JP4293695B2 - 磁気軸受制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁石の磁気力によって回転軸を支持する磁気軸受に係り、特に、この回転軸を目標の位置に支持するように電磁石の励磁電圧又は励磁電流を制御する磁気軸受制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
磁気軸受は、回転軸を磁気的な力により完全非接触状態で支持できるという特徴があり、また軸受の摩耗が生じず、更に潤滑油等も必要としない。このような特徴から、磁気軸受は回転軸が高速回転する機器や特殊雰囲気中(例えば、高温、低温、真空などの条件下)で使用する機器の軸受としてよく用いられている。
【0003】
このような磁気軸受においては常に回転軸を磁気力により浮上させておく必要があるので、磁気軸受には回転軸を目標の位置に支持するように電磁石の励磁電圧又は励磁電流を制御する磁気軸受制御装置が設けられる。この磁気軸受制御装置は、回転軸に磁気的な吸引力を及ぼすことで回転軸を浮上支持する電磁石と、回転軸の浮上位置を検出するセンサと、そのセンサの信号に基づいて回転軸を目標の位置に支持するように電磁石の励磁電圧又は励磁電流(即ち、磁気的吸引力)を制御するコントローラとから構成される。
【0004】
従来、この磁気軸受制御装置のコントローラとして、アナログ制御方式によるPID(比例積分微分)制御器や位相補償器といった制御器が多く用いられていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、回転軸が大きく変位した場合の非線形性、変位検知回路、制御補償回路、パワーアンプ、電磁石内のコイルの周波数特性、回転軸の自由振動、不釣り合いによる強制振動、ジャイロ効果等種々の原因により、回転軸・磁気軸受系の動特性は非常に複雑である。従って、従来のようにアナログ制御により磁気軸受の制御を行う場合には、その制御パラメータの設定、調整にかなりの時間と労力が必要である。
【0006】
特に、上記アナログ制御器は、オペアンプ、抵抗、コンデンサ等のハードウェアの組合せによって実現されているので、磁気軸受制御装置のコントローラとしてアナログ制御器を用いた場合には、回転軸・磁気軸受の制御系を修正・調節する必要が生じたときにこれらのハードウェアを変更する必要が生ずる。従って、回転軸・磁気軸受の制御系の修正・調節にかなりの時間と労力が必要である。
【0007】
また、磁気軸受制御装置のコントローラとしてPID制御又は位相補償のみの制御器を用いると、制御系のロバスト性が低いため、回転軸・磁気軸受系の動特性が変化した場合や制御系に外乱が混入した場合などには、制御系が不安定になりやすい。
【0008】
更に、磁気軸受制御装置の設計・製作にあたっては、制御対象である回転軸・磁気軸受のモデリング(同定)を行う必要があるが、回転軸・磁気軸受系の動特性は上述したように複雑であり、制御系の厳密な数学的モデルを決定することは困難である。
【0009】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、回転軸・磁気軸受を容易かつ安定的に制御することができ、また容易にその設計・製作をすることができる磁気軸受制御装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
このような従来技術における問題点を解決するために、請求項1に記載の本発明は、電磁石の磁気力によって回転軸を支持する磁気軸受において基準点を設定し、該基準点からの上記回転軸の変位を検出するセンサを備えるとともに該センサにより検出された回転軸の変位に基づいて上記電磁石に供給する電流又は電圧を制御する磁気軸受制御装置であって、上記センサにより検出された回転軸の変位と該回転軸の変位の目標値との偏差を求める差分手段と、上記差分手段により求められた偏差の微分値を求める微分手段と、予め決められた回転軸・磁気軸受系のファジィモデルに基づいてスライディングモードが存在できるように決定された複数のゲインの中から適切なゲインを、上記差分手段により求められた偏差及び上記微分手段により求められた偏差の微分値に応じて選択して、該偏差に掛け合わせる第一の利得手段と、予め決められた回転軸・磁気軸受系のファジィモデルに基づいてスライディングモードが存在できるように決定された複数のゲインの中から適切なゲインを、上記差分手段により求められた偏差及び上記微分手段により求められた偏差の微分値に応じて選択して、該偏差の微分値に掛け合わせる第二の利得手段と、上記第一の利得手段により算出された値と第二の利得手段により算出された値とを加えた値を上記電磁石に供給する電流又は電圧として出力する加算手段と、を備えることを特徴とする。これによりスライディングモード制御によって回転軸・磁気軸受系を制御することが可能となる。
【0011】
また、請求項2に記載の本発明は、上記請求項1に記載の本発明において、上記回転軸の変位と該回転軸の変位の微分値と上記電磁石に供給する電流又は電圧とを含んで記述される前記回転軸・磁気軸受系のファジィモデルに対し、ファジィニューラルネットワークを構成し、上記ファジィニューラルネットワークに上記回転軸の変位と該回転軸の変位の微分値と上記電磁石に供給する電流又は電圧とを入力することによって、単位時間経過後の回転軸の変位を推測し、上記推測された単位時間経過後の回転軸の変位と実際の単位時間経過後の回転軸の変位の差を求め、前記差を最小にするように前記ファジィニューラルネットワークを繰り返し学習させ、前記学習した結果により正確な回転軸・磁気軸受系のファジィモデルを導き出し、該導き出された回転軸・磁気軸受系のファジィモデルに対してスライディングモードが存在できるように上記複数のゲインを決定することを特徴とする。これによりファジィニューラルネットワークによる正確な回転軸・磁気軸受系のファジィモデルが得られ、この正確な回転軸・磁気軸受系のファジィモデルに基づくスライディングモード制御が可能となる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る磁気軸受制御装置の一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施形態における磁気軸受の構成を示す図である。
本図に示すように、回転軸1にはモータ11が備えられており、回転軸1を高速で回転させることができる。回転軸1の軸方向の2カ所にラジアル磁気軸受2が配置され、回転軸1の一端に取り付けられた円板部12の両端付近にスラスト磁気軸受が配置されている。このラジアル磁気軸受2は磁気力によって回転軸1を半径方向に支持し、スラスト磁気軸受3は磁気力によって回転軸1を軸方向に支持する。
なお、これらのラジアル磁気軸受2及びスラスト磁気軸受3は5軸制御磁気軸受を形成している。
【0013】
また、上記各軸受2,3は、回転軸1に磁気的吸引力を及ぼすことで浮上支持する電磁石であり、これに付属して回転軸1の位置を検出するギャップセンサ4が取り付けられている。ラジアル磁気軸受2のギャップセンサ4は回転軸1の半径方向の位置を検出し、スラスト磁気軸受3のギャップセンサ4は回転軸1の軸方向の位置を検出する。なお、このギャップセンサとしては、例えば、インダクタンスの変化により変位を検出するインダクタンス型変位センサを用いることができる。
【0014】
ここで、図1に示すように、磁気軸受(電磁石)2,3及びギャップセンサ4(以下、単にセンサという)はコントローラ5に接続されており、該コントローラ5においてセンサ4からの入力に基づいて電磁石2,3の励磁電圧又は励磁電流が制御される。この励磁電圧又は励磁電流はパワーアンプ10によって増幅されて電磁石に送られる。これらコントローラ5、パワーアンプ10、各磁気軸受(電磁石)2,3及びセンサ4によって、本発明に係る磁気軸受制御装置が構成されている。
【0015】
上記コントローラ5は、図1に示すように、A/D変換部6、DSP(Digital Signal Processor)7、D/A変換部8、メモリ9を備えている。DSP7はデジタル信号を制御・処理するもので、メモリ9に格納されたプログラム及びデータと協動して、回転軸1を目標の位置で支持するように電磁石の励磁電圧又は励磁電流を制御するための信号の演算処理を行う。
上記ギャップセンサ4によって検出されたアナログ変位信号はA/D変換部6に入力され、デジタル信号に変換される。そして、A/D変換部6によってデジタル化された信号がDSP7に入力され、演算処理が行われる。DSP7からは演算処理の結果としてデジタル信号が出力され、このデジタル信号がD/A変換部6によりアナログ信号に変換される。該アナログ信号は、パワーアンプ10を介して磁気軸受(電磁石)2,3の励磁電圧又は励磁電流として電磁石内のコイルに送られる。この励磁電圧又は励磁電流により電磁石内の鉄心と回転軸1との間に磁気的な吸引力が生じ、回転軸1の位置が制御される。
【0016】
ところで、上述したような磁気軸受制御装置を設計・製作するためには、制御対象である回転軸・磁気軸受系のモデリング(同定)をする必要がある。本実施形態では、このモデリングをファジィニューラルネットワークを用いて行う。このファジィニューラルネットワークは、入力空間をファジィ集合によってあいまいに分割し、これらのファジィ集合のそれぞれに対して多層型ニューラルネットワークを適用するものである。即ち、回転軸・磁気軸受系のファジィモデルを、一般に用いられるファジィ制御規則と同様にif−then形式のルールによって定義するとともに、学習機能を有するファジィニューラルネットワークにより求めるものである。以下、このファジィニューラルネットワークを用いた回転軸・磁気軸受系のモデリングについて説明する。
【0017】
まず、if−then形式により定義され、回転軸・磁気軸受系の動特性を記述するファジィモデルを用意する。本実施形態では、基準点からの回転軸1中心の変位をx1、この回転軸の変位x1に対する一階微分値をx2、電磁石の励磁電圧又は励磁電流をu、単位時間経過後の回転軸1中心の基準点からの回転軸の変位をyとする。x1,x2を前件部変数とし、x1,x2,uを後件部変数とすると、回転軸・磁気軸受系の動特性を記述するファジィモデルは以下のようになる。
Li:if x1 is A1 i, x2 is A2 i then yi=a1 ix1+a2 ix2+a3 iu
Liは、i番目のファジィ規則を示し、このファジィ規則L中、A1,A2はファジィ集合(前件部パラメータ)、a1,a2,a3は後件部パラメータを示す。
【0018】
ここで「基準点」とは、ラジアル磁気軸受2の場合には、図2(図1のラジアル磁気軸受2を含む縦断面図)に示すO点を指す。即ち、水平方向に対向する一対の軸受2a,2bを結ぶ線と鉛直方向に対向する一対の軸受2c,2dを結ぶ線との交点である。回転軸1中心がこの基準点Oと一致することが制御上理想的であり、上記コントローラ5は磁気軸受2,3の回転軸1中心がこの基準点Oと一致するように電磁石の励磁電圧又は励磁電流を制御する。
また、スラスト磁気軸受3の場合の「基準点」は、図1に示す軸方向に対向する一対のスラスト磁気軸受3,3を結ぶ線の中点となる。
なお、変位というときは、特に示す場合を除くほか、上記基準点Oからの回転軸1中心の変位を意味するものとする。
【0019】
ここで、上記ファジィ規則L中の前件部パラメータ、後件部パラメータを決定することができれば、回転軸・磁気軸受系のモデリングを実現することができるが、本実施形態では、上述したようにファジィ規則Lの諸パラメータの最適解を、学習機能を有するファジィニューラルネットワークにより求める。これにより、より正確なモデリングが可能となる。
【0020】
図3は、上記ファジィ規則Lに基づいて構成されるファジィニューラルネットワークの構成図である。なお、ファジィニューラルネットワークの構成は、上記ファジィ規則Lの前件部パラメータの個数及び後件部式の構成によって、図3に示した構成とは異なる構成をとることもできる。
このファジィニューラルネットワークにおいては、実験から得られた入出力データ、即ち、特定の時点における回転軸の変位、該回転軸の変位に対する一階微分値、電磁石の励磁電圧又は励磁電流、単位時間経過後の回転軸の変位により学習が行われる。
【0021】
まず、図3のファジィニューラルネットワークに、実験で得られた特定の時点における回転軸の変位x1、回転軸の変位x1に対する一階微分値x2、電磁石の励磁電圧又は励磁電流uを入力する。これらの入力値に基づいて所定の結合荷重wi(i=1,2,…,11)を加味した演算が行われ、演算結果として、単位時間経過後の回転軸の変位yが推測(算出)される。
【0022】
次に、上記推測された単位時間経過後の回転軸の変位yと実験で得られた実際の単位時間経過後の回転軸の変位との差を求め、この差を最小にするようにファジィニューラルネットワーク内の結合荷重wi(i=1,2,…,11)を適宜修正する。
【0023】
このように、実験で得られたデータの入力、算出値と実際値の比較、及び結合荷重wi(i=1,2,…,11)の修正という工程を所定回数繰り返すと、最適な結合荷重wi(i=1,2,…,11)を求めることができる。
最適な結合荷重wi(i=1,2,…,11)が求められると、これに基づいて上記ファジィ規則Lの各パラメータが決定されるとともに、ファジィ規則Lによって回転軸・磁気軸受系の動特性を記述することができる。これによって正確なモデル化を行うことができる。
【0024】
制御対象がモデル化されると、このモデル化された制御対象(回転軸・磁気軸受系)に対して操作を行う制御装置、即ち磁気軸受制御装置を設計することができる。本実施形態では、スライディングモード制御によって電磁石の励磁電圧又は励磁電流を制御し、ロバスト性の高い制御系を実現する。
【0025】
スライディングモード制御を設計するにあたっては、まず、状態変数Xとして、回転軸の変位と回転軸の変位の目標値との偏差δ1と該偏差δ1の微分値δ2を定義する。即ち、状態変数Xを以下のように定義する。
X=[δ1 δ2]T
【0026】
また、スライディングモード制御において使用される切替関数σ(X)=0を以下のように定義する。
σ(X)=SX
Sはマトリックス行列であり、一般のスライディングモード制御切換設定法によって決定することができる。
【0027】
更に、コントローラ5からの出力である電磁石の励磁電圧又は励磁電流uを状態フィードバックとして以下のように定義する。
u=KX
ここで、Kは状態フィードバックゲインベクトルである。
【0028】
ここで、スライディングモードの存在条件である以下に示す式を満足するように状態フィードバックゲインベクトルKを決定する。
【数1】
このように、状態変数Xが切換平面に拘束されることとなり、ロバスト性の高い、安定した制御系、即ち、スライディングモード制御系を設計することができる。
【0029】
上記により設計されたスライディングモード制御系は、コントローラ5のDSP7によって実現される。以下、このDSP7によるスライディングモード制御について詳細に説明する。
図4は、本実施形態に係るコントローラ5のDSP7内の構成を示すブロック図である。
本図に示すように、DSP7内には、デジタルローパスフィルタ(LPF)71とスライディングモード制御部72とが設置されている。
本図において、xは磁気軸受のセンサ4によって測定される回転軸1の変位、rは回転軸1の変位の目標値、δ1はこのrとxの偏差、δ2はδ1の一階微分値である。
【0030】
磁気軸受2,3のセンサ4から回転軸1の変位xがA/D変換部6を介してDSP7に入力されると、差分手段73によって回転軸1の変位の目標値rと変位xとの偏差δ1が求められる。
上記δ1はローパスフィルタ71に入力され、このローパスフィルタ71を通過させることにより、制御に無視できる高周波成分をカットする。このようにすることで、より高性能の制御が実現される。
【0031】
上記ローパスフィルタ71を通過した信号(偏差δ1)は、スライディングモード制御部72に入力される。
スライディングモード制御部72に入力された偏差δ1は、スライディングモード制御部72内で2つに分岐して、それぞれ第一の利得手段74と微分手段75とに入力される。微分手段75に入力された偏差δ1は、微分され、その微分値δ2が求められる。そして、この微分値δ2は第二の利得手段76に入力される。
【0032】
ここで、第一の利得手段74には、入力される偏差δ1及び上記微分値δ2に応じて適切なゲインK1a又はK1bを選択するスイッチSW1が設けられている。この選択されるゲインK1a又はK1bは、上述した状態フィードバックゲインである。第一の利得手段74は、スイッチSW1によって適切なゲインK1a又はK1bを選択し、上記偏差δ1にこのゲインを掛け合わせる。
また、第二の利得手段76にも、上記偏差δ1及び入力される偏差の微分値δ2に応じて適切なゲインK2a又はK2bを選択するスイッチSW2が設けられており、この選択されるゲインも、上述した状態フィードバックゲインである。第二の利得手段76は、スイッチSW2によって適切なゲインK2a又はK2bを選択し、上記偏差の微分値δ2にこのゲインを掛け合わせる。
【0033】
そして、スライディングモード制御部72の加算手段77によって、上記第一の利得手段74によって適切なゲインが掛け合わされた偏差δ1と第二の利得手段によって適切なゲインが掛け合わされた偏差δ2とが加えられ、コントローラ5のD/A変換部8に演算結果として出力される。
【0034】
このように、状態空間内に切換平面σ(X)を設け、偏差δ1及び偏差の微分値δ2に応じて適切なゲインを切り替えることにより、状態をこの切換平面σ(X)に拘束することができ、上述のスライディングモード制御が実現される。これにより、ロバスト性の高い制御を行うことができる。
【0035】
このように、偏差δ1及び偏差の微分値δ2に応じて適切なゲインを選択し、これらを掛け合わせ加算することによって、上述のスライディングモード制御が実現される。これにより、ロバスト性の高い制御を行うことができる。
【0036】
ここで、縦置きにしたET450型ポンプに上述した磁気軸受制御装置を設置して、回転軸1の浮上・回転実験を行った結果を図5〜図9に示す。なお、図5〜図9に示す結果は、水平方向に対向する一対の磁気軸受に関するものである。
【0037】
図5(a)は、経過時間t(ms)と電磁石の励磁電圧u(V)の関係を示すグラフ、同図(b)は、経過時間t(ms)と偏差δ1(μm)の関係を示すグラフである。
本図に示すように、回転軸1が、タッチダウン状態(t=0)から迅速に(100ms以内)、かつオーバーシュートもなく安定浮上状態になることがわかる。
【0038】
図6は、図5の安定浮上状態においてプラス(+)方向に外乱を与えた場合の制御結果を示すグラフであり、図7は、図5の安定浮上状態において、マイナス(−)方向に外乱を加えた場合の制御結果を示すグラフである。これらの図の(a)は経過時間t(ms)と電磁石の励磁電圧u(V)の関係を示し、(b)は経過時間t(ms)と偏差δ1(μm)の関係を示している。
これらの図から、プラス(+)、マイナス(−)いずれの方向に外乱を加えても、収束性よく制御されていることがわかる。
【0039】
更に、図8は、図5の安定浮上状態から定格回転運動まで回転数を上げたときの、回転速度(min−1)、振動周波数(Hz)、及び振幅(μm)の関係を立体的に示したグラフである。一方、図9は、定格回転運動から安定浮上状態まで回転数を下げたときの、回転速度(min−1)、振動周波数(Hz)、及び振幅(μm)の関係を立体的に示したグラフである。これらの図において、X軸は振動周波数、Y軸は回転速度、Z軸は振幅を示す。
これらの図から、増速時、減速時いずれの場合においても、回転と同期した成分のみがあり、非同期振動成分などの振動がかなり小さいことがわかる。
【0040】
【発明の効果】
上述したように本発明によれば、スライディングモード制御によって回転軸・磁気軸受系を制御することができるので、ロバスト性の高い制御を行うことが可能となる。また、回転軸・磁気軸受の制御系を修正・調節する場合には、ハードウェアの変更の必要がなく、容易に回転軸・磁気軸受の制御系の修正・調節を行うことができる。
【0041】
更にまた、ファジィニューラルネットワークによる正確な回転軸・磁気軸受系のモデルが得られるので、正確な回転軸・磁気軸受系のモデルに基づく制御が可能となり、実験によって得られた入出力データから容易にモデリングができると同時に、ロバスト性の高い回転軸・磁気軸受系の制御を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態における磁気軸受の構成を示す図である。
【図2】図1のラジアル磁気軸受を含む縦断面図である。
【図3】本発明の一実施形態におけるファジィ規則に基づいて構成されるファジィニューラルネットワークの構成図である。
【図4】本発明の一実施形態におけるコントローラのDSP内の構成を示すブロック図である。
【図5】(a)は経過時間t(ms)と電磁石の励磁電圧u(V)の関係を示すグラフ、(b)は経過時間t(ms)と偏差δ1(μm)の関係を示すグラフである。
【図6】(a)は図5の安定浮上状態においてプラス(+)方向に外乱を与えた場合の経過時間t(ms)と電磁石の励磁電圧u(V)の関係を示すグラフ、(b)はそのときの経過時間t(ms)と偏差δ1(μm)の関係を示すグラフである。
【図7】図5の安定浮上状態においてマイナス(−)方向に外乱を与えた場合の経過時間t(ms)と電磁石の励磁電圧u(V)の関係を示すグラフ、(b)はそのときの経過時間t(ms)と偏差δ1(μm)の関係を示すグラフである。
【図8】図5の安定浮上状態から定格回転運動まで回転数を上げたときの、回転速度(min−1)、振動周波数(Hz)、及び振幅(μm)の関係を立体的に示したグラフである。
【図9】図5の定格回転運動から安定浮上状態まで回転数を下げたときの、回転速度(min−1)、振動周波数(Hz)、及び振幅(μm)の関係を立体的に示したグラフである。
【符号の説明】
1 回転軸
2 ラジアル磁気軸受
3 スラスト磁気軸受
4 センサ
5 コントローラ
7 DSP
72 スライディングモード制御部
73 差分手段
74 第一の利得手段
75 微分手段
76 第二の利得手段
77 加算手段
K1a,K1b,K2a,K2b ゲイン
SW1,SW2 スイッチ
Claims (2)
- 電磁石の磁気力によって回転軸を支持する磁気軸受において基準点を設定し、該基準点からの前記回転軸の変位を検出するセンサを備えるとともに該センサにより検出された回転軸の変位に基づいて前記電磁石に供給する電流又は電圧を制御する磁気軸受制御装置であって、
前記センサにより検出された回転軸の変位と該回転軸の変位の目標値との偏差を求める差分手段と、
前記差分手段により求められた偏差の微分値を求める微分手段と、
予め決められた回転軸・磁気軸受系のファジィモデルに基づいてスライディングモードが存在できるように決定された複数のゲインの中から適切なゲインを、前記差分手段により求められた偏差及び前記微分手段により求められた偏差の微分値に応じて選択して、該偏差に掛け合わせる第一の利得手段と、
予め決められた回転軸・磁気軸受系のファジィモデルに基づいてスライディングモードが存在できるように決定された複数のゲインの中から適切なゲインを、前記差分手段により求められた偏差及び前記微分手段により求められた偏差の微分値に応じて選択して、該偏差の微分値に掛け合わせる第二の利得手段と、
前記第一の利得手段により算出された値と第二の利得手段により算出された値とを加えた値を前記電磁石に供給する電流又は電圧として出力する加算手段と、を備えることを特徴とする磁気軸受制御装置。 - 前記回転軸の変位と該回転軸の変位の微分値と前記電磁石に供給する電流又は電圧とを含んで記述される前記回転軸・磁気軸受系のファジィモデルに対し、ファジィニューラルネットワークを構成し、前記ファジィニューラルネットワークに前記回転軸の変位と該回転軸の変位の微分値と前記電磁石に供給する電流又は電圧とを入力することによって、単位時間経過後の回転軸の変位を推測し、前記推測された単位時間経過後の回転軸の変位と実際の単位時間経過後の回転軸の変位との差を求め、前記差を最小にするように前記ファジィニューラルネットワークを繰り返し学習させ、前記学習した結果により正確な回転軸・磁気軸受系のファジィモデルを導き出し、該導き出された回転軸・磁気軸受系のファジィモデルに対してスライディングモードが存在できるように前記複数のゲインを決定することを特徴とする請求項1に記載の磁気軸受制御装置。
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