JP4340974B2

JP4340974B2 - 廃棄物埋設処分方法

Info

Publication number: JP4340974B2
Application number: JP2005094393A
Authority: JP
Inventors: 晋也藤沼; 遵延藤; 健吾岩佐
Original assignee: Shimizu Corp
Current assignee: Shimizu Corp
Priority date: 2005-03-29
Filing date: 2005-03-29
Publication date: 2009-10-07
Anticipated expiration: 2025-03-29
Also published as: JP2006275727A

Description

本発明は、例えば放射性廃棄物からなる廃棄体を埋設処分する廃棄物埋設処分方法に関する。

高レベルの放射性廃棄物は、地中深くに埋設して処分する必要がある。例えば、放射性レベルの高い廃液は、ガラスで固化させ、固化されたガラス固化体を炭素鋼等の容器（オーバーパック）に収納し、このガラス固化体を容器内に収納したもの（以下、廃棄体と記す。）を地下３００ｍ以深の地層中に埋設処分することが義務付けられている。

廃棄体を地中に埋設処分する方法としては、地中に所定の地層まで処分坑道を掘り、この処分坑道の底面に処分孔を穿孔し、この処分孔に廃棄体を入れた後、処分坑道を埋め戻す方法（処分孔竪置き方式）が一般的である。このとき、処分孔に湧水によりオーバーパックの腐食が促進され、ガラス固化体を密閉できる期間が短くなる可能性があるため、廃棄体の周りには、湧水の浸入を遮断する緩衝材が設置される（例えば、特許文献１参照。）。

処分孔に設置された緩衝材はベントナイト系材料からなる場合が多く、ベントナイト系材料は水により膨潤するという性質を有するため、地盤から湧き出る湧水が処分孔内に浸入すると緩衝材が膨潤して処分坑道に膨出することが考えられる。処分性能の観点から緩衝材の密度を確保する必要があるため、少なくとも処分坑道の埋め戻しまでは緩衝材の膨出を抑えなければならない。

緩衝材の膨出を抑える方法としては、緩衝材を処分孔に設置した後、一時的に処分孔の孔口にコンクリート製のキャップを配置し、緩衝材の膨潤応力に抵抗するものが考えられる。このキャップの固定方法としては、処分坑道に打設されたロックボルトに締結させて固定する方法（ロックボルト方式）や、処分坑道の壁面から反力をとって支持された支持部材によって押え付けることで固定する方法（坑道天盤支持方式）が考えられる。

一方、従来より、湧水を遮断することで、緩衝材の膨潤を抑制して緩衝材の密度を確保する方法が提供されている。この方法は、緩衝材で覆われた廃棄体を鋼板等からなる筒状の遮水容器の中に収納し、これを処分孔の中に配置する方法である。この方法によれば、遮水容器によって湧水の浸入は防がれるため、緩衝材が膨潤することはなく、緩衝材の密度を確保することができる（例えば、特許文献２参照。）。
特開平５−２０３７９７号公報特開２００４−２８６４５１号公報

しかしながら、上記した従来のコンクリート製のキャップによって緩衝材の膨出を抑える方法では、キャップの材料であるコンクリートによって、水和セメントの溶解による高ｐＨ、高Ｃａ環境に起因した処分場周辺の岩盤やベントナイト系材料からなる緩衝材の溶解、変質が引き起こされ、処分性能に大きな影響を与える可能性があるという問題がある。
また、キャップの固定方法としてロックボルト方式を採用すると、緩衝材の膨潤応力に抵抗するため、多くのロックボルトが必要であり、コストが高くなるとともに、ロックボルトの削孔により処分孔周辺の岩盤に損傷を与えるという問題がある。
また、キャップの固定方法として坑道天盤支持方式を採用すると、処分坑道の空間を使って組まれた支持材が、その後の定置作業や埋め戻し作業を行う上で障害となり、当該作業の作業性が低下するという問題がある。また、支持材を撤去しながら処分坑道の埋め戻し作業を行うと緩衝材の膨潤を抑制できなくなることが予想され、坑道天盤支持方式による固定方法では実現性に疑問が残るという問題がある。
さらに、地球環境の観点より、地中に埋設処分される廃棄物は少量であることが望ましいが、従来の遮水容器の中に緩衝材で覆われた廃棄体を収納する方法では、遮水溶器は鋼板等から形成されているため、処分坑道が埋め戻されて緩衝材が膨潤し得ない状態になった後も、地盤中に遮水容器が残留し、地中に埋設処分されるものは増量するという問題がある。

本発明は、上記した従来の問題が考慮されたものであり、埋め戻し等の作業性を低下させず、且つ、地中に埋設処分されるものを増量させることなく、緩衝材の膨潤抑制を実現することを目的としており、さらに、周辺岩盤の損傷がなく、低コスト化を図ることができる廃棄物埋設処分方法を提供することを目的としている。

請求項１記載の発明は、地中に形成された空洞の底面或いは壁面に処分孔を穿孔し、該処分孔の中に廃棄体を配置するとともに該廃棄体の周りを緩衝材で覆い、その後、前記空洞を埋め戻す廃棄物埋設処分方法において、前記緩衝材の周りを、遮水性能を有する生分解性プラスチックからなる外殻材で覆うことを特徴としている。

このような特徴により、処分孔の内側面からの湧水は外殻材で遮られ、緩衝材が湧水によって膨潤することが防止される。また、生分解性プラスチックからなる外殻材は、設置から一定時間は湧水の浸入を遮断し、一定時間経過後は土中や水中の微生物によって分解され、最終的に水と二酸化炭素になる。

本発明に係る廃棄物埋設処分方法によれば、緩衝材の周りを遮水性能を有する生分解性プラスチックからなる外殻材で覆うことによって、湧水によって緩衝材が膨潤することが防止されるため、埋め戻し等の作業性が低下せず、また、周辺岩盤の損傷がなく、緩衝材の膨潤抑制を低コストで実現することができる。また、外殻材は、生分解性プラスチックからなり、一定時間経過後は土中や水中の微生物によって分解されるため、地中に埋設処分されるものが増量されずに環境にやさしく、処分性能に影響を与える可能性を小さくすることができる。

以下、本発明に係る廃棄物埋設処分方法の実施の形態について、図面に基いて説明する。

図１は廃棄物を埋設処分する状況を表す断面図である。図１に示す符号１は、地下３００ｍ以深の地層（岩盤）に掘削された処分坑道であり、この処分坑道１の底面には、廃棄体３を収納するための円柱形状の処分孔２が穿孔されている。この処分孔２は、処分坑道１の底面に複数（図１では１つ）配設されている。各処分孔２内には、廃棄体３と、廃棄体の周りを覆う緩衝材４と、緩衝材４の周りを覆う外殻材５とがそれぞれ収納されている。

廃棄体３は、放射性レベルの高い廃液をガラスで固化し、そのガラス固化体を炭素鋼等のオーバーパックに収納したものである。
緩衝材４は、ベントナイト系材料からなる複数の円盤形状のブロック６から構成されており、これらのブロック６を積層させることで円柱形状の緩衝材４が形成されている。緩衝材４の中央部内には、廃棄体３を収納する空間が形成されており、この空間を形成する部分のブロック６ａは環状になっている。

外殻材５は、処分孔２の内側面と緩衝材４との間に介在された遮水性能を有する生分解性プラスチックからなる部材であり、緩衝材４の外周面を覆う筒部７と、緩衝材４の下端面を覆う底板部８と、緩衝材４の上端面を覆う天板部９とから構成されている。外殻材５は、筒部７の下端部が底板部８によって塞がれ、筒部７の上端部が天板部９によって塞がれており、円筒形の箱状に形成されている。筒部７の下端部と底板部８との間、及び筒部７の上端部と天板部９との間は、それぞれシール処理等によって止水性が確保されており、外殻材５は、その内部に水が浸入しないように形成されている。

次に、廃棄体３を埋設処分する方法について説明する。
まず、周知の掘削工法によって地盤に処分坑道１を掘削し、その底面に複数の処分孔２を穿孔する穿孔工程を行う。

次いで、処分孔２の中に、廃棄体３を設置するとともに、廃棄体３の周りを緩衝材４で覆い、さらに緩衝材４の周りを外殻材５で覆う設置工程を行う。
具体的には、予め筒部７と底板部８とを接合させて接合箇所にシール処理を施し、有底円筒形状の容器１０を形成しておく。そして、この容器１０の中にブロック６を積み重ねるとともに、環状のブロック６ａの中に廃棄体３を収納し、容器１０の上端部までブロック６を積み上げて緩衝材４を形成する。その後、筒部７の上端部に天板部９を被せて接合し、接合箇所にシール処理を施す。
次に、廃棄体３および緩衝材４が収納された外殻材５を、処分孔２の孔口２ａから入れて処分孔２内に設置する。
なお、このとき、外殻材５を形成する生分解性プラスチックの種類は、外殻材５を処分孔２内に設置した時から処分坑道１の埋め戻しまでの時間に基づいて選択され、少なくとも、上記した時間よりも長い時間、分解されずに遮水性能を発揮できる種類の生分解性プラスチックが選ばれる。

次いで、処分坑道１内に形成された複数の処分孔２について上述した設置工程をそれぞれ行った後、処分坑道１を埋め戻す埋め戻し工程を行い、廃棄体３の埋設処分を完了する。

上記した構成からなる廃棄物埋設処分方法によれば、緩衝材４の周りを、遮水性能を有する生分解性プラスチックからなる外殻材５で覆うことによって、湧水によって緩衝材４が膨潤することが防止される。これによって、埋め戻し等の作業性が低下せず、また、周辺岩盤の損傷がなく、緩衝材４の膨潤抑制を低コストで実現することができる。また、外殻材５は、生分解性プラスチックからなり、埋め戻し前までの間は遮水性能が発揮され、埋め戻し完了後に、土中や水中の微生物によって分解されるため、埋め戻し後は地中に外殻材５が残らない。これによって、地中に埋設処分されるものが増量されず、環境にやさしく、処分性能に影響を与える可能性も小さくすることができる。

以上、本発明に係る廃棄物埋設処分方法の実施の形態について説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、上記した実施の形態では、外殻材５が円筒形の箱状に形成されており、外殻材５の中に廃棄体３及び緩衝材４をそれぞれ収納した後、この外殻材５を処分孔２内に嵌入させているが、本発明は、緩衝材の周りに外殻材を貼着させたものを処分孔に挿嵌させてもよく、また、処分孔の内側面に外殻材を貼着させた後、この中に緩衝材で覆われた廃棄体を収納させてもよい。

また、上記した実施の形態では、ベントナイト系材料からなるブロック６を積み重ねることで緩衝材４が形成されているが、本発明は、内側面に外殻材が貼着された処分孔内や容器状の外殻材内にベントナイト系材料を充填して締め固める構成の緩衝材でもよく、また、廃棄体を収納する容器状の緩衝材であってもよい。

また、上記した実施の形態では、処分坑道１のように坑状の空洞内に処分孔２を穿孔する例を説明しているが、本発明は、地盤中に形成された空洞であればよく、室状に形成された空洞内に処分孔が穿孔されていてもよい。
また、上記した実施の形態では、処分坑道１の底面に処分孔２を穿孔しているが、本発明は、処分坑道の壁面に処分孔が穿孔されていてもよい。
また、上記した実施の形態では、処分孔２が円柱形に穿孔されているが、本発明は、四角柱等の多角形の柱状に処分孔が穿孔されていてもよく、その他如何なる形状でもよい。
また、上記した実施の形態では、放射性レベルの高い廃液をガラスで固化し、そのガラス固化体を炭素鋼等のオーバーパックに収納したものを廃棄体３としているが、本発明は、如何なる構成の廃棄体であってもよく、例えば、液状の廃棄物をガラス以外の物質によって固化させてオーバーパックに収納した廃棄体でもよく、固形の廃棄物をオーバーパックに収納した廃棄体でもよい。さらに、放射性廃棄物でなくてもよく、如何なる廃棄物を廃棄体として本発明に適用してもよい。

本発明に係る廃棄物埋設処分方法の実施の形態を説明するための断面図である。

符号の説明

１処分坑道（空洞）
２処分孔
３廃棄体
４緩衝材
５外殻材

Claims

地中に形成された空洞の底面或いは壁面に処分孔を穿孔し、該処分孔の中に廃棄体を配置するとともに該廃棄体の周りを緩衝材で覆い、その後、前記空洞を埋め戻す廃棄物埋設処分方法において、
前記緩衝材の周りを、遮水性能を有する生分解性プラスチックからなる外殻材で覆うことを特徴とする廃棄物埋設処分方法。