JP4308792B2 - 中種連続製パン法とそのパン類 - Google Patents
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Description
ストレート法は、小麦粉、水、砂糖、油脂、食塩、酵母などの全ての製パン原材料を一度に混捏、発酵させる方法で、風味良好なパンが得られるのが長所である。その反面、発酵の温度、時間は厳密に管理する必要があり、生地は機械耐性に劣るなどの欠点があり大量生産には適さない。
(1)特許文献1:中種を適当に発酵させた後、適度な熟成状態にするために−5℃乃至5℃で冷蔵して発酵を遅延させた状態を長時間(6〜72時間)維持することによって、風味良好なパンを製造する。
(2)特許文献2:中種の捏上げ温度を24〜30℃に設定し、これを直ちに0〜10℃の冷蔵室で冷却しながら発酵させることによって、風味良好なパンを製造する。
(3)特許文献3:低温域(−5〜15℃)で発酵力が抑制される酵母を用いて、中種を冷蔵することにより、過発酵による風味の劣化のないパンを製造する。
(4)特許文献4:中種を冷蔵状態(0〜10℃)で発酵させると共に、本捏ねに乳酸発酵物の油脂エマルジョンを添加することにより、ソフト感、色艶並びに風味が改善されたパンを製造する。
(5)特許文献5:中種を10〜18℃で捏上げた後、同温度帯で15〜30時間発酵させることにより、大量仕込み、大量生産を可能にすると共に、香味と食感の良いパンを製造する。
また、総有機酸量に対する酢酸・乳酸の量が少なく、風味および食感が良好でありながら、酸臭を感じさせないパン類を提供することが可能となった。
発明者は、中種を比較的低温に長時間保持する方法において、中種の発酵時間を短縮するべく、より短い時間で最高点に到達するための要因として次の4点に着目した。
一般的な中種法では、後述の汎用・超高糖生地用イーストを中種調製工程のみで使用している(分割投入しない)が、本発明は中種調製工程と本捏工程とで異なる種類のイーストを使用することを特徴とする。
中種調製工程では、発酵力が極めて穏やかで持続性に富んでおり、長時間発酵を行う製法に適したもの(低発酵力・長時間中種用イースト)を使用する。
本捏工程では、発酵力が強く、糖配合適性が低糖から高糖の配合にも適した非常に耐糖性に優れたもの(汎用・超高糖生地用イースト)を使用する。本捏工程のイーストは、砂糖を分解するインベルターゼ活性が非常に低いため、焼成したパン着色が淡くなる特色も有する。なお、従来の低温長時間発酵の中種製パン法で用いるものと比べ発酵力が強いため、投入するイースト量は少なくなる。
イーストの発酵力と生地温度には相関があることが知られており、低温域から最も発酵力が高まると言われる生地温度35〜38℃に至るまでほぼ右肩上がりのグラフを描く。本発明では、従来の低温長時間発酵の製法と比べ環境温度を昇温することで生地温度を昇温させ、中種の発酵時間が比較的短くとも充分な発酵が得られるようにした。但し、生地温度の上昇と共にイーストの活性が高まり、生地の外側と中心部の温度差に開きが大きくなるため、最適な範囲内での昇温とする必要がある。
なお、生地の環境湿度も中種発酵時間に応じて調整することが好ましく、例えば本発明の製パン法では、環境湿度の調整を従来の発酵時間が4時間の中種製パン法と比べ高く、従来の発酵時間が24時間の中種製パン法と比べ低い範囲で行う。
イーストの量を増やすと一定量まではイーストの増殖数を増やすことができ、その数とパンの体積に密接な関係が認められることが知られている。発明者は、従来の低温長時間発酵の製法と比べ中種へのイースト投入量を適度に増やすことにより、中種の発酵時間が比較的短くとも充分な発酵が得られるようにした。但し、イーストを過度に増量すると好ましくない発酵臭が強くなるため、単純に増量すれば良いというわけではない。
生地の外側と中心部の温度差が大きくなると発酵状態が不均一となるため、温度差は限りなくゼロに近くすることが好ましい。しかしながら、工場での連続製パン法において温度差をゼロにすることは極めてコストが高くなるため、中種の発酵時間に応じて生地の外側と中心部の温度差が許容温度内となるようにするのが合理的である。許容できる中種の外側と中心部の温度差は、中種の発酵時間により異なる。従来の中種を15〜35時間発酵させる製法においては、温度差は10℃以内であれば良いが、本発明のように中種を6〜15時間発酵させる製法においては、温度差は5℃以内とする必要がある。
2)4時間発酵パンと比べて旨み、甘み、コクが優れている。遊離アミノ酸含有量が多いことによってもたらされる効果と推察される。
3)4時間発酵パンと比べてグルテンネットワークが細かい。このことから、気泡が細かく薄い特性があり、生地の伸展性が高く機械耐性に優れる(機械成型による荒れが少なく、大量生産に適している)ことが分かる。また、ケービング(パンの横腹の窪み、腰折れとも言う)が少ないことも特筆すべき点である。
各品質指標の確認手段と、その要因と思われる事項を図1にまとめた。
表1に示した配合Aの材料を用いて、食パンを製造した。表1は小麦粉350kg仕込みでの割合であり、小麦粉量を100%としたときの、中種調製工程、本捏工程における他の材料の比率(ベーカリーパーセント)を示している。
本実施例においては、試験例1(捏上げ温度19℃)、比較例1(捏上げ温度13℃)、および比較例2(捏上げ温度26℃)について、表2に示すように、製造工程の環境条件等を違えて製造したパンの比較試験を行った。
実施例1と同様に配合Aの材料を用いて食パンを製造した。本実施例においては、表4−1,4−2に示すように、試験例2〜4と比較例3〜7の温度履歴を経て各食パンを製造した。
得られた食パンを、実施例1と同様の官能検査で評価し、その結果を示したものが表5である。表5を見ると分かるとおり、試験例2〜4では各要素の評価点が全て4以上であり、品質良好な食パンが得られたことが分かる。
比較例3〜6については、外内温度差が大きく、発酵が不均一であり、充分な品質を得ることはできなかった。
比較例7については、中種調製工程の発酵時間が26時間と長時間であったため、生地の外内温度差が大きいにも拘わらず、品質良好な食パンを得ることができた。しかしながら、本発明の課題である製造時間の短縮は達成することができていない。
本実施例では、上記配合Aの材料と配合Bの材料(表6)を用いて、上記試験例3と同じ製法で食パンを製造した。配合Aと配合Bは、イーストの添加方法で異なり、前者は中種調製工程と本捏工程で分割してイーストを添加しているのに対し、後者は中種調製工程において全てのイーストとイーストフードを添加している。なお、使用したイーストはいずれもオリエンタル酵母社のものである。
配合Aの材料を用いた場合の評価は、表5に示すとおり、外観が5であり、その他の評価項目は全て4である。これに対し、配合Bの材料を用いた場合には、外観的にボリュームが低下しており、イーストを分割添加した方がより好ましい結果が得られることが分かった。但し、配合Bの材料を用いた場合でも、やわらかさ、香り、食味が劣るものの、官能評価の結果は概ね食パンとしての許容範囲に含まれるものであり、内相についてもきめが細かくソフトで老化が遅く、ストレート法で作られたパンに比べて遜色のないパンを得ることができた。
試験例2、試験例3、比較例7の食パンについて、有機酸の含有量を測定し、酸味について官能評価を行った(表7参照)。有機酸の含有量は、食パンの水抽出液を調製し、キャピラリー電気泳動分析装置により分析した。
酸味についての官能評価は、専門のパネラー7名が、食味として感じる酸味(すっぱ味)の嗜好性を評価した。評価点は「+:酸味が気になる、−:酸味が気にならない、±:どちらとも言えない」の3段階である。表7中、各数字は評価したパネラーの人数を示している。
Claims (4)
- 中種の発酵を低温で行う仕込み量が多い工場規模の中種連続製パン法であって、 中種調製工程において、16〜20℃の中種温度となるように捏上げた後、6〜12℃の第1の環境温度で5〜6時間、11〜15℃で第1の環境温度よりも高い第2の環境温度で5〜9時間の範囲内で行う中種の発酵時間に応じてイーストの添加量を調整して、生地の外側と中心部の温度差の発生を2〜4℃の範囲内に抑え、中種の発酵が未熟でも過熟でもない最適な熟成状態とすることにより風味と食感が良好なパン類を製造する中種連続製パン法。
- イーストを、中種と本捏とに分割して加える請求項1の中種連続製パン法。
- 中種には発酵力の弱いイーストを加え、本捏には発酵力の強いイーストを加える請求項2の中種連続製パン法。
- 請求項1ないし3のいずれかの中種連続製パン法で製造されたことを特徴とするパン類。
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