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JP4408349B2 - 光触媒担持多孔性ゲルの製造法 - Google Patents

光触媒担持多孔性ゲルの製造法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高い光触媒作用を有し、有機物分解性に優れ、排水処理、水質浄化、脱臭、抗菌、防汚、大気浄化のための環境浄化用の光触媒担持多孔性ゲルを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
チタニア(酸化チタン、TiO)はn型半導体に属し、三種類の結晶相(アナターゼ、ルチル、ブルッカイト)のなかでもアナターゼ型のチタニアは優れた光触媒作用を示す。チタニアの熱力学的安定相はルチルであり、アナターゼは準安定相であるので、一般に、大気中における熱処理により容易にアナターゼ型からルチル型への相転移を生じる。高温では、アナターゼ型のチタニアは極めて不安定である。アナターゼ型からルチル型への相転移は動力学的検討から約635℃付近で生じるとされるが、アナターゼ相の安定性は、粒子径、不純物、組成、製造法などに大きく依存し、調製法、使用する前駆体によっては500℃付近からアナターゼ型からルチル型への相転移が生じ始める。
【0003】
チタニアの製法には、チタンのアルコキシドを原料に使用したゾルーゲル法、四塩化チタン、硫酸チタン、オキシ硫酸チタン等のチタンの塩の水溶液の加水分解による方法等が一般的手法として知られている。
【0004】
また多孔性ゲルは、1.5nm〜数十μmの範囲の細孔を有し、吸着剤、脱臭剤、触媒担体等に用いられており、シリカゲル、シリカアルミナゲル、アルミナゲルあるいは活性アルミナ等が代表的なものである。シリカには、石英、トリジマイト、クリストバライトの3種の多形があり、多方面で工業的に利用されているが、ガラスの主成分であって、比較的容易にガラス状態(非晶質)として存在しうる。工業的なシリカ原料にも非晶質のものが多々使用されている。非晶質シリカとして、例えば、シリカゲルは高い比表面積とその無数に発達した細孔を利用して、吸着剤、脱臭剤、触媒坦体等に応用されている。アルミナゲルとはゲル化したアルミナ水和物である。なお、活性アルミナはアルミナ水和物の加熱脱水により生成する結晶性の低いアルミナの総称であるが、本発明中においては、多孔性ゲルの一種とし多孔性ゲルに含める。
【0005】
シリカゲル等とチタニア光触媒の複合化については、多孔質光触媒及びその製造方法として、細孔径を制御した酸化チタン膜で多孔体表面を被覆した多孔質光触媒及びチタンのアルコキシドを使用し大気中の加熱処理によるその製法が開示されている(特許文献1参照)。また光触媒シリカゲル及びその製造方法として、光がシリカゲル細孔に入るように表面の酸化チタン薄膜をうすくした光触媒シリカゲル及びチタンのアルコキシドを使用し大気中の加熱処理によるその製法が開示されている(特許文献2参照)。これらの特許文献に開示されている方法、すなわち触媒担体のような多孔性物質への触媒物質及び他成分の導入方法として、金属アルコキシド溶液あるいは金属塩水溶液を多孔性物質へ含浸し、乾燥後熱処理(熱分解)する方法は、触媒調製法の一般的な方法として知られている。
【0006】
シリカゲル等とチタニア光触媒の複合化については、前記の特許文献1や2の出願以前において、シリカゲル−チタニア触媒に関してチタニア−シリカエーロゲルの構造と触媒特性に及ぼす前加水分解の影響が開示されており(非特許文献1参照)、またシリカゲル等へのチタニア光触媒の複合化に関してチタニア光触媒とシリカのゾルーゲル混合物について開示されている(非特許文献2参照)。
【特許文献1】
特許第2775399号公報
【特許文献2】
特許第3292872号公報
【非特許文献1】
J.Catal,150[2]311〜320(1994)
【非特許文献2】
Environ.Sci.Technol,30[2]647〜653(1996)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前記の特許文献1や2等の従来手段は、極めて高価なチタンのアルコキシドを用いてチタニアを生成させるため、安価なシリカゲルにコストを上昇させることなく光触媒機能を付与し、広く社会に普及せしめるという工業的な観点からすると実用として実施容易でない。チタンアルコキシド原料は極めて高価であって、これを用いる手段による光触媒シリカゲルは特殊用途に限られるという根本的な問題点を有しており、また環境面からも無機塩のみの使用が望まれている。また前記の特許文献1や2等の従来手段は、チタンのアルコキシドを用いてシリカゲル表面あるいは内部に非晶質のチタン含有物を付着させ、乾燥後、大気中における熱処理により、酸化チタンに熱分解あるいは結晶化させるというプロセスを経るものであり、操作が複雑であるという問題を有する。さらには、アナターゼ型からルチル型への相転移は動力学的検討から約635℃付近で生じるため、チタンのアルコキシドの加水分解物あるいは直接乾燥物の大気中電気炉中における熱処理により酸化物であるチタニアを得る手段では、熱処理温度の管理が難しく、しかも熱処理温度を低くすると結晶性の悪いチタニアが得られ、十分な光触媒能が得られないという問題点も有する。本発明は、かかる問題点を解決するためになされたものであり、電気炉を用いた大気中における熱処理は不要であって、したがって安価でかつ容易に工業的な実施普及ができ、しかも優れた性能を有する光触媒担持多孔性ゲルの製造法を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記した課題を解決するための本発明に係る光触媒担持多孔性ゲルの製造法は、チタンの塩と金属元素の化合物を含む水溶液中に、あるいはチタンの塩及び/又はチタンの水酸化物及び/又はチタンの水和物と金属元素の化合物を含む酸性水溶液中に、多孔性ゲルあるいは多孔性ゲル前駆体を共存させ、水熱処理を行って、多孔性ゲルあるいは多孔性ゲル前駆体の表面及び/又は内部へ直接に、金属元素の酸化物を固溶及び/又は含有するチタニア結晶微粒子を付着あるいは析出させることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る光触媒担持多孔性ゲルの製造法は、溶液中にて多孔性ゲルあるいは多孔性ゲル前駆体の表面及び/又は内部にチタニア結晶の核生成・成長を直接生じさせ、チタニア結晶微粒子を直接担持・形成させることを特徴としており、したがって電気炉を使用した加熱処理を必要としない。
【0010】
本発明に係る光触媒担持多孔性ゲルの製造法において、前記したチタンの塩は、チタンの硫酸塩か、あるいは前記した酸性水溶液が硫酸又は硫酸イオンを含むことが好ましい。硫酸又は硫酸イオンの存在により、アナターゼ型のチタニア結晶微粒子が前記した酸性溶液中より多孔性ゲルあるいは多孔性ゲル前駆体の表面及び/又は内部へ直接に付着あるいは析出するからである。
【0011】
また前記した多孔性ゲルは、シリカゲル、シリカアルミナゲル、アルミナゲル及び活性アルミナから選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。これらは多方面で使用され、経済的かつ入手が容易で物質吸着能に優れしかも光透過性を有するからである。なお、その形状は、粒状、球状、板状、棒状、角柱状、円筒状、円錐状、無定形状など、どのような形状であっても良い。
【0012】
また前記した金属元素の化合物は、Zr、Hf、Nb、W、Mo、Ta、V、Sb、Ga、Al、Fe、Si及びGeから選ばれる少なくとも一つの金属元素の化合物であることが好ましい。Zr、Hf、Nb、W、Mo、Ta、V、Sb、Ga、Al及びFeから選ばれる金属元素の化合物例えばその塩あるいはアルコキシドは、チタンの塩を含む水溶液の水熱処理過程で加水分解され、チタニア結晶へ固溶できるからである。また、Si及びGeの化合物も同様にチタンの塩を含む水溶液の水熱処理過程で加水分解され、チタニア結晶へ一部が固溶するとともに非晶質相を形成するなどし、触媒性能向上に寄与する。
【0013】
金属元素の酸化物を固溶及び/又は含有するチタニア結晶微粒子を前記のように直接形成させる場合、好適には、前記したチタニア結晶微粒子がチタニア(TiO)に対して、内部mol%で0.1〜20mol%の金属元素の酸化物を固溶及び/または含有していることが好ましい。金属元素の酸化物を固溶したチタニア結晶による光触媒作用の向上あるいは可視光の吸収などが得られるからである。
【0014】
また前記した多孔性ゲルあるいは多孔性ゲル前駆体を含む溶液の水熱処理温度は、加水分解の進行速度や工業的実施の反応装置の観点から、80〜200℃の範囲とするのが好ましいが、実施例で示すように、なかでも120℃以上の範囲とするのがより好ましい。
【0015】
本発明に係る光触媒担持多孔性ゲルの製造法において、前記したチタニア結晶微粒子の結晶子径あるいは粒子径が0.1〜30nmであることが好ましい。溶液中におけるこの範囲のチタニア結晶微粒子の多孔性ゲルあるいは多孔性ゲル前駆体の表面及び/又は内部への直接の付着あるいは析出を行うことにより優れた光触媒作用が得られるからである。前記したアチタニア結晶微粒子の結晶子径あるいは粒子径が0.1nm以下の場合は結晶性が低く光触媒能が低下するからである。さらに好ましくは0.5〜20nmが良い。前記したチタニア結晶微粒子の結晶子径あるいは粒子径は以下の方法のうちいずれかで規定する。担持量が比較的多い場合にはX線回折により、デバイ・シェラーの式を用いて結晶子径を計算し、担持量が少ない場合には電子顕微鏡観察(透過型電子顕微鏡、電界放射型走査電子顕微鏡)により決定される。また、フッ化水素酸により多孔性ゲル体を溶解除去後、残部のチタニア結晶微粒子の電子顕微鏡観察あるいは多孔性ゲル体を溶解除去後の粉末のX線回折により、デバイ・シェラーの式を用いてチタニア結晶の結晶子径を計算することにより決定される。
【0016】
また前記したチタニア(TiO)と金属元素の酸化物の合計含有量が多孔性ゲルあるいは多孔性ゲル前駆体のSiOとAlの合計量に対し内部mol%で0.01〜80mol%の範囲であることが好ましい。チタニアと金属元素の酸化物の合計含有量が0.01mol%以下の場合は光触媒作用が十分得られず、また80mol%以上の場合は多孔性ゲルの吸着作用が十分得られないからである。かかる含有量は、0.05〜50mol%の範囲がさらに好ましい。
【0017】
また前記したチタニア結晶微粒子の結晶形がアナターゼであることが好ましい。ルチル、ブルッカイトも良好な光触媒作用を示すので有用であるが、三種類の結晶相(アナターゼ、ルチル、ブルッカイト)のなかではアナターゼ型のチタニアは一般に最も優れた光触媒作用を示すからである。
【0018】
本発明に係る光触媒担持多孔性ゲルの製造法によれば、チタンの塩と金属元素の化合物を含む水溶液中、あるいはチタンの塩及び/又はチタンの水酸化物及び/又はチタンの水和物と金属元素の化合物を含む酸性水溶液中にて、好ましくはチタンの塩がチタンの硫酸塩であるか、あるいは前記した酸性水溶液が硫酸又は硫酸イオンを含む条件下における酸性水溶液中での水熱処理により、該水溶液中に共存させた多孔性ゲルあるいは多孔性ゲル前駆体の表面及び/又は内部へ直接に、金属元素の酸化物を固溶及び/又は含有するチタニア結晶微粒子、特にアナターゼ型結晶微粒子が付着あるいは析出し、金属元素の酸化物を固溶及び/又は含有するアナターゼ型の光触媒を担持した多孔性ゲルが直接的に調製される。また、沈殿形成剤(例えば尿素あるいはヘキサメチレンテトラミン等のアルカリ成分)を加えてチタンの塩と金属元素の化合物を含む水溶液中からの沈殿析出工程時の該水溶液の水熱処理(尿素あるいはヘキサメチレンテトラミンなどの加熱加水分解)により、前記した水溶液中に共存させた多孔性ゲルあるいは多孔性ゲル前駆体の表面及び/又は内部へ直接に、チタニア結晶微粒子、特にアナターゼ型結晶微粒子が付着あるいは析出し、光触媒担持多孔性ゲルが調製される。なお、前記した水溶液は、チタン源として硫酸チタン、オキシ硫酸チタン、四塩化チタンなどを使用した場合に、加水分解により自発的に生成する酸性溶液を一部中和する目的で例えばアンモニア水や炭酸アンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、あるいは尿素あるいはヘキサメチレンテトラミン等のアルカリ成分を加水分解により自発的に生成する酸を中和するに必要な塩基量以下の範囲で共存させた酸性条件の溶液であっても適用できる。また、前記した水溶液の濃度、水溶液中に共存させた多孔性ゲルあるいは多孔性ゲル前駆体の量、水溶液の水熱処理温度や時間のコントロールにより、チタニア結晶微粒子の担持量、チタニア結晶微粒子の粒子径などが制御される。
【0019】
なお、これら光触媒担持多孔性ゲルの製造過程において、アンモニア含有ガスの存在下あるいはアンモニア成分存在下あるいはアンモニアを発生する物質(例えば尿素、炭酸アンモニウムなど窒素含有塩基)との共存下において好ましくは300〜600℃における熱処理工程を含むことにより、多孔性ゲル表面及び/又は内部に付着あるいは析出したチタニア結晶微粒子は、その結晶構造中に窒素が導入されることにより窒素を含むこと及び/又はその結晶構造中の酸素の一部を窒素で置換すること及び/又はその結晶構造中に酸素欠陥又は格子欠陥を含むことができる。
【0020】
ここで、好適には、チタンの塩がチタンの硫酸塩であって、オキシ硫酸チタン、硫酸チタンなどが好ましいものとしてあげられ、硫酸あるいは硫酸イオン存在下の四塩化チタン水溶液、ペルオキソチタン酸水溶液なども好ましい。特に、オキシ硫酸チタン、硫酸チタンなどが好ましいものとしてあげられ、硫酸あるいは硫酸イオン存在下の四塩化チタン水溶液、ペルオキソチタン酸水溶液、水酸化チタンなどを使用し、好ましくは80〜200℃の水熱処理により、なかでも120℃以上の水熱処理により、該水溶液中に共存させた多孔性ゲルあるいは多孔性ゲル前駆体の表面及び/又は内部へ直接に、アナターゼ型結晶微粒子が付着あるいは析出し、光触媒担持多孔性ゲルが調製される。また、かくの如き本発明にしたがう光触媒担持多孔性ゲルの製造に際し用いられる金属元素化合物としては、ジルコニウム化合物には、四塩化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、硫酸ジルコニウム、オキシ硫酸ジルコニウム、オキシ酢酸ジルコニウム、オキシ硝酸ジルコニウム、ジルコニウムの各種アルコキシドなどがから選ばれるものが好適に用いられる。ハフニウム化合物も上記のジルコニウム化合物と同様な種類の塩、アルコキシドが好適に用いられる。また、ニオブ化合物には、五塩化ニオブ、オキシ塩化ニオブ、臭化ニオブ、フッ化ニオブ、ペンタエトキシニオブ、ペンタメトキシニオブ、ペンタ−i−プロポキシニオブ、ペンタ−n−プロポキシニオブ、ペンタ−n−ブトキシニオブ、ペンタ−i−ブトキシニオブ、ペンタ−sec−ブトキシニオブなどから選ばれるものが好適に用いられる。また、タンタル化合物には、五塩化タンタル、五臭化タンタル、フッ化タンタル、ペンタエトキシタンタル、ペンタメトキシタンタル、ペンタ−i−プロポキシタンタル、ペンタ−n−プロポキシタンタル、ペンタ−n−ブトキシタンタル、ペンタ−i−ブトキシタンタル、ペンタ−sec−ブトキシタンタル、ペンタ−t−ブトキシタンタルなどがから選ばれるものが好適に用いられる。また、バナジウム化合物には、五酸化バナジウム、オキシ塩化バナジウム、オキシ硫酸バナジウム、バナジン酸アンモニウム、バナジウムの各種アルコキシドなどがから選ばれるものが好適に用いられる。アンチモン化合物、タングステン化合物、モリブデン化合物もタングステン酸アンモニウムや、モリブデン酸アンモニウムのようなアンモニウム塩の他、上記のタンタル化合物、バナジウム化合物と同様な種類の塩、アルコキシドが好適に用いられる。ガリウム化合物、アルミニウム化合物も塩化物、硝酸塩、硫酸塩、フッ化物等すべてのガリウム塩とそのアルコキシド、すべてのアルミニウム塩とそのアルコキシドを使用できる。ケイ素化合物にはシリカゾル、ケイ酸ナトリウム、Siのアルコレート(アルコキシド)、ゲルマニウム化合物には、酸溶液に溶解性の酸化ゲルマニウム、酸化ゲルマニウムゾル、ゲルマン酸ナトリウム、Geのアルコレート(アルコキシド)を使用できる。
【0021】
本発明の製造法によって得られる光触媒担持多孔性ゲルの性能を向上させる目的で白金、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、銀、銅、亜鉛などを被覆あるいは担持しても良い。
【0022】
【作用】
本発明の製造法にしたがうところの光触媒担持多孔性ゲルは、多孔性で比表面積が大きいので悪臭、有害な有機ガス、NO、あるいは水中に溶解している有機溶剤や農薬などの環境汚染有機化合物を効率的に吸着し、太陽光、蛍光灯、白熱灯、ブラックライト、UVランプ、水銀灯、キセノンランプ、ハロゲンランプ、メタルハライドランプなどからの光照射によって、多孔性ゲル表面及び/又は内部に担持された光触媒であるチタニア、特にアナターゼ型結晶微粒子上に生成した電子と正孔の酸化還元作用によって瞬時に、かつ連続的、持続的に分解除去することができる。物質吸着能に優れかつ光透過性を持つ多孔性ゲルに制御されたサイズ(ナノサイズオーダー)のチタニア、特にアナターゼ型結晶微粒子の被覆、担持、複合化によって、物質吸着能と光触媒作用の相乗作用も相まって一段と分解除去性能に優れる。多孔性かつ光触媒能を有するため環境汚染物質の濃度が低い場合にも吸着することにより迅速かつ効果的に分解除去できる。本発明の製造法によって得られる光触媒担持多孔性ゲルは、有機物分解性に優れるため、水質浄化、脱臭、抗菌、防汚、大気浄化用として好適に用いられる。さらに具体的には、水質浄化剤、脱臭剤、悪臭・有機ガス分解剤、抗菌剤、抗カビ剤、抗藻剤、防汚剤、親水材料、大気浄化剤、水分解光触媒材料として好適である。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明においては、チタンの塩と金属元素の化合物を含む水溶液中、あるいはチタンの塩及び/又はチタンの水酸化物及び/又はチタンの水和物と金属元素の化合物を含む酸性水溶液中にて、ここに多孔性ゲルあるいは多孔性ゲル前駆体を共存させ、水熱処理を行うが、かかる水溶液中におけるチタンと金属元素の合計金属イオン濃度は0.001mol/L〜10.0mol/Lの範囲とするのが好ましく、0.01mol/L〜5.0mol/Lの範囲とするのが生産性を考慮した上でより好ましい。
【0024】
そして、上記した水溶液は、公知の適当な反応容器に収納されて、所望の温度に加熱する水熱処理により、加水分解反応が進行せしめられる。かかる水溶液には何も加えないか、又は塩酸、硝酸、硫酸等の酸や、アンモニア水、水酸化ナトリウム水溶液、尿素、ヘキサメチレンテトラミン等の塩基あるいは塩基性物質を発生する物質が共存しうる。あるいは、該水溶液にアンモニア水、水酸化ナトリウム水溶液などの沈殿形成剤を共存させるか、あるいは尿素、ヘキサメチレンテトラミン等を加えた後に加熱して加水分解反応が進行せしめられる。
【0025】
本発明にあっては、反応速度及び製造装置の観点から、水熱処理時の温度は80〜200℃の範囲とするのが好ましいが、実施例で示すように、なかでも120℃以上の範囲とするのがより好ましい。
【0026】
【実施例】
以下に、本発明の実施例等を示し、本発明を更に具体的に明らかにするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約を受けるものでないことは言うまでもないところである。また本発明には、以下の実施例の他にも、更には上記した具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加え得るものであることが理解されるべきである。以下の実施例において、光触媒性能の評価は、その評価法として一般的なメチレンブルーを基準として用いたが、例えば、アセトアルデヒド、フェノール、NO、トリメチルアミン、トリハロメタンや、イプコナゾールなどの農薬の分解等、現在チタニア光触媒が応用されているすべての用途に有利に用いられ得る。
【0027】
参考例1〜3
チタンの塩としてオキシ硫酸チタン(TiOSO)を用い、これを溶解したTiの濃度が0.01mol/L、0.1mol/L、1.0mol/LのTiOSO水溶液90mLと工業的手法にて量産されているシリカゲルの乾燥前のもの20gをテフロン製の反応容器に入れた以外は何も加えず、次いで、この反応容器をステンレス製圧力容器に収容し、それを回転させることにより内容物を撹拌しながら加熱し、120℃の温度で10時間保持し、水熱処理した。その後、その得られた生成物を、中性になるまで蒸留水を加えてデカンテーションにより洗浄し、アナターゼ担持シリカゲルを得た。
【0028】
次いで、一部のアナターゼ担持シリカゲルについて65℃で乾燥後、乳鉢で粉砕し、この得られた乾燥物の結晶相について、X線回折により同定する一方、X線回折図形より、デバイ・シェラーの式を用いて、結晶子径の測定を行った。また、ICP(誘導結合高周波プラズマ)発光分光分析により、得られたアナターゼ担持シリカゲルの組成(Ti:Si)を定量分析した。アナターゼ担持シリカゲルの粒子径、形態は透過型電子顕微鏡により観察した。また、BET法による比表面積測定を行った。さらに、得られたアナターゼ担持シリカゲル0.5gを金網にのせ、5ppm濃度のメチレンブルー水溶液100mL中に入れ、溶液を撹拌しながら暗室下および紫外線(ブラックライト)照射下において、メチレンブルー水溶液のメチレンブルー濃度の時間に対する変化を紫外可視吸光光度計により測定し、暗室下における吸着能を評価し、また、メチレンブルーの紫外線(ブラックライト)照射下における分解の程度を調べることにより光触媒(光分解)性能を評価した。
【0029】
かくして得られた生成物の65℃乾燥粉体のX線回折図形を、図1に示す。また、デバイ・シェラーの式を用いた結晶子径あるいは電子顕微鏡観察による粒子径の測定結果、ICP発光分光分析によるシリカゲルに担持されたTiO量、BET法により測定した比表面積を表1にまとめて示した。
【0030】
【表1】
Figure 0004408349
【0031】
まず、図1のX線回折図より、Ti濃度が0.1mol/L及び1.0mol/LのTiOSO4水溶液中にて水熱処理されたアナターゼ担持シリカゲル(参考例2及び3)の乾燥物の粉砕粉末は、アモルファスに特有なブロードなピーク上にアナターゼ型結晶が結晶相として同定され、アナターゼ型結晶構造を有し、実質的にルチル相を含有しないことが確認された。Ti濃度が0.01mol/Lの場合は表1のTiO分析値から担持されたTiO量が少ないためX線的には確認できないが、アナターゼ型結晶が析出していると考えられる。水熱処理後のアナターゼ担持シリカゲルの外観は、図2のアナターゼ担持シリカゲルの外観写真に示すように、TiOSO4水溶液のTi濃度の増大すなわちTiO担持量の増大(TiO分析値の増大)にともない、未処理の場合の透明からしだいに白色度合いが高くなった。BET法による比表面積測定の結果から、TiO担持量の多い参考例3では20%ほど比表面積の低下が確認されたが、533(m/g)となお高比表面積を保持していた。
【0032】
メチレンブルーの分解を用いて暗室下および紫外線(ブラックライト)照射下におけるアナターゼ担持シリカゲルによるメチレンブルーの吸着能および光触媒性能を評価した結果を、各試料について暗室下保持後のメチレンブルーの吸光度(濃度)および紫外線(ブラックライト)を照射後のメチレンブルーの吸光度(濃度)の変化として、暗室下の保持時間および照射時間に対し図3及び4に吸着能および光触媒性能を比較して示した。図3中のシリカゲルは、比較例である未処理のシリカゲルであって光触媒性能を有しないため、暗室下のメチレンブルーの吸着能のみを示したものである。シリカゲルの吸着能は、アナターゼ型TiOの担持量の増大すなわちTiOSO水溶液の濃度の増大とともに低下した。暗室下保持後のメチレンブルーの吸光度(濃度)と紫外線(ブラックライト)を照射後のメチレンブルーの吸光度(濃度)の差がシリカゲルに担持されたアナターゼ型TiOによるメチレンブルーの光分解能に相当し、参考例1〜3の3試料とも良好な光分解能を示した。特に、紫外線照射8時間後においては、TiOSOの濃度が0.1mol/Lの水溶液から調製されたアナターゼ担持シリカゲルが最も良好な光分解能を示した。
【0033】
参考例1〜3のTiの濃度が0.01mol/L、0.1mol/L、1.0mol/Lの3種類のTiOSO水溶液から得られた表1に示す3種類のアナターゼ担持シリカゲルについて、得られたアナターゼ担持シリカゲル0.5gを金網にのせ、参考例1の2倍の濃度である10ppm濃度のメチレンブルー水溶液100mL中に入れ、溶液を撹拌しながら紫外線(ブラックライト)照射下において、メチレンブルー水溶液のメチレンブルー濃度の時間に対する変化を紫外可視吸光光度計により測定し、光触媒(光分解)性能を、メチレンブルーの紫外線(ブラックライト)照射下における分解の程度を調べることにより評価した。得られた結果を図5に示した。紫外線照射4時間では、Tiの濃度が1.0mol/LのTiOSO水溶液から調製した表1の参考例3のメチレンブルー濃度がやや高いが、8時間以降逆転し、24時間では、メチレンブルー濃度がほぼ0となり、分解が完了し、優れた光分解能を示した。
【0034】
参考例4
Tiの濃度が0.2mol/LのTiOSO水溶液を用いて、100℃の温度で24時間保持し、加水分解処理を行った以外は参考例1〜3と同様にしてアナターゼ担持シリカゲルを調製し、また参考例1〜3と同様な測定を行った。光触媒性能評価も参考例1〜3と同様の条件で行った。X線回折結果より、加水分解処理後のアナターゼ担持シリカゲルの乾燥後の粉砕粉末は、アモルファスに特有なブロードなピーク上にアナターゼ型結晶が結晶相として同定され、アナターゼ型結晶構造を有し、実質的にルチル相を含有しないことが確認された。かくして得られたアナターゼ担持シリカゲルのアナターゼ型TiOの担持量は3.1mol%であり、比表面積は660m/gであり、アナターゼ結晶の粒子径は8nmであった。参考例1〜3と同様に光触媒(光分解)性能を、メチレンブルーの紫外線(ブラックライト)照射下における分解の程度を調べることで評価した結果、紫外線照射前の吸光度1.58から、紫外線照射8時間後では、吸光度が0.7であり、また、24時間後では、吸光度が0.35であり、良好な光触媒(光分解)能を示した。
【0035】
参考例5
チタンの塩としてオキシ硫酸チタン(TiOSO)を用い、これを溶解したTiの濃度が0.2mol/LのTiOSO水溶液90mLと工業的手法にて量産されているシリカゲルの乾燥前のもの20gを反応容器に入れた以外は何も加えず、次いで、この反応容器において溶液を撹拌させることにより内容物を撹拌しながら加熱し、80℃の温度で24時間保持し、加水分解処理した。その後、得られた生成物を中性になるまで蒸留水を加えてデカンテーションにより洗浄し、アナターゼ担持シリカゲルを調製した以外は参考例1〜3と同様にしてアナターゼ担持シリカゲルを調製し、また同様な測定を行った。光触媒性能評価も参考例1〜3と同様の条件で行った。X線回折結果より、加水分解処理後のアナターゼ担持シリカゲルの乾燥粉末はアモルファスに特有なブロードなピーク上にアナターゼ型結晶が結晶相として同定され、アナターゼ型結晶構造を有し、実質的にルチル相を含有しないことが確認された。かくして得られたアナターゼ担持シリカゲルのアナターゼ型TiOの担持量は2.5mol%であり、比表面積は668m/gであり、アナターゼ結晶の粒子径は4nmであった。参考例1〜3と同様に光触媒(光分解)性能を、メチレンブルーの紫外線(ブラックライト)照射下における分解の程度を調べることで評価した結果、紫外線照射前の吸光度1.57から、紫外線照射8時間後では、吸光度が0.75であり、24時間後では、吸光度が0.39であり、良好な光触媒(光分解)能を示した。
【0036】
実施例1
チタン塩としてオキシ硫酸チタン(TiOSO)を用い、またジルコニウム塩として硫酸ジルコニウム(Zr(SO)を用いて、Ti(mol%)/Zr(mol%)=80/20の組成になるように秤量後、溶解したTiとZrの合計濃度が0.1mol/Lとした水溶液90mlを使用した以外は参考例1〜3と同様にして、120℃で10時間の水熱処理を行い、アナターゼ担持シリカゲルを調製し、また同様な測定を行った。光触媒性能評価も参考例1〜3と同様の条件で行った。X線回折結果より、水熱処理後のアナターゼ担持シリカゲルの乾燥粉末はアモルファスに特有なブロードなピーク上にアナターゼ型結晶が結晶相として同定され、アナターゼ型結晶構造を有し、実質的にルチル相を含有しないことが確認された。純粋なアナターゼ型TiOと比較し、回折ピークのシフトが確認され、格子定数は、純粋なアナターゼ型TiOがa=0.3788nm、c=0.9506nmであるのに対し、a=0.3822nm、c=0.9668nmと変化しており、ジルコニウムを固溶したアナターゼ型チタニア担持シリカゲルが調製された。かくして得られたジルコニウムを固溶したアナターゼ担持シリカゲルのアナターゼ型チタニアの担持量はTiO=3.5mol%、ZrO=0.34mol%であった。(酸化チタンTiOに対して、内部mol%で9.7 mol%のジルコニアZrOを固溶及び/又は含有していた)。また、比表面積は650m/gであり、アナターゼ結晶の粒子径は10nmであった。参考例1〜3と同様に光触媒(光分解)性能を、メチレンブルーの紫外線(ブラックライト)照射下における分解の程度を調べることで評価した結果、紫外線照射前の吸光度1.58から、紫外線照射8時間後では、吸光度が0.65であり、24時間後では、吸光度が0.31であり、良好な光触媒(光分解)能を示した。
【0037】
参考例6
チタン塩としてオキシ硫酸チタン(TiOSO)を用い、またジルコニウム塩として硫酸ジルコニウム(Zr(SO)を用いて、Ti(mol%)/Zr(mol%)=80/20の組成になるように秤量後、溶解したTiとZrの合計濃度が0.1mol/Lとした水溶液90mlと工業的手法にて量産されているシリカゲルの乾燥前のもの20gを反応容器に入れた以外は何も加えず、次いで、この反応容器において溶液を撹拌させることにより内容物を撹拌しながら加熱し、100℃の温度で24時間保持し、加水分解処理した。その後、得られた生成物を、中性になるまで蒸留水を加えてデカンテーションにより洗浄しアナターゼ担持シリカゲルを調製した以外は参考例1〜3と同様な手法でアナターゼ担持シリカゲルを調製し、また参考例1〜3と同様な測定を行った。光触媒性能評価も参考例1〜3と同様の条件で行った。X線回折結果より、処理後のアナターゼ担持シリカゲルの乾燥粉末はアモルファスに特有なブロードなピーク上にアナターゼ型結晶が結晶相として同定され、アナターゼ型結晶構造を有し、実質的にルチル相を含有しないことが確認された。純粋なアナターゼ型TiOと比較し、回折ピークのシフトが確認され、格子定数は、純粋なアナターゼ型TiOがa=0.3786nm、c=0.9505nmであるのに対し、a=0.3825nm、c=0.9685nmと変化しており、ジルコニウムを固溶したアナターゼ型チタニア担持シリカゲルが調製された。かくして得られたジルコニウムを固溶したアナターゼ担持シリカゲルのアナターゼ型チタニアの担持量はTiO=2.7mol%、ZrO=0.30mol%であった(酸化チタンTiOに対して、内部mol%で11.1mol%のジルコニアZrOを固溶及び/又は含有していた)。比表面積は655m/gであり、アナターゼ結晶の粒子径は8nmであった。実施例あ〜3と同様に光触媒(光分解)性能を、メチレンブルーの紫外線(ブラックライト)照射下における分解の程度を調べることで評価した結果、紫外線照射前の吸光度1.58から、紫外線照射8時間後では、吸光度が0.67であり、24時間後では、吸光度が0.33であり、良好な光触媒(光分解)能を示した。
【0038】
参考例7
チタン塩としてオキシ硫酸チタン(TiOSO)を用い、これを溶解したTiの濃度が0.2mol/Lの水溶液90mlと直径5mmの球状活性アルミナ50gを反応容器に入れた以外は何も加えず、次いで、この反応容器において溶液を撹拌させることにより内容物を撹拌しながら加熱し、95℃の温度で24時間保持し、加水分解処理した。その後、得られた生成物を、中性になるまで蒸留水を加えてデカンテーションにより洗浄しアナターゼ担持球状活性アルミナを調製した以外は参考例1〜3と同様にして調製し、また同様な測定を行った。光触媒性能評価も参考例1〜3と同様の条件で行った。X線回折結果より、加水分解処理後のアナターゼ担持球状活性アルミナの乾燥粉末はアナターゼ型結晶が結晶相として同定され、アナターゼ型結晶構造を有し、実質的にルチル相を含有しないことが確認された。かくして得られたアナターゼ担持球状活性アルミナのアナターゼ型TiOの担持量は2.3mol%であり、アナターゼ結晶の粒子径は6nmであった。参考例1〜3と同様に光触媒(光分解)性能を、メチレンブルーの紫外線(ブラックライト)照射下における分解の程度を調べることで評価した結果、紫外線照射前の吸光度1.57から、紫外線照射8時間後では、吸光度が0.77であり、24時間後では、吸光度が0.41であり、良好な光触媒(光分解)能を示した。
【0039】
参考例8
チタンの塩としてTiCl4を用い、Tiの用い、濃度が0.2mol/Lの水溶液を100℃の温度で24時間保持し、加水分解処理を行った以外は参考例1〜3と同様にしてチタニア担持シリカゲルを調製し、また参考例1〜3と同様の測定を行った。光触媒性能評価も参考例1〜3のと同様の条件で行った。X線回折結果より、加水分解処理後のチタニア担持シリカゲルの乾燥後の粉砕粉末は、アモルファスに特有なブロードなピーク上にルチル型結晶が結晶相として同定された。かくして得られたルチル型チタニア担持シリカゲルのルチル型TiOの担持量は3.0mol%であり、比表面積は630m/gであり、ルチル型チタニア結晶の粒子径は10nmであった。参考例1〜3と同様に光触媒(光分解)性能を、メチレンブルーの紫外線(ブラックライト)照射下における分解の程度を調べることで評価した結果、紫外線照射前の吸光度1.58から、紫外線照射8時間後では、吸光度が0.85であり、また、24時間後では、吸光度が0.45であり、良好な光触媒(光分解)能を示した。
【0040】
実施例2
チタンの塩として四塩化チタン(TiCl4)を用いまた、ジルコニウム塩としてオキシ塩化ジルコニウム(ZrOCl・8HO)を用いて、Ti(mol%)/Zr(mol%)=80/20の組成になるように秤量後、溶解したTiとZrの合計濃度が0.1mol/Lとした水溶液90mlと工業的手法にて量産されているシリカゲルの乾燥前のシリカゲル20gを反応容器に入れた以外は何も加えず、次いで、この反応容器において溶液を撹拌させることにより内容物を撹拌しながら加熱し、120℃の温度で10時間保持し、水熱処理した。その後、その得られた生成物を、中性になるまで蒸留水を加えてデカンテーションにより洗浄し、チタニア担持シリカゲルを調製した以外は参考例1〜3と同様な手法でチタニア担持シリカゲルを調製し、また参考例1〜3と同様な測定を行った。光触媒性能評価は参考例1〜3と同様の条件で行った。X線回折結果より、水熱処理後のチタニア担持シリカゲルの乾燥粉末はアモルファスに特有なブロードなピーク上にルチル型チタニア結晶が結晶相として同定された。純粋なルチル型TiOと比較し、回折ピークのシフトが認められ、また格子定数の変化により、ジルコニウムを固溶したルチル型チタニア担持シリカゲルが調製されたことを確認した。かくして得られたジルコニウムを固溶したルチル型チタニア担持シリカゲルのルチル型チタニアの担持量はTiO=3.2mol%、ZrO=0.30mol%であった(酸化チタンTiOに対して、内部mol%で9.4 mol%のジルコニアZrOを固溶及び/または含有していた)。比表面積は620m/gであり、ルチル型チタニア結晶の粒子径は12nmであった。参考例1〜3と同様に光触媒(光分解)性能を、メチレンブルーの紫外線(ブラックライト)照射下における分解の程度を調べることで評価した結果、紫外線照射前の吸光度1.58から、紫外線照射8時間後では、吸光度が0.76であり、24時間後では、吸光度が0.40であり、良好な光触媒(光分解)能を示した。
【0041】
実施例3〜14
チタンの塩としてオキシ硫酸チタン(TiOSO)を用い、これに対し、硫酸ハフニウム(Hf(SO)、塩化ニオブ(NbCl)のエタノール溶解液、ペンタエトキシタンタル(Ta(OC)、トリエトキシアンチモン(Sb(OC)、タングステン酸アンモニウム((NH101241・5HO)、モリブデン酸アンモニウム((NHMo24・4HO)、メタバナジン酸アンモニウム(NHVO)、テトラエトキシシラン(Si(OC)、酸化ゲルマニウム(GeO)、硫酸ガリウム(Ga(SO)、硝酸アルミニウム(Al(NO・9HO)及び硝酸鉄(Fe(NO・9HO)の金属元素(M)の化合物をそれぞれ、Tiに対し、Ti(mol%)/M(mol%)=90/10の組成になるように秤量後、溶解・添加したTiとMの合計濃度が0.1mol/Lとした12種類の各水溶液90mlと工業的手法にて量産されているシリカゲルの乾燥前のもの20gを反応容器に入れた以外は何も加えず、次いで、この12種類の反応容器において溶液を撹拌させることにより内容物を撹拌しながら加熱し、150℃の温度で10時間保持し、水熱処理した。その後、得られた12種類の生成物を、中性になるまで蒸留水を加えてデカンテーションにより洗浄し、実施例3〜14の12種類のチタニア担持シリカゲルを調製した以外は参考例1〜3と同様な手法でチタニア担持シリカゲルを調製し、また参考例1〜3と同様の測定を行った。光触媒性能評価も参考例1〜3と同様の条件で行った。X線回折結果より、水熱処理後の12種類のチタニア担持シリカゲルの乾燥粉末はアモルファスに特有なブロードなピーク上にアナターゼ型チタニア結晶が結晶相として同定されていた。純粋なアナターゼ型TiOと比較し、12種類のチタニア担持シリカゲル何れにおいても回折ピークのシフトが認められ、また格子定数の変化により、金属元素Hf、Nb、Ta、Sb、W、Mo、V、Si、Ge、Ga、Al、Feをそれぞれ固溶したアナターゼ型チタニア担持シリカゲルが調製されたことを確認した。かくして得られた金属元素を固溶したアナターゼ型チタニア担持シリカゲルの比表面積は12種類何れも580〜650m/gの範囲であり、アナターゼ型チタニア結晶の粒子径は10〜15nmであった。参考例1〜3と同様に光触媒(光分解)性能を、メチレンブルーの紫外線(ブラックライト)照射下における分解の程度を調べることで評価した結果、12種類のチタニア担持シリカゲルは何れも紫外線照射前の吸光度1.58から、紫外線照射8時間後では、吸光度が0.76〜0.87の範囲であり、24時間後では、吸光度が0.40〜0.68の範囲であり、良好な光触媒(光分解)能を示した。
【0042】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の製造法によると、電気炉を用いた大気中における熱処理は不要であって、したがって安価でかつ容易に工業的な実施普及ができ、しかも優れた性能を有する光触媒担持多孔性ゲルが得られる。本発明の製造法による光触媒担持多孔性ゲルは、様々な用途に好適であり、有機物分解性に優れ、水質浄化、脱臭、抗菌、防汚、大気浄化用として好適に用いられ、応答性の高い光触媒作用を有する。特に、水質浄化剤、脱臭剤、悪臭・有機ガス分解剤、抗菌剤、抗カビ剤、抗藻剤、防汚剤、NO、SO等の空気中有害物質の浄化、大気浄化剤、水分解光触媒材料に用いられる。さらには多孔性ゲルとチタニア、特にアナターゼ型チタニア光触媒との複合化により、物質吸着能と光触媒作用の相乗作用により、一段とその性能に優れる。多孔性かつ光触媒能を有するため環境汚染物質の濃度が低い場合にも吸着することにより迅速かつ効果的に分解除去できる。そのため現在チタニア光触媒あるいは多孔性ゲルが応用されている多くの用途に有利に用いられ得るとともに、新しい用途が拡大する可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明と同様の水熱処理の製造法による3種類のアナターゼ担持シリカゲル(65℃乾燥物)及び未処理のシリカゲル(図1中のシリカゲル)のX線回折図を示す図。
【図2】 本発明と同様の水熱処理の製造法による3種類のアナターゼ担持シリカゲル(図2中の(b)、(c)及び(d))及び未処理のシリカゲル(図2中の(a))の外観を示す図。
【図3】 本発明と同様の水熱処理の製造法によるアナターゼ担持シリカゲル及び未処理のシリカゲル(図3中のシリカゲル)の吸着能及び光触媒性能をメチレンブルーの吸光度(相対的な濃度)変化で示す図。
【図4】 本発明と同様の水熱処理の製造法による2種類のアナターゼ担持シリカゲルの吸着能及び光触媒性能をメチレンブルーの吸光度(相対的な濃度)変化で示す図。
【図5】 本発明と同様の水熱処理の製造法による3種類のアナターゼ担持シリカゲルの光触媒性能をメチレンブルーの吸光度(相対的な濃度)変化で示す図。

Claims (6)

  1. チタンの塩と金属元素の化合物を含む水溶液中に、あるいはチタンの塩及び/又はチタンの水酸化物及び/又はチタンの水和物と金属元素の化合物を含む酸性水溶液中に、多孔性ゲルあるいは多孔性ゲル前駆体を共存させ、水熱処理を行って、多孔性ゲルあるいは多孔性ゲル前駆体の表面及び/又は内部へ直接に、金属元素の酸化物を固溶及び/又は含有するチタニア結晶微粒子を付着あるいは析出させることを特徴とする光触媒担持多孔性ゲルの製造法。
  2. 水熱処理を120〜200℃の温度下で行なう請求項1記載の光触媒担持多孔性ゲルの製造法。
  3. チタニア結晶微粒子が、チタニア(TiO)に対して、内部モル%で0.1〜20mol%の金属元素の酸化物を固溶及び/又は含有するものである請求項又は記載の光触媒担持多孔性ゲルの製造法。
  4. 金属元素の化合物がZr、Hf、Nb、W、Mo、Ta、V、Sb、Ga、Al、Fe、Si及びGeから選ばれる少なくとも一つの金属元素の化合物である請求項のいずれか一つの項記載の光触媒担持多孔性ゲルの製造法。
  5. 多孔性ゲルが、シリカゲル、シリカアルミナゲル、アルミナゲル及び活性アルミナから選ばれる少なくとも一つである請求項1〜のいずれか一つの項記載の光触媒担持多孔性ゲルの製造法。
  6. チタニア結晶微粒子の結晶形がアナターゼである請求項1〜のいずれか一つの項記載の光触媒担持多孔性ゲルの製造法。
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