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JP4285027B2 - 熱間矯正方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、厚鋼板の熱間矯正方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
厚鋼板の製造工程は加熱工程、圧延工程、冷却工程及び矯正工程からなる。まず、加熱工程において加熱炉でスラブを所定温度まで加熱し、圧延工程において所定の幅と厚さを有する鋼板に圧延し、冷却工程において圧延された鋼板を冷却して鋼板に所定の機械的性質を付与する。その後、矯正工程において鋼板内部に存在する応力を除去し、鋼板が有する反り等の形状不良を修正し、製品としての厚鋼板を得る。矯正工程では、例えば、ローラレベラを用いた熱間矯正機が用いられている。なお、冷却工程の前に矯正工程を行う製造工程もある。
【0003】
鋼板の熱膨張量はその温度によって異なっているので、熱間矯正機を用いた熱間矯正中に鋼板の温度分布が不均一になると、熱間矯正後に放冷された鋼板に生じる体積変化量も不均一となり、新たな変形が鋼板に生じ、矯正工程を経た鋼板に改めて矯正処理を施さねばならない。特に、ローラレベラを用いた熱間矯正機を使用する場合、スケール除去やロール冷却のために水が使用され、この水が鋼板を部分的に冷却し、熱間矯正中の鋼板の表面側と裏面側との間に温度差を生じさせ、反りを発生させやすい。
【0004】
また、鋼板の材質制御を目的として、圧延工程で制御圧延を行い、鋼板温度と圧下率とを制御する場合がある。冷却工程でも、鋼板の材質制御を目的として冷却速度を高速化して制御冷却を行う場合がある。材質制御された鋼板には、熱間矯正中に鋼板の表面側と裏面側との間で温度分布の均一性が僅かに崩れると、大きな反りを発生するものが存在する。
【0005】
そこで、熱間矯正を施した鋼板に形状不良が残存し、再度、鋼板を矯正することを防止するために、厚鋼板を熱間矯正する際の矯正方法(従来技術1)が提唱されている(例えば、特許文献1を参照)。従来技術1の矯正方法は、熱間圧延後の厚鋼板を熱間矯正する際、熱間圧延後に厚鋼板の表面温度を測定し、この測定結果を用いて熱間矯正中の厚鋼板の温度分布を制御する方法であって、熱間矯正中の厚鋼板の最高温度をA1変態点より30℃下の温度以下に制御するものである。
【0006】
なお、以下の説明において、鋼板に生じる反りの量を次のように定義する。図8に示すように、鋼板の表面を上向きにして鋼板を水平面上に載置する。載置された鋼板の表面の最高位置と最低位置との高さの差が反り量となる。鋼板の両端が反り上がった場合の反り量を正とし(図8(i)を参照)、両端が反り下がった場合の反り量を負とする(図8(ii)を参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開平11−290946号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来技術1の方法では、全ての鋼種の厚鋼板に対して、矯正処理中の厚鋼板の最高温度をA1変態点より30℃下の温度以下に制御している。鋼種によっては、熱間矯正中に厚鋼板の最高温度がA1変態点より30℃下の温度を上回っても、放冷後の厚鋼板に生じる反り量が許容範囲内にある場合がある。かかる場合にまで厚鋼板の最高温度を制御する必要はなく、かえって、矯正工程に要する処理時間が長びかせ、厚鋼板の生産効率を阻害する原因となる。
【0009】
本発明は、上記した従来の技術の問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、鋼種と反り許容量に応じて適切な処理温度で熱間矯正を鋼板に施すことができ、熱間矯正後の鋼板に生じる反り量を所定の許容範囲内に抑えることが可能な熱間矯正方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、その課題を解決するために以下のような構成をとる。請求項1の発明に係る熱間矯正方法は、熱間矯正中の鋼板の表裏面の各温度及び前記表裏面間に生じた温度差と、熱間矯正中に前記各温度を呈する鋼板を放冷して発生する反り量との関係から、許容範囲を超える反り量を発生させる熱間矯正中の鋼板の表面温度範囲を矯正禁止温度域として鋼種別に取得し、熱間矯正前の鋼板の表面及び裏面温度から、熱間矯正中にその鋼板が呈するであろう推定表面温度を算出し、前記推定表面温度が前記矯正禁止温度域外にある鋼板に熱間矯正を施すことを特徴としている
また、請求項2の発明に係る熱間矯正方法は、請求項1記載の熱間矯正方法において、前記推定表面温度が前記矯正禁止温度域内にあるときは、この推定表面温度が前記矯正禁止温度域外になるまで矯正前で待機させることを特徴としている。
【0011】
鋼の温度と熱膨張量との間に成立する相関曲線の形状は鋼種に応じて異なる。そして、熱間矯正中の鋼板温度と、熱間矯正中に鋼板の表裏面間に生じる温度差とから、熱間矯正後に放冷された鋼板に生じる反り量を、鋼種ごとに算出可能である。したがって、鋼板の鋼種と、製品の鋼板に求められる平坦度に応じて、この平坦度の範囲を超えた反り量を生じさせるような熱間矯正中の鋼板表面温度の範囲が矯正禁止温度域として定まる。
【0012】
この矯正禁止温度域外で熱間矯正を鋼板に対して施すことにより、熱間矯正後に鋼板に生じる反り量は許容範囲内に収まる。また、矯正禁止温度域は、鋼板の鋼種と許容反り量に応じて定まり、矯正工程における熱間矯正処理の作業効率が向上する。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態の一例を図面に基づいて説明する。
まず、図1及び図2を参照して本実施の形態の一例の構成を説明する。
図1に示すように、厚鋼板Bの製造工程10は、上流側から順に加熱工程12、圧延工程14、冷却工程16及び矯正工程18からなる。加熱工程12の図示しない加熱炉、圧延工程14の図示しない圧延機及び冷却工程16の図示しない水冷装置は、従来の各工程で使用されているものと同様の構成を有する。
【0014】
矯正工程18には熱間矯正機20が設置されている。熱間矯正機20は多数本の矯正ロールを有し、熱間矯正機20内に入った厚鋼板Bを表面と裏面とから押圧して熱間矯正可能となっている。
製造工程10内の各工程の間は、搬送ロールを有する搬送機によって連続しており、一つの工程を終了した厚鋼板Bはこれらの搬送ロール上を滑って次の工程へ搬送可能になっている。冷却工程16の水冷装置の出口と熱間矯正機20の入口との間には搬送装置36aが設置されており、熱間矯正機20の出口には搬送装置36bが設置されている。搬送装置36aは、後述の演算部30から受信する稼動信号Sm又は停止信号Ssに従って稼動と停止を行い、厚鋼板Bが熱間矯正機20に入るタイミングを制御可能となっている。
【0015】
熱間矯正機20は、稼動信号Sm及び停止信号Ssの送信のタイミングを制御するために制御機構22を有する。制御機構22はデータ入力部24、データ受信部26、メモリ28及び演算部30とからなる。
データ入力部24は、厚鋼板Bに関するサイズD、鋼種K及び反り許容範囲Cとを外部から入力可能となっている。
【0016】
データ受信部26は、熱間矯正機20の入口前に設置された温度計38を介して、熱間矯正機20に入る前の厚鋼板Bの表面温度Tf1と裏面温度Tb1の情報を受信可能となっている。
メモリ28はRAM32とROM34とを有する。RAM32は、データ入力部24から受信するサイズD、鋼種K及び反り許容範囲Cと、データ受信部26から受信する表面温度Tf1と裏面温度Tb1の各情報を記憶可能となっている。
【0017】
ROM34は、鋼温度と鋼の体積膨張率との間に成立する相関曲線の形状を数値化して表したデータテーブルTを鋼種ごとに記憶している。
演算部30は、RAM32とROM34に記憶されている情報に基づいて、厚鋼板Bの矯正禁止温度域Zを算出可能となっており、矯正禁止温度域Zと表面温度Tf1を比較判断し、この判断結果にしたがって、搬送装置36aへ稼動信号Sm又は停止信号Ssを送信可能となっている。
【0018】
本実施の形態は上記のように構成されており、次にその作用について説明する。
加熱工程12の加熱炉でスラブは所定温度まで加熱され、圧延工程14で厚鋼板Bは制御圧延等を施されて所定の幅と厚さまで圧延され、冷却工程16で厚鋼板Bは制御冷却等を施されて所定の機械的性質を付与される。冷却工程16を終了した厚鋼板Bは、冷却工程16までの各工程で生じた反り等の形状不良を有している。
【0019】
冷却工程16を終了した厚鋼板Bは、搬送装置36aの上に載置され、熱間矯正機20の入口前まで搬送される。この搬送されてきた厚鋼板BのサイズD、鋼種K及び反り許容範囲Cがデータ入力部24に入力され(図2のS1)、サイズD、鋼種K及び反り許容範囲Cの情報がメモリ28のRAM32に記憶される。そして、熱間矯正機20の入口前で、温度計38が厚鋼板Bの表面温度Tf1と裏面温度Tb1を測定し(図2のS2)、表面温度Tf1と裏面温度Tb1の情報がデータ受信部26を介してメモリ28のRAM32に送られて記憶される。
【0020】
次いで、演算部30が表面温度Tf1、裏面温度Tb1、サイズD、鋼種K及び反り許容範囲Cの各情報をRAM32から読み出すとともに、読み取った鋼種Kの情報に基づいて、鋼種Kに対応するデータテーブルTをメモリ28のROM34から読み出す。
そして、演算部30は、搬送装置36a上の厚鋼板Bが熱間矯正機20内に入ったと仮定し、熱間矯正機20内で厚鋼板Bが呈する温度分布を計算により推定する。この計算は、演算部30が読み取った表面温度Tf1、裏面温度Tb1、サイズD、鋼種Kを用いて行われる。計算結果より、熱間矯正機20内における厚鋼板Bの表面予想温度Tf2、裏面予想温度Tb2及び表裏面間の予想温度差ΔTが得られる(図2のS3)。
【0021】
そして、演算部30は、鋼種K及び予想温度差ΔTに対応する後述の矯正禁止温度域ZがRAM32に記憶されているか否かを確認する(図2のS4)。
RAM32に矯正禁止温度域Zの情報が存在しない場合は、演算部30は矯正禁止温度域Zを設定する計算を行う。まず、演算部30は、得られた予想温度差ΔTとデータテーブルTとを用いて、熱間矯正機20による厚鋼板Bの熱間矯正中の表面温度と、熱間矯正後に放冷した厚鋼板Bに生じる反り量との間に成立する相関曲線Gを計算して作成する(図2のS5)。
【0022】
相関曲線Gを作成したら、熱間矯正中の表面温度のうちで、反り許容範囲Cを超える反り量を生じさせる温度範囲を、矯正禁止温度域Zとして設定する(図2のS6)。設定された矯正禁止温度域ZはRAM32に送信されて記憶される(図2のS7)。
RAM32に矯正禁止温度域Zの情報が存在する場合は、演算部30は矯正禁止温度域Zの情報をRAM32から読み出す(図2のS8)。
【0023】
そして、演算部30は、表面予想温度Tf2が矯正禁止温度域Z内に含まれているか否かを判断する(図2のS9)。表面予想温度Tf2が矯正禁止温度域Z内にない場合、演算部30は搬送装置36aへ稼動信号Smを送信する(図2のS10)。
搬送装置36aが稼動信号Smを受信すると、搬送装置36a上を厚鋼板Bは搬送されて熱間矯正機20内へ入り、熱間矯正を施される(図2のS11)。熱間矯正機20内で厚鋼板Bは先に演算部30で予想計算した通りの温度分布を呈する。厚鋼板Bは搬送装置36bに搬送されて熱間矯正機20を出て放冷され、製品となる。製品となった厚鋼板Bには、熱間矯正機20内での温度分布に従って反りを生じるが、このときの反り量は反り許容範囲C内に収まっている。
【0024】
S9における判断で、表面予想温度Tf2が矯正禁止温度域Z内にある場合、演算部30は搬送装置36aへ停止信号Ssを送信する(図2のS12)。
搬送装置36aが停止信号Ssを受信すると、搬送装置36a上で厚鋼板Bは停止したままとなり、予め定められた時間tだけ搬送装置36a上で待機する(図2のS13)。時間tが経過した後に、S2に戻って、温度計38が厚鋼板Bの表面温度Tf1と裏面温度Tb1を測定する。そして、厚鋼板BはS9において表面予想温度Tf2が矯正禁止温度域Z外の値であると判断されるまで搬送装置36a上で待機し続ける。
【0025】
したがって、厚鋼板Bが熱間矯正機20内で矯正禁止温度域Z内にあるような条件下にある場合は熱間矯正機20に送り込まれることはなく、熱間矯正機20で熱間矯正された厚鋼板Bに反り許容範囲Cを超える反りが生じることは回避される。また、厚鋼板Bの鋼種Kに応じて矯正禁止温度域Zが定まるので、同種の厚鋼板Bを連続して製造中の製造工程10にあっては、製造工程10内で厚鋼板Bの搬送速度を調整し、厚鋼板Bが熱間矯正機20の入口で待機する時間を零又は最小とし、厚鋼板Bの生産効率を向上させることができる。さらに、製造工程10で製造される厚鋼板Bの種類が変化する場合であっても、各厚鋼板Bについて、それぞれ矯正禁止温度域Zが判断されるので、適切な熱間矯正を厚鋼板Bに施すことができる。
【0026】
なお、本実施の形態において、演算部30が相関曲線Gを計算し作成することとしたが、予め相関曲線Gを計算しておき、相関曲線GのデータをROM34に記憶させておき、演算部30が相関曲線GのデータをROM34から適宜読み出す構成とすることも可能である。
また、熱間矯正機20の入口前で温度計38が厚鋼板Bの表面温度Tf1と裏面温度Tf2を測定するとしたが、表面温度Tf1と裏面温度Tf2をそれぞれ計算により算出することも可能である。
【0027】
次に、本実施の形態に係る制御機構22のメモリ28のROM34に記憶されているデータテーブルT及び演算部30が計算し作成する相関曲線Gの一実施例について説明する。
まず、データテーブルTの一実施例について述べる。鋼種K1からなる鋼丸棒と、鋼種K2からなる鋼丸棒とについて、冷却に伴う体積変化を測定した。鋼種K1の鋼と鋼種K2の鋼の成分組成を表1に示す。
【0028】
【表1】
Figure 0004285027
【0029】
これらの各鋼丸棒は直径3mm、長さ10mmの大きさであり、各鋼丸棒の軸方向長さの冷却に伴う膨張量を体積変化量として測定した。測定結果を図3に示す。図3の横軸は鋼丸棒の温度を示し、縦軸は850℃における鋼丸棒の軸方向長さを基準とした膨張量を示している。
【0030】
図3からわかるように、温度低下に伴って鋼丸棒の軸方向長さが伸張する温度領域と、軸方向長さが収縮する温度領域とが存在する。すなわち、温度によって鋼丸棒の線膨張係数が変化している。図3より、鋼種K1と鋼種K2について各温度における鋼の線膨張係数を計算し、その結果を図4に示す。図4の横軸は鋼の温度を示し、縦軸は鋼の線膨張係数を示す。
【0031】
図3及び図4からわかるように、温度低下に伴って鋼丸棒の軸方向長さが伸張する温度領域とほぼ対応して、負の値の線膨張係数を有する温度領域が存在している。これは、鉄の結晶構造が面心立方構造のγ鉄と体心立方構造のα鉄との間で相変態するからである。温度低下に伴ってγ鉄からα鉄へ相変態を起こすと、鋼丸棒は体積膨張し、軸方向長さが伸張する。鋼種K1は狭い温度範囲でγ鉄からα鉄へ急激に相変態を起こし、鋼種K2は広い温度範囲でγ鉄からα鉄へ穏やかに相変態を起こすので、相変態を起こす温度域における線膨張係数の絶対値の大きさは、鋼種K1の方が鋼種K2よりも大きい。
【0032】
図4に示される鋼種別の線膨張係数と温度の関係を数値化したものが、データテーブルTの内容をなす。
次に、相関曲線Gの一実施例について述べる。前述の鋼種K1からなる厚鋼板Bであって、板厚が30mm、板幅が3000mmのものについて、熱間矯正中に、表面と裏面との温度差ΔTが10℃となるものとし、裏面温度が表面温度よりも低いものとする。
【0033】
この厚鋼板Bを板厚方向と板幅方向に要素分割して有限要素モデルを作り、図4の線膨張係数と温度の関係を用いて、厚鋼板Bの熱間矯正中の表面温度と、熱間矯正後に放冷した厚鋼板Bに生じる反り量との関係を計算した。この計算結果を図5に示す。図5の横軸は厚鋼板Bの熱間矯正中の表面温度を示し、縦軸は厚鋼板Bに生じる反り量を示す。この図5に示される曲線が、前述条件下における鋼種K1からなる厚鋼板Bの相関曲線Gである。
【0034】
同様にして、前述の鋼種K2からなる厚鋼板Bについても相関曲線Gを作成し、図5上に示す。
今、厚鋼板Bに許容される反り許容範囲Cを−10mmから+10mmとする。図5より、鋼種K1の厚鋼板Bについては、熱間矯正中の表面温度が650〜670℃の範囲内にあると、熱間矯正後に生じる反り量が反り許容範囲Cを超えてしまうことがわかる。したがって、この650〜670℃の範囲が鋼種K1の厚鋼板Bの矯正禁止温度域Zとなる。
【0035】
また、図5より、鋼種K2の厚鋼板Bについては、熱間矯正後の反り量が−10mmから+10mmの反り許容範囲Cを逸脱することはないことがわかる。すなわち、鋼種K2の厚鋼板Bには矯正禁止温度域Zが存在しない。したがって、鋼種K2の厚鋼板Bを熱間矯正機の入口で待機させる必要がなく、連続して熱間矯正を施すことが可能である。
【0036】
次に、本実施の形態に係る熱間矯正方法において、矯正禁止温度域Zを設定して熱間矯正することの作用効果を検証するために、熱間矯正後に厚鋼板Bに生じる反り量を、熱間矯正中の厚鋼板Bの表面温度を変化させて調べた。厚鋼板Bは鋼種K1により形成し、板厚を30mm、板幅を3200mm、反り許容範囲Cを−10mmから+10mmとした。この厚鋼板Bの矯正禁止温度域Zは640〜678℃である。結果を図6に示す。図6の横軸は厚鋼板Bの熱間矯正中の厚鋼板Bの表面温度を示し、縦軸は厚鋼板Bに生じる反り量を示す。
【0037】
図6より、矯正禁止温度域Z内で熱間矯正を施すと、反り許容範囲Cを逸脱する反り量が多く発生し、矯正禁止温度域Z外で熱間矯正を施すと、厚鋼板Bの反り量は反り許容範囲C内に収まることがわかる。したがって、矯正禁止温度域Zを設定し、矯正禁止温度域Z外で熱間矯正することで、反り許容範囲Cを逸脱する反り量の発生を回避できることが確認された。
【0038】
次に、本実施の形態に係る熱間矯正方法の作用効果を検証するために、板厚と板幅がばらついた100枚の厚鋼板Bについて、冷却工程16の終了後、本方法を用いて熱間矯正を施し、熱間矯正後に生じる反り量を調べた(発明例)。この厚鋼板Bを鋼種K1により形成した。鋼種K1は狭い温度範囲でγ鉄からα鉄へ急激に相変態を起こし、この温度範囲で鋼種K1の厚鋼板Bに熱間矯正を施すと、熱間矯正後に顕著な反りを生じる。厚鋼板Bの板厚は25〜65mm、板幅は2500〜3500mmである。また、反り許容範囲Cを−10mmから+10mmとした。
【0039】
比較のために、鋼種K1からなる同様の100枚の厚鋼板Bに、発明例における冷却工程16と同条件下で冷却工程16を終了した後、直ちに熱間矯正を施した(従来例)。
発明例と従来例の各結果を図7に示す。図7の横軸は厚鋼板Bに生じる反り量を示し、縦軸は各反り量が発生した頻度を示す。図7より、発明例においては、全ての厚鋼板Bの反り量は反り許容範囲C内に収まっているが、従来例では反り許容範囲C内の厚鋼板Bは84%に留まっていることがわかる。したがって、本実施の形態に係る熱間矯正方法を使用して熱間矯正すると、板厚と板幅のばらつきにかかわらず、反り許容範囲C内に収まった厚鋼板Bを製造できることが確認された。
【0040】
【発明の効果】
本発明は、上記のような熱間矯正方法であるので、鋼種と反り許容量に応じて適切な処理温度で熱間矯正を鋼板に施すことができ、熱間矯正後の鋼板に生じる反り量を所定の許容範囲内に抑えることが可能な熱間矯正方法を提供できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る厚鋼板の製造工程の構成図である。
【図2】制御機構における処理フロー図である。
【図3】鋼種K1、K2の各鋼丸棒の冷却に伴う膨張量変化の測定結果図である。
【図4】鋼種K1、K2の各鋼の温度と線膨張係数の関係図である。
【図5】鋼種K1、K2の各鋼板の熱間矯正中の表面温度と、発生する反り量との関係図である。
【図6】鋼種K1の鋼板の熱間矯正中の表面温度と、発生する反り量との関係図である。
【図7】熱間矯正後の鋼板に発生する反り量の頻度分布図である。
【図8】反り量の説明図である。
【符号の説明】
10 製造工程
12 加熱工程
14 圧延工程
16 冷却工程
18 矯正工程
20 熱間矯正機
22 制御機構
24 データ入力部
26 データ受信部
28 メモリ
30 演算部
32 RAM
34 ROM
36a、36b 搬送装置
38 温度計
B 厚鋼板
D 厚鋼板のサイズ
K、K1、K2 鋼種
C 反り許容範囲
Tf1、Tf2 厚鋼板の表面温度
Tb1、Tb2 厚鋼板の裏面温度
ΔT 厚鋼板の表裏面温度差
G 相関曲線
Z 矯正禁止温度域
Sm 稼動信号
Ss 停止信号

Claims (2)

  1. 熱間矯正中の鋼板の表裏面の各温度及び前記表裏面間に生じた温度差と、熱間矯正中に前記各温度を呈する鋼板を放冷して発生する反り量との関係から、許容範囲を超える反り量を発生させる熱間矯正中の鋼板の表面温度範囲を矯正禁止温度域として鋼種別に取得し、
    熱間矯正前の鋼板の表面及び裏面温度から、熱間矯正中にその鋼板が呈するであろう推定表面温度を算出し、
    前記推定表面温度が前記矯正禁止温度域外にある鋼板に熱間矯正を施ことを特徴とする熱間矯正方法。
  2. 前記推定表面温度が前記矯正禁止温度域内にあるときは、この推定表面温度が前記矯正禁止温度域外になるまで矯正前で待機させることを特徴とする請求項1記載の熱間矯正方法。
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