手段
(c)検出された蛍光強度の組み合わせ情報を、(a)に格納されている情報と照合し、組み合わせ情報のパターンが一致する構造既知糖鎖を1つないし複数選出する手段
(d)選出結果を表示する表示手段
〔10〕励起光がエバネッセント波である、〔9〕に記載のシステム。
〔11〕糖鎖に相互作用を示すタンパク質が、レクチン、糖結合ドメインを有する酵素タンパク質、糖鎖に親和性を有するサイトカイン、または糖鎖に相互作用を示す抗体である、〔9〕または〔10〕に記載のシステム。
本発明は、糖鎖構造の新たな分析方法を提供する。本発明の方法では、まず、糖鎖に相互作用を示す種々のタンパク質がそれぞれ固定化された並列化カラムを有するFAC装置に、蛍光標識した被検糖鎖を導入する。次いで、それぞれの糖鎖に相互作用を示すタンパク質に対する被検糖鎖の相互作用を測定する。測定されたそれぞれの糖鎖に相互作用を示すタンパク質に対する被検糖鎖の相互作用の組み合わせパターンが、それぞれの糖鎖に相互作用を示すタンパク質に対する複数の糖鎖の相互作用を含む対照データ中のそれぞれの糖鎖に相互作用を示すタンパク質に対する特定の糖鎖の相互作用の組み合わせパターンと一致するときに、被検糖鎖が該特定の糖鎖と同じ構造であると判定される。本発明の方法を使用することで、被検糖鎖が既知構造を有している場合は被検糖鎖の構造を同定することができ、被検糖鎖が未知構造を有している場合であっても被検糖鎖中に存在する特徴的な構造(α2−3シアル酸・α2−6シアル酸・α1−3ガラクトース・α1−6フコース・バイセクトN−アセチルグルコサミンなど)の予測、ないし既知構造糖鎖との類似性を指摘することができる。
本発明における糖鎖としては、例えば、糖タンパク質系糖鎖(N−結合型糖鎖とO−結合型糖鎖)、糖脂質系糖鎖、グリコサミノグリカン系糖鎖、または多糖類由来オリゴ糖鎖などが挙げられる。また、1)N−結合型糖鎖としては、高マンノース型・混成型・複合型からなるN−結合型糖鎖など、2)O−結合型糖鎖としては、ムチン型(O−GalNAc)・O−Fuc型・O−Man型・O−Glc型などからなるO−結合型糖鎖など、3)糖脂質系糖鎖としては、ガングリオ系列・グロボ系列・ラクト・ネオラクト系列糖鎖など、4)グリコサミノグリカン系糖鎖としては、ヒアルロン酸・ケラタン硫酸・ヘパリン・ヘパラン硫酸・コンドロイチン硫酸・デルマタン硫酸など、5)多糖類由来オリゴ糖鎖としては、キチン、セルロース、カードラン、ラミナリン、デキストラン、デンプン、グリコーゲン、アラビノガラクタン、アルギン酸、フルクタン、フコイダン、キシランなどに由来するオリゴ糖鎖などが例示できる。
また、本発明の糖鎖としては、実施例で使用したM3・M5A・Hybrid(monoagalacto,bisect)・NA1・NA1(α1−6Fuc)・NA2(monoagalacto)・NA2(monoagalacto,bisect)・NA2・NA2(α1−6Fuc)・A2・NA2(bisect)・NA3・NA3(α1−6Fuc)・NA4・NA4(α1−6Fuc)・NA5(pentaagalacto,bisect)・Lactose・GA2・GA1・GM3−NeuAc・GM3−NeuGc・GM1・GM2・GD1a・GD1b・GD3・Gb3・Gb4・Forssman・LNnT・LNT・Galili pentasaccharide・B−hexasaccharide・LNFP−I・LNFP−II(Lea)・LNFP−III(LeX)・LNFP−II(Leb)・A−hexasaccharide・A−heptasaccharide・B−pentasaccharide・6’Sialyl Lactose・pLNH・βGalLac・βGal2Lac・LN3・GN3・GN4・maltotriose・Sialyl LeXなどを挙げることができる。
本発明の糖鎖に相互作用を示すタンパク質には、糖鎖に相互作用を示すペプチドも含まれる。本発明の糖鎖に相互作用を示すタンパク質としては、レクチン、糖結合ドメインを有する酵素タンパク質、糖鎖に親和性を有するサイトカイン、これらの変異体、または糖鎖に相互作用を示す抗体などが挙げられる。
上記レクチンとしては、動・植物、真菌、細菌、ウィルスなどから得られる様々な分子家系に属するレクチン、すなわち、細菌を含むすべての生物界で見出されるリシンB鎖関連の「R型レクチン」、真核生物全般に存在し糖タンパク質のフォールディングに関与する「カルネキシン・カルレティキュリン」、多細胞動物に広く存在し、「セレクチン」、「コレクチン」等代表的なレクチンを多く含むカルシウム要求性の「C型レクチン」、動物界に広く分布しガラクトースに特異性を示す「ガレクチン」、植物豆科で大きな家系を形成する「豆科レクチン」、およびこれと構造類似性をもち動物細胞内輸送に関わる「L型レクチン」、リソソーム酵素の細胞内輸送に関わるマンノース6−リン酸結合性の「P型レクチン」、グリコサミノグリカンをはじめとする酸性糖鎖に結合する「アネキシン」、免疫グロブリン超家系に属し「シグレック」を含む「I型レクチン」などが挙げられる。
また、本発明のレクチンとしては、実施例で使用したACA(センニンコクレクチン)・BPL(ムラサキモクワンジュレクチン)・ConA(タチナタマメレクチン)・DBA(Horsegramレクチン)・DSA(ヨウシュチョウセンアサガオレクチン)・ECA(ホソバデイゴレクチ)・EEL(Spindle Treeレクチン)・GNA(ユキノハナレクチン)・GSL I(グリフォニアマメレクチン)・GSL II(グリフォニアマメレクチン)・HHL(アマリリスレクチン)・ジャカリン(ジャックフルーツレクチン)・LBA(リママメレクチン)・LCA(レンズマメレクチン)・LEL(トマトレクチン)・LTL(ロータスマメレクチン)・MPA(アメリカハリグワレクチン)・NPA(ラッパズイセンレクチン)・PHA−E(インゲンマメレクチン)・PHA−L(インゲンマメレクチン)・PNA(ピーナッツレクチン)・PSA(エンドウレクチン)・PTL−I(シカクマメレクチン)・PTL−II(シカクマメレクチン)・PWM(ヨウシュヤマゴボウレクチン)・RCA120(ヒマレクチン)・SBA(ダイズレクチン)・SJA(エンジュレクチン)・SNA(セイヨウニワトコレクチン)・SSA(ニワトコレクチン)・STL(ジャガイモレクチン)・TJA−I(キカラスウリレクチン)・TJA−II(キカラスウリレクチン)・UDA(Common Stinging Nettleレクチン)・UEA I(ハリエニシダレクチン)・VFA(ソラマメレクチン)・VVA(ヘアリーベッチレクチン)・WFA(フジレクチン)・WGA(パンコムギレクチン)などを挙げることができる。
上記糖結合ドメインを有する酵素タンパク質としては、各種グリコシダーゼ(キシラナーゼ、グルカナーゼ)、および糖転移酵素(UDP−GalNAc:ポリペプチドGalNAc転移酵素)などが例示できる。また、糖鎖に親和性を有するサイトカインとしては、インターロイキン−2(IL−2)、インターロイキン−12(IL−12)、腫瘍壊死因子α(TNF−α)、繊維芽細胞成長因子(FGF)などが例示できる。また、糖鎖に相互作用を示す抗体としては、糖鎖関連腫瘍マーカー(CA19−9、フォルスマン抗原、T抗原、Tn抗原、シアリルT抗原)、血液型関連糖鎖(A,B,H,Lea,Lex抗原)、分化関連抗原(Ii,SSEA−1−4)に対する抗体などが例示できる。
本発明の方法では、糖鎖に相互作用を示す種々のタンパク質を、それぞれ独立したカラム内に固定化させる。固定化させる糖鎖に相互作用を示すタンパク質は、上述した全てのタンパク質から選択される少なくとも1つのタンパク質(好ましくは、少なくとも2つのタンパク質)であるが、その数が多ければ多いほど、糖鎖構造類推の精度・確度は高くなる。
また、被検糖鎖の構造類推に効果的であると考えられるタンパク質であって、糖鎖に相互作用を示す代表的なタンパク質を選択し、それを用いることもできる。この場合、糖鎖構造類推の精度は多少落ちても、時間と労力を節約することができる。
タンパク質のカラム内への固定化方法は、当業者に周知の方法を使用することができる。例えば、実施例に記載の方法を参考に実施することができる。
本発明の方法では、糖鎖に相互作用を示す種々のタンパク質が固定化された並列化カラムを有するFAC装置に、蛍光標識した被検糖鎖を導入された場合に、それぞれのカラムから溶出された被検糖鎖に付された標識の蛍光強度を経時的に検出する。
本発明における蛍光標識剤としては、2−アミノピリジン(2−AP)、2−アミノ安息香酸(2−AA)、2−アミノベンズアミド(2−AB)、2−アミノアクリドン(AMAC)、p−アミノ安息香酸エチル(ABEE)、p−アミノベンゾニトリル(ABN)、2−アミノ−6−シアノエチルピリジン(ACP)、7−アミノ−4−メチルクマリン(AMC)、8−アミノナフタレン−1,3,6−三硫酸(ANTS)、7−アミノナフタレン−1.3−ジスルフィド(ANDS)、8−アミノピレン−1,3,6−三硫酸(APTS)などが挙げられる。
本発明の方法では、次いで、検出された蛍光強度情報を基に、後述の計算方法で、それぞれの糖鎖に相互作用を示すタンパク質に対する被検糖鎖の相互作用を算出する。糖鎖に相互作用を示すタンパク質と糖鎖との相互作用は、解離定数(Kd)は10−6Mかそれ以上であることが多く、一般的に弱い相互作用であることが知られている。FAC装置を利用することで、このような弱い相互作用を精度高く測定できることが知られている。
以下、FAC装置を利用した分子間相互作用の測定方法の原理を記す(図1)。
FAC装置による相互作用解析では解析対象の一方を固定化した小さなアフィニティーカラムに、一定濃度(濃度を[A]0とする)のアナライトを大量に注入し続ける操作を行う。注入を続けるとある時点で、カラムがアナライトを保持できなくなり、カラムからアナライトの溶出が始まる。カラム内の固定化リガンドとアナライトの相互作用があるときの溶出容積を(V)、相互作用がないときの溶出容積を(Vo)とすると、相互作用の強さに応じてアナライトの溶出に(V−Vo)の分だけ遅れが生じる。このときカラム内で保持されたアナライトの量は[A]o(V−Vo)で表され、カラム内の有効リガンド濃度をBt、解離定数をKdとすると、次のような酵素反応速度論のミカエリス−メンテン式と同じ形の数式が成り立つ。
同じカラムを使った一連の実験の中ではBtは一定なので、数式2より(V−Vo)が相互作用の強さに相対的に対応していることがわかる。ここで実験に使用するカラムのBtをあらかじめ求めておけば、各アナライトについて(V−Vo)を求めるだけで、対応するKdを算出することができる。また、解離定数(Kd)と親和定数(Ka)は数式3の関係にある。
もし実験系が完全に理想的な条件(流速が充分に遅く、カラム内で平衡が充分に成立し、かつ流路での界面の乱れが全くない条件)であるとすると、クロマトグラムは溶出前端にて、一気にカラムに加え続けたアナライトの濃度と等しい濃度まで上昇するはずである(図2A)。しかし実際の実験では拡散やカラムの太さに起因する流路長の不均一化等により、徐々に溶出が起こるため、シグモイド状の溶出曲線が描かれる(図2B)。溶出曲線が完全に点対称のシグモイドであれば、溶出前端はシグモイドの中点から求めることができるが、現実には理想的な点対称の形状にならないことが多い。そこで溶出前端(V)の計算では、溶出曲線の曲線下面積を計算し、これと同じ面積となるような溶出が理想的に起きた場合の溶出前端を算出する。具体的には、一定間隔で取り込まれたデータ間隔(ΔV)にその時点のシグナル強度([A]i)をかけて小さな短冊状の長方形の面積(ΔSi)を求め、これらの面積を任意の測定時間(Vi)まで足し合わせて曲線下面積(ΣΔSi)を求める(図2C)。この曲線下面積(ΣΔSi)を持つ高さ[A]0の長方形を考えると、長方形の右端は注入した液量Viであり、長方形の左端は溶出前端(V)となる(図2D)。VはVi−ΣΔSi/[A]0にて求めることができる。
本発明においては、それぞれの糖鎖に相互作用を示すタンパク質に対する被検糖鎖の相互作用(溶出の遅れ:V−Vo値、あるいはKa値)の組み合わせパターンが、それぞれの糖鎖に相互作用を示すタンパク質に対する複数の糖鎖の相互作用を含む対照データ中のそれぞれの糖鎖に相互作用を示すタンパク質に対する特定の糖鎖の相互作用の組み合わせパターンと一致するときに、被検糖鎖が該特定の糖鎖と同じ構造であると判定される。
対照データ中の糖鎖に相互作用を示す種々のタンパク質に対する複数の糖鎖の相互作用は、本発明の方法によって得られたV−Vo値やKa値に限定されない。例えば、後述の方法やシステムによって得られた値、また、これまでに確立されている様々な実験系から得られたものも利用可能である。
上記対照データは、上記の相互作用を含むデータでもよいし、相互作用の組み合わせパターン情報を含むデータでもよい。相互作用の組み合わせのパターン化は、後述の方法で行うことができる。また、上記対照データとしては、データベースに保存されているデータを使用してもよい。また、相互作用の組み合わせ同士のパターンが一致するか否かは、後述するようにコンピューターを用いて判定することもできる。
本発明は、コンピューターを用いた糖鎖構造分析システムもまた提供する。このシステムは、糖鎖に相互作用を示す種々のタンパク質がそれぞれ固定化された並列化カラムを有するFAC装置に蛍光標識した被検糖鎖が導入されると、自動的に、算出結果が表示されるシステムである。本発明のシステムには質量分析や、酵素消化を組み合わせることもでき、これらの方法を用いることでさらに信頼度の高いデータを得ることができるため、大変に有用である。
図3に本発明のシステム構成図の一例を示す。本発明のシステムは、以下から構成される。
(a)糖鎖に相互作用を示す種々のタンパク質に対する複数の糖鎖の相互作用情報が格納されている記憶手段(データベース)
(b)糖鎖に相互作用を示す種々のタンパク質がそれぞれ固定化された並列化カラムを有するFAC装置に、蛍光標識した被検糖鎖が導入された場合に、それぞれのカラムから溶出された被検糖鎖に付された標識の蛍光強度を経時的に検出する検出手段
(c)入力された蛍光強度情報を基に、それぞれの糖鎖に相互作用を示すタンパク質に対する被検糖鎖の相互作用情報を算出し、該相互作用情報の組み合わせ情報を、(a)に格納されている組み合わせ情報と照合し、組み合わせ情報のパターンが一致する構造既知糖鎖を1つないし複数選出する手段を含むコンピューター
(d)選出結果を表示する表示手段
データベースについては、図3のようにコンピューターの外部にある場合、図4のようにコンピューター内部にある場合、共に許容される。
図4に、本発明のシステムにおけるコンピューター構成図の一例を示す。入力手段1と出力手段2がバス線3に接続されている。一時記憶手段4は、入力された情報、および算出された情報などを一時的に記憶する。中央処理装置(CPU)5は、本発明のプログラムの命令を受けて各種演算を行う。記憶手段(データベース)7には、糖鎖に相互作用を示す種々のタンパク質に対する複数の糖鎖の相互作用情報、および/または該相互作用情報の組み合わせパターン情報が格納されている。相互作用情報は、本発明のFAC装置を利用した方法やシステムによって得られたV−Vo値やKa値、後述のマイクロアレイスキャナー装置を利用した方法やシステムによって得られた蛍光強度情報に限定されず、これまでに確立されている様々な実験系から得られた情報が利用可能である。
記憶手段6には、本発明の処理を実行するためのプログラムを含む各種プログラムが格納されている。本発明の処理を実行するためのプログラムには、入力された蛍光強度情報を基に、それぞれの糖鎖に相互作用を示すタンパク質に対する被検糖鎖の相互作用情報を算出するプログラム61、それぞれの糖鎖に相互作用を示すタンパク質に対する被検糖鎖の相互作用情報の組み合わせ情報を、データベースに格納されている糖鎖に相互作用を示す種々のタンパク質に対する複数の糖鎖の相互作用情報の組み合わせ情報と照合し、組み合わせ情報のパターンが一致する構造既知糖鎖(データベースに格納されている構造既知糖鎖情報)を1つないし複数選出するプログラム62、表示プログラム63、およびこれらを制御するためのプログラム64が、少なくとも含まれる。その他、後述のマイクロアレイスキャナー装置を利用したシステムにおける処理を実行するためのプログラムが含まれてもよい。このようなコンピューターは、FAC装置を利用したシステムだけでなく、マイクロアレイスキャナー装置を利用したシステムにも使用できる。
記憶手段6には、プログラム62の代わりに(または、プログラム62とともに)、それぞれの糖鎖に相互作用を示すタンパク質に対する被検糖鎖の相互作用情報の組み合わせ情報をパターン化するプログラム62−1、データベースに格納されている糖鎖に相互作用を示す種々のタンパク質に対する複数の糖鎖の相互作用情報の組み合わせ情報をパターン化するプログラム62−2、および、それぞれの糖鎖に相互作用を示すタンパク質に対する被検糖鎖の相互作用情報の組み合わせ情報のパターンを、データベースに格納されている糖鎖に相互作用を示す種々のタンパク質に対する複数の糖鎖の相互作用情報の組み合わせ情報のパターンと照合し、組み合わせ情報のパターンが一致する構造既知糖鎖を1つないし複数選出するプログラム62−3が格納されていてもよい。
プログラム61は、糖鎖に相互作用を示す種々のタンパク質がそれぞれ固定化された並列化カラムからの被検糖鎖の溶出容積を算出するプログラム61−1(Arata,Y.,Hirabayashi,J.,and Kasai,K.,J.Chromatogr.905,337−343,2001、Arata,Y.,Hirabayashi,J.,and Kasai,K.,J.Biol.Chem.276,3068−3077,2001)、および該溶出容積を基に、それぞれの糖鎖に相互作用を示すタンパク質に対する被検糖鎖の相互作用情報を算出するプログラム61−2から構成される。
プログラム61−1を利用することで、煩雑な計算を一般の表計算ソフトを用いて自動的に行うことが可能である。以下、実際の表計算を例示する(図5)。
B列とD列:FACシステムから出力される時間と電圧の情報をそのまま貼り付けている。
C列:B列の時間情報と流速から溶出容積を表示している(ここではΔVは0.002084mLとなっている)。
E列:データ取り込み時の電圧はゼロではないので、データ取り込み開始直後の10点について(この10点の位置は設定可能)電圧値の平均をとり(D21に表示)、その値を電圧値の生データ(D列)から差し引くことでゼロ点補正を行い[A]iの値とする。
A列:プラトー判定に使用している列
プラトー判定ではE列の電圧値において、10点前の値との差が±1%以下になる状態が、5点連続した場合にプラトーに到達したと判定する。(プラトー判定を行う区間は設定可能)
F列:プラトー到達点のE列の電圧値を100として、各データ点のE列の電圧値を百分率で表示する。
G列:各データ点ごとの短冊状の微小長方形の面積(ΔSi)をΔVとE列の[A]iをかけて算出する。
H列:G列で求めたΔSiを累積して足し合わせ、ΣΔSiを算出する。
I列:H列のΣΔSiの値をプラトー到達点の電圧値[A]0(D18に表示)で割り、ΣΔSi/[A]0を算出する。
J列:C列のViから、I列で算出したΣΔSi/[A]0を引き、Vの値を算出している。この値は溶出がプラトーに達し、電圧値が一定になると、一定値に収束する。プラトー達成点における収束したVの値を溶出容積として採用する。
また、プログラム61−2は、1)プログラム61−1を実行して得られる溶出容積と対照溶出容積の差(V−Vo値)を算出するプログラム、あるいは2)プログラム61−1を実行して得られる溶出容積と対照溶出容積の差(V−Vo値)を算出し、さらに該差を基に、上述の計算式を利用して、それぞれの糖鎖に相互作用を示すタンパク質と被検糖鎖の親和定数(Ka値)を算出するプログラムである。
ここで、対照溶出容積とは、カラム内に固定化された糖鎖に相互作用を示す種々のタンパク質と相互作用がない蛍光標識したアナライトの溶出容積(Vo)を意味する。該アナライトは、当業者であれば適宜選択可能であるが、例えば、糖鎖に相互作用を示すタンパク質としてガレクチンを用いる場合は、ラムノースを使用する。
また、プログラム62は、プログラム61を実行して得られる相互作用情報(V−Vo値、あるいはKa値)の組み合わせ情報を、データベースに格納されている糖鎖に相互作用を示す種々のタンパク質に対する複数の糖鎖の相互作用情報の組み合わせ情報と照合し、組み合わせ情報のパターンが一致する構造既知糖鎖を1つないし複数選出するプログラムである。
相互作用情報の組み合わせ情報の照合過程においては、相互作用情報の組み合わせ情報の値同士を比較してもよい。プログラム62には、例えば、プログラム61を実行して得られるV−VoやKaの組み合わせ情報の値とデータベースに格納されているV−VoやKaの組み合わせ情報の値を比較して、その値の近さから構造既知糖鎖を1つないし複数選出する機能が組み込まれていてもよい。また、相互作用情報の組み合わせ情報の照合過程においては、相互作用情報の組み合わせ情報をパターン化して、そのパターン同士を比較してもよい。このような観点から、記憶手段6には、プログラム62の代わりに(または、プログラム62とともに)、プログラム62−1〜62−3が格納されてもよい。
プログラム62−1は、プログラム61を実行して得られる相互作用情報(V−Vo値、あるいはKa値)の組み合わせ情報をパターン化するプログラムである。また、プログラム62−2は、データベースに格納されている糖鎖に相互作用を示す種々のタンパク質に対する複数の糖鎖の相互作用情報の組み合わせ情報をパターン化するプログラムである。このパターン化に際しては、適切な内部標準を用いて相互作用情報の規格化を行うことも可能である。例えば、それぞれの糖鎖に相互作用を示すタンパク質に対する被検糖鎖の相互作用情報、およびデータベースに格納されている糖鎖に相互作用を示す種々のタンパク質に対する複数の糖鎖の相互作用情報を、基準糖鎖の相互作用情報に対する相対値に変換することで、個々の相互作用情報を規格化することができる。すなわち、プログラム62−1には、それぞれの糖鎖に相互作用を示すタンパク質に対する被検糖鎖の相互作用情報を、基準糖鎖の相互作用情報に対する相対値に変換するプログラムが含まれ、プログラム62−2には、データベースに格納されている糖鎖に相互作用を示す種々のタンパク質に対する複数の糖鎖の相互作用情報を、基準糖鎖の相互作用情報に対する相対値に変換するプログラムが含まれる。例えば、V−Vo値の相対値への変換は以下の数式4、Ka値の相対値への変換は以下の数式5を用いて行うことができる(データベースに格納されている糖鎖に相互作用を示す種々のタンパク質に対する複数の糖鎖の相互作用情報の相対値への変換も同様に行うことができる)。基準糖鎖としては、V−Vo値が10−20μLの範囲にある糖鎖を例示できるが、本発明における基準糖鎖のV−Vo値は、10−20μLの範囲に限定されるものではなく、任意の範囲や値とすることができる。
なお、V−V0やKaが負の値を示す時は、V−V0やKaを0として相対値を計算する。
プログラム62−1および62−2には、例えば、任意の設定スレッショルド値が入力されることで、そのスレッショルドの範囲に相互作用情報をレベル分けし、コード化する(各レベルに対して、例えば異なる数字や異なる色を当てはめる)機能が組み込まれている。
プログラム62−3は、プログラム62−1を実行して得られるパターンを、プログラム62−2を実行して得られるパターンと照合し、パターンが一致する構造既知糖鎖を1つないし複数選出するプログラムである。例えば、それぞれの糖鎖に相互作用を示すタンパク質に対する被検糖鎖の相互作用情報の相対値の組み合わせ情報のパターンと、データベースに格納されている糖鎖に相互作用を示す種々のタンパク質に対する複数の糖鎖の相互作用情報の相対値の組み合わせ情報のパターンについて、2点間の多変量距離を求め、これをもとにパターンの相違度の低いモデル(群)(一致度の高いモデル(群))を選択することができる。すなわち、プログラム62−3には、それぞれの糖鎖に相互作用を示すタンパク質に対する被検糖鎖の相互作用情報の相対値の組み合わせ情報のパターンを、データベースに格納されている糖鎖に相互作用を示す種々のタンパク質に対する複数の糖鎖の相互作用情報の相対値の組み合わせ情報のパターンと照合し、組み合わせ情報のパターンが一致する構造既知糖鎖を1つないし複数選出する(すなわち、パターンの一致度の順位が高い構造既知糖鎖を1つないし複数選出する)プログラムが含まれる。相違度(一致度)の計算においては、例えば、距離尺度としてマンハッタン距離を採用することができる。糖鎖aと糖鎖bの間の多変量距離dabは、それぞれのm変数の差から以下の数式6で計算できる。数式6中の記号は次の通りである。a:被検糖鎖、b:構造既知糖鎖、j:糖鎖に相互作用を示すタンパク質、m:糖鎖に相互作用を示すタンパク質の数。
なお、データベースにパターン情報が格納されている場合は、プログラム62−3は、プログラム62−1を実行して得られるパターンを、データベースに格納されているパターンと照合し、パターンが一致する構造既知糖鎖を1つないし複数選出する。プログラム62−3には、例えば、構造既知糖鎖のコードと被検糖鎖のコードを比較して、被検糖鎖とコードが一致する構造既知糖鎖を選出する機能が組み込まれている。
プログラム63は、例えば、クロマトグラムの一覧表示、相互作用情報の表示、選出された構造既知糖鎖の表示などを行う。
本発明においては、上述のプログラムを1つのプログラムにまとめることもできる。
本発明のシステムにより実行される処理のフローの一例としては、まず、糖鎖に相互作用を示す種々のタンパク質がそれぞれ固定化された並列化カラムを有するFAC装置に、蛍光標識した被検糖鎖が導入された場合に、それぞれのカラムから溶出された被検糖鎖に付された標識の蛍光強度が経時的に検出される。次いで、蛍光強度情報が自動的にコンピューターに入力される。入力された情報は、コンピューターの記憶手段または一時記憶手段に格納しておくことができる。
本発明では、中央処理装置(CPU)などの演算手段が記憶手段中のプログラム63の指令を受け、記憶手段または一時記憶手段に格納された蛍光強度情報を読み出し、該蛍光強度情報を、例えばクロマトグラム形式で表示することもできる。
処理フローの一例としては、次いで、入力された蛍光強度情報を基に、それぞれの糖鎖に相互作用を示すタンパク質に対する被検糖鎖の相互作用情報を算出する。通常、この処理工程では、中央処理装置(CPU)などの演算手段が記憶手段中のプログラム61の指令を受け、記憶手段または一時記憶手段に格納された蛍光強度情報を読み出し、相互作用情報を算出する。算出された相互作用情報は、コンピューターの記憶手段または一時記憶手段に格納しておくことができる。また、算出された相互作用情報は、データベースに格納されてもよい。算出された相互作用情報を蓄積することで、今まで存在しえなかった大規模かつ実用性の高い、糖鎖に相互作用を示すタンパク質に対する糖鎖の相互作用情報データベースを構築することができる。
本発明では、中央処理装置(CPU)などの演算手段が記憶手段中のプログラム63の指令を受け、記憶手段または一時記憶手段に格納された相互作用情報を読み出し、該相互作用情報を表示することもできる。
処理フローの一例としては、次いで、それぞれの糖鎖に相互作用を示すタンパク質に対する被検糖鎖の相互作用情報の組み合わせ情報を、データベースに格納されている糖鎖に相互作用を示す種々のタンパク質に対する複数の糖鎖の相互作用情報の組み合わせ情報と照合し、組み合わせ情報のパターンが一致する構造既知糖鎖を1つないし複数選出する。この処理工程では、中央処理装置(CPU)などの演算手段が記憶手段中のプログラム62の指令を受け、記憶手段または一時記憶手段に格納された相互作用情報の組み合わせ情報とデータベースに格納されている糖鎖に相互作用を示す種々のタンパク質に対する複数の糖鎖の相互作用情報の組み合わせ情報を読み出し、それぞれの組み合わせ情報を照合し、組み合わせ情報のパターンが一致する構造既知糖鎖を1つないし複数選出する。選出された構造既知糖鎖情報は、コンピューターの記憶手段または一時記憶手段に格納しておくことができる。
データベースがコンピューターの外部にある場合は、中央処理装置(CPU)などの演算手段が記憶手段中のプログラム62の指令を受け、データベースに格納されている糖鎖に相互作用を示す種々のタンパク質に対する複数の糖鎖の相互作用情報の組み合わせ情報をコンピューターに入力し、記憶手段または一時記憶手段に格納された相互作用情報の組み合わせ情報を読み出し、それぞれの組み合わせ情報を照合し、組み合わせ情報のパターンが一致する構造既知糖鎖を1つないし複数選出する。
なお、プログラム62の代わりに、プログラム62−1〜62−3を用いるときも、同様なフローで処理される。
処理フローの一例としては、次いで、選出結果が表示手段によって表示される。この処理工程では、中央処理装置(CPU)などの演算手段が記憶手段中のプログラム63の指令を受け、記憶手段または一時記憶手段に格納された上記構造既知糖鎖情報を読み出し、表示する。
さらに、本発明は、マイクロアレイスキャナー装置を利用した糖鎖構造の分析方法を提供する。本発明では、糖鎖に相互作用を示す種々のタンパク質が基板に固定化されているので、一度に複数の相互作用を観察することができる。すなわち、本発明の方法を利用することで、糖鎖に相互作用を示す種々のタンパク質と糖鎖の相互作用を同時に観察することができるため、よりハイスループットなプロファイリングが可能となる。
本発明における糖鎖、並びに糖鎖に相互作用を示すタンパク質としては、上述の糖鎖や糖鎖に相互作用を示すタンパク質が挙げられる。また、本発明における基板としては、ガラス、石英ガラス、合成石英ガラスなどが例示できるが、これらに限定されるものではない。また、糖鎖に相互作用を示す種々のタンパク質が固定化された基板は、好ましくは、エポキシ基を活性基として有する化合物がコートされた基板に、糖鎖に相互作用を示す種々のタンパク質が固定化された基板である。
エポキシ基を活性基として有する化合物としては、好ましくは3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GTMS)が挙げられるが、これに限定されない。その他に、2−(3、4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、または分岐したスペーサーの先端にエポキシ基を複数持つシランカップリング化合物で、好ましくはスペーサーとしてポリエチレングリコールやタンパク質、ビオチン・アビジン等を含む化合物などが例示できる。
糖鎖に相互作用を示す種々のタンパク質が固定化された基板は、下記の方法で作成することができる。
まず、基板にエポキシ基を活性基として有する化合物をコートする。例えば、エポキシ基を活性基として有する化合物としてGTMSを用いる場合、実施例に記載の方法で行うことができる。具体的には、スライドガラスを10%KOH/MeOH溶液に浸し、容器ごと振盪させた状態で1時間放置しガラス表面を処理し、これを十分量の精製水(ミリQ水)により洗浄した後、60℃のオーブン内で乾燥させる。次にスライドガラスを2%GTMSアセトン溶液に浸し、遮光下で容器ごと振盪させながら1時間反応させる。GTMSのアルコキシシリル基は水で加水分解されてシラノール基となっており、このシラノール基は不安定で、経時変化により部分的に結合してオリゴマー状態になり、続いてガラス表面に水素結合的に吸着する。反応後、スライドガラスを110℃のオーブン内で8時間乾燥させる。乾燥処理により、ガラス表面のシラノール基と脱水縮合反応が起こり、強力な共有結合となる。一連のGTMSコーティング方法を図12に示す。
次に、エポキシ基を活性基として有する化合物をコーティングした基板に、糖鎖に相互作用を示すタンパク質を固定化する。具体的には、該基板にアミノ基を活性基として有する化合物をスポットし、反応させることで固定化することができる。スポッターとしては、日本レーザ電子社製STANPMANなどを利用することができる。アミノ基を活性基として有する化合物がレクチンである場合、スポットするレクチンの濃度は1mg/mL以上であることが好ましい。さらに、より好ましくは、スポット処理後Tween20を含むPBS溶液(PBST)で洗浄することにより、未結合レクチンを除去することができる。
上記糖鎖に相互作用を示すタンパク質が固定化された基板は、複数の反応槽を形成させた基板であることが好ましい。より好ましくは、複数の穴を有するラバーを貼り付けることで、複数の反応槽を形成させた基板である。一例としては、実施例に記載のように、レクチン固定化後のスライドガラスに対し、本発明者らが設計・開発した8穴ラバーを所定の位置に貼り付け、8つの反応槽を作製させる。この8穴ラバーには8つの長方形の穴が規則正しく空いており、スライドガラスに貼り付けたときに8つの反応槽を形成することができる。この反応槽に蛍光標識化プローブ溶液を満たすことで、糖鎖に相互作用を示すタンパク質との接触を円滑に行うことが可能になる。また、この反応槽は8穴ラバーに限定されるものではなく、例えばガラス表面の非スポット領域を撥水コートすることで反応場を形成することも可能である。より好ましくは反応場を多数化することである。
本発明の方法では、上記糖鎖に相互作用を示す種々のタンパク質が固定化された基板に蛍光標識した被検糖鎖を接触させる。
本発明において、被検糖鎖の蛍光標識剤としては、2−アミノピリジン、Cy3、Cy3.5、Cy5、テトラメチルローダミン、フルオレセイン骨格を持つ蛍光色素各種、モレキュラープローブス社製蛍光色素Alexaシリーズ、量子ドット蛍光色素が挙げられるが、糖鎖を蛍光標識する性質を有する物質であれば、これらに限定されない。
本発明の方法では、次いで、基板を洗浄せずに、励起光を作用させて、それぞれの糖鎖に相互作用を示すタンパク質に対する被検糖鎖の相互作用を測定する。
糖鎖に相互作用を示すタンパク質と糖鎖の相互作用は一般的に良く知られているタンパク質間相互作用などに比べて弱いため、プローブ溶液の除去・洗浄操作を行うことで糖鎖に相互作用を示すタンパク質と糖鎖間の解離反応が進行してしまい、平衡状態下での正確な相互作用情報を得ることが出来ないケースが生じていた。
本発明者らは上記問題を、プローブ溶液の洗浄を行うことなく、励起光を作用させて励起される蛍光の強度を測定することで解決した。より具体的には、励起光を基板の固定化されていない面から入射して、励起された蛍光を検出する測定方法である。本発明における励起光としては、特に限定はなく、白色光から切り出した光源、好ましくは単一波長からなるレーザー光、より好ましくはエバネッセント波が挙げられる。励起光の検出は、エバネッセント型励起マイクロアレイスキャナーの使用が好ましいが、その他に共焦点型マイクロアレイスキャナーを使用することもできる。
例えば、エバネッセント励起方式では励起光をガラス内部で全反射させた際に界面からの高さ200〜300nm(励起波長の半分程度)の範囲に、エバネッセント光と呼ばれる微弱光がしみ出し、このエバネッセント光により蛍光物質を励起するために、プローブ分子を含む溶液をスライドガラス上に接触させた状態で励起光を入射して蛍光を観察する際にも、ブラウン運動をしているプローブ分子をほとんど励起することなく、結合反応に預かるプローブ分子を蛍光観察することができる。
本発明では、測定されたそれぞれの糖鎖に相互作用を示すタンパク質に対する被検糖鎖の相互作用(蛍光強度値)の組み合わせパターンが、それぞれの糖鎖に相互作用を示すタンパク質に対する複数の糖鎖の相互作用を含む対照データ中の、それぞれの糖鎖に相互作用を示すタンパク質に対する特定の糖鎖の相互作用の組み合わせパターンと一致するときに、被検糖鎖が該特定の糖鎖と同じ構造であると判定される。本発明の方法を使用することで、被検糖鎖が既知構造を有している場合は被検糖鎖の構造を同定することができ、被検糖鎖が未知構造を有している場合であっても被検糖鎖中に存在する特徴的な構造(α2−3シアル酸・α2−6シアル酸・α1−3ガラクトース・α1−6フコース・バイセクトN−アセチルグルコサミンなど)の予測、ないし既知構造糖鎖との類似性を指摘することができる。
対照データ中の糖鎖に相互作用を示す種々のタンパク質に対する複数の糖鎖の相互作用は、本発明の方法や後述のシステムによって得られた蛍光強度値、上述の方法やシステムによって得られたV−Vo値やKa値、また、これまでに確立されている様々な実験系から得られたものも利用可能である。
上記対照データは、上記の相互作用を含むデータでもよいし、相互作用の組み合わせパターン情報を含むデータでもよい。相互作用の組み合わせのパターン化は、後述の方法で行うことができる。また、上記対照データとしては、データベースに保存されているデータを使用してもよい。また、相互作用の組み合わせ同士のパターンが一致するか否かは、後述するようにコンピューターを用いて判定することもできる。
さらに、本発明は、コンピューターを用いた糖鎖構造分析システムもまた提供する。このシステムは、蛍光標識した被検糖鎖を接触させた糖鎖に相互作用を示す種々のタンパク質がそれぞれ固定化された基板をマイクロアレイスキャナー装置にセットすると、自動的に、被検糖鎖の構造が表示されるシステムである。本発明のシステムでは、糖鎖に相互作用を示す種々のタンパク質がそれぞれ固定化された基板に蛍光標識した被検糖鎖を接触させる工程を自動化することもできる。すなわち、微小流路系を基板上の反応槽に導き、流路内に送液する溶液の種類・濃度・流速をコントロールすることで、ブロッキングやブロッキング液の洗浄除去工程、蛍光標識糖鎖溶液の接触工程を一元的にコントロールすることができる。本発明のシステムには質量分析や、酵素消化を組み合わせることもでき、これらの方法を用いることでさらに信頼度の高いデータを得ることができるため、大変に有用である。
図3に本発明のシステム構成図の一例を示す。マイクロアレイスキャナー装置を用いたシステムは以下から構成される。
(a)糖鎖に相互作用を示す種々のタンパク質に対する複数の糖鎖の相互作用情報が格納されている記憶手段(データベース)
(b)糖鎖に相互作用を示す種々のタンパク質がそれぞれ固定化された基板に、蛍光標識した被検糖鎖を接触させ、洗浄操作を行わずに、該基板に励起光を入射し、励起される蛍光の強度を検出する検出手段
(c)検出された蛍光強度の組み合わせ情報を、(a)に格納されている情報と照合し、組み合わせ情報のパターンが一致する構造既知糖鎖を1つないし複数選出する演算手段を含むコンピューター
(d)選出結果を表示する表示手段
データベースについては、図3のようにコンピューターの外部にある場合、図4のようにコンピューター内部にある場合、共に許容される。
図4に、本発明のシステムにおけるコンピューター構成図の一例を示す。入力手段1と出力手段2がバス線3に接続されている。一時記憶手段4は、入力された情報、および算出された情報などを一時的に記憶する。中央処理装置(CPU)5は、本発明のプログラムの命令を受けて各種演算を行う。記憶手段(データベース)7には、糖鎖に相互作用を示す種々のタンパク質に対する複数の糖鎖の相互作用情報、および/または該相互作用情報の組み合わせパターン情報が格納されている。相互作用情報として、本発明のマイクロアレイスキャナー装置を利用した方法やシステムによって得られた蛍光強度情報、上述の方法やシステムによって得られたV−Vo値やKa値、また、これまでに確立されている様々な実験系から得られた情報が利用可能である。
記憶手段6には、本発明の処理を実行するためのプログラムを含む各種プログラムが格納されている。本発明の処理を実行するためのプログラムには、入力された蛍光強度の組み合わせ情報を、データベースに格納されている糖鎖に相互作用を示す種々のタンパク質に対する複数の糖鎖の相互作用情報の組み合わせ情報と照合し、組み合わせ情報のパターンが一致する構造既知糖鎖を1つないし複数選出するプログラム61、表示プログラム62、およびこれらを制御するためのプログラム63が少なくとも含まれる。その他、FAC装置を利用したシステムにおける処理を実行するためのプログラムが含まれてもよい。このようなコンピューターは、マイクロアレイスキャナー装置を利用したシステムだけでなく、FAC装置を利用したシステムにも使用できる。
相互作用情報の組み合わせ情報の照合過程においては、相互作用情報の組み合わせ情報の値同士を比較してもよい。プログラム61には、例えば、入力された蛍光強度の組み合わせ情報の値とデータベースに格納されている相互作用情報の組み合わせ情報の値を比較して、その値の近さから構造既知糖鎖を1つないし複数選出する機能が組み込まれていてもよい。
また、相互作用情報の組み合わせ情報の照合過程においては、相互作用情報の組み合わせ情報をパターン化して、そのパターン同士を比較してもよい。このような観点から、記憶手段6には、プログラム61の代わりに(または、プログラム61とともに)、入力された蛍光強度の組み合わせ情報をパターン化するプログラム61−1、データベースに格納されている糖鎖に相互作用を示す種々のタンパク質に対する複数の糖鎖の相互作用情報の組み合わせ情報をパターン化するプログラム61−2、および、入力された蛍光強度の組み合わせ情報のパターンを、データベースに格納されている糖鎖に相互作用を示す種々のタンパク質に対する複数の糖鎖の相互作用情報の組み合わせ情報のパターンと照合し、組み合わせ情報のパターンが一致する構造既知糖鎖を1つないし複数選出するプログラム61−3が格納されていてもよい。このパターン化に際しては、適切な内部標準を用いて相互作用情報の規格化を行うことも可能である。例えば、入力された蛍光強度情報、およびデータベースに格納されている糖鎖に相互作用を示す種々のタンパク質に対する複数の糖鎖の相互作用情報を、基準糖鎖の蛍光強度情報に対する相対値に変換することで、個々の相互作用情報を規格化することができる。すなわち、プログラム61−1には、入力された蛍光強度情報を、基準糖鎖の蛍光強度情報に対する相対値に変換するプログラムが含まれ、プログラム61−2には、データベースに格納されている糖鎖に相互作用を示す種々のタンパク質に対する複数の糖鎖の相互作用情報を、基準糖鎖の蛍光強度情報に対する相対値に変換するプログラムが含まれる。例えば、蛍光強度情報の相対値への変換は以下の数式7を用いて行うことができる(データベースに格納されている糖鎖に相互作用を示す種々のタンパク質に対する複数の糖鎖の相互作用情報の相対値への変換も同様に行うことができる)。基準糖鎖としては、あらかじめ性状を十分に調査した糖鎖を例示できる。
なお、蛍光強度情報が負の値を示す時は、蛍光強度情報を0として相対値を計算する。
プログラム61−1や61−2には、例えば、任意の設定スレッショルド値入力されることで、そのスレッショルドの範囲に相互作用情報をレベル分けし、コード化する(各レベルに対して、例えば異なる数字や異なる色を当てはめる)機能が組み込まれている。
プログラム61−3は、プログラム61−1を実行して得られるパターンを、プログラム61−2を実行して得られるパターンと照合し、組み合わせ情報のパターンが一致する構造既知糖鎖を1つないし複数選出するプログラムである。例えば、入力された蛍光強度情報の相対値の組み合わせ情報のパターンと、データベースに格納されている糖鎖に相互作用を示す種々のタンパク質に対する複数の糖鎖の相互作用情報の相対値の組み合わせ情報のパターンについて、2点間の多変量距離を求め、これをもとにパターンの相違度の低いモデル(群)(一致度の高いモデル(群))を選択することができる。すなわち、プログラム61−3には、入力された蛍光強度情報の相対値の組み合わせ情報のパターンと、データベースに格納されている糖鎖に相互作用を示す種々のタンパク質に対する複数の糖鎖の相互作用情報の相対値の組み合わせ情報のパターンと照合し、組み合わせ情報のパターンが一致する構造既知糖鎖を1つないし複数選出する(すなわち、パターンの一致度の順位が高い構造既知糖鎖を1つないし複数選出する)プログラムが含まれる。相違度(一致度)の計算においては、例えば、距離尺度としてマンハッタン距離を採用することができる。糖鎖aと糖鎖bの間の多変量距離dabは、それぞれのm変数の差から上記数式6で計算できる。
なお、データベースにパターン情報が格納されている場合は、プログラム61−3は、プログラム61−1を実行して得られるパターンを、データベースに格納されているパターンと照合し、パターンが一致する構造既知糖鎖を1つないし複数選出する。プログラム61−3には、例えば、構造既知糖鎖のコードと被検糖鎖のコードを比較して、被検糖鎖とコードが一致する構造既知糖鎖を選出する機能が組み込まれている。
プログラム62は、例えば、蛍光強度情報の表示、相互作用情報の表示、選出された構造既知糖鎖の表示などを行う。
本発明においては、上述のプログラムを1つのプログラムにまとめることもできる。
本発明のシステムにより実行される処理のフローの一例としては、まず、蛍光標識した被検糖鎖を接触させた糖鎖に相互作用を示す種々のタンパク質がそれぞれ固定化された基板がマイクロアレイスキャナー装置にセットされた場合に、該基板に励起光が入射され、励起される蛍光の強度が検出される。複数の基板がマイクロアレイスキャナー装置にセットされた場合は、該複数の基板が順次自動的に検出部に固定され、スキャニングが行われる。処理のフローの一例としては、次いで、蛍光強度情報が自動的にコンピューターに入力される。入力された情報は、コンピューターの記憶手段または一時記憶手段に格納しておくことができる。また、蛍光強度情報は、データベースに格納されてもよい。蛍光強度情報を蓄積することで、今まで存在しえなかった大規模かつ実用性の高い、糖鎖に相互作用を示すタンパク質に対する糖鎖の相互作用情報データベースを構築することができる。
本発明では、中央処理装置(CPU)などの演算手段が記憶手段中のプログラム62の指令を受け、記憶手段または一時記憶手段に格納された蛍光強度情報を読み出し、該蛍光強度情報を表示することもできる。例えば、あらかじめ性状を十分に調査した基準となる糖鎖に相互作用を示すタンパク質試料スポット(内部標準スポット)の発する蛍光強度を基準として、各スポットの輝度値を補正した値を表示することができる。内部標準スポットは複数であってもよい。
処理のフローの一例としては、次いで、入力された蛍光強度の組み合わせ情報を、データベースに格納されている糖鎖に相互作用を示す種々のタンパク質に対する複数の糖鎖の相互作用情報の組み合わせ情報と照合し、組み合わせ情報のパターンが一致する構造既知糖鎖を1つないし複数選出する。この処理工程は、中央処理装置(CPU)などの演算手段が記憶手段中のプログラム61の指令を受け、記憶手段または一時記憶手段に格納された蛍光強度の組み合わせ情報とデータベースに格納されている糖鎖に相互作用を示す種々のタンパク質に対する複数の糖鎖の相互作用情報の組み合わせ情報を読み出し、それぞれの組み合わせ情報を照合し、組み合わせ情報のパターンが一致する構造既知糖鎖を1つないし複数選出する。選出された構造既知糖鎖情報は、コンピューターの記憶手段または一時記憶手段に格納しておくことができる。
データベースがコンピューターの外部にある場合は、中央処理装置(CPU)などの演算手段が記憶手段中のプログラム61の指令を受け、データベースに格納されている糖鎖に相互作用を示す種々のタンパク質に対する複数の糖鎖の相互作用情報の組み合わせ情報をコンピューターに入力し、記憶手段または一時記憶手段に格納された蛍光強度の組み合わせ情報を読み出し、それぞれの組み合わせ情報を照合し、組み合わせ情報のパターンが一致する構造既知糖鎖を1つないし複数選出する。
なお、プログラム61の代わりに、プログラム61−1〜61−3を用いるときも、同様なフローで処理される。
処理のフローの一例としては、次いで、選出結果が表示手段によって表示される。この処理工程では、中央処理装置(CPU)などの演算手段が記憶手段中のプログラム62の指令を受け、記憶手段または一時記憶手段に格納された構造既知糖鎖情報を読み出し、表示する。
なお、本明細書において引用された全ての先行技術文献は、参照として本明細書に組み入れられる。
図2は、FACの実験において得られた溶出曲線をもとに溶出前端(V)を算出する計算方法の概略を示す図である。
図3は、本発明のシステムの構成図である。検出手段は、FAC装置あるいはマイクロアレイスキャナー装置である。
図4は、本発明のシステムにおけるコンピューターの構成図である。記憶手段6には、FAC装置を使用したシステムの処理を実行するためのプログラム61〜64、および/または、マイクロアレイスキャナー装置を利用したシステムの処理を実行するためのプログラム61〜63が少なくとも格納されている。記憶手段(データベース)7には、糖鎖に相互作用を示す種々のタンパク質に対する複数の糖鎖の相互作用情報、および/または該相互作用情報の組み合わせパターン情報が格納されている。
図5は、本発明のプログラム61−1を用いた溶出前端(V)算出の一例を示す図である。図中(I)は、算出された溶出前端を示す。
図6は、FACの実験から得られたV−V0値を糖鎖ごとに表示し、且つ、任意のスレッショルドの範囲にレベル分けし、コード化を行った実施例を示す図である。
図7−1から3は、FACの実験から得られたV−V0値をもとに、各糖鎖試料に対するV−V0値やKa値をグラフとして示す図である。
図8は、レクチン−糖鎖相互作用測定に使用した糖鎖を示す図である。
図9は、結合強度(V−Vo値)に基づく相互作用の6段階評価を示す図である。
図10は、レクチン−糖鎖相互作用強度の6段階評価によるコード化を示す図である。
図11は、レクチン−糖鎖相互作用情報に基づいた糖鎖プロファイリング方法を例示した図である。
図12は、ガラス表面に対するGTMSの反応過程を示す図である。GTMSのアルコキシシリル基は水で加水分解されてシラノール基となる。このシラノール基は不安定で、経時変化により部分的に縮合してオリゴマー状態になり、続いてガラス表面に水素結合的に吸着する。その後、ガラスを乾燥処理することでガラス表面のシラノール基と脱水縮合反応が起こり、強固な共有結合となる。
図13は、本実施例で用いた8つの反応槽を形成させた基板を示す図である。新規設計した8穴ラバーの厚さは1mmであり、専用のアジャスター上でスライドガラスと密着させることによってスポット周囲に正確に蛍光標識化糖プローブ溶液を満たすことが可能となる。反応槽内に満たす試料の最適量は50μLである。
図14は、2種のレクチンを固定化したアレイ上にCy3−ASF溶液を加えた、レクチンアレイの性能実験の概念図である。
図15は、固定化時のレクチン溶液濃度とスポットの蛍光強度との関係を示す図である。親和定数の高いレクチン−糖鎖間の相互作用の検出においては、スポットするレクチン試料の濃度を1mg/mL以上に高濃度化することがシグナル強度の向上に有効であることが分かった。
図16は、レクチン−糖鎖相互作用の検出と、阻害糖による相互作用への影響を示す図である。RCA−120のスポットにおいて強い蛍光が、またEW29(Ch)のスポットにおいては中程度の蛍光が観察された。
図17は、阻害糖のレクチン−糖鎖相互作用への影響をグラフとして示す図である。ラクトース(競合阻害糖)共存下で実験を行った。共存するラクトース(競合阻害糖)の濃度増加に従って、スポットの蛍光強度が減少していることから、蛍光糖タンパク質プローブの結合はレクチンと糖鎖間の糖特異的結合反応であるということが確認できた。
レクチン−糖鎖間相互作用情報は、レクチンカラムを並列に2本接続したフロンタルアフィニティークロマトグラフィー自動化装置(FAC−1、島津製作所)を用いて収集した。レクチン−糖鎖間相互作用解析のために必要なレクチンカラムは、以下に記載の方法で調製した。
1.精製レクチンを0.1M炭酸水素ナトリウム緩衝液(pH8.5)に溶解する。
2.レクチンを、タンパク質中の一級アミノ基を介してNHS活性化樹脂に固定化する。
3.レクチン固定化濃度が2〜9mg/mLになるように樹脂を調製する。
4.レクチン固定化樹脂を、充填体積31.4μLのカプセル(内径2mm、長さ10mm)に充填する。
5.カプセルの前後にフィルターを挟む。
6.2種類のレクチン固定化樹脂を充填したカプセルをホルダーで保護し、レクチンカラムとしてFAC−1に接続する。
緩衝化した2本のレクチンカラムに対し、分析用緩衝液(0.8%NaClを含む10mM Tris−HCl緩衝液(pH7.4))でレクチンがもつ解離定数(Kd)よりも十分低い濃度(2.5nM)に希釈したPA化糖鎖(ピリジルアミノ化糖鎖)を流速0.125mL/minで300μLずつ連続的に注入した。注入にはオートサンプラーを用い、1サンプル当たり交互に5分ずつ測定を行った。カラムからのPA化糖鎖の溶出は、蛍光検出器(RF10AXL,島津製作所,励起波長/蛍光波長=310nm/380nm)を用いて検出した。
相互作用情報は、レクチンと相互作用しない糖鎖(PA化ラムノース)の溶出前端(V0)を基準とした際の、相互作用するものの溶出前端(V)の遅れ(V−Vo)、あるいは糖鎖とレクチン間の親和定数(Ka)として得た。具体的には、蛍光検出器を用いて検出したデータを、島津製作所作製汎用HPLC制御ソフト「LC Solution」(分析メソッドの作製、データの保存、データファイルからテキストファイルへの書き出し等の基本動作を行なう)で制御し、一連の実験終了後「LC Solution」にてデータファイルからテキストファイルを書き出し、これを独自に開発したエクセルベースのソフトウェア「FAC Analyzer Ver.3.17」を用いて解析計算を行なった(図6および7)。このソフトウェアを利用することで、各サンプルの溶出前端(V)の算出(Arata,Y.,Hirabayashi,J.,and Kasai,K.,J.Chromatogr.A 905,335−343,2001、Arata,Y.,Hirabayashi,J.,and Kasai,K.,J.Biol.Chem.276,3068−3077,2001)、各サンプルの参照糖鎖試料に対する溶出の遅れ(V−Vo値)の一斉算出、Ka値の自動計算、クロマトグラムの一覧表示、各糖鎖試料に対応するV−Vo値・Ka値の表示、各糖鎖試料の相互作用強度のコード化を一括して自動的に行うことができる。また、このソフトウェアには、任意の設定スレッショルド値が入力されることでそのスレッショルドの範囲にレベル分けする機能が組み込まれている。本実施例ではこの機能を用い下記のスレッショルドを基準にしてV−Vo値に基づきレベル分けし、数字(0〜5)を当てはめた(コード化)。
現在の暫定スレッショルド値(V−Vo,μL)
1以下 レベル0
2未満 レベル1
2−5未満 レベル2
5−10未満 レベル3
10−50未満 レベル4
50以上 レベル5
具体的には、41種の植物・菌類レクチンに対して、49種のPA化糖鎖(図8)との相互作用を測定した。その結果、2009の相互作用について定量的相互作用情報であるV−Voを得ることができた。ここで得られた相互作用情報は、結合強度(V−Vo値)に基づいて6段階評価した後、「0〜5」のコードに変換し(図9および10)、データベースを構築した。糖鎖構造の同定は、図11に示す手順を用いて行うことができた。その結果、現有するデータベースを利用することで、限定されたレクチン数であっても多種類の糖鎖を識別することが可能であることが明らかになった。理論的には10種類のレクチンであってもその特異性が異なる場合、上記工程で識別可能な糖鎖の種類は610=60,466,176となり、事実上自然界に存在する殆どの糖鎖構造の識別が可能である。該データベースには、多種類の糖鎖標品ライブラリーと多種類のレクチンから得た相互作用情報が格納される。したがって、本発明者らは、該データベースを利用すれば相当数の糖鎖構造の判別ができると判断している。
種々の糖鎖とレクチン間相互作用の組み合わせパターンから構造未知糖鎖の構造推定を行うため、パターン検索法を用い2つのサンプル間の距離から相違度(一致度)を計算する手法を採用した。本手法の検証として、構造既知糖鎖の相互作用パターン(データベース)に対し、被検糖鎖の相互作用パターン(クエリー)を用いてブラインドテストを行った。具体的には、構造未知の被検糖鎖について、8種類のレクチンに対する相互作用パターンを入力し、データベースに格納されている構造既知糖鎖のレクチンに対する相互作用情報から、被験糖鎖の相互作用パターンと相違度の低いパターン(一致度の高いパターン)を持つ構造既知糖鎖を検索し、推定結果として提示する。
1.方法
(1)データの前処理
負のV−V0値は、0に置換した。次いで、▲1▼データベースに格納されている各レクチンの相互作用情報を相対値に変換した。具体的には、各レクチンについてV−V0が10−20μLの範囲にある糖鎖を基準糖鎖と定め、下式で各糖鎖の相対値を求めた。
V−V0が10−20μLを示す糖鎖が複数存在していた場合は、最大値の糖鎖を採用した。各レクチンの相互作用強度の相対値を表1に示す。
▲2▼被検糖鎖とレクチン間の相互作用情報は、レクチンごとに▲1▼で定めた基準糖鎖のV−V0を基準値として、同様に相対値を計算した(但し、必ずしも基準糖鎖のV−V0が10−20μL以内とは限らない)。各レクチンに対する相互作用強度の相対値を表2に示す。
(2)パターン検索法(相違度計算方法)
被検糖鎖とデータベース内の全ての構造既知糖鎖の相互作用パターンについて、2点間の多変量距離を求め、これをもとに相違度の低いモデル(群)(一致度の高いモデル(群))を取り出す。距離尺度としてはマンハッタン距離を採用し、相違度(一致度)を計算した。
マンハッタン距離:
糖鎖aと糖鎖bの間の多変量距離dabは、それぞれのm変数の差から以下の式で計算する。
2.結果と考察
相違度の低い順(一致度の高い順)にデータベース内の糖鎖を取り出し、ブラインドテストの解答と照合した。被検糖鎖の構造推定結果を表3に示す。
実験の結果より、構造既知糖鎖の相互作用情報を格納したデータベースの親和性パターンと、構造未知糖鎖の親和性パターンから高精度に糖鎖構造を推定することが可能であることが分かった。
(1)蛍光標識化糖タンパク質プローブ(Cy3−ASF)の調製
蛍光標識化糖タンパク質プローブとして、アシアロフェツイン(SIGMA社、以下ASF)を550nm付近に吸収極大波長を持つ蛍光色素であるCy3 Mono−reactive Dye(アマシャムファルマシア社、以下Cy3)を用いて蛍光標識化して調製した。ASFはN−結合型糖鎖とO−結合型糖鎖を3本ずつ分子中に持ち、かつ糖鎖中の非還元末端のシアル酸キャップが部分的に外れている糖鎖構造を持つことが知られている。ASFを0.1M炭酸緩衝液(pH9.3)に終濃度1mg/mLになるよう調製した後、1mLについて1.0mgのCy3粉末と混合させ、1時間、適時攪拌しながら暗所で反応させた。
次に担体としてSephadex G−25を用いたゲルろ過クロマトグラフィーにより、遊離のCy3とCy3−ASFを分離回収し、精製したCy3−ASFについて吸光光度計を用いて濃度及び蛍光標識効率を測定した。タンパク質ベースの収率は35−40%、蛍光標識効率(1タンパク質分子あたりの蛍光色素数)は約3.0であった。
(2)スライドガラスへのGTMSコーティング
エポキシ基を活性基として有する3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーン社、以降GTMS)をコーティングしたスライドガラス(図12)を用い、レクチンをガラス表面に固定化した。GTMSコーティングは、松浪硝子工業社製のスライドガラスを用い、以下の手順で行った。スライドガラスを10%KOH/MeOH溶液に浸し、容器ごと振盪させた状態で1時間放置しガラス表面を処理した。これを十分量の精製水(ミリQ水)により洗浄した後、60℃のオーブン内で乾燥させた。次にスライドガラスを2%GTMSアセトン溶液に浸し、遮光下で容器ごと振盪させながら1時間反応させた。反応後、110℃のオーブン内で8時間乾燥させた後、十分量の精製水により洗浄し、乾燥させた。
(3)スライドガラスへのレクチンの固定化
(2)のGTMSコーティングを施したスライドガラスにレクチンをスポットした。マイクロアレイスポッターとして日本レーザ電子社製STAMPMANを使用し、先端直径0.40mmのスタンプピンを使用してスポットを行ことで、直径約0.6−0.7mmのスポットをスライドガラス上に配置した。スポットする各レクチンを濃度1mg/mL(レクチンによっては一部0.5mg/mL)となるようにリン酸緩衝生理食塩水、pH7.4(以下PBS)に溶解した。これを96穴のPCR用マイクロタイタープレート(コーニング社)の各ウエルに10μLずつ分注したものを、マイクロアレイスポッターにセットした。
スライドガラスへのレクチンの固定化操作に際しては以下の条件をマイクロアレイスポッター付属のコンピューターに記憶させ、スタンプピン動作プログラムを実行させた。まずスタンプピンを96穴PCR用マイクロタイタープレート内の固定化試料溶液中に1秒間浸した後に引き上げ、スライドガラス表面の所定の位置に1秒間接触させた。この動作を1スポットごとに繰り返しながら、同一試料溶液から横1列に4点スポットを行った後、スタンプピンの洗浄工程を行った。洗浄工程ではスタンプピンの針先を0.05%SDS溶液に2秒間浸し、スタンプピンをバキューム装置内で15秒間乾燥させ、さらに精製水に2秒間浸した後に、バキューム装置内で15秒間乾燥、最後にエタノールに2秒間浸してからバキューム装置内で15秒間の乾燥操作を行った。
本実施例では様々な糖結合特異性をもったレクチン4種(ヒママメレクチン(以下RCA−120)、ニホンニワトコレクチン(以下SSA)、組み換え放線菌由来キシラナーゼのキシラン結合ドメイン(以下XBD)、組み換えミミズ29kDaレクチン由来のC末端側ドメイン(以下EW29(Ch))とネガティブコントロール1種(ウシ血清アルブミン(以下BSA))の計5種のタンパク質をスポットした。RCA−120、BSAについてはSIGMAより購入したもの、SSAは生化学工業より購入したもの、XBD,EW29(Ch)については本発明者らの研究室で大腸菌にて発現・精製したものを用いた。
(4)非スポット面のブロッキング
レクチン溶液をスポット処理後1時間反応させガラス表面に固定化した後、未結合レクチンを洗浄した。洗浄は0.1%Tween20を含むPBS溶液(PBST)を数回ピペットでスライドガラスに吹き付けるようにかけて洗浄した後、PBSを用いてさらに十分に洗浄した。
このレクチン固定化後のスライドガラスに対し、本発明者らが設計・開発した8穴ラバーを所定の位置に貼り付け、8つの反応槽を作製した(図13)。この8穴ラバーは厚さ1mmからなる黒色のシリコンゴム製で、縦横9.5×7.5mmからなる8つの長方形の穴が規則正しく空いており、スライドガラスに貼り付けたときに8つの反応槽を形成することができる。この反応槽に50μL程度の試料を加えれば、内部を十分量の試料溶液で満たすことができる。
レクチンをスポットした領域以外のガラス表面には活性基であるエポキシ基が残存しているため、非スポット面に対するブロッキング操作を行った。なお、ブロッキング剤には高純度BSA(SIGMA)を使用した。8つの反応槽内に1%BSAを含むPBS溶液を50μLずつ満たし、湿度を90%以上に保った保存容器中で4℃、1時間放置し、スライドガラス上の非スポット面へのブロッキングを行った。反応の間はガラス表面の乾燥防止に留意した。
次にスライドガラス上のブロッキング溶液を除去し、PBSを用いて十分に洗浄した後、水分を除去した。タンパク質固定化後はガラス表面の乾燥によるタンパク質の変性や、乾燥に伴うバックグラウンドの上昇を防ぐため、可及的速やかに次の操作に移った。
(5)プローブ溶液の添加とスキャニング
(4)で作製したレクチン固定化スライドガラス上の反応槽に相互作用を解析したい蛍光標識化糖タンパク質プローブ溶液を加えた。蛍光標識化糖タンパク質プローブは終濃度10μg/mLになるようPBSに溶解したものを調製し、それぞれの反応槽に50μLを滴下した。
レクチン−糖鎖間の反応が平衡に達するまで静置した後に、エバネッセント励起方式マイクロアレイスキャナーであるGTMAS Scan III(日本レーザ電子社)を使用してスライドガラス端面より励起光を入射し、励起されて生じた蛍光発光を、スライドガラス下面に配置されているICCD(イメージインテンシファイアー付電荷結合素子)カメラで検出した。スライドガラスのほぼ全面に対する蛍光イメージをスキャニングし、得られたイメージ画像をTIFFファイル形式(1枚につき約100 M Bite)にて保存した。スキャニング時のパラメーターはGain「5000倍」、積算回数「4回」、露光時間「33msec」で統一した。
(6)スキャニング画像の数値化
スキャニング画像の数値化には市販のマイクロアレイ用解析ソフトであるArray−Pro Analyzer(version 4.0 for Windows(登録商標)、Media Cybernetics社)を使用した。各スポットの輝度を上記解析ソフトを用いて算出し、非スポット領域の輝度をバックグラウンド値とした。各スポットの輝度からバックグラウンド値を差し引いたものを正味の輝度値とし、横列に4点並べた同一試料由来のスポットごとに平均値と標準偏差を算出した。
以降は各レクチン試料に対するプローブの結合に対してはこの同一試料由来の4点の平均輝度値を用いて評価を行った。以降に示す各レクチンアレイの性能評価は操作(2)〜(6)の一連の行程を経た後に行われた。
(7)GTMSコートスライドガラスの性能評価
上述のように作製したGTMSコートスライドガラスの性能を、既存のスライドガラス(6種)と比較評価した。すなわち表面コートされた各スライドガラスに、あらかじめCy3標識したレクチン(100μg/ml)をアレイ状に固定化し、(3)〜(6)の行程を経た後に、スポッティング領域の輝度値(S)と非スポッティング表面の輝度値(N)からS/N比を算出した。その結果、表4に示すように(2)の行程で作製したGTMSコートスライドガラスの輝度値は、最高値を示したスライドガラスAの2分の1程度にとどまったが、バックグラウンドが非常に低いため、そのS/Nは16.1となり、今回評価したスライドガラスの中で最良値を示した。
(8)アレイ上の固定化レクチン濃度の検討(図14および15)
RCA−120とConAはそれぞれ複合型糖鎖と高マンノース型糖鎖に対し高い親和性をもつことが知られる代表的なレクチンである。これらのレクチンを様々な濃度で調製し、同一試料について横に4点並べてアレイ状にスポットした。このアレイについて10μg/mLのCy3−ASFを各50μLずつ滴下し、スキャナーで蛍光を観察した。
上述したようにASFはN−結合型糖鎖とO−結合型糖鎖を3本ずつ分子中に持ち、かつ糖鎖中の非還元末端のシアル酸キャップが外れラクトサミン構造が突出した糖鎖構造を持つことが知られている。よってRCA−120とConAを固定化したレクチンアレイに対し、Cy3−ASFを添加した実験系においては、RCA−120が非常に強い親和性を示し、ConAが弱い親和性を示すことが予想された。
実験の結果、RCA−120のスポットが強い蛍光を発したのに対し、ConAのスポットは同条件のRCA−120のスポットに比べて1/3程度の蛍光強度を示すに止まった。ConAが弱いながらも複合型糖鎖を持つASFに結合したのは、N−結合型糖鎖のうちASFに主として存在する3本鎖型糖鎖には結合できないものの、少量存在するとされる2本鎖型糖鎖には結合できるためと考えられた。またこのデータから同一試料由来の4点についての標準偏差(SD)は約±20%程度になるということが分かった(図15)。
次にスポット時のレクチン濃度と蛍光強度の関係をグラフ化したところ、スポット時のレクチン濃度と蛍光強度の間に正の相関関係があり、スポットするレクチン試料の濃度を1mg/mL以上に高濃度化することで、効果的にシグナル強度を向上することができることが分かった。すなわち親和定数の小さい(結合の弱い)レクチン−糖鎖間の相互作用の検出は固定化レクチン濃度を上げる事により可能となることが分かった(図15)。
(9)レクチンアレイの性能評価
様々な糖特異性をもったレクチン4種(RCA−120、SSA、XBD、EW29(Ch))、とネガティブコントロール1種(BSA)の計5種のタンパク質を同一試料について横に4点並べてアレイ状にスポットした。このアレイについて10μg/mLのCy3−ASFを各50μLずつ滴下し、スキャナーで蛍光を観察した。
実験の結果FACでラクトサミン構造に親和性があると確認することができたRCA−120、EW29(Ch)の2種のレクチンのスポットにおいて蛍光シグナルが観察された(図16)。またそれぞれの蛍光強度を比較すると、RCA−120のスポットにおいて強い蛍光が、EW29(Ch)のスポットにおいては中程度の蛍光が観察され、FAC解析データと一致した。
また同条件のアレイに対しラクトース(競合阻害糖)共存下で同様の実験を行ったところ、阻害糖の濃度上昇に伴って、スポットの蛍光強度の減少が観察された(図17)。このことから、蛍光糖タンパク質プローブとの結合はレクチンと糖鎖間の糖特異的結合反応によるものであることを確認することが出来た。
産業上の利用の可能性
これまでの技術では、糖鎖に対する抗体を膜に固定化して、糖鎖を反応させたときの結合の有無から、糖鎖構造の存在を推定している。しかし、生物間で共通性の高い糖鎖や生体内での存在が極めて微量である糖鎖に対しては抗体を調製することが難しい上、非常に広い多様性を持つことが知られている糖鎖に対応する抗体ライブラリーを多数用意することは現実的には大変な労力を要する。また糖鎖を段階的に酵素消化していき、抗体固定化膜と反応させる作業においても、酵素消化が完全に進行しない場合の評価をどのように行うかが実用上問題となる。また所望の結合を切断する酵素が得られない場合にはそれ以上の解析は出来ないという欠点がある。
また、5種のレクチンを用いて糖鎖構造を推定できるとしている報告があるが、定量的な親和力情報を用いていないため、この程度のレクチン数で取得可能な情報は、糖鎖構造内の特徴の一部に過ぎず、また網羅性にも欠ける。さらに、構成糖の少ない5糖からなる標識糖鎖を用い、酵素消化を段階的に行った際に5種のレクチンとの相互作用のパターンの変化を観察することで構造を推定できるという報告があるが、糖鎖を構成する単糖の数が増えたときには、時間、労力、用意する酵素の数等の面で明らかに不利であると考えられる。
これに対して本発明の、FAC装置による相互作用解析では、あらかじめ多種類の糖鎖標品ライブラリーと多種類のレクチンから得た定量的な相互作用対照データの情報を利用し、構造を類推するので、より高精度な糖鎖構造の類推・同定が可能である。FAC装置による解析では、標識糖鎖の酵素消化や、インキュベートやブロッキングにかかる時間と手間を必要としない。一方マイクロアレイスライドとマイクロアレイスキャナーを用いた相互作用解析では、スポットの高密度化や複数のプローブ溶液を用いた同時並列処理が可能であるため、解析のスループットを大幅に高めることができる。また、プローブ溶液の洗浄・除去操作を行わない結果、操作の省力化や操作時間の短縮を図ることができる。
また、本発明により、基盤となる相互作用データの蓄積、糖鎖プロファイラーとしての最適な原理の選択、糖鎖プロファイラーの原型(プロトタイプ)創出、多原理(MS、バイオIT等)との融合技術開発等が期待される。さらに、極少量の患者組織、血液を用いて時間単位で糖鎖のプロファイルを分析でき、病気等の即時精密診断を可能とする高スループット装置の開発、および市場導入や、糖鎖構造を実質的に特定、記述できる糖鎖プロファイリングシステムの実用化と、その普及の結果もたらされる生命現象の解明が期待される。
Claims (5)
- 糖鎖構造を分析する方法であって、
(a)糖鎖に相互作用を示す種々のタンパク質がそれぞれ固定化された並列化カラムを有するFAC装置に、蛍光標識した被検糖鎖を導入する工程、
(b)それぞれの糖鎖に相互作用を示すタンパク質に対する被検糖鎖の相互作用を測定する工程を含み、
測定されたそれぞれの糖鎖に相互作用を示すタンパク質に対する被検糖鎖の相互作用の組み合わせパターンが、それぞれの糖鎖に相互作用を示すタンパク質に対する複数の糖鎖の相互作用を含む対照データ中のそれぞれの糖鎖に相互作用を示すタンパク質に対する特定の糖鎖の相互作用の組み合わせパターンと一致するときに、被検糖鎖が該特定の糖鎖と同じ構造であると判定される方法。 - 糖鎖に相互作用を示すタンパク質が、レクチン、糖結合ドメインを有する酵素タンパク質、糖鎖に親和性を有するサイトカイン、または糖鎖に相互作用を示す抗体である、請求項1に記載の方法。
- 以下の手段からなる、コンピューターを用いた糖鎖構造分析システム。
(a)糖鎖に相互作用を示す種々のタンパク質に対する複数の糖鎖の相互作用情報が格納されている記憶手段
(b)糖鎖に相互作用を示す種々のタンパク質がそれぞれ固定化された並列化カラムを有するFAC装置に、蛍光標識した被検糖鎖が導入された場合に、それぞれのカラムから溶出された被検糖鎖に付された標識の蛍光強度を経時的に検出する検出手段
(c)入力された蛍光強度情報を基に、それぞれの糖鎖に相互作用を示すタンパク質に対する被検糖鎖の相互作用情報を算出し、該相互作用情報の組み合わせ情報を、(a)に格納されている組み合わせ情報と照合し、組み合わせ情報のパターンが一致する構造既知糖鎖を1つないし複数選出する手段
(d)選出結果を表示する表示手段 - 工程(c)に記載の演算手段が以下の(i)または(ii)からなる、請求項3に記載のシステム。
(i)入力された蛍光強度情報を基に、それぞれのカラムからの被検糖鎖の溶出容積を算出し、該溶出容積と対照溶出容積の差を算出し、該差の組み合わせ情報を、(a)に格納されている組み合わせ情報と照合し、組み合わせ情報のパターンが一致する構造既知糖鎖を1つないし複数選出する手段
(ii)入力された蛍光強度情報を基に、それぞれのカラムからの被検糖鎖の溶出容積を算出し、該溶出容積と対照溶出容積の差を算出し、該差を基にそれぞれの糖鎖に相互作用を示すタンパク質と被検糖鎖の親和定数を算出し、該親和定数の組み合わせ情報を、(a)に格納されている組み合わせ情報と照合し、組み合わせ情報のパターンが一致する構造既知糖鎖を1つないし複数選出する手段 - 糖鎖に相互作用を示すタンパク質が、レクチン、糖結合ドメインを有する酵素タンパク質、糖鎖に親和性を有するサイトカイン、または糖鎖に相互作用を示す抗体である、請求項3または4に記載のシステム。
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