JP4289443B2 - Pcrの過程でdna断片の増幅を抑制する方法 - Google Patents
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Description
本出願は、1995年1月27日に出願された同時係属中の出願番号08/381,572の一部継続出願である。
発明の背景
近年、特定のDNA断片を酵素的に増幅する方法が説明されてきている。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)として知られている、この方法は、基本的には2本鎖DNAを変性し、次にこの鋳型DNAにオリゴヌクレオチドのプライマーを相補的に結合(アニール)し、DNAポリメラーゼによってプライマー伸長を行うというサイクルを繰り返す(ムリス(Mullis)ら、特許第4,683,195号、第4,683,202号、および第4,800,159号;サイキ(Saiki)ら、1985)。PCRで使われるプライマーは、それぞれDNAの反対側の鎖にアニールするように設計されていて、DNAポリメラーゼによって触媒される一方のプライマーの伸長反応産物が、もう一方のプライマーに対する鋳型となるような位置関係になっている。PCR増幅処理によって、オリゴヌクレオチドプライマーの5’末端で決定される断片長をもつ分離DNAが指数関数的に増加することになる。
PCRを応用して、特定のDNA領域を単離して解析するためには、対象となる領域に隣接するDNA配列が分かっていなければならない。このことから、一般的には、増幅できるのは既知のDNA配列に限られる。必要な配列情報がない場合には、複合的なDNA集団の中の標的DNA断片をPCRで増幅しても、標的DNAでないDNAを増幅する結果になりがちである。この問題を克服するための方法が開発されているが、限られた範囲でしか成功ないし応用されていない。これらの技術は、主に、特異的に発現する遺伝子の集団をクローニングしたり、2つの複合DNA(あるいはcDNA)混合集団でサブトラクションするためのハイブリダイゼーションを行なった後この2つの複合ゲノム(標的DNA集団)間の違いを解析したり、「平均化cDNAライブラリー」(すなわち、クローニングした遺伝子のすべてのクローンが同量ずつ含まれているcDNAライブラリー)を調製するために用いられてきた。
標的DNAを選択的に増幅するためには、ハイドロキシアパタイト・クロマトグラフィー(Timblin et al.,1990; Ko,1990)や、ストレプトアビジン-ビオチン相互作用(Wang et al.,1991)、またはオリゴ(dT)-ラテックスビーズ(Hara et al.,1993)などのような、非常に手間がかかり、通常、再現性に欠ける物理的分離法を用いて標的DNAを非標的DNAから精製するのが普通である。「一致配列クローニング」として知られている別の技術を用いると、二つの複合集団で、一部が一致するDNAの混合集団間に共通する配列を選択的に増幅することができる(Brookes et al.,1991)。しかし、この方法では、一本鎖DNAを作成するためのM13ファージクローニング処理が必要となり、PCR増幅する前に、「一致配列」を精製するためのゲル電気泳動段階という準備もしなければならない。「化学的架橋サブトラクション」(Hampson et al.,1992)、「ベクトレット」アダプター技術(Riley et al.,1990)、および、「代表的差異解析」(Lisitsyn et al.,1993)のような技術が開発されて、物理的な分離過程を省くことによって、選択的な標的配列増幅の技術を簡素化した。しかし、「化学的クロスリンキング・サブトラクション」はmRNA-cDNAサブトラクション処理にしか応用できず、また、「ベクトレット」アダプター技術には、増幅しようとする標的DNAに関する配列情報(プライマーの内側部分の配列)が分かっていることが必要である。簡便な「代表的差異解析」技術を使うことによって、標的DNAの選択的増幅が最も効率よく行われてきた。この方法は、特別なアダプター設計を利用すると、標的DNAが指数増加的に増幅されるの対して、非標的DNAは直線的に増幅されるという増幅効率の違いに基づいている。
上述の増幅方法それぞれに関する問題および制約を考えると、標的DNAの増幅の特異性および感度を昂進する方法の必要性が残る。このような方法が、部分的に、ルキアノフら(Lukianov et al.,1994)によって開示されている。PCRにおいて、本発明を利用すれば、標的DNA配列の指数増加的増幅を図りながら、非標的DNAの増幅が効率よく抑制される。
発明の概要
本発明は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)において、DNA断片の増幅を効率よく抑制する独創的な方法に関する。好ましい態様において、本発明では、標的となる二本鎖DNA断片の両端に接続した二本鎖アダプターを用いる。アダプターには、「外側」の相補的プライマー結合配列部位と「内側」の抑制配列部位が含まれる。
本発明の抑制方法では、アダプターよりも短い長さのPCRプライマーで、アダプターのプライマー結合部位にハイブリダイズできるPCRプライマーが用いられる。変性処理の後、PCRを開始すると、一本鎖DNA(ssDNA)断片の両端にアダプターの相補的な一本鎖部位をもつssDNAは、分子内でアニールした「フライパン様構造」(増幅抑制構造)または、DNA/プライマー「ハイブリッド」構造(増幅許容構造)のいずれかの形を形成するようである。PCRサイクルに際して、本方法を用いたときに形成される、この二つの構造の相対的な割合は、いくつかの因子に依存する。抑制構造および許容構造の融解温度の違いや、アダプター配列中の相補的なプライマー結合部位の位置、増幅すべきDNA断片の大きさなどがこの因子に含まれる。本明細書において提供される指示に従えば、PCR増幅の際に非標的DNAを必要なだけ抑制できるように、これらの因子を調節することができる。
本発明による方法は、複雑なDNA混合物中の標的DNA断片を選択的に増幅するために用いることができ、反応液中で増幅できるPCR産物の大きさを選択的に制御するために用いることもできる。本発明は、さまざまなPCRおよび分子生物学に応用して用いるのに特に適している。
また、本発明は、本発明のPCR抑制法に用いられる新しいアダプターにも関連する。さらに、特別に例示したアダプターだけでなく、本発明の方法に用いるため、本明細書で開示される指示を利用すれば、さまざまなアダプターを容易に調製することができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明にかかるPCR抑制の一般的なしくみを表す概略図を示している。
図2は、本発明を用いて、2つの異なったDNA混合物に共通なDNA配列を選択的に増幅することを表す概要図である。
図3は、本発明を用いた、等量のcDNA集団の調製を表す概略図である。
図4は、本発明を用いた、等量のcDNA集団をもつ、サブトラクションしたcDNAライブラリーの調製を表す概要図である。
図5は、本発明を用いた、全RNAを鋳型とした、ポリ(A)+RNAに相当するcDNAライブラリーの調製を表す概略図である。
図6は、ヒトのβアクチンcDNA(レーン2、3)およびヒトのトランスフェリン受容体cDNA(レーン4、5)の5’-および3’-RACEによるPCR増幅産物を、1.2%アガロース/エチジウムブロマイド・ゲルで解析した結果を示す。ヒトの胎盤の二本鎖cDNAにT7-NotSrfアダプターを結合させたものを鋳型に用いた。レーン2および4は、5’-RACE産物を示すのに対し、レーン3および5は、3’-RACE産物を示す。レーン1は、陰性対照(すなわち、5’/3’ユニバーサルプライマーのいずれか一つだけを用いたPCR増幅産物)である。レーンMは、1Kb毎のDNAサイズマーカーを含む。
図7は、1.2%アガロース/エチジウムブロマイド・ゲルで解析された、「片側」PCR増幅産物を示す。増幅産物は、本発明を用いて、ヒトのTPA遺伝子のエクソン2から上流へ「ウォーキング」して作出されたものである。レーン1-5のPCR産物は、ヒトのゲノムDNAをEcoRV(レーン1)、ScaI(レーン2)、DraI(レーン3)、PvuII(レーン4)またはSspI(レーン5)で切断したものから得た。外側のレーン(M)は、1Kb毎のDNAサイズマーカーを示す。
図8は、ヒト骨格筋の二本鎖cDNAにアダプターNa21-St19を結合したものをサイズ選択的に増幅して得た6.5KbのミオシンcDNAのPCR産物を示す。レーン1:内側プライマーSt19を用いて15サイクルPCRを行なったもの。レーン2:外側プライマーNa21を用いて19サイクルPCRを行なったもの。レーンM:DNAサイズマーカー。
図9は、T7-NotSrfアダプターと結合した二本鎖cDNAを鋳型に用いて増幅したPCR産物を示す。二本鎖cDNAは、ヒト骨格筋のポリ(A)+RNA(レーン1、2)または全RNA(レーン3-5)から合成した。レーン1、4および5:19サイクルPCR。レーン2および3:15サイクルPCR。レーンMはDNAサイズマーカーを含む。
図10は、サブトラクションのためのハイブリダイゼーションを行なった後のプラスミドDNAのPCR増幅を示したものである。レーン1:骨格筋cDNA断片を、RsaIで切断した0.1%プラスミドDNA(PhiX174)と混合したもののサブトラクション前。レーン2:レーン1と同じもののサブトラクション後。レーン3:レーン2と同じであるが、最初にRsaIで切断した0.01%プラスミドDNAを用いたもの。レーン4:骨格筋cDNAをRsaI(プラスミドDNAなしで)によって切断したもののサブトラクション後。レーン5:RsaIによって切断されたプラスミドDNA(PhiX174)。レーンMは、1Kb毎のDNAサイズマーカーを含む。
図11Aおよび11B。サブトラクションしていない精巣cDNA(11A)およびサブトラクションした精巣cDNA(11B)のノーザンブロット解析。複数組織ノーザン(MTN)ブロットには、ヒトの(1)心臓、(2)脳、(3)胎盤、(4)肺、(5)肝臓、(6)骨格筋、(7)腎臓、(8)膵臓、(9)脾臓、(10)胸腺、(11)前立腺、(12)精巣、(13)卵巣、(14)小腸、(15)結腸、および(16)末梢血白血球からのポリ(A)+RNAが約2μg含まれている。感光時間は、(A)14時間および(B)4日間である。
配列の簡単な説明
アダプターのヌクレオチド配列に対する配列番号は、表1に示された上部のヌクレオチド鎖のヌクレオチド配列に対応する。
配列番号1は、アダプターNa21-St19のヌクレオチド配列である。
配列番号2は、アダプターLu4-St11のヌクレオチド配列である。
配列番号3は、アダプターNa23-St7のヌクレオチド配列である。
配列番号4は、アダプターLu3-St24のヌクレオチド配列である。
配列番号5は、アダプターT7-NotSrfのヌクレオチド配列である。
配列番号6は、アダプターT7-NotSrfAのヌクレオチド配列である。
配列番号7は、アダプターAd1SGTのヌクレオチド配列である。
配列番号8は、アダプターLu3-T13のヌクレオチド配列である。
配列番号9は、アダプターLu4-T13のヌクレオチド配列である。
配列番号10は、プライマーSt19のヌクレオチド配列である。
配列番号11は、プライマーSt1のヌクレオチド配列である。
配列番号12は、プライマーNa23のヌクレオチド配列である。
配列番号13は、プライマーLu3のヌクレオチド配列である。
配列番号14は、プライマーNa21のヌクレオチド配列である。
配列番号15は、プライマーT7のヌクレオチド配列である。
配列番号16は、プライマーNa1SGTのヌクレオチド配列である。
配列番号17は、プライマーNotSrf1のヌクレオチド配列である。
配列番号18は、プライマーNotSrf4のヌクレオチド配列である。
配列番号19は、プライマーLu4のヌクレオチド配列である。
配列番号20は、プライマーRI-Not-T30のヌクレオチド配列である。
配列番号21は、プライマーTPA1のヌクレオチド配列である。
配列番号22は、プライマーTPA2のヌクレオチド配列である。
配列番号23は、ヒトのベータアクチン遺伝子に関する5’-RACEに対するプライマーのヌクレオチド配列である。
配列番号24は、ヒトのベータアクチン遺伝子に関する3’-RACEに対するプライマーのヌクレオチド配列である。
配列番号25は、ヒトのトランスフェリン受容体遺伝子の5’-RACEに対するプライマーのヌクレオチド配列である。
配列番号26は、ヒトのトランスフェリン受容体遺伝子の3’-RACEに対するプライマーのヌクレオチド配列である。
発明の詳細な開示
本発明は、DNA断片のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)による増幅を選択的に抑制するための新しい方法に関する。好ましい態様によれば、PCRによる増幅が本発明の方法によって制御を受けるDNA断片は、断片の両末端に同じ二本鎖のアダプターを接続させている。本発明によって用いられるアダプターは、プライマー結合部位および抑制配列部位をもつポリヌクレオチド配列を含む。DNA断片にアダプターを接続させ、両端の一本鎖部分を埋めて二本鎖化すると、DNA断片の各鎖の3’末端のアダプター配列および5’末端のアダプターは相補的になっている。PCR処理の開始段階として、一本鎖DNAにするためにDNA断片を変性する。標準的なPCRでは、次の段階として、一本鎖DNAにプライマーをアニールさせる。本発明にかかるPCR法のアニーリング過程において、両端に相補鎖をもつ一本鎖DNA断片は、DNA断片の増幅を阻害するような二次構造を形成させる相補的なアダプター配列によって、自分自身とハイブリダイズすることができる。しかし、DNA混合物の中のDNA断片の末端に、それぞれ異なったアダプターが接続している(したがって、一本鎖DNA断片の両端が自己相補的でない)ときには、アダプターにハイブリダイズするプライマーで、プライマー伸長において機能するプライマーを組み合わせて用いると、このDNA断片を普通のPCRと同じように、指数関数的に増加させることができる。
本発明のPCR処理では、一回目の変性およびアニーリングの後、DNA断片の各鎖は、自己アニーリングした「フライパン様」構造(増幅抑制構造)を形成するか、一本鎖DNAおよびPCRプライマーを含む「ハイブリッド」構造(増幅許容構造)を形成する。一本鎖DNAの両端に相補的なアダプター配列が存在し、それらの配列が互いにハイブリダイズすれば、「フライパン様」構造が形成される。アダプター配列のハイブリダイゼーションが起こると、閉環(「フライパン様」抑制構造)が形成されて、増幅が妨害ないし阻止される。あるいは、PCRプライマーが一本鎖アダプターとハイブリダイズする(増幅を許容する「ハイブリッド」構造)と、標準的なPCR処理によって増幅が進行する。一本鎖DNA断片が、同じ鎖の3’末端のアダプター配列と相補的でないアダプター配列を5’末端に持っていれば、「フライパン様」抑制構造をとることができないので、このようなDNA断片は、アダプター配列またはDNA断片にハイブリダイズする適当なプライマーを用いてPCR反応を行えば、効果的に増幅させることができる。したがって、習熟した当業者においては、本発明をPCRに用いて、非標的DNA断片の増幅を抑制しながら、標的DNA断片を増幅させることができる。本発明の基本的な方法を、「フライパン様」構造および「ハイブリッド」構造の形成を含めて、図1に表示した。
ここで用いられる「標的」DNAあるいは核酸という用語は、DNAないし核酸試料中で増幅されるべきポリヌクレオチド材料をさす。「非標的」という用語は、増幅されることが望ましくないポリヌクレオチド材料をさす。試料中のDNA断片は、「標的」DNAであるか、または「非標的」DNAのいずれかである。DNA断片が「標的」であるか「非標的」であるかを決定することと、本発明のアダプターがDNA断片に接続しているか否かとは関係がない。
本発明の相補的アダプター配列を両端にもつDNA断片に関して、形成される二種の構造の相対比は、一方の構造に対して他方の構造を形成しやすいように、平衡を変えることができるいくつかの因子によって決められる。これらの因子を操作して、必要とする選択的なPCR抑制を行うことが、本発明の重要な局面である。
抑制構造および許容構造の形成に関する平衡定数、すなわちPCR過程で特定のDNA断片を抑制する効率は、主として以下の因子の相関関係で決まる。
(a) 抑制構造および許容構造の融解温度の差 アダプターの抑制配列部位が、プライマー結合部位とほぼ同じ長さか、これよりも長いときには、許容構造に対して抑制構造の方が融解温度が高いために、抑制構造の方が優先的に形成されやすい。抑制部位が、プライマー結合部位の長さの約半分またはそれ以下、あるいは全くないときには、増幅許容構造が一般的に形成され、これらのDNA断片を、標準的なPCR増幅反応条件の下で効果的に増幅させることができる。プライマー濃度が高いときには、特に許容構造がとられ易くなる。配列の長さに加えて、抑制構造および許容構造の融解温度の差は、アダプターのプライマー結合部位および抑制配列部位における、グアノシン残基およびシチジン残基のアデノシン残基およびチミジン残基に対する相対比(以後、この比を配列のGC含量と呼ぶことにする)によっても決定される。一定の長さのプライマー結合部位および抑制配列部位をもつアダプターについては、抑制部位のGC含量が高いほど、(アダプターの同じプライマー結合部位を用いて)達成できる抑制効率が高くなる。したがって、ほぼ同じ長さのプライマー抑制配列部位および結合部位とをもつ、さまざまなアダプターについて、同じ抑制効率を実現するためには、アダプターのプライマー結合部位および抑制配列部位が、(他の条件はすべて一定に保たれていると仮定して)ほぼ同じGC含量をもたなければならない。
(b) アダプター内のプライマー配列の位置 本発明にかかるPCR抑制のしくみは、一本鎖DNA断片の3’末端にある、アダプターのプライマー結合部位(すなわち、アダプターの外側ないし末端位置)に相補的なプライマーを用いると、最も効果的に働く。この場合、プライマー伸長の後にアダプターの抑制配列が完全に複製されることになる。抑制配列があると、PCRの各回の変性後にすぐにまた抑制構造を形成することができる。これに対し、アダプターの抑制配列部位(すなわち、アダプターの内側ないし近傍位置)に相補的なPCRプライマーを使用すると、一回目の増幅以後、アダプターの外側の部位を欠いた、短いPCR産物ができてしまう。このような短い増幅産物にはアダプターの外側の部位がないために、「フライパン様」の抑制構造が形成されにくくなる。そして、アダプターの抑制配列部位に相補的なプライマーを用いると、これに続くPCRサイクルのすべてで、このような短い増幅産物が効率的に増幅される。
(c) 標的DNA断片の長さ 標的DNA断片が長くなるほど、一本鎖DNA断片の5’-および3’-末端の相補的な配列の間の距離が大きくなり、抑制構造が効率的に形成されにくくなる。したがって、大きな標的DNA断片では、本発明のPCR抑制の効率が低下することになる。標準的な大きさのプライマー(典型的には、約21〜24ヌクレオチド長)を、ほぼ同じ長さの抑制配列をもつアダプターと共に使用すると、約6〜8kbまでの長さのDNA断片のPCR増幅を効果的に抑制することができる。
(d) PCRプライマー濃度 本発明の方法に従ってもたらされる抑制効果は、プライマー濃度が高いとき(典型的には約0.5μMから約1.0μM)よりも、プライマー濃度が低いとき(典型的には約0.1μMから約0.2μM)の方が、効率よく表れる。さらに、効率的に増幅(あるいは抑制)されるDNA断片のサイズも、プライマー濃度に依存する。プライマー濃度を上昇(例えば、約0.1μMから約1.0μMまで)させると、大きな断片のPCR増幅が抑制されにくくなり、そのために、増幅画分および抑制画分を分ける限界サイズが低くなる方向に動く。
(e) 一次構造 アダプターのPCRプライマー結合部位および抑制部位の一次構造も、抑制効率に影響するが、他の要素に較べれば、その程度は少ない。
本明細書に開示される独創的なPCR抑制方法に加えて、本発明はさらに、該方法で用いられる新しいポリヌクレオチド・アダプターに関する。これらのアダプターは、「外側」プライマー結合配列部位および「内側」抑制配列部位を含む、独特の配列設計を持っている。本明細書で用いられるように「外側」という用語は、アダプター配列が、接続しているDNA断片の遠位側に位置することを意味する。「内側」という用語は、アダプター配列が、それの接続しているDNA断片の近傍側に位置することを意味する。
アダプターは、DNAまたはRNAから成り、DNA断片に結合するとき一本鎖でも二本鎖でもよい。好ましい態様において、アダプターは、DNA断片とのライゲーションを促進するために、少なくとも一部は二本鎖になっている。DNAまたはRNA断片の末端に、当業者に周知の、さまざまな技術を用いて、アダプターを接続させることができる。これらの技術には、DNAリガーゼによって、粘着あるいは平滑末端をもつDNAにアダプターを接続させる方法、T4RNAリガーゼによって、一本鎖RNAまたはDNAに一本鎖アダプターを接続させる方法、末端基転移酵素を用いたオリゴ(dA)付加、すべてのDNAポリメラーゼ(RNAが鋳型のときには逆転写酵素)によって、アダプター配列に相当する配列をもつプライマーを用いる方法などがある。本明細書において用いられるように「接続する」という用語は、DNA断片にアダプターを接続するのに関連して用いられるときには、結合をもたらす方法がどのようなものであるかに関わらず、アダプターをDNA断片と共有結合させることを意味する。
また、ベクターのクローニング部位の上流および下流の適当な方向に、本発明のアダプターを挿入したプラスミドベクターに、DNA断片をクローニングすることもできる。この場合には、アダプター自体は、クローニング部位の上流および下流方向にあるアダプター配列を複製するプラスミドの一つのベクター配列からなっている。ベクターには、宿主細胞中で組み換えDNAを維持するのに必要なプラスミドの配列いくつかが含まれていてもよい。
本発明に用いるために、いくつかの型のアダプター構造が考案されている。ここでは、二つの型のアダプターを特に例示して、「1型」および「2型」アダプター構造とする。本明細書に含まれている指示を用いれば、当業者は、ここで例示されているアダプターとは異なる配列をもつ別のアダプターを容易に作成することができる。このアダプターには、本発明のアダプターの変異体が含まれるが、これらは、本発明によって作製することができる。プライマー結合部位および効果的な抑制配列部位を含むポリヌクレオチド配列で、DNAまたはRNA断片と結合して、本明細書で説明されているように、PCRの時に「フライパン様」の抑制構造を形成することができるものは、本発明によって考案されたものである。そのようなアダプターは、本発明の範囲内にある。
1型アダプター構造は、典型的には、約42〜50ヌクレオチドの長さをもつ。しかし、アダプターの長さは、約25ヌクレオチドという短いものから80ヌクレオチド長以上にまで変えることができる。一般的には、1型アダプターは、ホモポリマー配列を含まない。1型アダプターは、典型的には、少なくともその一部が二本鎖になっていて、一般的に、長いオリゴマーおよび短いオリゴマーを含むため、アダプターの片方の末端で5’末端が突出することになる。1型アダプターの典型的な構造、およびそれに対応するプライマーが、T7-NotSrfアダプター(配列番号:5)およびT7プライマー(配列番号:15)によって例示されている。下側のオリゴマーの長さは、本発明のPCR抑制方法の機能において重要ではない。下側のオリゴマーは、上側オリゴマーより短くすることもでき、また同じ長さにすることも、それより長くすることもできる。
1型アダプターは、T4DNAリガーゼを用いれば、あらゆる平滑末端DNA断片に結合させられるような設計になっている。ある制限酵素部位と相補的な「粘着末端」をもつアダプターは、適当な制限酵素で切断したDNAにアダプターを接続するために用いることもできる。ほとんどの場合、アダプターの上側の(そして一般的に長い方の)オリゴマーだけがDNAに結合できる。下側(そして一般的に短い)オリゴマーは、必要な5’リン酸基を欠くために、通常、結合できない。しかし、アダプターの下側のオリゴマー部位は、二本鎖DNA(dsDNA)へのアダプターの結合効率を高める。必要な場合には、下側オリゴマーをDNA断片に結合できるように修飾することができる。この修飾は、典型的には、より効率の良い結合をもたらすために、5’-リン酸を付加することを含む。さらに、下側オリゴマーの3’末端側の伸長を防止するために、3’-アミン基をアダプターに取り込ませることができ、これによって、アダプターを接続させたDNA断片の集団全体にプライマー結合部位が形成されるのを防止できる。
この技術を具体的に応用するにあたって、必要とするレベルのPCR抑制を実現するために、本明細書で提供されている指示に従って、1型アダプターに特別な設計を施すことができる。異なった1型アダプターを用いて観察したところ、抑制効果は、主に、以下の因子の相関関係による。
(a) アダプター構造の抑制配列部位の長さ。アダプターの同じプライマー結合部位と共に用いられるときには、抑制部位が長くなるほど、より効果的な抑制が行われる。
(b) 抑制部位の融解温度。融解温度が高くなるほど、抑制が効率よく行われる。例えば、特定の配列のGC含量を増加させるほど、融解温度は高くなる。
(c) 一般的に、本発明で用いられるプライマーの長さは、アダプターの抑制部位の長さに直接比例する。したがって、PCRに用いられるプライマーが短くなるほど、(相対的なGC含量およびアダプター配列に変化がないと仮定すれば)一定のレベルの抑制をするのに必要な抑制配列の長さは短くなる。
(d) アダプターのヌクレオチド配列。特に、プライマー結合部位が抑制部位と連結するアダプター内の領域において、アダプター配列のヌクレオチド置換(たとえわずか2〜3ヌクレオチドでも)を行うと、PCR抑制の効率に変化をもたらすことができる。しかし、この因子は、アダプターのプライマー結合部位、および抑制部位の長さまたはGC含量ほど、抑制の効率に影響しない。
このように、アダプターの抑制部位の長さおよびGC含量(dsDNAの融解温度を決定する)を、いろいろと変えることによって、抑制効率を制御することができる。
2型アダプターの構造は、アダプターの抑制部位にホモポリマー配列をもつ以外は、1型アダプターの構造と同様である。典型的には、2型アダプターを、デオキシヌクレオチド転移酵素末端を用いてオリゴ(dA)を付けたDNA断片に取り込んで、その後、Lu3-T13(配列番号8)などのプライマーを用いたPCRが行なわれる。この場合、プライマーは、アダプターとしてDNAに取り込まれることになる。そして、アダプターの下側鎖を除去するために、PCR産物にエキソヌクレアーゼIIIによる処理を行うことができる。
当業者は、本発明のあるプライマーをアダプターとして用いることができることを容易に認識する。例えば、Lu3-T13(配列番号8)およびLu4-T13(配列番号9)プライマーは、本発明を用いて行われるあるPCRプロトコールにおいて、アダプターとして機能することもできる。本発明の方法においてこれらのプライマーをアダプターとして用いること、およびその逆は、本発明によって考案されたものである。
好ましくは、アダプターには、「ヘアピン」構造、またはアダプター接続あるいはプライマー伸長を妨げることができるようなその他のDNA二次構造を形成するような配列を含まれないものとする。当業者にとっては容易に明らかなように、アダプターのプライマー結合配列部位は、標的DNAのPCR増幅を開始することができるようなPCRプライマーと相補的でもよい。本発明のプライマーは、本発明の抑制アダプターのポリヌクレオチド配列部位に相補的なポリヌクレオチド配列を含む。
好ましくは、本発明のプライマーは、アダプター配列と完全に相補的である。しかし、DNAポリメラーゼによって伸長できるように、プライマーがアダプター配列にハイブリダイズしさえすれば、本発明で用いられるプライマーは、アダプターのプライマー結合部位と完全に相補的ではなくてもよい。本明細書で用いられているように「プライマー」という語は、標準的なPCR法と関連した、すなわち、ポリヌクレオチドの鋳型にハイブリダイズでき、鋳型鎖と相補的なプライマー伸長産物を合成するための開始点として作用するオリゴヌクレオチドであるという、標準的な意味をもつ。
本発明で用いられるアダプターおよびプライマーは、さまざまな技術および方法を用いて、当業者によって簡単に調製することができる。例えば、DNAあるいはRNA合成機を用いてアダプターおよびプライマーを合成することができる。さらに、アダプターおよびプライマーは、単離したDNAの制限酵素切断などによって、生物的な資源から得ることもできる。プライマーは、一本鎖でも二本鎖でもよい。好ましくは、プライマーは一本鎖である。本明細書に特に例示されているプライマーおよびアダプターを表1に示す。
本発明はさらに、個別の包装ないし容器の中に、本発明にかかるPCR抑制方法を実施するために必要なアダプターまたはプライマーなどの試薬を含むキットに関する。場合によっては、このようなキットは、DNAポリメラーゼ、DNAポリメラーゼの補助因子、およびデオキシリボヌクレオチド-5’-三リン酸などの、PCR反応を行なうのに必要な試薬を含む。また、場合によっては、このキットは、さまざまなポリヌクレオチド分子、DNAあるいはRNAリガーゼ、制限酵素、逆転写酵素、末端転移酵素、さまざまな緩衝液および試薬、またはDNAポリメラーゼ活性を阻害する抗体を含む。キットにはまた、陽性対照および陰性対照反応を行なうのに必要な試薬が含まれていてもよい。所定の反応で用いられる試薬の最適な用量は、本開示を利用して、当業者が容易に決定することができる。
本発明によるPCR過程において、さまざまなDNAポリメラーゼを用いることができる。好ましくは、このポリメラーゼは、サーマス・アクアティスス(Thermus aquaticus)(Taq)、サーマス・サーモフィラス(Thermus thermophilus)(Tth)、サーマス・フィリフォルミス(Thermus filiformis)、サーマス・フラバス(Thermus flavus)、サーモコッカス・リテラリス(Thermococcus literalis)およびピロコッカス・フリオサス(Pyrococcus furiosus)(Pfu)を含むさまざまな細菌種から得られるような熱安定的なDNAポリメラーゼである。これらのポリメラーゼの多くは、細菌から分離したり、市販されているものを入手する。また、本発明で用いられるべきポリメラーゼは、ポリメラーゼをコードする遺伝子をクローン化して、これを高レベルで発現する細胞から回収することもできる。
本発明は、長距離(LD)PCR技術(Barnes,1994; Cheng et al.,1994)とともに用いることもできる。LD PCRは、熱安定性DNAポリメラーゼを組み合わせて用いるが、TaqDNAポリメラーゼのみを用いて行われる従来のPCRに較べて、元の鋳型に対する忠実度が増し、ずっと長いPCR産物を作出する。
本発明の方法は、DNAポリメラーゼに結合してポリメラーゼの機能を阻害する抗体(Kellogg et al.,1994)とともに用いることもできる。これらの抗体は、温度特異的な方法でDNAポリメラーゼに可逆的に結合して、PCR増幅の開始前に非特異的増幅産物が形成されるのを阻害することによって、PCR反応の特異性を高める。
本発明の方法を、全長RNAもしくはDNA、またはその断片を含むポリヌクレオチドとともに用いることができる。RNAまたはDNAは、二本鎖でも一本鎖でもよく、精製されていても未精製でもよい。好ましくは、ポリヌクレオチドはDNAを含む。本発明で用いられるDNA断片は、DNAをランダムに剪断したり、DNAまたはcDNAを制限酵素切断したり、任意の、または配列特異的なプライマーを用いて、DNAからDNA画分を増幅して得たものを用いることができる。本発明はまた、RNAを逆転写して得ることができるような全長cDNAポリヌクレオチド配列とともに用いることもできる。DNAは、自然の材料および合成された材料を含むさまざまな材料から得ることができる。DNAは、ウイルス、細菌、酵母、植物、昆虫、および動物を含む自然の材料に由来することができる。また、あらゆるRNA材料から調製することもできる。
本発明のPCR抑制法は、広範な方法に用いることができる。それらの方法のいくつかが、特に本明細書において例示される。本開示を利用する当業者には、他の方法も明らかであろう。
一つの態様において、本発明は、一部同じDNAをもつ、二つのDNA混合物に共通するDNA配列を選択的に回収するために用いることができる。一対の分離したDNA混合物(AおよびB)に適用した、本発明を示す概略図が図2に例示されている。混合物AからのDNA断片をアダプターaに接続させ、混合物BからのDNA断片にはアダプターbを接続させる。アダプターaおよびbは、互いに非相補的な配列をもつ(すなわち、アダプターaの鎖はアダプターbの鎖とはハイブリダイズしない)。すべての構成成分により実質的に反応を完了できる反応液中で、混合物Aおよび混合物Bを合わせて、変性し、アニールさせる。相同性の高い混合物AおよびBからの一本鎖DNA断片が再びアニールして、片方の鎖の末端にアダプターaが付いていて、もう一方の鎖の末端にはアダプターbがついているという二本鎖DNAを形成することができる。断片の一本鎖突出末端を二本鎖化した後、アダプターaおよびアダプターbの外側のプライマー結合部位と相補的なDNAプライマーを用いたPCR増幅を行うことによって、この混合物から相同性のある分子種を選択的に回収できる。アダプターaとアダプターbの間には相同性がないため、aおよびbの両アダプターをもつDNA断片では、PCRを抑制する「フライパン様」構造が形成されない。アダプターaおよびアダプターbの両方が接続したこれらのDNA断片は、アダプターaおよびbのプライマー結合部位に相補的なプライマーを用いてPCRで効率よく増幅させることができる。混合物Aおよび混合物BからのDNAで、相同性がないものは効率的には増幅されない。なぜなら、これらの断片には、相補的なアダプター配列(aまたはb)がそれぞれの一本鎖DNAの5’および3’両末端にあるため、PCRを抑制する「フライパン様」構造が形成されることになるからである。この態様において、異なったゲノムDNA間の相同性検索をしたり、異なったcDNA(あるいはRNA)間の共通な配列を明らかにしたりするために、本発明を応用することができる。また、DNA-cDNAハイブリダイゼーション法を用いて、ゲノムDNA中の転写活性のある領域をクローン化するために、本発明を用いることもできる。
本発明はまた、ゲノムDNAおよび、プラスミド、ファージ、ウイルス、コスミド、あるいはYACベクターにクローニングされたゲノムDNA(あるいはcDNA)の特定の断片との間に存在する共通な配列を同定し、単離するために用いることもできる。この方法は、細胞遺伝学的な染色体地図のデータ、および疾患の標的領域をカバーしているDNA断片を含む組み換えベクターのセットを用いて、ある種の遺伝的な疾患を持つ患者における染色体異常(点突然変異、欠失、挿入、トランスバージョンなど)をマッピングするために応用することもできる。
本発明はまた、試料中に存在する各cDNA量がほぼ等しくなっている、均一量(「等量化」ないし「平均化」)cDNA集団を作成するために用いることもできる。図3に示すように、二本鎖cDNAを二つの試料に分けてから、各試料中のDNAを別々の試験管に入れて、これに異なったアダプター(aまたはb)を結合させる。場合によっては、アダプターの短い方のオリゴヌクレオチドの5’末端にはリン酸がなく、アダプターの長い方のオリゴヌクレオチドだけがcDNAに結合することができるかもしれない。融解して、短時間再アニール(完全にはアニールさせない)させると、再アニールする割合は溶液中のそれぞれのcDNAの濃度に比例するため、各試料中に残った一本鎖画分では、より含量の高いcDNA分子種が有意に除かれている。次に、二本の試験管の内容物を混合して、平均化した一本鎖画分を再アニールさせるためにハイブリダイゼーションを続ける。そして、Taq DNAポリメラーゼなどのDNAポリメラーゼを用いて、二本鎖DNAの突出した一本鎖部分を埋めることができる。
この処理の結果、等量化されたcDNA画分のみがcDNA鎖の両端に異なったアダプターを持っている。各アダプターのプライマー結合部位に相補的なプライマーを組み合わせて用いれば、これらの等量化されたcDNA断片を指数関数的に増幅することができる。非常に数が多いcDNA断片は、二つの試料を混ぜる前に再アニールするため、両末端に同じアダプター(aまたはb)を接続させている。これらのcDNAは、PCRを抑制する「フライパン様」構造を形成するために、効率的に増幅することができない。アダプターaおよびbのプライマー結合部位に相補的なプライマーを用いてPCR増幅すれば、元のcDNA集団に存在していた各cDNAが大体等量ずつになって存在するcDNAができる。
さらなる局面において、本発明は、均一量の(等量化)cDNA集団をもつ、サブトラクションされたcDNAライブラリーを作製するときに用いることができる。この態様において、本発明は、全長cDNAライブラリーを用いることも、cDNA断片ライブラリーを用いることもできる。特に、本発明は、一方のDNA集団(テスター)に存在するが、他方のDNA集団(ドライバー)には存在しないDNA種をすべて、ほぼ等量に含むcDNA集団を調製するために用いることができる。図4に示すように、テスターDNA試料を二つに分け、別々の試験管の中で、各試料中のcDNA断片にアダプターaまたはbを接続させる。過剰量のドライバーcDNA存在下で融解、再アニール後、テスターcDNA画分の一本鎖画分の中では、テスターDNA集団中に存在する、より数量の多いcDNA分子種がかなり除去されている(これは、上述した均等化のしくみと同様である)。同時に、過剰なドライバーcDNAの存在下で、テスター集団とドライバー集団の両方に存在する共通のcDNAが二本鎖cDNAとして効率よく再アニールするため、テスターDNA集団の一本鎖画分では、特異的に発現するcDNAだけが有意に濃縮されることになる(サブトラクション作用)。次に、二本の試験管の内容物を混ぜて、テスターcDNA集団の一本鎖画分をさらに再アニールし、等量化してサブトラクションする。そして、二本鎖DNA断片の一本鎖末端を埋めて二本鎖化することができる。
試験管に、アダプターaおよびbのプライマー結合部位に相補的なプライマーを加えて、PCRを行う。テスターcDNA断片の画分で、自己再アニールし、等量化され、サブトラクションされたものだけがアダプターaおよびbを接続させているために、PCRによって指数関数的に増幅される。他のDNAはすべて、DNA断片の両末端に同じアダプターを持っている(そのためにPCR抑制が起きる)、あるいは片側の末端に一つだけアダプターを持っている(そのために直線的な増幅をする)、あるいは、アダプターがない(すなわち過剰量ドライバーDNA)のいずれかである。結果として、PCR増幅後、特異的に発現するcDNA(すなわち、テスターcDNA集団にだけあるcDNA)はすべて、定常的に発現するcDNAに較べると、一様に等量化され、濃縮されている。したがって、含量が低く、特異的に発現するmRNAの、高度に濃縮されたcDNA集団を得るために、本発明を用いることができる。
さらに、本発明は、特異的に発現する遺伝子を、この発明にしたがって調製したサブトラクション用プローブを用いてスクリーニングし、同定するための方法に関する。二つ以上の別々のDNA集団の間で特異的に発現されるcDNAに対するプローブを増幅する。そして、サブトラクション用プローブを用いて、異なったcDNA集団から調製された一定のポリヌクレオチド配列の集合をスクリーニングすることができる。一定のポリヌクレオチド配列を調製して、固形支持基質上の予め決められた位置に固定化することができる。異なったcDNA集団は、ある個体、組織、および細胞などの、予め定めておいた二つ以上の状態にあるものから得られたcDNA集団から調製することができる。例えば、この方法で用いられる異なったcDNA集団とは、健康な組織と病気の組織、活性化された細胞と不活性細胞、非感染細胞と病原体に感染した細胞、未分化組織と分化組織、一定の処理や化合物、薬剤に曝された細胞と曝されていない細胞、また、異なった発生状態や処理条件にあるものから分離されたものでありえる。この他の状態も、当業者には知られており、本方法の範囲に含まれる。
一つの態様において、サブトラクションするcDNA調製物は、ある種の活性化状態または不活性状態のような異なった状態にある同型の細胞から調製する。各状態にある細胞から、cDNA集団を別々に調製する。一つの状態にある細胞から採ったcDNA集団を、二つの試料に分け、cDNAの末端に、ここでは便宜上アダプターAおよびBと名付ける、異なったPCR抑制アダプターを接続する。例えば、活性化細胞からのcDNAの半分にアダプターAを接続し、活性化細胞からのcDNAの残りの半分にはアダプターBを接続する。アダプター接続して、二本鎖cDNAを熱変性した後、不活性細胞からの過剰な変性cDNA存在下で再アニーリングする。非活性化細胞からのcDNA存在下で再アニーリングすると、活性化細胞集団で多く発現されるcDNAに対する選択が働く。共通に発現するcDNAが再アニーリングするのに十分な間再アニーリングさせても、特異的に発現されるcDNAに当たるDNAは、効率的には再アニールしない。そして、アダプターAおよびBをライゲーションした試料cDNAを混合し、さらに一定時間再アニーリングを行なう。場合によっては、不活性細胞からの変性cDNAもこの再アニーリングの過程で混ぜることができる。さらにこの一定の時間により、5’末端に異なったアダプターをもつ、相同性の高い一本鎖cDNAを再アニールさせることができ、したがって一方の末端に抑制アダプターAを接続し、もう一方の末端にアダプターBをライゲーションした二本鎖DNAができる。そして、二本鎖DNAの末端の一本鎖はすべて、完全な二本鎖になるよう二本鎖化する。
アダプターAおよびBのプライマー結合配列に相補的なプライマーをcDNA混合物に加えて、標準的なPCRを行う。活性化細胞集団で特異的に発現するcDNAの大部分は、アダプターAをDNA分子の一方の端に、アダプターBを反対側の端に持っている。したがって、このようなcDNAは、PCR反応で指数関数的に増幅することができる。不活性細胞と活性化細胞の両方の集団に共通するcDNAは、DNAの両末端に同じアダプターを持っている(増幅抑制が起きる)か、DNAの片方の末端にだけアダプターを持っている(直線的増幅のみが見られる)か、あるいは、DNA分子の両末端にアダプターを持っていない(増幅は起こらない)。次に、活性化細胞集団で特異的に発現されるcDNAと一致する増幅cDNAを用いて、予め決められた二つの異なった状態(例えば活性化した細胞と不活性細胞)にある細胞から得たcDNA集団から調製された一定のポリヌクレオチド配列をスクリーニングすることができるが、ポリヌクレオチド配列は、本明細書に参照として包含される国際出願番号PCT/US95/01863(Rosenberg et al.)で開示されているような固形支持基質上の予め区画された位置に固定化されている。
mRNA、ゲノムDNA断片、特定のDNAもしくはmRNAの配列をもつオリゴヌクレオチドのような、部分的または全長cDNA以外の一定のポリヌクレオチド配列も、本方法に用いることができる。さらに、特定の、部分的あるいは完全なポリヌクレオチド配列の集合体中の一定のポリヌクレオチド配列で、興味の対象となっている特定の個体の遺伝子に関連するものを固形支持基質の上に固定して、本発明にしたがって調製された、サブトラクションされたcDNAを含む、ハイブリダイゼーション用プローブを用いて特異的に発現するポリヌクレオチド配列をスクリーニングすることができる。
別の態様において、本発明は、既に特定のベクターにクローニングした何らかのcDNAセット(ドライバー)に対して、あるcDNAライブラリー(テスター)をサブトラクションするために用いることができる。本発明をこのように応用することは、配列決定に用いられるcDNAライブラリーに存在するcDNAすべてをクローン化するためにランダムな方法をとっているヒトゲノム配列決定プロジェクトのような、cDNA配列決定プロジェクトにとって特に有用である。cDNAライブラリーから、既に配列決定したcDNAをサブトラクションすれば、cDNAデータベースにない新規のcDNAを同定して配列決定する効率を高めることができる。本発明は、また、テスター・ゲノムDNAとドライバー・ゲノムDNA間の違いを同定するためのサブトラクション用ハイブリダイゼーションと共に用いることもできる。本発明のこのような応用は、cDNAのサブトラクションのためのハイブリダイゼーションに似ているが、病原生物に対するプローブを発見したり、遺伝的転位を起こした無名の遺伝子座を同定したり、遺伝的な疾患に関係する遺伝子の近くに位置する多型性を検出するためにも用いることができる。
本発明は、一定のサイズ領域内にあるDNA断片を、選択的に増幅(または抑制)するために用いることもできる。抑制的な「フライパン様」構造を形成する効率は、DNA断片の長さに依存するため、本発明は、一定の長さよりも長いDNA断片だけを選択的に増幅し、同時に、一定の長さよりも短いDNA断片の増幅を抑制するために用いることができる。増幅できるDNA断片の最小のサイズは、主に、「フライパン様」抑制的構造と増幅許容構造との間の融解温度の差による。したがって、アダプターの抑制配列部位の長さ、および/または、GC含量を変えることによって、どのようなDNA長に対しても、増幅できる画分と増幅できない画分のサイズ間の境界を最適化することができる。一定の大きさの範囲にあるDNA断片を増幅するために用られる特異的なアダプター配列およびそれらに対応するプライマーの例を表2に示す。
この態様にしたがって本発明を用いると、本発明は、長さに従って、DNA断片を分画するために一般的に用いられている、サイズ排除ゲル濾過クロマトグラフィーの代わりに用いることができる。また、本方法は、増幅後のPCRによるバックグラウンドを低減させるため、PCRを用いて(特に長距離PCR技術とともに用いると)、高分子量産物の全長のものだけを選択的に増幅するのに、特に有用である。本発明はまた、約500bp以下の長さのcDNAが増幅されることを抑制するアダプターを用いて、cDNAライブラリーを構築するのに適した全長cDNA(一般的に、500bp以上の長さのcDNAが含まれる)を調製するために用いることもできる。そして、この増幅産物は、サイズ排除ゲル濾過クロマトグラフィーを用いてcDNAを分画するという段階を経ることなしに、直接cDNAライブラリー構築に用いることができる。
別の態様において、本発明は、出発材料に全RNAを用いたcDNAライブラリー構築に用いることができる。典型的には、全RNAを鋳型に用いて、第一鎖と第二鎖を合成すると、大部分のcDNAは、ポリ(A)-RNA画分のRNAに対応するものとなり、ポリ(A)+RNA画分に対応するcDNAは、ほんの僅かしかない。その上、全RNA調製物には、普通、cDNAライブラリーをも汚染する可能性があるゲノムDNAの混入が含まれる。ポリ(A)+RNA画分だけに対応するcDNA画分を選択的に増幅するために、本発明にかかるアダプターを全cDNA集団に接続する。図5に示すように、オリゴ(dT)プライマーを、アダプターのプライマー結合部位に相補的な別のPCRプライマーと組み合わせて用いれば、ポリ(A)+RNAに対応するcDNA画分(すなわち、ポリA配列を内部に含むcDNA)だけを指数関数的に増幅させることができる。PCR増幅中に「フライパン様」の抑制構造が形成されるせいで、内部にポリ(A)配列を欠く、他のcDNA(すなわち、ゲノムDNA断片、またはポリ(A)-RNA画分のRNAから逆転写されたcDNA)はすべて、効率的には増幅されない。
本発明はまた、5’-および3’-cDNA末端を迅速に増幅する方法(RACE)とともに用いることもできる(Belyavsky et al.,1989; Frohman,M. A.,et al.,1988)。本発明の、この態様によって、cDNAの両端に本発明のアダプターを結合させた二本鎖cDNAの5’-および3’-末端を選択的に増幅することができるようになる。標的DNAのプライマーで、標的DNAのヌクレオチド配列のある部分に相補的で配列の内部の標的DNAプライマーを、アダプターのプライマー結合部位に相補的なプライマーと組み合わせて用いれば、特定のRNAの5’-および3’-末端だけがPCR過程で指数関数的に増幅される。標的cDNAに特異的な、内部プライマー結合部位を欠く非標的cDNAは、一本鎖になると抑制的な「フライパン様」構造を形成するために、効率的には増幅されない。
場合によっては、全長cDNAを作り出すために、5’-および3’-RACE法による増幅産物を融合することができる。5’-および3’-RACE法による産物を精製して、プライマー不在下で混合する。この混合物をDNAポリメラーゼ存在下、数回PCRのサーマルサイクルにかける。好ましくは、DNAポリメラーゼには、Taq DNAポリメラーゼ、および、Pfuあるいはベントポリメラーゼなどの長距離(LD)PCRに適した、熱安定性DNAポリメラーゼを組み合わせたものが含まれる。RACE産物の重複領域をアニールさせてから、全長cDNAを作成するために伸長させる。アダプター特異的で遺伝子特異的なプライマーと、LD PCR用酵素の混合液を用いて、最終的なLD PCRを行う。
本発明は、標的DNAの一部の配列のみが分かっているDNA断片を増幅する必要がある多くの場合に利用することができる。本発明のPCR抑制技術は、当業者に、既知の配列に隣接する、特徴付けされていない配列の増幅を可能にする、「片側」PCRを行うための新しい方法を提供する。本発明のPCR抑制技術を用いた「片側」PCRは、「ゲノムウォーキング」や、酵母人工染色体挿入末端およびコスミド挿入末端の配列決定、cDNAクローンからのゲノムDNA中のイントロンのマッピング、欠失、挿入などを含む領域のマッピング、またはサブクローニングという方法によらない大きなクローンの配列決定を含む、さまざまな応用法に用いることができる。
この方法の一つの態様において、好ましくは、制限酵素を用いてゲノムDNAを断片化する。このDNA断片の両端に、本発明のアダプターを接続する。好ましい態様において、下側鎖のポリメラーゼ触媒による伸長を阻害するために、アダプターの下側鎖に3’-アミン基を持たせる。標的DNA上の既知の配列に対して相補的な第一プライマーと、アダプターのプライマー結合部位に相補的な第二プライマーを組み合わせて用いて、標的DNA上の既知の配列に隣接した未知のゲノム配列をPCRによって増幅して、DNA断片の両端にセルフアニールする相補的配列をもたない増幅産物を作成することができる。そして、引き続いて繰り返されるPCRを通じて、この産物を指数関数的に増幅することができる。好ましくは、この一次PCR反応は、「ホットスタート」PCR(例えば、「TthSTART」抗体、クローンテック社、パロアルト、カリフォルニア州)(Kellogg et al.,1994)に関する方法とともに、Tthおよび/またはベントなどの熱安定性ポリメラーゼを含む長距離PCRを用いて行われる。第一プライマーに相補的な既知の配列をもたない非標的DNA断片は、それぞれのDNA断片の末端に結合したセルフアニールした相補的配列が、PCRの最中に抑制的な「フライパン様」構造を形成するために、PCRで効率的に増幅することができない。そして、一次PCR反応の増幅産物および、「ネスティド(入れ子)」アダプタープライマー、および標的DNA特異的プライマーを用いて、二次PCR反応を行うことができる。「入れ子」PCR増幅技術は、当技術分野において標準的なものである。あるいは、一次PCR反応で増幅されたPCR産物の末端を配列決定して、その配列に相補的な新しいプライマーを調製することができる。新しいプライマーとアダプター特異的プライマーを用いて、DNA断片に対して補足的なPCRを行うことができる。前回行なったPCR増幅産物から、次々に発見される新しいプライマー配列を用いて本発明の方法を反復することにより、当業者は、ゲノムDNAを出発点から上流方向あるいは下流方向にウォーキングすることができる。
以下は、本発明を実施するために最適な方法も含む、実験方法を示した実施例である。これらの実施例は本発明を限定するものではない。当業者には容易に明らかなように、本発明は、さまざまな分子生物学的技術、または本明細書に特別に例示された方法以外の方法にも応用することができる。注記されない限り、すべての百分率は重量によるものであり、すべての混合溶液の割合は容量に関するものである。
実施例1−cDNAの5’-および3’-末端の迅速な増幅(RACE)
本発明のPCR抑制技術が、さまざまな個別cDNAの5’-および3’-末端を増幅するために用いられた。特に、出発物質として、ヒトの胎盤ポリ(A)+RNAまたはヒト胎盤の全RNAを用いた、ヒト・トランスフェリン受容体cDNAおよびヒト・ベータアクチンcDNAのPCR RACEの方法と結果について、ここで説明する。胎盤のRNAにおいて、ヒト・トランスフェリン受容体mRNAは、比較的少ない転写物であるのに対し、ベータアクチンmRNAは、比較的多く存在する。
RNAを鋳型に用いて、第一鎖と第二鎖のcDNA合成をして得た、ヒトの二本鎖cDNAにT7-NotSrfアダプター(配列番号5)をライゲーションした。図6は、遺伝子特異的プライマーと本発明のT7プライマー(配列番号15)とを組み合わせて用いて行なった、ヒト・ベータアクチン遺伝子およびトランスフェリン受容体遺伝子に対する5’-および3’-RACEの結果を示す。本発明を用いたPCRの後、RACE産物の大きさを見ると、所定の遺伝子内部に特異的なプライマーから予測されたサイズ(ヒト・ベータアクチン:5’-RACE産物-1.2kb,3’-RACE産物-0.8kb;ヒト・トランスフェリン受容体:5’-RACE産物-2.3kb,3’-RACE産物-2.8kb)と一致した。トランスフェリン遺伝子およびベータアクチン遺伝子に対応するRACE PCR産物の同一性を、制限酵素切断およびPCR産物の配列解析によって確認した。特異的なRACE実験の手順を以下に説明する。
プロトコールA:第一鎖cDNA合成
この反応は、1μgのポリ(A)+RNAが第一鎖cDNAに変換されるように設計されている。1μgの全RNAを用いる場合にも、このプロトコールを使用できる。
1.滅菌した0.5mlの微量遠心用試験管の中で、以下のものを混合する。
ヒト胎盤ポリ(A)+RNA(1-4μl) 1μg
RI-Not-T30プライマー(10μM)(配列番号:20) 1μl
滅菌水を加えて、最終容量を5μlにする。内容物を混合し、試験管を微量遠心機に入れて短い時間遠心する。
2.試験管を70℃の温水槽に入れて3分間インキュベートするか、サーモサイクラーを用いて同様にする。
3.試験管を氷上において2分間冷却する。簡単な微量遠心により試験管の内容物を沈殿させる。
4.つぎのものを同じ反応試験管に加える。
5×第一鎖合成緩衝液
(250mM トリス-HCl,pH8.3,30mM MgCl2,375mM KCl) 2μl
dNTP混合物(dATP,dTTP,dCTP,dGTP 各10μM) 1μl
MMLV逆転写酵素(リボヌクレアーゼH抜き)
(200ユニット/μl)
5.試験管の内容物をゆっくりしたボルテックスにかけて混合し、短時間遠心する。
6.インキュベーターかサーモサイクラー中で42℃で1時間試験管をインキュベートする。
7.第一鎖合成を終了させるため試験管を氷上に置き、プロトコールBに進む。プロトコールB:第二鎖合成
このプロトコールは、第一鎖反応(プロトコールA)で調製された第一鎖cDNAから第二鎖cDNAを合成するのに適している。
1.予め氷上で冷やしておいたプロトコールAの反応試験管に、以下の成分を加える。
滅菌水 48.4μl
5×第二鎖合成緩衝液
(500mM KCl,50mM 硫酸アンモニウム,25mM MgCl2,0.75mM NAD,100mM トリス-HCl(pH7.5),0.25μg/ml BSA) 16μl
4dNTP混合物(dATP,dTTP,dCTP,dGTP 各10mM) 1.6μl
大腸菌DNAポリメラーゼI、大腸菌DNAリガーゼ、RNaseHの20×混合液(6ユニット/μl,1.2ユニット/μl,0.25ユニット/μl) 4μl
2.内容物を混合して、試験管を短時間遠心する。最終容量は約80μlである。
3.試験管を16℃で(温水槽かサーモサイクラーで)2時間インキュベートする。
4.1μl(5ユニット)のT4 DNAポリメラーゼを加えて、よく混ぜ、温水槽かサーモサイクラー中、16℃で30分間インキュベートする。
5.第二鎖合成を終了させるために、4μlの0.2M EDTAを加える。
6.100μlのフェノール:クロロフォルム:イソアミルアルコール(25:24:1)を加える。
7.ボルテックスでよく撹拌してから、層を分けるために、エッペンドルフ社の微量遠心機で14,000rpmで10分間遠心する。
8.上部の水層を取って、きれいな0.5mlの微量遠心用試験管に入れる。中間層と下層は捨てる。
9.100μlのクロロフォルム:イソアミルアルコール(24:1)を水層に加える。
10.手順7と8を繰り返す。
11.1/2量(約30μl)の4M酢酸アンモニウム溶液と、(試験管内の全量の)2.5倍量の95%エタノールを反応に加える。混合液をボルテックスでよく撹拌して、すぐにエッペンドルフ社の微量遠心機で14,000rpmで20分間遠心する。
12.上清を注意深く取り除いてから、300μlの80%エタノールをペレットの上に注ぐ。エッペンドルフ社の微量遠心機で14,000rpmで10分間遠心し、上清を取り除く。
13.残留エタノールを蒸発させるために、ペレットを10分間風乾させる。ペレットを10μlのTE緩衝液に溶解する。
プロトコールC:DNAへのアダプター接続
このプロトコールは、第二鎖合成(プロトコールB)から得た二本鎖cDNAを5μl用いて、DNAライゲーション実験を行うのに適している。
1.次の試薬を、記載した順に、0.5ml微量遠心用試験管に入れて混合する。
ds cDNA 5μl
T7 NotSfrアダプター(10μM)(配列番号5) 2μl
5×DNAライゲーション緩衝液
(250mM トリスHCl,pH7.8,50mM MgCl2,10mM DTT,25% PEG 8000,5mM ATP) 2μl
T4 DNA リガーゼ(1ユニット/μl) 1μl
2.ボルテックスで撹拌して、エッペンドルフ社の微量遠心機で短時間遠心する。
3.試験管を16℃で一晩インキュベートする。
4.T4 リガーゼを不活性化するために、試験管を70℃で5分間加熱する。
5.1μlの反応液を250μlのTrE緩衝液(20mM トリシン-KOH,pH9.5,EDTA 0.2mM)で希釈する。96℃で2分間加熱してから、氷上で冷却する。
プロトコールD:5’-および3’-RACE
1.すべてのPCR反応について、十分な量のPCR反応液を調製する。一回分のPCR反応液(全量で50μl)として、以下の試薬を混合する。
10×PCR緩衝液
(200mM トリス-HCl,pH8.55,160mM 硫酸アンモニウム,25mM MgCl2,1.25mg/ml BSA) 5μl
H2O 35μl
4dNTP(dATP,dTTP,dCTP,dGTP 各10mM) 1μl
25×クレンTaq/Pfu DNAポリメラーゼ/抗DNAポリメラーゼ抗体(「TaqSTART抗体」、クロンテック社、パロアルト、CA)混合物(6,000ユニット/ml,37ユニット/ml,0.8mg/ml) 2μl
最終容量は43μlである。同じPCR反応混合液で、5’-と3’-RACEの両方のプロトコールに用いることができる。
ボルテックスしてよく混合して、微量遠心機で短時間遠心する。
2.表3に示す順に、0.5mlのPCR試験管(パーキンエルマー・ジーンアンプ0.5ml反応試験管)に反応液成分を入れてよく混合する。
3.各試験管の上からミネラルオイルを2滴垂らしてから、以下のプログラムを用いてサーモサイクラーを作動する。
94℃で1分間、その後、(90℃で30秒間、そして68℃で5分間)で28サイクル
4.各試験管から5μl取り、1.2%アガロースゲルで電気泳動する。比較のため、1kb DNA分子量マーカー(ギブコ-BRL社)も一緒に泳動した。
実施例2−ゲノムウォーキング
また、ゲノムDNAに、本発明のアダプターに相補的なプライマーおよびTPA遺伝子に特異的なプライマーを組み合わせて用いて、ヒト組織のプラスミノーゲン活性化因子(TPA)遺伝子配列のエキソン2の5’末端から、上流方向の、この遺伝子のプロモーター領域に向かって「ゲノムウォーク」を行うために、本発明を用いた。「ゲノムウォーキング」は、染色体のような大きなポリヌクレオチド分節を、上方あるいは下方に向かって「ウォーク」するために、重複するDNA断片を次々に分離して行く技術である。
ヒトのゲノムDNA(4μg)(クローンテック社、パロアルト、カリフォルニア州)を別々の試験管にいれて、次に示す制限酵素を、それぞれ80ユニットずつ用いて、37℃で一晩切断した。すなわち、EcoRV、ScaI、PvuII、SspIあるいはDraIで、販売業者(ギブコ-BRL社)が奨める緩衝液を用いた。DNAは、フェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール(25/24/1)で一度抽出して、10分の1容の3M NaOAcと20μgのグリコーゲン、2倍容の95%エタノールを加えて沈殿させた。試験管をボルテックスした後、すぐに微量遠心機に入れて14000gで遠心した。ペレットを80%エタノールで洗浄してから、すぐに、上記のように5分間遠心し、風乾させてから20μlの10mMトリス塩酸pH7.5、0.1mM EDTA(TE緩衝液)に溶解した。次に、以下の試薬を用いて、10μlのDNAに過剰量のアダプターT7-NotSrfA(配列番号6)を16℃に一晩置いて接続させた。すなわち、50mM トリス塩酸 pH7.6、10mM MgCl2、0.5mM ATP、10mM DTT、5μMアダプターT7-NotSrfA、および1ユニットのT4 DNAリガーゼ(ギブコ-BRL社)。接続反応は、試験管を70℃で5分間インキュベートすることにより停止させ、180μlのTE緩衝液を加えて希釈した。
一次的PCR反応は、Tthポリメラーゼ(東洋紡)およびベントポリメラーゼ(ニューイングランドバイオラブズ社)を20:1(容積/容積)の比率で混合したものを含む、熱安定的なDNAポリメラーゼ混合液を用いて行なった。この結果、ユニット比率は50:1になる。市販の酵素混合液Tth XL(パーキンエルマー社)を用いても同様の結果を得た。使用前に、1μl(5.5μg)の「TthSTART」抗体(抗Tthポリメラーゼ抗体、クローンテック社)を10μlのTth/ベント酵素混合液と混合した。
PCR反応は、1μlのライゲーションしたDNA、40mM トリス塩酸 pH9.3、85mM KOAc、1.1mM MgOAc、0.4μMのT7プライマー(配列番号15)およびTPA 1(配列番号21)、ならびに0.8μlのTth/ベント酵素/「TthSTART」抗体混合液を含む50μlの容量中で行われた。サイクル数は、以下のようにした。すなわち、94℃で30秒間変性し、アニーリング/伸長を68℃で6分間行い、最初の変性段階を1分間にし、最後のアニーリング/伸長時間を13分間に延長して行なった。典型的には、一次PCRを30サイクル行なった。
二次PCR反応は、一次的PCR産物を100倍に希釈したものを1μl、プライマーにNotSrf4(配列番号18)とTPA2(配列番号22)を用い、0.4μlのTth/ベント酵素/「TthSTART」抗体混合液および20サイクルを用いて、その他は一次PCRについて用いたのと同じ反応液成分および変数を用いて行なった。PCR産物は、1.2%アガロース/エチジウムブロマイド(EtBr)ゲルで確認した。PCR産物の制限酵素切断は、10μlの該PCR産物を、1.2μlの10×濃縮酵素緩衝液および10ユニットの制限酵素(ギブコ-BRL社)と混ぜて37℃で4時間インキュベートした。
図7は、基本的に、電気泳動後、各制限酵素切断について、遺伝子特異的プライマー、およびTPA遺伝子のプロモーター領域中の特定の制限酵素部位の間の距離に相当する長さのバンドが一本だけ確認されたことを示している。増幅産物の同一性は、制限酵素解析によっても確認した。
実施例3−DNA断片の、一定のサイズ範囲内における選択的増幅
一定の範囲内でcDNA断片を選択的に増幅するためにも、本発明のPCR抑制技術を用いた。特に、一定の長さよりも短いDNA断片の増幅を選択的に抑制し、それより長いDNA断片を効率的に増幅した。異なったサイズ範囲にある標的DNAを効率的に増幅するアダプターの組み合わせをいくつか開発した。これらの中には、500bpよりも長い断片、1kbよりも長い断片、2kbよりも長い断片、3kbよりも長い断片、5kbよりも長い断片、および7kbよりも長い断片だけを増幅させるアダプターが含まれる。このようなサイズ依存的アダプターの例を、表2に示す。
本発明の一つの態様において、5kbよりも長いDNA断片を選択的に増幅するために、Na21-St19アダプター(配列番号1)を用いた。特に、ヒトの骨格筋から二本鎖cDNAを調製し、実施例1で述べたようにして、Na21-St19アダプターをライゲーションした。一定のサイズ範囲にあるcDNAを増幅するために、一つのPCR反応においてNa21プライマー(配列番号14)を用いた以外は、前に実施例1で示したものと同じPCR増幅プロトコール(ただし、遺伝子特異的プライマーなし)を用いた。別のPCR反応において、St19プライマー(配列番号10)(アダプター上の抑制配列に相補的)を、すべてのcDNA集団を増幅するときの陽性対照として用いた。次の増幅プログラムが用いられた。すなわち、94℃で1分間、その後(90℃で30秒間、その後68℃で5分間)を15〜19サイクル繰り返した。それから、増幅産物をアガロースゲルで電気泳動した。
各反応から得たPCR増幅産物を図8に示す。ヒトの骨格筋のポリ(A)+RNAは、非常に含有量の高いRNAを数種類含み、St19プライマー(つまり、サイズ抑制効果がないPCR、レーン1)を用いると、PCR後、RNAのサイズに対応する0.1から6.5kbの範囲に、明るいDNAバンドができた。しかし、Na21プライマーをPCR反応に用いると、ミオシンcDNAに相当する、6.5kbのバンドのみを選択的に増幅したことを検出した(レーン2)。これらの条件の下では、5kbよりも短い他のcDNAは、いずれも増幅されなかった。
実施例4−全RNAからのcDNAライブラリーの構築
全RNAからのcDNAライブラリーを構築するに当たって深刻な問題は、ポリ(A)-RNA画分またはゲノムDNAの混入物から逆転写されたcDNAに相当するDNA断片が、非常に高いレベルで増幅されることである。ポリ(A)-RNA画分またはゲノムDNAに相当するcDNA画分の増幅を選択的に抑制するために、本発明のPCR抑制技術を用いた。ヒトの骨格筋cDNAを調製して、実施例1で述べたようにして、T7-NotSrfアダプター(配列番号5)を全cDNA集団にライゲーションした。次に、実施例1で述べたようにしてPCR増幅を行なったが、ただし、RI-Not-T30プライマー(配列番号20)(すべてのポリ(A)+RNAのポリA内部に相補的)を、外側の抑制配列特異的なプライマーT7(配列番号15)と組み合わせて用いた。ポリA内部配列を持たないcDNAは、PCR反応中に「フライパン様」抑制構造を形成するため、効率的には増幅されない。
図9は、上記のようにして全RNAから得られたPCR産物(レーン3、4)のバンドパターンが、ポリ(A)+RNAから逆転写されたcDNAを用いて得たパターン(レーン1、2)に非常によく似ていることを示している。対照として、抑制配列部位を欠いた標準的アダプターAd1SGT(配列番号7)を、全RNAから得たcDNAにライゲーションした。Ad1SGTアダプターの上側鎖に相当する、PCRプライマーNa1SGT(配列番号16)を加え、混合物をPCRにかけた(結果はレーン5に示されている)。本発明の抑制効果がないとき、全RNAに由来するcDNAから増幅されたPCR産物のバンドパターンは、ポリ(A)+RNAから逆転写されたcDNAから増幅されたPCR産物のパターンと一致しない。
実施例5−サブトラクションしたcDNAの作製
本発明にかかるPCR抑制技術は、サブトラクション用ハイブリダイゼーションのプロトコールとしても用いられる。ヒト骨格筋から二本鎖cDNAを調製して、RsaIエンドヌクレアーゼで切断したものをドライバーDNAとして用いた。ヒト骨格筋cDNAに、RsaI切断したφX174プラスミドDNA(クローンテック社)を異なった割合で混合したものをテスターDNAとして用いた。
ヒト骨格筋cDNAは、実施例1のプロトコールBに述べたようにして調製した。二本鎖cDNAを二つの試験管に分けた(テスターDNAおよびドライバーDNA)。0.1%または0.01%のφX174DNAをテスターDNAの試験管に加え、両方の試験管のcDNA画分を、DNA1μgにつき10ユニットのRsaI制限酵素を用いて、10mMビス-トリス-プロパン塩酸、10mM MgCl2、および1mMジチオスレイトール pH7.0を含む緩衝液中、37℃で2時間切断した。フェノール/クロロホルム抽出し、エタノール沈殿した後、実施例1のプロトコールCで述べたようにして、アダプターT7-NotSrf(配列番号5)およびNa21-St19(配列番号1)を、別々の試験管でテスターDNA(0.3μg)にライゲーションした(それぞれアダプターT7-NotSrfとアダプターNa21-St19をライゲーションしたDNAに対して、AおよびBとする)。
サブトラクション用ハイブリダイゼーションのために、0.3μgのテスターDNAと4.5μgのドライバーcDNA(試験管AおよびB両方)を混合し、エタノール沈殿したものを3μlのHB緩衝液(50mM HEPES-KOH,pH8.3,0.5M NaC1,0.2mM EDTA,10%ポリエチレングリコール(8,000))に溶解して、この上に25μlのミネラルオイル(パーキン-エルマーシータス社)を入れ、94℃で2分間変性させてから、68℃で10時間ハイブリダイズさせた。次に、試験管AおよびBの内容物を一緒に混ぜてから、1μlのHB緩衝液に新たに熱変性した(94℃で2分間)ドライバーDNA5μgを溶かして加え、さらに、68℃で10時間ハイブリダイズした。ハイブリダイゼーションの最後に、できたcDNAを120μlのHSE緩衝液(10mM HEPES-KOH,pH8.3,50mM KCl,0.2mM EDTA)で希釈して、実施例1のプロトコールDで述べたように(ただし、遺伝子特異的なプライマーはなし)、PCRプライマーT7とNa21を用いて、72℃で10分間加熱して増幅した。ただし、それ以外では、次のPCRプログラムを使った。75℃で5分間、94℃で1分間、その後(90℃で30秒間、その後68℃で5分間)を25サイクル繰り返した。最初のPCRプログラム段階(75℃で5分間)は、PCRサイクルの前に、再アニールしたテスターDNAの末端を二重鎖化するために必要である。一回目のPCRを終えた後、PCR混合液をHSE緩衝液で100倍に希釈して、二回目の「入れ子」PCRにかけた。このPCRは、一回目のPCRに述べたようにして行われたが、以下の入れ子PCR用プライマーを用いた。すなわち、
最終PCR産物を6%アクリルアミド-7M尿素ゲルまたは2%アガロースゲルで解析した。
図10は、全体で25倍過剰のドライバーcDNAを用いて、サブトラクションのためのハイブリダイゼーションを一回行なった後、そのままcDNAを増幅したときの、テスターcDNA中のプラスミドDNAの増幅効率を示している。0.1%(レーン2)または0.01%(レーン3)のプラスミドDNAを含むテスターcDNAを、ドライバーcDNAによるサブトラクション・ハイブリダイゼーションを行なって増幅すると、主として、精製プラスミドDNAに一致するバンド(レーン5に示される)が現れた(各バンドは、全cDNAの約0.002%の量に相当する)。ヒトの骨格筋cDNAに対応するバンド(レーン1およびレーン4)は消えていた。これらの結果は、本発明のPCR抑制技術を用いてサブトラクションのためのハイブリダイゼーションを一回行うと、テスターには存在していて、ドライバーDNA集団には存在しない稀少なDNA配列(すなわち、全mRNA集団の0.002%以下しか含まれていない配列)を数百倍以上に増幅することが可能になることを示している。
また、本発明のPCR抑制技術は、精巣特異的cDNAライブラリーを作製するためにも用いられた。10種類の異なるヒトの組織、すなわち心臓、脳、胎盤、肺、肝臓、骨格筋、腎臓、脾臓、胸腺および卵巣のポリ(A)+RNAに由来するcDNAの混合物に対して、ヒト精巣のポリ(A)+RNAから合成されたcDNAをサブトラクションした。サブトラクションの効率をみるために、サブトラクションを行わない精巣特異的cDNA混合物とサブトラクションを行なった精巣特異的cDNA混合物とを標識して、多数のヒトの組織に対するノーザンブロッティングを行うためにハイブリダイズした。結果を図11Aと図11Bに示す。サブトラクションを行わなかった精巣cDNAプローブ(図11A)は、ブロットされたすべてのRNA試料に強くハイブリダイズしたが、それらは、ヒトの組織中に共通ないし相同なmRNA種であろう。サブトラクションされた精巣特異的なcDNAプローブは、精巣RNAに強くハイブリダイズしたが、他のRNAにはすべて非常に弱くしかハイブリダイズしなかった(図11B)。以前になされた研究から、同様の条件下において、cDNAがノーザンブロッティングで何らかのシグナルを出すためには、その濃度がcDNA混合物の0.1〜0.3%以上でなければならないことが示されている。したがって、ノーザンブロッティング解析から、本発明者らが、精巣特異的なcDNAを高度に増幅し、それと同時に含量の高いおよび/または共通なcDNAを劇的に減少させたことが示された。
実施例6−二つの複合的で部分的に一致するcDNA混合物に共通する配列の選択的回収
本発明のPCR抑制技術を、ヒト(ヒーラ細胞)とハムスター(チャイニーズ・ハムスターの線維芽細胞)の細胞系で保存されているcDNA配列を増幅したcDNAライブラリーを構築するために用いた。Lu3-T13プライマー(配列番号8)を用いて、ヒーラ細胞のポリ(A)+RNAから第一鎖cDNAを合成した。Lu4-T13プライマー(配列番号9)を用いて、ハムスターの線維芽細胞のポリ(A)+RNAから第一鎖cDNAを調製した。これらのcDNAは、別々の試験管の中で合成した。基本的には、記述(Belyavsky et al. 1989)にしたがって、末端転位酵素によって第一鎖cDNAにオリゴ(dA)テールを末端に付加してから、プライマーLu3-T13またはプライマーLu4-T13のいずれかを用いてcDNA増幅を行なった。各試験管からのPCR cDNA産物を、部分分解をする条件の下でエキソヌクレアーゼIIIで処理した後、Lu3(配列番号13)プライマーとLu4(配列番号19)プライマー(Lisitsyn et al.,1993)を組み合わせて用いて、混合し、ハイブリダイズして、増幅した。最終的な(ヒトおよびハムスターの間の)保存PCR cDNA産物を、「pBLUESCRIPT II」(KS+)ベクター(ストラタジーン社、ラ・ホーヤ、カリフォルニア州)に入れてクローン化した。
ランダムに選んだ25個のクローンからプラスミドDNAを精製してから、ヒトのヒーラ細胞およびハムスターの線維芽細胞から精製したポリ(A)+RNAと(ドットブロット形式で)ハイブリダイズさせた。25個のcDNAクローンはすべて、厳格なハイブリダイゼーション条件(ハイブリダイゼーション−2×SSC、68℃;洗浄段階−0.1×SSC、70℃)の下でも、両方のポリ(A)+RNAと、同じような強さのハイブリダイゼーション・シグナルを示した。ヒトおよびハムスターのポリ(A)+RNAについて、ハイブリダイゼーション・シグナルの違いが最も大きかった5個のクローンのインサートの配列を決定して、GCG FASTAプログラム(ウィスコンシン大学)を用いて、DNA配列データベース(EMBLデータライブラリー)の中を相同性検索を行なった。2つのクローンがヒトH3.3ヒストンcDNAに一致した。この遺伝子は、これまでに調べられたところでは、すべての哺乳類の間で、DNA配列が96%以上保存されている(Wells et al.,1987)。クローンの1個は、ポリ(A)結合蛋白質の配列を持っていた。これもまた、哺乳類で高度に保存されている(90%の相同性)。残り2個のクローンのインサートは、DNAデータベース中のいずれの配列とも一致しなかったが、これら2つのクローンの配列を用いて合成したPCRプライマーによって、ヒトおよびハムスターのゲノムDNAを鋳型に用いてPCRを行うと、同じ大きさの産物を生じた。このように、本発明によるPCR抑制技術を用いて得たcDNAライブラリーに含まれているcDNAクローンの96%以上は、ヒトおよびハムスターの間で、ヌクレオチド配列のレベルで配列が保存されているものであった。
本明細書に開示された実施例および態様は、例示のみを目的とするものであり、また当業者はそれらをさまざまに修正したり変更することができ、それは本出願の意図と範囲、および添付の請求の範囲に含まれていると理解されるべきである。
参照
配列表
(1)一般情報:
(i)出願人氏名:Clontech Laboratories,Inc.
街路名:4030 Fabian Way
市名:Palo Alto
州名:California
国名:US
郵便番号:94303
電話:(415)424-8222 ファックス:(415)424-1064
(ii)発明の名称:PCRの過程でDNA断片の増幅を抑制する方法
(iii)配列データの数:26
(iv)文書通信住所:
(A)連絡先名:Saliwanchik & Saliwanchik
(B)街路名:2421 N.W.41st Street,Suite A-1
(C)市名:Gainesville
(D)州名:Florida
(E)国名:USA
(F)郵便番号:32606
(v)コンピュータ読取りフォーム:
(A)メディア形式:Floppy disk
(B)コンピュータ:IBM PC compatible
(C)運転システム:PC-DOS/MS-DOS
(D)ソフトウェア:PatentIn Release #1.0,Version #1.25
(vi)現行出願情報:
(A)出願番号:US
(B)出願日:
(C)分類:
(viii)弁理士/代理人情報:
(A)氏名:Pace,Doran R.
(B)登録番号:38,361
(C)参照/明細書番号:CL-4
(ix)電気通信情報:
(A)電話:(904)375-8100
(B)ファックス:(904)372-5800
(2)配列番号:1の情報:
(i)配列の特徴:
(A)配列の長さ:44塩基
(B)配列の型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)分子の型:DNA(合成)
(xi)配列の記載:配列番号:1:
(2)配列番号:2の情報:
(i)配列の特徴:
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(2)配列番号:3の情報:
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(2)配列番号:5の情報:
(i)配列の特徴:
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(2)配列番号:16の情報:
(i)配列の特徴:
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(i)配列の特徴:
(A)配列の長さ:22塩基
(B)配列の型:核酸
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(ii)分子の型:DNA(合成)
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(i)配列の特徴:
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(i)配列の特徴:
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(i)配列の特徴:
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(i)配列の特徴:
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(i)配列の特徴:
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(i)配列の特徴:
(A)配列の長さ:35塩基
(B)配列の型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)分子の型:DNA(合成)
(xi)配列の記載:配列番号:23:
(2)配列番号:24の情報:
(i)配列の特徴:
(A)配列の長さ:30塩基
(B)配列の型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)分子の型:DNA(合成)
(xi)配列の記載:配列番号:24:
(2)配列番号:25の情報:
(i)配列の特徴:
(A)配列の長さ:26塩基
(B)配列の型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)分子の型:DNA(合成)
(xi)配列の記載:配列番号:25:
(2)配列番号:26の情報:
(i)配列の特徴:
(A)配列の長さ:25塩基
(B)配列の型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)分子の型:DNA(合成)
(xi)配列の記載:配列番号:26:
Claims (22)
- 非標的核酸断片の増幅を選択的に抑制するための方法において、以下の段階を含む方法:
(a) ヘテロポリヌクレオチドプライマー結合配列およびヘテロポリヌクレオチド抑制配列を含むPCR抑制アダプターを、核酸断片の末端にライゲーションにより接続する段階であって、該アダプターが該核酸断片にライゲーションにより接続される時に該抑制配列が該プライマー結合配列より該核酸断片の近傍側に位置するように、該アダプターが設計されている段階、
(b) 該結合アダプターを有する該核酸断片を、該アダプターのヌクレオチド配列の一部に相補的なヌクレオチド配列を含む核酸プライマーと接触させる段階、
(c) 段階(b)の後に得られた混合物に、PCRを行うために必要な試薬を有効量加える段階、
(d) 段階(c)の後に得られた混合物に対して、増幅産物を得るため、PCRの変性段階、アニーリング段階およびプライマー伸長段階を少なくとも1回繰り返す段階。 - 請求項1記載の方法において、アダプターがNa21-St19(配列番号1)、Lu4-St11(配列番号2)、Na23-St7(配列番号3)、Lu3-St24(配列番号4)、T7-NotSrf(配列番号5)、T7-NotSrfA(配列番号6)、Ad1SGT(配列番号7)、Lu3-T13(配列番号8)およびLu4-T13(配列番号9)からなる群から選択される方法。
- 請求項1記載の方法において、プライマーが、St19(配列番号10)、St1(配列番号11)、Na23(配列番号12)、Lu3(配列番号13)、Na21(配列番号14)、T7(配列番号15)、Na1SGT(配列番号16)、NotSrf1(配列番号17)、NotSrf4(配列番号18)、Lu4(配列番号19)、Lu3-T13(配列番号8)、Lu4-T13(配列番号9)およびRI-Not-T30(配列番号20)からなる群から選択される方法。
- 請求項1記載の方法において、一方の末端に第一プライマーに相補的なヌクレオチド配列をもち、もう一方の末端に第二プライマーに相補的なヌクレオチド配列を有する増幅産物を得るために、段階(b)が、核酸断片を、アダプターのヌクレオチド配列の一部に相補的なヌクレオチド配列を含む第一プライマーと接触させる段階を含み、段階(b)が、核酸断片を、標的核酸断片のヌクレオチド配列の一部に相補的なヌクレオチド配列を含む第二プライマーと接触させる段階をさらに含む方法。
- 請求項4記載の方法において、
(e) 段階(d)で得られたPCR増幅産物のPCR抑制アダプターに直接隣接する核酸配列を決定する段階、
(f) 段階(e)で得られた配列の全部または一部に相補的なヌクレオチド配列を含む第二核酸プライマーを調製する段階、
(g) 段階(e)で決定された配列を含み、該決定配列の上流域のヌクレオチドをさらに含む核酸断片を得る段階、
(h) 段階(g)で作成された核酸断片の各末端にPCR抑制アダプター(請求項1と同様)をライゲーションにより接続する段階、
(i) 該核酸断片を、該アダプターのヌクレオチド配列の一部に相補的なヌクレオチド配列を含む第一プライマーと接触させ、さらに該核酸断片を、段階(c)で決定された配列に相補的なヌクレオチド配列を含む第二核酸プライマーと接触させる段階、および
(j) 段階(c)および段階(d)を繰り返す段階、をさらに含む方法。 - 請求項5記載の方法において、段階(g)の核酸断片が、該断片を制限酵素で切断することによって得られたものである方法。
- 請求項1記載の方法において、段階(d)のPCRサイクルが少なくとも5回繰り返される方法。
- 請求項1記載の方法において、段階(b)が、ポリメラーゼがPCRのプライマー伸長段階で用いられる温度特異的な態様において、ポリメラーゼに可逆的に結合しポリメラーゼ活性を阻害する抗体を加える段階をさらに含む方法。
- 核酸断片の混合物中の非標的核酸断片の増幅を選択的に抑制するための方法において、
(a) ヘテロポリヌクレオチドプライマー結合配列およびヘテロポリヌクレオチド抑制配列を含む第一PCR抑制アダプターを、第一核酸試料中の核酸断片の末端にライゲーションにより接続する段階であって、該アダプターが該核酸断片にライゲーションより接続される時に該抑制配列が該プライマー結合配列より該第一核酸断片の近傍側に位置するように、該アダプターが設計されている段階、およびヘテロポリヌクレオチドプライマー結合配列およびヘテロポリヌクレオチド抑制配列を含む第二PCR抑制アダプターを、第二核酸試料中の核酸断片の末端にライゲーションにより接続する段階であって、該アダプターが該核酸断片にライゲーションにより接続される時に該抑制配列が該プライマー結合配列より該第二核酸断片の近傍側に位置するように、該アダプターが設計されている段階、
(b) 第一および第二核酸試料を合わせて、核酸断片混合物を作成する段階、
(c) 該核酸断片を変性させ、再アニールさせる段階、
(d) 核酸混合物を、該第一アダプターのヌクレオチド配列の一部に相補的なヌクレオチド配列を含む第一核酸プライマーと接触させ、核酸混合物を、該第二アダプターのヌクレオチド配列の一部に相補的なヌクレオチド配列を含む第二核酸プライマーと接触させる段階、
(e) 段階(c)の後に得られた該混合物に、PCRを行うために必要な有効量の試薬を加える段階、ならびに
(f) 段階(e)の後に得られた混合物に対して、PCRの変性段階、アニーリング段階およびプライマー伸長段階を少なくとも1回繰り返す段階、を含む方法。 - 請求項9記載の方法において、アダプターおよび核酸断片が二本鎖の核酸を含み、段階(e)が、該核酸断片の変性および再アニーリングの後に該アダプターの一本鎖部位を二本鎖化する段階をさらに含む方法。
- 核酸断片の混合物中の非標的核酸断片の増幅を選択的に抑制するための方法において、
(a) 核酸試料を、第一および第二核酸試料に分ける段階、
(b) ヘテロポリヌクレオチドプライマー結合配列およびヘテロポリヌクレオチド抑制配列を含む第一PCR抑制アダプターを、該第一核酸試料中の核酸断片の末端にライゲーションにより接続する段階であって、該アダプターが該核酸断片にライゲーションにより接続される時に該抑制配列が該プライマー結合配列より該核酸断片の近傍側に位置するように、該アダプターが設計されている段階、およびヘテロポリヌクレオチドプライマー結合配列およびヘテロポリヌクレオチド抑制配列を含む第二PCR抑制アダプターを、該第二核酸試料中の核酸断片の末端にライゲーションにより接続する段階であって、該アダプターが該核酸断片にライゲーションにより接続される時に該抑制配列が該プライマー結合配列より該核酸断片の近傍側に位置するように、該アダプターが設計されている段階、
(c) 該核酸断片を変性し、再アニールさせる段階、
(d) 第一および第二核酸試料を合わせて、該核酸断片混合物を作成する段階、
(e) 該酸混合物を、該第一アダプターのヌクレオチド配列の一部に相補的なヌクレオチド配列を含む第一核酸プライマーと接触させ、核酸混合物を、該第二アダプターのヌクレオチド配列の一部に相補的なヌクレオチド配列を含む第二核酸と接触させる段階、
(f) 段階(e)の後に得られた混合物に、PCRを行うために必要な有効量の試薬を加える段階、ならびに
(g) 段階(f)の後に得られた混合物に、PCRの変性段階、アニーリング段階およびプライマー伸長段階を少なくとも1回繰り返す段階、を含む方法。 - 請求項11記載の方法において、段階(c)の再アニーリング反応が完全には進行しないものである方法。
- 請求項11記載の方法において、第一および第二核酸試料が、段階(b)を行なった後、段階(c)を行なう前に、過剰量の第三核酸試料とそれぞれ別々に接触させられる方法。
- 請求項13記載の方法において、第三核酸試料が、第一および第二核酸試料の少なくとも一方の核酸断片に相補的な核酸配列を含んでいる方法。
- 請求項11記載の方法において、アダプターおよび核酸断片が二本鎖の核酸を含み、段階(c)が、該核酸断片の変性およびアニーリングの後に、該アダプターの一本鎖部位を二本鎖化する段階をさらに含む方法。
- PCR増幅を開始することができるPCRプライマーと相補的であるヘテロポリヌクレオチドプライマー結合配列、およびヘテロポリヌクレオチド抑制配列を含み、核酸断片に接続することができるPCR抑制アダプターであって、該アダプターが少なくともその一部が二本鎖であり、該抑制配列が、該アダプターが該核酸断片に接続される時に該プライマー結合配列より該核酸断片の近傍側に位置する、アダプター。
- 請求項16記載のPCR抑制アダプターにおいて、Na21-St19(配列番号1)、Lu4-St11(配列番号2)、Na23-St7(配列番号3)、Lu3-St24(配列番号4)、T7-NotSrf(配列番号5)、T7-NotSrfA(配列番号6)およびAd1SGT(配列番号7)からなる群から選択されるPCR抑制アダプター。
- 核酸断片のPCR増幅のためのプライマーにおいて、請求項16のPCR抑制アダプターのポリヌクレオチド配列に相補的なポリヌクレオチド配列を含むプライマー。
- 請求項18記載のプライマーにおいて、St19(配列番号10)、St1(配列番号11)、Na23(配列番号12)、Lu3(配列番号13)、Na21(配列番号14)、T7(配列番号15)、Na1SGT(配列番号16)、NotSrf1(配列番号17)、NotSrf4(配列番号18)、Lu4(配列番号19)、およびRI-Not-T30(配列番号20)からなる群から選択されるプライマー。
- 請求項13記載の方法において、段階(d)における核酸断片の混合物が過剰量の第三核酸試料と接触させられる方法。
- 請求項4記載の方法において、増幅産物が、アダプターのヌクレオチド配列の一部に相補的なヌクレオチド配列を含む第三核酸プライマーとさらに接触させられ、該第三核酸プライマーが第一核酸プライマーの下流域にある配列で該アダプターに結合するものである方法。
- 請求項13記載の方法において、固形支持基質上の予め決められた位置に固定化された一定のポリヌクレオチド配列をスクリーニングする段階をさらに含み、該一定のポリヌクレオチド配列が、PCRの段階(g)の後に得られた増幅産物でスクリーニングされる方法。
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