この発明の実施の形態について説明する。図1〜図4は、実施の形態としてのスピーカ装置100Aの構成を示している。図1はスピーカ装置100Aの斜視図、図2はスピーカ装置100Aの縦断面図、図3はスピーカ装置100Aの上面図、図4はスピーカ装置100Aの底面図である。
このスピーカ装置100Aは、ベース筐体101と、パイプ102と、アクチュエータとしての磁歪アクチュエータ103と、変位出力伝達部材134と、発音体としての動電型アクチュエータを用いたスピーカユニット104と、を有している。パイプ102は、音響振動板としての筒型振動板を構成している。磁歪アクチュエータ103の駆動ロッド103aは、この磁歪アクチュエータ103を駆動する音声信号に対応した変位出力が得る変位出力部を構成している。
ベース筐体101は、例えば合成樹脂で形成されている。このベース筐体101は、全体として円板状に形成されているが、その中央部に円柱状に貫通した開口部105が設けられている。このベース筐体101の下面外周側に沿って所定本、この実施の形態では3本の脚部106が等角間隔で植立されている。
脚部106を3本とするとき、これら3本の脚部106は設置面に必ず接するため、例えば4本の脚部を設ける場合に比べて、安定した設置が可能となる。また、ベース筐体101の下面に脚部106を設けることで、ベース筐体101の下面を設置面から離間させることができ、このベース筐体101の下面側に取り付けられるスピーカユニット104からの音波が外部に放射することを可能としている。
パイプ102は、所定材料、例えば透明なアクリルで形成されている。このパイプ102はベース筐体101に固定されている。すなわち、このパイプ102の下端部が、複数箇所、この実施の形態では4箇所で、金属製のL字アングル107を用いて、ベース筐体101の上面に固定されている。パイプ102のサイズは、一例として、例えば、長さが1000mm、直径が100mm、厚さが2mmである。
この場合、L字アングル107の一端および他端には、図示していないが、ネジ止め用の丸孔が形成されている。このL字アングル107の一端はビス109を用いてベース筐体101の上面にネジ止めされる。ベース筐体101には、ビス109のネジ部と螺合するネジ穴(図示せず)が形成されている。この場合、L字アングル107の一端とベース筐体101の上面との間には、リング状のゴム材等で構成されるダンピング材108が介在される。
また、L字アングル107の他端は、ビス110およびナット111を用いて、パイプ102の下端部にネジ止めされる。パイプ102の下端部には、ビス110のネジ部を通すための丸穴(図示せず)が形成されている。このL字アングル107の他端とパイプ102の外面との間、およびナット111とパイプ102の内面との間には、それぞれ、リング状のゴム材等で構成されるダンピング材112,113が介在される。
このように、ダンピング材108,112,113を介在させることで、磁歪アクチュエータ103による振動(弾性波)がパイプ102およびL字アングル107を通じてベース筐体101に伝播することを阻止でき、ベース筐体101側への音像定位が防止される。
複数個、本実施の形態では4個の磁歪アクチュエータ103がベース筐体101に、配置されている。4個の磁歪アクチュエータ103は、パイプ102の下端部側の円形端面に沿って等間隔に配置されている。ベース筐体101には、貫通した収納穴114が設けられている。磁歪アクチュエータ103は、収納穴114に収納されている。上述したように、磁歪アクチュエータ103の駆動ロッド103aには音声信号に対応した変位出力が得られる。磁歪アクチュエータ103は、駆動ロッド103の変位方向がパイプ102の面方向(パイプ102の管面に平行な方向)となるように、配置されている。
図5は、磁歪アクチュエータ103の構成例を示している。磁歪アクチュエータ103は、伸長方向に変位を生ずる棒状の磁歪素子151、この磁歪素子151に制御磁界を印加するために、この磁歪素子151の周囲に配置された磁界発生部としてのソレノイドコイル152、磁歪素子151の一端に連結されて磁歪アクチュエータ103の変位出力が得られる可動部材たる駆動ロッド103a、および磁歪素子151とソレノイドコイル152を収納する収納部154によって構成されている。
収納部154は、固定盤161、永久磁石162および筒状ケース163で構成されている。固定盤161には、磁歪素子151の他端が連結されており、この固定盤161によって磁歪素子151が支持されている。磁歪素子151に静的バイアス磁界を印加する永久磁石162と磁気回路構成部材である筒状ケース163は、収納される磁歪素子151の周囲に配されている。筒状ケース163は、永久磁石162の駆動ロッド103a側と固定盤161側に取り付けられており、強磁性体を用いて構成することで、効率よく磁歪素子151に静的バイアス磁界を印加できる。また、固定盤161も強磁性体を用いて構成することで、さらに効率よく磁歪素子151に静的バイアス磁界を印加できる。
駆動ロッド103aと収納部154との間には間隙155が設けられ、駆動ロッド103aは永久磁石162によって吸引されるように強磁性体を用いて形成される。これにより、駆動ロッド103aと収納部154との間で磁気的な吸引力を発生させ、この磁気的な吸引力により駆動ロッド103aに取り付けられた磁歪素子151に予荷重が加えられる。
図6は、図5に示す磁歪アクチュエータ103における磁束線図を示している。永久磁石162から生じた磁束線は、筒状ケース163を通過したのち、間隙155、駆動ロッド103a、固定盤161を介して永久磁石162へ向かうことになる。このため、駆動ロッド103aと収納部154との間で磁気的な吸引力が生じ、この磁気的な吸引力により磁歪素子151に予荷重が加えられる。また、磁束線の一部は、筒状ケース163を通過したのち、間隙155、駆動ロッド103a、磁歪素子151、固定盤161を介して永久磁石162へ向かうことになる。このため、磁歪素子151に静的バイアス磁界を印加できる。
図5に示す磁歪アクチュエータ103では、駆動ロッド103aが軸受によって支持されていないことから、駆動ロッド103aと軸受との摩擦の問題がないため、変位出力の損失を大幅に低減できる。
また、この磁歪アクチュエータ103では、磁気的吸引力によって磁歪素子151に予荷重を加えるものであることから、磁歪素子151の変位の周期が短くても予荷重を安定して加え続けることができ、ソレノイドコイル152に供給される制御電流に応じた変位出力を正しく得ることができる。
そのため、この磁歪アクチュエータ103では、ソレノイドコイル152に流れる制御電流と駆動ロッド103aの変位との関係がリニアな関係に近づくことから、この磁歪アクチュエータ103の特性により発生する歪みが軽減され、従ってフィードバック補正の負担を軽減できる。
また、この磁歪アクチュエータ103では、永久磁石162は、2つの筒状ケース163の間に介在されることから、磁歪素子151に印加される静的バイアス磁界を、固定盤161の位置に永久磁石を設ける場合に比べて均一にできる。さらに、駆動ロッド103aを支持する軸受や、駆動ロッド103aと収納部154を接続するための連結部材、磁歪素子151に予荷重を加えるためのばね等を設ける必要がなく、小型化が容易であるとともに安価に構成できる。
図1〜図4に戻って、磁歪アクチュエータ103の駆動ロッド103aとパイプ102との間に、変位出力伝達部材134が介在される。この変位出力伝達部材134は、磁歪アクチュエータ103の駆動ロッド103aを、パイプ102の管面上の所定点である加振点に接続する。この場合、磁歪アクチュエータ103の変位出力は変位出力伝達部材134を介してパイプ102の加振点に伝達されるので、パイプ102を、磁歪アクチュエータ103の変位出力に対応して、加振点から面方向に加振できるようになる。
図7は、磁歪アクチュエータ103の駆動ロッド103aとパイプ102との、変位出力伝達部材134による接続構造を示している。変位出力伝達部材134は、コ字状部材134aと、棒状部材としてのビス134bとを有している。コ字状部材134aは、アクチュエータ103の駆動ロッド103aに接続されている。この場合、コ字状部材134aの閉塞端側が、駆動ロッド103aの先端に、接着、あるいは螺合等の方法で接続される。螺合の場合には、例えば、コ字状部材134aの閉塞端側に雌ねじが切られたねじ穴が設けられていると共に、駆動ロッド103aの先端には、ねじ穴の雌ねじに対応した雄ねじが切られている。
コ字状部材134aとパイプ102の加振点Pとの接続は、ビス134bを用いて、行われる。すなわち、コ字状部材134aの内部にパイプ102の管面の端部が挿入された状態とし、コ字状部材134aおよびパイプ102の管面を貫通するように、ビス134bでねじ止めする。この場合、コ字状部材134aにはビス134bの雄ねじが螺合する雌ねじが切られたねじ穴が設けられ、また、パイプ102の管面上の加振点Pに対応した位置に、ビス134bを通すための貫通穴が設けられている。
なお、上述したように、磁歪アクチュエータ103はベース筐体101に設けられている貫通した収納穴114に収納されている。磁歪アクチュエータ103の駆動ロッド103aが存在する側とは反対側である裏面側は、ベース筐体101の下面側に、若干突出するようにされ、ベース筐体101の下面側にビス117によりねじ止めされた板ばね118により押圧された状態とされている。
このように、板ばね118により磁歪アクチュエータ103の裏面側が押圧されることで、当該磁歪アクチュエータ103はパイプ102の面方向に常に付勢された状態となる。この場合、パイプ102の、変位出力伝達部材134を構成するビス134bとの接触部が長期間の使用で削れ、当該接触部にガタツキが発生する際に、ビス134bをパイプ102に押しつけることができ、当該パイプ102を面方向に良好に加振することが可能となる。
ベース筐体101の下面に取り付けられた板ばね118は、磁歪アクチュエータ103をパイプ102の面方向に常に付勢する付勢構造を構成している。なお、付勢構造は、上述した板ばね118を用いた構造に限定されるものではなく、磁歪アクチュエータ103をパイプ102の面方向に常に付勢する構造であればよい。例えば、貫通した収納穴114の代わりに底面がある収納穴とし、この収納穴の底面とこの収納穴に収納される磁歪アクチュエータ103の裏面側との間に圧縮コイルバネを配する構造等も考えられる。
上述のパイプ102および磁歪アクチュエータ103は、可聴周波数帯域の高域側を受け持つスピーカを構成し、ツィータとして機能する。これに対して、スピーカユニット104は、可聴周波数帯域の低域側を受け持つスピーカを構成し、ウーハとして機能する。
スピーカユニット104は、ベース筐体101の下面側の開口部105に対応した位置に、下方に前面を向けた状態で、例えばビス(図示せず)を用いて取り付けられている。この場合、スピーカユニット104の中心軸の方向は、パイプ102の軸方向と一致する方向となっている。このスピーカユニット104の前面から出力される正相の音波は、ベース筐体101の下面側から外部に放射される。また、このスピーカユニット104の背面から出力される逆相の音波は、開口部105およびパイプ102を通って、パイプ102の上端部側から外部に放射される。この場合、パイプ102は共鳴管として機能し、量感のある低域再生が可能となる。
なお、パイプ102の下端部側の端面とベース筐体101との間には、例えばゴム材からなるダンピング材116が配設されている。このダンピング部材116により、磁歪アクチュエータ103による振動がパイプ102を通じてベース筐体101に伝播することを阻止しながら、パイプ102が共鳴管として良好に機能するように密閉度を高めることができる。
図8は、4個の磁歪アクチュエータ103およびスピーカユニット104の駆動系の構成を示している。
ステレオ音声信号を構成する左音声信号ALおよび右音声信号ARは加算器121に供給され、この加算器121では音声信号AL,ARが合成されてモノラル音声信号SAが生成される。このモノラル音声信号SAからハイパスフィルタ122で高域成分SAHが抽出される。この高域成分SAHは、イコライザ123で磁歪アクチュエータ103に対応した周波数特性の補正が行われ、さらにアンプ124-1〜124-4で増幅された後に、4個の磁歪アクチュエータ103に駆動信号として供給される。これにより、4個の磁歪アクチュエータ103は同一の高域成分SAHで駆動され、それぞれの駆動ロッド103aは当該高域成分SAHに対応して変位する。
また、加算器121で生成されるモノラル音声信号SAからローパスフィルタ125で低域成分SALが抽出される。この低域成分SALは、イコライザ126でパイプ102からなる共鳴管に対応した周波数特性の補正が行われ、数ミリ秒の遅延時間を持つ遅延回路127で遅延され、さらにアンプ128で増幅された後に、スピーカユニット104に駆動信号として供給される。これにより、スピーカユニット104は、低域成分SALで駆動される。
スピーカユニット104への低域成分SALの供給経路に遅延回路127を挿入することで、パイプ102から高域の音波が放射される時点より、スピーカユニット104から低域の音波が放射される時点が遅くなる。そのため、音像は高域に引っぱられるという人間の聴覚上の特徴から、聴取者は高域の音波が放射されるパイプ102の部分に音像を感じ易くなる。
図1〜図4に示すスピーカ装置100Aの動作を説明する。
ベース筐体101に収容固定された4個の磁歪アクチュエータ103は、モノラル音声信号SAの高域成分SAHで駆動され、それらの駆動ロッド103aは当該高域成分SAHに対応して変位する。この駆動ロッド103aの変位(アクチュエータ103の変位出力)は、変位出力伝達部材134を介して、パイプ102の面上の加振点P(図7参照)に伝達される。そのため、パイプ102は、アクチュエータ103の変位出力に対応して、加振点Pから、面方向に加振される。
この場合、パイプ102の加振点Pは縦波で励振され、このパイプ102を、弾性波(振動)が面方向に伝播していく。そして、この弾性波がパイプ102を伝播する際に縦波、横波、縦波・・・のモード変換を繰り返し、縦波と横波との混在波となり、横波によってパイプ102の面内方向(面に垂直な方向)の振動が励振される。これにより、パイプ102からは音波が放射される。すなわち、このパイプ102の外面から、高域成分SAHに対応した高域の音声出力が得られる。
なお、この場合、パイプ102の下端部側の円形端面に沿って等間隔に配置された4個の磁歪アクチュエータ103は同一の高域成分SAHで駆動されていることから、パイプ102の全周から無指向性で高域の音声出力が得られる。
また、ベース筐体101の下面側に取り付けられたスピーカユニット104は、モノラル音声信号SAの低域成分SALで駆動される。このスピーカユニット104の前面から低域の音声出力(正相)が得られ、この音声出力はベース筐体101の下面側から外部に放射される。また、このスピーカユニット104の背面から低域の音声出力(逆相)が得られ、この音声出力は、開口部105およびパイプ102を通って、パイプ102の上端部側から外部に放射される。
図1〜図4に示すスピーカ装置100Aによれば、モノラル音声信号SAの高域成分SAHで駆動される磁歪アクチュエータ103は、パイプ102を、加振点Pから、面方向に、加振するものである。そのため、加振点Pに大きな横波は発生せず、この加振点Pからの音波が他の位置から放射される音波に比べて非常に大きな音として聴取されるということがなく、パイプ102の長手方向の全体に渡って音像を定位させることができ、広がり感のある音像を得ることができる。
また、図1〜図4に示すスピーカ装置100Aによれば、磁歪アクチュエータ103の変位出力は、変位出力伝達部材134を介して、パイプ102の管面上の加振点Pに伝達されるものであり、例えば、磁歪アクチュエータ103の駆動ロッド103aをパイプ102の端面に単に当接するものに比べて、磁歪アクチュエータ103の変位出力をパイプ102に忠実に伝達でき、当該パイプ102から音声信号に忠実な音声出力を得ることができる。
例えば、磁歪アクチュエータ103に図9(A)に示すような音声信号が入力される場合について考える。この場合、図1〜図4に示すスピーカ装置100Aのように、磁歪アクチュエータ103の変位出力を、変位出力伝達部材134を介して、パイプ102の管面上の加振点Pに伝達する構成とする場合には、駆動ロッド103aの上方向および下方向の双方の変位動作にパイプ102の励振動作が良好に追従する。したがって、パイプ102の面方向の振幅応答は、図9(C)に示すようになり、パイプ102から音声信号に忠実な音声出力を得ることが可能となる。
これに対して、磁歪アクチュエータ103の駆動ロッド103aをパイプ102の端面に単に当接する場合には、駆動ロッド103aの上方向の変位動作にはパイプ102の励振動作が良好に追従するが、駆動ロッド103aの下方向の変位動作にはパイプ102の励振動作が追従しない。したがって、パイプ102の面方向の振幅応答は、図9(B)に示すようになり、パイプ102から音声信号に忠実な音声出力を得ることが困難となる。
また、図1〜図4に示すスピーカ装置100Aによれば、変位出力伝達部材134は、磁歪アクチュエータ103の駆動ロッド103aに接続されるコ字状部材134aと、このコ字状部材134aの内部にパイプ102の管面の端部を挿入した状態で、コ字状部材134aおよびパイプ102の管面を貫通し、コ字状部材134aおよびパイプ102を接続するビス134bとを有するものとされる。したがって、コ字状部材134aによりパイプ102の管面の両側から、当該パイプ102の管面上の加振点Pに磁歪アクチュエータ103の変位出力を伝達でき、磁歪アクチュエータ103の変位出力をパイプ102の管面上の加振点Pに安定して伝達できる。
なお、図1〜図4に示すスピーカ装置100Aによれば、変位出力部材134はコ字状部材134aを用いて構成されているが、加振点Pを支点にパイプ102に対して上下方向に良好な振動を与えることができるのであれば、その形状はコ字状でなくてもよい。例えば、コ字状部材134aの片側がないL字状部材等を用いて変位出力部材134を構成することもできる。
また、図1〜図4に示すスピーカ装置100Aによれば、変位出力部材134をコ字状部材134aとビス134bで構成し、コ字状部材134aをビス134bによりパイプ(振動板)102に接続するものであり、パイプ102の着脱を容易に行うことができる。
なお、上述では、磁歪アクチュエータ103およびスピーカユニット104の駆動系は図8に示すように構成され、4個の磁歪アクチュエータ103が同一の高域成分SAHで駆動されるものを示した。しかし、これら4個の磁歪アクチュエータ103が独立した高域成分SAHで駆動されるようにすることもできる。
図10は、4個の磁歪アクチュエータ103およびスピーカユニット104の駆動系の他の構成を示している。この図10において、図8と対応する部分には同一符号を付し、その詳細説明は省略する。
ハイパスフィルタ122で抽出された高域成分SAHは、4個の信号処理部129-1〜129-4に供給される。信号処理部129-1〜129-4では、互いに独立して、高域成分SAHに対して、レベル、遅延時間、周波数特性等を調整する処理(音場制御処理)が行われると共に、磁歪アクチュエータ103の出力特性に関する信号補正処理が行われる。これら信号処理部129-1〜129-4から出力される高域成分SAH1〜SAH4は、それぞれアンプ124-1〜124-4で増幅された後に、4個の磁歪アクチュエータ103に駆動信号として供給される。これにより、4個の磁歪アクチュエータ103はそれぞれ独立した高域成分SAH1〜SAH4で駆動され、それぞれの駆動ロッド103aは当該高域成分SAH1〜SAH4に対応して変位する。
また、ローパスフィルタ125で抽出された低域成分SALは信号処理部130に供給される。この信号処理部130では、低域成分SALに対して、レベル、遅延時間、周波数特性等を調整する処理(音場制御処理)が行われると共に、共鳴管特性に関する信号補正処理が行われる。この信号処理部130から出力される低域成分は、アンプ128で増幅された後に、スピーカユニット104に駆動信号として供給される。これにより、スピーカユニット104は、低域成分で駆動される。
この図10に示す駆動系の構成では、4個の磁歪アクチュエータ103がそれぞれ信号処理部129-1〜129-4で独立して処理された高域成分SAH1〜SAH4で駆動されるので、音の広がり感を高めることができる。なお、図10においては、4個の磁歪アクチュエータ103を駆動する高域成分SAH1〜SAH4をモノラル音声信号SAから得るものを示したが、ステレオ音声信号を構成する左音声信号ALおよび右音声信号AR、あるいはマルチチャネルの音声信号から得るようにしてもよい。
図11は、4個の磁歪アクチュエータ103およびスピーカユニット104の駆動系の他の構成を示している。
この駆動系200は、DSP(Digital Signal Processor)ブロック201と、アンプブロック202,203とからなっている。DSPブロック201は、磁歪アクチュエータ側の信号補正及び音場制御部201Aと、スピーカユニット側の信号補正及び音場制御部201Bとを有している。
磁歪アクチュエータ側の信号補正及び音場制御部201Aは、4個の磁歪アクチュエータ103にそれぞれ対応して、4個の信号処理部211および4個のハイパスフィルタ(HPF)212を備え、さらに4個の信号処理部211にそれぞれステレオ音声信号を構成する左音声信号ALおよび右音声信号ARを減衰して入力するための8個のアッテネータ210を備えている。
各信号処理部211は、それぞれ、入力される音声信号AL,ARのレベル、遅延時間、周波数特性等の調整、さらにはそれらの音声信号AL,ARの混合等の処理(音場制御処理)を行うと共に、磁歪アクチュエータ103の出力特性に関する信号補正処理を行う。各ハイパスフィルタ212は、それぞれ、対応する信号処理部211からの音声信号から高域成分を抽出し、アンプブロック202に供給する。
この場合、各磁歪アクチュエータ103には、DSPブロック201の信号補正及び音場制御部201Aでそれぞれ独立して音場制御処理および信号補正処理が行われた音声信号の高域成分がアンプブロック202で増幅されて供給される。4個の磁歪アクチュエータ103が、このように音場制御処理が行われた高域成分で駆動されることで、高域の音声出力による音の広がり感を高めることができる。
一方、スピーカユニット側の信号補正及び音場制御部201Bは、スピーカユニット104に対応して、1個の信号処理部221および1個のローパスフィルタ(LPF)222を備え、さらに信号処理部221にステレオ音声信号を構成する左音声信号ALおよび右音声信号ARを減衰して入力するための2個のアッテネータ220を備えている。
信号処理部221は、入力される音声信号AL,ARのレベル、遅延時間、周波数特性等の調整、さらにはそれらの音声信号AL,ARの混合等の処理(音場制御処理)を行うと共に、共鳴管特性に関する信号補正処理を行う。ローパスフィルタ222は、信号処理部221からの音声信号から低域成分を抽出し、アンプブロック203に供給する。
この場合、スピーカユニット104には、DSPブロック201の信号補正及び音場制御部201Bで音場制御処理および信号補正処理が行われた音声信号の低域成分がアンプブロック203で増幅されて供給される。スピーカユニット104が、このように音場制御処理が行われた低域成分で駆動されることで、低域の音声出力による音の広がり感を高めることができる。
なお、図17の駆動系200において、信号補正及び音場制御部201Aの信号処理部211とハイパスフィルタ212の順番は逆でもよく、同様に信号補正及び音場制御部201Bの信号処理部221とローパスフィルタ222の順番は逆でもよい。
次に、この発明の他の実施の形態について説明する。図12〜図14は、実施の形態としてのスピーカ装置100Bの構成を示している。図12はスピーカ装置100Bの斜視図、図13は図11のB−B線上の縦断面図、図14はスピーカ装置100Bの上面図を示している。これら図12〜図14において、図1〜図4と対応する部分には同一符号を付し、その詳細説明は省略する。
上述の図1〜図4に示すスピーカ装置100Aでは、音響振動板として筒型振動板であるパイプ102が使用されたものを示したが、スピーカ装置100Bでは、音響振動板として平板型振動板である長方形状のアクリル板102Bが使用される。
アクリル板102Bは、ベース筐体101Bに、直方体状の筐体固定板141を介して、垂直に固定されている。この場合、筐体固定板141はベース筐体101Bの上面側に接着等により取り付けられている。そして、この筐体固定板141の上面側には、図13に示すように、長手方向に伸びる断面矩形状の溝142が設けられている。アクリル板102Bは、例えば、その下端部が、溝142に圧入され、あるいは、溝142に圧入された後にさらに接着される等して、筐体固定板141に取り付けられている。
複数個、本実施の形態では2個の磁歪アクチュエータ103が、駆動ロッド103aの変位方向がアクリル板102Bの面方向(この実施の形態では垂直方向)と一致するように、筐体固定板141に固定されている。この場合、磁歪アクチュエータ103は、当該磁歪アクチュエータ103の外形に沿った形状を持つ固定具143をビス144で筐体固定板141の側面にねじ止めすることで、筐体固定板141に取り付けられている。
磁歪アクチュエータ103の駆動ロッド103aとアクリル板102Bとの間に、変位出力伝達部材145が介在される。この変位出力伝達部材145は、アクチュエータ103の駆動ロッド103aを、アクリル板102Bの面上の所定点である加振点Pに接続する。この場合、磁歪アクチュエータ103の変位出力は変位出力伝達部材145を介してアクリル板102Bの加振点Pに伝達されるので、アクリル板102Bを、アクチュエータ103の変位出力に対応して、加振点Pから面方向に加振できるようになる。
ここで、変位出力伝達部材145は、この実施の形態においては、図13に示すように、ビス146で構成されている。ビス146は、磁歪アクチュエータ103の駆動ロッド103aと、アクリル板102Bの加振点Pとを接続する。つまり、磁歪アクチュエータ103の駆動ロッド103aおよびアクリル板102Bを貫通するように、棒状部材としてのビス146で、ねじ止めする。この場合、アクリル板102Bの加振点Pに対応した位置にはビス146のねじ部を通すための貫通穴が設けられていると共に、駆動ロッド103aには雌ねじが切られたねじ穴が設けられている。
2個の磁歪アクチュエータ103は、例えば上述の図8に示すような駆動系により、同一の高域成分SAHで駆動され、それぞれの駆動ロッド103aは当該高域成分SAHに対応して変位する。あるいは、これらの2個の磁歪アクチュエータ103は、例えば上述の図10、図11に示すような駆動系により、互いに独立した高域成分SAH1,SAH2で駆動され、それぞれの駆動ロッド103aは当該高域成分SAH1,SAH2に対応して変位する。
なお、スピーカ装置100Bでは、音響振動板が平板型振動板である長方形状のアクリル板102Bであって、当該音響振動板を共鳴管として使用することはできない。そのため、ベース筐体101Bの開口部105の上面側は閉じられた状態とされ、スピーカユニット104の背面側にバックキャビティとしての密閉空間が形成され、低音が良好に出るようにされている。
図12〜図14に示すスピーカ装置100Bの動作を説明する。
筐体固定板141に固定された2個の磁歪アクチュエータ103は、例えばモノラル音声信号SAの高域成分SAHで駆動され、それらの駆動ロッド103aは当該高域成分SAHに対応して変位する。この駆動ロッド103aの変位(アクチュエータ103の変位出力)は、変位出力伝達部材145を介して、アクリル板102Bの加振点Pに伝達される。そのため、アクリル板102Bは、アクチュエータ103の変位出力に対応して、加振点Pから、面方向に加振される。
この場合、アクリル板102Bの加振点Pは縦波で励振され、当該アクリル板102Bを、弾性波(振動)が面方向に伝播していく。そして、この弾性波がアクリル板102Bを伝播する際に縦波、横波、縦波・・・のモード変換を繰り返し、縦波と横波との混在波となり、横波によってアクリル板102Bの面内方向(面に垂直な方向)の振動が励振される。これにより、アクリル板102Bの一の面および他の面からは音波が放射される。すなわち、このアクリル板102Bの外面から、高域成分SAHに対応した高域の音声出力が得られる。
また、ベース筐体101Bの下面側に取り付けられたスピーカユニット104は、モノラル音声信号SAの低域成分SALで駆動される。そして、このスピーカユニット104の前面から低域の音声出力(正相)が得られ、この音声出力はベース筐体101Bの下面側から外部に放射される。
図12〜図14に示すスピーカ装置100Bによれば、図1〜図4に示すスピーカ装置100Aと同様に、例えばモノラル音声信号SAの高域成分SAHで駆動される磁歪アクチュエータ103は、アクリル板102Bを、加振点Pから、面方向に、加振するものである。そのため、加振点Pに大きな横波は発生せず、この加振点Pからの音波が他の位置から放射される音波に比べて非常に大きな音として聴取されるということがなく、アクリル板102Bの全面に渡って音像を定位させることができ、広がり感のある音像を得ることができる。
また、図12〜図14に示すスピーカ装置100Bによれば、磁歪アクチュエータ103の変位出力は、変位出力伝達部材145を介して、アクリル板102Bの面上の加振点Pに伝達されるものであり、例えば、磁歪アクチュエータ103の駆動ロッド103aをアクリル板102Bの端面に単に当接するものに比べて、磁歪アクチュエータ103の変位出力をアクリル板102Bに忠実に伝達でき、当該アクリル板102Bから音声信号に忠実な音声出力を得ることができる。
また、図12〜図14に示すスピーカ装置100Bによれば、変位出力伝達部材145は、磁歪アクチュエータ103の駆動ロッド103aおよびアクリル板102Bを貫通し、当該駆動ロッド103aおよびアクリル板102Bを接続するビス146を有するものとされる。したがって、アクリル板102Bの下端側に筐体固定板141が存在する場合であっても、磁歪アクチュエータ103をアクリル板102Bの一方の面側に配置でき、磁歪アクチュエータ103の変位出力をアクリル板102Bに良好に伝達できる。
次に、この発明の他の実施の形態について説明する。図15、図16は、実施の形態としてのスピーカ装置100Cの構成を示している。図15はスピーカ装置100Cの斜視図、図16はスピーカ装置100Cの上面図を示している。この図15、図16において、図12〜図14と対応する部分には同一符号を付し、その詳細説明は省略する。
このスピーカ装置100Cにおいては、磁歪アクチュエータ103の代わりに、磁歪アクチュエータ103Cが使用される。磁歪アクチュエータ103は、上述したように、変位出力を得るための駆動ロッド103aを一端側のみに有するものでる。これに対して、磁歪アクチュエータ103Cは、図17に示すように、一端側および他端側に、互いに線対称的に変位する駆動ロッド103a1,103a2を有するものである。
所定数、この実施の形態では1個の磁歪アクチュエータ103Cが、駆動ロッド103a1,103a2の変位方向がアクリル板102Bの面方向(この実施の形態では垂直方向)と一致するように、当該アクリル板102Bに固定されている。この場合、磁歪アクチュエータ103Cは、当該磁歪アクチュエータ103Cの外形に沿った形状を持つ固定具171をビス172でアクリル板102Bにねじ止めすることで、アクリル板102Bに取り付けられている。
磁歪アクチュエータ103Cの駆動ロッド103a1とアクリル板102Bとの間に、変位出力伝達部材173-1が介在される。この変位出力伝達部材173-1は、アクチュエータ103Cの駆動ロッド103a1を、アクリル板102Bの面上の第1の点である加振点P1に接続する。この場合、磁歪アクチュエータ103Cの変位出力は変位出力伝達部材173-1を介してアクリル板102Bの加振点P1に伝達されるので、アクリル板102Bを、磁歪アクチュエータ103Cの変位出力に対応して、加振点P1から面方向に加振できるようになる。
ここで、変位出力伝達部材173-1は、この実施の形態においては、図17に示すように、ビス174-1で構成されている。ビス174-1は、磁歪アクチュエータ103Cの駆動ロッド103a1と、アクリル板102Bの加振点P1とを接続する。つまり、磁歪アクチュエータ103Cの駆動ロッド103a1およびアクリル板102Bを貫通するように、棒状部材としてのビス174-1で、ねじ止めする。この場合、アクリル板102Bの加振点P1に対応した位置にはビス174-1のねじ部を通すための貫通穴が設けられていると共に、駆動ロッド103a1には雌ねじが切られたねじ穴が設けられている。
また、磁歪アクチュエータ103Cの駆動ロッド103a2とアクリル板102Bとの間に、変位出力伝達部材173-2が介在される。この変位出力伝達部材173-2は、アクチュエータ103Cの駆動ロッド103a2を、アクリル板102Bの面上の第2の点である加振点P2に接続する。この場合、磁歪アクチュエータ103Cの変位出力は変位出力伝達部材173-2を介してアクリル板102Bの加振点P2に伝達されるので、アクリル板102Bを、磁歪アクチュエータ103Cの変位出力に対応して、加振点P2から面方向に加振できるようになる。
ここで、変位出力伝達部材173-2は、この実施の形態においては、図17に示すように、ビス174-2で構成されている。ビス174-2は、磁歪アクチュエータ103Cの駆動ロッド103a2と、アクリル板102Bの加振点P2とを接続する。つまり、磁歪アクチュエータ103Cの駆動ロッド103a2およびアクリル板102Bを貫通するように、棒状部材としてのビス174-2で、ねじ止めする。この場合、アクリル板102Bの加振点P2に対応した位置にはビス174-2のねじ部を通すための貫通穴が設けられていると共に、駆動ロッド103a2には雌ねじが切られたねじ穴が設けられている。
磁歪アクチュエータ103Cは、例えば上述の図8に示すような駆動系により、音声信号の高域成分SAHで駆動され、駆動ロッド103a1,103a2は当該高域成分SAHに対応して互いに線対称的に変位する。例えば、駆動ロッド103a1が上方向に変位するとき駆動ロッド103a2は下方向に変位し、逆に、駆動ロッド103a1が下方向に変位するとき駆動ロッド103a2は上方向に変位する。
このスピーカ装置100Cのその他は、図12〜図14に示すスピーカ装置100Bと同様に構成されている。
図15、図16に示すスピーカ装置100Cの動作を説明する。
アクリル板102Bに固定された磁歪アクチュエータ103Cは、例えばモノラル音声信号SAの高域成分SAHで駆動され、その駆動ロッド103a1,103a2は当該高域成分SAHに対応して互いに線対称的に変位する。駆動ロッド103a1,103a2の変位(アクチュエータ103Cの変位出力)は、変位出力伝達部材173-1,173-2を介して、アクリル板102Bの加振点P1,P2に伝達される。そのため、アクリル板102Bは、アクチュエータ103Cの変位出力に対応して、加振点P1,P2から、面方向に加振される。
この場合、アクリル板102Bの加振点P1,P2は縦波で励振され、当該アクリル板102Bを、弾性波(振動)が面方向に伝播していく。そして、この弾性波がアクリル板102Bを伝播する際に縦波、横波、縦波・・・のモード変換を繰り返し、縦波と横波との混在波となり、横波によってアクリル板102Bの面内方向(面に垂直な方向)の振動が励振される。これにより、アクリル板102Bの一の面および他の面からは音波が放射される。すなわち、このアクリル板102Bの外面から、高域成分SAHに対応した高域の音声出力が得られる。なお、スピーカユニット104に係る動作は、図12〜図14に示すスピーカ装置101Bと同様である。
図15、図16に示すスピーカ装置100Cによれば、図1〜図4に示すスピーカ装置100Aと同様に、例えばモノラル音声信号SAの高域成分SAHで駆動される磁歪アクチュエータ103Cは、アクリル板102Bを、加振点P1,P2から、面方向に、加振するものである。そのため、加振点P1,P2に大きな横波は発生せず、この加振点P1,P2からの音波が他の位置から放射される音波に比べて非常に大きな音として聴取されるということがなく、アクリル板102Bの全面に渡って音像を定位させることができ、広がり感のある音像を得ることができる。
また、図15、図16に示すスピーカ装置100Cによれば、磁歪アクチュエータ103Cの変位出力は、変位出力伝達部材173-1,173-2を介して、アクリル板102Bの面上の加振点P1,P2に伝達されるものであり、例えば、磁歪アクチュエータ103Cの駆動ロッド103a1,103a2をアクリル板102Bの端面に単に当接するものに比べて、磁歪アクチュエータ103Cの変位出力をアクリル板102Bに忠実に伝達でき、当該アクリル板102Bから音声信号に忠実な音声出力を得ることができる。
また、図15、図16に示すスピーカ装置100Cによれば、磁歪アクチュエータ103Cは互いに線対称的に変位する駆動ロッド103a1,103a2を有するものであり、当該駆動ロッド103a1,103a2に得られる変位出力が変位出力伝達部材173-1,173-2を介してアクリル板102Bの加振点P1,P2に伝達されるものであり、1つの磁歪アクチュエータによる音響振動板(アクリル板102B)に対する加振点が2点となるので、音像の広がり感をさらに高めることができる。
次に、この発明の他の実施の形態について説明する。図18は、実施の形態としてのスピーカ装置100Dの構成を示している。図18は、スピーカ装置100Dの斜視図を示している。
このスピーカ装置100Dは、箱形状の音響振動板102Dの一の面に、磁歪アクチュエータ103Cが取り付けられたものである。この磁歪アクチュエータ103Cの音響振動板102Dへの取り付けは、上述の図15、図16に示すスピーカ装置100Cにおける磁歪アクチュエータ103Cのアクリル板102Bへの取り付けと同様に行われる。
また、上述の図15、図16に示すスピーカ装置100Cにおける磁歪アクチュエータ103Cの駆動ロッド103a1,103a2とアクリル板102Bとの接続と同様に、磁歪アクチュエータ103Cの駆動ロッド103a1,103a2は、それぞれ、変位出力伝達部材173-1,173-2により、音響振動板102Dの互いに離れた加振点P1,P2に接続される。
図18に示すスピーカ装置100Dの動作を説明する。
音響振動板102Dに固定された磁歪アクチュエータ103Cは、例えばモノラル音声信号で駆動され、その駆動ロッド103a1,103a2は当該音声信号に対応して互いに線対称的に変位する。駆動ロッド103a1,103a2の変位(アクチュエータ103Cの変位出力)は、変位出力伝達部材173-1,173-2を介して、音響振動板102Dの加振点P1,P2に伝達される。そのため、音響振動板102Dは、アクチュエータ103Cの変位出力に対応して、加振点P1,P2から、面方向に加振される。
この場合、音響振動板102Dの加振点P1,P2は縦波で励振され、当該音響振動板102Dを、弾性波(振動)が面方向に伝播していく。そして、この弾性波が音響振動板102Dの各面を伝播する際に縦波、横波、縦波・・・のモード変換を繰り返し、縦波と横波との混在波となり、横波によって音響振動板102Dの面内方向(面に垂直な方向)の振動が励振される。これにより、箱形状の音響振動板102Dの各面からは音波が放射される。すなわち、この音響振動板102Dの各面から、音声信号に対応した音声出力が得られる。
図18に示すスピーカ装置100Dによれば、図1〜図4に示すスピーカ装置100Aと同様に、音声信号で駆動される磁歪アクチュエータ103Cは、箱形状の音響振動板102Dを、加振点P1,P2から、面方向に、加振するものである。そのため、加振点P1,P2に大きな横波は発生せず、この加振点P1,P2からの音波が他の位置から放射される音波に比べて非常に大きな音として聴取されるということがなく、箱形状の音響振動板102Dの各面に渡って音像を定位させることができ、広がり感のある音像を得ることができる。
また、図18に示すスピーカ装置100Dによれば、磁歪アクチュエータ103Cの変位出力は、変位出力伝達部材173-1,173-2を介して、箱形状の音響振動板102Dの面上の加振点P1,P2に伝達されるものであり、例えば、磁歪アクチュエータ103Cの駆動ロッド103a1,103a2を長方形あるいは筒形状の音響振動板の端面に単に当接するものに比べて、磁歪アクチュエータ103Cの変位出力を音響振動板102Dに忠実に伝達でき、当該音響振動板102Dから音声信号に忠実な音声出力を得ることができる。
また、図18に示すスピーカ装置100Dによれば、磁歪アクチュエータ103Cの変位出力は、変位出力伝達部材173-1,173-2を介して、箱形状の音響振動板102Dの面上の加振点P1,P2に伝達されるものであり、端面のない箱形状の音響振動板102Dにも磁歪アクチュエータ103Cの変位出力を良好に伝達して、面方向に加振できる。
また、図18に示すスピーカ装置100Dによれば、磁歪アクチュエータ103Cは互いに線対称的に変位する駆動ロッド103a1,103a2を有するものであり、当該駆動ロッド103a1,103a2に得られる変位出力が変位出力伝達部材173-1,173-2を介して音響振動板102Dの加振点P1,P2に伝達されるものであり、1つの磁歪アクチュエータによる音響振動板102Dに対する加振点が2点となるので、音像の広がり感をさらに高めることができる。
なお、上述したスピーカ装置100A〜100Dにおいては、筒形状、平板形状、箱形状の音響振動板を使用したスピーカ装置を示したが、この発明は、その他の形状、例えば球形状等の音響振動板を使用するものにも同様に適用できる。その場合、端面のない形状の音響振動板を使用する際には、例えば、上述のスピーカ装置100B〜100Dで示したような変位出力伝達部材を用いればよい。
また、上述実施の形態においては、音響振動板を加振するアクチュエータが磁歪アクチュエータであるものを示したが、アクチュエータとしては、動電型アクチュエータ、圧電型アクチュエータ等のその他のアクチュエータを使用して同様のスピーカ装置を得ることができる。
100A〜100D・・・スピーカ装置、101,101B・・・ベース筐体、102・・・パイプ、102B・・・アクリル板、102D・・・箱形状の音響振動板、103,103C・・・磁歪アクチュエータ、103a,103a1,103a2・・・駆動ロッド、104・・・スピーカユニット、105・・・開口部、106・・・脚部、107・・・金属製のL字アングル、108,112,113,116・・・ダンピング材、114・・・貫通した収納穴、118・・・板ばね、134・・・変位出力伝達部材、134a・・・コ字状部材、134b・・・ビス、141・・・筐体固定板、142・・・溝、143・・・固定具、145・・・変位出力伝達部材、171・・・固定具、173-1,173-2・・・変位出力伝達部材