JP4425487B2 - 電子写真感光体及びその製造方法、並びにそれを用いた電子写真方法、電子写真装置、電子写真装置用プロセスカートリッジ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高耐久性を有し、かつ高画質化を実現した電子写真感光体及びその製造方法に関する。また、本発明は、その感光体を使用した電子写真方法、電子写真装置、電子写真用プロセスカートリッジに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子写真方式を用いた情報処理システム機器の発展には目覚ましいものがある。特に、情報をデジタル信号に変換して光によって情報記録を行うレーザープリンターやデジタル複写機は、そのプリント品質、信頼性において向上が著しい。さらに、それらは高速化技術との融合によりフルカラー印刷が可能なレーザープリンターあるいはデジタル複写機へと応用されてきている。そのような背景から、要求される感光体の機能の一つとして、高画質化が特に重要な課題となっている。
【0003】
これらの電子写真方式のレーザープリンターやデジタル複写機等に使用される感光体としては、有機系の感光材料を用いたものが、コスト、生産性及び無公害性等の理由から一般に広く応用されている。有機系の電子写真感光体には、ポリビニルカルバゾ−ル(PVK)に代表される光導電性樹脂感光体、PVK−TNF(2,4,7−トリニトロフルオレノン)に代表される電荷移動錯体型感光体、フタロシアニン−バインダーに代表される顔料分散型感光体等が知られており、現在では電荷発生物質と電荷輸送物質とを組み合わせて用いる機能分離型の感光体が広く応用されている。
【0004】
機能分離型の感光体における静電潜像形成のメカニズムは、感光体を帯電した後光照射すると、光は電荷輸送層を通過し、電荷発生層中の電荷発生物質により吸収され電荷を生成する。それによって発生した電荷が電荷発生層及び電荷輸送層の界面で電荷輸送層に注入され、さらに電界によって電荷輸送層中を移動し、その上に保護層を有する場合には、保護層に注入された後感光体表面に移動し、感光体の表面電荷を中和することにより静電潜像を形成するものである。
【0005】
しかし、有機系の感光体は、繰り返し使用によって膜削れが発生しやすく、感光層の膜削れが進むと、感光体の帯電電位の低下や光感度の劣化、感光体表面のキズ等による地汚れ、画像濃度低下あるいは画質劣化が促進される傾向が強く、従来から感光体の耐摩耗性が大きな課題として挙げられていた。さらに、近年では電子写真装置の高速化あるいは装置の小型化に伴う感光体の小径化によって、感光体の高耐久化がより一層重要な課題となっている。従って、有機系の電子写真感光体においては、特に高画質化と高耐久化を両立させることが最重要課題として挙げられている。
【0006】
感光体の高耐久化を実現するためには、まず感光体の耐摩耗性を向上させる必要がある。感光体の感光層の膜厚が薄くなるに従い電界強度が高くなり、地肌汚れ等の画像欠陥が顕著に発生しやすくなる。一方、感光層の膜厚を必要以上に増加させた場合には、解像度が大幅に低下し画質劣化が生じる傾向が見られる。また、繰り返し使用時に膜厚減少量が大きいと、画像品質が変動しやすく短いサイクルでの感光体の交換を余儀なくされる。従って、感光体の膜厚変動を少なくすることは高耐久化だけでなく高画質化に対しても重要である。
【0007】
感光体の耐摩耗性を向上させる手段としては、感光体の最表面に保護層を設け、さらに保護層に潤滑性を付与したり、硬化させたり、フィラーを含有させる方法が広く知られている。特に、保護層にフィラーを含有させる方法は、比較的長期的に渡って安定にその効果が得られることから、感光体の高耐久化に対して有効かつ有用な方法の一つとなっている。
【0008】
しかし、フィラーを含有させたことによって引き起こされる電荷トラップサイトの増加は、著しい残留電位上昇を引き起こす。残留電位の増加は、電子写真装置内では明部電位が高いことにつながり、画像濃度や階調性の著しい低下を招き、画質劣化を引き起こすことになる。それを補うためには暗部電位を高くする必要があるが、暗部電位を高くすると電界強度が高くなり、地肌汚れ等の画像欠陥を生じ易くさせるだけでなく、感光体の寿命をも著しく低下させることにつながる。
残留電位上昇の問題は、繰り返し使用時により一層深刻な問題を与える。感光体を長期間繰り返し使用すると、発生するオゾンの影響により電荷輸送物質が分解あるいは変質してくると同時に、電荷トラップサイトがさらに増加し、残留電位の著しい上昇を引き起こすことになる。これは画像濃度や階調性が低下することになり、結局感光体の寿命を大幅に低下させることにつながる。
【0009】
この残留電位に与えるフィラーの影響は、フィラーの抵抗に起因し、電気絶縁性の高いフィラーを用いた方が残留電位上昇の影響が増大する。一方、導電性フィラーを含有させた場合には、残留電位上昇の影響は比較的小さくなるが、画像の輪郭がぼやける、所謂画像ボケが発生しやすくなり、画像品質への影響が強く現れる。これは、感光体の横方向への電荷の移動によると考えられており、特に高温高湿下において顕著に発現する。これらのことから、フィラーの絶縁性を高くすると画像ボケの影響が少なくなる一方で残留電位の上昇が発生しやすくなり、フィラーの絶縁性を低くすると残留電位上昇の影響は少なくなるものの、横方向への電荷移動が起こりやすくなり、画像ボケが発生しやすくなる。従って、画像ボケが発生せず、かつ最小限の残留電位を維持することが必要である。
【0010】
また、この画像ボケはフィラーの種類だけに起因するものではなく、繰り返し使用による感光体表面の汚染による影響も非常に大きいことが知られている。外界の使用雰囲気あるいは感光体を帯電させる際に発生するNOxやオゾンガスは、電荷輸送物質や結着樹脂等を分解あるいは変質させるとともに、それによって生成した物質が感光体表面に付着することにより、感光体表面が低抵抗化し、画像ボケが発生しやすくなる。従来の感光体は、耐久性が低く、繰り返し使用による感光体の摩耗量が多いことが逆に幸いし、感光体表面に付着した汚染物質や分解、変質した電荷輸送物質が摩耗によって除去されたために、画像ボケが発生しにくかった。しかし、感光体の高耐久化を実現するためには、感光体の摩耗量を最小限にする必要があり、それに伴って画像ボケが発生しやすくなる新たな課題が生じることとなった。
【0011】
従来技術においては、比較的残留電位上昇の影響が少ない絶縁性の低いフィラーを用い、それによって発生する画像ボケに対しては、感光体を加熱するドラムヒーターを搭載する手段が主に用いられている。確かに、感光体を加熱することによって画像ボケの発生は抑制できるものの、ドラムヒーターを搭載するには感光体の径が大きくなければならないため、電子写真装置の小型化に伴って、現在主流となりつつある小径感光体には適用できず、小径感光体の高耐久化が困難とされていた。さらに、ドラムヒーターの搭載によって装置が大型にならざるを得ず、消費電力が顕著に増加する上、装置の立ち上げ時には多くの時間を要する等、操作性から環境面に至るまで多くの課題を残しているのが実状であった。
【0012】
以上のことから、感光体の高耐久化と高画質化を両立させるためには、感光体の耐摩耗性を向上させるだけでなく、残留電位の上昇や画像ボケの発生を同時に抑制することが必要不可欠である。
【0013】
従来技術において、残留電位上昇を抑制させる方法としては、フィラーとして含有される金属あるいは金属酸化物の平均粒径を0.3μm以下にすることによって、保護層が実質的に透明となり、残留電位蓄積を抑制する方法(特開昭57−30846号)が開示されている。この方法は残留電位の増加を抑制する効果としては不十分であり、課題を解決するには至っていないのが実状である。それは、フィラーを含有させた場合に引き起こされる残留電位の増加は、電荷発生効率よりもフィラーの存在による電荷トラップやフィラーの分散性に起因する可能性が高いことによる。フィラーの平均粒径が0.3μm以上であっても分散性を高めることによって透明性を得ることが可能であるし、平均粒径が0.3μm以下であってもフィラーがかなり凝集していれば膜の透明性は低下することになる。
【0014】
また、保護層にフィラーとともに電荷輸送物質を含有させることにより、機械的強度を備えつつ、残留電位増加を抑制させる方法(特開平4−281461号)が開示されている。この手段は、電荷の移動度を向上させるのに効果を発揮し、残留電位を減少させるのに有効な方法である。しかし、フィラーが含有されたことによって引き起こされた残留電位の著しい増加は、フィラーの存在に起因する電荷トラップサイトの増加によるとすると、電荷の移動度を向上させて残留電位上昇を抑制させるには限界がある。従って、この方法だけでは、要求される耐久性を満足させるに至っていないのが実状であった。
【0015】
残留電位上昇を抑制する別の手段としては、保護層中にルイス酸等を添加する方法(特開昭53−133444号)、保護層に有機プロトン酸を添加する方法(特開昭55−157748号)、電子受容性物質を含有させる方法(特開平2−4275号)、酸価が5(mgKOH/g)以下のワックスを含有させる方法(特開2000−66434)が開示されている。これらの方法は、保護層/電荷輸送層界面での電荷の注入性を向上させ、また保護層に低抵抗部分が形成されることにより、電荷が表面にまで到達しやすくなることに起因していると考えられている。これらの方法は、残留電位の低減効果が認められるが、それによって画像ボケを引き起こしやすくなり、画像への影響が顕著に現れる副作用を有する。また、有機酸を添加した場合にはフィラーの分散性の低下を引き起こしやすくなるため、その効果は十分ではなく、課題の解決に至っていないのが実状である。
【0016】
本発明者らは、高耐久化のためにフィラーを含有させた電子写真感光体において、高画質化を実現するための一つの手段として、前述の残留電位上昇や画像ボケの発生を抑制させると同時に、電荷の移動がフィラーによって妨げられることなく、感光体の表面まで直線的に到達させることが重要であることを見出した。それには保護層中のフィラーの分散性が大きく影響する。フィラーが凝集した状態では、注入された電荷が表面へ移動する際、フィラーによって移動が妨げられたり、トラップされたりしやすくなり、結果的にトナーによって形成されるドットが散った状態となって解像度が大きく低下する。また、フィラーを含む保護層を表面に設けた場合に、フィラーによって書き込み光が散乱され光透過性が低下する場合も、同様に解像度に大きな悪影響を与えることになるが、この光透過性に与える影響もまたフィラーの分散性と密接に関係している。さらに、フィラーの分散性は耐摩耗性に対しても大きく影響し、フィラーが強い凝集を起こし、分散性に乏しい状態ではフィラーの保持能が小さいため、耐摩耗性が大きく低下したり、偏摩耗を起こしたりして、高耐久化及び高画質化に対し大きな悪影響を与えることになる。従って、高耐久化のためにフィラーを含有させた保護層を有する電子写真感光体において、同時に高画質化を実現するためには、保護層中でのフィラーの分散性を高めることが重要である。
【0017】
保護層中のフィラーの分散性を向上させるためには、塗工分散液中のフィラー分散性を向上させることが重要である。塗工分散液の分散性が乏しい場合には、どのような塗工手段を用いても保護層中のフィラー分散性を改良することは難しい上に、フィラーの沈降性が促進されることにより、感光体の品質安定性が低下し、さらに分散液の寿命も大幅に低下することになる。
【0018】
加えて、感光体の高耐久化と高画質化を両立させるためには、前述のとおりNOxやオゾンガスによる感光体表面の汚染を抑制することが重要である。NOxやオゾンガスによる影響は、画像ボケの発生だけでなく、帯電低下や感度低下、さらに耐摩耗性の低下にまで及び、高耐久化に対して大きな障害になっている。前述のとおり、これらの影響はNOxやオゾンガスによって電荷輸送物質や結着樹脂等が分解、変質され、感光体表面が汚染されたりすることが主要な原因として考えられている。
【0019】
これらの従来技術における抑制方法としては、感光体表面を研摩する方法(特開平2−52373号、特開平3−92822号等)、感光層に酸化防止剤を含有させる方法(特開平2−64549号、特開平2−64550号、特開平6−332216号等)、感光層上にフッ素系樹脂粉体を含有させる方法(特開平2−67566号、特開平2−189550号、特開平2−189551号)、感光体表面層に滑材粉体を含有させる方法(特開平1−284857号、特開平1−285949号、特開平4−21855号)、感光体を加熱する方法(特開平1−191883号、特開平1−206386号、特開平1−233474号)等が開示されている。しかし、これらの方法は、残留電位の上昇や感度の低下を招いたり、耐久性の低下や画像ボケが発生しやすくなったり、あるいは膜質の低下を引き起こし、高耐久化と高画質化の両立という課題に対して満足される方法とは言い難い。
【0020】
一方、電荷輸送層を多層化し、電荷輸送物質の含有量を表面に近い電荷輸送層において低く設定する方法(特開平11−288128号)が開示されている。この方法は、耐コロナ性の向上を目的としているが、最表面層の電荷輸送物質の濃度を低下させる場合は、数μm程度の薄い層でなければ残留電位上昇の影響が顕著に発現することになり、課題の解決には至っていない。また、保護層より導電性支持体側に有する電荷輸送層を複数層とし、保護層と電荷輸送層との界面付近に電荷輸送物質を多く含有させる方法(特開平3−31846号)が開示されている。この方法は、保護層が真空薄膜である上、オゾン等の活性ガスが保護層を通過した場合の電荷輸送層の劣化に対処するものであり、最表面の保護層に対する記述がされていないが、本発明においては活性ガスによる構成材料の分解あるいは変質の影響は、最表面層領域が最も強いことから最表面の保護層で対処しようとするものであり、その構成及びその効果が大きく異なるものである。従って、従来技術では、効果が不十分であったり副作用の影響が大きかったりする場合がほとんどであり、高耐久化と高画質化の両立に対し満足される方法が見出されていないのが実状であった。
【0021】
感光体の高耐久化のためには、耐摩耗性を向上させることが必要不可欠であるが、それと同時に高画質化を実現させる必要があり、そのためには残留電位上昇の抑制、画像ボケの抑制、さらには保護層中のフィラー分散性の向上等が重要である。さらに、繰り返し使用によっても残留電位上昇が少なく、NOxやオゾンガスに対する影響を最小限にすることが高耐久化において必要不可欠である。しかし、それらを同時に解決できる有効な手段は見出されておらず、高耐久化と高画質化の両立に大きな課題を残しているのが実状であった。それらの影響を軽減させるために、最終的にドラムヒーターを搭載する手段が用いられることによって、装置の小型化や消費電力の低減に対しても大きな障害となっていた。さらに、最も耐久性が必要とされる小径感光体では、その手段が適用しにくいため高耐久化が実現されておらず、高耐久化と高画質化を両立した感光体の開発が熱望されていた。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、高耐久性を有し、かつ残留電位上昇、あるいは画像ボケの発生による画像劣化を抑制し、長期間の繰り返し使用に対しても高画質画像が安定に得られる感光体を提供することをその課題とする。
また、本発明は、それらの感光体を用いることにより、感光体の交換が不要で、かつ高速印刷あるいは感光体の小径化に伴う装置の小型化を実現し、さらに繰り返し使用においても高画質画像が安定に得られる電子写真方法、電子写真装置、並びに電子写真用プロセスカートリッジを提供することを別の課題とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】
電子写真感光体の高耐久化を実現するために、感光体の最表面にフィラーを含有させた層を形成することが有効であることは知られているが、残留電位の上昇や画像ボケの発生等、画質劣化を引き起こす副作用を有する。これは、含有されるフィラーによって電荷トラップサイトが増加したり、外界の水の影響を受けやすくなったり、電荷移動あるいは光透過の妨げとなることによって主に引き起こされると考えられている。従って、これらの影響を軽減させるためには、フィラーの物性だけでなく、フィラーの分散性を向上させることが必要である。
【0024】
また、長期間の繰り返し使用時には、感光体が外界の雰囲気や帯電の際に発生するNOxやオゾンガスに曝されることにより、解像度が大幅に低下する。高耐久化及び高画質化を両立する感光体を得るためには、これらの影響を軽減させることが重要である。これらの活性ガスの影響は感光体の表面部分が最も強く、また活性ガスによる画像への影響は、特に感光体の表面部分に存在する電荷輸送物質や結着樹脂、分散剤等の分解や変質が原因の一つとして考えられている。従って、他の特性に影響を与えずにこれらの材料の含有量を低減させることができれば、活性ガスによる画像への影響を軽減することが可能となる。
【0025】
そこで、本発明においては、以下の構成要件を満足することにより、高耐久性と高画質化の両立を可能とし、繰り返し使用に対しても高画質画像を安定に得られる電子写真感光体及びその製造方法を提供し、また、繰り返し使用においても高画質画像を安定に得られる電子写真方法、電子写真装置、並びに電子写真用プロセスカートリッジを提供することを可能とした。
(1)導電性支持体上に少なくとも電荷発生物質及び電荷輸送物質を含有する感光層を設けてなる電子写真感光体において、該感光層上に少なくともフィラー及び分散剤を含有した保護層を形成し、かつ保護層に含有される分散剤の濃度が保護層の最表面領域において最も低くなる濃度変化を有し、前記保護層に含有される分散剤が、構造中に少なくとも1つ以上のカルボキシル基を含有する有機化合物であることを特徴とする電子写真感光体。
(2)前記保護層に含有される分散剤において、該分散剤の濃度が保護層/感光層の界面より保護層の最表面側へ向かうに従い、連続的に低くなる濃度勾配を有することを特徴とする上記(1)記載の電子写真感光体。
(3)前記感光層が、少なくとも電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層との積層構成からなることを特徴とする上記(1)又は(2)記載の電子写真感光体。
(4)前記保護層に含有される分散剤が、ポリカルボン酸誘導体であることを特徴とする上記(1)から(3)のいずれかに記載の電子写真感光体。
(5)前記保護層に含有される分散剤が、10〜400(mgKOH/g)の酸価を有する有機化合物であることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の電子写真感光体。
(6)前記保護層に含有される分散剤の添加量が、下記の関係式を満たすことを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載の電子写真感光体。
0.1≦(分散剤の添加量×分散剤の酸価)/(フィラーの含有量)≦20
(7)前記保護層に含有されるフィラーが、少なくとも1種の無機顔料であることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載の電子写真感光体。
(8)前記保護層に含有されるフィラーが、少なくとも1種の金属酸化物であることを特徴とする上記(7)記載の電子写真感光体。
(9)前記保護層に含有される少なくとも1種の無機顔料もしくは金属酸化物のpHが、5以上であることを特徴とする上記(7)又は(8)記載の電子写真感光体。
(10)前記保護層に含有される少なくとも1種の無機顔料もしくは金属酸化物の誘電率が、5以上であることを特徴とする上記(7)〜(9)のいずれかに記載の電子写真感光体。
(11)前記保護層に含有される少なくとも1種の無機顔料もしくは金属酸化物が、少なくとも1種の表面処理剤で表面処理を施されていることを特徴とする上記(7)〜(10)のいずれかに記載の電子写真感光体。
(12)前記保護層に含有される表面処理が施された無機顔料もしくは金属酸化物において、表面処理剤が、少なくともチタネート系カップリング剤、高級脂肪酸もしくは高級脂肪酸金属塩であることを特徴とする上記(11)記載の電子写真感光体。
(13)前記保護層に含有される表面処理が施された無機顔料もしくは金属酸化物において、表面処理量が2〜30wt%であることを特徴とする上記(11)又は(12)記載の電子写真感光体。
(14)前記保護層に含有されるフィラーの平均一次粒径が、0.01〜0.5μmであることを特徴とする上記(1)〜(13)のいずれかに記載の電子写真感光体。
(15)前記保護層に、少なくとも1種の電荷輸送物質を含有することを特徴とする上記(1)〜(14)のいずれかに記載の電子写真感光体。
(16)前記保護層に含有される電荷輸送物質のイオン化ポテンシャルIpと、感光層に含有される電荷輸送物質のそれとの間に下記の関係が成り立つことを特徴とする上記(15)記載の電子写真感光体。
保護層に含有される電荷輸送物質のIp≦電荷輸送層に含有される電荷輸送物質のIp
(17)前記保護層に含有される電荷輸送物質において、保護層に含有される電荷輸送物質の濃度が保護層の最表面領域において最も低くなる濃度変化を有することを特徴とする上記(15)又は(16)記載の電子写真感光体。
(18)前記保護層に含有される電荷輸送物質において、該電荷輸送物質の濃度が保護層/感光層の界面より最表面側へ向かうに従い、連続的に低くなる濃度勾配を有することを特徴とする上記(17)記載の電子写真感光体。
(19)前記保護層に含有される電荷輸送物質として、高分子電荷輸送物質をすべてに、あるいは一部に含有することを特徴とする上記(15)〜(18)のいずれかに記載の電子写真感光体。
(20)前記保護層に含有される結着樹脂が、ポリカーボネート系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリエステル系樹脂のいずれか、あるいはそれらが2種以上混合されて含有することを特徴とする上記(1)〜(19)のいずれかに記載の電子写真感光体。
(21)前記保護層に含有される結着樹脂がポリマーアロイであって、少なくともそれがポリエチレンテレフタレートとのポリマーアロイであることを特徴とする上記(20)記載の電子写真感光体。
(22)前記保護層に含有される結着樹脂に、酸価が10〜400(mgKOH/g)の樹脂を含有することを特徴とする上記(1)〜(21)のいずれかに記載の電子写真感光体。
(23)上記(1)〜(22)のいずれかに記載の電子写真感光体を製造する方法であって、保護層の形成方法にスプレー塗工法を用いることを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
(24)含有材料の濃度が異なる分散液を用いて、保護層を順に積層させることにより保護層に濃度変化を与えることを特徴とする上記(23)記載の電子写真感光体の製造方法。
(25)含有材料の濃度が異なる複数の分散液を、複数のスプレーガンを用いて時間差を設けながら同時に塗工を行い、保護層に濃度変化を与えることを特徴とする上記(23)記載の電子写真感光体の製造方法。
(26)上記(1)〜(22)のいずれかに記載の電子写真感光体を用い、該電子写真感光体に、少なくとも帯電、画像露光、現像、転写を繰り返し行うことを特徴とする電子写真方法。
(27)上記(1)〜(22)のいずれかに記載の電子写真感光体を用い、該電子写真感光体に、少なくとも帯電、画像露光、現像、転写を繰り返し行い、かつ画像露光の際にはLDあるいはLED等によって感光体上に静電潜像の書き込みを行うことを特徴とするデジタル方式の電子写真方法。
(28)上記(1)〜(22)のいずれかに記載の電子写真感光体と、少なくとも帯電手段、画像露光手段、現像手段、転写手段及び電子写真感光体を具備してなることを特徴とする電子写真装置。
(29)上記(1)〜(22)のいずれかに記載の電子写真感光体と、少なくとも帯電手段、画像露光手段、現像手段、転写手段及び電子写真感光体を具備してなり、画像露光手段にLDあるいはLED等を使用することによって感光体上に静電潜像の書き込みが行われることを特徴とするデジタル方式の電子写真装置。
(30)少なくとも上記(1)〜(22)のいずれかに記載の電子写真感光体を具備してなることを特徴とする電子写真装置用プロセスカートリッジ。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下本発明を詳細に説明する。
電子写真感光体の表面に形成される保護層にフィラーが含有された高耐久性を有する電子写真感光体は、副作用として残留電位の上昇、解像度の低下、画像ボケの発生等、画質への影響が避けられず、高耐久化と高画質化を両立させることは困難とされてきた。これは、画像ボケと残留電位との間にはトレードオフの関係があることが問題の解決を困難にしている。
【0027】
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、保護層に含有されるフィラーには耐摩耗性に対して有効な無機フィラーを用い、さらにその中でも絶縁性の高いフィラーを用いることによって画像ボケの発生を抑制し、それによって引き起こされる残留電位上昇の抑制に対しては、分散剤の添加によってフィラーの分散性を向上させ、かつフィラーの電荷トラップサイトを減少させることによって達成することが可能となった。
【0028】
保護層中に含有されるフィラーが脱凝集され、分散性が良好である場合には、保護層に注入された電荷が表面まで到達しやすくなるため、残留電位上昇を抑制できるだけでなく、トナーによって形成されるドット再現性がより忠実となり、高解像度の画像を得ることが可能となる。一方、フィラーが極度な凝集状態にある場合には、フィラーによって電荷の移動が妨げられ、電荷移動の直進性が低下することによって解像度が低下するだけでなく、電荷がトラップされやすくなり、結果的に画像ボケの発生や残留電位を増加させる。
【0029】
フィラーの凝集は、有機溶媒や結着樹脂等との親和性が低い無機(親水性)フィラーの方が起こりやすい。その場合、フィラー分散性を向上させるためには、フィラーを表面処理させる方法の他、本発明において見出されたカルボキシル基を構造中に有する有機化合物を分散剤として添加することによって、無機フィラーと有機溶剤や結着樹脂等との親和性を高めることが可能となり、結果的にフィラー分散性を高める効果を有する。さらに、上記分散剤はそれ自身で、分散性を高める効果を持つが故に電荷トラップサイトを減少させる効果も有し、また分散剤自身が適当な酸価を有することによって、残留電位を低減させる相乗効果を得ることができる。
【0030】
この方法により保護層全体のフィラー分散性を向上させた効果は、単に残留電位上昇を抑制するだけに留まらず、トナーによって形成されるドットの散りが少なく、より忠実なドット再現が可能となった上に、書き込み光の透過率の均一化により画像濃度ムラの発生が防止されたことによって一層の高画質化が実現できた。また、繰り返し使用時の耐摩耗性の向上や偏摩耗の抑制が実現できたことにより高画質画像を長期にわたり得ることが可能となった。さらに、フィラーの分散性を向上させたことによって、異常画像の発生の抑制や塗膜欠陥の発生を防止し、分散液の高寿命化や高安定化をも実現できる等、多方面に渡る効果をも併せ持っている。
【0031】
上記の方法によって、画質劣化に及ぼす感光体の内部的な要因については改善され、耐摩耗性を維持しつつ高画質化が実現されたが、外部的な要因、すなわち外界雰囲気の影響や帯電する際に発生するNOxあるいはオゾンガスによる解像度低下や帯電低下等の影響を抑制しないことには高耐久化と高画質化を両立させたことにはならない。NOxやオゾンガスによる画像への影響は、感光体の最表面に位置する保護層に含有される電荷輸送物質や結着樹脂、分散剤等の分解や変質、あるいはそれによって引き起こされる感光体表面の汚染によって低抵抗化することがその発生原因の一つとして考えられており、それらの影響は感光体の最表面側が最も強く、層内部へとその影響が拡散されていく傾向がある。
【0032】
従って、保護層にこれらの影響が大きい電荷輸送物質や分散剤等が含有されていなければ、もしくはその含有量が少なければ、これらの画質劣化を抑制することが可能となる。しかし、保護層全体において電荷輸送物質や分散剤の含有量を減少させると、残留電位上昇の影響が顕著に現れることになり、画質劣化を促進させてしまうことになる。そこで、本発明においては、外界により近い最表面領域において、保護層に含有される分散剤や電荷輸送物質の含有量を、他の領域よりも少なくすることによって、保護層全体に分散剤や電荷輸送物質の濃度変化を与える構成とした。
【0033】
従来、電子写真感光体の高耐久化に対しては、残留電位上昇や画像ボケ等の画質劣化を引き起こす副作用が発生し、高耐久化と高画質化の両立が非常に困難とされてきた。本発明によって、画質劣化に与える感光体の内部的な要因と外部的な要因とを同時に抑制することが可能となり、高耐久化と高画質化を実現することが可能となった。これらの方法によって、高耐久化と高画質化の両立を実現する電子写真感光体、並びにそれを用いた電子写真方法、電子写真装置、電子写真用プロセスカートリッジを得ることが可能となった。
【0034】
以下、本発明に用いられる電子写真感光体を図面に沿って説明する。
図1は、本発明の電子写真感光体の一例を表わす断面図であり、導電性支持体31上に、電荷発生物質と電荷輸送物質を主成分とする感光層33が設けられている。さらに、その上にフィラー及び分散剤を含有する保護層39が形成され、かつ保護層39内において分散剤等の濃度変化を有する構成からなる。
【0035】
図2の例は、導電性支持体31上に、電荷発生物質を主成分とする電荷発生層35と、電荷輸送物質を主成分とする電荷輸送層37とが積層された構成をとっている。さらに、その上にフィラー及び分散剤を含有する保護層39が形成され、かつ保護層39内において分散剤等の濃度変化を有する構成からなる。
【0036】
図3の例は、導電性支持体31上に、電荷輸送物質を主成分とする電荷輸送層37と電荷発生物質を主成分とする電荷発生層35とが積層された構成をとっている。その上にフィラー及び分散剤を含有する保護層39が形成され、かつ保護層39内において分散剤等の濃度変化を有する構成からなる。
【0037】
導電性支持体31としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金等の金属、酸化スズ、酸化インジウム等の金属酸化物を、蒸着又はスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいは、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレス等の板及びそれらを、押し出し、引き抜き等の工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩等の表面処理した管等を使用することができる。また、特開昭52−36016号に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも導電性支持体31として用いることができる。
【0038】
この他、上記支持体上に導電性粉体を適当な結着樹脂に分散して塗工したものについても、本発明の導電性支持体31として用いることができる。この導電性粉体としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、またアルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀等の金属粉、あるいは導電性酸化スズ、ITO等の金属酸化物粉体等が挙げられる。また、同時に用いられる結着樹脂には、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性、熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂が挙げられる。このような導電性層は、これらの導電性粉体と結着樹脂を適当な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエン等に分散して塗布することにより設けることができる。
【0039】
さらに、適当な円筒基体上にポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、テフロン等の素材に前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブによって導電性層を設けてなるものも、本発明の導電性支持体31として良好に用いることができる。
【0040】
次に感光層について説明する。感光層は単層でも積層でもよいが、先ず電荷発生層35と電荷輸送層37で構成される場合から述べる。
【0041】
電荷発生層35は、電荷発生物質を主成分とする層であり、電荷発生物質や結着樹脂等を適当な溶剤に分散ないし溶解し、これを導電性支持体上あるいは下引き層上に塗布、乾燥することにより形成できる。
【0042】
電荷発生層35は、公知の電荷発生物質をすべて用いることが可能であり、電荷発生層35には、公知の電荷発生物質をすべて用いることが可能であり、その代表として、チタニルフタロシアニン、バナジルフタロシアニン、銅フタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、非対称ジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料等のアゾ顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、インジゴ顔料、ピロロピロール顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン系顔料、キノン系縮合多環化合物、スクエアリウム顔料等、公知の材料が挙げられ、これらは有用に用いられる。また、これら電荷発生物質は単独でも、2種以上混合して用いることも可能である。
【0043】
電荷発生層35は、電荷発生物質を必要に応じて結着樹脂とともに適当な溶剤中にボールミル、アトライター、サンドミル、超音波等を用いて分散し、これを導電性支持体上に塗布し、乾燥することにより形成される。
【0044】
必要に応じて電荷発生層35に用いられる結着樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミド、ポリビニルベンザール、ポリエステル、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリフェニレンオキシド、ポリアミド、ポリビニルピリジン、セルロース系樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。結着樹脂の量は、電荷発生物質100重量部に対し0〜500重量部、好ましくは10〜300重量部が適当である。結着樹脂の添加は、分散前あるいは分散後どちらでも構わない。
【0045】
ここで用いられる溶剤としては、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルセルソルブ、酢酸エチル、酢酸メチル、ジクロロメタン、ジクロロエタン、モノクロロベンゼン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、リグロイン等が挙げられるが、特にケトン系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒が良好に使用される。これらは単独で用いても2種以上混合して用いてもよい。
【0046】
電荷発生層35は、電荷発生物質、溶媒及び結着樹脂を主成分とするが、その中には、増感剤、分散剤、界面活性剤、シリコーンオイル等のいかなる添加剤が含まれていても良い。
【0047】
塗布液の塗工法としては、浸漬塗工法、スプレーコート、ビートコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコート等の方法を用いることができる。電荷発生層35の膜厚は、0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.1〜2μmである。
【0048】
電荷輸送層37は、電荷輸送物質及び結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを電荷発生層上に塗布、乾燥することにより形成できる。また、必要により単独あるいは2種以上の可塑剤、レベリング剤、酸化防止剤、滑材等を添加することが可能であり、有用である。
【0049】
電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸送物質とに分類される。電子輸送物質としては、例えばクロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ベンゾキノン誘導体等の電子受容性物質が挙げられる。
【0050】
正孔輸送物質としては、ポリ−N−ビニルカルバゾール及びその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリルエチルグルタメート及びその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒド縮合物及びその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、ポリシラン、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジェン誘導体、ピレン誘導体等、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体等、その他公知の材料が挙げられる。これらの電荷輸送物質は単独、又は2種以上混合して用いられる。
【0051】
結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性又は熱硬化性樹脂が挙げられる。
【0052】
電荷輸送物質の量は結着樹脂100重量部に対し、20〜300重量部、好ましくは40〜150重量部が適当である。また、電荷輸送層の膜厚は解像度や応答性の点から、25μm以下とすることが好ましい。下限値に関しては、使用するシステム(特に帯電電位等)によって異なるが、5μm以上が好ましい。
【0053】
ここで用いられる溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン等が用いられる。これらは単独で使用しても2種以上混合して使用しても良い。
【0054】
次に感光層が単層構成(33)の場合について述べる。
感光層は、前述の電荷発生物質、電荷輸送物質、結着樹脂等を適当な溶剤に分散し、これを導電性支持体上に塗工及び乾燥することによって形成される。感光層は、電荷発生物質及び電荷輸送物質及び結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを塗布、乾燥することによって形成できる。また、必要により可塑剤やレベリング剤、酸化防止剤、滑剤等の各種添加剤を添加することもできる。電荷発生物質及び電荷輸送物質は、電荷発生層35及び電荷輸送層37で挙げた材料を使用することが可能である。また、結着樹脂としては、先に電荷輸送層37で挙げた結着樹脂のほかに、電荷発生層35で挙げた結着樹脂を混合して用いてもよい。もちろん、先に挙げた高分子電荷輸送物質も良好に使用できる。結着樹脂100重量部に対する電荷発生物質の量は5〜40重量部が好ましく、電荷輸送物質の量は0〜190重量部が好ましく、さらに好ましくは50〜150重量部である。感光層は、電荷発生物質、結着樹脂を電荷輸送物質とともにテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロエタン、シクロヘキサン等の溶媒を用いて分散した塗工液を、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコート等の方法を用いて塗工し、乾燥することによって形成できる。感光層の膜厚は、5〜25μm程度が適当である。
【0055】
上記感光層の上に、耐久性の向上を目的としてフィラー、分散剤、結着樹脂、さらに電荷輸送物質等を適当な溶媒に分散あるいは溶解し、塗布及び乾燥を行うことによって、保護層39が形成される。
【0056】
前記保護層には、耐摩耗性を向上させる目的でフィラー材料が添加される。フィラーは有機フィラー及び無機フィラーとに分類され、有機フィラー材料としては、ポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素樹脂微粒子、シリコーン樹脂微粒子、a−カーボン粉末等が挙げられ、無機フィラー材料としては、銅、スズ、アルミニウム、インジウム等の金属粉末、シリカ、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、酸化カルシウム、アンチモンをドープした酸化錫、錫をドープした酸化インジウム等の金属酸化物、フッ化錫、フッ化カルシウム、フッ化アルミニウム等の金属フッ化物、チタン酸カリウム、窒化硼素等の無機材料が挙げられる。これらのフィラーの中で、フィラーの硬度の点から無機材料を用いることが耐摩耗性の向上に対し有利である。
【0057】
画像ボケが発生しにくいフィラーとしては、電気絶縁性が高いフィラーが好ましく、フィラーのpHが5以上を示すものやフィラーの誘電率が5以上を示すものが特に有効であり、酸化チタン、アルミナ、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム等が特に有効に使用できる。また、pHが5以上のフィラーあるいは誘電率が5以上のフィラーを単独で使用することはもちろん、pHが5未満のフィラーとpHが5以上のフィラーとを2種類以上を混合したり、誘電率が5未満のフィラーと誘電率が5以上のフィラーとを2種類以上混合したりして用いることも可能である。これらのフィラーの中でも高い絶縁性を有し、熱安定性が高い上に、耐摩耗性が高い六方細密構造であるα型アルミナは、画像ボケの抑制や耐摩耗性の向上の点から特に有用である。
【0058】
フィラーの平均一次粒径は、0.01〜0.5μmであることが、保護層の光透過率や耐摩耗性の点から好ましい。フィラーの平均一次粒径が0.01μm未満の場合は、凝集、分散性の低下等から耐摩耗性の低下を引き起こし、0.5μmを超える場合には、フィラーの沈降性が促進されたり、それを用いて作製した感光体によって得られる画像に異常画像が発生したりする可能性がある。
【0059】
また、これらのフィラーは少なくとも一種の表面処理剤で表面処理させることが可能であり、そうすることがフィラーの分散性の面から好ましい。フィラーの分散性の低下は残留電位の上昇だけでなく、塗膜の透明性の低下や塗膜欠陥の発生、さらには耐摩耗性の低下や偏摩耗の増加をも引き起こすため、高耐久化あるいは高画質化を妨げる大きな問題に発展する可能性がある。表面処理剤としては、従来用いられている表面処理剤をすべて使用することができるが、フィラーの絶縁性を維持できる表面処理剤が好ましい。例えば、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコアルミネート系カップリング剤、高級脂肪酸又はステアリン酸アルミニウム等の金属塩等、あるいはこれらの混合処理や、Al2O3、TiO2、ZrO2、シリコーン、ステアリン酸アルミニウム等、あるいはそれらの混合処理がフィラーの分散性及び画像ボケの点からより好ましい。シランカップリング剤による単独処理は、特に高温高湿時において画像ボケの影響が強くなるが、上記の表面処理剤とシランカップリング剤との混合処理を施すことによりその影響を抑制できる場合がある。表面処理量については、用いるフィラーの平均一次粒径によって異なるが、2〜30wt%が適しており、3〜20wt%がより好ましい。表面処理量がこれよりも少ないとフィラーの分散効果が得られず、また多すぎると残留電位の上昇を引き起こす。また、上記フィラーの絶縁性が低く画像ボケが発生しやすい場合であっても、これらの表面処理によって絶縁性を高め、画像ボケの影響を低減することも可能である。
【0060】
これらのフィラーが含有されることによって、高耐久化の実現と同時に、高温高湿時の画像ボケを抑制することが可能となるが、残留電位上昇の影響が増加することになる。この残留電位上昇を抑制するためには、構造中にカルボキシル基を有する有機化合物を分散剤として添加することにより、フィラーの分散性の向上と電荷トラップサイトを低減することが可能となる。また、残留電位を低減させる上では、分散剤が10〜400(mgKOH/g)の酸価を有することも重要な役割を果たしており、これらの中でもポリカルボン酸誘導体が特に有効に使用できる。なお、酸価とは、1g中に含まれる遊離脂肪酸を中和するのに要する水酸化カリウムのミリグラム数で定義される。また、分散剤と酸価を有する材料とは各々別の材料によって機能させることも可能である。例えば、分散剤の酸価が10〜400(mgKOH/g)の範囲でなくとも、酸価が10〜400(mgKOH/g)の樹脂や添加剤等を混合させることによっても十分に機能を果たすことができ、一例としては、一般に知られている有機脂肪酸や高酸価樹脂等を混合することも可能である。
【0061】
本発明における分散剤は、公知の分散剤を使用することが可能であるが、特にカルボキシル基をポリマーあるいはコポリマー中に少なくとも一つ含む構造を有する有機化合物が好ましいが、分散性の面からはポリカルボン酸誘導体がより好ましい。分散剤におけるカルボン酸部位は酸価を与えるとともに、分散性を高める重要な役割を果たしている。前述のとおり、親水性の無機フィラーは有機溶剤や結着樹脂との親和性が低く、そのままではいかなる分散手段を用いても上手く分散されない。しかし、本発明における上記分散剤は、カルボン酸部位では無機フィラーとの親和性が高く、その他のポリマー部位では結着樹脂や有機溶剤との親和性が高いため、分散剤を介して無機フィラーと有機溶剤や結着樹脂等との親和性を高めることが可能となる。これによって、フィラーの分散性を大幅に高めることが可能となる。さらに、上記分散剤は一つのカルボキシル基を有するものであっても効果は認められるが、より多くのカルボキシル基を有するポリカルボン酸誘導体の方が、フィラーの分散性の向上や残留電位の低減等において有効である。その場合、分散剤とフィラーとの親和性がより高まるだけでなく、分散剤同士においても親和性が持てることにより、フィラーの分散性を向上させると同時に、その効果を持続させ、フィラーの沈降性を抑制する効果を得ることが可能となる。
【0062】
また、これらの分散剤の酸価としては、10〜400mgKOH/gが好ましく、より好ましくは30〜200mgKOH/gが適している。酸価が必要以上に高いと画像ボケの影響が現れることがあり、酸価が低すぎると添加量を多くする必要が生じる上、残留電位の低減効果が不十分となる。分散剤の酸価は、その添加量とのバランスにより決めることが必要である。分散剤の酸価は残留電位低減効果に直接影響するものではなく、用いる分散剤の構造、分子量あるいはフィラーの種類や分散性によって影響される。場合によっては、これらの材料と有機脂肪酸等とを混合させることによって、残留電位の低減効果が高まることがある。また、保護層と電荷輸送層との界面付近は残留電位に与える影響が大きいことから、本発明における保護層においては、表面側よりも保護層/感光層の界面付近により酸価が高い材料を含有させることも可能であり、残留電位上昇の抑制において有用である。
【0063】
上記分散剤の添加量としては、用いる分散剤の酸価によって下記の関係式を満たすことが好ましいが、必要最小量に設定することがより好ましい。添加量を必要以上に多くすると、画像ボケの影響が現れることがあり、添加量が少なすぎると分散性の向上や残留電位の低減効果が十分に発揮されなくなり、異常画像の発生を引き起こすことになる。
0.1≦(分散剤の添加量×分散剤の酸価)/(フィラーの添加量)≦20
【0064】
本発明においては、保護層に含有される分散剤の濃度が保護層の最表面領域において最も低くすることによって濃度変化を与えることにより、残留電位にはほとんど影響を与えずにNOxやオゾンによる解像度低下あるいは帯電低下の影響を軽減することが可能となる。特に、分散剤の濃度が保護層/感光層の界面より最表面側へ向かうに従い、連続的に低くなるように濃度勾配を与えることが好ましく、残留電位上昇への影響がより軽減される。本発明における分散剤は、酸価を有するが故に残留電位を低減する効果が高くなるが、それはNOxやオゾンガスによる解像度低下の影響を増大させる恐れがある。しかし、それを回避するために保護層全体に分散剤の濃度を低下させると残留電位の上昇が顕著に発生し、画質劣化を増大させることになる。本発明において、NOxやオゾンガスによって強い影響を受ける領域は、感光体の表面領域に限られており、特に保護層の表面より少なくとも1μm、乃至は2μm程度までの領域において、分散剤の濃度を低減させることにより、NOxやオゾンによる画質劣化の影響を抑制することが可能となった。その上、分散剤の濃度の最も低い領域が感光体の最表面領域であり、かつその領域が2μm以下の薄い厚さであれば残留電位に与える影響が非常に小さくなることが確認された。従って、本発明において、分散剤の濃度が保護層の最表面領域において最も低くなる濃度変化を与えた構成、好ましくは保護層/感光層界面から最表面へ向かい、分散剤の濃度が連続的に減少する濃度勾配を与えた構成にすることにより、残留電位に対しては大きな影響を与えずにNOxやオゾンによる画質劣化の影響を抑制することが可能となった。
【0065】
前記保護層に含有される結着樹脂には、前述の電荷輸送層37に用いられる結着樹脂をすべて使用することが可能であるが、結着樹脂によってもフィラー分散性が影響されるため、フィラー分散性に悪影響を与えないことが重要である。また、酸価を有する樹脂は、残留電位を低減させる上でも有用であり、結着樹脂としてすべてに、あるいは他の結着樹脂と混合させて一部に添加して使用することが可能である。使用可能な樹脂の一例としては、ポリエステル、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、アクリル酸やメタクリル酸を用いた各種共重合体、スチレンアクリル共重合体、ポリアリレート、ポリアクリレート、ポリスチレン、エポキシ樹脂、ABS樹脂、ACS樹脂、オレフィン−ビニルモノマー共重合体、塩素化ポリエーテル、アリール樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアリルスルホン、ポリブチレン、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリイミド、ポリメチルベンテン、ポリプロピレン、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、AS樹脂、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の樹脂あるいは共重合体等が挙げられる。また、これらの材料は2種以上混合して用いることも可能である。
【0066】
また、結着樹脂は画像ボケに対しても大きな影響を与え、耐NOx性あるいは耐オゾン性の高い結着樹脂を使用することは、画像ボケを抑制するだけでなく、耐摩耗性をも向上させる効果を有する。それらの結着樹脂としてはポリマーアロイも有効に使用することが可能であり、少なくともポリエチレンテレフタレートとのポリマーアロイは画像ボケ抑制効果が高く有用である。
【0067】
本発明における保護層においては、少なくとも1種の電荷輸送物質を含有させることが残留電位を低下させる上で好ましい。保護層に含有される電荷輸送物質には、前述の電荷発生層上に形成される電荷輸送層37に含まれる電荷輸送物質をすべて使用することが可能であるが、保護層に含有される電荷輸送物質と電荷輸送層に含有される電荷輸送物質とが各々異なるものであってもよい。その場合、電荷輸送層に含有される電荷輸送物質よりも保護層に含有される電荷輸送物質の方に低いイオン化ポテンシャルを持たせることによって、電荷輸送層/保護層界面における電荷の注入性を向上させることが可能となり、残留電位の低減に非常に有効である。なお、イオン化ポテンシャルは、分光学的に求める方法、電気化学的に求める方法等、種々の方法を用いて測定することができる。
【0068】
さらに、本発明における保護層は、保護層に含有される電荷輸送物質の濃度が保護層の最表面領域において最も低くなるように濃度変化を与えることにより、残留電位に大きな影響を与えずにNOxやオゾンガスによる画質劣化の影響を軽減することが可能となる。特に、保護層/感光層の界面より保護層の最表面側に向かうに従い、連続的に電荷輸送物質の濃度が低くなる濃度勾配を与えることは、残留電位上昇を抑制させる上でより好ましい。これらの画質劣化は、電荷輸送物質を分解、変質されることが原因の一つとして考えられており、保護層内に含有される電荷輸送物質の濃度を少なくすることによってその影響を軽減することが可能である。しかし、それは残留電位の上昇を引き起こす原因となる。一方、NOxやオゾンによる影響は感光体の表面近傍が最も強く、感光体の内部にその影響が拡散する傾向が見られている。そこで、本発明において保護層の最表面領域に電荷輸送物質の濃度が低くなるような濃度変化を与えることによって、残留電位に大きな影響を与えずに、NOxやオゾンガスによる影響を軽減することが可能となった。特に、保護層/感光層界面から最表面へ向かい、電荷輸送物質の濃度が連続的に減少するような濃度勾配を与えた構成を有する方が残留電位低減の上からより好ましい。
【0069】
また、保護層には電荷輸送物質としての機能とバインダー樹脂としての機能を持った高分子電荷輸送物質も良好に使用される。これらの高分子電荷輸送物質から構成される電荷輸送層は耐摩耗性に優れたものである。高分子電荷輸送物質としては、公知の材料が使用できるが、特に、トリアリールアミン構造を主鎖及び/又は側鎖に含むポリカーボネートが良好に用いられる。中でも、(I)〜(X)式で表される高分子電荷輸送物質が良好に用いられる。これらを以下に例示し、具体例を示す。
【化1】
式中、R1,R2,R3はそれぞれ独立して置換もしくは無置換のアルキル基又はハロゲン原子、R4は水素原子又は置換もしくは無置換のアルキル基、R5,R6は置換もしくは無置換のアリール基、o,p,qはそれぞれ独立して0〜4の整数、k,jは組成を表し、0.1≦k≦1、0≦j≦0.9、nは繰り返し単位数を表し5〜5000の整数である。Xは脂肪族の2価基、環状脂肪族の2価基、又は下記一般式で表される2価基を表す。
【化2】
式中、R101,R102は各々独立して置換もしくは無置換のアルキル基、アリール基又はハロゲン原子を表す。l、mは0〜4の整数、Yは単結合、炭素原子数1〜12の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキレン基、−O−,−S−,−SO−,−SO2−,−CO−,−CO−O−Z−O−CO−(式中Zは脂肪族の2価基を表す。)又は、
【化3】
(式中、aは1〜20の整数、bは1〜2000の整数、R103、R104は置換又は無置換のアルキル基又はアリール基を表す。)を表す。ここで、R101とR102、R103とR104は、それぞれ同一でも異なってもよい。
【化4】
式中、R7,R8は置換もしくは無置換のアリール基、Ar1,Ar2,Ar3は同一あるいは異なるアリレン基を表す。X,k,j及びnは、(I)式の場合と同じである。
【化5】
式中、R9,R10は置換もしくは無置換のアリール基、Ar4,Ar5,Ar6は同一あるいは異なるアリレン基を表す。X,k,j及びnは、(I)式の場合と同じである。
【化6】
式中、R11,R12は置換もしくは無置換のアリール基、Ar7,Ar8,Ar9は同一あるいは異なるアリレン基、pは1〜5の整数を表す。X,k,j及びnは、(I)式の場合と同じである。
【化7】
式中、R13,R14は置換もしくは無置換のアリール基、Ar10,Ar11,Ar12は同一あるいは異なるアリレン基、X1,X2は置換もしくは無置換のエチレン基、又は置換もしくは無置換のビニレン基を表す。X,k,j及びnは、(I)式の場合と同じである。
【化8】
式中、R15,R16,R17,R18は置換もしくは無置換のアリール基、Ar13,Ar14,Ar15,Ar16は同一あるいは異なるアリレン基、Y1,Y2,Y3は単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表し同一であっても異なってもよい。X,k,j及びnは、(I)式の場合と同じである。
【化9】
式中、R19,R20 は水素原子、置換もしくは無置換のアリール基を表し,R19とR20は環を形成していてもよい。Ar17,Ar18,Ar19は同一あるいは異なるアリレン基を表す。X,k,j及びnは、(I)式の場合と同じである。
【化10】
式中、R21は置換もしくは無置換のアリール基、Ar20,Ar21,Ar22,Ar23は同一あるいは異なるアリレン基を表す。X,k,j及びnは、(I)式の場合と同じである。
【化11】
式中、R22,R23,R24,R25は置換もしくは無置換のアリール基、Ar24,Ar25,Ar26,Ar27,Ar28は同一あるいは又は異なるアリレン基を表す。X,k,j及びnは、(I)式の場合と同じである。
【化12】
式中、R26,R27 は置換もしくは無置換のアリール基、Ar29,Ar30,Ar31は同一あるいは異なるアリレン基を表す。X,k,j及びnは、(I)式の場合と同じである。
【0070】
前記フィラー材料は、少なくとも有機溶剤、分散剤とともにボールミル、アトライター、サンドミル、超音波等の従来方法を用いて分散することができる。この中でも、フィラーと分散剤との接触効率を高くすることができ、外界からの不純物の混入が少ないボールミルが分散性の点からより好ましい。使用されるメディアの材質については、従来使用されているジルコニア、アルミナ、メノウ等すべてのメディアを使用することができるが、フィラーの分散性及び残留電位低減効果の点からアルミナを使用することがより好ましく、耐摩耗性に優れたα型アルミナが特に好ましい。ジルコニアは分散時のメディアの摩耗量が大きく、それらの混入によって残留電位が著しく増加するだけでなく、その摩耗粉の混入によって分散性が低下し、フィラーの沈降性が大幅に低下する。一方、メディアにアルミナを使用した場合には、分散時のメディアの摩耗量は低く抑えられる上に、混入した摩耗粉が残留電位に与える影響が非常に小さい。また、摩耗粉が混入しても分散性に対する影響が他のメディアに比べて少ない。従って、分散に使用するメディアにはアルミナを使用することがより好ましい。また、分散剤は、塗工液中のフィラーの凝集、さらにはフィラーの沈降性を抑制し、フィラーの分散性が著しく向上させることから、フィラーや有機溶剤とともに分散前より添加することが好ましい。一方、バインダー樹脂や電荷輸送物質は、分散前に添加することも可能であるが、その場合分散性が若干低下する場合が見られる。従って、バインダー樹脂や電荷輸送物質は、有機溶剤に溶解された状態で分散後に添加することが好ましい。
【0071】
以上のようにして得られた分散液の塗工法としては、浸漬塗工法、スプレーコート、ビートコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコート等、従来の塗工方法を用いることができるが、比較的薄い膜を均一に、かつフィラー分散性の良好な膜を形成するためにはスプレー塗工が最も適している。保護層に分散剤や電荷輸送物質の濃度変化を与えるには、いかなる方法を用いても可能であるが、具体的には下記の方法が挙げられる。
【0072】
▲1▼単一のスプレーガンを用いて比較的薄い膜を塗工し、材料の濃度の異なる分散液に変更しながら塗工を繰り返し、積層させる方法。▲2▼複数のスプレーガンと材料の濃度が異なる複数の分散液を用い、時間差を設けながら同時に塗工し保護層を形成する方法。
【0073】
保護層全体の膜厚としては、1〜10μm、好ましくは2〜6μmが適当である。膜厚が極度に薄い場合には、膜の均一性が低下したり、十分な耐摩耗性が得られない場合があり、膜厚が極度に厚い場合には、残留電位上昇の影響が増大したり、光透過率の低下により解像度やドット再現性の低下を引き起こす場合がある。
【0074】
本発明の感光体においては、導電性支持体31と感光層との間に下引き層を設けることができる。下引き層は一般には樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶剤で塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが望ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。また、下引き層にはモアレ防止、残留電位の低減等のために酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物の微粉末顔料を加えてもよい。これらの下引き層は、前述の感光層の如く適当な溶媒及び塗工法を用いて形成することができる。更に本発明の下引き層として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用することもできる。さらに、各種分散剤を添加することも可能である。この他、本発明の下引き層には、Al2O3を陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物やSiO2、SnO2、TiO2、ITO、CeO2等の無機物を真空薄膜作成法にて設けたものも良好に使用できる。このほかにも公知のものを用いることができる。下引き層の膜厚は0〜5μmが適当である。
【0075】
本発明の感光体においては、感光層と保護層との間に中間層を設けることも可能である。中間層には、一般にバインダー樹脂を主成分として用いる。これら樹脂としては、ポリアミド、アルコール可溶性ナイロン、水溶性ポリビニルブチラール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール等が挙げられる。中間層の形成法としては、前述のごとく一般に用いられる塗布法が採用される。なお、中間層の厚さは0.05〜2μm程度が適当である。
【0076】
本発明においては、耐環境性の改善のため、とりわけ、感度低下、残留電位の上昇を防止する目的で、電荷発生層、電荷輸送層、下引き層、保護層、中間層等の各層に従来公知の酸化防止剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤、低分子電荷輸送物質及びレベリング剤を添加することが出来る。
【0077】
次に図面を用いて本発明の電子写真方法ならびに電子写真装置を詳しく説明する。
図4は、本発明の電子写真プロセス及び電子写真装置を説明するための概略図であり、下記のような例も本発明の範疇に属するものである。
図4において、感光体1は少なくとも感光層が設けられ、最表面の保護層にフィラーを含有してなる。感光体1はドラム状の形状を示しているが、シート状、エンドレスベルト状のものであっても良い。帯電チャージャ3、転写前チャージャ7、転写チャージャ10、分離チャージャ11、クリーニング前チャージャ13には、コロトロン、スコロトロン、固体帯電器(ソリッド・ステート・チャージャ)、帯電ローラ等が用いられ、公知の手段がすべて使用可能である。これらの帯電器は感光体に接触していても、非接触であってもよい。また、帯電器において直流成分に交流成分を重畳することも可能である。
転写手段には、一般に上記の帯電器が使用できるが、図に示されるように転写チャージャと分離チャージャを併用したものが効果的である。
【0078】
また、画像露光部5、除電ランプ2等の光源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)等の発光物全般を用いることができる。そして、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルター等の各種フィルターを用いることもできる。
光源等は、図に示される工程の他に光照射を併用した転写工程、除電工程、クリーニング工程、あるいは前露光等の工程を設けることにより、感光体に光が照射される。
【0079】
さて、現像ユニット6により感光体1上に現像されたトナーは、転写紙9に転写されるが、全部が転写されるわけではなく、感光体1上に残存するトナーも生ずる。このようなトナーは、クリーニングブラシ14及びブレード15により、感光体より除去される。クリーニングは、クリーニングブラシだけで行なわれることもあり、クリーニングブラシにはファーブラシ、マグファーブラシを始めとする公知のものが用いられる。
【0080】
電子写真感光体に正(負)帯電を施し、画像露光を行うと、感光体表面上には正(負)の静電潜像が形成される。これを負(正)極性のトナー(検電微粒子)で現像すれば、ポジ画像が得られるし、また正(負)極性のトナーで現像すれば、ネガ画像が得られる。
かかる現像手段には、公知の方法が適用されるし、また、除電手段にも公知の方法が用いられる。
【0081】
図5には、本発明による電子写真プロセスの別の例を示す。感光体21は少なくとも感光層を有し、さらに最表面の保護層にフィラーを含有しており、駆動ローラ22a,22bにより駆動され、帯電器23による帯電、光源24による像露光、現像(図示せず)、帯電器25を用いる転写、光源26によるクリーニング前露光、ブラシ27によるクリーニング、光源28による除電が繰返し行なわれる。図5においては、感光体21(勿論この場合は支持体が透光性である)に支持体側よりクリーニング前露光の光照射が行なわれる。
【0082】
以上の図示した電子写真プロセスは、本発明における実施形態を例示するものであって、もちろん他の実施形態も可能である。例えば、上記例では支持体側よりクリーニング前露光を行っているが、これは感光層側から行ってもよいし、また、像露光、除電光の照射を支持体側から行ってもよい。
一方、光照射工程は、像露光、クリーニング前露光、除電露光が図示されているが、他に転写前露光、像露光のプレ露光、及びその他公知の光照射工程を設けて、感光体に光照射を行うこともできる。
【0083】
以上に示すような画像形成手段は、複写装置、ファクシミリ、プリンター内に固定して組み込まれていてもよいが、プロセスカートリッジの形でそれら装置内に組み込まれてもよい。プロセスカートリッジとは、感光体を内蔵し、他に帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、除電手段を含んだ1つの装置(部品)である。プロセスカートリッジの形状等は多く挙げられるが、一般的な例として、図6に示すものが挙げられる。感光体16は、導電性支持体上に、少なくとも感光層を有し、かつ最表面の保護層にフィラーを含有してなる。
【0084】
【実施例】
以下、本発明について実施例を挙げて説明するが、本発明が実施例により制約を受けるものではない。なお、以下に示す部はすべて重量部である。また、電荷輸送物質のイオン化ポテンシャルIpは、表面分析装置(理研計器製、AC−1)にて測定した。
【0085】
実施例1
アルミニウムシリンダー上に下記組成の下引き層塗工液、電荷発生層塗工液、及び電荷輸送層塗工液を、浸漬塗工によって順次塗布、乾燥し、約3.5μmの下引き層、約0.2μmの電荷発生層、約22μmの電荷輸送層を形成した。
【0086】
◎下引き層塗工液
・二酸化チタン粉末:400部
・メラミン樹脂:65部
・アルキッド樹脂:120部
・2−ブタノン:400部
【0087】
電荷発生層塗工液
・下記構造式(1)のビスアゾ顔料:12部
【化13】
・ポリビニルブチラール:3部
・2−ブタノン:200部
・シクロヘキサノン:400部
【0088】
◎電荷輸送層塗工液
・ポリカーボネート(Zポリカ、帝人化成製):12部
・下記構造式(2)の電荷輸送物質(Ip:5.4eV):8部
【化14】
【0089】
上記電荷輸送層上にさらに下記組成の保護層塗工液1〜3を用いて、スプレー塗工によって順に塗工を繰り返し、全膜厚が約5μmの保護層を形成し、電子写真感光体1を作製した。
【0090】
保護層塗工液1
・アルミナ(平均一次粒径:0.3μm、住友化学工業製):2.5部
・不飽和ポリカルボン酸ポリマー
(酸価180mgKOH/g、BYKケミー製):0.08部
・ポリカーボネート(Zポリカ、帝人化成製):10部
・テトラヒドロフラン:230部
・シクロヘキサノン:70部
【0091】
◎保護層塗工液2
・アルミナ(平均一次粒径:0.3μm、住友化学工業製):2.5部
・不飽和ポリカルボン酸ポリマー
(酸価180mgKOH/g、BYKケミー製):0.05部
・ポリカーボネート(Zポリカ、帝人化成製):10部
・テトラヒドロフラン:230部
・シクロヘキサノン:70部
【0092】
保護層塗工液3
・アルミナ(平均一次粒径:0.3μm、住友化学工業製):2.5部
・不飽和ポリカルボン酸ポリマー
(酸価180mgKOH/g、BYKケミー製):0.01部
・ポリカーボネート(Zポリカ、帝人化成製):10部
・テトラヒドロフラン:230部
・シクロヘキサノン:70部
【0093】
実施例2
実施例1において、保護層塗工液1〜3を下記の組成に変更した以外は、すべて実施例1と同様にして電子写真感光体2を作製した。
【0094】
保護層塗工液1
・アルミナ(平均一次粒径:0.3μm、住友化学工業製):2.5部
・不飽和ポリカルボン酸ポリマー
(酸価180mgKOH/g、BYKケミー製):0.08部
・上記構造式(2)で表される電荷輸送物質:4部
・ポリカーボネート(Zポリカ、帝人化成製):6部
・テトラヒドロフラン:230部
・シクロヘキサノン:70部
【0095】
◎保護層塗工液2
・アルミナ(平均一次粒径:0.3μm、住友化学工業製):2.5部
・不飽和ポリカルボン酸ポリマー
(酸価180mgKOH/g、BYKケミー製):0.05部
・上記構造式(2)で表される電荷輸送物質:4部
・ポリカーボネート(Zポリカ、帝人化成製):6部
・テトラヒドロフラン:230部
・シクロヘキサノン:70部
【0096】
保護層塗工液3
・アルミナ(平均一次粒径:0.3μm、住友化学工業製):2.5部
・不飽和ポリカルボン酸ポリマー
(酸価180mgKOH/g、BYKケミー製):0.01部
・上記構造式(2)で表される電荷輸送物質:4部
・ポリカーボネート(Zポリカ、帝人化成製):6部
・テトラヒドロフラン:230部
・シクロヘキサノン:70部
【0097】
実施例3
実施例2において、保護層塗工液1〜3をそれぞれ3本のスプレー塗工機を用いて、保護層塗工液1を塗工した直後より保護層塗工液2を塗工し、さらにその直後より保護層塗工液3の塗工を行うことによって、約6μmの保護層を形成した以外は、すべて実施例2と同様にして電子写真感光体3を作製した。
【0098】
比較例1
実施例2において、フィラーであるアルミナを保護層塗工液1〜3に無添加とした以外は、すべて実施例2と同様にして電子写真感光体4を作製した。
【0099】
比較例2
実施例2において、分散剤である不飽和ポリカルボン酸ポリマーを保護層塗工液1〜3に無添加とした以外は、すべて実施例2と同様にして電子写真感光体5を作製した。
【0100】
比較例3
実施例2において、保護層塗工液1のみを用いてスプレーによって3回塗工を繰り返し、保護層を形成した以外は、すべて実施例2と同様にして電子写真感光体6を作製した。
【0101】
比較例4
実施例2において、保護層塗工液2のみを用いてスプレーによって3回塗工を繰り返し、保護層を形成した以外は、すべて実施例2と同様にして電子写真感光体7を作製した。
【0102】
比較例5
実施例2において、保護層塗工液3のみを用いてスプレーによって3回塗工を繰り返し、保護層を形成した以外は、すべて実施例2と同様にして電子写真感光体8を作製した。
【0103】
実施例4
実施例2において、保護層塗工液1〜3に含有される分散剤の添加量を下記のとおりに変更した以外は、すべて実施例2と同様にして、電子写真感光体9を作製した。
塗工液1:不飽和ポリカルボン酸ポリマー
(酸価180mgKOH/g、BYKケミー製):0.06部
塗工液2:不飽和ポリカルボン酸ポリマー
(酸価180mgKOH/g、BYKケミー製):0.02部
塗工液3:不飽和ポリカルボン酸ポリマー
(酸価180mgKOH/g、BYKケミー製):0.02部
【0104】
実施例5
実施例2において、保護層塗工液1〜3に含有される分散剤とその添加量を下記のとおりに変更した以外は、すべて実施例2と同様にして、電子写真感光体10を作製した。
塗工液1:不飽和ポリカルボン酸ポリマー
(酸価365mgKOH/g、BYKケミー製):0.03部
塗工液2:不飽和ポリカルボン酸ポリマー
(酸価365mgKOH/g、BYKケミー製):0.02部
塗工液3:不飽和ポリカルボン酸ポリマー
(酸価365mgKOH/g、BYKケミー製):0.01部
【0105】
実施例6
実施例2において、保護層塗工液1〜3に含有される分散剤とその添加量を下記のとおりに変更した以外は、すべて実施例2と同様にして、電子写真感光体11を作製した。
塗工液1:アクリル酸/ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体
(酸価130mgKOH/g):0.10部
塗工液2:アクリル酸/ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体
(酸価130mgKOH/g):0.05部
塗工液3:アクリル酸/ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体
(酸価130mgKOH/g):0.02部
【0106】
実施例7
実施例2において、保護層塗工液1〜3に含有されるフィラーを下記のとおりに変更した以外は、すべて実施例2と同様にして、電子写真感光体12を作製した。
酸化チタン(平均一次粒径0.3μm、石原産業製):2.5部
【0107】
実施例8
実施例2において、保護層塗工液1〜3に含有されるフィラーを下記のとおりに変更した以外は、すべて実施例2と同様にして、電子写真感光体13を作製した。
アルミナ(平均粒径0.015μm、アエロジル製):2.0部
【0108】
実施例9
実施例1において、保護層塗工液1〜3に含有されるフィラーを下記のとおりに変更した以外は、すべて実施例1と同様にして、電子写真感光体14を作製した。
チタネートカップリング処理アルミナ(処理量3%):3.0部
【0109】
実施例10
実施例2において、保護層塗工液1〜3に含有される電荷輸送物質及び結着樹脂の添加量を下記のとおりに変更した以外は、すべて実施例1と同様にして、電子写真感光体15を作製した。
上記構造式(2)の電荷輸送物質:6.0部、ポリカーボネート:4.0部
上記構造式(2)の電荷輸送物質:4.0部、ポリカーボネート:6.0部
上記構造式(2)の電荷輸送物質:1.0部、ポリカーボネート:9.0部
【0110】
実施例11
実施例10において、保護層塗工液1〜3に含有される電荷輸送物質を、下記構造式(3)の電荷輸送物質(Ip:5.3eV)に変更した以外は、すべて実施例10と同様にして、電子写真感光体16を作製した。
【化15】
【0111】
実施例12
実施例10において、保護層塗工液1〜3に含有される電荷輸送物質を、下記構造式(4)の電荷輸送物質(Ip:5.5eV)に変更した以外は、すべて実施例10と同様にして、電子写真感光体17を作製した。
【化16】
【0112】
実施例13
実施例2において、保護層塗工液1〜3に含有される電荷輸送物質及び結着樹脂を下記の材料に変更した以外は、すべて実施例2と同様にして、電子写真感光体18を作製した。
・下記構造式(5)の高分子電荷輸送物質(Ip:5.4eV):15部
【化17】
【0113】
実施例14
実施例2において、保護層塗工液1〜3に含有される結着樹脂を下記のとおりに変更した以外は、すべて実施例2と同様にして、電子写真感光体19を作製した。
・ポリアリレート樹脂(Uポリマー/PET、ユニチカ製):6部
【0114】
実施例15
実施例2において、保護層塗工液1〜3に含有される結着樹脂を下記のとおりに変更した以外は、すべて実施例2と同様にして、電子写真感光体20を作製した。
・ポリカーボネート(Cポリカ、帝人化成製):6部
【0115】
実施例16
実施例2において、電荷発生層塗工液、電荷輸送層塗工液及び保護層塗工液を下記のものに変更した以外は、実施例2と同様にして、電子写真感光体21を作製した。
【0116】
電荷発生層塗工液
・ポリビニルブチラール:5部
・2−ブタノン:400部
・図7に示すXDスペクトルを有するチタニルフタロシアニン:8部
【0117】
◎電荷輸送層塗工液
・ポリカーボネート(Zポリカ、帝人化成製):12部
・上記構造式(3)の電荷輸送物質:8部
・テトラヒドロフラン:100部
【0118】
保護層塗工液1
・酸化亜鉛(平均一次粒径0.04μm、堺化学製):2.5部
・不飽和ポリカルボン酸ポリマー
(酸価180mgKOH/g、BYKケミー製):0.06部
・ポリカーボネート(Zポリカ、帝人化成製):5.8部
・アクリル樹脂(酸価80mgKOH/g):0.2部
・上記構造式(3)の電荷輸送物質:4.0部
・テトラヒドロフラン:250部
・シクロヘキサノン:50部
【0119】
保護層塗工液2
・酸化亜鉛(平均一次粒径0.04μm、堺化学製):2.5部
・不飽和ポリカルボン酸ポリマー
(酸価180mgKOH/g、BYKケミー製):0.04部
・ポリカーボネート(Zポリカ、帝人化成製):5.9部
・アクリル樹脂(酸価80mgKOH/g):0.1部
・上記構造式(3)の電荷輸送物質:4.0部
・テトラヒドロフラン:250部
・シクロヘキサノン:50部
【0120】
保護層塗工液3
・酸化亜鉛(平均一次粒径0.04μm、堺化学製):2.5部
・不飽和ポリカルボン酸ポリマー
(酸価180mgKOH/g、BYKケミー製):0.02部
・ポリカーボネート(Zポリカ、帝人化成製):8.0部
・上記構造式(3)の電荷輸送物質:2.0部
・テトラヒドロフラン:250部
・シクロヘキサノン:50部
【0121】
以上のように作製した電子写真感光体1〜25を、電子写真プロセス用カートリッジ(ただし、クリーニング前露光は無し)に装着し、画像露光光源を655nmの半導体レーザーを用いたリコー製imagio MF2200改造機にて、明部電位の測定及び画像評価を行い、その後連続してトータル2万枚の印刷を行った後の明部電位及び画像評価を行った。さらに、初期及び2万枚印刷後での膜厚差より摩耗量の評価を行った。その結果を表1に示した。
【0122】
【表1】
【0123】
表1の評価結果より、感光体の最表面に形成される保護層にフィラーが含有されることによって、摩耗量は低減できるが、明部電位は顕著に増加した。しかし、塗工液にフィラーと共にカルボキシル基を構造中に有する分散剤を添加して分散性を向上させたことによって、明部電位及び摩耗量とも大幅に低減することが可能となった。特に、分散剤の濃度を低くすると明部電位の上昇が顕著に見られるが、保護層の最表面領域に少なくなるような濃度変化あるいは濃度勾配を与えることによって、明部電位には大きな影響を与えることなく、保護層の分散剤の濃度を低減することが可能となった。さらに、2万枚印刷後においても明部電位の上昇は少なく、高画質画像が長期に渡り安定に得られることが確認された。また、同時に電荷輸送物質についても最表面領域に低い濃度になるように濃度変化を与えることによって、明部電位には大きな影響を与えずに最表面領域の電荷輸送物質の濃度を低減することが可能となり、さらに摩耗量を低減される傾向も確認された。
【0124】
実施例17〜26、比較例7,8
前記のとおり作製された電子写真感光体1,2,6,7,9,10,14,15,16,19,20,21について、オゾン曝露による加速劣化試験(10ppm、20時間及び70時間)を行い、曝露終了後実験室内の温湿度条件で暗順応させた後、画像評価を行った。これらの電子写真感光体を、電子写真プロセス用カートリッジに装着し、画像露光光源が655nmの半導体レーザーを用いたリコー製imagio MF2200改造機にて画像評価を実施した。その結果を表2に示した。
画質は、各々の感光体を用いて画像評価を実施した画像サンプルより、以下の記号によって4段階に区別した。
◎:高画質と判断できるレベル、○:若干画質が低下したが問題ないレベル、△:明らかに画質低下が認められるレベル、×:画像の判別が困難なレベル
【0125】
【表2】
【0126】
表2の評価結果より、分散剤を添加することによって明部電位と摩耗量の低減が実現できても、オゾン曝露による加速劣化試験では、解像度の低下が認められた。感光体の繰り返し使用時にはオゾンによる影響は避けられず、オゾン曝露による影響を回避しないことには高耐久化と高画質化を両立したとは言えない。本発明において、保護層に含有される分散剤の濃度を最表面領域において低くする濃度変化を与えた構成を採用した結果、明部電位には大きな影響を与えずに、オゾン曝露による加速試験においても画質劣化を抑制する効果が確認された。さらに、電荷輸送物質についても最表面領域の濃度を低くする濃度変化を与えたり、フィラーに表面処理を施したり、バインダー樹脂にポリアリレート/ポリエチレンテレフタレートのポリマーアロイを用いたりすることによって、解像度の低下を抑制する効果を高めることが可能となり、高耐久化と高画質化の両立を実現することが可能となった。
【0127】
【発明の効果】
感光体の高耐久化のために感光体の保護層にフィラーを含有させ、フィラーの分散性を向上させることによって、残留電位の上昇を抑制すると同時に、画像ムラの発生や階調性の低下等の画質劣化を抑制し、さらに偏摩耗や異常摩耗をも抑制することが可能となった。しかし、感光体の繰り返し使用によって影響されるNOxやオゾンによって解像度が低下する問題に対しては、その対策が不十分であった。
ところが、本発明によれば、保護層に含有される分散剤の濃度がより最表面領域に低くなるような濃度変化あるいは濃度勾配を与えることによって、残留電位には大きな影響を与えずに、NOxやオゾンによる影響を軽減することが可能となった。さらに、残留電位の低減に対しては、保護層に電荷輸送物質を含有させることが有効であることが知られているが、電荷輸送物質はNOxやオゾンに対し影響を受けやすいことから、保護層に含有される電荷輸送物質の濃度に対しても、保護層の表面側の方が低くなる構成とすることによって、残留電位に対しては大きな影響を与えずに、NOxやオゾンによる影響を抑制することが可能となった。
以上のように、フィラーを含有した保護層を有する電子写真感光体における残留電位上昇、異常画像の発生、偏摩耗や異常摩耗、さらにNOxやオゾンによる解像度の低下等の画質や耐久性に与える各種問題に対し、本発明によってそれらを同時に解決し、高耐久化と高画質化の両立を実現する電子写真感光体を提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による電子写真感光体の一例を表す断面図である。
【図2】本発明による電子写真感光体の別の例を表す断面図である。
【図3】本発明による電子写真感光体のさらに別の例を表す断面図である。
【図4】本発明による電子写真プロセス及び電子写真装置を説明するための概略図である。
【図5】本発明による電子写真プロセスの別の例を説明するための概略図である。
【図6】本発明によるプロセスカートリッジの構成例を説明するための概略図である。
【図7】実施例16において用いたチタニルフタロシアニンのXDスペクトルを示す図である。
【符号の説明】
1 感光体
2 除電ランプ
3 帯電チャージャ
4 イレーサ
5 画像露光部
6 現像ユニット
7 転写前チャージャ
8 レジストローラ
9 転写紙
10 転写チャージャ
11 分離チャージャ
12 分離爪
13 クリーニング前チャージャ
14 クリーニングブラシ
15 ブレード
16 感光体
17 帯電チャージャ
18 クリーニングブラシ
19 画像露光部
20 現像ローラ
21 感光体
22a、22b 駆動ローラ
23 帯電チャージャ
24 像露光源
25 転写チャージャ
26 クリーニング前露光
27 クリーニングブラス
28 除電光源
Claims (30)
- 導電性支持体上に少なくとも電荷発生物質及び電荷輸送物質を含有する感光層を設けてなる電子写真感光体において、該感光層上に少なくともフィラー及び分散剤を含有した保護層を形成し、かつ保護層に含有される分散剤の濃度が保護層の最表面領域において最も低くなる濃度変化を有し、前記保護層に含有される分散剤が、構造中に少なくとも1つ以上のカルボキシル基を含有する有機化合物であることを特徴とする電子写真感光体。
- 前記保護層に含有される分散剤において、該分散剤の濃度が保護層/感光層の界面より保護層の最表面側へ向かうに従い、連続的に低くなる濃度勾配を有することを特徴とする請求項1記載の電子写真感光体。
- 前記感光層が、少なくとも電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層との積層構成からなることを特徴とする請求項1又は2記載の電子写真感光体。
- 前記保護層に含有される分散剤が、ポリカルボン酸誘導体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記保護層に含有される分散剤が、10〜400(mgKOH/g)の酸価を有する有機化合物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記保護層に含有される分散剤の添加量が、下記の関係式を満たすことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の電子写真感光体。
0.1≦(分散剤の添加量×分散剤の酸価)/(フィラーの含有量)≦20 - 前記保護層に含有されるフィラーが、少なくとも1種の無機顔料であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記保護層に含有されるフィラーが、少なくとも1種の金属酸化物であることを特徴とする請求項7記載の電子写真感光体。
- 前記保護層に含有される少なくとも1種の無機顔料もしくは金属酸化物のpHが、5以上であることを特徴とする請求項7又は8記載の電子写真感光体。
- 前記保護層に含有される少なくとも1種の無機顔料もしくは金属酸化物の誘電率が、5以上であることを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記保護層に含有される少なくとも1種の無機顔料もしくは金属酸化物が、少なくとも1種の表面処理剤で表面処理を施されていることを特徴とする請求項7〜10のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記保護層に含有される表面処理が施された無機顔料もしくは金属酸化物において、表面処理剤が、少なくともチタネート系カップリング剤、高級脂肪酸もしくは高級脂肪酸金属塩であることを特徴とする請求項11記載の電子写真感光体。
- 前記保護層に含有される表面処理が施された無機顔料もしくは金属酸化物において、表面処理量が2〜30wt%であることを特徴とする請求項11又は12記載の電子写真感光体。
- 前記保護層に含有されるフィラーの平均一次粒径が、0.01〜0.5μmであることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記保護層に、少なくとも1種の電荷輸送物質を含有することを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記保護層に含有される電荷輸送物質のイオン化ポテンシャルIpと、感光層に含有される電荷輸送物質のそれとの間に下記の関係が成り立つことを特徴とする請求項15記載の電子写真感光体。
保護層に含有される電荷輸送物質のIp≦電荷輸送層に含有される電荷輸送物質のIp - 前記保護層に含有される電荷輸送物質において、保護層に含有される電荷輸送物質の濃度が保護層の最表面領域において最も低くなる濃度変化を有することを特徴とする請求項15又は16記載の電子写真感光体。
- 前記保護層に含有される電荷輸送物質において、該電荷輸送物質の濃度が保護層/感光層の界面より最表面側へ向かうに従い、連続的に低くなる濃度勾配を有することを特徴とする請求項17記載の電子写真感光体。
- 前記保護層に含有される電荷輸送物質として、高分子電荷輸送物質をすべてに、あるいは一部に含有することを特徴とする請求項15〜18のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記保護層に含有される結着樹脂が、ポリカーボネート系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリエステル系樹脂のいずれか、あるいはそれらが2種以上混合されて含有することを特徴とする請求項1〜19のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記保護層に含有される結着樹脂がポリマーアロイであって、少なくともそれがポリエチレンテレフタレートとのポリマーアロイであることを特徴とする請求項20記載の電子写真感光体。
- 前記保護層に含有される結着樹脂に、酸価が10〜400(mgKOH/g)の樹脂を含有することを特徴とする請求項1〜21のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 請求項1〜22のいずれかに記載の電子写真感光体を製造する方法であって、保護層の形成方法にスプレー塗工法を用いることを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
- 含有材料の濃度が異なる分散液を用いて、保護層を順に積層させることにより保護層に濃度変化を与えることを特徴とする請求項23記載の電子写真感光体の製造方法。
- 含有材料の濃度が異なる複数の分散液を、複数のスプレーガンを用いて時間差を設けながら同時に塗工を行い、保護層に濃度変化を与えることを特徴とする請求項23記載の電子写真感光体の製造方法。
- 請求項1〜22のいずれかに記載の電子写真感光体を用い、該電子写真感光体に、少なくとも帯電、画像露光、現像、転写を繰り返し行うことを特徴とする電子写真方法。
- 請求項1〜22のいずれかに記載の電子写真感光体を用い、該電子写真感光体に、少なくとも帯電、画像露光、現像、転写を繰り返し行い、かつ画像露光の際にはLDあるいはLED等によって感光体上に静電潜像の書き込みを行うことを特徴とするデジタル方式の電子写真方法。
- 請求項1〜22のいずれかに記載の電子写真感光体と、少なくとも帯電手段、画像露光手段、現像手段、転写手段及び電子写真感光体を具備してなることを特徴とする電子写真装置。
- 請求項1〜22のいずれかに記載の電子写真感光体と、少なくとも帯電手段、画像露光手段、現像手段、転写手段及び電子写真感光体を具備してなり、画像露光手段にLDあるいはLED等を使用することによって感光体上に静電潜像の書き込みが行われることを特徴とするデジタル方式の電子写真装置。
- 少なくとも請求項1〜22のいずれかに記載の電子写真感光体を具備してなることを特徴とする電子写真装置用プロセスカートリッジ。
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