JP4349504B2 - タンデムミルを使用する高光沢のba仕上ステンレス鋼の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は熱間圧延オーステナイト系ステンレス鋼帯を焼鈍酸洗後、冷間圧延を行ない、その後BA焼鈍を行なう、高光沢のBA仕上ステンレス鋼の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
BA仕上オーステナイト系ステンレス鋼を製造する場合、ホットコイルを焼鈍酸洗後冷間圧延を実施し、その後BA焼鈍することにより製造している。特に、良好な表面光沢を有するBA仕上オーステナイト系ステンレス鋼を得るためにはレバースミルによる冷間圧延を実施しなければならない。従来、高光沢のBA仕上オーステナイト系ステンレス鋼を製造する場合は、ホットコイルを焼鈍酸洗後、全量レバースミルに投入し冷間圧延を実施していた。そのため、レバースミルでのパス回数が多くなり冷間圧延時間が非常に長くなるという問題があった。さらに、冷間圧延する製品板厚が厚い場合にはレバースミルは未圧代用材(ST材)が必要になる。そのため、冷間圧延時間が増加するだけではなくコストも増大する。
【0003】
前述のごとく、冷間圧延を全量レバースミルで実施する場合、冷間圧延時間が増加するために各パス毎に圧延材の製品の温度低下が大きくなる。特に、コイルエッジ部では顕著であり、そのため、コイルエッジ部において加工誘起マルテンサイトが多量に生成する。その結果、製品にエッジクラックが発生し製品歩留が低下する。また、冷間圧延時間が増加することにより圧延能率が非常に悪化する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
一般的に、光沢を必要としない仕上のオーステナイト系ステンレス鋼の製造においてはタンデム圧延により能率の良い冷間圧延を行なうことができるが、高光沢のBA仕上オーステナイト系ステンレス鋼の製造は、レバースミルで冷間圧延を実施している。レバースミルによる冷間圧延は圧延時間が大幅に長くなり圧延能率が非常に悪い。さらに、製品におけるエッジクラックの発生量も多く製品歩留の悪化が顕著である。また、冷間圧延する製品板厚が厚い場合にはレバースミルは未圧代用材(ST材)が必要になる。
【0005】
タンデムミルでの冷間圧延は能率が高い。短時間で冷間圧延を実施すると加工の発熱により昇温した製品の材料温度が低下しにくく、製品の加工誘起マルテンサイトの発生量も少ない。しかしながら、高光沢のBA仕上オーステナイト系ステンレス鋼を得るためには、ミネラルオイルを使用したレバースミルで冷間圧延することが必要である。本発明の課題は双方の特性を考慮し、これらの限界値を見つけ出し、コントロールすることにより課題を解決するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、熱間圧延オーステナイト系ステンレス鋼帯を焼鈍酸洗後、冷間圧延を施すにあたり、タンデムミルによる冷間圧延後、未焼鈍のままレバースミルによる冷間圧延を行ない、前記タンデムミルによる冷間圧延の圧下率を30%以上とし、前記レバースミルによる冷間圧延の圧下率を少なくとも30%とする、高光沢のBA仕上ステンレス鋼の製造方法を提供するものである。
【0007】
図1は、タンデムミルとレバースミルの圧下率別の板センター部と板エッジ部の加工誘起マルテンサイトの生成量の差を示す。前述のごとく、レバースミルではコイルのセンター部とエッジ部においてはエッジ部の方がセンター部に比べ加工誘起マルテンサイトの生成量が多い。タンデムミルによる冷間圧延では圧下率にかかわらずその差は1.5%以下であるが、レバースミルによる冷間圧延では圧下率が30%以上においてその差は急激に増加しており4.5%〜7.5%に達する。すなわち、レバースミルでは30%以上冷間圧延することにより、エッジ部に加工誘起マルテンサイトが生成するが、タンデムミルでは冷間圧延しても、エッジ部だけ異常に加工誘マルテンサイトの生成量が増加することはない。そのため、レバースミルでの冷間圧延によるエッジ部とセンター部の加工誘起マルテンサイトの差を生じなくするため、タンデムミルによる冷間圧延量を30%以上とし、その後のレバース圧延の圧下量をできるだけ軽減することがのぞましい。
【0008】
図2は、レバースミルでの冷間圧延の圧下率別の光沢度及びBA判定推移を示す。目視判定(光沢)の光沢度860°以上を得るためにはレバースミルでの圧下率が24%以上必要であり、光沢度870°以上を得るためにはレバースミルでの圧下率が30%以上必要である。これらの結果から、高光沢のBA仕上ステンレス鋼を製造するためには、レバースミルによる冷間圧延を圧下率30%以上行なうことが必要であることがわかる。
【0009】
図3は、従来の方法である全量レバースミルにより冷間圧延した場合と、本発明の方法であるタンデムミルにて冷間圧延後レバースミルで冷間圧延した場合の、各パス工程ごとの板幅方向における加工誘起マルテンサイトの生成量を表したものである。パス回数が少ない時はタンデムミルおよびレバースミル共に加工誘起マルテンサイト生成量は少ない。しかし、レバースミルでのパス回数が増加すると加工誘起マルテンサイト生成量が増加し、特に、コイルエッジ部においては顕著に増加している。
【0010】
図4は、全量レバースミルによる冷間圧延と、タンデムミルによる冷間圧延後レバースミルによる冷間圧延を実施した場合の、最終パス後における板幅方向における加工誘起マルテンサイトの生成量を表したものである。従来の製造方法であるレバースミル単独で冷間圧延する場合、コイルエッジ部の加工誘起マルテンサイトの生成量が29%にも達している。これに対し、本発明の製造方法であるタンデムミルによる冷間圧延後レバースミルによる冷間圧延を実施した場合では、途中板厚までの圧延に際し圧延時間がレバースミルに比較し短いことから、圧延材の全幅での温度変化が小さく圧延時に発生する加工誘起マルテンサイトの生成量がコイルエッジ部において25%と比較的低く、コイル幅方向の偏差も小さい。このことは、冷間圧延がレバースミルのみの場合は、コイル全体の加工誘起マルテンサイトの生成量が高いだけではなく、エッジ部において極めて高くなり、その偏差も大きいことを示している。
【0011】
【発明の実施の形態】
連続鋳造にてステンレス鋼(鋼種SUS304)スラブを製造し、熱間圧延後、焼鈍酸洗し、製品板厚3.0mmのホットコイルとした。その後、冷間圧延を行い、さらに、BA焼鈍を行い、板厚0.8mmのBA仕上の製品を製造した。本発明による製造方法および従来の製造方法について、その品質特性、製品歩留、製造性および作業性を評価し比較した。
【0012】
本発明の製造方法では、板厚3.0mmのホットコイルを焼鈍酸洗後、板厚1.14mmまでタンデムミルにより冷間圧延を行ない、その後、レバースミルより最終製品の板厚0.8mmまで冷間圧延を実施して、さらに、BA焼鈍を行なって、BA仕上の製品を製造した。レバースミルによる冷間圧延の圧下量をできるだけ少なくするために最低値の30%とした。すなわち、最終製品の板厚0.8mmの10/7倍の値1.14mmを途中板厚とした。このように、製品板厚から冷間圧延におけるタンデムミルの途中板厚を決定した。その後、BA焼鈍を行なった。
【0013】
従来からの製造方法では、板厚3.0mmのホットコイルを焼鈍後、全量レバースミルにより冷間圧延を行ない、さらに、BA焼鈍を行なって、板厚0.8mmのBA仕上の製品を製造していた。レバースミルによる冷間圧延は板厚3.0mmから実施しなければならないため、多量の未圧代用材(ST材)が必要であった。さらに、パス回数が増加する度に、加工誘起マルテンサイトの生成量も増加し、コイルのエッジ部とセンター部での加工誘起マルテンサイトの生成量に差が生じ、最終パスまでこの影響が続いた。このように、従来からの製造方法では、コイルエッジに多量のクラックが発生し、製品歩留が低下する。
【0014】
しかしながら、本発明の製造方法では、板厚0.8mmの高光沢のBA仕上の製品を得ることができる。また、板幅方向での加工誘起マルテンサイトの生成量の偏差が小さく、その後、レバースミルでの冷間圧延を実施しても板幅方向の加工誘起マルテンサイトの生成量の偏差は小さい。これによりエッジクラックの発生は防止される。表1に実施例および評価を示す。
【0015】
【表1】
【0016】
【発明の効果】
本発明を実施することにより、コイルのエッジクラック等の品質異常を防止することができる。その結果、冷間圧延における歩留改善を達成することができる。さらに、途中板厚までタンデムミルを使用することにより、未圧代用(ST材)付工程の省略、圧延時間の短縮等による作業能率の大幅な向上を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】タンデムミル(TM)とレバースミル(RM)の圧下率別の板センターと板エッジの加工誘起マルテンサイトの生成量差
【図2】レバースミル(RM)での冷間圧延の圧下率別の光沢度及びBA判定推移
【図3】全量レバースミル(RM)とタンデムミル(TM)及びレバースミル(RM)により冷間圧延した場合の各パスにおける加工誘起マルテンサイト生成量の板幅方向推移
【図4】全量レバースミル(RM)とタンデムミル(TM)及びレバースミル(RM)により冷間圧延した場合の最終パスにおける加工誘起マルテンサイト生成量の板幅方向推移
Claims (1)
- 熱間圧延オーステナイト系ステンレス鋼帯を焼鈍酸洗後、冷間圧延を施すにあたり、タンデムミルによる冷間圧延後、未焼鈍のままレバースミルによる冷間圧延を行ない、前記タンデムミルによる冷間圧延の圧下率を30%以上とし、前記レバースミルによる冷間圧延の圧下率を少なくとも30%とする高光沢のBA仕上ステンレス鋼の製造方法。
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JP32351499A JP4349504B2 (ja) | 1999-11-15 | 1999-11-15 | タンデムミルを使用する高光沢のba仕上ステンレス鋼の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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