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JP4326031B2 - 帯域合成フィルタバンク及びフィルタリング方法並びに復号化装置 - Google Patents

帯域合成フィルタバンク及びフィルタリング方法並びに復号化装置 Download PDF

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JP4326031B2 JP19441697A JP19441697A JP4326031B2 JP 4326031 B2 JP4326031 B2 JP 4326031B2 JP 19441697 A JP19441697 A JP 19441697A JP 19441697 A JP19441697 A JP 19441697A JP 4326031 B2 JP4326031 B2 JP 4326031B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、帯域分割された信号を帯域合成処理して元の信号を復元するために用いる帯域合成フィルタバンク及びフィルタリング方法並びに復号化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
オーディオ、或いは音響音声等の信号の符号化には様々な方法がある。例えば、時間軸上の音響信号をブロック化せず、帯域分割フィルタを用いて複数の周波数帯域に分割して符号化する非ブロック化周波数分割方式である帯域分割方法や、ブロック化した時間軸上の信号を周波数軸上の信号にスペクトル変換して複数の周波数帯域に分割し、各帯域毎に符号化するブロック化周波数分割方式である変換符号化方法がある。
【0003】
また、上記2つの方法を組み合わせた符号化の手法も考えられており、この場合は、例えば、音響信号を帯域分割符号化で帯域分割処理した後、各帯域毎の信号をスペクトル変換し、このスペクトル変換された各帯域毎に符号化を施す。
【0004】
上記帯域分割方法で用いる帯域分割フィルタとしては、例えばQMF(Quadrature Mirror Filter)がある。このQMFは、1976 R.E.Crochiere Digital coding of Speech in subbands Bell Syst. Tech. J. Vol.55, No.8 1976に述べられている。しかし、帯域を多くのバンドに分割するときは何段にもQMFを重ねる必要があり、このため演算量、遅延量が多くなる傾向にある。
【0005】
そこで、演算量、遅延量が少なく、帯域をM個に均等に分割可能で、同一時間に対応するスペクトル変換サンプル数が分割されたすべての帯域で同一になるためにフィルタバンクの構成が簡単になり、効率的な演算処理を可能とするPQF(Polyphase Quadrature Filter)が注目される。このPQFに関しては、ICASSP 83 BOSTON Ployphse Quadrature filters-A new subband coding technique Joseph H. Rothweilerに詳しく述べられている。
【0006】
スペクトル変換としては、例えば入力オーディオ信号を所定単位時間 (フレーム)でブロック化し、当該ブロック毎に離散フーリエ変換(DFT)、コサイン変換(DCT)を施して時系列信号を周波数軸上のスペクトル信号成分に変換する方法がある。DFT,DCTでは、N個のサンプルからなる時間ブロックで変換を行うと、N個の独立な実数データが得られる。時間ブロックの接続歪を軽減するために、通常は両隣のブロックとそれぞれN1個のサンプルずつオーバーラップさせるので、平均して(N−N1)個のサンプルに対してN個の実数データを量子化して符号化することになる。
【0007】
これに対し、モデファイド離散コサイン変換(MDCT)を使用した場合には、両隣の時間ブロックとN/2ずつオーバーラップさせた2N個のサンプルからN個の独立した実数データが得られる。このため、MDCTでは平均してN個のサンプルに対してN個の実数データをスペクトル成分として得る。そして、このN個の実数データを量子化して符号化することになる。復号化装置においては、上記MDCTを用いて得られた符号列からスペクトル成分を復元し、各ブロックにおいて逆変換を施して得られた時系列信号要素を互いに干渉させながら加えあわせることにより音響信号を再構成することが出来る。このMDCTについての詳細は、ICASSP 1987 Subband/Transform Coding Using Filter Bank Designs Based on Time Domain Aliasing Cancellation J.P.Princen A.B.Bradley Univ. of Surry Royal Melborune Inst. of Tech.に述べられている。このように帯域分割フィルタやMDCT等により帯域毎に分割された入力信号をスペクトル変換し、量子化することにより、量子化雑音が発生する帯域を制御することが可能であり、マスキング効果や等ラウドネス効果などの性質を利用して聴覚的に高能率な符号化を行うことが出来る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、音響信号等を高能率に符号化/復号化する際には、上述したように、帯域をいくつかの領域に分割する場合が多いが、この場合、隣接する帯域からの影響を取り除くため、精度の高い帯域分割処理/帯域合成処理が望まれる。このため、出来るだけタップ長が大きく、急峻な周波数特性を持つ帯域分割/帯域合成フィルタが必要となるが、その反面、演算量が増大して実時間処理が難しくなる。
【0009】
特に、符号化装置においてはスペクトル成分に対するビット割り当ての最適化処理を行う必要があるため、演算量が著しく多くなる場合がある。それでも、符号化装置には比較的大型で演算処理能力の高い装置を使用出来る場合が多いので、符号化装置に用いられる帯域分割フィルタバンクのタップ長を、所望する特性に見合った適切な長さに選択することが可能である。また、符号化装置では、必ずしも実時間処理を行う必要はない。
【0010】
しかし、小型で演算処理能力の低い符号化装置を設計したい場合には、比較的大型で演算処理能力の高い装置を使用出来る符号化装置といえども、どうしても演算量を低く押さえる必要がある。
【0011】
また、復号化装置においては符号化装置のように最適化処理が必要ないため、符号化装置に比較すれば演算量は多くないが、小型な装置が望まれることが多いために演算量は低い方が望ましい。さらに、最近ではソフトウェアによって復号化装置を作る場合があるが、ソフトウェアはハードウェアに比べ演算処理能力が低いために、演算量を低く抑えることがより重要になる。
【0012】
そこで、本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、帯域合成処理を行う際に演算処理能力の低い復号化装置を使用する必要があるときに、演算量を低減し、実時間処理を優先した復号化を実現できる帯域合成フィルタバンク及び帯域合成フィルタリング方法の提供を目的とする
【0014】
また、本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、帯域合成処理を伴った復号化を行う際に、演算処理能力が低かったり、また時間的に演算処理能力が変化してしまう場合、実時間処理を優先するように演算量をコントロール可能とする復号化装置の提供を目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明に係る帯域合成フィルタバンク及び帯域合成フィルタリング方法は、与えられた有限タップ長のフィルタ係数により構成される帯域分割フィルタバンクにより帯域分割処理された音響信号に帯域合成処理を施す帯域合成フィルタバンク及び帯域合成フィルタリング方法であって、上記有限タップ長のフィルタ係数に、有限タップ長よりも短いタップ長のハミング窓関数により最適化演算処理を施し、上記最適化演算処理が施されて得られたフィルタ係数の内の両端側の値が0となるフィルタ係数を切り捨てたタップ長の修正フィルタ係数を導出し、得られた修正フィルタ係数から修正帯域合成フィルタ係数を導出する。
【0019】
また、本発明に係る復号化装置は、上記課題を解決するために、与えられた有限タップ長のフィルタ係数により構成される帯域分割フィルタバンクを用いた符号化装置によって符号化された符号化列とタップ長情報を読み出し、この符号化列を復号化する復号化装置であって、上記有限タップ長のフィルタ係数に、有限タップ長よりも短いタップ長のハミング窓関数により最適化演算処理を施す最適化処理手段と、上記最適化処理手段により上記最適化演算処理が施されて得られたフィルタ係数の内の両端側の値が0となるフィルタ係数を切り捨てたタップ長の修正フィルタ係数を導出するタップ長変換手段と、上記タップ長変換手段により得られた修正フィルタ係数から修正帯域合成フィルタ係数を導出する帯域合成フィルタ係数演算手段とを備え、上記符号化された符号化列を、上記帯域合成フィルタ係数演算手段からの修正帯域合成フィルタ係数により構成される帯域合成フィルタバンクによって帯域合成を行ってから、上記符号化列を復号化する。
【0021】
ここで、本発明に係る符号化装置/復号化装置では、装置の総演算量のうちで大きな割合をしめる帯域分割/帯域合成フィルタバンクのタップ長を変化させることで、総演算量をコントロールさせることが出来る。
また、符号化装置においてタップ長を変化させたタップ長情報を符号化列の中に記録させることで、復号化装置でも対応可能とする。
【0022】
また、復号化装置の演算処理能力が時間とともに変化し、そのままでは実時間処理が不可能な状態に陥る前にタップ長を変化させ、復号化装置の負荷を軽減する。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る帯域合成フィルタバンク及びフィルタリング方法、並びに帯域分割フィルタバンク及びフィルタリング方法、並びに符号化装置、並びに復号化装置の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0024】
この実施の形態は、先ずオーディオ、或いは音声等の音響信号を帯域分割処理してから各帯域毎の信号をスペクトル変換し、このスペクトル変換された各帯域毎のスペクトル成分に符号化処理を施して符号列を生成するとともに、この符号列を分解して各帯域毎の符号化出力を各帯域毎に復元してから帯域合成処理を行い、上記オーディオ、或いは音声等の音響信号を復号化する図1に示すような音響信号符号化/復号化システム1である。
【0025】
この音響信号符号化復号化システム1は、入力音響信号Sを帯域分割処理してからスペクトル変換し、各帯域毎のスペクトル成分に符号化を施す符号化装置2と、この符号化装置2からの出力である符号列から各帯域毎の信号を復元して帯域合成処理を施して出力音響信号S’を出力する復号化装置7とを有してなる。
【0026】
符号化装置2は、入力音響信号Sを帯域分割し、各帯域毎の信号をスペクトル変換してこのスペクトル信号成分SFを出力するスペクトル変換部3と、スペクトル変換により得られたスペクトル成分に符号化処理を施して符号列CSを生成する符号化部4とを有してなる。符号化部4は、上記スペクトル信号成分SFを符号化して符号化出力C0を生成するスペクトル成分符号化部5と、この符号化出力C0を基に符号列CSを生成する符号列生成部6とを有してなる。
【0027】
また、復号化装置7は、符号列CSを各帯域毎に復元してスペクトル成分SF’を出力する復号化部8と、各帯域毎のスペクトル成分SF’を逆スペクトル変換して帯域合成処理を行い出力音響信号S’を出力する時系列信号合成部11とを有してなる。復号化部8は、上記符号列CS’を分解して符号化出力C0’を抽出する符号列分解部9と、この抽出された符号出力C0’からスペクトル成分SF’を復元して出力するスペクトル成分復号化部10とを有してなる。
【0028】
ここで、符号化装置2のスペクトル変換部3は、図2に示すように具体化できる。先ず入力音響信号Sは、全帯域をM、例えば4に等分割される。すなわち、入力音響信号Sは、例えばPQFフィルタバンクのような帯域分割フィルタバンク12を構成する帯域分割フィルタ120,121,122及び123によってM(=4)個の帯域に均等に分割される。
【0029】
このPQFフィルタバンクのような帯域分割フィルタバンク12の各帯域のフィルタの周波数特性は、後述するように、通過帯域幅がπ/2Mであるプロトタイプフィルタと呼ばれるローパスフィルタの周波数特性を周波数軸上で推移させることによって求められる。
【0030】
帯域分割フィタバンク12によって帯域分割処理された時系列信号S0,S1,S2及びS3は、間引き部130,131,132及び133によって入力音響信号Sに比べてサンプル数が1/Mに間引かれて時系列信号SD0,SD1,SD2及びSD3となる。この時系列信号SD0,SD1,SD2及びSD3を、例えばモデファイドコサイン変換(MDCT)のような順スペクトル変換部140,141,142及び143によって、スペクトル成分SF0,SF1,SF2及びSF3に変換する。
【0031】
ここで、帯域分割フィルタバンク12が出力した時系列信号S0,S1,S2及びS3は、間引き部13を通過することによって入力音響信号Sに比べてサンプル数が1/Mに間引きされた時系列信号SD0,SD1,SD2及びSD3となり、その帯域幅は1/Mになっている。帯域が1/Mになると、隣接するバンド間でエリアシングが発生するが、後述する復号化装置7においてPQFフィルタバンクを用いた帯域合成処理を行うことにより、エリアシング成分をキャンセルすることが出来る。
【0032】
また、復号化装置7の復号化装置7の時系列信号合成部11は、図3に示すように具体化できる。スペクトル成分復号化部10によって復元されたスペクトル成分SF ' 0,SF ' 1,SF ' 2及びSF ' 3は、例えばIMDCT等の逆スペクトル変換部150,151,152及び153によって時系列信号SI0,SI1,SI2及びSI3に変換される。
【0033】
また、時系列信号合成部11の最終段には、帯域合成フィルタバンク17を設けているが、この帯域合成フィルタバンク17で帯域合成処理を行い出力音響信号S’を得るため、時系列信号SI0,SI1,SI2及びSI3のサンプリング周波数fS/MをM倍のfSに変換しておく必要がある。
【0034】
このため、サンプリング周波数fS/Mの時系列信号SI0,SI1,SI2及びSI3を補間部16によってサンプリング周波数fSの時系列信号S' 0,S' 1,S' 2及びS' 3に変換する。この際に各帯域間でエリアシングが発生するが、このエリアシング成分を含んだM個の各帯域の信号は、帯域合成フィルタバンク17を構成する帯域合成フィルタ170,171,172及び173によってエリアシング成分がキャンセルされる。この帯域合成フィルタバンク17からの出力である時系列信号SU0,SU1,SU2及びSU3を一つの出力に合成して出力音響信号S’を得る。
【0035】
上記図1のスペクトル変換部3として図2に示したスペクトル変換部3と、図1の時系列信号合成部11として図3に示した時系列合成部11とを用いると、図1に示した上記実施の形態となる音響信号符号化復号化システム1は、図4に示すような形態となる。ここでは、フィルタバンクとしてはM=4であるPQFフィルタバンクを、スペクトル変換としてはMDCTを用いる。
【0036】
スペクトル変換部3には元々間引き部13が設けられており、帯域分割フィルタバンク12を構成する帯域分割フィルタ120,121,122及び123が出力する時系列信号S0,S1,S2及びS3に対し、図5に示すようなデシメーションフィルタDFを使って間引き処理を施す。ここではM=4であるので、サンプリング周波数fSの時系列信号S0,S1,S2及びS3は、デシメーションフィルタDFによって4サンプル中の先頭サンプルのみが出力され、残りの3サンプルは棄却される。この操作により、信号のサンプリング周波数はfS/4となり、信号の帯域幅も1/4となる。
【0037】
時系列信号合成部11には、図4に示すように補間部16が設けられており、逆スペクトル変換部15を構成するIMDCT150,151,152及び153から出力される時系列信号SI0,SI1,SI2及びSI3に対し、図6に示すようなインターポレーションフィルタIFを使って補間処理を施す。ここでは、M=4であるので、時系列信号SI0,SI1,SI2及びSI3に対し、インターポレーションフィルタIFによって値が0であるデータを挿入する。この操作により、サンプリング周波数はfS/4からfSへと変換されるが、この際にインターポレーションフィルタIFの出力にはエリアシング成分が含まれる。このエリアシング成分を含んだ4個の各帯域の信号は、帯域合成フィルタバンク17を構成する帯域合成フィルタ170,171,172及び173によってエリアシング成分がキャンセルされる。
【0038】
ところで、上記図1、図2及び図4に示したスペクトル変換部3に用いられている帯域分割フィルタバンク12には、後段の順スペクトル変換部13で精度よく変換を行うため、急峻かつ遮断特性の高い性能が求められる。このため、フィルタのタップ長を大きく設定する必要がある。
【0039】
例えばタップ長L=96のフィルタ係数hx(96)、(ここで、x=0〜M-1)を用いたPQFフィルタバンクによって帯域分割フィルタバンクを構成した場合について、以下に説明する。
【0040】
PQFフィルタバンクによって構成した帯域分割フィルタバンク12の各帯域分割フィルタ120,121,122及び123の帯域分割フィルタ係数H0,H1,H2及びH3は、図7に示す帯域分割フィルタ係数導出工程によって通過帯域幅がπ/2Mのローパスフィルタであるプロトタイプフィルタの周波数特性を周波数軸上で推移させることによって求められる。
【0041】
なお、PQFフィルタバンクによって構成した帯域合成フィルタバンク17の各帯域合成フィルタ170,171,172及び173の帯域合成フィルタ係数K0,K1,K2及びK3は、図7の帯域合成フィルタ係数導出工程によって通過帯域幅がπ/2Mのローパスフィルタであるプロトタイプフィルタの周波数特性を周波数軸上で推移させることによって求められる。
【0042】
ここで、係数H0,H1,H2及びH3と係数K0,K1,K2及びK3は、互いに密接に関係しており、どちらか一方の係数を決めれば、他方の係数も一意に決定される。
【0043】
例えば、図7に示すプロトタイプフィルタh(n)として図8の(A)にインパルス応答を示すタップ長L=96のプロトタイプフィルタh(n)を用いたとする。このプロトタイプフィルタの周波数特性は図8の(B)に示すような振幅特性H(ω)となり、
H(ω)=0 (|ω|>π/M)
2(ω)+H2(π/M−ω)=1 (|ω|<π/M)
と表せる。このプロトタイプフィルタh(n)は、通過帯域幅を1/Mでなく、1/2Mに制限するローパスフィルタである。このプロトタイプフィルタh(n)の周波数特性H(ω)を周波数軸上で推移させることで、タップ長L=96のPQFフィルタバンクによって構成される各帯域毎の帯域分割フィルタの帯域分割フィルタ係数を求めることができる。
【0044】
図8に特性を示したタップ長L=96のプロトタイプフィルタh(n)から導出した、PQFフィルタバンクの各帯域毎の分割フィルタの周波数特性を求めた結果を図9の(A)、図10の(A)に示す。各帯域の分割フィルタの周波数特性H0(ω),H1(ω),H2(ω)及びH3(ω)は、阻止帯域減衰量を80dB以上確保している。細かく述べると、80dB〜100dBの遮断特性を確保しており、隣接する帯域からのエリアシングを十分に抑えることが可能となっている。
【0045】
また、図9の(A)、図10の(A)で示した帯域分割フィルタバンク12に対応するタップ長96のフィルタ係数kx(96)、(ここで、x=0〜M-1)を用いたPQFフィルタバンクによって帯域合成フィルタを構成した場合、図9の(B)、図10の(B)に示すように各帯域を合成した場合の周波数特性U(ω)のリップルは0.01dB以下と非常に低く抑えられている。このようにタップ長96のPQFフィルタバンクを用いれば、極めて高精度な帯域分割/帯域合成を行うことが可能である。
【0046】
上記帯域分割フィルタバンク12/帯域合成フィルタバンク17に用いることのできるPQFフィルタバンクの演算量は、符号化/復号化装置全体の演算量において大きな割合を占めており、タップ長に比例して増減する。このため、タップ長を変化させることで符号化/復号化装置全体の演算量をコントロールすることが出来る。
【0047】
本発明は、このPQFフィルタバンクのタップ長を可変とした場合において音質劣化を最小限に抑えることが可能であり、符号化/復号化装置全体の演算量のコントロールを可能とするものである。
【0048】
ここで、比較のため、タップ長L=96のFIRフィルタを用いて構成した帯域分割フィルタバンク18を図11に示す。入力バッファ19には入力音響信号Sが1サンプルずつ入力され、この入力バッファ19と4つのタップ長L=96の帯域分割フィルタ係数保持部21,24,27及び30との畳込み演算が乗算器群20,23,26及び29と加算器22,25,28及び31で行われ、各帯域毎の信号成分S0,S1,S2及びS3が得られる。この帯域分割フィルタバンク18では、演算回数が1サンプル当たり96回となる。
【0049】
また、タップ長L=96のFIRフィルタを用いて構成した帯域合成フィルタバンク32を比較例として図12に示す。入力バッファ33,37,41及び45には4つの時系列信号S' 0,S' 1,S' 2及びS' 3が1サンプルずつ入力され、この入力バッファとタップ長L=96の帯域合成フィルタ係数保持部35、39、43及び47との畳み込み演算が乗算器群34,38,42及び46と加算器36,40,44及び48で行われ、各帯域毎の出力SU0,SU1,SU2及びSU3が得られる。この帯域合成フィルタバンク32では、演算回数が1サンプル当たり96回となる。
【0050】
ところで、符号化装置2側では、符号化を行う際には必ずしもリアルタイムで符号化を行う必要はなく、また比較的に演算処理能力の高い符号化装置を用いることが出来るため、帯域分割フィルタバンクのタップ長を、所望する特性に見合った適切な長さにすることができる場合がある。
【0051】
これに対し、復号化装置7側で帯域合成処理を行う際に、演算処理能力の低いものを使用する必要があるとき、タップ長が大きいと演算が追い付かずにリアルタイムでの音響信号の復号化処理が不可能な場合が存在する。
【0052】
そこで、先ず、帯域合成処理に限って、高速化を計る場合について、以下に説明する。図13には帯域合成処理にて高速化を計ることのできる復号化装置を構成する時系列信号合成部11の構成を示す。
【0053】
この図13に示す時系列信号合成部11では、固定タップ長変換帯域合成フィルタバンク50を用いている。この固定タップ長変換帯域合成フィルタバンク50は、符号化装置2内のスペクトル変換部3を構成している帯域分割フィルタバンク12のタップ長Lが例えば96である場合、それよりも短い固定タップ長L’(64、48等)で構成される。
【0054】
この固定タップ長変換帯域合成フィルタバンク50は、図14に示すように時系列信号S' 0,S' 1,S' 2及びS' 3が入力される入力バッファ51と、畳み込み演算部52と、後述する復号化装置の処理能力に応じて帯域合成フィルタ係数を修正する帯域合成フィルタ係数設定・保持部53とを有してなる。
【0055】
復号化装置の処理能力を検査する復号化装置処理能力検査部54は復号化装置7の演算処理能力を事前に調べ、演算可能なタップ長L’を導出する。そして修正帯域合成フィルタ係数演算部55によって必要とされる特性を得ることが可能であるように帯域合成フィルタ係数を導出し、その帯域合成フィルタ係数を帯域合成フィルタ係数設定・保持部53で設定してから入力バッファ51を経由した時系列信号S' 0,S' 1,S' 2及びS' 3に畳み込み演算部52で畳み込み演算を行い、出力音響信号S’を出力する。
【0056】
ここで、この固定タップ長変換帯域合成フィルタバンク50はタップ長がLからL’へと削減されているので、畳み込み演算量もタップ長が96の場合と比較して削減される。例えば、タップ長L=96の帯域合成処理に必要な積和演算量は1サンプル当たり96回であるが、タップ長L’を64にした場合は1サンプル当たり64回の積和演算で済むことになり帯域合成処理の高速化が可能である。
【0057】
復号化装置7の演算処理能力を調べる復号化装置処理能力検査部54は、帯域合成処理に用いられる復号化装置に固有の演算処理能力を調べるだけであり、一度タップ長L’を導出したなら復号化装置の演算能力が時間とともに変化しない場合に用いられる。
【0058】
図14における修正帯域合成フィルタ係数演算部55は図15に示す様に構成される。先ず、修正プロトタイプフィルタ係数演算部56により、タップ長L=96のプロトタイプフィルタからタップ長L’の修正プロトタイプフィルタ係数を導出する。
【0059】
修正プロトタイプフィルタ係数演算部56は、タップ長L=96のプロトタイプフィルタのタップ長を変換する固定タップ長変換部57と、この固定タップ長変換部57で固定タップ長変換された修正プロトタイプフィルタの係数を保持する修正プロトタイプフィルタ係数保持部58とを有してなる。
【0060】
さらに、固定タップ長変換部57は、タップ長L=96のプロトタイプフィルタ係数を保持するプロトタイプフィルタ係数保持部59と、このプロトタイプフィルタ係数保持部59に保持されているプロトタイプフィルタ係数にタップ長L’の窓関数により最適化処理を施す最適化処理部60と、最適化処理が施されたプロトタイプフィルタの両端の値が0であるフィルタ係数部を切り捨ててタップ長L’の修正プロトタイプフィルタを導出するタップ長変換部61とを有してなる。
【0061】
この修正プロトタイプフィルタ係数演算部56によって導出されたタップ長L’の修正プロトタイプフィルタ係数から、図7に示した帯域合成フィルタ係数導出工程のように動作する帯域合成フィルタ係数演算部62によってタップ長L’の修正帯域合成フィルタ係数ki '(n)を導出する。
【0062】
例としてタップ長L=96をタップ長L’=64に変換する固定タップ長変換部63を図16に示す。先ず、最適化処理部60において、プロトタイプフィルタ係数保持部64に保持されているタップ長L=96のプロトタイプフィルタ係数に対して窓関数保持部65に保持されているタップ長L’=64の窓関数を作用させる。ここで、窓関数w(n)は両端から16タップづつ値が0となっており、演算精度に影響を及ぼさない。このため、この部分をタップ長変換部61で切り捨てることが可能である。
【0063】
上記図16の最適化処理部60において用いる窓関数として、タップ長L’=64のハミング関数w64tap(n)の具体例を図17にあげる。このハミング関数は、
Figure 0004326031
w(n)=0 その他のn
で表され、上記プロトタイプフィルタh(n)の両端を切り捨てる際に滑らかに値を変換させることで時間軸上の不連続部分を少なくし、周波数分離特性を良好に保つための機能を持つ。
【0064】
この図17に示したハミング関数を用いた固定タップ長変換部63によって導出される修正プロトタイプフィルタh64tap(n)のインパルス応答を図18の(A)に示す。図18の(B)は、タップ長L=96のプロトタイプフィルタの周波数特性H96tap(ω)と、上記修正プロトタイプフィルタh64tap(n)の周波数特性H64tap(ω)とを比較したものである。H64tap(ω)の周波数特性における阻止帯域減衰量は、タップL=96のプロトタイプフィルタの周波数特性H96tap(ω)に比べて遷移幅が拡大されてはいるものの、阻止帯域減衰量は80dB程度確保することが可能となっている。
【0065】
上記図18に特性を示した修正プロトタイプフィルタh64tap(n)から導出した各帯域毎の分割フィルタの周波数特性を求めた結果を図19の(A)に示す。各帯域分割フィルタの周波数特性H0(ω),H1(ω),H2(ω)及びH3(ω)は、阻止帯域減衰量を80dB程度確保しており、隣接する帯域からのエリアシングを十分に抑えることが可能となっている。また、各帯域を合成した際の全帯域の周波数特性は図19の(B)に示すように平坦にならず、特に各帯域のオーバーラップ部分においてはU(ω)が2dB程度減少してしまう。だが、音響信号などを対象とした帯域合成処理では、聴感上このオーバーラップ部のゲインの減少はそれほど問題とはならない。むしろ問題となるのは隣接する帯域からのエリアシング成分であり、これを低いレベルに抑えたほうが聴感上は有利である。
【0066】
次に、図20には上記図12に示したタップ長L=96の帯域合成フィルタバンク32を、タップ長L’=64の帯域合成フィルタバンクに変換した固定タップ長変換帯域合成フィルタバンク67の構成を示す。入力バッファ68,72,76及び80には4つの時系列信号S' 0,S' 1,S' 2及びS' 3が1サンプルずつ入力され、この入力バッファとタップ長L’=64の帯域合成フィルタ係数保持部70,74,78,82との畳み込み演算が乗算器群69,73,77及び81と加算器71,75,79及び83で行われ、各帯域毎の出力SU0,SU1,SU2及びSU3が得られる。
【0067】
ここで、帯域合成フィルタ係数保持部70,74,78及び82には、上記図15で求めたタップ長L’の修正帯域合成フィルタ係数ki '(n)を用いている。この帯域合成フィルタバンク67は、聴感上大きな問題が生じないようにフィルタ係数の修正及びタップ長の短縮化を行っており、タップ長L=96の帯域合成フィルタバンク32と比較して畳み込み演算回数を削減させることが出来、高速な帯域合成処理を可能としている。この例では、タップ長L=96の帯域合成処理に必要な積和演算量は1サンプル当たり96回であるが、タップ長L’を64にした場合は1サンプル当たり64回の積和演算ですむことになり、積和演算量は2/3に抑えられている。
【0068】
次に、帯域合成処理の高速化を計る他の具体例について以下に説明する。図21にはこの他の具体例を用いた時系列信号合成部11の構成を示す。
【0069】
この図21に示す時系列信号合成部11では、可変タップ長変換帯域合成フィルタバンク85を用いている。この可変タップ長変換帯域合成フィルタバンク85は、符号化装置2内のスペクトル変換部3を構成している帯域分割フィルタバンク12のタップ長Lが例えば96である場合、それよりも短いタップ長L’で構成されるが、このタップ長L’は固定ではなく可変となっている。
【0070】
可変タップ長帯域合成フィルタバンク85は、固定タップ長変換帯域合成フィルタバンク50とは異なり、時間とともにタップ長L’を変化させることが可能である。この可変タップ長変換帯域合成フィルタバンク85には、図22に示すように復号化装置7の処理状態を示す復号化装置負荷信号Aが逐次入力され、復号化装置処理能力検出部89によって復号化装置7の演算処理能力を検出し、その演算処理処理能力に見合ったタップ長L’を導出する。このタップ長L’を基に、修正帯域合成フィルタ係数演算部90によって帯域合成フィルタ係数設定・保持部88の再設定を行う。そして、帯域合成フィルタ係数設定・保持部88からの帯域合成フィルタ係数と入力バッファ86を経由した時系列信号S' 0,S' 1,S' 2及びS' 3との畳み込み演算を畳み込み演算部87で行い、出力音響信号S’を出力する。
【0071】
上記図22における修正帯域合成フィルタ係数演算部90は図23に示す様に構成される。先ず、修正プロトタイプフィルタ係数演算部91により、タップ長L=96のプロトタイプフィルタからタップ長L’の修正プロトタイプフィルタ係数を導出する。
【0072】
修正プロトタイプフィルタ係数演算部91は、タップ長L=96のプロトタイプフィルタのタップ長を変換する可変タップ長変換部92と、この可変タップ長変換部92によりタップ長変換されて得られた修正プロトタイプフィルタ係数を保持する修正プロトタイプフィルタ係数保持部96とを有してなる。
【0073】
さらに、可変タップ長変換部92は、タップ長L=96のプロトタイプフィルタの係数を保持するプロトタイプフィルタ係数保持部93と、このプロトタイプフィルタ係数保持部93で保持されたプロトタイプフィルタ係数に対してタップ長L’の窓関数により最適化処理を施す最適化処理部94と、最適化処理が施されたプロトタイプフィルタの両端の値が0であるフィルタ係数部を切り捨ててタップ長L’の修正プロトタイプフィルタを導出するタップ長変換部95とを有してなる。
【0074】
この修正プロトタイプフィルタ係数演算部91によって導出されたタップ長L’の修正プロトタイプフィルタ係数から、図7に示した帯域合成フィルタ係数導出工程のように動作する帯域合成フィルタ係数演算部97によってタップ長L’の帯域合成フィルタ係数ki '(n)を導出する。
【0075】
例としてタップ長L=96をタップ長L’=64及び48に変換する可変タップ長変換部92を図24及び図25に示す。先ず、最適化処理部94において、プロトタイプフィルタ係数保持部980及び981に保持されているタップ長L=96のプロトタイプフィルタ係数に対して窓関数保持部100及び102のタップ長L’=64及びL’=48の窓関数を乗算器990及び991によって作用させる。ここで、窓関数w64(n)は両端から16タップづつ値が0、窓関数w48(n)は両端から24タップづつ値が0となっており、演算精度に影響を及ぼさない。このため、この部分をタップ長変換部95で切り捨て、修正プロトタイプフィルタ係数保持部101及び103を介して修正プロトタイプフィルタ係数を導出することが可能である。
【0076】
上記図24及び図25の最適化処理部94において、タップ長Lのプロトタイプフィルタに対して上記図16同様に最適化関数を作用させる。しかし、上記固定タップ長変換フィルタバンク50では復号化装置に固有の演算処理能力を予め検査してタップ長を導出していたが、この可変タップ長帯域合成フィルタバンク85では時間とともにタップ長L’を変化させることが可能なため、ハミング関数もタップ長L’によって変化させる。
【0077】
タップ長L’が48の場合のハミング関数w48tap(n)は、図26の(A)のようになり、
Figure 0004326031
w(n)=0 その他のn
で表される。
【0078】
また、タップ長L’が64の場合のハミング関数w64tap(n)は、図26の(B)のようになり、
Figure 0004326031
w(n)=0 その他のn
で表される。
【0079】
タップ長が変化しても最適化処理部94では、直に窓関数を切り替えることができる。これらの窓関数を用いることにより、タップ長L=96のプロトタイプフィルタh(n)の両端を切り捨てる際に滑らかに値を変化させることで時間軸上の不連続部分を少なくし、周波数分離特性を良好に保つための機能を持つ。
【0080】
図27には、図26の(A)及び(B)に示したハミング関数w48tap(n)及びw64tap(n)を、図8に特性を示したプロトタイプフィルタh(n)に作用させて得られた修正プロトタイプフィルタh48tap(n)及びh64tap(n)のインパルス特性を示す。また、図28の(A)及び(B)には、それぞれの周波数特性をタップ長L=96のプロトタイプフィルタの周波数特性とともに示してある。これらの修正プロトタイプフィルタh48tap(n)及びh64tap(n)から導出した各帯域分割・帯域合成フィルタの係数を図29及び図30に示す。
【0081】
修正プロトタイプフィルタh48tap(n)から導出した図29に示す帯域分割・帯域合成フィルタ係数の例では、阻止帯域減衰量が60dB程度確保されており、特定のスペクトルのみが大きな値を持つ場合や帯域のオーバーラップ部のスペクトルに大きな値が集中する場合を除けば、この帯域合成フィルタ係数を用いた音響信号の帯域合成は聴感上問題となることは少ない。
【0082】
修正プロトタイプフィルタh64tap(n)から導出した図30に示す帯域分割・帯域合成フィルタ係数の例では、阻止帯域減衰量が80dB程度と比較的大きくとれるため、大多数の音響信号の帯域合成に用いても聴感上問題となることは極めて少なく、実用的な周波数特性を持つ。
【0083】
このように可変タップ長帯域合成フィルタバンク85は、演算処理可能なタップ長が変化した場合でも聴感上は問題が生じないようにフィルタ係数を変化させることが可能であり、時間とともに演算処理能力が変化するシステムには有益である。
【0084】
図31は帯域合成フィルタ係数の設定を図22に示す方法とは別の方法で実現した可変タップ長変換帯域合成フィルタバンク104の構成を示す図である。この可変タップ長変換帯域合成フィルタバンク104では、復号化装置処理能力検出部89で導出されたタップ長L’を基に、修正帯域合成フィルタ係数読み込み部105がそのタップ長L’に見合った最適な係数を帯域合成フィルタ係数記録部106から読み込んで、帯域合成フィルタ係数設定・保持部88に設定する。この方法では、タップ長L’が時間とともに何度も変化するような場合において、何度も帯域合成フィルタ係数を計算する必要がないので、高速な係数設定が可能となる。
【0085】
図32には上記図12に示したタップ長L=96の帯域合成フィルタバンク32を、タップ長L’=64の帯域合成フィルタバンクに変換した可変タップ長変換帯域合成フィルタバンク107の構成を示す。入力バッファ108,112,116及び120には4つの時系列信号S' 0,S' 1,S' 2及びS' 3が1サンプルずつ入力され、この入力バッファとタップ長L’=64の帯域合成フィルタ係数保持部110,114,118,122との畳み込み演算が乗算器群109,113,117及び121と加算器111,115,119及び123で行われ、各帯域毎の出力SU0,SU1,SU2及びSU3が得られる。
【0086】
ここで、帯域合成フィルタ係数保持部110,114,118及び122には、図15で求めた有効なタップ長L’の修正帯域合成フィルタ係数ki '(n)を用いている。そして、可変タップ長変換帯域合成フィルタバンク107は、聴感上大きな問題が生じないようにフィルタ係数及び有効なタップ長を変換している。入力バッファ108,112,116及び120と帯域合成フィルタ係数保持部110,114,118,122の斜線で示した部分が、フィルタ係数の値が0である部分である。その斜線部分は、演算精度に無関係であるので、この部分の畳み込み演算を行う必要がなくなる。そこで、この部分の演算を行わないように入力バッファ及び係数保持部を再割当することで演算量を削減することが可能となり、帯域合成処理の高速化を計ることが出来る。また、この斜線部分はタップ長L’が変化したならば直ちに再割当が可能である。
【0087】
上記図1に示した音響信号符号化復号化システム1に用いられるスペクトル変換部3内の帯域分割フィルタバンク12や、時系列信号合成部11内の帯域合成フィルタバンク17には、PQFフィルタバンクを用いた例を挙げて説明を行ってきた。
【0088】
このPQFフィルタバンクは、帯域分割フィルタ係数・帯域合成フィルタ係数を、係数の対称性を利用して、一次係数、二次係数に分離して効率的な演算を行うことが出来る。
【0089】
一次係数、二次係数は、図33に示すように、帯域分割フィルタ係数導出工程・帯域合成フィルタ係数導出工程で導出された帯域分割フィルタ係数・帯域合成フィルタ係数に効率化帯域分割フィルタ係数導出工程・効率化帯域合成フィルタ係数導出工程を作用させることによって導出される。
【0090】
ここでは、先ずプロトタイプフィルタh(n)から帯域分割フィルタ係数導出工程によって帯域分割係数hi(n)を、帯域合成係数導出工程によって帯域合成係数ki(n)を導出する。さらに帯域分割係数hi(n)から効率化帯域分割フィルタ係数導出工程によって一次係数e(i,k),f(i,k)と二次係数g(i,m)とを導出する。同様に帯域合成係数ki(n)から効率化帯域合成フィルタ係数導出工程によって一次係数a(i,m),b(i,m)と二次係数c(i,k),d(i,k)とを導出する。
【0091】
上記効率化帯域分割フィルタ係数導出工程によって導出された一次係数e(i,k),f(i,k)と二次係数g(i,m)とを用いて帯域分割フィルタバンクを再構成した効率化帯域分割フィルタバンクを図34に示す。この効率化帯域分割フィルタバンク124では、図11に示した帯域分割フィルタバンク18の帯域分割フィルタ係数保持部21,24,27及び30の帯域分割フィルタ係数を、対称性を利用して一次係数保持部127,133,139及び145のe(0,k),e(1,k),e(2,k)及びe(3,k)と、一次係数保持部130,136,142及び148のf(0,k),f(1,k),f(2,k)及びf(3,k)と、二次係数保持部152,155,158及び161のg(0,m),g(1,m),g(2,m)及びg(3,m)に分離することで演算の効率を計り、高速な帯域分割処理を可能としている。
【0092】
ここで入力バッファ125には入力音響信号Sが4サンプルずつ入力され、この入力バッファ125と上記一次係数保持部127,130,133,136,139,142,145及び148との畳み込み演算が乗算器群126,129,132,135,138,141,144及び147と加算器128,131,134,137,140,143,146及び149で行われて、その演算出力が中間バッファ150に供給される。中間バッファ150の出力と上記二次係数保持部152,155,158及び161との畳み込み演算が乗算器群151,154,157及び160と加算器153,156,159及び162で行われて各帯域毎の信号成分S0,S1,S2及びS3が得られる。
【0093】
この効率化帯域分割フィルタバンク124では、1サンプル当たりの積和演算が2K+M回(ここで、K=L/2M)と表されるので、帯域分割数M=4、タップ長L=96の場合、1サンプル当たり28回の積和演算だけで済み、上記図11で説明した処理法と比較して演算量が1/3以下となっており、帯域分割処理の高速化が可能となる。この帯域分割処理をさらに高速化したい場合には、タップ長Lを短縮化すれば良いが、帯域分割処理側でタップ長Lを短縮化するとフィルタ特性が悪化して阻止帯域減衰量が少なくなり、隣接する帯域からのエリアシング成分を含んだままにスペクトル変換が施されてしまう。このとき生ずるエリアシング成分は帯域合成時にもキャンセルされない。このため、一般的に、帯域分割フィルタバンクには高精度で急峻な周波数特性を持たせる必要があり、タップ長を短縮することは得策ではない。
【0094】
上記図33に示す効率化帯域合成フィルタ係数導出工程によって導出された一次係数a(i,m),b(i,m)と二次c(i,k),d(i,k)とを用いて帯域合成フィルタバンクを再構成した効率化帯域合成フィルタバンク163を図35に示す。この効率化帯域合成フィルタバンク163では、図12に示した帯域合成フィルタバンク32の帯域合成フィルタ係数保持部35,39,43及び47の帯域合成フィルタ係数を対称性を利用して一次係数保持部166及び172のa(0,m)及びa(1,m)と、一次係数保持部169及び175のb(0,m)及びb(1,m)と、二次係数保持部179及び187のc(0,k)&c(3,k)及びc(1,k)&c(2,k)と、二次係数保持部183及び191のd(0,k)&d(3,k)及びd(1,k)&d(2,k)に分離することで演算の効率を計り、高速な帯域合成処理を可能としている。
【0095】
ここで入力バッファ164には逆スペクトル変換部150,151,152及び153よりの時系列信号SI0,SI1,SI2及びSI3が入力され、この入力バッファ164と上記一次係数保持部166,169,172及び175との畳み込み演算が乗算器群165,168,171及び174と加算器167,170,173及び176で行われて、その演算出力が中間バッファ177,181,185及び189に供給される。中間バッファ177,181,185及び189の出力と上記二次係数保持部179,183,187及び191との畳み込み演算が乗算器群178,182,186及び190と加算器180,184,188及び192で行われて各帯域毎の信号成分SU0,SU1,SU2及びSU3が得られる。
【0096】
この効率化帯域合成フィルタバンク163では、1サンプル当たりの積和演算が2K+M回(ここで、K=L/2M)と表されるので、 帯域合成数M=4,タップ長L=96の場合、1サンプル当たり28回の積和演算だけで済み、上記図12で用いた処理法と比較して演算量が1/3以下となっており、帯域合成処理の高速化が可能となる。
【0097】
そこで、本実施の形態となる音響信号符号化復号化システム1の復号化装置7内の時系列信号合成部11において、固定タップ長変換帯域合成フィルタバンク50及び可変タップ長変換帯域合成フィルタバンク85に、上述したタップ長変換の他、フィルタ係数の一次係数、二次係数への分離をも行わせることで帯域合成処理のさらなる高速化を計ることが可能となる。例えば、タップ長Lを64に変換した場合、演算回数は20回となる。また、タップ長Lを48に変換した場合、演算回数は16回となる。
【0098】
図36には、固定タップ長変換帯域合成フィルタバンクと効率化帯域合成フィルタバンクを組み合わせた帯域合成フィルタバンクの構成を示す。入力バッファ194には逆スペクトル変換部150,151,152及び153よりの時系列信号SI0,SI1,SI2及びSI3が入力され、この入力バッファ194と一次係数保持部196,199,202及び205との畳み込み演算が乗算器群195,198,201及び204と加算器197,200,203及び206で行われて、その演算出力が中間バッファ207,211,215及び219に供給される。中間バッファ027,211,215及び219の出力と二次係数保持部209,213,217及び221との畳み込み演算が乗算器群208,212,216及び220と加算器210,214,218及び222で行われて各帯域毎の信号成分SU0,SU1,SU2及びSU3が得られる。
【0099】
ここで、固定タップ長変換を行いたい場合には中間バッファ207,211,215及び219と、二次係数保持部209,213,217及び221のタップ長を変換するだけでよい。
【0100】
図37には、可変タップ長変換帯域合成フィルタバンクを効率化帯域合成フィルタバンクにて再構成した帯域合成フィルタバンクの構成を示す。入力バッファ224には逆スペクトル変換部150,151,152及び153よりの時系列信号SI0,SI1,SI2及びSI3が入力され、この入力バッファ224と一次係数保持部226,229,232及び235との畳み込み演算が乗算器群225,228,231及び234と加算器227,230,233及び236で行われて、その演算出力が中間バッファ237,241,245及び249に供給される。中間バッファ237,241,245及び249の出力と二次係数保持部239,243,247及び251との畳み込み演算が乗算器群238,242,246及び250と加算器240,244,248及び252で行われて各帯域毎の信号成分SU0,SU1,SU2及びSU3が得られる。
【0101】
ここで、可変タップ長変換を行いたい場合には中間バッファ237,241,245及び249と、二次係数保持部239,243,247及び251のタップ長を変換するだけで良い。また、この図37の斜線で示した部分は、係数、バッファの再割当が可能であり、タップ長L’が変化すれば直ちに変更され、演算量と帯域合成処理精度が変化する。
【0102】
以上の説明から明らかなように、上記実施の形態を用いれば、復号化処理装 置の能力に見合ったタップ長の設定が可能となり、必要とされる演算量及び帯域合成時の周波数特性の最適化が可能となる。
【0103】
例えば音響信号の帯域合成において、復号化装置の処理能力がそれほど高くない場合、音質的にはそれほど厳しい要求はされないが帯域感があるように求められる場合にはタップ長L’を短縮化して帯域合成フィルタバンクの演算量を削減すれば良い。また、データの検索、データの検査だけを高速に行う必要がある場合などのように音質的には厳しい要求がない場合にも、本発明は有効である。
【0104】
また、本発明による固定/可変タップ長フィルタバンクは復号化装置にかかる負荷の調整が可能である。すなわち、演算処理能力に余裕があるときにはタップ長L’を大きく設定して高精度な帯域合成を行い、演算処理能力に余裕がない場合にはタップ長L’を短縮化して演算量を削減し、聴感上問題の少ないように疑似的な帯域合成処理を行う。
【0105】
特に本発明は、復号化装置上で多数のアプリケーションが動作している場合などのように処理能力が時間とともに変化するような場合に有効であり、復号化装置に大きな負荷が生じた場合でも復号化処理を続けることが可能となる。
【0106】
ここまでは、復号化装置で行われる帯域合成処理に限って、演算量を減らし、高速化を計る場合について説明した。これは、符号化装置側では、符号化を行う際には必ずしもリアルタイムで符号化を行う必要はなく、また比較的に演算処理能力の高い符号化装置を用いることが出来るため、帯域分割フィルタバンクのタップ長を、所望する特性に見合った適切な長さにすることができるためである。
【0107】
しかし、小型で演算処理能力の低い符号化装置を設計したい場合や実時間処理を行いたい場合にはどうしても演算量を低く抑える必要がある。
【0108】
そこで、本発明ではさらに、符号化/復号化を問わず、演算処理能力の低い装置及び時間的に演算処理能力が変化してしまうような装置を使用する必要がある場合にも、実時間処理を実現できるように演算量をコントロール可能な機能を持つ帯域分割フィルタバンク及びフィルタリング方法、並びに帯域合成フィルタバンク及びフィルタリング方法、並びに符号化装置/復号化装置を提供する。
【0109】
図38には、帯域分割フィルタバンク/帯域合成フィルタバンクに用いる、PQFフィルタバンクのタップ長を可変にする可変タップ長PQFフィルタバンク260の構成を示す。
【0110】
この可変タップ長PQFフィルタバンク260は、所望のタップ長情報に基づいて標準タップ長のフィルタ係数を短縮して得られた所望のタップ長のフィルタ係数を出力するPQFタップ長変換部261と、このPQFタップ長変換部261からの所望のタップ長のフィルタ係数と上記音響信号とを畳み込み演算する演算器266とを備えてなる。
【0111】
そして、この可変タップ長PQFフィルタバンク260は、PQFタップ長変換部261の出力と、メモリ部265を介した入力信号とを畳み込み演算器266に導き、この畳み込み演算器266からの畳み込み演算結果を帯域分割/帯域合成信号として導出する。
【0112】
PQFタップ長変換部261ではまず最長のタップ長Lmax262を決定し、そのPQFフィルタバンクの性能を標準とする。このタップ長Lmax262をそれより短いタップ長、例えば(L=Lmax/2)263、Lmin264へと短縮化することで、帯域分割/帯域合成にかかる演算量を低減することが可能である。
【0113】
すなわち、この図39に示したPQFタップ長変換部261では、タップ長情報に基づいて、例えばRAMに既に格納している所望のタップ長のフィルタ係数を読み出して出力するように動作する。
【0114】
タップ長Lmax262を用いた場合の演算量をCul(Lmax)とすれば、タップ長をLmax262以下の(L=Lmax/2)263、Lmin264とすることで、フィルタの性能は低下するが、その場合の演算量Cul(L)はCul(Lmax)より少ないものとなる。但し、タップ長を短縮化させる場合には音質劣化が生じるので、フィルタ係数の値を操作する必要がある。
【0115】
図39にはタップ長Lを変化させるPQFタップ長変換部261の構成を示す。このPQFタップ長変換部261は、方形窓、ハミング窓等の関数を選択する窓関数選択部267と、この窓関数選択部267で選択された窓関数を生成する窓関数生成部268と、タップ長Lmaxの帯域分割フィルタ係数hx(Lmax)又は帯域合成フィルタ係数kx(Lmax)を格納しているフィルタ係数格納部269と、このフィルタ係数格納部269からのフィルタ係数hx(Lmax)又はkx(Lmax)に窓関数生成部268で生成された窓関数を乗算する乗算器270と、この乗算器270からの乗算結果であるタップ長Lの帯域分割フィルタ係数hx(L)又は帯域合成フィルタ係数kx(L)を格納するフィルタ係数格納部271とを備えてなる。この図39に示したPQFタップ長変換部261では、タップ長情報に応じてその都度、所望のタップ長のフィルタ係数を演算によって求めるような動作を行っている。
【0116】
新たな、帯域分割フィルタ係数hx(L)又は帯域合成フィルタ係数kx(L)を導出する際に、乗算器270で窓関数生成部268からの窓関数を作用させるのは、帯域分割/帯域合成の際に隣接する帯域からのエリアシングを効果的に抑制するためである。この操作により、PQFフィルタバンクのタップ長を変化させた場合でも聴感上の問題を最小限にとどめることが可能となる。
【0117】
図40は、上記図39に示したPQFタップ長変換部261により、上記図10の(A)に示した振幅特性を持つタップ長L=96のPQFフィルタバンクのフィルタ係数hx(96)を、タップ長L=48の方形窓関数によって変換したフィルタ係数hx(48)としたPQFフィルタバンクの振幅特性Hxを示した特性図である。また、図41は、フィルタ係数kx(48)としたPQFフィルタバンクの振幅特性を示した特性図である。
【0118】
図40によれば、PQFフィルタバンクの阻止帯域での利得減衰量は40dBほどであり、この程度の利得減衰量では隣接する帯域に発生するエリアシングによって聴感上の悪影響を及ぼすことがある。
【0119】
図42は、上記図39に示したPQFタップ長変換部261により、上記図10に示した振幅特性を持つタップ長L=96のPQFフィルタバンクのフィルタ係数hx(96)を、タップ長L=48のハミング窓関数によって変換し、フィルタ係数hx(48)としたPQFフィルタバンクの振幅特性Hxを示したものである。
【0120】
この図42から分かるように、このPQFフィルタバンクの阻止帯域での利得減衰量は60dB以上あり、同じタップ長L=48に変換した方形窓関数を用いた図40に示すPQFフィルタバンクより高い性能を持つ。
【0121】
ハミング窓関数を用いることにより、阻止帯域の利得減衰量は大きくとることが出来るが、図43に示すように帯域合成時の振幅特性Uのリップルが大きくなってしまう。だが、この現象は聴感上それほど問題とはならない。それより、隣接する帯域からのエリアシングが聴感上の問題を引き起こす主原因となっているため、阻止帯域の利得減衰量を大きくとった方が聴感上は有利である。
【0122】
このように、帯域分割フィルタにおいても、選択する窓関数と、タップ長によっては、実時間処理を優先するように演算量を低減することができる。
【0123】
また、このような帯域分割フィルタを用いた符号化装置、すなわち帯域分割フィルタバンクと、この帯域分割フィルタバンクで帯域分割した音響信号に符号化処理を施して符号化列を生成する図1に示すような符号化装置2によれば、演算処理能力が低かったり、また時間的に演算処理能力が変化してしまう場合、実時間処理を優先するように演算量をコントロールできる。
【0124】
また、上記帯域合成フィルタバンクを用いた復号化装置、すなわち帯域合成フィルタバンクと、この帯域合成フィルタバンクで帯域合成した信号に復号化処理を施して復号化出力を得る図1に示すような復号化装置7によれば、演算処理能力が低かったり、また時間的に演算処理能力が変化してしまう場合、実時間処理を優先するように演算量をコントロールできる。
【0125】
また、上記図39を用いて述べた、新たな帯域分割フィルタ係数hx(L)又は帯域合成係数kx(L)は、タップ長Lmaxの帯域分割フィルタ係数hx(Lmax)又は帯域合成フィルタ係数kx(Lmax)との互換性を持つ。
【0126】
例えば図44に示す符号化装置275においてタップ長Lmaxのフィルタ係数hx(Lmax)277を用いたPQFフィルタバンク276で帯域分割したデータを、復号化装置280においてタップ長Lのフィルタ係数kx(L)283を用いたPQFフィルタバンク281で帯域合成することが可能である。また、PQFフィルタバンク281でタップ長Lmaxのフィルタ係数kx(Lmax)282を用いて帯域合成することも可能である。さらに、符号化装置275においてタップ長Lのフィルタ係数hx(L)278を用いたPQFフィルタバンク276で帯域分割したデータを、復号化装置280においてタップ長Lのフィルタ係数kx(L)283を用いたPQFフィルタバンク281で帯域合成することが可能である。また、PQFフィルタバンク281でタップ長Lmaxのフィルタ係数kx(Lmax)282を用いて帯域合成することも可能である。すなわち、図44に示したような経路A,B,C及びDによって符号化/復号を行うことが可能である。
【0127】
図45には、具体例として符号化装置275のPQFフィルタバンク276においてタップ長Lmax=96のフィルタ係数hx(96)285を用いて帯域分割を行い、復号化装置280のPQFフィルタバンク281においてタップ長L=48のフィルタ係数kx(48)288を用いて帯域合成を行う音響信号符号化/復号化装置を示す。
【0128】
ここで、復号化装置280は、復号化時の演算処理能力に見合った演算量の帯域合成フィルタバンクを選択して帯域合成処理を行った後、復号化を行うことになる。
【0129】
この音響信号符号化/復号化装置では、上述したように、フィルタ係数を二つの係数に分割することで、PQFに関する積和演算量を、それぞれ1サンプルあたりL/M+M回必要としている。
【0130】
復号化装置280のPQFフィルタバンク281において、タップ長48のフィルタ係数kx(48)288を用いた場合の1サンプルあたり積和演算量は16回となり、タップ長96のフィルタ係数kx(96)287における1サンプルあたり28回の積和演算量と比較して60%以下の演算量で済むことになる。
【0131】
この図45に示した符号化/復号化装置により、符号化装置275では充分な精度で符号化を行い、復号化装置280として小型で演算量の少ない簡易的な装置を作ることが可能となる。これは、図37までを用いて既に説明した復号化装置の演算量の低減と同じことである。
【0132】
また、復号化装置280の演算処理能力が時間とともに変化し、ある時点でタップ長96のPQFフィルタバンクで帯域合成処理が困難な状態になった場合、PQFフィルタバンクをタップ長48へと変更することで演算量を低減して負荷を小さくし、実時間処理を可能とするようにしてもよい。
【0133】
このような復号化装置280においては、ハードウェア的な利点としてはシステムの小型化や省電力化が挙げられ、ソフトウェア的な利点としては復号化プログラムの負荷低減に効果があることが挙げられる。
【0134】
また、図46には、例として符号化装置275のPQFフィルタバンク276においてタップ長L=48のフィルタ係数hx(48)286を用いて帯域分割を行い、復号化装置280のPQFフィルタバンク281においてタップ長Lmax=96のフィルタ係数kx(96)287を用いて帯域合成を行う音響信号符号化/復号化装置を示す。
【0135】
この図46に示した音響信号符号化/復号化装置では、図45と同様にPQFに関する積和演算量はフィルタ係数を二つに分割しているので、1サンプルあたりL/M+M回必要である。
【0136】
符号化装置275のPQFフィルタバンク276において、タップ長48のフィルタ係数hx(48)286を用いた場合の1サンプルあたり積和演算量は16回となり、タップ長96のフィルタ係数hx(96)285における1サンプルあたり28回の積和演算量と比較して60%以下の演算量で済むことになるが、復号化装置280側の帯域合成時の特性は符号化側の帯域分割特性を上回ることは出来ない。
【0137】
そこで、付加機能として符号化列中にPQFフィルタバンクのタップ長Lを示すフラグを記録する。復号化装置280側ではそのフラグを判別し、自動的にタップ長Lに見合ったPQFフィルタバンクを構成して帯域合成を行うことも可能であり、不必要な演算量の増加を抑制することが出来る。
【0138】
すなわち、この場合、符号化装置275は、符号化部により帯域分割フィルタバンクで上記音響信号を帯域分割するのに用いたタップ長情報を符号化列の中に書き込んでいる。
【0139】
そして、復号化装置280は、上記タップ長情報を読み込んでこのタップ長情報から判断できる帯域分割フィルタバンクと同じ性能を持つ帯域合成フィルタバンクによって帯域合成を行ってから、符号化列を復号化する。
【0140】
ここで、復号化装置280は、上記符号化列を帯域分割に用いたフィルタバンクのタップ長情報と共に記録している記録媒体から、上記タップ長情報を読み込む。
【0141】
このような記録媒体は、上記復号化装置280の復号化時の演算量の低減を補助することになる。
【0142】
上記符号化/復号化装置により、小型で演算量の少ない簡易的な符号化装置によって符号化を行うことが可能となる。また付加機能を用いることで、可変タップ長PQFフィルタバンクを持つ復号化装置において演算量の抑制が可能であり、また、可変タップ長PQFフィルタバンクを持たない復号化装置においても音響信号の復元が可能となる。
【0143】
もちろん、説明のため上記の例に示してきたタップ長96→48以外の数にタップ長を変換することは可能であることはいうまでもない。
【0144】
以上の説明から明らかなように、上記実施の形態を用いれば、符号化/復号化装置の能力に見合った帯域分割/帯域合成フィルタのタップ長の設定を行うことで、必要とされる演算量及び帯域分割/帯域合成時の周波数特性の最適化が可能となる。
【0145】
例えば、符号化/復号化装置の処理能力がそれほど高くない場合でも、帯域分割/帯域合成フィルタのタップ長を変化させることで聴感上は問題なく符号化/復号化が可能となる。
【0146】
【発明の効果】
本発明に係る帯域合成フィルタバンク及びフィルタリング方法は、帯域合成側で用いられるフィルタ係数に対して最適化関数により聴感上の処理を施してから、この最適化処理が施されたフィルタ係数の修正、及びタップ長の短縮を行うので、帯域合成を行う際に小型で演算処理能力の低い復号化装置を使用する必要がある場合、または一つの復号化装置上で多数のアプリケーションが動作し負荷が大きい場においてもリアルタイムでの音響信号の復号化を実現できる。
【0147】
また、本発明に係る帯域合成フィルタバンク及びフィルタリング方法は、所望のタップ長情報に基づいて標準タップ長のフィルタ係数を短縮して得られた所望のタップ長のフィルタ係数と音響信号とを畳み込み演算して、帯域合成信号を導出するので、帯域合成を行う際に小型で演算処理能力の低い復号化装置を使用する必要がある場合、または一つの復号化装置上で多数のアプリケーションが動作し負荷が大きい場においてもリアルタイムでの音響信号の復号化を実現できる。
【0148】
また、本発明に係る帯域分割フィルタバンク及びフィルタリング方法は、所望のタップ長情報に基づいて標準タップ長のフィルタ係数を短縮して得られた所望のタップ長のフィルタ係数と音響信号とを畳み込み演算して、帯域分割信号を導出するので、帯域分割処理を行う際に演算処理能力の低い符号化装置を使用する必要があるときに、演算量を低減し、実時間処理を優先した符号化を実現できる。
【0149】
また、本発明にかかる符号化/復号化装置においては演算量のコントロールが可能であるため、演算処理能力に余裕があるときにはタップ長Lを大きく設定して高精度な帯域分割/帯域合成を行い、演算処理能力に余裕がない場合にはタップ長Lを短縮化して演算量を低減することで実時間処理を可能とし、聴感上問題の少ないように擬似的な帯域分割/帯域合成処理を行うことが可能である。
【0150】
特に本発明は、ソフトウェアによる符号化/復号化装置が、コンピュータ上で多数のアプリケーションと同時に動作している場合等のように処理能力が時間とともに変化するような場合に有効な発明であり、CPUに大きな負荷が生じた場合でも実時間処理を続けることが可能となる。
【0151】
また、フィルタ係数はタップ長を変化させても互換性があり、帯域分割フィルタと帯域合成フィルタで異なるタップ数のフィルタを用いても聴感上はそれほど問題にならない。それゆえ、本発明による符号化装置による符号化列を、従来用いられてきた復号化装置においても再生可能であるというハードウェアの互換性という利点も持つ。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る帯域合成フィルタバンク及びフィルタリング方法の実施の形態となる音響信号符号化復号化システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】上記音響信号符号化復号化システムの符号化装置側に用いられるスペクトル変換部の詳細な構成を示すブロック図である。
【図3】上記音響信号符号化復号化システムの復号化装置側に用いられる時系列信号合成部の詳細な構成を示すブロック図である。
【図4】上記図2のスペクトル変換部と図3の時系列信号合成部を用いた上記音響信号符号化復号化システムの構成を示すブロック図である。
【図5】デシメーションフィルタの動作を説明するための図である。
【図6】インターポレーションフィルタの動作を説明するための図である。
【図7】プロトタイプフィルタと帯域分割フィルタ係数及び帯域合成フィルタ係数の関係を示した図である。
【図8】上記プロトタイプフィルタのインパルス応答及びその周波数特性を示した図である。
【図9】上記図8のプロトタイプフィルタから導出した帯域分割フィルタ及び帯域合成フィルタの周波数特性を示す図である。
【図10】上記図9で用いるPQFフィルタバンクの特性の詳細を示す図である。
【図11】上記図9、図10に示した帯域分割フィルタを用いた帯域分割フィルタバンクの構成図である。
【図12】上記図9、図10に示した帯域合成フィルタを用いた帯域合成フィルタバンクの構成図である。
【図13】上記図3に示す時系列信号合成部に、スペクトル変換部の帯域分割フィルタのタップ長より短いタップ長で構成される固定タップ長帯域合成フィルタバンクを用いた構成を示すブロック図である。
【図14】上記図13に示した固定タップ長変換帯域合成フィルタバンクの構成を示すブロック図である。
【図15】上記図14に示す固定タップ長変換帯域合成フィルタバンクの修正帯域合成フィルタ係数演算部の詳細な構成を示すブロック図である。
【図16】上記図15に示す修正帯域合成フィルタ係数演算部の固定タップ長変換部の詳細な構成を示すブロック図である。
【図17】上記図16に示す窓関数保持部の係数の一例を示した図である。
【図18】上記図8に示したプロトライプフィルタに対し、上記図17に示す窓関数を作用させて得られた修正プロトタイプフィルタのインパルス応答及びその周波数特性を示す図である。
【図19】上記図18のプロトタイプフィルタから導出した帯域分割フィルタ及び帯域合成フィルタの周波数特性を示す図である。
【図20】上記図19で導出した帯域合成フィルタを用いた帯域合成フィルタバンクの構成図である。
【図21】上記図3に示した時系列信号合成部に、スペクトル変換部の帯域分割フィルタのタップ長より短いタップ長で構成される可変タップ長帯域合成フィルタバンクを用いた構成を示すブロック図である。
【図22】上記図21に示す可変タップ長変換帯域合成フィルタバンクの構成を示すブロック図である。
【図23】上記図22に示す可変タップ長変換帯域合成フィルタバンクの修正帯域合成フィルタ係数演算部の詳細な構成を示すブロック図である。
【図24】上記図23に示す修正帯域合成フィルタ係数演算部の可変タップ長変換部でL’=64というタップ長を得る動作を説明するための図である。
【図25】上記図23に示す修正帯域合成フィルタ係数演算部の可変タップ長変換部でL’=48というタップ長を得る動作を説明するための図である。
【図26】上記図24及び図25に示す窓関数保持部の係数の一例を示す図である。
【図27】上記図8に示すプロトタイプフィルタに対し、上記図26に係数を示す窓関数を作用させて得られた修正プロトタイプフィルタのインパルス応答を示す図である。
【図28】上記図8に示すプロトタイプフィルタに対し、上記図26に係数を示す窓関数を作用させて得られた修正プロトタイプフィルタの周波数応答を示す図である。
【図29】上記図28の修正プロトタイプフィルタから導出したタップ長L’=48の帯域分割フィルタ及び帯域合成フィルタの周波数特性を示す図である。
【図30】上記図28の修正プロトタイプフィルタから導出したタップ長L’=64の帯域分割フィルタ及び帯域合成フィルタの周波数特性を示す図である。
【図31】上記図22に示す可変タップ長変換帯域合成フィルタバンクの構成とは別の構成による可変タップ長変換帯域合成フィルタバンクの構成を示すブロック図である。
【図32】上記図30で導出した帯域合成フィルタを用いた帯域合成フィルタバンクの構成図である。
【図33】帯域分割処理、帯域合成処理の効率化を計るため、帯域分割フィルタ及び帯域合成フィルタの係数をそれぞれ一次係数、二次係数に分離する工程を説明するための図である。
【図34】帯域分割フィルタ係数を一次係数、二次係数に分離して構成する効率化帯域分割フィルタバンクの構成図である。
【図35】帯域合成フィルタ係数を一次係数、二次係数に分離して構成する効率化帯域合成フィルタバンクの構成図である。
【図36】効率化帯域合成フィルタバンクと固定タップ長変換帯域合成フィルタの組み合わせによるフィルタバンクの構成図である。
【図37】効率化帯域合成フィルタバンクと可変タップ長変換帯域合成フィルタの組み合わせによるフィルタの構成図である。
【図38】スペクトル変換部/時系列合成部のフィルタのタップ長を変更することの出来る一例としての、可変タップ長PQFフィルタバンクのブロック図である。
【図39】可変タップ長フィルタバンクにおいて、タップ長を変換するPQFタップ長変換部の構成を示すブロック図である。
【図40】方形窓関数を用いたPQFタップ長変換部によって、図10の(A)に示したフィルタバンクのタップ長を96から48へと変換した場合の帯域分割特性図である。
【図41】方形窓関数を用いたPQFタップ長変換部によって、図10の(B)に示したフィルタバンクのタップ長を96から48へと変換した場合の帯域合成特性図である。
【図42】ハミング窓関数を用いたPQFタップ長変換部によって、図10の(A)に示したフィルタバンクのタップ長を96から48へと変換した場合の帯域分割特性図である。
【図43】ハミング窓関数を用いたPQFタップ長変換部によって、図10の(B)に示したフィルタバンクのタップ長を96から48へと変換した場合の帯域合成特性図である。
【図44】符号化装置と復号化装置で異なるタップ長のフィルタバンクを使うことが可能であることを説明する図である。
【図45】復号化装置で符号化装置とは異なるタップ長のフィルタバンクを使うことが可能であることを説明する図である。また、復号化装置の処理能力により、96/48タップの切り替えが可能であることも示す図である。
【図46】符号化装置で復号化装置とは異なるタップ長のフィルタバンクを使うことが可能であることを説明する図である。また、符号化装置側でフラグを記録することで、復号化装置側で96/48タップの切り替えが可能であることも示す図である。
【符号の説明】
1 音響信号符号化復号化システム、2 符号化装置、3 スペクトル変換部、4 符号化部、5 スペクトル成分符号化部、6 符号列生成部、7 復号化装置、8 復号化部、9 符号列分割部、10 スペクトル成分復号化部、11時系列信号合成部、12 帯域分割フィルタバンク、17 帯域合成フィルタバンク

Claims (5)

  1. 与えられた有限タップ長のフィルタ係数により構成される帯域分割フィルタバンクにより帯域分割処理された音響信号に帯域合成処理を施す帯域合成フィルタバンクであって、
    記有限タップ長のフィルタ係数に、有限タップ長よりも短いタップ長のハミング窓関数により最適化演算処理を施す最適化処理手段と、
    上記最適化処理手段により上記最適化演算処理が施されて得られたフィルタ係数の内の両端の値が0となるフィルタ係数を切り捨てたタップ長の修正フィルタ係数を導出するタップ長変換手段と
    上記タップ長変換手段により得られた修正フィルタ係数から修正帯域合成フィルタ係数を導出する帯域合成フィルタ係数演算手段と
    を備え帯域合成フィルタバンク。
  2. 与えられた有限タップ長のフィルタ係数により構成される帯域分割フィルタバンクにより帯域分割処理された音響信号に帯域合成処理を施す帯域合成フィルタリング方法であって、
    記有限タップ長のフィルタ係数に、有限タップ長よりも短いタップ長のハミング窓関数により最適化演算処理を施す最適化処理工程と、
    上記最適化処理工程による上記最適化演算処理が施されて得られたフィルタ係数の両端の値が0となるフィルタ係数を切り捨てたタップ長の修正フィルタ係数を導出するタップ長変換工程と
    上記タップ長変換工程により得られた修正フィルタ係数から修正帯域合成フィルタ係数を導出する帯域合成フィルタ係数演算工程と
    を備え帯域合成フィルタリング方法。
  3. 上記最適化処理工程は、上記所定の有限タップ長のフィルタ係数に、有限タップ長よりも短く、かつ時間とともに変化するタップ長の窓関数により最適化演算処理を施請求項2記載の帯域合成フィルタリング方法。
  4. 与えられた有限タップ長のフィルタ係数により構成される帯域分割フィルタバンクを用いた符号化装置によって符号化された符号化列とタップ長情報を読み出し、この符号化列を復号化する復号化装置であって、
    上記有限タップ長のフィルタ係数に、有限タップ長よりも短いタップ長のハミング窓関数により最適化演算処理を施す最適化処理手段と、
    上記最適化処理手段により上記最適化演算処理が施されて得られたフィルタ係数の内の両端側の値が0となるフィルタ係数を切り捨てたタップ長の修正フィルタ係数を導出するタップ長変換手段と、
    上記タップ長変換手段により得られた修正フィルタ係数から修正帯域合成フィルタ係数を導出する帯域合成フィルタ係数演算手段とを備え
    上記符号化された符号化列を、上記帯域合成フィルタ係数演算手段からの修正帯域合成フィルタ係数により構成される帯域合成フィルタバンクによって帯域合成を行ってから、上記符号化列を復号化す復号化装置。
  5. 復号化時の演算処理能力に見合った演算量の帯域合成フィルタバンクを選択して帯域合成処理を行った後、復号化を行請求項記載の復号化装置。
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