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JP4453173B2 - スイッチング電源装置 - Google Patents

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JP4453173B2
JP4453173B2 JP2000242764A JP2000242764A JP4453173B2 JP 4453173 B2 JP4453173 B2 JP 4453173B2 JP 2000242764 A JP2000242764 A JP 2000242764A JP 2000242764 A JP2000242764 A JP 2000242764A JP 4453173 B2 JP4453173 B2 JP 4453173B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、テレビジョン受像機やモニタディスプレイ装置等に用いる、高電圧を含む複数の出力電圧を供給するスイッチング電源装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
高解像度の映像信号を表示するコンピュータディスプレイモニターにおいて、ますます高周波数化が進み、技術課題として絶縁型スイッチング電源回路、水平偏向回路および高圧発生回路の電力損失と発熱が問題になっている。
【0003】
従来の高解像度を表示する高周波動作の偏向高圧装置の場合は、高圧回路は偏向回路への影響を避けて別回路で構成される。
その理由として、偏向装置の動作周波数が入力信号に自動追従するマルチスキャン方式が一般的であり、また水平振幅の振幅調整がユーザーに開放されるなど、偏向動作が常に一定でなく、その結果、安定して高圧を偏向パルスから得ることが出来ないことに起因している。
【0004】
以下、従来のスイッチング電源装置に関し、絶縁型スイッチング電源回路と水平偏向回路、および高圧発生回路の構成と回路動作について図10〜図15を用いて説明する。
テレビジョン受像機やモニタディスプレイ装置等のスイッチング電源装置においては、図10に示すように、水平偏向ヨーク207及び陰極線管211に対する回路系として、大きく分けて電源回路部、水平偏向回路部、高圧発生回路部が設けられる。
電源回路部は、AC整流平滑回路201、発振駆動回路202、コンバータ回路203、コンバータトランス回路204が設けられる。
水平偏向ヨーク207に対する水平偏向回路部は、水平振幅調整及び糸巻歪補正回路239、水平発振駆動回路205、水平出力回路206が設けられる。
陰極線管211に対する高圧発生回路部は、発振駆動回路208、高圧出力回路209、高圧トランス210が設けられる。
【0005】
電源回路部では、AC整流平滑回路201は、商用交流電源を整流して得られる整流電流を充電電流として平滑コンデンサに供給し、平滑コンデンサの両端に整流平滑電圧を発生する。
そしてAC整流平滑回路201より得られる整流平滑電圧を動作電源とし、発振駆動回路202より得られる駆動パルスを用いて、コンバータ回路203にスイッチング動作を行わせる。コンバータトランス回路204内のコンバータトランスは、コンバータ回路203のスイッチング動作によって励磁され、このコンバータトランスより出力電圧が取り出される。この取り出された出力電圧は水平偏向回路部及び高圧発生回路部の電源として使用される。
【0006】
水平偏向回路部の電源として供給されたコンバータトランス回路204からの出力電圧は、水平振幅調整及び糸巻歪補正回路239にて電圧変調が行われた後、水平出力回路206に供給される。水平出力回路206には水平発振駆動回路205より得られる駆動パルスが供給される。この駆動パルスを用いて水平出力回路206がスイッチング動作を行ない、水平偏向ヨーク207に偏向電流を供給する。
また高圧発生回路部の電源として供給されたコンバータトランス回路204からの出力電圧は、高圧出力回路209に供給される。高圧出力回路209には、高圧発振駆動回路208より得られる駆動パルスが供給される。この駆動パルスを用いて高圧出力回路209がスイッチング動作を行ない、高圧トランス210を励磁し、高圧トランス210に高電圧を発生させて陰極線管211のアノードに高電圧を供給する。
【0007】
図11は、図10の各ブロック内の回路構成を詳細に示したものである。
AC整流平滑回路201においては、交流電源212に対してブリッジ整流ダイオード213が配されて全波整流動作を行い、平滑コンデンサ214により整流平滑電圧を得る構成とされている。整流平滑電圧は抵抗215を介して発振駆動回路202に供給されるとともに、コンバータ回路203に供給される。
【0008】
コンバータ回路203では、スイッチング部216の2つのスイッチング素子Q1,Q2がハーフブリッジ回路を構成するように、スイッチング素子Q1のソースとスイッチング素子Q2のドレインとの接点に、共振コンデンサ219とチョークコイル220、および絶縁型のコンバータトランス221の一次巻線222が直列に接続される。
スイッチング素子Q1,Q2にはダンパーダイオード217、218が接続される。またスイッチング素子Q1のドレインにはAC整流平滑回路201からの整流平滑電圧が供給されるように接続される。
また、発振駆動回路202には抵抗215を通してAC整流平滑回路201からの整流平滑電圧から電源が供給される。この発振駆動回路202からは、半周期毎に交互にオン、オフを行うための互いに極性の異なる矩形の駆動パルスがスイッチング素子Q1,Q2のゲートに供給されるように接続されており、いわゆる他励式の電流共振型コンバータ回路を構成している。
【0009】
このハーフブリッジ回路で構成した電流共振形コンバータ回路の基本動作を図12を用いて模式的に説明する。
図12(a)において、直流電圧源274は整流平滑電圧に相当する。またインダクタ275は、チョークコイル220及びコンバータトランス221の1次巻線222で形成される合成インダクタンスを持つインダクタを示し、抵抗276は回路の内部抵抗を模式的に示した抵抗である。
図12(b)(c)においてスイッチング部216のスイッチS1,S2はそれぞれスイッチング素子Q1、Q2のスイッチングの状態を示し、電流IQ1、lQ2はスイッチング素子Q1、Q2を流れる電流、I1は共振コンデンサ219とインダクタ275及び抵抗276を流れる電流を示す。
【0010】
図12(a)において発振駆動回路202よリスイッチング素子Q1に正の駆動パルスが供給されオンになったときの等価回路が図12(b)となる。
この時、スイッチング素子Q1はオンになりスイッチS1は閉じられるから、この等価回路は直流電圧源274と共振コンデンサ219、インダクタ275、抵抗276の直列共振回路を構成し、直流電圧源274を電源としてスイッチS1を通じて正の共振電流が流れる。
次にスイッチング素子Q2に正の駆動パルスが供給されオンになったときの等価回路は図12(c)のようになり、共振コンデンサ219、インダクタ275、抵抗276に負の共振電流が流れる。
【0011】
図12に示された等価回路を流れる各部の電流波形を図13に示す。スイッチング素子Q1、Q2を流れる電流IQ1,IQ2、及び直列共振回路を流れる共振電流I1の波形は、それぞれ図示するようになる。
【0012】
図12に示した直列共振回路を流れる電流I1と周波数fの関係は図14に示される。図14において、f0は図12の直列共振回路の共振周波数を示し、fswは発振駆動回路202によりドライブされるスイッチング部216の繰り返し動作周波数を表わす。共振コンデンサ219、インタクタ275、抵抗276の値をそれぞれC,L,Rとし、各周波数ωに対する直列共振回路のインピーダンスをZとしてアドミタンスを求めると、アドミタンスYは(数1)で表わされる。
【数1】
Figure 0004453173
【0013】
また直列共振回路の共振周波数f0は(数2)で表わされる。
【数2】
Figure 0004453173
【0014】
上記(数1)において電流IはアドミタンスYに比例するから、これを用いて周波数に対する電流I1の大きさを示したのが図14の曲線であり、共振周波数f0において共振電流の最大値を与える。
スイッチング部16の繰り返し動作周波数fswはこの共振カーブの右側に沿って動くようにfsw>f0を満足するように設定される。
【0015】
図11における電流共振型のコンバータ回路203の動作は、以上の基本動作を踏まえて次のように説明される。
図11の電源回路のスイッチング動作としては、まず、商用交流電源212が投入されると、上述のように、この商用交流電源212をブリッジ整流ダイオード213で整流して得られる整流電流を充電電流として平滑コンデンサ214の両端に整流平滑電圧を発生する。
この整流平滑電圧を動作電源として、抵抗215を通して発振駆動回路202に電源が供給され、この発振駆動回路202よリスイッチング部216を構成するスイッチング素子Q1に正の駆動パルスが供給されオンになる。そして、スイッチング素子Q1を通して共振コンデンサ219及びコンバータトランス221の1次巻線222に正の共振電流が供給される。
次に、スイッチング素子Q1に負の駆動パルスが供給され、これとは逆に、スイッチング部216を構成するもう一方のスイッチング素子Q2に正の駆動パルスが供給され、スイッチング素子Q1は、急激にオフするとともにスイッチング素子Q2がオンとなる。この結果、スイッチング素子Q2を通して、共振コンデンサ219及びコンバータトランス221の一次巻線222に負の共振電流が供給され、この動作が繰り返されて得られる直列共振電流によリコンバータトランス221が励磁され、コンバータトランス221の2次側に巻装された2次巻線223,224,225,226より交番出力電圧が取り出される。
【0016】
コンバータトランス回路204において、コンバータトランス221は、前述のように励磁電流が供給される1次巻線222を備え、2次巻線223,224,225,226には上記の交番出力電圧から直流電圧を取り出すための整流平滑回路が接続される。
例えば水平偏向回路部や高圧発生回路部の電源電圧となる、いわゆる+B電圧、及び、信号系回路の電源電圧として使用されるその他の電圧を得るように構成される。
即ち2次巻線223に対しては整流回路227を構成するダイオードと、平滑コンデンサ230,231が図のように接続されて倍電圧半波整流方式により+B電圧E0が取り出される。
2次巻線224,225に対しては整流回路228を構成するダイオードと、平滑コンデンサ232,233が図のように接続されて、正の電圧E3及び負の電圧E4が取り出される。
2次巻線226に対しては整流ダイオード229と、平滑コンデンサ234により、半波整流方式による電圧E2が取り出される。
【0017】
このコンバータトランス221の2次巻線223から得られる、水平偏向回路部や高圧発生回路部の電源電圧となる+B電圧の定電圧化は、次のように行われる。
例えば、陰極線管に表示される画像の輝度が上昇しこの結果高圧負荷が増加するように変動した場合や、陰極線管に表示される画像の水平振幅が大きくなるように変化した場合、+B電圧の負荷が増加する。
この結果+B電圧の電圧値E0は低下するように変動しようするため、この電圧変動を抵抗235,236で構成される電圧検出回路部で取り出し、制御回路237で誤差増幅を行った後、定電圧制御系の絶縁を行うためのフォトカプラ238を通して、スイッチング部216の周波数制御および駆動を行う発振駆動回路202に送られる。そして発振駆動回路202は、このフォトカプラ238からの電圧に応じて、スイッチング部216へ出力する駆動パルスの動作周波数が低下するように制御される。その結果、スイッチング素子Q1、Q2のスイッチング周波数fswが低下する。
【0018】
逆に、陰極線管に表示される画像の輝度が低下し、この結果高圧負荷が減少するように変動した場合や、陰極緑管に表示される画像の水平振幅が小さくなるように変化した場合は、+B電圧E0が上昇するように変動するため、前述のように制御信号はフォトカプラ238を通して発振駆動回路202に送られ、この電圧に応じて発振駆動回路202より出力される駆動パルスの動作周波数が上昇するように制御される。その結果、スイッチング素子Q1、Q2のスイッチング周波数fswが上昇する。
【0019】
この電源回路では、直列共振コンデンサ219、チョークコイル220及びコンバータトランス221の1次巻線222で構成される直列共振回路の共振周波数よりも、ハーフブリッジ型コンバータで構成されるスイッチング部216のスイッチング周波数fswを高く設定している。従って、先に述べた場合では、+B電圧の負荷が増加すると+B電圧E0が低下するように変動するため、スイッチング周波数fswが低下するように制御されるが、このとき、図14において直列共振回路の共振周波数f0に対してスイッチング周波数fswが近づくことになり、この結果、1次巻線222を流れる励磁電流が増加することで定電圧化が計られることになる。
逆に、+B電圧の負荷が減少すると+B電圧E0が上昇するように変動するため、スイッチング周波数fswが上昇するように制御され、直列共振回路の共振周波数f0に対して、スイッチング周波数fswが離れることになる。この結果、コンバータトランス221の1次巻線222を流れる励磁電流が抑制されることで、定電圧化が計られることになる。
このとき、同じくコンバータトランス221の2次巻線224,225,226より取り出されるその他の電圧E2,E3,E4は、いわゆるクロスレギュレーションにより、概略、定電圧化が図られる。
【0020】
こうして得られた+B電圧は、水平振幅調整及び糸巻歪補正回路239にて電圧変調が行われた後、水平出力回路206に供給される。水平出力回路206には水平発振駆動回路205より得られる駆動パルスが供給される。そしてこの駆動パルスを用いて水平出力回路206にスイッチング動作を行わせて水平偏向ヨーク7に偏向電流を供給する。
+B電圧は、さらに高圧発振駆動回路208、高圧出力回路209、高圧トランス回路210で構成される高圧発生回路部の電源として供される。
【0021】
水平偏向回路部における水平振幅調整及び糸巻歪補正回路239の動作は、+B電圧E0を電源変調して水平偏向電流を変化させることにより行われるが、この動作について述べる。
水平偏向回路部において、水平振幅調整及び糸巻歪補正回路239及び水平出力回路206の部分を詳しく示した回路図を図15に示す。
【0022】
図15において+B電圧E0は、水平振幅調整及び糸巻歪補正回路239としての部位を介して、水平出力回路206に供給される。
水平出力回路206では、+B電圧E0は水平出力コイル344を介して、水平出力トランジスタ350、ダンパーダイオード351、帰線用共振コンデンサ352による部位に供給される。
水平出力トランジスタ350のコレクタには、水平偏向電流を検出するための検出トランス345と、水平偏向コイル346(水平偏向ヨーク207)、及びS字補正コンデンサ347が接続される。
この水平出力回路206では、水平発振駆動回路205からの駆動パルスによって水平出力トランジスタ350がスイッチング動作を行うことで得られる水平偏向電流が、水平偏向ヨーク207を構成する水平偏向コイル346に流れるようにされる。
【0023】
検出トランス345の一次側には水平偏向電流が流れることになるが、この検出トランス345によって偏向電流の大きさに応じた信号が、水平振幅調整及び糸巻歪補正回路239としての部位に受け渡される。
即ち水平振幅調整及び糸巻歪補正回路239として、検出トランス345の2次巻線側には、整流ダイオード348と平滑コンデンサ349とで構成される整流平滑回路が備えられ、これによって偏向電流の大きさに応じた信号が得られる。
この信号電圧が抵抗235,236で分割され、反転比較増幅器283の反転入力端子に加えられる。
さらに反転比較増幅器283の正転入力端子には、振幅調整を行う直流電圧と糸巻き歪み補正を行う垂直周期に同期したパラボラ電圧が加えられる。反転比較増幅器283は、抵抗235,236で分割された信号電圧とパラボラ電圧を比較した信号をパルス幅制御回路353に供給する。
【0024】
パルス幅制御回路353によりパルス変調された信号は、抵抗354と結合コンデンサ355を通してスイッチング素子357に接続される。ダイオード358,359はエネルギー還流用のダイオードであり、抵抗356は起動用の抵抗である。
スイッチング素子357の出力からは+B電圧が電圧変調されたパルス幅変調電圧が得られ、水平出力回路206により積分されて水平偏向電流の振幅が信号電圧に応じて変調される。
【0025】
次に高圧発生回路部について説明する。高圧発生回路部は上述の+B電圧の電源電圧変調の影響を受けないように、水平偏向回路部とは分離されて構成される。 図11において、高圧発生回路部は他励式の電流共振形コンバータで構成され、スイッチング部242を構成する2つのスイッチング素子Q3,Q4がハーフブリッジ回路を構成するように、スイッチング素子Q3のソースとスイッチング素子Q4のドレインの接点に、共振コンデンサ245と、高圧トランス247とが直列に接続される。
スイッチング素子Q3,Q4には、高圧発振駆動回路208から、半周期毎に、交互にオン、オフを行うための、互いに極性の異なる矩形の駆動パルスが供給される。
【0026】
上記構成による高圧発生回路部のスイッチング動作としては次のようになる。
+B電圧からは抵抗241を通して高圧発振駆動回路208に電源が供給されると、高圧発振駆動回路208によりスイッチング素子Q3に正の駆動パルスが供給されてスイッチング素子Q3がオンになる。そして、スイッチング素子Q3を通して共振コンデンサ245及び高圧トランス247の1次巻線248に正の共振電流が供給される。
次に高圧発振駆動回路208により、スイッチング素子Q3に負の駆動パルスが供給され、これとは逆に、スイッチング素子Q4に正の駆動パルスが供給されると、スイッチング素子Q3は急激にオフすると共に、スイッチング素子Q4がオンとなる。この結果、スイッチング素子Q4を通して、共振コンデンサ245及び高圧トランス247の1次巻線248に負の共振電流が供給される。
この動作が繰り返されることで、直列共振電流により高圧トランス247が励磁され、高圧トランス247の2次側に巻装された高圧巻線250〜258より交番出力電圧が取り出される。
【0027】
高圧トランス247は、前述のように励磁電流が供給される1次巻線248を備える。また2次巻線として陰極線管(CRT)にアノード電圧を供給するための高圧出力電圧EHTを得る高圧巻緑250〜258を備え、更に、保護回路の検出電圧として使用される電圧E1を得る2次巻線249とから構成される。
高圧巻線250〜258は、正と負のそれぞれの交番電圧について全波整流を行うように、高圧巻線255〜258と整流ダイオード265〜268とが直列に接続され、高圧巻線250〜253は高圧巻線255〜258と逆極性になるように整流ダイオード260〜264が直列に接続されたのち、高圧巻線255〜258に接続される。
高圧巻線253と高圧巻線255の接続部位には、一端を開放させた高圧巻線254が巻装されて、等価的に平滑コンデンサを設けて高圧巻線250〜253と高圧巻線255〜258とから得られる整流電圧の直列積み上げを行い平滑コンデンサ270の一端に高圧出力電圧EHTを得るように構成される。
【0028】
高圧巻線250〜258から得られる、陰極線管(CRT)のアノード電圧を供給するための高圧出力電圧EHTの定電圧化は、上述した+B電圧の場合と同様に、次のように行われる。
【0029】
例えば、陰極線管に表示される画像の輝度が上昇し、この結果高圧負荷が増加するように変動したとする。このとき高圧出力電圧EHTは低下するように変動するため、この電圧変動を抵抗271,272で構成した電圧検出回路で取り出し、制御回路273で得られる制御信号が高圧発振駆動回路208に送られ、この電圧に応じて高圧発振駆動回路208より出力される駆動パルスの動作周波数が低下するように制御される。
その結果、スイッチング素子Q3、Q4のスイッチング周波数をfsw1とすると、このスイッチング周波数fsw1が低下する。
逆に、陰極線管に表示される画像の輝度が低下し、この結果高圧負荷が減少するように変動したとすると、高圧出力電圧EHTが上昇するように変動するため、前述のように制御信号は、高圧発振駆動回路208に送られ、この電圧に応じて高圧発振駆動回路208より出力される駆動パルスの動作周波数が上昇するように制御される。その結果、スイッチング素子Q3、Q4のスイッチング周波数fsw1が上昇する。
【0030】
このような高圧発生回路部では、直列共振コンデンサ245、チョークコイル246及び高圧トランス247の1次巻線248で構成される直列共振回路の共振周波数をf01とすると、この共振周波数f01よりも、ハーフブリッジ型コンバータで構成されるスイッチング回路のスイッチング周波数fsw1を高く設定している。
従って、先に述べた場合では、陰極線管に表示される画像の輝度が上昇し、高圧負荷が増加すると、高圧出力電圧EHTが低下するように変動するため、スイッチング周波数fsw1が低下するように制御されるが、この時、直列共振回路の共振周波数f01に対して、スイッチング周波数fsw1が近づくことになり、この結果、1次巻線248を流れる励磁電流が増加することで、定電圧化が計られることになる。
逆に、陰極線管に表示される画像の輝度が低下し、この結果高圧負荷が減少するように変動した場合には、高圧出力電圧EHTは、上昇するように変動するため、スイッチング周波数fsw1が上昇するように制御され、直列共振回路の共振周波数f01に対して、スイッチング周波数fsw1が離れることになり、この結果、1次巻線248を流れる励磁電流が抑制されることで、定電圧化が計られることになる。
【0031】
【発明が解決しようとする課題】
従来のスイッチング電源装置は例えば以上のように構成されているが、より経済的にかつエネルギー資源の有効活用という面で改善すべき点が有る。
その第1は、スイッチング部の電力損失、第2に水平偏向回路部における振幅調整糸巻歪補正に伴う電力損失、第3にスイッチングコンバータ出力トランス、つまりコンバータトランス221及び高圧トランス247の変換効率である。
【0032】
この3点の課題について述べる。第1にこのスイッチング電源装置は、定電圧出力電圧を供するための機能を有する電源回路部と高周波偏向回路部とを備え、更に高精度の高圧負荷特性を得るために、水平偏向回路部とは別に高圧発生回路部を備える回路構成を有するものである。このため電源回路部のスイッチング回路系(発振駆動回路202及びコンバータ回路203)と、高圧発生回路部のスイッチング回路系(高圧発振駆動回路208及び高圧出力回路209)を、夫々備えた構成にせざるを得なかった。
高圧発生回路部のスイッチング回路系を電源回路部とは別に設けることは、特性上非常に有利ではあるが、その結果、回路構成が複雑であるという欠点と、スイッチング回路系を余分に持つことにより電力損失の増大を招くという問題点を有していた。
【0033】
第2に、前述のように従来の高解像度を表示する高周波動作の偏向高圧装置の場合は、高圧回路は偏向回路への影響を避けて別回路で構成され、水平偏向回路部における振幅調整及び糸巻歪補正動作は電源変調方式で行われるため電力損失を生じる結果となっている。
【0034】
第3に電源回路部に大地アースより絶縁を図るための絶縁形コンバータトランスを有し、高圧発生回路部にフライバックトランスのような非絶縁型の高圧トランスを備えるという構成を有するものであるから、コンバータトランス221と高圧トランス247とを二重に備える構成にせざるを得なかった。
その結果、商用交流電源から得られる整流平滑電圧を動作電源としてスイッチング動作を行うスイッチング手段を用いて高圧出力電圧を取り出す構成において直流/直流変換効率が悪く省電力化を図る上で問題があった。
【0035】
【課題を解決するための手段】
本発明のスイッチング電源装置は、以上のような課題を解決するもので、スイッチング電源の電力損失を低減し変換効率を改善する。言い換えれば、スイッチング動作を行うスイッチング出力回路を低損失で動作せしめ、上記スイッチング動作を行うスイッチング出力回路に接続されるスイッチング周波数制御と低損失で動作を行うことが出来るインダクタンス制御による制御手段を採用し、高圧発生回路部と、水平偏向回路における水平振幅調整と糸巻歪補正の動作を同時に備えるように構成することで、実用上好適なスイッチング電源装置を提供する事を目的としている。
【0036】
この目的を達成するために本発明のスイッチング電源装置は、商用交流電源を整流して得られる整流電流を充電電流として平滑コンデンサの両端に整流平滑電圧を発生する整流平滑手段と、上記整流平滑電圧を動作電源としてスイッチング動作を行うスイッチング手段と、上記スイッチング動作を行うスイッチング手段に接続されるスイッチング周波数制御を行う発振駆動手段と、絶縁型で構成したコンバータトランスの1次巻線に共振コンデンサが接続されて、上記スイッチング手段のスイッチング動作が共振形となるようなスイッチングコンバータを備えるものとする。また、上記コンバータトランスの2次巻緑として高圧巻線を巻装し、この高圧巻線に接続される高圧整流回路出力から得られる制御信号を用いて、上記スイッチング周波数を制御するスイッチング周波数制御手段と、上記コンバータトランスの別の2次巻線に可飽和リアクタを接続し、この可飽和リアクタのインダクタンスを制御するインダクタンス制御手段と、上記可飽和リアクタを用いて水平偏向回路における振幅調整と糸巻歪補正を行う調整/補正手段とを備えてスイッチング電源回路を構成することとした。
【0037】
このような構成の本発明においては、高精度の負荷特性を要求される複数の定電圧出力を供するコンバータトランスを駆動するスイッチング電源回路の電力損失を低減するため、スイッチング出力波形が比較的滑らかで、スイッチングノイズが少なくスイッチング損失の少ない特性を持つ共振形スイッチング回路を形成し、陰極線管のアノード電圧を供給するための高圧出力の制御を周波数制御で行う手段と、仮損失で定電圧制御動作を行うことが出来るという特徴を有するインダクタンス制御による制御手段を採用して水平偏向回路における振幅調整と糸巻歪補正を行う手段とを備えて構成することにより、低損失で高効率の回路構成を可能にしている。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図を参照しながら説明する。なお各図において同一の機能を有する場合は同一の符号を付す。
説明では、まず本発明の実施の形態としてのスイッチング電源装置の基本的なブロック構成を述べ、その後、各種の実施の形態としての具体的な回路構成を説明していく。
【0039】
<基本的なブロック構成>
図1は、本発明のスイッチング電源装置の実施の形態としての基本的なブロック構成を示す。
実施の形態のスイッチング電源装置は、陰極線管を使用したテレビジョン受像機やモニタディスプレイ装置等のスイッチング電源装置として好適なものであり、図1に示すように、水平偏向ヨーク7及び陰極線管11に対する回路系として、大きく分けて電源回路部、水平偏向回路部、高圧発生回路部が設けられる。
【0040】
電源回路部は、AC整流平滑回路1、発振駆動回路2、コンバータ回路3、コンバータトランス回路4が設けられる。
水平偏向ヨーク7に対する水平偏向回路部は、水平発振駆動回路5、水平出力回路6が設けられる。また、コンバータトランス回路4の一部が、図10に示した水平振幅調整及び糸巻歪補正回路239の機能を備えた回路として形成される。
陰極線管11に対する高圧発生回路部は、コンバータトランス回路4の一部が、図10に示した高圧出力回路209、高圧トランス210の機能を備えて構成される。
つまり図10と図1を比較してわかるように、本実施の形態の場合はブロック的に見れば、独立した高圧発生回路部が形成されず、電源回路部内のコンバータトランス回路4において高圧発生回路部としての機能を備えたようにしている。また水平振幅調整及び糸巻歪補正回路としての機能もコンバータトランス回路4の一部で実現するものである。
【0041】
AC整流平滑回路1は、商用交流電源を整流して得られる整流電流を充電電流として平滑コンデンサに供給し、平滑コンデンサの両端に整流平滑電圧を発生する。
そしてAC整流平滑回路1より得られる整流平滑電圧を動作電源とし、発振駆動回路2より得られる駆動パルスを用いて、コンバータ回路3にスイッチング動作を行わせる。コンバータトランス回路4内のコンバータトランスは、コンバータ回路3のスイッチング動作によって励磁され、このコンバータトランスより出力電圧が取り出される。この取り出される出力電圧としては水平偏向回路部の電源として用いられる+B電圧のほか、陰極線管11のアノードに供給される高圧電圧もある。即ち、コンバータトランスは高圧発生のためのトランスとしての機能も備えている。
【0042】
水平偏向回路部の電源として供給されたコンバータトランス回路4からの出力電圧は水平出力回路6に供給される。水平出力回路6には水平発振駆動回路5より得られる駆動パルスが供給される。この駆動パルスを用いて水平出力回路6がスイッチング動作を行ない、水平偏向ヨーク7に偏向電流を供給する。
【0043】
<第1の実施の形態>
上記図1の構成に相当するものとしての第1の実施の形態の回路構成を図2により説明する。
【0044】
AC整流平滑回路1においては、交流電源12に対してブリッジ整流ダイオード13が配されて全波整流動作を行い、平滑コンデンサ14により整流平滑電圧を得る構成とされている。整流平滑電圧は抵抗15を介して発振駆動回路2に供給されるとともに、コンバータ回路3に供給される。
【0045】
コンバータ回路3では、例えばパワーMOS FETのようなスイッチング素子を用いて、スイッチング部16を構成する2つのスイッチング素子Q1,Q2がハーフブリッジ回路を構成する。即ち、スイッチング素子Q1のソースとスイッチング素子Q2のドレインが接続され、その接点に、共振コンデンサ19とチョークコイル20、および絶縁型のコンバータトランス140の一次巻線22が直列に接続される。
スイッチング素子Q1,Q2にはダンパーダイオード17、18が接続される。またスイッチング素子Q1のドレインにはAC整流平滑回路1からの整流平滑電圧が供給されるように接続される。
また、発振駆動回路2には抵抗15を通してAC整流平滑回路1からの整流平滑電圧から電源が供給される。この発振駆動回路2からは、半周期毎に交互にオン、オフを行うための互いに極性の異なる矩形の駆動パルスがスイッチング素子Q1,Q2のゲートに供給されるように接続されており、いわゆる他励式の電流共振型コンバータ回路を構成している。
【0046】
このハーフブリッジ回路で構成した電流共振形コンバータ回路の基本動作は、図12を用いて上述したものと同様となる。
従って、スイッチング動作としては、まず、商用交流電源12が投入されると発振駆動回路2よリスイッチング素子Q1に正の駆動パルスが供給されオンになる。そして、スイッチング素子Q1を通して共振コンデンサ19、チョークコイル20及びコンバータトランス140の1次側に巻装された1次巻線22に正の共振電流が供給される。
次に、スイッチング素子Q1に負の駆動パルスが供給され、これとは逆に、スイッチング素子Q2に正の駆動パルスが供給され、スイッチング素子Q1は、急激にオフすると共にスイッチング素子Q2がオンとなる。この結果、スイッチング素子Q2を通して共振コンデンサ19、チョークコイル20及びコンバータトランス140の1次巻線22に負の共振電流が供給される。
この動作が繰り返されることで直列共振電流によリコンバータトランス140が励磁されコンバータトランス140の2次側に巻装された各巻線より交番出力電圧が取り出される。
【0047】
コンバータトランス140は絶縁型で構成され、1次側には、前述のように励磁電流が供給される一次巻線22を備える。
また2次側には、2次巻線として陰極線管(CRT)11のアノード電圧を供給するための高圧出力電圧EHTを得る整流回路を備えた高圧巻線50〜58と、主に水平偏向回路の電源電圧として使用される+B電圧やその他の電圧を得る2次巻線23〜26,49とから構成される。
また2次巻線23には、水平偏向回路における振幅調整と糸巻歪補正を行うための可飽和リアクタ86が接続される。
【0048】
高圧巻線50〜58は、正と負のそれぞれの交番電圧について全波整流を行うように、高圧巻線55〜58と整流ダイオード65〜68とが直列に接続され、また高圧巻線50〜53は上記高圧巻線55〜58と逆極性になるように整流ダイオード60〜64が直列に接続されたのち、高圧巻線55〜58に接続される。
高圧巻線53と高圧巻線55の接続部位には、浮遊容量を利用して等価的に平滑用のコンデンサを設けるために、一端を開放させた高圧巻線54が巻装されている。そしてこの等価的に設けたコンデンサを用いて正と負のそれぞれの交番電圧について、高圧巻線50〜53と高圧巻線55〜58とから得られる整流電圧の直列積み上げを行い、平滑コンデンサ70の一端に、高圧出力電圧EHTを得るように構成される。
【0049】
高圧巻線50〜58から得られる高圧出力電圧EHTの定電圧化は次のように行われる。
例えば、商用交流電源12の入力電圧値が低下した場合か、もしくは、陰極線管11に表示される画像の輝度が上昇し、この結果高圧負荷が増加するように変動した場合は、高圧出力電圧EHTは低下するように変動する。この電圧変動を抵抗71,72で構成した電圧検出回路で取り出し、制御回路73で得られる制御信号を定電圧制御系の絶縁を行うためのフォトカプラ38を通して発振駆動回路2に供給する。この制御信号に応じて発振駆動回路2より出力される駆動パルスの動作周波数が低下するように制御される。
その結果、スイッチング部16を構成するスイッチング素子Q1、Q2のスイッチング周波数をfsw2とすれば、このスイッチング周波数fsw2が低下する。
逆に、商用交流電源12の入力電圧が上昇した場合か、もしくは、陰極線管に表示される画像の輝度が低下し、この結果高圧負荷が減少するように変動した場合は、高圧出力電圧EHTが上昇するように変動する。この電圧変動は同様に抵抗71,72で構成した電圧検出回路で取り出され、制御回路73は電圧変動に応じた制御信号をフォトカプラ38を通して発振駆動回路2に供給する。そしてこの制御信号に応じて発振駆動回路2より出力される駆動パルスの動作周波数が上昇するように制御される。
その結果、スイッチング素子Q1、Q2のスイッチング周波数fsw2が上昇する。
【0050】
この電源回路では、共振コンデンサ19、チョークコイル20及びコンバータトランスの1次巻線22で構成される直列共振回路の共振周波数よりも、ハーフブリッジ型コンバータで構成されるスイッチング部16のスイッチング周波数fsw2を高く設定している。
従って、先に述べた場合では、陰極線管11に表示される画像の輝度が上昇し高圧負荷が増加すると、高圧出力電圧EHTが低下するよう変動するため、スイッチング周波数fsw2が低下するように制御されるが、このとき、直列共振回路の共振周波数をf02とすればこの共振周波数f02に対してスイッチング周波数fsw2が近づくことになり、この結果、1次巻線22を流れる励磁電流が増加することで定電圧化が計られることになる。
逆に、陰極線管11に表示される画像の輝度が低下し、これにより高圧負荷が減少するように変動した場合には、高圧出力電圧EHTは上昇するように変動するため、スイッチング周波数fsw2が上昇するように制御されて直列共振回路の共振周波数f02に対してスイッチング周波数fsw2が離れることになり、この結果、1次巻線22を流れる励磁電流が抑制されることで定電圧化が計られることになる。
【0051】
また、コンバータトランス140には、保護回路の検出電圧として使用される電圧E1を得る2次巻線49が設けられており、2次巻線49に得られる交番電圧が整流ダイオード59及び平滑コンデンサ69による半波整流平滑回路によって直流電圧とされ、電圧E1が取り出される。
【0052】
またコンバータトランス140の2次巻線23,24,25,26のそれぞれにも、交番出力電圧から直流電圧を取り出すための整流平滑回路が接続される。
即ち2次巻線23に対しては整流回路27を構成するダイオードと、平滑コンデンサ30,31が図のように接続されて倍電圧半波整流方式により+B電圧E0が取り出される。
2次巻線24,25に対しては整流回路28を構成するダイオードと、平滑コンデンサ32,33が図のように接続されて、正の電圧E3及び負の電圧E4が取り出される。
2次巻線26に対しては整流ダイオード29と、平滑コンデンサ34により、半波整流方式による電圧E2が取り出される。
【0053】
このコンバータトランス140の2次巻線23から取り出される+B電圧E0は、主に水平偏向回路部で用いられる電源電圧となるが、このため+B電圧E0に対しては水平偏向回路部の振幅調整と糸巻歪補正のための電圧変調が行われる。
【0054】
+B電圧E0の電圧変調は次のようにして行われる。
コンバータトランス140の2次巻線23には、水平偏向回路における振幅調整と糸巻歪補正を実施するための手段として可飽和リアクタ86が直列に接続され、この可飽和リアクタのインダクタンスを制御する方法をとっている。
この可飽和リアクタは、例えば、図3で示されるような制御巻線NCと披制御巻緑NRとをもつ直交型の可飽和リアクタで構成される。被制御巻線NRは2次巻線23に直列に接続され、制御巻線NCを流れる電流が制御信号により制御されるように構成される。
【0055】
コンバータトランス140の2次巻線23から取り出される+B電圧E0は水平出力回路6に供給される。
水平出力回路6では、+B電圧E0は水平出力コイル144を介して、水平出力トランジスタ150、ダンパーダイオード151、帰線用共振コンデンサ152による部位に供給される。
水平出力トランジスタ150のコレクタには、水平偏向電流を検出するための検出トランス145と、水平偏向コイル146(水平偏向ヨーク7)、及びS字補正コンデンサ147が接続される。
この水平出力回路6では、水平発振駆動回路5からの駆動パルスによって水平出力トランジスタ150がスイッチング動作を行うことで得られる水平偏向電流が、水平偏向ヨーク7を構成する水平偏向コイル146に流れるようにされる。
【0056】
検出トランス145の一次側には水平偏向電流が流れることになるが、この検出トランス145によって偏向電流の大きさに応じた信号が、水平振幅調整及び糸巻歪補正を実行するための部位に受け渡される。
即ち検出トランス145の2次巻線側には、整流ダイオード148と平滑コンデンサ149とで構成される整流平滑回路が備えられ、これによって偏向電流の大きさに応じた信号が得られる。
この信号電圧が抵抗35,36で分割され、反転比較増幅器83の反転入力端子に加えられる。
さらに反転比較増幅器83の正転入力端子には、振幅調整を行う直流電圧と糸巻き歪み補正を行う垂直周期に同期したパラボラ電圧が加えられる。反転比較増幅器83は、抵抗35,36で分割された信号電圧とパラボラ電圧を比較した信号を、抵抗84を介して制御トランジスタ85のベースに印加する。制御トランジスタ85のコレクタは可飽和リアクタ86の制御巻線NCに接続されており、またエミッタは接地されている。即ちこの制御トランジスタ85は、上記の反転比較増幅器83からのベース電流に応じて制御巻線NCの電流量を制御することで、可飽和リアクタ86のインダクタンス制御を行う機能を有する。
【0057】
糸巻歪の補正を増やすためにパラボラ補正電圧が大きくなった場合を例に糸巻歪補正の動作を説明する。
反転比較増幅器83の正転入力端子電圧に加えられる補正信号のパラボラ成分の振幅が増加すると、反転比較増幅器83の出力がパラボラ波形に応じて上昇し、制御トランジスタ85のコレクタ電流が増加する。上記のように制御トランジスタ85のコレクタは可飽和リアクタ86の制御巻線NCに接続され、エミッタは接地されている。また制御巻線NCの他の一端には、電圧源として出力電圧E3が加えられている。
従って、制御トランジスタ85のコレクタ電流が増加すると制御巻線NCの制御電流が増加し、可飽和リアクタ86の被制御巻線NRのインダクタンスが減少するように作用する。
この結果、インダクタンスによる電圧降下が減少し、+B電圧E0がインダクタンス制御により、パラボラ電圧が大きくなるように変調される。
振幅調整についても同様の動作で+B電圧E0が制御される。
また、交流電源12からのAC入力電圧の変動や高圧負荷変動により+B電圧E0が影響を受けることはない。
このようにして、+B電圧E0が水平偏向回路部の水平振幅調整及び糸巻歪補正信号対応した電圧に変調されて、水平偏向ヨーク7に所望の電流が供給され振幅変調及び糸巻歪補正が行われる。
【0058】
以上のように、この第1の実施の形態によれば、コンバータトランス140の2次巻線として高圧巻線50〜58を設け、高圧出力電圧EHTを得るようにしている。
また、この高圧巻線50〜58に接続される高圧整流回路出力から得られる制御信号を用いて、スイッチング部16のスイッチング周波数を制御するようにしている。
またコンバータトランス140の2次巻線23に可飽和リアクタ86を接続し、この可飽和リアクタ86のインダクタンスを制御することで、水平偏向回路部における振幅調整と糸巻歪補正を行うようにしている。
これらのことにより、スイッチング動作を行うスイッチング部を共有して+B電圧E0及びその他の電圧E1〜E4と、高圧出力電圧EHTを得ることができるようにされ、つまり高圧発生回路部が電源回路部に一体化される。また振幅調整及び糸巻歪補正回路の一体化も図られる。
その結果、スイッチング回路の損失の低減を実現でき、また、コンバータトランス140より直接高圧出力電圧EHTを供給する事で著しく変換効率を改善できる。もちろん回路構成の簡略化、小型化も図られる。
【0059】
<第2の実施の形態>
図4により第2の実施の形態を説明する。なお、上記図2と同一部分については説明を省略する。
【0060】
この図4の実施の形態では、コンバータトランス回路4におけるコンバータトランスは複数の絶縁型のコンバータトランス141,142で構成される。
第1のコンバータトランス141は、励磁電流が供給される1次巻線22を有し、また2次巻線として、例えば陰極線管11(CRT)のアノード電圧としての高圧出力電圧EHTを得るための高圧巻線50〜58と、その他の電圧を得る2次巻線24,25,26、49とで構成される。
第2のコンバータトランス142は、励磁電流が供給される1次巻線106と、水平偏向回路の電源電圧として使用される+B電圧E0を得る2次巻線23とから構成され、この第2のコンバータトランス142の2次巻線23には振幅調整と糸巻歪補正を行うための可飽和リアクタ86が接続される。
【0061】
図に示すように、スイッチング部16を構成する2つのスイッチング素子Q1,Q2がハーフブリッジ回路を構成するように、スイッチング素子Q1のソースとスイッチング素子Q2のドレインとの接点に共振コンデンサ19の一端が直列に接続され、この共振コンデンサの他端にはチョークコイル20を通して第1のコンバータトランス141の1次巻線22の一端が接続される。1次巻線22の他端は接地される。
また共振コンデンサ19には、更に、チョークコイル143を通して第2のコンバータトランス142の一次巻線106の一端が接続されるとともにこの一次巻線106の他端はアースに接地される。
従って、チョークコイル20と第1のコンバータトランス141の1次巻線22、およびチョークコイル143と第2のコンバータトランス142とが並列回路を形成するように構成される。
【0062】
このような構成による電源回路のスイッチング動作としては、まず、商用交流電源12が投入されると、発振駆動回路2よりスイッチング素子Q1に正の駆動パルスが供給されオンになる。そして、スイッチング素子Q1を通して共振コンデンサ19と第1、第2のコンバータトランス141,142の一次巻線22,106に、その直列共振回路を形成する合成インダクタのインダクタンス値に応じた正の共振電流が供給される。
次に、スイッチング素子Q1に負の駆動パルス、スイッチング素子Q2に正の駆動パルスが供給され、スイッチング素子Q1はオフするとともにスイッチング素子Q2がオンとなる。この結果、前述とは逆に、スイッチング素子Q2を通して共振コンデンサ19及び第1、第2のコンバータトランス141,142の1次巻線22,106に負の共振電流が供給される。
この動作が繰り返されることで、共振電流により第1、第2のコンバータトランス141,142が励磁され、その2次側巻線より、夫々、交番出力電圧が取り出される。
【0063】
第1のコンバータトランス141の高圧巻線50〜58から取り出される高圧出力電圧EHTの定電圧化は、次のように行われる。例えば、商用交流電圧が低下した場合か、もしくは、陰極線管に表示される画像の輝度が上昇し、この結果高圧負荷が増加するように変動した場合は、高圧出力電圧EHTは低下するように変動する。この電圧変動を抵抗71,72で構成した電圧検出回路で取り出し、制御回路73で得られる制御信号が定電圧制御系の絶縁を行うためのフォトカプラ38を通して、発振駆動回路2に送られ、この電圧に応じて発振駆動回路2より出力される駆動パルスの動作周波数が低下するように制御される。
その結果、スイッチング素子Q1,Q2のスイッチング周波数をfsw3とすると、このスイッチング周波数fsw3が低下する。
逆に、商用交流入力電圧が上昇した場合か、もしくは、陰極線管に表示される画像の輝度が低下し、この結果高圧負荷が減少するように変動した場合は、高圧出力電圧EHTは上昇するように変動する。そして前述のように制御信号は、フォトカプラ38を通して発振駆動回路2に送られ、この電圧に応じて発振駆動回路2より出力される駆動パルスの動作周波数が上昇するように制御される。その結果、スイッチング素子Q1,Q2のスイッチング周波数fsw3が上昇する。
【0064】
この電源回路では、ハーフブリッジ型コンバータで構成されるスイッチング部16のスイッチング周波数fsw3は、共振コンデンサ19と、チョークコイル20および第1のコンバータトランス141の1次巻線22と、チョークコイル143と第2のコンバータトランス142の1次巻線106とで構成される共振回路の共振周波数f03よりも常に高くなるように設定している。
従って、陰極線管11に表示される画像の輝度が上昇し、この結果高圧負荷が増加するように変動したとすると、高圧出力電圧EHTは低下するように変動するため、スイッチング周波数fsw3が低下することになり、直列共振回路の共振周波数f03に対して、スイッチング周波数fsw3が近づくことになる。この結果、1次巻線22を流れる励磁電流が増加することで、定電圧化が計られることになる。
逆に、陰極線管11に表示される画像の輝度が低下し、この結果高圧負荷が減少するように変動したとすると、高圧出力電圧EHTは上昇するように変動するため、スイッチング周波数fsw3が上昇するように制御される。このため共振回路の共振周波数f03に対してスイッチング周波数fsw3が離れることになり、この結果、1次巻線22を流れる励磁電流が抑制されることで定電圧化が計られることになる。
【0065】
コンバータトランス142の2次巻線23から取り出される+B電圧E0の電圧変調は次のようにして行われる。このコンバータトランスの2次巻線23には、水平偏向回路部における振幅調整と糸巻歪補正を実施するための手段として可飽和リアクタ86が直列に接続され、この可飽和リアクタのインダクタンスを制御する方法をとっている。この可飽和リアクタは、例えば、図3で示されるような制御巻線NCと被制御巻線NRとをもつ直交型の可飽和リアクタで構成される。被制御巻線NRは2次巻線23に直列に接続され、制御巻線NCを流れる電流が制御トランジスタ85により制御されるように構成される。
【0066】
可飽和リアクタ86のインダクタンス制御のための構成は上述した第1の実施の形態の場合と同様となる。
即ち、水平出力トランジスタ150のコレクタには、水平偏向電流を検出するための検出トランス145が設けられ、検出トランス145の2次巻線には整流ダイオード148と平滑コンデンサ149とで構成される整流平滑回路が備えられ、これによって偏向電流の大きさに応じた信号が得られる。そしてこの信号電圧を抵抗35,36で分割して反転比較増幅器83の反転入力端子に加える。さらに反転比較増幅器83の正転入力端子には、振幅調整を行う直流電圧と糸巻き歪み補正を行う垂直周期に同期したパラボラ電圧が加えられる。そして反転比較増幅器83の出力が抵抗84を通して可飽和リアクタ86のインダクタンス制御を行う制御トランジスタ85のベースに接続される。
そして第1の実施の形態の説明で述べたように、反転比較増幅器83の出力に応じて制御トランジスタ85のコレクタ電流が増減し、制御巻線NCの制御電流が増減する。これによって可飽和リアクタの披制御巻線NRのインダクタンスが増減し、この結果、+B電圧E0がインダクタンス制御により変調される。
【0067】
このような第2の実施の形態は、上記第1の実施の形態と同等の効果を複数のコンバータトランスで構成して実現するものである。
即ち第1のコンバータトランス141の1次巻線22と直列共振コンデンサ19により形成されて、スイッチング部16のスイッチング動作を電流共振形とするように設けられる直列共振回路と、第2のコンバータトランス142の1次巻線106と直列共振コンデンサ19により形成されて、スイッチング部16のスイッチング動作を電流共振形とするように設けられる直列共振回路とが並列に接続され、また可飽和リアクタ86は第2のコンバータトランスの2次巻線に接続される。
そして可飽和リアクタ86のインダクタンスを制御することで水平偏向回路部における振幅調整と糸巻歪補正を行うようにしているものである。
これによって第1の実施の形態と同等の効果を得るとともに、コンバータトランスの最適設計の自由度と生産性を向上できるものである。
【0068】
<第3の実施の形態>
本発明の第3の実施の形態について図5を参照しながら説明する。なお上記図2と同一部分については説明を省略する。
【0069】
この実施の形態の場合は、発振駆動回路2を自励発振型を用いて構成している。
図5においては、スイッチング部16を例えばバイポーラトランジスタをスイッチング素子Q1、Q2として用いて構成する。そして、スイッチング素子Q1のエミッタとスイッチング素子Q2のコレクタとの接点に、共振コンデンサ19が接続され、更に、ドライブトランス82の励磁巻線ND、チョークコイル20およびコンバータトランス140の一次巻線22とが直列に接続されハーフブリッジ型の直列共振回路を形成した自励型の電流共振コンバータの例が示されている。
【0070】
ドライブトランス82は、図6に示すように駆動巻線NB1,NB2及び励磁巻線NDと、これらの各巻線に対してインダクタンスの制御を行う制御巻線NCを巻装して構成された、例えば、直交型の可飽和リアクタが使用される。ただしEI型等で構成されても良い。
このドライブトランス82の一方の駆動巻線NB1の一端は抵抗80と共振コンデンサ78とが直列共振回路を形成するように接続され、スイッチング素子Q1のベースに接続されると共に、他端はスイッチング素子Q1のエミッタに接続される。
また駆動巻線NB2は、駆動巻線NB1と逆極性となるように一端が抵抗81と共振コンデンサ79とが直列共振回路を形成するように接続されてスイッチング素子Q2のベースに接続され、他端はアースに接地される。
【0071】
このように構成された発振駆動回路2によリスイッチング素子Q1,Q2を駆動する。つまり上記各直列共振回路の共振周波数によりスイッチング素子Q1,Q2がオン/オフ駆動される。
またスイッチング素子Q1,Q2のスイッチング動作周波数は、駆動巻線NB1又はNB2のインダクタンスと共振コンデンサ78又は79との直列共振回路の共振周波数で決まるために、出力電圧の定電圧制御を図るように駆動巻線NB1およびNB2のインダクタンス制御を行うことで自励型の周波数制御回路を構成している。
【0072】
上記構成による電流共振型電源回路のスイッチング動作としては、まず、商用交流電源12が投入されると、起動を行うための抵抗77を通してスイッチング素子Q1のベースに起動電流が供給される。
いま、スイッチング素子Q1がオンになったときを考えると、整流出力電圧を直流電源として、スイッチング素子Q1を通して、共振コンデンサ19、励磁巻線ND、チョークコイル20及びコンバータトランス140の一次巻線22に正の共振電流が流れる。この共振電流が零になると、ドライブトランス82の駆動巻線NB2にはスイッチング素子Q2をオンにするように正のパルスが発生し、逆にドライブトランス82の駆動巻線NB1にはスイッチング素子Q1をオフにするように負のパルスが発生する。このためスイッチング素子Q1が急激にオフするとともにスイッチング素子Q2がオンになる。その結果、スイッチング素子Q2を通って負の共振電流が流れる。
このようにしてスイッチング素子Q1,Q2が交互にオン、オフを繰り返すことにより、コンバータトランス140の1次巻線22に励磁電流が供給され2次側巻線に交番出力を得る。
【0073】
コンバータトランス140は、1次巻線22と、高圧出力電圧を得る高圧巻線89及びその他の電圧を得る2次巻線23〜26,49から構成されており、2次巻線23には+B電圧E0の水平偏向回路部の水平振幅調整及び糸巻歪補正を行うための手段として可飽和リアクタ86が接続される。
高圧巻線89には、例えば、整流ダイオード90〜97、平滑コンデンサ98〜104で構成されるコッククロフト・ウォルトン回路のような多倍圧整流回路が接続されて高圧出力電圧EHTを得るように構成される。
【0074】
高圧出力電圧EHTの定電圧制御は次のようにして行われる。
高圧巻繰89とダイオード90〜97および平滑コンデンサ98〜104で構成される8倍圧のコッククロフト・ウォルトン回路より取り出された高圧出力電圧EHTが上昇するように変動したとすると、この電圧変動は抵抗71,72で構成した電圧検出回路で検出されたのち制御回路73で得られる制御信号により制御用のトランジスタ87のコレクタ電流が増加するように制御される。
ドライブトランス82の制御巻線NCの一端はトランジスタ87のコレクタに接続され、他端は電圧源88に接続される。したがって、トランジスタ87のコレクタ電流が制御電流として可飽和リアクタで構成されたドライブトランス82の制御巻線NCに流れる制御電流を増加するように制御し、ドライブトランス82は飽和傾向となって駆動巻線NB1,NB2のインダクタンスが減少するように作用する。この結果、自励発振回路の発振周波数が高くなり、このときのスイッチング周波数をfsw4とすれば、スイッチング周波数fsw4が上昇するように制御される。
ここで共振コンデンサ19、チョークコイル20及びコンバータトランス140の1次巻線22とで形成される共振周波数をf04とすれば、前述の回路と同様に、共振周波数f04よりも高い領域でスイッチング周波数fsw4を設定しているために、スイッチング周波数が高くなると、共振周波数fsw4よりも離れることになり、1次巻線22に供給される励磁電流が抑制され、2次巻線89から取り出される高圧出力電圧EHTの定電圧化が図られる。
【0075】
コンバータトランス140の2次巻線23から取り出される+B電圧E0の水平振幅調整及び糸巻歪補正は、上述してきた第1,第2の実施の形態の場合と同様に行われる。即ち、2次巻線23には可飽和リアクタ86が接続される。そしてこの可飽和リアクタ86は、制御巻線NCと披制御巻線NRとで構成されており、2次巻線23に被制御巻線NRが直列に接続され、制御巻線NCに振幅調整及び糸巻歪補正信号に応じた制御電流を流すことで被制御巻線NRのインダクタンスの制御が行われ、+B電圧が水平偏向回路の水平振幅調整及び糸巻歪補正信号対応した電圧に変調されて水平偏向ヨークに所望の電流が供給され振幅変調及び糸巻歪補正が行われる。
【0076】
このような第3の実施の形態の場合は、上記第1の実施の形態と同等の効果を得ることができるとともに、可飽和リアクタで構成したドライブトランス82を用いて自励型発振駆動回路を構成することにより回路構成の簡略化を実現できるものである。
またコンバータトランス140の高圧巻線89に接続される整流回路系に多倍圧整流出力回路を備えることで高電圧を得られる回路構成としており、コンバータトランス140の高圧巻線と高圧整流出力回路に関して最適設計の自由度を向上できるものである。
【0077】
<第4の実施の形態>
第4の実施の形態について図7を参照して説明する。
この例では、スイッチング部16を1石のスイッチング素子Q5で構成し、共振コンデンサ19とダンバーダイオード17とをスイッチング素子Q5に並列に接続する。
商用交流電源12の整流出力電圧がチョークコイル20を通してコンバータトランス140の1次巻線22の一端に供給され、このコンバータトランス140の1次巻線22の他端はスイッチング部16のスイッチング素子Q5のコレクタに接続される。
抵抗15は発振駆動回路2に電源を供給し、発振駆動回路2からスイッチング部16のスイッチング素子Q5のベースに駆動パルスが送られ、スイッチング素子Q5をオン、オフ制御することで、スイッチング素子Q5のコレクタに共振電圧が発生すると共に、コンバータトランス140の1次巻線22に共振電流が供給される。
高圧出力電圧EHTの発生部位の構成、及び+B電圧E0の振幅調整と糸巻歪補正制御のための構成については、上記図5で示した例と同様となるため説明を省略する。
【0078】
つまりこの第4の実施の形態の例では、コンバータ回路3において並列共振回路を構成することで、前述の各実施の形態の例と同等の回路動作を、電圧共振型スイッチングコンバータ回路で実現するものである。
【0079】
<変形例>
以上、各種実施の形態の例を説明してきたが、本発明は、上記の各実施の形態の構成に限定されるものではなく、共振型のコンバータの方式は適宜変更されて構成されても構わない。
またコンバータトランス140(141,142)に直列に接続されているチョークコイル20(143)は、共振型のコンバータにおいて、いわゆるオン−オン型の動作を行っているために、この動作を安定させることを目的として使用されるものであるから、コンバータトランス140(141,142)の1次巻線、2次巻線間の結合度を変えてリーケージインダクタンスを増加するように設計することで、等価的にインダクタンス成分を設けてチョークコイル20(143)を省略することは可能である。
【0080】
更に、高圧発生回路部の高圧整流回路については、多倍圧回路もしくは図8、図9のような高圧トランスの複数に分割された高圧巻線と複数の整流ダイオード及び平滑コンデンサより構成された高圧整流方式を、適宜変更して構成しても構わない。
また振幅調整及び糸巻歪補正を行う電源変調のための制御系の構成については、検出トランス145を用いた上記の実施形態の構成に限定されるものではなく、変調電圧の検出および帰還方法については適宜変更されて構成されても構わない。
【0081】
【発明の効果】
以上の説明からわかるように本発明は、第1にスイッチング波形が非常に滑らかで、スイッチングノイズやスイッチング損失の少ないという特徴を有する高周波スイッチング動作の可能な共振型コンバータと高圧発生部位を設けたコンバータトランスとを用いてコンバータ出力回路を構成して高圧を発生させると共に、この高圧の定電圧化を周波数制御手段を用いて行い、簡単な回路構成で高圧発生回路とその他の電圧を供給する電源回路との融合化を図ることで電源回路部のコンバータトランスから直接高圧出力を得ることを可能にした。
この結果、スイッチング回路構成を簡略化せしめ、回路での動作損失を低減させることで主たる目的である電力損失の低減を実現できるという効果がある。
【0082】
第2に振幅調整及び糸巻歪補正を行う電源変調を、スイッチングノイズやスイッチング損失の少ない特徴を有する可飽和リアクタを用いたインダクタンス制御手段を備えることで実現し、高圧発生部と振幅調整及び糸巻歪補正を行う電源変調部とで互いに独立した動作を、大幅に簡略化された回路構成で実現するものであり、電源変調の際の電力損失の改善に対してきわめて有効な解決手段を提供するものである。
【0083】
第3に高圧負荷変動の大きい高圧発生回路部とその他の電圧を供給する電源回路部とを、スイッチングノイズやスイッチング損失の少ない共振型コンバータ回路を用いた周波数制御手段と、動作損失の少ない可飽和リアクタを用いた振幅調整及び糸巻歪補正を行う電源変調の制御手段を同時に備えることで、簡単な回路構成で、高圧発生回路部とその他の電圧を供給する電源回路部との融合化を図り電源回路部のコンバータトランスから直接高圧出力を得ることを可能にした。この結果、コンバータトランスから得られた定電圧化の図られた+B電圧を電源電圧とし高圧トランスより高圧出力を得るという、従来の方式では二重に行っていた直流/直流変換を、上記のように一度の直流/直流変換で行うように構成することで大幅に変換効率の改善が可能となる。
【0084】
以上、本発明によれば、共振型コンバータと振幅調整及び糸巻歪補正を行う可飽和リアクタを備え、絶縁型定電圧電源回路と高電圧発生回路と振幅調整及び糸巻歪補正を行う電源変調の機能とを一体化して電源回路を構成することで、低雑音、低コストで、且つ高周波スイッチング動作による小型軽量化の促進が図られると共に、スイッチング回路の構成とトランス構成を簡略化することで大幅な電力損失の軽減と変換効率の改善を可能にし、製品の省電力化が図られるという効果を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態のスイッチング電源装置のブロック図である。
【図2】第1の実施の形態のスイッチング電源装置の回路図である。
【図3】実施の形態の可飽和リアクタの概観図である。
【図4】第2の実施の形態のスイッチング電源装置の回路図である。
【図5】第3の実施の形態のスイッチング電源装置の回路図である。
【図6】実施の形態の周波数制御を行うための可飽和リアクタを用いたドライブトランスの概観図である。
【図7】第4の実施の形態のスイッチング電源装置の回路図である。
【図8】本発明の実施の形態に用いられる高圧整流回路の他の例を示す回路図である。
【図9】本発明の実施の形態に用いられる高圧整流回路の他の例を示す回路図である。
【図10】従来のスイッチング電源装置のブロック図である。
【図11】従来のスイッチング電源装置の回路図である。
【図12】ハーフブリッジ回路の動作説明のための等価回路図である。
【図13】ハーフブリッジ回路の電流波形の説明図である。
【図14】共振特性とスイッチング周波数との関係の説明図である。
【図15】従来の電源電圧の変調のための部位の回路図である。
【符号の説明】
1 AC整流平滑回路、2 発振駆動回路、3 コンバータ回路、5 水平発振駆動回路、6 水平出力回路、7 水平偏向ヨーク、11 陰極線管、12 商用交流電源、15,35,36,41,71,72,77,80,81,84,154,156 抵抗、16,42,157 スイッチング素子、17,18,43,44,151 ダンバーダイオード、19,45,78,79,152共振コンデンサ、20,46,143 チョークコイル、22 1次巻繰、4,21,140,141,142 コンバータトランス、23〜26,49 2次巻線、50〜58,89,106〜110,123〜126 高圧巻線、13,27,28,29,59〜68,90〜97,111〜122,127〜135 整流ダイオード、158,159 ダイオード、14,30〜34,69,70,98〜105,136〜139 平滑コンデンサ、155 結合コンデンサ、73 制御回路、88 電圧源、38 フォトカプラ、86 可飽和リアクタ、82 ドライブトランス、83 反転比較増幅器、85,87 トランジスタ、144 水平出力コイル、145 検出トランス、146 水平偏向コイル、147 S字コンデンサ、150 水平出力トランジスタ、153 パルス幅制御回路

Claims (6)

  1. 商用交流電源を整流して得られる整流電流を充電電流として平滑コンデンサの両端に整流平滑電圧を発生する整流平滑手段と、
    上記整流平滑電圧を動作電源としてスイッチング動作を行うスイッチング手段と、
    上記スイッチング動作を行うスイッチング手段に接続されるスイッチング周波数制御を行う発振駆動手段と、
    絶縁型で構成したコンバータトランスの1次巻線と共振コンデンサにより、上記スイッチング手段のスイッチング動作を共振型とするように設けられるスイッチング出力手段と、
    上記コンバータトランスの2次巻線として高圧巻線を設け、この高圧巻線に接続される高圧整流回路の出力から得られる制御信号を用いて、上記スイッチング周波数を制御するスイッチング周波数制御手段と、
    上記コンバータトランスの他の2次巻線に直列接続される可飽和リアクタと、
    上記他の2次巻線に整流回路を接続して形成される水平偏向回路用直流電源と、
    上記水平偏向回路用直流電源から供給される電流によって駆動される水平偏向コイルと、
    上記水平偏向コイルに流れる電流を検出する検出トランスと、
    上記検出トランスによって検出された上記水平偏向コイルに流れる電流に応じた電圧と、垂直周期に同期した糸巻き歪補正をおこなうためのパラボラ電圧と振幅調整のための直流電圧との加算電圧とを比較する増幅器と、を備え、
    上記増幅器からの出力に応じた電流を前記可飽和リアクタの制御巻き線に流して上記可飽和リアクタのインダクタンスを制御することによって上記水平偏向回路における振幅調整と糸巻歪補正を行う、スイッチング電源装置。
  2. 上記スイッチング出力手段は、上記コンバータトランスの1次巻線と上記共振コンデンサが直列に接続されて、上記スイッチング手段のスイッチング動作を電流共振型とするように構成される、請求項1に記載のスイッチング電源装置。
  3. 上記スイッチング出力手段は、第1のコンバータトランスと第2のコンバータトランスとを有し、上記共振コンデンサは上記第1のコンバータトランスの1次巻線と直列に接続されて、上記スイッチング手段のスイッチング動作を電流共振型とするとともに、上記第2のコンバータトランスの1次巻線は上記第1のコンバータトランスの1次巻線と並列に接続され、上記可飽和リアクタは上記第2のコンバータトランスの2次巻線に接続される、請求項1に記載のスイッチング電源装置。
  4. 上記スイッチング出力手段は、上記コンバータトランスの1次巻線が上記スイッチング手段に直列に接続されるとともに、上記共振コンデンサは上記スイッチング素子に並列に接続されて、上記スイッチング手段のスイッチング動作を電圧共振型とするように構成される、請求項1に記載のスイッチング電源装置。
  5. 上記発振駆動手段は、
    上記スイッチング手段を駆動する駆動巻線と、
    上記スイッチング出力手段の共振電流経路に直列に接続される励磁巻線と、
    上記駆動巻線及び上記励磁巻線に対してインダクタンスの制御を行う制御巻線備えた可飽和リアクタで構成されたドライブトランスを用いた、自励型の周波数制御回路により構成される、請求項1に記載のスイッチング電源装置。
  6. 上記コンバータトランスの上記高圧巻線に接続される上記高圧整流回路は、
    多倍圧整流出力回路構成とされるとともに、上記スイッチング周波数制御手段は、上記多倍圧整流回路出力から得られる高圧の制御信号を用いて、上記スイッチング周波数を制御するように構成される、請求項1に記載のスイッチング電源装置。
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