JP4486835B2 - 遊星型の摩擦伝動減速装置 - Google Patents
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Description
スライダー等の停止位置を高精度で制御する駆動装置としては、該スライダー等をステッピングモータにより駆動し、これらの停止位置を高精度(例えば、1μm単位)で検出して、この位置検出信号によってフィードバック制御して、所定位置に停止させるものがあるが、前記ステッピングモータからスライダー等へ駆動力を伝達する伝動装置として、機構が単純で小型である遊星型の摩擦伝動減速装置(以下、摩擦伝動減速装置という。)がよく用いられる。
前記スライダー等の駆動装置は、例えば図1に示すように、ベッド8上のガイドレールで案内されるスライダー1を精密ねじ軸2により往復動させるものであり、該ねじ軸2は摩擦伝動減速装置3を介してステッピングモータ4によって駆動される。前記スライダー1の位置を位置センサ5によって高精度(例えば1μm単位)で検出し、制御目標位置との誤差をCPU6で演算し、誤差修正のための制御信号を駆動手段7に送信して必要な回転角度だけステッピングモータ4を回転させ、高精度で最終的な目標位置に停止させるものである。
したがって、遊星摩擦輪13は微小に潰されて楕円状に弾性変形され、この状態では前記遊星摩擦輪13が圧縮される方向(図2(c)のm−m’方向)に対して直角方向(図2(c)のn−n’方向、キャリヤ17の公転方向)に遊星摩擦輪13が膨らむ(拡大する)ので、この方向において遊星摩擦輪13とキャリヤ軸14の間の嵌合部にガタ(微小間隙k)が生じる。このガタ(バックラッシュ)のために、遊星摩擦輪13がキャリヤ軸14に対して公転方向に変位(2〜3μmの極めて微小な変位)して、駆動軸11の回転量に対する被駆動軸(キャリヤ17が固定されている出力軸)12の回転量の追従精度が低下する。
前記特公平4−32256号公報(従来例1)に記載されたものは、図3に示すように、遊星摩擦輪23とインナーリング23aとの間にニードルローラ23bを介在させると共に、前記インナーリング23aとキャリヤ軸24との間には微小な間隙が形成されている。前記キャリヤ軸24の公転方向両側は切り欠かれており、太陽軸25とキャリヤ軸24の中心を通る仮想の平面に対してそれぞれ平行な面に形成されている。これらの平行な面と前記インナーリング23aの内周面とにより囲まれる弓形空間の一方(左側の空間)には、1個の弓形の可動部材23cが組み込まれ、また他方の弓形空間(右側の空間)には弾性部材23eを間に挟んで2個の扇形の可動部材23d,23dが組み込まれている。このように構成することで、前記インナーリング23aとキャリヤ軸24との間に生じるガタのうち、キャリヤ軸24の公転方向のガタを吸収するようになっている。
上記従来例1に記載されているキャリヤ軸24による遊星摩擦輪23の支持機構は、その機構構造が複雑であって成形加工コストが高くなり、また弾性部材23eの作用によってガタを防止しているので、キャリヤ軸24に対する遊星摩擦輪23の支持剛性が不足して安定しないという問題がある。
この従来技術の概要について図4を参照しながら説明する。
遊星摩擦輪30は、リテーナ(保持器)34により保持されている複数のニードルローラ33によって、キャリヤ軸39に対して回転自在に支持されている。前記キャリヤ軸39はその断面がほぼ楕円形状に形成されており、その長径方向の外径が、前記リテーナ34で保持されているニードルローラ33が自由状態にあるときの仮想内接円径よりも大きく、また、その短径方向の外径が同ニードルローラ33の仮想内接円径よりも小さく形成されている。
次に、前記遊星摩擦輪30が太陽軸(駆動側)31と固定摩擦輪32の間に圧入されて組み立てられるとき、該遊星摩擦輪30は太陽軸31と固定摩擦輪32の間に挟まれて微小に(例えば5μm)潰される(変形される)。このように遊星摩擦輪30が潰されると、該遊星摩擦輪30はキャリヤ軸39の楕円形状の長径方向に膨らもう(拡大しよう)とするが、前記キャリヤ軸39の圧入によって同方向に予め予備変形されているので、該遊星摩擦輪30はそれ以上同方向に膨らむことはない。このために、前記キャリヤ軸39の長径方向(キャリヤ軸39の公転方向)において、該キャリヤ軸39と遊星摩擦輪30の間にガタが生じることはない。これが従来技術においてガタが発生しない基本原理である。
上記課題を解決するために講じた手段1は、駆動軸である太陽軸と、固定ケーシングに固定された固定摩擦輪と、被駆動軸に連結されるキャリヤとが同心に配置され、
前記キャリヤは、断面が円形である複数のキャリヤ軸を備えており、
前記各キャリヤ軸には、遊星摩擦輪が多数の転動体とインナーリングによって回転自在に支承され、
前記それぞれのキャリヤ軸に支持された遊星摩擦輪は、前記太陽軸と固定摩擦輪の間に圧入され微小に潰されて楕円状に弾性変形されることにより、前記駆動軸から被駆動軸へ摩擦により回転を伝達する遊星型の摩擦伝動減速装置を前提として、次の(イ)〜(ハ)によるものである。
(イ)前記転動体がボールであること、
(ロ)前記キャリヤ軸の直径を前記インナーリングの内径より大きくして、該キャリヤ軸に該インナーリングを締め代をもって圧入嵌合することにより、該インナーリングが半径方向外方に拡張されると共に、前記多数のボールは前記インナーリングと遊星摩擦輪との間に微小に予圧縮されて介在されていること、
(ハ)前記インナーリングの拡張量が、前記太陽軸と固定摩擦輪の締め付けによる前記遊星摩擦輪の弾性変形の長径方向への膨らみ量よりも大きいこと。
次いで、図6を参照しながら前記解決手段の作用を説明する。
この図6においては、インナーリング40をキャリヤ軸41に締め代2x(μm)で圧入嵌合することによって遊星摩擦輪42がキャリヤ軸41に支持されており、自由状態において外径d(mm)の遊星摩擦輪42が固定摩擦輪32と太陽軸31との間で2y(μm)だけ潰されている状態を示している。(締め代、潰れ量及び変形量等は極めて微小であり、μm単位である。)
自由状態において内径e(mm)、外径f(mm)のインナーリング40を、直径がe+2xのキャリヤ軸41に圧入嵌合させているので、インナーリング40はその外径がf+2xに拡大している。インナーリング40と遊星摩擦輪42との間に介在しているボール43の直径は自由状態においてa(mm)であり、インナーリング40の外径の拡張によってボール43はXだけ潰されて弾性変形している(ただし、インナーリング40と遊星摩擦輪42の厚さの変化は微小であるので、説明を単純にするためにこれらは無視している。また、遊星摩擦輪42の内径も拡張するが、これも微小であり説明を簡略にするために、この拡張分をボール43の弾性変形Xに含めて説明する。)。
実施態様1は、前記解決手段1の摩擦伝動減速装置において、インナーリング40、ボール43及び遊星摩擦輪42が、それぞれ規格品である「ボールベアリング」のインナーリング、ボール及びアウターリングであることである。
なお、上記の「規格品」は、JIS規格品やベアリングメーカーのメーカー規格品として、一般に流通し、汎用されている定型製品を意味する。
〔作 用〕
キャリヤ軸41の直径を上記「ボールベアリング」のインナーリング40の内径よりも締め代分だけ大きくして、これにボールベアリングのインナーリング40を圧入嵌合させることにより、キャリヤCに遊星摩擦輪42を組み付けてサブアセンブリとする。これを太陽軸31と固定摩擦輪32の間に圧入させることによって、摩擦伝動減速装置が組み立てられる。ここで使用される「ボールベアリング」は規格品であり極めて廉価であるため、摩擦伝動減速装置の製作に要する加工工数や製作コストが大幅に低減される。また、規格品である「ボールベアリング」のインナーリング、ボール及びアウターリングの成形加工精度、寸法精度は極めて高いので、これを利用した摩擦伝動減速装置の回転精度や伝動精度は共に高い。
実施態様2は、前記解決手段1又は実施態様1の摩擦伝動減速装置において、固定摩擦輪32が、固定ケーシングHの端面開口に嵌合固定される閉蓋カバーと一体に形成されていることである。
〔作 用〕
固定摩擦輪32が上記閉蓋カバーと一体に形成されているので、固定摩擦輪32はその成形加工、研磨加工が容易であり、また、圧入嵌合された遊星摩擦輪42からの拡張作用に対する剛性が高く、変形が小さい。
実施態様3は、前記解決手段1、実施態様1又は実施態様2の摩擦伝動減速装置において、各キャリヤ軸41に対して、インナーリング40、ボール43及び遊星摩擦輪42を2組以上組み込むことである。
〔作 用〕
伝動トルクを大きくするために軸方向に長い遊星摩擦輪を用いる場合、これを高精度で成形加工するのは容易ではないから、製作コストが高くなる。
しかし、実施態様3は、各キャリヤ軸41に対して、インナーリング40、ボール43及び遊星摩擦輪42を2組以上組み込むことにより、実質的に軸方向に長い遊星摩擦輪を用いた場合と同じになるから、伝動トルクの大きい摩擦伝動減速装置を低コストで製作することができる。
実施態様4は、前記解決手段1、実施態様1〜実施態様3のいずれかの摩擦伝動減速装置において、各キャリヤ軸41に支持されている遊星摩擦輪42が、該キャリヤ軸41の軸方向に互いにずらして配置されていることである。
〔作 用〕
太陽軸31、キャリヤ軸41及び固定摩擦輪32の中心軸線の微小な傾きのために、遊星摩擦輪42は前記太陽軸31や固定摩擦輪32に対して微妙に片当たりし、該遊星摩擦輪42の角が太陽軸31や固定摩擦輪32の転動面に強く当ることになるため、太陽軸31や固定摩擦輪32の転動面が偏磨耗する。
この実施態様4においては、各キャリヤ軸41の遊星摩擦輪42が互いに軸方向にずらして配置されているので、その片当りによる転動面の偏磨耗が分散され、集中することが避けられる。したがって、その耐久性が向上し、長期間に亘って円滑な伝動を維持することができる。
実施態様5は、前記解決手段1、実施態様1〜実施態様4のいずれかの摩擦伝動減速装置において、前記キャリヤ軸41が前記キャリヤCとは別体であり、その一端がキャリヤCの孔に遊嵌され接着剤Bで固着されていることである。
〔作 用〕
これによると、遊星摩擦輪42を太陽軸31と固定摩擦輪32に間に圧入したとき、キャリヤ軸41aがキャリヤCに対して若干の自在性があるので、遊星摩擦輪42が太陽軸31と固定摩擦輪32に対して自然に調心され、調心された状態で接着剤Bでキャリヤ軸41aがキャリヤCに固着される。したがって、遊星摩擦輪42の太陽軸31、固定摩擦輪32に対する圧接の軸方向における均等化が図られて、片当たりが低減される。
上記課題を解決するために講じた手段2は、太陽軸と外側摩擦輪とキャリヤとが同心に配置され、
前記キャリヤは、断面が円形である複数のキャリヤ軸を備えており、
前記各キャリヤ軸には、遊星摩擦輪が多数の転動体とインナーリングによって回転自在に支承され、
前記それぞれのキャリヤ軸に支持された遊星摩擦輪は、前記太陽軸と外側摩擦輪の間に圧入され微小に潰されて楕円状に弾性変形されることにより、前記太陽軸と外側摩擦輪に圧接され摩擦により回転を伝達するようになっており、
前記太陽軸と外側摩擦輪とキャリヤのうちのどれか一つを固定し、残り二つのうちの一方を駆動側とし、他方を被駆動側とする遊星型の摩擦伝動装置(以下、摩擦伝動装置という)を前提として、次の(ニ)〜(ヘ)によるものである。
(ニ)前記転動体がボールであること、
(ホ)前記キャリヤ軸の直径を前記インナーリングの内径より大きくして、該キャリヤ軸に該インナーリングを締め代をもって圧入嵌合することにより、該インナーリングが半径方向外方に拡張されると共に、前記多数のボールは前記インナーリングと遊星摩擦輪との間に微小に予圧縮されて介在されていること、
(ヘ)前記インナーリングの拡張量が、前記太陽軸と外側摩擦輪の締め付けによる前記遊星摩擦輪の弾性変形の長径方向への膨らみ量よりも大きいこと。
この摩擦伝動装置は、前記太陽軸と外側摩擦輪とキャリヤの内、どれか一つを固定し、残り二つのうちの一方を駆動側とし、他方を被駆動側とすることにより、減速装置、増速装置又は逆転装置として機能するものである。
例えば、前記外側摩擦輪を固定して、前記太陽軸又はキャリヤの一方を駆動側に他方を被駆動側にすれば減速装置又は増速装置となり、前記キャリヤを固定して、前記太陽軸又は外側摩擦輪の一方を駆動側に他方を被駆動側にすれば減速又は増速機能を有する逆転装置となり、また前記太陽軸を固定して、前記外側摩擦輪又はキャリヤの一方を駆動側に他方を被駆動側にすれば減速装置又は増速装置となる。
そして、上記以外の作用は、上述した解決手段1の作用と共通するものである。
(1)請求項1に係る発明の効果
転動体としてボールを用いると共に、キャリヤ軸の断面を円形として、その直径をインナーリングの内径より大きくして、該キャリヤ軸に該インナーリングを締め代をもって圧入嵌合して、多数のボールを前記インナーリングと遊星摩擦輪との間で予圧縮することにより、前記キャリヤ軸と遊星摩擦輪の間で発生するガタを防止することができるので、前記遊星摩擦輪のキャリヤ軸に対する支持機構の構成が非常に簡単であり、成形・研磨加工も容易であり、製作コストを低減することができる。
また、前記ボールの自転及び公転が円滑であり遊星摩擦輪の回転も円滑であるため、摩擦伝動減速装置の回転伝達がより一層円滑であり耐久性が向上するばかりでなく、駆動軸の回転に対する被駆動軸の回転追従精度を高くすることができる。さらに、スライダー等の駆動装置に適用すれば、スライダー等の位置を迅速且つ高精度に制御することができる。
使用する「ボールベアリング」は規格品であるため極めて廉価であり、また各部品の成形加工精度や寸法精度は極めて高いので、摩擦伝動減速装置の製作加工工数、製作コストが大幅に低減されると共に、摩擦伝動減速装置の回転精度や回転伝達精度はさらに向上する。
(3)請求項3に係る発明の効果
固定摩擦輪が固定ケーシングの端面開口の閉蓋カバーと一体に形成されているので、固定摩擦輪の成形加工や研磨加工が容易であり、また固定摩擦輪の剛性が高くなり、圧入嵌合される遊星摩擦輪から受ける拡張作用による変形が小さくなる。
各キャリヤ軸に対して、インナーリング、ボール及び遊星摩擦輪を2組以上組み込むことにより、実質的に軸方向長さが長い遊星摩擦輪を用いた場合と同じになるので、伝動トルクの大きい摩擦伝動減速装置を低コストで製作することができる。また、規格品である「ボールベアリング」を用いた場合、ボールベアリングは個々に調心作用(回転軸心に対する調心作用)を有しており、各遊星摩擦輪は太陽軸と固定摩擦輪に対して個々に作用するので、その面圧がその全長においてほぼ均一になり、耐久性が向上する。
(5)請求項5に係る発明の効果
遊星摩擦輪がキャリヤ軸の軸方向に互いにずらされて配置されているので、遊星摩擦輪が太陽軸や固定摩擦輪に対して片当たりしても、その片当りによる偏磨耗が分散されて耐久性が向上する。
(6)請求項6に係る発明の効果
遊星摩擦輪を太陽軸と固定摩擦輪に間に圧入したとき、キャリヤ軸がキャリヤに対して若干の自在性があるので、遊星摩擦輪が太陽軸と固定摩擦輪に対して自然に調心され、調心された状態で接着剤によってキャリヤ軸がキャリヤに固着される。したがって、遊星摩擦輪の太陽軸、固定摩擦輪に対する圧接の軸方向における均等化が図られて、片当たりが低減されるので、その伝動特性が向上される。
(7)請求項7に係る発明の効果
上記請求項1に係る発明の効果に加え、さらに次の効果を生じるものである。
太陽軸と外側摩擦輪とキャリヤのうち、固定部材、駆動部材及び被駆動部材を適宜選択することにより、減速装置、増速装置又は逆転装置として機能させることができる。
この実施例1の摩擦伝動減速装置は、図5に示されているように、駆動軸となる断面円形の太陽軸31と、被駆動軸Sと一体のキャリヤCにおいて同心円上に一体に設けられた、片持ちの3本のキャリヤ軸41と、該キャリヤ軸41に回転可能に取り付けられた遊星摩擦輪42と、固定ケーシングHに回転不能に固定された固定摩擦輪32を備えて構成される。前記遊星摩擦輪42は、JIS規格品である「ボールベアリング」のアウターリングであり、その場合のインナーリング40は該インナーリングの内径より大きい直径を有する前記キャリヤ軸41に圧入されることにより、複数個のボール43を介して前記アウターリング(遊星摩擦輪42)を回転可能に支持している。なお、複数個のボール43は図示しないリテーナ(保持器)によって保持されている。
前記固定摩擦輪32は剛性の高い固定ケーシングHに嵌合固定されており、半径方向外方へ拡径することがないので、この固定摩擦輪32の内径は、ほぼ前記36mmのままに維持される。
このような圧入状態においては、前記ボール43のインナーリング40での転動面と遊星摩擦輪42での転動面との圧接点において、これらの転動面が凹んでいるのでこの凹み量を勘案すると、拡大したインナーリング40の外径、及び拡大した遊星摩擦輪42の内径から推測して、楕円状に潰された1個当たりのボール43の潰れ量(図6の潰れ量x)はほぼ10μmと推定される。すなわち、キャリヤ軸41に圧入嵌合によって、インナーリング40は30μm拡径されたが、外側の遊星摩擦輪42は10μmしか拡径されないので、その差の20μm相当が前記ボール43の潰れ量となる。そして、ボール43は、インナーリング40の外周に配置されることから、直径方向には2個配置されるので、ボール43の1個当りの潰れ量が前記20μmの半分の10μmと推定されることとなる。
従って、この遊星摩擦輪42の膨らみに伴って、楕円状に潰されていたボール43が弾性復元する。この遊星摩擦輪42の片側の膨らみ量z(4μm)はボール43の前記潰れ量x(10μm)よりも6μmほど小さいので、前記遊星摩擦輪42が楕円状に変形したときでも、前記インナーリング40と遊星摩擦輪42に対してボール43がガタつくことはない。
なお、上記インナーリング40、上記ボール43および上記遊星摩擦輪42を構成するJIS規格の696ボールベアリングは、多少のガタがあるので、上述の具体的な各数値は、適宜に変動するものである。ただし、前記インナーリング42の拡張量xが、太陽軸31と固定摩擦輪32の締め付けによる遊星摩擦輪42の弾性変形の長径方向への膨らみ量zよりも大きく設定されることは担保される必要がある。
なお、前記キャリヤ軸41の公転半径は21mmであり、太陽軸31の円形断面の真円度は0.01、固定摩擦輪32の真円度は0.01、遊星摩擦輪42の自由状態での真円度は0.005である。
また、実施例1では、前記モータフランジMの環状凸部と固定摩擦輪32が別部材とされているが、このモータフランジMに長い環状凸部を一体に突設し、これを固定摩擦輪32として固定ケーシングHの開口部に嵌め込むこともできる。このような形態にすることにより、図5に示されている実施例よりも固定摩擦輪32の成形加工が容易になり、モータフランジMと固定摩擦輪32の成形加工コストが低減される。
ところで、このような摩擦伝動減速装置において伝動トルクを大きくする場合は、遊星摩擦輪42に対する締め代を大きくして太陽軸31と遊星摩擦輪42、及び遊星摩擦輪42と固定摩擦輪32の摩擦力を大きくすることが考えられるが、これは遊星摩擦輪42の転がり抵抗、伝動の平滑性や耐久性の観点から好ましくない。そこで、図7(a)に示されているように遊星摩擦輪42を長くすることで伝動トルクを大きくすることになるが、このようにすると前記遊星摩擦輪42と、太陽軸31及び固定摩擦輪32との間の面圧がその長手方向において不均一になり、所期の伝動特性を発揮することができないこともある。
この問題を解消するためのものが図7(b)に示す実施例2のものである。この実施例2は、図5に示された実施例1の遊星摩擦輪42を構成する規格品である「ボールベアリング」をスペーサ44を介して3個並べて一組としてこれによって各キャリヤ軸41に対する遊星摩擦輪を構成したものである。この3個の「ボールベアリング」は個々に調心作用(回転軸心に対する調心作用)を有しており、太陽軸31と固定摩擦輪32に対して個々に作用し、その面圧がその全長においてほぼ均一になるので、その伝達最大トルク容量は図5に示された実施例1の約3倍弱であって安定している。
このような摩擦伝動減速装置において、太陽軸31、キャリヤ軸41及び固定摩擦輪32の中心軸線は、加工誤差等のために微小な傾きを有しているのが普通である。このために、遊星摩擦輪42は太陽軸31や固定摩擦輪32に対して微妙に片当たりして、該遊星摩擦輪の角が太陽軸や固定摩擦輪の転動面に集中して強く当ることになり、太陽軸31や固定摩擦輪32の転動面が偏磨耗することになる。
この実施態様3においては、キャリヤ軸41の基部(キャリヤC側)にそれぞれ厚さの異なる段部47a〜47cを設けることにより、各遊星摩擦輪42は互いに軸方向にずらして配置されるので、その片当りによる転動面の偏磨耗が分散され、集中しないように構成されている。このために、前記太陽軸31、キャリヤ軸41及び固定摩擦輪32の耐久性が向上し、長期間に亘って円滑な伝動作用が維持される。
実施例4(図9)は、キャリヤ軸41aとキャリヤC間の関連構成を変更した実施例であり、具体的には実施例2のキャリヤ軸41をキャリヤCと別体にしたものである。
上記従来技術はキャリヤ軸の一端をキャリヤの孔に圧入嵌合して固定しているが、実施例4はこれとは違って、キャリヤ軸41aの一端をキャリヤCの孔に遊嵌させ、キャリヤ軸41aとキャリヤCを接着剤bで固着している。
実施例4の遊星摩擦輪42を太陽軸31と固定摩擦輪32に間に圧入したとき、キャリヤ軸41aがキャリヤCに対して若干の自在性があるので、遊星摩擦輪42が太陽軸31と固定摩擦輪32に対して自然に調心され、調心された状態で接着剤bでキャリヤ軸41aがキャリヤCに固着される。したがって、遊星摩擦輪42の太陽軸31、固定摩擦輪32に対する圧接の軸方向における均等化が図られて、片当たりが低減されるので、その伝動特性が向上される。
また、実施例2(図7)は3つのボールベアリングを組み合わせて遊星摩擦輪を構成しているものであり、キャリヤ軸41が実施例1のものに比して相当長いために3つの遊星摩擦輪42の太陽軸31と固定摩擦輪32に対する圧力が不均一になり、片当たりする傾向があるという問題があるが、実施例4により上記の問題が大幅に低減される。
したがって、この発明は減速機能、増速機能又は逆転機能を備える遊星型の伝動装置としての発明でもある。
2・・・・ねじ軸
3・・・・遊星摩擦伝動減速装置
4・・・・ステッピングモータ
5・・・・位置センサ
6・・・・CPU
7・・・・駆動手段
8・・・・ベッド
11・・・・駆動軸
12,S・・・・被駆動軸
13,23,30,42・・・・遊星摩擦輪
13a,23a,40・・・・インナーリング
13b,23b,33・・・・ニードルローラ
14,24,39,41・・・・キャリヤ軸
15,25,31・・・・太陽軸
16,26,32・・・・固定摩擦輪
17,C・・・・キャリヤ
43・・・・ボール
47a〜47c・・・・段部
b・・・・接着剤
B・・・・ボールベアリング
M・・・・モータフランジ(閉蓋フランジ)
H・・・・固定ケーシング
Claims (8)
- 駆動軸である太陽軸と、固定ケーシングに固定された固定摩擦輪と、被駆動軸に連結されるキャリヤとが同心に配置され、
前記キャリヤは、断面が円形である複数のキャリヤ軸を備えており、
前記各キャリヤ軸には、遊星摩擦輪が多数の転動体とインナーリングによって回転自在に支承され、
前記それぞれのキャリヤ軸に支持された遊星摩擦輪は、前記太陽軸と固定摩擦輪の間に圧入され微小に潰されて楕円状に弾性変形されることにより、前記駆動軸から被駆動軸へ摩擦により回転を伝達する遊星型の摩擦伝動減速装置において、
前記転動体がボールであり、
前記キャリヤ軸の直径を前記インナーリングの内径より大きくして、該キャリヤ軸に該インナーリングを締め代をもって圧入嵌合することにより、該インナーリングが半径方向外方に拡張されると共に、前記多数のボールは前記インナーリングと遊星摩擦輪との間に微小に予圧縮されて介在されており、
前記インナーリングの拡張量が、前記太陽軸と固定摩擦輪の締め付けによる前記遊星摩擦輪の弾性変形の長径方向への膨らみ量よりも大きいことを特徴とする遊星型の摩擦伝動減速装置。 - 前記インナーリング、ボール及び遊星摩擦輪が、規格品である「ボールベアリング」のインナーリング、ボール及びアウターリングであることを特徴とする請求項1の遊星型の摩擦伝動減速装置。
- 前記固定摩擦輪が、前記固定ケーシングの端面開口に嵌合固定される閉蓋カバーと一体に形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2の遊星型の摩擦伝動減速装置。
- 前記各キャリヤ軸に対して、インナーリング、ボール及び遊星摩擦輪を2組以上組み込むことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかの遊星型の摩擦伝動減速装置。
- 前記各キャリヤ軸に支持されている遊星摩擦輪が、該キャリヤ軸の軸方向に互いにずらされて配置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかの遊星型の摩擦伝動減速装置。
- 前記キャリヤ軸が前記キャリヤとは別体であり、その一端がキャリヤの孔に遊嵌され接着剤で固着されている請求項1乃至請求項5のいずれかの遊星型の摩擦伝動減速装置。
- 太陽軸と外側摩擦輪とキャリヤとが同心に配置され、
前記キャリヤは、断面が円形である複数のキャリヤ軸を備えており、
前記各キャリヤ軸には、遊星摩擦輪が多数の転動体とインナーリングによって回転自在に支承され、
前記それぞれのキャリヤ軸に支持された遊星摩擦輪は、前記太陽軸と外側摩擦輪の間に圧入され微小に潰されて楕円状に弾性変形されることにより、前記太陽軸と外側摩擦輪に圧接され摩擦により回転を伝達するようになっており、
前記太陽軸と外側摩擦輪とキャリヤのうち、どれか一つを固定し、残り二つのうちの一方を駆動側とし、他方を被駆動側とする遊星型の摩擦伝動装置において、
前記転動体がボールであり、
前記キャリヤ軸の直径を前記インナーリングの内径より大きくして、該キャリヤ軸に該インナーリングを締め代をもって圧入嵌合することにより、該インナーリングが半径方向外方に拡張されると共に、前記多数のボールは前記インナーリングと遊星摩擦輪との間に微小に予圧縮されて介在しており、
前記インナーリングの拡張量が、前記太陽軸と外側摩擦輪の締め付けによる前記遊星摩擦輪の弾性変形の長径方向への膨らみ量よりも大きいことを特徴とする遊星型の摩擦伝動装置。 - スライダーをねじ機構で駆動し、当該ねじ機構を摩擦伝動減速装置を介してステッピングモータにより駆動し、スライダーの停止位置を高精度で検出して、この位置検出信号によってフィードバック制御して、所定位置に停止させるスライダー駆動装置であって、上記摩擦伝動減速装置が請求項1乃至請求項6のいずれかの遊星型の摩擦伝動減速装置であるスライダー駆動装置。
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