JP4479053B2 - 高強度かつ平坦性に優れたステンレス鋼板とその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高強度かつ平坦性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼板とその製造方法に関するものであり,特に電子機器等に使用されるプリント配線板の製造時に使用される冶具であるプレスプレート等に使用するのに最適であるオーステナイト系ステンレス鋼板とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
プリント配線板は精密な配線形状に加工された銅箔を樹脂により絶縁することで構成されており、最近では電子機器の発達にともない配線の更なる高密度化および多層化が進んでいる。
【0003】
図1は、プリント配線板の製造方法の略式説明図であり、同図に示すように、配線板の製造は、定磐1の上に銅箔2と絶縁用樹脂板3を多数枚積重ねた後、プレス機の金型4をのせ、これを上下より加圧すると同時に200 ℃程度に加熱することで樹脂部を溶着させ、多層積層板7とする等の方法により行われている。プレスプレート6はこの加熱、加圧時に使用される平板の治具であり、上記の積層板7を仕切るために挿入される。
【0004】
最近は、この治具に関しても配線板の大型化、生産効率向上(一回の加熱,加圧での製造数増加)にともない大型化が求められている。このため、プレスプレートには加熱、加圧に耐える高強度、銅配線のズレを抑える高平坦度とともに加熱冷却後の形状変化が極力小さいことが要求される。
【0005】
従来より、プレスプレート用板材の一つとして冷間圧延での加工硬化および加工誘起マルテンサイト変態により高強度の得られるSUS304、SUS301等の (準安定) オーステナイト系ステンレス鋼板が使用されてきた。しかし、プレスプレートへの適用に際しては、例えば冷間圧延により1mm程度の厚さに加工されるが、その段階において必ずしも充分な平坦度を満たしてはいない。
【0006】
このため、板材の高平坦度化を目的として、(1) テンションレベラー(TL)等の装置による室温での形状矯正や、(2) 降伏応力の低下する高温域での形状矯正が実行されてきた。
【0007】
しかし、(1) 室温での形状矯正には板材の降伏応力を越える強力な張力の付与が必要であるが、対象が板厚が比較的厚く、高強度材であるため、高平坦度を得ることが難しいという問題があった。また、そのようにして矯正した板材は強力な残留応力等に起因して、加熱冷却後の形状変化が大きい等の問題もあった。
【0008】
このため、(2) 降伏応力の低下する高温域での矯正が提案されてきた(特開昭48−046557号、特開昭62−004831号、特開昭62−240112号各公報参照) 。しかし、充分な平坦度が得られる温度域での矯正においては板材自体の強度も低下してしまい、高強度と高平坦度の両立は難しいのが現状であった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、高強度であって、加熱冷却時の形状変化の小さい材料およびその製造方法、特にプレスプレート用オーステナイト系ステンレス鋼鈑とそれを安定供給できる製造方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、かかる課題を解決すべく種々検討を重ねた結果、次のような知見を得て本発明を完成した。
(i) 従来は高温域での形状矯正であるため降伏応力の低下は免れない。オーステナイト系ステンレス鋼板では、冷間圧延での加工誘起マルテンサイト変態をともなう加工硬化により高強度が得られるが、そのようなオーステナイト系ステンレス鋼に比較的低温で焼鈍を行うと、同マルテンサイト相のオーステナイト相への逆変態にともなう形状変化が生じ、これを形状矯正に利用することで強度低下を極力抑えつつ、効果的な形状矯正が可能となることを見出した。
(ii)本発明による形状矯正は、具体的には、板材を平坦かつ表面の平滑な上下2枚の定盤間に挟み、圧力を付与することで行われる。しかし、これは逆変態にともなう形状変化を板形状が平坦となるように誘導し、寸法 (板幅、長さ) 変化を抑えるためのものであり、従来のような降伏応力を越えるような応力を付与するものではない。
【0011】
なお、マルテンサイト相のオーステナイト相への逆変態は1〜2%程度の体積の減少をともなう。
このため、本発明では材料の組成、硬度、マルテンサイト量およびその平坦化方法を限定したものである。
【0012】
すなわち、本発明は以下の構成を要旨とする。
(1) 化学組成が、質量%にて、C+N:0.3%以下、Si:0.9%以下、Mn:2.0%以下、Cr:13.0〜21.0%、Ni:5.0〜12.0%、残部Feおよび不可避的不純物から成り、かつ下記式(1)を満足し、ビッカース硬度がHv400以上で、金属組織がマルテンサイト相30体積%以下と、残部が焼き戻しオーステナイト相を含むオーステナイト相70体積%以上とで構成されていることを特徴とする高強度かつ平坦性に優れたステンレス鋼板。
【0013】
80≧500 −480(C+N) −11Si−9Mn −15Cr−20Ni≧ 0 …(1)
(2) プレスプレート用である上記(1) 記載のステンレス鋼板。
(3) 上記(1) に規定する化学組成を有する鋼片を熱間圧延、焼鈍、酸洗した後、マルテンサイト相が35体積%以上で残部オーステナイト相となるように冷間圧延した後、平坦かつ表面の平滑な定盤で挟み、面圧が0.49〜1.96N/cm2 の圧力を付与したまま、450 ℃以上650 ℃未満の温度範囲で熱処理することを特徴とする高強度かつ平坦性に優れたステンレス鋼板の製造方法。
【0014】
プレスプレート用ステンレス鋼としては、特開平8−225896号公報に開示されている提案があるが、これは光沢度に着目し、Si+Mo≧3.5 %とすることを規定している。また、特開平8−269236号公報の開示する発明ではオーステナイト相の安定化を図るためにMn:10〜20%を添加することを規定している。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について更に詳細に説明する。
まず、本発明にかかるオーステナイト系ステンレス鋼の化学組成を上述のように限定した理由について説明する。本明細書において化学組成を規定する「%」は特にことわりがないかぎり、「質量%」である。
【0016】
C+N:0.3 %以下
C、Nは、強力なオーステナイト安定化元素であり、添加量の増加にともない加工誘起マルテンサイト変態を抑制する。それらの効果はC、Nで同等と考えられる。また、オーステナイト母相およびマルテンサイト相を固溶強化すると考えられる。C、Nの合計量が0.3 %を越えるとオーステナイト相が安定と成り過ぎ、本発明において不可欠な加工誘起マルテンサイト相が得られない場合がある。また、加工誘起マルテンサイト相が硬くなりすぎ、材料の加工性不芳となる。
【0017】
したがって、C+N含有量は0.3 %以下とした。好ましくは、下限は0.06%、上限は0.25%である。
Si:0.9 %以下
Siは、オーステナイト母相およびマルテンサイト相を固溶硬化すると考えられ、オーステナイト安定化元素でもある。他の元素とのバランスの元に添加されるが、過度の添加により加工誘起マルテンサイト相が得られない場合もあり、0.9 %を越えると加工性不芳となる。
【0018】
したがって、Si含有量は0.9 %以下とした。好ましくは、0.75%以下である。
Mn:2.0 %以下
オーステナイト安定化元素である。他の元素とのバランスの元に添加されるが、過度の添加により加工誘起マルテンサイト相が得られない場合がある。また、2%以上添加した場合、延性の低下を招く。したがって、Mn含有量は2.0 %以下とした。好ましくは、1.6 %以下である。
【0019】
Cr:13.0%以上21.0%以下
ステンレス鋼の基本元素であり、有効な耐食性を得るためには少なくとも13%以上、現実には16%以上の添加が望ましい。しかし、同時にフェライト形成元素でもあり、多量に添加した場合にはフェライト相の残存を招く可能性を有する。したがって、Cr含有量は13.0%以上21.0%以下とした。好ましくは、下限16.0%、上限20.0%である。
【0020】
Ni:5.0 %以上12.0%以下
オーステナイト安定化元素であり、優れた加工性を付与する元素もある。フェライト相の残存を避けるためには5%以上の添加が必要である。しかし、多量の添加は本発明において不可欠な加工誘起マルテンサイト変態を起こりにくくする。したがって、Ni含有量は 5.0%以上12.0%以下とした。好ましくは、下限6.0 %、上限10.5%である。
【0021】
なお、残部はFeおよび不可避的不純物元素からなる。
(1) 式は一般的に用いられる0.3 %の引張り真歪を与えた時、50体積%のマルテンサイト変態を生じる温度(Md30)を本試験およびその補完試験に基づいて補正したものである。
【0022】
本発明において、効果的な形状矯正をなすためには、35体積%を越えるマルテンサイト量が必要である。これを冷間圧延後 (形状矯正前) に満たすため、(1) 式の値を 0以上80以下に規定したものである。好ましくは10以上、70以下である。
【0023】
次に、板材の特性値および平坦化方法の限定理由ついて試験結果を用いて説明する。
ここに、本発明によれば、上述のような化学組成を有する鋼片に対して熱間圧延、焼鈍、酸洗した後、加工誘起マルテンサイト相の体積率が35%以上で残部オーステナイトとなるように冷間圧延を行う。
【0024】
このときの熱間圧延、それに続く焼鈍、酸洗は、特に制限されず、慣用の条件で行えばよく、例えば熱間圧延は、加熱温度1100〜1200℃、仕上げ温度1000〜1200℃で行えばよい。冷間圧延に先立って行う焼鈍は1種の軟化焼鈍であって、例えば1000〜1100℃に加熱することで行えばよい。
【0025】
冷間圧延は、加工誘起マルテンサイト相35体積%以上、残部オーステナイト相とするために行う。ここに、加工誘起マルテンサイト相35体積%以上とするのは逆変態 (マルテンサイト量の減少) により有効な形状矯正を行うためであって、好ましくは40体積%以上とする。このときの冷間圧延条件は、圧延率15%以上程度である。
【0026】
このようにして得られた冷延材は、平坦度と強度を調整するために、焼鈍処理に付される。このとき、冷延鋼板は、平坦かつ表面の平滑な定盤で挟み、面圧が0.49〜1.96N/cm2 の圧力を付与したまま、450 〜650 ℃の温度範囲で熱処理する。
【0027】
本例で得たオーステナイト系ステンレス板材の成分分析結果を表1に示す。
なお、本試験における板材は、t1.2mm×w200mm×L400mmの寸法のものを使用した。
【0028】
図1に示したように、板材をプレスプレートとして使用することを想定した場合、板材は一般的により高硬度、高平坦度であることが望ましいと考えられる。しかし、図2に示すように、板材10の長さ方向の両端部12、12のみを380mm の間隔を設けて両端の支持台16に固定し、同中心部に50mm角の面積(断面積:2500mm2 )で5Kgの重り14をのせた時の落込量を測定した場合、図3に示すように同落込量は硬度の上昇とともに減少し、Hv400 以上ではほぼ一様となる。
【0029】
これらを配線板製造時の加圧、加熱処理工程に当てはめ、局所的に圧力が付与されたと考えると、板材は硬度上昇とともに配線板により均一な圧力を伝播することができるものの、Hv400 以上ではほぼ一様となると考えられる。これより、板材の硬度をHv400 以上に限定した。
【0030】
表2には冷間圧延率の異なる2種板材 (▲1▼、▲2▼) の各温度での焼鈍後のマルテンサイト量と硬度、室温(20 ℃) から200 ℃での加熱冷却後の熱収縮量の関係を示す。このときの焼鈍処理は板材を平坦かつ表面の平滑な軟鋼製定盤間に挟むことで面圧0.49N/cm2 の圧力を付与したまま1h保持で実施した。マルテンサイト量 (体積%) はフェライトメータによって求めた値をそれぞれ示す。
【0031】
なお、熱収縮量は板材の長手方向 (圧延方向) および板幅方向について測定した。
表2より、マルテンサイト量は焼鈍温度の上昇とともに減少し、30体積%以下で熱収縮量が1μm/10mm以下となる。これらより、板材のマルテンサイト量を30体積%以下に限定した。
【0032】
図4に表2に示す板材▲1▼の焼鈍温度とマルテンサイト量、定盤上に置いたときの浮上り高さ(板四端での平均)の関係を示す。
マルテンサイト量は焼鈍温度が450 ℃を越え、500 ℃とあると減少を始める。これにともない、浮上り高さも急激に減少し、500 ℃以上の温度での焼鈍後は1.0mm 以下となり、板材が平坦となる。500 ℃での焼鈍によるマルテンサイトの減少量は5体積%程度であった。
【0033】
これより、形状矯正には5体積%以上のマルテンサイト相のオーステナイト相への逆変態が必要と考えられる。
すなわち、繰り返しとなるが、マルテンサイト量は冷間圧延後が35体積%以上、上記焼鈍後は30体積%以下とした。さらに好ましくは、圧延後には40体積%以上、焼鈍後には2体積%以上28体積%以下である。なお、残部はオーステナイト相よりなる。
【0034】
焼鈍温度上昇は硬度低下を招き、表2に示したように600 ℃まではHv400 以上を満たすものの、650 ℃において同値を下回る。また、付与圧力は0.49N/mm2 で充分な矯正効果を得られると考えられるものの、それ以上の圧力を付与することに問題はなく、後述する表3のA11 、12に示す試験結果と併せて上限を1.96N/mm2 とした。
【0035】
これらより、冷間圧延後 (焼鈍前) のマルテンサイト量を表2の結果と併せて35%以上,焼鈍温度を450 ℃を越え650 ℃未満、好ましくは500 〜600 ℃、同時に付与する圧力を0.49N/mm2 以上1.96N/mm2 以下とした。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】
【実施例】
表3に示す組成からなるステンレス鋼を溶製し、熱間圧延、焼鈍、酸洗を行った後、冷間圧延により厚さ1.2mm の板材を作成し、所定温度、圧力を付与したまま焼鈍を施した。その後、得られた板材を用いて、硬度、マルテンサイト量、室温から200℃での加熱冷却時の熱収縮量、浮上り高さを調査した。
【0039】
表3にそれらの調査結果を示す。
製造方法については、冷延ままのA0、A6、B0はマルテンサイト量が35体積%を越え、熱収縮量、浮上り高さとも大きいものの、0.49N/mm2 の圧力を付与したまま500 〜600 ℃で焼鈍を施したA2〜A4、A8〜A10 、B2〜B4はマルテンサイト量が30体積%以下に減少するとともに、熱収縮量が1μm/100mm 以下、浮上り高さが1mm以下となり、充分な改善効果が確認される。
【0040】
圧力に関しては、0.49N/mm2 以上の0.98、1.96N/mm2 を付与したA11 、A12 においても充分な効果が認められる。
ただし、400 ℃以下で焼鈍したA1、A7、B1はマルテンサイト量が30体積%を越え、充分な改善効果が認められない。逆に、650 ℃以上では必要な硬度を得られなくなる。
【0041】
成分については、C1、D1、E1に示すようにオーステナイト安定化元素であるC+N、Mn、Niの増加は、冷間圧延後に充分な加工誘起マルテンサイト量が得られないために550 ℃での焼鈍後においても熱収縮量が大きく、形状矯正もあまりなされない。また、F1に示すようにフェライト形成元素でもあるCrの増加はマルテンサイト相とほぼ同じ構造を持つフェライト相が形成されたものと考えられ、フェライトメーターでの測定において焼鈍前後でのマルテンサイト量の変化が小さく、熱収縮量が大きく、形状矯正もあまりなされない。
【0042】
【表3】
【0043】
【発明の効果】
本発明によれば、プレスプレート用素材として最適な高強度、高平坦度かつ熱膨張特性に優れるステンレス鋼板を安定供給することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】プリント配線板の製造方法を示す概略説明図である。
【図2】板材の荷重負荷時の落込量の測定方法を示す模式的説明図である。
【図3】板材の硬度と落込量の関係を示すグラフである。
【図4】板材の焼鈍温度とマルテンサイト量、定盤置での浮上り高さの関係を示すグラフである。
Claims (3)
- 化学組成が、質量%にて、C+N:0.3%以下、Si:0.9%以下、Mn:2.0%以下、Cr:13.0〜21.0%、Ni:5.0〜12.0%、残部Feおよび不可避的不純物から成り、かつ下記式(1)を満足し、ビッカース硬度がHv400以上で、金属組織がマルテンサイト相30体積%以下と、残部が焼き戻しオーステナイト相を含むオーステナイト相70体積%以上とで構成されていることを特徴とする高強度かつ平坦性に優れたステンレス鋼板。
80≧500−480(C+N)−11Si−9Mn−15Cr−20Ni≧0
・・・(1) - プレスプレート用である請求項1記載のステンレス鋼板。
- 請求項1に規定する化学組成を有する鋼片を熱間圧延、焼鈍、酸洗した後、マルテンサイト相が35体積%以上で残部オーステナイト相となるように冷間圧延した後、平坦かつ表面の平滑な定盤で挟み、面圧が0.49〜1.96N/cm2の圧力を付与したまま、450℃以上650℃未満の温度範囲で熱処理することを特徴とする高強度かつ平坦性に優れたステンレス鋼板の製造方法。
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