JP4365136B2 - 捩り振動低減装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンとトランスミッションとの間の動力伝達系等に介装されてその系の捩り振動を低減する捩り振動低減装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
捩り振動低減装置は、トルクコンバータ内のロックアップピストンとタービンとの間に介装されて、入力側と出力側とが直結された状態であるロックアップ時における捩り振動を低減するものであり、入力側回転部材である保持プレートと、出力側回転部材である伝達プレートとが円周方向においてバネ部材を介して連結された構成となっている。
【0003】
具体的には、図7(a)に示すように、ロックアップピストン側の保持プレート13の外周縁部に、円周方向に沿って長くくぼませたバネ収容部17が形成されており、バネ収容部17にバネ部材14が収容されている。そして、トルクを授受する相手部材であるタービン側の伝達プレートには軸方向に突出するバネ押圧部20が複数対突設され、一対のバネ押圧部20がバネ部材14の両端近傍に位置している。したがって、ロックアップ状態では、保持プレート13に対して伝達プレートがいずれの方向へ相対的に回転するかによって、バネ収容部17に収容されたバネ部材14が、左右の一対のバネ押圧部20のうちのいずれかによっていずれかの方向へ圧縮されながら、ロックアップピストンからタービンへトルクが伝達され、このときにバネ部材14の弾性によって捩り振動が吸収される。図7(b)は左側のバネ押圧部20がバネ部材14を右方向へ圧縮する場合であり、バネ部材14の右端はバネ収容部17の右端に位置すると共に壁18a、18bからなるバネ受部18によって支持される。バネ部材14を用いた低剛性・低ヒステリシス(低摩擦抵抗)のダンパを採用することにより、ロックアップ状態で生じるこもり音の発生が防止される。
【0004】
この種の捩り振動低減装置としては、以下のようなものがある。(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開2002-333057号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、バネ押圧部はバネ部材を半径方向へ規制せず、図7(a)に示すようにバネ収容部の外側の内周面は円弧状になっていてバネ収容部とバネ部材との間には半月状の隙間が形成されるため、保持プレートの回転速度の増大に伴なってバネ部材に作用する遠心力が大きくなると、バネ部材がその遠心力の作用を大きく受けて半径方向での外側へ向かって撓み、図7(b)のようにバネ部材の外面が全長に亘ってバネ収容部の外側の内面に強力に押し付けられることになる。したがって、遠心力の増大によって、バネ部材が圧縮される際のバネ部材とバネ収容部との間の摩擦抵抗が増大し、バネ部材のうちの特に「バネ押圧部によって圧縮される側の端部の近傍」に大きなヒステリシス(摩擦抵抗)が発生する。このようにバネ部材の圧縮される側の端部の近傍で大きなヒステリシスが生じるのは、バネ部材の「中央部」は遠心力のうちの多くがバネ部材の撓みを生じさせるのに使用され、残ったものがバネ部材をバネ収容部へ押圧するのに使用されるのに対し、バネ部材の端部の近傍では遠心力の全てがバネ部材をバネ収容部へ押圧するのに使用され、バネ部材の端部の近傍ではバネ部材をバネ収容部へ押圧する力が大きいからである。
【0007】
そこで、本発明は、バネ部材におけるバネ押圧部によって圧縮される側の端部の近傍がバネ収容部の外側の内面に当接するのを防止してヒステリシスの発生を抑制し、優れた捩り振動低減装置を提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明の構成は、相互に対向する入力側回転部材と出力側回転部材とのうちのいずれか一方の外周縁部にバネ収容部を形成すると共に当該バネ収容部の円周方向での両端位置を一対のバネ受部とし、該一対のバネ受部の間にバネ部材を収容し、入力側回転部材と出力側回転部材とのうちの他方には、前記バネ部材の双方の端面の近傍から一方へ向かって軸方向へ突出する一対のバネ押圧部を形成し、一方に対する他方の回転方向に応じて一対のバネ押圧部のうちのいずれかが前記バネ部材のいずれかの端面をいずれかの方向へ押圧して圧縮することにより捩り振動を吸収する捩り振動低減装置において、前記バネ部材が圧縮されたときに、前記バネ部材の両端部のうちのドライブ時に前記バネ押圧部が前記バネ部材を圧縮することになる側であるドライブ側端部が、前記バネ収容部における半径方向での外側の内面に当接しないように前記バネ部材を支持するための凸部を、前記バネ収容部における半径方向での外側の内面であって、前記バネ部材の前記ドライブ側端部と対応する前記バネ収容部の端部近傍を除いた位置に形成し、前記バネ受部および前記バネ押圧部の重心を、前記バネ部材の端面の中心線に対して半径方向での外側に偏らせて配置したことを特徴とする。
【0009】
バネ収容部の外側の内周面に凸部が形成されており、バネ受け部およびバネ押圧部が半径方向の外側に偏った位置でバネ部材の端面に当接するので、バネ部材を圧縮すると、バネ部材には半径方向の外側に偏った位置から圧縮荷重が加わり、バネ部材のうちのバネ押圧部により圧縮されるドライブ側端部の周辺を除いた部分と凸部とが当接するため、ドライブ側端部はバネ収容部の外側の内面から離れ、バネ部材の全長又は、ドライブ側端部から凸部に当接する部分までの一部分のみがバネとして機能する。このため、摩擦抵抗がなくヒステリシスが減少し、高い制振性が得られてこもり音の発生が抑制される。そして、バネ部材の一部分のみがバネとして機能する場合は、微小振動する部分の長さが短くなって剛性は大きくなるものの、摩擦抵抗はなくてヒステリシスは大幅に減少するので、高い制振性が得られてこもり音の発生が抑制されることに変わりはない。
【0010】
請求項2に係る発明の構成は、請求項1において、前記凸部は、前記バネ収容部の長さ方向での略中間位置に配置したことを特徴とする。
【0011】
バネ部材の略中間部が凸部によって支持され、凸部が略中間部に設けられているので、バネ部材の一方の端部(ドライブ側端部)からバネ押圧部により圧縮される場合だけでなく、他方の端部(コースト側端部)から圧縮される場合にもバネ部材を低ヒステリシスで圧縮することになり、加速時であるドライブ時とエンジンブレーキ作動時であるコースト時とのいずれの場合にもヒステリシスが大幅に減少し、こもり音の発生が抑制される。
【0012】
請求項3に係る発明の構成は、請求項1において、前記凸部は、前記バネ収容部の長さ方向での略中間位置から、前記バネ収容部の両端部のうちのコースト時に前記バネ押圧部が前記バネ部材を圧縮することになる前記バネ部材のコースト側端部と対応する前記バネ収容部の端部近傍まで、形成したことを特徴とする。
【0013】
加速時であるドライブ時には、バネ部材と凸部との当接する面積が大きいので、バネ部材が凸部に当接する部分でのバネ部材のロックが強くなって低回転でもロックし、バネ押圧部がバネ部材のドライブ側端部から圧縮する場合にバネ部材が低ヒステリシスで圧縮されることがより確実になり、ドライブ時にのみヒステリシスが大幅に減少し、こもり音の発生が抑制される。
【0014】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態1,2を図面に基づいて説明する。
【0015】
(a)実施の形態1
まず、実施の形態1について説明する。図3は自動変速機の前端部側に配置されるトルクコンバータのロックアップクラッチ部分の断面図である。図3において、1は図示しないトルクコンバータのポンプと一体化されたコンバータハウジングであり、コンバータハウジング1は前端部がエンジンの図示しないクランクシャフトに結合されている。3はタービンハブであり、トルクコンバータのタービンシェル2に一体に結合されている。このタービンハブ3は自動変速機の図示しない入力軸にスプライン結合されている。このトルクコンバータ自体は周知のものであり、図示しないクランクシャフトからコンバータハウジング1に入力されたトルクをポンプ,タービン間の流体の作用により、タービンハブ3側に伝達する基本構成となっている。
【0016】
4は高速運転時等にコンバータハウジング1とタービンハブ3とを直結するためのロックアップクラッチであり、5はこのロックアップクラッチ4とタービンハブ3との間に取り付けられた捩り振動低減装置である。
【0017】
ロックアップクラッチ4は、コンバータハウジング1の端部壁の内面に突設されたアウタドラム6と、回転自在に支持された保持プレート13にリベットを介して結合されたインナドラム7と、アウタドラム6の内周側にスプライン係合された複数の駆動クラッチ板8と、インナドラム7の外周側にスプライン係合された状態で駆動クラッチ板8の間に交互に配置された従動クラッチ板9と、油圧によって図中の左右方向へ進退操作されて駆動クラッチ板8を従動クラッチ板9に圧接させるロックアップピストン10とで構成されている。11は駆動クラッチ板8の軸方向での変位を規制するストッパである。前記ロックアップピストン10は、コンバータハウジング1の端部壁の内面に突設された円筒状の支持壁12により、摺動自在に支持されている。
【0018】
捩り振動低減装置5は、略円板状の保持プレート(入力側回転部材)13と、この保持プレート13の外周縁部に保持された複数のバネ部材14と、内周縁部がタービンハブ3のフランジ3aにリベット固定される一方、外周縁部がバネ部材14を介して保持プレート13に回転方向で連結された伝達プレート(出力側回転部材)16とで構成されている。前記保持プレート13は、タービンハブ3のフランジ3aにリベット止めされたリングプレート22を介して回転自在に支持されている。
【0019】
保持プレート13の外周縁部には、図3,図5に示すように径方向に沿って断面略コ字状に屈曲したバネ収容部17と、バネ収容部17に収容されたバネ部材14の直径寸法よりも狭い幅で同様に断面略コ字状に屈曲したバネ受部18と、が円周方向に沿って交互になるように複数形成され、これらの外周側に径方向外側に張り出す強度フランジ部19が円周方向に連続して形成されている。バネ収容部17はタービンシェル2側に開口し、バネ部材14が両側のバネ受部18を座面とするようにして収容されている。この実施の形態では、バネ収容部17は円周方向の長さの長いものと短いものの2種類が設けられており、夫々のバネ収容部17にはバネ収容部17の長さに対応したバネ部材14が収容されている。図4においては上部略中央のものが長さの短いバネ収容部17となっている(以下、単に「短収容部」という)。
【0020】
バネ収容部17は、保持プレート13の半径方向からバネ部材14を挟んでガイドする内壁17aと外壁17bとを有し、内壁17aは保持プレート13の円の接線方向に沿うように直線状に形成され、バネ部材14を収容した初期状態においてバネ部材14がほぼ直線状に維持されるようになっている。これに対し外壁17bは保持プレート13の回転軸を中心とする円弧形状に形成されている。
【0021】
バネ収容部17における半径方向での外側の外壁17bの内面には、バネ部材18が圧縮されたときに、バネ部材18が撓んで外壁17bの内面に当接しないように、凸部17cが形成されている。該凸部17cは、バネ収容部17における半径方向での外側の内面であって、バネ部材18のドライブ側端部(ドライブ時にバネ押圧部20がバネ部材18を圧縮することになる側の端部)と対応するバネ収容部17の端部近傍を除いた位置に形成されている。本実施例では、凸部17cは、バネ収容部17の長さ方向での略中間位置に配置されている。ここで、凸部が形成されない部分であってバネ収容部17の端部から凸部が形成されている部分までの長さは、車両の適性を考慮して適宜決定される。また、外壁17bからの凸部17cの突出寸法や円周方向での長さも、車両の適性を考慮して適宜決定される。
【0022】
前記バネ受部18は、半径方向での内側の壁18aと外側の壁18bとで構成され、これらの壁18a,18bの全体が、図5に示すようにバネ部材14の端面であって保持プレート13の回転軸と平行な中心線pに対し、半径方向での外側に配置して形成されている。正確には、壁18aは中心線pよりも内側に配置されているものの、両壁18a,18bの重心点が中心線pに対して外側に偏るように配置されている。
【0023】
一方、伝達プレート16は保持プレート13と同様に全体が略円板状に形成され、その外周縁部には伝達プレート16の軸心方向へ向かって突出する複数のバネ押圧部20が円周方向に離間して形成されている。各バネ押圧部20の先端側は保持プレート13の各バネ受部18の壁18a,18bの間に挿入され、その側面を座面としてバネ部材14の端面に当接するように構成されている。なお、隣接するバネ押圧部20,20の間隔は、図4に示すように短収容部以外のバネ収容部17の長さとほぼ同一に設定され、短収容部以外のバネ収容部17では、初期状態おいて各バネ押圧部20がバネ部材14の端面に当接するようになっている。
【0024】
各バネ押圧部20は、図5においてクロスハッチを入れて示すように、バネ押圧部20の先端部と付根部とがバネ部材14の端面に当接するが、これらのバネ部材14への当接部の重心は保持プレート13側のバネ受部18と同様にバネ部材14の端面の中心線pに対し半径方向の外側に偏って配置されている。ここでは、バネ部材14の中心線pに対し、バネ押圧部20の偏り量は、バネ受部18側の偏り量よりも大きく、バネ押圧部20は、バネ受部18の二つの壁18a,18bの中心よりもさらに半径方向の外側に位置している。
【0025】
保持プレート13のバネ受部18と伝達プレート16のバネ押圧部20とは、このように半径方向の外側に偏った位置でバネ部材14の端部に当接しているため、各バネ部材14には、半径方向での外側に若干偏った位置から圧縮荷重が加わる。
【0026】
保持プレート13のバネ収容部17を挟んで対向する一対のバネ受部18,18は、図4に示すように半径方向での外側の壁18b,18bどうしの間隔が内側の壁18a,18aどうしの間隔よりも大きく設定されている。各バネ部材14の端部は初期状態において壁18bから若干離間しており、保持プレート13と伝達プレート16とが相対的に回動して各バネ部材14が圧縮されると、各バネ部材14の端部が若干半径方向での外側に傾斜することとなる。
【0027】
伝達プレート16の外周縁部のうちの、隣接するバネ押圧部20,20の中間位置には、バネ収容部14の開口部を覆うようにバネカバー部21が形成され、このバネカバー部21によってバネ収容部17からのバネ部材14の飛び出しが防止される。
【0028】
次に、捩り振動低減装置の作用を説明する。クランクシャフトの回転によってポンプがコンバータハウジング1と一体に回転すると、そのポンプがタービンを回し、その動力をタービンハブ3からトランスミッションへと伝達する。この状態からクランクシャフトの回転速度等が設定した制御条件に達すると、支持壁12に設けられた油孔23からロックアップピストン10の左側に圧油が導入され、その油圧によってロックアップピストン10が右側へ押圧される。すると、このピストン10によって駆動クラッチ板8が従動クラッチ板9に押し付けられ、コンバータハウジング1の動力がロックアップクラッチ4と捩り振動低減装置5を介してタービンハブ3に直接に伝達される。
【0029】
このとき、捩り振動低減装置5においては、バネ部材14の両端部が保持プレート13と伝達プレート16とのバネ受部18・バネ押圧部20によって夫々支持され、保持プレート13と伝達プレート16との相対的な捩れに応じてバネ部材14が圧縮変形することにより、伝達系の捩り振動を吸収する。そして、保持プレート13の回転速度が大きくなり、バネ部材14に働く遠心力が大きくなると、バネ部材14はその遠心力の影響を受け、バネ収容部17の外壁17bへ向かって撓もうとする。
【0030】
しかし、この捩り振動低減装置5においては、回転速度が大きくなってバネ部材14に加わる遠心力が少し大きくなったり、保持プレート13と伝達プレート16との相対的な捩れ角度が大きくなったりすると、バネ部材14の中間部が凸部17cに当接し、遠心力が大きくなるにつれてバネ部材14が大きな力で凸部17cに押圧される。
【0031】
バネ部材14の中間部が凸部17cに当接するために、ドライブ時にバネ押圧部20でバネ部材14が圧縮されると、圧縮された側であるドライブ側端部が外壁17bから離れる。このため、バネ部材14のドライブ側端部が外壁17bに当接することはなく、バネ部材14のドライブ側端部と外壁17bとの間での摩擦抵抗が生じないことからヒステリシスの発生は大幅に減少し、その結果としてこもり音の発生が抑制される。
【0032】
凸部17cの存在により、凸部の形状の設定の仕方や車両の運転状況によっては、バネ部材14の中間部を凸部17cへ押圧する押圧力が大きくなって摩擦抵抗が大きくなり、バネ部材14の中間部が凸部17cへ押圧されてロックした状態となる可能性がある。しかし、ロックしたときでも、バネ部材14のドライブ側端部から凸部17cに当接する中間部までの間はバネとして機能することになり、微小振動する部分の長さが短くなって剛性は大きくなるものの、摩擦抵抗は殆ど生じずにヒステリシスは大幅に減少することから、こもり音の発生は十分に抑制される。
【0033】
このほか、凸部17cが略中間部に設けられているので、バネ部材14の一方の端部(ドライブ側端部)からバネ押圧部20により圧縮される場合だけでなく、他方の端部(コースト側端部)から圧縮される場合にもバネ部材14を低ヒステリシスで圧縮することになり、ドライブ側端部から圧縮される場合と同様に作用する。
【0034】
捩り振動低減装置5における捩りトルクと捩り角度θとの関係である捩り特性を図2に示す。(イ)は摩擦抵抗によるヒステリシスが作用しない状態でのバネ部材14の本来のトルクと捩り角度との関係を示すグラフであり、傾きが大きいほど剛性が大きいことを意味する。(ロ)は従来のようにバネ部材14がバネ収容部17の外側の内面に当接してヒステリシスが大きい場合を示している。こもり音が発生するのは、エンジンの回転数が1800〜2500rpmの状態のときであり、このときバネ部材には微振幅の振動が生じている。そのときのバネ部材の変位量はΔθ=0.1〜0.5°である。このようにヒステリシスが生じる場合は捩れが遅れて生じるために、トルクを一定量だけ増大させた直後にΔθだけ捩れ、次にトルクを一定量だけ減少させた直後にΔθだけ捩れが戻るという動きとなって直線ではなくて平行四辺形を描き、トルクと捩り角度との関係を示すグラフはみかけ上は破線で示す(ロ)となって、捩り剛性は本来の(イ)よりも高くなる。剛性が高くなると共振点が上がってきて制振領域が狭くなり、多くの範囲で制振効果が低下する。しかもヒステリシスが高いことによる制振効果の低下も併せ持つため、最終的な制振効果の低下は顕著なものとなる。実線で示す(ハ)は本発明でバネ部材がロックした場合のトルク特性を示すグラフであり、(イ)ほどは剛性は小さくはないが、従来の(ロ)に比べれば剛性がかなり小さくなることを示している。つまり、バネ部材がロックした場合であっても、従来に比べてヒステリシスが低いために、制振効果の低下は最小限に抑えることができることになる。
【0035】
加速時であるドライブ時には、図1のようにバネ部材14の左側であるドライブ側端部がバネ押圧部20により圧縮されるが、エンジンブレーキ作動時であるコースト時には、バネ部材14の右側であるコースト側端部(コースト時にバネ押圧部20がバネ部材18を圧縮することになる側の端部)がバネ押圧部20により圧縮されることになり、この場合も圧縮方向が反対になることを除いてはバネ部材14を低ヒステリシスで圧縮する点は同じであり、ドライブ時とコースト時とのいずれの場合でも、大きな摩擦トルクの発生が防止されてヒステリシスが大幅に減少し、吸振性能が発揮されてこもり音が抑制される。
【0036】
(b)実施の形態2
次に、実施の形態2を図6に基づいて説明する。なお、実施の形態1と同一部分には同一符号を付し、重複する部分については説明を省略する。
【0037】
この実施の形態の捩り振動低減装置は、実施の形態1と同様にトルクコンバータ内のロックアップクラッチ部分に適用したものであり、バネ収容部17の構造以外は実施の形態1と同様の構成である。
【0038】
実施の形態1では外壁17bにおけるバネ収容部17の長さ方向での略中間位置に凸部17cを形成したが、実施の形態2は、凸部17cの部分だけでなく、これに加えてバネ部材14の両端部のうちのコースト側の端部と対応するバネ収容部17の端部の近傍、つまりは図6においてバネ収容部17の右端にわたって凸部を形成することによって凸部を連続的に形成し、バネ部材14が当接する長い凸部17dを形成したものである。これにより、凸部17dはバネ収容部17の長さの約2/3の長さになっている。凸部17dの内側の面は、内壁17aと略平行で直線状に形成されている。
【0039】
加速時であるドライブ時には、バネ部材14が凸部17dに当接する面積が大きいので、バネ部材14のロックの強度が強くなって低回転でもロックし、バネ押圧部20が左方の端部からバネ部材14を圧縮する場合に、バネ部材14を確実に低ヒステリシスで圧縮することができ、加速時であるドライブ時にのみヒステリシスが確実に減少し、こもり音の発生が確実に抑制される。逆にエンジンブレーキ作動時であるコースト時には、バネ押圧部20がバネ部材14を圧縮する側であるバネ部材14の右方の端部は凸部17dに当接しているので、バネ押圧部20がバネ部材14の右方の端部から圧縮する場合には、バネ部材14の右方の端部は開放されておらず、こもり音の発生の抑制機能は低下する。これは、コースト時のこもり音の発生が問題とならない場合には、バネ押圧部20がバネ部材14の左端であるドライブ側端部からバネ部材14圧縮する際に、バネ部材14の中間部がより確実にロックされることを優先させたものである。
【0040】
なお、保持プレート13が回転しない初期状態においては、バネ部材14が凸部17cに当接していてもよく当接していなくてもよい。また、本発明は実施の形態で説明した構成に限るものではなく、例えば、バネ部材を保持する保持プレートを出力側に配置し、バネ押圧部を有する伝達プレートを入力側に配置することも可能である。更に、捩り振動低減装置を適用する場所もトルクコンバータ内に限らず、トルクコンバータの外部やトルクコンバータを採用しない車両の他の動力伝達部に適用しても良い。更に、実施の形態では多板式のクラッチを用いたものについて示したが、単板式のクラッチや、その他の構成のクラッチを用いたものでもよい。
【0041】
このほか、バネ収容部の長さ方向での略中間位置から、バネ部材の両端部のうちのコースト時にバネ押圧部がバネ部材を圧縮することになるコースト側端部と対応するバネ収容部の端部まで凸部を形成したが、略中間位置には設けず、コースト側端部と対応するバネ収容部の端部近傍のみに凸部を形成するようにしてもよい。この場合は、実施の形態2の場合よりもバネとして機能する部分の長さが長くなり、剛性が小さくなるというメリットがあるが、長くなる分だけ撓み易いので、バネ部材として機能する部分の一部が収容部の外側の内周面と擦れないように、凸部の配置に十分に注意することが必要である。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に係る発明によれば、バネ部材が圧縮されたときに、バネ部材の両端部のうちのドライブ時にバネ押圧部がバネ部材を圧縮することになる側であるドライブ側端部が、バネ収容部における半径方向での外側の内面に当接しないようにするために、バネ部材を支持するための凸部を、バネ収容部における半径方向での外側の内面であって、バネ部材のドライブ側端部と対応するバネ収容部の端部近傍を除いた位置に形成し、かつバネ受け部およびバネ押圧部が半径方向の外側に偏った位置でバネ部材の端面に当接するようにしたので、バネ部材には半径方向の外側に偏った位置から圧縮荷重が加わり、バネ部材のうちのバネ押圧部により圧縮されるドライブ側端部の周辺を除いた部分と凸部とが当接し、ドライブ側端部はバネ収容部の外側の内面から離れ、バネ部材の全長又は、ドライブ側端部から凸部に当接する部分までの一部分のみがバネとして機能する。このため、摩擦抵抗がなくヒステリシスが減少し、高い制振性が得られてこもり音の発生が抑制される。そして、一部分のみがバネとして機能する場合は、微小振動する部分の長さが短くなって剛性は大きくなるものの、摩擦抵抗はなくなってヒステリシスは大幅に減少し、その結果として高い制振性が得られてこもり音の発生が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す要部の構成図。
【図2】本発明の実施の形態と従来とを比較するためのものであり、捩り角度とトルクとの関係である捩り特性を示すグラフ。
【図3】本発明の実施の形態を示す捩り振動低減装置の断面図。
【図4】一部破断して示す図3のA矢視図。
【図5】図3の要部の詳細を示す拡大図。
【図6】本発明の実施の形態2の要部を示す構成図。
【図7】従来の捩り振動低減装置の要部の作用説明図。
【符号の説明】
5…捩り振動低減装置
13…保持プレート
14…バネ部材
16…伝達プレート
17…バネ収容部
17c,17d…凸部
18…バネ受部
20…バネ押圧部
Claims (3)
- 相互に対向する入力側回転部材と出力側回転部材とのうちのいずれか一方の外周縁部にバネ収容部を形成すると共に当該バネ収容部の円周方向での両端位置を一対のバネ受部とし、該一対のバネ受部の間にバネ部材を収容し、入力側回転部材と出力側回転部材とのうちの他方には、前記バネ部材の双方の端面の近傍から一方へ向かって軸方向へ突出する一対のバネ押圧部を形成し、一方に対する他方の回転方向に応じて一対のバネ押圧部のうちのいずれかが前記バネ部材のいずれかの端面をいずれかの方向へ押圧して圧縮することにより捩り振動を吸収する捩り振動低減装置において、
前記バネ部材が圧縮されたときに、前記バネ部材の両端部のうちのドライブ時に前記バネ押圧部が前記バネ部材を圧縮することになる側であるドライブ側端部が、前記バネ収容部における半径方向での外側の内面に当接しないように前記バネ部材を支持するための凸部を、前記バネ収容部における半径方向での外側の内面であって、前記バネ部材の前記ドライブ側端部と対応する前記バネ収容部の端部近傍を除いた位置に形成し、
前記バネ受部および前記バネ押圧部の重心を、前記バネ部材の端面の中心線に対して半径方向での外側に偏らせて配置したことを特徴とする捩り振動低減装置。 - 前記凸部は、前記バネ収容部の長さ方向での略中間位置に配置したことを特徴とする請求項1に記載の捩り振動低減装置。
- 前記凸部は、前記バネ収容部の長さ方向での略中間位置から、前記バネ収容部の両端部のうちのコースト時に前記バネ押圧部が前記バネ部材を圧縮することになる前記バネ部材のコースト側端部と対応する前記バネ収容部の端部近傍まで、形成したことを特徴とする請求項1に記載の捩り振動低減装置。
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