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JP4465127B2 - 耐候性、柔軟性に優れる農業用積層フィルム - Google Patents

耐候性、柔軟性に優れる農業用積層フィルム Download PDF

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JP4465127B2 JP2001099020A JP2001099020A JP4465127B2 JP 4465127 B2 JP4465127 B2 JP 4465127B2 JP 2001099020 A JP2001099020 A JP 2001099020A JP 2001099020 A JP2001099020 A JP 2001099020A JP 4465127 B2 JP4465127 B2 JP 4465127B2
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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、特定の多層構造重合体粒子からなるフィルム層を有する農業用積層フィルムに関する。さらに詳しくは、耐候性、耐擦傷性、透明性、柔軟性、耐久性、弾性回復性、ソフトな風合いに優れており、さらに耐汚染性にも優れたものとすることができる、特定の多層構造重合体粒子からなるフィルムと耐候性に優れる熱可塑性樹脂からなるフィルムとを積層してなる農業用積層フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、有用植物を栽培している農家では、収益性向上を目的として、有用植物を簡易温室又は農業トンネル内で促進栽培又は抑制栽培することが広く行われている。この簡易温室または農業トンネルの被覆資材としては、ポリエチレンフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、硬質および軟質塩化ビニル系樹脂フィルム、ガラス等が使用されているが、安価で透明性が良く、保温性や強度に優れ、かつフィルムに加工するのが容易であるなどの理由から、軟質塩化ビニル系樹脂フィルムが広く用いられている。その他にも、軟質塩化ビニル系樹脂フィルムは、他の合成樹脂フィルムに対して、光線透過率、機械的強度、作業性を総合して最も優れているが、このことも、かかる用途に軟質塩化ビニル系樹脂フィルムが広く使用されている理由の1つである。
【0003】
しかし、軟質塩化ビニル系樹脂フィルムには、樹脂軟化剤として、可塑剤が配合されており、この可塑剤は、感温性が大きく、このため軟質塩化ビニル系樹脂フィルムは特に寒冷地区で展張使用される際に伸びが悪く破れ易い欠点を有する。また、軟質塩化ビニル系樹脂フィルムは、展張後も、風、雪、雹、アラレ等の外力がフィルムに加わった際に破れ易いという問題点があった。このため、寒冷地区における伸び、耐衝撃性等の物性を改善する方法として、農業用の塩化ビニル系樹脂フィルム中の可塑剤の量を増加すること、あるいは、耐寒性可塑剤を配合すること等、可塑剤配合に関するフィルム物性改善方法が提案されている。
【0004】
塩化ビニル系樹脂フィルム中の可塑剤量を増加させる方法は、低温強度に対して向上効果があることが知られているが、この方法を用いると、夏場等の高温時にフィルムがべたついたり、たるんだりすることに加えて、可塑剤のブリードにより埃が付着し太陽光を遮ることから、植物の生育に好ましくない。
また、屋外で使用される塩化ビニル系樹脂フィルムは、耐候劣化により強度低下、変色を生じる。さらに近年、廃棄、焼却時の環境への負荷が問題視されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、耐候性、耐擦傷性、透明性、柔軟性、耐候性、弾性回復性、ソフトな風合いに優れており、さらに耐汚染性にも優れたものとすることができる、屋外での長期の使用に耐えうる耐久性を有し、可塑剤のブリードによる汚染もなく、さらに焼却廃棄する際の環境への負荷が小さい、農業用積層フィルムを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、鋭意検討した結果、特定の多層構造重合体粒子からなるフィルムと耐候性に優れる熱可塑性樹脂からなるフィルムとを積層してなる積層フィルムが上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち本発明は、(1)最内部に位置するゴム成分層(Ia)及びゴム成分層(Ia)に隣接してその外部表面を覆う状態で位置するゴム成分層(Ib)からなるゴム成分層(I)を内部に有し、かつ熱可塑性樹脂成分層(II)を最外部に有する、層からなる多層構造重合体粒子であって;(2)ゴム成分層(Ia)の質量とゴム成分層(Ib)の質量との比は、(Ia)/(Ib)において、20/80〜80/20の範囲であり、(3)ゴム成分層(Ia)はアクリル酸エステル50〜99.99質量%、該アクリル酸エステルと共重合可能な他の単官能性単量体49.99〜0質量%及び多官能性単量体0.01〜10質量%からなる単量体混合物(ia)の共重合によって形成される重合体層であり、ゴム成分層(Ib)はアクリル酸エステル50〜99.99質量%、該アクリル酸エステルと共重合可能な他の単官能性単量体49.99〜0質量%及び多官能性単量体0.01〜10質量%からなる単量体混合物(ib)の共重合によって形成される重合体層であり、(4)単量体混合物(ib)におけるアクリル酸エステルの含有率(質量%)と単量体混合物(ia)におけるアクリル酸エステルの含有率(質量%)との差[(ib)(単位:質量%)−(ia)(単位:質量%)]が4〜30質量%の範囲であり、)熱可塑性樹脂成分層(II)は、メタクリル酸エステル40〜100質量%及び該メタクリル酸エステルと共重合可能な他の単量体60〜0質量%からなる単量体(ii)の重合によって形成される重合体層であり;()熱可塑性樹脂成分層(II)のうち最外部に位置する層を構成する重合体について、GPC法で測定された数平均分子量は30,000以下であり;()ゴム成分層(I)の総質量と熱可塑性樹脂成分層(II)の総質量との比は、層(I)/層(II)において30/70〜90/10の範囲であり;()平均粒子径が150nm以下である;ことを特徴とする多層構造重合体粒子からなるフィルムと、紫外線吸収剤含有アクリル系樹脂からなるフィルムとを、紫外線吸収剤含有アクリル系樹脂/多層構造重合体粒子からなるフィルム/紫外線吸収剤含有アクリル系樹脂の3層構造となるように積層してなる農業用積層フィルムに関する。 なお、以下の本発明の詳しい説明において、「農業用積層フィルム」を簡便のため「積層フィルム」と表すことがある。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をさらに詳しく説明する。
本発明で使用する多層構造重合体粒子は、ゴム成分層(I)を内部に少なくとも1層有し、かつ熱可塑性樹脂成分層(II)を少なくとも最外層として有する。本発明の多層構造重合体粒子を構成する層の数は、2層以上であればよく、3層で構成されていても4層以上で構成されていてもよい。2層構造の場合は、層(I)(中心層)/層(II)(最外層)の構成であり、3層構造の場合は、層(I)(最内層)/層(I)(中間層)/層(II)(最外層)、層(I)(最内層)/層(II)(中間層)/層(II)(最外層)又は層(II)(最内層)/層(I)(中間層)/層(II)(最外層)の構成であり、4層構造の場合には、例えば、層(I)(最内層)/層(II)(中間層)/層(I)(中間層)/層(II)(最外層)の構成を有することができる。これらの中でも、取扱い性に優れる点において、層(I)(中心層)/層(II)(最外層)の2層構造;又は層(I)(最内層)/層(I)(中間層)/層(II)(最外層)若しくは層(II)(最内層)/層(I)(中間層)/層(II)(最外層)の3層構造が好ましい。
【0009】
本発明で使用する多層構造重合体粒子を構成するゴム成分層(I)は、本発明の積層フィルムを構成する多層構造重合体粒子からなるフィルムに柔軟性を付与する。
本発明で使用する多層構造重合体粒子を構成する熱可塑性樹脂成分層(II)は、本発明の積層フィルムを構成する多層構造重合体粒子からなるフィルムに耐候性、耐熱性、耐傷つき性を付与する。さらに、多層構造重合体粒子に適度な流動性を与えることで、フィルムに加工する際の溶融混練性、成形加工性を良好なものとする。
【0010】
本発明で使用する多層構造重合体粒子の特徴は、ゴム成分層(I)と熱可塑性樹脂成分層(II)の構成を変えることにより、本発明の積層フィルムを構成する多層構造重合体粒子からなるフィルムの物性、成形加工性を自由に変えることが可能なことである。一例を挙げると、ゴム成分層(I)の割合が増えると、より柔軟性に優れた積層フィルムを得ることができる。一方、熱可塑性樹脂成分層(II)が増えると、流動性が向上し、フィルムに加工する際の成形加工性が向上する。すなわち、本発明で使用する多層構造重合体粒子は、用途に応じた材料設計の自由度が極めて高く、しかも加硫ゴムのような煩雑な加硫工程を要することなく、それ自体柔軟性に優れている。
【0011】
層(I)と層(II)の総質量比は、(I)/(II)において30/70〜90/10の範囲内である必要がある。層(I)の割合がこの範囲より小さいと多層構造重合体粒子を成形して得られる成形品における弾性回復性が不十分となるため、好ましくない。反対に層(I)の割合がこの範囲より大きいと層構造を完全な形態では形成しにくくなり、溶融流動性が極端に低下してしまうため、混練が困難となる。なお、層(I)の総質量とは、多層構造重合体粒子中の層(I)が1層のみの場合には該層の質量であり、層(I)が2層以上の場合にはそれらの層の質量の和である。同様に、層(II)の総質量とは、多層構造重合体粒子中の層(II)が1層のみの場合には該層の質量であり、層(II)が2層以上の場合にはそれらの層の質量の和である。層(I)と層(II)の総質量比は、(I)/(II)において50/50〜90/10の範囲内であるのが好ましく、60/40〜80/20の範囲内であるのがより好ましい。
【0012】
本発明で用いる多層構造重合体粒子における層(I)は、アクリル酸エステル50〜99.99質量%、好ましくは55〜99.9質量%、該アクリル酸エステルと共重合可能な他の単官能性単量体49.99〜0質量%、好ましくは44.9〜0質量%及び多官能性単量体0.01〜10質量%、好ましくは0.1〜2質量%を含む単量体混合物(i)の共重合によって形成されるゴム弾性を有する重合体層である。
【0013】
層(I)を形成するために用いられるアクリル酸エステルの具体例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、s−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、、ドデシルアクリレート、オクタデシルアクリレート等のアクリル酸と脂肪族アルコールとのエステル、例えばC1〜C18の飽和脂肪族アルコールとのエステル;シクロヘキシルアクリレート等のアクリル酸とC5又はC6の脂環式アルコールとのエステル;フェニルアクリレート等のアクリル酸とフェノール類とのエステル;ベンジルアクリレート等のアクリル酸と芳香族アルコールとのエステルなどが挙げられる。アクリル酸エステルは、層(I)(多層構造重合体粒子が2以上の層(I)を有する場合には、それぞれの層(I))を形成するために用いられる単量体混合物(i)に対して50〜99.99質量%の範囲において、単独で又は2種以上混合して用いられる。アクリル酸エステルの量が50質量%より少ないと多層構造重合体粒子のゴム弾性が低下することになり、また、99.99質量%を超えると多層構造重合体粒子の構造が形成されなくなるので、いずれも好ましくない。
【0014】
層(I)を形成するために用いられる多官能性単量体は、分子内に炭素−炭素二重結合を2個以上有する単量体であり、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、桂皮酸等の不飽和モノカルボン酸とアリルアルコール、メタリルアルコール等の不飽和アルコールとのエステル;前記の不飽和モノカルボン酸とエチレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール等のグリコールとのジエステル;フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、マレイン酸等のジカルボン酸と前記の不飽和アルコールとのエステル等が包含され、具体的には、アクリル酸アリル、アクリル酸メタリル、メタクリル酸アリル、メタクリル酸メタリル、桂皮酸アリル、桂皮酸メタリル、マレイン酸ジアリル、フタル酸ジアリル、テレフタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの多官能性単量体の中でも、メタクリル酸アリルが特に好ましい。なお、前記の「ジ(メタ)アクリレート」は、「ジアクリレート」と「ジメタクリレート」との総称を意味する。多官能性単量体は、層(I)(多層構造重合体粒子が2以上の層(I)を有する場合には、それぞれの層(I))を形成するために用いられる単量体混合物(i)に対して0.01〜10質量%の範囲において、単独で又は二種以上を組み合わせて用いられる。多官能性単量体の量が、10質量%より多いと、多層構造重合体粒子がゴム弾性を示さなくなり、弾性回復性が不十分となるので好ましくない。また、多官能性単量体の量が0.01質量%より少ないと、層(I)が粒子構造として形成されなくなるので好ましくない。
【0015】
層(I)を形成するためには、アクリル酸エステル及び多官能性単量体以外に、アクリル酸エステルと共重合可能な他の単官能性単量体を併用することができる。該他の単官能性単量体としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、ペンチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、ミリスチルメタクリレート、パルミチルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ベヘニルメタクリレート等のメタクリル酸と脂肪族アルコールとのエステル、例えばC1〜C22の飽和脂肪族アルコールとのエステル;シクロヘキシルメタクリレート等のメタクリル酸とC5又はC6の脂環式アルコールとのエステル;フェニルメタクリレート等のメタクリル酸とフェノール類とのエステル、ベンジルメタクリレート等のメタクリル酸と芳香族アルコールとのエステルなどのメタクリル酸エステルが代表的であるが、他にも、スチレン、α−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、3−メチルスチレン、4−プロピルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン、4−ドデシルスチレン、2−エチル−4−ベンジルスチレン、4−(フェニルブチル)スチレン、ハロゲン化スチレン等の芳香族ビニル系単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル系単量体;ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチルブタジエン、2−メチル−3−エチルブタジエン、1,3−ペンタジエン、3−メチル−1,3−ペンタジエン、2−エチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、2−メチル−1,3−ヘキサジエン、3,4−ジメチル−1,3−ヘキサジエン、1,3−ヘプタジエン、3−メチル−1,3−ヘプタジエン、1,3−オクタジエン、シクロペンタジエン、クロロプレン、ミルセン等の共役ジエン系単量体等が挙げられる。これらの単量体は、必要に応じて、層(I)(多層構造重合体粒子が2以上の層(I)を有する場合には、それぞれの層(I))を形成するために用いられる単量体混合物(i)に対して49.99質量%以下の割合において、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。上記の他の単官能性単量体の割合が49.99質量%を超える場合は、多層構造重合体粒子(A)の耐候性が不十分となるので好ましくない。
【0016】
本発明で使用する多層構造重合体粒子における層(II)は、メタクリル酸エステル40〜100質量%、好ましくは60〜99質量%、、さらに好ましくは80〜99質量%及びそれと共重合可能な他の単量体60〜0質量%、好ましくは40〜1質量%、、さらに好ましくは20〜1質量%からなる単量体(ii)の重合によって形成される熱可塑性を有する重合体層である。メタクリル酸エステルの量が40質量%未満であると多層構造重合体粒子の耐候性が不十分となる。
【0017】
層(II)を形成するために用いられるメタクリル酸エステルの具体例としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、ペンチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、ミリスチルメタクリレート、パルミチルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ベヘニルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート等が挙げられ、好ましくはメチルメタクリレートである。
【0018】
層(II)を形成するために用いられる共重合可能な他の単量体の具体例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、s−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレート、オクタデシルアクリレート等のアクリル酸と脂肪族アルコールとのエステル、例えばC1〜C18の飽和脂肪族アルコールとのエステル;シクロヘキシルアクリレート等のアクリル酸とC5又はC6の脂環式アルコールとのエステル;スチレン、α−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、3−メチルスチレン、4−プロピルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン、4−ドデシルスチレン、2−エチル−4−ベンジルスチレン、4−(フェニルブチル)スチレン、ハロゲン化スチレン等の芳香族ビニル系単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル系単量体;マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(p−ブロモフェニル)マレイミド、N−(クロロフェニル)マレイミド等のマレイミド系単量体;前記例で示した多官能性単量体等が挙げられる。これらの中でも、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート等のアクリル酸アルキルエステルが好ましい。
【0019】
本発明で使用する多層構造重合体粒子においては、その中に含有される層(II)のうち少なくとも粒子の最外層を構成する重合体の数平均分子量がGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法での測定に基づいて30,000以下であることが重要である。数平均分子量が30,000を超える場合、多層構造重合体粒子を成形して得た成形品における弾性回復性が不十分となり、さらに溶融流動性が低下する場合もある。数平均分子量の下限については、必ずしも厳密な制限はないが、生産工程におけるの多層構造重合体粒子の通過性の点からは、数平均分子量は1,000を下回らないことが好ましい。弾性回復性及び生産工程での通過性の両立の点からは、数平均分子量を3,000〜20,000の範囲内とすることが特に好ましい。
【0020】
本発明で使用する多層構造重合体粒子の平均粒子径は、150nm以下である。150nmより大きいと弾性回復性が不十分となる。平均粒子径の下限値については特に限定されるものではないが、多層構造重合体粒子の所定の層構造を形成させやすい観点からは、平均粒子径は30nm以上であることが好ましい。平均粒子径は80〜120nmであることがさらに好ましい。
【0021】
本発明に用いられる多層構造重合体粒子は、物性面および製造簡便性の点からゴム成分層(I)が層(Ia)及び層(Ib)からなり、最内部にゴム成分層(Ia)を有し、該最内部の外部表面を覆う状態で位置する隣接部にゴム成分層(Ib)を有し、かつ最外部に熱可塑性樹脂成分層(II)を有する3層構造の多層構造重合体粒子であるのが好ましい。
【0022】
上記の好適な多層構造重合体粒子における層(Ia)は、アクリル酸エステル50〜99.99質量%、好ましくは55〜99.9質量%、該アクリル酸エステルと共重合可能な他の単官能性単量体49.99〜0質量%、好ましくは44.9〜0質量%及び多官能性単量体0.01〜10質量%、好ましくは0.1〜2質量%からなる単量体混合物(ia)の共重合によって形成されるゴム弾性を有する重合体層である。また、層(Ib)は、アクリル酸エステル50〜99.99質量%、好ましくは55〜99.9質量%、該アクリル酸エステルと共重合可能な他の単官能性単量体49.99〜0質量%、好ましくは44.9〜0質量%及び多官能性単量体0.01〜10質量%、好ましくは0.1〜2質量%からなる単量体混合物(ib)の共重合によって形成されるゴム弾性を有する重合体層である。層(Ia)および層(Ib)を形成するためには前述の層(I)を形成するのに用いた単量体を使用することができる。
【0023】
好ましい層構成である3層構造の多層構造重合粒子においては、ゴム成分層(Ia)及び(Ib)の質量の和と熱可塑性樹脂成分層(II)の質量との比は、〔(Ia)+(Ib)〕/(II)において、30/70〜90/10の範囲内であることが必要である。層(Ia)及び層(Ib)の質量の和の割合がこの範囲より小さいと弾性回復性及び柔軟性が不十分となり、一方層(Ia)及び層(Ib)の質量の和の割合がこの範囲より大きいと層構造を完全な形態では形成しにくくなり、溶融流動性が極端に低下してしまうため成形時の混練が困難となる。本発明の効果をより顕著なものとする目的においては、ゴム成分層(Ia)及び(Ib)の質量の和と熱可塑性樹脂成分層(II)の質量との比は、〔(Ia)+(Ib)〕/(II)において、50/50〜90/10の範囲内であることが好ましく、60/40〜80/20の範囲内であることがより好ましい。
【0024】
ゴム成分層(Ia)の質量とゴム成分層(Ib)の質量との比は、(Ia)/(Ib)において、5/95〜95/5の範囲内であることが好ましく、20/80〜80/20の範囲内であることがより好ましい。ゴム成分層(Ia)の質量とゴム成分層(Ib)の質量との比が5/95〜95/5の範囲内にある場合、一般に、良好な柔軟性とこれ以外の機械的物性とを両立させることが可能になる。
【0025】
また、良好な柔軟性とこれ以外の機械的物性とを両立させるには、さらに、単量体混合物(ia)におけるアクリル酸エステルの含有率(質量%)と単量体混合物(ib)におけるアクリル酸エステルの含有率(質量%)との差〔(ib)(単位:質量%)−(ia)(単位:質量%)又は(ia)(単位:質量%)−(ib)(単位:質量%)、好ましくは(ia)(単位:質量%)−(ib)(単位:質量%)〕が3質量%以上の値、好ましくは4〜30質量%の範囲内の値となることが一般に望ましい。
【0026】
本発明に用いられる多層構造重合体粒子は、ゴム成分層(I)を形成させるための重合反応工程と熱可塑性樹脂成分層(II)を形成させるための重合反応工程とを所定の順序で行うことによって、中心部から外部に向かって順次層を形成させることからなる、少なくとも1つのゴム成分層を内部に有し、かつ少なくとも1つの熱可塑性樹脂成分層を少なくとも最外部に有する、2以上の層からなる多層構造重合体粒子を製造するための公知の製造方法に準じて、製造することができる。ただし、その際、以下の点に留意する必要がある。
【0027】
(1)ゴム成分層(I)を形成させるための重合反応工程(a)において、アクリル酸エステル50〜99.99質量%、該アクリル酸エステルと共重合可能な他の単官能性単量体49.99〜0質量%及び多官能性単量体0.01〜10質量%からなる単量体混合物(i)を共重合させること。
(2)熱可塑性樹脂成分層(II)を形成させるための重合反応工程(b)において、メタクリル酸エステル40〜100質量%及び該メタクリル酸エステルと共重合可能な他の単量体60〜0質量%からなる単量体(ii)を重合させること。
【0028】
(3)該重合反応工程(b)のうち、少なくとも、最外部の熱可塑性樹脂成分層(II)を形成させるための重合反応工程において、分子量調節剤を単量体(ii)に対して0.4〜10質量%の範囲内となる割合で使用して重合反応を行うこと。
(4)全重合反応工程で使用する単量体混合物(i)の総質量と単量体(ii)の総質量との比を、単量体混合物(i)/単量体(ii)において30/70〜90/10の範囲内とすること。
(5)全ての重合反応工程が終了した時点における多層構造重合体粒子の平均粒子径が150nm以下となるように制御すること。
【0029】
本発明に用いられる多層構造重合体粒子の製造のための重合法については特に制限はなく、例えば、通常の多層構造重合体粒子を製造するための公知の重合法に準じて、乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法、又はこれらの組み合わせを採用することができる。
【0030】
例えば、乳化重合では公知の手段に従い、各層を形成させるための重合を行うことにより、本発明の多層構造重合体粒子を得ることができる。乳化重合の温度としては、必ずしも限定されないが一般的な範囲は0〜100℃である。ここで使用する乳化剤としては、オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム等の脂肪酸のアルカリ金属塩;ラウリル硫酸ナトリウム等の脂肪アルコールの硫酸エステル塩;ロジン酸カリウム等のロジン酸塩;ドデシルベンゼンスルホン酸等のアルキルアリールスルホン酸等が挙げられ、これらは、1種類ないし2種類以上の組み合わせで用いられる。乳化重合によって得られる多層構造重合体粒子の平均粒子径は乳化剤の添加量等の重合条件によって影響されるので、それらの条件を適宜選択することによって、容易に最終的な多層構造重合体粒子の平均粒子径を150nm以下に制御することができる。
【0031】
乳化重合で使用する重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤が一般的である。ラジカル重合開始剤の具体例としては、過硫酸塩、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド等の過酸化物を単独で用いることができる。また、ラジカル重合開始剤として、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド等の有機ハイドロパーオキサイド類と、遷移金属塩等の還元剤との組み合わせによるレドックス系開始剤を使用することもできる。
【0032】
上記のとおり、公知の乳化重合法に従って所定の単量体混合物の所定量を順次重合させることにより、所定の重合体層を、粒子の中心部から外部に向かって段階的に形成させることができるが、本発明に用いられる多層構造重合体粒子を製造するためには、少なくとも最外層を形成させるための重合反応工程において、分子量調節剤を、その工程で使用する単量体(ii)に対して0.4〜10質量%の範囲内となる割合で使用することが特に重要である。通常の多層構造重合体粒子を製造する場合、最外部の熱可塑性樹脂成分層を形成させるための重合反応において使用される分子量調節剤の使用量は、一般に単量体に対して0〜0.3質量%程度であるが、このように0.4質量%未満の場合には、その層を構成する熱可塑性樹脂成分の数平均分子量が高くなり過ぎ、多層構造重合体粒子又はそれと他の合成樹脂との樹脂組成物を成形して得られる成形品の柔軟性が不十分となり、さらに成形流動性が不十分となる場合もある。本発明の目的においては分子量調節剤の量は上記基準において高々10質量%あれば十分であり、それ以上の量を使用しても、もはやそれ以上の柔軟性付与効果の向上はなく、寧ろ多層構造重合体粒子における分子量調節剤の残存量が多くなるので望ましくない。分子量調節剤は、単量体(ii)に対して0.4〜5質量%、より好ましくは0.6〜2質量%の範囲内となる割合で用いることが望ましい。
【0033】
分子量調節剤の具体例としては、例えばn−オクチルメルカプタン、t−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、メルカプトエタノール等のメルカプタン類;ターピノーレン、ジペンテン、t−テルピネン及び少量の他の環状テルペン類よりなるテルペン混合物;クロロホルム、四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素などが挙げられる。これらの中でも、n−オクチルメルカプタン等のアルキルメルカプタンが好ましい。
【0034】
乳化重合後、生成した多層構造重合体粒子の重合反応系からの分離取得も、公知の手法に従って行うことができ、例えば、酸析法、塩析法、スプレードライ法、凍結凝固法などを採用することができる。
【0035】
本発明で使用する多層構造重合体粒子は単独で積層に用いるフィルムを構成させることができるが、さらにフィルムに成形するに際し、これにポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレート−スチレン共重合体、他のアクリル系多層構造重合体粒子等の他のアクリル系樹脂を配合することにより、該フィルムの硬度を調整することができる。本発明で使用する多層構造重合体粒子本来の優れた弾性回復性、適度の柔軟性及び良好な機械的物性、透明性を活かしながら、硬度調整を行うには、多層構造重合体粒子と他のアクリル系樹脂の質量比を、多層構造重合体粒子/他のアクリル系樹脂において50/50〜95/5の範囲内とすることが望ましい。
【0036】
本発明で使用する多層構造重合体粒子をフィルムに成形するに際し、本発明の効果を損なわない範囲内で、種々の添加剤[例えば、流滴剤、防曇剤、滑剤、酸化防止剤、光安定剤、着色剤、帯電防止剤、難燃剤、消臭剤、抗菌剤、フィラー(ガラス繊維等の繊維補強剤、無機充填剤等)等]を配合してもよい。
【0037】
上記配合は、例えば、本発明で使用する多層構造重合体粒子、及び所望に応じて使用される他のアクリル系樹脂及び/又は添加剤を、溶融混練条件下で十分に混合することにより行うことができる。
【0038】
本発明においては、上記の多層構造重合体粒子からなるフィルム(上述のごとく他のアクリル系樹脂及び/又は添加剤を含有していてもよい)と耐候性に優れる熱可塑性樹脂からなるフィルムとを積層することにより、耐候性、耐擦傷性、柔軟性、耐候性、弾性回復性、ソフトな風合いに優れており、さらに耐汚染性にも優れたものとすることができる、農業用積層フィルムを得ることができる。
積層フィルム全層の厚みは特に制限されないが、300μm以下であるのが好ましく、200〜10μmであるのがより好ましい。
【0039】
具体的には、柔軟性を有する多層構造重合体粒子からなるフィルム(基材層)の少なくとも片面に、紫外線吸収剤を配合した、アクリル系樹脂、ポリフッ化ビニリデン、及びアクリル系樹脂とポリフッ化ビニリデンとのブレンドから選ばれる1種の紫外線吸収剤含有樹脂よりなるフィルム(スキン層)を設けることで、基材層本来の柔軟性を損なうことなく、耐候性、耐擦傷性、耐汚染性などを向上させることができる。
紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系、ヒンダードアミン系、ベンゾフェノン系等の既知の紫外線吸収剤を挙げることができる。紫外線吸収剤は1種または2種以上を用いることができる。紫外線吸収剤の配合割合は、スキン層を構成する樹脂に対し0.1〜3質量%の範囲内であるのが好ましい。
上記でいうアクリル系樹脂としては、本発明で使用する特定の多層構造重合体粒子、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレート−スチレン共重合体、他のアクリル系多層構造重合体粒子等を挙げることができる。
【0040】
紫外線吸収剤を配合した、アクリル系樹脂との積層フィルムは、基材層単独から成るフィルムに比し、耐候性、耐擦傷性が向上する。また、ポリフッ化ビニリデンまたはポリフッ化ビニリデンとアクリル系樹脂とのブレンドとの積層フィルムは、基材層単独から成るフィルムに比し、耐候性、耐擦傷性に加え、耐汚染性も向上する。アクリル系樹脂、ポリフッ化ビニリデン又は両者のブレンドからなるフィルムは、多層構造重合体粒子からなるフィルムと接着剤なしで強固に接着するため、高機能な積層フィルムを安価に製造することが可能である。
【0041】
さらに、このスキン層には流滴剤、防曇剤などを含有させることが可能である。スキン層にこれらの添加剤を配合することで、積層フィルムの全層に添加剤を配合する場合に比べ、添加量を少なくすることができる。
【0042】
スキン層の厚みは、積層フィルム全層の厚みの1/20〜2/3の範囲が好ましく、1/20〜1/4の範囲がより好ましい。スキン層の厚みが全層の厚みの1/20以上であると、スキン層に添加した添加剤の効果が十分に得られ、2/3以下であると、多層構造重合体粒子からなる基材層の柔軟性が好ましく発揮される。
【0043】
多層構造重合体粒子からなるフィルムは、インフレーション法、Tダイ法、カレンダー法等の通常の成形加工方法を利用して得ることができる。
また、本発明の積層フィルムは、多層構造重合体粒子からなる層及びスキン層を共押出成形、熱プレス、熱ラミネートなどの熱融着による方法などの公知の技術に付して得ることができる。
【0044】
【実施例】
以下に実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例の中の各測定値は以下の評価法に従った。
多層構造重合体粒子の平均粒子径は、重合完了後のラテックスから採取した試料を用いて、レーザー粒径解析装置PAR−III(大塚電子製)を用いて動的光散乱法により測定し、キュムラント法により解析し求めた。
【0045】
多層構造重合体粒子の最外層を構成する重合体成分の数平均分子量は、多層構造重合体粒子の試料を室温下にトルエン中で十分に攪拌した後、遠心分離して得られた溶液を用いて、GPC法により測定し、これにより得られた値を本発明においては最外層を構成する重合体の数平均分子量とみなした。
硬度は、A型硬度計(オスカー製)を用いて、JIS K 6301に準じて測定した。
スガ試験機製のサンシャインウェザーメーターS80を用い、ブラックパネル温度63℃、湿度50%、スプレーサイクル18分/2時間の条件下で、2000時間の促進暴露試験をおこない、試験前と試験後におけるヘイズ値(%)及び黄変度(b値)を測定した。
【0046】
多層構造重合体粒子[A−1]の製造例
窒素雰囲気下、攪拌翼、冷却管及び滴下ロートを装着した重合器に、蒸留水2800質量部、水相乳化剤としてのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム8.4質量部、炭酸ナトリウム1.7質量部を加え、80℃に加熱して均一に溶解させた。次いで、同温度において、ペルオキソ二硫酸カリウム0.7質量部を加えた後、n−ブチルアクリレート420質量部、メチルメタクリレート198質量部、スチレン82質量部、アリルメタクリレート2.8質量部及びモノマー相乳化剤としてのポリオキシエチレンアルキルリン酸ナトリウム3.5質量部からなる混合物を滴下ロートより60分かけて滴下し、1層目を形成した。滴下終了後、80℃で、さらに1時間反応を続け、ガスクロマトグラフィーで各単量体が99%以上消費されたことを確認した。
次いで、得られた共重合体ラテックスにペルオキソ二硫酸カリウム0.35質量部を加えた後、n−ブチルアクリレート280質量部、メチルメタクリレート14質量部、スチレン56質量部、アリルメタクリレート1.4質量部及びポリオキシエチレンアルキルリン酸ナトリウム1.8質量部からなる混合物を滴下ロートより30分かけて滴下し、2層目を形成した。滴下終了後、80℃で、さらに1時間反応を続け、単量体が99%以上消費されたことをガスクロマトグラフィーで確認した。
【0047】
次いで、得られた共重合体ラテックスにペルオキソ二硫酸カリウム0.35質量部を加えた後、メチルメタクリレート334質量部、メチルアクリレート18質量部、n−オクチルメルカプタン3.5質量部及びポリオキシエチレンアルキルリン酸ナトリウム1.8質量部からなる混合物を滴下ロートより30分かけて滴下し、3層目を形成した。滴下終了後、80℃で、さらに1時間反応を続け、単量体が99.9%以上消費されたことをガスクロマトグラフィーで確認して重合を終了した。得られたラテックスにおける粒子の平均粒子径は100nmであった。
このラテックスを−30℃に24時間冷却して凍結凝集させた後、凝集物を融解させ取り出した。50℃で2日間減圧乾燥して、凝集粉末状の3層型の多層構造重合体粒子〔A−1〕を得た。
得られた多層構造重合体粒子〔A−1〕の物性値を表1に示す。
【0048】
多層構造重合体粒子[A−2]の製造例
窒素雰囲気下、攪拌翼、冷却管及び滴下ロートを装着した重合器に、蒸留水200質量部、水相乳化剤としてのネオペレックスF−25(花王製)0.6質量部、炭酸ナトリウム0.1質量部を加え、80℃に加熱して均一に溶解させた。次いで、同温度において、ペルオキソ二硫酸カリウム0.05質量部を加えた後、n−ブチルアクリレート30質量部、メチルメタクリレート4.1質量部、スチレン5.9質量部、アリルメタクリレート0.2質量部及びモノマー相乳化剤としてのアデカコールCS−141E(旭電化製)0.25質量部からなる混合物を滴下ロートより60分かけて滴下し、1層目を形成した。滴下終了後、80℃で、さらに1時間反応を続け、ガスクロマトグラフィーで各単量体が99%以上消費されたことを確認した。
次いで、得られた共重合体ラテックスにペルオキソ二硫酸カリウム0.025質量部を加えた後、n−ブチルアクリレート20質量部、メチルメタクリレート1.03質量部、スチレン3.97質量部、アリルメタクリレート0.1質量部及びアデカコールCS−141E(旭電化製)0.125質量部からなる混合物を滴下ロートより30分かけて滴下し、2層目を形成した。滴下終了後、80℃で、さらに1時間反応を続け、単量体が99%以上消費されたことをガスクロマトグラフィーで確認した。
【0049】
次いで、得られた共重合体ラテックスにペルオキソ二硫酸カリウム0.025質量部を加えた後、メチルメタクリレート23.75質量部、メチルアクリレート1.25質量部、n−オクチルメルカプタン0.25質量部及びアデカコールCS−141E(旭電化製)0.125質量部からなる混合物を滴下ロートより30分かけて滴下し、3層目を形成した。滴下終了後、80℃で、さらに1時間反応を続け、単量体が99.9%以上消費されたことをガスクロマトグラフィーで確認して重合を終了した。得られたラテックスにおける粒子の平均粒子径は100nmであった。
このラテックスを−30℃に24時間冷却して凍結凝集させた後、凝集物を融解させ取り出した。50℃で2日間減圧乾燥して、凝集粉末状の3層型の多層構造重合体粒子〔A−2〕を得た。
得られた多層構造重合体粒子〔A−2〕の物性値を表1に示す。
【0050】
【表1】
Figure 0004465127
【0051】
参考例1
多層構造重合体粒子〔A−1〕をφ22mmの単軸押出機(メイン押出機)から2kg/hrの割合で押出し、一方、φ22mmの単軸押出機(サブ押出機)より、ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤を1.0質量%添加した多層構造重合体粒子〔A−1〕を2kg/hrの割合で押出した。押出された層状物についてこれらをフィードブロック中で合流させ、幅200mm、リップ間隔0.1mmのフィルム製造用ダイに導いて積層フィルムにした。この積層フィルムを全厚みが100μmになるように調整したポリッシングロールを通過させることにより、積層フィルムの冷却および鏡面仕上げを行い、目的とする2層からなる積層フィルムを得た。得られた積層フィルムにおける紫外線吸収剤を添加した層の厚みは50μmであった。
この積層シートについての促進暴露試験結果を表2に示す。
【0052】
実施例2
多層構造重合体粒子〔A−2〕をφ40mmの単軸押出機(メイン押出機)から8kg/hrの割合で押出し、一方、φ22mmの単軸押出機(サブ押出機)から、ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤を2.0質量%添加したポリメチルメタクリレート(クラレ製「パラペットEH」)を2kg/hrの割合で押出した。押出された層状物について、これらをフィードブロック中で、ポリメチルメタクリレート層をスキン層とする2種3層となるように合流させ、幅200mm、リップ間隔0.1mmのフィルム製造用ダイに導いて積層フィルム状にした。その後、ダイから吐出した積層樹脂を全厚みが100μmになるように調整したポリッシングロールを通過させることにより、積層フィルムの冷却及び鏡面仕上げを行い、目的とする3層の積層フィルムを得た。得られた積層フィルムにおけるスキン層の厚みは両面とも10μmであった。
この積層フィルムについての促進暴露試験結果を表2に示す。
【0053】
比較例1
塩化ビニル樹脂としてビニカコンパウンドCE65GC(JIS A硬度65)(三菱化学MKV株式会社製)をφ40mmの単軸押出機から20kg/hrの割合で押出し、幅200mmのフィルム製造用ダイに導いてフィルムにした。このフィルムを全厚みが100μm厚になるように調整したポリッシングロールを通過させることにより、フィルムの冷却および鏡面仕上げを行い、目的とするフィルムを得た。
このフィルムについての促進暴露試験結果を表2に示す。
【0054】
【表2】
Figure 0004465127
【0055】
【発明の効果】
本発明の、多層構造重合体粒子からなるフィルムと耐候性に優れる熱可塑性樹脂からなるフィルムとを積層してなる積層フィルムは、耐候性、耐擦傷性、透明性、柔軟性、耐久性、弾性回復性、ソフトな風合いに優れており、それらの効果に加え、さらに耐汚染性にも優れたものとすることができ、農業用フィルムに好適に用いられる。

Claims (2)

  1. (1)最内部に位置するゴム成分層(Ia)及びゴム成分層(Ia)に隣接してその外部表面を覆う状態で位置するゴム成分層(Ib)からなるゴム成分層(I)を内部に有し、かつ熱可塑性樹脂成分層(II)を最外部に有する、層からなる多層構造重合体粒子であって;(2)ゴム成分層(Ia)の質量とゴム成分層(Ib)の質量との比は、(Ia)/(Ib)において、20/80〜80/20の範囲であり、(3)ゴム成分層(Ia)はアクリル酸エステル50〜99.99質量%、該アクリル酸エステルと共重合可能な他の単官能性単量体49.99〜0質量%及び多官能性単量体0.01〜10質量%からなる単量体混合物(ia)の共重合によって形成される重合体層であり、ゴム成分層(Ib)はアクリル酸エステル50〜99.99質量%、該アクリル酸エステルと共重合可能な他の単官能性単量体49.99〜0質量%及び多官能性単量体0.01〜10質量%からなる単量体混合物(ib)の共重合によって形成される重合体層であり、(4)単量体混合物(ib)におけるアクリル酸エステルの含有率(質量%)と単量体混合物(ia)におけるアクリル酸エステルの含有率(質量%)との差[(ib)(単位:質量%)−(ia)(単位:質量%)]が4〜30質量%の範囲であり、)熱可塑性樹脂成分層(II)は、メタクリル酸エステル40〜100質量%及び該メタクリル酸エステルと共重合可能な他の単量体60〜0質量%からなる単量体(ii)の重合によって形成される重合体層であり;()熱可塑性樹脂成分層(II)のうち最外部に位置する層を構成する重合体について、GPC法で測定された数平均分子量は30,000以下であり;()ゴム成分層(I)の総質量と熱可塑性樹脂成分層(II)の総質量との比は、層(I)/層(II)において30/70〜90/10の範囲であり;()平均粒子径が150nm以下である;ことを特徴とする多層構造重合体粒子からなるフィルムと、紫外線吸収剤含有アクリル系樹脂からなるフィルムとを、紫外線吸収剤含有アクリル系樹脂/多層構造重合体粒子からなるフィルム/紫外線吸収剤含有アクリル系樹脂の3層構造となるように積層してなる農業用積層フィルム。
  2. 積層フィルム全層の厚みが300μm以下である請求項1記載の農業用積層フィルム。
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