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JP4451613B2 - 制電性と撥水性を有する防水織物 - Google Patents

制電性と撥水性を有する防水織物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高密度織物に撥水加工を施した防水織物であって、耐久性よく制電性、撥水性、防水性に優れた防水織物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、高密度織物に撥水加工を施した防水織物は、防水樹脂を織物にコートまたはラミネートした防水織物に比べて、軽量かつソフトな風合いを有するため、ゴルフウエアー、一般アウトドアーウエアーなどスポーツ衣料用途を中心に巾広い衣料用途に使用されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、疎水性の極細合成繊維を高密度に織成し、該高密度織物に撥水加工を施した防水織物が提案されている。かかる疎水性の合成繊維で構成される織物に撥水加工を施したものでは、静電気が発生しやすく、該織物を用いた衣料では、着心地が悪く、かつ発生した静電気のために汚れが付着しやすく、この汚れのために撥水性、防水性が低下するという問題があった。さらに、織物を構成する繊維の単糸繊度が細いため、織物表面においてフィラメントのループによって形成される微細な凹凸構造が不安定であり、織物表面に空気を安定的に保持できず、撥水性、防水性の耐久性の点においても不十分であった。
【0004】
織物に制電性と撥水性を付加する方法としては、制電剤と撥水剤とを混合して布帛に付着させる方法や、布帛に制電剤を付着させた後に撥水剤を付着させる方法(例えば、特許文献2参照)などが知られている。
【0005】
しかるに、制電剤と撥水剤とを混合して布帛に付着させる方法では、制電剤は強い親水性の性質を有するため、撥水剤の機能が低下し、しかも洗濯等で容易に脱落が起こるので、両方の剤が互いに相殺し合い、制電性、撥水性いずれの機能も充分に発現せず、耐久性に劣る布帛しか得られなかった。他方、布帛に制電剤を付着させた後に撥水剤を付着させる方法では、耐久性が改善されるもなお不満足であり、さらには2段階の加工処理を必要とするためコストアップになるという問題があった。
【0006】
【特許文献1】
特公平4−5786号公報
【0007】
【特許文献2】
特許第3133227号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記の従来技術に鑑みなされたものであり、本発明の目的は、耐久性よく制電性、撥水性、防水性に優れた、制電性と撥水性を有する防水織物を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を達成するため鋭意検討した結果、吸湿性マルチフィラメントと非吸湿性合成繊維マルチフィラメントとから構成される複合糸を用いて高密度織物を織成した後、該織物に撥水加工を施すと、撥水加工にもかかわらず織物の吸湿性が損なわれず優れた制電効果が得られることを見出し、さらに鋭意検討を重ねることにより本発明を完成するに至った。
【0010】
かくして、本発明によれば「ジアセテート繊維またはトリアセテート繊維またはレーヨン繊維またはナイロン繊維からなる吸湿性マルチフィラメントと、ポリエステル繊維からなる非吸湿性合成繊維マルチフィラメントとから構成される複合糸が経糸および/または緯糸に配されてなる織物であって、そのカバーファクター(CF)が1400〜5200の範囲にあり、かつ該織物の表面が撥水剤を含む加工剤で処理されてなることを特徴とする制電性と撥水性を有する防水織物。」が提供される。
【0011】
その際、吸湿性マルチフィラメントの単糸繊度が1dtex以上であり、かつ非吸湿性合成繊維マルチフィラメントの単糸繊度が1dtex以上であることが、撥水性の耐久性の点で好ましい。また、吸湿性マルチフィラメントの複合糸に対する重量割合が、50〜85重量%であることが制電性の点で好ましい。かかる吸湿性マルチフィラメントとしては、制電性と撥水性と両立させる上でジアセテート繊維が好適である。複合糸を構成する他方の非吸湿性合成繊維マルチフィラメントとしてはポリエステル繊維が好適である。撥水剤としてはふっ素系撥水剤が好適である。本発明の防水織物において、織物表面にフィラメントのループによる微細凹凸が形成されていることが撥水性の点で好ましい。また、織物表面に主として吸湿性マルチフィラメントが現れていることが制電性の点で好ましい。本発明の防水織物において、洗濯10回後の摩擦耐電圧で2500V以下の制電性を有することが好ましい。また、洗濯10回後の撥水性が4級以上であることが好ましい。さらに、洗濯10回後の防水性が400mm以上であることが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
まず、本発明でいう吸湿性マルチフィラメントとは、JIS L1013 7.1.2に規定された方法で標準温湿度状態(20℃、65%RH)における付着水分率を求め、該付着水分率が4%以上のマルチフィラメントである。かかる吸湿マルチフィラメントの種類としては、レーヨン、キュプラ等の再生繊維、ジアセテート、トリアセテートなどの半合成繊維、ナイロンなどの合成繊維が例示される。なかでも、撥水性や風合いを考慮するとやや疎水性のほうがよく、ジアセテート繊維が特に好ましく例示される。ジアセテート繊維は太くてもしなやかな性質を有しているため、本発明の防水織物にソフトな風合いを付加することも可能となる。
【0013】
かかる吸湿性マルチフィラメントの単糸繊度としては、1dtex以上(好ましくは2dtex以上、特に好ましくは3〜6dtex)であることが好ましい。該単糸繊度が1dtex未満であると、織物表面において、微細凹凸構造が変形しやすくなり、撥水性の耐久性が低下し、それにつれて防水性も低下するおそれがある。かかる吸湿性マルチフィラメントのフィラメント数、総繊度としては特に限定されないが、風合い等の点で、各々10〜50本、30〜300dtexの範囲が好適である。
【0014】
該吸湿性マルチフィラメントの繊維形態としては長繊維である必要がある。短繊維は通常撚糸されているため、ループ状の微細凹凸形状が形成されにくく、かつ短繊維毛羽のために十分な撥水性が得られず好ましくない。該吸湿性マルチフィラメントの横断面形状は特に限定されず丸、三角、扁平、中空など適宜選定される。
【0015】
なお、本発明でいう微細凹凸形状とは、特公平4−5786号公報に開示される、表面粗さが1.5ミクロン以上の、フィラメント糸条のループにより形成されるループ状の微細な凹凸のことである。
【0016】
他方、非吸湿性合成繊維マルチフィラメントは、前記の付着水分率が4%未満の合成繊維マルチフィラメントであり、その種類は特に限定されないが、織物強度を保持する点で、引張り強度が30mN/dtex以上であることが好ましい。具体的な種類としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリ乳酸、カチオン可染ポリエステルなどに代表されるポリエステル繊維、ポリエーテルエステル繊維、アクリル繊維、ナイロン繊維、アラミド繊維などが例示される。なかでも、沸水収縮率を自在に設定できる点でポリエステル繊維が好ましく例示される。
【0017】
該合成繊維の単糸繊度としては、1dtex以上(好ましくは2dtex以上、特に好ましくは3〜6dtex)であることが好ましい。該単糸繊度が1dtex未満であると、織物表面において、表面の微細凹凸構造が保持されにくく、撥水性の耐久性が低下するため好ましくない。該合成繊維のフィラメント数、総繊度としては特に限定されないが、風合い等の点で、各々10〜50本、30〜300dtexの範囲が好適である。
【0018】
該合成繊維の繊維形態としては長繊維である必要がある。短繊維は通常撚糸されているため、微細凹凸形状が形成されにくく、かつ短繊維毛羽のために十分な撥水性が得られず好ましくない。該合成繊維の横断面形状は特に限定されず丸、三角、扁平、中空など適宜選定される。
【0019】
本発明において、複合糸は、前記の吸湿性マルチフィラメントと非吸湿性合成繊維マルチフィラメントとで構成される。その際、複合糸を構成する吸湿性マルチフィラメントと非吸湿性合成繊維マルチフィラメントの本数(1マルチフィラメントを1本と数える。)としては特に限定されず、(前者:後者)で(1本:1本)、(1本:複数本)、(複数本:1本)、(複数本:複数本)いずれでもよい。ここで、吸湿性マルチフィラメントの複合糸に対する重量割合としては、優れた制電性を得る上で55〜85重量%(より好ましくは65〜85重量%、特に好ましくは70〜80重量%)であることが好ましい。吸湿性マルチフィラメントの重量割合が55重量%よりも小さいと十分な制電性が得られない恐れがある。逆に、吸湿性マルチフィラメントの重量割合が該範囲よりも大きいと織物の引張り強度や引き裂き強度が低下する恐れがある。
【0020】
かかる複合糸の形態としては特に限定されないが、撚糸、空気混繊糸、複合仮撚捲縮加工糸が好適である。なかでも、熱収縮率差を利用して織物表面に主として吸湿性マルチフィラメントが現れるようにするためには、空気混繊糸が特に好ましい。
【0021】
本発明の織物には、該複合糸が経糸および/または緯糸(好ましくは経糸および緯糸)に配される。その際、織物の組織については特に限定されず、用途に応じて平組織、綾組織、朱子組織、およびこれらの変化組織などが用いられる。なかでも、優れた防水性を得る上で、平組織、綾組織など比較的シンプルな組織が好適である。
【0022】
ここで、織物のカバーファクター(CF)が1400〜5200の範囲内である必要がある。該CFが1400より小さいと防水性が低下するためこのましくない。逆に、該CFが5200よりも大きくなると風合いが硬くなるため好ましくない。かかるCFの最適範囲は、織物組織によって少し異なり、例えば、平組織の場合では、カバーファクター(CF)を1400〜3200(より好ましくは2000〜3000)の範囲内とすることが好ましい。また、綾組織の場合では、カバーファクター(CF)を2000〜4400(より好ましくは2600〜3900)の範囲内とすることが好ましい。さらに、サテンの場合では、2700〜5100の範囲内とすることが好ましい。
【0023】
なお、カバーファクター(CF)は下記式で表されるものである。
CF=(DWp/1.1)1/2×MWp+(DWf/1.1)1/2×MWf
[DWpは経糸総繊度(dtex)、MWpは経糸織密度(本/2.54cm)、DWfは緯糸総繊度(dtex)、MWfは緯糸織密度(本/2.54cm)である。]
【0024】
本発明の防水織物は、その表面が撥水剤を含む加工剤で処理されている必要がある。かかる撥水処理は、通常のものでよい。例えば、特許第3133227号公報や特公平4−5786号公報に記載された方法が好適である。すなわち、撥水剤として市販のふっ素系撥水剤(例えば、旭硝子(株)製、アサヒガードLS−317)を使用し、必要に応じてメラミン樹脂、触媒を混合して撥水剤の濃度が3〜15重量%程度の加工剤とし、ピックアップ率50〜90%程度で、該加工剤を用いて織物の表面を処理する方法である。加工剤で織物の表面を処理する方法としては、パッド法、スプレー法などが例示され、なかでも、加工剤を織物内部まで浸透させる上でパッド法が最も好ましい。
【0025】
なお、前記ピックアップ率とは、加工剤の織物(加工剤付与前)重量に対する重量割合(%)である。
【0026】
本発明の防水織物は、下記の方法で製造することができる。まず、前記の吸湿性マルチフィラメントと非吸湿性合成繊維マルチフィラメントとを用いて複合糸を得る。その際、複合糸内における吸湿性マルチフィラメントの重量比率を前記のように55〜85重量%とすること、および/または非吸湿性合成繊維マルチフィラメントの沸水収縮率を吸湿性マルチフィラメントの沸水収縮率よりも大きくなるよう選定することにより、得られた織物表面に現れる吸湿性マルチフィラメントの比率を、非吸湿性合成繊維マルチフィラメントよりも大きくすることができる。その結果、優れた制電性が得られやすくなる。その際、吸湿性マルチフィラメントの沸水収縮率としては、0.5〜7%(より好ましくは、1〜3%)、非吸湿性合成繊維マルチフィラメントの沸水収縮率としては、20〜50%(より好ましくは、25〜40%)の範囲が好ましい。
【0027】
かかる沸水収縮率差をもうけることにより、織物を後加工工程に供した際、織物表面にフィラメントループによる微細な凹凸が形成されやすく、優れた撥水性が得られやすくなる。該沸水収縮率差を効果的に発現させる上で、複合糸の形態としては、公知のインターレースノズルを用いた空気混繊糸が好適である。なお、かかる複合糸には、本発明の目的が損なわれない範囲内であれば、他の繊維が少量含まれていてもさしつかえない。
【0028】
次いで、かかる複合糸を経糸および/または緯糸(好ましくは経糸および緯糸)に用いて、後加工後のカバーファクター(CF)が前記の範囲なるよう、適宜生機密度を選定して織物に製織される。その際、好ましい織物組織は前述の通りである。
【0029】
かかる織物に、通常の後加工工程(染色仕上げ工程)に従い、糊抜き精錬、リラックス、熱セット、染色加工等を適宜施した後、前記の撥水加工を施し、通常はさらに乾燥、必要に応じてキュアーすることにより、本発明の防水織物が得られる。
【0030】
かくして得られた防水織物において、織物表面にフィラメントループによる微細な凹凸があることが、優れた撥水性を得る上で好ましい。かかる微細な凹凸は、吸湿マルチフィラメントと合成繊維マルチフィラメントの沸水収縮率を適宜選定することにより容易に得られる。
【0031】
本発明の防水織物において、表面に現れる繊維が主として吸湿性マルチフィラメントであることが、優れた制電性を得る上で好ましい。ここで、「主として」とは60%以上という意味である。このように、織物表面において、主として吸湿性マルチフィラメントが現れるようにする方法としては、前記のように、吸湿性マルチフィラメントの複合糸に対する重量割合を高くするか、および/または吸湿性マルチフィラメントの沸水収縮率を非吸湿性合成繊維マルチフィラメントの沸水収縮率よりも低くする方法などがあげられる。
【0032】
本発明の防水織物において、吸湿性マルチフィラメントが含まれるため、撥水処理されているにもかかわらず、優れた制電性が発現される。かかる制電性としては、洗濯10回後の摩擦耐電圧で2500V以下であることが好ましい。また、洗濯10回後の撥水性、防水性、透湿性としては、各々撥水性4級以上、防水性400mm以上、透湿性6000g/m2/24Hr以上であることが好ましい。なお、本発明でいう洗濯とは、JIS L 0217 103法で規定された洗濯のことである。
【0033】
本発明の防水織物には、防水性をさらに高めるために、通常のカレンダー加工により、織物組織の空隙をさらに小さくしてもよい。さらに高度の防水性が必要とされる場合には、樹脂コーテング、フィルムラミネート等の通常透湿防水布帛を得るために実施されている各種手段と組合わせることにより一層の防水性向上をはかることはさしつかえない。また、起毛加工、抗菌防臭加工、マイナスイオン発生加工など公知の加工が適宜付加されていてもさしつかえない。
【0034】
【実施例】
次に本発明の実施例及び比較例を詳述するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、実施例では下記の方法で評価を行った。
<付着水分率>JIS L1013 7.1.2に規定された方法で標準温湿度状態(20℃、65%RH)における付着水分率(%)をn数3で求めた。
<沸水収縮率>JIS L 1013で規定される方法により、沸水収縮率(熱水収縮率)(%)をn数3で測定した。
<摩擦耐電圧>JIS L 1094−1997により摩擦耐電圧(V)をn数3で測定した。
<撥水性>JIS L 1092の5.2撥水度(スプレー法)で撥水性(級)をn数3で測定した。なお、該撥水性は5級が最良である。
<摩耗撥水性>JIS L 0849の摩擦試験機II型(学振型)を用いて荷重1.96N(200grf)で1000回実施したのち、上記撥水性評価方法で、摩耗部の撥水性をn数3で測定した。
<透湿性>JIS L 1096のカップ法でn数1で測定した。
<防水性>JIS L 1092−Aの低水圧法でn数3で測定した。
【0035】
[実施例1]
沸水収縮率が2%、付着水分率が6.5%の84dtex/20filの通常のジアセテートマルチフィラメント(吸湿性マルチフィラメント)と、沸水収縮率が30%、付着水分率が0.4%の33dtex/12filの高収縮ポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント(非吸湿性合成繊維マルチフィラメント)とを各々1本ずつ引き揃え、公知のインターレースノズルを用いて圧空圧300kPa(3kgf/cm2)で空気混繊を行うことにより、複合糸を得た。該複合糸において、ジアセテートマルチフィラメントの重量割合は、72%であった。
【0036】
次いで、該複合糸を経糸および緯糸に用いて、生機経糸密度136本/2.54cm、生機緯糸密度100本/2.54cmの1/2綾織物(CF=2413)を製織した。
【0037】
かかる織物を通常のアセテート、ポリエステル混合織物の加工方法に準じて、リラックス処理、乾燥、熱セット、染色、乾燥後、下記の処理液(加工剤)をパッドし、ピックアップ率70%で搾液し、130℃で3分間乾燥後170℃で45秒間熱処理を行い、防水織物(経糸密度170本/2.54cm、緯糸密度130本/2.54cm、CF=3067)を得た。
<加工剤組成>
・ふっ素系撥水剤 10.0wt%
(旭硝子(株)製、アサヒガードLS−317)
・メラミン樹脂 0.3wt%
(住友化学(株)製、スミテックスレジンM−3)
・触媒 0.3wt%
(住友化学(株)製、スミテックスアクセレレータACX)
・水 89.4wt%
【0038】
得られた防水織物において、織物表面にフィラメントのループによる微細な凹凸が形成されていた。そして、該防水織物について、摩擦耐電圧、撥水性、防水性、透湿性、織物としての付着水分率を測定したところ、洗濯前で摩擦帯電圧2300V、撥水性5級、摩耗撥水性5級、防水性450mm、透湿性9000g/m2/24Hr、7時間後の付着水分率3.05%であった。また、JIS L 0217 103法で規定された洗濯10回後で、微細な凹凸はほぼ保持されており、摩擦帯電圧1650V、撥水性4−5級、摩耗撥水性4−5級防水性440mm、透湿性9000g/m2/24Hr、7時間後の付着水分率3.28%と洗濯後においても制電性、撥水性、防水性に優れるものであった。
【0039】
[比較例1]
実施例1において、沸水収縮率が7.0%、付着水分率が0.4%の66dtex/144filの通常のポリエチレンテレフタレートマルチフィラメントと、沸水収縮率が30%、付着水分率が0.4%の33dtex/12filの高収縮ポリエチレンテレフタレートマルチフィラメントと用いて複合糸を得た。そして該複合糸を用いて生機経糸密度142本/2.54cm、生機緯糸密度109本/2.54cmの1/2綾織物(CF=2452)を製織したこと以外は実施例1と同様にして防水織物(経糸密度181本/2.54cm、緯糸密度133本/2.54cm、CF=3068)を得た。
【0040】
得られた防水織物において、織物表面にフィラメントのループによる微細な凹凸が形成されていた。そして、該防水織物について、摩擦耐電圧、撥水性、防水性、透湿性、織物としての付着水分率を測定したところ、洗濯前で摩擦帯電圧3800V、撥水性5級、摩耗撥水性5−4級、防水性750mm、透湿性9000g/m2/24Hr、7時間後の付着水分率0.33%であった。また、JIS L 0217 103法で規定された洗濯10回後で、微細な凹凸はあるものの形状が乱れており、摩擦帯電圧5200V、撥水性4級、摩耗撥水性4−3級、防水性650mm、透湿性9000g/m2/24Hr、7時間後の付着水分率0.32%であり、制電性、撥水性とも不十分であった。
【0041】
【発明の効果】
本発明によれば、耐久性よく制電性、撥水性、防水性に優れた防水織物が提供される。かかる防水織物において、静電気による汚れ付着が少ないため、撥水性、防水性が低下する恐れがない。しかも、かかる防水織物は、後加工で制電性を付与する必要がないため比較的安いコストで製造可能である。本発明の防水織物を用いて衣服を作製すると、制電性、撥水性、防水性の点で耐久性よく優れた防水衣服が得られる。本発明の防水織物は、スキーウエアー、ウインドブレーカー、ゴルフウエアー等のスポーツウエアーからコート、ジャケット、パンツ等のファッション衣料用途、アウトドアー用途等に巾広く使用が可能である。

Claims (11)

  1. ジアセテート繊維またはトリアセテート繊維またはレーヨン繊維またはナイロン繊維からなる吸湿性マルチフィラメントと、ポリエステル繊維からなる非吸湿性合成繊維マルチフィラメントとから構成される複合糸が経糸および/または緯糸に配されてなる織物であって、そのカバーファクター(CF)が1400〜5200の範囲にあり、かつ該織物の表面が撥水剤を含む加工剤で処理されてなることを特徴とする制電性と撥水性を有する防水織物。
  2. 吸湿性マルチフィラメントの単糸繊度が1dtex以上であり、かつ非吸湿性合成繊維マルチフィラメントの単糸繊度が1dtex以上である請求項1に記載の制電性と撥水性を有する防水織物。
  3. 吸湿性マルチフィラメントの複合糸に対する重量割合が55〜85重量%である請求項1または請求項2に記載に制電性と撥水性を有する防水織物。
  4. 吸湿性マルチフィラメントがジアセテート繊維である請求項1〜3のいずれかに記載の制電性と撥水性を有する防水織物。
  5. 非吸湿性合成繊維マルチフィラメントがポリエステル繊維である請求項1〜4のいずれかに記載の制電性と撥水性を有する防水織物。
  6. 撥水剤がふっ素系撥水剤である請求項1〜5のいずれかに記載の制電性と撥水性を有する防水織物。
  7. 織物表面にフィラメントのループによる微細凹凸が形成されてなる請求項1〜6のいずれかに記載の制電性と撥水性を有する防水織物。
  8. 織物表面に主として吸湿性マルチフィラメントが現れる請求項1〜7のいずれかに記載の制電性と撥水性を有する防水織物。
  9. 洗濯10回後の摩擦耐電圧が2500V以下である請求項1〜8のいずれかに記載の制電性と撥水性を有する防水織物。
  10. 洗濯10回後の撥水性が4級以上である請求項1〜9のいずれかに記載の制電性と撥水性を有する防水織物。
  11. 洗濯10回後の防水性が400mm以上である請求項1〜10のいずれかに記載の制電性と撥水性を有する防水織物。
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