JP4444582B2 - 酸化チタン粒子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光触媒として好適な酸化チタン粒子と、この酸化チタン粒子を光触媒として使用して汚染物質を処理する方法や水を分解する方法、さらには、かかる酸化チタン粒子の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
酸化チタン粒子(TiO2)粒子は、ペイント、化粧品、および食品添加物等として広く使用されて来ている。さらに、酸化チタン粒子は、これが保有する光触媒作用により、大気汚染の原因となるNOxの分解や、水質汚濁を惹起せしめる有機溶剤を分解させるためなどに使用することの検討が行われている。
【0003】
ところで、酸化チタン粒子の光触媒反応は、その表面で起こる反応であり、それ故、上記汚染物質の分解に当たっては、分解対象物質を酸化チタン粒子表面に吸着させることが望ましい。すなわち、分解をより効率よく行うには、吸着面積が広いこと好ましく、粒径が小さい酸化チタン粒子ほど高い分解力を有するものである。
【0004】
このため、特開平11−267519号公報および特開平7−303835号公報では、数nmオーダにまで微細化した酸化チタン粒子を提案している。しかし、数nmオーダの粒子ではスラリー状とした時に、分散性に問題が生じることあり、粒径は10nm以上にすることが望ましい。
【0005】
また、光触媒として使用される酸化チタン粒子は、反応性、活性にばらつきが少なく、均一なものが好ましく、それゆえ、粒径分布が小さい粒子のものが望まれている。さらに、粒子合成装置、スラリー混合装置等からの分離、除去作業が容易である球状の粒子であることが望ましい。
【0006】
このようなことから、特開平5−163022号公報においては、球状で、真球度が高く、粒径分布が比較的小さい酸化チタン粒子が提案されている。しかし、ここで提案されている酸化チタン粒子は、その粒径は0.1μm以上となり、分解を効果的に行うためには必要である、分解対象物を吸着するための比表面積が小さいという点で不利である。
【0007】
一方、上記特開平5−163022号公報に開示されているように、光触媒活性を有するアナターゼ型酸化チタン粒子で、粒径が十分小さい粒子を得るには、一般に、焼成または凝集した酸化チタン粒子を粉砕等の手段をもって壊砕しなければならず、そのため、真球に近い形状の酸化チタン粒子粒子を得ることは困難である。
【0008】
また、粉砕工程用いないで粒子を得る方法として、四塩化チタンや硫酸チタン等を加水分解および熱酸化する製法があるが、この場合、粒径を小さくすると、粒子の真球度が低下して行くこととなる。
このように、比表面積が大きく、球状でかつ真球度が高いという要件を有し、光触媒として好適な酸化チタン粒子が未だ現出していないのが実情であり、その速やかな出現が望まれている。
【0009】
【特許文献1】
特開平11−267519号公報
【特許文献2】
特開平5−163022号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
よって、本発明における課題は、光触媒として好適な酸化チタン粒子と該酸化チタン粒子を光触媒として使用して効率よく汚染物質を処理する方法や水を分解する方法、さらには、かかる光触媒として好適な酸化チタン粒子の製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するため、
請求項1に係る発明は、多重管構造の酸水素バーナにより形成された酸水素炎に対してこの酸水素炎の側方からチタン化合物蒸気を送り込み、酸水素バーナに供給する酸素−水素の供給量比を3/4以上として酸素量を過剰にし、酸水素炎中で加水分解反応と熱酸化反応とを同時に引き起こして酸化チタン粒子を製造することを特徴とする酸化チタン粒子の製造方法である。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明の酸化チタン粒子は、その形状を真球度の高い球形粒子としたものである。その粒子の最大直径をL(max)、最小直径L(min)とした時、平均粒子径Lを式(1)で定義する。
L=[L(max)×L(min)]1/2 …… (1)
【0017】
そして、本発明の酸化チタン粒子の粒子は、平均粒子径Lが10nm以上で100nm以下であることを特徴としているものである。
また、粒子集合物全体の85容量%を占める粒子の径が10nm以上で40nm以下という粒径分布を有しているものである。
【0018】
さらに、平均粒子径Lが10nm〜30nmであり、粒子集合物全体の85容量%を占める粒子の径が10nm以上25nmの酸化チタン粒子粒子は、汚染物を分解するという面で光触媒活性が高く、優れた特性を有する。
【0019】
また、粒子の真球度Dを式(2)で定義する。
D=[{L(max)−L(min)}/L]×100 …… (2)
そして、本発明の酸化チタン粒子の粒子は、真球度Dが0.1以下で真球度が高いことにあることを特徴とするものである。真球度が高く、粒子径が揃っている酸化チタン粒子は、光触媒として高機能であるというだけでなく、従来使用されている顔料としても、展延性、分散性に優れているため、高特性機能を有するものである。
【0020】
図1および図2は、以上のような態様の本発明の酸化チタン粒子の走査型電気顕微鏡写真を示すもので、図2の写真は、図1の部分拡大したものである。
図1および図2の写真で明らかなように、本発明の酸化チタン粒子が、上記したような寸法要件を有する粒子をなしていることが確認される。
さらに、本発明の酸化チタン粒子粒子はその表面には、図2の写真で認められるように、網目模様を有することに特徴を有する。
【0021】
また、本発明の酸化チタン粒子は、粒子集合物全体の70%以上がアナターゼ型の酸化チタン粒子からなっていることに特徴を有するものであるが、汚染物を分解するという点では、90%以上がアナターゼ型の酸化チタン粒子からなることが、より一層好ましい。そして、顔料として使用する上で、よりその効果を発揮せしめるには光学的に不活性なルチル型であることが望ましい。
【0022】
そして、本発明の酸化チタン粒子の粒子を700℃以上の温度で熱処理することにより、ルチル型に変化せしめることができる特徴を有する。なお、この場合、熱処理時の焼結作用により比表面積が小さくなったり、または、粒子形状が変形することが懸念されるが、従来の球形の酸化チタン粒子に比べて、結晶性が高いため、焼結現象は抑制され、粒子径や形状の変化は起こり難い。
【0023】
以上のような特徴を有する本発明の酸化チタン粒子は、光触媒として効果的に利用し得るものである。すなわち、本発明の酸化チタン粒子を適宜の手段で基材上に塗布して付着せしめることで光触媒作用を発揮する。例えば、酸化チタン粒子を有機溶媒などの分散媒に分散せしめてペーストとし、このペーストをガラス、セラミックス、金属、木材、プラスチック、または塗膜等の基材上に塗布し、これに紫外光などの光を照射することで光触媒として機能するものである。
【0024】
また、この酸化チタン粒子からなる光触媒は、可視光応答型光触媒とすることができる。例えば、本発明の酸化チタン粒子を、アルゴンガスで所定の濃度に希釈したアンモニアガス雰囲気中で所定の時間加熱処理することにより、可視光応答型光触媒とすることが出来る。そして、この可視光応答型光触媒は、400nm以上の波長領域の可視光でも光触媒活性を示し、室内等に配設された蛍光灯、白熱電灯などの人工光源からの可視光でもその光触媒作用を発揮することができ、極めて効果的に活用することができる。
【0025】
本発明の酸化チタン粒子からなる光触媒は、汚染物質の分解除去、異臭物質の分解除去、殺菌、滅菌等や、超親水性被膜の形成用、表面の防汚等に極めて効率よく効果的に機能する。また、クリーンエネルギー源としての水素の供給のために水の分解にも適した光触媒としても、極めて有効に活用することが出来る。なお、その具体的な使用形態は、従来の酸化チタン粒子からなる光触媒と同様である。
【0026】
次に本発明の酸化チタン粒子の製造方法について説明する。本発明の酸化チタン粒子は、酸水素火炎中にチタン化合物蒸気を供給して、加水分解反応と熱酸化反応とを同時に惹起せしめることによって製造する。これを図3を参照して説明する。図3は本発明の酸化チタン粒子を製造する方法に使用する製造装置の一例を説明する概略図である。
【0027】
図3において、チャンバー1内に設置された酸水素バーナ2に、管路3より酸素ガスO2が、また管路4より水素ガスH2が供給される。そして、酸水素バーナ2で発生せしめた酸水素火炎5中にチタン化合物蒸気9を管路8より供給をするようにする。この際、図示のように、酸水素炎5の側方から酸水素炎5内にチタン化合物蒸気9を送り込む。
【0028】
なお、該チタン化合物蒸気10は、貯槽6に貯留されていて、アルゴンガスAr、窒素ガスN2のような不活性ガスGを管路7により貯槽6内に供給して貯槽6内に吹き込み、貯槽6内のチタン化合物9を蒸気として同伴して送出し、管路8でチャンバー1に供給するものである。
【0029】
そして、チャンバー1内で生成された酸化チタン粒子10は、管路11を介してバグフィルター12に吸引され、該バグフィルタ12に貯留される。なお、吸引排気は管路13により図示しない吸引ポンプで行われる。
【0030】
そして、酸水素バーナ2では、通常は、酸素ガスO2と水素ガスH2は容量比で1:2の割合で反応して水を生成する。これを、本発明では酸水素バーナ2に供給する酸素ガスO2と水素ガスH2の容量を、酸素ガスO2を過剰として供給することを特徴とするものである。
【0031】
すなわち、本発明では、酸水素容量比=酸素ガス流量/水素ガス流量と定義すると、酸水素容量比を0.75以上とすることを特徴とし、さらに好ましくは1.5以上とすることである。これにより、酸素ガスO2と水素ガスH2の燃焼反応で、水が生成され、供給されるチタン化合物蒸気9と反応して加水分解反応を起こす。同時に、過剰な酸素ガスO2と酸水素火炎5の熱とにより、チタン化合物9に熱酸化が生じる。この結果、チタン化合物9の加水分解と熱酸化との同時発生により、本発明の酸化チタン粒子10が合成されるのである。
【0032】
この酸化チタン粒子チタンの生成に使用される酸水素バーナ2としては、図4に図示するような同心の内外二重管で外管21aに酸素ガスO2を流し、内管21bに水素ガスH2を流すようにした石英ガラス製の同心2重管酸水素バーナ21を使用することが出来、均一な熱分布を有する酸水素火炎5を形成することが出来るので、粒径分布が小さい酸化チタン粒子10の粒子を合成するには極めて好適である。
【0033】
また、多重管構造の酸水素バーナとしては、図5に図示するような、最内側管路22dより、外側管に向け順次管路22c,22b、22aを配した同心4重管からなる同心4重管酸水素バーナ22等、種々の多重管が適宜その製造条件に応じて使用することが出来る。なお、この場合、前記管路22d、22c、22b、22aに、例えば酸素ガスO2と水素ガスH2とを交互に流すようにして酸水素火炎を発生するようにして使用することが出来る。
【0036】
本発明で使用する上記チタン化合物9としては、四塩化チタン(TiCl4)、硫酸チタン(Ti(SO4)2)等を好適に用いることが出来る。例えば四塩化チタンを使用した場合、図3に図示するように、貯槽6に四塩化チタンを貯留し、アルゴンガスAr等の不活性ガスGを四塩化チタン液に吹き込んでバブリングして四塩化チタンを気化せしめて同伴して管路8よりチャンバー1に供給する。
【0037】
この場合、四塩化チタンは、その蒸気圧の大きさから貯槽6を60℃以上の温度とすることが望ましい。さらに管路8も、気化した四塩化チタンが液化しないように、貯槽6の温度以上の温度、好ましくは100℃以上に保温するようにして、気化状態を保って、酸水素火炎5に供給するようにすると良い。
【0038】
なお、合成される酸化チタン粒子10に、例えばリン、窒素、ケイ素、ホウ素等のドーパントを添加する場合には、ドーパントとなる化合物の蒸気をチタン化合物9の蒸気に混合して、チャンバー1または酸水素バーナ2に供給するようにすれば良い。
【0039】
ドーパント化合物を蒸気にして混合するにあたっては、例えばケイ素の場合は、原料として四塩化ケイ素を用いることが出来る。この場合、四塩化ケイ素を別途貯槽に貯留しておき、これにアルゴンガスAr等のガスでバブリングして蒸気としてチャンバー1に送っても良いし、酸水素バーナ2に酸素ガスO2、水素ガスH2とは別にして導入しても良く、そして多重管構造のバーナを用いて酸水素火炎5とは別の管路より、酸水素火炎5に向けて噴出するようにすると良い。
【0040】
次に、チャンバー1で合成された酸化チタン粒子10は、排気ポンプ(図示せず)が管路13で連結されているバグフィルター12に管路11を経て吸引され、このバグフィルタ12に捕集される。そして、このバグフィルター12には、例えば空気、窒素ガス等の圧縮ガスでバグフィルター12に衝撃を付与して、目詰まりした酸化チタン粒子10を払い落とす機構や、機械的に衝撃を与えて目詰まりを叩き落とす機構を設備しておくことによって、バグフィルター12に捕集された酸化チタン粒子10の粒子を効率よく回収することが出来る。
【0041】
このようにして製造された酸化チタン粒子10は、本発明の酸化チタン粒子としての特有の特徴、すなわち、粒子表面に網目模様を有し、平均粒子径が10〜100nmで、粒子の真球度が0.1以下である球状粒子であり、該球状粒子の70%以上がアナターゼ型の酸化チタン粒子である特徴を有するものとなる。
【0042】
以下、参考例を示すが、これらは本発明の技術的範囲外のものである。
【0043】
<参考例1>
四塩化チタン蒸気を原料として、これを図5で図示した4重管構造の酸水素バーナ22を使用した酸水素火炎5中に、投入して熱酸化させ、酸化チタン粒子10を合成した。4重管構造の酸水素バーナ22の最内管22dには四塩化チタン蒸気を200sccmの流量で導入し、内側から2番目の管路22cに水素ガスH2を2000sccmの流量で、内側から3番目の管路22bにアルゴンガスArを2000sccmの流量で、そして最外管の管路22aには酸素ガスO2を3500sccmの流量で、それぞれ導入して、酸水素火炎により酸化チタン粒子10を製造した。
【0044】
得られた酸化チタン粒子10の粒子の形状は球形で、電子顕微鏡で観察した粒子像から測定した粒子の平均粒子径は40nmで、真球度は0.06以下であった。また、粒径分布は粒子集合物全体の85%を占める粒子の径が20nm以上で、60nm以下であり、粒径分布は小さかった。
【0045】
<比較例1>
参考例1の特性を検証するため、以下のような比較例1を行った。参考例1と同様に四塩化チタン蒸気を原料として使用した。そして、この四塩化チタン蒸気と加熱された酸素ガスO2と合成チャンバー内で混合し、熱酸化せしめて酸化チタン粒子を製造した。
【0046】
四塩化チタンの蒸気はバブリングで形成して供給し、バブリング温度は貯槽の温度を85℃に加温、保持し、バブリングキャリアガスとしてアルゴンガスArを200sccmの流量で流した。反応酸素ガスO2は流量3500sccmとし、その温度を1000℃に加熱した。
【0047】
得られた酸化チタン粒子の粒子の形状は表面に起伏のある不規則な粒状であり、真球度は測定不可能な形状であった。電子顕微鏡で観察した粒子像から測定した粒子の平均粒子径は90nmであり、粒径分布は、粒子全体の85%を占める粒子の径が20nm以上で、200nm以下であり、粒径分布は大きかった。
【0048】
<参考例1と比較例1との比較検証>
上記参考例1の四塩化チタン蒸気を過剰酸素ガスO2の酸水素火炎中で合成して得られた酸化チタン粒子の粒子は、平均粒子径、真球度、粒径分布の点で、比較例1の単なる高温度酸素ガスO2雰囲気で四塩化チタン蒸気を熱酸化する方法で製造された酸化チタン粒子と格段の差異があることが明らかであり、しかも参考例1の酸化チタン粒子が明白に優れていることが確認された。
【0049】
<参考例2>
上記参考例1と同様に、四塩化チタン蒸気を原料として、図5で図示した4重管構造の酸水素バーナ22を使用した酸水素火炎5中に、投入して熱酸化させ、酸化チタン粒子10の粒子を合成した。4重管構造の酸水素バーナ22の最内管22dには四塩化チタン蒸気を200sccmの流量で導入し、内側から2番目の管路22cには水素ガスH2を2000sccmの流量で、内側から3番目の管路22bにはアルゴンガスArを2000sccmの流量で、そして最外管の管路22aには酸素ガスO2を3500sccmの流量で、それぞれ導入して、酸化チタン粒子10を製造した。
【0050】
ここで得られた酸化チタン粒子の粒子を石英ガラス板上にコーティングし、紫外線照射による光触媒活性の評価を行った。評価は、アセトアルデヒドの分解能力で行い、分解されて発生する二酸化炭素(CO2)の濃度を測定することによって評価した。その結果を、図7に時間経過に伴う二酸化炭素濃度(ppm)の変化として、グラフに示す。
【0051】
<比較例2>
上記参考例2の光触媒活性の評価を検証するため、比較例2として、上記比較例1で得られた酸化チタン粒子の粒子を、参考例1と同様に石英ガラス板上にコーティングし、紫外線照射による光触媒活性の評価を行った。評価は、アセトアルデヒドの分解能力で行い、分解されて発生する二酸化炭素(CO2)の濃度を測定することによって評価した。なお、粒子の平均粒径が同程度になるよう合成条件を調整した。その結果を、時間経過に伴う二酸化炭素濃度(ppm)変化として、図6に参考例2のグラフと併記して図示する
【0052】
<参考例2と比較例2とでの光触媒活性の比較検証>
図6で明らかであるように、参考例2の酸化チタン粒子の方が、極めて高いアセトアルデヒド分解力を示しており、光触媒活性が優れていることが確認された。
【0053】
<比較例3>
比較例3として、ガラス管を合成管として用い、該ガラス管に四塩化チタン蒸気と酸素ガスO2を導入し、熱源を酸水素バーナとして、ガラス管の外部から加熱することにより、ガラス管内で四塩化チタンを熱酸化させるCVD法により箱型形状酸化チタン粒子を合成した。得られたこの酸化チタン粒子の粒子を石英ガラス板上にコーティングし、これに大腸菌を塗布した。そして、ブラックライトを照射し、大腸菌数の時間経過による変化を検証した。その結果、最初の大腸菌数の1%以下に達するまでの時間は30分であった。
【0054】
<比較例4>
比較例4として四塩化チタンの蒸気を原料として、酸素ガスO2と混合して、これを加熱して熱酸化させるCVD法により球状の酸化チタン粒子を合成した。得られたこの酸化チタン粒子の粒子を石英ガラス板上にコーティングし、これに大腸菌を塗布した。そして、ブラックライトを照射し、大腸菌数の時間経過による変化を検証した。その結果、最初の大腸菌数の1%以下に達するまでの時間は60分であった。
【0055】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、
(i)本発明の酸化チタン粒子は、比表面積が大きく、平均粒子径が10〜100nmと小さく、しかも粒径分布が10〜40nmの粒子が85容量%を占めていて、球状でかつ真球度が高い粒子を形成していて、光触媒活性が高く、分散性に優れ、光触媒として好適である。
【0056】
(ii)本発明の酸化チタン粒子は、粒子全体の70%以上がアナターゼ型の酸化チタン粒子からなっていることに特徴を有するものであり、汚染物を分解する光触媒として効果的に機能する。
(iii)本発明の酸化チタン粒子の粒子を適宜の手段で基材上に塗布して付着せしめることで光触媒作用を発揮する。例えば、酸化チタン粒子を有機溶媒などの分散媒に分散せしめてペーストとし、このペーストをガラス、セラミックス、金属、木材、プラスチック、または塗膜等の基材上に塗布し、これに紫外光などの光を照射することで光触媒として機能する。
【0057】
(iv)さらに本発明の酸化チタン粒子の粒子よりなる光触媒は、汚染物質の分解除去、異臭物質の分解除去、殺菌、滅菌等や、超親水性被膜の形成用、表面の防汚等に極めて効率よく効果的に機能する。
【0058】
(v)本発明の酸化チタン粒子製造方法は、酸水素バーナで発生せしめた酸水素火炎中に、酸素ガス過剰状態にしてチタン化合物蒸気を供給投入をするようにして、加水分解反応と熱酸化反応とを同時に起こして、酸化チタン粒子を合成するものであるので、比表面積が大きく、平均粒子径が10〜100nmと小さく、しかも粒径分布が10〜40nmの粒子が85容量%を占めていて、球状でかつ真球度が高い粒子よりなる特性を有する酸化チタン粒子を得ることを可能となる。さらに、本発明の製造方法では、多重管の酸水素バーナを使用することにより、より一層優れた特性を有する酸化チタン粒子の粒子を効率よく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の酸化チタン粒子の走査型電子顕微鏡写真。
【図2】図1の部分拡大した走査型電子顕微鏡写真。
【図3】本発明の酸化チタン粒子を製造する方法に使用する製造装置の一例を説明する概略図。
【図4】本発明の酸化チタン粒子を製造する方法に使用する同心2重管酸水素バーナの断面模型図。
【図5】本発明の酸化チタン粒子を製造する方法に使用する同心4重管酸水素バーナの断面模型図。
【図6】参考例2での本発明の酸化チタン粒子と、比較例2の従来の酸化チタン粒子との、それぞれの光触媒活性評価のための、アセトアルデヒドの分解の検証で、分解されて発生する二酸化炭素の濃度(ppm)の時間経過に伴う変化のグラフ。
Claims (1)
- 多重管構造の酸水素バーナにより形成された酸水素炎に対してこの酸水素炎の側方からチタン化合物蒸気を送り込み、酸水素バーナに供給する酸素−水素の供給量比を3/4以上として酸素量を過剰にし、酸水素炎中で加水分解反応と熱酸化反応とを同時に引き起こして酸化チタン粒子を製造することを特徴とする酸化チタン粒子の製造方法。
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