JP4289721B2 - 成形材料、それを用いた内装材及び成形材料の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば自動車の内装材や建材等に使用される成形材料、それを用いた内装材、及び該成形材料の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、この種の成形材料としては、ポリエチレンテレフタレート繊維等の合成繊維からなる繊維シートにフェノール樹脂の粉末を混合し、加熱プレスしたもの、あるいは該繊維シートにフェノール樹脂の初期縮合物溶液を含浸せしめ、加熱乾燥させたものが使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の成形材料を成形したものは剛性が十分でなく、例えば自動車の天井材として使用すると、経時により該天井材が垂れてくるという問題があった。
したがって、本発明の課題は、剛性の高い成形物又は内装材とすることのできる成形材料を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、ガラス繊維、アクリル繊維、岩綿、ポリアミド繊維、および、ポリエステル繊維からなる群より選択される少なくとも一の疎水性繊維99.5〜70重量%とケナフ繊維、人絹、ヤシ繊維、羊毛、および、綿花からなる群より選択される少なくとも一の親水性繊維0.5〜30重量%とを含む混合繊維集合体にスルホメチル化および/またはスルフィメチル化されているフェノール系樹脂の水溶液または有機溶剤−水混合溶液を含浸せしめたことを特徴とする成形材料を提供するものであり、更には、ガラス繊維、アクリル繊維、岩綿、ポリアミド繊維、および、ポリエステル繊維からなる群より選択される少なくとも一の綿状の疎水性繊維99.5〜70重量%とケナフ繊維、人絹、ヤシ繊維、羊毛、および、綿花からなる群より選択される少なくとも一の綿状の親水性繊維0.5〜30重量%とを混合し、得られた混合繊維集合体にスルホメチル化および/またはスルフィメチル化されているフェノール系樹脂の初期縮合物の水溶液または有機溶剤−水混合溶液を含浸せしめ、加熱乾燥することを特徴とする成形材料の製造方法、及びガラス繊維、アクリル繊維、岩綿、ポリアミド繊維、および、ポリエステル繊維からなる群より選択される少なくとも一の疎水性繊維を含む繊維集合体とケナフ繊維、人絹、ヤシ繊維、羊毛、および、綿花からなる群より選択される少なくとも一の親水性繊維を含む繊維集合体とを、疎水性繊維が99.5〜70重量%、親水性繊維が0.5〜30重量%となるように混合し、得られた繊維集合体の混合物にスルホメチル化および/またはスルフィメチル化されているフェノール系樹脂の初期縮合物の水溶液または有機溶剤−水混合溶液を含浸せしめた後、該繊維集合体の混合物を加熱乾燥するとともに解繊して綿状の混合繊維集合体とすることを特徴とする成形材料の製造方法を提供するものである。
該成形材料では、該親水性繊維の存在により、該スルホメチル化および/またはスルフィメチル化されているフェノール系樹脂の該混合繊維集合体に対する親和性が高くなり、該スルホメチル化および/またはスルフィメチル化されているフェノール系樹脂と該混合繊維集合体との絡み付きが良くなるため、該成形材料を成形した成形物は剛性の高いものとなる。
【0005】
上記スルホメチル化および/またはスルフィメチル化されているフェノール系樹脂はB状態とされているのが望ましく、それによって該成形材料は安定性に優れ、長期間保管できるとともに、短時間のホットプレスにより良好な成形性を有し、得られる成形物は形状保持性及び耐熱性に優れるものとなる。
【0006】
本発明は、上記成形材料中のスルホメチル化および/またはスルフィメチル化されているフェノール系樹脂を硬化してなることを特徴とする成形物をも提供するものである。
上記成形材料はシート状にすることができ、この場合、ベース部材と、該ベース部材の表面の一部又は全部に貼着されている該シート状の成形材料中のスルホメチル化および/またはスルフィメチル化されているフェノール系樹脂を硬化した硬化シートとからなり、所定形状に成形されていることを特徴とする成形材を提供することができる。
また、上記成形材料中のスルホメチル化および/またはスルフィメチル化されているフ
ェノール系樹脂を硬化してなる基材と、該基材の表面に貼着されている表皮材とからなることを特徴とする内装材を提供することもでき、この場合、該基材と該表皮材とは、接着面に点状に散在されている接着剤層によって接着されているのが望ましい。
【0007】
上記成形材料の製造方法においては、該加熱乾燥時に、該フェノール系樹脂の初期縮合物をB状態にするのが望ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
A.成形材料
〔疎水性繊維〕
疎水性繊維とは、水との相互作用の弱い繊維をいい、例えば、ナイロン、アラミド等のポリアミド繊維、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル繊維、アクリル等のポリアクリロニトリル繊維、ビニロン等のポリビニルアルコール系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリ塩化ビニリデン系繊維、ポリウレタン系繊維、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン繊維等の合成繊維;ガラス繊維、炭素繊維、アルミナ繊維、シリコンカーバイド繊維、岩石繊維、鉱滓繊維、金属繊維等の無機繊維などが挙げられ、それぞれ単独で又は2種以上混合して使用される。
【0009】
〔親水性繊維〕
親水性繊維とは、水との相互作用の強い繊維をいい、例えば、綿花、麻類(亜麻、大麻、ラミー、ジュート、ケナフ、マニラ麻等)繊維、木材繊維、竹繊維等の天然セルロース繊維;キワタ、ガマ繊維等の種子繊維;靱皮繊維;羊毛、モヘア、カシミア、ラクダ毛、アルパカ、ビキュナ、アンゴラ等の獣毛繊維;蚕糸等のタンパク繊維;石綿等の鉱物繊維;レーヨン(人絹,スフ)、ポリノジック、キュプラ、アセテート、トリアセテート等のセルロース系人造繊維などが挙げられ、それぞれ単独で又は2種以上混合して使用される。
【0010】
〔混合繊維集合体〕
本発明における混合繊維集合体は、疎水性繊維99.5〜70重量重量%と親水性繊維0.5〜30重量%とを含む。親水性繊維をこのように含有させることにより、スルホメチル化および/またはスルフィメチル化されているフェノール系樹脂の水溶液または有機溶剤−水混合溶液の該混合繊維集合体に対する親和性が高くなって該スルホメチル化および/またはスルフィメチル化されているフェノール系樹脂と該混合繊維集合体との絡み付きが良くなるため、該混合繊維集合体に熱硬化性合成樹脂を含浸せしめた成形材料を成形すると、剛性の高い成形物が得られる。親水性繊維の混合量が0.5 重量%未満では、剛性の高い成形物を得ることができず、30重量%を超えると得られる成形物の耐水性が低下する。
望ましくは、上記混合繊維集合体は疎水性繊維98〜70重量%と親水性繊維2〜30重量%とを含み、特に望ましくは、疎水性繊維97〜70重量%と親水性繊維3〜30重量%とを含む。
【0011】
該混合繊維集合体の形態は特に限定されることなく、不織布、フェルト、編織物、それらの積層物等のシート状のものであってもよいし、綿状のもの、スライバ状のものであってもよいし、更には綿状の繊維をプレスしてシート状にしたもの等であってもよい。
【0012】
〔フェノール系樹脂〕
本発明に使用される熱硬化性合成樹脂は、フェノール系化合物とアルデヒド及び/又はアルデヒド供与体との縮合物であるフェノール系樹脂である。
該フェノール系樹脂は、スルホメチル化及び/又はスルフィメチル化され、これにより、水溶液としての安定性が良好になって相分離等が生じ難くなり、硬化速度も大きくなる
。
【0013】
〔フェノール系化合物〕
上記フェノール系化合物は、一価フェノールであってもよいし、多価フェノールであってもよいし、一価フェノールと多価フェノールとの混合物であってもよい。また、本発明における熱硬化性合成樹脂は、一価フェノールとアルデヒド及び/又はアルデヒド供与体とを縮合させた初期縮合物と、多価フェノールとアルデヒド及び/又はアルデヒド供与体とを縮合させた初期縮合物とを共縮合させた初期共縮合物であってもよい。
【0014】
〔一価フェノール〕
一価フェノールとしては、フェノールや、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、エチルフェノール、イソプロピルフェノール、キシレノール、3,5−キシレノール、ブチルフェノール、t−ブチルフェノール、ノニルフェノール等のアルキルフェノール、o−フルオロフェノール、m−フルオロフェノール、p−フルオロフェノール、o−クロロフェノール、m−クロロフェノール、p−クロロフェノール、o−ブロモフェノール、m−ブロモフェノール、p−ブロモフェノール、o−ヨードフェノール、m−ヨードフェノール、p−ヨードフェノール、o−アミノフェノール、m−アミノフェノール、p−アミノフェノール、o−ニトロフェノール、m−ニトロフェノール、p−ニトロフェノール、2,4−ジニトロフェノール、2,4,6−トリニトロフェノール等の一価フェノール置換体、ナフトール等の多環式一価フェノールなどが挙げられ、これら一価フェノールは単独で又は二種以上混合して使用することができる。
【0015】
〔多価フェノール〕
多価フェノールとしては、レゾルシン、アルキルレゾルシン、ピロガロール、カテコール、アルキルカテコール、ハイドロキノン、アルキルハイドロキノン、フロログルシン、ビスフェノール、ジヒドロキシナフタリン等が挙げられ、これら多価フェノールは単独で又は二種以上混合して使用することができる。多価フェノールのうち好ましいものは、レゾルシン又はアルキルレゾルシンであり、特に好ましいものはレゾルシンよりもアルデヒドとの反応速度が速いアルキルレゾルシンである。
【0016】
アルキルレゾルシンとしては、例えば5−メチルレゾルシン、5−エチルレゾルシン、5−プロピルレゾルシン、5−n−ブチルレゾルシン、4,5−ジメチルレゾルシン、2,5−ジメチルレゾルシン、4,5−ジエチルレゾルシン、2,5−ジエチルレゾルシン、4,5−ジプロピルレゾルシン、2,5−ジプロピルレゾルシン、4−メチル−5−エチルレゾルシン、2−メチル−5−エチルレゾルシン、2−メチル−5−プロピルレゾルシン、2,4,5−トリメチルレゾルシン、2,4,5−トリエチルレゾルシン等がある。
エストニア産オイルシェールの乾留によって得られる多価フェノール混合物は安価であり、かつ5−メチルレゾルシンのほか反応性の高い各種アルキルレゾルシンを多量に含むので、本発明において特に好ましい多価フェノール原料である。
【0017】
〔アルデヒド及び/又はアルデヒド供与体〕
上記アルデヒド及び/又はアルデヒド供与体とは、アルデヒド、分解するとアルデヒドを生成供与する化合物又はそれらの混合物を意味し、このような化合物としては、ホルマリン、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ポリオキシメチレン、クロラール、ヘキサメチレンテトラミン、フルフラール、グリオキザール、n−ブチルアルデヒド、カプロアルデヒド、アリルアルデヒド、ベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、アクロレイン、テトラオキシメチレン、フェニルアセトアルデヒド、o−トルアルデヒド、サリチルアルデヒド等の単独又は二種以上の混合物が例示される。
【0018】
〔スルフィメチル化剤〕
上記フェノール系樹脂のスルフィメチル化に使用することのできるスルフィメチル化剤としては、ホルムアルデヒドナトリウムスルホキシラート(ロンガリット)、ベンズアルデヒドナトリウムキシラート等の脂肪族、芳香族アルデヒドのアルカリ金属スルホキシラート類、ナトリウムハイドロサルファイト、マグネシウムハイドロサルファイト等のアルカリ金属、アルカリ土類金属のハイドロサルファイト(亜ジチオン酸塩)類、ナトリウムエチルスルホキシラート等のアルキルスルホキシラート類、ヒドロキシメタンスルフィン酸塩等のヒドロキシアルカンスルフィン酸塩等が例示される。
【0019】
〔スルホメチル化剤〕
上記フェノール系樹脂のスルホメチル化に使用することのできるスルホメチル化剤としては、亜硫酸、重亜硫酸又はメタ重亜硫酸と、アルカリ金属又はトリメチルアミンやベンジルトリメチルアンモニウム等の第四級アミンもしくは第四級アンモニウムとを反応させて得られる水溶性亜硫酸塩や、これらの水溶性亜硫酸塩とアルデヒドとの反応によって得られるヒドロキシメタンスルホン酸塩等のヒドロキシアルカンスルホン酸塩が例示される。
【0020】
〔第三成分〕
上記熱硬化性合成樹脂の製造の際、必要に応じて、例えば塩酸、硫酸、オルト燐酸、ホウ酸、蓚酸、蟻酸、酢酸、酪酸、ベンゼンスルホン酸、フェノールスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、ナフタリン−α−スルホン酸、ナフタリン−β−スルホン酸等の無機又は有機酸、蓚酸ジメチルエステル等の有機酸のエステル類、マレイン酸無水物、フタル酸無水物等の酸無水物、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、蓚酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、燐酸アンモニウム、チオシアン酸アンモニウム、イミドスルホン酸アンモニウム等のアンモニウム塩、モノクロル酢酸又はそのナトリウム塩、α,α’−ジクロロヒドリン等の有機ハロゲン化物、トリエタノールアミン塩酸塩、塩酸アニリン等のアミン類の塩酸塩、サルチル酸尿素アダクト、ステアリン酸尿素アダクト、ヘプタン酸尿素アダクト等の尿素アダクト、N−トリメチルタウリン、塩化亜鉛、塩化第2鉄等の酸性物質、アンモニア、アミン類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物、石灰等のアルカリ土類金属の酸化物、炭酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、燐酸ナトリウム等のアルカリ金属の弱酸塩類等のアルカリ性物質を触媒又はpH調整剤として混合してもよい。
【0021】
なお、触媒として上記アンモニア及び/又はアミン類を使用した場合には、該アンモニア及び/又はアミン類の添加量によって、得られるフェノール系樹脂の初期縮合物の硬化開始温度(硬化率が急激に大きくなる温度)を調整することができるため、該フェノール系樹脂の初期縮合物(B状態)を含浸した成形材料は、該所定の温度未満において保存安定性に優れ、該所定の温度以上において硬化速度に優れるものとなる。
【0022】
〔フェノール系樹脂の製造〕
上記フェノール系樹脂は常法により製造することができるが、特にフェノール系化合物とアルデヒド及び/又はアルデヒド供与体(以下「アルデヒド類」という。)とを縮合させたフェノール系樹脂の初期縮合物を使用する場合、該初期縮合物は、(a) 一価フェノール及び/又は多価フェノールとアルデヒド類とを縮合させる方法、(b) 一価フェノールとアルデヒド類とを縮合させた初期縮合物及び/又は多価フェノールとアルデヒド類とを縮合させた初期縮合物と、一価フェノール及び/又は多価フェノールとを縮合させる方法、(c) 一価フェノールと多価フェノールとアルデヒド類とを縮合させた初期縮合物と、一価フェノール及び/又は多価フェノールとを縮合させる方法、(d) 一価フェノールとアルデ
ヒド類とを縮合させた初期縮合物と、多価フェノールとアルデヒド類とを縮合させた初期縮合物とを縮合させる方法、(e) 一価フェノールとアルデヒド類とを縮合させた初期縮合物及び/又は多価フェノールとアルデヒド類とを縮合させた初期縮合物と、一価フェノールと多価フェノールとアルデヒド類とを縮合させた初期縮合物とを縮合させる方法等により製造することができる。
【0023】
例えば、上記(a)一価フェノール及び/又は多価フェノールとアルデヒド類との縮合で
は、通常一価フェノール1モルに対し、アルデヒド類0.2 〜3モル、多価フェノール1モルに対し、アルデヒド類0.1 〜0.8 モルと、必要に応じて溶剤、第三成分とを添加し、液温55〜100 ℃で8〜20時間加熱反応させる。このときアルデヒド類は、反応開始時に全量加えてもよいし、分割添加又は連続滴下してもよい。
【0024】
溶媒としては通常水が用いられるが、必要ならば更にメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、n−ヘキサノール、メチルアミルアルコール、2−エチルブタノール、n−ヘプタノール、n−オクタノール、トリメチルノニルアルコール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、アビエチルアルコール、ジアセトンアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルアセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、ジ−n−プロピルケトン、ジイソブチルケトン、アセトニルアセトン、メチルオキシド、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、ショウノウ等のケトン類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類、エチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の上記グリコール類のエステル類やその誘導体、1,4−ジオキサン等のエーテル類、ジエチルセロソルブ、ジエチルカルビトール、エチルラクテート、イソプロピルラクテート、ジグリコールジアセテート、ジメチルホルムアミド等の水可溶性又は親水性有機溶剤の単独又は二種以上の混合物を添加使用することができる。
アセトン等は溶剤であると同時に、アルキルレゾルシンの錯化剤としても作用し、より穏やかな反応をもたらす。
【0025】
スルホメチル化および/またはスルフィメチル化初期縮合物を使用する場合、該初期縮合物は、任意の段階でスルホメチル化剤及び/又はスルフィメチル化剤を添加して、フェノール系化合物及び/又は初期縮合物をスルホメチル化及び/又はスルフィメチル化することにより製造することができる。
スルホメチル化剤及び/又はスルフィメチル化剤の添加は、縮合反応前、反応中、反応後のいずれの段階で行ってもよい。
【0026】
スルホメチル化剤及び/又はスルフィメチル化剤の総添加量は、フェノール系化合物1モルに対して、通常0.001 〜1.5 モルであるが、製造される初期縮合物の硬化性、硬化後の樹脂の物性等の性能を良好に保持するためには、0.01〜0.8 モル程度とするのが好ましい。
このようにしてスルホメチル化及び/又はスルフィメチル化したフェノール系樹脂の初期縮合物は、溶液としての安定性が良好になって相分離等が生じ難くなり、また硬化速度が大きくなる。
【0027】
〔スルホメチル化および/またはスルフィメチル化したフェノール系樹脂の初期縮合物溶液〕
以上のようにして製造したスルホメチル化および/またはスルフィメチル化したフェノール系樹脂は初期縮合物の水溶液または有機溶剤−水混合溶液として提供されるが、該初期縮合物溶液はそのまま使用する(混合繊維集合体に含浸させる)こともできるし、硬化剤等の第三成分を加えて使用することもできる。
すなわち、該初期縮合物溶液を混合繊維集合体に含浸させるときに、必要に応じて、例えば塩酸、硫酸、オルト燐酸、ホウ酸、蓚酸、蟻酸、酢酸、酪酸、ベンゼンスルホン酸、フェノールスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、ナフタリン−α−スルホン酸、ナフタリン−β−スルホン酸等の無機又は有機酸、蓚酸ジメチルエステル等の有機酸のエステル類、マレイン酸無水物、フタル酸無水物等の酸無水物、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、蓚酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、燐酸アンモニウム、チオシアン酸アンモニウム、イミドスルホン酸アンモニウム等のアンモニウム塩、モノクロル酢酸又はそのナトリウム塩、α,α’−ジクロロヒドリン等の有機ハロゲン化物、トリエタノールアミン塩酸塩、塩酸アニリン等のアミン類の塩酸塩、サルチル酸尿素アダクト、ステアリン酸尿素アダクト、ヘプタン酸尿素アダクト等の尿素アダクト、N−トリメチルタウリン、塩化亜鉛、塩化第2鉄等の酸性物質、アンモニア、アミン類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物、石灰等のアルカリ土類金属の酸化物、炭酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、燐酸ナトリウム等のアルカリ金属の弱酸塩類等のアルカリ性物質、あるいはホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ポリオキシメチレン、クロラール、ヘキサメチレンテトラミン、フルフラール、グリオキザール、n−ブチルアルデヒド、カプロアルデヒド、アリルアルデヒド、ベンツアルデヒド、クロトンアルデヒド、アクロレイン、テトラオキシメチレン、フェニルアセトアルデヒド、o−トルアルデヒド、サルチルアルデヒド、メチロール尿素、メチル化メチロール尿素、尿素樹脂、メチロールメラミン、メチル化メチロールメラミン、アルキロール化トリアゾン誘導体等を硬化剤として該初期縮合物溶液に添加してもよい。このような硬化剤は使用するのが通常であるが、相互架橋可能な官能基を多く導入した自己架橋型熱硬化性合成樹脂の場合には、該硬化剤は使用してもよいし、使用しなくてもよい。
【0028】
上記硬化剤の他、更に必要ならば、一価フェノール系樹脂、多価フェノール系樹脂、尿素系樹脂、メラミン系樹脂等のアミノ系樹脂;天然ゴム又はその誘導体;スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、エチレン−プロピレンゴム、イソプレンゴム、イソプレン−イソブチレンゴム等の合成ゴム;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、スチレン、アクリルエステル、メタクリルエステル、アクリロニトリル、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ビニルピリジン等のビニル単量体の単独重合体又はこれらビニル単量体の二種以上の共重合体;ポリウレタン、ポリアミド、エポキシ樹脂、ブチラール樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、酢酸ビニル−エチレン共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリエステル等の各種合成樹脂のエマルジョンやラテックス又は水溶液;ポリビニルアルコール、アルギン酸ナトリウム、澱粉、澱粉誘導体、ニカワ、ゼラチン、血粉、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリル酸塩、ポリアクリルアミド等の水溶性高分子や天然ガム類;炭酸カルシウム、タルク、石膏、カーボンブラック、木粉、クルミ粉、ヤシガラ粉、小麦粉、米粉等の充填剤;界面活性剤;ステアリン酸、パルミチン酸等の高級脂肪酸、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール等の高級アルコール;ブチリルステアレート、グリセリンモノステアレート等の脂肪酸のエステル類;脂肪酸アミド類;カルナバワックス等の天然ワックス類、合成ワックス類;パラフィン類、パラフィン油、シリコンオイル、シリコン樹脂、フッ素樹脂、ポリビニルアルコール、グリス等の離型剤;ヘキサン、ブタン、n−ペンタン、アルコール、エ
ーテル、塩化メチレン、四塩化炭素、クロルフルオロメタン、1,1,2−トリクロル−1,2,2−トリフルオルエタン等の低沸点溶剤;アゾジカーボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、P,P’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、アゾビス−2,2’−(2−メチルグロピオニトリル)等のガスを発生するもの;炭酸ガスを発生しながら酸性硬化剤と反応する物質、例えば、炭素又は重炭酸ナトリウム、カリウム、アンモニウム又はカルシウム;n−ペンタン、イソペンタン、ブタン、イソブタン等をマイクロカプセル化した熱可塑性膨張性微小球等の発泡剤;シラスバルーン、パーライト、ガラスバルーン、発泡ガラス、中空セラミックス等の中空粒体;発泡ポリエチレン、発泡ポリスチレン、発泡ポリプロピレン等の発泡体や発泡粒;顔料、染料、難燃剤、防炎剤、防虫剤、防腐剤、老化防止剤、紫外線吸収剤;DBP、DOP、ジシクロヘキシルフタレートのようなフタール酸エステル系可塑剤やその他のトリクレジルホスフェート等の可塑剤などの第三成分を添加して、共縮合や混合等により上記硬化性樹脂を変性してもよい。
【0029】
〔成形材料の製造〕
本発明の成形材料は、例えば、ガラス繊維、アクリル繊維、岩綿、ポリアミド繊維、および、ポリエステル繊維からなる群より選択される少なくとも一の綿状の疎水性繊維99.5〜70重量%とケナフ繊維、人絹、ヤシ繊維、羊毛、および、綿花からなる群より選択される少なくとも一の綿状の親水性繊維0.5〜30重量%とを混合し、得られた混合繊維集合体に該初期縮合物溶液を含浸せしめ、加熱乾燥する方法により製造することができる。
【0030】
該初期縮合物溶液を該混合繊維集合体に含浸させる方法としては、浸漬法、スプレー法等公知の方法が適用される。浸漬法の場合、例えば、該初期縮合物溶液を含浸槽に充填した後、該含浸槽内に該繊維集合体を浸漬し、次いで該初期縮合物溶液が付着した繊維集合体を絞りロール又はプレス盤等で押圧することにより、所定量の該初期縮合物を該混合繊維集合体に含浸させることができる。なお、該含浸槽に充填した初期縮合物溶液は、起泡及び/又は発泡させてもよい。
【0031】
上記初期縮合物を含浸した繊維集合体は加熱乾燥工程に付されるが、この工程において、該初期縮合物をB状態にするのが望ましい。該初期縮合物をB状態にとどめるには、加熱温度、加熱時間等を調節すればよく、通常加熱温度は50〜180 ℃程度、加熱時間は0.1 〜5時間程度とされる。該加熱乾燥には、通常熱風乾燥、遠赤外線乾燥、高周波加熱乾燥等が適用される。
【0032】
このように繊維集合体に含浸された該初期縮合物をB状態にすることにより、該初期縮合物の安定性が向上して成形材料の長期間保存が可能となるとともに、該初期縮合物の水分含有量が少なくなるため、成形時間が短縮され、かつホットプレスによって成形した際にも水分の蒸気によるパンク現象が起らない。また、該成形材料をホットプレス成形した後には、該初期縮合物は完全硬化するため、形状保持性及び耐熱性に優れた成形物が得られる。
【0033】
本発明の成形材料は、また、ガラス繊維、アクリル繊維、岩綿、ポリアミド繊維、および、ポリエステル繊維からなる群より選択される少なくとも一の疎水性繊維を含む繊維集合体とケナフ繊維、人絹、ヤシ繊維、羊毛、および、綿花からなる群より選択される少なくとも一の親水性繊維を含む繊維集合体とを、疎水性繊維が99.5〜70重量%、親水性繊維が0.5〜30重量%となるように混合し、得られた繊維集合体の混合物に該初期縮合物溶液を含浸せしめた後、該繊維集合体の混合物を加熱乾燥するとともに解繊して綿状の混合繊維集合体とする方法によっても製造することができる。
【0034】
該疎水性繊維を含む繊維集合体及び該親水性繊維を含む繊維集合体は、不織布、フェルト、編織物、それらの積層物等のシート状のものであってもよいし、該シート状繊維集合体を小さく切断して得られる繊維小片であってもよく、特にリサイクルの観点からは、衣服、カーペット等の繊維製品の端切れや裁断クズ、あるいは廃棄物等の廃材を小さく切断したものを使用するのが好ましい。
【0035】
上記繊維集合体の混合物の加熱乾燥と解繊とは同時に行ってもよいし、該加熱乾燥を行った後解繊してもよいし、解繊した後加熱乾燥を行ってもよい。該解繊は、例えば解繊機を使用して行うことができる。
【0036】
なお、本発明の成形材料における混合繊維集合体は、上記製造方法に限定されることなく、例えば、疎水性繊維シートと親水性繊維シートとをニードルパンチ等によって交絡させることによって製造することもできる。また、該疎水性繊維として熱可塑性の繊維を使用した場合には、該疎水性繊維と親水性繊維とを混合した後、該疎水性繊維の融点以上の温度で該疎水性繊維の一部を溶融させ、各繊維を相互に結着させてシート状にし、これを混合繊維集合体とすることもできる。
【0037】
〔成形・成形物〕
本発明の成形材料は該初期縮合物を含浸しているので成形性を有し、通常、所望の形状を有する下型及び上型を使用したホットプレスによって成形される。ホットプレスの条件は、該初期縮合物が完全硬化する温度及び時間に設定され、プレス圧は通常1〜10kg/cm2とされる。このとき、他のシートと重ね合わせてホットプレスし、積層成形材としてもよい。
【0038】
前述したとおり、本発明の成形材料における繊維集合体には親水性繊維が混合されているため、含浸せしめた該初期縮合物の該混合繊維集合体に対する親和性、ひいては絡み付きが強く、該成形材料を成形した成形物は剛性の高いものとなる。
得られる成形物は、特に、ドアトリム、ダッシュボード、天井材、床材、インシュレーターフード、ダッシュインナー、ダッシュアウター、エンジンアンダーカバー、トランクサイドトリム等の車輌用の内装材、又は建築用材等に有用である。
なお、これら成形物はリサイクルが可能である。例えば、使用済の該成形物を解繊して綿状にし、該初期縮合物の含浸及び/又は熱融着性繊維の混合等を行った後、熱成形することにより、再度成形物とすることができる。
【0039】
B.成形材
本発明の成形材は、ベース部材の表面の一部又は全部にシート状の上記成形材料が貼着され、所定形状に成形されてなるものであり、該シート状の成形材料中の熱硬化性合成樹脂は硬化しており、もって該シート状の成形材料は剛性のある硬化シートとなっている。
【0040】
該ベース部材は、成形性を有するものであればいかなるものであってもよく、例えば、各種のプラスチック発泡体、パーティクルボード、ファイバーボード、フェルト、プラスチックシート、低融点繊維含有不織布、ガラスウール、石綿等が挙げられる。
該プラスチック発泡体としては、例えば、ポリウレタン発泡体、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン発泡体、ポリ塩化ビニル発泡体、ポリスチレン発泡体、メラミン樹脂発泡体、尿素樹脂発泡体、フェノール樹脂発泡体等がある。
【0041】
該成形材の製造方法としては、第1に、図1に示すように、ベース部材11を所定の形状に成形するとともに、シート状成形材料を該ベース部材11の形状に適合する形状に硬化成形し、該成形した硬化シート12を該ベース部材11の表面に貼着する方法がある。
該硬化シート12を該ベース部材11の表面に貼着するには、接着剤を使用したり、該ベース部材11が熱可塑性の材料からなる場合には、加熱融着すればよい。
【0042】
第2には、図2に示すように、シート状成形材料12aと、ベース部材の成形前の原体11aとを重ね合わせ、所定の形状を有する上型13と下型14とでホットプレス成形する方法がある。このとき、ベース部材(原体)の材料によっては、該硬化シート12aと該ベース部材原体11aとの間に、ホットメルトシートや天然樹脂、天然ゴム、合成樹脂、合成ゴム等の接着剤を介在させてもよい。
【0043】
第3には、図3に示すように、シート状成形材料をあらかじめ所定の形状に硬化成形し、該成形した硬化シート12を成形型15の型面151 にセットするとともに、樹脂注入口152 から該成形型15内に発泡樹脂液Rを注入、硬化する方法がある。
発泡樹脂液Rの種類としては、例えば、ポリウレタン発泡樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン発泡樹脂、ポリ塩化ビニル発泡樹脂、ポリスチレン発泡樹脂、メラミン発泡樹脂、尿素発泡樹脂、フェノール発泡樹脂等がある。
【0044】
以上のようにして得られる本発明の成形材は、種々の用途に用いることができ、例えば、壁材;ベッドの芯材;椅子、ソファー、シート等のクッション材;内装材;各種パッド等として好適である。
本発明の成形材においてベース部材の表面に貼着された硬化シートは剛性が高いため、得られる成形材は、所望の形状に成形された後、その形状を長期間維持することができる。
【0045】
C.内装材
本発明の内装材は、上記成形材料中の該初期縮合物を硬化してなる基材と、該基材の表面に貼着されている表皮材とからなるものである。
該表皮材としては、例えば、人工皮革、レザー、繊維編織物、不織布、あるいはこれらとポリウレタン発泡体、ポリエチレン発泡体、ポリプロピレン発泡体、ポリスチレン発泡体、ポリ塩化ビニル発泡体等のプラスチック発泡体との積層材等がある。
【0046】
該表皮材は、該表皮材及び/又は基材の接着面に塗布、印刷、接着等された接着性物質、該表皮材に含浸された接着性物質、あるいは該表皮材及び基材の間に介在せしめられたシート状の接着性物質によって上記基材に貼着される。
該接着性物質としては、通常、ホットメルト接着剤、アクリル系接着剤、合成ゴム系接着剤、エラストマー系接着剤、酢酸ビニル系接着剤、塩化ビニル系接着剤、尿素樹脂系接着剤、メラミン樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤等の接着剤が使用されるが、接着性物質として上記フェノール系樹脂あるいは他の熱硬化性合成樹脂を初期縮合物溶液の形で該表皮材に含浸させ、そのまま又はB状態にした後、上記基材と重ね合わせて同時に成形することにより、該表皮材を該基材に貼着することもできるし、更にはこのような該初期縮合物の含浸と上記接着剤の塗布等とを併用することもできる。該初期縮合物としては、フェノール系樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素−メラミン共縮合樹脂等を使用することができる。
【0047】
上記ホットメルト型接着剤としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体等のポリオレフィン系樹脂、あるいは該ポリオレフィン系樹脂の変性物、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂等の単独又は二種以上の混合物が使用される。
該ホットメルト接着剤は溶液型、エマルジョン型として提供される他、該ホットメルト接着剤粉末を水に分散させた分散液型としても提供される。
【0048】
上記接着剤を塗布等により接着剤層とする場合、該接着剤層は表皮材及び/又は基材の接着面に点状に散在されているのが好ましい。このように、表皮材と基材とを点状に散在している接着剤層によって接着すれば、該接着剤層の剛性は内装材の成形形状や表面の凹凸形状に影響せず、したがって該内装材の成形形状や凹凸形状がシャープに成形される。また表皮材が通気性を有する場合は、該接着剤層も通気性を有するので、優れた防音性を有する内装材が得られる。
【0049】
該表皮材及び/又は基材の接着面に接着剤層を点状に散在せしめるには、例えばスプレー塗装法、凸版印刷法、シルクスクリーン印刷法等が適用されるが、接着面にマスキングシートを被着しておいてからスプレー、ナイフコーター、ロールコーター、フローコーター等で接着剤を塗布し、その後マスキングシートを剥離する方法が適用されてもよい。
上記表皮材及び/又は基材の接着面に接着剤層を点状に散在させる望ましい方法としてはホットメルト接着剤粉末分散液をスプレー塗布する方法である。
【0050】
上記ホットメルト接着剤粉末分散液に使用される該ホットメルト接着剤粉末は通常20〜400 メッシュ程度のサイズの粉末とされ、該ホットメルト接着剤粉末は通常水に5〜60重量%の範囲で分散されるが、このとき、該ホットメルト接着剤粉末の沈降を防止するために増粘剤を使用するのが望ましい。
【0051】
該増粘剤としては、アルカリ増粘タイプのアクリル系共重合体のエマルジョンを使用するのが望ましい。該アルカリ増粘タイプのアクリル系共重合体としては、アクリル酸エステルとα,β−不飽和カルボン酸との共重合体や、アクリル酸エステルと、該アクリル酸エステルと共重合可能な他のビニル単量体と、α,β−不飽和カルボン酸との多元共重合体等を使用することができる。
【0052】
該アクリル酸エステルとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t-ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n-プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、β−ヒドロキシエチルアクリレート、β−ヒドロキシエチルメタクリレート、β−ヒドロキシエチルメタクリレート、β−ヒドロキシプロピルアクリレート、β−ヒドロキシプロピルメタアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等が挙げられる。
【0053】
該α,β−不飽和カルボン酸としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸、アトロパ酸、シトラコン酸等が挙げられる。
【0054】
上記アクリル酸エステルと共重合可能な他のビニル単量体としては、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル等のエーテル類、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類、(メタ)アクリロニトリル等のシアノ基含有単量体、(メタ)アクリロイルイソシアネート、m−イソプロペニル−α,α―ジメチルベンジルイソシアネート等のイソシアネート基含有単量体、ジアセトンアクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、N―ビニルアセトアミド等のアミド基含有単量体、p−スルホン酸スチレン、2−(アクリロイルアミノ)−2−メチルプロパンスルホン酸等のスルホン基含有単量体、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリエトキシシラン、メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト基含有単量体等が挙げられる。
【0055】
上記アクリル系共重合体エマルジョンにおいて、該α,β−不飽和カルボン酸は、該α,β−不飽和カルボン酸をアルカリによって塩にしたときに、該アクリル系共重合体が水溶性になるのに十分な量で該アクリル系共重合体に含まれる。該α,β−不飽和カルボン
酸の量は、上記アクリル酸エステル、他のビニル単量体又は該α,β−不飽和カルボン酸の種類によって異なるが、通常、共重合体中に20〜60重量%、好ましくは30〜50重量%含まれる。
【0056】
上記アクリル系共重合体は、その水溶性に悪影響を及ぼさない程度に架橋されていてもよい。この場合には、該共重合体中にジビニルベンゼン、メチレンビスアクリルアミド、エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、トリメチロールプロパンメタクリレート、ジアリルフタレート等の多官能ビニル単量体を導入する。
【0057】
上記ホットメルト接着剤粉末分散液を調製するには、まず、上記アクリル系共重合体エマルジョン及びホットメルト接着剤の粉末を水に添加攪拌して、分散液とするのが好ましい。この段階では、該アクリル系共重合体エマルジョンは増粘していないため、均一に水に分散させることは極めて容易である。
なお、該ホットメルト接着剤の粉末は、アクリル系共重合体エマルジョンと同時に水に添加する必要はなく、任意の段階で水に添加すればよいが、好ましくは増粘前に添加する。
【0058】
上記ホットメルト接着剤粉末は、通常水に1〜60重量%の範囲で分散され、また上記アクリル系共重合体エマルジョンは、アルカリ増粘後の該ホットメルト接着剤分散液の粘度が50〜2000cps/25℃となるように該水に添加される。例えば、エチルアクリレートとメタクリル酸とを6:4の重量比で共重合させた共重合体の30重量%エマルジョンを使用する場合、該エマルジョンの添加量は0.1 〜10重量%程度である。
【0059】
上記のようにアクリル系共重合体エマルジョン及びホットメルト接着剤の粉末を水に添加し、均一に混合したら、アルカリを添加する。そうすると、該アクリル系共重合体に含まれるα,β−不飽和カルボン酸に由来するカルボン酸が塩となり、該共重合体は水溶性となって該分散液を増粘する。
【0060】
該アルカリとしては、アンモニア、アミン;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物;石灰等のアルカリ土類金属の酸化物;炭酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、燐酸ナトリウム等のアルカリ金属の弱酸塩類等を使用することができる。
該アルカリの添加量は、通常分散液のpHが6〜9程度になるのを目安として決定する。
【0061】
以上のようにしてアルカリ増粘タイプのアクリル系共重合体エマルジョンを増粘剤としたホットメルト接着剤粉末分散液は、塑性流動を示し、該ホットメルト接着剤粉末の沈降が実質的に防止される。
【0062】
上記ホットメルト接着剤粉末分散液には、例えば高級アルコールサルフェート(Na塩又はアミン塩)、アルキルアリルスルホン酸塩(Na塩又はアミン塩)、アルキルナフタレンスルホン酸塩(Na塩又はアミン塩)、アルキルナフタレンスルホン酸塩縮合物、アルキルホスフェート、ジアルキルスルホサクシネート、ロジン石鹸、脂肪酸塩(Na塩又はアミン塩)等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキロールアミン、ポリオキシエチレンアルキルアマイド、ソルビタンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル等のノニオン性界面活性剤、オクタデシルアミンアセテート、イミダゾリン誘導体アセテート、ポリアルキレンポリアミン誘導体又はその塩、オクタデシルトリ
メチルアンモニウムクロライド、トリメチルアミノエチルアルキルアミドハロゲニド、アルキルピリジニウム硫酸塩、アルキルトリメチルアンモニウムハロゲニド等のカチオン性界面活性剤等の界面活性剤の一種又は二種以上を分散剤として添加してもよい。
【0063】
また、上記ホットメルト接着剤粉末分散液には、更に、例えばポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アルギン酸等のナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属塩、ポリエチレンオキサイド等の水溶性合成高分子、トロロアオイ、グルテン、ビロウドアオイ、ノリウツギ等の植物性粘質物からなる水溶性天然高分子等の曳糸性増粘剤;ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、スチレン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、熱可塑性アクリル系樹脂、熱可塑性ポリエステル、熱可塑性ポリアミド、熱可塑性ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、レゾルシン樹脂、アルキルレゾルシン樹脂等の熱硬化性樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体等の合成樹脂エマルジョン;アクリルゴム、ブチルゴム、ケイ素ゴム、ウレタンゴム、フッ化物系ゴム、多硫化物系ゴム、グラフトゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、ポリイソブチレンゴム、ポリブテンゴム、イソブテン−イソプレンゴム、アクリレート−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、ピリジン−ブタジエンゴム、スチレン−イソプレンゴム、アクリロニトリル−クロロプレンゴム、スチレン−クロロプレンゴム、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体、スチレン−水素添加ポリオレフィン−スチレン共重合体、ブタジエン−スチレンプロック共重合体、スチレン−ゴム中間ブロック−スチレン共重合体等のブロック共重合体等の合成ゴム又はエラストマーの粉末又はそれらのエマルジョンを添加してもよい。更に必要ならば、炭酸カルシウム、タルク、石膏、シリカ、カーボンブラック、木粉、クルミ粉、ヤシガラ粉、澱粉等の充填剤、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース等のセルロース類、顔料、染料、難燃剤、防炎剤、防虫剤、防腐剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、蛍光染料、界面活性剤、発泡剤、あるいはパラフィン、ワックス、シリコーン等の軟化剤、撥水剤、撥油剤、離型剤、可塑剤等を添加してもよい。
【0064】
なお、上記ホットメルト接着剤の粉末を水に分散せしめた分散液が、上記第三成分によって又は別途添加されたアルカリによってアルカリ性になっている場合には、該分散液に上記アルカリ増粘タイプのアクリル系共重合体エマルジョンを添加混合することにより、増粘せしめることができる。
【0065】
上記ホットメルト接着剤粉末分散液の被塗面への塗布方法としては、該分散液に直接高圧を加えて該分散液をエアスプレーする方法が好ましい。かかる方法によれば、該ホットメルト接着剤粉末分散液の粘度が高い場合であっても、該分散液を効率よくスプレー塗布することができる。このとき、該ホットメルト接着剤粉末分散液は必ずしも攪拌する必要はないが、攪拌してもよい。
なお、上記ホットメルト接着剤粉末分散液は、あらかじめ高濃度で製造しておき、使用時に水で所望の濃度に希釈して使用してもよい。
【0066】
上記ホットメルト接着剤粉末分散液を表皮材及び/又は基材の接着面にスプレー塗布する場合、該表皮材及び/又は基材を裏側から吸引することによって該ホットメルト接着剤粉末のスプレー時の衝撃による跳ね返りを防止し、該ホットメルト接着剤粉末を接着面に吸着することが望ましい。該ホットメルト接着剤粉末分散液のスプレー塗布量は通常固形分として5〜100 g/m2である。
【0067】
上記増粘剤を使用したホットメルト接着剤粉末分散液は構造粘性を有するため、被塗面
にけばがあっても該けばの間に入り込まず、該けば表面に付着し、乾燥後には被塗面の表面にホットメルト接着剤粉末が効率良く付着した状態が得られる。また、該ホットメルト接着剤粉末分散液は沈降のない状態で塗布されるため、該ホットメルト接着剤粉末は被塗面に均一に付着し得る。
【0068】
以上のように表皮材及び/又は基材の接着面にホットメルト接着剤粉末分散液をスプレー塗布した後、該表皮材及び/又は基材は加熱乾燥せしめられ、該ホットメルト接着剤粉末は接着面に融着する。該加熱乾燥の条件は通常使用されるホットメルト接着剤の融点以上の温度で100 〜200 ℃、5秒〜5分程度である。
【0069】
上記接着剤層によって該表皮材は該基材表面に貼着されるが、該接着剤が溶液型あるいはエマルジョン型の場合には、接着面に形成された接着剤層が完全に乾燥する前に両者を貼り合わせる。また該接着剤層がホットメルト型の場合には、接着面を加熱して接着面に形成された接着剤層を軟化させた上で両者を貼り合わせる。
該基材の成形は該表皮材を貼り合わせる前、あるいは該表皮材を貼り合わせる時同時に、あるいは該表皮材を貼り合わせた後のいずれの時点で行われてもよい。
【0070】
上記表皮材が通気性でありかつ基材に表皮材を貼り合わせてから成形する場合には、該基材に含まれている空気、あるいは該基材に含まれている合成樹脂から発生するガス(例えばフェノール樹脂の場合にはホルマリンガス、多価イソシアナートの場合には水又は炭酸ガス)は成形時に点状接着剤層を通過して表皮材から順調に外界へ排出されるので、製造される内装材にはパンク現象が発生せず、また残存ガスによる臭気の問題も解消される。
【0071】
本発明の内装材は剛性が高く、種々の用途に使用することができ、例えば、自動車のトランクルーム内装材やダッシュボード内装材等として好適である。該内装材において、特に表皮材と基材とを点状に散在している接着剤層によって接着した場合には、該接着剤層の剛性は内装材の成形形状や表面の凹凸形状に影響せず、したがって該内装材の成形形状や凹凸形状がシャープに成形される。また表皮材が通気性の場合は該接着剤層も通気性を有するので、得られる内装材は優れた防音性を有する。
【0072】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0073】
〔実施例1〕
温度計、冷却管及び攪拌機を備えた反応容器中であらかじめフェノール1モル(94g)、37%ホルマリン2モル(162g)、水酸化ナトリウム0.05モル(2g)及びメタ重亜硫酸ソーダ0.2 モル(38g)を75℃で6時間反応させたもの90gと、フェノール1モル(94g)と、37%ホルマリン2モル(162 g)と、水酸化ナトリウム0.01モル(0.4 g)とを、70℃で10時間反応させた。その後、5−メチルレゾルシノール0.06モル(7.5 g)を加え、更に90℃で1時間反応させ、スルホメチル化一価フェノール・ホルムアルデヒド初期縮合物を得た。
【0074】
ガラス繊維95重量%及びケナフ繊維5重量%を含む繊維混合物に、上記初期縮合物を固形分として15重量%の割合になるように含浸させ、90℃で3分間加熱乾燥し、該初期縮合物を若干縮合してB状態とした。このシートを、厚さ10mm、比重0.01になるように120 ℃で1分間熱圧成型したところ、成型性が良好で、剛性の高い成型物が得られた。
【0075】
〔実施例2〕
実施例1で得られたスルホメチル化初期縮合物100 重量部に対し、ヘキサメチレンテト
ラミン2重量部、イソブタンをマイクロカプセル化した熱可塑性膨張性発泡剤5重量部、パラフィンワックス2重量部及び三酸化アンチモン8重量部を加え、攪拌して均一に混合した。得られた混合物を、アクリル繊維70重量%及び人絹30重量%を含むニードルパンチ不織布に対して固形分として20重量%の付着量になるように塗布した後、70℃で5分間加熱乾燥し、該初期縮合物を若干縮合してB状態とした。得られた繊維シートと、酢酸ビニル−エチレン共重合フィルム(融点:85℃)と、表皮材としてのポリエステルフィルムとを重ね、140 ℃で1分間熱圧成型したところ、剛性の高い成型物が得られた。
【0076】
〔実施例3〕
温度計、冷却管及び攪拌機を備えた反応容器中に、フェノール1モル(94g)、37%ホルマリン2モル(162g)、水酸化ナトリウム0.1 モル(4g)及び亜硫酸ナトリウム0.3モル(37.8g)を投入し、攪拌しながら70℃で5時間反応させ、初期縮合物を得た。
【0077】
岩綿90重量%及びヤシ繊維10重量%を含む繊維混合物に、上記初期縮合物を固形分として20重量%の割合になるようにスプレー塗布し、60℃で5分間加熱乾燥し、該初期縮合物を若干縮合してB状態とした。このシートを、厚さ2mm、比重0.1 になるように80℃で6分間熱圧成型したところ、剛性の高い成型物が得られた。
【0078】
〔実施例4〕
フェノール1モル、37%ホルマリン2.5 モル、水酸化ナトリウム0.1 モル及び亜硫酸ナトリウム0.1 モルを100 ℃で2時間反応させて、スルホメチル化一価フェノール・ホルムアルデヒド初期縮合物を得た。
ポリアミド繊維99重量%及び羊毛1重量%を含むニードルパンチ不織布シートに、上記初期縮合物を15重量%になるように含浸させ、100 ℃で10分間加熱して該初期縮合物を若干縮合してB状態とした。
このようにして得られたシート状成形材料をメラミン樹脂発泡体(発泡倍率:5倍)に重ね、180 ℃で3分間熱圧成形したところ、シート状成形材料(硬化シート)の接着性が良好で、成形性に優れるとともに、剛性の高い成形材が得られた。
【0079】
〔実施例5〕
フェノール1モル、37%ホルマリン2モル及び水酸化ナトリウム0.1 モルを100 ℃で1時間反応させた後、亜硫酸ナトリウム0.2 モルを加え、更に100 ℃で40分間反応させて、スルホメチル化一価フェノール・ホルムアルデヒド初期縮合物aを得た。
一方、5−メチルレゾルシン2.5モル、37%ホルマリン1モル及び水酸化ナトリウム0.15モルを60℃で8時間反応させ、多価フェノール・アルデヒド初期縮合物bを得た。
【0080】
上記初期縮合物aと初期縮合物bとを混合し、70℃で2時間反応させ、スルホメチル化一価フェノール−多価フェノール初期共縮合物cを得た。
得られた初期縮合物c100重量部に、50%アクリル酸エステルエマルジョン5重量部、20%フッ素系撥油剤0.02重量部及び30%有機リン・窒素系難燃剤5重量部を添加し、更に硬化剤としてパラホルムアルデヒド10重量部を添加混合したものを、ガラス繊維70重量%、ポリエステル繊維20重量%及びケナフ繊維10重量%からなる不織布シート(目付:100 g/m2)に対し25重量%になるように含浸させ、80℃で5分間加熱して該初期縮合物cを若干縮合してB状態とした。その後150 ℃で1分間熱圧成形し、所定の形状に硬化成形した。
このようにして硬化成形した硬化シートを、成形型の型面にセットするとともに、樹脂注入口から該成形型内に有機発泡ガス含有フェノール樹脂液を注入し、200 ℃で4分間成形したところ、硬化シートの接着性が良好で、成形性に優れるとともに、剛性の高い成形材が得られた。
【0081】
〔実施例9〕
再生PET繊維60重量%及び再生綿5重量%を含む裁断屑及びそれらの小片を、レゾール型スルフィメチル化フェノール−アルキルレゾルシン−ホルムアルデヒド初期共縮合物の30%水溶液に浸漬した後、ロールで絞った。該繊維廃材に対する該初期共縮合物の含浸量は、固形分で10重量%であった。
このようにして製造した初期共縮合物含浸繊維廃材を120 ℃で5分間加熱し、該初期共縮合物をB状態にした後、解繊機を用いて該繊維廃材を綿状に解繊した。得られた綿状物を、180 ℃に加熱した上下の鉄板コンベアの間に連続的に送り込んで通過させ、シート状に成形したところ、密度が均一で剛性が高く、形状保持性の良好なシート状の成形物が製造された。
【0082】
【発明の効果】
本発明の成形材料によれば、剛性の高い成形物又は内装材が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の成形材を製造する工程の一例を示す説明図である。
【図2】 本発明の成形材を製造する工程の一例を示す説明図である。
【図3】 本発明の成形材を製造する工程の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
11…ベース部材
12…硬化シート
Claims (10)
- ガラス繊維、アクリル繊維、岩綿、ポリアミド繊維、および、ポリエステル繊維からなる群より選択される少なくとも一の疎水性繊維99.5〜70重量%と
ケナフ繊維、人絹、ヤシ繊維、羊毛、および、綿花からなる群より選択される少なくとも一の親水性繊維0.5〜30重量%と
を含む混合繊維集合体にスルホメチル化および/またはスルフィメチル化されているフェノール系樹脂の水溶液または有機溶剤−水混合溶液を含浸せしめたことを特徴とする成形材料。 - 該フェノール系樹脂は、B状態とされている請求項1記載の成形材料。
- 該成形材料はシート状である請求項1または請求項2に記載の成形材料。
- 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の成形材料中の該フェノール系樹脂を硬化してなることを特徴とする成形物。
- ベース部材と、該ベース部材の表面の一部又は全部に貼着されている請求項3に記載のシート状の成形材料中の該フェノール系樹脂を硬化した硬化シートとからなり、所定形状に成形されていることを特徴とする成形材。
- 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の成形材料中の該フェノール系樹脂を硬化してなる基材と、該基材の表面に貼着されている表皮材とからなることを特徴とする内装材。
- 該基材と該表皮材とは、接着面に点状に散在されている接着剤層によって接着されている請求項6に記載の内装材。
- ガラス繊維、アクリル繊維、岩綿、ポリアミド繊維、および、ポリエステル繊維からなる群より選択される少なくとも一の綿状の疎水性繊維99.5〜70重量%と
ケナフ繊維、人絹、ヤシ繊維、羊毛、および、綿花からなる群より選択される少なくとも一の綿状の親水性繊維0.5〜30重量%と
を混合し、得られた混合繊維集合体にスルホメチル化および/またはスルフィメチル化されているフェノール系樹脂の初期縮合物の水溶液または有機溶剤−水混合溶液を含浸せしめ、加熱乾燥することを特徴とする成形材料の製造方法。 - ガラス繊維、アクリル繊維、岩綿、ポリアミド繊維、および、ポリエステル繊維からなる群より選択される少なくとも一の疎水性繊維を含む繊維集合体と
ケナフ繊維、人絹、ヤシ繊維、羊毛、および、綿花からなる群より選択される少なくとも一の親水性繊維を含む繊維集合体と
を、疎水性繊維が99.5〜70重量%、親水性繊維が0.5〜30重量%となるように混合し、得られた繊維集合体の混合物にスルホメチル化および/またはスルフィメチル化されているフェノール系樹脂の初期縮合物の水溶液または有機溶剤−水混合溶液を含浸せしめた後、該繊維集合体の混合物を加熱乾燥するとともに解繊して綿状の混合繊維集合体とすることを特徴とする成形材料の製造方法。 - 該加熱乾燥時に、該フェノール系樹脂の初期縮合物をB状態にする請求項8又は9に記載の成形材料の製造方法。
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