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JP4466821B2 - 重合性組成物及び平版印刷版原版 - Google Patents

重合性組成物及び平版印刷版原版 Download PDF

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JP4466821B2 JP2003339817A JP2003339817A JP4466821B2 JP 4466821 B2 JP4466821 B2 JP 4466821B2 JP 2003339817 A JP2003339817 A JP 2003339817A JP 2003339817 A JP2003339817 A JP 2003339817A JP 4466821 B2 JP4466821 B2 JP 4466821B2
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Description

本発明はネガ型の重合性組成物及び平版印刷版原版に関し、特に、赤外線レーザによる高感度で書き込み可能なネガ型の重合性組成物及び平版印刷版原版に関する。
従来、平版印刷版原版としては親水性支持体上に親油性の感光性樹脂層を設けた構成を有するPS版が広く用いられ、その製版方法として、通常は、リスフイルムを介してマスク露光(面露光)後、非画像部を溶解除去することにより所望の印刷版を得ていた。近年、画像情報をコンピューターを用いて電子的に処理、蓄積、出力する、デジタル化技術が広く普及してきている。そして、そのようなデジタル化技術に対応した新しい画像出力方式が種々実用されるようになってきた。その結果、レーザー光のような指向性の高い光をデジタル化された画像情報に従って走査し、リスフイルムを介すこと無く、直接印刷版を製造するコンピューター トゥ プレート(CTP)技術が切望されており、これに適応した平版印刷版原版を得ることが重要な技術課題となっている。
このような走査露光可能な平版印刷版原版としては、親水性支持体上にレーザー露光によりラジカルやブロンズテッド酸などの活性種を発生しうる感光性化合物を含有した親油性感光性樹脂層(以下、感光層ともいう)を設けた構成が提案され、既に上市されている。この平版印刷版原版をデジタル情報に基づきレーザー走査し活性種を発生せしめ、その作用によって感光層に物理的、或いは化学的な変化を起こし不溶化させ、引き続き現像処理することによってネガ型の平版印刷版を得ることができる。特に、親水性支持体上に感光スピードに優れる光重合開始剤、付加重合可能なエチレン性不飽和化合物、及びアルカリ現像液に可溶なバインダーポリマーとを含有する光重合型の感光層、及び必要に応じて酸素遮断性の保護層とを設けた平版印刷版原版は、生産性に優れ、更に現像処理が簡便であり、解像度や着肉性もよいといった利点から、望ましい印刷性能を有する刷版となりうる。
従来、感光層を構成するバインダーポリマーとしては、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等のアルカリ現像可能な有機高分子ポリマーが用いられてきた(例えば、特許文献1〜8参照。)。しかし、従来のこうしたバインダーポリマーを含有する感光層を設けた平版印刷版原版では、硬化しているはずの画像部において硬化が不充分であることに起因して、現像液が、硬化が不充分である画像部に浸透してしまい、結果的に、感光層にダメージを与え、耐刷性を低下させていた。この問題に対して、画像部への現像液の浸透を抑制しようとした場合、非画像部の現像性が犠牲になるのが常であり、画像部の現像液浸透抑制と、非画像部の高現像性と、の両立は非常に困難な問題であった。
特開昭59−44615号公報 特公昭54−34327号公報 特公昭58−12577号公報 特公昭54−25957号公報 特開昭54−92723号公報 特開昭59−53836号公報 特開昭59−71048号公報 特開2002−40652号公報
従って、本発明の目的は、上記の画像部の現像液浸透抑制と非画像部の高現像性との両立の課題を解決し、耐刷性及び画像形成性に優れた平版印刷版原版及びその感光層に好適な重合性組成物、特に、レーザー光による描画に適した平版印刷版原版及びその感光層に好適な重合性組成物を提供することである。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、特定のバインダーポリマーを含有する重合性組成物からなる感光層を用いる、及び/又は、該重合性組成物を含み、アルカリ現像液に対する現像速度及びアルカリ現像液の浸透速度が所望の範囲である感光層を用いる、ことで上記目的が達成されることを見出し、本発明を成すに至った。
すなわち、本発明の重合性組成物は、下記一般式(I)で表される繰り返し単位を有するバインダーポリマー、赤外線吸収剤(但し、700〜1200nmに吸収を有する骨格を有する構造を含むユニットに結合したメチルエステル基、アリールエステル基、ベンジルエステル基、及びアリルエステル基からなる群から選択されたエステル基を有し、有機溶媒及びアルカリ水溶液に可溶性であり、且つ、700〜1200nmに吸収を有する色素を除く。)、重合開始剤及び重合性化合物を含有することを特徴とする。
(一般式(I)中、R1は水素原子又はメチル基を表し、、R2アルキレン、置換アルキレン、アリーレン、又は置換アリーレン、或いはこれらから選択された2以上がアミド結合又はエステル結合により連結されてなる構造を有し、その原子数が2〜82であり、且つ脂肪族環状構造を有さない連結基を表す。Aは酸素原子又は−NR3−を表し、R3は水素原子又は炭素数1〜10の一価の炭化水素基を表す。nは1〜5の整数を表す。)
本発明の重合性組成物では、上記一般式(I)で表される繰り返し単位を有するバインダーポリマーにおいて、R2で表される連結基の主骨格を構成する原子数が、1〜30であることが好ましく、更に、R2で表される連結基が、アルキレン構造を有すること、又は、アルキレン構造がエステル結合を介して連結された構造を有することがより好ましい。
また、本発明の平版印刷版原版は、支持体上に、上記の本発明の重合性組成物を含む感光層を備えてなることを特徴とする。
また、本発明の平版印刷版原版としては、支持体上に、上記の本発明の重合性組成物を含み、pH10〜13.5のアルカリ現像液に対する未露光部の現像速度が80nm/sec以上、かつ、該アルカリ現像液の露光部での浸透速度が100nF/sec以下である感光層を備えてなるものが好ましい
なお、ここで、pH10〜13.5のアルカリ現像液に対する未露光部の現像速度とは、感光層の膜厚(nm)を現像に要する時間(sec)で除した値であり、該アルカリ現像液の露光部での浸透速度とは、導電性支持体上に前記感光層を製膜し、現像液に浸漬した場合の静電容量(nF)の変化速度を示す値である。
本発明の作用は明確ではないが以下のように推測される。
本発明の重合性組成物や、本発明の平版印刷版原版において用いられる、一般式(I)で表される繰り返し単位を有するバインダーポリマーは、現像液に対する拡散性とアルカリ応答性(アルカリ水溶液に対する可溶性)に優れており、僅かな酸含量(即ち、酸価が充分でない場合)であっても現像液への溶解性に優れる。これにより、このようなバインダーポリマーを含有する重合性組成物や平版印刷版原版の感光層は、酸含量に起因する現像液浸透ダメージを抑制しつつ、高現像性を維持することが可能であると思われる。
また、本発明の平版印刷版原版における感光層、アルカリ現像液に対する未露光部の現像速度と、該アルカリ現像液の露光部での浸透速度とについて、上記の範囲で示す場合には、露光領域においては表面が充分に硬化して高強度な画像部が形成され、アルカリ現像液の浸透を抑制し、かつ、未露光部においてはアルカリ現像液への溶解速度が速いという特性を有するものである。このため、所望の、画像部の現像液浸透抑制能と、非画像部の現像性能と、の両立に優れたものとなると推測される。また、感光層の、アルカリ現像液に対する未露光部の現像速度と、該アルカリ現像液の露光部での浸透速度と、を上記の範囲に制御するためには、一般式(I)で表される繰り返し単位を有するバインダーポリマーを用いる。
本発明の平版印刷版原版によれば、一般式(I)で表される繰り返し構造を有するバインダーポリマーを含有する、本発明の重合性組成物を含む感光層を設けることによって、非常に高い耐刷性と、優れた画像形成性を得ることができる。
また、本発明の平版印刷版原版は、感光層の物性に起因して、耐刷性と画像形成性に優れるという効果を奏する。
更に、本発明の平版印刷版原版はレーザ光による走査露光に適しており、高速での書き込みが可能であり、高い生産性を併せ持つ。
以下、本発明について説明する。
<重合性組成物>
本発明の重合性組成物は、前記一般式(I)で表される繰り返し単位を有するバインダーポリマー、赤外吸収色素(但し、700〜1200nmに吸収を有する骨格を有する構造を含むユニットに結合したメチルエステル基、アリールエステル基、ベンジルエステル基、及びアリルエステル基からなる群から選択されたエステル基を有し、有機溶媒及びアルカリ水溶液に可溶性であり、且つ、700〜1200nmに吸収を有する色素を除く。)、重合開始剤及び重合性化合物を含有することを特徴とする。
このような重合性組成物は、熱により重合開始剤が分解し、ラジカルを発生させ、この発生したラジカルにより重合性化合物が重合反応を起こすという機構を有する。更に、本発明の重合性組成物は、赤外吸収を含有しているため、300〜1,200nmの波長を有するレーザー光にて露光すると、その露光部分のみが熱を発生し、重合反応が進行し硬化する。この重合性組成物は、これらの機構を利用する種々の用途に適用可能であり、例えば、赤外レーザなどにより直接描画することが可能な平版印刷版原版の感光層、画像記録材料、又は、高感度な光造形用材料としても好適であり、重合にともなう屈折率の変化を利用してホログラム材料に、また、フォトレジスト等の電子材料製造などに適用することもできる。中でも、特に、赤外レーザなどにより直接描画することが可能な平版印刷版原版の感光層として好適である。
本発明の重合性組成物については、最も好適な用途である平版印刷版原版を参照して、詳細に説明する。
<平版印刷版原版>
本発明の平版印刷版原版は、支持体上に、上記の本発明の重合性組成物を含む感光層を備えてなることを特徴とする。
また、本発明の平版印刷版原版における感光層は、pH10〜13.5のアルカリ現像液に対する未露光部の現像速度が80nm/sec以上、かつ、該アルカリ現像液の露光部での浸透速度が100nF/sec以下感光層であることが好ましい
〔感光層〕
まず、本発明の平版印刷版原版の感光層について詳細に説明する。
本発明における感光層は、前記一般式(I)で表される繰り返し単位を有するバインダーポリマー、赤外線吸収剤(但し、700〜1200nmに吸収を有する骨格を有する構造を含むユニットに結合したメチルエステル基、アリールエステル基、ベンジルエステル基、及びアリルエステル基からなる群から選択されたエステル基を有し、有機溶媒及びアルカリ水溶液に可溶性であり、且つ、700〜1200nmに吸収を有する色素を除く。)、重合開始剤及び重合性化合物を含有する。また、該感光層は、pH10〜13.5の現像液に対する未露光部の現像速度が80nm/sec以上、かつ、該アルカリ現像液の露光部での浸透速度が100nF/sec以下であることが好ましい。
以下、本発明における感光層を構成する各成分について説明する。
[バインダーポリマー]
(本発明の平版印刷版原版の第1の態様における感光層に含まれるバインダーポリマー)
本発明の平版印刷版原版の感光層に含まれるバインダーポリマーは、前記一般式(I)で表される繰り返し単位を有する。以下、一般式(I)で表される繰り返し単位を有するバインダーポリマーを、適宜、特定バインダーポリマーと称し、詳細に説明する。
まず、一般式(I)におけるR1は、水素原子又はメチル基を表し、特にメチル基が好ましい。
一般式(I)におけるR2で表される連結基は、アルキレン、置換アルキレン、アリーレン、又は置換アリーレン、或いはこれらから選択された2以上がアミド結合又はエステル結合により連結されてなる構造を有し、その原子数が2〜82であり、好ましくは2〜50であり、より好ましくは2〜30であり、且つ脂肪族環状構造を有さない。ここで示す原子数は、当該連結基が置換基を有する場合には、その置換基を含めた原子数を指す。
より具体的には、R2で表される連結基の主骨格を構成する原子数が、1〜30であることが好ましく、3〜25であることがより好ましく、4〜20であることが更に好ましく、5〜10であることが最も好ましい。なお、本発明における「連結基の主骨格」とは、一般式(I)におけるAと末端COOHとを連結するためのみに使用される原子又は原子団を指し、特に、連結経路が複数ある場合には、使用される原子数が最も少ない経路を構成する原子又は原子団を指す。したがって、連結基内に環構造を有する場合、その連結部位(例えば、o−、m−、p−など)により算入されるべき原子数が異なる。
下記に、本発明の特定バインダーポリマーの構造、及び、その構造中のR2で表される連結基の主骨格を構成する原子数とその算出方法について併記する。
一般式(I)におけるR2で表される連結基は、アルキレン、置換アルキレン、アリーレン、又は置換アリーレン、或いはこれらから選択された2以上がアミド結合又はエステル結合により連結されてなる構造を有し、その原子数が2〜82であり、且つ脂肪族環状構造を有さない連結基である。
鎖状構造の連結基としては、エチレン、プロピレン等が挙げられる。また、これらのアルキレンがエステル結合を介して連結されている構造もまた好ましいものとして例示することができる。
2で表される連結基として最も好ましくは、連結基の主骨格を構成する原子数が5〜10のものであり、構造的には、鎖状構造であって、その構造中にエステル結合を有するものが好ましい。
2で表される連結基は置換基を有していてもよく、導入可能な置換基としては、水素を除く1価の非金属原子団を挙げることができ(但し、脂肪族環状構造を有するものは含まない。)、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アミノ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、N,N−ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N−ジアリールカルバモイルオキシ基、N−アルキル−N−アリールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N’−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキルウレイド基、N’−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリールウレイド基、N−アルキルウレイド基、N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アリールウレイド基、N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アリール−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基及びその共役塩基基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N,N−ジアリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホ基(−SO3H)及びその共役塩基基、アルコキシスルホニル基、アリーロキシスルホニル基、スルフィナモイル基、N−アルキルスルフィナモイル基、N,N−ジアルキルスルフィナモイル基、N−アリールスルフィナモイル基、N,N−ジアリールスルフィナモイル基、N−アルキル−N−アリールスルフィナモイル基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N,N−ジアリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、N−アシルスルファモイル基及びその共役塩基基、N−アルキルスルホニルスルファモイル基(−SO2NHSO2(alkyl))及びその共役塩基基、N−アリールスルホニルスルファモイル基(−SO2NHSO2(aryl))及びその共役塩基基、N−アルキルスルホニルカルバモイル基(−CONHSO2(alkyl))及びその共役塩基基、N−アリールスルホニルカルバモイル基(−CONHSO2(aryl))及びその共役塩基基、アルコキシシリル基(−Si(Oalkyl)3)、アリーロキシシリル基(−Si(Oaryl)3)、ヒドロキシシリル基(−Si(OH)3)及びその共役塩基基、ホスホノ基(−PO32)及びその共役塩基基、ジアルキルホスホノ基(−PO3(alkyl)2)、ジアリールホスホノ基(−PO3(aryl)2)、アルキルアリールホスホノ基(−PO3(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノ基(−PO3H(alkyl))及びその共役塩基基、モノアリールホスホノ基(−PO3H(aryl))及びその共役塩基基、ホスホノオキシ基(−OPO32)及びその共役塩基基、ジアルキルホスホノオキシ基(−OPO3(alkyl)2)、ジアリールホスホノオキシ基(−OPO3(aryl)2)、アルキルアリールホスホノオキシ基(−OPO3(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノオキシ基(−OPO3H(alkyl))及びその共役塩基基、モノアリールホスホノオキシ基(−OPO3H(aryl))及びその共役塩基基、シアノ基、ニトロ基、ジアルキルボリル基(−B(alkyl)2)、ジアリールボリル基(−B(aryl)2)、アルキルアリールボリル基(−B(alkyl)(aryl))、ジヒドロキシボリル基(−B(OH)2)及びその共役塩基基、アルキルヒドロキシボリル基(−B(alkyl)(OH))及びその共役塩基基、アリールヒドロキシボリル基(−B(aryl)(OH))及びその共役塩基基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基が挙げられる。
ここで、感光層の設計にもよるが、水素結合可能な水素原子を有する置換基や、特に、カルボン酸よりも酸解離定数(pKa)が小さい酸性を有する置換基は、耐刷性を下げる傾向にあるので好ましくない。一方、ハロゲン原子や、炭化水素基(アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基)、アルコキシ基、アリーロキシ基などの疎水性置換基は、耐刷を向上する傾向にあるのでより好ましく、特に、環状構造がシクロペンタンやシクロヘキサン等の6員環以下の単環脂肪族炭化水素である場合には、このような疎水性の置換基を有していることが好ましい。これらの置換基は可能であるならば、置換基同士、又は、置換している炭化水素基と結合して環を形成してもよく、置換基は更に置換されていてもよい。
一般式(I)におけるAがNR3−である場合のR3は、水素原子又は炭素数1〜10の一価の炭化水素基を表す。このR3で表される炭素数1〜10までの一価の炭化水素基としては、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基が挙げられる。
アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−アダマンチル基、2−ノルボルニル基等の炭素数1〜10までの直鎖状、分枝状、又は環状のアルキル基が挙げられる。
アリール基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、インデニル基等が挙げられる。また、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群から選ばれるヘテロ原子を1個含有する炭素数10までのヘテロアリール基を用いることもでき、具体的には、例えば、フリル基、チエニル基、ピロリル基、ピリジル基、キノリル基等が挙げられる。
アルケニル基の具体例としては、ビニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、1−メチル−1−プロペニル基、1−シクロペンテニル基、1−シクロヘキセニル基等の炭素数2〜10までの直鎖状、分枝状、又は環状のアルケニル基が挙げられる。
アルキニル基の具体例としては、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基、1−オクチニル基等の炭素数2〜10までのアルキニル基が挙げられる。
ここで、R3で表される炭素数1〜10の一価の炭化水素基は更に置換基を有していてもよく、導入し得る置換基としては、R2が導入し得る置換基として挙げたものと同様である。但し、R3の炭素数は、置換基の炭素数を含めて1〜10である。
一般式(I)におけるAは、合成が容易であることから、酸素原子又は−NH−であることが好ましい。
一般式(I)におけるnは、1〜5の整数を表し、耐刷の点で好ましくは1である。
以下に、一般式(I)で表される繰り返し単位の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
一般式(I)で表される繰り返し単位は、バインダーポリマー中に1種類だけであってもよいし、2種類以上含有していてもよい。本発明における特定バインダーポリマーは、一般式(I)で表される繰り返し単位だけからなるポリマーであってもよいが、通常、他の共重合成分と組み合わされ、コポリマーとして使用される。コポリマーにおける一般式(I)で表される繰り返し単位の総含有量は、その構造や、感光層の設計等によって適宜決められるが、好ましくはポリマー成分の総モル量に対し、1〜99モル%、より好ましくは5〜40モル%、更に好ましくは5〜20モル%の範囲で含有される。
コポリマーとして用いる場合の共重合成分としては、ラジカル重合可能なモノマーであれば従来公知のものを制限なく使用できる。具体的には、「高分子データハンドブック−基礎編−(高分子学会編、培風館、1986)」記載のモノマー類が挙げられる。このような共重合成分は1種類であってもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
また、好ましい共重合成分としては、ラジカル重合性基を有するユニットや、アミド基を有するユニットが挙げられる。以下に、一般式(I)で表される繰り返し単位との共重合成分として好ましい、ラジカル重合性基を有するユニットとアミド基を有するユニットについて、説明する。
一般式(I)で表される繰り返し単位との共重合成分として好ましいラジカル重合性基としては、ラジカルにより重合することが可能であれば特に限定されないが、α−置換メチルアクリル基[−OC(=O)−C(−CH2Z)=CH2、Z=ヘテロ原子から始まる炭化水素基]、アクリル基、メタクリル基、アリル基、スチリル基が挙げられる。
より具体的には、下記一般式(A)〜(C)で表される構造のラジカル重合性基であることが好ましい。
一般式(A)〜(C)中、R4〜R14は、それぞれ独立に、水素原子、又は1価の置換基を表す。X、Yは、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、又は−N−R15を表し、Zは、酸素原子、硫黄原子、−N−R15又はフェニレン基を表す。ここで、R15は、水素原子、又は1価の有機基を表す。
前記一般式(A)において、R4〜R6は、それぞれ独立に、水素原子、又は1価の置換基を表すが、R4としては、水素原子、又は置換基を有してもよいアルキル基など有機基が挙げられ、中でも具体的には、水素原子、メチル基、メチルアルコキシ基、メチルエステル基が好ましい。また、R5、R6は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、中でも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基が好ましい。
ここで、これらの基に導入しうる置換基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、イソプロピオキシカルボニル基、メチル基、エチル基、フェニル基等が挙げられる。
Xは、酸素原子、硫黄原子、又は、−N−R15を表し、ここで、R15としては、置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられる。
前記一般式(B)において、R7〜R11は、それぞれ独立に、水素原子、又は1価の置換基を表すが、具体的には、例えば、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、中でも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基が好ましい。
ここで、これらの基に導入しうる置換基としては、一般式(A)において導入しうる置換基として挙げたものが例示される。
Yは、酸素原子、硫黄原子、又は−N−R15を表す。R15としては、一般式(A)におけるのと同様のものが挙げられる。
前記一般式(C)において、R12〜R14は、それぞれ独立に、水素原子、又は1価の置換基を表すが、具体的には、例えば、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、中でも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基が好ましい。
ここで、これらの基に導入しうる置換基としては、一般式(A)において導入しうる置換基として挙げたものが例示される。
Zは、酸素原子、硫黄原子、−N−R15又はフェニレン基を表す。R15としては、一般式(A)におけるのと同様のものが挙げられる。
本発明に係る前記一般式(A)で表される構造のラジカル重合性基を有するポリマーは、下記に示す合成方法(1)及び(2)の少なくともどちらか一方により製造することできる。
−合成方法(1)−
下記一般式(D)で表されるラジカル重合性化合物の1種以上を用い、重合させて高分子化合物を合成した後に、塩基を用いて、プロトンを引き抜き、Z1を脱離させて所望の高分子化合物を得る方法。
一般式(D)中、R4〜R6は、上記一般式(A)におけるR4〜R6と同義である。Z1は、アニオン性脱離基を表す。Qは、酸素原子、−NH−、又はNR17−を表す(ここで、R17は置換基を有していてもよいアルキル基を表す)。R16は水素原子又は置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられ、中でも、水素原子、メチル基、メチルアルコキシ基、メチルエステル基が好ましい。Aは、2価の有機連結基を表す。
一般式(D)で表されるラジカル重合性化合物としては、下記の化合物を例として挙げることできるがこれらに限定されるものではない。
これらの一般式(D)で表されるラジカル重合性化合物は、市販品として、或いは、後述する合成例に示す合成法により容易に入手できる。
これらの一般式(D)で表されるラジカル重合性化合物を1種以上と、必要に応じて他のラジカル重合性化合物を用いて、通常のラジカル重合法によって重合させ、高分子化合物を合成した後に、所望の量の塩基を高分子溶液中に、冷却或いは加熱条件下で滴下、反応を行い、必要に応じて、酸による中和処理を行うことで、一般式(A)で表される基を導入することできる。高分子化合物の製造には、一般的に公知の懸濁重合法或いは溶液重合法などを適用することできる。
ここで、用いられる塩基としては、無機化合物(無機塩基)、有機化合物(有機塩基)のどちらを使用してもよい。好ましい無機塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム等が挙げられ、有機塩基としては、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム−t−ブトキシドのような金属アルコキシド、トリエチルアミン、ピリジン、ジイソプロピルエチルアミンのような有機アミン化合物等が挙げられる。
−合成方法(2)−
官能基を有するラジカル重合性化合物を1種以上用い、重合させて幹高分子化合物(主鎖を構成する高分子化合物)を合成した後に、前記幹高分子化合物の側鎖官能基と下記一般式(E)で表される構造を有する化合物を反応させて所望の高分子化合物を得る方法。
一般式(E)中のR4〜R6は、上記一般式(A)におけるR4〜R6と同義である。
合成方法(2)において幹高分子化合物の合成に用いる、官能基を有するラジカル重合性化合物の官能基の例としては、水酸基、カルボキシル基、カルボン酸ハライド基、カルボン酸無水物基、アミノ基、ハロゲン化アルキル基、イソシアネート基、エポキシ基等が挙げられる。かかる官能基を有するラジカル重合性化合物の具体例としては、2−ヒドロキシルエチルアクリレート、2−ヒドロキシルエチルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸クロリド、メタクリル酸クロリド、メタクリル酸無水物、N,N−ジメチル−2−アミノエチルメタクリレート、2−クロロエチルメタクリレート、2−イソシアン酸エチルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリンジルメタクリレート等が挙げられる。
このような官能基を有するラジカル重合性化合物を1種以上重合させて、必要に応じて他のラジカル重合性化合物と共重合させ、幹高分子化合物を合成した後に、上記一般式(E)で表される基を有する化合物を反応させて所望の高分子化合物を得ることできる。
ここで、一般式(E)で表される基を有する化合物の例としては、前述のかかる官能基を有するラジカル重合性化合物の具体例として挙げた化合物が挙げられる。
本発明に係る前記一般式(B)で表される構造のラジカル重合性基を有するポリマーは、下記に示す合成方法(3)及び(4)の少なくともどちらか一方により製造することできる。
−合成方法(3)−
一般式(B)で表される不飽和基と、該不飽和基よりも更に付加重合性に富んだエチレン性不飽和基とを有するラジカル重合性化合物を1種以上と、更に必要に応じて、他のラジカル重合性化合物を重合させて、高分子化合物を得る方法。この方法は、一分子中に付加重合性の異なるエチレン性不飽和基を複数有する化合物、例えば、アリルメタクリレートのような化合物を用いる方法である。
一般式(B)で表される不飽和基よりも更に付加重合性に富んだエチレン性不飽和基とを有するラジカル重合性化合物としては、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、2−アリロキシエチルアクリレート、2−アリロキシエチルメタクリレート、プロパルギルアクリレート、プロパルギルメタクリレート、N−アリルアクリレート、N−アリルメタクリレート、N,N−ジアリルアクリレート、N,N−ジアリルメタクリルアミド、アリルアクリルアミド、アリルメタクリルアミド等が例として挙げられる。
−合成方法(4)−
官能基を有するラジカル重合性化合物を1種以上重合させて高分子化合物を合成した後に、側鎖官能基と下記一般式(F)で表される構造を有する化合物を反応させて一般式(B)で表される基を導入する方法。
一般式(F)中のR7〜R11は、上記一般式(B)におけるR7〜R11と同義である。
合成方法(4)において官能基を有するラジカル重合性化合物の具体例としては、前述の合成方法(2)で示した官能基を有するラジカル重合性化合物の具体例が挙げられる。
一般式(F)で表される構造を有する化合物としては、アリルアルコール、アリルアミン、ジアリルアミン、2−アリロキシエチルアルコール、2−クロロ−1−ブテン、アリルイソシアネート等が例として挙げられる。
本発明に係る前記一般式(C)で表される構造のラジカル重合性基を有するポリマーは、下記に示す合成方法(5)及び(6)の少なくともどちらか一方により製造することできる。
−合成方法(5)−
一般式(C)で表される不飽和基と、該不飽和基よりも更に付加重合性に富んだエチレン性不飽和基とを有するラジカル重合性化合物を1種以上と、更に必要に応じて、他のラジカル重合性化合物と共重合させて、高分子化合物を得る方法。
一般式(C)で表される不飽和基よりも更に付加重合性に富んだエチレン性不飽和基とを有するラジカル重合性化合物としては、ビニルアクリレート、ビニルメタクリレート、2−フェニルビニルアクリレート、2−フェニルビニルメタクリレート、1−プロペニルアクリレート、1−プロペニルメタクリレート、ビニルアクリルアミド、ビニルメタクリルアミド等が例として挙げられる。
−合成方法(6)−
官能基を有するラジカル重合性化合物を1種以上重合させて高分子化合物を合成した後に、側鎖官能基と一般式(G)で表される構造を有する化合物を反応させて導入する方法。
一般式(G)中のR12〜R14は、上記一般式(C)におけるR12〜R14と同義である。
合成方法(6)において官能基を有するラジカル重合性化合物の具体例としては、前述の合成方法(2)で示した官能基を有するラジカル重合性化合物の具体例が挙げられる。
一般式(G)で表される構造を有する化合物としては、2−ヒドロキシエチルモノビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルモノビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、4−クロロメチルスチレン等が例として挙げられる。
以上、本発明に係る前記一般式(A)〜(C)で表される構造のラジカル重合性基を有するポリマーの合成方法(1)〜(6)について説明したが、この合成方法を用いて、本発明の特定バインダーポリマーを合成するためには、各合成方法(1)〜(6)においてラジカル重合性化合物を重合する際に、該ラジカル重合性化合物と前記一般式(I)で表されるユニットとを所定の割合で共重合させることで達成される。
これらのラジカル重合性基の中でも、前記一般式(A)及び(B)で表される構造のラジカル重合性基であることが好ましい。その中でも特に好ましくは、前記一般式(A)で表される構造のラジカル重合性基であり、更に、R4が、水素原子、又はメチル基、Xが酸素原子又は窒素原子であるものが最も好ましい。
前記一般式(A)〜(C)で表される構造のラジカル重合性基を有する繰り返し単位として好ましい具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
次に、一般式(I)で表される繰り返し単位との共重合成分として好ましいアミド基について述べる。かかるアミド基としては、以下の一般式(1)で表される構造のアミド基であることが好ましい。
一般式(1)中、R18、R19は、互いに独立して、水素原子、それぞれ置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、又は置換スルホニル基を表し、R18、R19とが互いに結合して脂環構造を形成してもよい。
18及びR19の好ましい例について詳述する。R18及びR19で表されるアルキル基としては炭素原子数が1から20までの直鎖状、分岐状、及び環状のアルキル基を挙げることができ、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、2−ノルボルニル基を挙げることができる。これらの中では、炭素原子数1から12までの直鎖状、炭素原子数3から12までの分岐状、並びに炭素原子数5から10までの環状のアルキル基がより好ましい。
18及びR19で表される置換アルキル基の置換基としては、水素原子を除く一価の非金属原子団からなる基が用いられ、好ましい例としては、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アミノ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、N,N−ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N−ジアリールカルバモイルオキシ基、N−アルキル−N−アリールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N’−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキルウレイド基、N’−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリールウレイド基、N−アルキルウレイド基、N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アリールウレイド基、N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アリール−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、ホルミル基、アシル基(R01CO−)、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N,N−ジアリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホ基(−SO3H)及びその共役塩基基(スルホナト基と称す)、アルコキシスルホニル基、アリーロキシスルホニル基、スルフィナモイル基、N−アルキルスルフィナモイル基、N,N−ジアルキルスルフィイナモイル基、N−アリールスルフィナモイル基、N,N−ジアリールスルフィナモイル基、N−アルキル−N−アリールスルフィナモイル基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N,N−ジアリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、ホスホノ基(−PO32)及びその共役塩基基(ホスホナト基と称す)、ジアルキルホスホノ基(−PO3(alkyl)2;alkyl=アルキル基、以下同)、ジアリールホスホノ基(−PO3(aryl)2;aryl=アリール基、以下同)、アルキルアリールホスホノ基(−PO3(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノ基(−PO3(alkyl))及びその共役塩基基(アルキルホスホナト基と称す)、モノアリールホスホノ基(−PO3H(aryl))及びその共役塩基基(アリールホスホナト基と称す)、ホスホノオキシ基(−OPO32)及びその共役塩基基(ホスホナトオキシ基と称す)、ジアルキルホスホノオキシ基(−OPO3H(alkyl)2)、ジアリールホスホノオキシ基(−OPO3(aryl)2)、アルキルアリールホスホノオキシ基(−OPO3(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノオキシ基(−OPO3H(alkyl))及びその共役塩基基(アルキルホスホナトオキシ基と称す)、モノアリールホスホノオキシ基(−OPO3H(aryl))及びその共役塩基基(アリールホスホナトオキシ基と称す)、シアノ基、ニトロ基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロ環基、シリル基等が挙げられる。
これらの置換基における、アルキル基の具体例としては、前述のアルキル基が挙げられ、アリール基の具体例としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、クロロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フェノキシフェニル基、アセトキシフェニル基、ベンゾイロキシフェニル基、メチルチオフェニル基、フェニルチオフェニル基、メチルアミノフェニル基、ジメチルアミノフェニル基、アセチルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシフェニルカルボニル基、フェノキシカルボニルフェニル基、N−フェニルカルバモイルフェニル基、シアノフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、ホスホノフェニル基、ホスホナトフェニル基等を挙げることができる。
また、これらの置換基における、アルケニル基の例としては、ビニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、シンナミル基、2−クロロ−1−エテニル基、等が挙げられ、アルキニル基の例としては、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基、トリメチルシリルエチニル基等が挙げられる。
更に、これらの置換基における、アシル基(R01CO−)におけるR01としては、水素原子、並びに上記のアルキル基、アリール基を挙げることができる。
これらの置換基の中でも、更に好ましいものとしては、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、アシルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、アシルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、スルホ基、スルホナト基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、ホスホノ基、ホスホナト基、ジアルキルホスホノ基、ジアリールホスホノ基、モノアルキルホスホノ基、アルキルホスホナト基、モノアリールホスホノ基、アリールホスホナト基、ホスホノオキシ基、ホスホナトオキシ基、アリール基、アルケニル基が挙げられる。加えて、ヘテロ環基としてはピリジル基、ピペリジニル基等が挙げられる。シリル基としてはトリメチルシリル基等が挙げられる。
一方、置換アルキル基を構成するアルキレン基としては前述の炭素数1から20までのアルキル基上の水素原子のいずれか1つを除し、2価の有機残基としたものを挙げることができ、好ましくは炭素原子数1から12までの直鎖状、炭素原子数3から12までの分岐状並びに炭素原子数5から10までの環状のアルキレン基を挙げることができる。このようなアルキレン基と置換基とを組み合わせることで得られる置換アルキル基の、好ましい具体例としては、クロロメチル基、ブロモメチル基、2−クロロエチル基、トリフルオロメチル基、メトキシメチル基、イソプロポキシメチル基、ブトキシメチル基、s−ブトキシブチル基、メトキシエトキシエチル基、アリルオキシメチル基、フェノキシメチル基、メチルチオメチル基、トリルチオメチル基、ピリジルメチル基、テトラメチルピペリジニルメチル基、N−アセチルテトラメチルピペリジニルメチル基、トリメチルシリルメチル基、メトキシエチル基、エチルアミノエチル基、ジエチルアミノプロピル基、モルホリノプロピル基、アセチルオキシメチル基、ベンゾイルオキシメチル基、N−シクロヘキシルカルバモイルオキシエチル基、N−フェニルカルバモイルオキシエチル基、アセチルアミノエチル基、N−メチルベンゾイルアミノプロピル基、2−オキソエチル基、2−オキソプロピル基、カルボキシプロピル基、メトキシカルボニルエチル基、アリルオキシカルボニルブチル基、クロロフェノキシカルボニルメチル基、カルバモイルメチル基、N−メチルカルバモイルエチル基、N,N−ジプロピルカルバモイルメチル基、N−(メトキシフェニル)カルバモイルエチル基、N−メチル−N−(スルホフェニル)カルバモイルメチル基、スルホブチル基、スルホナトブチル基、スルファモイルブチル基、N−エチルスルファモイルメチル基、N,N−ジプロピルスルファモイルプロピル基、N−トリルスルファモイルプロピル基、N−メチル−N−(ホスホノフェニル)スルファモイルオクチル基、ホスホノブチル基、ホスホナトヘキシル基、ジエチルホスホノブチル基、ジフェニルホスホノプロピル基、メチルホスホノブチル基、メチルホスホナトブチル基、トリルホスホノヘキシル基、トリルホスホナトヘキシル基、ホスホノオキシプロピル基、ホスホナトオキシブチル基、ベンジル基、フェネチル基、α−メチルベンジル基、1−メチル−1−フェニルエチル基、p−メチルベンジル基、シンナミル基、アリル基、1−プロペニルメチル基、2−ブテニル基、2−メチルアリル基、2−メチルプロペニルメチル基、2−プロピニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基等を挙げることができる。
次に、R18及びR19としてのアリール基としては、1個から3個のベンゼン環が縮合環を形成したもの、ベンゼン環と5員不飽和環が縮合環を形成したものを挙げることができ、具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、インデニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基を挙げることができ、これらの中では、フェニル基、ナフチル基がより好ましい。
18及びR19で表される置換アリール基としては、前述のアリール基の環形成炭素原子上に、置換基として、水素原子を除く一価の非金属原子団からなる基を有するものが用いられる。好ましい置換基の例としては前述のアルキル基、置換アルキル基、並びに、先に置換アルキル基における置換基として示したものを挙げることができる。このような、置換アリール基の好ましい具体例としては、ビフェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、フルオロフェニル基、クロロメチルフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、メトキシエトキシフェニル基、アリルオキシフェニル基、フェノキシフェニル基、メチルチオフェニル基、トリルチオフェニル基、エチルアミノフェニル基、ジエチルアミノフェニル基、モルホリノフェニル基、アセチルオキシフェニル基、ベンゾイルオキシフェニル基、N−シクロヘキシルカルバモイルオキシフェニル基、N−フェニルカルバモイルオキシフェニル基、アセチルアミノフェニル基、N−メチルベンゾイルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、アリルオキシカルボニルフェニル基、クロロフェノキシカルボニルフェニル基、カルバモイルフェニル基、N−メチルカルバモイルフェニル基、N,N−ジプロピルカルバモイルフェニル基、N−(メトキシフェニル)カルバモイルフェニル基、N−メチル−N−(スルホフェニル)カルバモイルフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、スルファモイルフェニル基、N−エチルスルファモイルフェニル基、N,N−ジプロピルスルファモイルフェニル基、N−トリルスルファモイルフェニル基、N−メチル−N−(ホスホノフェニル)スルファモイルフェニル基、ホスホノフェニル基、ホスホナトフェニル基、ジエチルホスホノフェニル基、ジフェニルホスホノフェニル基、メチルホスホノフェニル基、メチルホスホナトフェニル基、トリルホスホノフェニル基、トリルホスホナトフェニル基、アリルフェニル基、1−プロペニルメチルフェニル基、2−ブテニルフェニル基、2−メチルアリルフェニル基、2−メチルプロペニルフェニル基、2−プロピニルフェニル基、2−ブチニルフェニル基、3−ブチニルフェニル基等を挙げることができる。
18及びR19で表されるアルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、並びに置換アルキニル基(−C(R02)=C(R03)(R04)、並びに、−C≡C(R05))としては、R02、R03、R04、R05が一価の非金属原子団からなる基のものが使用できる。好ましいR02、R03、R04、R05の例としては、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基並びに置換アリール基を挙げることができる。これらの具体例としては、前述の例として示したものを挙げることができる。R02、R03、R04、R05のより好ましい基としては、水素原子、ハロゲン原子並びに炭素原子数1から10までの直鎖状、分岐状、環状のアルキル基を挙げることができる。このようなR18及びR19で表されるアルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキニル基の好ましい具体例としては、ビニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、1−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、1−オクテニル基、1−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−1−ブテニル基、2−フェニル−1−エテニル基、2−クロロ−1−エテニル基、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基、フェニルエチニル基を挙げることができる。
18及びR19で表されるヘテロ環基としては、置換アルキル基の置換基として例示したピリジル基等が挙げられる。
18及びR19で表される置換スルホニル基(R011−SO2−)としては、R011が一価の非金属原子団からなる基のものを使用できる。より好ましい例としては、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基を挙げることができる。これらにおけるアルキル基、アリール基としては前述のアルキル基、置換アルキル基、並びにアリール基、置換アリール基として示したものを挙げることができる。このような、置換スルホニル基の具体例としては、ブチルスルホニル基、フェニルスルホニル基、クロロフェニルスルホニル基等が挙げられる。
また、一般式(1)においてR18及びR19とが互いに結合して形成される環としては、モルホリン、ピペラジン、ピロリジン、ピロール、インドリン等が挙げられる。これらは、更に前述のような置換基で置換されていてもよい。中でも脂環を形成する場合が好ましい。
一般式(1)において、R18、R19としては、アルキル基、アルケニル基、アリール基、置換スルホニル基であることが好ましい態様である。また、R18とR19とで脂環を形成する場合も好ましい。
一般式(1)で表される構造のアミド基を有するモノマー又は繰り返し単位として好ましい具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
本発明の平版印刷版原版の第1の態様における感光層に用いられる特定バインダーポリマーとしては、前記一般式(I)で表されるユニットと、上述した、ラジカル重合性基を有するユニット、又は、アミド基を有するユニットと、からなる共重合体であることがより好ましく、更に、前記一般式(I)で表されるユニットと、上述した、ラジカル重合性基を有するユニットと、アミド基を有するユニットと、の3つのユニットからなる共重合体であることが特に好ましい。
本発明における特定バインダーポリマーの分子量は、画像形成性や耐刷性の観点から適宜決定される。通常、分子量が高くなると、耐刷性は優れるが、画像形成性は劣化する傾向にある。逆に、低いと、画像形成性はよくなるが、耐刷性は低くなる。好ましい分子量としては、2,000〜1,000,000、より好ましくは5,000〜500,000、更に好ましくは10,000〜300,000の範囲である。
また、特定バインダーポリマー中のラジカル重合性基の含有量(ヨウ素滴定によるラジカル重合可能な不飽和二重結合の含有量)は、感度や保存性の観点から、バインダーポリマー1g当たり、好ましくは0.1〜10.0mmol、より好ましくは1.0〜8.0mmol、最も好ましくは2.0〜7.0mmolである。
更に、特定バインダーポリマー中のアルカリ可溶性基の含有量(中和滴定による酸価)は、現像性や耐刷性の観点から、バインダーポリマー1g当たり、好ましくは0.1〜3.0mmol、より好ましくは0.2〜2.0mmol、最も好ましくは0.3〜1.5mmolである。
また、このような特定バインダーポリマーのガラス転移点(Tg)は、保存安定性や感度の観点から、好ましくは70〜300℃、より好ましくは80〜250℃、最も好ましくは90〜200℃の範囲である。
また、本発明の平版印刷版原版の第1の態様における感光層に用いられるバインダーポリマーは、特定バインダーポリマー単独であってもよいし、他のバインダーポリマーを1種以上併用して、混合物として用いてもよい。併用されるバインダーポリマーは、バインダーポリマー成分の総質量に対し1〜60質量%、好ましくは1〜40質量%、更に好ましくは1〜20質量%の範囲で用いられる。併用できるバインダーポリマーとしては、従来公知のものを制限なく使用でき、具体的には、本業界においてよく使用されるアクリル主鎖バインダーや、ウレタンバインダー等が好ましく用いられる。
感光層中での特定バインダーポリマー及び併用してもよいバインダーポリマーの合計量は、適宜、決めることができるが、感光層中の不揮発性成分の総質量に対し、通常10〜90質量%、好ましくは20〜80質量%、更に好ましくは30〜70質量%の範囲である。
(本発明の平版印刷版原版の第2の態様における感光層に含まれるバインダーポリマー)
本発明の平版印刷版原版の第2の態様における感光層に含まれるバインダーポリマーとしては、赤外線吸収剤、重合開始剤及び重合性化合物と共に感光層を形成した際、該感光層が、pH10〜13.5のアルカリ現像液に対する未露光部の現像速度が80nm/sec以上、かつ、該アルカリ現像液の露光部での浸透速度が100nF/sec以下であるように制御することができれば、従来公知のものを制限なく使用できる。
このような、アルカリ現像液に対する未露光部の現像速度や、アルカリ現像液の露光部での浸透速度を、所望の範囲内に制御することが容易なバインダーポリマーとしては、本発明の平版印刷版原版の第1の態様における感光層に用いられる特定バインダーポリマーを用いることが好ましく、かかる特定バインダーポリマーの中でもより好ましくは、前記一般式(I)で表されるユニットと、上述した、ラジカル重合性基を有するユニット、又は、アミド基を有するユニットと、からなる共重合体であり、更に好ましくは、前記一般式(I)で表されるユニットと、上述した、ラジカル重合性基を有するユニットと、アミド基を有するユニットと、の3つのユニットからなる共重合体である。
また、本発明の平版印刷版原版の第2の態様における感光層に用いられるバインダーポリマーは、1種のバインダーポリマーを単独で使用してもよいし、2種以上併用して、混合物として用いてもよい。
本発明の平版印刷版原版の第2の態様における感光層中でのバインダーポリマーの合計量(含有量)は、適宜決めることができるが、感光層中の不揮発性成分の総質量に対し、通常10〜90質量%、好ましくは20〜80質量%、更に好ましくは30〜70質量%の範囲である。
ここで、本発明の平版印刷版原版における感光層に用いられるバインダーポリマーの好ましい具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。なお、ここで具体例を示すバインダーポリマーは、本発明における特定バインダーポリマーである。
[感光層を構成する他の必須成分]
本発明の平版印刷版における感光層は、必須成分として、上述のバインダポリマー、赤外線吸収剤、重合開始剤、及び重合性化合物(付加重合性化合物ともいう)を含有してなる熱重合性ネガ型感光層である。このような熱重合性ネガ型感光層は、熱により重合開始剤が分解し、ラジカルを発生させ、この発生したラジカルにより重合性化合物が重合反応を起こすという機構を有する。更に、本発明における平版印刷版原版は、300〜1,200nmの波長を有するレーザー光での直接描画での製版に特に好適であり、従来の平版印刷版原版に比べ、高い耐刷性及び画像形成性を発現する。
以下に、バインダーポリマー以外の感光層を構成する必須成分である、赤外線吸収剤、重合開始剤、及び重合性化合物について説明する。
[赤外線吸収剤]
本発明の平版印刷版原版を、760から1,200nmの赤外線を発するレーザーを光源により画像形成する場合には、通常、赤外線吸収剤を用いることが必須である。赤外線吸収剤は、吸収した赤外線を熱に変換する機能を有している。この際発生した熱により、後述する重合開始剤(ラジカル発生剤)が熱分解し、ラジカルを発生する。本発明において使用される赤外線吸収剤は、波長760nmから1200nmに吸収極大を有する染料又は顔料である。但し、700〜1200nmに吸収を有する骨格を有する構造を含むユニットに結合したメチルエステル基、アリールエステル基、ベンジルエステル基、及びアリルエステル基からなる群から選択されたエステル基を有し、有機溶媒及びアルカリ水溶液に可溶性であり、且つ、700〜1200nmに吸収を有する色素は、本発明で使用される赤外線吸収剤からは除かれる。
染料としては、市販の染料及び例えば「染料便覧」(有機合成化学協会編集、昭和45年刊)等の文献に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、金属チオレート錯体等の染料が挙げられる。
好ましい染料としては、例えば、特開昭58−125246号、特開昭59−84356号、特開昭59−202829号、特開昭60−78787号等に記載されているシアニン染料、特開昭58−173696号、特開昭58−181690号、特開昭58−194595号等に記載されているメチン染料、特開昭58−112793号、特開昭58−224793号、特開昭59−48187号、特開昭59−73996号、特開昭60−52940号、特開昭60−63744号等に記載されているナフトキノン染料、特開昭58−112792号等に記載されているスクワリリウム色素、英国特許434,875号記載のシアニン染料等を挙げることができる。
また、米国特許第5,156,938号記載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、また、米国特許第3,881,924号記載の置換されたアリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645号(米国特許第4,327,169号)記載のトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−181051号、同58−220143号、同59−41363号、同59−84248号、同59−84249号、同59−146063号、同59−146061号に記載されているピリリウム系化合物、特開昭59−216146号記載のシアニン色素、米国特許第4,283,475号に記載のペンタメチンチオピリリウム塩等や特公平5−13514号、同5−19702号に開示されているピリリウム化合物も好ましく用いられる。また、染料として好ましい別の例として、米国特許第4,756,993号明細書中に式(I)、(II)として記載されている近赤外吸収染料を挙げることができる。
また、本発明の赤外線吸収色素の好ましい他の例としては、以下に例示するような特願2001−6326、特願2001−237840記載の特定インドレニンシアニン色素が挙げられる。
これらの染料のうち特に好ましいものとしては、シアニン色素、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、ニッケルチオレート錯体、インドレニンシアニン色素が挙げられる。更に、シアニン色素やインドレニンシアニン色素が好ましく、特に好ましい例として下記一般式(a)〜一般式(e)で示されるシアニン色素が挙げられる。
一般式(a)中、X1は、水素原子、ハロゲン原子、−NPh2、−X2−L1又は以下に示す基を表す。ここで、X2は酸素原子、窒素原子、又は硫黄原子を示し、L1は、炭素原子数1〜12の炭化水素基、ヘテロ原子を有する芳香族環、ヘテロ原子を含む炭素原子数1〜12の炭化水素基を示す。なお、ここでヘテロ原子とは、N、S、O、ハロゲン原子、Seを示す。Xa-は後述するZa-と同様に定義され、Raは、水素原子、アルキル基、アリール基、置換又は無置換のアミノ基、ハロゲン原子より選択される置換基を表す。
1及びR2は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜12の炭化水素基を示す。感光層塗布液の保存安定性から、R1及びR2は、炭素原子数2個以上の炭化水素基であることが好ましく、更に、R1とR2とは互いに結合し、5員環又は6員環を形成していることが特に好ましい。
Ar1、Ar2は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を示す。好ましい芳香族炭化水素基としては、ベンゼン環及びナフタレン環が挙げられる。また、好ましい置換基としては、炭素原子数12個以下の炭化水素基、ハロゲン原子、炭素原子数12個以下のアルコキシ基が挙げられる。Y1、Y2は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、硫黄原子又は炭素原子数12個以下のジアルキルメチレン基を示す。R3、R4は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下の炭化水素基を示す。好ましい置換基としては、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、カルボキシル基、スルホ基が挙げられる。R5、R6、R7及びR8は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素原子又は炭素原子数12個以下の炭化水素基を示す。原料の入手性から、好ましくは水素原子である。また、Za-は、対アニオンを示す。ただし、一般式(a)で示されるシアニン色素が、その構造内にアニオン性の置換基を有し、電荷の中和が必要ない場合にはZa-は必要ない。好ましいZa-は、感光層塗布液の保存安定性から、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、及びスルホン酸イオンであり、特に好ましくは、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロフォスフェートイオン、及びアリールスルホン酸イオンである。
本発明において、好適に用いることのできる一般式(a)で示されるシアニン色素の具体例としては、以下に例示するものの他、特願平11−310623号明細書の段落番号[0017]〜[0019]、特願2000−224031号明細書の段落番号[0012]〜[0038]、特願2000−211147号明細書の段落番号[0012]〜[0023]に記載されたものを挙げることができる。
前記一般式(b)中、Lは共役炭素原子数7以上のメチン鎖を表し、該メチン鎖は置換基を有していてもよく、置換基が互いに結合して環構造を形成していてもよい。Zb+は対カチオンを示す。好ましい対カチオンとしては、アンモニウム、ヨードニウム、スルホニウム、ホスホニウム、ピリジニウム、アルカリ金属カチオン(Na+、K+、Li+)などが挙げられる。R9〜R14及びR15〜R20は互いに独立に水素原子又はハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、カルボニル基、チオ基、スルホニル基、スルフィニル基、オキシ基、又はアミノ基から選択される置換基、或いは、これらを2つ若しくは3つ組合せた置換基を表し、互いに結合して環構造を形成していてもよい。ここで、前記一般式(b)中、Lが共役炭素原子数7のメチン鎖を表すもの、及び、R9〜R14及びR15〜R20がすべて水素原子を表すものが入手の容易性と効果の観点から好ましい。
本発明において、好適に用いることのできる一般式(b)で示される染料の具体例としては、以下に例示するものを挙げることができる。
前記一般式(c)中、Y3及びY4は、それぞれ、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、又はテルル原子を表す。Mは、共役炭素数5以上のメチン鎖を表す。R21〜R24及びR25〜R28は、それぞれ同じであっても異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、カルボニル基、チオ基、スルホニル基、スルフィニル基、オキシ基、又はアミノ基を表す。また、式中Za-は対アニオンを表し、前記一般式(a)におけるZa-と同義である。
本発明において、好適に用いることのできる一般式(c)で示される染料の具体例としては、以下に例示するものを挙げることができる。
前記一般式(d)中、R29ないしR31は各々独立に、水素原子、アルキル基、又はアリール基を示す。R33及びR34は各々独立に、アルキル基、置換オキシ基、又はハロゲン原子を示す。n及びmは各々独立に0ないし4の整数を示す。R29とR30、又はR31とR32はそれぞれ結合して環を形成してもよく、またR29及び/又はR30はR33と、またR31及び/又はR32はR34と結合して環を形成してもよく、更に、R33或いはR34が複数存在する場合に、R33同士或いはR34同士は互いに結合して環を形成してもよい。X2及びX3は各々独立に、水素原子、アルキル基、又はアリール基であり、X2及びX3の少なくとも一方は水素原子又はアルキル基を示す。Qは置換基を有していてもよいトリメチン基又はペンタメチン基であり、2価の有機基とともに環構造を形成してもよい。Zc-は対アニオンを示し、前記一般式(a)におけるZa-と同義である。
本発明において、好適に用いることのできる一般式(d)で示される染料の具体例としては、以下に例示するものを挙げることができる。
前記一般式(e)中、R35〜R50はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、水酸基、カルボニル基、チオ基、スルホニル基、スルフィニル基、オキシ基、アミノ基、オニウム塩構造を示し、これらの基に置換基が導入可能な場合は、置換基を有してもよい。Mは2つの水素原子若しくは金属原子、ハロメタル基、オキシメタル基を示すが、そこに含まれる金属原子としては、周期律表のIA、IIA、IIIB、IVB族原子、第一、第二、第三周期の遷移金属、ランタノイド元素が挙げられ、中でも、銅、マグネシウム、鉄、亜鉛、コバルト、アルミニウム、チタン、バナジウムが好ましい。
本発明において、好適に用いることのできる一般式(e)で示される染料の具体例としては、以下に例示するものを挙げることができる。
本発明において使用される顔料としては、市販の顔料及びカラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)に記載されている顔料が利用できる。
顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、その他、ポリマー結合色素が挙げられる。具体的には、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン及びペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラック等が使用できる。これらの顔料のうち好ましいものはカーボンブラックである。
これら顔料は表面処理をせずに用いてもよく、表面処理を施して用いてもよい。表面処理の方法には、樹脂やワックスを表面コートする方法、界面活性剤を付着させる方法、反応性物質(例えば、シランカップリング剤、エポキシ化合物、ポリイソシアネート等)を顔料表面に結合させる方法等が考えられる。上記の表面処理方法は、「金属石鹸の性質と応用」(幸書房)、「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)及び「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
顔料の粒径は、塗布液中の安定性や感光層の均一性の観点から、0.01μm〜10μmの範囲にあることが好ましく、0.05μm〜1μmの範囲にあることが更に好ましく、特に0.1μm〜1μmの範囲にあることが好ましい。
顔料を分散する方法としては、インク製造やトナー製造等に用いられる公知の分散技術が使用できる。分散機としては、超音波分散器、サンドミル、アトライター、パールミル、スーパーミル、ボールミル、インペラー、デスパーザー、KDミル、コロイドミル、ダイナトロン、3本ロールミル、加圧ニーダー等が挙げられる。詳細は、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
これらの赤外線吸収剤は、他の成分と同一の層に添加してもよいし、別の層を設けそこへ添加してもよいが、画像部の強度の観点から、ネガ型平版印刷版原版を作成した際に、感光層の波長760nm〜1200nmの範囲における極大吸収波長での吸光度が、反射測定法で0.5〜1.2の範囲にあるように添加する。好ましくは、0.6〜1.15の範囲である。
感光層の吸光度は、感光層に添加する赤外線吸収剤の量と感光層の厚みにより調整することができる。吸光度の測定は常法により行うことができる。測定方法としては、例えば、アルミニウム等の反射性の支持体上に、乾燥後の塗布量が平版印刷版として必要な範囲において適宜決定された厚みの感光層を形成し、反射濃度を光学濃度計で測定する方法、積分球を用いた反射法により分光光度計で測定する方法等が挙げられる。
また、これらの赤外線吸収剤は、感光層中における均一性や感光層の耐久性の観点から、感光層を構成する全固形分に対し、0.01〜50質量%、好ましくは0.1〜10質量%、染料の場合特に好ましくは0.5〜10質量%、顔料の場合特に好ましくは0.1〜10質量%の割合で添加することができる。
[重合開始剤]
本発明に用いられる、後述する重合性化合物の硬化反応を開始、進行させるための重合開始剤としては、熱により分解してラジカルを発生する熱分解型のラジカル発生剤が有用である。このようなラジカル発生剤は前述する赤外線吸収剤と併用することで、赤外線レーザーを照射した際に赤外線吸収剤が発熱し、その熱によりラジカルを発生するものであり、これらの組合せにより記録が可能となる。
ラジカル発生剤としては、オニウム塩、トリハロメチル基を有するトリアジン化合物、過酸化物、アゾ系重合開始剤、アジド化合物、キノンジアジド、オキシムエステル化合物、トリアリールモノアルキルボレート化合物などが挙げられるが、オニウム塩又はオキシムエステル化合物が高感度であり、好ましい。以下に、本発明において重合開始剤として好適に用い得るオニウム塩について説明する。好ましいオニウム塩としては、ヨードニウム塩、ジアゾニウム塩、スルホニウム塩が挙げられる。本発明において、これらのオニウム塩は酸発生剤ではなく、ラジカル重合の開始剤として機能する。本発明において好適に用いられるオニウム塩は、下記一般式(III)〜(V)で表されるオニウム塩である。
一般式(III)中、Ar11とAr12は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下のアリール基を示す。このアリール基が置換基を有する場合の好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素原子数12個以下のアルキル基、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、又は炭素原子数12個以下のアリールオキシ基が挙げられる。Z11-はハロゲンイオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、カルボキシレートイオン、及びスルホン酸イオンからなる群より選択される対イオンを表し、好ましくは、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロフォスフェートイオン、カルボキシレートイオン、及びアリールスルホン酸イオンである。
一般式(IV)中、Ar21は、置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下のアリール基を示す。好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素原子数12個以下のアルキル基、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、炭素原子数12個以下のアリールオキシ基、炭素原子数12個以下のアルキルアミノ基、炭素原子数12個以下のジアルキルアミノ基、炭素原子数12個以下のアリールアミノ基又は、炭素原子数12個以下のジアリールアミノ基が挙げられる。Z21-はZ11-と同義の対イオンを表す。
一般式(V)中、R31、R32及びR33は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下の炭化水素基を示す。好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素原子数12個以下のアルキル基、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、又は炭素原子数12個以下のアリールオキシ基が挙げられる。Z31-はZ11-と同義の対イオンを表す。
本発明において、重合開始剤(ラジカル発生剤)として好適に用いることのできるオニウム塩の具体例としては、特開2001−133696号公報に記載されたもの等を挙げることができる。以下に、本発明において、好適に用いることのできる一般式(III)で示されるオニウム塩([OI−1]〜[OI−10])、一般式(IV)で示されるオニウム塩([ON−1]〜[ON−5])、及び一般式(V)で示されるオニウム塩([OS−1]〜[OS−7])の具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
本発明において用いられる重合開始剤は、極大吸収波長が400nm以下であることが好ましく、更に360nm以下であることが好ましい。このように吸収波長を紫外線領域にすることにより、平版印刷版原版の取り扱いを白灯下で実施することができる。
また、他の好ましい重合開始剤として、特願2000−266797号、特願2001−177150号、特願2000−160323号、特願2000−184603号記載の特定の芳香族スルホニウム塩が挙げられる。以下にその代表的な化合物を例示する。
また、以下に、本発明に適用し得る他の好ましい重合開始剤の代表的な化合物を例示する。
また、以下に、本発明において重合開始剤として好適に用い得るオキシムエステル化合物について説明する。好ましいオキシムエステル化合物としては、下記一般式(i)のようなものが挙げられる。
一般式(i)中、Xはカルボニル基、スルホン基、スルホキシド基を表し、Yは炭素数1〜12の環状又は鎖状のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、炭素数6〜18のアリール基、複素環基であり、アリール基とはベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン基、ピレン基、トリフェニレン基等の芳香族炭化水素化合物であり、複素環とは窒素原子、硫黄原子、酸素原子を環構造に少なくとも1つ有する芳香族化合物であり、例えば、ピロール基、フラン基、チオフェン基、セレノフェノン基、ピラゾール基、イミダゾール基、トリアゾール基、テトラゾール基、オキサゾール基、チアゾール基、インドール基、ベンゾフラン基、ベンズイミダゾール基、ベンズオキサゾール基、ベンゾチアゾール基、ピリジン基、ピリミジン基、ピラジン基、トリアジン基、キノリン基、カルバゾール基、アクリジン基、フェノキサジン、フェノチアジン等の化合物が挙げられる。これらYで表される置換基は、ハロゲン原子、水酸基、ニトリル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルデヒド基、アルキル基、チオール基、アリール基、又はアルケニル基、アルキニル基、エーテル基、エステル基、ウレア基、アミノ基、アミド基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホキシド基、スルホ基、スルホン基、ヒドラジン基、カルボニル基、イミノ基、ハロゲン原子、水酸基、ニトリル基、ニトロ基、カルボキシル基、カルボニル基、ウレタン基、アルキル基、チオール基、アリール基、ホスホロソ基、ホスホ基、カルボニルエーテル基を含有する化合物により置換可能である。
一般式(i)におけるZは、Yと同義又はニトリル基、ハロゲン原子、又は水素原子、アミノ基であり、これらのZの化合物はハロゲン原子、水酸基、ニトリル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルデヒド基、アルキル基、チオール基、アリール基又はアルケニル基、アルキニル基、エーテル基、エステル基、ウレア基、アミノ基、アミド基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホキシド基、スルホ基、スルホン基、ヒドラジン基、カルボニル基、イミノ基、ハロゲン原子、水酸基、ニトリル基、ニトロ基、カルボキシル基、カルボニル基、ウレタン基、アルキル基、チオール基、アリール基、ホスホロソ基、ホスホ基、カルボニルエーテル基を含有する化合物により置換可能である。
一般式(i)におけるWは、2価の有機基を表し、メチレン基、カルボニル基、スルホキシド基、スルホン基、イミノ基を表し、メチレン基及びイミノ基はアルキル基、アリール基、エステル基、ニトリル基、カルボニルエーテル基、スルホ基、スルホエーテル基、エーテル基等を含有する化合物により置換可能である。nは0又は1の整数を表す。
一般式(i)におけるVは、炭素数1〜12の環状又は鎖状のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、炭素数6〜18のアリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基であり、アリール基とはベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン基、ピレン基、トリフェニレン基等の芳香族炭化水素化合物、ピロール基、フラン基、チオフェン基、セレノフェン基、ピラゾール基、イミダゾール基、トリアゾール基、テトラゾール基、オキサゾール基、チアゾール基、インドール基、ベンゾフラン基、ベンズイミダゾール基、ベンズオキサゾール基、ベンゾチアゾール基、ピリジン基、ピリミジン基、ピラジン基、トリアジン基、キノリン基、カルバゾール基、アクリジン基、フェノキサジン、フェノチアジン等のヘテロ原子含有芳香族化合物が挙げられる。これらVの化合物はハロゲン原子、水酸基、ニトリル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルデヒド基、アルキル基、チオール基、アリール基又はアルケニル基、アルキニル基、エーテル基、エステル基、ウレア基、アミノ基、アミド基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホキシド基、スルホ基、スルホン基、ヒドラジン基、カルボニル基、イミノ基、ハロゲン原子、水酸基、ニトリル基、ニトロ基、カルボキシル基、カルボニル基、ウレタン基、アルキル基、チオール基、アリール基、ホスホロソ基、ホスホ基、カルボニルエーテル基を含有する化合物により置換可能である。
また、VとZは互いに結合して環を形成してもよい。
上記一般式(i)で表されるオキシムエステル化合物としては、感度の面から、Xはカルボニル、Yはアリール基又はベンゾイル基、Z基はアルキル基又はアリール基、Wはカルボニル基であり、Vはアリール基であることが好ましい。更に好ましくは、Vのアリール基がチオエーテル置換基を有することが好ましい。
なお、上記一般式(i)におけるN−O結合の構造はE体であってもZ体であっても構わない。
その他、本発明に好適に用いることのできるオキシムエステル化合物は、Progress in Organic Coatings、13(1985)123−150;J.C.S Perkin II(1979)1653−1660;Journal of Photopolymer Science and Technology(1995)205−232;J.C.S Perkin II(1979)156−162;特開2000−66385;特開2000−80068に記載の化合物である。
本発明に好適に用いることのできるオキシムエステル化合物の具体例を以下に示すが、これに限定されるものではない。
これらの重合開始剤は、感度や、印刷時に発生する非画像部の汚れの観点から、感光層を構成する全固形分に対し0.1〜50質量%、好ましくは0.5〜30質量%、特に好ましくは1〜20質量%の割合で添加することができる。これらの重合開始剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。また、これらの重合開始剤は他の成分と同一の層に添加してもよいし、別の層を設けそこへ添加してもよい。
[重合性化合物]
本発明における熱重合性ネガ型感光層に使用される、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物は、エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。このような化合物群は当該産業分野において広く知られるものであり、本発明においてはこれらを特に限定無く用いることができる。これらは、例えば、モノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体及びオリゴマー、又はそれらの混合物並びにそれらの共重合体などの化学的形態をもつ。モノマー及びその共重合体の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。また、ヒドロキシル基やアミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能イソシアネート類或いはエポキシ類との付加反応物、及び単官能若しくは、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアネート基や、エポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、更にハロゲン基や、トシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー等がある。
メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(メタクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等がある。
イタコン酸エステルとしては、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等がある。クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等がある。イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等がある。マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等がある。
その他のエステルの例として、例えば、特公昭46−27926、特公昭51−47334、特開昭57−196231記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240、特開昭59−5241、特開平2−226149記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613記載のアミノ基を含有するもの等も好適に用いられる。更に、前述のエステルモノマーは混合物としても使用することができる。
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等がある。その他の好ましいアミド系モノマーの例としては、特公昭54−21726記載のシクロへキシレン構造を有すものを挙げることができる。
また、イソシアネートと水酸基の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭48−41708号公報中に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記式(2)で示される水酸基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
CH2=C(R4)COOCH2CH(R5)OH (2)
(ただし、R4及びR5は、H又はCH3を示す。)
また、特開昭51−37193号、特公平2−32293号、特公平2−16765号に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号、特公昭56−17654号、特公昭62−39417号、特公昭62−39418号記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。更に、特開昭63−277653号、特開昭63−260909号、特開平1−105238号に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有する付加重合性化合物類を用いることによっては、非常に感光スピードに優れた光重合性組成物を得ることができる。
その他の例としては、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号、各公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートを挙げることができる。また、特公昭46−43946号、特公平1−40337号、特公平1−40336号記載の特定の不飽和化合物や、特開平2−25493号記載のビニルホスホン酸系化合物等も挙げることができる。また、ある場合には、特開昭61−22048号記載のペルフルオロアルキル基を含有する構造が好適に使用される。更に日本接着協会誌vol.20、No.7、300〜308ページ(1984年)に光硬化性モノマー及びオリゴマーとして紹介されているものも使用することができる。
これらの付加重合性化合物について、その構造、単独使用か併用か、添加量等の使用方法の詳細は、最終的な平版印刷版原版の性能設計にあわせて任意に設定できる。例えば、次のような観点から選択される。感光スピードの点では1分子あたりの不飽和基含量が多い構造が好ましく、多くの場合、2官能以上が好ましい。また、画像部すなわち硬化膜の強度を高くするためには、3官能以上のものがよく、更に、異なる官能数・異なる重合性基(例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン系化合物、ビニルエーテル系化合物)のものを併用することで、感光性と強度の両方を調節する方法も有効である。大きな分子量の化合物や疎水性の高い化合物は、感光スピードや膜強度に優れる反面、現像スピードや現像液中での析出といった点で好ましく無い場合がある。また、感光層中の他の成分(例えば、バインダーポリマー、開始剤、着色剤等)との相溶性、分散性に対しても、付加重合化合物の選択・使用法は重要な要因であり、例えば、低純度化合物の使用や、2種以上の併用により相溶性を向上させうることがある。また、支持体や後述のオーバーコート層等の密着性を向上せしめる目的で特定の構造を選択することもあり得る。感光層中の付加重合性化合物の配合比に関しては、多い方が感度的に有利であるが、多すぎる場合には、好ましく無い相分離が生じたり、感光層の粘着性による製造工程上の問題(例えば、感光層成分の転写、粘着に由来する製造不良)や、現像液からの析出が生じる等の問題を生じうる。これらの観点から、付加重合性化合物は、感光層中の不揮発性成分に対して、好ましくは5〜80質量%、更に好ましくは25〜75質量%の範囲で使用される。また、これらは単独で用いても2種以上併用してもよい。そのほか、付加重合性化合物の使用法は、酸素に対する重合阻害の大小、解像度、かぶり性、屈折率変化、表面粘着性等の観点から適切な構造、配合、添加量を任意に選択でき、更に場合によっては下塗り、上塗りといった層構成・塗布方法も実施しうる。
[その他の成分]
本発明の平版印刷版原版の感光層には、以上の必須成分の他に、更にその用途、製造方法等に適したその他の成分を適宜添加することができる。以下、好ましい添加剤に関し例示する。
(重合禁止剤)
本発明の平版印刷版原版の感光層においては、その感光層の製造中或いは保存中において、重合可能なエチレン性不飽和二重結合を有する化合物の不要な熱重合を阻止するために少量の熱重合禁止剤を添加することが望ましい。適当な熱重合禁止剤としてはハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩等が挙げられる。熱重合禁止剤の添加量は、全組成物中の不揮発性成分の質量に対して約0.01質量%〜約5質量%が好ましい。また必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で感光層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、全組成物中の不揮発性成分に対して約0.5質量%〜約10質量%が好ましい。
(着色剤)
本発明の平版印刷版原版の感光層に、その着色を目的として染料若しくは顔料を添加してもよい。これにより、印刷版としての、製版後の視認性や、画像濃度測定機適性といったいわゆる検版性を向上させることができる。着色剤としては、多くの染料は光重合系感光層の感度の低下を生じるので、着色剤としては、特に顔料の使用が好ましい。具体例としては、例えば、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、カーボンブラック、酸化チタンなどの顔料、エチルバイオレット、クリスタルバイオレット、アゾ系染料、アントラキノン系染料、シアニン系染料などの染料がある。染料及び顔料の添加量は全組成物中の不揮発性成分に対して約0.5質量%〜約5質量%が好ましい。
(その他の添加剤)
更に、硬化皮膜の物性を改良するために無機充填剤や、その他可塑剤、感光層表面のインク着肉性を向上させうる感脂化剤等の公知の添加剤を加えてもよい。
可塑剤としては、例えば、ジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート、トリエチレングリコールジカプリレート、ジメチルグリコールフタレート、トリクレジルホスフェート、ジオクチルアジペート、ジブチルセバケート、トリアセチルグリセリン等があり、バインダーポリマーと付加重合性化合物との合計質量に対し一般的に10質量%以下の範囲で添加することができる。
また、後述する膜強度(耐刷性)向上を目的とした、現像後の加熱・露光の効果を強化するための、UV開始剤や、熱架橋剤等の添加もできる。
このような感光層は、感光層成分を種々の有機溶剤に溶解させて、その塗布液を、支持体又は後述する中間層上に塗布することで形成される。
ここで使用する溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、エチレンジクロライド、テトラヒドロフラン、トルエン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3−メトキシプロパノール、メトキシメトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、乳酸メチル、乳酸エチルなどがある。これらの溶媒は、単独或いは混合して使用することができる。そして、塗布溶液中の固形分の濃度は、2〜50質量%が適当である。
前記感光層の被覆量は、主に、感光層の感度、現像性、露光膜の強度・耐刷性に影響しうるもので、用途に応じ適宜選択することが望ましい。被覆量が少なすぎる場合には、耐刷性が十分でなくなる。一方多すぎる場合には、感度が下がり、露光に時間がかかる上、現像処理にもより長い時間を要するため好ましくない。本発明の主要な目的である走査露光用平版印刷版原版としては、その被覆量は乾燥後の質量で約0.1g/m2〜約10g/m2の範囲が適当である。より好ましくは0.5〜5g/m2である。
〔本発明の平版印刷版原版における感光層の物性〕
本発明の平版印刷版原版における感光層、pH10〜13.5のアルカリ現像液に対する未露光部の現像速度が80nm/sec以上、かつ、該アルカリ現像液の露光部での浸透速度が100nF/sec以下であることが好ましい。以下に、本発明における「アルカリ現像液に対する未露光部の現像速度」及び「アルカリ現像液の露光部での浸透速度」の測定方法について説明する。
[アルカリ現像液に対する未露光部の現像速度の測定]
ここで、感光層における、アルカリ現像液に対する未露光部の現像速度とは、感光層の膜厚(nm)を現像に要する時間(sec)で除した値である。
本発明における現像速度の測定方法としては、図1に示すように、アルミニウム支持体上に未露光の感光層を備えたものを、pH10〜13.5の範囲の一定のアルカリ現像液(30℃)中に浸漬し、感光層の溶解挙動をDRM干渉波測定装置で調査した。図1に、感光層の溶解挙動を測定するためのDRM干渉波測定装置の概略図を示す。本発明においては、640nmの光を用い干渉により膜厚の変化を検出した。現像挙動が感光層表面からの非膨潤的現像の場合、膜厚は現像時間に対して徐々に薄くなり、その厚みに応じた干渉波が得られる。また、膨潤的溶解(脱膜的溶解)の場合には、膜厚は現像液の浸透により変化するため、きれいな干渉波が得られない。
この条件において測定を続け、感光層が完全に除去され、膜厚が0となるまでの時間(現像完了時間)(sec)と、感光層の膜厚(nm)より、現像速度を以下の式により求めることができる。この現像速度が大きいものほど、現像液により容易に膜が除去され、現像性が良好であると判定する。
(未露光部の)現像速度=〔感光層の膜厚(nm)/記録完了時間(sec)〕
[アルカリ現像液の露光部での浸透速度]
また、アルカリ現像液の露光部での浸透速度とは、導電性支持体上に前記感光層を製膜し、現像液に浸漬した場合の静電容量(nF)の変化速度を示す値である。
本発明における浸透性の目安となる静電容量の測定方法としては、図2に示すように、pH10〜13.5の範囲の一定のアルカリ現像液(28℃)中に、アルミニウム支持体上に所定の露光量にて露光を行ない、硬化した感光層(図2中では記録層と表記)を備えたものを一方の電極として浸漬し、アルミニウム支持体に導線をつなぎ、他方に通常の電極を用いて電圧を印加する方法が挙げられる。電圧を印加後、浸漬時間の経過に従って現像液が支持体と感光層との界面に浸透し、静電容量が変化する。
この静電容量変化が一定になるまでに要する時間(sec)と、感光層の静電容量の飽和値(nF)より以下の式により求めることができる。この浸透速度が小さいものほど、現像液の浸透性が低いと判定する。
(露光部の)現像液浸透速度=
〔感光層の静電容量の飽和値(nF)/
静電容量変化が一定になるまでに要する時間(sec)〕
本発明の平版印刷版原版における感光層の好ましい物性としては、上記測定によるpH10〜13.5のアルカリ現像液に対する未露光部の現像速度が、80〜400nm/secであり、同様のアルカリ現像液の露光部での浸透速度は90nF/sec以下であることがより好ましい。また、上記測定によるpH10〜13.5のアルカリ現像液に対する未露光部の現像速度が、90〜200nm/secであり、同様のアルカリ現像液の露光部での浸透速度は80nF/sec以下であることが更に好ましい。現像速度の上限値、或いは、浸透速度の下限値には、特に制限はないが、両者のバランスを考慮して制御されることが好ましい。
感光層の未露光部の現像速度や、硬化後の感光層(露光部の感光層)に対するアルカリ現像液の浸透速度の制御は、常法により行うことができるが、代表的なものとしては、未露光部の現像速度の向上には、親水性の化合物の添加が有用であり、露光部での現像液浸透抑制には、疎水性の化合物の添加手段が有用である。
本発明に係る前記特定バインダーポリマーを使用することで、感光層の未露光部の現像速度、及び、現像液の露光部での浸透速度を、容易に、上記の好ましい範囲に調整することができる。
〔支持体〕
本発明の平版印刷版原版の支持体としては、従来公知の、平版印刷版原版に使用される親水性支持体を限定無く使用することができる。
使用される支持体は寸度的に安定な板状物であることが好ましく、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上記の如き金属がラミネート若しくは蒸着された紙若しくはプラスチックフィルム等が含まれ、これらの表面に対し、必要に応じ親水性の付与や、強度向上等の目的で、適切な公知の物理的、化学的処理を施してもよい。
特に、好ましい支持体としては、紙、ポリエステルフィルム又はアルミニウム板が挙げられ、その中でも寸法安定性がよく、比較的安価であり、必要に応じた表面処理により親水性や強度にすぐれた表面を提供できるアルミニウム板は更に好ましい。また、特公昭48−18327号に記載されているようなポリエチレンテレフタレートフィルム上にアルミニウムシートが結合された複合体シートも好ましい。
アルミニウム板とは、寸度的に安定なアルミニウムを主成分とする金属板であり、純アルミニウム板の他、アルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板、又はアルミニウム(合金)がラミネート若しくは蒸着されたプラスチックフィルム又は紙の中から選ばれる。以下の説明において、上記に挙げたアルミニウム又はアルミニウム合金からなる支持体をアルミニウム支持体と総称して用いる。前記アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタンなどがあり、合金中の異元素の含有量は10質量%以下である。本発明では純アルミニウム板が好適であるが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、僅かに異元素を含有するものでもよい。このように本発明に適用されるアルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、従来より公知公用の素材のもの、例えば、JIS A 1050、JIS A 1100、JIS A 3103、JIS A 3005などを適宜利用することができる。
また、本発明に用いられるアルミニウム支持体の厚みは、およそ0.1mm〜0.6mm程度である。この厚みは印刷機の大きさ、印刷版の大きさ及びユーザーの希望により適宜変更することができる。アルミニウム支持体には適宜必要に応じて後述の支持体表面処理が施されてもよい。もちろん施されなくてもよい。
(粗面化処理)
粗面化処理方法は、特開昭56−28893号に開示されているような機械的粗面化、化学的エッチング、電解グレインなどがある。更に塩酸又は硝酸電解液中で電気化学的に粗面化する電気化学的粗面化方法、及びアルミニウム表面を金属ワイヤーでひっかくワイヤーブラシグレイン法、研磨球と研磨剤でアルミニウム表面を砂目立でするポールグレイン法、ナイロンブラシと研磨剤で表面を粗面化するブラシグレイン法のような機械的粗面化法を用いることができ、上記粗面化方法を単独或いは組み合わせて用いることもできる。その中でも粗面化に有用に使用される方法は塩酸又は硝酸電解液中で化学的に粗面化する電気化学的方法であり、適する陽極時電気量は50C/dm2〜400C/dm2の範囲である。更に具体的には、0.1〜50%の塩酸又は硝酸を含む電解液中、温度20〜80℃、時間1秒〜30分、電流密度100C/dm2〜400C/dm2の条件で交流及び/又は直流電解を行うことが好ましい。
このように粗面化処理したアルミニウム支持体は、酸又はアルカリにより化学的にエッチングされてもよい。好適に用いられるエッチング剤は、苛性ソーダ、炭酸ソーダ、アルミン酸ソーダ、メタケイ酸ソーダ、リン酸ソーダ、水酸化カリウム、水酸化リチウム等であり、濃度と温度の好ましい範囲はそれぞれ1〜50%、20〜100℃である。エッチングのあと表面に残留する汚れ(スマット)を除去するために酸洗いが行われる。用いられる酸は硝酸、硫酸、リン酸、クロム酸、フッ酸、ホウフッ化水素酸等が用いられる。特に電気化学的粗面化処理後のスマット除去処理方法としては、好ましくは特開昭53−12739号公報に記載されているような50〜90℃の温度の15〜65質量%の硫酸と接触させる方法及び特公昭48−28123号公報に記載されているアルカリエッチングする方法が挙げられる。以上のように処理された後、処理面の中心線平均粗さRaが好ましくは0.2〜0.5μmであれば、特に方法条件は限定しない。
(陽極酸化処理)
以上のようにして処理されたアルミニウム支持体には、その後に陽極酸化処理がなされることが好ましい。
陽極酸化処理は硫酸、燐酸、シュウ酸若しくは硼酸/硼酸ナトリウムの水溶液が単独若しくは複数種類組み合わせて電解浴の主成分として用いられる。この際、電解液中に少なくともAl合金板、電極、水道水、地下水等に通常含まれる成分はもちろん含まれても構わない。更には第2、第3成分が添加されていても構わない。ここでいう第2、3成分とは、例えば、Na、K、Mg、Li、Ca、Ti、Al、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn等の金属のイオンやアンモニウムイオン等に陽イオンや、硝酸イオン、炭酸イオン、塩素イオン、リン酸イオン、フッ素イオン、亜硫酸イオン、チタン酸イオン、ケイ酸イオン、硼酸イオン等の陰イオンが挙げられ、その濃度としては0〜10000ppm程度含まれてもよい。陽極酸化処理の条件に特に限定はないが、好ましくは30〜500g/リットル、処理液温10〜70℃で、電流密度0.1〜40A/m2の範囲で直流又は交流電解によって処理される。形成される陽極酸化皮膜の厚さは0.5〜1.5μmの範囲である。好ましくは0.5〜1.0μmの範囲である。以上の処理によって作製された支持体が、陽極酸化皮膜に存在するマイクロポアのポア径が5〜10nm、ポア密度が8×1015〜2×1016個/m2の範囲に入るように処理条件が選択されることが好ましい。
前記支持体表面の親水化処理としては、広く公知の方法が適用できる。特に好ましい処理としては、シリケート又はポリビニルホスホン酸等による親水化処理が施される。皮膜はSi、又はP元素量として2〜40mg/m2、より好ましくは4〜30mg/m2で形成される。塗布量はケイ光X線分析法により測定できる。
上記の親水化処理は、アルカリ金属ケイ酸塩、又はポリビニルホスホン酸が1〜30質量%、好ましくは2〜15質量%であり、25℃のpHが10〜13である水溶液に、陽極酸化皮膜が形成されたアルミニウム支持体を、例えば、15〜80℃で0.5〜120秒浸漬することにより実施される。
前記親水化処理に用いられるアルカリ金属ケイ酸塩としては、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸リチウムなどが使用される。アルカリ金属ケイ酸塩水溶液のpHを高くするために使用される水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどがある。なお、上記の処理液にアルカリ土類金属塩若しくは第IVB族金属塩を配合してもよい。アルカリ土類金属塩としては、硝酸カルシウム、硝酸ストロンチウム、硝酸マグネシウム、硝酸バリウムのような硝酸塩や、硫酸塩、塩酸塩、リン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、ホウ酸塩などの水溶性の塩が挙げられる。第IVB族金属塩としては、四塩化チタン、三塩化チタン、フッ化チタンカリウム、シュウ酸チタンカリウム、硫酸チタン、四ヨウ化チタン、塩化酸化ジルコニウム、二酸化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、四塩化ジルコニウムなどを挙げることができる。
アルカリ土類金属塩若しくは、第IVB族金属塩は単独又は2種以上組み合わせて使用することができる。これらの金属塩の好ましい範囲は0.01〜10質量%であり、更に好ましい範囲は0.05〜5.0質量%である。また、米国特許第3,658,662号明細書に記載されているようなシリケート電着も有効である。特公昭46−27481号、特開昭52−58602号、特開昭52−30503号に開示されているような電解グレインを施した支持体と、上記陽極酸化処理及び親水化処理を組合せた表面処理も有用である。
〔中間層〕
本発明における平版印刷版原版には、感光層と支持体との間の密着性や汚れ性を改善する目的で、中間層(下塗り層とも呼ばれる。)を設けてもよい。このような中間層の具体例としては、特公昭50−7481号、特開昭54−72104号、特開昭59−101651号、特開昭60−149491号、特開昭60−232998号、特開平3−56177号、特開平4−282637号、特開平5−16558号、特開平5−246171号、特開平7−159983号、特開平7−314937号、特開平8−202025号、特開平8−320551号、特開平9−34104号、特開平9−236911号、特開平9−269593号、特開平10−69092号、特開平10−115931号、特開平10−161317号、特開平10−260536号、特開平10−282682号、特開平11−84674号、特願平8−225335号、特願平8−270098号、特願平9−195863号、特願平9−195864号、特願平9−89646号、特願平9−106068号、特願平9−183834号、特願平9−264311号、特願平9−127232号、特願平9−245419号、特願平10−127602号、特願平10−170202号、特願平11−36377号、特願平11−165861号、特願平11−284091号、特願2000−14697号等に記載のものを挙げることができる。
〔保護層〕
本発明のように、熱重合性ネガ型感光層を有する平版印刷版原版には、通常、露光を大気中で行うため、前述の感光層の上に、更に、保護層(オーバーコート層とも呼ばれる。)を設けることが好ましい。保護層は、感光層中で露光により生じる画像形成反応を阻害する大気中に存在する酸素や塩基性物質等の低分子化合物の感光層への混入を防止し、大気中での露光を可能とする。従って、このような保護層に望まれる特性は、酸素等の低分子化合物の透過性が低いことであり、更に、露光に用いる光の透過は実質阻害せず、感光層との密着性に優れ、かつ、露光後の現像工程で容易に除去できることが望ましい。このような、保護層に関する工夫が従来よりなされており、米国特許第3、458、311号、特公昭55−49729号に詳しく記載されている。
保護層に使用できる材料としては、例えば、比較的結晶性に優れた水溶性高分子化合物を用いることがよく、具体的には、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、酸性セルロース類、ゼラチン、アラビアゴム、ポリアクリル酸などのような水溶性ポリマーが知られているが、これらの中でも、ポリビニルアルコールを主成分として用いることが、酸素遮断性、現像除去性といった基本特性的にもっとも良好な結果を与える。保護層に使用するポリビニルアルコールは、必要な酸素遮断性と水溶性を有するための、未置換ビニルアルコール単位を含有する限り、一部がエステル、エーテル及びアセタールで置換されていてもよい。また、同様に一部が他の共重合成分を有していてもよい。ポリビニルアルコールの具体例としては71〜100%加水分解され、分子量が300から2400の範囲のものを挙げることができる。
具体的には、株式会社クラレ製のPVA−105、PVA−110、PVA−117、PVA−117H、PVA−120、PVA−124、PVA−124H、PVA−CS、PVA−CST、PVA−HC、PVA−203、PVA−204、PVA−205、PVA−210、PVA−217、PVA−220、PVA−224、PVA−217EE、PVA−217E、PVA−220E、PVA−224E、PVA−405、PVA−420、PVA−613、L−8等が挙げられる。
保護層の成分(PVAの選択、添加剤の使用)、塗布量等は、酸素遮断性・現像除去性の他、カブリ性や密着性・耐傷性を考慮して選択される。一般には使用するPVAの加水分解率が高い程(保護層中の未置換ビニルアルコール単位含率が高い程)、膜厚が厚い程酸素遮断性が高くなり、感度の点で有利である。しかしながら、極端に酸素遮断性を高めると、製造時・生保存時に不要な重合反応が生じたり、また、画像露光時に、不要なカブリ、画線の太りが生じたりという問題を生じる。また、画像部との密着性や、耐傷性も版の取り扱い上極めて重要である。即ち、水溶性ポリマーからなる親水性の層を親油性の感光層に積層すると、接着力不足による膜剥離が発生しやすく、剥離部分が酸素の重合阻害により膜硬化不良などの欠陥を引き起こす。これに対し、これら2層間の接着性を改善すべく種々の提案がなされている。例えば、米国特許出願番号第292,501号、米国特許出願番号第44,563号には、主にポリビニルアルコールからなる親水性ポリマー中に、アクリル系エマルジョン又は水不溶性ビニルピロリドン−ビニルアセテート共重合体などを20〜60質量%混合し、感光層の上に積層することにより、十分な接着性が得られることが記載されている。
本発明における保護層に対しては、これらの公知の技術をいずれも適用することができる。このような保護層の塗布方法については、例えば、米国特許第3,458,311号、特公昭55−49729号に詳しく記載されている。
〔製版〕
本発明の平版印刷版原版を製版するために、少なくとも、露光及び現像のプロセスが行われる。
本発明のネガ型平版印刷版原版を露光する光源としては、公知のものを制限なく用いることができる。望ましい光源の波長は300nmから1200nmであり、具体的には各種レーザを光源として用いることが好適であり、中でも、波長780nm〜1200nmの赤外線レーザーが好適に用いられる。
露光機構は、内面ドラム方式、外面ドラム方式、フラットベッド方式等の何れでもよい。
また、本発明の平版印刷版原版に対するその他の露光光線としては、超高圧、高圧、中圧、低圧の各水銀灯、ケミカルランプ、カーボンアーク灯、キセノン灯、メタルハライド灯、可視及び紫外の各種レーザーランプ、蛍光灯、タングステン灯、太陽光等も使用できる。
本発明の平版印刷版原版は、露光された後、現像処理される。かかる現像処理に使用される現像液としては、pH14以下のアルカリ水溶液が特に好ましく、より好ましくはアニオン系界面活性剤を含有するpH8〜12のアルカリ水溶液が使用される。例えば、第三リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、第二リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、ホウ酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、水酸化ナトリウム、同アンモニウム、同カリウム及び同リチウムなどの無機アルカリ剤が挙げられる。また、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジンなどの有機アルカリ剤も用いられる。これらのアルカリ剤は、単独若しくは2種以上を組み合わせて用いられる。
また本発明の平版印刷版原版の現像処理においては、現像液中にアニオン界面活性剤1〜20質量%加えるが、より好ましくは、3〜10質量%で使用される。少なすぎると現像性が悪化し、多すぎると画像の耐摩耗性などの強度が劣化するなどの弊害が出る。アニオン界面活性剤としては、例えば、ラウリルアルコールサルフェートのナトリウム塩、ラウリルアルコールサルフェートのアンモニウム塩、オクチルアルコールサルフェートのナトリウム塩、例えば、イソプロピルナフタレンスルホン酸のナトリウム塩、イソブチルナフタレンスルホン酸のナトリウム塩、ポリオキシエチレングリコールモノナフチルエーテル硫酸エステルのナトリウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸のナトリウム塩、メタニトロベンゼンスルホン酸のナトリウム塩などのようなアルキルアリールスルホン酸塩、第2ナトリウムアルキルサルフェートなどの炭素数8〜22の高級アルコール硫酸エステル類、セチルアルコールリン酸エステルのナトリウム塩などの様な脂肪族アルコールリン酸エステル塩類、例えば、C1733CON(CH3)CH2CH2SO3Naなどのようなアルキルアミドのスルホン酸塩類、例えば、ナトリウムスルホコハク酸ジオクチルエステル、ナトリウムスルホコハク酸ジヘキシルエステルなどの二塩基性脂肪族エステルのスルホン酸塩類などが含まれる。
必要に応じてベンジルアルコール等の水と混合するような有機溶媒を現像液に加えてもよい。有機溶媒としては、水に対する溶解度が約10質量%以下のものが適しており、好ましくは5質量%以下のものから選ばれる。例えば、1−フェニルエタノール、2−フェニルエタノール、3−フェニルプロパノール、1,4−フェニルブタノール、2,2−フェニルブタノール、1,2−フェノキシエタノール、2−ベンジルオキシエタノール、o−メトキシベンジルアルコール、m−メトキシベンジルアルコール、p−メトキシベンジルアルコール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール、2−メチルシクロヘクサノール、4−メチルシクロヘクサノール及び3−メチルシクロヘクサノール等を挙げることができる。有機溶媒の含有量は、使用時の現像液の総質量に対して1〜5質量%が好適である。その使用量は界面活性剤の使用量と密接な関係があり、有機溶媒の量が増すにつれ、アニオン界面活性剤の量は増加させることが好ましい。これはアニオン界面活性剤の量が少ない状態で、有機溶媒の量を多く用いると有機溶媒が溶解せず、従って良好な現像性の確保が期待できなくなるからである。
また、更に必要に応じ、消泡剤及び硬水軟化剤のような添加剤を含有させることもできる。硬水軟化剤としては、例えば、Na227、Na533、Na339、Na24P(NaO3P)PO3Na2、カルゴン(ポリメタリン酸ナトリウム)などのポリリン酸塩、アミノポリカルボン酸類(例えば、エチレンジアミンテトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;ジエチレントリアミンペンタ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;ニトリロトリ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;1,2−ジアミノシクロヘキサンテトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;1,3−ジアミノ−2−プロパノールテトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩)、他のポリカルボン酸類(例えば、2−ホスホノブタントリカルボン酸−1,2,4、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;2一ホスホノブタノントリカルボン酸−2,3,4、そのカリウム塩、そのナトリウム塩など)、有機ホスホン酸類(例えば、1−ホスホノエタントリカルボン酸−1,2、2、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;アミノトリ(メチレンホスホン酸)、そのカリウム塩、そのナトリウム塩など)を挙げることができる。このような硬水軟化剤の最適量は使用される硬水の硬度及びその使用量に応じて変化するが、一般的には、使用時の現像液中に0.01〜5質量%、より好ましくは0.01〜0.5質量%の範囲で含有させられる。
更に、自動現像機を用いて、該平版印刷版原版を現像する場合には、処理量に応じて現像液が疲労してくるので、補充液又は新鮮な現像液を用いて処理能力を回復させてもよい。この場合、米国特許第4,882,246号に記載されている方法で補充することが好ましい。また、特開昭50−26601号、同58−54341号、特公昭56−39464号、同56−42860号、同57−7427号の各公報に記載されている現像液も好ましい。
このようにして現像処理された平版印刷版原版は、特開昭54−8002号、同55−115045号、同59−58431号等の各公報に記載されているように、水洗水、界面活性剤等を含有するリンス液、アラビアガムや澱粉誘導体等を含む不感脂化液で後処理されてもよい。本発明の平版印刷版原版の後処理にはこれらの処理を種々組み合わせて用いることができる。
本発明の平版印刷版原版の製版プロセスとして、必要に応じ、露光前、露光中、露光から現像までの間に、全面を加熱してもよい。このような加熱により、感光層中の画像形成反応が促進され、感度や耐刷性の向上、感度の安定化といった利点が生じ得る。更に、画像強度・耐刷性の向上を目的として、現像後の画像に対し、全面後加熱若しくは、全面露光を行うことも有効である。
通常、現像前の加熱は、所望されない硬化反応の発生の観点から、150℃以下の穏和な条件で行うことが好ましい。また、現像後の加熱には非常に強い条件を利用することができる。通常は、画像強化作用や画像部の熱分解の発生の観点から、加熱温度が200〜500℃の範囲で実施される。
以上の処理によって得られた平版印刷版はオフセット印刷機に掛けられ、多数枚の印刷に用いられる。
なお、印刷に供された平版印刷版の汚れは、プレートクリーナーにより除去することができる。印刷時、版上の汚れ除去のため使用するプレートクリーナーとしては、従来より知られているPS版用プレートクリーナーが使用され、例えば、CL−1,CL−2,CP,CN−4,CN,CG−1,PC−1,SR,IC(富士写真フイルム株式会社製)等が挙げられる。
以下、実施例によって本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔合成例1:ポリマータイプ(T−1)のバインダーポリマー(P−1)の合成〕
下記構造のM−1(17.1g)、下記構造のPC−1M(6.1g)、下記構造のM−3(4.0)、下記構造のM−4(2.8g)及び2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(和光純薬社製)(0.21g)の、ジメチルアセトアミド(35g)溶液を、窒素気流下、75℃で、ジメチルアセトアミド(35g)中に2.5時間かけて滴下した。滴下終了後、更に、75℃で2時間攪拌した。放冷後、この溶液を激しく攪拌している水(2L)中に投入し、1時間攪拌した。析出した白色固体を、ろ別、乾燥することにより、バインダーポリマーの前駆体を得た。
続いて、この前駆体(21g)と、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(フリーラジカル)(0.2g)と、tert−ブタノール(10g)と、をジメチルアセトアミド(120g)に溶解させ、0℃で、塩酸により溶液を酸性とし、30分間0℃で攪拌した。そして、この溶液を激しく攪拌している水(2L)中に投入し、1時間攪拌した。析出した白色固体を、ろ別、乾燥することにより、表1に記載のポリマータイプ(T−1)のバインダーポリマー(P−1)を得た。なお、バインダーポリマー(P−1)は、特定バインダーポリマーの範囲外のポリマーである。
このバインダーポリマー(P−1)を、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により測定したところ、重量平均分子量はポリスチレン換算で12.1万であり、酸価は0.81meq/gであった。更に、得られたバインダーポリマー(P−1)の同定をNMR、IRスペクトルにより行った。
ここで、合成例1で得られるポリマータイプ(T−1)の構造、及び、原料モノマー(PC−1M)、(M−1)、(M−3)、(M−4)の構造を以下に示す。
〔合成例2:ポリマータイプ(T−2)のバインダーポリマー(P−11)の合成〕
下記構造のM−1(20g)、下記構造のM−2(24g)、下記構造のPC−2M(5.5g)、及びジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)(和光純薬社製)(0.21g)の、ジメチルアセトアミド(58g)溶液に、窒素気流下、75℃で、ジメチルアセトアミド(58g)中に2.5時間かけて滴下した。滴下終了後、更に、75℃で2時間攪拌した。放冷後、この溶液を激しく攪拌している水(3L)中に投入し、1時間攪拌した。析出した白色固体を、ろ別、乾燥することにより、バインダーポリマーの前駆体を得た。
続いて、この前駆体(48g)と、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(フリーラジカル)(0.15g)と、tert−ブタノール(17g)と、をジメチルアセトアミド(274g)に溶解させ、0℃で、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(62.8g)を2時間かけて滴下後、24時間室温で攪拌した。その後、0℃で塩酸により溶液を酸性とし、30分間0℃で攪拌した。そして、この溶液を激しく攪拌している水(3L)中に投入し、1時間攪拌した。析出した白色固体を、ろ別、乾燥することにより、表1に記載のポリマータイプ(T−2)のバインダーポリマー(P−11)を得た。
このバインダーポリマー(P−11)を、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により測定したところ、重量平均分子量はポリスチレン換算で10.1万であり、酸価は0.62meq/gであった。更に、得られたバインダーポリマー(P−11)の同定をNMR、IRスペクトルにより行った。
ここで、合成例2で得られるポリマータイプ(T−2)の構造、及び、原料モノマー(PC−2M)、(M−1)、(M−2)の構造を以下に示す。
〔合成例3:バインダーポリマー(P−23)の合成〕
コンデンサー、撹拌機を取り付けた1000ml三口フラスコに、1−メトキシ−2−プロパノール(300ml)を入れ、70℃に加熱した。窒素気流下、下記構造のCL−1(アリルメタクリレート)(115g)、下記構造のPC−2M(30g)、下記構造のAm−5(N−イソプロピルアクリルアミド)(29g)、及びV−65(和光純薬製)(2.3g)の、1−メトキシ−2−プロパノール(300ml)溶液を2時間半かけて滴下させた。
更に、70℃で2時間反応させた。次に、反応液を水中に投じ、共重合体を析出させた。これを、ろ取、洗浄、乾燥し、表2に記載のバインダーポリマー(P−23)を得た。
このバインダーポリマー(P−23)を、ポリスチレンを標準物質としたゲルバーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)により、重量平均分子量を測定した結果、13.9万であった。
ここで、合成例3で用いた原料モノマー(PC−2M)、(CL−1)、(Am−5)の構造を以下に示す。
合成例1と同様にして、原料モノマーを適宜代えて、下記表1記載のバインダーポリマー(P−2)〜(P−)を得た(表1中、ポリマータイプ(T−1)のものにおける一般式(I)で表される繰り返し単位は、前記原料モノマーPC−1Mに由来する繰り返し単位に対応する。)。また、合成例2と同様にして、原料モノマーを適宜代えて、下記表1に記載のバインダーポリマー(P−8)〜(P−9)及び(P−11)〜(P−13)を得た。また、合成例3と同様にして、原料モノマーを適宜代えて、下記表2に記載のバインダーポリマー(P−2)〜(P−22)、(P−24)、(P−26)〜(P−27)、及び(P−29)〜(P−31)を得た。
また、合成例2において、ポリマータイプ(T−2)を、下記の構造を有するポリマータイプ(T−3)又は(T−4)に代え、かつ、原料モノマーを適宜代えた他は同様にして、下記表1に記載のバインダーポリマー(P−15)、(P−17)及び(P−19)を得た。
なお、本実施例において用いるバインダーポリマー(P−2)〜(P−4)(P−7)〜(P−9)、(P−11)〜(P−13)、(P−15)、(P−17)、(P−19)、(p−21)〜(P−24)、(P−26)〜(P−27)、(P−29)〜(P−31)は、本発明における特定バインダーポリマーである。
ここで、表1及び表2に記載の一般式(I)で表される繰り返し単位(PC−2)〜(P−6)、(PC−10)、(PC−12)〜(PC−14)の構造を以下に示す。なお、PC−2M〜〜P−6M、PC−10M、PC−12M〜PC−14Mを、PC−2〜P−6、PC−10、PC−12〜PC−14のユニットの原料モノマー(メタクリロイル体)であると定義する。
また、表2に記載のラジカル重合性基を有する原料モノマー(CL−1)〜(CL−5)の構造を以下に示す。
なお、上記表2に記載の(Am−1)〜(Am−3)、(Am−5)〜(Am−8)、(Am−12)、(Am−16)、及び(Am−23)の原料モノマーは、前述の一般式(1)で表されるアミド基を有するモノマーの具体例として挙げられているものを示す。
〔実施例1〜11、比較例1〜4〕
以下の手順で平版印刷版原版を作製し、印刷性能を評価した。感光層を構成するバインダーポリマー、重合開始剤、及び赤外線吸収剤の種類、並びに、印刷性能の評価結果を表3に示す。
[支持体の作成]
99.5%以上のアルミニウムと、Fe0.30%、Si0.10%、Ti0.02%、Cu0.013%を含むJIS A 1050合金の溶湯を清浄化処理を施し、鋳造した。清浄化処理には、溶湯中の水素などの不要なガスを除去するために脱ガス処理し、セラミックチューブフィルタ処理をおこなった。鋳造法はDC鋳造法で行った。凝固した板厚500mmの鋳塊を表面から10mm面削し、金属間化合物が粗大化してしまわないように550℃で10時間均質化処理を行った。
次いで、400℃で熱間圧延し、連続焼鈍炉中で500℃60秒中間焼鈍した後、冷間圧延を行って、板厚0.30mmのアルミニウム圧延板とした。圧延ロールの粗さを制御することにより、冷間圧延後の中心線平均表面粗さRaを0.2μmに制御した。その後、平面性を向上させるためにテンションレベラーにかけた。
次に平版印刷版支持体とするための表面処理を行った。
まず、アルミニウム板表面の圧延油を除去するため10%アルミン酸ソーダ水溶液で50℃30秒間脱脂処理を行い、30%硫酸水溶液で50℃30秒間中和、スマット除去処理を行った。
次いで、支持体と感光層の密着性を良好にし、かつ非画像部に保水性を与えるため、支持体の表面を粗面化する、いわゆる、砂目立て処理を行った。1%の硝酸と0.5%の硝酸アルミを含有する水溶液を45℃に保ち、アルミウェブを水溶液中に流しながら、間接給電セルにより電流密度20A/dm2、デューティー比1:1の交番波形でアノード側電気量240C/dm2を与えることで電解砂目立てを行った。その後、10%アルミン酸ソーダ水溶液で50℃30秒間エッチング処理を行い、30%硫酸水溶液で50℃30秒間中和、スマット除去処理を行った。
更に、耐摩耗性、耐薬品性、保水性を向上させるために、陽極酸化によって支持体に酸化皮膜を形成させた。電解質として硫酸20%水溶液を35℃で用い、アルミウェブを電解質中に通搬しながら、間接給電セルにより14A/dm2の直流で電解処理を行うことで2.5g/m2の陽極酸化皮膜を作成した。
その後、印刷版の非画像部における親水性を高めるため、シリケート処理を行った。処理は3号珪酸ソーダ1.5%水溶液を70℃に保ちアルミウェブの接触時間が15秒となるよう通搬し、更に水洗した。Siの付着量は10mg/m2であった。
以上により作製されたアルミニウム支持体のRa(中心線表面粗さ)は0.25μmであった。
[感光層の塗設]
このようなアルミニウム支持体上に、下記感光層塗布液をワイヤバーで塗布し、温風式乾燥装置にて125℃で27秒間乾燥して感光層を形成した。乾燥後の塗布量は1.2g/m2であった。
(感光層塗布液)
・重合性化合物(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート) 2.0g
・バインダーポリマー 2.0g
(表3中に記載の、特定バインダーポリマー、及び
下記構造の比較バインダーポリマー(P−32)〜(P−35))
・赤外線吸収剤(表3中に記載の化合物) 0.08g
・重合開始剤(表3中に記載の化合物) 0.3g
・フッ素系ノニオン界面活性剤 0.01g
(大日本インキ化学工業(株)製、メガファックF−176)
・ビクトリアピュアブルーのナフタレンスルホン酸塩 0.04g
・メチルエチルケトン 9.0g
・プロピレングリコールモノメチルエーテル 8.0g
・メタノール 10.0g
[平版印刷版原版の露光]
上記のように得られた平版印刷版原版を、水冷式40W赤外線半導体レーザーを搭載したCreo社製Trendsetter3244VFSにて、出力9W、外面ドラム回転数210rpm、版面エネルギー100mJ/cm2、解像度2400dpiの条件で露光した。
[現像/製版]
露光後、富士写真フイルム(株)製自動現像機スタブロン900Nに、下記の組成の現像液D−1と、フィニッシャー富士写真フイルム(株)製FN−6の1:1水希釈液現像と、をそれぞれ仕込み、30℃で現像/製版し、平版印刷版を得た。
(現像液D−1)
・純水 95g
・下記式(3)の構造を有する化合物 5g
・KOH 0.06g
・炭酸カリウム 0.2g
・下記式(4)の構造を有する化合物 0.2g
[画像部耐刷性試験]
印刷機として小森コーポレーション(株)製リスロンを使用し、インキとして大日本インキ(株)社製グラフG(N)を使用した。ベタ画像部の印刷物を観察し、画像がかすれはじめた枚数によって画像部耐刷性を調べた。数字が大きいほど画像部耐刷性がよいことになる。評価結果を表3に示す。
[網点耐刷性強制試験]
印刷機として小森コーポレーション(株)製リスロンを使用し、インキとして大日本インキ社製グラフG(N)を使用した。印刷開始から5,000枚目に富士写真フイルム(株)製PSプレートクリーナーCL−2を印刷用スポンジにしみこませ、網点部を拭き、版面のインキを洗浄した。その後、10,000枚印刷を行い、印刷物における網点の版飛びの有無を目視で観察した。評価結果を表3に示す。
ここで、表3中に記載の赤外線吸収剤(IR−1)〜(IR−3)の構造、重合開始剤(OI−1)〜(OI−11)の構造を以下に示す。
また、表3中に記載の比較バインダーポリマー(P−32)〜(P−35)の構造を以下に示す。
なお、比較バインダーポリマー(P−32)は上記の合成例1と同様にして、また、比較バインダーポリマー(P−33)〜(P−35)は上記の合成例2と同様にして、適宜、原料モノマーを代えて合成されたものである。
〔実施例1222、比較例5〜8〕
実施例1において、感光層塗布液中の重合性化合物及びバインダーポリマーの量を共に1.5gとして感光層を形成し、該感光層上に下記に示すようにして保護層を設けた他は、実施例1と同様にして、平版印刷版原版を作製した。得られた実施例1222、比較例5〜8における平版印刷版原版を、下記組成の現像液D−2を用いて現像した他は実施例1と同様にして印刷性能を評価した。
感光層を構成するバインダーポリマー、重合開始剤、及び赤外線吸収剤の種類、並びに、印刷性能の評価結果を表4に示す。
[保護層の塗設]
形成された感光層上に、ポリビニルアルコール(ケン化度98モル%、重合度550)の3質量%の水溶液を乾燥塗布質量が2g/m2となるように塗布し、100℃で2分間乾燥した。
(現像液D−2)
・水酸化カリウム 6g
・炭酸カリウム 2g
・亜硫酸ナトリウム 1g
・ポリエチレングリコールモノナフテルエーテル 150g
・ジブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム塩 50g
・ヒドロキシエタンジホスホン酸カリウム塩 4g
・シリコンTSA−731(東芝シリコーン社(株)製) 0.1g
・水 786.9g
〔実施例2334、比較例9〜12〕
実施例1において、アルミニウム支持体上に、下記に示すようにして下塗り層を設け、更に、感光層塗布液に、バインダーポリマーとして、表5に記載の、バインダーポリマー(P−11)、(P−15)、(P−17)、(P−21)〜(P−24)、(P−26)〜(P−27)、(P−29)〜(P−31)、比較バインダーポリマー(P−34)〜(P−37)を用いた他は、実施例1と同様にして、平版印刷版原版を作製した。得られた実施例2334、比較例9〜12における平版印刷版原版を、上記組成の現像液D−2を用いて現像した他は実施例1と同様にして印刷性能を評価した。
感光層を構成するバインダーポリマー、重合開始剤、及び赤外線吸収剤の種類、並びに、印刷性能の評価結果を表5に示す。
[下塗り層の塗設]
実施例1において用いたアルミニウム支持体上に、下記の下塗り層塗布液を乾燥塗布質量が10mg/m2となるように塗布し、90℃で30秒間乾燥した。
(下塗り層塗布液)
・2−アミノエチルスルホン酸 0.5g
・メタノール 40g
ここで、表5に記載の比較バインダーポリマー(P−36)、(P−37)の構造を以下に示す。
なお、比較バインダーポリマー(P−36)、(P−37)は上記の合成例3と同様にして、適宜、原料モノマーを代えて合成されたものである。
〔実施例3548、比較例13〜16〕
実施例1における感光層塗布液に、バインダーポリマーとして、表6に記載の、バインダーポリマー(P−11)、(P−15)、(P−17)、(P−19)、(P−21)〜(P−24)、(P−26)〜(P−27)、(P−29)〜(P−31)、上記構造の比較バインダーポリマー(P−34)〜(P−37)を用いて感光層を形成し、該感光層上に実施例12と同様にして保護層を設けた他は、実施例1と同様にして、平版印刷版原版を作製した。得られた実施例3548、比較例13〜16における平版印刷版原版を、実施例1と同様にして印刷性能を評価した。
感光層を構成するバインダーポリマー、重合開始剤、及び赤外線吸収剤の種類、並びに、印刷性能の評価結果を表6に示す。
上記表3〜6によれば、一般式(I)で表される繰り返し単位を有するバインダーポリマーを含有する重合性組成物(本発明の重合性組成物)からなる感光層を備える実施例1〜48の平版印刷版原版は、該感光層の未露光部の現像速度が80nm/sec以上、かつ、アルカリ現像液の露光部での浸透速度が100nF/sec以下となり、保護層や下塗り層の有無に関らず、非常に優れた耐刷性を有する平版印刷版が得られたことが明らかであった。また、実施例1〜48の平版印刷版原版は、このような、アルカリ現像液に対する未露光部の現像速度と、アルカリ現像液の露光部での浸透速度と、を示す感光層を有することにより、優れた画像形成性を備えていることが容易に推測される。
対して、比較例1〜16における平版印刷版原版は、一般式(I)で表される繰り返し単位を有するバインダーポリマーを含有せず、感光層の未露光部の現像速度が80nm/sec以上、かつ、アルカリ現像液の露光部での浸透速度が100nF/sec以下とならない感光層を備えているため、得られた平版印刷版は、実施例1〜48の平版印刷版に比べ耐刷性が低く、特に、比較例1、4、5、9、10、13及び14における平版印刷版では網点の版飛びがみられた。
感光層の溶解挙動を測定するためのDRM干渉波測定装置の一例を示す概略構成図である。 現像液の感光層への浸透性を評価するのに用いられる静電容量の測定方法の一例を示す概略構成図である。

Claims (4)

  1. 下記一般式(I)で表される繰り返し単位を有するバインダーポリマー、赤外線吸収剤(但し、700〜1200nmに吸収を有する骨格を有する構造を含むユニットに結合したメチルエステル基、アリールエステル基、ベンジルエステル基、及びアリルエステル基からなる群から選択されたエステル基を有し、有機溶媒及びアルカリ水溶液に可溶性であり、且つ、700〜1200nmに吸収を有する色素を除く。)、重合開始剤及び重合性化合物を含有することを特徴とする重合性組成物。

    (一般式(I)中、R1は水素原子又はメチル基を表し、R2はアルキレン、置換アルキレン、アリーレン、又は置換アリーレン、或いはこれらから選択された2以上がアミド結合又はエステル結合により連結されてなる構造を有し、その原子数が2〜82であり、且つ脂肪族環状構造を有さない連結基を表す。Aは酸素原子又は−NR3−を表し、R3は水素原子又は炭素数1〜10の一価の炭化水素基を表す。nは1〜5の整数を表す。)
  2. 前記一般式(I)で表される繰り返し単位を有するバインダーポリマーにおいて、R2で表される連結基の主骨格を構成する原子数が、1〜30であることを特徴とする請求項1に記載の重合性組成物。
  3. 支持体上に、請求項1又は請求項2に記載の重合性組成物を含む感光層を備えてなることを特徴とする平版印刷版原版。
  4. 支持体上に、請求項1又は請求項2に記載の重合性組成物を含み、pH10〜13.5のアルカリ現像液に対する未露光部の現像速度が80nm/sec以上、かつ、該アルカリ現像液の露光部での浸透速度が100nF/sec以下である感光層を備えてなることを特徴とする平版印刷版原版。
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