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JP4303011B2 - 上面発光型有機エレクトロルミネセンス表示素子およびその製造方法 - Google Patents

上面発光型有機エレクトロルミネセンス表示素子およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、上面発光型有機エレクトロルミネセンス(以下、有機エレクトロルミネセンスを有機ELと略記する)表示素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
発光素子の発光の色調(スペクトル)は、発光材料によって異なり、多くの発光材料の中から選択することにより様々な発光色の素子を形成することができる。
【0003】
しかしながら、発光は薄膜内部で起こるため、外部に取り出される発光色は素子の積層膜界面での多重反射による光干渉の影響を受け、発光材料本来の発光のスペクトルとは異なるものとなる。また、発光強度も光干渉の効果により変化する。
【0004】
基板上に、透明電極と、発光層と、金属電極とをこの順に積層してなり、発光を、基板側から表示に利用する通常の下面発光(ボトムエミッション)型有機EL表示素子の場合、この多重反射は、下部にある透明電極と基板ガラスとの間の屈折率差が大きいことにより生じる界面での反射と、上部にある金属電極と発光層との界面での反射とにより起こる。
【0005】
これに関し、下面発光型有機EL表示素子を構成する電極間の発光層と透明電極の膜厚による光干渉の効果を利用して、輝度最大化と発光波長の調整とを図る技術が研究されている(たとえば非特許文献1参照。)。
【0006】
一方、ボトムエミッション型ではアクティブマトリクスデバイスの場合に、金属配線、TFT、キャパシタ等の存在により画素の開口率が減少するという問題に対応して、基板上に、金属電極と、発光層と、透明電極とをこの順に積層してなり、発光を、反基板側から表示に利用する上面発光(トップエミッション)型有機EL表示素子が提案されている(たとえば非特許文献2参照。)。
【0007】
上面発光型有機EL表示素子では、通常、上部にある透明電極上に封止気体が配されるため、透明電極と封止気体との間の屈折率差が大きいことにより生じる界面での反射と、金属電極と発光層との界面での反射とにより多重反射が起こる。封止気体の屈折率は基板の屈折率より遙かに低いのが一般的であり、このことに起因して、上面発光型有機EL表示素子では、下面発光型有機EL表示素子と比べて光干渉の発光スペクトルへの影響が大きくなる。
【0008】
上面発光型有機EL表示素子に関しては、色調毎に光干渉が有利に働くように発光層や透明電極の膜厚等の設計を色調毎に行うことが提案されている(たとえば非特許文献3参照。)。しかしながら、素子の設計には、発光層の発光のための電気光学特性、たとえば電流効率、駆動電圧、寿命等に対しても考慮する必要があり、色調調整と電気光学特性との両方をバランスさせることが困難な場合がある。また、上面発光型有機EL表示素子を形成する場合、光干渉の効果が強いため、製造上の膜厚等のばらつきにより色調に変化が生じ易い。特に白色の上面発光型有機EL表示素子を形成する場合には、素子設計が難しく、また、製造上の膜厚等のばらつきにより色調の変化が生じ易い。
【0009】
【非特許文献1】
Y.Fukuda等,有機LEDフルカラーパッシブマトリックス(Organic LED Full−Color Passive−Matrix),エスアイディー99 ダイジェスト(SID99 Digest),米国,Society for Information Display,1999年5月,p.430
【0010】
【非特許文献2】
占部哲夫,「高画質・大画面有機ELディスプレー技術の現状と展望」,講演集,Japan Electronic and Information Technology Industries Association (JEITA) & Semiconductor Equipment and Materials International (SEMI),2002年4月16〜18日講演(東京ファッションタウン西館TFTホール),p.4,5
【0011】
【非特許文献3】
Jiro Yamada等,フルカラーAM−OLED表示装置のためのマイクロキャビティ構造(Micro Cavity Structures for Full−Color AM−OLED Displays),ダイジェストオブテクニカルペーパーズ,AM−LCD(Digest of Technical Papers,AM−LCD),日本,応用物理学会,2002年7月,p.77
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題を解決し、色調の変化が生じ難く、素子設計の容易な上面発光型有機EL表示素子を提供することを目的とする。本発明のさらに他の目的および利点は、以下の説明から明らかになるであろう。
【0013】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明の態様1は、基板上に、金属電極と、発光層と、透明電極と、屈折率が1.5〜2.3、光透過率が60%以上の光透過性膜とをこの順に積層してなり、光透過性膜が、窒化ケイ素、酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムおよびフッ化セリウムからなる群から選ばれた少なくとも一つの材料よりなる層と、有機樹脂よりなる層とをこの順で積層した複数の層からなり、その複数の層の全体の膜厚が5〜15μmである、上面発光型有機EL表示素子を提供する。
【0014】
本発明の態様2は、光透過性膜上に封止気体を配した、上記態様1に記載の上面発光型有機エレクトロルミネセンス表示素子を提供する。
【0015】
本発明の態様3は、光透過性膜を構成する複数の層はそれぞれ1.5〜2.3の範囲の屈折率である、上記態様1または2に記載の上面発光型有機エレクトロルミネセンス表示素子を提供する。
【0016】
本発明の態様4は、透明電極の屈折率と光透過性膜の屈折率との差が0.3以内である、上記態様1に記載の上面発光型有機EL表示素子を提供する。
【0017】
本発明の態様5は、基板上に、金属電極と、発光層と、透明電極と、屈折率が1.5〜2.3、光透過率が60%以上の光透過性膜とをこの順に積層し、光透過性膜は、窒化ケイ素、酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムおよびフッ化セリウムからなる群から選ばれた少なくとも一つの材料よりなる層と、有機樹脂よりなる層とをこの順で積層した複数の層から形成し、その複数の層の全体の膜厚を5〜15μmとする、上面発光型有機EL表示素子の製造方法を提供する。
【0018】
本発明の態様6は、光透過性膜上に封止気体を配する、上記態様5に記載の上面発光型有機エレクトロルミネセンス表示素子の製造方法を提供する。
【0019】
本発明の態様7は、透明電極の屈折率と光透過性膜の屈折率との差が0.3以内とする、上記態様5に記載の上面発光型有機EL表示素子の製造方法を提供する。
【0020】
本発明の態様8は、有機樹脂よりなる層を、スピンコート、スプレーコート、フレキソ印刷、スクリーン印刷のいずれかで形成する、上記態様5に記載の上面発光型有機EL表示素子の製造方法を提供する。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を図,表,実施例等を使用して説明する。なお、これらの図,表,実施例等及び説明は本発明を例示するものであり、本発明の範囲を制限するものではない。本発明の趣旨に合致する限り他の実施の形態も本発明の範疇に属し得ることは言うまでもない。
【0022】
本発明の基礎となる、上面発光型有機EL表示素子を例示すると、図1,2のようになる。図1は本発明の有機EL表示素子の基本的な構成例の模式的側断面図である。図1において、有機EL表示素子は、基板1、金属電極(陽極)2、発光層3、透明電極(陰極)4をこの順に積層してなっている。この構造はもっとも基本的なものである。図2は、より複雑な構造を採用した例で、金属電極2と発光層3との層間に正孔輸送層5と界面層6とが、透明電極4と発光層3との層間に電子輸送層7と界面層8とが設けられている。なお、金属電極2が陰極、透明電極4が陽極の構成も可能である。
【0023】
本発明における基板1は、有機EL表示素子の支持体であり、ガラス、プラスチックフィルム等の透明な基板が一般的には使用される。プラスチックの場合には、ポリカーボネート、ポリメタアクリレート、ポリスルホンなどを例示できる。
【0024】
透明電極4としては、インジウム錫酸化物(ITO)薄膜、錫酸化物の膜を使用することができる。また、仕事関数の大きい銀、金等の金属、ヨウ化銅などの無機導電性物質、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性高分子により構成してもよい。透明電極4の膜厚は、必要とする透明性に依存するが、可視光の透過率が60%以上、好ましくは80%以上であり、この場合の膜厚は一般的には5〜1000nm、好ましくは10〜500nmである。金属電極としてはAl,Cr等が使用できる。
【0025】
基本的な構成では、発光層3は、金属電極2の上に設けられる。発光層3に用いる物質としては、蛍光量子収率が高く、透明電極4からの電子注入効率が高く、さらに電子移動度が高い化合物が有効であり、公知の有機発光性物質、たとえば、8−オキシキノリン系錯体、テトラフェニルブタジエン、スチリル系色素、オキサジアゾール系色素などを使用することができる。このような発光層3の膜厚は、通常10〜200nmであり、好ましくは、20〜80nmである。
【0026】
正孔輸送層5は、図2に示すように金属電極2と発光層3との層間に必要に応じて設けることができる。この正孔輸送層5に用いる正孔輸送材料としては、金属電極2からの正孔注入障壁が低く、さらに正孔移動度が高い材料が使用できる。このような正孔輸送材料としては、公知の正孔輸送材料が使用できる。正孔輸送層の膜厚は、通常、10〜200nmであり、好ましくは、20〜80nmである。
【0027】
金属電極2と正孔輸送層5との層間に、リーク電流の防止、正孔注入障壁の低減、密着性向上等を目的として、界面層6を設けてもよい。この界面層6を設けるときの膜厚は5〜100nmが好ましい。
【0028】
電子輸送層7は、発光層3と透明電極4との層間に必要に応じて設けることができる。この電子輸送層7の電子輸送性物質としては、シクロペンタジエン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ビススチリルベンゼン誘導体、p−フェニレン化合物、フェナントロリン誘導体、トリアゾール誘導体などの電子親和力が大きく電子の移動度が大きい物質が好適である。
【0029】
電子輸送層7と透明電極4との層間に、界面層8を必要に応じて設けることもできる。この界面層を設けることにより、駆動電圧の低減や発光効率の向上、長寿命化を達成することができる。界面層は透明電極からの電子注入を容易にする効果や透明電極との密着性をあげる効果がある。
【0030】
界面層6,8の材料としては、トリフェニルアミンの誘導体である4,4’,4”−トリス{N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ}トリフェニルアミン(MTDATA)、4,4’,4”−トリス{N,Nジフェニルアミノ}トリフェニルアミン(TDATA)、銅フタロシアニン(CuPc)等やアルカリ金属やアルカリ土類金属のフッ化物、酸化物を好ましく使用できる。
【0031】
本発明に係る薄膜発光表示素子は、上記構成に例示するように、非表示面側に基板を配し、表示面側に封止気体を配するのが一般的である。なお、封止気体としては、二つの基板の一方に凹面を設けて基板の四辺周辺をシール材で囲み、密閉空間を形成し気体を封入する。一般的に乾燥窒素や乾燥アルゴン等の乾燥した不活性な気体が使用される(本明細書では封止気体の図示は省略している。)。また、密閉空間内に乾燥剤を配置することが好ましい。内部に侵入した水分を捕集できるからである。
【0032】
次に、上面発光型有機EL表示素子では、下面発光型有機EL表示素子に比し光干渉の影響が大きいことを図3,4を使用して説明する。
【0033】
図3は、基板1の上に透明電極21、発光層3、金属電極41を積層してなる下面発光型有機EL表示素子を示す模式的横断面図である。発光は図3中下の方から観察される。この場合、発光層3の任意の点Aで等方的に発生する光のうち、図3中下方向に向かう成分については、a21のようにそのまま有機EL表示素子外に達する成分、a22のように、いったん金属電極41面で反射してから有機EL表示素子外に達する成分、さらにa23のように、透明電極21と基板1との間の屈折率差が大きいためにその界面で反射し、さらに金属電極41面で反射してから有機EL表示素子外に達する成分等が存在し、そのような多重反射の結果光干渉が生じる。
【0034】
これに対し図4は、基板1の上に金属電極22、発光層3、透明電極42を積層してなる上面発光型有機EL表示素子を示す模式的横断面図である。発光は図4中上の方から観察される。この場合、発光層3の任意の点Bで発生する光のうち、図4中上方向に向かう成分については、b21のようにそのまま有機EL表示素子外に達する成分、b22のように、いったん金属電極22面で反射してから有機EL表示素子外に達する成分、さらにb23のように、透明電極42と封止気体の間の屈折率差が大きいためにその界面で反射し、さらに金属電極22面で反射してから有機EL表示素子外に達する成分等が存在し、そのような多重反射の結果光干渉が生じる。
【0035】
具体的には、屈折率1.5のガラス基板、屈折率1.8のITO透明電極、屈折率1.0の窒素を封止気体とした場合、ITO透明電極の屈折率と窒素の屈折率との差がガラス基板の屈折率とITO透明電極の屈折率との差よりかなり大きい。このことに起因して、下面発光型有機EL表示素子に比べ、上面発光型有機EL表示素子の方が光干渉の影響が強く現れ、色調が変化する。特に白色の場合は、色調が変化することが白色でなくなることを意味するので重大な問題となる。このため、膜厚を調整する等、素子構造に工夫を凝らして色調変化を抑制する必要が生じる。
【0036】
透明電極上に屈折率が1.5〜2.3、膜厚が15μm、光透過率が60%以上の光透過性膜9を備えた、図5に示す構造の上面発光型有機EL表示素子とすることで、この問題を解決できることが判明した。なお、光透明膜は保護膜としての機能を兼ねてもよい。
【0037】
このような構成を採用することにより、光干渉の影響が小さくなり、色調の変化が起こりにくくなるため、素子設計において、色調調整に煩わされることが少なくなり、電気光学特性を優先させた素子設計ができる。特に白色の設計がし易い。また、製造上の膜厚等のばらつきによる色調の変化も起こりにくくなるため、製造が容易になる。
【0038】
透明電極上に屈折率1.5〜2.3の光透過性膜を設けることにより、透明電極上と光透過性膜との界面での反射を減少できる。界面での反射の観点からは、透明電極の屈折率と光透過性膜の屈折率との差は小さい方が好ましい。透明電極の屈折率と光透過性膜の屈折率との差が±0.3以内であることが好ましく、±0.2以内であることがより好ましい。
【0039】
光透過性膜の膜厚を所定以上に厚くすることにより、光透過性膜が封止気体のように屈折率の差が非常に大きな物質と接していても、その界面における光干渉を効果的に抑制できる。光透過性膜の膜厚が3μm以上であれば、光干渉抑制の効果が明確になり、5μm以上であれば、ほとんど完全に抑制できる。なお、光透過性膜の膜厚が20μmを超えると、成膜時間が長くなる、膜に歪が発生する等の問題が発生する。そのため、本発明では、光透過性膜の膜厚の範囲を5〜15μmとした
【0040】
この様子を表1を使用して説明する。表1は、次の前提の下に推算したものである。なお、発光材料であるトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq)本来の蛍光スペクトルの色度座標は、(0.3036,0.5570)であり、干渉された結果の発光スペクトルの色度座標が、この座標値に近いほど、色調の変化が生じ難いことを意味する。
【0041】
<前提>
・金属電極,発光層,透明電極,光透過性膜(存在しない場合もある),窒素からなる層構造とする。
【0042】
・便宜のため、光源が金属電極内にあるものとする。
【0043】
・発光層,透明電極,光透過性膜の屈折率は互いに近いので、層間での反射は無視し、金属電極/(発光層+透明電極)/窒素または、金属電極/(発光層+透明電極+光透過性膜)/窒素という構成であると考える。
【0044】
・金属電極の屈折率を32.3、(発光層+透明電極+光透過性膜)の屈折率を1.8、窒素の屈折率を1.0とする。
【0045】
・以上を基礎にして波長ごとに求めた光透過率をAlqの蛍光スペクトルと掛け合わせることにより、上記構造で干渉された結果の発光スペクトルを計算し、色度座標を求める。
【0046】
【表1】
Figure 0004303011
【0047】
表1の番号1,6の結果より、光透過性膜が存在しない場合には、その発光スペクトルの色度座標はAlq本来の蛍光スペクトルの色度座標とは大きく異なり、また、(発光層+透明電極)の厚さが変化すると、かなりの色調変化が生じることが理解できる。
【0048】
これに対し、番号2,3,4,5を番号1と比較してみると、光透過性膜を設けることにより、Alq本来の蛍光スペクトルの色度座標に近い色度座標となること、光透過性膜の厚さが3μm以上であれば光干渉の効果が明確になること、5μm以上であれば、Alq本来の蛍光スペクトルの色度座標とほぼ同一であると言えることが理解できる。この事情は、番号7,8,9,10と番号6との比較でも同様である。すなわち、表1の結果は、光透過性膜を設けることにより、(発光層+透明電極)の厚さの変化に無関係に、Alq本来の蛍光スペクトルの色調とほぼ同一の色調を実現できることを示している。
【0049】
透過性膜の光透過性は、一般的に高い方が好ましい。本発明では、実用性を考慮して60%以上とした。これより低いと外部に達する光量の減少が大きく、実用的に困難性を生じる場合があるからである。
【0050】
透過性膜は複数の層からなっている。その場合、その複数の層の膜のそれぞれの屈折率1.5〜2.3であるその複数の層の全体の膜厚は515μmであり、光透過率60%以上である。
【0051】
本発明の効果は、透明電極上に封止気体を配した構造の上面発光型有機EL表示素子について、その透明電極と封止気体との間に光透過性膜を設ける場合に特に効果的である。低い屈折率との界面で生じる光の反射による干渉効果を効果的に抑制できるからである。
【0052】
光透過性膜を形成するための材料としては、光透過性が良好で均質な膜形成が容易であるところから、材質的には、有機樹脂よりなる層と、窒化ケイ素、酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムおよびフッ化セリウムからなる群から選ばれた少なくとも一つの材料よりなる層とを含む。
【0053】
有機樹脂は、本発明の趣旨に反しない限りどのようなものでもよく、屈折率が1.5〜2.3で光透過率が60%以上のものから選択する。このような物性を示す材料として、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等を例示することができる。
【0054】
有機樹脂を使用するのは、光透過性膜全体としての膜厚を確保するのが容易なためであり、窒化ケイ素、酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムおよびフッ化セリウムからなる群から選ばれた少なくとも一つの材料よりなる層を併用するのは、有機樹脂の形成時に溶剤、水分から有機EL素子を保護するためである。
【0055】
本発明に係る上面発光型有機EL表示素子は、基板上に、金属電極と、発光層と、透明電極と、屈折率が1.5〜2.3、膜厚が5〜15μm、光透過率が60%以上の光透過性膜とをこの順に積層することによって製造できる。通常、光透過性膜上に封止気体が配される。
【0056】
光透過性膜は、有機樹脂よりなる層と、窒化ケイ素、酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムおよびフッ化セリウムからなる群から選ばれた少なくとも一つの材料よりなる層とを積層して形成する。そのための成膜方法としては、上記の条件を満たす膜を形成できる方法であれば、どのようなものでもよいが、有機樹脂層については、スピンコート、スプレーコート、フレキソ印刷、スクリーン印刷等が好ましく、窒化ケイ素、酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムおよびフッ化セリウムからなる層については、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、MBE法、レーザーアブレーション法等の物理的気相成長法(PVD)や、熱CVD、MOCVD、プラズマCVD、ECRプラズマCVD、光CVD、レーザーCVD等の化学的気相法(CVD)が好ましい。この場合、光透過性膜が、透明電極形成と連続して成膜できる場合があると工程が簡略化でき好ましい。なお、光透過性膜の成膜時に、発光層等の有機EL表示素子の要素に損傷を与えることがないよう、成膜温度等への配慮が必要である。
【0057】
【実施例】
次に本発明の実施例を詳述する。例1〜4はすべて実施例である。なお、色度測定は、ミノルタ(株)製色彩輝度計CS−1000によった。
【0058】
[例1]
ガラス基板上にメタルマスクを介して真空蒸着し、電極の形状にAlを40nmの膜厚で成膜した。ついで、同一真空中で、0.5nm膜厚のLiF、60nm膜厚のAlq、80nm膜厚の4,4’−ビス(N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ)ビフェニル(α−NPD)、30nm膜厚のCuPcを連続して成膜し、さらにAl電極と直交する電極形状に、60nm膜厚のITO膜を成膜した。成膜は、接地されたグリッドを介してイオン衝撃による発光層へのダメージを軽減したRFスパッタ法によって行った。
【0059】
光透過性膜として、まずプラズマCVD法により、0.5μm膜厚の窒化ケイ素膜を成膜し、さらにスピンコートにより、5μmの新日鐵化学(株)製カルドアクリレートV259PAの層を形成した。光透過性膜上の封止気体としては乾燥窒素を使用した。
【0060】
この構造体について、Al電極を陰極、ITO電極を陽極として直流電流を流して発光させ、スペクトルを測定した。この結果、表1の番号9と同等のデータが得られた。なお、窒化ケイ素の屈折率は1.8、V259PAの屈折率は1.7、窒化ケイ素とV259PAとの二層を合わせたときの光透過率は85%であった。
【0061】
[例2]
ガラス基板上にDCスパッタリングにより40nm膜厚のCr膜を成膜し、フォトリソグラフィーにより電極の形状に形成した。この上に、30nm膜厚のCuPc、80nm膜厚のα−NPD、60nm膜厚のAlq、5nm膜厚のCuPcを連続して成膜し、さらにAl電極と直交する電極形状に、60nm膜厚のITO膜を成膜した。成膜は、接地されたグリッドを介してイオン衝撃による発光層へのダメージを軽減したRFスパッタ法によって行った。
【0062】
光透過性膜として、まずスパッタリングにより、0.5μm膜厚の窒化ケイ素膜を成膜し、さらにスピンコートにより、5μmの東京応化工業(株)製クリヤレジストCFPR−CL016Sの層を形成した。光透過性膜上の封止気体としては乾燥窒素を使用した。
【0063】
この構造体について、Cr電極を陽極、ITO電極を陰極として直流電流を流して発光させ、スペクトルを測定した。この結果、表1の番号9と同等のデータが得られた。なお、CFPR−CL016Sはアクリル系の有機樹脂であり、屈折率は1.6、光透過率は80%以上であった。
【0064】
[例3]
5μmのV259PAの層に代えて10μmのV259PAの層とした以外は例1と同じ条件として、例1と同様の構造体を作製し、スペクトルを測定した。この結果、表1の番号10と同等のデータが得られた。
【0065】
[例4]
5μmのCFPR−CL016Sの層に代えて10μmのCFPR−CL016Sの層とした以外は例2と同じ条件として、例2と同様の構造体を作製し、スペクトルを測定した。この結果、表1の番号10と同等のデータが得られた。
【0066】
【発明の効果】
本発明により、色調の変化が生じ難く、素子設計の容易な上面発光型有機EL表示素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基礎となる上面発光型有機EL表示素子の模式的側断面図である。
【図2】本発明の基礎となる上面発光型有機EL表示素子の他の模式的側断面図である。
【図3】下面発光型有機EL表示素子において光の反射の様子を示す模式的横断面図である。
【図4】上面発光型有機EL表示素子において光の反射の様子を示す模式的横断面図である。
【図5】本発明に係る上面発光型有機EL表示素子の模式的側断面図である。
【符号の説明】
1 基板
2 金属電極
3 発光層
4 透明電極
5 正孔輸送層
6 界面層
7 電子輸送層
8 界面層
9 光透過性膜
21 透明電極
22 金属電極
41 金属電極
42 透明電極

Claims (8)

  1. 基板上に、金属電極と、発光層と、透明電極と、屈折率が1.5〜2.3、光透過率が60%以上の光透過性膜とをこの順に積層してなり、
    光透過性膜が、窒化ケイ素、酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムおよびフッ化セリウムからなる群から選ばれた少なくとも一つの材料よりなる層と、有機樹脂よりなる層とをこの順で積層した複数の層からなり、その複数の層の全体の膜厚が5〜15μmである、上面発光型有機エレクトロルミネセンス表示素子。
  2. 光透過性膜上に封止気体を配したことを特徴とする、請求項1に記載の上面発光型有機エレクトロルミネセンス表示素子。
  3. 光透過性膜を構成する複数の層はそれぞれ1.5〜2.3の範囲の屈折率であることを特徴とする、請求項1または2に記載の上面発光型有機エレクトロルミネセンス表示素子。
  4. 透明電極の屈折率と光透過性膜の屈折率との差が0.3以内であることを特徴とする、請求項1に記載の上面発光型有機エレクトロルミネセンス表示素子。
  5. 基板上に、金属電極と、発光層と、透明電極と、屈折率が1.5〜2.3、光透過率が60%以上の光透過性膜とをこの順に積層し、
    光透過性膜は、窒化ケイ素、酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムおよびフッ化セリウムからなる群から選ばれた少なくとも一つの材料よりなる層と、有機樹脂よりなる層とをこの順で積層した複数の層から形成し、その複数の層の全体の膜厚を5〜15μmとする、上面発光型有機エレクトロルミネセンス表示素子の製造方法。
  6. 光透過性膜上に封止気体を配することを特徴とする、請求項5に記載の上面発光型有機エレクトロルミネセンス表示素子の製造方法。
  7. 透明電極の屈折率と光透過性膜の屈折率との差が0.3以内とすることを特徴とする、請求項5に記載の上面発光型有機エレクトロルミネセンス表示素子の製造方法。
  8. 有機樹脂よりなる層を、スピンコート、スプレーコート、フレキソ印刷、スクリーン印刷のいずれかで形成することを特徴とする、請求項5に記載の上面発光型有機エレクトロルミネセンス表示素子の製造方法。
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