まず、無線基地局1に複数の無線端末(STA)から構成される第1の無線通信システムについて、図面を用いて第1の実施形態から第25の実施形態で説明する。
(第1の実施形態)
図1に、本実施形態のIEEE 802.11の無線LANシステムで1つの無線基地局(AP)1に複数の無線端末(STA)101〜104が無線接続する通信形態を取る場合の例を示す。IEEE 802.11でこの無線基地局と複数の無線端末から成る構成単位をBSS(Basic Service Set)という。
無線端末は前記同一BSS内で他の無線端末と通信する際は、無線基地局を介しての通信または他の無線端末との直接通信のいずれかを行うが、前記他の無線端末との通信方法の選択基準は無線基地局からの指示により行う。
図1では1つのBSSのみから構成される無線通信システムであるが、図2のように複数のBSSから構成されてもよい。このような無線通信システムの構成単位を、IEEE 802.11ではESS(Extended Service Set)という。無線基地局間はDS(Distributed System)といわれ、有線インフラで結ばれていてもよいし、また、無線で接続されていてもよい。この無線通信システム中の複数のBSSのうち、1つまたは限られた数のBSSでのみ、端末間の直接通信をサポ−トする形態でもよい。
(1)無線LANシステムの処理
以降、図1に基づき、説明する。
無線基地局1は無線端末101と無線端末102、各々と無線通信を行っている際に、無線端末101と無線端末102からの受信フレームの受信フレーム情報を保持し、それに基づき、無線端末101と無線端末102との間で直接通信ができるかを判断する。
直接通信ができると判断した場合、前記無線基地局1はいずれかの無線端末、例えば図3に示すように無線端末101に直接通信開始指示フレーム{1}を送信する。
例えば、IEEE 802.11では無線基地局、無線端末で送受するMACフレームは、デ−タフレーム(data frame)、管理フレーム(management frame)、制御フレーム(control frame)の3つに大別することができるが、これらいずれのフレームも無線基地局1で保持する受信フレーム情報として用いても良い。
無線基地局1からの直接通信開始指示フレーム{1}は、IEEE 802.11のMACフレームでの管理フレームの一種であってもよいし、また、MAC層より上位レイヤ、例えばTCP/IPレイヤで生成されたフレームで、MACではデ−タフレームとして扱われるものであってもよい。以降の説明ではIEEE 802.11 MACでの処理に基づき説明する。従ってその場合は、前記直接通信開始指示フレーム{1}はMACでの管理フレームとして扱われる。
(2)MACフレームの構成
IEEE 802.11の無線LANシステムでのMACフレームの構成を図4に示す。
MACフレームは、フレームの受信処理に必要な情報を入れるMAC Header部、フレームの種類に応じた情報、例えば上位LLC(Logical Link Control)層から渡されたデ−タなどが入るFrame Body部、そしてMAC Header部とFrame Body部が正しく受信できたかを判定するために用いる32ビットCRC(Cyclic Redundancy Code)で構成されるFCS (Frame Check Sequence)部から構成される。MAC Header部には、フレームの種別に応じてFrame Controlフィ−ルド、仮想的なキャリアセンスを実行する際に送信を抑制する期間(NAV: Network Allocation Vector)を示したり無線基地局に割り当てられた無線端末のID (AID: Association Identifier)を示すDuration/IDフィ−ルド、直接の送信先や最終宛先、送信元のMACアドレスを記述するMACアドレスフィ−ルド(複数存在)、送信するデ−タのSequence番号や、フラグメント化した場合のFragment番号を入れるSequence Controlフィ−ルドなどが入る。Frame Controlフィ−ルドにはフレームの種別を示すTypeフィ−ルド、Subtypeフィ−ルドや、DS宛て(すなわち無線基地局宛て)かを示すToDSビット、DSから(すなわち無線基地局から)送信されたかを示すFromDSビットなどが入っている。
(3)受信フレーム情報
受信フレーム情報として、本実施形態では、特に受信フレームの受信電界強度を用いる。
無線基地局1は無線端末101と無線端末102からの受信フレームの受信電界強度がともにある値以上のときに、直接通信開始指示を出す処理に入るよう、受信電界強度の閾値を定めておく。無線端末101と無線端末102からの受信フレームを各々観測している際に、前記閾値と比較し、前記閾値より大きければ直接通信の一方の無線端末となる候補としておく。閾値は実際の受信電界強度の電力値でもよいし、なんらかの法則に基づいて定めたレベル値でもよい。また、統計的な受信電界強度を求めるため、所望無線端末からの受信フレームを複数観測して平均を求め、判断するようにしてもよい。
無線基地局1は無線端末からの認証のためのAssociation要求を受け付けた際などに、無線端末が直接通信を行うことができるかという情報を収集し、直接通信を行うことができる無線端末からの受信フレーム情報のみを取得するようにしてもよい。
(4)無線基地局1内部の送受信部
無線基地局1内部の送受信部の構成を図5に示す。
無線基地局1は少なくともアンテナ10と受信部11と受信制御部12と情報処理部13と受信情報記憶部14と送信制御部15と送信部16とから構成されている。受信情報記憶部14は外部メモリとして保持してもよいし、受信制御部12の中に入れられていてもよい。
情報処理部103で、例えば、ユ−ザの操作により送信デ−タを作成したり、送信デ−タの送信が指示されると(送信要求が生ずると)、これを受けて送信デ−タを送信制御部15へ渡す。この送信デ−タは例えば、IPパケットであってもよい。送信制御部15は、他の無線基地局へまたは無線端末へbroadcast、multicast、unicastで送信するフレームの生成等の、例えばIEEE 802.11 (IEEE 802.11aやIEEE 802.11bも含む)に準拠した所定の送信処理などを行う。ここで生成された、例えばIEEE 802.11で規定するMACフレームのデジタルデ−タは、送信部16を通じて所定周波数の無線信号に変換された後、アンテナ10から送信信号として他の無線基地局または無線端末へ送信される。情報処理部103は、有線ネットワ−ク17と接続していてもよく、有線ネットワ−クからデ−タが入力されると、前記デ−タが他の無線基地局または無線端末宛ての場合、同様にデ−タを処理して送信信号として出力される。
アンテナ10から入力された受信デ−タは受信部11で復調及び復号を含む処理によって受信信号を生成し、それが受信制御部12に入力されると、例えばIEEE 802.11 (802.11aや802.11bも含む)に準拠した所定の受信処理などが行われる。受信制御部12で受信信号はデジタルデ−タとしてのMACフレームに変換され、このMACフレーム中のデ−タフィ−ルドから受信デ−タを抽出して情報処理部13へ渡す。この場合、情報処理部13は、受信デ−タをディスプレイに表示する等の処理を行う。なお、情報処理部13は、上記以外にも各種情報処理を行うようになっていてもよい。また、情報処理部13が有線ネットワ−ク17に接続していて、前記受信デ−タが有線ネットワ−ク17上に接続する他の無線基地局など他端末宛ての場合、情報処理部13から有線ネットワ−ク17宛てにデ−タを出力される。
無線基地局1は無線端末からのフレームを受信した場合に、受信制御部12から受信したフレームの受信情報(例えばここでは前記フレームの受信電界強度が閾値を越えているか否か、または閾値を越えているもののみ)を前記フレームを送信した無線端末の識別子、例えば無線端末のアドレス情報、IEEE 802.11ならMACアドレス、とともに記憶する受信情報記憶部14を有する。受信情報記憶部14では限定数の無線端末に関する受信情報の収集のみ行ってもよい。この場合、受信情報記憶部14で収集する無線端末の受信情報は情報処理部13から指定されるようにしてもよい。または受信制御部12で受信した全ての無線端末の受信情報を保持するようにしてもよい。ここで、例えば前述したように、無線端末が直接通信を行えるかの情報を用いて受信したフレームの受信情報をフィルタリングし、収集するようにしてもよい。例えば直接通信を行える無線端末のMACアドレスを記憶しておき、受信フレームの送信元アドレスをアドレスフィ−ルドから抽出して、それと比較し、記憶していたMACアドレスであれば、前記受信フレームの受信情報を取得するようにである。
受信情報処理部14で受信電界強度が閾値より高い受信フレームであった送信元無線端末が2つある場合、その情報を情報処理部13に渡し、情報処理部13は前記無線端末の一方、例えば無線端末101にもう一方の無線端末、無線端末102と直接通信を開始させる直接通信開始指示フレーム{1}を生成するよう、送信制御部15に通知し、送信制御部15では無線端末101宛て直接通信開始指示フレームを生成、送信部16を介してアンテナ10から送信する。前記当する無線端末が2つ以上あった場合は、その組み合わせ全てに対して情報処理部13で組の一方の無線端末に直接通信開始指示フレーム{1}を送信するようにしても良いし、受信情報処理部14で受信フレームの受信電界強度が閾値より大きい順で組み合わせを限定し、情報処理部13に通知するなど、制限するようにしても良い。
(5)無線基地局1での処理
無線基地局1でフレームを受信し、直接通信可能な無線端末の組を判断する処理例のフローチャートを図6に示す。
フレームを受信すると、前記フレームの受信電界強度が直接通信を許可する受信電界強度の閾値を越えているかを判断し、前記情報を保持する。ここで、例えばAssociation要求を受け付けた際などの、無線端末が直接通信を行うことができるかという情報に基づき、直接通信を行うことができる無線端末からの受信フレーム情報のみを取得するようにしてもよい。
ともに前記閾値を越えている無線端末の組が存在する場合、無線基地局1は前記当する組の一方の無線端末、例えば無線端末101宛てに直接通信開始指示のフレームを生成するよう、例えば情報処理部13から送信制御部15に通知、受信したフレームに関しては、通常の受信フレームの処理を行う。その後、直接通信開始指示のフレーム送信を行うことになる。
(6)本実施形態の効果
このようにすることによって、無線基地局での2つの無線端末からの受信電界強度が高いことから、無線基地局は近傍に前記2つの無線端末が存在して前記2つの無線端末間でも無線通信リンクの状態がよいと推定することができ、実際の接続可能確率及び接続時の通信品質の向上を図ることができるとともに、前記2つの無線端末での直接通信の開始を指示することができる。
(第2の実施形態)
本実施形態は基本的には前記第1の実施形態に基づくので、以下では本実施形態が第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
本実施形態が第1の実施形態と異なる点は、無線端末からのフレームを受信した際、フレーム情報として受信電界強度が閾値を超えているかの判断情報を保持する代わりに、受信フレームの送信元無線端末のアドレス情報(MACアドレス)を保持することである。
例えば無線端末が無線基地局と認証プロセス終了後(IEEE 802.11では無線端末と無線基地局の間でAssociationまたはReassociation処理終了後)、前記無線端末からのデ−タフレームのみを対象にアドレス情報を保持するようにすれば、前記無線基地局の管理するBSS内で実際に送受を行っている(通信活動のある)無線端末を直接通信を行わせる候補とすることができる。
第1の実施形態の図1を例に用いて説明する。例えば、無線端末101と無線端末102が無線基地局1とAssociation処理を行い、無線基地局1に接続しているとする。無線端末101がその後、デ−タフレームを無線基地局1宛てに送信すると、無線基地局1で無線端末101のMACアドレスを保持する。無線端末102がデ−タフレームを無線基地局1宛てに送信すると、無線基地局1で無線端末102のMACアドレスも保持することになる。その結果、直接通信を行わせる組の候補として、無線端末101と無線端末102があることを無線基地局1が把握し、例えば無線端末101宛てに無線端末102と直接通信を開始させる指示フレームを送信することになる。
ここで、無線基地局での受信フレームとは、無線端末が無線基地局宛てに送信したフレームでなくてもよく、無線基地局で物理的に受信しうるフレームでよい。例えば無線端末が他の無線端末に送信したフレームを無線基地局が受信した場合などである。
さらに、受信フレーム情報として保持する情報は、ある一定期間だけ保持するようにしてもよい。
この受信フレームのアドレス情報を保持する際、ある一定期間に新規受信フレームによる受信フレーム情報の更新がされない場合、当前記無線端末の受信フレーム情報をクリアする。
先に書いたように、デ−タフレームのみを対象にしてもよいし、そのようにフレーム種別を制限しなくてもよい。
第1の実施形態の図1を例に用いて説明する。例えば、無線基地局1が無線端末101からフレームを受信すると、無線端末101のMACアドレスを保持する。しかし、ある一定期間保持している間に再度無線端末101からフレームを受信しないと、保持していた無線端末101のMACアドレスをクリアする。無線端末101のMACアドレスをクリアした後に、無線端末102からフレームを受信すると、無線端末102のMACアドレスは保持されるが、無線基地局1は直接通信を行わせる組の候補として、すでに無線端末101のMACアドレスはクリアしているので、無線端末102の直接通信の相手として無線端末101を挙げることはない。
このようにすることによって、前記無線基地局の管理するBSS内で同様な期間で実際に送受を行っている(通信活動のある)無線端末同士を直接通信させる候補とすることができる。
さらに、一定期間だけ保持しているアドレス情報と第1の実施形態での受信電界強度と閾値との比較情報を組み合わせるようにしてもよい。
第1の実施形態の図1を例に用いて説明する。例えば、無線端末101、無線端末102から各々フレームを受信すると、各フレームで第1の実施形態と同様に受信電界強度の閾値と比較し、前記閾値を越えた受信フレームの送信元MACアドレスのみを保持する。その保持したアドレス情報(MACアドレス)は、ある一定期間内に再度同一MACアドレスの無線端末から送信された受信フレームがあり、かつ受信電界強度の閾値よりも前記受信フレームの受信電界強度が高い場合には、情報保持のタイマ−を更新する。ある一定期間内に同一MACアドレスの無線端末からフレームを受信しない、もしくは受信しても前記フレームの受信電界強度が閾値よりも高くない場合には、保持していたアドレス情報はクリアされる。
このようにすれば、受信フレーム情報の保証期間を設け、より情報の信頼性を上げ、直接通信に関与する2つの無線端末間の無線通信リンクの状態の推定精度を高めることができる。
無線基地局1内部の送受信部の構成は、第1の実施形態での図5と同様となる。但し、受信情報記憶部14では、次のような動作となる。
例えば、本実施形態での受信情報としてアドレス情報を保持する例では、前記受信情報記憶部14に、第1の実施形態で保持していた受信電界強度が閾値を超えていたかの情報と対応する無線端末のアドレス情報の代わりに、単純に受信情報としてアドレス情報を保持するようになる。
例えば、本実施形態でのアドレス情報をある一定期間のみ保持する例では、前記受信情報記憶部14で、受信情報としてアドレス情報を保持する際に、ある一定期間経つ(情報保持のタイマ−が切れる)までに、同一MACアドレスの無線端末から送信されたフレームを受信しないと、前記アドレス情報をクリアし、受信した場合には情報保持のタイマーを更新する。
例えば、本実施形態でのアドレス情報と受信電界強度の閾値との比較を組み合わせる例では、前記受信情報記憶部14で、受信電界強度の閾値を越えた受信フレームのMACアドレスを保持するようにし、ある一定期間経つ(情報保持のタイマーが切れる)までに、同様の条件を満たさない場合は(前記MACアドレスの無線端末からフレーム自体を受信しない、または受信しても受信電界強度が閾値を超えない場合)前記アドレス情報をクリアし、満たした場合には情報保持のタイマーを更新する。
そしてその保持している情報に基づき、直接通信開始指示フレームの生成を送信制御部15に指示する。
無線基地局1での直接通信開始指示に関する判断処理は、基本的に第1の実施形態での図6と同様となるが、受信電界強度を閾値と比較した結果情報を保持する部分が、本実施形態の上記図5での受信情報記憶部14の動作を反映したものとなる。
以上のように、例えば無線端末が無線基地局と認証プロセス終了後(IEEE 802.11では無線端末と無線基地局の間でAssociationまたはReassociation処理終了後)、前記無線端末からのデータフレームのみを対象にアドレス情報を保持するようにすれば、前記無線基地局の管理するBSS内で実際に送受を行っている(通信活動のある)無線端末を直接通信を行わせる候補とすることができる。
また、ある一定期間だけ受信フレーム情報を保持することによって、受信フレーム情報の保証期間を設け、より情報の信頼性を上げ、直接通信に関与する2つの無線端末間の無線通信リンクの状態の推定精度を高めることができる。
また、第1の実施形態での受信電界強度の情報に保持期限を設けることによって、第1の実施形態における受信フレーム情報の保証期間を設け、より情報の信頼性を上げ、直接通信に関与する2つの無線端末間の無線通信リンクの状態の推定精度を高めることができる。
(第3の実施形態)
本実施形態は基本的には前記第1の実施形態に基づくので、以下では本実施形態が第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
本実施形態が第1の実施形態と異なる点は、無線基地局で、無線端末からのフレームを受信し、保持する際に、特に受信フレームの誤り率を用いることである。
フレームの誤り率とは、例えばPHY層でのビットエラーレート、パケットエラーレート、フレームエラーレートでもよいし、MAC層でのCRCエラーでもよい。
第1の実施形態の図1を例に用いて説明する。ビットエラーレート、パケットエラーレート、またはフレームエラーレートでは、例えば直接通信させる候補を判断するための基準レートを定め、無線端末、例えば無線端末101から受信したフレームの誤り率が前記基準レートを下回る場合には、無線端末101のアドレス情報を保持しておく。同様に他の無線端末からフレームを受信した場合にも、基準レートを下回る場合に、当前記フレームの送信元無線端末のアドレス情報を保持する。
フレームの誤り率を求めるため、所望無線端末(と無線基地局)からの受信フレームを複数観測するようにしてもよい。
CRCエラーでは、例えば受信したフレームがCRCエラーであれば、直接通信可能の判断は行わないようにする。
無線基地局1内部の送受信部の構成は、第1の実施形態での図5と同様となる。但し、受信情報記憶部14では、受信電界強度の代わりに誤り率を用いた判断を行うことになる。
無線基地局1での直接通信開始指示に関する判断処理は、基本的に第1の実施形態での図6と同様となるが、受信電界強度を閾値と比較した結果情報を保持する代わりに、受信フレームの誤り率が閾値を下回っているかを比較した結果情報を保持することである。
前記実施形態は、第1の実施形態の判断と前記誤り率に関する判断を組み合わせてもよい。また、第2の実施形態に前記誤り率に関する判断を加えてもよい。
以上のようにすることによって、受信フレームの誤り率に関する情報を用いて、直接通信に関与する2つの無線端末間の無線通信リンクの状態を推定し、実際の接続可能確率及び接続時の通信品質の向上を図ることができるとともに、前記2つの無線端末での直接通信の開始を指示することができる。
また、第1の実施形態と組み合わせることによって、より直接通信に関与する2つの無線端末間の無線通信リンクの状態の推定精度を上げることができる。
また、第2の実施形態と組み合わせることによって、受信フレームの誤り率に関する情報の保証期間を加味し、直接通信に関与する2つの無線端末間の無線通信リンクの状態の推定を行うことができる。
(第4の実施形態)
本実施形態は基本的には前記第1の実施形態に基づくので、以下では本実施形態が第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
本実施形態が第1の実施形態と異なる点は、受信フレームの受信電界強度を閾値と比較し、閾値より低い場合に、直接通信を中止させるフレームを直接通信を行っている2つの無線端末の一方に送信することである。
無線基地局での無線端末からの受信フレームとは、前記無線基地局宛てのフレームでなくてもよく、例えば無線端末間で直接通信している際のフレーム交換を受信するのでもよい。
また、無線端末間で直接通信をする間に、間歇的に各無線端末と無線基地局間でフレームを送受する際の無線基地局での受信フレームでもよい。
無線基地局で直接通信を行っている2つの無線端末からの一方の受信フレームは受信電界強度の閾値より低いが、もう一方の無線端末からの受信フレームが閾値より高い場合には、高い方の送信元無線端末に直接通信を中止させるフレームを送信すれば、直接通信中止の指示をより確実に無線端末に伝えることができる。
無線基地局1内部の送受信部の構成は、第1の実施形態での図5と同様となる。但し、受信情報記憶部14では、直接通信を行っている無線端末の組を記憶し、受信フレームの受信電界強度を閾値と比較した結果情報を、直接通信開始の指示の代わりに直接通信中止の指示を行うために用いることになる。
無線基地局1での直接通信中止指示に関する判断処理は、基本的に第1の実施形態での図6と同様となるが、受信電界強度を閾値と比較する際、閾値より低いかどうかの結果を情報として保持し、直接通信を行っている無線端末の組の一方の無線端末でも前記条件を満たすような無線端末の組が存在する場合に直接通信中止指示フレームを送信するための処理を行うことである。
以上のようにすることによって、無線基地局での2つの無線端末からの受信電界強度が低いことから、無線基地局は前記2つの無線端末が無線基地局から遠くに存在して前記2つの無線端末間も離れている可能性が高く、前記2つの無線端末での無線通信リンクの状態が悪い、直接通信の接続状態が悪い、通信品質が悪いと推定することができ、前記2つの無線端末での直接通信の中止を指示することができる。
また、無線基地局で直接通信を行っている2つの無線端末からの一方の受信フレームは受信電界強度の閾値より低いが、もう一方の無線端末からの受信フレームが閾値より高い場合には、高い方の送信元無線端末に直接通信を中止させるフレームを送信すれば、直接通信中止の指示をより確実に無線端末に伝えることができる。
(第5の実施形態)
本実施形態は基本的には前記第4の実施形態に基づくので、以下では本実施形態が第4の実施形態と異なる点を中心に説明する。
本実施形態が第4の実施形態と異なる点は、無線端末からのフレームを受信した際、受信フレームの送信元無線端末のアドレス情報(MACアドレス)を保持しておくが、直接通信を行っている無線端末の組の一方または両方の無線端末からの送信フレームを受信した際に(宛先は無線基地局にはなっていない)、前記送信元のアドレス情報を無線基地局で保持していない場合には、前記直接通信を行っている無線端末のアドレス情報を保持している無線端末宛てに直接通信中止フレームを送信するための処理を行う、両方のアドレス情報を保持していない場合には、そのいずれか一方に対して(ランダムに決めるなど)直接通信中止フレームを送信するための処理を行うことである。
第1の実施形態の図1を例に用いて説明する。例えば、無線端末103と無線端末104が直接通信を行っているフレームを無線基地局1が受信する。無線端末103は無線基地局1で例えば、AssociationまたはReassociationを済ませてアドレス情報を保持しているが、無線端末104は無線基地局1とはAssociationないしReassociationもしておらず、アドレス情報を保持していないとする。無線基地局1はその判断をすると、無線端末103宛てに無線端末104との直接通信を中止させる指示フレームを送信する。
例えば、無線端末103も無線端末104も無線基地局1でアドレス情報を保持していない場合は、無線基地局1はいずれか一方の無線端末、例えば無線端末103に対して、無線端末104との直接通信を中止させる指示フレームを送信する。
これによって、無線基地局で管轄外の無線端末の通信を中止させる機構を持つことができ、BSSでのセキュリティ−を確保することができる。
さらに、受信フレーム情報として保持する情報は、ある一定期間だけ保持するようにしてもよい。
この受信フレームのアドレス情報を保持する際、ある一定期間に新規受信フレームによって情報が更新されない場合、当前記無線端末のアドレス情報をクリアする。
このようにしたときは、無線端末とのAssociation、Reassociation処理の際のフレームによるアドレス情報に加えて、前記無線端末と無線基地局または前記無線端末と他の(無線基地局とAssociation、Reassociation処理をしてアドレス情報を保持している)無線端末とのその後のフレーム交換を受信して、無線端末のアドレス情報を更新する。ある一定期間、前記無線端末から受信フレームがなければ、前記無線端末のアドレス情報をクリアする。
第1の実施形態の図1を例に用いて説明する。例えば、無線基地局1が無線端末103のアドレス情報は保持しているが、無線端末104は送受を行っておらず、無線基地局1で無線端末104のアドレス情報が更新されなかった結果、クリアされていたとする。そこで無線端末103が無線端末104に対し、直接通信のフレームを送信し、前記フレームを無線基地局1が受信すると、前記フレームの宛先である無線端末104のアドレス情報を保持していないという判断から、無線基地局1は無線端末103に対し、無線端末104との直接通信を中止させる指示フレームを送信する。
このようにすることによって、前記無線基地局の管理するBSS内で同様な期間で実際に送受を行っている(通信活動のある)無線端末同士のみに直接通信を制限することができる。
これは、例えば、電力削減のモードにあり、受信状態にない(IEEE 802.11の表現でなら、power save modeでdozeの)無線端末に対する直接通信の開始を防ぐこともできる。
さらに、一定期間だけ保持しているアドレス情報と第4の実施形態での受信電界強度と閾値との比較情報を組み合わせるようにしてもよい。
第1の実施形態の図1を例に用いて説明する。例えば、無線端末103、無線端末104から各々フレームを受信すると、各フレームで第1の実施形態と同様に受信電界強度の閾値と比較し、前記閾値を越えた受信フレームの送信元MACアドレスのみを保持する。その保持したアドレス情報(MACアドレス)は、ある一定期間内に再度同一MACアドレスの無線端末から送信された受信フレームがあり、かつ受信電界強度の閾値よりも前記受信フレームの受信電界強度が高い場合には、情報保持のタイマーを更新する。ある一定期間内に同一MACアドレスの無線端末からフレームを受信しない、もしくは受信しても前記フレームの受信電界強度が閾値よりも高くない場合には、保持していたアドレス情報はクリアされる。そして、例えば無線基地局1で無線端末103のアドレスは保持しているが、無線端末104のアドレス情報はクリアされた状態で、無線端末103から無線端末104宛ての直接通信のフレームを無線基地局1が受信すると、無線端末103に対し、無線端末104との直接通信を中止させる指示フレームを送信する。
このようにすれば、受信フレーム情報の保証期間を設け、より情報の信頼性を上げ、直接通信リンクの状態の推定精度を上げて、そのリンク状態がよいと推定できる2つの無線端末間でのみに無線通信を制限するとができる。
また、アドレス情報を保持している無線端末宛てに直接通信を中止させる指示フレームを送信することにより、直接通信中止の指示をより確実に無線端末に伝えることができる。
無線基地局1内部の送受信部の構成は、第4の実施形態での図5と同様となる。但し、受信情報記憶部14では、無線端末のアドレス情報を保持(、実施の形態によってはそれを受信フレームで更新し、またはさらに受信フレームの受信電界強度を閾値と比較した結果に基づいて更新)し、直接通信中止の指示に用いることになる。
無線基地局1での直接通信中止指示に関する判断処理は、基本的に第4の実施形態での図6と同様となるが、無線端末のアドレス情報を保持(、実施の形態によってはそれを受信フレームで更新し、またはさらに受信フレームの受信電界強度を閾値と比較した結果に基づいて更新)し、直接通信を行っているフレームを受信した際に、直接通信のフレームを受信し、そのフレームの送受のいずれか一方または両方のアドレスが無線基地局で保持されていない場合、直接通信中止指示フレームを送信するための処理を行うことである。
以上のようにすることによって、無線基地局で管轄外の無線端末の通信を中止させる機構を持つことができ、BSSでのセキュリティ−を確保することができる。
また、前記無線基地局の管理するBSS内で同様な期間で実際に送受を行っている(通信活動のある)無線端末同士のみに直接通信を制限することができる。
これは、例えば、電力削減のモードにあり、受信状態にない(IEEE 802.11の表現でなら、power save modeでdozeの)無線端末に対する直接通信の開始を防ぐこともできる。
さらに、受信フレーム情報の保証期間を設け、より情報の信頼性を上げ、直接通信リンクの状態の推定精度を上げて、そのリンク状態がよいと推定できる2つの無線端末間でのみに無線通信を制限することができる。
また、アドレス情報を保持している無線端末宛てに直接通信を中止させる指示フレームを送信することにより、直接通信中止の指示をより確実に無線端末に伝えることができる。
(第6の実施形態)
本実施形態は基本的には前記第4の実施形態に基づくので、以下では本実施形態が第4の実施形態と異なる点を中心に説明する。
本実施形態が第4の実施形態と異なる点は、無線基地局で、無線端末からのフレームを受信し、保持する際に、特に受信フレームの誤り率を用いることである。
フレームの誤り率とは、例えばPHY層でのビットエラーレート、パケットエラーレート、フレームエラーレートでもよいし、MAC層でのCRCエラーでもよい。
直接通信を行っている無線端末間で交換されるフレームを受信し、エラーレートがある基準レートを上回る場合に、直接通信を行っている2つの無線端末の一方に直接通信を中止させる指示フレームを送信することである。
または、CRCエラーでは、直接通信を行っている無線端末間で交換されるフレームを受信した際、CRCエラーをある基準回数以上に無線基地局で観測すると、直接通信を行っている2つの無線端末の一方に直接通信を中止させる指示フレームを送信することである。
無線基地局1内部の送受信部の構成は、第4の実施形態での図5と同様となる。但し、受信情報記憶部14で、受信フレームの受信電界強度を閾値と比較した結果の代わりに、受信フレームの誤り率に関する情報を、直接通信中止の指示を行うために用いる。
無線基地局1での直接通信中止指示に関する判断処理は、基本的に第4の実施形態での図6と同様となるが、誤り率を閾値と比較することで直接通信中止指示フレームを送信するための処理を行うことである。
以上のようにすることによって、受信フレームの誤り率に関する情報を用いて、直接通信に関与する2つの無線端末間の無線通信リンクの状態を推定し、直接通信の接続状態が悪い、通信品質が悪いと推定することができ、前記2つの無線端末での直接通信の中止を指示することができる。
また、第4の実施形態と組み合わせることによって、より直接通信に関与する2つの無線端末間の無線通信リンクの状態の推定精度を上げ、通信品質がよいと推定できる無線端末間のみに直接通信を制限することができる。
また、第5の実施形態と組み合わせることによって、受信フレームの誤り率に関する情報の保証期間を加味し、直接通信に関与する2つの無線端末間の無線通信リンクの状態の推定を行うことができ、その上で通信品質がよいと推定できる無線端末間のみに直接通信を制限することができる。
(第7の実施形態)
本実施形態は基本的には第1の実施形態に基づくので、以下では本実施形態が第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
本実施形態が第1の実施形態と異なる点は、無線基地局が無線端末間に直接通信開始指示フレームを送信する判断をするのに、無線端末の受信フレームの受信電界強度に関する情報を用いるのではなく、前記2つの無線端末各々に向けた指向性ビームの方向を用いる
ことである。
本実施形態では、BSSの構成は第1の実施形態での図1の代わりに、図7のようになる。無線基地局1が各無線端末局101、102に対して指向性ビームを用いて通信を行う形態である。
無線基地局1は無線端末101と無線端末102、各々に指向性ビームを向けて無線通信を行っている際に、無線端末101と無線端末102、各々に向けた指向性ビームの方向に関する情報を保持し、それに基づき、前記無線端末間で直接通信指示を出すかの判断する。そしていずれか一方の無線端末、例えば無線端末101に直接通信開始指示フレームを送信する。
このように無線基地局から見た2つの無線端末の指向性ビームの角度差を求めることにより、前記情報と無線基地局がカバ−するエリア半径から、前記2つの無線端末間のおおよその距離を推定することができ、前記2つの無線端末が直接通信開始可能かどうかの判断を、無線基地局側で行うことができる。
無線基地局1内部の送受信部の構成を図8に示す。第1の実施形態での図5と異なる点は、アンテナ10の代わりに、指向性ビームを構成できるように例えばアダプティブアレイアンテナ20を用いていることと、受信情報記憶部14の代わりに、例えば各無線端末に向けた指向性ビームの方向を比較するための指向角比較部18を有することである。
無線基地局1での直接通信開始指示フレームを送信する判断処理で、第1の実施形態での図6と異なる点は、直接通信開始の指示を出す無線端末の組の受信情報である受信電解強度が閾値を越えているかを調べる部分の代わりに、前記直接通信の候補となる両無線端末に向けた指向性ビームの方向を比較することである。
以上のように無線基地局が2つの無線端末に対し、直接通信開始の指示をすることができると同時に、指向性ビームの方向に関する情報を用いて、直接通信に関わる2つの無線端末間の実際の接続可能確率及び接続時の通信品質の向上を図ることができる。
(第8の実施形態)
本実施形態は基本的には第7の実施形態に基づくので、以下では本実施形態が第7の実施形態に補足する点を中心に説明する。
本実施形態が第7の実施形態に補足する点は、指向性ビームの方向に関する情報として、直接通信開始の判断を行うための指向性ビーム角度差を定めてそれに基づき判断する
ことである。
第7の実施形態の図7を例に用いて説明する。無線基地局1が無線端末101と無線端末102各々に向けた指向性ビームの角度差を求め、前記角度差が直接通信の開始を許可する角度差より小さい場合には、無線端末101と無線端末102との間の直接通信を確立するために例えば無線端末101に宛て、無線端末102との直接通信開始指示フレームを送信する。
以上のようにすることによって、無線基地局が2つの無線端末に対し、直接通信開始の指示をすることができると同時に、指向性ビームの方向に関する情報を用いて、直接通信に関わる2つの無線端末間の実際の接続可能確率及び接続時の通信品質の向上を図る上で、前記判断をより明確化することができる。
(第9の実施形態)
本実施形態は基本的には第7の実施形態に基づくので、以下では本実施形態が第7の実施形態と異なる点を中心に説明する。
本実施形態が第7の実施形態と異なる点は、無線基地局1が無線端末101と無線端末102各々に指向性ビームを向けて通信するシステムである必要がなく、無線端末101から送信されたフレームを受信する際に前記フレームの到来角推定を行い、また、無線端末102から送信されたフレームを受信する際に前記フレームの到来角推定を行い、それら到来角推定により得られた方向情報に基づき判断することである。
第1の実施形態の図1を例に用いて説明する。無線基地局1が無線端末101と無線端末102各々から受信したフレームの到来角推定を行い、前記情報を保持し、それに基づき、前記無線端末間で直接通信指示を出すかの判断する。後は第7の実施形態と同様である。
以上のようにすることによって、無線基地局が2つの無線端末に対し、直接通信開始の指示をすることができると同時に、到来角推定による情報を用いて、直接通信に関わる2つの無線端末間の実際の接続可能確率及び接続時の通信品質の向上を図ることができる。
(第10の実施形態)
本実施形態は基本的には第9の実施形態に基づくので、以下では本実施形態が第9の実施形態に補足する点を中心に説明する。
本実施形態が第9の実施形態に補足する点は、到来角推定情報として、無線端末101と無線端末102各々に対する到来角推定の方向の差分を用い、直接通信開始の判断を行うための角度差を定めて前記方向の差分と比較し判断することである。
第1の実施形態の図1を例に用いて説明する。無線基地局1が無線端末101と無線端末102各々から受信したフレームの到来角推定を行い、前記方向の角度差が直接通信の開始を許可する角度差より小さい場合には、無線端末101と無線端末102との間の直接通信を確立するために例えば無線端末101に宛て、無線端末102との直接通信開始指示フレームを送信する。
以上のようにすることによって、無線基地局が2つの無線端末に対し、直接通信開始の指示をすることができると同時に、到来角推定による情報を用いて、直接通信に関わる2つの無線端末間の実際の接続可能確率及び接続時の通信品質の向上を図る上で、前記判断をより明確化することができる。
(第11の実施形態)
本実施形態は基本的には第4の実施形態に基づくので、以下では本実施形態が第4の実施形態と異なる点を中心に説明する。
本実施形態が第4の実施形態と異なる点は、無線基地局が無線端末間の直接通信を中止させる指示フレームを送信する判断をするのに、無線端末の受信フレームの受信電界強度に関する情報を用いるのではなく、前記2つの無線端末各々に向けた指向性ビームの方向を用いることである。
本実施形態では、BSSの構成は第4の実施形態での図1の代わりに、図9のようになる。無線端末101と無線端末102が直接通信を行っているが、無線基地局1が各無線端末局101、102に対して指向性ビームを用いて無線端末間のフレーム交換を受信している。
無線基地局1は無線端末101と無線端末102、各々に指向性ビームを向けて無線端末の送信するフレームを受信しているが、その各々の無線端末に向けた指向性ビームの方向に関する情報を保持し、それに基づき、前記無線端末間での直接通信を中止させる指示を出すかの判断をする。そしていずれか一方の無線端末、例えば無線端末101に直接通信中止指示フレームを送信する。
このように無線基地局から見た2つの無線端末の指向性ビームの角度差を求めることにより、前記情報と無線基地局がカバ−するエリア半径から、前記2つの無線端末間のおおよその距離を推定することができ、前記2つの無線端末が直接通信を継続するのが適当かどうかの判断を、無線基地局側で行うことができる。
無線基地局1内部の送受信部の構成は第7の実施形態での図8のようになる。
無線基地局1での直接通信中止指示フレームを送信する判断処理では、第7の実施形態での判断の説明と同様、前記直接通信の候補となる両無線端末に向けた指向性ビームの方向を比較することで行うが、その比較を直接通信中止の指示フレームを送信するか否かに用いることである。
以上のように、無線基地局が2つの無線端末間での直接通信を中止させる指示を出すことができると同時に、指向性ビームの方向に関する情報を用いて、直接通信に関わる2つの無線端末間の実際の通信品質を推定し、その中止を判断することができる。
(第12の実施形態)
本実施形態は基本的には第11の実施形態に基づくので、以下では本実施形態が第11の実施形態に補足する点を中心に説明する。
本実施形態が第11の実施形態に補足する点は、指向性ビームの方向に関する情報として、直接通信中止の判断を行うための指向性ビーム角度差を定めてそれに基づき判断することである。
第11の実施形態の図9を例に用いて説明する。無線基地局1が無線端末101と無線端末102各々に向けた指向性ビームの角度差を求め、前記角度差が直接通信を中止させる角度差より大きい場合には、例えば無線端末10に宛て、無線端末102との直接通信の中止を指示するフレームを送信する。
以上のようにすることによって、第11の実施形態において直接通信の中止指示の判断を行う際に、指向性ビームの方向に基づく判断をより具体化することができる。
(第13の実施形態)
本実施形態は基本的には第11の実施形態に基づくので、以下では本実施形態が第11の実施形態と異なる点を中心に説明する。
本実施形態が第11の実施形態と異なる点は、無線基地局1が無線端末101と無線端末102各々に指向性ビームを向けて通信するシステムである必要がなく、無線端末101から送信されたフレームを受信する際に前記フレームの到来角推定を行い、また、無線端末102から送信されたフレームを受信する際に前記フレームの到来角推定を行い、それら到来角推定により得られた方向情報に基づき判断することである。
第1の実施形態の図1を例に用いて説明する。無線基地局1が無線端末101と無線端末102各々から受信したフレームの到来角推定を行い、前記情報を保持し、それに基づき、前記無線端末間での直接通信を中止させる指示を出すかの判断する。後は第11の実施形態と同様である。
以上のようにすることによって、無線基地局が2つの無線端末間での直接通信を中止させる指示をすることができると同時に、到来角推定による情報を用いて、直接通信に関わる2つの無線端末間の実際の通信品質を推定し、その中止を判断することができる。
(第14の実施形態)
本実施形態は基本的には第13の実施形態に基づくので、以下では本実施形態が第13の実施形態に補足する点を中心に説明する。
本実施形態が第13の実施形態に補足する点は、到来角推定情報として、無線端末101と無線端末102各々に対する到来角推定の方向の差分を用い、直接通信中止の判断を行うための角度差を定めて前記方向の差分と比較し判断することである。
第1の実施形態の図1を例に用いて説明する。無線基地局1が無線端末101と無線端末102各々から受信したフレームの到来角推定を行い、前記方向の角度差が直接通信を中止させる角度差より大きい場合には、例えば無線端末10に宛て、無線端末102との直接通信の中止を指示するフレームを送信する。
以上のようにすることによって、第13の実施形態において直接通信の中止指示の判断を行う際に、到来角推定の方向に基づく判断をより具体化することができる。
(第15の実施形態)
本実施形態は基本的には第1、3の実施形態に基づくので、以下では本実施形態が第1、3の実施形態に付加する点を中心に説明する。
本実施形態が第1、3の実施形態に付加する点は、第7、8の実施形態の指向性ビーム、または第9、10の実施形態の到来角推定に関する情報を判断として組み合わせることである。
第7の実施形態の図7を例に用いて説明する。第7の実施形態のように、無線基地局が各無線端末101、102に対して指向性ビームを用いて通信を行う形態において、第1の実施形態のように2つの無線端末からの過去の受信フレームの受信電界強度を定めた受信電界強度の閾値と比較して受信フレーム情報として保持する。直接通信を開始させる候補となる2つの無線端末からの過去の受信フレームの受信電界強度が、前記受信電界強度の閾値よりもともに大きければ、例えば第7の実施形態を具体化した第8の実施形態におけるように無線端末101と無線端末102に各々向けた指向性ビームの角度差が許可する角度差の閾値より大きくても直接通信開始指示の判断をする。また、受信電界強度が前記受信電界強度の閾値よりもともに小さくても、指向性ビームの角度差が前記許可する角度差の閾値より小さければ直接通信開始指示の判断をする。
第1の実施形態の受信電界強度の代わりに、またはそれと合わせて第3の実施形態の誤り率に関する情報を、指向性ビームの角度または到来角推定による角度に関する情報を組み合わせてもよい。
以上のように受信フレームの情報に関しての判断と指向性ビーム、または到来角推定に関する情報を用いての判断を組み合わせることにより、直接通信に関与する2つの無線端末間の無線通信リンクの状態の推定精度を高め、より実際の接続可能確率及び接続時の通信品質の向上を図ることができる。
(第16の実施形態)
本実施形態は基本的には第7〜10の実施形態に基づくので、以下では本実施形態が第7〜10の実施形態に付加する点を中心に説明する。
本実施形態が第7〜10の実施形態に付加する点は、第2の実施形態のように、受信フレームの情報を保持する期間を設けることである。
以上のようにすることによって、第7〜10の実施形態における受信フレーム情報の保障期間を設け、より情報の信頼性を上げ、無線基地局で直接通信に関与する2つの無線端末間の無線通信リンクの状態の推定精度を高めることができる。
(第17の実施形態)
本実施形態は基本的には第4、6の実施形態に基づくので、以下では本実施形態が第4、6の実施形態に付加する点を中心に説明する。
本実施形態が第4、6の実施形態に付加する点は、第11、12の実施形態の指向性ビーム、または第13、14の実施形態の到来角推定に関する情報を判断として組み合わせることである。
第11の実施形態の図9を例に用いて説明する。第11の実施形態のように、無線基地局が直接通信を行う無線端末101、102に対して指向性ビームを向けて各無線端末が送信するフレームを受信する形態において、第4の実施形態のように2つの無線端末からの過去の受信フレームの受信電界強度を定めた受信電界強度の閾値と比較して受信フレーム情報として保持する。直接通信に関与する2つの無線端末からの過去の受信フレームの受信電界強度が、前記受信電界強度の閾値よりもともに小さければ、例えば第11の実施形態を具体化した第12の実施形態におけるように無線端末101と無線端末102に各々向けた指向性ビームの角度差が中止を指示する角度差の閾値より小さくても直接通信を中止させる判断をする。また、受信電界強度が前記受信電界強度の閾値よりもともに大きくても、指向性ビームの角度差が前記中止判断する角度差の閾値より大きければ中止の判断をする。
第4の実施形態の受信電界強度の代わりに、またはそれと合わせて第6の実施形態の誤り率に関する情報を、指向性ビームの角度または到来角推定による角度に関する情報を組み合わせてもよい。
以上のように受信電界強度に関しての判断と指向性ビーム、または到来角推定に関する情報を用いての判断を組み合わせることにより、直接通信に関与する2つの無線端末間の無線通信リンクの状態、通信品質の推定精度を高め、直接通信を中止させることができる。
(第18の実施形態)
本実施形態は基本的には第11〜14の実施形態に基づくので、以下では本実施形態が第11〜14の実施形態に付加する点を中心に説明する。
本実施形態が第11〜14の実施形態に付加する点は、第5の実施形態のように、受信フレームの情報を保持する期間を設けることである。
以上のようにすることによって、第11〜14の実施形態における受信フレーム情報の保障期間を設け、より情報の信頼性を上げ、無線基地局で直接通信に関与する2つの無線端末間の無線通信リンクの状態の推定精度を高めることができる。
(第19の実施形態)
本実施形態は基本的には第1〜18の実施形態に基づくので、以下では本実施形態がこれら第1〜18の実施形態に異なる点を中心に説明する。
本実施形態が第1〜18の実施形態と異なる点は、無線基地局が無線端末に対し、直接通信を開始させるまたは中止させる指示フレームを送信する際、その宛先を直接通信を開始させるまたは中止させる両無線端末に対し送信することである。
例えば、第4の実施形態で両方で受信電界強度の閾値より低くなってしまったときなど、両方に出すと、無線端末への直接通信中止の指示をより確実に伝えることができる。
例えば、直接通信を開始または中止させる無線端末の組の一方に指示フレームを送信し、その後、もう一方の無線端末に同様の指示フレームを送信するようにしてもよい。
また、直接通信を開始または中止させる無線端末の組の両無線端末に同時に指示フレームを送信するようにしてもよい。IEEE 802.11では、指示フレームは両無線端末に宛てられたmulticast addressをフレームの送信先アドレスフィ−ルドに書き込み、送信することになる。
指示フレームを関わる両無線端末に送信することで、無線端末への直接通信開始または中止の指示をより確実に伝えることができる。
(第20の実施形態)
本実施形態は第1〜3、7〜10、15、16の実施形態での無線基地局からの直接通信開始指示フレームを受信した無線端末側での動作を説明するものである。
無線端末は無線基地局から直接通信開始指示フレームを受信すると、直接通信開始指示フレーム内に記述された無線端末のアドレス情報を取得し、送信フレームのうち、最終宛先が前記相手無線端末のフレームを直接通信にて前記相手無線端末に送信する処理を行う。
または直接通信を行う相手無線端末が一意に無線端末で決定できる場合には、直接通信開始指示フレームに相手無線端末のアドレス情報が書いていなくてもよい。
第1の実施形態の図3を用いて説明する。
無線端末101は無線基地局1から直接通信開始指示フレーム{1}を受信すると、例えば前記直接通信指示フレーム{1}内に、無線端末102と直接通信を行うよう、無線端末102のMACアドレスが記載されている。無線端末101は前記フレーム{1}を受信することで、無線端末102のMACアドレスを前記フレーム{1}内から抽出、取得する。そして、無線端末102が最終宛先となる送信フレームについては、直接通信により、無線基地局1を介さずに無線端末102宛てに送信する。
無線端末101内部の送受信部の構成を図10に示す。
無線端末101は少なくともアンテナ100と受信部101と受信制御部102と情報処理部103とアドレス記憶部104と送信制御部105と送信部106とから構成されている。アドレス記憶部104は外部メモリとして保持してもよいし、送信制御部105の中に入れられていてもよい。
情報処理部103で、例えば、ユ−ザの操作により送信データを作成したり、送信データの送信が指示されると(送信要求が生ずると)、これを受けて送信データを送信制御部105へ渡す。この送信データは例えば、IPパケットであってもよい。送信制御部105は、無線基地局へまたは他の無線端末へbroadcast、multicast、unicastで送信するフレームの生成等の、例えばIEEE 802.11 (IEEE 802.11a、IEEE 802.11bやIEEE 802.11dなど、IEEE 802.11標準規格のamendmentやrecommended practiceなどとして位置付けられる標準規格も含む、以降も同様)に準拠した所定の送信処理などを行う。ここで生成された、例えばIEEE 802.11で規定するMACフレームのデジタルデータは、送信部106を通じて所定周波数の無線信号に変換された後、アンテナ100から送信信号として無線基地局または無線端末へ送信される。
アンテナ100から入力された受信データは受信部101で復調及び復号を含む処理によって受信信号を生成し、それが受信制御部102に入力されると、例えばIEEE 802.11 (802.11aや802.11bも含む)に準拠した所定の受信処理などが行われる。受信制御部102で受信信号はデジタルデータとしてのMACフレームに変換され、このMACフレーム中のデータフィールドから受信データを抽出して情報処理部103へ渡す。この場合、情報処理部103は、受信データをディスプレイに表示する等の処理を行う。なお、情報処理部103は、上記以外にも各種情報処理を行うようになっていてもよい。
情報処理部103で直接通信開始指示フレーム内から直接通信の相手無線端末のMACアドレスを抽出し、アドレス記憶部104へ通知し、アドレス記憶部104で前記MACアドレス情報を保持する。アドレス記憶部104では複数の無線端末のMACアドレスを保持してもよい。また、予め直接通信の候補とする相手無線端末のMACアドレスをアドレス記憶部104に有し、直接通信開始指示フレーム内から取得した直接通信の相手無線端末のMACアドレスをアドレス記憶部104に保持している直接通信の候補とする相手無線端末のMACアドレスと比較し、前記当する候補無線端末のMACアドレスが存在する場合には、前記MACアドレスを直接通信用に有効にする、という処理を行ってもよい。または候補とする相手無線端末のMACアドレスを1つだけアドレス記憶部104で保持しておき、情報処理部103から直接通信開始指示フレームを受信した、という情報の通知を受けることにより、前記MACアドレスを直接通信用に有効にする、という処理を行ってもよい。直接受信制御部102で前記情報処理部103での上記情報抽出の処理を代わりに行い、アドレス記憶部104は、受信制御部102から直接上記情報の通知を受け付けるようにしてもよい。
送信制御部105では、直接通信を行う相手無線端末のMACアドレスの情報を、アドレス記憶部104から取得し、またはアドレス記憶部104から前記情報の通知を受け、送信フレームのうち、最終宛先が無線端末102のフレームに関しては、前記フレームのMAC headerを直接通信用として生成する処理、または直接通信用に書き換える処理を行い、送信を行う。前記処理は例えば、802.11のMAC headerの構成では、Frame Controlフィールド内のToDSビットとFromDSビットをともに"0"にし、直接の送信先アドレスを書き込むアドレスフィールドに無線端末102のMACアドレスを書き込むなどの処理となる。
無線端末101での受信処理例のフローチャートを図11に示す。
受信フレームが直接通信開始指示フレームであるかを判断する。
直接通信開始指示フレームでない場合は、直接、通常の受信フレームの処理、例えば自無線端末宛てフレームかを判定してそうである場合はそれに対する応答フレームを生成、送信する処理を送信処理部へ指示、また、上位LLC (Logical Link Control)層へデータを渡すなどの処理を行う。
一方、直接通信開始指示フレームであると判断した場合、前記当する相手無線端末との直接通信開始準備を行う。直接通信開始準備とは、上記のように、例えばアドレス記憶部104に相手無線端末のMACアドレスを保持し、最終宛先が前記当する直接通信の相手無線端末であるフレームを送信する場合に、前記フレームのMAC headerを直接通信用として生成または書き換える処理ができるようにすることである。その後、通常の受信フレームの処理を行う。
以上のように無線基地局から直接通信開始指示フレームを受信した際に、無線端末で実際に直接通信を開始することができる。
(第21の実施形態)
本実施形態は基本的には第20の実施形態に基づくので、以下では本実施形態が第20の実施形態に付加する点を中心に説明する。
本実施形態が第20の実施形態に付加する点は、無線端末で無線基地局からの直接通信開始指示フレームを受信すると、前記直接通信に関わる相手無線端末との直接通信開始の手順を開始することである。
第1の実施形態の図3を用いて説明する。
無線端末101が無線基地局1から直接通信開始指示フレーム{1}を受信すると、無線端末102と直接通信を実際に開始するためのフレームを送信する。
例えば、無線端末101が実際に直接通信を無線端末102と開始するために、無線基地局1を介して無線端末102に所定の(IEEE 802.11ファミリの中で規定されたプロトコルなどに則るなど)直接通信開始要求フレームを送信する必要がある場合、この手順を行う。この後、例えば無線基地局1は無線端末101からの直接通信開始要求フレームを無線端末102に転送し、無線端末102では前記要求を受け付けるかどうかの判断をして、その応答を無線基地局1を介して無線端末101に返すなどの所定のフレーム交換を行い、前記直接通信要求フレームに対する応答フレームが要求を受け付けるようになっていた場合、無線端末101と無線端末102で実際に直接通信が開始されることになる。
以上のようにすることによって、既存の直接通信開始の手順に則り、直接通信を開始することができる。
(第22の実施形態)
本実施形態は基本的には第21の実施形態に基づくので、以下では本実施形態が第21の実施形態と異なる点を中心に説明する。
本実施形態が第21の実施形態と異なる点は、無線端末が直接通信を開始する手順として、前記直接通信に関わる相手無線端末に、無線基地局からの直接通信開始指示フレームを転送することである。
相手無線端末は前記無線端末からの直接通信開始指示フレームを受信すると、前記無線端末との間で直接通信を行う準備をし、その結果、無線端末間で直接通信が開始される。
以上のようにすることによって、無線基地局からの直接通信開始指示フレームを受信した際に、無線端末で実際に直接通信を開始することができると同時に、無線基地局を介して再度直接通信開始の手順を行うよりも送信するフレームを削減することができる。
(第23の実施形態)
本実施形態は基本的には第4〜6、11〜14、17、18の実施形態での無線基地局からの直接通信中止指示フレームを受信した無線端末側での動作であるが、基本的に第20の実施形態に基づくので、以下では本実施形態が第20の実施形態と異なる点を中心に説明する。
本実施形態が第20の実施形態と異なる点は、無線基地局からの指示フレームが直接通信中止に関するものであり、それに基づき、直接通信を中止させる処理をすることである。
無線端末は無線基地局から直接通信中止指示フレームを受信すると、直接通信中止指示フレーム内に記述された無線端末のアドレス情報を取得し、直接通信用にフレームのMAC headerを生成する処理または書き換える処理を中止する。
または直接通信を行っている相手無線端末が一意に無線端末で決定できる場合には、直接通信中止指示フレームに相手無線端末のアドレス情報が書いていなくてもよい。
以上のように無線基地局から直接通信中止指示フレームを受信した際に、無線端末で実際に直接通信を中止することができる。
(第24の実施形態)
本実施形態は基本的には第23の実施形態に基づくので、以下では本実施形態が第23の実施形態に付加する点を中心に説明する。
本実施形態が第23の実施形態に付加する点は、無線端末で無線基地局からの直接通信中止指示フレームを受信すると、前記直接通信に関わる相手無線端末との直接通信中止の手順を開始することである。
第1の実施形態の図1を用いて説明する。
無線端末103が無線端末104と直接通信を行っており、無線基地局1から直接通信中止指示フレームを受信すると、無線端末104との直接通信を実際に中止するためのフレームを送信する。
例えば、無線端末103が実際に無線端末104との直接通信を中止するために、無線基地局1を介して無線端末104に所定の(IEEE 802.11ファミリの中で規定されたプロトコルなどに則るなど)直接通信中止要求フレームを送信する必要がある場合、この手順を行う。この後、例えば無線基地局1は無線端末103からの直接通信中止要求フレームを無線端末104に転送し、無線端末103と無線端末104での直接通信が中止されることになる。
以上のようにすることによって、既存の直接通信中止の手順に則り、直接通信を中止することができる。
(第25の実施形態)
本実施形態は基本的には第24の実施形態に基づくので、以下では本実施形態が第24の実施形態と異なる点を中心に説明する。
本実施形態が第24の実施形態と異なる点は、無線端末が実際に直接通信を中止する手順として、前記直接通信に関わる相手無線端末に、無線基地局からの直接通信中止指示フレームを転送することである。
相手無線端末は前記無線端末からの直接通信中止指示フレームを受信すると、前記無線端末との間での直接通信を中止する準備をし、その結果、無線端末間で直接通信が中止される。
以上のようにすることによって、無線基地局からの直接通信中止指示フレームを受信した際に、無線端末で実際に直接通信を中止することができると同時に、無線基地局を介して再度直接通信中止の手順を行うよりも送信するフレームを削減することができる。
次に、無線基地局1に複数の無線端末(STA)から構成される第2の無線通信システムについて、図面を用いて第1の実施形態から第18の実施形態で説明する。
(第1の実施形態)
図12に本発明で用いるIEEE 802.11の無線LANシステムで1つの無線基地局(AP)1に複数の無線端末(STA) 101〜104が無線接続する通信形態を取る場合の例を示す。IEEE 802.11でこの無線基地局と複数の無線端末から成る構成単位をBSS(Basic Service Set)という。
本発明の無線端末は前記BSS内で無線基地局を介しての通信または他の無線端末との直接通信のいずれかを選択する。
図12では1つのBSSのみから構成される無線通信システムであるが、図13のように複数のBSSから構成されてもよい。このような無線通信システムの構成単位を、IEEE 802.11ではESS(Extended Service Set)という。無線基地局間はDS(Distributed System)といわれ、有線インフラで結ばれていてもよいし、また、無線で接続されていてもよい。この無線通信システム中の複数のBSSのうち、1つまたは限られた数のBSSでのみ、端末間の直接通信をサポ−トする形態でもよい。
以降、図12に基づき、説明する。
無線端末101が無線端末102宛てのデータを送信するときに、無線基地局1を介して通信を行うか、直接無線端末102と通信を行うかを判断する際、無線端末102のMACアドレスを保持しておく。
無線端末102が無線基地局1とフレーム交換を行うことには、データの宛先が直接無線基地局1の場合もあるし、他の無線端末103宛てのデータを無線基地局1を介して送信する場合も含まれる。また、データの宛先の無線端末が自BSS外にいる場合も含まれる。また、無線基地局1が送信するフレームへの応答フレーム、例えば802.11では無線基地局1が無線端末102にunicastのデータフレーム (data frame)、管理フレーム (management frame)を送信する場合、それを受信した無線端末102では制御フレーム (control frame)であるACK (Acknowledgment) フレームを送信するし、無線基地局1が制御フレームであるRTS (Return to Send)フレームを送信した場合、それを受信すると制御フレームであるCTS (Clear to Send)フレームを送信するが、そのACKまたはCTSフレームをここでの無線端末102から無線基地局1宛てのフレームとしてもよい。
無線端末101は、受信したフレームを受信処理の過程でフィルタリングする際に、保持している無線端末102のMACアドレスと受信フレームのMAC header部の送信元アドレスフィールドに記載されているMACアドレスを比較し、同一であるなら、無線端末101は無線端末102からのフレームを受信することができる、すなわち、無線端末102と直接通信することができる、と判断する。
この判断に基づき、無線基地局1に無線端末102と直接通信を確立したい旨を要求するフレームを送信し、無線基地局1を介して無線端末102との間の直接通信のセットアップをしてもらい、無線端末102と直接通信を開始する。
または、この判断に基づき、直接無線端末102に直接通信にてデータを送信し、直接通信を開始してもよい。
無線端末101内部の送受信部の構成を図14に示す。
無線端末101は少なくともアンテナ100と受信部101と受信制御部102と情報処理部103とアドレス記憶部104と送信制御部105と送信部106とから構成されている。アドレス記憶部104は外部メモリとして保持してもよいし、受信制御部102の中に入れられていてもよい。
情報処理部103で、例えば、ユ−ザの操作により送信データを作成したり、送信データの送信が指示されると(送信要求が生ずると)、これを受けて送信データを送信制御部105へ渡す。この送信データは例えば、IPパケットであってもよい。送信制御部105は、無線基地局へまたは他の無線端末へbroadcast、multicast、unicastで送信するフレームの生成等の、例えばIEEE 802.11 (IEEE 802.11a、IEEE 802.11bやIEEE 802.11dなど、IEEE 802.11標準規格のamendmentやrecommended practiceなどとして位置付けられる標準規格も含む、以降も同様)に準拠した所定の送信処理などを行う。ここで生成された、例えばIEEE 802.11で規定するMACフレームのデジタルデータは、送信部106を通じて所定周波数の無線信号に変換された後、アンテナ100から送信信号として無線基地局または無線端末へ送信される。
アンテナ100から入力された受信データは受信部101で復調及び復号を含む処理によって受信信号を生成し、それが受信制御部102に入力されると、例えばIEEE 802.11 (802.11aや802.11bも含む)に準拠した所定の受信処理などが行われる。受信制御部102で受信信号はデジタルデータとしてのMACフレームに変換され、このMACフレーム中のデータフィールドから受信データを抽出して情報処理部103へ渡す。この場合、情報処理部103は、受信データをディスプレイに表示する等の処理を行う。なお、情報処理部103は、上記以外にも各種情報処理を行うようになっていてもよい。
直接無線通信を行いたい相手無線端末のMACアドレスを保持するアドレス記憶部104を有し、受信制御部102へ保持したMACアドレスを通知し、受信制御部102内のフィルタリング処理を行う部分で用いられる。アドレス記憶部104では複数の無線端末のMACアドレスを保持してもよい。アドレス記憶部104に保持する無線端末のMACアドレスは情報処理部103から指定される。または受信制御部102と送信制御部105と連動し、全ての通信を行った無線端末のMACアドレスを保持するようにしてもよい。
この受信処理の際に、無線端末102と直接通信が開始できることを判断すると、送信制御部105に通知し、送信制御部105では無線基地局1宛て無線端末102と直接通信を確立したい旨を要求するフレームを生成、送信部106を介してアンテナ100から送信する。無線基地局1から直接通信確立の要求フレームに対する応答フレームを受信し、それが成功である場合、送信制御部105では、送信フレームのうち、最終宛先が無線端末102のフレームのMAC headerを直接通信用として生成する処理、または直接通信用に書き換える処理を行い、送信を行う。前記処理は例えば、802.11のMAC headerの構成では、Frame Controlフィールド内のToDSビットとFromDSビットをともに"0"にし、直接の送信先アドレスを書き込むアドレスフィールドに無線端末102のMACアドレスを書き込むなどの処理となる。
または送信制御部105は、受信制御部103から無線端末102と直接通信が開始できる旨、通知を受けると、すぐに送信フレームのうち、最終宛先が無線端末102のフレームのMAC headerを直接通信用として生成する処理、または直接通信用に書き換える処理を行ってもよい。
IEEE 802.11の無線LANシステムでのMACフレームの構成を図15に示す。MACフレームは、フレームの受信処理に必要な情報を入れるMAC Header部、フレームの種類に応じた情報、例えば上位LLC (Logical Link Control)層から渡されたデータなどが入るFrame Body部、そしてMAC Header部とFrame Body部が正しく受信できたかを判定するために用いる32ビットCRC (Cyclic Redundancy Code)で構成されるFCS (Frame Check Sequence)部から構成される。MAC Header部には、フレームの種別に応じてFrame Controlフィールド、仮想的なキャリアセンスを実行する際に送信を抑制する期間(NAV: Network Allocation Vector)を示したり無線基地局に割り当てられた無線端末のID (AID: Association Identifier)を示すDuration/IDフィールド、直接の送信先や最終宛先、送信元のMACアドレスを記述するMACアドレスフィールド(複数存在)、送信するデータのSequence番号や、フラグメント化した場合のFragment番号を入れるSequence Controlフィールドなどが入る。Frame Controlフィールドにはフレームの種別を示すTypeフィールド、Subtypeフィールドや、DS宛て(すなわち無線基地局宛て)かを示すToDSビット、DSから(すなわち無線基地局から)送信されたものかを示すFromDSビットなどが入っている。
無線端末101での受信処理例のフローチャートを図16に示す。
受信フレームが無線基地局宛てであると判断(ToDSビットが"1"であるなどにより判断できる)した後、無線基地局1宛てであると判断(例えば、MAC headerのアドレスフィールド部に記述されているBSSIDはBSSの構成では無線基地局のMACアドレスを入れることになっているため、それで判断することができる)すると、その受信フレームの送信元MACアドレスとアドレス記憶部で保持しているMACアドレスを比較する。これらの条件を満たさない場合は、通常の受信フレームの処理、例えば自無線端末宛てフレームかを判定してそうである場合はそれに対する応答フレームを生成、送信する処理を送信処理部へ指示、また、上位LLC (Logical Link Control)層へデータを渡すなどの処理を行う。一方、上記条件を満たす場合は、直接通信が開始できる旨の通知を送信処理部へ送信する。その後、通常の受信フレームの処理を行う。
以上のように受信フレームから無線端末102が送信したフレームを検出するによって、無線端末101から直接通信可能で前記無線端末101が接続している無線基地局1に同様に接続する無線端末102を判断することができる。
(第2の実施形態)
本実施形態は第1の実施形態と同様であるので、以下では本実施形態が第1の実施形態と相違する点を中心に、説明する。
本実施形態で第1の実施形態と異なる点は、無線基地局に対するのではなく、無線端末間での直接通信を行っている無線端末の送信するフレームを観測することである。
図1を用いて説明すると、例えば無線端末102が無線端末103と直接通信を行っている場合に、無線端末101では無線端末102の前記送信フレームを観測し、受信すると、無線端末102と直接通信可能であると判断する。
または、図13を用いて説明すると、無線端末102が他のBSSの無線端末、例えば無線端末201と直接通信を行っている場合に無線端末102の送信するフレームを観測するような状況でもよい。
また、本実施形態で第1の実施形態と異なる点としては、同一BSSの無線基地局に対するのではなく、他のBSSの無線基地局と通信を行っている無線端末の送信するフレームを観測することも含まれる。
図13を用いて説明すると、例えば無線端末201が他のBSSの無線基地局、無線基地局2と通信を行っている場合に、無線端末102で無線端末201の無線基地局2宛ての送信フレームを観測、受信すると、無線端末201と直接通信可能であると判断する。
すると、図16のフローチャートで、無線基地局宛てか、さらに前記当するなら無線基地局1宛てか、を判定する部分が不要となる。
その代わり、直接通信を行いたい相手無線端末が自BSSに属している場合に自BSSの無線基地局を介在して直接通信の確立をすることが出来たが、他のBSSに属している場合、自BSSの無線基地局及び相手無線端末が属しているBSSの無線基地局の両方に直接通信を行うためのセットアップをしてもらうことになる。または、直接通信ができると判断すると、すぐ直接無線端末102に直接通信にてデータを送信し、直接通信を開始することになる。
これにより、無線端末から直接通信可能な無線端末を判断することができる。
また、同一BSSに属する無線端末に限定せずに、直接通信可能な無線端末を探す
ことができる。
(第3の実施形態)
本実施形態は基本的には第1または第2の実施形態と同様であるので、以下では本実施形態が第1または第2の実施形態と相違する点を中心に、図17を用いて説明する。
本実施形態で第1または第2の実施形態と異なる点は、所望無線端末から観測するフレームを送信させるために、無線端末101で最終宛先が無線端末102のフレームを無線基地局1経由で送信することである。
図17で無線端末101は直接通信を行いたい無線端末102のMACアドレスをMAC Headerの最終宛先用のアドレスフィールドに書き、無線基地局1のMACアドレス(IEEE 802.11ではBSSID)をMAC Headerの直接の送信先を書くアドレスフィールドに書き、フレーム{1}を送信する。IEEE 802.11では前記フレーム{1}に対し、無線基地局1が受信すると、無線端末101宛てに応答フレームであるACKフレーム{1}'を送信する。
無線基地局1では、最終宛先が自BSS内に属する無線端末であると判断すると、前記フレーム{1}のMAC Header部を書き換え、無線端末102宛てのフレーム{2}として送信する。IEEE 802.11では、無線端末102が無線基地局1から前記フレーム{2}を受信すると、無線基地局1宛てに応答フレームであるACKフレーム{2}'を送信する。
この無線端末102からのフレーム{2}'を観測する以降は、第1の実施形態と同様である。
無線端末101では、無線基地局1からのACKフレーム{1}'を受信してから、無線端末102からの送信フレーム{2}'を観測するようにしてもよい。
このようにすることで、無線端末102からの送信フレームがある保証の高いときだけ、無線端末102からの送信フレームのフィルタリングをして、受信フレームの処理量を削減することができる。
また、無線基地局が無線端末101からのフレーム{1}を受信し、その最終宛先が自BSSに属さない無線端末または、自BSSに属しているのか確認できない無線端末であると判断し、前記フレーム{1}をDS経由で他のBSSの無線基地局へ転送する場合も考えられる。図18を用いて説明する。無線端末101が最終宛先無線端末201のフレーム{1}を無線基地局1宛てへ送信し、無線基地局1では前記フレームをDS経由で無線基地局2へ送信する。無線基地局間が無線で接続されている場合には、前記フレーム{1}のMAC Header部を書き換え、無線基地局2宛てにフレームが送信されることになる。無線基地局2では、前記フレームの最終宛先である無線端末201が自BSSに属している無線端末であると判断すると、前記フレームのMAC Header部を書き換え、フレーム{2}として無線端末201に送信する。無線端末201が前記フレーム{2}を受信すると、無線基地局2宛てに応答フレームであるACKフレーム{2}'を送信する。
この無線端末201からのフレーム{2}'を観測する以降は、第2の実施形態と同様である。
無線端末101では、無線基地局1からのACKフレーム{1}'を受信してから、無線端末201からの送信フレーム{2}'を観測するようにしてもよい。
このようにすることで、無線端末201からの送信フレームがある保証の高いときだけ、無線端末201からの送信フレームのフィルタリングをして、受信フレームの処理量を削減することができる。
所望無線端末から観測するフレームを送信させるために、直接通信可能かどうかを判断する側の無線端末で送信するフレームは、自無線端末内でLLCから渡された所望無線端末宛てのデータでもよい。
前記所望無線端末宛てのデータがない間に、前記所望無線端末と直接通信可能かどうかを判断したい場合など、Frame Body部のないフレーム(IEEE 802.11ではNullフレームという)を送信してもよい。
本実施形態では、MAC層でのフレーム送信とその応答によって判断する方法を記述したが、それに限ったものではなく、上位レイヤ、例えばTCP/IPレイヤでのデータ送信とその応答を観測するものでもよい。
以上のようにすることによって、無線端末が接続している無線基地局に同様に接続する無線端末のうち、所望の無線端末と直接通信可能かどうか、また、所望の無線端末が通信を行っていない際も判断することができる。
(第4の実施形態)
本実施形態は基本的には第3の実施形態に基づくので、以下では本実施形態が第3の実施形態に付加する点を中心に説明する。
本実施形態が第3の実施形態に付加される点は、第3の実施形態での無線端末から無線基地局への応答フレームの観測に加えて無線基地局が無線端末との間で指向性を有するビームを用いて通信を行っている場合に直接通信の相手として所望する無線端末が無線基地局からの同一ビーム内にあることを確認するため、その応答フレームの元になる無線基地局からの転送フレームも観測することである。
この様子を図19に示す。図19で無線端末101は無線基地局が送信する転送フレーム{2}と無線端末102からの前記転送フレームに対する応答フレーム{2}'を観測、受信したら無線端末102と直接通信可能であると判断する。
以降は、第3の実施形態と同様である。
もちろん、第3の実施形態で示したように、無線基地局が無線端末との間で指向性ビームを用いない形態においても、無線端末が送信した所望無線宛てのフレームを無線基地局が転送することを確認してもよい。これにより、例えば無線基地局から転送されたフレームを受信した無線端末が即時に送信する応答フレーム(IEEE 802.11でのACKフレームなど)を観測する場合に、そのタイミングを予測することができ、所望応答フレームの観測を効率的に行うことができる。
以上のようにすることによって、無線基地局が無線端末との間に指向性ビームを用いて通信している際も、無線端末が接続している無線基地局に同様に接続する無線端末のうち、所望の無線端末と同一または近傍のビーム内におり、直接通信に適しているかどうかを判断することができる。
(第5の実施形態)
本実施形態は基本的には第4の実施形態に基づくので、以下では本実施形態が第4の実施形態と異なる点を中心に説明する。
本実施形態が第4の実施形態に異なる点は、無線基地局が無線端末との間で指向性ビームを用いない形態であることである。
図19の変わりに、図17の状況となり、図17で無線端末101は無線基地局が送信する転送フレーム{2}と無線端末102からの前記転送フレームに対する応答フレーム{2}'を観測、受信したら無線端末102と直接通信可能であると判断する。
以降は、第3の実施形態と同様である。
無線端末が送信した所望無線宛てのフレームを無線基地局が転送することを確認してもよい。これにより、例えば無線基地局から転送されたフレームを受信した無線端末が即時に送信する応答フレーム(IEEE 802.11でのACKフレームなど)を観測する場合に、そのタイミングを予測することができ、所望応答フレームの観測を効率的に行うことができる。
以上のようにすることによって、無線基地局が無線端末との間で指向性ビームを用いない第3の実施形態で、本実施形態のように無線端末が送信した所望無線端末宛てのフレームを無線基地局が転送することを確認する場合でも、所望応答フレームの観測を効率的に行うことができる。
(第6の実施形態)
本実施形態は基本的には前記第1〜5の実施形態に基づくので、以下では本実施形態がこれら第1〜5の実施形態に付加する点を中心に説明する。
本実施形態が第1〜5の実施形態に付加する点は、所望無線端末から、また、(第4、5の実施形態では)所望無線基地局からのフレームを受信し、直接通信可能であると判断する際に、受信フレームの受信電界強度を用いることである。
第3の実施形態の図17を例に用いて説明する。無線端末101は受信フレームの受信電界強度がある値以上のときに、直接通信可能であると判断するよう、受信電界強度の閾値を定めておく。無線端末102からのフレームを観測している際に、フレーム{2}'を受信すると、前記閾値と比較し、前記閾値より大きければ直接通信可能であると判断する。それ以降は第3の実施形態と同様である。閾値は実際の受信電界強度の電力値でもよいし、なんらかの法則に基づいて定めたレベル値でもよい。また、統計的な受信電界強度を求めるため、所望無線端末(と無線基地局)からの受信フレームを複数観測して平均を求め、判断するようにしてもよい。
以上のようにすることによって、第1〜5の実施形態において直接通信可能かどうかの判断をより明確化することができる。
また、これによって、受信電界強度の情報を用いて、直接通信に関与する2つの無線端末間の無線通信リンクの状態を推定し、実際の接続可能確率及び接続時の通信品質の向上を図ることができる。
(第7の実施形態)
本実施形態は基本的には前記第1〜5の実施形態に基づくので、以下では本実施形態がこれら第1〜5の実施形態に付加する点を中心に説明する。
本実施形態が第1〜5の実施形態に付加する点は、所望無線端末から、また、(第4、5の実施形態では)所望無線基地局からのフレームを受信し、直接通信可能であると判断する際に、受信フレームの誤り率を用いることである。
フレームの誤り率とは、例えばPHY層でのビットエラーレート、パケットエラーレート、フレームエラーレートでもよいし、MAC層でのCRCエラーでもよい。
ビットエラーレート、パケットエラーレート、またはフレームエラーレートでは、例えば直接通信可能であると判断する基準レートを定め、受信したフレームの相当する誤り率が前記基準レートを下回る場合には直接通信可能の判断をするようにする。フレームの誤り率を求めるため、所望無線端末 (と無線基地局) からの受信フレームを複数観測するようにしてもよい。第3の実施形態の図17を用いて説明するなら、無線端末101は複数回フレーム{1}を送信し、無線端末102からのフレームとして複数回フレーム{2}'を観測、受信時の例えばフレームエラーレートを基準レートと比較し、前記基準レートを下回る場合には直接通信可能の判断をするようにする。無線端末101で複数回送信するフレーム{1}は同一データでもよいし、異なるデータでもよい。また、無線端末102 で複数回送信するフレーム{2}もフレーム{1}に応じて、同一フレームになるとは限らない。
CRCエラーでは、例えば受信したフレームがCRCエラーであれば、直接通信可能の判断は行わないようにする。
直接判断可能かの判断を行う以降は第1〜5の実施形態と同様である。
以上のようにすることによって、第1〜5の実施形態において直接通信の品質を加味して直接通信を行うかの判断をすることができる。
また、第6の実施形態と組み合わせることによって、第1〜5の実施形態において直接通信可能かどうかの判断をより明確化するとともに直接通信の品質を加味することができる。
(第8の実施形態)
本実施形態は基本的には第1の実施形態に基づくので、以下では本実施形態が第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
本実施形態が第1の実施形態と異なる点は、無線端末が所望無線端末と直接通信が可能かどうかを判断するのではなく、無線基地局が無線端末からの直接通信の要求フレームを受信した際に、無線基地局側で前記要求を許可するか否かを判断することである。
図20を用いて説明する。
無線基地局1は無線端末101と無線端末102、各々と無線通信を行っている際に、無線端末101と無線端末102からの受信フレームの受信フレーム情報を保持し、それに基づき、前記無線端末101からの無線端末102との直接通信要求フレーム{3}を受信すると、前記フレーム{3}の要求を許可するか否かを判断する。
受信フレーム情報として、本実施形態では、特に受信フレームの受信電界強度を用いる。
無線基地局1は無線端末101と無線端末102からの受信フレームの受信電界強度がある値以上のときに、前記無線端末101からの無線端末102との直接通信要求フレーム{3}を受信すると前記フレーム{3}の要求を許可するよう、受信電界強度の閾値を定めておく。無線端末101と無線端末102からの受信フレームを各々観測している際に、前記閾値と比較し、前記閾値よりともに大きければ無線端末101と無線端末102の直接通信を許可するよう記憶しておく。閾値は実際の受信電界強度の電力値でもよいし、なんらかの法則に基づいて定めたレベル値でもよい。また、統計的な受信電界強度を求めるため、所望無線端末からの受信フレームを複数観測して平均を求め、判断するようにしてもよい。
前記無線通信要求フレーム{3}を送信した無線端末101に関しては、前記フレーム{3}自体の受信フレーム情報を用いるようにしてもよい。
このようにすることによって、無線基地局と2つの無線端末各々との間の無線通信リンクの状態がよい(無線基地局近傍に2つの無線端末が存在して無線基地局での受信電界強度が高い、または無線基地局と2つの無線端末各々との間の電波伝播の状態がよい)ことから、前記2つの無線端末間でも無線通信リンクの状態がよいと推定することができ、前記2つの無線端末が直接通信可能であると無線基地局側で判断することができる。
無線基地局1内部の送受信部の構成を図21に示す。
無線基地局1は少なくともアンテナ10と受信部11と受信制御部12と情報処理部13と受信情報記憶部14と送信制御部15と送信部16とから構成されている。受信情報記憶部14は外部メモリとして保持してもよいし、受信制御部12の中に入れられていてもよい。
情報処理部103で、例えば、ユ−ザの操作により送信データを作成したり、送信データの送信が指示されると(送信要求が生ずると)、これを受けて送信データを送信制御部15へ渡す。この送信データは例えば、IPパケットであってもよい。送信制御部15は、他の無線基地局へまたは無線端末へbroadcast、multicast、unicastで送信するフレームの生成等の、例えばIEEE 802.11 (IEEE 802.11aやIEEE 802.11bも含む)に準拠した所定の送信処理などを行う。ここで生成された、例えばIEEE 802.11で規定するMACフレームのデジタルデータは、送信部16を通じて所定周波数の無線信号に変換された後、アンテナ10から送信信号として他の無線基地局または無線端末へ送信される。情報処理部103は、有線ネットワ−ク17と接続していてもよく、有線ネットワ−クからデータが入力されると、前記データが他の無線基地局または無線端末宛ての場合、同様にデータを処理して送信信号として出力される。
アンテナ10から入力された受信データは受信部11で復調及び復号を含む処理によって受信信号を生成し、それが受信制御部12に入力されると、例えばIEEE 802.11 (802.11aや802.11bも含む)に準拠した所定の受信処理などが行われる。受信制御部12で受信信号はデジタルデータとしてのMACフレームに変換され、このMACフレーム中のデータフィールドから受信データを抽出して情報処理部13へ渡す。この場合、情報処理部13は、受信データをディスプレイに表示する等の処理を行う。なお、情報処理部13は、上記以外にも各種情報処理を行うようになっていてもよい。また、情報処理部13が有線ネットワ−ク17に接続していて、前記受信データが有線ネットワ−ク17上に接続する他の無線基地局など他端末宛ての場合、情報処理部13から有線ネットワ−ク17宛てにデータを出力される。
無線基地局1は直接無線の要求フレーム{3}を受信した場合に、それを許可するか否かの判断を行うための受信情報記憶部14を有し、受信制御部12から受信したフレームの受信情報を収集する。受信情報としては少なくとも無線端末の識別子、例えば無線端末のMACアドレスは、保持するようにする。受信情報記憶部14では限定数の無線端末に関する受信情報の収集のみ行ってもよい。この場合、受信情報記憶部14で収集する無線端末の受信情報は情報処理部13から指定されるようにしてもよい。または受信制御部12で受信した全ての無線端末の受信情報を保持するようにしてもよい。
本実施形態では、受信したフレームが上記受信電界強度の閾値より大きいか否かを、無線端末の識別子、例えば無線端末のMACアドレスとともに、受信情報として保持する。上述したように、所望無線端末からの受信フレームを複数観測して平均して、閾値より大きいか否かを受信情報として保持するなど、統計的な処理を加えた判断にしてもよい。
無線端末101から直接通信の要求フレーム{3}を受信すると、前記フレームは受信制御部12を通して、情報処理部13に通知され、情報処理部13は受信情報記憶部14から、前記直接通信に関与する2つの無線端末、無線端末101と無線端末102の各々の過去の受信フレームが、直接通信要求を許可する受信電界強度の閾値より大きかったか否かの受信情報を取得し、それに基づき、前記フレーム{3}の要求を許可するか、拒否するかの判断を行う。また、例えば無線端末102の受信情報がない場合は、前記要求を拒否するようにする。拒否する場合、情報処理部13は、無線端末101の前記要求フレーム{3}に対する応答フレームとして、前記要求を拒否するフレーム{4}を生成するよう、送信制御部15に通知し、送信制御部15では無線端末101宛て直接通信の要求を拒否する旨通知するフレームを生成、送信部16を介してアンテナ10から送信する。情報処理部13が無線端末101からの前記要求を許可する判断を行った場合は、無線端末101と無線端末102との間の直接通信を確立するために必要なフレームの生成を送信制御部15に通知し、送信部16を介してアンテナ10から直接通信確立用のフレームを送信する。
無線基地局1での直接通信の要求フレーム{3}を含め、フレームを受信した場合の処理例のフローチャートを図22に示す。
フレームを受信すると、例えば所望の無線端末である場合、前記フレームの受信電界強度が直接通信を許可する受信電界強度の閾値を越えているかを判断し、前記情報を保持する。
受信フレームが直接通信要求フレーム{3}であると判断した場合、前記要求に関与する2つの無線端末からの過去の受信フレームの受信電界強度が直接通信を許可する受信電界強度の閾値を越えていたかを見る。ともに前記閾値を越えていた場合は、無線基地局1は無線端末102からの直接通信要求を許可する、と判断し、前記判断結果を情報処理部13に通知、通常の受信フレームの処理を行う。その後、直接通信確立のために必要なフレーム送信を行うことになる。いずれかの無線端末で受信フレームの受信電界強度が前記閾値を下回っていた場合は、無線基地局1は無線端末102からの直接通信要求を却下(拒否)する、と判断し、前記判断結果を情報処理13に通知、同様に通常の受信処理を行う。その後、前記直接通信要求フレーム{3}に対する応答として、前記要求を拒否するフレーム{4}送信を行うことになる。
以上のように無線端末からの直接通信要求に対し、無線基地局が要求の許可、ないし拒否を判断することにより、無線端末間の直接通信の確立に、無線基地局が介在することができると同時に、受信電界強度の情報を用いて、直接通信に関与する2つの無線端末間の無線通信リンクの状態を推定し、実際の接続可能確率及び接続時の通信品質の向上を図る
ことができる。
(第9の実施形態)
本実施形態は基本的には前記第8の実施形態に基づくので、以下では本実施形態が第8の実施形態に付加する点を中心に説明する。
本実施形態が第8の実施形態に付加する点は、所望無線端末からのフレームを受信し、直接通信可能であると判断する際に、受信フレーム情報として、例えば、無線基地局1からある一定期間中の各無線端末に送信したフレームに対する応答の有無を合わせて用いることである。
または、受信フレーム情報として、ある一定期間中の各無線端末からフレームを受信した事実自体を用いるようにしてもよい。
第8の実施形態の図20を例に用いて説明する。例えば、この受信フレーム情報の有無を保持する際、ある一定期間に新規受信フレームによる受信フレーム情報の更新がされない場合、当前記無線端末の受信フレーム情報をクリアする。
無線端末101から無線端末102との直接通信要求フレーム{3}を受信すると、前記直接通信に関わる無線端末101と無線端末102から前記一定期間内に受信フレームがあった場合には、受信フレーム情報があるので、受信電界強度を比較して判断する第8の実施形態と同様となる。前記一定期間内にいずれかの無線端末から応答がなかった場合、受信フレーム情報がないということで、フレーム{3}の要求を拒否するフレーム{4}を送信する。
前記一定期間内での応答の有無を合わせた受信フレーム情報は、直接通信の相手として要求している無線端末102に対してのみ適用し、前記無線通信要求フレーム{3}を送信した無線端末101に関しては、前記フレーム{3}自体の受信フレーム情報を用いるようにしてもよい。
無線基地局1内部の送受信部の構成は、第8の実施形態での図21と同様となる。但し、受信情報記憶部14では、次のような動作となる。
受信情報を収集している無線端末から新規受信フレームを受信すると、受信情報は更新される。更新後、一定期間中に受信情報を収集しているある無線端末での受信情報の更新がなかった場合は、受信情報記憶部14での当前記無線端末に関する受信情報はないものとして、情報処理部13から問い合わせがあった場合に、受信情報なしと回答し、情報処理部13では、直接通信要求フレーム{3}に対する応答フレームとして、前記要求を拒否するフレームを生成するよう、送信制御部15に通知、送信部16を介して前記要求を拒否する旨通知するフレームをアンテナ10から送信する。
無線基地局1での直接通信要求フレーム{3}に対する判断処理は、第8の実施形態での図22と同様となるが、直接通信に関わる2つの無線端末での過去の受信フレームの受信電界強度と閾値との比較情報がある一定期間のみ保持されるようにする。
以上のようにすることによって、第8の実施形態における受信フレーム情報の保証期間を設け、より情報の信頼性を上げ、直接通信に関与する2つの無線端末間の無線通信リンクの状態の推定精度を高めることができる。
(第10の実施形態)
本実施形態は基本的には前記第8の実施形態に基づくので、以下では本実施形態が第8の実施形態と異なる点を中心に説明する。
本実施形態が第8の実施形態と異なる点は、無線基地局で、所望無線端末からのフレームを受信し、直接通信可能であるかをと判断する際に、特に受信フレームの誤り率を用いることである。
フレームの誤り率とは、例えばPHY層でのビットエラーレート、パケットエラーレート、フレームエラーレートでもよいし、MAC層でのCRCエラーでもよい。
第8の実施形態の図20を例に用いて説明する。ビットエラーレート、パケットエラーレート、またはフレームエラーレートでは、例えば直接通信を許可する基準レートを定め、無線端末101と無線端末102から受信したフレームの相当する誤り率がともに前記基準レートを下回る場合には、無線端末101と無線端末102の直接通信を許可することを記憶しておき、前記無線端末101からの無線端末102との直接通信要求フレーム{3}を受信すると、前記フレーム{3}の要求を許可するようにする。フレームの誤り率を求めるため、所望無線端末 (と無線基地局) からの受信フレームを複数観測するようにしてもよい。無線端末101は複数回フレーム{1}を送信し、無線端末102からのフレームとして複数回フレーム{2}'を観測、受信時の例えばフレームエラーレートを基準レートと比較し、前記基準レートを下回る場合には直接通信可能の判断をするようにする。無線端末101で複数回送信するフレーム{1}は同一データでもよいし、異なるデータでもよい。また、無線端末102 で複数回送信するフレーム{2}もフレーム{1}に応じて、同一フレームになるとは限らない。
CRCエラーでは、例えば受信したフレームがCRCエラーであれば、直接通信可能の判断は行わないようにする。
無線基地局1内部の送受信部の構成は、第8の実施形態での図21と同様となる。但し、受信情報記憶部14では、受信電界強度の代わりに誤り率を用いた判断を行うことになる。
無線基地局1での直接通信要求フレーム{3}に対する判断処理で、第8の実施形態での図22と異なる点は、直接通信に関わる2つの無線端末での過去の受信フレームの受信電界強度を閾値と比較する代わりに、前記要求された直接通信に関わる2つの無線端末の過去の受信フレームの誤り率が許可の閾値を下回っているか、を比較する
ことである。
直接判断可能かの判断を行う以降は第8の実施形態と同様である。
または、第8の実施形態の判断と前記誤り率に関する判断を組み合わせてもよい。また、第9の実施形態に前記誤り率に関する判断を加えてもよい。
以上のようにすることによって、無線端末からの直接通信要求に対し、無線基地局が要求の許可、ないし拒否を判断することにより、無線端末間の直接通信の確立に、無線基地局が介在することができると同時に、受信フレームの誤り率に関する情報を用いて、直接通信に関与する2つの無線端末間の無線通信リンクの状態を推定し、実際の接続可能確率及び接続時の通信品質の向上を図ることができる。
また、第8の実施形態と組み合わせることによって、
より直接通信に関与する2つの無線端末間の無線通信リンクの状態の推定精度を上げる
ことができる。
また、第9の実施形態と組み合わせることによって、受信フレームの誤り率に関する情報の保証期間を加味し、直接通信に関与する2つの無線端末間の無線通信リンクの状態の推定を行うことができる。
(第11の実施形態)
本実施形態は基本的には第8の実施形態に基づくので、以下では本実施形態が第8の実施形態と異なる点を中心に説明する。
本実施形態が第8の実施形態と異なる点は、無線基地局が無線端末からの直接通信の要求フレームを受信した際に、無線基地局側で前記要求を許可するか否かを判断するのに、無線端末の受信フレームに関する情報を用いるのではなく、前記要求に関わる2つの無線端末各々に向けた指向性ビームの方向を用いることである。
本実施形態では、BSSの構成は第8の実施形態での図20の代わりに、図23のようになる。無線基地局1が各無線端末局101、102に対して指向性ビームを用いて通信を行う形態である。
無線基地局1は無線端末101と無線端末102、各々に指向性ビームを向けて無線通信を行っている際に、無線端末101と無線端末102、各々に向けた指向性ビームの方向に関する情報を保持し、それに基づき、前記無線端末101からの無線端末102との直接通信要求フレーム{3}を受信すると、前記フレーム{3}の要求を許可するか否かを判断する。要求を却下(拒否)する場合は、要求フレーム{3}の応答としてフレーム{4}で拒否する旨を無線端末101に通知する。
このように無線基地局から見た2つの無線端末の指向性ビームの角度差を求めることにより、前記情報と無線基地局がカバ−するエリア半径から、前記2つの無線端末間のおおよその距離を推定することができ、前記2つの無線端末が直接通信可能かどうかの判断を、無線基地局側で行うことができる。
無線基地局1内部の送受信部の構成を図24に示す。第8の実施形態での図21と異なる点は、アンテナ10の代わりに、指向性ビームを構成できるように例えばアダプティブアレイアンテナ20を用いていることと、受信情報記憶部14の代わりに、例えば各無線端末に向けた指向性ビームの方向を比較するための指向角比較部18を有することである。
無線基地局1での直接通信要求フレーム{3}に対する判断処理で、第8の実施形態での図22と異なる点は、要求先の受信情報の有無を調べる部分の代わりに、前記要求された直接通信に関わる両無線端末に向けた指向性ビームの方向を比較することである。
以上のように無線端末からの直接通信要求に対し、無線基地局が要求の許可、ないし拒否を判断することにより、無線端末間の直接通信の確立に、無線基地局が介在することができると同時に、指向性ビームの方向に関する情報を用いて、直接通信に関わる2つの無線端末間の実際の接続可能確率及び接続時の通信品質の向上を図る
ことができる。
(第12の実施形態)
本実施形態は基本的には第11の実施形態に基づくので、以下では本実施形態が第11の実施形態に補足する点を中心に説明する。
本実施形態が第11の実施形態に補足する点は、指向性ビームの方向に関する情報として、直接通信の要求を許可する指向性ビーム角度差を定めてそれに基づき判断することである。
第11の実施形態の図23を例に用いて説明する。無線基地局1が無線端末101から無線端末102との直接通信要求フレーム{3}を受信すると、無線端末101と無線端末102各々に向けた指向性ビームの角度差を求め、前記角度差が直接通信要求を許可する角度差より小さい場合には、無線端末101と無線端末102との間の直接通信を確立するために必要なフレームを送信する。許可する角度差より大きい場合には、無線端末101の前記要求フレーム{3}に対する応答フレームとして、前記要求を拒否するフレーム{4}を送信する。
以上のように無線端末からの直接通信要求に対し、無線基地局が要求の許可、ないし拒否を判断することにより、無線端末間の直接通信の確立に、無線基地局が介在することができると同時に、指向性ビームの方向に関する情報を用いて、直接通信に関わる2つの無線端末間の実際の接続可能確率及び接続時の通信品質の向上を図る上で、前記判断をより明確化することができる。
(第13の実施形態)
本実施形態は基本的には第11の実施形態に基づくので、以下では本実施形態が第11の実施形態に補足する点を中心に説明する。
本実施形態が第11の実施形態に補足する点は、指向性ビームの方向に関する情報として、直接通信の要求を拒否する指向性ビーム角を定めてそれに基づき判断することである。
第11の実施形態の図23を例に用いて説明する。無線基地局1が無線端末101から無線端末102との直接通信要求フレーム{3}を受信すると、無線端末101と無線端末102各々に向けた指向性ビームの角度差を求め、前記角度差が直接通信要求を拒否する角度差より大きい場合には、無線端末101の前記要求フレーム{3}に対する応答フレームとして、前記要求を拒否するフレーム{4}を送信する。前記角度差より小さい場合には、無線端末101と無線端末102との間の直接通信を確立するために必要なフレームを送信する。
以上のように無線端末からの直接通信要求に対し、無線基地局が要求の許可、ないし拒否を判断することにより、無線端末間の直接通信の確立に、無線基地局が介在することができると同時に、指向性ビームの方向に関する情報を用いて、直接通信に関わる2つの無線端末間の実際の接続可能確率及び接続時の通信品質の向上を図る上で、前記判断をより明確化することができる。
(第14の実施形態)
本実施形態は基本的には第8の実施形態に基づくので、以下では本実施形態が第8の実施形態に付加する点を中心に説明する。
本実施形態が第8の実施形態に付加する点は、第11〜13の実施形態の指向性ビームの角度差に関する情報を判断として組み合わせることである。
第11の実施形態の図23を例に用いて説明する。第11の実施形態のように、無線基地局が各無線端末局101、102に対して指向性ビームを用いて通信を行う形態において、第8の実施形態のように要求された直接通信に関与する2つの無線端末からの過去の受信フレームの受信電界強度を定めた受信電界強度の閾値と比較して受信フレーム情報として保持する。要求された直接通信に関与する2つの無線端末からの過去の受信フレームの受信電界強度が、前記受信電界強度の閾値よりもともに大きければ、例えば第11の実施形態を具体化した第12の実施形態におけるように無線端末101と無線端末102に各々向けた指向性ビームの角度差が許可する角度差の閾値より大きくても直接通信の要求を許可する。また、受信電界強度が前記受信電界強度の閾値よりもともに小さくても、指向性ビームの角度差が前記許可する角度差の閾値より小さければ許可する。これらの条件を満たさない場合に、前記直接通信の要求を拒否する。
上記では第12の実施形態との組み合わせを説明したが、第11の実施形態を具体化したものとして第13の実施形態を組み合わせるようにしてもよい。この場合は、拒否する角度差よりも指向性ビームの角度差が大きくても、過去の受信フレームの受信電界強度が前記受信電界強度の閾値より大きければ前記直接通信の要求を許可する、というようになる。
以上のように受信電界強度に関しての判断と指向性ビームの角度差に関しての判断を組み合わせることにより、直接通信に関与する2つの無線端末間の無線通信リンクの状態の推定精度を高め、より実際の接続可能確率及び接続時の通信品質の向上を図る
ことができる。
(第15の実施形態)
本実施形態は基本的には第14の実施形態に基づくので、以下では本実施形態が第14の実施形態に付加する点を中心に説明する。
本実施形態が第14の実施形態に付加する点は、第9の実施形態のように、受信フレーム情報を保持する期間を設けることである。
以上のようにすることによって、第14の実施形態における受信フレーム情報の保証期間を設け、より情報の信頼性を上げ、直接通信に関与する2つの無線端末間の無線通信リンクの状態の推定精度を高めることができる。
(第16の実施形態)
本実施形態は基本的には第14の実施形態に基づくので、以下では本実施形態が第14の実施形態と異なる点を中心に説明する。
本実施形態が第14の実施形態と異なる点は、受信電界強度に関しての比較の代わりに、誤り率での閾値との比較を用いることである。
第11の実施形態の図23を例に用いて説明する。第11の実施形態のように、無線基地局が各無線端末局101、102に対して指向性ビームを用いて通信を行う形態において、第10の実施形態のように要求された直接通信に関与する2つの無線端末からの過去の受信フレームの誤り率を定めた誤り率の閾値と比較して受信フレーム情報として保持する。要求された直接通信に関与する2つの無線端末からの過去の受信フレームの誤り率が、前記受信電界強度の閾値よりもともに小さければ、例えば第11の実施形態を具体化した第12の実施形態におけるように無線端末101と無線端末102に各々向けた指向性ビームの角度差が許可する角度差の閾値より大きくても直接通信の要求を許可する。また、誤り率が前記誤り率の閾値よりもともに大きくても、指向性ビームの角度差が前記許可する角度差の閾値より小さければ許可する。これらの条件を満たさない場合に、前記直接通信の要求を拒否する。
上記では第12の実施形態との組み合わせを説明したが、第11の実施形態を具体化したものとして第13の実施形態を組み合わせるようにしてもよい。この場合は、拒否する角度差よりも指向性ビームの角度差が大きくても、過去の受信フレームの誤り率が前記誤り率の閾値より小さければ前記直接通信の要求を許可する、というようになる。
または、受信電界強度に関しての比較と誤り率に関しての比較を組み合わせ、それを指向性ビームの角度差での判断に反映させるようにしてもよい。
以上のように誤り率に関しての判断と指向性ビームの角度差に関しての判断を組み合わせることにより、直接通信に関与する2つの無線端末間の無線通信リンクの状態の推定精度を高め、より実際の接続可能確率及び接続時の通信品質の向上を図ることができる。
(第17の実施形態)
本実施形態は基本的には第11〜16の実施形態に基づくので、以下では本実施形態がこれら第11〜16の実施形態に付加する点を中心に説明する。
本実施形態が第11〜16の実施形態に付加する点は、無線端末に向けた指向性ビームの方向を、無線端末に送信する際のアンテナ素子の重み付けにより推定し、求めることである。
以上のようにすることによって、第11〜16の実施形態において直接通信の要求を許可するか否かの判断を行う際に、指向性ビームの方向に基づく判断をより具体化する
ことができる。
(第18の実施形態)
本実施形態は基本的には第11〜16の実施形態に基づくので、以下では本実施形態がこれら第11〜16の実施形態に付加する点を中心に説明する。
本実施形態が第11〜16の実施形態に付加する点は、無線端末に向けた指向性ビームの方向を、無線端末から受信した受信信号による到来角推定により求めることである。
以上のようにすることによって、第11〜16の実施形態において直接通信の要求を許可するか否かの判断を行う際に、指向性ビームの方向に基づく判断をより具体化する
ことができる。