JP4303857B2 - 発煙硫酸用耐食材料とこれを用いた発煙硫酸蒸留ガスの製造装置 - Google Patents
発煙硫酸用耐食材料とこれを用いた発煙硫酸蒸留ガスの製造装置 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、発煙硫酸用耐食材料とこれを用いた発煙硫酸蒸留ガスの製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
高純度硫酸やクロルスルホン酸の製造原料となる三酸化硫黄(SO3) ガスの供給源には、発煙硫酸の蒸留ガスが使用されている。発煙硫酸蒸留ガスの製造は、通常、三酸化硫黄を発煙硫酸に吸収させ、この発煙硫酸を予熱して蒸発器へ送り、この蒸発器で発煙硫酸を加熱沸騰させて三酸化硫黄ガスを発生させる。
【0003】
このような発煙硫酸蒸留ガスの製造プロセスでは、使用される装置類の材料に高い耐食性が要求される。一般に、耐食材料としては、炭素鋼、SUS410、430(フェライト系ステンレス鋼)、SUS304、316(オーステナイト系ステンレス鋼)等が知られており、従来より、発煙硫酸蒸留ガスの製造装置にはこれらの耐食材料が使用されていた。
【0004】
株式会社トクヤマ、平成4年8月発行の「硫酸と工業」第135〜141頁には、上記のような発煙硫酸中での耐食材料のうち、オーステナイト系ステンレス鋼ではクロムが18%以上、ニッケルが9%以下の鋼種が良好な耐食性を示し、特にSUS304が適正であると記載されている。SUS304は高温での耐食性に優れていることが一般に知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、発煙硫酸蒸留ガスの製造では、発煙硫酸の蒸留のために、装置類は発煙硫酸中で約50〜200℃の高温に曝されるため、装置類の耐用寿命を延ばす上から、より高い耐食性が要求されていた。
【0006】
従って、本発明の目的は、高温下での発煙硫酸に対する耐食性に優れた発煙硫酸用耐食材料と、これを用いた発煙硫酸蒸留ガスの製造装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための本発明の発煙硫酸用耐食材料は、炭素0.04〜0.15%(重量%、以下同じ)、ニッケル12.00〜22.00%およびクロム21.00〜26.00%を含むステンレス鋼からなることを特徴とする。
【0008】
前記ステンレス鋼は、高温の発煙硫酸中において優れた耐食性を示す。特に、本発明においては、ステンレス鋼中の炭素量が重要であり、炭素量が上記範囲内にある場合に優れた耐食性が得られる。
【0009】
また、本発明の発煙硫酸蒸留ガスの製造装置は、三酸化硫黄を発煙硫酸に吸収させる発煙塔と、前記発煙硫酸を予熱する熱交換器と、予熱された前記発煙硫酸を加熱して三酸化硫黄ガスを発生させる蒸発器と、これらの装置を連結して発煙硫酸を移送する配管とを備えたものであって、発煙硫酸と接触する部位の全部または一部に、炭素0.04〜0.15%、ニッケル12.00〜22.00%およびクロム21.00〜26.00%を含むステンレス鋼を使用したことを特徴とする。
【0010】
このように、耐食性に優れた特定のステンレス鋼を発煙硫酸と接触する部位に使用することにより、装置の耐用年数が向上し、長期間にわたって発煙硫酸蒸留ガスの安定した製造が可能になる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図1を参照して本発明の発煙硫酸用耐食材料とこれを用いた発煙硫酸蒸留ガスの製造装置を説明する。
発煙硫酸蒸留ガスの製造装置は、図1に示すように、発煙塔1と、熱交換器2と、蒸発器3と、これらを結ぶ配管4,5,6,7とを備える。発煙塔1では三酸化硫黄を発煙硫酸に吸収させ、この発煙硫酸を配管4にて熱交換器2に送り、ここで予熱して配管5によって蒸発器3へ送る。この蒸発器3では発煙硫酸を加熱沸騰させて三酸化硫黄ガスを発生させる。
【0012】
発煙塔1には原料となる三酸化硫黄を供給するための配管8が設けられ、また蒸発器3の上部には三酸化硫黄ガスを取り出すための配管9が設けられる。
蒸発器3の下部には、発煙硫酸を抜き出すための配管6が設けられ、抜き出した発煙硫酸を熱交換器2に送り、熱交換後、配管7を経て発煙塔1に送る。
【0013】
各配管4,5,6,7で移送される発煙硫酸の温度と濃度(重量%)を以下に示す。
【0014】
このように製造工程を循環される発煙硫酸は高温であるため、各配管はもとよりそれぞれの装置には耐食材料が使用される。本発明では、これら装置のうち、発煙硫酸と接触する部位の全部または一部に、耐食材料として、炭素0.04〜0.15%、ニッケル12.00〜22.00%およびクロム21.00〜26.00%を含むステンレス鋼、特にオーステナイト系ステンレス鋼を使用する。ここで、ニッケル量は19.00〜22.00%であるのが好ましく、クロム量は24.00〜26.00%であるのが好ましい。
【0015】
炭素量が前記範囲を下回る場合は材料の耐食性が著しく低下する。ニッケル量やクロム量が前記範囲を下回る場合も材料の耐食性が低下する。一方、炭素量、ニッケル量およびクロム量が前記したそれぞれの範囲を越える場合は、材料の延性が低下し、ニッケルが前記範囲を越える場合には材料の耐食性が低下するため、好ましくない。
【0016】
本発明におけるステンレス鋼としては、オーステナイト系ステンレス鋼であるSUS310が代表例として挙げられる。SUS310のFeを除く主要化学組成は以下のとおりである。比較のためSUS304の化学組成を併記する。なお、SUS310はモリブデンを含まない鋼種である。
SUS310はこの化学組成から明らかなように炭素量が0.04%未満のものも包含するが、本発明では炭素量が0.04〜0.15%のものを使用することが、発煙硫酸中での耐食性を高める上で必要である。
【0017】
本発明の耐食材料は、発煙硫酸に対して高い耐食性を有するため、図1に示す発煙硫酸蒸留ガスの製造装置のうち発煙硫酸と接触する部位の全部に使用するのが好ましいが、そのうちでも特に腐食しやすい蒸発器3の内壁材、加熱用のヒーター管材等に使用するのに好適である。その他の部位では、必要に応じて炭素鋼、SUS304等の従来公知の耐食材料を併用してもよい。
【0018】
【実施例】
以下、試験例を挙げて本発明の耐食材料を説明する。
【0019】
試験例1
濃度32%の発煙硫酸を熱交換器で予熱して蒸発器へ供給し、蒸発器で170℃に加熱沸騰させて蒸留を行い、蒸発器上部から三酸化硫黄ガスを発生させ、これを次工程に送るとともに、蒸発器下部から濃度13%の発煙硫酸を抜き出し、熱交換器を経て発煙塔に戻す工程を含む実際の製造装置を試験のために使用した。そして、蒸発器内の液相部に試験片(寸法:40mm×15mm×2mm)を挿入し、92日間保持して試験片の腐食速度を調べた。
試験片としては、SUS310(実施例)、SUS304(比較例)およびSUS302(比較例)を使用した。各試験片の化学成分値を表1に示す。
試験片の腐食速度は、92日間経過後の重量減少量から1時間当たりの単位減少量(g/m2・hr)を算出し、比重を考慮してこれを「mm/y」(yは年を示す)に換算して求めた。その結果を表1に併せて示す。
【0020】
【表1】
【0021】
表1から明らかなように、SUS310(1) および(2) の試験片は、炭素量が0.04%未満であるSUS310(3) および(4) や、SUS304(1) 、(2) およびSUS302と比較して、腐食速度が非常に低く、従って高温の発煙硫酸中での耐食性に優れていることがわかる。特に、SUS310(1) 〜(4) の結果から、炭素量が多くなるほど腐食速度が低減し、耐食性が向上していることがわかる。
【0022】
【発明の効果】
本発明の発煙硫酸用耐食材料は、特に高温下の発煙硫酸中での耐食性に優れているという効果がある。
また、本発明の発煙硫酸蒸留ガスの製造装置は、発煙硫酸と接触する部位の全部または一部に、前記耐食材料を使用することにより、装置の耐用年数が向上し、長期間にわたって発煙硫酸蒸留ガスの安定した製造が可能となり、生産性向上や生産コストの低減にも大きく寄与できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる発煙硫酸蒸留ガスの製造プロセスを示す工程図である。
【符号の説明】
1 発煙塔
2 熱交換器
3 蒸発器
4 配管
5 配管
6 配管
7 配管
Claims (3)
- 炭素0.04〜0.15重量%、ケイ素1.50重量%以下、マンガン2.00重量%以下、リン0.040重量%以下、硫黄0.030重量%以下、ニッケル12.00〜22.00重量%およびクロム21.00〜26.00重量%を含み残部が鉄および不可避的不純物からなるステンレス鋼からなる発煙硫酸用耐食材料。
- 前記ステンレス鋼は、ニッケル19.00〜22.00重量%およびクロム24.00〜26.00重量%を含む請求項1記載の発煙硫酸用耐食材料。
- 三酸化硫黄を発煙硫酸に吸収させる発煙塔と、前記発煙硫酸を予熱する熱交換器と、予熱された前記発煙硫酸を加熱して三酸化硫黄ガスを発生させる蒸発器と、これらの装置を連結して発煙硫酸を移送する配管とを備えた発煙硫酸蒸留ガスの製造装置において、発煙硫酸と接触する部位の全部または一部に、炭素0.04〜0.15重量%、ケイ素1.50重量%以下、マンガン2.00重量%以下、リン0.040重量%以下、硫黄0.030重量%以下、ニッケル12.00〜22.00重量%およびクロム21.00〜26.00重量%を含み残部が鉄および不可避的不純物からなるステンレス鋼を使用したことを特徴とする発煙硫酸蒸留ガスの製造装置。
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