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JP4323665B2 - 繊維強化樹脂成形体の製造方法 - Google Patents

繊維強化樹脂成形体の製造方法 Download PDF

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JP4323665B2
JP4323665B2 JP2000055810A JP2000055810A JP4323665B2 JP 4323665 B2 JP4323665 B2 JP 4323665B2 JP 2000055810 A JP2000055810 A JP 2000055810A JP 2000055810 A JP2000055810 A JP 2000055810A JP 4323665 B2 JP4323665 B2 JP 4323665B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、繊維強化樹脂成形体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、木材の代替品として建材等の構造材用に使用され得る機械的強度に優れた長繊維補強発泡樹脂成形体が種々検討されており、例えば、特公昭48−30137号公報や特公昭55−15290号公報では、曲げ強度等の機械的強度を向上させた繊維補強発泡樹脂成形体の製造方法が提案されている。
【0003】
一般に、長繊維補強発泡樹脂成形体の特に長手方向(長繊維方向)の機械的強度は、長繊維に対する樹脂の含浸度合いによって大きく左右され、長繊維に対して樹脂が良く含浸しているほど長繊維補強発泡樹脂成形体の機械的強度は向上する。
【0004】
しかし、上記提案にある長繊維補強発泡樹脂成形体の製造方法の場合、長繊維に含浸させる樹脂として発泡性樹脂を用いており、且つ、この発泡性樹脂は一定時間後に反応を開始するので、長繊維に対して樹脂が十分に含浸せず、得られる長繊維補強発泡樹脂成形体の機械的強度が十分に向上しないという問題点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記従来の問題点に鑑み、熱硬化性樹脂が十分に含浸され硬化された長尺繊維で強化することにより、優れた機械的強度を発現すると共に、軽量で取扱い性も良好な繊維強化樹脂成形体の製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明による繊維強化樹脂成形体の製造方法は、多数の長尺繊維を所定間隔に引き揃えながら一方向に進行させ、引き揃えられた上記多数の長尺繊維からなる長尺繊維束に液状の熱硬化性樹脂を含浸させ、次いで、該長尺繊維束の上方から発泡性ウレタン樹脂液を噴霧して長尺繊維束に発泡性ウレタン樹脂液を含浸させた後、成形用通路に導き、上記発泡性ウレタン樹脂液を発泡硬化させて、該発泡性ウレタン樹脂液の硬化反応熱により長尺繊維束に含浸された熱硬化性樹脂を硬化させることを特徴とする。
【0007】
又、請求項2に記載の発明による繊維強化樹脂成形体の製造方法は、上記請求項1に記載の発明による繊維強化樹脂成形体の製造方法において、熱硬化性樹脂が、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂及びフェノール樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の熱硬化性樹脂であることを特徴とする。
【0008】
本発明で用いられる長尺繊維としては、例えば、ガラス繊維のような無機繊維、ポリエステル繊維やポリアミド繊維等のような合成樹脂繊維、ジュートのような天然繊維等が挙げられ、好適に用いられる。これらの長尺繊維は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0009】
上記長尺繊維は、生産性を考慮すると、フィラメントを集束してロービング状としたものが好ましいが、ロービング状に限定されるものではない。フィラメント径は、特に限定されるものではないが、5〜1000μmであることが好ましい。フィラメント径が5μm未満であると、熱硬化性樹脂を含浸する際に多くの熱硬化性樹脂が必要となって、経済的に不利となることがあり、逆にフィラメント径が1000μmを超えると、長尺繊維と熱硬化性樹脂との接触面積が小さくなって補強効果が十分に発現されず、得られる繊維強化樹脂成形体の機械的強度が不十分となることがある。
【0010】
本発明で用いられる液状の熱硬化性樹脂とは、未硬化状態にある熱硬化性樹脂を主成分とし、その熱硬化性樹脂に対し、その熱硬化性樹脂に対応する硬化剤や硬化促進剤、架橋剤や架橋助剤、反応触媒等の1種もしくは2種以上が添加されてなる未硬化状態にある液状の熱硬化性樹脂組成物を言う。
【0011】
上記液状の熱硬化性樹脂は、50〜150℃の硬化温度で硬化し得るものであることが好ましい。換言すると、後述する発泡性ウレタン樹脂液の硬化反応熱により硬化し得るものであることが好ましい。又、上記液状の熱硬化性樹脂は、常温において1時間以上の可使時間(ポットライフ)を有するものであることが好ましい。液状の熱硬化性樹脂の常温における可使時間が1時間未満であると、前記長尺繊維への含浸が十分に出来なくなったり、含浸する部分に滞留した熱硬化性樹脂を除去する間隔が短くなって作業性が低下することがある。
【0012】
上記液状の熱硬化性樹脂中には、本発明の課題達成を阻害しない範囲で必要に応じて、例えば、チョップ状のガラス繊維、珪砂、炭酸カルシウム、クレー、タルク、焼却灰等のような無機充填材、FRPの切削屑のような有機充填材、補強材、軟化剤、可塑剤、界面活性剤、カップリング剤、熱安定剤、酸化防止剤(老化防止剤)、紫外線吸収剤、難燃剤、帯電防止剤、着色剤、有機溶剤等の各種添加剤の1種もしくは2種以上が添加されていても良い。
【0013】
又、上記液状の熱硬化性樹脂は、非発泡性であることが好ましいが、多少の発泡性を有していても支障ない。具体的には、発泡した熱硬化性樹脂の密度が0.4g/cm3 以上であることが好ましい。熱硬化性樹脂の上記密度が0.4g/cm3 未満であると、長尺繊維と熱硬化性樹脂との接触面積が小さくなって補強効果が十分に発現されず、得られる繊維強化樹脂成形体の機械的強度が不十分となることがある。
【0014】
上記液状の熱硬化性樹脂の主成分として用いられる熱硬化性樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、キシレン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、オリゴエステルアクリレート樹脂、フラン樹脂、ポリイミド樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、尿素樹脂、マレイン酸樹脂或いはこれらのオリゴマーもしくはプレポリマー等が挙げられ、好適に用いられる。これらの熱硬化性樹脂は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0015】
本発明においては、上記熱硬化性樹脂のなかでも不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂及びフェノール樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の熱硬化性樹脂が特に好適に用いられる。これらの熱硬化性樹脂は、それぞれ単独で用いられても良いし、2種以上が併用されても良い。
【0016】
不飽和ポリエステル樹脂は安価で硬化反応を制御し易いという利点を有しており、ビニルエステル樹脂の硬化物は耐食性、耐衝撃性、熱安定性等に優れるという利点を有している。又、エポキシ樹脂の硬化物は引張強度、圧縮強度等の機械的強度や電気絶縁性等に優れるという利点を有しており、フェノール樹脂の硬化物は引張強度、圧縮強度等の機械的強度や耐熱性に優れるという利点を有している。従って、それぞれの利点を生かした使い分けを行うことにより、様々な幅広い特性を有する繊維強化樹脂成形体を得ることが出来る。
【0017】
不飽和ポリエステル樹脂は、オルソフタル酸系不飽和ポリエステル樹脂であっても良いし、イソフタル酸系不飽和ポリエステル樹脂であっても良く、ビスフェノー系不飽和ポリエステル樹脂であっても良い。これらの不飽和ポリエステル樹脂は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0018】
ビニルエステル樹脂は、ビスフェノール系ビニルエステル樹脂であっても良いし、ノボラック系ビニルエステル樹脂であっても良く、臭素化ビニルエステル樹脂のようなハロゲン化ビニルエステル樹脂であっても良い。これらのビニルエステル樹脂は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0019】
エポキシ樹脂は、ビスフェノール系エポキシ樹脂であっても良いし、ノボラック系エポキシ樹脂や環状脂肪族系エポキシ樹脂であっても良く、臭素化エポキシ樹脂のようなハロゲン化エポキシ樹脂であっても良い。これらのエポキシ樹脂は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0020】
フェノール樹脂は、ノボラック系フェノール樹脂であっても良いし、レゾール系フェノール樹脂であっても良い。これらのフェノール樹脂は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0021】
前記長尺繊維とその長尺繊維に含浸されている液状の熱硬化性樹脂との割合は、長尺繊維の性状や繊維径等によっても異なり、特に限定されるものではないが、重量比で、液状の熱硬化性樹脂/長尺繊維=0.2〜2であることが好ましい。液状の熱硬化性樹脂/長尺繊維(重量比)が0.2未満であると、長尺繊維を液状の熱硬化性樹脂で十分に含浸出来なくて、得られる繊維強化樹脂成形体の機械的強度が不十分となることがあり、逆に液状の熱硬化性樹脂/長尺繊維(重量比)が2を超えると、過剰の熱硬化性樹脂を使用することになって、経済的に不利となることがある。
【0022】
本発明で用いられる発泡性ウレタン樹脂液は、ポリイソシアネート化合物とポリオールとから構成される。
【0023】
発泡性ウレタン樹脂液を構成するポリイソシアネート化合物としては、例えば、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメリックMDI、イソフォロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート並びにこれらの誘導体等のようなウレタン系樹脂の合成や発泡ウレタン樹脂系成形体の製造に一般的に用いられるポリイソシアネート化合物が挙げられ、好適に用いられるが、なかでも反応性や安全性等の点で優れるMDIやポリメリックMDIがより好適に用いられる。これらのポリイソシアネート化合物は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0024】
又、上記ポリイソシアネート化合物は、特に限定されるものではないが、その25℃における粘度が50〜1500mPa・sであるものが好ましい。ポリイソシアネート化合物の上記粘度が50mPa・s未満であると、発泡性ウレタン樹脂液の硬化物の剛性が低くなり過ぎて、得られる繊維強化樹脂成形体の機械的強度が不十分となることがあり、逆にポリイソシアネート化合物の上記粘度が1500mPa・sを超えると、長尺繊維に対する発泡性ウレタン樹脂液の付着性や含浸性が低下して、得られる繊維強化樹脂成形体の機械的強度が不十分となることがある。
【0025】
発泡性ウレタン樹脂液を構成するポリオールとしては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリマーポリオール等のようなウレタン系樹脂の合成や発泡ウレタン樹脂系成形体の製造に一般的に用いられるポリオールが挙げられ、好適に用いられる。これらのポリオールは、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0026】
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられ、好適に用いられる。これらのポリエーテルポリオールは、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0027】
ポリエステルポリオールとしては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、1,5−ナフタル酸、2,6−ナフタル酸、琥珀酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカメチレンジカルボン酸、ドデカメチレンジカルボン酸等のようなジカルボン酸と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール等のようなポリオールとの反応により得られるポリエステルポリオールや、ε−カプロラクタムを開環重合して得られるポリ−ε−カプロラクトンポリオール等が挙げられ、好適に用いられる。これらのポリエステルポリオールは、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0028】
ポリマーポリオールとしては、例えば、上記ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールにアクリロニトリル、スチレン、メチル(メタ)アクリレート等のエチレン性不飽和化合物をグラフト重合させて得られるグラフト重合体や、1,2−ポリブタジエンポリオール、1,4−ポリブタジエンポリオール或いはこれらの水素添加物等が挙げられ、好適に用いられる。これらのポリマーポリオールは、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0029】
又、上記ポリオールは、特に限定されるものではないが、25℃における粘度が1500〜6000mPa・sであるものが好ましい。ポリオールの上記粘度が1500mPa・s未満であると、発泡性ウレタン樹脂液の硬化物の剛性が低くなり過ぎて、得られる繊維強化樹脂成形体の機械的強度が不十分となることがあり、逆にポリオールの上記粘度が6000mPa・sを超えると、長尺繊維に対する発泡性ウレタン樹脂液の付着性や含浸性が低下して、得られる繊維強化樹脂成形体の機械的強度が不十分となることがある。
【0030】
ポリイソシアネート化合物及びポリオールから構成される発泡性ウレタン樹脂液の硬化物は、特に限定されるものではないが、その密度が0.15〜0.6g/cm3 であることが好ましい。発泡性ウレタン樹脂液の硬化物の密度が0.15g/cm3 未満であると、得られる繊維強化樹脂成形体中におけるウレタン樹脂部分の強度が低くなり過ぎて、繊維強化樹脂成形体の機械的強度が不十分となることがあり、逆に発泡性ウレタン樹脂液の硬化物の密度が0.6g/cm3 を超えると、得られる繊維強化樹脂成形体の重量が大きくなり過ぎて取扱い性が低下したり、経済的に不利となることがある。
【0031】
前記長尺繊維及びその長尺繊維に含浸されている前記液状の熱硬化性樹脂と上記発泡性ウレタン樹脂液との割合は、特に限定されるものではないが、重量比で、長尺繊維及び液状の熱硬化性樹脂の合計量/発泡性ウレタン樹脂液=1〜10であることが好ましい。長尺繊維及び液状の熱硬化性樹脂の合計量/発泡性ウレタン樹脂液(重量比)が1未満であると、強化繊維の量が少なくなり過ぎて、得られる繊維強化樹脂成形体の機械的強度が不十分となることがあり、逆に長尺繊維及び液状の熱硬化性樹脂の合計量/発泡性ウレタン樹脂液(重量比)が10を超えると、発泡性ウレタン樹脂液の量が少なくなり過ぎて、得られる繊維強化樹脂成形体の外観が損なわれることがある。
【0032】
本発明の製造方法によって得られる繊維強化樹脂成形体は、熱硬化性樹脂が含浸され硬化された長尺繊維束により長手方向に強化された発泡ウレタン樹脂系成形体であり、特に限定されるものではないが、その密度が0.3〜2g/cm3 であることが好ましい。繊維強化樹脂成形体の密度が0.3g/cm3 未満であると、機械的強度が不十分となって用途が制約されることがあり、逆に繊維強化樹脂成形体の密度が2g/cm3 を超えると、高価格となって用途が制約されることがある。
【0033】
次に、本発明による繊維強化樹脂成形体の製造方法について図面を参照して説明する。図1は本発明による繊維強化樹脂成形体の製造方法の一例を示す概略図であり、図2は本発明の製造方法によって得られる繊維強化樹脂成形体の一例を示す断面図である。
【0034】
本発明の製造方法においては、図1に示すように、先ず、多数の長尺繊維を所定間隔に引き揃えながら一方向に進行させて作製した長尺繊維束1を含浸槽3内に貯留されている液状の熱硬化性樹脂2中に浸漬し、含浸ロール4により長尺繊維束1中の空気を脱気して、長尺繊維束1の含浸性を向上させると共に、長尺繊維束1中に液状の熱硬化性樹脂2を含浸させる。次に、絞りロール5によって長尺繊維束1中の液状の熱硬化性樹脂2の含浸量を所望の含浸量に調整した後、この液状の熱硬化性樹脂2が含浸された長尺繊維束1に対して、その上方から噴霧器6により発泡性ウレタン樹脂液7を噴霧して、上記長尺繊維束1に発泡性ウレタン樹脂液7を含浸させる。次いで、発泡性ウレタン樹脂液含浸板8によって長尺繊維束1中の発泡性ウレタン樹脂液7の含浸量を所望の含浸量に調整した後、この長尺繊維束1を成形用通路を形成するエンドレスベルト9に導き、その成形用通路内で発泡性ウレタン樹脂液7を発泡硬化させると共に、発泡性ウレタン樹脂液7の発泡硬化時に発生する硬化反応熱により長尺繊維束1中に含浸されている液状の熱硬化性樹脂2を硬化させる工程を経ることによって、本発明の繊維強化樹脂成形体10を製造することが出来る。
【0035】
本発明の製造方法において、長尺繊維束中に液状の熱硬化性樹脂を含浸させる方法は、上記方法(浸漬法)に限定されるものではなく、例えば、長尺繊維束の表面に液状の熱硬化性樹脂を塗布した後、往復運動可能な板等により長尺繊維束を挟み込むことによって液状の熱硬化性樹脂を含浸させる方法(塗布法)や、液状の熱硬化性樹脂が貯留された槽を準備しておき、長尺繊維束をその槽内を通過させることによって液状の熱硬化性樹脂を含浸させる方法(通過法)等を採っても良い。
【0036】
上記いずれの含浸方法を採るにせよ、長尺繊維束中に液状の熱硬化性樹脂を含浸させる時間は、液状の熱硬化性樹脂の可使時間(ポットライフ)内であれば良いが、長尺繊維束中に液状の熱硬化性樹脂が十分に含浸し得る時間であることが好ましい。
【0037】
又、長尺繊維束に対する液状の熱硬化性樹脂の含浸量は、何らかの方法で制御され得ることが好ましい。例えば、含浸方法が塗布法である場合、液状の熱硬化性樹脂の単位時間当たりの塗布量を制御し得ることが好ましいし、含浸方法が通過法である場合、液状の熱硬化性樹脂が含浸された長尺繊維束の絞り装置や扱き装置等を設けることにより、長尺繊維束中における液状の熱硬化性樹脂の含浸量を制御し得ることが好ましい。
【0038】
本発明の製造方法において、液状の熱硬化性樹脂が含浸された長尺繊維束に発泡性ウレタン樹脂液を含浸させる方法は、前記方法に限定されるものではなく、例えば、発泡性ウレタン樹脂液を長尺繊維束表面に何らかの塗布方法で塗布する方法を採っても良いし、発泡性ウレタン樹脂液を長尺繊維束表面に何らかの塗布方法で塗布した後に、例えば往復運動可能な板等により長尺繊維束を挟み込んで、揉んだり、絞ったり、扱いたりする方法を採っても良い。
【0039】
本発明の製造方法において、成形用通路は、前記エンドレスベルトで形成された成形用通路に限定されるものではなく、例えば、固定式の金型で形成された成形用通路であっても良いし、繊維強化樹脂成形体と連動して動くベルト式の成形用通路であっても良い。
【0040】
又、成形用通路の断面形状は、特に限定されるものではなく、例えば、四角形、台形、円形等を始め、どのような形状であっても良いが、成形用通路全体を通して同一の形状で同一の大きさであることが好ましい。
【0041】
こうして得られる本発明の繊維強化樹脂成形体は、図2に示すように、発泡ウレタン樹脂11相と長尺繊維と熱硬化性樹脂の硬化物との複合体12相とからなる海島構造的な構造を有しており、優れた機械的強度を発現する。
【0042】
【作用】
本発明の製造方法によって得られる繊維強化樹脂成形体においては、前記先行技術で提案されている方法即ち長尺繊維束に直接的に発泡性樹脂を含浸させる方法とは異なり、長尺繊維束に先ず非発泡性もしくは低発泡性の液状の熱硬化性樹脂を含浸させた後に、該長尺繊維束に対して発泡性ウレタン樹脂液を含浸させる方法を採るので、長尺繊維束中には液状の熱硬化性樹脂が十分に含浸しており、長尺繊維束と熱硬化性樹脂の硬化物とが強固な複合体を形成している。
【0043】
本発明の製造方法によって得られる繊維強化樹脂成形体は、長尺繊維束と熱硬化性樹脂の硬化物とからなる上記複合体によって強化されているので、優れた機械的強度を発現すると共に、発泡性ウレタン樹脂液は発泡硬化しているので、軽量で取扱い性も良好な繊維強化樹脂成形体である。
【0044】
又、上記熱硬化性樹脂として不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂及びフェノール樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の熱硬化性樹脂を用いることにより、機械的強度に著しく優れ、且つ、様々な幅広い特性を有する繊維強化樹脂成形体を得ることが可能となる。
【0045】
本発明の繊維強化樹脂成形体の製造方法によれば、上記優れた機械的強度や様々な幅広い特性を有し、且つ、軽量で取扱い性も良好な繊維強化樹脂成形体を生産性良く得ることが出来る。
【0046】
【発明の実施の形態】
本発明をさらに詳しく説明するため以下に実施例を挙げるが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0047】
以下の実施例においては下記の原材料を使用した。又、長尺繊維量、液状の熱硬化性樹脂の含浸量及び発泡性ウレタン樹脂液の量は、いずれも繊維強化樹脂成形体1リットル中のg数である。
〔使用原材料〕
(1)長尺繊維
a.ガラス繊維:繊維径17μmのモノフィラメントを多数引き揃えてガラスロービングとしたもので、13800番手を使用
b.ジュート繊維:繊維径20μmのものを撚り合わせたもので、4000番手を使用
(2)液状の熱硬化性樹脂
▲1▼不飽和ポリエステル樹脂:25℃における粘度が500mPa・s、不飽和/飽和比率(重量比)が6/4及びスチレンモノマー含有量が40重量%の不飽和ポリエステル樹脂に対し、中温硬化剤2重量%を添加混合したものを使用
▲2▼ビニルエステル樹脂:25℃における粘度が500mPa・sのビスフェノール系ビニルエステル樹脂に対し、中温硬化剤2重量%を添加混合したものを使用
▲3▼エポキシ樹脂:25℃における粘度が500mPa・sのビスフェノール系エポキシ樹脂に対し、アミン系中温硬化剤5重量%を添加混合したものを使用
▲4▼フェノール樹脂:レゾール系フェノール樹脂に対し、酸性硬化剤3重量%を添加混合したものを使用
(3)発泡性ウレタン樹脂液
ポリエーテルポリオール(25℃における粘度:3800mPa・s、平均官能基数:3)100重量部、水1重量部、シリコーンオイル1重量部及びジブチル錫ジラウレート1重量部からなるポリオール組成物に対し、25℃における粘度が200mPa・sのポリメリックMDIを添加混合したものを使用
【0048】
(実施例1)
長尺繊維としてガラス繊維370gに対し、液状の熱硬化性樹脂として不飽和ポリエステル樹脂180gを含浸させた後、この不飽和ポリエステル樹脂が含浸されたガラス繊維に対して、発泡性ウレタン樹脂液を噴霧してガラス繊維に発泡性ウレタン樹脂液200gを含浸させた。次いで、発泡性ウレタン樹脂液を発泡硬化させると共に、その時の硬化反応熱により不飽和ポリエステル樹脂を硬化させて、繊維強化樹脂成形体を作製した。得られた繊維強化樹脂成形体は、高さ50mm、幅200mmの断面サイズを有し、密度が0.74g/cm3 であった。
【0049】
(実施例2)
繊維強化樹脂成形体の作製において、長尺繊維としてジュート繊維300gを用い、不飽和ポリエステル樹脂の含浸量を300gとし、発泡性ウレタン樹脂液の含浸量を140gとしたこと以外は実施例1の場合と同様にして、繊維強化樹脂成形体を作製した。
【0050】
(実施例3)
繊維強化樹脂成形体の作製において、液状の熱硬化性樹脂として、不飽和ポリエステル樹脂180gの代わりに、ビニルエステル樹脂180gを含浸させたこと以外は実施例1の場合と同様にして、繊維強化樹脂成形体を作製した。
【0051】
(実施例4)
繊維強化樹脂成形体の作製において、液状の熱硬化性樹脂として、不飽和ポリエステル樹脂180gの代わりに、エポキシ樹脂180gを含浸させたこと以外は実施例1の場合と同様にして、繊維強化樹脂成形体を作製した。
【0052】
(実施例5)
繊維強化樹脂成形体の作製において、液状の熱硬化性樹脂として、不飽和ポリエステル樹脂180gの代わりに、フェノール樹脂180gを含浸させたこと以外は実施例1の場合と同様にして、繊維強化樹脂成形体を作製した。
【0053】
(比較例1)
繊維強化樹脂成形体の作製において、ガラス繊維に対し、液状の熱硬化性樹脂(不飽和ポリエステル樹脂)を含浸させることなく、発泡性ウレタン樹脂液370gを直接的に含浸させたこと以外は実施例1の場合と同様にして、繊維強化樹脂成形体を作製した。
【0054】
(比較例2)
繊維強化樹脂成形体の作製において、ジュート繊維に対し、液状の熱硬化性樹脂(不飽和ポリエステル樹脂)を含浸させることなく、発泡性ウレタン樹脂液440gを直接的に含浸させたこと以外は実施例2の場合と同様にして、繊維強化樹脂成形体を作製した。
【0055】
実施例1〜実施例5、及び、比較例1及び比較例2で得られた7種類の繊維強化樹脂成形体の曲げ弾性率を以下の方法で測定した。その結果は表1に示すとおりであった。
【0056】
〔曲げ弾性率の測定方法〕
JIS Z−2101「木材の試験方法」に準拠して、繊維強化樹脂成形体の曲げ弾性率(MPa)を測定した。
【0057】
【表1】
Figure 0004323665
【0058】
表1から明らかなように、本発明の製造方法によって得られた実施例1〜実施例5の繊維強化樹脂成形体は、いずれも曲げ弾性率が高く、優れた機械的強度を発現した。
【0059】
これに対し、長尺繊維中に液状の熱硬化性樹脂を含浸させることなく、発泡性ウレタン樹脂液を直接的に含浸させた比較例1及び比較例2の繊維強化樹脂成形体は、曲げ弾性率が低く、機械的強度が劣っていた。
【0060】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の繊維強化樹脂成形体の製造方法によれば、優れた機械的強度を発現すると共に、軽量で取扱い性も良好であるので、木材の代替品として、建材等の構造材用を始め各種用途に好適に用いられ得る繊維強化樹脂成形体を生産性良く得ることが出来る。
【0061】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による繊維強化樹脂成形体の製造方法の一例を示す概略図である。
【図2】本発明の製造方法によって得られる繊維強化樹脂成形体の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 長尺繊維束
2 液状の熱硬化性樹脂
3 含浸槽
4 含浸ロール
5 絞りロール
6 噴霧器
7 発泡性ウレタン樹脂液
8 発泡性ウレタン樹脂液含浸板
9 成形用通路を形成するエンドレスベルト
10 繊維強化樹脂成形体
11 発泡ウレタン樹脂
12 長尺繊維と熱硬化性樹脂の硬化物との複合体

Claims (2)

  1. 多数の長尺繊維を所定間隔に引き揃えながら一方向に進行させ、引き揃えられた上記多数の長尺繊維からなる長尺繊維束に液状の熱硬化性樹脂を含浸させ、次いで、該長尺繊維束の上方から発泡性ウレタン樹脂液を噴霧して長尺繊維束に発泡性ウレタン樹脂液を含浸させた後、成形用通路に導き、上記発泡性ウレタン樹脂液を発泡硬化させて、該発泡性ウレタン樹脂液の硬化反応熱により長尺繊維束に含浸された熱硬化性樹脂を硬化させることを特徴とする繊維強化樹脂成形体の製造方法。
  2. 熱硬化性樹脂が、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂及びフェノール樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の熱硬化性樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の繊維強化樹脂成形体の製造方法。
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