以下、実施の形態に係る物標検出装置について説明する。なお、同一要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
図1は、実施の形態に係る物標検出装置100のブロック図である。
物標検出装置100は、検出範囲R1を有する第1のレーダ100aと、検出範囲R2を有する第2のレーダ100bと、双方のレーダ100a,100bの出力に基づいて演算を行う演算部100cを備えている。扇形の遠距離狭角検出範囲R1と、扇形の近距離広角検出範囲R2とは、それぞれの中心を共通として、部分的に重複している。遠距離狭角検出範囲R1においては、非重複検出範囲をR2aとし、重複検出範囲(重複範囲)をR1bとする。近距離広角検出範囲R2においては、左右の非重複検出範囲をR1a,R1cとし、中央の重複検出範囲をR2bとする。
検出範囲R1を有する第1のレーダ100aはDBF(デジタル・ビーム・フォーミング)のFM−CW方式レーダであり、検出範囲R2を有する第2のレーダ100bは、受信信号の位相差検出をする2チャンネル・モノパルス方式レーダである。
まず、第1のレーダ100aとしてのFM−CW方式レーダについて説明し、次に、第2のレーダ100bとしての2チャンネル・モノパルス方式レーダ100bについて説明し、しかる後、これら複数のレーダを用いた物標検出装置の実施形態について説明する。
(第1のレーダ)
図2は、第1のレーダ100aとしてのFM−CW方式レーダのブロック図である。
このFM−CW方式レーダは、送信1チャネル、受信8チャネルのDBFレーダである。したがって、受信用アレーアンテナ1は各チャネルに対応する8個の受信用アンテナ素子CH1〜CH8を備えている。各アンテナ素子CH1〜CH8はアイソレータ群12を構成する個々のアイソレータを介して、それぞれに対応するミキサ11−1〜11−8に接続されている。
ミキサ11−1〜11−8は、各アンテナ素子に到達した受信信号に、送信信号の一部をミキシングして、ビート信号を得る。ミキサ11−1〜11−8には、ローカル信号としての送信信号成分が与えられる。詳説すれば、この送信信号成分は、電圧制御型発振器(VCO)14から、分岐回路15およびアイソレータ群13を介して、ミキサ11−1〜11−8に与えられる。
電圧制御型発振器14は、中心周波数がf0(たとえば60GHz)のバラクタ制御型ガン発振器であり、変調用の直流電源22から出力される制御電圧によって、f0±ΔFまでの被変調波を出力する。すなわち、電圧制御型発振器14に入力される制御電圧が上昇すると、電圧制御型発振器14から出力される電圧の周波数が高くなり、電圧制御型発振器14に入力される制御電圧が低下すると、電圧制御型発振器14から出力される電圧の周波数が低くなる。
直流電源22は変調用信号源23の制御により周期的に出力電圧値を変化させる。電圧制御型発振器14へ入力される制御電圧は、三角波であるとする。
電圧制御型発振器14から出力されたFM被変調波は、分岐回路15を介して送信用アンテナ21に与えられた送信信号として放射される。送信用アンテナ21から出力される送信信号の周波数の時間波形は、電圧制御型発振器14へ入力される制御電圧に比例するので、三角波となる。
一方、電圧制御型発振器14から出力されたFM被変調波は、分岐回路15によって8チャネルに分岐されてローカル信号となり、各ミキサ11−1〜11−8において8チャネルの受信信号とそれぞれミキシングされ、チャネル別ビート信号を生成する。各チャネル毎のビート信号は、目標物までの距離や相対速度に応じて変化する。すなわち、ビート信号から、距離や相対速度を求めることができる。以下、詳説する。
まず、目標物の相対速度が零の場合のビート周波数変化について説明する。
図3(a)は、電圧制御型発振器14(送信用アンテナ21)から出力される送信信号周波数(=VCOへの制御電圧に比例)の変化と、距離Rの位置にあり相対速度が零の目標物から再放射されて各アンテナ素子CH1〜CH8から出力される受信信号周波数の変化とを示したグラフである。このグラフの縦軸は周波数、横軸は時間を示す。
なお、図3(a)における実線は、送信信号周波数の時間的変化を示し、破線は受信信号周波数の時間的変化を示している。図3(b)は、目標物の相対速度が零の場合において、各ミキサの出力電圧(ビート信号)の周波数(ビート周波数)を示すグラフであり、時間軸(横軸)は図3(a)とタイミングを一致させてある。なお、送信信号周波数と受信信号周波数の差分が、ビート周波数となる。
このグラフから判るように、送信信号には、連続波に三角状の周波数変調を掛けた変調信号を用いる。変調波の中心周波数はf0、周波数偏移幅はΔF、三角波の繰り返し周波数はfmである。
図3(a)に示すように、送信信号の送信タイミングと、受信信号の受信タイミングとの間には、目標物の相対速度が零のときには、目標物までの距離Rに応じた遅延時間τ1(τ1=2R/c:cは光速)が生じる。
次に、目標物の相対速度がVの場合のビート周波数変化について説明する。
図4(a)は、電圧制御型発振器14から出力される送信周波数の変化と、距離Rの位置にあり相対速度がVの目標物から再放射されて各アンテナ素子CH1〜CH8から出力される受信周波数の変化とを示したグラフであり、縦軸に周波数、横軸に時間を示す。
なお、図4(a)における実線は、送信信号周波数の時間的変化を示し、破線は受信信号周波数の時間的変化を示している。図4(b)は、目標物の相対速度がVの場合の各ミキサの出力電圧(ビート信号)の周波数(ビート周波数)を示すグラフであり、時間軸(横軸)は図4(a)とタイミングを一致させてある。
送信信号の送信タイミングと、受信信号の受信タイミングとの間には、目標物の相対速度がVのときには、目標物までの距離Rに応じた遅延時間τ1(τ1=2R/c:cは光の速度)と、相対速度Vに相当する周波数偏移Dを受ける。なお、図4(a)に示す例は、受信信号周波数が同グラフにおいて上方に偏移しており、目標物が接近する場合を示している。これはドップラ効果に起因する。
相対速度が零のときのビート周波数をfr、相対速度Vのときのドップラ周波数をfd、周波数が増加する区間(アップ区間)のビート周波数をfb1、周波数が減少する区間(ダウン区間)のビート周波数をfb2とすると、fb1=fr−fd、fb2=fr+fdが成立するので、これをfrとfdについて解けば、fr=(fb1+fb2)/2、fd=(fb1−fb2)/2となり、目標物の距離Rと速度Vを以下の式により求めることができる。
R=(C/(4・ΔF・fm))・fr=(C/(4・ΔF・fm))・(fb1+fb2)/2
V=(C/(2・f0))・fd=(C/(2・f0))・(fb1-fb2)/2
すなわち、周波数アップ区間のビート周波数fb1と、周波数ダウン区間のfb2を測定すれば、任意のビーム方向について目標物の距離Rおよび相対速度Vを求めることができるので、ビーム走査を行いながら距離Rおよび速度Vを順次算出すれば、目標物の方位、距離、速度を探知することができる。
再び、図2を参照すると、ミキサ群11、アイソレータ群12、13、発振器14、分岐回路15で構成される高周波回路10の後段に、低雑音増幅器24、高速A/D変換器25、DBF信号処理部26、複素FFT演算部27が設けられている。
低雑音増幅器(アンプ)24は、ミキサ11−1〜11−8から出力された8チャネルのビート信号をパラレルに増幅するものである。また、アンプ24は、アンチエリアシングのためにカットオフ周波数77kHzのローパスフィルタを内蔵している。
高速A/D変換器25は、8チャネルの各ビート信号をパラレル且つ同時にA/D変換する回路であり、200kHzでビート信号のサンプリングを行う。このサンプリング周波数で、FM変調における三角波の周波数アップ区間と周波数ダウン区間において、それぞれ128ポイントのサンプリングを行う。
DBF信号処理部26は、高速A/D変換器25からチャネル別のデジタル・ビート信号を取得し、DBF処理および距離・速度演算を行ってターゲット(目標物)の認識処理を行う。複素FFT演算部27は、DBF信号処理部26における一連の処理の中の複素FFT演算を代行して実行する演算部であり、DBF信号処理部26からチャネル別デジタル・ビート信号を受け取り、これに対して複素FFT演算を実施してその結果をDBF信号処理部26に戻す。なお、各チャネルごとに得られるビート信号を複素FFT演算して得られるパワースペクトルを、周波数が距離に対応するため「距離パワースペクトル」と呼ぶ。距離パワースペクトルの例を図5に示す。
DBF信号処理部26では、フェーズドアレーアンテナレーダの移相器の機能をデジタル信号処理で行うことで、ビーム走査やサイドローブ特性等の調整をデジタル状態で行うものであり、全てのアンテナのチャネルからの受信信号をAD変換後に一旦取り込んだ後、各チャネルのビート信号に基づいて、目標物の方位θにおける距離Rと速度Vを演算する。ビーム走査の方位は任意に設定することができる。
すなわち、ビームを送信する車両の進行方向Xに対して、角度θの方向から到来する電波を間隔dで配列されたn個のアンテナ素子からなるアレーアンテナで受信する場合(本例ではn=8個)、アンテナ素子(CH1)に対する電波の伝搬経路長を基準とすると、アンテナ素子(CH2)、…、アンテナ素子(CHn)に対する各伝搬経路長は、それぞれdsinθ、…、(n−1)dsinθだけ長くなる。したがって、その分だけアンテナ素子(CH2)、…、アンテナ素子(CHn)に到達する電波の位相がアンテナ素子(CH1)に到達する電波の位相よりも遅れる。
この遅れ量は、それぞれ(2πdsinθ)/λ、…、(2(n−1)πdsinθ)/λとなる。ここで、λは電波の波長である。この遅れ分だけチャネル毎に位相を進めて合成することにより、θ方向からの電波が全アンテナ素子において同位相で受信されたものと同様となり、指向性がθ方向に向けられたことになる。すなわち、目的の角度θからの受信信号を検出できるように、各チャネルの信号の位相を調整すれば、この調整量が角度θに対応する。
このように、DBFの大きな特徴は、全アンテナ素子(全受信チャネル)の信号を一旦デジタル信号として取り込んでしまうと、それをもとに任意の方向にビーム合成ができるため、一回の信号取り込みで複数のビームを形成することができることにあり、かかるデジタル処理はDBF信号処理部26によって実行される。
DBF信号処理部26は、高速A/D変換器25からチャネル別デジタル・ビート信号を取得し、DBF処理および距離・速度演算を行って物標(目標物)の認識処理を行う。なお、本実施形態のビーム振り幅は、−10度〜+10度までであり、0.5度刻みの角度分解能で40ビームの形成を実行する。
角度毎に合成したビーム信号から、上述の式により、角度毎の相対速度、相対距離を算出し、これらの情報から目標物の認識処理を行う。目標認識処理は用途に応じて従来技術を適用すればよい。
上述のように、DBF信号処理部26は、高速A/D変換器25からチャネル別デジタル・ビート信号を取得し、複素FFT演算部27でチャネル別信号を複素FFT演算し、FFT演算の結果から距離パワースペクトルを演算し、位相遅れ量を考慮することにより、角度θに対するビームを合成し、合成したビームに対して距離Rと速度Vを演算する処理を行うことで、所望の方向θにおける物標の距離RとVを演算して、目標物を認識する。
複素FFT演算部27は、上述のように、DBF信号処理部26における一連の処理の中の複素FFT演算を代行して実行する演算部であり、DBF信号処理部26からチャネル別デジタル・ビート信号を受け取り、これに対して複素FFT演算を実施してその結果をDBF信号処理部26に戻す。
なお、上述のように、各チャネルビート信号をサンプリングしてAD変換した場合、これは不連続値の集合であるため、これを高速フーリエ変換(FFT)でDFT処理すると、周波数軸上のビート周波数fbに対応しているところにピークが現れるが、周波数軸上のビート周波数fbの位置は、物標までの距離Rに対応することとなる。各チャネルの周波数スペクトルが得られた場合に、チャネル間の位相を調整すれば特定の指向角における距離パワースペクトルを得ることができる。
(第2のレーダ)
図6は、第2のレーダ100aとしての2チャンネル・モノパルス方式レーダのブロック図である。
2チャンネルのモノパルス方式レーダは、物標としての目標物Mからの反射波Refを、離隔配置された2つの受信用アンテナ素子A1,A2で受信する。これらのアンテナA1,A2の間隔をDとすると、車両の前方方向からの角度、すなわち、受信信号の入射角θは、2つの受信信号の経路差を「x」とすると、x=Dsinθ≒Dθで与えられ、この経路差「x」に基づく位相差Δφ=2π(x/λ)で与えられ、θ≒Δφ・λ/(2π・D)で与えられる。
処理回路50は、送信用アンテナ52に信号を伝達する発振器53と、受信用アンテナ素子A1,A2からの信号に発振器53の出力を混合するミキシング回路MX1,MX2と、ミキシング回路MX1,MX2によって低周波化された受信信号が入力される演算部51とを備えている。演算部51が、入力される2つの受信信号の、位相差Δφを計測すれば、角度θを求めることができる。なお、位相差Δφは、2つの受信信号を方形波に変換し、方形波間の排他的論理和などをとり、その出力の期間をカウンタでカウントすれば求めることができる。
また、発振器53を電圧制御型発振器として、送信信号に三角波の制御電圧を入力すると、FM変調された送信信号が送信用アンテナ21から出力されることになり、送信信号と受信信号をミキシングしてなるビート信号は、高速フーリエ変換すると、物標までの距離に応じたパワースペクトルとなる。角度θにおける距離パワースペクトルが必要な場合は、2つの受信信号のパワースペクトルの角度θに対応した位相差Δφだけ、位相が進んだ方のスペクトルを遅らせ、同相で増幅すればよい。
また、角度情報を加えない場合は、受信信号から、広角の検出範囲内における全方位検出値の方位平均の距離パワースペクトルを得ることができる。この2チャンネル・モノパルス方式レーダは、DBFのFM−CW方式レーダと比較して、演算量が少ないため、高速に出力を出すことができ、十分な検出精度が得られるが、DBF方式レーダと比較すると検出精度は劣る。
(第1実施形態)
図7は、第1実施形態に係る物標検出装置の検出アルゴリズムを説明するための車両の状態を示す図である。
自車両S1が第1レーダ100aで遠距離狭角検出範囲R1を走査しつつ、第2レーダ100bで近距離広角検出範囲R2を走査しながら、走行している状態が示されている。同図では、自車両S1の前方には、先行車S3が走行中である状態が示されている。近距離広角検出範囲R2における先行車S3の後部位置をP2とする。
第2レーダ100b(検出範囲R2)から得られる方位平均の距離パワースペクトル(演算結果)は、物標までの距離(受信信号周波数)と受信レベル(dBsm)の関係を示す(図示せず)。このスペクトルでは、先行車S3の後部位置P2において、ピークが観察される。すなわち、このスペクトルは、位置P2に、反射波が得られる物標(目標物)が存在するということを意味する。
したがって、レーダからのスペクトルに適当な閾値を設定しておき、スペクトルの例えば位置P2におけるピークが当該閾値を超えた場合には、物標が存在すると判定することができる。これを存在の検出とする。但し、一度の検出では存在の確度は低いため、数度の検出が行われた場合に、その存在を確定する。
第1レーダ100a(検出範囲R1)から得られる方位平均の距離パワースペクトル(演算結果)も、物標までの距離(受信信号周波数)と受信レベル(dBsm)の関係を示す(図示せず)。このスペクトルでは、先行車S3の後部位置P2において、ピークが観察される。すなわち、このスペクトルでも、位置P2に、反射波が得られる物標(目標物)が存在するということを意味する。
演算部100cには、第1レーダ100aのスペクトル(演算結果)が入力され、上記閾値判定によって物標存在検出が行われる(第1判定手段)。
演算部100cには、第2レーダ100bのスペクトル(演算結果)が入力され、それぞれ、上記閾値判定によって物標存在検出が行われる(第2判定手段)。
なお、上述のように、第1レーダ100aでは演算量が多く、第2レーダ100bでは演算量が少ない。これは相対的なものである。したがって、第1レーダ100aの演算時間は長時間であり、第2レーダ100bの演算時間は短時間である。もちろん、これも相対的なものであり、本例では長時間とはいっても数十分というようなオーダではない。
高精度の演算結果が必要な場合には、第1レーダ100aの演算結果を用い、高速な演算を行う場合には、第2レーダ100bの演算結果を用いる傾向でデータ処理することが好ましいが、重複範囲R2b内で物標の存在が確定している場合には、第2レーダ100bの演算結果に基づく第2判定手段の信頼性は高くなるので、この場合には、第2レーダ100bの演算結果を選択して第2判定手段で物標の存在判定を行わせる(指定手段)。
以上、説明したように、この物標検出装置は、遠距離狭角検出範囲R1を有する長演算時間の第1レーダ100aと、遠距離狭角検出範囲R1に重複する近距離広角検出範囲R2を有する短演算時間の第2レーダ100bと、第1レーダ100aの演算結果に基づき物標の存在判定を行う第1判定手段と、第2レーダ100bの演算結果に基づき物標の存在判定を行う第2判定手段と、第1判定手段の存在判定結果から物標の存在を確定する存在確定手段と、存在確定手段によって前回の存在が確定した物標が(図8(b)の演算期間T5以降)、第1及び第2レーダの重複範囲R2bにおいて存在する場合には、第2レーダ100bの演算結果を第2判定手段に入力して、当該第2判定手段で前回の物標の確定後の今回の存在判定を(図8(b)の演算期間T6内の演算期間t1〜t5で)行わせる指定手段とを備えている。なお、「短演算時間」及び「長演算時間」なる用語は、互いに相対的な時間長の規定である。
この物標検出装置では、第1及び第2レーダの重複範囲R2bにおいて物標の存在が確定した場合には、次の物標の存在の有無は、低い確度であっても確定できるため、指定手段は、存在確定手段によって存在が確定した物標が重複範囲に存在する場合、短演算時間の第2レーダ100bの演算結果を第2判定手段に入力し、前回の物標の確定後の今回の存在を、第2判定手段で判定させる。これにより、物標を高速に検知できる。もちろん、第2判定手段は、第1判定手段とのセンサーフュージョンを行うことで、さらに高速性と正確性を両立させることができるようになる。今回の存在判定で確定した物標のデータは現在の制御に用いることができる。なお、重複領域では前回において物標が確定した場合には、この結果を用いて、今回において物標の確定を第2レーダ100b、第2判定手段で行うことができるが、非重複領域においては、前回確定後の物標が移動して入ってきた場合であっても、第2レーダ100bの検出結果のみでは制御対象の制御は行わないことが好ましい。
すなわち、図1の検出範囲R1a、R2c(非重複領域)内に、確定後の物標が移動して入ってきた場合であっても、第2レーダ100bの検出結果のみでは制御対象の制御は行わないことが好ましい。一方、検出範囲R1aにおいては、高精度な第1レーダ100aで物標を検出した場合は、この結果を用いて制御を行うことができる。なお、外側の検出範囲R2a,R2cのみに存在していた物標の確定を行わず、物標が重複領域に入ってきた場合には、検出範囲R2a、R2cの情報を用いて、重複範囲と非重複範囲との境界付近に重点的検出範囲を設定して検出範囲を狭めることで、演算量を低減させて物標の確定までの演算時間を短縮し、制御を行える状態にすることが好ましい。また、このような場合においても、第2レーダ100bだけでは、物標の存在の有無の確定を行わず、第1レーダ100aで物標の確定を行うこともできる。すなわち、上述の実施形態では、重複領域R2bにおいて物標の存在を確定しているが、物標の存在は領域R1aでも確定することができる。
また、上述の装置では、例えば従来の4〜5倍の演算周期で衝突判定を行うことができるため、例えば、これを用いた衝突回避システムに適用する場合、これに用いられる衝突予測時間を短時間で求めることができる。この結果、制御時における警報、ブレーキ、シートベルトなどをリアルタイムに制御することができる。
以下、詳説する。
図8は、遠距離狭角検出範囲R1と近距離広角検出範囲R2における物標の「検出」と「確定」のタイミングを示すタイムチャートである。各演算期間で「検出」が行われているかどうかは、場合によって異なるため、同図では「判定中」で示す。
同図(a)は、第1レーダ(DBF−FM−CWレーダ)のみで判定を行うタイムチャートを示し、同図(b)は第1及び第2レーダ(モノパルス方式レーダ)を用いて判定を行うタイムチャートを示す。
DBFのFM−CW方式レーダ(検出範囲R1を検査)は、演算量が多い(距離パワースペクトルを得るための演算時間が長い)が検出精度が高く、また、モノパルス方式レーダ(検出範囲R2を検査)は、演算量が少なく(距離パワースペクトルを得るための演算時間が短い)、十分な検出精度が得られるもののDBF方式に比べると検出精度が劣るという特性を有する。
同図(a)の例では、演算期間T1〜T4における判定結果に応じて、演算期間T5において物標存在の「確定」がなされ、この確定後の演算期間T6において「確定」が行われ、各確定の演算期間の終了時において制御対象(ACCシステムなど)の制御が行われる。車両制御としては、車間距離制御、自動ブレーキ制御、PBA(プリクラッシュ・ブレーキアシスト)、PSB(プリクラッシュ・シートベルト)システムの制御が挙げられる。
同図(a)における制御周期は、以下に説明する同図(b)における制御周期と比較すると、相対的には長時間ということになる。
同図(b)の例では、遠距離狭角検出範囲R1を走査するFM−CW方式レーダの1つの演算期間(例えば、T1)において、近距離広角検出範囲R2を走査するモノパルス方式レーダでは5つの演算期間(t1〜t5)が設定されている。すなわち、第1のレーダ100a(DBFのFM−CW方式レーダ:図1参照)が1つの出力(距離パワースペクトル)を発生する間に、第2のレーダ100b(モノパルス方式レーダ:図1参照)は5つの出力(距離パワースペクトル)を発生する。
演算部100c(図1参照)は、それぞれから出力された距離パワースペクトルに閾値を設定しておき、この閾値を受信レベルが超えた場合に、物標が存在するものと判定し、1度の検出が行われる。
同図(b)では、近距離広角検出範囲R2の1度の演算期間内において、物標の存在が一度検出された場合には、「高速検出フラグ(検出フラグ:確度レベルL」を1とし、高速検出フラグが1である演算期間の数(本例の場合は、数=5(t1,t2,t3,t4,t5)が、遠距離狭角検出範囲R1の1つの演算期間(=T1)内でカウントされる。
遠距離狭角検出範囲R1の1度の演算期間内において、物標の存在が一度検出された場合(距離パワースペクトルの受信レベルが閾値を超えた場合)には、「高精度検出フラグ(検出フラグ:確度レベルM)」を1とし、高精度検出フラグが1である演算期間の数がカウントされ、カウント値が規定値を超えた場合には、物標の存在が確定し、「確定フラグ(検出フラグ(確度レベルH))が1となる(演算時間T5において確定フラグがたつ)。
すなわち、ある演算期間(T1)内において、確度レベルLの検出フラグが規定数以上あり、確度レベルMの検出フラグもたち、T1〜T5の期間内において、確度レベルMの検出フラグの数が規定値を超えた場合には、確度レベルHの検出フラグ、すなわち、確定フラグがたつ(演算期間T5参照)。なお、確度レベルL、M、Hは、それぞれ、確度が低い状態、中間の状態、高い状態を示す。確定フラグHがたった場合には、同一物標が重複範囲内に位置している旨が確定する。
演算期間T5において、物標の存在が「確定」した場合、その次の演算期間T6では、第2レーダ100bの演算結果を採用して、その演算期間毎に制御を行う。すなわち、制御周期は同図(a)よりも短縮されている。
換言すれば、重複範囲R2bにおいて物標の存在が確定した場合、指定手段は第1レーダ100aの演算結果を第1判定手段(R1の演算期間T6)に入力して第1判定手段で物標の存在判定を行わせ、第1判定手段が1回の物標存在判定を行う間に、第2判定手段が複数回の物標存在判定を行いつつ、第2判定手段(R2の演算期間T6内の各演算期間t1,t2,t3,t4,t5)の判定結果に基づいて制御対象の制御を行っている。
第1レーダ100aは長演算時間であるので、相対的には第2レーダ100bと比較して正確な演算を行うことができる。重複範囲R2bにおいて、物標の存在が確定している場合には、第2レーダ100bの演算結果を第2判定手段に入力し、相対的に高速に演算を行うが、第1判定手段が1回の物標存在判定を行う場合には(演算期間T6)、指定手段は、第1レーダ100aの演算結果を第1判定手段に入力して第1判定手段で物標の存在判定を行わせることで、より正確な判定結果を得ることができる。
すなわち、基本的には、重複範囲R2bで物標存在が確定した場合には、第2レーダ100b及び第2判定手段を用いて高速の物標存在判定を行いつつ、第1レーダ100aの演算も並行して行っており、第1レーダ100aの演算結果がでた場合には、第1レーダ及び第1判定手段によって物標存在判定を正確に行い、演算期間T6の終了時期に制御を行い、高速性と正確性を両立させる。
換言すれば、重複範囲R2bにおいて物標の存在が確定した場合(演算期間T5)、第1判定手段が1回の物標存在判定を行った場合には(演算期間T6)、この第1判定手段の判定結果に基づいて制御対象の制御を行っている。物標存在の判定結果としては、第1判定手段の結果と、第2判定手段の結果があるが、第1判定手段が1回の物標存在判定を行った場合には、こちらの結果を制御に使用することで相対的に正確な制御を行うことができるのである。
なお、従来から知られる2つの異なるレーダを用いた場合のセンサ−フュージョンの手法も採用することができる。また、レーダの演算結果を互いに補うこともできる。
図9は、車両走行中の近距離広角検出範囲R2内の物標認識処理を行うフローチャートである。
まず、重複範囲R2b内において、遠距離狭角検出範囲R1と同一の物標を検出しているかどうかについて判定する(S101)。すなわち、重複領域R2bにおいて存在が確定した物体に関して、双方のレーダによる相対速度と方位が一致(差が規定値以内)であれば、同一物体であると判断できる。判定結果が「Yes」である場合、ステップS102に進み、「No」である場合は、今回の処理を終了する。
ステップS102では、物体確定フラグ(H)がセットされているかどうかについて判断する。判定結果が「Yes」である場合、車両制御を行い(S103)、「No」である場合は、今回の処理を終了する。
図10は、車両走行中の遠距離狭角検出範囲R1内の物標認識処理を行うフローチャートである。まず、遠距離狭角検出範囲R1内において物標が検出されているかどうかについて判定する(S201)。判定結果が「Yes」である場合、ステップS202に進み、「No」である場合は、今回の処理を終了する。
ステップS202においては、連続して同一物標を検出し、かつ、規定回数以上検出したかどうかを判定する。判定結果が「Yes」である場合、物標確定フラグをセットし(S203)、「No」である場合は、今回の処理を終了する。物標確定フラグがセットされた場合には、演算結果から得られる物標関係物理量(方位、相対速度等)に基づき、車両制御を行う(S204)。
図11は、遠距離狭角検出範囲R1と近距離広角検出範囲R2における物標の「検出」と「確定」のタイミングを示すタイムチャートである。各演算期間で「検出」が行われているかどうかは、場合によって異なるため、同図では「判定中」で示す。第2判定手段の演算期間t1〜t5は、第1判定手段の各演算期間T1〜T7内において、複数存在する。遠距離狭角検出範囲R1における物標存在判定を行う第1判定手段において、物標の存在が確定した場合(演算期間T5)、この演算期間内において、近距離広角検出範囲R2では5つの演算期間が設定され、各演算期間内における物標(先行車両)S3の位置をb1〜b5で示す。また、物標の存在確定後の演算期間T6における先行車両S3の位置をc1〜c5で示す。
図12は、走行中の車両の状態を示す図である。同図では、自車両S1の前方には先行車両S3が存在し、先行車両S1は自車両に対して相対的に接近している状態が示されている。
重複範囲内R2bにおいて物標の存在が確定した場合(演算期間T5)、これ以降の第2レーダ100b(図1参照)の演算期間(位置b5,c1〜c5に対応)では、第2レーダ100bの各演算結果から得られる物標関係物理量(方位、相対速度)は、第1レーダ100a(図1参照)の演算期間T5で求められた物標関係物理量(方位、相対速度)に基づいて補正される。すなわち、本例では、第1レーダ100aの物標関係物理量は、位置b4において更新されており、この第1レーダ100aで求められている物標関係物理量に基づいて、位置b5以降において第2レーダ100bで求められた物標関係物理量は補正される。
例えば、位置b4における第2レーダ100aの物標関係物理量が、このときの第1レーダ100aの物標関係物理量に一致する補正量を演算し、この補正量で位置b5以降において第2レーダで求められた物標関係物理量、演算結果を補正することとする。
例えば、物標関係物理量が物標の方位である場合、位置b4に対応する時間において、第1レーダ100aで求められる方位が10.5度であり、第2レーダ100bで求められる方位が10度である場合には、+5%のずれが補正量となり、位置b5では、第2レーダ100bで求められた方位に5%を乗ずればよい。
なお、補正量のとり方については、各物標関係物理量の差分をとったり、これまでの差分の変化率からの推定値を用いたりすることもできる。また、物標関係物理量としては、物標の方位(車両前方方向距離、車両横方向距離)、相対速度であるが、この情報の更新タイミングを考慮して補正を行うもできる。なお、上述の例では、位置b4において第1レーダ100aの物標関係物理量が更新され、次の演算期間も同じタイミングで物標関係物理量が更新されることとしている。
補正を行うためには、位置b4における、第2レーダ100bで求められた物標関係物理量が、第1レーダ100aで求められた物標関係物理量に一致していることとなるように、第2レーダ100bの受信用アンテナ素子からの信号の位相を移相すればよい。上記の例では、補正量を比率として求めて、これを後の演算期間(b5以降)の物標関係物理量に乗じることとし、これに対応する分だけ信号を移相させている。
図13は、上述の補正を用い、車両走行中の近距離広角検出範囲R2内の物標認識処理を行うフローチャートである。
ステップS101〜S103は、図9に示したものと同一であるため、説明を省略する。本例では、ステップS102とステップS103との間に、補正用のステップS301、S302を有する。
すなわち、物標確定フラグがセットされている場合(S102)、遠距離狭角検出範囲R1における物標関係物理量(距離、相対速度)と、近距離広角検出範囲R2における物標関係物理量(距離、相対速度)との差が、規定値以上であるかを判定する(S301)。判定結果が「No」である場合には、現在の第2レーダ100bの物標関係物理量を信頼して車両制御を行う(S103)。また、判定結果が「Yes」である場合は、近距離広角検出範囲R2における物標関係物理量を補正し(S302)、補正された物標関係物理量を用いて車両制御を行う(S103)。なお、補正の方法は上述の通りである。
以上の通り、この物標検出装置では、重複範囲R2bにおいて物標の存在が確定した場合、第1判定手段が1回の物標存在判定を行った場合には、第2レーダ100bの演算結果から得られる物標関係物理量(相対速度や方位など)を、第1レーダ100aの演算結果から得られる物標関係物理量で補正する補正手段を備えている。
すなわち、重複範囲R2bでは同じ物標を第1レーダ100a及び第2レーダ100bで検出しているが、第2レーダ100bの演算結果から得られる物標関係物理量を、補正手段によって、より正確な物標関係物理量に基づいて補正することで、第2レーダ側で得られる物標関係物理量の正確性を向上させることができる。
図14は、遠距離狭角検出範囲R1と近距離広角検出範囲R2における物標の「検出」と「確定」のタイミングを示すタイムチャートである。各演算期間で「検出」や「確定」が行われているかどうかは、場合によって異なるため、同図では「判定中」で示す。
図15は、走行中の車両の状態を示す図である。
先行車両S3は、自車両S1に対して相対的に近接する方向に移動している。時間の経過に伴って、自車両S1に対する先行車両S3の相対位置はb1,b2,b3,b4,b5,Cとなる。第1レーダ100aの演算には時間がかかるため、第1レーダ100aの演算が終了してから物標を確認しようとすると、物標は時々刻々と移動しているので、文字通り、第1レーダ100aによる物標存在判定結果は、判定中のままであることが考えられる。
そこで、演算に時間のかかる第1レーダ100aの第1検出範囲R1を制限することで、演算結果を算出する時間を短縮し、物標存在の「確定」が行われた場合には、第2レーダ100bの演算結果の信頼性が向上するので、この演算結果を利用して制御を行うこともできるようになる。なお、第2レーダ100bの演算時間は、例えば、第1レーダ100aの演算時間の1/4である。
第1検出範囲R1の制限においては、第2検出範囲R2において得られた物標関係物理量を用いる。すなわち、第2レーダ100bの物標関係物理量(方位、距離)に物標が存在するものと考えられるので、存在すると思われる物標を含む領域に第1検出範囲R1を縮小する。この際、さらに舵角情報を用いることもできる。例えば、DBF−FM−CW方式レーダにおいては、DFTスキャン又はDFT演算範囲を設定する。この範囲内における距離パワースペクトル(FFT演算結果)に閾値以上のピークが存在する場合、各チャネルの距離パワースペクトルから方位に依存したパワースペクトルを求めることもできる。
この物標検出装置では、重複範囲R2bにおける第2レーダの演算結果から得られる物標関係物理量に基づいて、重複範囲R2bにおける第1レーダの第1検出範囲を制限する。第2レーダ100bから物標関係物理量が得られた場合、物標の検出に必要な第1レーダ100aの第1検出範囲R1を絞り込むことができるため、第1検出範囲R1を制限することで、演算時間を短縮し、高速な演算を行うことができる。
次に、物標の存在を確定する手順について詳細に説明する。
図16は、遠距離狭角検出範囲R1と近距離広角検出範囲R2における物標の「検出」と「確定」のタイミングを示すタイムチャートである。
遠距離狭角検出範囲R1の最初の演算期間T1において物標の存在判定演算の結果が「検出」を示すものであり(高精度検出フラグ=1)、演算期間T1の間に近距離広角検出範囲R2において5回の物標の存在判定演算(t1〜t5)が行われた場合、センサーフュージョンにより物標の存在を判定する。
すなわち、センサーフュージョンでは、第1及び第2のレーダで少なくとも1回の物標が「検出(確度レベルL)」され、且つ、例えば、第2のレーダで1つの演算期間T1内に所定回数(例えば3回)以上の「高速検出フラグ」がたった場合に、この演算期間T1内で物標が「検出(確度レベルM)」されたものと判定され、この条件を満たさない場合には、物標は「未検出」であるものと判定される。
本例では、演算期間T1において、第1のレーダにおいて物標の存在が「検出(確度レベルLを満たしている)」されているので、演算期間T1の全体としては、物標は「検出」であると判定する。演算期間T1の結果、物標は存在しているものとし(検出)、高精度検出フラグを1とする。
続いて、遠距離狭角検出範囲R1の次の演算期間T2において物標が未検出であり(高精度検出フラグ=0)、演算期間T2の間に近距離広角検出範囲R2において5回の物標検出が行われると(高速検出フラグ=1×5)、センサーフュージョンにより物標の存在を判定する。
この場合、上記条件を満たさないため、「未検出」が確定し、高精度検出フラグを0とする。
センサーフュージョンによる判定結果が「検出:確度レベルM」を示す場合、遠距離狭角検出範囲R1の物標存在判定結果(高精度検出フラグ=1)が所定回数(例えば4回)行われた場合には、物標の存在の仮確定状態(確度レベルM)が本確定状態(確度レベルH)となり、この検出結果に基づいて車両制御を行う。車両制御としては、上述のように、車間距離制御、自動ブレーキ制御、PBA(プリクラッシュ・ブレーキアシスト)、PSB(プリクラッシュ・シートベルト)システムの制御が挙げられる。
すなわち、1回の演算期間(例えば、T1)内における「高精度検出フラグ」=1の状態は、センサーフュージョンによって「仮確定:確度レベルM」することができ、この状態が幾つか重なると、物標の存在が「本確定:確度レベルH」するのである。
物標の存在が「本確定:確度レベルH」した場合、近距離広角検出領域R2の検出結果の信頼性も高くなるため、その後の演算期間T6以降では、第2のレーダによる近距離広角検出範囲R2の演算期間毎に、このときの物標の存在の有無、物標までの距離、相対速度、方位を演算部100c(図1参照)は出力し、この出力に基づいて車両制御を行う。
なお、演算期間T6以降では、それぞれの期間(T6,T7・・・)内の最後の微少期間内で、正確な値を出力する第1のレーダの出力に基づいて、演算部100cは、物体存在の有無、相対速度、方位を出力し、この出力に基づいて、車両制御を行う。
図17は、遠距離狭角検出範囲R1と近距離広角検出範囲R2における物標検出と確定のタイミングを示すタイムチャートである。
本例では、演算期間T1における物標の存在の「検出」(高精度検出フラグ=1)の後、演算期間T2、T3、T4毎に、「未検出」(高精度検出フラグ=0)、「検出」(高精度検出フラグ=1:確度レベルM)、「未検出」(高精度検出フラグ=0)が連続し、続いて「検出」(高精度検出フラグ=1:確度レベルM)が行われることで、物標の存在が本「確定:確度レベルH」する。
すなわち、演算期間T1における「検出」の後の4回の演算期間T2,T3,T4,T5のうち、2回の演算期間内で「検出」が含まれるかどうかを判定し、演算期間T5における「高精度検出フラグ=1」の後、「本確定フラグ=1」とする。演算期間T6以降は、上述の場合と制御と同じである。
図18は、遠距離狭角検出範囲R1と近距離広角検出範囲R2における物標検出と確定のタイミングを示すタイムチャートである。
本例では、演算期間T1における物標の存在の「検出」(高精度検出フラグ=1:確度レベルM)の後、演算期間T2、T3、T4毎に、「未検出」(高精度検出フラグ=0)、「未検出」(高精度検出フラグ=0)、「検出」(高精度検出フラグ=1:確度レベルM)が連続し、続いて「検出」が行われるが、「未検出」の2連続があるため、物標の存在が確定せず、演算期間T6以降も「検出」が続く。
図19は、遠距離狭角検出範囲R1と近距離広角検出範囲R2における物標検出と確定のタイミングを示すタイムチャートである。
本例では、遠距離狭角検出範囲R1で物標の存在の「検出」(高精度検出フラグ=1)の後、演算期間T2,T3、T4毎に「検出:確度レベルM」、「検出:確度レベルM」、「検出:確度レベルM」が連続し、続いて演算期間T5において「未検出」が行われるが、演算期間T5では、「未検出」であるため、「検出:確度レベルM」の数は条件を満たしているが、演算期間T5の時点では「本確定フラグ=0」である。
本例では、連続する4回の演算期間T2、T3、T4、T5内において、3回の「検出:確度レベルM」を含むため、センサーフュージョンによって演算期間T5に対応する第2のレーダで「検出:確度レベルL」が規定回数以上出力されている場合には、演算期間T6において、第1のレーダで「検出:確度レベルM」が行われた場合、これを「確定フラグ=1:確度レベルH」にする。
図20は、補間処理を含む物標認識処理R1を示すフローチャートである。
まず、遠距離狭角検出範囲R1(検出範囲が制限されている場合を含む)内で物標の存在が検出されたかどうか(確度レベルH)を判定する(S501)。ステップS501において、物標の存在が検出された場合(確度レベルH)、次に、遠距離狭角検出範囲R1と近距離広角検出範囲R2との間の重複検出範囲R1b(R2b)において、物標の存在が検出されたかどうか(確度レベルH)を判定する(S502)。なお、重複検出範囲ではセンサーフュージョンが可能である。
重複検出範囲に物標が存在しない場合(No)、存在しないデータの補間処理を行うこともできる。本実施形態では、補間処理は前回までの検出結果の相対速度から今回の物標の位置を予測し、これを検出結果とすることで行っている。なお、本発明における補間処理の方法は、これに限定されるものではなく、前回までの検出結果から、例えば、線形予測などの公知の手法を用いて今回の検出結果を予測してもよいし、より簡便な方法として前回の結果を今回の検出結果としてもよい。
ステップS502においてYesである場合、すなわち、物標が重複検出範囲内に存在し、センサーフュージョンが可能である場合、ステップS503において補間フラグをリセットし(補間フラグ=0)、次のステップS504へと進む。
ステップS504では、連続した幾つかの検出サイクル(例えば、演算期間T1×5)内において、(条件(1))同一物標が存在する旨の「高精度検出フラグ=1:確度レベルM」が規定回数以上カウントされ(確定フラグ=1:確度レベルH)、且つ、(条件(2))補間フラグがセットされてないかどうか(補間フラグ=0)について判定する。
すなわち、補間処理のないセンサーフュージョン状態で、規定数以上の「検出フラグ:確度レベルM」が含まれる場合には、物標の存在の「確定フラグ:確度レベルH」をセットし(S505)、上述のように車両制御を実行する(S506)。
ステップS501において「No」である場合、すなわち、遠距離狭角検出範囲R1(重点的検出範囲Rx)内で物標の存在が検出されない場合、近距離広角検出範囲R2内だけで物標が存在する旨の「R2単体物標確定フラグ」がセット(=1)されているかどうか(S611参照)について判定する(S507)。なお、近距離広角検出範囲内単体での物標存在の確定フラグは、検出サイクル内における「高速検出フラグ=1」のカウント数が規定値を超えた場合にセットされる。
ステップS507において「Yes」である場合、物標が同一物標であるかどうかを判定する。すなわち、ステップS508では、近距離広角検出範囲R2内の物標の距離・相対速度と、前回の遠距離狭角検出範囲R1の物標の距離・相対速度のそれぞれの差が、双方とも規定値以内であるかどうかについて判定する。
すなわち、各レーダ出力間の検出誤差が一定の範囲内にあるかどうかについて判定する。検出誤差が一定の範囲内にある場合、すなわち、ステップS508において「Yes」である場合、同一物標であると判定できるので、次に、ステップS509に進み、「No」である場合には終了する。
ステップS509では、連続検出規定回数がゼロではないかどうかについて判定する。すなわち、高速度検出フラグを1回セットすると連続検出規定回数が1つ加算される。換言すれば、少なくとも1回の高速度検出フラグが現時点でセットされているかどうかについて判定し、この物標に物標確定フラグをセットする。
連続検出規定回数がゼロである場合(ステップS509において「No」)、現時点での物標の存在の確度は低下し、そうでない場合には、物標存在が確定する。ステップS507において近距離広角検出範囲R2単体の物標確定フラグがセットされており、同一物標であって(S508)、現時点で物標が検出されている場合(S509)、現在の近距離広角検出範囲R2のデータ(物標関係物理量)の補間処理を行う。
すなわち、距離狭角検出範囲R1では物標を検出していないにもかかわらず(S501)、近距離広角検出範囲R2では、近距離広角検出範囲単体の物体確定フラグがセットされていた場合(S507)、遠距離狭角検出範囲R1の前回値(距離・速度、或いは物標情報)と、近距離広角単体物標確定フラグかセットされた今回値(距離・速度、或いは物標情報)とを比較し、この誤差が規定値以内である場合には、これらが同一物標であると判断し、同一物標であると判断した場合は、前回が補間処理であるかを判定し(S510)、前回が補間処理でない場合には、補間処理を行う。また、初期補間処理も行う。
なお、初期補間処理とは、物体の確定前において遠距離狭角検出範囲R1で物標を検出した状態から検出していない状態となったとき、遠距離狭角検出範囲R1が物標を検出していない状態より以前において近距離広角検出範囲R2の演算周期よりも高速な周期で検出できるため、近距離広角検出範囲R2で複数回連続していて、たまたま遠距離狭角検出範囲R1が検出するタイミングで物体を見失った状態となったときには、高速に連続して検出できていた結果を採用して、遠距離狭角検出範囲R1のデータを物標検出状態となるよう補間することで、確定までに掛かる処理時間を短縮することができる。なお、この補間処理による検出状態は、連続検出規定回数に加算されないことが好ましい。例えば、確定前に3回連続検出して、たまたま4回目に何かの陰になって検出ができない状態となったときに連続検出回数が0にリセットされるのを防止し、3回連続検出状態を維持することができ、確定までに掛かる処理時間が短縮される。なお、連続した補間処理は行わない。
ステップS510において「Yes」の場合、前回の演算期間において補間処理が行われていないかどうかについて判定するが(S510)、前回、補間処理が行われている場合には、連続検出規定回数のカウントをリセットする(S513)。また、前回、補間処理が行われていない場合には、補間処理を行い、補間フラグをセットする(S511)。また、初期補間処理も行う。但し、連続した補間処理は行わない。
ここで補間処理をしている場合には、物標が近距離広角検出範囲R2から遠距離狭角検出範囲R1との重複検出範囲に移動した場合(S501,S502)、補間フラグがたっているため、ステップS504の条件(2)を満たすことができず、ステップS506の確定フラグはセットされないことになる(S506)。
図21は、車両走行中の近距離広角検出範囲R2における物標認識処理を行うフローチャートである。
まず、ステップS604では、遠距離狭角検出範囲R1と近距離広角検出範囲R2の重複検出範囲R2b内において、第1のレーダと第2のレーダそれぞれで、同一の物標を検出したかどうかについて判定する。ステップS604において、同一の物標を検出したと判定される場合には、物標存在の確定フラグ(確度レベルH)がセットされているかどうかについて判定する(S605)。確定フラグがセットされている場合には、ステップS606を実行し、セットされていない場合には処理を終了する。
ステップS606においては、第1のレーダから求められる距離・相対速度と第2のレーダから求められる距離・相対速度とのそれぞれの差が、規定値以上であるかどうかについて判定する。規定値以上である場合には、第2のレーダ(低精度)から求められら距離及び相対速度を補正する(S607)。補正の方法は上述の通りである。
ステップS606又はS607を経ることで、レーダ出力間の差分が規定値以内となった距離及び相対速度を用いて、車両制御を行う(S608)。
ステップS604において、「No」と判定される場合には、重複検出範囲R2bにおいて、第2のレーダのみで物標が検出されているかどうかについて判定する(S609)。判定結果が「No」である場合には処理を終了し、「Yes」である場合には、続いてステップS610を実行する。ステップS610では、第2のレーダで、連続して同一物標を検出しているかどうかについて判定する(S610)。
第2のレーダのみで、同一物標を連続して検出している場合には(S610で「Yes」)、近距離広角検出領域R2単体で物標を検出している旨の近距離広角検出領域R2の単体物標確定フラグをセットし(S611)、処理を終了する。第2のレーダのみで、同一物標を連続して検出していない場合には(S610でNo)、そのまま処理を終了する。このR2単体物標確定フラグは、図20のステップS507の判定に利用される。
上述のように、物標が存在するかどうかを確定するためには、すなわち、確定フラグをセットするためには、数度の検出を必要とする。すなわち、幾つかの検出サイクル内において、高精度検出フラグが規定値以上の回数だけセットされた場合には、確定フラグがセットされる。
以上のように、この物標検出装置は、第1及び第2検出範囲の重複範囲R2bにおいて第1及び2レーダの演算結果から得られる物標関係物理量の差が規定値以上の場合には、第2レーダの演算結果から得られる物標関係物理量を第1レーダの演算結果から得られる物標関係物理量で補正する補正手段を備えている。
この物標検出装置によれば、重複範囲では同じ物標を第1及び第2レーダで検出しているが、物標関係物理量の差が規定値以上の場合には、補正手段によって、第2レーダの演算結果から得られる物標関係物理量を、より正確な第1レーダからの物標関係物理量に基づいて補正することで、第2レーダ側で得られる物標関係物理量の正確性を向上させることができる。
ここで、第1レーダ100aの出力は温度等の外的要因による誤差が修正されているものとする。第1及び第2レーダで同一物標を検出した場合に、第1レーダ100aの物標関係物理量で第2レーダ100bの物標関係物理量を補正すればよいが、外的要因の誤差によって同一物標であるかどうかについて判断を迷う場合がある。以下、これを解決する手法について説明する。
図22は、走行中の車両の状態を示す図である。第1レーダ100a(図1参照)は、物標の位置(物標関係物理量:方位、距離)を正確に検出しているものとする。すなわち、第1レーダ100aの演算結果(距離パワースペクトル)のピーク位置に物標が存在し、各チャネルの距離パワースペクトルの温度特性データは記憶装置内に格納されており、格納された温度特性データで距離パワースペクトルが修正(補正)されている。例えば、基準温度からの温度差によって方位が規定量ずれる場合には、温度センサの出力から温度差を算出し、ずれ量分だけ演算結果を修正する。
第1レーダ100aから得られる物標の位置をP1とする。第2レーダ100bで検出された物標が、これと同一物標であるならば、位置P1を含む「同一物標認識範囲」RS内に位置するはずである。
しかしながら、第2レーダ100bから得られる物標の位置P2は、同一物標認識範囲RSの外側に位置することがある。これは温度等の影響によって、第2レーダ100bで検出された物標の位置がずれたためである。ここでは、方位がずれたものとする。方位がずれるというのは、受信用アンテナ素子から得られる信号の位相差がずれているためであり、温度等の影響によってズレ得る方位内の位置の範囲を位相差ズレ考慮同一物標認識範囲RS’とする。この位相差ズレ考慮同一物標認識範囲RS’に、第2レーダ100bで検出された物標の位置がある場合には、これは異なる物標であると判定することができる。本例では、位相差ズレ考慮同一物標認識範囲RS’は、予めROMに格納された近距離広角モノパルス方式レーダのバラツキ範囲である。
第2レーダ100bで検出された物標の位置P2が、同一物標認識範囲RSの外側であって、且つ、位相差ズレ考慮同一物標認識範囲RS’内である場合には、それぞれのレーダで検出された物標の相対速度の差が規定値以内である場合に限り、そして、ノイズ源となるような物標が他に存在しないと判定できる場合に限り、これらを同一物標であると判定し、第2レーダ100bから得られる位置(物標関係物理量)P2を、第1レーダ100aから得られる位置P1に一致させるように補正する。
図23は、上記制御を行うためのフローチャートである。
まず、ステップS701では、条件(A)、条件(B)、条件(C)が全て成立しているかどうかについて判定する。
(条件(A)) 重複領域R2bにおいて、双方のレーダから求められる物標までの距離(位置)・方位の差が規定値以上であるため、位置P2が同一物標認識範囲の外側に位置する。
(条件(B)) 第2レーダ100bから求められた位置P2が、位相差ズレ考慮同一物標認識範囲RS’の内側に位置する。
(条件(C)) 双方のレーダから求められる物標との相対速度の差が規定値以内である。
ステップS701において、「Yes」である場合、位置P1又はP2から所定距離以内にノイズの原因となる路側物や並走車両がないかどうかについて判定する(S702)。これは、例えば、必要に応じて設定される所望の検出範囲内における距離パワースペクトルのレベル上昇の有無によって判定することができ、レベル上昇がある場合にはノイズの原因となる物が存在すると判定することができる。
ノイズの原因となる物がない場合には、上述の条件(B)、(C)が、規定回数以上連続して成立しているかどうかについて判定する(S703)。成立する場合には、近距離広角検出範囲R2における第2レーダ100bによる物標位置P2、すなわち、受信信号間の位相差を補正する。補正の手法は上述の通りである。
なお、ステップS701〜S703において、判定条件が成立しない場合には、いずれも処理を終了する。
以上、説明したように、この物標検出装置では、第1レーダ100aの演算結果から得られる物標関係物理量(相対速度、相対距離、相対位置)は所定物理量に起因する誤差が既に修正されているものである。所定物理量とは温度などの電子機器に影響を与える物理量のことである。第1レーダ100aは所定物理量による誤差が補正された演算結果を出力するので、これに基づいて第2レーダ100bの演算結果、物標関係物理量を補正すれば、すなわち、重複範囲R2bにおける第1レーダ100aの物標関係物理量に第2レーダの物標関係物理量をあわせれば、第2レーダ100bの物標関係物理量を正確にすることができる。
また、この補正手段は、第1又は第2レーダで検出された物標の周囲に他の物標が存在しない場合に補正を行う(S702)。物標の周囲に他の物標が存在すると、すなわち、路側物や障害物或いは車両が存在すると、演算結果にこれらの物標に基づくノイズが含まれることとなる。したがって、これらの物標が存在する場合は、補正の時期としては好適であるとは限らないため、補正手段は、かかる時期ではない場合に補正を行い、より正確な補正を行うこととした。
なお、以上の好適な物標検出装置では、第2レーダ100bは複数の受信用アンテナ素子を備えたミリ波レーダ(モノパルス方式レーダ含む)であり、上記の物標関係物理量は、物標との間の距離及び物標に向かう方位であり、補正手段は、複数の受信用アンテナ素子から出力される信号の位相を、第1レーダの演算結果から得られる物標関係物理量に第2レーダの演算結果から得られる物標関係物理量が一致するまで移相させることで、補正を行っている。
補正手段が受信用アンテナ素子から出力される信号間の位相調整を行うと、レーダの指向性が変化する。すなわち、信号が同位相であれば信号強度は高くなるが、特定の方位に存在する物標からの信号強度を高くするためには、この物標からの反射波の信号強度が高くなるように信号間位相を調整すればよい。第2レーダ100bから得られる物標関係物理量、この場合は方位であるが、これが温度等の影響により正確な値からずれている場合がある。この場合には、より正確な値を提供する第1レーダの物標関係物理量に、第2レーダの物標関係物理量が一致するまで、信号の位相を移相させることで、正確な補正を行うことができる。
更に、レーダの組合せは、本発明の効果を得ることができる範囲であれば、組合せが異なるレーダ群からなることとしてもよい。
すなわち、第1検出範囲R1の検出には、相対的に高精度の超分解アルゴリズムのレーダを用い、第2検出範囲R2の検出には、相対的に低精度のDBF−FM−CW方式のレーダを用いた場合においても、本発明の効果を得ることができる。超分解アルゴリズムのレーダとしては、MUSIC法、ESPRIT法、MODE法などを用いたレーダが知られている。
例えば、第1検出範囲R1にMUSIC法のレーダを、第2検出範囲R2にDBF−FM−CW方式のレーダを適用したり、或いは、第1検出範囲R1にESPRIT法のレーダを、第2検出範囲R2にモノパルス方式レーダを適用したりすることができる。
なお、上述の物標検出装置では、第1レーダ100aと第2レーダ100bの検出範囲の重複範囲R2bにおいて、第1判定手段と第2判定手段(図8(b)の判定)との判定結果から物体の存在を確定している。重複範囲R2bにおいて、双方のレーダの判定結果(センサフュージョン)によって確定した物標は、検出結果の精度、信頼度が高いため、物標の確定後は(図8(b)の演算期間T5以降)、第2レーダ100bでの物標判定を行う第2判定手段によって物標の存在判定を行っても(演算期間t1、t2・・・t5)、精度を高く保つことができる。この場合の各レーダの物標存在検出精度は、いずれのレーダが高くても構わないが、第1レーダ100aは補正の基準として機能するため、この補正基準レーダが相対的に検出精度が高い方が好ましい。
例えば、各レーダの検出範囲が、近距離広角検出範囲と遠距離狭角検出範囲の組合せである場合などのように、相対的に車両から近距離の前方範囲を検出する検出方式をよりも、相対的に車両から遠距離の検出範囲を、高精度な方式のレーダで検出することが好ましい。
さらに、好ましい態様によれば、重複領域、すなわち、高精度な検出方法によって存在が検出された物標は、側方のセンサは高精度なセンサより比較すれば、ノイズに弱いので、検出のための条件を緩めることで、確定された物標を見失わないで、検出し続けることができる。また、高精度に検出した物標の場合のみ閾値を下げることもでき、この場合には、ノイズがある場合であっても、検出結果の信頼性を下げずに検出を続けることができる。
さらに、上述の検出範囲は2つであるが、これらは重複範囲を有するものであれば、3以上であってもよいし、検出範囲の限界距離が同じであるもの異なるもの、検出可能な開き角が同一或いは異種であるもの等、種々の組合せを用いることができる。