JP4380138B2 - 車両用放熱装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車室内の要放熱部材の熱を放熱するための車両用放熱装置であって、特に日射によって加熱された車室の内装材の熱を放熱するための車両用放熱装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の車室内空調装置としては、種々の装置が知られており、たとえば、エバポレータの冷媒熱交換部分と空気熱交換部分とを分離し、作動液が内部に封入されたヒートパイプで両部分を接続した車両用空調装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−206049号公報(第3−5頁、第1図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記公報記載の車両用空調装置は、通常の車両用空調装置と同様に、単に車室内に冷風を送ることで室温低下の効果を得るものにすぎず、上記公報記載の技術は、炎天下の駐車時のように車両用空調装置の非稼動時にインストルメントパネルなどの要放熱部材の熱を放熱するものではないため、炎天下の駐車状態などにおいて要放熱部材が比較的高温となってしまうことを防止することができない。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記した課題を解決し、目的を達成するための本発明は、車室内の要放熱部材の熱を放熱するための車両用放熱装置であって、一端が車室内空調用エバポレータに接続された熱伝達部材を、車室内の要放熱部材の近傍まで伸延して設けたことを特徴とする車両用放熱装置である。特に、上記の熱伝達手段は、作動流体が封入された一または複数のヒートパイプである。このヒートパイプの要放熱部材側の部分は、作動流体を蒸発させるヒートパイプ蒸発部をなし、ヒートパイプの車室内空調用エバポレータ側の部分は、作動流体を凝縮させるヒートパイプ凝縮部をなし、前記ヒートパイプ凝縮部は、前記車室内空調用エバポレータの冷却用管帯または冷媒用パイプを貫通して取り付けられる。
【0006】
【発明の効果】
本発明によれば、一端が車室内空調用エバポレータに接続された熱伝達部材を、車室内の要放熱部材の近傍まで伸延して設けたので、車室内空調器の非稼動時に車室内空調用エバポレータを放熱器として利用することができる。したがって、たとえば、炎天下の駐車状態などにおいても要放熱部材が比較的高温となってしまうことを防止することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る車両用放熱装置について好適な実施の形態を詳細に説明する。なお、本発明は、日射によって加熱されやすい車室内の内装材などの要放熱部材の放熱を行うものである。以下の実施形態では、要放熱部材としてインストルメントパネルを例にとって説明する。ただし、本発明はこの場合に限定されず、インストルメントパネル上部、センターコンソール、Aピラー、天井内装材、ハンドルなどの各種内装材からの放熱を行う場合にも用いることができる。
【0008】
(第1の実施形態)
本実施形態に係る車両用放熱装置は、一端が車室内空調用エバポレータに接続されたヒートパイプを、車室内のインストルメントパネル等の要放熱部材の近傍まで伸延して敷設した構造を有するものである。ヒートパイプに内部には作動流体が封入されており、ヒートパイプの上記要放熱部材側の部分は、作動流体を蒸発させるヒートパイプ蒸発部をなし、前記ヒートパイプの車室内空調用エバポレータ側の部分は、作動流体を凝縮させるヒートパイプ凝縮部をなす。以下、本実施形態について図面を参照して説明する。
【0009】
図1は、本実施形態に係る車両用放熱装置の概略を示す図である。車両用放熱装置は、車室内空調用エバポレータ100に一端が接続されている複数のヒートパイプ(熱伝達部材)200a〜200f(以下、ヒートパイプ200と総称する)を有する。これらのヒートパイプ200は、車室内の要放熱部材であるインストルメントパネル300の裏面側へ伸延されて敷設されている。なお、ヒートパイプ200の数は、図1の場合に限られない。
【0010】
エバポレータ100は、従来のエバポレータと同様に車室内に冷風を送り車室内温度を調節するための車両用空調装置(以下「エアコン装置」という)の一部を構成するのみならず、エアコン装置の非稼動時において、車室内ヒートパイプ200を介して車室内のインストルメントパネル300から伝導された熱を放熱するための放熱器としても機能する。すなわち、エバポレータ100には、通常のエバポレータ100としての役割とともに、放熱器としての役割を有する。エバポレータ100は、通常のエバポレータと同様にインストルメントパネル300の裏面側の下方に設置されている。
【0011】
ヒートパイプ200は、熱伝導性の材料で構成された管状体であり、好適には、熱伝導性が高い金属材料で構成されている。たとえば、ヒートパイプ200は、アルミニウム、銅、鉄などの金属材料で構成されている。ヒートパイプ200には、作動流体が封入されている。作動流体としては、たとえば、水、アンモニア、またはアルコール系の熱媒体が用いられるが、これらに限定されるわけではない。
【0012】
ヒートパイプ200の一端は、エバポレータ100に直接的に接続され、あるいは後述するヒートパイプ設置用基部を介してエバポレータ100に熱的に接続されている。インストルメントパネル300とエバポレータ100とは比較的距離が近い。エバポレータ100に一端が接続されたヒートパイプ200は、好ましくは、略最短距離でインストルメントパネル300の裏面側へ伸延される。なお、ヒートパイプ200とエバポレータ100との接続には、種々の接続形態が考えられるが、その詳細については後述する。
【0013】
エバポレータ100に一端が接続されたヒートパイプ200は、図1に示されるとおり、インストルメントパネル300の裏面側近傍まで伸延され敷設されている。好ましくは、図1に示されるとおり、複数のヒートパイプ200a〜200fは、インストルメントパネル300の裏面全体に行き渡るように並列的に設けられており、インストルメントパネル300の領域全体の熱を均等に放熱できるように構成される。
【0014】
ヒートパイプ200のうちインストルメントパネル300の裏面側近傍まで伸延されている箇所では、日射等によって加熱されているインストルメントパネル300によって、作動流体が蒸発する。このように、ヒートパイプ200のうちインストルメントパネル300の裏面側近傍まで伸延されている箇所は、作動流体を蒸発させるヒートパイプ蒸発部201をなす。一方、ヒートパイプ200のうちエバポレータ100に接続されている箇所では、作動流体が凝縮する。これは、エバポレータ100は、フィンなどが多数配置されているため表面積が大きくて外部と熱交換されやすいので、比較的低温を維持できるためである。このように、ヒートパイプ200のうちエバポレータ100に接続されている箇所は、作動流体を凝縮させるヒートパイプ凝縮部202をなす。
【0015】
次に、本実施の形態におけるインストルメントパネル300とヒートパイプ200との関係について説明する。インストルメントパネル300とヒートパイプ200との接続には、種々の方法が考えられるが、ここでは、図2および図3に示される二つの方法を例にとって説明する。
【0016】
図2は、インストルメントパネル300とヒートパイプ200との接続の一例を示す図である。
【0017】
図2の例では、インストルメントパネル300は、表皮310、緩衝材320、骨格材330をこの並び順で配置した積層構造を有している。表皮310は、インストルメントパネル300の最表面に位置する部材であり、ポリ塩化ビニルやABS樹脂(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)などの樹脂で構成される。緩衝材320は、ポリウレタンなどで構成されており、弾性力に富む。骨格材330はポリプロピレンにグラスファイバを混入した強化樹脂などで構成されている。ただし、表皮310、緩衝材320、骨格材330は、他の材料で構成されていてもよい。たとえば、表皮310は、皮革、布地などであってもよい。なお、表皮310、または表皮310と緩衝材320の積層は、インストルメントパメル300の表層をなす。
【0018】
表皮310の裏面側、たとえば、緩衝材320中には、上記のヒートパイプ200が敷設されている。好ましくは、複数のヒートパイプ200a〜200eは、互いに並列して配置される。たとえば、複数のヒートパイプ200a〜200eを所定の間隔で並べ、その状態において、緩衝材320の原材料となるポリウレタン樹脂を充填して固化させることによって、図2に示されるように緩衝材320中にヒートパイプ200a〜200eを埋設する構造を実現することができる。
【0019】
図3は、インストルメントパネル300とヒートパイプ200との接続の他の例を示す図である。
【0020】
図3の例では、表層の裏面側、すなわち表皮310または緩衝材320の裏面側を覆う高熱伝導材340(裏面部材)をさらに有している。たとえば、図3の場合では、インストルメントパネル300は、表皮310、緩衝材320、高熱伝導材340、骨格材330をこの並び順で配置した積層構造を有している。高熱伝導材340は、アルミ、銅、またはこれらの合金などの金属材料であることが望ましいが、これらに限定されるものではない。そして、高熱伝導材340には、上記のヒートパイプ200a〜200eが組みつけられている。たとえば、高熱伝導材340にヒートパイプ200a〜200eが溶接されている。この高熱伝導材340は、インストルメントパネル300などの内装材全体から均等に集熱することを可能とするための構成であり、温度むらによる車室内への部分的な放熱を防止するものである。
【0021】
次に、ヒートパイプ200とエバポレータ100との接続関係について説明する。
【0022】
図4は、本実施の形態におけるヒートパイプ200とエバポレータ100との接続の一例を示す図である。
【0023】
図4に示されるエバポレータ100は、いわゆる積層型エバポレータである。図4に示されるエバポレータ100の基本構造については、通常のエバポレータ100の構造と同様であるので詳しい説明を省略するが、簡単に説明すれば、エバポレータ100は、複数の冷却用管帯101と、隣接する冷却用管帯101間に設けられたフィン102とを有する。冷却用管帯101は、図中では1枚の板で示されているが、実際は片面に凹部を形跡した2枚の金属板を1組として重ね合わせて互いに気密かつ液密に接合することによって作られた板状管ており、内側に冷媒を流すための扁平な流路を有する。
【0024】
ここで、本実施形態では、図4に示されるとおり、ヒートパイプ200の一端が冷却用管帯101を貫通する形で接続されている。この結果、ヒートパイプ200と冷却用管帯101とが熱的に接触する。なお、ヒートパイプ200と冷却用管帯101とは、互いに独立しており、互いの気密を保持しつつ隔離されているため、ヒートパイプ200内の作動流体と冷却用管帯101内の冷媒とが混在しない構造となっている。
【0025】
以上説明した本実施形態の車両用放熱装置は、以下のような作用を奏する。炎天下などに車両が放置され、日射によってインストルメントパネル300が加熱されると、インストルメントパネル300の熱は、表皮310および緩衝材320などを通じて、ヒートパイプ200に伝わる。特にインストルメントパネル300の表皮310または緩衝材320の裏面側(表層の裏面側)を高熱伝導材340(裏面部材)で覆い、この高熱伝導材340にヒートパイプ200に組み付ける構造を採用することによって、インストルメントパネル300の全域の熱がヒートパイプ200へ伝導する。
【0026】
ヒートパイプ200内においては、作動流体が、毛細管現象などによってインストルメントパネル300側へ上昇する。そして、このヒートパイプ200のインストルメントパネル300側の部分、すなわち、ヒートパイプ蒸発部201へでは作動流体が蒸発する。そして、ヒートパイプ200内の作動流体が気化する際にインストルメントパネル300の熱を吸収する。
【0027】
一方、エバポレータ100は、日射が直接当たらず、また多くのフィン102が取り付けられていて表面積が大きいため、エアコン装置の非稼動時においても比較的温度が低く維持される。したがって、気化した作動流体は、ヒートパイプ200のエバポレータ100側の部分へ移動すると、凝縮されて液体へと戻る。すなわち、ヒートパイプ200のうちエバポレータ100側の部分は、作動流体を凝縮させるヒートパイプ凝縮部として機能する。作動流体の凝縮時に発生する熱は、エアコン装置の非稼動時におけるエバポレータ100を放熱器として外部へ放出される。
【0028】
以上の作用によって、日射によって加熱されたインストルメントパネル300の熱は、順次にヒートパイプ200を介してエバポレータ100側へと放熱される。
【0029】
一方で、以上の構成は、エアコン装置の稼動時にも有用な作用を奏する。
【0030】
具体的には、ユーザが車両に戻り、エアコン装置を稼動させると、通常の冷凍サイクルにしたがって、車室内が空冷される。この際にエバポレータ100は、冷却器として働き、低温となっている。
【0031】
そして、ヒートパイプ200がエバポレータ100に接続されているため、ヒートパイプ200も冷やされる。さらにヒートパイプ200がインストルメントパネル300や座席シート等の内装材の近傍まで伸延されて設けられているため、冷やされたヒートパイプ200を介して、インストルメントパネル300や座席シート等の内装材が直接的に冷却される。また、内装材が冷却されることによって、放射冷却が生じて車室内の温度についても低下させることが可能となる。
【0032】
このように、以上の車両用放熱装置は、冷却器として機能するエバポレータ100からヒートパイプ200を介して直接的にインストルメントパネル300や座席シート等の内装材を冷却するといった作用を奏することができる。
【0033】
以上のとおり、本実施形態によれば、以下のような効果を奏する。
【0034】
(ア)一端が車室内空調用エバポレータ100に接続された熱伝達部材を、車室内の要放熱部材の近傍まで伸延して敷設したので、炎天下の駐車状態のようにエンジンが停止している状態においても、熱伝達部材を介して車室内空調用エバポレータ側へと放熱されるため、炎天下の駐車状態などにおいても内装部材などの要放熱部材が高温となってしまう現象を軽減することが防止できる。
【0035】
(イ)一端が車室内空調用エバポレータ100に接続された熱伝達部材を、車室内の要放熱部材の近傍まで伸延して敷設したので、車室内空調装置の非稼動時における車室内空調用エバポレータを放熱器として兼用できる。すなわち、要放熱部材の熱は、熱伝達部材を通じて車室内空調用エバポレータに伝達され、放熱される。したがって、空調装置による冷風によって要放熱部材を冷却する場合と比べて、空調装置への負担が軽減され燃費の悪化を防止することができる。
【0036】
(ウ)エバポレータに熱伝達部材を接続することにより、車室内空調装置の非稼動時は放熱を実行でき、車室内空調装置の稼動時には要放熱部材の直接的な冷却を実行することができる。すなわち、車室内空調装置の稼動時には、冷風による冷却に加えて、インストルメントパネル300および座席シートなどの内装材を直接的に冷却することができ、熱伝導部材を介した放射冷却によって、車室内温度を低くすることができる。
【0037】
(エ)車室内空調用エバポレータ100と別体となった専用の放熱板を設けるのではなく、車室内空調用エバポレータを放熱器として兼用できるので、放熱板の設置場所が不要となり、放熱装置の小型化およびコスト低減を実現することができる。また、車室内空調用エバポレータは、多数のフィンなどが設置されており表面積が大きいので、外部への放熱が効率的に実行できる。
【0038】
(オ)日射による加熱されやすい自動車の車体外板を放熱器として使用する場合と比べて、放熱効果が高い。特に、車室内空調用エバポレータ100はフィンなどの効果により車体外板に比べて数倍の放熱面積を有するので、放熱効果が高い。また、車室内空調エバポレータ100は、インストルメントパネル300等に比較的近い位置に設置されていることが多いので、インストルメントパネル300に吸収される熱エネルギーを略最短距離で車室外に放出すことが可能であり、車室内への熱放射を防止することができる。
【0039】
(カ)熱伝達手段として作動流体が封入されたヒートパイプを用いるので、要放熱部材側における作動流体の蒸発と、エバポレータ側における作動流体の凝縮とによって、効果的な熱伝達が可能となる。また、ヒートパイプを用いた熱伝達のためには如何なる動力源や駆動力も必要としないため、バッテリなどへの負担がない。また、作動流体はヒートパイプに封入されているため、取り扱いが容易となり、特に車室内空調用エバポレータにおける冷媒と作動流体とが混合してしまうおそれがない。
【0040】
(キ)要放熱部材表層の裏面全体を覆う高熱伝導材料からなる裏面部材を有し、この裏面部材にヒートパイプが組みつけられているため、要放熱部材全域の熱を放熱することができる。
【0041】
(ク)ヒートパイプのエバポレータ側(ヒートパイプ凝縮部)が、車室内空調用エバポレータの冷却用管帯を貫通して取り付けられるので、車室内空調用エバポレータの製造時においてヒートパイプが貫通される部分を成型しておく点を除いて通常の車室内空調用エバポレータの構成を転用し得る。
【0042】
(第2の実施形態)
本実施形態に係る車両用放熱装置は、上記第1の実施形態に係る車両用放熱装置とほとんど同じであるが、車室内空調用エバポレータの複数の冷却用管帯に沿って設けられた放熱板と、これら放熱板が接続されるヒートパイプ接続基部とを有し、ヒートパイプ凝縮部は、ヒートバイプ接続基部に取り付けられることを特徴とするものである。以下、図面を用いて本実施形態について説明するが、第1の実施形態と共通する部分については説明を省略する。
【0043】
図5は、本実施形態に係る車両用放熱装置の構造を示す図であり、ヒートパイプとエバポレータとの接続の一例を示す図である。本実施形態に係る車両用放熱装置のインストルメントパネル300側の構造は、第1の実施形態と同様である。
【0044】
エバポレータ100近傍には、複数のヒートパイプ200のヒートパイプ凝縮部を集約するためのヒートパイプ接続基部400を有する。ヒートパイプ接続基部400には複数のヒートパイプ200a〜200dの一端が接続される。ヒートパイプ接続基部400は、アルミニウム、銅、鉄などの金属材料で構成されており、熱伝導の観点や接合の観点からは、ヒートパイプ200a〜200dと同じ材質で構成することが望ましい。なお、たとえば溶接によってヒートパイプ200a〜200dとヒートパイプ接続基部400とが接続される。
【0045】
図6は、エバポレータ100の拡大図の一例であり、図7は、エバポレータ100の拡大図の他の例である。ヒートパイプ接続基部400には、複数の放熱板410が取り付けられている。ヒートパイプ接続基部400から伸延した放熱板410は、冷却用管帯101と略同様の形状を有しており、図6または図7に示されるとおり、エバポレータ100の各冷却用管帯に沿って並列して配置される。好適には、放熱板410は、ヒートパイプ接続基部400から延長されているものである。
【0046】
図6は、放熱板410、冷却用管帯101、およびフィン102の配置関係の一例を示す図である。図6に示される構成によれば、放熱板410は、隣接する冷却用管帯101とフィン102を介して接続されている。すなわち、エバポレータ100においては、冷却用管帯101、フィン102、放熱板410、フィン102、冷却用管帯101がこの並び順で配置されている。換言すれば、冷却用管帯101と放熱板410とは、その間にフィン102を設けた状態で重ねあわされている。
【0047】
図7は、放熱板410、冷却用管帯101、およびフィン102の配置関係の他の例を示す図である。図7に示される構成によれば、放熱板410と冷却用管帯101とを直接的に積層して積層物を構成し、隣接する複数の積層物間がフィン102を介して接続される。冷却用管帯101と放熱板410とが、直接重ねあわされる点で、図6の場合と異なる。
【0048】
なお、図6および図7に示される例では、冷却用管帯101と放熱板410とが交互に配置され、冷却用管帯101と放熱板410の数が等しい場合を示したが、放熱板410の配置は、この場合に限られない。すなわち、一枚の冷却用管帯101ごとに放熱板410を配置するのではなく、複数の冷却用管帯101に一枚の放熱板410の割合で放熱板410を配置してもよい。
【0049】
本実施の形態によれば、ヒートパイプ200の熱が放熱板410に伝わり、さらに放熱板410からフィン102や冷却用管帯101へと熱が放熱される。したがって、本実施の形態の構成によってヒートパイプ200をエバポレータ100に接続する場合にも、インストルメントパネル300からの熱がヒートパイプ200を順次にエバポレータ100へ伝わり、エバポレータ100を介して外部へ放熱される。
【0050】
なお、多数のヒートパイプ200が存在する場合には、取り付けを容易にする見地から、複数のヒートパイプ200を集約するヒートパイプ接続基部400を設けることが望ましいが、ヒートパイプ接続基部400を設けない構成を採用することもできる。
【0051】
図8は、直接的にエバポレータ100へ接続する場合におけるヒートパイプのエバポレータ100側の端部、すなわちヒートパイプ凝縮部202の概略構成を示す。ヒートパイプ凝縮部202を冷却用管帯と同様の形状をした板状形状に形成し、この板状形状の部分を上記の放熱板410として用いる。この場合、板状形状をした端部と冷却用管帯101およびフィン102とを図6または図7に示される場合と同様に重ねあわされる。
【0052】
本実施形態によれば、上記第1実施形態の場合の(ア)〜(キ)の効果に加えて、以下の効果を奏する。
【0053】
(ヶ)ヒートパイプ接続基部を有する構成によれば、複数のヒートパイプを集約して車室内空調用エバポレータ側に接続することができるので、車室内空調用エバポレータ側への接続が効率的になる。
【0054】
(コ)また、冷却用管帯と略同一の形状の放熱板をヒートパイプ接続基部から延長し、この放射板と冷却用管帯およびフィンとを重ね合わせる構成によれば、直接的にフィンにヒートパイプ側を熱接触させることができ、放熱効果が大きい。車室内空調用エバポレータ全体にわたって熱拡散が進み、外部へ放熱されるので、車室内空調用エバポレータから外部への放熱の効率が高まる。
【0055】
(第3の実施形態)
本実施形態に係る車両用放熱装置は、上記第1実施形態に係る車両用放熱装置とほとんど同じであるが、車室内空調用エバポレータの冷媒用パイプに、ヒートパイプのエバポレータ側部分、すなわち、ヒートパイプ凝縮部を取り付けたことを特徴とするものである。以下、図面を用いて本実施形態について説明するが、第1の実施形態と共通する部分については説明を省略する。
【0056】
図9は、本実施形態に係る車両用放熱の構造を示す図であり、ヒートパイプ200とエバポレータとの接続の一例を示す図である。本実施形態に係る車両用放熱装置のインストルメントパネル300側の構造は、第1の実施形態と同様である。
【0057】
図9に示されるとおり、エバポレータ100には、通常のエバポレータと同様に、冷媒用パイプ103が備えられている。冷媒用パイプ103は、冷媒用管帯101内に冷媒を送り込んだり冷媒用管帯101内を通過した冷媒を取り出したりするためのパイプである。冷媒用パイプ103は、冷媒コンデンサパイプ、冷媒タンク、または冷媒取り出し管とも称される。
【0058】
この冷媒用パイプ103の軸方向に沿ってヒートパイプ200が設けられている。たとえば、ヒートパイプ200内には、冷媒用パイプ103が貫通されている。換言すれば、ヒートパイプ200は、冷却用パイプ103の内側に当該冷却用パイプ103に沿って設けられている。
【0059】
本実施の形態によれば、ヒートパイプ200の熱は、エバポレータ100の一部を構成する冷媒用パイプ103へと放熱される。したがって、本実施の形態の構成によってヒートパイプ200をエバポレータ100に接続する場合にも、インストルメントパネル300からの熱がヒートパイプ200を順次に伝わり、エバポレータ100を介して外部へ放熱される。
【0060】
なお、図9では、冷媒用パイプ103内にヒートパイプ200が貫通している場合を説明したが、本実施形態の車両用放熱装置は、この場合に限られない。たとえば、図9に示される場合と異なり、ヒートパイプ200の周面と冷媒用パイプ103の周面とが接続されており、互いに平行して伸延されている構造であってもよい。
【0061】
本実施形態によれば、上記第1実施形態の場合の(ア)〜(キ)の効果に加えて、以下の効果を奏する。
【0062】
(サ)車室内空調用エバポレータの冷媒用パイプにヒートパイプ凝縮部が取り付けられる構成によれば、車室内空調用エバポレータ内において比較的低温である取り出し口付近の冷媒とヒートパイプ凝縮部とが熱交換できるため、放熱効果が高い。
【0063】
(第4の実施形態)
本実施形態に係る車両用放熱装置は、上記第1、第2、または第3の実施形態の機械的構成に加えて、さらにエアコン装置の各部分、具体的には、後述するフットドア、インテークドア、および送風ファンなどを制御する制御手段を有することを特徴とする。なお、エバポレータ100、ヒートパイプ200、およびインストメントパネル300の構成は、上述した第1〜第3のいずれかの実施形態の場合と同様であるので、詳しい説明は省略する。
【0064】
図10は、本実施の形態の車両用放熱装置の構成を示すブロック図である。なお、図10には、ヒートパイプ200などの機械的構成については示していない。
【0065】
本実施形態に係る車両用放熱装置は、制御部510、記憶部520、温度センサ530を有し、車両に取り付けられているエアコン装置600のフットドア610、インテークドア620、および送風ファン630を所定の状態とするための制御指示を与える機能を有する。
【0066】
制御部510は、CPUであり、種々の判断を行う判断手段、および種々の制御を行う制御手段として機能する。具体的には、制御部510は、後述するとおり、インテークドア620の開度(位置)、フットドア610の開度、送風ファン630を制御する。制御部510は、さらに、後述するフェイスドアおよびデフドアの開度を制御してもよい。また、制御部510は、タイマ511を含む。なお、制御部510は、エアコン装置600の通常のCPU(不図示)と兼用されていてもよい。
【0067】
記憶部520は、各種のデータや情報を記憶するメモリであり、エアコン装置600用のメモリ(不図示)の一部の領域を記憶部520として用いてもよい。
【0068】
温度センサ530は、インストルメントパネル300の周辺温度を測定する測定手段である。ここで、「周辺温度」には、車室内の気温、および/または車外周辺の気温が含まれる。また、インストルメントパネル300自体の表面温度を周辺温度として使用することもできる。
【0069】
エアコン装置600が設けられている車両には、通常、車室内および/または車外の気温を測定するための温度センサ群が設けられている。したがって、このエアコン装置600用の温度センサ群を本実施形態の温度センサ530として兼用することができる。ただし、車両用空調装置600用の温度センサ群と当該実施形態における車両用放熱装置の温度センサ530とを別々に設けてもよい。
【0070】
図11は、エアコン装置600の概略構成を示す図である。なお、エアコン装置600は、基本的には、通常のエアコン装置と同様である。
【0071】
インテークドア620は、外気導入口621および内気導入口622を選択的に開閉するためのドアである。外気導入口621を開くモード(外気モード)の場合には、インテークドア620によって内気導入口622の開口をふさぐ。一方、内気導入口622を開くモード(内気モード)の場合には、インテークドア620によって外気導入口621の開口をふさぐ。
【0072】
フットドア610、フェイスドア640、およびデフドア650は、各吹出し口を開閉するためのモード切換えドアである。フットドア610は、乗員の足元側に設けられた吹出し口(下吹出し口)611を開閉するためのドアである。フェイスドア640は、乗員の上半身側のインストルメントパネル300に設けられたインパネ吹出し口641を開閉するためのドアである。デフドア650は、インストルメントパネル300のフロントガラス(不図示)側の端部に設けられたDEF吹出し口を開閉するためのドアである。
【0073】
インテークドア620、フットドア610、フェイスドア640、およびデフドア650は、たとえば、図示していないサーボモータがリンクシステムを駆動することによって必要な位置へ移動されるものである。なお、エアコン装置600の稼動時には、車室内に設けられたコントロールパネル上の内外気スイッチや吹出し口モードスイッチからの信号を、エアコン装置600の制御用のCPUを経由してサーボモータに送ることによってドアの位置が制御される。しかしながら、本実施の形態では、エアコン装置の非稼動時において、コントロールパネル上の内外気スイッチや吹出し口モードスイッチの設定内容の如何にかかわらず、制御部610の判断によってドアの位置をインストルメントパネル300等の放熱に適した状態に制御される場合がある。
【0074】
送風ファン630は、図示していない直流モータによって回転されるファンであり、エアコン装置600の稼動時に上記の外気導入口621や内気導入口622側から所定の吹出し口側へ送風するものである。通常の送風ファン630は、常に一定方向に回転されるものであるが、本実施形態では、吹出し口側から外気導入口621側へ送風するように逆回転する機能を有する。逆回転動作は、制御部510からの信号に基づいて実行される。
【0075】
なお、エアコン装置600の稼動時に、冷却空気のうちの一定量の空気を再加熱するヒータコア660、およびヒータコア660を通して再加熱する空気の量を調整するためのエアミックスドア665については、本願発明の構成と直接関係しないので詳しい説明を省略する。また、エバポレータ100は、上記の第1〜第3の実施形態のいずれかで説明したエバポレータ100と同様であり、ヒートパイプ200の一端が接続されているという特徴を有する。
【0076】
以上の説明した本実施形態の車両用放熱装置は、以下のような作用を奏する。図12は、本実施形態の車両用放熱装置による制御手順を示すフローチャートの一例である。
【0077】
まず、エンジン停止状態であり、かつエアコン装置600が停止状態(非稼動状態)であるかが判断される(S101、S102)。なお、本実施形態においては、制御部510、記憶部520、温度センサ530などには、エンジン停止状態であっても、最小限度の電力が供給されている。
【0078】
エンジン停止状態であり(S101:YES)、かつエアコン装置600が停止状態である(S102:YES)と判断される場合には、ユーザによって設定されている空調モードの確認がなされ、確認された空調モードの内容を記憶部520内に格納する(S103)。ここで空調モードとは、インテークドア620による内外気切換えの内容、あるいはフットドア610、フェイスドア640、およびデフドア650による吹出し口設定の内容を含み、冷暖房設定(エアミックスドア665の設定)の内容を含んでいてもよい。
【0079】
次に、空調モードの内容を記憶した後、空調モードを初期化する(S104)。たとえば、初期化によって、外気温に合わせたオートエアコンのデフォルトモードとしてもよい。なお、このように空調モードを初期化する前に空調モードの内容を記憶しておく処理(S103、S104)は、ユーザが設定している空調モードに復帰できるようにするためである。
【0080】
次に、温度センサ530によって測定された温度が所定値以上であるか否かが判断される(S105)。そして、測定された温度が所定値以上であると判断した場合(S105:YES)、制御部510はフットドア610を閉じる位置に移動させるとともに、インテークドア620を外気導入口開位置に移動させる制御を行う(S106)。換言すれば、エアコンダクトの吹出し制御としてフット位置からの吹出しを閉じるとともに、内外気切換えについては外気モードとする。具体的には、フットドア610のみを閉じ、日射加熱部分に近い位置にあるフェイスドア640および/またはデフドア650は閉じずに開放しておことが望ましい。なお、各ドアを動かすサーボモータ(不図示)には、測定された温度が所定値以上であると判断された場合のみ電力が供給されればよい。
【0081】
次に、制御部510は、送風ファン630を通常のエアコン装置600の稼動時の回転方向とは逆向きに回転させる制御を行う(S107)。この結果、インパネ吹出し口641側から外気導入口621方向への空気の流れが生じる。
【0082】
続いて、制御部610は、送風ファン630を逆回転し始めてから、第1所定時間t1が経過したか否かを判断する(S108)。このステップS108の判断は、たとえば、送風ファン630を逆回転させた時点でタイマ511をスタートさせ、このタイマ511の値を第1所定時間t1と比較することによって実行できる。送風ファン630を逆回転し始めてから、第1所定時間t1が経過したと判断される場合(S108:YES)、送風ファン630の逆回転を休止する(S109)。この結果、第1所定時間t1の間、送風ファン630が逆回転する。たとえば、好適には、第1所定時間t1は、30秒〜60秒程度である。第1所定時間t1が長すぎると、図示していないバッテリへの負担が高くなるおそれがある一方、あまりに短いとエバポレータ100等に対する空冷効果が薄れるおそれがある。
【0083】
次に、送風ファン630の逆回転を休止し始めてから、第2所定時間t2が経過したか否かを判断する(S110)。このステップS110の判断も、たとえば、送風ファン630の逆回転を休止し始めた時点でタイマ511をリスタートさせ、このタイマの値を第2所定時間t2と比較することによって実行できる。送風ファン630の逆回転を休止し始めてから、第2所定時間t2が経過したと判断される場合(S110:YES)、ステップS104に戻り、一連の処理を繰り返す。したがって、測定された温度が所定値以上であるかぎり、送風ファン630の逆回転状態と送風ファン630の休止状態とを繰り返すこととなる。すなわち、以上の処理によれば、送風ファン630を間歇的に逆回転する制御がなされる。
【0084】
なお、第2所定時間t2は、適宜に設定することができる。送風ファン630の逆回転状態においてのみ送風ファン630用のモータ(不図示)に電力を供給すればよいので、第2所定時間t2を長くすることによって消費電力が抑制される。一方、第2所定時間t2を短くすることによって、送風ファン630を逆回転させる時間の割合が高くなるので、放熱効果が高まる。したがって、バッテリ容量などに応じて、第2所定時間t2の長さを、適宜に設計することができる。
【0085】
一方、本実施の形態では、ユーザがエンジンを駆動した時点で(S101:NO)、いかなる処理過程においても、一連の処理が直ちに完了する。この際に、記憶部520内に一時的に格納しておいた稼動時空調モードに関するデータが読み出されて、ユーザによって設定されている空調モードに復帰する。したがって、図12に示される放熱処理によって、当初設定していた空調モードが変更されたままとなってしまうことが防止される。
【0086】
なお、図12に示される例では、送風ファン630を間歇的に逆回転させる場合を説明したが、本実施の形態と異なり、送風ファン630を定常的に逆回転させることもできる。たとえば、バッテリへの負担を考慮し、間歇的に逆回転させるか定常的に逆回転させるかを設定するように構成してもよい。
【0087】
また、温度センサ530に代えて、インストルメントパネル300の周辺日射量を測定する日射センサを用いることもできる。ここで、「周辺日射量」には、車室内の気温、および/または車外周辺の日射量が含まれる。この場合の制御は、には、日射量が所定量以上である場合には、上述のとおりフットドアやインテークドアを移動させる制御を実行するとともに、送風ファン630を逆回転させる制御を実行することになる。なお、具体的な処理内容は、図12に示した処理と同様であるで、詳しい説明は省略する。
【0088】
本実施形態の車両用放熱装置によれば、上記の第1〜第3の実施形態の場合の効果に加えて、以下の作用および効果を奏する。
【0089】
(シ)エアコン装置の非稼動時に、室内および/または室外の温度を測定し、測定された温度が所定値以上である場合には、フットドアを閉位置に移動させるとともに、インテークドアを外気導入口開位置に移動させる制御を行う構成によれば、要放熱部材近傍の吹出し口から外気導入口への通路が形成され、空気の流れが生じ、車室内空調用エバポレータ100から外部への熱の発散が加速される。したがって、車室内空調用エバポレータおよびヒートパイプと要放熱部材との間の熱勾配が維持されやすくなり、要放熱部材から車室内空調用エバポレータへの熱伝導が効果的に継続される。
【0090】
(ス)また、フットドアを閉位置に移動するため、エバポレータを放熱器として用いる際にフットドアを開位置のままにしておく場合と比べて車室内へ空気が逆流することを防止できる。
【0091】
(セ)特に、送風ファンを逆回転させる制御を行う構成によれば、要放熱部材近傍の吹出し口から外気導入口への通路内の空気の流れが強まる。この結果、エバポレータ100の熱が外気導入口から外部へと放熱されやすくなり、上述のエバポレータ側の温度が下がり、要放熱部材から車室内空調用エバポレータへの熱伝導がさらに効果的に継続される。したがって、要放熱部材の放熱が容易に実行される。
【0092】
(第5の実施形態)
本実施形態に係る車両用放熱装置は、上記第4の実施形態の放熱装置とほとんど同一であるが、送風ファン630の制御を省略し、インテークドア620の位置およびフットドア610の位置を制御するものである。なお、その他の点は、第4の実施形態の場合と同様であるので、詳しい説明は省略する。
【0093】
図13は、本実施形態の車両用放熱装置の制御手順を示すフローチャートの一例である。
【0094】
まず、エンジン停止状態であり、かつエアコン装置600が停止状態であるかが判断される(S201、S202)。そして、ユーザによって設定されている空調モードの確認がなされた後(S203)、一旦、空調モードが初期化される(S204)。次に、温度センサ530によって測定された温度が所定値以上であるか否かが判断される(S205)。これらのステップS201〜S205の処理は、図11に示される場合と同様である。
【0095】
次に、測定された温度が所定値以上であると判断した場合(S205:YES)、制御部510はフットドア610を閉じる位置に移動させるとともに、インテークドア620を外気導入口開位置に移動させる制御を行う(S206)。このとき、図12の場合と異なり、送風ファン630の制御は実行しない。
【0096】
次に、ステップS205に戻り、測定された温度が規定温度以上であるか否かが順次に判断される。この結果、測定された温度が規定温度以上である限り(S205:YES)、フットドア610は閉位置に移動された状態を保ち、インテークドア620は外気導入口開位置に移動された状態を保つ。
【0097】
一方、本実施の形態では、ユーザがエンジンを駆動した時点で(S101:NO)、いかなる処理過程においても、一連の処理が直ちに完了する。この際に、記憶部520内に一時的に格納しておいた稼動時空調モードに関するデータが読み出されて、ユーザによって設定されている空調モードに復帰する。
【0098】
なお、ステップS206の処理の終了後、ステップS205の処理に戻る代わりに、図11に示される場合と同様に、ステップS204の初期化処理に戻ってもよい。
【0099】
本実施形態の車両用放熱装置によれば、上記の第4実施形態の(シ)および(ス)の効果を奏することができる。すなわち、要放熱部材であるインストルメントパネル300に設けられた吹出し口と外気導入口との間の通路が構成され、この通路の途中にエバポレータ100およびエバポレータ100に至るヒートパイプ200が位置する。こうして構成された通路内には空気の移動が自然発生し、室内空調用エバポレータから外部への熱の発散が加速される。したがって、車室内空調用エバポレータおよびヒートパイプと要放熱部材との間の熱勾配が維持されやすくなり、要放熱部材から車室内空調用エバポレータへの熱伝導が効果的に継続される。
【0100】
なお、この第5実施形態によれば、送風ファン630を駆動しないため、バッテリへの負担が軽減される。したがって、バッテリの容量が高い場合には、図12に示される第4実施形態の処理を行い、バッテリ容量が低い場合には、図13に示される第5実施形態の処理を行うこともできる。
【0101】
(実施例)
図2に示される第1の実施形態における車両用放熱装置を用いて実際に実験を行った。ヒートパイプ200としては、直径5mmのヒートパイプを5本用いた。図3に示される埋設方法でヒートパイプ200をインストルメントパネル300内に設置した。なお、図3の高熱伝導材340としては、2mm厚のアルミ板を用いた。ヒートパイプ200とエバポレータ100との接続は、図4に示される接続法を用いた。
【0102】
このような状態で外気温35℃、快晴の炎天下に車両を放置してインストルメントパネル300の表面温度を計測した。この結果、通常の車両の場合にインストルメントパネルの表面温度が約90℃まで上昇したのに対し、本実施例の場合にはインストルメントパメル300の表面温度は65℃に留まった。この実施例から、本発明の車両用放熱装置が優れた放熱効果を有することが確認された。
【0103】
以上のように、本発明の車両用放熱装置の実施形態について説明したが、本発明は、これらの実施形態に制限されることなく、発明の思想の範囲内で当業者によって種々の変形、省略、追加が可能であることは明らかである。たとえば、本発明は、エアコン装置(車両用空調装置)のエバポレータを通常のエバポレータとしての機能のみならず放熱器としても用いるものであればよく、ヒートパイプとエバポレータとの接続方法は、上述の方法に限られない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 車両用放熱装置の概略を示す模式図である。
【図2】 第1実施形態の車両用放熱装置におけるインストルメントパネルとヒートパイプとの接続の一例を示す断面図である。
【図3】 第1実施形態の車両用放熱装置におけるインストルメントパネルとヒートパイプとの接続の他の例を示す断面図である。
【図4】 第1実施形態の車両用放熱装置におけるヒートパイプとエバポレータとの接続の一例を示す図である。
【図5】 第2実施形態の車両用放熱装置におけるヒートパイプとエバポレータとの接続の一例を示す図である。
【図6】 図5に示される放熱板と冷却用管帯の配置関係の一例を示す図である。
【図7】 図5に示される放熱板と冷却用管帯の配置関係の他の例を示す図である。
【図8】 第2実施形態の変形例を示す図であり、ヒートパイプの端部を直接的にフィンに接触させる場合のヒートパイプの一例を示す図である。
【図9】 第3実施形態の車両用放熱装置におけるヒートパイプとエバポレータと接続の一例を示す図である。
【図10】 第4実施形態の車両用放熱装置の構成を示すブロック図である。
【図11】 図10に示される車両用空調装置の概略構成を示す断面図である。
【図12】 図10に示される車両用放熱装置による制御手順を示すフローチャートの一例である。
【図13】 第5実施形態の車両用放熱装置による制御手順を示すフローチャートの一例である。
【符号の説明】
100…車室内空調用エバポレータ、
101…冷却用管帯、
103…冷媒用パイプ、
200…ヒートパイプ、
201…ヒートパイプ蒸発部、
202…ヒートパイプ凝縮部、
300…インストルメントパネル、
310…表皮、
320…緩衝材、
330…骨格材、
340…高熱伝導材料、
400…ヒートパイプ接続基部、
410…放熱板、
510…制御部、
520…記憶部、
530…温度センサ、
600…車両用空調装置、
610…フットドア、
620…インテークドア、
621…外気導入口、
622…内気導入口、
630…送風ファン、
640…フェイスドア、
650…デフドア。
Claims (5)
- 車室内の要放熱部材の熱を放熱するための車両用放熱装置であって、
一端が車室内空調用エバポレータに接続された一または複数のヒートパイプを、車室内の前記要放熱部材の近傍まで伸延して設け、
前記ヒートパイプには作動流体が封入され、前記ヒートパイプの前記要放熱部材側の部分は前記作動流体を蒸発させるヒートパイプ蒸発部をなし、前記ヒートパイプの前記車室内空調用エバポレータ側の部分は前記作動流体を凝縮させるヒートパイプ凝縮部をなし、前記ヒートパイプ凝縮部は、前記車室内空調用エバポレータの冷却用管帯または冷媒用パイプを貫通して取り付けられたことを特徴とする車両用放熱装置。 - さらに、前記要放熱部材表層の裏面を覆う熱伝導材料からなる裏面部材を有し、
前記ヒートパイプ蒸発部は、前記裏面部材に組みつけられていることを特徴とする請求項1に記載の車両用放熱装置。 - さらに、前記要放熱部材の周辺温度を測定する測定手段と、
車両用空調装置の非稼動時に前記測定手段によって測定された温度が所定値以上であるか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段によって前記温度が前記所定値以上であると判断された場合に、前記車室内空調装置のフットドアを閉位置に移動させる制御を行うとともに、前記車室内空調装置の外気導入口および内気導入口を選択的に開閉するインテークドアを外気導入口開位置に移動させる制御を行う制御手段と、を有することを特徴とする請求項1または2に記載の車両用放熱装置。 - 前記制御手段は、前記判断手段によって前記温度が所定値以上であると判断された場合に、前記車室内空調装置での車室内への送風ファンを定常的または間歇的に逆回転させる制御を行うことを特徴とする請求項3に記載の車両用放熱装置。
- さらに、前記要放熱部材の周辺日射量を測定する測定手段と、
車両用空調装置の非稼動時に前記測定手段によって測定された日射量が所定値以上であるか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段によって前記日射量が前記所定値以上であると判断された場合に、前記車室内空調装置のフットドアを閉位置に移動させる制御を行うとともに、前記車室内空調装置の外気導入口および内気導入口を選択的に開閉するインテークドアを外気導入口開位置に移動させる制御を行う制御手段と、を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の車両用放熱装置。
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