以下、図示実施形態に基づき本発明を説明する。デジタルカメラ10は、撮影光学系を内蔵したカメラ本体部11を有している。カメラ本体部11は撮影光学系の光軸Oに沿う方向に長い箱型(四角筒)形状をなし、その外面は、光軸Oと略直交するボディ前端面11aとボディ後端面11b、このボディ前端面11aとボディ後端面11bを接続して光軸Oを囲むボディ上面11c、ボディ下面11d、ボディ右側面11e、ボディ左側面11fとにより構成されている。なお本実施形態では、図3、図11及び図12の天地方向をデジタルカメラ10における上下方向、同じく水平方向を左右方向とする。より詳細には、デジタルカメラ10に対してボディ後端面11b側に視点位置をとったとき(図3の状態)での右手方向を右、同左手方向を左と定義する。また、光軸Oと平行な方向(以下、光軸方向とする)をデジタルカメラ10における前後方向とし、ボディ前端面11a側を前方、ボディ後端面11b側を後方と定義する。
カメラ本体部11のボディ前端面11aには、撮影光学系のうち最も被写体側に位置する前玉レンズLFが露出している。前玉レンズLFは単レンズでもレンズ群でもよい。前玉レンズLFの周囲は、フィルタなどのアクセサリを取り付けることが可能なフィルタねじ12が設けられている。撮影光学系はズームレンズ系であり、図示しないが前玉レンズLF以外にも複数のレンズ群を備えている。また、撮影光学系はズーミング時及びフォーカシング時に鏡筒を繰り出さないインナーズーム、インナーフォーカスタイプの撮影光学系であり、前玉レンズLFが図示位置より前方に移動することはない。
カメラ本体部11のボディ上面11cには、ボディ後端面11bに近い領域に、電源ボタン13、モードダイヤル14、再生ボタン15、メニューボタン16、多方向ボタン17といった操作関連のボタンが設けられている。電源ボタン13はデジタルカメラ10のメインスイッチをオンオフさせるための操作部材、モードダイヤル14は各種撮影モードを選択するための操作部材、再生ボタン15は記録された画像を液晶表示部32に表示(再生)させるための操作部材である。また、メニューボタン16を操作すると各種の設定モードに入り、多方向ボタン17を操作して機能を選択、設定することができる。多方向ボタン17はまた、再生される画像の切り換えなどにも使用される。メニューボタン16による設定項目は、記録画面サイズ、画質、ホワイトバランス、感度等であるが、これに限定されるものではない。多方向ボタン17は複数方向へ操作可能なモーメンタリスイッチであり、例えば、直交する2軸方向(4方向)への押圧操作と該2軸の交点位置での押下操作が可能に構成されている。これらボタン類の前方には、ポップアップストロボ18が配設されている。ポップアップストロボ18は、その発光部をカメラ本体部11の上方へ突出させるポップアップ状態と、該発光部をボディ上面11c内に収納させる収納状態とに切換可能であり、各図はポップアップストロボ18の収納状態を示している。また、ボディ上面11cとボディ右側面11eの間の稜線部付近にはメモリカード蓋19が設けられている。メモリカード蓋19を開くと図示しないメモリカードスロットの開口部が露出し、画像データを記録するためのメモリカードをメモリカードスロットに挿脱させることが可能になる。
カメラ本体部11のボディ左側面11fには、ボディ上面11c上の各種ボタンと概ね同様の前後方向位置(すなわち、ボディ後端面11bに近い領域)に、ストロボモードボタン20、セルフ連写ボタン21、フォーカスモードボタン22が光軸方向へ略等間隔で配設されている。ストロボモードボタン20は、ポップアップストロボ18の発光部の制御に用いる操作部材であり、強制発光、発光停止、赤目防止発光モード等のストロボ関連のモードを切り替えることができる。セルフ連写ボタン21は撮影時のドライブモードを選択するための操作部材であり、通常のドライブモード(シャッタレリーズ操作と同時に1枚だけ撮影する)に加えて、セルフタイマ撮影モード、オートブラケットモード等を選択することができる。フォーカスモードボタン22は、フォーカスモードを選択するための操作部材であり、通常のオートフォーカスモードの他に、マクロ撮影モード、無限遠撮影モード、マニュアルフォーカスモード等を選択することができる。また、ボディ左側面11fには、ストロボモードボタン20の若干前方にスピーカー開口部23が形成され、該スピーカー開口部23の下方には外部コネクタカバー24が設けられている。外部コネクタカバー24はボディ左側面11fに対して開閉(または着脱)可能になっている。
カメラ本体部11のボディ後端面11b側には、ボディ後端面11bとボディ上面11cの間の稜線(境界)部に設けたヒンジ部26を介して液晶モニタブロック25が支持されている。ヒンジ部26は、カメラ本体部11側において左右方向に離間させて設けた一対の支持アーム27と、該一対の支持アーム27に挟まれ液晶モニタブロック25を支持する中間支持部28と、該中間支持部28から左右方向に突出されて各支持アーム27内の軸孔に回転可能に挿入された一対の軸ピン29を備え、該軸ピン29を介して支持アーム27と中間支持部28は相対回動可能になっている。軸ピン29の軸線X1は光軸Oと直交するカメラの左右方向へ向いており、該軸線X1を中心として液晶モニタブロック25は、光軸Oの後方延長上にあってボディ後端面11bに隣接する収納位置(図4、図9)と、中間支持部28と反対側の縁部をヒンジ部26よりも高い位置に持ち上げる起立位置(図8)との間で回動することができる。収納位置では、液晶モニタブロック25の液晶表示部32は、光軸Oに対して略直交する平面内に位置される。また、図8に二点鎖線で示す位置が液晶モニタブロック25の最大起立位置である。液晶モニタブロック25における収納位置と最大起立位置の間の回動角は180度以上であることが好ましく、本実施形態では約210度に設定されている。
液晶モニタブロック25はまた、中間支持部28に対して、軸線X1と直交する軸線X2を中心として回動可能に支持されている。詳細には、液晶モニタブロック25のフレーム部25aには、該軸線X2方向に向けて軸ピン30が設けられ、中間支持部28には該軸ピン30が回転可能に挿入される軸孔が形成されている。したがって、カメラ本体部11に対して液晶モニタブロック25は、軸線X1を中心とする回動と、軸線X2を中心とする回動を行うことができる。なお、ヒンジ部26における軸ピンと軸孔の関係は、以上の説明とは逆の関係にすることもできる。すなわち、支持アーム27(カメラ本体部11)と中間支持部28の関係においては、支持アーム27側に軸ピンを設け中間支持部28側に軸孔を形成してもよいし、液晶モニタブロック25と中間支持部28の関係においては、中間支持部28側に軸ピンを設け液晶モニタブロック25側に軸孔を形成してもよい。
液晶モニタブロック25のフレーム部25aは、矩形の液晶表示部32を囲む4辺の縁部を有しており、図4及び図9のように液晶モニタブロック25をボディ後端面11bに隣接させた収納位置では、中間支持部28に接する縁部を除く3辺の縁部がそれぞれボディ下面11d、ボディ右側面11e、ボディ左側面11fと略面一になるようなサイズ及び形状となっている(図3ないし図9参照)。
液晶表示部32がボディ後端面11bに対向する図4の状態から軸線X1を中心として液晶モニタブロック25を回動させて図8のように起立させると、液晶表示部32が撮影者の方を向き、該液晶表示部32をモニタとして使用(視認)することが可能になる。図8では液晶モニタブロック25を約180度起こした状態と前述の最大起立位置を示しているが、ヒンジ部26は、これ以外の任意の角度位置で液晶モニタブロック25を停止させることができるようなフリクション(あるいはクリック)機構を備えている。
また、図10に示すように、起立状態の液晶モニタブロック25を軸線X2中心で回動させて液晶表示部32を前方に向けることもできる。液晶表示部32を前方に向けた状態は、撮影者が自らを被写体とする対面撮影に適している。また、この対面撮影状態のまま液晶モニタブロック25を軸線X1中心で収納方向へ回動させ、液晶表示部32がカメラ本体部11のボディ上面11cと概ね平行になる角度にすると、ウエストレベル撮影に適した状態になる。さらに、この状態から液晶モニタブロック25を軸線X1中心でボディ後端面11bに接近する方向に回動させると、図4とは逆に、液晶表示部32がボディ後端面11bに対向せずにカメラの後端部に露出する図9の状態となり、カメラ本体部11から液晶モニタブロック25を突出(起立)させなくても液晶表示部32の視認が可能になる。なお、図8の状態と図9の状態では液晶表示部32の表示画面上における天地方向が逆になるが、デジタルカメラ10は、液晶モニタブロック25の位置状態の変化を検知する検知手段と、該検知手段に基づいて液晶表示部32に適切な状態(撮影者から見て上下方向の正しい)の画像を表示させる画像制御手段とを備えている。なお、デジタルカメラ10の運搬時などでは、図4のように液晶表示部32をボディ後端面11bに対向させて該液晶表示部32の保護を図ることが好ましい。
カメラ本体部11のボディ右側面11e側には、把持用のグリップ40が設けられている。グリップ40はカメラ本体部11と同様に細長の箱型(四角筒)形状をなしており、その外面は、長手方向に離間する両グリップ端面40a、40bと、該グリップ端面40a及び40bと略直交させて長手方向へ延出された4つの長手方向面40c、40d、40e、40fを備えている。これらの各面のうち、両グリップ端面40a、40bのセット、長手方向面40c、40dのセット、長手方向面40e、40fのセットはそれぞれ略平行な関係にある。グリップ40内にはデジタルカメラ10の駆動電源であるバッテリ42(図1)の収納室(電池収納室)が形成されており、該電池収納室を開閉可能な電池蓋43がグリップ端面40a側に該けられている。
グリップ40は、カメラ本体部11に対してグリップ回動軸(回動進退軸)41を介して回動可能に支持されている。グリップ回動軸41は、カメラ本体部11とグリップ40の互いの対向面であるボディ右側面11eと長手方向面40fを接続するように設けられており、その軸線(回動軸線)X3はヒンジ部26の軸ピン29における軸線X1と略平行である。グリップ40の長手方向におけるグリップ回動軸41(軸線X3)の位置はグリップ端面40bの近傍に偏心して設定されており、したがってグリップ40は、図4ないし図7に示すように、グリップ端面40a(電池蓋43)側の端部が軸線X3を中心とする円弧状の軌跡を描くように回動される。
図4と図5はグリップ40の回動端の一方(収納端)と他方(突出端)を示しており、いずれもグリップ40の長手方向とカメラ本体部11の長手方向(光軸方向)が略平行になっているが、グリップ端面40a、40bの向きが反転した関係にある。図4の収納端ではグリップ端面40a(電池蓋43)が前方を向いており、グリップ40の外形は、カメラの前後方向及び上下方向においてボディ右側面11eの輪郭内に収まっている。換言すれば、図4の状態では、グリップ40の長手方向の全長がカメラ本体部11の長手方向幅(光軸方向位置)内に収まり、かつグリップ40の短手方向幅(長手方向面40c、40dを結ぶ距離)がカメラ本体部11の上下方向幅内に収まっており、グリップ40はカメラ本体部11に対して前後方向及び上下方向には突出しない。つまり、グリップ40とカメラ本体部11が概ね一続きの箱状体をなしており、持ち運びやすい収納状態となっている。また、グリップ40が下方に突出しないので、カメラを安定して床や机上に載置することができ、このような載置状態での撮影にも適している。特にこの収納端では、グリップ40の長手方向面40d(下面)がカメラ本体部11のボディ下面11dと略面一になっており(図3、図11参照)、ボディ下面11dを下方に向けてデジタルカメラ10を載置した際の安定性が良くなっている。
撮影を行う際にはグリップ40を図4の収納端から時計方向に回動させればよい。グリップ回動軸41は、グリップ端面40a(電池蓋43)が後方を向く図5の突出端までの任意の角度でグリップ40を停めることが可能なフリクション機構を備えており、グリップ40の角度位置を撮影者の好みで決めることができる。このフリクション機構の詳細は後述する。前述の通り、液晶モニタブロック25は軸線X1及び軸線X2を中心にして角度調整可能であり、これと独立して軸線X3を中心にしてグリップ40も角度調整可能とさせることにより、自由度の高い撮影姿勢を得ることができる。特に、液晶モニタブロック25の回転中心(軸線X1)とグリップ40の回転中心(軸線X3)を、カメラ左右方向に向けて平行にさせたことにより、ホールディング性やモニタの視認性を損なうことなく、カメラの高さ位置及びカメラの仰角(縦方向の角度)を自在に変えることが可能である。
グリップ回動軸41はさらに、図11及び図12に示すように、カメラ本体部11に対してグリップ40を軸線X3に沿う方向(左右方向)に接離させることが可能に構成されている。この接離動作は、軸線X3を中心とした上記の回動とは独立して行わせることが可能であり、例えば、グリップ40が図4の収納端にあるときに該グリップ40をカメラ本体部11に接近させると(図11の状態)、カメラ本体部11からのグリップ40の突出量が最も少ないコンパクトな状態にすることができる。一方、グリップ40を把持する撮影時等では、図12のようにグリップ40をスライドさせてカメラ本体部11から所定量離間させることにより、グリップ40を把持する手とカメラ本体部11(特にボディ右側面11e)の干渉が回避されてホールディング性が向上する。図12ではグリップ40の長手方向がカメラ本体部11の長手方向と略平行な状態を示しているが、この状態から軸線X3を中心としてグリップ40を回動させて任意の角度に設定することができる。
前述のように、グリップ40は、それぞれのセットが略平行をなす3対の平面部(両グリップ端面40a、40bと、長手方向面40c、40d、40e、40f)を外面に有する箱状体である。このグリップ40において、グリップ回動軸41に近い側のグリップ端面40b付近の外面にはさらに、該グリップ端面40bと長手方向面40cを接続する傾斜面40gが形成され、またグリップ端面40bのうち長手方向面40cに接する稜線部が面取りされて弧状面40hが形成されている。この傾斜面40g、グリップ端面40a、40b(弧状面40h)、そして長手方向面40c、40dは、グリップ回動軸41の軸線X3と略平行でかつ該軸線X3を囲む囲繞面を構成している。傾斜面40gは、グリップ40の他の外面のいずれに対しても非平行な平面である。傾斜面40g上にはシャッタボタン45が設けられ、該シャッタボタン45を囲む環状のズーム操作レバー46が設けられている。また、弧状面40hはグリップ40の外側に向けて正の曲率を持つ曲面であり、該弧状面40h上には録画ボタン47が設けられている。シャッタボタン45は静止画撮影用の操作部材であり、ボタンの半押しで測光や測距を行い、全押しでシャッタレリーズ(静止画の撮影)を行わせることができる。このときの撮影モード等は、前述した各操作部材によって適宜設定される。一方、録画ボタン47は動画撮影用の操作部材であり、押圧されると動画の記録が開始され、押圧解除すると該記録が停止される。静止画と動画のいずれも、画像処理手段による処理を経て電子画像データとしてメモリカードに記録される。
傾斜面40gは、図4に示すように長手方向面40c、40dの中間を通るグリップ40の長手方向線Sに関して、非平行かつ非直交となるように形成されている。この長手方向線Sに対する傾斜面40gの傾斜角K1は、15度から75度の間、より好ましくは30度から60度の間であるとよい。そして、この傾斜面40g上に設けられたシャッタボタン45は、グリップ40のグリップ端面40a(電池蓋43)が斜め下後方を向く図6の角度位置でカメラの正面(前方)を向く。デジタルカメラ10を撮影者のアイレベルまたはその近傍に保持する一般的な撮影姿勢では、この図6の角度位置を中心とした正逆の所定角度範囲内にグリップ40が位置することが想定される。そして、人間の手の形状を考慮すると、グリップ40が斜め下後方を向く状態においてシャッタボタン45がカメラの略正面に向いていると、人差し指による押圧操作を行い易くなる。
また、録画ボタン47は、傾斜面40gと非直交関係にあって隣接するグリップ端面40b上に設けられているので、グリップ40が図6の角度位置にあるとき録画ボタン47はカメラの略上方に向き、シャッタボタン45に人差し指をかけると録画ボタン47は自然に親指の位置に対応する。ここで録画ボタン47は、グリップ端面40bにおいてもさらに凸状に面取りされた(正の曲率を有する)弧状面40h上に設けられており、図4に示すように、長手方向面40c、40dの中間を通るグリップ40の長手方向線Sに関して、シャッタボタン45と概ね反対方向に傾けて突出されている。このように録画ボタン47に傾斜をつけることで、撮影者の親指が録画ボタン47に対してさらに自然に接触するようになり、操作性が一層向上する。長手方向線Sに対する録画ボタン47の傾斜角K2は、シャッタボタン45(傾斜面40g)の傾斜角K1と同程度であると好ましい。
したがって、グリップ40が斜め下方を向く図6の角度位置、あるいはその前後の所定範囲の角度位置にあるとき、シャッタボタン45はカメラの略前方を向き、かつ録画ボタン47はカメラの略上方に向き、シャッタボタン45に人差し指をかけると録画ボタン47は自然に親指の位置に対応する。つまり、グリップ40では、撮影状態での使用位置に回転させたときに押圧操作を行い易い位置にシャッタボタン45と録画ボタン47が設けられている。
なお、撮影状態でのグリップ40の角度は図5や図6に限られない。例えば、カメラを頭上に差し上げた撮影姿勢では、図7のようにグリップ端面40a(電池蓋43)を略鉛直方向に向けた角度にグリップ40を位置させることもある。この場合、撮影者の腕はグリップ40の長手方向と概ね平行に延ばされるため、図6の場合と同様に人差し指と親指がそれぞれシャッタボタン45と録画ボタン47に自然にかかり、各ボタンの操作を無理なく行うことができる。
また、グリップ40は、長手方向において一方の端部40b側に偏心した位置でグリップ回動軸41に支持されている。これに対し、シャッタボタン45と録画ボタン47は、グリップ回動軸41(軸線X3)を中心とする放射方向において該グリップ回動軸41に比較的近い位置に偏心させて配置されているので、グリップ40を回動させたときのカメラ本体部11に対する位置変位が小さく、操作性が損なわれにくい。また、シャッタボタン45と録画ボタン47は、グリップ回動軸41(軸線X3)を中心とする略同一円周面に位置しており、グリップ40を回動させてもグリップ回動軸41からのそれぞれの距離が変化しない。これによっても操作性が損なわれにくくなっている。
以上のように、シャッタボタン45と録画ボタン47は、グリップ40のいずれの角度位置であっても操作しやすい配置になっている。
カメラ本体部11のボディ下面11dには下方に向けて開口された三脚ねじ穴48が形成されている(図4参照)。液晶モニタブロック25とグリップ40はそれぞれボディ後端面11bとボディ右側面11e側に支持されているため、該液晶モニタブロック25とグリップ40はそれぞれ回動を行ってもボディ下面11dと重ならず、三脚ねじ穴48が塞がれることがない。よって回動するタイプのグリップ40や液晶モニタブロック25を備えつつ、三脚を用いた撮影を支障なく行うことができる。また、前述の通り、グリップ40を収納端に回転させれば、三脚なしでもカメラを安定して自立させることができる。つまり、本実施形態のデジタルカメラ10は、手持ち以外の各種撮影形態にも対応している。
以上のような回動可能なグリップ40を有するデジタルカメラ10で手持ち撮影を行う場合、右手で該グリップ40を把持し、左手でカメラ本体部11を保持するのが一般的な撮影姿勢となる。このとき左手は、掌でボディ下面11dを支え、親指をボディ左側面11fに沿わせることになる。ここで左手との接触面積が最も広いボディ下面11dには操作部材が設けられていないので、誤操作が生じるおそれがない。また、左手親指が沿うボディ左側面11fには、ストロボモードボタン20、セルフ連写ボタン21、フォーカスモードボタン22といった、撮影状態での使用頻度の高い画像記録設定用の操作部材が設けられており、撮影姿勢を崩さずに画像記録の設定を行うことができる。
また、記録した静止画像や動画を液晶表示部32に再生するときは、主にカメラ本体部11のボディ上面11cに指がかかる使用姿勢が想定される。これに対応して、再生ボタン15や多方向ボタン17といった画像再生用の操作部材は、該ボディ上面11cに設けられており、カメラ本体部11を上記姿勢で把持したまま操作することが容易になっている。なお、画像再生時には、グリップ40を収納端に位置させて、右手もカメラ本体部11を保持するようにしてもよい。
図13ないし図16は、カメラ本体部11内における電装系の配置を示している。カメラ本体部11内には撮影光学系を支持する保持枠50が設けられている。保持枠50は光軸方向に軸線を向けた筒状体からなり、前端部に前玉レンズLFを支持する開口50aが形成され、後端部側にCCD基板52を介してCCD51が保持されている。なお、本実施形態では撮影光学系の位置を分かりやすくするために保持枠50という一体形状部材を用いているが、撮影光学系の支持部材は、このような一体形状部材でなくてもよい。
CCD51は前玉レンズLFなどと共に撮影光学系を構成している。CCD基板52は、保持枠50の後端部とボディ後端面11bの間に位置しており、光軸Oと略直交する平面状に配されている。保持枠50とボディ上面11cの間には、ボディ上面11cと略平行な平面状をなす第1スイッチ基板53が配置されている。第1スイッチ基板53には、電源ボタン13、モードダイヤル14、再生ボタン15、メニューボタン16、多方向ボタン17の各接点が設けられている。保持枠50とボディ左側面11fの間には、ボディ左側面11fと略平行な平面状をなす第2スイッチ基板54が配置されている。第2スイッチ基板54には、ストロボモードボタン20、セルフ連写ボタン21、フォーカスモードボタン22の接点が設けられている。保持枠50とボディ下面11dの間には、ボディ下面11dと略平行な平面状をなすジャック基板55が配置されている。ジャック基板55には、パソコンとの接続に用いるPCジャック56、電源アダプタが接続されるアダプタジャック57が設けられている。PCジャック56とアダプタジャック57は、カメラ本体部11のボディ左側面11fに面しており、外部コネクタカバー24を開くことでデジタルカメラ10の外面側に露出する。また、保持枠50とボディ右側面11eの間には、ボディ右側面11eと略平行な平面状をなすメイン基板58が配置されている。メイン基板58にはデジタルカメラ10全体の制御を司るマイコンや画像処理用の回路などが設けられており、第1スイッチ基板53、第2スイッチ基板54、ジャック基板55に比べて光軸方向に長い部材となっている。CCD基板52と第1スイッチ基板53はそれぞれFPC59a、59bを介してメイン基板58に接続されている。第2スイッチ基板54はFPC59cで第1スイッチ基板53に接続されており、第1スイッチ基板53経由でメイン基板58に信号を送る。ジャック基板55はコネクタ55aを介してメイン基板58に接続されている。
図13ないし図16から分かるように、デジタルカメラ10の撮影光学系(保持枠50)は、CCD基板52、第1スイッチ基板53、ジャック基板55及びメイン基板58からなる回路基板によって囲まれる空間に配置されている。より詳細には、本実施形態の撮影光学系はズーミング時及びフォーカシング時に鏡筒を繰り出さないタイプであって、カメラ本体11から前方に突出することなく常にその内部に収まっている。そして、このカメラ本体11の内側に、撮影光学系を囲むように上記各基板が配置されている。この回路配置により電装系のスペース効率が向上し、カメラの小型化やデザイン自由度の向上に寄与する。特に本実施形態はカメラ本体部11が光軸方向に長い箱形(角筒)をなしており、その長手方向の内面に沿って第1スイッチ基板53、第2スイッチ基板54、ジャック基板55、メイン基板58を配することが有効である。
また、本実施形態ではカメラ本体部11のボディ右側面11e側に回動可能なグリップ40が配されている。グリップ40のような可動部材を設けた側の面には、該可動部材に覆われたり干渉されたりすることを避けるため、カメラ外面に露出するスイッチ類や端子(ジャック)類は配置しないことが好ましい。そのため、スイッチ接点を備えた第1スイッチ基板53、第2スイッチ基板54や、端子を備えたジャック基板55は、ボディ右側面11e以外のボディ上面11c、ボディ下面11d、ボディ左側面11fの内面に沿って配置されている。そして、ボディ右側面11e側にスイッチ類や端子類が配置されない(できない)ことを逆に利用して、カメラ外面側との接続が不要なメイン基板58をこのボディ右側面11eの内面側に配置するようにしている。図14や図15から分かるように、ボディ右側面11eの内面側スペースを全面的にメイン基板58に割り振って、光軸方向において保持枠50の全長にほぼ匹敵する形状のメイン基板58を採用することが可能になっている。
また、グリップ40と同様の可動部材である液晶モニタブロック25を支持するボディ後端面11b側にもスイッチ類や端子類が設けられておらず、該ボディ後端面11bの内面側には、メイン基板58と同様にカメラ外面側との接続を考慮する必要のないCCD基板52が配置されている。ボディ後端面11bの内面側スペースは撮影光学系の最後端部に対向しているので、CCD基板52を当該スペースに配することがスペースや回路効率の面から最も好ましい。
以上の説明から分かるように、本実施形態のデジタルカメラ10では、液晶モニタブロック25とグリップ40を個別に回動可能とさせ、かつカメラ本体部11に対してグリップ40を回動軸線方向へ接離移動可能にすることにより、撮影姿勢の自由度が高くなり操作性が向上している。また、シャッタボタン45と録画ボタン47は、グリップ40の回動位置によらずに(どの角度位置でも)操作しやすくなっている。
続いて、図17以下を参照してグリップ回動軸41について説明する。図17及び図18に示すように、カメラ本体部11のボディ右側面11eと、これに対向するグリップ40の長手方向面40fには、それぞれ回動軸挿通孔11g、40iが形成されており、この回動軸挿通孔11g、40iを挟んで、グリップ40内に軸支持板(軸支持部材)69が固定され、カメラ本体部11内に軸支持板(軸支持部材)64が固定されている。グリップ回動軸41は、回動軸挿通孔11g、40iに挿通され、その両端部が軸支持板64と軸支持板69に支持されている。
図19及び図20に示すように、カメラ本体部11内の軸支持板64の略中央には円形の中央貫通孔64aが形成され、中央貫通孔64aの周囲に一対の貫通孔64bと一対の位置決めピン64cが形成されている。一対の貫通孔64bと一対の位置決めピン64cはそれぞれ、グリップ回動軸41の軸線X3を挟んだ対称位置に設けられている。また、グリップ40側の軸支持板69には、軸線X3を中心とする円弧状の回転角制限溝69aと、軸線X3を中心として周方向に略等間隔で形成された4つの貫通孔69bと、軸線X3上に位置する中央貫通孔69cが形成されている。軸支持板69は、図17に示すように固定ねじ69dを介してグリップ40内に固定される。
グリップ回動軸41はそれぞれに径が異なる同心状の外筒(直進進退軸要素、本体側軸筒部材)60、中間筒(中間軸筒部材)61、内筒(内軸、回動軸要素、グリップ側軸筒部材)62を備えた三重筒構造をなしており、さらに外筒60の外側を外観筒63が覆っている。なお、図17では視認しやすくするために外筒60、中間筒61、内筒62及び外観筒63を一体の部材として示している。
図27及び図28に示すように、外筒60は、軸線X3方向に貫通する貫通空間60vを有する筒状部材である。外筒60のうち軸支持板64に対向する側の端部(以下、ボディ側端部)には、軸支持板64の一対の貫通孔64bに対応する位置関係で一対のねじ孔60aが形成され、一対の位置決めピン64cに対応する位置関係で一対の位置決め孔60bが形成されている。各貫通孔64bを通して各ねじ孔60aに固定ねじ60c(図17、図23及び図26)を螺合させることにより、外筒60が軸支持板64に固定される。このとき、各位置決め孔60bに対して位置決めピン64cが挿入されて軸支持板64に対する外筒60の位置が定まる。外筒60の他端部(以下、グリップ側端部)には外径方向に突出する環状の抜止フランジ60dが形成されており、外筒60の外周面60s上に支持された外観筒63は、この抜止フランジ60dと軸支持板64との間に挟まれて軸線X3方向への移動が規制されている。
外筒60は、軸線X3を中心とする円筒状の内周面60rを有している。この内周面60r上には、軸線X3と平行な一対の直進案内溝(直線溝)60eと、4つのクリックボール収納孔60fと、8つのガイドボール収納孔60gが形成されている。4つのクリックボール収納孔60fは周方向に略等間隔で設けられており、径方向に対向する一対のクリックボール収納孔60f(60f1)と、残る一対のクリックボール収納孔60f(60f2)とは、軸線X3方向へ位置をずらせている。各クリックボール収納孔60fにはクリックボール(クリック機構)65が収納されており、各クリックボール65は、それぞれ圧縮コイルばね66によって外筒60の内径方向へ付勢されている。また、各ガイドボール収納孔60gにはガイドボール67が収納されており、各ガイドボール67は圧縮コイルばね68によって外筒60の内径方向へ付勢されている。なお、クリックボール収納孔60fとガイドボール収納孔60gはそれぞれ径方向への貫通孔であり、中間筒61に対向する内径側の開口のみならず、外筒60の外周面60s上に臨む外径側の開口も有している。そして、クリックボール65、圧縮コイルばね66、ガイドボール67及び圧縮コイルばね68は、対応する各ボール収納孔に対して外径側の開口から組み付けることができる。そして、外筒60の外側に外観筒63を取り付けることによって各ボール収納孔の外径側開口が塞がれて、外観筒63の内周面が圧縮コイルばね66及び68の支持部として機能する。
外筒60の貫通空間60v内には中間筒61が挿入される。図29及び図30に示すように、中間筒61は軸線X3方向に貫通する貫通空間61vを有する筒状部材であり、外筒60の内周面60rに対して摺接可能な円筒状の外周面61sを有している。中間筒61のうち軸支持板64に対向する側の端部(以下、ボディ側端部)付近には、外周面61sから外径方向へ突出する一対の直進案内突起(径方向突出部)61aが突設されている。中間筒61は、このボディ側端部を軸支持板64に向けた状態で外筒60内に挿入されており、各直進案内突起61aは、直進案内溝60eに対して軸線X3方向へのみ摺動可能に係合している(図21、図24及び図38参照)。つまり、直進案内突起61aと直進案内溝60eの係合関係によって、中間筒61は外筒60に対して軸線X3方向へ相対移動可能に案内され、かつ軸線X3を中心とする相対回動が制限されている。外筒60に対して中間筒61は、カメラ本体部11から突出する方向(軸支持板64から離間する方向)に向けて、直進案内突起61aが直進案内溝60eの最奥部に係合する図24の位置まで移動することができる。
中間筒61の外周面61s上には8つのクリック凹部(クリック機構)61bが形成されている。直進案内突起61aは、周方向に略等間隔で設けられた4つの前方クリック凹部61b1と、同じく周方向に略等間隔で設けられた4つの後方クリック凹部61b2とからなり、各前方クリック凹部61b1と各後方クリック凹部61b2は軸線X3方向に並んで位置されている。つまり、軸線X3方向に並んで位置する前方クリック凹部61b1と後方クリック凹部61b2を1セットとすると、周方向に位置を異ならせて計4セットのクリック凹部が形成されている。この4セットのクリック凹部61bのうち、径方向に対向して位置する2つのセット(図29に図示される2セット)と、残る2つのセット(図30に図示される2セット)では、互いに軸線X3方向へ位置をずらせて設けられている。このクリック凹部61bの各セット間での軸線X3方向へのずれ量は、外筒60における前方のクリックボール収納孔60f1と後方のクリックボール収納孔60f2のずれ量と一致する。すなわち、外筒60に対して中間筒61を軸線X3方向に相対移動させることによって、4つのクリックボール65が4つの前方クリック凹部61b1に同時に係合する状態(図21及び図22)と、4つの後方クリック凹部61b2に同時に係合する状態(図24及び図25)を選択することができる。なお、図29及び図30から分かるように、前方クリック凹部61b1よりも後方クリック凹部61b2の方が浅く形成されている。
8つのクリック凹部61bは、外筒60に対する中間筒61の位置変化(軸線X3方向への相対移動)に関わらず、常に外筒60側の4つのガイドボール67とは重ならないように位置が設定されている。つまり、8つのガイドボール67はそれぞれ、外筒60と中間筒61の相対位置に関わりなく常に一定の付勢力で外周面61sに弾接して、外筒60と中間筒61の間のクリアランスを安定させる。
中間筒61はさらに、直進案内突起61aが設けられている側とは反対側の端部(以下、グリップ側端部)に回転規制突起61cを備えていて、この回転規制突起61cは、グリップ40側の軸支持板69の回転角制限溝69aに挿入されている(図37参照)。回転角制限溝69aは軸線X3を中心とする約180度の範囲に亘って形成された半円弧状の貫通溝であり、この回転角制限溝69aの両端部と回転規制突起61cの係合によって、カメラ本体部11に対するグリップ40の最大回転角が約180度に規制される。中間筒61におけるグリップ側端部は、回転角制限溝69aの形成領域を除く所定の領域で軸支持板69に当接している。
中間筒61の内周面は、三段階に内径サイズを異ならせており、軸支持板64に近い側から順に大径内周面61r1、中間内周面61r2及び小径内周面61r3が形成されている。大径内周面61r1、中間内周面61r2及び小径内周面61r3はそれぞれが軸線X3を中心とする同心状の円筒面である。このうち大径内周面61r1には、軸線X3を挟んだ対称位置に一対のクリック孔(クリック機構)61dが形成されている。なお、図22、図25及び図30では説明の便宜上クリックボール収納孔60fとクリック孔61dを同図面に示しているが、クリックボール収納孔60fとクリック孔61dの実際の周方向位置は異なっている。
中間筒61の貫通空間61v内には内筒62が挿入されている。図31ないし図35に示すように、内筒62は軸線X3方向に貫通する貫通空間62vを有する筒状部材である。内筒62において軸支持板64側の一端部(以下、ボディ側端部)には、外径方向に突出する環状の抜止フランジ(径方向突出部)62aが形成されており、該抜止フランジ62aは中間筒61のボディ側端部に係合している。一方、内筒62の他端部(グリップ側端部)は、一対の固定ねじ62bと一対の位置決めピン62c(図20)を介して軸支持板69に固定されている。具体的には、内筒62のグリップ側端部には、一対のねじ孔62dと一対の回転規制孔62eが形成され(図34参照)、これら各孔62d、62eは、軸支持板69の4つの貫通孔69bに対向している。一対の回転規制孔62eに位置決めピン62cの後部が挿入され、該ピン62cの後部より径の小さい先端部が対応する貫通孔69bに挿入され位置決めされ、一対のねじ孔62dに対して、対応する貫通孔69bを通して軸支持板69側から固定ねじ62bが螺合される。このようにして内筒62を軸支持板69に固定した状態では、中間筒61の両端部が軸支持板69と抜止フランジ62aの間に挟まれ、中間筒61と内筒62が軸線X3方向へ相対移動しないように一体化される。また、内筒62のグリップ側端部には貫通空間62vの一方の開口部を構成する先端筒部62fが形成されていて、内筒62を軸支持板69に固定した状態では、軸支持板69に形成した中央貫通孔69cに対して先端筒部62fが嵌まる。中央貫通孔69cと4つの貫通孔69bは互いにつながっている。
内筒62は、前述の通り中間筒61に対して軸線X3方向には相対移動不能であるが、軸線X3を中心とする相対回動は可能に支持されている。すなわち、内筒62の外周面は、中間筒61の大径内周面61r1に対して摺接する大径外周面62s1と、これよりも小径かつ同心で小径内周面61r3に対して摺接する小径外周面62s2とを有し、これらの周面の摺接関係によって、内筒62は中間筒61の内側で回転可能となっている。内筒62の大径外周面62s1には、軸線X3を挟んだ対称位置に一対のクリックボール収納孔62gが形成され、各クリックボール収納孔62gにはクリックボール(クリック機構)70が収納されている。各クリックボール70は圧縮コイルばね71によって外径方向へ付勢されており、中間筒61と内筒62の特定の回転位相(前述したグリップ40の収納端)において、中間筒61のクリック孔61dに係合する。
さらに、小径外周面62s2と中間内周面61r2の間にはばね収納空間(グリップ角度保持手段)72が形成されており、該ばね収納空間72内に回転フリクションばね(グリップ角度保持手段)73が収納されている。ばね収納空間72は、内筒62の小径外周面62s2を軸長方向に切り欠いて形成した一対の長溝72aと、小径外周面62s2と中間内周面61r2の径サイズの差によって形成された環状空間72bとからなっている。長溝72aは軸長方向へ一様な断面形状(図35)の溝であるが、内筒62のグリップ側端部に開口する先端開口部72a1のみ広く形成されている。すなわち、図31に示すように、長溝72aの先端開口部72a1の底面は、グリップ側端部に近づくにつれて徐々に内筒62の内径側に近づくように傾斜されている。また、先端開口部72a1の両側の対向壁面は、グリップ側端部に近づくにつれて徐々に周方向の幅を広くするように傾斜されている。
回転フリクションばね73は、図36に示すように一部が開いた部分環状をなす板ばね部材であり、弧状に湾曲された湾曲アーム部73aと、該湾曲アーム部73aの先端をその円弧の内側(内径方向)に向けコ字状(及び逆コ字状)に折り曲げて形成した対称な形状の一対の先端屈曲部73bを有している。また、湾曲アーム部73aの中央部には、回転フリクションばね73の内径側へ向けて屈曲された中間屈曲部73cが形成されている。回転フリクションばね73は自由状態では図36に実線で示す形状であり、同図に一点鎖線で示すように湾曲アーム部73aを内側に弾性変形させることができる。図35は回転フリクションばね73をばね収納空間72内に挿入した状態を示しており、湾曲アーム部73aは内径方向に向けて弾性変形され、その復元力によって中間内周面61r2に対して弾接している。また、中間屈曲部73cは小径外周面62s2に対して弾接している。さらに、一対の先端屈曲部73bが一対の長溝72a内に係合している。自由状態での先端屈曲部73bの大きさが長溝72aの断面サイズよりも大きいため、図35の状態では一対の先端屈曲部73bはそれぞれ弾性変形して、対応する長溝72aの内面に弾接している。こうして全体が弾性変形された回転フリクションばね73により、中間筒61と内筒62の間には相対回動に対する摩擦抵抗が作用する。なお、図21や図24に示すように、軸線X3方向における回転フリクションばね73の幅は、ばね収納空間72の長さよりも短くなっており、ばね収納空間72には、複数の回転フリクションばね73を軸線X3方向に並べて収納させることが可能になっている。
以上のグリップ回動軸41の構造を簡潔にまとめると、外筒60はカメラ本体部11側の軸支持板64に対して固定され、内筒62はグリップ40側の軸支持板69に対して固定されている。外筒60と内筒62の間に位置する中間筒61は、外筒60に対しては軸線方向に相対移動可能かつ相対回動不能に結合され、逆に内筒62に対しては相対回動可能かつ軸線方向に相対移動不能に結合されている。
グリップ回動軸41の動作は次の通りである。図21ないし図23は、図1や図11のグリップ収納状態におけるグリップ回動軸41の内部構造を、断面位置を変えて示したものである。このグリップ収納状態では、中間筒61と内筒62はいずれも外筒60内に収納されており、内筒62のボディ側端部がカメラ本体部11側の軸支持板64に近接して位置し、外筒60のグリップ側端部がグリップ40側の軸支持板69に近接して位置している。この軸支持板64と軸支持板69の距離関係(すなわちグリップ回動軸41の長さ)は、外筒60に設けた4つのクリックボール65と中間筒61に形成した4つの前方クリック凹部61b1との係合によって維持される。
グリップ収納状態から、軸線X3に沿ってカメラ本体部11からの離間方向にグリップ40をスライドさせると(図12)、グリップ回動軸41は図24ないし図26に示す状態になる。図24ないし図26は、グリップ回動軸41の異なる断面位置を示しており、その断面位置はそれぞれ図21、図22及び図23の断面位置に対応している。この軸線方向への引き出し時の動作は次の通りである。
グリップ40に引き出し方向の力を加えると、軸支持板69を介して、内筒62に対して軸線X3と平行な引き出し方向への移動力が作用する。引き出し方向は図21ないし図23中の左方向である。この移動力に応じて、内筒62の抜止フランジ62aが中間筒61のボディ側端部を押圧し、中間筒61が内筒62と共に軸支持板64から離れる方向へ移動する。中間筒61は、直進案内突起61aと直進案内溝60eの係合関係により軸線X3方向へ直進案内されているので、中間筒61は外筒60に対する相対回動は行わずに直進移動する。
中間筒61の直進移動に際しては、外筒60に設けた4つのクリックボール65がそれぞれ対応する前方クリック凹部61b1との係合を解除し、各クリックボール65は中間筒61の外周面61s上を転動する。そして、内筒62と中間筒61が、直進案内突起61aを直進案内溝60eの最奥部に係合させる図24の位置(突出端)まで進出すると、4つのクリックボール65がそれぞれ後方クリック凹部61b2に係合し、外筒60に対する内筒62と中間筒61の軸線方向移動が係止(クリックストップ)される。なお、前述の通り、前方クリック凹部61b1よりも後方クリック凹部61b2の方が浅く形成されており、深い前方クリック凹部61b1に対してクリックボール65が係合するときの方が、浅い後方クリック凹部61b2に係合するときよりも係止力が強くなっている。
一方、グリップ40を収納するときには、カメラ本体部11に接近する方向(図24ないし図26の右方向)へグリップ40を押し込めばよい。グリップ40に対する当該押圧力は軸支持板69を介してグリップ回動軸41の構成部材に作用し、上記の引き出し時と逆の動作が行われて軸支持板64と軸支持板69の間隔が接近する。
また、グリップ40は、軸線X3に沿う方向の進退動作と独立して軸線X3を中心とする回動を行うことが可能であり、この回動時のグリップ回動軸41の動作は次の通りである。
図22及び図25は、グリップ端面40aをカメラ前方に向けている図4のグリップ40の角度位置(前述の収納端)におけるグリップ回動軸41の状態を示している。同図から分かるように、内筒62に設けた一対のクリックボール70が中間筒61の一対のクリック孔61dに係合しており、中間筒61に対する内筒62の相対回動を係止(クリックストップ)している。このとき、中間筒61の回転規制突起61cは、図37に実線で示すように軸支持板69の回転角制限溝69aの一端部付近に位置しており、この回転角制限溝69a一端部と回転規制突起61cの係合によって、図4の反時計方向へのグリップ40の回動が規制される。
一方、図4の角度位置からグリップ40を時計方向に回動させることは可能であり、圧縮コイルばね71の付勢力を超える回動力を与えると一対のクリックボール70がそれぞれ対応するクリック孔61dから外れ、中間筒61に対して内筒62が相対回動してグリップ40が回動される。各クリックボール70は、クリック孔61dとの係合が外れると中間筒61の大径内周面61r1上を転動して、中間筒61と内筒62の相対回動を許す。グリップ40が回動すると中間筒61の回転規制突起61cが軸支持板69の回転角制限溝69a内を移動し、グリップ40が図5の角度位置(前述の突出端)まで回動すると、図37に一点鎖線で示すように回転規制突起61cが回転角制限溝69aの他端部に達し、グリップ40のそれ以上の回動が規制される。グリップ40を図4の収納端まで戻すと、一対のクリックボール70がそれぞれクリック孔61dに係合し、グリップ40はクリックストップされる。
前述の通り、中間筒61と内筒62の相対回動に対しては、ばね収納空間72に収納された回転フリクションばね73が摩擦抵抗を与えるように構成されている。具体的には、回転フリクションばね73は、湾曲アーム部73aと中間屈曲部73cをそれぞれ中間筒61の中間内周面61r2と内筒62の小径外周面62s2に弾接させており、さらに一対の先端屈曲部73bをそれぞれ内筒62の長溝72a内に弾接させている。そのため、回転フリクションばね73は中間内周面61r2と小径外周面62s2の間に複数のポイント(あるいは面)で突っ張り支持された状態となっており、単に環状の板ばねを配した場合に比して効率的に摩擦抵抗を付与することが可能になっている。さらに、グリップ40の回動に伴って内筒62が図35の時計方向または反時計方向に回動すると、先端屈曲部73bを長溝72a内に引き込む力が作用し、回転フリクションばね73による摩擦抵抗が増大する。つまり、ばね収納空間72と回転フリクションばね73を以上のように構成することにより、径方向の少ないスペースで強いフリクションを発生させることができ、回転方向にがたつきを生じさせることなく中間筒61と内筒62を保持できる。よって、図4に示す収納端と図5に示す突出端の間の任意の角度位置(例えば図6や図7のような角度位置)にグリップ40を確実に保持させることができる。
また、前述の通り、本実施形態ではばね収納空間72内に入れる回転フリクションばね73の数を変えることができるため、径方向でのコンパクト性を失うことなく容易に中間筒61と内筒62の間の摩擦係合力を調整できる。具体的には、回転フリクションばね73による摩擦係合力は、グリップ40を把持したときに、カメラ本体部11がその自重で不用意に倒れてしまわない程度の強さがあり、かつグリップ40の円滑な回動操作を許容することが要求されるが、回転フリクションばね73の数を増減させればこのような要求を容易に満たすことができる。
また、回転フリクションばね73は、一対の先端屈曲部73bを弾性変形させて長溝72a内に係合させると、内筒62に対して脱落せずに保持されるので組立時の取り扱いが容易である。組立時には、先端屈曲部73bが長溝72aの先端開口部72a1に嵌まるように回転フリクションばね73を内筒62の先端部に取り付けておき、内筒62を中間筒61に対してボディ側端部(図29及び図30の右手側)から挿入するとよい。内筒62が中間筒61内にある程度挿入されると、ばね収納空間72の前端部、すなわち中間筒61の小径内周面61r3と中間内周面61r2の間の押圧段部61r4に対して回転フリクションばね73が当て付き、これ以降は、内筒62の挿入力に応じて回転フリクションばね73が徐々にばね収納空間72の奥側(中間筒61のボディ端部側)へ押し込まれる。このとき、一対の先端屈曲部73bは、対応する各長溝72aの先端開口部72a1の底面の傾斜によって徐々に外径方向に押し出されて中間筒61の中間内周面61r2に接近するため、弾性変形量が増大していく。また、各長溝72aの先端開口部72a1の周方向の対向壁面は、内筒62のボディ側端部方向へ進むにつれて徐々に幅が狭くなるように形成されているため、各先端屈曲部73bは、周方向にも徐々に押圧されて弾性変形量が増大していく。そして、内筒62が図21や図24に示す位置まで完全に挿入されると、各先端屈曲部73bは先端開口部72a1から脱して長溝72aの一様断面部(浅い部分)に係合し、中間筒61と内筒62に及ぼす摩擦係合力が最大になる。つまり、ばね収納空間72内への回転フリクションばね73の装着は、中間筒61に対する内筒62の軸線方向への挿入動作を利用して徐々にフリクションを増大させて行われるので、回転フリクションばね73の脱落を考慮せずに済み、作業性が良い。
なお、本実施形態では、長溝72aの先端開口部72a1は、内筒62のグリップ側端部に向けて深さと周方向幅の両方を徐々に大きくしているが、深さと周方向幅の一方のみを徐々に大きくするようにしても、上記と同様の効果を得ることができる。但し、深さと周方向幅の両方を傾斜させた方が、より効率的に回転フリクションばね73のフリクションを増大させることができる。
カメラ本体部11内の電装系について図13ないし図16を参照して先に説明したが、グリップ40も含めたデジタルカメラ10全体の電装系の概略を図40に示す。カメラ本体部11側については既述の通りであるから省略し、グリップ40側について説明すると、シャッタボタン45、ズーム操作レバー46、録画ボタン47のそれぞれの入力を受け付けるスイッチ基板74、75及び76と、バッテリ42の電極に接触される電源接点77が設けられている(図39参照)。グリップ40内のこれらスイッチ基板74、75及び76と電源接点77は、それぞれがリード線74a、75a、76a及び77aを介してコネクタ固定基板78上の端子に接続されている。
コネクタ固定基板78は、図17、図19ないし図26に図示されるように軸支持板69に隣接して設けられており、固定ねじ69dによって軸支持板69と共にグリップ40に固定されている。コネクタ固定基板78の中央には貫通孔78aが形成されており、グリップ40への固定状態で貫通孔78aは軸支持板69の中央貫通孔69cに連通している。図21ないし図26に示すように、中央貫通孔69cはさらに内筒62の貫通空間62vに連通しており、貫通空間62vの他端は軸支持板64の中央貫通孔64aに連通している。すなわち、コネクタ固定基板78を含めたグリップ回動軸41全体は、グリップ40の内部空間とカメラ本体部11の内部空間を軸線X3方向に連通させる貫通空間を有している。
図39に示すように、コネクタ固定基板78には複数の端子が設けられている。コネクタ固定基板78において、図39に示す複数の端子のうち、左半分がグリップ40内の要素に接続する端子であり、右半分がメイン基板58側に接続される端子である。この右半分の各端子に対して、グリップ接続リード線79の一端部が接続している。なお、グリップ接続リード線79は複数のリード線を束ねて構成されているが、図中では便宜的に一本の配線として示している。グリップ接続リード線79は、グリップ回動軸41の貫通空間62vに挿通され、軸支持板64の中央貫通孔64aからカメラ本体部11内に延出されて、その他端部がメイン基板58に設けた端子に接続されている(図40参照)。グリップ接続リード線79は、軸線X3に沿うグリップ回動軸41の伸縮動作(外筒60に対する中間筒61及び内筒62の軸線方向進退)や、軸線X3を中心とするグリップ回動軸41の回動(中間筒61に対する内筒62の最大約180度の相対回動)に対応できるように、コネクタ固定基板78とメイン基板58の間に十分な長さをもって配設されている。詳細には、図15に示すように、メイン基板58は、グリップ回動軸41の延長上の位置(図15におけるFPC59aの下方、コネクタ55aの左方)が一部切り欠かれた形状をなしており、グリップ40の収納状態では、このメイン基板58の切欠部分にグリップ接続リード線79の弛み領域が収納される。そして、カメラ本体部11からグリップ40を引き出すと、その引き出し量に応じてグリップ接続リード線79が繰り出される。
本実施形態のカメラ本体部11とグリップ40の関係のように、本体部に対して相対回動と回動軸方向への進退移動とが可能な可動部材は様々なものが知られている。このようなタイプの機器では、可動部材が回動及び直進進退の両方という複雑な動作形態を有するため、可動部材の動作の妨げにならないようにするべく、リード線やFPCの長さを十分に確保し、かつその取り回しを工夫する必要がある。従来は、この種の可動部材内の電気部品(例えばスイッチ基板74、75及び76のようなサブ基板)と本体部内の電気部品(例えばメイン基板58)は、リード線やFPCによって直接に接続するのが一般的であった。しかし、このように直結させた配線構造では、他の内部構造物に引っ掛かるなどして可動部材の動作時にスムーズに対応できなくなるおそれがある。すると、当該直結配線部分にかかるテンションが可動部材内のサブ基板に対して直接作用し、その負荷が大きい場合には、サブ基板の脱落や変形が生じるおそれがある。本実施形態に即して言えば、先に説明した構造と異なり、スイッチ基板74、及び76や電源接点77が、コネクタ固定基板78を介さずに各々が直接にメイン基板58に接続されているものと仮定すると、その直結配線の途中で引っ掛かりが生じたとき、スイッチ基板74、75及び76や電源接点77に過度な負荷がかかるおそれがある。そして、配線を束ねてかつ比較的無理のない軌跡で配設することのできるカメラ本体部11内やグリップ回動軸41内では、配線の引っ掛かりが比較的生じにくく、複数の配線が個々のスイッチ板や接点に向けて別方向に配設されるグリップ40内で、配線の引っ掛かりが生じる可能性が高い。
これに対し本実施形態では、グリップ40内の各リード線74a、75a、76a及び77aは、同じグリップ40内の固定物であるコネクタ固定基板78に接続されており、リード線の配線はグリップ40内で完結している。そのため、カメラ本体部11に対してグリップ40が回動や接離移動を行っても、グリップ40内のリード線74a、75a、76a及び77aにはテンションがかかることがない。グリップ40側とカメラ本体部11側の接続を担うのはグリップ接続リード線79である。グリップ接続リード線79の一端部が接続するコネクタ固定基板78はグリップ回動軸41の端部に固定されているから、グリップ接続リード線79については、グリップ回動軸41内とカメラ本体部11内でのみ配設状態を留意すればよいことになる。そして、前述した通り、グリップ回動軸41やカメラ本体部11内は、グリップ40内に比較して配線の引っ掛かりが生じにくい。また、仮にグリップ接続リード線79にテンションがかかるような状況になったとしても、コネクタ固定基板78は、グリップ回動軸41と実質的に一体化された高強度の部材であるから、スイッチ基板74、75及び76や電源接点77に比べてストレスへの耐性が高く脱落や変形が生じにくい。したがって、本実施形態の電装系は、グリップ40の動作を起因とする不具合が生じにくい。
以上の実施形態の説明から明らかなように、本発明の回動進退軸構造によれば、中間筒61を挟んで、外筒60には直進進退動作の支持を担当させ、内筒62には回動の支持を担当させる三重筒構造としたので、回動と軸線方向移動の両方を円滑に行わせることができる。また、外筒60と内筒62は共通の中間筒61によってガイドされるので部品点数が少なくて済み、しかもこれら三重筒は同心状に配置されているのでスペース効率が良く、コンパクトな回動進退軸構造が得られる。また、内筒62を軸方向に貫通する中空空間62vを有する筒状体として形成し、その内部にグリップ接続リード線79を挿通させることで、コンパクト性を損なうことなくグリップ40側とカメラ本体部11側の電気的な接続を行うことができる。
図41と図42は、本発明の第2の実施形態を示している。図41と図42において、先に説明した第1の実施形態と共通する部分については同符号で示している。また、以下に説明しない部分については、第1の実施形態と同様の構造を備えているものとする。
内筒(内軸、回動軸要素、グリップ側軸筒部材)162は、グリップ側端部(図41の左側)からボディ側端部(図41の右側)へ向かうにつれて、大径部162a、中径部162b、小径部162cと段階的に小径になっていくように形成されている。大径部162aは、グリップ40側の軸支持板(軸支持部材)169に対向する側の端面に一対の回転規制孔162dを有する。回転規制孔162dは、第1の実施形態の回転規制孔62eに対応しており、該回転規制孔162dに対して軸支持板169側に設けた一対の位置決めピン169aが係合される。軸支持板169と内筒162は、第1の実施形態の固定ねじ62bに相当する不図示の固定手段によって固定されている。
内筒162の大径部162aは外筒60の内径サイズよりも大径であり、該大径部162aにおいて外筒60のグリップ側端面(抜止フランジ60d)に対向する側の面に、外筒60内に進入可能な回動規制ピン162eが突設されている。中間筒(中間軸筒部材)161に対して軸支持板169側から内筒162を挿入していくと、先端フランジ162aが中間筒161の端面に設けた弧状突起161aに接近する。軸支持板169と内筒162に対する中間筒161の相対回動角は、この弧状突起161aと、内筒162側の回動規制ピン162eとによって制限される。図42に示すように、弧状突起161aは軸線X3を中心とする約半周の領域に亘って形成されており、その一方と他方の端面が回動規制ピン162eに当接するまで、中間筒161が内筒162に対して相対回動することができる。
中間筒161の内部は、グリップ側端部(図41の左側)からボディ側端部(図41の右側)へ向かうにつれて、大径内周面161r1、中間内周面161r2、小径内周面161r3と段階的に小径になっていくように形成されている。大径内周面161r1と小径内周面161r3はそれぞれ、内筒162の中径部162bと小径部162cに対して相対回動可能に嵌まる径サイズとなっている。中間内周面161r2と小径内周面161r3の間のスペースには、第1の実施形態の回転フリクションばね73に相当するグリップ角度保持手段が収納されている。
内筒162のボディ側端部(小径部162cの先端部)には、中央に貫通孔を有する抜止フランジ(径方向突出部)162fが固定される。抜止フランジ162fは第1の実施形態の抜止フランジ62aに相当する部材であり、内筒162とは別体である点が先の抜止フランジ62aとは異なる。内筒162に対する抜止フランジ162fの固定は、ねじ留めや接着など適当な手法で行う。
組立時には、中間筒161はカメラ本体部11側(軸支持板64側)から外筒60内へ挿入され、内筒162はグリップ40側(軸支持板69側)から中間筒161及び外筒60内へ挿入される。この挿入状態では、内筒162の大径部162aが外筒60の抜止フランジ60dに当て付いている。そして、内筒162の小径部162cの先端に抜止フランジ162fを固定すると、抜止フランジ162fと大径部162aの間に中間筒161が挟まれて、該中間筒161と内筒162が軸線方向に相対移動しないように一体化される。
そして、第1の実施形態と同様に、軸支持板169にコネクタ固定基板78が固定され、該コネクタ固定基板78とカメラ本体部11側のメイン基板58を接続するグリップ接続リード線79が、内筒162の中心空間内に挿通されている。
この第2実施形態から分かるように、本発明では、その要旨を逸脱しない範囲において、回動進退軸を構成する各軸筒部材の細部構造などを適宜変更することができる。
なお、本発明は図示実施形態に限定されるものではない。例えば、実施形態では、グリップ40側に回動案内を担当する内筒62が固定され、カメラ本体側11に直進移動案内を担当する外筒60が固定されているが、この関係を逆にすることもできる。
また、実施形態では、回動方向と回動軸線方向のそれぞれの移動位置を定めるクリック機構を備えているが、これらのクリック機構を省略することもできる。
また本発明は、相対回動と回動軸線方向の相対移動が可能な2つの電気機器を接続する回動進退軸構造として、カメラのグリップ以外の機器にも適用することが可能である。