JP4337258B2 - 水性アクリル変性ウレタン樹脂の製造方法及び水性アクリル変性ウレタン樹脂組成物 - Google Patents
水性アクリル変性ウレタン樹脂の製造方法及び水性アクリル変性ウレタン樹脂組成物 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はウレタン樹脂と(メタ)アクリルモノマーのラジカル重合体からなる水性アクリル変性ウレタン樹脂組成物の製造方法に関するものである。本発明により得られる水性樹脂は耐候性、基材への密着性、耐ブロッキング性、耐溶剤性等に優れることから塗料、インキ、接着剤、コーティング材等の用途に有用である。
【0002】
【従来の技術】
水性ウレタン樹脂は機械的物性、基材に対する密着性、耐摩耗性、柔軟性、耐溶剤性等に優れていることから塗料、インキ、接着剤、コーテイング材、繊維処理剤等に広く使用されている。従来、水性ウレタン樹脂はアセトンやメチルエチルケトン、N−メチルピロリドン等の有機溶剤存在下で製造し最後に脱溶剤することによって製品とされていた。しかしウレタン樹脂の原料が比較的高価な上に製造工程が煩雑で脱溶剤に時間とコストがかかること、収率が低いことから製品コストが高くなる問題があった。また、脱溶剤を行っても溶剤が全ては抜けず一部製品中に残留するため完全水性のものが得にくいといった問題もあった。
【0003】
その問題を解決するために、有機溶剤を使用せずウレタン樹脂を比較的安価なアクリル系重合体で変性し、脱溶剤が不要で、かつウレタン樹脂に不足する耐候性等を改良した水性樹脂を製造する方法が提案されている。例えば、特開昭54−138025にはポリオキシアルキレングリコールのモノアクリレートを反応させて末端不飽和基のウレタン樹脂を製造後、外部乳化剤を使用して水分散させる方法が提案されている。この方法では、ウレタン樹脂中にイオン基を含有しないため、水分散時に外部乳化剤が必要であり、且つイソシアネート末端のウレタンプレポリマーの状態では水分散は行えない。特開平1−104651号公報に示されるようにウレタンプレポリマーのビニル単量体溶液を水に分散し、得られた分散液にさらにビニル単量体を追加してビニル単量体を重合させるという方法が提案されている。しかしこの方法はビニル単量体を分割仕込みするため製造工程が複雑となる。また、特開平7−242866号公報に示されるように、ウレタンプレポリマーを製造後、有機溶剤の代わりにアクリルモノマーで希釈し水に分散してからウレタンプレポリマーを鎖延長し、アクリルモノマーを重合する方法が提案されている。しかしこの方法では親水基含有ジオールがプレポリマー化反応時に完全に溶解しにくいこと、得られるウレタンプレポリマーの粘度が高く希釈しにくいこと等の問題があった。更に付け加えると、これらの方法ではウレタンプレポリマー溶液の水への分散が必ずしも良好とは言えず、また、ウレタンプレポリマーの鎖延長を行った後でアクリルモノマーを重合するため製造に長時間を必要とした。
【0004】
このように、水性ウレタン樹脂の従来の製造技術においては脱溶剤の工程が必要であり、それに要する時間、コストが問題であったため、脱溶剤を必要としない、有機溶剤を用いない系での水性ウレタン樹脂の製造法が種々の提案がななれてきた。しかし、脱溶剤なしにウレタン樹脂をアクリル系重合体で変性しウレタン樹脂の欠点である耐候性等を向上させた水性樹脂を容易に得ることはできなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このようなことから製造工程において脱溶剤が不要で、しかも従来のウレタン樹脂の欠点を改良し低コスト化可能な水性樹脂が、塗料、インキ、接着剤等の用途において強く求められていた。本発明は、従来のウレタン樹脂の欠点である耐候性、耐ブロッキング性等を改良し、かつ脱溶剤が不要で低コストの樹脂が得られる製造方法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、かかる課題を解決するために鋭意検討した結果、有機溶剤の代わりにアクリルモノマーを使用し、その中でウレタンプレポリマーを生成させ、ノニオン型親水性(メタ)アクリルモノマーの存在下で水を加えると容易に水に分散可能であることを見出した。次いでウレタンプレポリマーの鎖延長とアクリルモノマーのラジカル重合を行うことによって脱溶剤が不要で製造工程が簡略化でき、安価な原料の併用によるウレタン樹脂の低コスト化が可能であり、尚かつ従来のウレタン樹脂の性能上の欠点を補うことができることを見出し、それらの知見に基づいて本発明を完成するに至った。
特に、本発明によれば、ウレタンプレポリマーの鎖延長とアクリルモノマーのラジカル重合を同時に行うことも可能となり、これらの反応を同時に行うことにより、より製造工程が簡略化でき、その製造上における価値は極めて大きい。
【0007】
すなわち、本発明は、下記の内容を要旨とする発明である。
1.(a)有機ポリイソシアネート、(b)ポリオール及び(c)イオン基を形成する化合物とを、(d)イソシアネート基に対して非反応性の(メタ)アクリルモノマー中で反応させることにより、イソシアネート基末端のウレタンプレポリマーを生成させ、下記一般式(1)で表されるノニオン型親水性(メタ)アクリルモノマーの存在下で水に分散させた後、ウレタンプレポリマーを鎖延長し、全(メタ)アクリルモノマーのラジカル重合を行うことを特徴とする水性アクリル変性ウレタン樹脂組成物の製造方法。
【0008】
【化4】
R1−O−(R2−O)n−R3 (1)
【0009】
(式中 R1 はアクリロイル基又はメタクリロイル基、R2はエチレン基、プロピレン基又はブチレン基、R3は水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基、アクリロイル基又はメタクリロイル基であり、nは2〜40の整数を表す。)
2.ウレタンプレポリマーの鎖延長と、全(メタ)アクリルモノマーのラジカル重合とを同時に行うことを特徴とする前記1の水性アクリル変性ウレタン樹脂組成物の製造方法。3.上記一般式(1)において、R2がエチレン基であることを特徴とする前記1〜2の水性アクリル変性ウレタン樹脂組成物の製造方法。
4.ノニオン型親水性(メタ)アクリルモノマーが下記一般式(2)で表される化合物であって、イソシアネート基に対して非反応性であることを特徴とする前記1〜3の水性アクリル変性ウレタン樹脂組成物の製造方法。
【0010】
【化5】
R1−O−(CH2−CH2−O)n−R3 (2)
【0011】
(式中 R1はアクリロイル基又はメタクリロイル基、R3はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基、アクリロイル基又はメタクリロイル基であり、nは2〜40の整数を表す。)
5.ウレタンプレポリマーを前記4記載のノニオン型親水性(メタ)アクリルモノマーの存在下で生成させることを特徴とする水性アクリル変性ウレタン樹脂組成物の製造方法。
6.ウレタンプレポリマーの鎖延長剤が水であることを特徴とする前記1〜5の水性アクリル変性ウレタン樹脂組成物の製造方法。
7.全(メタ)アクリルモノマー中のノニオン型親水性(メタ)アクリルモノマーの含有量が0.5〜100重量%である前記1〜6の水性アクリル変性ウレタン樹脂組成物の製造方法。
8.ウレタンプレポリマーと全(メタ)アクリルモノマーの割合が固形分重量比で、ウレタンプレポリマー:全(メタ)アクリルモノマー=5:95〜95:5である前記1〜7に記載の水性アクリル変性ウレタン樹脂組成物の製造方法。
9.(a)有機ポリイソシアネート、(b)ポリオール及び(c)イオン基を形成する化合物とを、(d)イソシアネート基に対して非反応性の(メタ)アクリルモノマー中で反応させることにより、得られる水性アクリル変性ウレタン樹脂組成物であって、下記一般式(1)で表されるノニオン型親水性(メタ)アクリルモノマーに由来する成分を含有し、(d)イソシアネート基に対して非反応性の(メタ)アクリルモノマー及び下記一般式(1)で表されるノニオン型親水性(メタ)アクリルモノマーがラジカル重合されてなることを特徴とする水性アクリル変性ウレタン樹脂組成物。
【0012】
【化6】
R1−O−(R2−O)n−R3 (1)
【0013】
(式中 R1 はアクリロイル基又はメタクリロイル基、R2はエチレン基、プロピレン基又はブチレン基、R3は水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基、アクリロイル基又はメタクリロイル基であり、nは2〜40の整数を表す。)
【0014】
【発明の実施形態】
以下、本発明について更に詳しく説明する。
本発明において、イソシアネート基末端のウレタンプレポリマーは、(a)有機ポリイソシアネート、(b)ポリオール及び(c)イオン基を形成する化合物とを、(d)イソシアネート基に対して非反応性の(メタ)アクリルモノマー中で反応させることにより生成させるものであって、有機溶剤を用いないのが特徴である。
【0015】
本発明において使用する(a)有機ポリイソシアネートとしては、芳香族系(黄変タイプ)と脂肪族または脂環式系(無黄変タイプ)があり、芳香族系ポリイソシアネートは2,4−トリレンジイソシアネート及びこれと2,6−トリレンジイソシアネートの混合物(略してTDI)、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,4−フェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)等が挙げられる。また、脂肪族系ポリイソシアネートはヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等、脂環式ポリイソシアネートとしてはイソホロンジイソシアネート(IPDI)、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、4,4´−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)、TDIの水素添加物等が挙げられる。その他キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられ、これらは単独または併用して使用することができる。また、必要に応じ上記TDI、HMDI、IPDI等の3量体、或いはトリメチロールプロパン等との反応物である多官能性イソシアネートを少量併用することも可能である。
【0016】
ウレタンプレポリマーを水に分散する際のイソシアネート基と水との反応性、及び得られる樹脂の耐候性の点から脂肪族系または脂環式系イソシアネートが好ましく、アクリルモノマーとの相溶性から脂環式イソシアネートが更に好ましい。
通常は、(a)有機ポリイソシアネートのNCO基と、(b)ポリオール及び(c)イオン基を形成する化合物を合わせた活性水素基との比率はモル比で1.1:1〜3:1の範囲が好ましく、NCO基を過剰で用いる。原料の仕込み方法としては、アクリルモノマーにポリオール及びイオン基を形成する化合物を加えて均一に溶解した後、有機ジイソシアネートを加えて反応させる方法、または、それらの原料を一括で仕込んで反応させる方法のいずれでも良く場合により選択することができる。プレポリマー化反応は通常50〜100℃で行うが、後述のアクリルモノマーの熱による重合を防ぐため空気の存在下でp−メトキシフェノール等の重合禁止剤をモノマーに対し10〜3000ppm程度の範囲で加えておくことが好ましい。また、この際、ウレタン化反応の触媒としてジブチルチンジラウレート、ジブチルチンジオクトエート、スタナスオクトエート等の有機スズ化合物やトリエチルアミン、トリエチレンジアミン等の3級アミン化合物等を使用しても良い。このようにしてイソシアネート基末端のウレタンプレポリマーのアクリルモノマー溶液が得られる。
【0017】
本発明で用いる(b)ポリオールとしては、1分子中に水酸基を2個または2個以上有するものであれば特に制限はなく、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリブタジエンポリオール、水添ポリブタジエンポリオール等が挙げられる。具体的には、ポリエーテルポリオールはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ(エチレン/プロピレン)グリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等が挙げられる。ポリエステルポリオールは、低分子量ジオールと二塩基酸の重縮合より得られるものと、低分子量ジオールを開始剤として開環反応により得られるものとがあり、前者の場合、低分子量ジオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等が挙げられ、二塩基酸としてアジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸、イソフタル酸、テレフタル酸等が挙げられる。また後者の場合、ポリε−カプロラクトン、ポリβ−メチル−δ−バレロラクトン等が挙げられる。ポリカーボネートポリオールとしては、1,6−ヘキサンジオールポリカーボネートポリオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール系ポリカーボネートポリオール、炭素数4〜6の混合ジオール系ポリカーボネートポリオール等が挙げられる。ポリブタジエンポリオールとしては、1,4−ポリブタジエンと1,2−ポリブタジエンからなるポリオールが挙げられる。水添ポリブタジエンポリオールはポリブタジエンポリオールを水素添加しパラフィン骨格を持ったものである。また、必要に応じ高分子ポリオールと前記低分子量のジオール、或いは、トリメチロールプロパン、グリセリン等のトリオールを併用することも可能である。前記のポリオール類は単独、あるいは併用で使用することができる。
【0018】
前記ポリオールの平均分子量は500〜10,000、更に好ましくは500〜4,000である。平均分子量が500未満の場合はポリオールとしての機能が発揮されず、平均分子量10,000以上では得られたウレタンプレポリマーの粘度が高くなり水分散時に凝集物の発生や、分散不良を引き起こす場合があり好ましくない。
また、本発明において用いる(c)イオン基を形成する化合物とは、分子内にイソシアネートと反応する活性水素基を2個以上有し、かつイオン基を形成することのできる化合物であり、有機アニオン基またはカチオン基を形成可能な化合物を指す。このイオン基を形成する化合物は、ウレタン樹脂の骨格中、側鎖に組みこまれ、ウレタン樹脂に親水性を付与する働きをする。これによって、ウレタン樹脂に十分な水分散性が発揮できる。アニオン型としては例えば、カルボキシル基を含有するものとして、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロール酢酸、ジメチロールブタン酸、ジメチロールヘプタン酸、ジメチロールノナン酸、1−カルボキシ−1,5−ペンチレンジアミン、ジヒドロキシ安息香酸、3,5−ジアミノ安息香、ポリオキシプロピレントリオールと無水マレイン酸や無水フタル酸とのハーフエステル化合物等が挙げられる。スルホン酸塩基を有するものとしては、2−スルホ−1,4−ブタンジオールナトリウム塩、5−スルホ−ジ−β−ヒドロキシエチルイソフタレートナトリウム塩、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノエチルスルホン酸テトラメチルアンモニウム塩、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノエチルスルホン酸テトラエチルアンモニウム塩、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノエチルスルホン酸ベンジルトリエチルアンモニウム塩等が挙げられる。カルボキシル基を含有する化合物を使用した場合、カルボキシル塩基を形成しイオン化するために中和剤としてトリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチレンジアミン、ジメチルアミノエタノール等のアミン類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属化合物を用いる。カルボキシル基に対する中和率は通常50〜100モル%である。
【0019】
カチオン型としては、N−メチルジエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等があげられる。これら3級窒素化合物を使用する場合は中和剤として塩酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸等を用いる。3級窒素に対する中和率は通常50〜100モル%である。また、3級窒素を4級化しても良い。イオン基の種類は特に限定されるものではないが、カルボキシル基を含有するアニオン型のものが原料の入手、取扱い易さと樹脂の製造し易さの点から好ましい。
【0020】
一方、本発明で用いる(d)イソシアネート基に対し非反応性の(メタ)アクリルモノマーとは、水酸基、カルボキシル基、シラノール基、アミノ基、グリシジル基等、イソシアネートと反応する基を含有しない(メタ)アクリルモノマーである。
本願発明では、ウレタンプレポリマーを生成する際に通常使用する有機溶剤を用いないかわりに、この(d)イソシアネート基と非反応性の(メタ)アクリルモノマーを用いる。
そしてこの(メタ)アクリルモノマー(d)は、ウレタンプレポリマー生成反応の際のいわば有機溶剤のような役目を果たすとともに、その後ウレタン樹脂をアクリル変性する際の、変性剤としての役割を果たす化合物である。
【0021】
例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、メタクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシブチル、(メタ)アクリル酸エトキシブチル等が挙げられる。また、アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−ビニルホルムアミド等のアミド基を有するもの、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリレート等の三級アミノ基を有するモノマー、N−ビニルピロリドン、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルカルバゾール等の窒素を含有するモノマー、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の脂環式モノマー、また、スチレン、α−メチルスチレン、メタクリル酸フェニル等の芳香族系モノマー、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等の含珪素モノマー、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロヘキシル(メタ)アクリレート等の含フッ素モノマー等が挙げられる。その他、ジビニルベンゼン、トリメチロールプロパントリアクリレート等の多官能の不飽和二重結合を有するものが挙げられる。
【0022】
この(メタ)アクリルモノマー(d)は、通常の有機溶剤と比較するとウレタンプレポリマーに対し必ずしも良溶媒と言えず、溶液粘度が高くなるため水に分散しにくい傾向があるので、ウレタンプレポリマーの平均分子量は30,000以下に設定することが好ましい。特に好ましくは15,000以下である。また、ウレタンプレポリマーと全(メタ)アクリルモノマーの割合は固形分重量比で、ウレタンプレポリマー:全(メタ)アクリルモノマー=5:95〜95:5であることが好ましく、ウレタンプレポリマーの固形分重量比が5未満であると、ウレタンの特徴である機械的物性、基材への密着性、耐摩耗性、柔軟性等が得にくく、ウレタンプレポリマーの固形分重量比が95を越えると、(メタ)アクリルモノマーの重合体の特徴である耐候性等が十分得られない。更に好ましくは、ウレタンプレポリマー:全(メタ)アクリルモノマー=20:80〜80:20である。
【0023】
ウレタンプレポリマーの(メタ)アクリルモノマー溶液に(メタ)アクリルモノマー(d)を追加する場合、追加時期は特に限定されず、後述のウレタンプレポリマーの中和工程の前、中和時又は中和後の任意の時期に添加することができる。また、中和したウレタンプレポリマーを水に分散させた後、この分散液に(メタ)アクリルモノマー(d)を添加することもできる。
【0024】
本発明において、必須成分であるノニオン型親水性(メタ)アクリルモノマーは下記一般式(1)で表される。
【0025】
【化7】
R1−O−(R2−O)n−R3 (1)
【0026】
(式中 R1はアリル基、アクリロイル基又はメタクリロイル基、R2はエチレン基、プロピレン基又はブチレン基、R3は水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基、アクリロイル基又はメタクリロイル基であり、nは2〜40の整数を表す。)
ウレタンプレポリマー溶液の水分散化を容易にする効果の点から、より好ましいノニオン型親水性(メタ)アクリルモノマーとしては、上記一般式(1)中のR2がエチレン基であって、エチレンオキサイド単位(CH2CH2O)を分子中に2〜40個含有するものが好ましい。例えば、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、エチレンオキサイド/テトラヒドロフラン共重合体の(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド共重合体の(メタ)アクリレート等のように上記一般式(1)中のR2の一部がプロピレン基又はブチレン基であるものも使用することができる。
【0027】
ノニオン型親水性(メタ)アクリルモノマーの中でも特に好ましいものは、下記一般式(2)に表されるものである。
【0028】
【化8】
R1−O−(CH2−CH2−O)n−R3 (2)
【0029】
(式中 R1はアクリロイル基又はメタクリロイル基、R3はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基、アクリロイル基又はメタクリロイル基であり、nは2〜40の整数を表す。)
これらはイソシアネート基に対し非反応性であり、前記例のメトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の活性水素基を持たないもの等が該当する。
【0030】
ノニオン性親水性(メタ)アクリルモノマーは一般式(1)または一般式(2)に該当する化合物を単独で、または2種以上併用で使用することができる。該親水性(メタ)アクリルモノマーは、少なくともウレタンプレポリマー生成後、水へ分散する前、即ち中和時にまでに添加して、その後ウレタンプレポリマーを水で分散させる。該親水性(メタ)アクリルモノマーは、前述の(d)イソシアネート基に対して非反応性の(メタ)アクリルモノマーと同様にイソシアネート基と反応しないものであっても良く、その場合には、(メタ)アクリルモノマー(d)と兼ねて、ウレタンプレポリマー反応時に予め加えておくことも可能であり、プレポリマー反応時に加えるとイオン基を形成する化合物、例えばジメチロールプロピオン酸等の溶解性を高め有機ポリイソシアネートとの反応を円滑にしたり、各原料間の相溶性を増す効果がある。また、これら(メタ)アクリルモノマーは室温で液体のものと固体のものがあり、液体のものはそのまま添加し、固体のものは加熱溶解した後に添加することができる。
【0031】
ノニオン型親水性(メタ)アクリルモノマーの添加量は、前述の(d)イソシアネート基に対して非反応性の(メタ)アクリルモノマーとを併せた全(メタ)アクリルモノマー量中に0.5〜100重量%の範囲で使用できるが、樹脂の機械的物性、密着性、耐ブロッキング性、耐摩耗性、耐水性、耐熱性、耐候性、耐溶剤性等が要求される用途に対しては、好ましくは1〜40重量%である。添加量が1重量%未満ではウレタンプレポリマーの(メタ)アクリルモノマー溶液の水分散化に対する効果が不十分であり、40重量%を越えると得られる樹脂の耐水性、耐熱性、耐候性が低下する傾向がある。最も好ましくは2〜25重量%である。また、該ウレタンプレポリマー溶液の粘度を下げる効果と取り扱い易さの点から、分子中にエチレンオキサイド単位(CH2CH2O)を2〜20個程度有するモノマーが好ましい。更に本発明においては、ノニオン型親水性(メタ)アクリルモノマーを使用することによって、樹脂塗膜を乾燥する際の製膜性が良好となる。
【0032】
ウレタンプレポリマーの(メタ)アクリルモノマー溶液を水に分散するためには、前記の(c)イオン基を形成する化合物をウレタンプレポリマー分子鎖に組み込んで、必要に応じイオン基形成に必要な前記中和剤を加え、ウレタンプレポリマーに自己乳化性を付与する。イオン基の含有量は、イオン基1個あたりのウレタンポレポリマーの平均分子量が、好ましくは500〜7000gの範囲である。これが500g未満では得られる樹脂の皮膜物性や耐水性が悪くなり好ましくない。また、7000gを越えるとウレタンプレポリマーの自己乳化性が不足し分散粒子の平均粒子径が大きくなり分散安定性が悪くなるばかりでなく、緻密な皮膜が形成しにくい。また、該ウレタンプレポリマー溶液を水に分散する際、前記ノニオン型親水性(メタ)アクリルモノマーを存在させることによって、水への分散が良好となり尚かつ均一でより安定な分散液が得られる。
【0033】
また、本発明においては、イオン基を有する自己乳化性のウレタンプレポリマーが疎水性の(メタ)アクリルモノマーに対し乳化剤の役目を果たし、(メタ)アクリルモノマーの液滴を水分散化させているものであり、一般のアクリルモノマーの乳化重合において使用されるドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ等の外部乳化剤は基本的に不要である。(ここで、外部乳化剤とは自己乳化性のウレタンプレポリマー以外に加える乳化剤を指す。)得られる樹脂塗膜の耐水性や基材への密着性の点からも外部乳化剤を使用しないことが好ましいが、ウレタンプレポリマーの(メタ)アクリルモノマー溶液の水分散液の安定性、或いはそれを重合する際の安定性を増すため少量の外部乳化剤又は反応性活性剤の併用は可能である。
【0034】
ウレタンプレポリマーと(メタ)アクリルモノマーの固形分合計量は全量に対して70重量%以下が好ましい。70重量%を越えると水分散化が困難となったり、凝集物が生成し易く均一で安定な分散体になりにくい傾向にあり好ましくない。ウレタンプレポリマーの(メタ)アクリルモノマー溶液を水に分散する方法としては、通常の撹拌機による分散で可能であるが。より粒子径の細かい均一な水分散体を得るためにはホモミキサー、ホモジナイザー、ディスパー、ラインミキサー等を使用しても良い。このようにしてウレタンプレポリマーの(メタ)アクリルモノマー溶液の水分散液を得た後、これに重合開始剤を添加して温度を上昇させて(メタ)アクリルモノマーの重合温度の範囲内でウレタンプレポリマーの水による鎖延長と同時に(メタ)アクリルモノマーの重合を行ない、ウレタン樹脂とアクリル樹脂からなる水性アクリル変性ウレタン樹脂組成物が得られる。
【0035】
また、必要に応じてウレタンプレポリマーの鎖延長の際に水以外の鎖延長剤を添加してウレタンプレポリマーと鎖延長剤とを反応させても良い。鎖延長剤としては、活性水素を有する公知の鎖延長剤を用いることができ、例えば、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、シクロヘキサンジアミン、シクロヘキシルメタンジアミン、イソホロンジアミン等のジアミン類、ヒドラジン等が挙げられる。
【0036】
該水分散液の重合には公知のラジカル重合が適用できる。重合開始剤は水溶性開始剤、油溶性開始剤共に使用可能であり、油溶性開始剤を使用する場合はウレタンプレポリマーの(メタ)アクリルモノマー溶液に添加しておくことが好ましい。これら重合開始剤は、通常(メタ)アクリルモノマーに対して0.05〜5重量%の範囲で用いられ、重合温度は20〜100℃が好ましい。レドックス系開始剤の場合は75℃以下で十分である。重合開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソブチルバレロニトリル、等のアゾ化合物、過酸化ベンゾイル、イソブチリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、クミルパーオキシオクテート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、ラウリルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジンカーボネイト等の有機過酸化物、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素等の無機パーオキサイド化合物がある。有機または無機パーオキサイド化合物は、還元剤と組み合わせてレドックス系開始剤として使用することも可能である。還元剤としては、L−アスコルビン酸、L−ソルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム、硫酸第二鉄、塩化第二鉄、ロンガリット等が挙げられる。
【0037】
重合開始剤の添加に際しては、初めに全量を一括仕込みする方法、全量を時間をかけて滴下する方法、始めに一部分仕込んで残りを後から追加する方法のいずれでも良い。また、重合を押し切り残存モノマーを減らすために重合の途中、或いは一旦重合を終えた後に重合開始剤を追加して重合を加えることもできる。この際、重合開始剤の組み合わせは任意に選ぶことができる。アクリルモノマーの重合における分子量を調節する目的で公知の連鎖移動剤、例えばオクチルメルカプタン、ラウリルメルカプタン、2−メルカプトエタノール、ドデシルメルカプタン、チオグリセリン等の使用も可能である。
【0038】
本発明の水性アクリル変性ウレタン樹脂組成物においては、分散粒子の平均粒径30〜300nmの範囲が好ましい。平均粒径を30nm未満にするためには親水基量を多く必要とするため耐水性等が不良となり、平均粒径が300nmを越えると製膜性が悪くなる傾向がある。該水性樹脂組成物の不揮発分は20〜70重量%が好ましく、より好ましくは25〜60重量%である。本発明の水性アクリル変性ウレタン樹脂組成物は、機械的物性、基材への密着性、耐候性、耐ブロッキング性、耐溶剤性、耐水性、顔料分散性等に優れることから、塗料、インキ、接着剤、各種バインダー樹脂及びコーティング材、プライマーとして好適に使用可能である。また、各用途の必要に応じ、顔料、染料、レベリング剤、増粘剤、消泡剤、架橋剤、耐光安定剤、難燃剤、黄変防止剤、製膜助剤等の公知の添加剤を配合し、不揮発分を20〜70重量%程度の範囲として使用することができる。
【0039】
【実施例】
以下に実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、以下の実施例において、特に断らない限り「%」は重量%、「比」は重量比を意味する。
(実施例1)
冷却管、温度計、仕込み口、撹拌装置を備えた4つ口の2Lセパラブルフラスコにメチルメタアクリレート208.4g、イソホロンジイソシアネート58.2g、平均分子量1951(水酸基価57.5mgKOH/g)の3−メチル−1,5−ペンタンジオール系ポリカーボネートポリオール(クラレ社製、クラレポリオールC−2090)157.2g、ジメチロールプロピオン酸16.2g、p−メトキシフェノール0.02gを仕込み、90℃まで昇温し5時間反応してウレタンプレポリマーのアクリルモノマー溶液を得た。
【0040】
これを30℃まで冷却し、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(一般式(1)においてn=9)23.2gとトリエチルアミン12.2gを加えて均一に混合した。脱塩水804.0gを滴下しウレタンプレポリマー溶液を水に分散した。次いでフラスコに窒素ガスを導入しながら過硫酸カリウム2.3gを脱塩水43.9gに溶解して加え、温度を75℃に保ち3時間反応しウレタンプレポリマーの水による鎖延長とアクリルモノマーの重合を行った。3時間後にはイソシアネート基の赤外吸収が消滅し、また、固形分測定からアクリルモノマーの転化率も99%以上に達していることを確認し、固形分35%の水性アクリル変性ウレタン樹脂組成物を得た。
(実施例2)
冷却管、温度計、仕込み口、撹拌装置を備えた4つ口の2Lセパラブルフラスコにメチルメタアクリレート244.0g、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(一般式(1)においてn=9)43.0g、イソホロンジイソシアネート55.6g、平均分子量1951(水酸基価57.5mgKOH/g)の3−メチル−1,5−ペンタンジオール系ポリカーボネートポリオール(クラレ社製、クラレポリオールC−2090)119.3g、ジメチロールプロピオン酸16.3g、p−メトキシフェノール0.02gを仕込み、90℃まで昇温し5時間反応してウレタンプレポリマーのアクリルモノマー溶液を得た。
【0041】
これを30℃まで冷却し、トリエチルアミン12.4gを加えて均一に混合した。脱塩水820.8gを滴下しウレタンプレポリマー溶液を水に分散した。次いでフラスコに窒素ガスを導入しながら過硫酸カリウム2.9gを脱塩水54.9gに溶解して加え、温度を75℃に保ち3時間反応しウレタンプレポリマーの水による鎖延長とアクリルモノマーの重合を行った。3時間後にはイソシアネート基の赤外吸収が消滅し、また、固形分測定からアクリルモノマーの転化率も99%以上に達していることを確認し、固形分35%の水性アクリル変性ウレタン樹脂組成物を得た。
(実施例3)
冷却管、温度計、仕込み口、撹拌装置を備えた4つ口の2Lセパラブルフラスコにメチルメタアクリレート208.4g、イソホロンジイソシアネート66.0g、平均分子量1986(水酸基価56.5mgKOH/g)の3−メチル−1,5−ペンタンジオールアジペート系ポリエステルポリオール(クラレ社製、クラレポリオールP−2010)145.8g、ジメチロールプロピオン酸19.7g、p−メトキシフェノール0.02gを仕込み、90℃まで昇温し5時間反応してウレタンプレポリマーのアクリルモノマー溶液を得た。
【0042】
これを30℃まで冷却し、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(一般式(1)においてn=9)23.2gとトリエチルアミン14.9gを加えて均一に混合した。脱塩水801.4gを滴下しウレタンプレポリマー溶液を水に分散した。次いでフラスコに窒素ガスを導入しながら過硫酸カリウム2.3gを脱塩水43.9gに溶解して加え、温度を75℃に保ち3時間反応しウレタンプレポリマーの水による鎖延長とアクリルモノマーの重合を行った。3時間後にはイソシアネート基の赤外吸収が消滅し、また、固形分測定からアクリルモノマーの転化率も99%以上に達していることを確認し、固形分35%の水性アクリル変性ウレタン樹脂組成物を得た。
(実施例4)
冷却管、温度計、仕込み口、撹拌装置を備えた4つ口の2Lセパラブルフラスコにメチルメタアクリレート208.4g、イソホロンジイソシアネート67.0g、平均分子量1944(水酸基価57.7mgKOH/g)のポリテトラメチレンエーテルグリコール144.6g、ジメチロールプロピオン酸19.9g、p−メトキシフェノール0.02gを仕込み、90℃まで昇温し5時間反応してウレタンプレポリマーのアクリルモノマー溶液を得た。
【0043】
これを30℃まで冷却し、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(一般式(1)においてn=9)23.2gとトリエチルアミン15.0gを加えて均一に混合した。脱塩水801.2gを滴下しウレタンプレポリマー溶液を水に分散した。次いでフラスコに窒素ガスを導入しながら過硫酸カリウム2.3gを脱塩水43.9gに溶解して加え、温度を75℃に保ち3時間反応しウレタンプレポリマーの水による鎖延長とアクリルモノマーの重合を行った。3時間後にはイソシアネート基の赤外吸収が消滅し、また、固形分測定からアクリルモノマーの転化率も99%以上に達していることを確認し、固形分35%の水性アクリル変性ウレタン樹脂組成物を得た。
(実施例5)
実施例2でウレタンプレポリマーの反応時において、メチルメタアクリレートを143.5g、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(一般式(1)においてn=9)を143.5g仕込む以外は、実施例2と同様にして固形分35%の水性アクリル変性ウレタン樹脂組成物を得た。
(比較例1)(メタ)アクリルモノマー非存在下でウレタンプレポリマー反応
実施例1と各原料の仕込み量は同様にして、ウレタンプレポリマー反応時において、メチルメタアクリレートを仕込まずにイソホロンジイソシアネート、3−メチル−1,5−ペンタンジオール系ポリカーボネートポリオール(クラレ社製、クラレポリオールC−2090)、ジメチロールプロピオン酸のみを仕込んで90℃で5時間反応した。得られたウレタンプレポリマーは一部のジメチロールプロピオン酸が不溶のまま混在し不均一であり、粘度が極めて高かった。そこへメチルメタアクリレートを加え希釈しようとしたが、希釈が困難で均一な溶液は得られなかった。
(比較例2)ノニオン型親水性(メタ)アクリルモノマー非存在下で水分散
実施例1と各原料の仕込み量は同様にして、ウレタンプレポリマーのアクリルモノマー溶液を生成させた後、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(一般式(1)においてn=9)を使用せずそのかわりに同量のメチルメタアクリレート及びトリエチルアミンを加えて均一に混合した。次いで同様に脱塩水を滴下ところ、途中で液がゼリー状となり分散不良を起こし、均一な分散液は得られなかった。
(比較例3)ノニオン型親水性(メタ)アクリルモノマー非存在下で水分散
実施例2と各原料の仕込み量は同様にして、ウレタンプレポリマーのアクリルモノマー溶液を生成させた後、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(一般式(1)においてn=9)を使用せず、そのかわりに同量のメチルメタアクリレート及びトリエチルアミンを加えて均一に混合した。次いで同様に脱塩水を滴下ところ、途中の液が高粘度化して分散性が悪く、凝集物を含む分散液となった。引き続き同様に行い固形分35%の水性アクリル変性ウレタン樹脂組成物を得た。
【0044】
水性アクリル変性ウレタン樹脂組成物及びそれらの評価方法を以下に示す。
実施例1〜5及び比較例1〜3の結果をそれぞれ下記の表1及び表2に示す。1)溶解性ウレタンプレポリマー化反応時の原料の溶解性について外観観察で比較した。
【0045】
【表1】
◎ 非常に良好
○ 良好
△ やや不良
× 不良
2)水分散性
ウレタンプレポリマー溶液を中和した後、水を加えた際の分散性を比較した。
【0046】
【表2】
◎ 非常に良好(均一分散液で攪拌が容易)
○ 良好(ほぼ均一分散液)
△ やや不良(一部凝集あり、攪拌が困難)
× 不良(樹脂と水相が分離)
3)製膜性
最終的に得られた水性樹脂分散液をガラス板にクリアランス150μmのブレードで塗布し、60℃で1時間乾燥した時の塗膜外観を比較した。
【0047】
【表3】
○ 均一塗膜
△ 塗膜にわずかクラック発生
× 塗膜にかなりクラック発生
4)塗膜の耐水性
上記乾燥塗膜を25℃の水中に4時間浸漬した後の外観変化を比較した。
【0048】
【表4】
○ 殆ど変化なし
△ やや白化
× かなり白化
【0049】
【表5】
【0050】
【表6】
【0051】
【発明の効果】
本発明の水性アクリル変性ウレタン樹脂組成物の製造方法は、従来有機溶剤を使用していた代わりに(メタ)アクリルモノマーを使用し、ウレタン樹脂の生成と共に(メタ)アクリルモノマーを重合することによって、脱溶剤工程が不要で、製造時間も比較的短く合理的な製造方法である。尚かつ比較的安価なアクリル重合体で変性することによって、従来のウレタン樹脂に不足した耐候性、耐ブロッキング、耐溶剤性、耐水性等の性能を満足することができ、低コストで高性能な樹脂が得られる。本発明により塗料、インキ、接着剤、コーティング材、プライマー等の用途において有用な水性アクリル変性ウレタン樹脂組成物の製造方法を提供することが可能である。
Claims (9)
- (a)有機ポリイソシアネート、(b)ポリオール及び(c)イオン基を形成する化合物とを、(d)イソシアネート基に対して非反応性の(メタ)アクリルモノマー中で反応させることにより、イソシアネート基末端のウレタンプレポリマーを生成させ、下記一般式(1)で表されるノニオン型親水性(メタ)アクリルモノマーの存在下で水に分散させた後、ウレタンプレポリマーを鎖延長し、全(メタ)アクリルモノマーのラジカル重合を行うことを特徴とする水性アクリル変性ウレタン樹脂組成物の製造方法。
【化1】
R1−O−(R2−O)n−R3 (1)
(式中 R1 はアクリロイル基又はメタクリロイル基、R2はエチレン基、プロピレン基又はブチレン基、R3は水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基、アクリロイル基又はメタクリロイル基であり、nは2〜40の整数を表す。) - ウレタンプレポリマーの鎖延長と、全(メタ)アクリルモノマーのラジカル重合とを同時に行うことを特徴とする請求項1に記載の水性アクリル変性ウレタン樹脂組成物の製造方法。
- 上記一般式(1)において、R2がエチレン基であることを特徴とする請求項1又は2に記載の水性アクリル変性ウレタン樹脂組成物の製造方法。
- ノニオン型親水性(メタ)アクリルモノマーが下記一般式(2)で表される化合物であって、イソシアネート基に対して非反応性であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の水性アクリル変性ウレタン樹脂組成物の製造方法。
【化2】
R1−O−(CH2−CH2−O)n−R3 (2)
(式中 R1はアクリロイル基又はメタクリロイル基、R3はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基、アクリロイル基又はメタクリロイル基であり、nは2〜40の整数を表す。) - ウレタンプレポリマーを請求項4に記載のノニオン型親水性(メタ)アクリルモノマーの存在下で生成させることを特徴とする水性アクリル変性ウレタン樹脂組成物の製造方法。
- ウレタンプレポリマーの鎖延長剤が水であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の水性アクリル変性ウレタン樹脂組成物の製造方法。
- 全(メタ)アクリルモノマー中のノニオン型親水性(メタ)アクリルモノマーの含有量が0.5〜100重量%である請求項1〜6のいずれかに記載の水性アクリル変性ウレタン樹脂組成物の製造方法。
- ウレタンプレポリマーと全(メタ)アクリルモノマーの割合が固形分重量比で、ウレタンプレポリマー:全(メタ)アクリルモノマー=5:95〜95:5である請求項1〜7のいずれかに記載の水性アクリル変性ウレタン樹脂組成物の製造方法。
- (a)有機ポリイソシアネート、(b)ポリオール及び(c)イオン基を形成する化合物とを、(d)イソシアネート基に対して非反応性の(メタ)アクリルモノマー中で反応させることにより、得られる水性アクリル変性ウレタン樹脂組成物であって、下記一般式(1)で表されるノニオン型親水性(メタ)アクリルモノマーに由来する成分を含有し、(d)イソシアネート基に対して非反応性の(メタ)アクリルモノマー及び下記一般式(1)で表されるノニオン型親水性(メタ)アクリルモノマーがラジカル重合されてなることを特徴とする水性アクリル変性ウレタン樹脂組成物。
【化3】
R1−O−(R2−O)n−R3 (1)
(式中 R1 はアクリロイル基又はメタクリロイル基、R2はエチレン基、プロピレン基又はブチレン基、R3は水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基、アクリロイル基又はメタクリロイル基であり、nは2〜40の整数を表す。)
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