JP4341221B2 - タイルカーペットおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、基材の裏側に塩化ビニル系樹脂で裏打ちされたタイルカーペットにおいて、使用済み回収品または製造時の端材などをリサイクル活用するために有効なリサイクル素材使用のタイルカーペットの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来よりタイルカーペット製造時には裁断端材が発生し、また、使用済みカーペット類、特にタイルカーペットはほとんど建築廃材としてリサイクルされることなく廃棄処分されていた。ところが、近年、地球環境の保護と資源の有効活用の観点から、廃タイルカーペットの残材および端材、リニューアルに伴う廃材の処理が課題となっている。現在、タイルカーペットのバッキング材の9割以上が塩化ビニール系樹脂に依存しており、適正処理およびリサイクル方法の開発が望まれている。
【0003】
タイルカーペットのリサイクル方法としては、各種方法が提案されている。たとえば、特許文献1は、粉砕後に、カーペットの樹脂裏打ち層として、バージン原料のゾルに該タイルカーペットの粉砕物を散布し、サンドイッチして積層して樹脂裏打ち層として再生する方法、特許文献2は、カーペット廃材を利用してシートを作成する方法、特許文献3は、カーペット廃材の粉砕物をタイルカーペットの樹脂裏打ち層の材料の一部とし、バンバリーミキサーで混練、カレンダー圧延してカーペットタイルを製造する方法を提案している。
【0004】
一方、カーペットを粉砕、分離する方法として、特許文献4は、カーペットを低温で、衝撃力を与えて粉砕し、表面パイル層を分離してリサイクルする方法を提案している。また、特許文献5では、廃棄カーペット材を再生利用するために、少なくとも2つの粉砕化段階と振動式ふるい工程を含む3つの分離段階から樹脂裏打ち層を分離し、溶融押出し法による裏張り材としてのリサイクル方法を提案している。タイルカーペットの樹脂裏打ち層をリサイクルするにあたっては、表面パイル層を精度良く分離することが必要となるが、その効率的な方法として、羽車などによりカーペットを叩くことにより、粉砕分離する方法が公知である。
【0005】
ところで、現在、使用されているタイルカーペットの大部分は、大きく分けて上層と下層に区分される。1998年の生産量で見ると、上層の繊維系素材は、ナイロン、ポリプロピレンが96%を占め、下層の樹脂系素材は97%がPVCで構成されている。ペーストゾルコート方式により製造されたタイルカーペットは、表面パイル層が樹脂裏打ち層に植設されているため、表面パイル層と樹脂裏打ち層は剥離し難く、両層を分離してリサイクルすることは容易でなかった。
【0006】
また、タイルカーペットを粉砕して樹脂裏打ち層を、素材としての樹脂材料としてリサイクルするためには、表面パイル層からなる繊維成分を精度良く分離することが必要であった。たとえば、前述の羽車などによりカーペットタイルを叩いて粉砕する形態の衝撃式粉砕機で粉砕した場合、表面パイル層からなる繊維成分は解されて膨らみ、樹脂成分の一部は繊維成分と分離されるものの、綿状になった繊維成分と樹脂分が絡み合って分離できず、効率が上がらないという問題があった。
【0007】
また、特許文献4のカーペットを低温で、衝撃力を与えて粉砕し、表面パイル層を分離してリサイクルする方法では、−30℃という低温での衝撃破砕を行って粉砕・分離する方法であるが、低温にして粉砕、分離するためには専用の設備が必要となり、その冷却・粉砕に関わる処理コストが嵩む点が問題であった。
【0008】
一方、タイルカーペットの廃材をリサイクルする方法として、特許文献1の3mm以下に粉砕後に、カーペットの樹脂裏打ち層としてバージン原料のゾルに散布し、サンドイッチして積層して再生する方法、特許文献2のカーペット廃材を利用してシートを作成する方法、特許文献3のカーペット廃材の粉砕物をタイルカーペットの樹脂裏打ち層の材料の一部とし、バンバリーミキサーで混練、カレンダー圧延してカーペットタイルを製造する方法が提案されているが、これらは、塗布したペーストゾル上タイルカーペットの粉砕物を散布する、あるいは、溶融混練後に押出しシートとして、タイルカーペットの樹脂裏打ち層を形成してリサイクルするものである。
【0009】
ところで、特許文献5のカーペットの再生方法は、粉砕と攪拌手段を付帯したサイクロンによる気流式分離を繰り返した後に、振動ふるいにて使用済みカーペットから裏張り材を回収する方法である。この方法によると裏張り材からなる重い材料に含まれる不純物の割合は2重量%以下とすることが可能なことが記されているが、回収された裏張り材は溶融混練してシート化してリサイクルされ、微粉砕後、ペーストゾルコート法で、再度、タイルカーペットにリサイクルすることは試みられていない。
【0010】
タイルカーペットの裏打ち樹脂を再生、リサイクルする場合、裏打ち樹脂として使用される塩化ビニル系樹脂は、表面パイル層を構成する繊維成分、たとえば、ナイロン、ポリエステルと溶融温度が異なるため、ペーストゾルコート方式でタイルカーペットの樹脂裏打ち層を形成する場合、繊維分が多量に混入すると、空気を巻き込んで裏打ち樹脂層の表面に凹凸が生じて表面性が損なわれる、あるいは、ペーストゾルが粘度上昇し易くて成形加工性が低下し、できあがった製品の品質が損なわれるという問題があった。また、ペーストゾル中に繊維分を多量に含む樹脂を混合してリサイクルした場合、前記問題から、樹脂裏打ち層を均一に塗布できない、樹脂裏打ち層の表面性が損なわれる、樹脂裏打ち層の形成時に、ゾル混合物の粘度が高く成り易くて充分な量の樹脂を添加してリサイクルすることができないという問題があった。そのため、タイルカーペット廃材の裏打ち樹脂をリサイクルするためには、表面パイル層からなる繊維成分を精度良く分離し、繊維成分の混入量を低減すること、繊維成分を精度良く分離した樹脂微粉砕物をペーストゾル中に均一に分散することが必要であり、基材の裏面にペーストゾル混合物からなる樹脂裏打ち層を形成してリサイクルするための効率的な製造方法を確立する必要があった。
【0011】
【特許文献1】
特公平7−110530号公報
【特許文献2】
特開平11−105096号公報
【特許文献3】
特開平7−32520号公報
【特許文献4】
特開平9−173197号公報
【特許文献5】
特表2002−509036号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、タイルカーペット廃材の裏打ち樹脂をリサイクルするために、表面パイル層の繊維成分を精度良く分離して、樹脂への繊維成分の混入量を低減し、繊維成分を精度良く分離した樹脂微粉砕物をペーストゾル中に均一に分散し、基材の裏面にペーストゾル混合物からなる樹脂裏打ち層を形成してリサイクルするための効率的な製造方法、および該製造方法によって得られる高品質なリサイクルタイルカーペットを提供する。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ペーストゾルコート方式でのタイルカーペット製造方法において、塩化ビニール系樹脂を裏打ちしたタイルカーペットの表面パイル層からなる繊維成分を分離し、繊維成分の含有量が4重量%以下に分離、除去された樹脂裏打ち層の微粉砕物を下記配合からなる塩化ビニル系樹脂ペーストゾルに0.5重量%以上20重量%以下の比率で混合し、該ペーストゾル混合物をゾルコーターで所定の面上に塗布後、基布にパイルをタフトした基材を積層して基材の裏面に樹脂裏打ち層を形成してなるタイルカーペットの製造方法に関する。
塩化ビニル系樹脂ペーストゾル配合
(a)塩化ビニル系ペースト樹脂 100重量部
(b)可塑剤 50〜150重量部
(c)充填剤 100〜500重量部
(d)安定剤 1〜10重量部
(e)顔料 1〜10重量部
【0015】
前記タイルカーペットの表面パイル層からなる繊維成分の分離において、
タイルカーペットを剪断式粉砕機で粉砕する第1粉砕工程、該粉砕物中の繊維成分を風力分離装置で風力分離する第1風力分離工程、風力分離して回収した樹脂成分をスイングハンマクラッシャで粉砕する第2粉砕工程、および該粉砕物中の繊維成分を風力分離装置により風力分離する第2風力分離工程により、樹脂裏打ち層の粉砕物を回収し、
回収された該樹脂粉砕物を微粉砕機で微粉砕する微粉砕工程および該微粉砕後に篩により選別する篩選別工程からなる分離方法により、タイルカーペットの表面パイル層からなる繊維成分を分離するのが好ましい。
【0016】
前記第1風力分離工程および第2風力分離工程で使用する風力分離装置が、
(ア)上部に真空吸引口(a)を設け、下部に空気補給口を設けた縦円筒形の分離塔内に円形板をその周囲に通気間隙が存するように水平に支持し、該円形板の中心部に空気輸送管により、粉砕機で粉砕したタイルカーペットの粉砕物を搬入し、該粉砕物を円形板の周縁部から落下させるとともに表面パイル層からなる繊維成分を、空気補給口から入り分離塔内を上昇する空気流に乗せて真空吸引口(a)に吸引させるようにしたダスト分離装置(A)、または
前記ダスト分離装置(A)の後に、(イ)水平に配置されるとともに出口側を除いて周縁に囲枠を立設した平板状の揺動皿からなり、前記出口側の底面に開口を設けるとともに前記開口に前記開口を覆いかつ所定の網目を有するネットを配設し、前記出口側に前後動して供給される前記粉砕物を前記出口側に順次送る揺動皿と、前記ネット上方に所定の間隔離して対向位置する真空吸引口(b)を配設した吸引ダクトとからなり、前記揺動皿の前後動に伴い前記ネット上面を通過して排出される混合物中の繊維成分を真空吸引により吸引するようにしたダスト分離装置(B)を組み合わせたダスト分離装置(C)であるのが好ましい。
【0017】
前記ダスト分離装置(A)が、分離塔の略下半部を漏斗状に形成されるとともに、該分離塔内に円形板を上下動自在に吊下支持することにより通気間隙を調節可能としたダスト分離装置であるのが好ましい。
【0018】
前記ダスト分離装置(B)において、真空吸引口(b)を上下動できるようにしてネットとの間隔を自在に変更できるようにするのが好ましい。
【0019】
前記剪断式粉砕機で粉砕された粉砕物の大きさを規制するパンチングメタルからなるスクリーンを設置することにより粉砕された該粉砕物の粒径を3mm以上30mm以下にするのが好ましい。
【0020】
前記剪断式粉砕機の回転刃と固定刃の刃先間隔を0.4mm以上3mm以下となるように調整するのが好ましい。
【0021】
前記剪断式粉砕機の回転刃と固定刃の刃先間隔を、回転刃および/または固定刃の刃先を削り落として調整するのが好ましい。
【0022】
前記スイングハンマクラッシャが、横型スイングハンマクラッシャであり、さらに粉砕された粉砕物の大きさを規制するパンチングメタルまたは格子からなるスクリーンを設置し、該粉砕物の粒径を2mm以上20mm以下に粉砕するのが好ましい。
【0023】
前記微粉砕工程で使用される微粉砕機が、渦流衝撃型粉砕機または粉砕された粉砕物の大きさを規制するパンチングメタルからなるスクリーンを設置した横型スイングハンマクラッシャであり、該粉砕物の粒径を1.5mm以下に粉砕するのが好ましい。
【0024】
前記横型スイングハンマクラッシャの回転体の軸方向に対して平行な軸心回りにその一端側が回転自在に固定される複数の衝撃ハンマをそれぞれ板状とすると共に、これら複数の衝撃ハンマを1枚と、もしくは2枚以上を1組とし、それぞれの板状衝撃ハンマの面方向が前記回転体の軸方向に対して直角であり、かつ、互いに所定間隔を開けて配置されているのが好ましい。
【0025】
前記篩選別工程で使用される篩の目開きが、0.1mm以上1.5mm以下であるのが好ましい。
【0026】
前記第2風力分離工程で回収した樹脂成分を、比重分離機で比重分離した後に微粉砕するのが好ましい。
【0027】
また、本発明は、前記製造方法によって得られたタイルカーペットに関する。
【0028】
また、本発明は、基布にパイルをタフトした基材および該基材の裏面の樹脂裏打ち層からなるタイルカーペットであって、
該樹脂裏打ち層が、廃タイルカーペットから分離回収された樹脂裏打ち層の微粉砕物中の繊維成分の含有量が7重量%以下である微粉砕物を、0.5重量%以上20重量%以下含んでなるタイルカーペットに関する。
【0029】
【発明の実施の形態】
本発明において、被処理対象物であるタイルカーペットの製品形状は、たとえば、50cm×50cm、厚み約6mmで、表面パイル層と樹脂裏打ち層の厚みがほぼ同じ程度のものである。
【0030】
本発明で使用するタイルカーペットとしては、カーペット製造時に生じる裁断端材屑やリニューアル時に廃棄される物などを含むが、特に塩化ビニル系樹脂などの熱可塑性樹脂からなるバッキング材にて裏打ちされたものである。表面パイル層の繊維素材としては、ナイロンフィラメント、ポリプロピレンフィラメント、ウール、アクリル、ポリエステルフィラメントが使用されているが、その内、ナイロンフィラメントが75%以上を占めている。樹脂裏打ち層を構成する素材としては、塩化ビニール系樹脂、ビチューメン、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン系樹脂などがあるが、日本で製造されるタイルカーペットは、塩化ビニール系樹脂が97%(1998年)を占める。樹脂裏打ち層が、塩化ビニル系樹脂製からなるタイルカーペットにおいては、表面パイル層を形成する繊維成分を精度良く分離すれば、回収される樹脂は、塩化ビニール系樹脂であるため、加工性が高く、リサイクルも容易である。
【0031】
本発明のタイルカーペットおよびその製造方法の要旨とするところは、表面パイル層からなる繊維成分を樹脂成分から分離除去した後に、微粉砕し、該微粉砕物を篩選別して表面パイル層からなる繊維成分の含有量が7重量%以下とした樹脂微粉砕物を、塩化ビニル系樹脂ペーストゾルに0.5重量%以上20重量%以下を混合してペーストゾルコート法により製造したタイルカーペットペットおよびその製造方法、および、表面パイル層からなる繊維成分を樹脂成分から分離除去した後に、微粉砕し、該微粉砕物を篩選別して表面パイル層からなる繊維成分の含有量が4重量%以下とした樹脂微粉砕物を、塩化ビニル系樹脂ペーストゾルに0.5重量%以上20重量%以下を混合してペーストゾルコート法により製造したタイルカーペットペットおよびその製造方法にある。
【0032】
(I)タイルカーペットを構成する表面パイル層と樹脂裏打ち層の分離
タイルカーペットは、先ず、第1粉砕工程において、剪断式粉砕機を使用して容易に粉砕される。本発明で使用する剪断式粉砕機は、たとえば、図2に示し、以下で説明するが、この剪断式粉砕機でタイルカーペットを粉砕した場合、表面パイル層からなる繊維層も切断されて、タイルカーペットの粉砕物が回収される。タイルカーペットを剪断式粉砕機で粉砕する場合、該剪断式粉砕機には、通常、パンチングメタルからなるスクリーンが設置され、該スクリーンの開口径を選択することにより、所望の粒径の粉砕物を回収することができる。
【0033】
さらに、第1粉砕工程において使用される剪断式粉砕機の回転刃および固定刃の刃先間隔を0.4mm以上3mm以下、好ましくは、0.7mm以上2mm以下となるように調整することで、後述するように、第1風力分離工程での繊維成分の分離性が向上し、その結果、最終的に回収される樹脂中の繊維成分の分離レベルが向上することとなる。これは、タイルカーペットの表面パイル層が樹脂裏打ち層に植設されているため、通常の剪断式粉砕機でタイルカーペットを粉砕すると、樹脂表面に植設された繊維成分は切断されて粉砕物が回収される。一方、剪断式粉砕機の回転刃と固定刃の刃先間隔を調整した剪断式粉砕機を用いて粉砕した場合、繊維成分の粉砕刃間での切断作用が小さくなり、樹脂成分や繊維成分が回転刃に引っ掛かって、繊維成分が切断される前に、樹脂成分を繊維成分から擦り落としたり、繊維成分を樹脂成分から引き抜く作用が生じて分離され、分離精度が向上するものである。
【0034】
剪断式粉砕機の回転刃および固定刃の刃先間隔を調整する方法として、回転刃および/または固定刃の刃先をヤスリなどで削り落して調整することもできる。その場合、回転刃および/または固定刃の刃先の削り落とすレベルは、繊維が切れ難くて樹脂分が粉砕可能なレベルが好ましく、回転刃と固定刃の刃先間の間隔が、0.4mm以上3mm以下、好ましくは、0.7mm以上2.3mm以下となるようにヤスリなどで削ってクリアランスを調整する、あるいは、通常の剪断式粉砕機における固定刃と回転刃の刃先間隔を変更することにより達成される。ヤスリで粉砕刃を削り落とす場合、固定刃と回転刃の両方、あるいは、片方のみを削り落とすことが可能であるが、通常、固定刃と回転刃のクリアランスは、0.3mm程度であるので、両方の刃先を削り落とす場合、その削り代は0.05mm以上1.35mm以下となるが、最終的に回収される樹脂粉砕物中に含まれる繊維成分の分離性およびタイルカーペットの粉砕効率の点から、0.2mm以上1mm以下が好ましい。また、回転刃および/または固定刃の刃先を削る代わりに、切断のための刃が付けられてない回転刃および固定刃を使用することも可能である。
【0035】
タイルカーペットを回転刃および固定刃の刃先を削った剪断式粉砕機を使用して粉砕する場合、あらかじめ粗切断した後に粉砕する方が好ましい。粗切断する大きさとしては、1cm角以上20cm角以下であり、第1粉砕工程に使用する剪断式粉砕機に投入可能な大きさにしておくことが好ましい。また、剪断式粉砕機には、粉砕された粉砕物の大きさを規制するパンチングメタルからなるスクリーンを設置して、該粉砕物の粒径が3mm以上30mm以下、好ましくは、5mm以上10mm以下に粉砕することが繊維成分の分離効率の点から好ましい。
【0036】
本発明のタイルカーペットの樹脂材料分離方法の第2粉砕工程で使用される粉砕機は、後述するようにハンマからなる回転刃を回転して粉砕するスイングハンマクラッシャである。このスイングハンマクラッシャは、回転軸の円周に設置された複数のハンマを回転軸の回転により回転駆動させ、被処理物に衝撃を与え、その衝撃力により粉砕するものであり、ハンマクラッシャの1つである。
【0037】
建設産業調査会、廃棄物処理・再資源化技術ハンドブック編集委員会編「廃棄物処理・再資源化技術ハンドブック」によると、ハンマクラッシャには、横型リングハンマクラッシャ、横型スイングハンマクラッシャ、竪型リングハンマクラッシャ、竪型スイングハンマクラッシャの4種のハンマクラッシャが記載されているが、これらの中でも本発明で使用するのは、スイングハンマクラッシャである。さらに、スイングハンマクラッシャの中でも横型スイングハンマクラッシャが最も好ましい。リングハンマクラッシャでは、リングハンマによる被処理物のスクリーンへの押出し作用により、衝撃・すり潰して破砕するため、本発明で使用するスイングハンマクラッシャに比べて、本発明における被処理物であるタイルカーペットを粉砕する場合、樹脂裏打ち材に植設された繊維成分を叩き解して樹脂裏打ち材から分離する効果が小さくなる。また、前記したごとくスイングハンマクラッシャの中でも横型スイングハンマクラッシャが最も好ましく、回転軸の円周に一端を固定して回転自由に設置された複数のハンマを回転軸の回転により生じる遠心力により回転軸に対して鉛直方向に開いて回転駆動させ、被処理物に衝撃を与え、その衝撃力により粉砕するものである。
【0038】
前記横型スイングハンマクラッシャの衝撃ハンマは、モーターにより回転駆動される回転体の軸方向に対して平行の軸心回りに、その一端側が回転自在に固定して複数の衝撃ハンマがそれぞれ板状であると共に、これら複数の衝撃ハンマの1枚、または2枚以上を1組として、それぞれの面方向が前記回転体の軸方向に対して直角で、かつ、互いに所定間隔を開けて配置されたものを使用することが好ましい。2枚を1組とした衝撃ハンマを使用する場合、2枚の衝撃ハンマが密接に接合しないように片方の衝撃ハンマに突起を設けて間隔を取るように設置すると、衝撃を与える断面積が2枚分の断面積を有する1枚の板状の衝撃ハンマを使用するよりも、タイルカーペットの粉砕物に与える衝撃頻度を高めることができる。2枚の衝撃ハンマの間隔は、供給する被処理物の大きさや粉砕機の能力に合わせて選択することが好ましいが、たとえば、11kWの動力を有する横型スイングハンマクラッシャを使用する場合、5mm以上10mm以下程度に設定することが好ましい。
【0039】
この横型スイングハンマクラッシャに、本体下部にパンチングメタルまたは格子からなるスクリーンをセットすることにより、その開口を通過する粒度に達するまで被処理物は繰り返し粉砕され、開口を通過して排出される。スイングハンマクラッシャの回転刃は一端が回転ポールに懸架されて固定されていないため、材料(タイルカーペットの粉砕物)を投入して粉砕する際に、タイルカーペットの粉砕物や繊維成分からなる綿状ゴミが回転刃に引っ掛かって負荷がかかった場合、回転刃が逃げて、許容負荷以上の負荷がかかり難い点に特徴が有る。このようにタイルカーペットを粉砕して繊維成分を分離する場合、前記4種のハンマクラッシャのうちの横型スイングハンマクラッシャが最も有効である。横型スイングハンマクラッシャの中でも、刃の形状を最適な物に容易に交換して変更しやすいこと、刃の回転数が高いことなどの理由により、その一機種としてバルツ型粉砕機が本発明の実施に好適である。
【0040】
特に、横型スイングハンマクラッシャは、通常、スクリーンが設置され、高速でハンマからなる回転刃を回転して粉砕するため、前記ハンマクラッシャに対して、被処理物に与える衝撃頻度が高い点が特徴である。その回転数は、1000rpm以上1800rpm以下である場合、粉砕効率が高く、望ましい態様である。また、横型スイングハンマクラッシャを使用すると、スクリーンの開口径で粉砕物の大きさをコントロールでき、被処理物の滞留時間を制御することができる。
【0041】
すなわち、横型スイングハンマクラッシャでタイルカーペットを粉砕した場合、ハンマからなる回転刃により被処理物に衝撃を与えることで、繊維成分が植設された樹脂裏打ち材を叩いて砕くため、繊維成分と樹脂裏打ち層の樹脂成分の分離を効率的に行うことができる点に特徴を有する。
【0042】
本発明の横型スイングハンマクラッシャには、吸引用エアダクトをその所定の部位、たとえば、図3に示すように、粉砕された粉砕物がスクリーン9の開口を通過して落下する粉砕機内部6に設け、この横型スイングハンマクラッシャの内部をブロワーに接続した前記吸引エアダクトから吸引することによって、粉砕により生じたタイルカーペットの粉砕物を吸引回収することができ、さらに、格子またはパンチングメタルからなるスクリーンを通過する粉砕物の通過速度を前記吸引ダクトによる吸引で向上することで、処理速度を向上させ、粉砕機内部における被処理物の詰まり、付着を防止する作用を併せ持たせることができる。
【0043】
ところで、本発明では、第1粉砕工程で剪断式粉砕機、第2粉砕工程でスイングハンマクラッシャというように、剪断式粉砕機とスイングハンマクラッシャとを組み合わせてタイルカーペットの粉砕を行なっている。これに対し、剪断式粉砕機のみを使用し、第1粉砕工程でスクリーンの開口径を大とし、第2粉砕工程でスクリーンの開口径を小さくするようにして、2段階でタイルカーペットの粉砕を行った場合、前述の様に、タイルカーペットの樹脂裏打ち層の樹脂成分の粉砕と共に、表面パイル層を形成する繊維成分が切断され、樹脂裏打ち層に繊維成分が植設されたままの粉砕物として回収されるため、該粉砕物を風力分離装置、篩選別機、比重分離機をどのように組み合わせて処理しても、繊維成分を樹脂成分から精度良く分離することが困難であった。
【0044】
また、あらかじめ、タイルカーペットを剪断式粉砕機で粉砕しないで、スイングハンマクラッシャで粉砕すると、繊維成分が回転刃に絡まって粉砕機内部に貯まり、スイングハンマクラッシャの運転時に負荷がかかり、粉砕効率が上がらないという問題があった。また、前述の羽車などによりカーペットタイルを叩いて粉砕する形態の粉砕機を使用した場合においても、表面パイル層を形成する繊維成分は解されて膨らみ、樹脂成分の一部は繊維成分と分離されるものの、綿状になった繊維成分は切断されず、樹脂と該繊維成分が絡み合って分離し難く、効率が上がらないという問題があった。
【0045】
これに対して、あらかじめ、タイルカーペットを剪断式粉砕機で粉砕した粉砕物を風力分離した後に、スイングハンマクラッシャで粉砕すると、繊維成分は剪断式粉砕機で細かく切断されているため、回転刃に絡み付いて負荷がかかる、スイングハンマクラッシャの内部に繊維成分が溜まって排出されないという問題が生じ難くなる。
【0046】
タイルカーペットの粉砕は、粉砕物の大きさを規制するパンチングメタルからなるスクリーンを設置した剪断式粉砕機を用いることにより、所望の大きさの粉砕物を得ることができ、該粉砕物の粒径が3mm以上30mm以下、好ましくは、5mm以上10mm以下に粉砕することが好ましい。この粉砕物の粒径が30mm以上では、前述のように、第2粉砕工程において、タイルカーペットの繊維成分がスクリーンの上部に貯まり易くなり、粉砕機の負荷が高くなって、粉砕効率が低下するという問題が生じる。一方、3mm未満では、粉砕効率および繊維成分の分離精度が低下する。さらに、粉砕物の粒径を5mm以上10mm以下となるように選択すると、タイルカーペットを効率良く粉砕でき、横型スイングハンマクラッシャで粉砕処理される過程で、繊維成分が樹脂成分から充分に剥離されるためより好ましい。
【0047】
また、剪断式粉砕機で粉砕した該粉砕物を風力分離した後に、横型スイングハンマクラッシャで粉砕する場合、粉砕物の大きさを規制するパンチングメタルまたは格子からなるスクリーンを設置して該粉砕物の粒径が2mm以上20mm以下、好ましくは3mm以上7mm以下に粉砕することが望ましい。これは、該粉砕物の粒径が2mm未満では、繊維成分がスクリーンを通過しにくくなるため粉砕効率が著しく低下し、20mmを超えると、回収樹脂粉砕物と繊維成分からなる綿状ゴミとの分離性が損なわれるためである。中でも、3mm以上7mm以下に粉砕すると、樹脂粉砕物と繊維成分からなる綿状ゴミの分離性が良く、粉砕効率が高いため、より好ましい。粉砕物粒径の調製は、粉砕機に設置するスクリーンの開口の大きさを選択することにより達成される。
【0048】
また、タイルカーペットの粗切断、剪断式粉砕機での第1粉砕工程、横型スイングハンマークラッシャでの第2粉砕工程における粉砕は、順次、タイルカーペットの粉砕物の粒径が細かくなるようにスクリーンを選択して粉砕することが、繊維成分からなる綿状ゴミの分離性が向上するため、好ましい。
【0049】
本発明のタイルカーペットの樹脂材料分離方法の第1風力分離工程および第2風力分離工程で使用される風力分離装置としては、特開2000−37663号に示されるダスト分離装置(以下、ダスト分離装置29(A)という)、またはダスト分離装置29(A)と特開2002−219447号に示されるダスト分離装置(以下、ダスト分離装置29(B)というが、詳細は後述する)とを直列に配設したダスト分離装置(以下、ダスト分離装置(C)という)が、繊維成分の分離精度が高く、好ましい。
【0050】
一般に使用される公知の風力分離装置としては、分級装置の機構を有する乾式の装置が応用され、使用されているものが大半である。日刊工業社出版の「粉体機器・装置ハンドブック」の風力分級装置の項によると、分級装置は、そのメカニズムにより、重力分級、慣性分級、遠心分級の3者に分類されており、その代表的な機種が示されている。重力分級として水平流型、垂直流型、ジグザグ型が、慣性分級として直線型、曲線型、ルーバー型が、遠心分級としてサイクロン、ファントンゲレン、クラシクロン、ディスパーション、セパレータ、ミクロプレックスが挙げられ、遠心分級機として回転羽付きの遠心分級機も示されている。
【0051】
前述のダスト分離装置は、自動車内装材などの廃棄物を粉砕することによってできる破砕チップと綿状ゴミとの混合物を分離することを目的として開発した風力分離装置である。ダスト分離装置29(A)は、上部に真空吸引口(a)を設け下部に空気補給口を設けた縦円筒形の分離塔内に円形板をその周囲に通気間隙が存するように水平に支持し、該円形板上の中心部に空気輸送管によって、表面パイル層を形成する繊維成分と樹脂裏打ち層からなる樹脂成分の混合物からなるタイルカーペットの粉砕物を搬入させ、該樹脂成分の粉砕物を円形板の周縁部から落下させるとともに粉砕された表面パイル層を形成する該繊維成分を空気補給口から入って分離塔内を上昇する空気流に乗せて真空吸引口(a)に吸引することを特徴とする。
【0052】
さらに、前記ダスト分離装置29(A)は、分離塔の略下半分を漏斗状に形成するとともに、該分離塔内に円形板を上下動自在に吊下支持することにより通気間隙を調節可能としたことを特徴とするものである。また、樹脂粉砕物中に僅かに繊維成分からなる綿状ゴミが混入する分離レベルにする、かつ、連続的に、綿状ゴミ類を効率良く分離するのに適した風力分離装置である。
【0053】
タイルカーペットの粗切断物または端材は、剪断式粉砕機で粉砕された後、第1風力分離工程においてダスト分離装置29(A)またはダスト分離装置29(A)とダスト分離装置(B)を直列に接続したダスト分離装置29(C)で表面パイル層を形成する繊維成分を風力分離することにより、引き続き、第2粉砕工程において粉砕処理されるスイングハンマクラッシャでの粉砕時のトラブル、すなわち、回転刃に絡み付いて負荷がかかる、スイングハンマクラッシャの内部に繊維成分が溜まって排出されないという問題を低減し、繊維成分からなる綿状ゴミが分離された樹脂回収物が衝撃粉砕されることにより、分離効率を向上するものである。内部に吸引エアダクトを接続したスイングハンマクラッシャに導入されて衝撃粉砕された樹脂粉砕物は、さらに、第2風力分離工程で表面パイル層からなる繊維成分の綿状になったものが風力分離される。
【0054】
第1風力分離工程および/または第2風力分離工程において、ダスト分離装置29(C)を使用した場合、ダスト分離装置29(A)から回収された樹脂裏打ち層からなる粉砕物は、ダスト分離装置29(B)の遥動皿に受け入れると共に遥動させることにより粉砕物を出口側に順次送る。この間、粉砕物の外表面に付着し、前記分離塔では取れなかった綿状物は、互いに隣り合う粉砕物が擦れ合うことによって落とされる。このようにしてネット上面に達すると、上側から吸引され上昇する空気流に押され軽い綿状ゴミ類は舞い上がり真空吸引口(b)に吸引され、一方、粉砕物は重いため舞い上がることなく排出される。この操作により、タイルカーペットの樹脂裏打ち層からなる樹脂粉砕物はさらに純度が高くなる。
【0055】
前記真空吸引口(b)とネットとの間隔またはネットの網目の大きさは、タイルカーペットの粉砕物によって、それぞれ効率的に樹脂粉砕物と繊維成分との分離が行われるように適宜所定量に設定される。また、該ダスト分離装置29(B)は、一般に分離塔(ダスト分離装置29(A))と直列に組み合わせてダスト分離装置(C)として使用されるが、粉砕物の状態によっては、ダスト分離装置29(B)単独で使用することも可能である。
【0056】
さらに、タイルカーペットの表面パイル層を形成する繊維成分と樹脂裏打ち層からなる樹脂成分の分離精度を向上するために、前記ダスト分離装置から回収された樹脂粉砕物を比重分離機にて比重分離してもよい。前記ダスト分離装置に加え、さらに比重分離機を使用すれば、繊維成分と樹脂成分との分離精度をより向上する上で有効である。
【0057】
本発明で使用される比重分離機の原理図を図8に示す。建設産業調査会出版の「廃棄物処理・再資源化技術ハンドブック」によると、一般に流体として水を使用する代わりに空気を使用し、ゴミの比重選別法として研究開発が進められているものである。この装置において、比重の異なる物質を、それらの終末速度に近い空気流に入れると、軽比重の物質は上層に、重比重の物質は下層へと層を形成する。これらの層を乱さないようにして最下部のスクリーンに振動を与え、比重差による浮遊状態の差と振動による関わり合いとの差によって分離分級する機構となっており、傾斜を利用することによって重比重物は傾斜上部106へ移動させるとともに、軽比重物は傾斜下部105へ移動させてそれぞれの物質を取出して選別分離する物である。
【0058】
前記ダスト分離装置から回収したタイルカーペットの粉砕物を比重分離機で処理した場合、樹脂裏打ち層からなる樹脂成分は重比重物として傾斜上部106へ移動されて回収され、表面パイル層を形成する繊維成分は、その一部が軽比重物として傾斜下部105へ、綿状となったものは、空気流に吹き上げられて分離される。繊維成分の大半は、空気流に吹き上げられるため、前記傾斜スクリーン上部に集塵機に接続された吸引用エアダクトを設置して吸引することにより、繊維成分を分離、回収することができ、作業環境を清浄とするため好ましい。
【0059】
さらに、タイルカーペットの表面パイル層を形成する繊維成分と樹脂裏打ち層からなる樹脂成分の分離精度を向上するために、剪断粉砕して風力分離をした後に、スイングハンマクラッシャによる粉砕とダスト分離装置による風力分離を繰り返し処理することも有効である。タイルカーペットの樹脂成分をスイングハンマクラッシャで繰り返し粉砕処理する場合、該粉砕機に設置するスクリーンの開口径が小さい物に変更することにより、該樹脂成分をスイングハンマクラッシャのスクリーン上で滞留させることができ、該樹脂粉砕物に、再度、回転刃による衝撃を与えて、付着した繊維成分を分離することにより分離精度を向上することができる。
【0060】
ところで、タイルカーペットは、製品としての寸法安定性を確保するため、ガラス繊維基布が使用されている。そのため、粉砕時に発生する粉塵や繊維成分の埃中にはガラス繊維が含まれるため、作業環境を汚染しないように、各工程は吸引用エアダクトを接続し、輸送ブロワーでタイルカーペットの粉砕物を搬送するように構成してクローズド系システムで処理することが好ましい。また、排気されるエアは、集塵装置を設置して、集塵装置を介して粉塵を回収することがさらに好ましい。また、タイルカーペットの粗粉砕物や剪断式粉砕機で粉砕されたタイルカーペットの粉砕物は、次工程にベルトコンベアを使用して搬送する方法または空気輸送する方法を取れば、連続処理が可能となる。前記2つの輸送方法の内、ベルトコンベアを使用する方法は、設備費の点で有利である。
【0061】
( II )分離樹脂の微粉砕
タイルカーペットを構成する表面パイル層と樹脂裏打ち層を分離し、回収した樹脂裏打ち層の粉砕物は、微粉砕機で微粉砕することにより、ペーストゾルに均一に混合、分散することが容易となる。ペーストゾルコート方式で、大きい粒径の微粉砕物が混入されると、樹脂裏打ち層の表面に凹凸が生じて表面性が損なわれ、タイルカーペットの外観が悪くなりかねないため、微粉砕物の大きさは1.5mm以下とするのが好ましい。また、タイルカーペットの裏打ち層を形成する際に、ペーストゾルを基材の裏側にコーターで塗布する時に、通常、コーターのクリアランスは、約1mm程度に設定されることもあるため、前記微粉砕物の大きさは、1mm以下に調製することがより好ましい。
【0062】
また、前記樹脂微粉砕中に含まれる繊維成分の含有量は、7重量%以下となるように、タイルカーペットの廃材または端材から表面パイル層からなる繊維成分を前記粉砕、分離方法により分離することが好ましい。繊維含有量が7重量%を超えると、塩化ビニル系樹脂ペーストゾル混合物の粘度が高くなり、コーティングにより樹脂裏打ち層の加工が困難となる。さらに、前記樹脂微粉砕物中に含まれる繊維成分の含有量が4重量%以下となるように繊維成分の分離を精度良く行うと、塩化ビニル系樹脂ペーストゾル混合物の粘度を低くコントロールすることが容易となり、かつ、繊維成分を分離した樹脂微粉砕物および充填材料の配合量を増すことができる。すなわち、樹脂微粉砕物中の繊維含有量が低いほど、ペーストゾル混合物の粘度が低くなるため、その結果、樹脂微粉砕物を多く配合してタイルカーペットの樹脂裏打ち層を形成可能となるため、タイルカーペットの廃材または端材をリサイクルする上で、繊維含有量の低い樹脂微粉砕物を調製することが好ましい。
【0063】
粉体工学会編の「粉体工学便覧」によると、微粉砕機としては、ローラーミル、衝撃式粉砕機であるアトマイザ、ピンディスクミル、スーパーミクロンミル、ボールミル、攪拌ミル、ジェット粉砕機などが記載されているが、樹脂裏打ち層の微粉砕物を調製するために使用する微粉砕機としては、翼またはハンマを高速回転させて微粉砕する機構を有する衝撃式粉砕機を使用すると、連続的に所望の微粉砕物を効率良く回収できるため好ましい。中でも、渦流衝撃型粉砕機(ターボミル)または前記横型スイングハンマクラッシャに2mm以下の開口径を有するスクリーンを設置した粉砕機を使用し、たとえば、2500回転以上5000回転以下の高速回転にて、繊維成分を分離した樹脂を微粉砕することが作業性、生産性の点からより好ましい。
【0064】
また、回収された樹脂微粉砕物は篩選別することにより、微粉砕物の粒度を調製可能であり、また、繊維成分の破片も分離、除去されるため、分離精度を向上することができる。その篩の目開きとしては、0.1mm以上1.5mm以下、好ましくは0.5mm以上1mm以下である。篩の目開きが1.5mmより大きいと、微粉砕した樹脂微粉砕物の粒度分布が広くなり、回収した微粉砕物の均一性が低下し、0.1mmより小さいと、微粉砕物を調製するための効率が低下するためである。さらに、0.1mmより小さい微粉砕物の含有量が多くなると、微粉末の全表面積が大きくなり、その結果、ペーストゾルに混合、分散した時のゾル粘度が上がり易くなる。また、篩で選別することにより、微粉砕物とならなかった樹脂粉砕物および繊維破片は篩上に残るため、繰り返し微粉砕機で微粉砕することにより、回収率は向上することができる。
【0065】
( III )ペーストゾルコート方式でのタイルカーペット製造
ペーストゾルコート方式では、ベルトや板など所定の面上に塩化ビニル系樹脂ペーストを塗布したのち、基布にパイルをタフトした基材を積層することにより、基材の裏面に塩化ビニル系樹脂による樹脂裏打ち層を形成し、タイルカーペットとする。
【0066】
たとえば、ベルト表面をポリテトラフルオロエチレン(PTFE)でコートしたPTFEベルトなど、離型性のベルト上に塩化ビニル系樹脂ペーストゾルをコーターで塗布した後、基布にパイルをタフトした基材を積層し、表面パイル層の軟化温度より低い温度、たとえば、120〜150℃に加熱、ゲル化され樹脂裏打ち層が形成される。
【0067】
また、本発明のタイルカーペットにおける、樹脂裏打ち層を形成するための塩化ビニル系樹脂ペーストゾルは、以下に示す比率で配合し、使用することが好ましく、さらに、(a)〜(e)を配合した塩化ビニル系樹脂ペーストゾルに、吸湿剤、抗酸化剤、滑剤、加工性改良剤、紫外線吸収剤、消泡剤(気泡防止剤)などの添加剤を選択して添加することもできる。
(a)塩化ビニル系ペースト樹脂 100重量部
(b)可塑剤 50〜150重量部
(C)充填剤 100〜500重量部
(d)安定剤 1〜10重量部
(e)顔料 1〜10重量部
【0068】
本発明で使用される塩化ビニル系ペースト樹脂としては、ポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−エチレン−酢酸ビニル共重合体などの塩化ビニル系共重合体を含むものである。
【0069】
本発明で使用される可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジヘキシルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート(DOP)、ジ−イソノニルフタレート、リン酸エステル系、塩素化パラフィン、トリメリット酸エステル、エポキシ化大豆油などの単独または混合して使用されるが、ジ−2−エチルヘキシルフタレート(DOP)を使用することが加工性の点から好ましい。
【0070】
また、本発明で使用される充填剤としては、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、クレー、タルクなどの無機充填剤であり、これらは単独または混合して使用されるが、その中でも、重質炭酸カルシウムを使用することが好ましい。充填剤の配合量により樹脂裏打ち層の硬度が調整され、充填剤の比重が高い物を使用すると遮音性を向上することもできる。
【0071】
さらに、安定剤としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸Ca−Zn、ステアリン酸Ba−Zn、Pb系金属石鹸、有機錫系安定剤が公知であるが、ステアリン酸カルシウムを使用することが好ましい。顔料としては、カーボンブラック、二酸化チタンなどが挙げられる。
【0072】
表面パイル層からなる繊維成分を分離、除去した樹脂微粉砕物は、前記配合で調製された塩化ビニル系樹脂ペーストゾルに対して、0.5重量%以上20重量%以下で混合、分散し、基布にパイルをタフトした基材の裏側に積層することにより、樹脂裏打ち層を形成してタイルカーペットを製造することが好ましい。該樹脂微粉砕物を20重量%より多く混合すると、微粉砕物中に吸収される可塑剤が多くなり、繊維分を完全に除去した樹脂微粉砕物を使用し、充填剤の配合量を減量した場合においても、ゾル混合物の粘度が上昇してコーターで塗布できない状況になるためである。また、樹脂微粉砕物の混合量が0.5重量%よりも少ない場合、リサイクル効率が低すぎる。
【0073】
さらには、表面パイル層からなる繊維成分を分離、除去した樹脂微粉砕物は、0.5重量%以上10重量%以下で配合することがより好ましく、該樹脂微粉砕物を10重量%以下で配合することにより、充填剤量を、たとえば300部以上使用した場合においても、ゾル混合物の安定性が高くなり、樹脂裏打ち層を容易に形成することができる。さらに、表面パイル層からなる繊維成分を分離、除去した樹脂微粉砕物を0.5重量%以上5重量%以下にすると、タイルカーペット製造時の加工幅が広がるため、より好ましい。
【0074】
図9に示すのは、塩化ビニル系樹脂ペーストゾルに、表面パイル層からなる繊維成分を分離、除去した樹脂微粉砕物を混合、分散し、該ペーストゾル混合物をPTFEベルト207にゾルコーター205で塗布した後に、基布にパイルをタフトした基材208を積層してタイルカーペットの樹脂裏打ち層を形成するタイルカーペットの製造方法の一例を示す系統図である。本発明の塩化ビニル系樹脂ペーストゾルは、塩化ビニル系樹脂ペーストゾルタンク201において、塩化ビニル系ペースト樹脂、可塑剤、充填剤、安定剤、顔料と各種添加剤を配合して調製される。そして、前記塩化ビニル系樹脂ペーストゾルを攪拌機付き混合槽204に移送ポンプ202で移送した後に、表面パイル層からなる繊維成分を分離、除去した樹脂微粉砕物を混合槽上部に設置したリサイクル樹脂微粉砕物ホッパー203より投入し、攪拌機により混合、分散して均質化される。均質化された塩化ビニル系樹脂ペーストゾル混合物は、樹脂裏打ち層を形成するラインに移送ポンプ206で移送され、PTFEベルト207上にゾルコーター205で塗布した後に、その塗布層の上にガラス繊維基布209が重ね合わせられる。更に、その上に前記塩化ビニル系樹脂ペーストゾル混合物をゾルコーター210により塗布した後、基布にパイルをタフトした基材208を積層してタイルカーペットの樹脂裏打ち層が形成される。このようにして樹脂裏打ち層が積層されたタイルカーペットは、表面パイル層の軟化温度よりも低い温度に加熱、ゲル化された後、PTFEベルトから剥され、裁断して製品とされる。
【0075】
以下に本発明をさらに詳しく説明する。
【0076】
本発明のタイルカーペットは、タイルカーペットの使用済み廃材および製造時に発生する端材をリサイクル素材として有効利用することを目的としたものである。
【0077】
図1の系統図を参照しつつ、本発明の一実施の形態におけるタイルカーペットおよびその製造方法を説明する。
【0078】
タイルカーペットの端材を、まず最初に、第1粉砕工程で使用する剪断式粉砕機に投入して粉砕可能な大きさとして、1cm角以上20cm角以下に、塩化ビニール製樹脂成形品を粉砕可能な汎用粉砕機で粗切断した。つぎに、パンチングメタルからなるスクリーンを設置した三力製作所製一軸剪断式粉砕機を使用して、タイルカーペットの粗切断物または端材3aを3mm以上30mm以下、好ましくは5mm以上10mm以下の大きさに粉砕し、樹脂粉砕物3bを回収した(第1粉砕工程)。該粉砕物3bは、ダスト分離装置29(A)またはダスト分離装置29(C)に空気輸送して、繊維成分と樹脂成分を分離(第1風力分離工程)した後に、パンチングメタルまたは格子からなるスクリーンを設置した横型スイングハンマクラッシャ1により、2mm以上20mm以下、好ましくは3mm以上7mm以下の粒径に粉砕した(第2粉砕工程)。さらに、該粉砕物をダスト分離装置29(A)またはダスト分離装置29(A)の分離塔22の下部にダスト分離装置29(B)を設置したダスト分離装置29(C)で、繊維成分を粉砕物から分離してタイルカーペットの粉砕物5cを回収した(第2風力分離工程)。
【0079】
前記一軸剪断式粉砕機17は、回転刃が3枚刃であるものと4枚刃のものが知られているが、図2に示すのは、3枚刃の例であり、回転刃15の下部に粉砕された粉砕物の大きさを規制するパンチングメタルからなるスクリーン9を設置し、さらに、一軸剪断式粉砕機における回転刃の先端16aおよび/または固定刃の先端16bを繊維が切れ難くて樹脂分が粉砕可能なレベルに削り落とし、回転刃15と固定刃14の刃先間の間隔が、0.4mm以上3mm以下、好ましくは、0.7mm以上2.3mm以下となるように刃先間隔を設定した一軸剪断式粉砕機で粉砕した。回転刃15および/または固定刃14の刃先を削り落とすと、タイルカーペットの樹脂裏打ち層に植設されている表面パイル層を形成する繊維成分は、粉砕刃間での切断作用が小さくなり、樹脂成分や繊維成分が回転刃に引っ掛かって、繊維成分が切断される前に、樹脂成分を繊維成分から擦り落としたり、繊維成分を樹脂成分から引き抜く作用が生じて分離され、分離精度が向上するものである。
【0080】
図5に示すのは、本発明の処理対象であるタイルカーペットの粗切断物または端材を一軸剪断式粉砕機で粉砕し、ダスト分離装置29(A)で風力分離することにより、タイルカーペットを構成する繊維成分を分離して樹脂粉砕物5aを回収する分離方法(すなわち、第1粉砕工程および第1風力分離工程)を示す系統図である。タイルカーペットの粗切断物または端材3aは、一軸剪断式粉砕機17の投入口18から投入され、一軸剪断式粉砕機17に設置されたスクリーン9の開口より小さい大きさまたは同じ程度の大きさになるまで剪断粉砕され、スクリーンの開口を通過して受け皿19に排出される。粉砕された粉砕物3bは、輸送用ファンモーター21により、吸引用エアダクト4を通じて、ダスト分離装置29(A)の分離塔22に導入されて風力分離される。
【0081】
図4のダスト分離装置29(A)の縦断面図に示したように、分離塔22は下半部が漏斗状なる縦円筒形を呈していて、その上部に真空吸引口(a)31が設けられ、下部に空気補給口32が設けられている。30は該分離塔22中に軸受30aにより回転自在に支持されたハンドル軸、36は該ハンドル軸の外端部に形成されたハンドル、37は該ハンドル軸30に一端を巻回した吊下チェーンである。33は該吊下チェーンに吊下支持された円形板で、これによって該円形板33はその周囲に通過間隙35が存するように分離塔22内中心に水平に支持される。そして空気輸送管20の先端開口38を該分離塔22内にて下向きとして該円形板33の中心に相対向させる。なお、26は空気補給口32の下方に配置した樹脂粉砕物回収箱である。
【0082】
図5において、25は分離塔22上部の真空吸引口(a)31に吸引側ダクト24を接続したファン、28は該ファン25の吹出側に設けられたサイクロンセパレーター、27は該サイクロンセパレーター28の下部に設けられた繊維分回収装置である。
【0083】
この装置では、ファン25を運転し真空吸引口(a)31より分離塔22内の空気を吸引することにより、該分離塔内に図4に矢印で示したような空気補給口から入って分離塔内を上昇する空気流を形成させる。そして、円形板33上の中心部に空気輸送管20で輸送された前記樹脂粉砕物3bを搬入させる。そうすると、軽い繊維成分からなる綿状ゴミ13はその空気流に乗って舞い上がり真空吸引口(a)31に吸引されサイクロンセパレーター28に送られる。また粉砕物3b中の樹脂粉砕物5aは重いため舞い上がることなく円形板33の周縁部から落下し該分離塔の内壁面を滑り落ち樹脂粉砕物回収箱26に落下する。
【0084】
また、サイクロンセパレーター28では遠心分離作用によって空気とともに送られてきた繊維成分からなる綿状ゴミ13が分離され、該繊維成分からなる綿状ゴミ13は繊維分回収装置27内に集積され、回収繊維23として詰められる。
【0085】
この分離塔22では、ハンドル36を操作しハンドル軸30を回転させることによって吊下チェーン37に吊下支持された円形板33が上下動し通気間隙35の大きさを調節可能であるので、タイルカーペット粗切断物または端材を粉砕することによって出来た粉砕物3b中の樹脂粉砕物5aの大きさや比重、あるいは繊維成分からなる綿状ゴミ13の性状に合わせて両者の分離が容易に行われ得るように最適な通気間隙35を設定することができる。即ちこの通気間隙35を適宜設定することによって該分離塔中を上昇する気流の速度を簡単に調節できるので、樹脂粉砕物回収箱26に落下した樹脂粉砕物5aの状況を見ながら該円形板33の高さを調節することによって常に好ましい分離状態が得られる。
【0086】
図6は、前記回収された樹脂粉砕物5aを、さらに、スイングハンマクラッシャで粉砕し、ダスト分離装置29(C)を用いて、前述と同様な操作により風力分離して該粉砕物中の繊維成分を分離し、樹脂粉砕物5cを回収する分離方法(すなわち、第2粉砕工程および第2風力分離工程)を示す系統図である。
【0087】
タイルカーペットの粗切断物または端材3aを、一軸剪断式粉砕機で粉砕物3bとし、ダスト分離装置29(A)で風力分離してタイルカーペット樹脂粉砕物5aとした後に、スイングハンマクラッシャ、好ましくは横型スイングハンマクラッシャ1で粉砕する(第2粉砕工程)。図6に示すように、タイルカーペットの樹脂粉砕物5aは、横型スイングハンマクラッシャ1の投入口2から投入された後、高速回転する回転体7に取りつけられて懸架したハンマからなる衝撃ハンマ8で衝撃を与えられ、細かく切断されるとともに叩かれる。そして、タイルカーペットの樹脂粉砕物5aは、横型スイングハンマクラッシャ1に設置されたスクリーン9の開口より小さい大きさまたは同じ程度の大きさとなるまで衝撃力が与えられ、スクリーンの開口を通過して粉砕機内部6へと排出される。粉砕処理された粉砕物は、吸引用エアダクト4中を通って輸送ブロワー11でダスト分離装置29(A)へと空気輸送管20を通じて輸送される。ダスト分離装置29(A)にて、樹脂粉砕物は、繊維成分からなる綿状ゴミ13が分離され、ダスト分離装置29(A)の下部から樹脂粉砕物5bが回収される。
【0088】
前記横型スイングハンマクラッシャ1は、図3に示すように、その投入側1aにモーターなどにより高速回転する回転体7を備えると同時に、排出側1bがケース状に形成されている。そして、回転体7の上方には原料を投入する投入口2が設けられるとともに、下方には格子またはパンチングメタルからなる半円形状のスクリーンが設けられている。
【0089】
回転体7には、その回転軸10とほぼ平行に複数の固定用ポール12が取り付けられており、これら固定用ポール12に衝撃ハンマ8の一端が回転自在に固定、懸架されている。図3の例では、衝撃ハンマ8は板状の形状であり、回転体7の回転軸10に対して直角、すなわち回転体7と平行に、複数箇所、たとえば4箇所に間隔を取って配置されている。また、2枚あるいはそれ以上の衝撃ハンマ8を1組とし、各固定用ポール12に複数箇所、間隔を取って取り付けるようにしてもよい。
【0090】
前記衝撃ハンマは、回転体7を高速回転すると、遠心力が作用して回転軸に対して垂直方向(回転体の半径方向)に開き、粉砕を行う被処理物に対して、衝撃ハンマ8が斧刃を振り落とすような形で衝撃を与え、切断、粉砕するものである。横型スイングハンマクラッシャ1にかかる負荷を検出する検出器として、電流計を使用することにより、許容負荷内で運転を行うことは容易となる。同時に、回転体7を回転駆動させるモーターにインバーターを設置することにより、衝撃ハンマ8の回転数を制御できる。
【0091】
横型スイングハンマクラッシャ1には、通常、格子状またはパンチングメタルからなるスクリーン9が設置され、その開口径により回収される粉砕物の粒径が規制される。粉砕物の粒径は、前記したように、2mm以上20mm以下、好ましくは3mm以上7mm以下であることが好ましい。そのため、横型スイングハンマクラッシャ1には2mm以上20mm以下、好ましくは3mm以上7mm以下の開口径を有する格子状またはパンチングメタルからなるスクリーン設置することが望ましい。各開口の形状は、円形が最も一般的であるが、特に限定は無く、楕円形、矩形、その他どのような形でも良い。
【0092】
横型スイングハンマクラッシャ1で処理されたタイルカーペットの粉砕物は、ダスト分離装置29(A)あるいは、ダスト分離装置29(A)と直列に接続されたダスト分離装置29(B)であるダスト分離装置(C)において、風力分離される。
【0093】
ダスト分離装置29(B)をダスト分離装置29(A)に直列に接続したダスト分離装置(C)て風力分離する方法を例として、ダスト分離装置29(B)の詳細を説明する。
【0094】
ダスト分離装置29(B)は、図6、図7に示すように縦長長方形状の台盤39の両側に側枠が立設され、その間に前記分離塔22の空気補給口32の下方に、対向位置する揺動皿41が水平に配置される。該揺動皿41は前記分離塔22により分離され排出された樹脂粉砕物5bを貯留するためのもので、出口側Eを除いて周縁に囲枠40を立設した長方形平板状の皿本体からなる。該皿本体の左右両側も前後位置に、それぞれ上端部が前記各側枠に軸支され鉛直面内で自在に回転するように軸支され、前後方向に自在に揺動できるようになっている。また、該皿本体には出口側Eの底面に横長状の開口44が設けられると共に該開口44を覆いかつ所定の大きさの網目を有するネット45が配設される。
【0095】
前記ネット45は前記開口44より大きい額縁状の枠板43に張設され、所定の大きさの網目(たとえば50メッシュ)を有する。このネット45は、樹脂粉砕物類の大きさに応じ網目の大きさの異なるものを数種用意しておく。このため、前記皿本体の底面には開口44が設けられ、そこで、ネット45が交換自在に配設されるようになっている。
【0096】
前記揺動皿41の外側には、該揺動皿41をほぼ水平に揺動させるための駆動装置46が設けられる。すなわち、両側枠間に配設された支持板42は、クランク軸を介して駆動装置46に連結され、該揺動皿41が前後に揺動するように構成され、該揺動皿41に貯留される樹脂粉砕物5bを順次、前側に送るようになっている。
【0097】
49は、空気を吸引するブロワーであり、吸引ダクト48は、前記開口44、すなわちネット45の上面を覆うように、所定の間隔離し対向配置するようにして配設された下端開口面の真空吸引口(b)49と接続される。50は、ネット45の上方に吸引ダクト48の先端に取着された吸取口部で、下部が広幅となる空洞箱体からなり、下端開口面の真空吸引口(b)49が前記開口44より一回り大きく形成される。その空気の吸引圧力は樹脂粉砕物5bの重量によって種々設定される。吸取口部50は、上下動して前記真空吸引口(b)49とネット45との間隔が自在に変更できるようになっていることにより、樹脂粉砕物5cと繊維成分からなる綿状ゴミ13との分離が正常に行われるよう所定の位置に設定される。
【0098】
本発明に係わるダスト分離装置29(B)は前記構成よりなり、つぎに該ダスト分離装置29(B)でタイルカーペットの粉砕物から繊維成分からなる綿状ゴミを分離する使用方法について説明する。ダスト分離装置29(A)から回収した樹脂粉砕物5bは、表面に付着するなどして数パーセント以下というレベルの繊維成分からなる綿状ゴミ13が混入しているため、さらに、ダスト分離装置29(B)で処理することが好ましい。図7において、分離塔22において繊維成分からなる綿状ゴミの分離された樹脂粉砕物5bは、前記揺動皿41に落下し、該揺動皿41上に貯留される。該樹脂粉砕物5bは、貯留された樹脂粉砕物5bは駆動装置46による揺動皿41の前後運動により、順次出口側Eに送られる。この間では樹脂粉砕物5b同士が擦れ合い、表面に付着されていた繊維成分からなる綿状ゴミ13が解されるとともに落される。このようにして出口側Eの開口44のネット45の上面に達すると、吸引ブロワー47により下側から吸引され上昇する空気流に押され、軽い繊維成分からなる綿状ゴミ13が舞い上がり真空吸引口(b)49に吸引される。一方、前記揺動皿41内の重い樹脂粉砕物5cは舞い上がることなく排出され、排出シュート51を介して樹脂粉砕物回収箱26に貯留される。
【0099】
このようにして得られた樹脂粉砕物5cは純度がほぼ100%に近く、前記分離塔22により分離された樹脂粉砕物5bよりさらに純度が高くなる。前記吸取口部50より吸引する場合、繊維成分からなる綿状ゴミ13と共に細かく軽い樹脂粉砕物5dも吸引されてしまうが、これらは吸引ブロワー47を介して網状分離箱52に送られ、ここで該網状分離箱52に掬われる繊維成分からなる綿状ゴミ13と通過して貯留皿53に貯留される樹脂粉砕物5dとに分離される。該樹脂粉砕物5dは前記樹脂粉砕物回収箱26に戻される。
【0100】
また、横型スイングハンマクラッシャで粉砕した粉砕物をダスト分離装置29(A)で風力分離して回収した樹脂粉砕物5bを比重分離して樹脂粉砕物を繊維成分からなる綿状ゴミ13との分離を精度良く行うこともできる。樹脂粉砕物5bを比重分離する場合、図8に示す乾式比重分離装置として、日本専機社製比重分離機を使用し、タイルカーペットの樹脂粉砕物5bに空気流体と振動をインバーター制御により作用させ、樹脂粉砕物を重比重物106として、繊維成分からなる綿状ゴミ13を軽比重物105として、または空気流に乗せて分離面である特殊スクリーン104から吹飛ばして分離することができる。
【0101】
つぎに、回収された樹脂粉砕物5cまたは樹脂粉砕物5bを比重分離した樹脂粉砕物は、以下に記す微粉砕機により効率良く微粉砕することができる(微粉砕工程)。微粉砕機として、たとえば、ターボ工業社製ターボミルまたは前述の尾上機械社製横型スイングハンマクラッシャにおいて、開口径2mmのパンチングメタルを設置した粉砕機からなる衝撃型粉砕機を使用することが好ましい。これらの粉砕機を使用して、回収された樹脂粉砕物5cまたは樹脂粉砕物5bを比重分離した樹脂粉砕物は、2000回転以上5000回転以下の高速回転で運転することにより、高収率で、1mm以下の微粉砕物が回収される。
【0102】
回収した該微粉砕物は、篩により篩選別することにより、所望の粒径以上の微粉砕物は分離、除去することができ(篩選別工程)、篩上に残留した樹脂粉砕物は、さらに、繰り返し微粉砕機で粉砕することにより、微粉砕物の回収率を向上することもできる。
【0103】
回収された樹脂微粉砕物は、図9のリサイクル工程図にそのフローが示されるように、リサイクル樹脂微粉砕物ホッパー203に投入される。別途調製され、塩化ビニル系樹脂ペーストゾルタンク201に貯留された塩化ビニル系樹脂ペーストゾルは、移送ポンプ202で混合槽204に移送され、リサイクル樹脂微粉砕物ホッパー203から混合槽204に投入される該樹脂微粉砕物と、攪拌、混合して均質な塩化ビニル系樹脂ペーストゾル混合物とした後に、タイルカーペットの樹脂裏打ち層形成ラインに移送ポンプ206で送液される。塩化ビニル系樹脂ペーストゾル混合物は、ゾルコーター205によりPTFEベルト207上に塗布積層し、その塗布層の上にガラス繊維基布209が重ね合わせられる。更に、その上に前記塩化ビニル系樹脂ペーストゾル混合物をゾルコーター210により塗布した後、その上に基材208を積層して加熱ゲル化することにより、タイルカーペットの樹脂裏打ち層が形成され、PTFEベルトから剥された後に、裁断してタイルカーペットとされる。
【0104】
【実施例】
以下に実施例によりさらに詳細に説明するが、この発明に係わる実施例に限定されるものではない。
【0105】
(I)タイルカーペットを構成する表面パイル層と樹脂裏打ち層の分離
実施例1−1
材料として製造工程で発生するタイルカーペット端材100kgを使用した。これを、10cm角程度に粗切断した後に、回転刃の先端を1mm程度ヤスリで削った三力製作所製一軸剪断式粉砕機に、8mmの開口径のパンチングメタルからなるスクリーンを設置して粉砕し、粒径が約8mmの粉砕物を定量的に回収した。粉砕物を空気輸送ブロワーによりダスト分離装置29(A)に供給して風力分離するとともに、ダスト分離装置29(A)の分離塔下部から落下集積すべく樹脂粉砕物を、ダスト分離装置29(B)の揺動皿上に、直接落下供給してさらに風力分離し、繊維成分からなる綿状ゴミを分離して樹脂粉砕物を回収した。つぎに、該樹脂粉砕物を4mmの開口径のパンチングメタルからなるスクリーンを設置した横型スイングハンマクラッシャ(尾上機械社製バルツ型粉砕機、WALD−15型)で粉砕し、スクリーンを通過して粉砕物が落下集積する横型スイングハンマクラッシャ下部に吸引ダクトを接続して、粉砕物をダスト分離装置29(A)に供給して風力分離するとともに、ダスト分離装置29(A)の分離塔下部から落下集積すべく樹脂粉砕物を、ダスト分離装置29(B)の揺動皿上に、直接落下供給してさらに風力分離し、繊維成分からなる綿状ゴミを分離して樹脂粉砕物を回収した。ダスト分離装置29(C)で分離された繊維成分からなる綿状ゴミは排気ブロワーを介して集塵機に回収した。タイルカーペットの樹脂裏打ち層からなる樹脂粉砕物は、48kg回収された。
【0106】
実施例2−1
実施例1−1と同様にして、三力製作所製一軸剪断式粉砕機で粉砕した粉砕物をダスト分離装置29(C)で風力分離して、分離塔下部から落下集積する樹脂粉砕物を回収した。つぎに、横型スイングハンマクラッシャ回収した樹脂粉砕物を、ダスト分離装置29(A)で処理して繊維成分からなる綿状ゴミを分離して樹脂粉砕物を回収した。さらに、回収した樹脂粉砕物を日本専機社製乾式比重分離機で、空気流体をインバーターにより正回転38Hzで制御すると共に振動して分離した結果、重比重物側に45kgの樹脂裏打ち層からなる樹脂粉砕物を得ることができた。
【0107】
実施例3−1
実施例1−1と同様にして、三力製作所製一軸剪断式粉砕機で粉砕した粉砕物をダスト分離装置29(C)で風力分離して、分離塔下部から落下集積する樹脂粉砕物を回収した。つぎに、横型スイングハンマクラッシャ回収した樹脂粉砕物を、ダスト分離装置29(A)で処理して繊維成分からなる綿状ゴミを分離して樹脂粉砕物を回収した結果、52kgの樹脂裏打ち層からなる樹脂粉砕物を得ることができた。
【0108】
比較例1−1
実施例1−1と同じタイルカーペットを50kgを使用し、約10cm角程度に粗切断した後に、回転刃を削ってない三力製作所製一軸剪断式粉砕機に、8mmの開口径のパンチングメタルからなるスクリーンを設置して粉砕し、粒径が8mmの粉砕物を定量的に回収した。回収したタイルカーペットの粉砕物をダスト分離装置29(A)に供給して風力分離するとともに、ダスト分離装置29(A)の分離塔下部から落下集積する樹脂粉砕物をダスト分離装置29(B)に供給してさらに風力分離した後に、開口径が4mmのパンチングメタルからなるスクリーンを設置した回転刃を削ってない三力製作所製一軸剪断式粉砕機で粉砕し、スクリーンを通過して粉砕物が落下集積する一軸剪断式粉砕機下部に吸引ダクトを接続して、粉砕物をダスト分離装置29(A)に供給して風力分離するとともに、ダスト分離装置29(A)の分離塔下部から落下集積する樹脂粉砕物をダスト分離装置29(B)に供給してさらに風力分離し、繊維成分からなる綿状ゴミを分離して樹脂粉砕物41kgを回収したが、回収された樹脂粉砕物中には、表面パイル層を形成する繊維成分が樹脂裏打ち層に付着した物が多く認められ、繊維層が樹脂裏打ち層に付着した物が混在した樹脂粉砕物が回収された。ダスト分離装置29(A)およびダスト分離装置29(B)で分離された繊維成分からなる綿状ゴミは排気ブロワーを介して集塵機に回収した。
【0109】
比較例2−1
実施例1−1と同じタイルカーペットを50kgを使用し、約10cm角程度に粗切断した後に、三力製作所製一軸剪断式粉砕機に、8mmの開口径のパンチングメタルからなるスクリーンを設置して粉砕し、粒径が8mmの粉砕物を定量的に回収した。粉砕物を目開き8mmの篩で篩選別し、篩下部から樹脂粉砕物を回収した。つぎに、該樹脂粉砕物を4mmの開口径の横型スイングハンマクラッシャ(尾上機械社製バルツ型粉砕機)で粉砕し、スクリーンを通過して粉砕物が落下集積する横型スイングハンマクラッシャ下部に吸引ダクトを接続し、サイクロンセパレーターで樹脂粉砕物を回収した後に、粉砕物を目開き4mmの篩で篩選別し、篩下部から樹脂粉砕物を回収した。回収された樹脂粉砕物中には、表面パイル層を形成する繊維成分が樹脂裏打ち層に付着した物が多く認められ、繊維層が樹脂裏打ち層に付着した物が混在した樹脂粉砕物が38kg回収された。
【0110】
タイルカーペットの樹脂材料分離方法と樹脂粉砕物の回収量の結果を表1に示す。
【0111】
【表1】
【0112】
( II )分離樹脂の微粉砕
実施例1−2
ターボ工業社製ターボミルT−400型に吸引ダクトとブロワー、サイクロンセパレーター、集塵機からなる微粉砕物回収装置を設置し、実施例1−1で回収した樹脂粉砕物30kgを3000回転にて微粉砕した。つぎに、回収した該微粉砕物を、目開き0.85mmの篩で選別した結果、25.5kgの樹脂微粉砕物が回収され、該微粉砕物中の繊維含有量は0.9%であった。
【0113】
実施例2−2
実施例1−2で回収した樹脂粉砕物30kgを、尾上機械社製の横型スイングハンマクラッシャGX−2型に開口径2mmのスクリーンを設置して3600回転にて微粉砕し、バグフィルターを設置した粉砕物回収装置により微粉砕物を回収した。回収した微粉砕物を実施例2−1と同様に、目開き0.85mmの篩で選別した結果、28.5kgの樹脂微粉砕物が回収され、該微粉砕物中の繊維含有量は2.1%であった。
【0114】
実施例3−2
実施例3−1で回収した樹脂粉砕物30kgを、尾上機械社製の横型スイングハンマクラッシャGX−2型に開口径2mmのスクリーンを設置して3600回転にて微粉砕し、バグフィルターを設置した粉砕物回収装置により微粉砕物を回収した。回収した微粉砕物を実施例2−1と同様に、目開き0.85mmの篩で選別した結果、25.7kgの樹脂微粉砕物が回収され、該微粉砕物中の繊維含有量は2.8%であった。
【0115】
比較例1−2
比較例1−1で回収した樹脂粉砕物30kgを、実施例1−2と同様にして微粉砕した結果、粉砕効率が悪く、実施例1−2の3倍以上の時間を要した。目開き0.85mmの篩で選別した結果、樹脂微粉砕物が16.0kg回収され、該微粉砕物中の繊維含有量は11.5%であった。
【0116】
比較例2−2
比較例2−1で回収した樹脂粉砕物30kgを、実施例1−2と同様にして微粉砕した結果、粉砕効率が悪く、実施例1−2の約2倍の時間を要した。目開き0.85mmの篩で選別した結果、樹脂微粉砕物は19.5kg回収され、該微粉砕物中の繊維含有量は9.8%であった。
【0117】
(樹脂微粉砕物中の繊維成分含有量)
回収された樹脂微粉砕物中の繊維含有量は、以下の手順で求めた。
【0118】
回収した樹脂粉砕物を精秤後、30重量倍のテトラヒドロフラン(THF)に溶解後、不溶分を沈降させ、濾別した。つぎに、12%塩酸にTHF不溶分を溶解し、さらに、不溶分を沈降させて濾別、乾燥して重量を精秤した。濾別した不溶分を600℃で燒結して残留量を秤量し、その差を繊維成分の含有量とした。
【0119】
微粉砕物の回収率と該樹脂微粉砕物中に含まれる繊維含有量の結果を表2に示す。
【0120】
【表2】
【0121】
( III )ペーストゾルコート方式でのタイルカーペット製造
(塩化ビニル系樹脂ペーストゾルの調製)
塩化ビニル系ペースト樹脂100重量部に、可塑剤(DOP)100重量部、ステアリン酸カルシウム1重量部、カーボンブラック1部を配合したペーストゾルに、充填剤として重質炭酸カルシウムを100〜400重量部添加して混合、均質化し、塩化ビニル系樹脂ペーストゾルを調製した。
【0122】
実施例1−2−1
前記配合において、充填剤400重量部使用した塩化ビニル系樹脂ペーストゾルに、実施例1−2で調製した微粉砕物5重量%を混合した結果、粘度61Pa・sであった。このゾル混合物を鉄板にコーティングした結果、外観性、表面状態ともに良好であった。
【0123】
実施例1−2−2
前記配合において、充填剤300重量部使用した塩化ビニル系樹脂ペーストゾルに、実施例1−2で調製した微粉砕物8重量%を混合した結果、粘度60Pa・sであった。このゾル混合物を鉄板にコーティングして、シートにした結果、外観性、表面状態ともに良好であった。
【0124】
実施例1−2−3
前記配合において、充填剤を100重量部に減量した塩化ビニル系樹脂ペーストゾルに、実施例1−2で調製した微粉砕物16重量%を混合した結果、粘度54Pa・sであった。このゾル混合物を鉄板にコーティングしてシートにした結果、外観性、表面状態ともに良好であった。
【0125】
実施例2−2−1
前記配合において、充填剤300重量部使用した塩化ビニル系樹脂ペーストゾルに、実施例2−2で調製した微粉砕物5重量%を混合した結果、粘度46Pa・sであった。このゾル混合物を鉄板にコーティングしてシートにした結果、外観性、表面状態ともに良好であった。
【0126】
実施例3−2−1
前記配合において、充填剤300重量部使用した塩化ビニル系樹脂ペーストゾルに、実施例3−2で調製した微粉砕物4重量%を混合した結果、粘度55Pa・sであった。このゾル混合物を鉄板にコーティングしてシートとした結果、外観性、表面状態ともに良好であった。
【0127】
比較例1−2−1
前記配合において、充填剤300重量部使用した塩化ビニル系樹脂ペーストゾルに、比較例1−2で調製した微粉砕物5重量%を混合した結果、粘度は100Pa・sを超え、高粘度となった。このゾル混合物を鉄板にコーティングしたが、シート表面が凹凸となって平滑なシートとすることができなかった。
【0128】
比較例2−2−1
前記配合において、充填剤300重量部使用した塩化ビニル系樹脂ペーストゾルに、比較例2−2で調製した微粉砕物5重量%を混合した結果、粘度は100Pa・sを超え、高粘度となった。このゾル混合物を鉄板にコーティングしたが、シート表面が凹凸となって平滑なシートとすることができなかった。
【0129】
(ゾル混合物の粘度)
塩化ビニル系樹脂ペーストゾルに樹脂微粉砕物を混合したゾル混合物の粘度は、塩化ビニル系樹脂ペーストゾルに樹脂微粉砕物を混合したゾル混合物を調製した後、30℃にて、TOKIMEC社製BH型粘度計でローター5を使用し、10回転にて測定した。
【0130】
(ゾル混合物の性能評価)
150mm×60mmの鉄板の上に、ゾル混合物をコーターで50mm×100mmで厚み3mmにコーティングし、140℃×10分間加熱して、シートを形成した。そのシートにおいて、外観性、表面状態を評価した。その結果を表3に示す。
【0131】
外観性:形成したシートの表面性を目視評価した。
【0132】
【0133】
【表3】
【0134】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、タイルカーペットの、表面パイル層を形成する繊維成分と樹脂裏打ち層からなる樹脂成分を、容易にかつ精度良く分離することができる。さらに、回収した該樹脂成分を微粉砕、篩選別して塩化ビニル系樹脂ペーストゾルに混合、分散したゾル混合物は、ゾルコート法でタイルカーペット基材裏側に積層して樹脂裏打ち層を形成し、リサイクル素材を利用したタイルカーペットとすることができる。また、本発明のタイルカーペットの製造方法によれば、従来、廃棄されていたカーペット廃材、特に、タイルカーペットの製造工程で発生する端材や廃材を再生して、容易に有効利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、タイルカーペットを粉砕、風力分離し、タイルカーペットを構成する表面パイル層を形成する繊維成分を分離して樹脂粉砕物を回収し、該樹脂粉砕物を微粉砕した後に、塩化ビニル系樹脂ペーストゾルに混合分散してタイルカーペットをゾルコート法によりリサイクルする方法の基本的実施態様の1例を模式的に示す系統図である。
【図2】図2は、一軸剪断式粉砕機の回転刃および固定刃の構成の1例を示す拡大概略説明図である。
【図3】図3は、タイルカーペットを粉砕し、横型スイングハンマクラッシャで粉砕する系統図であり、かつ、横型スイングハンマクラッシャの拡大概略の1例を示す説明図である。
【図4】図4は、ダスト分離装置29(A)の分離塔の1例を示す拡大縦断面図である。
【図5】図5は、タイルカーペットを一軸剪断式粉砕機で粉砕する第1粉砕工程と、ついで、風力分離する第1風力分離工程を行って、樹脂粉砕物を回収する分離方法の1例を示す系統図である。
【図6】図6は、タイルカーペットを横型スイングハンマクラッシャで粉砕する第2粉砕工程と繊維成分からなる綿状ゴミを風力分離する第2風力分離工程を行って、樹脂粉砕物を回収する分離方法の1例を示す系統図である。
【図7】図7は、タイルカーペットの樹脂粉砕物を横型スイングハンマクラッシャで粉砕後、ダスト分離装置29(A)と該ダスト分離装置29(A)の分離塔下部にダスト分離装置29(B)を設置したダスト分離装置(C)で風力分離して樹脂粉砕物を回収する分離装置の構成の1例を示す系統図である。
【図8】図8は、比重分離機の1例を示す概略原理図である。
【図9】図9は、タイルカーペットの表面パイル層からなる繊維成分を分離除去した樹脂微粉砕物をタイルカーペットの樹脂裏打ち層にペーストゾルコート法によりリサイクルするための工程の一例を示すリサイクル工程図である。
【符号の説明】
1 横型スイングハンマクラッシャ
1a 衝撃粉砕部
1b 粉砕物回収部
2 投入口
3a タイルカーペット粗切断品または端材
3b タイルカーペット粉砕品
4 吸引用エアダクト
5a タイルカーペット樹脂粉砕物
5b タイルカーペット樹脂粉砕物
5c タイルカーペット樹脂粉砕物
5d タイルカーペット樹脂粉砕物
6 粉砕機内部
7 回転体
8 衝撃ハンマ
9 スクリーン
10 回転軸
11 輸送ブロワー
12 衝撃ハンマ懸架部
13 タイルカーペット繊維層の粉砕物(綿状ゴミ)
14 固定刃
15 回転刃
16a 回転刃刃先
16b 固定刃刃先
17 一軸剪断式粉砕機
18 投入口
19 粉砕物回収皿
20 空気輸送管
21 輸送用ファンモーター
22 風力分離塔
26 粉砕物回収箱
28 サイクロンセパレーター
29 ダスト分離装置
29(A) ダスト分離装置(A)
29(B) ダスト分離装置(B)
29(C) ダスト分離装置(C)
31 真空吸引口(a)
33 円形板
35 通気間隙
36 ハンドル
37 吊下チェーン
38 先端開口
40 囲枠
41 揺動皿
44 開口
45 ネット
47 吸引ブロワー
48 吸引ダクト
49 真空吸引口(b)
E 出口側
101 送風機
102 整流格子
103 マルチ通風機構
104 特殊スクリーン
105 軽比重物(○)
106 重比重物(●)
107 振動方向
201 塩化ビニル系樹脂ペーストゾルタンク
202 移送ポンプ
203 リサイクル樹脂微粉砕物ホッパー
204 混合槽
205 ゾルコーター
206 移送ポンプ
207 PTFEベルト
208 基材
209 ガラス繊維基布
210 ゾルコーター
Claims (4)
- ペーストゾルコート方式でのタイルカーペット製造方法において、
塩化ビニル系樹脂を裏打ちしたタイルカーペットの表面パイル層からなる繊維成分を分離し、繊維成分の含有量が4重量%以下に分離、除去された樹脂裏打ち層の微粉砕物を下記配合からなる塩化ビニル系樹脂ペーストゾルに0.5重量%以上20重量%以下の比率で混合し、該ペーストゾル混合物をゾルコーターで所定の面上に塗布後、基布にパイルをタフトした基材を積層して基材の裏面に樹脂裏打ち層を形成してなるタイルカーペットの製造方法。
塩化ビニル系樹脂ペーストゾル配合
(a)塩化ビニル系ペースト樹脂 100重量部
(b)可塑剤 50〜150重量部
(c)充填剤 100〜500重量部
(d)安定剤 1〜10重量部
(e)顔料 1〜10重量部 - 前記タイルカーペットの表面パイル層からなる繊維成分の分離において、
タイルカーペットを剪断式粉砕機で粉砕する第1粉砕工程、該粉砕物中の繊維成分を風力分離装置で風力分離する第1風力分離工程、風力分離して回収した樹脂成分をスイングハンマクラッシャで粉砕する第2粉砕工程、および該粉砕物中の繊維成分を風力分離装置により風力分離する第2風力分離工程により、樹脂裏打ち層の粉砕物を回収し、
回収された該樹脂粉砕物を微粉砕機で微粉砕する微粉砕工程および該微粉砕後に篩により選別する篩選別工程からなる分離方法により、タイルカーペットの表面パイル層からなる繊維成分を分離する請求項1記載のタイルカーペットの製造方法。 - 前記第1風力分離工程および第2風力分離工程で使用する風力分離装置が、
(ア)上部に真空吸引口(a)を設け、下部に空気補給口を設けた縦円筒形の分離塔内に円形板をその周囲に通気間隙が存するように水平に支持し、該円形板の中心部に空気輸送管により、粉砕機で粉砕したタイルカーペットの粉砕物を搬入し、該粉砕物を円形板の周縁部から落下させるとともに表面パイル層からなる繊維成分を、空気補給口から入り分離塔内を上昇する空気流に乗せて真空吸引口(a)に吸引させるようにしたダスト分離装置(A)、または
前記ダスト分離装置(A)の後に、(イ)水平に配置されるとともに出口側を除いて周縁に囲枠を立設した平板状の揺動皿からなり、前記出口側の底面に開口を設けるとともに前記開口に前記開口を覆いかつ所定の網目を有するネットを配設し、前記出口側に前後動して供給される前記粉砕物を前記出口側に順次送る揺動皿と、前記ネット上方に所定の間隔離して対向位置する真空吸引口(b)を配設した吸引ダクトとからなり、前記揺動皿の前後動に伴い前記ネット上面を通過して排出される混合物中の繊維成分を真空吸引により吸引するようにしたダスト分離装置(B)を組み合わせたダスト分離装置(C)である請求項2記載のタイルカーペットの製造方法。 - 請求項1、2、または3記載の製造方法によって得られたタイルカーペット。
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