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JP4282284B2 - 履帯 - Google Patents

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JP4282284B2
JP4282284B2 JP2002226573A JP2002226573A JP4282284B2 JP 4282284 B2 JP4282284 B2 JP 4282284B2 JP 2002226573 A JP2002226573 A JP 2002226573A JP 2002226573 A JP2002226573 A JP 2002226573A JP 4282284 B2 JP4282284 B2 JP 4282284B2
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  • Chemical & Material Sciences (AREA)
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  • Transportation (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Sliding-Contact Bearings (AREA)
  • Powder Metallurgy (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、油圧ショベル、ブルドーザ等の建設、土木用機械に用いられる履帯関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、建設機械の履帯50は、図17(a)に示されるように、履帯シュー51と、この履帯シュー51にボルトで固定された一対の履帯リンク52,53と、この履帯リンク52,53に形成された穴部に圧入・嵌合される履帯ブッシュ54と、この履帯ブッシュ54内に挿入され、かつ履帯リンク52,53の穴部に圧入・嵌合される履帯ピン55よりなり、履帯リンク52,53間に圧入される履帯ブッシュ54に駆動輪の歯形状のスプロケットが噛み合うことにより履帯50を回転させて、建設機械を走行させるようにされている。また、図17(b)に示されるように、履帯ブッシュ54の端部と履帯ピン55との間にシール装置56を配置して、履帯ブッシュ54と履帯ピン55との間に土砂や泥水の浸入を防止し、履帯ブッシュ54内周面と履帯ピン55外周面の摩耗寿命を改善するようにされている。
【0003】
なお、前記履帯ブッシュは、図18に示されるように、浸炭焼入れ法や高周波焼入れ法によってその内外周面は硬化されており、例えば、内外周を高周波焼き入れし、端面部に軟質層が出現し、後述の乾式履帯に使われる図中の(a)型、外周面の硬化深さを顕著に深くし、端面部に軟質層が出現するが、外周面からの硬化層幅が広く取れるようにし、後述の湿式履帯にも使われる図中の(b)型、浸炭焼入れ法などによって内外周面、端面部表面が連続して硬化され、後述の湿式履帯にも使われる図中の(c)型、および、焼入れで全体硬化させた後に、内周面からの高周波焼入れを実施することによって外周面側と端面部表面に深い硬化層を形成させるとともに、内周面に続く焼戻し軟化層と浅い内周硬化層を形成させ、後述の湿式履帯にも使われる図中の(d)型等が利用されている。また、履帯ピンにおいてもその外周面は同様の熱処理によって硬化されており、履帯の強化と耐摩耗性の向上を図っている。
【0004】
また、走行中の駆動輪と遊動輪部位においては、履帯ブッシュ54とその内周部に挿入した履帯ピン55との間において、それら履帯ブッシュ54と履帯ピン55の周方向への回転が発生し、両者が接触してすべる状態(摺接状態)では、その摺接時の鳴き音、焼付き音等の異音(不快音)が発生しやすく、これらの異音発生や焼付きによる履帯ブッシュおよび履帯ピンの強度低下を防止するために、履帯ブッシュ内径に対して履帯ピンの外径をより小さめに調整するようにされている。
【0005】
さらに、高速走行するブルドーザでは、履帯ブッシュと履帯ピン間に潤滑油を封入した湿式履帯を利用して、前記不快音の発生を抑えるとともに、履帯ピンと履帯ブッシュ間の焼付きを防止することが図られているが、このような湿式履帯構造は高価なものになるため、油圧ショベル等のように高速走行性の必要性が少ない履帯では、潤滑油を封入しない乾式履帯が一般的に使用されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前述のような建設機械では、乾式および湿式履帯を問わず、履帯の履帯ピンと履帯ブッシュには極めて大きな偏荷重が作用することが知られており、一組の履帯ピンと履帯ブッシュに車体重量(W)の1倍以上の荷重が頻繁に作用し、さらに、硬い障害物を乗り越える場合等ではその荷重が3倍(3W)以上にも及ぶことがある。
【0007】
この偏荷重がかかりやすい部位においては履帯ブッシュと履帯ピンのクリアランスが大切であり、強度的な観点からはそのクリアランスを狭めて偏荷重を履帯ブッシュと履帯ピンの両者で支えることが好ましいが、前述のように履帯ブッシュと履帯ピン間にすべりが発生する場合には焼付きが起こり、逆に例えば、履帯ブッシュ内周面からの破損が起こりやすくなることなどが問題になる。また、当然、履帯ブッシュと履帯ピンとのクリアランスを大きくするほど焼付きの問題は軽減されるものの、履帯ブッシュが破損され易くなるという問題が生じ、また履帯ブッシュを強化するために履帯ブッシュをより大型化しなければならないという問題が生じる。
【0008】
このような観点から、多くの場合においては履帯ブッシュと履帯ピンとの間隙は直径差で0.4〜1.2mmの間で設定されているが、油圧ショベルが凸凹面を連続走行する場合やブルドーザが高速走行する場合のように偏荷重が大きくなった場合には、図19に模式的に示されるような焼付きが起こることが避けられず、また両者間の間隙が大きい場合には履帯ブッシュの折損が多発するという問題がある。
【0009】
とりわけ、前記偏荷重による接触部では高面圧化し、かつ、摺動速度が極めて遅く、往復摺動条件で使われるために、潤滑油を封入している湿式履帯においても、容易に焼付きを発生し、時には過熱によるオイルシールの破壊が起こり、潤滑油漏れ不具合や焼付き部から履帯ブッシュと履帯ピンの折損が発生するという問題がある。
【0010】
また、このような焼付き現象の対策として、履帯ピンおよび履帯ブッシュは高周波焼入れ法や浸炭焼入れ法によって顕著に摺動面が硬化されているが、更なる対策のためには履帯ピン表面や履帯ブッシュ内周面に燐酸皮膜処理や炭化物、窒化物、超硬、固体潤滑材(MoSや黒鉛)等のコーティング処理を施して利用することが考えられる。しかし、これらの表面改質層を厚く形成することが困難であるため(厚さが10μm程度)、十分な寿命改善につながらず、また高価になることが問題となる。
【0011】
一方、潤滑油を封入している湿式履帯においては、履帯ピンにオイル穴を形成させ、図19に示されるように偏荷重のかかりやすい位置に優先的に潤滑油が供給できるようにされている。しかし、履帯ピンの偏荷重最大位置にオイル穴をあけることは履帯ピン強度を劣化させることにつながり、履帯の高強度化の観点からは望ましくない問題があり、履帯ピンの折損問題が発生している。
【0012】
なお、特開2001−88755号公報においては、履帯ブッシュと履帯ピンとの間に土砂が侵入したときでも、履帯ブッシュ内周面と履帯ピン外周面の摩耗を最小限に抑え、その耐久性、寿命を向上することを目的として、1)履帯ブッシュの内周面側には周方向に離間して軸方向に延びる複数の異物捕捉溝を設けた履帯、2)履帯ブッシュ内周面に硬質な樹脂材料を用いた樹脂層を設け、その樹脂層に周方向に離間して軸方向に延びる複数の異物捕捉溝を設けた履帯、3)履帯ブッシュの内周面側には周方向に離間して軸方向に延びる複数の異物捕捉溝に硬質な樹脂材料からなる摺動子を設け、この摺動子によって履帯ピンを摺動可能に支持するとともに、履帯ブッシュ内周面と履帯ピンの外周面との間には周方向に間隔をもって、複数の空間部を設ける構造とした履帯が開示されている。
【0013】
さらに、前記公報には、前記硬質な樹脂材料として、摺動特性の優れている超高分子ポリエチレン樹脂が利用されること、および前記複数の異物捕捉溝や空間部に履帯ブッシュと履帯ピンとの間を潤滑するグリースを充填し、利用することが開示されている。
【0014】
しかし、前記履帯ブッシュ内周面の周方向に離間して軸方向に延びるように複数の異物捕捉溝を設けた履帯ブッシュでは、この捕捉溝が前述の偏荷重による履帯ブッシュの円環つぶし破壊の進行方向と平行となり、溝部が顕著な応力集中元となるために、その破損強度を顕著に低下させることになってしまう。
【0015】
また、前述のように一本の履帯ブッシュに1W以上の荷重がかかる場合に、前記硬質な樹脂層を設けた履帯ブッシュでは、樹脂層にかかる圧力が過大になって、樹脂層が十分な硬さと強度を持たないことからへたりを防ぐことができず、へたりによってはみ出した樹脂層が履帯のシール装置のシール性を阻害する危険性がある。さらに、高面圧下での履帯ピンとのすべりによって顕著に摩耗することや、樹脂層自身が履帯ブッシュの強度向上にほぼ寄与しないことから、樹脂層厚さの分だけ、履帯ブッシュの強度を低下させる問題がある。このため、できる限り履帯ブッシュを大きくしないで、コンパクトな履帯を設計することが望まれている。
【0016】
本発明は、前述のような問題点に鑑みてなされたもので、走行時の履帯強度を低減させることなく、履帯ブッシュと履帯ピンの潤滑性を改善し、走行時発する軋み音や焼付きを防止することのできる履帯提供することを目的とするものである。より詳しくは、履帯ブッシュと履帯ピンから形成される間隙に耐摩耗性に良好な金属系摺動部材を配置し、走行時にかかる履帯ブッシュ内周面での破壊応力に対してその金属系摺動部材を介し、摺接する履帯ピンからの反力で履帯ブッシュの破損を防止することと、さらに、走行時の履帯ブッシュと履帯ピン間の摺接によって発生する鳴き音、焼付き音を防止すること、および、スプロケットとの噛み合い時などに発生する打撃音の吸音することによって、静寂で、高強度、耐摩耗性に優れた履帯提供するものである。
【0017】
【課題を解決するための手段および作用・効果】
前記問題点を解決するために、第1発明による履帯は、
外周部または外周部と内周部とが表面硬化された円筒状履帯ブッシュと、その履帯ブッシュの内周側に配置される履帯ピンと、前記履帯ブッシュおよび前記履帯ピンと別体で、前記履帯ブッシュと前記履帯ピンの間の間隙に配される少なくとも1層からなる金属部材からなり、
この金属部材のうちの少なくとも1層が潤滑油および/または潤滑材を蓄えることのできる構造をもつ金属系摺動部材であり、この金属系摺動部材は、ヤング率が鋼よりも低く、5〜30体積%の通気孔を有する銅系焼結摺動材料からなり、この通気孔中に潤滑油が含浸されてなり、
前記銅系焼結摺動材料は、5〜12重量%のAlと、0.3〜5重量%のTiとを含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなる銅系焼結材料用混合粉末を圧縮成形して焼結し、それに続いて得られた焼結体を再圧縮および再焼結する工程を1回以上繰り返して得られるCu−Al−Ti系焼結摺動材料である
ことを特徴とするものである。
【0018】
また、第2発明による履帯は、
外周部または外周部と内周部とが表面硬化された円筒状履帯ブッシュと、その履帯ブッシュの内周側に配置される履帯ピンと、前記履帯ブッシュおよび前記履帯ピンと別体で、前記履帯ブッシュと前記履帯ピンの間の間隙に配される少なくとも1層からなる金属部材からなり、
この金属部材のうちの少なくとも1層が潤滑油および/または潤滑材を蓄えることのできる構造をもつ金属系摺動部材であり、この金属系摺動部材は、ヤング率が鋼よりも低く、5〜30体積%の通気孔を有する銅系焼結摺動材料からなり、この通気孔中に潤滑油が含浸されてなり、
前記銅系焼結摺動材料は、5〜12重量%のAlと3〜6重量%のSnと、Ti、Ni、Co、Si、Fe、Pの1種以上0.5〜5.0重量%の範囲で含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなるCu−Al−Sn系焼結摺動材料である
ことを特徴とするものである。
【0019】
前記各発明によれば、履帯ブッシュと履帯ピンから形成される間隙に潤滑油および/または潤滑材を蓄えることのできる構造をもつ金属系摺動部材が配置されているので、偏荷重がかかりやすい部位においては履帯ブッシュと履帯ピンのクリアランスが狭められ、偏荷重を履帯ブッシュと履帯ピンの両者で支えることによって、従来以上の履帯強度が確保されるとともに、高荷重下での履帯ピンと履帯ブッシュ間のかじりや焼付きが防止され、これによって異音の発生を防止することができる。
【0020】
より具体的には、履帯ブッシュと履帯ピンとの間隙は、通常、直径差で0.4〜1.2mmの間で設定されており、前記偏荷重が大きくなった場合には焼付きが起こることが避けられない問題と、その間隙が大きくなるほど履帯ブッシュの折損が多発する問題があるが、本発明では、耐焼付き性に優れた金属系摺動部材を履帯ブッシュと履帯ピン間に介在させることによって焼付きが防止されるとともに、偏荷重時に履帯ブッシュ内周面にかかる変形が内周面に接触する金属系摺動部材で緩和されることによって履帯ブッシュの破損が防止される。
【0021】
また、前記履帯ブッシュとスプロケットとの噛み合い時などに発生する打撃音は、履帯ブッシュに内接する前記金属系摺動部材が振動することによって吸音されるため、静寂性の優れた履帯を提供することができる。とりわけ、この吸音性を高めるためには、複数層の金属系摺動部材または金属系摺動部材と1層以上の制振材を履帯ブッシュ内周部に圧入、カシメ、接着などの方法により一体化することによって、金属系摺動部材間または金属系摺動部材と制振材間の振動、微細なすべりによってより吸音効果が高められることは明らかである。
【0022】
なお、履帯ブッシュ内周部に複数層の金属系摺動部材を一体化する場合においては、履帯ピンと摺動する側には金属系摺動部材が不可欠であるが、履帯ブッシュ内周面側の摺動しない側には摺動特性が優れなくとも制振性の高い金属系材料を利用できることは明らかである。
【0023】
特に、乾式履帯では潤滑油もしくはグリース等の潤滑材を蓄えることのできる構造の金属系摺動部材を用いることによって、より金属系摺動部材の潤滑性を高める効果は大きく、さらに、この改善効果の長期化を図るためには潤滑油もしくはグリースなどの潤滑材を長期にわたって蓄えることができる構造であることが好ましいことは明らかである。
【0024】
また、前記各発明によれば、潤滑油および/またはグリース等の潤滑材を蓄えることのできる構造の金属系摺動部材として、気孔が均一に分散されている金属系焼結摺動材料を用い、その気孔中に潤滑油を含有させることによって、摺動面での潤滑性と吸音性の改善を図ることができる。ここで、この金属系焼結摺動材料の気孔率は、それぞれの気孔が開空孔化され、焼結体中での潤滑油の移動がスムーズに起こるために必要な5体積%以上とし、またその金属系焼結体強度の観点からして30体積%以下とするのが良い。
【0025】
また、履帯ブッシュ、履帯ピン間に挿入される銅系摺動材料が容易に摩耗される場合には、その摩耗粉がダストシールやオイルシールを破損することが予想されるために、銅系摺動材料または銅系摺動材料としては図20に示した従来の結果から分かるように、硬さがHv130以上の硬質な耐摩耗性に優れた材料であることがより好ましいことは明らかである。例えば代表的な耐摩耗性銅系鋳造材料としては、Cu−Znをベースにした高力黄銅系およびCu−AlをベースにしたAl青銅系等の材料が良く知られている。
【0026】
しかし、これらの例えば高力黄銅系を、前記のように含油できる焼結材料とする場合には、焼結途中でZnが極めて蒸発しやすく、またAl青銅系についても、Alにより焼結時に異常な膨張性を示すために、摺動材料としての十分な強度と硬質化を達成するのが難しい問題があった。
【0027】
そこで、第1発明において、前記銅系焼結摺動材料は、5〜12重量%のAlと、0.3〜5重量%のTiとを含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなる銅系焼結材料用混合粉末を圧縮成形して焼結し、それに続いて得られた焼結体を再圧縮および再焼結する工程を1回以上繰り返して得られるCu−Al−Ti系焼結摺動材料とし、第2発明において、前記銅系焼結摺動材料は、5〜12重量%のAlと3〜6重量%のSnと、Ti、Ni、Co、Si、Fe、Pの1種以上0.5〜5.0重量%の範囲で含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなるCu−Al−Sn系焼結摺動材料とした。
【0028】
前記Cu−Al−Ti系焼結摺動材料は焼結によって異常膨張する材料であるが、本発明では加圧成形した粉末成形体を600℃以上の温度で一旦焼結した後に、それを再加圧圧縮して900℃以上の温度で再焼結する工程を少なくとも一回以上繰り返すことによって、前記多孔質性を確保しながらHv130以上の高硬度な焼結材料を得た。
【0029】
また、前記Cu−Al−Sn−Ti系焼結摺動材料においては、Cu−Al−Ti系焼結摺動材料と同様の作り方が可能であるが、Snを添加することによって、焼結時の異常膨張現象を抑制し、その焼結体の緻密化を図ることができる材料であることから、再加圧圧縮工程を実施しないで、薄肉円筒状焼結体を製造することを可能とし、履帯ブッシュ内周面や履帯ピン外周面に圧入して簡便に利用できるようにした。なお、履帯ブッシュ内周面にその薄肉円筒焼結体を圧入する場合、履帯ブッシュ長さより短いその薄肉円筒焼結体を複数個に分けて圧入することが好ましく、さらに、その薄肉円筒焼結体間に空間を設けるようにして、その空間にグリースなどの潤滑材を貯蔵できるようにすることがより好ましい。
【0030】
前記各発明において、前記履帯ブッシュは、履帯リンクに圧入される固定ブッシュと、起動輪の歯が噛合される回転ブッシュとを備え、前記金属部材が前記固定ブッシュおよび/または前記回転ブッシュと前記履帯ピンとの間に配されるものであっても良い(第発明)。このような履帯ブッシュによれば、左右の履帯リンクの捩り剛性を十分に確保することができるとともに、固定ブッシュのみを用いるものに比べて、回転ブッシュを用いることによって起動輪の歯と噛み合う履帯ブッシュ外周部が摩耗するといった不具合の発生を回避することができるという利点がある。
【0031】
本発明において、前記金属系摺動部材には穴加工が施されて、その穴中に潤滑材が保有されていることは、摺動面での均一な潤滑性と長期間の潤滑性の確保に有効であるとともに、前記金属系摺動部材の吸音性を高めるのに好ましい(第発明)。より具体的には、薄肉円筒状の金属摺動部材に各種形状の穴をあけたものや各種形状の穴をあけた板状の金属系摺動部材を丸曲げしたものを利用するのが好ましい。とりわけ、コスト的な観点からすれば、パンチングメタルと称する板状の各種金属部材を丸曲げして用いることが好ましく、摺動特性の観点からすれば例えば青銅、黄銅等の銅系材料が好ましい。また、前記穴部に充填される潤滑材としては、吸音特性の優れる低ヤング率および/または多孔質な特性を有するものが好ましく、黒鉛、硬質ワックス、プラスチックス、含油プラスチックス等が好ましい。
【0032】
なお、この金属系焼結摺動材料を用いる場合には、前述の各種形状の穴が必ずしも必要ではないが、グリースや別の固体潤滑材を含有させるために前記と同様に薄肉円筒状の多孔質金属焼結体に穴をあけて用いることや板状の多孔質金属焼結摺動部材に各種形状の穴をあけたものを丸曲げて用いることが好ましい。
【0033】
なお、多孔質の銅系焼結摺動材料は、そのヤング率が鋼のヤング率の約1/2以下に低いことから、偏荷重時の応力による変形時の履帯ピン、履帯ブッシュとの接触応力を顕著に低減させ、焼付き易さを減じることに重要な役割を果たすとともに、鋼で製作される履帯ブッシュ、履帯ピンに対して化学的にも焼付きにくい材料であって、鋼に対する摺動材料として最も良く利用されている材料系として最も知られているので、本発明において最も適した材料である。
【0034】
前記第4発明において、前記履帯ピンの中心部に軸方向に潤滑油貯蔵穴とその半径方向に潤滑油供給穴とを設けて、これら潤滑油貯蔵穴および潤滑油供給穴を介して使用中に消費される潤滑油を前記金属系焼結摺動材料中へ補給できるようにするのが好ましい(第5発明)。また、前記第発明〜第発明において、前記履帯ピン外周部または履帯ブッシュ内周部に溝を設け、この溝形状に沿うような形状をもつ前記金属系摺動部材を用いることによって、履帯走行時の履帯ブッシュと履帯ピンとで構成される間隙から軸方向への金属系摺動部材の抜け防止が図られるのが好ましい(第6発明)。さらに、前記金属系摺動部材の軸方向への移動を防止するために、前記履帯ピンの両端が圧入されている履帯リンク側面がストッパーとして作用するようにされるのが良い(第7発明)。
【0035】
また、前記金属系摺動部材は、前記履帯ブッシュ内周部に圧入もしくは嵌合されるか、または、前記履帯ピン外周部に嵌合されるのが好ましい(第8発明)。ここで、前記金属系摺動部材は前記履帯ブッシュ内周部に圧入もしくは嵌合された履帯において、履帯ブッシュの両端部近傍内周面にシール装置が取り付けられるのが良い(第9発明)。
【0036】
また、前記各発明において、前記履帯ブッシュとその内周側に配置される履帯ピンから形成される間隙が、両者の直径差で0.4〜2.2mmになるようにし、その間隙に肉厚さが0.1〜1.0mmの金属系摺動部材が配され、全隙間が直径差で1.0mm以下に詰められるのが好ましい(第10発明)
【0037】
さらに、前記Cu−Al−Ti系およびCu−Al−Sn−Ti系焼結摺動材料中に硬質なβ相を出現させた場合において、顕著な耐焼付き性の改善が達せられるので、本発明においては、Cu―Al系状態図で見られる(α+β)二相もしくは(α+β)二相からの冷却材料組織を基本組織として、またはさらに、これらに適切な硬質粒子や黒鉛などの固体潤滑材が分散した組織とすることとした。
【0038】
すなわち、前記第発明または第発明において、前記銅系焼結摺動材料は、その焼結組織において少なくとも硬質なβ相およびα相とβ相が共存した組織となっており、その焼結組織の硬さがHv130以上であるのが好ましい(第11発明)。ここで、前記銅系焼結摺動材料には、黒鉛、CaF等の固体潤滑材料が5重量%以下の範囲で分散されているのが良い(第12発明)。
【0039】
(Alの影響)
Alはβ相を出現させる主合金元素であり、12重量%以上では合金全体がβ相化して、焼結合金を再加工する際に脆くなりやすい問題があり、5重量%以下ではβ相が出現しにくく、また、前記Hv130以上の硬さが達成されにくいため、その添加量を5〜12重量%とした。また、Al粉末と銅粉末を使って成形する際には、成形体強度がきわめて高く好ましいが、焼結時において顕著な膨張性を示すために、前記Hv130硬さの高硬質な材料にならない。しかし、焼結後に再圧縮加工を施し、再焼結することによって高硬質化が図れるので、本発明では再圧縮加工と再焼結工程とを1工程以上繰り返し行い、最終の再圧縮加工時の加工量を調整することによって再焼結後の気孔率の制御を行うようにした。
【0040】
さらに、CuとAl粉末以外に0.3重量%以上のTiを添加することによって顕著に焼結摺動材料が高硬質化され、1回の再圧縮加工と再焼結工程で目的の硬さが得られることは極めて効果的であり、Ti添加量としては0.3重量%以上とした。また、5重量%を越えると脆弱な金属間化合物相が多量に析出することと、材料自身が高価になることから上限の添加量とした。
【0041】
なお、Tiのような顕著な硬化はAlとの析出硬化性に起因すると考えられるので、同様の作用を示すMn、Ni、Co等もその範囲で添加されることは好ましい。
【0042】
(Snの影響)
Cu−AlにSnを添加させる場合、Alを多量に含有する場合にはSnが焼結体から排出される傾向が強くなるために、前記焼結体がより多孔質で、膨張性が顕著になるので、この場合には、Alを7重量%以下に低減するか、もしくはTiと複合添加し、Snの排出性を抑制することによって容易に緻密化および硬質化することが可能である。また、Snの添加は焼結温度をより低温化することとβ相を安定化して析出しやすくし、β相を出現させるためのAl添加量を少なくするのでその焼結性を有効に改善できるが、それ以上に耐焼付き性に対して効果的であるため、本発明では、Cu−Al−Sn−Ti系合金焼結材料が最も好ましいことを明らかにした。
【0043】
また、Cu−Al−Sn−Ti系合金焼結材料は焼結による緻密化が容易にできることから、前記Cu−Al−Ti系焼結材料のような1回以上の再加圧圧縮と再焼結工程を必要としないことが特徴的である。
【0044】
(黒鉛等その他添加物の影響)
前記Cu−Al−TiおよびCu−Al−Sn−Ti系焼結摺動材料としては、前記成分以外にもP、Zn、Fe、Ni、Co、Mn、Pb、Mo、W、Mg、Ag等の従来の銅系焼結摺動材料に含まれる合金元素およびまたはWC、黒鉛、セラミックスなどが前記機能上の問題の無い範囲で添加されることは良いことである。とりわけ、黒鉛はTiとの共存によって前記Cu−Al−TiおよびCu−Al−Sn−Ti系焼結材料との接合性が高まり、固体潤滑材としてだけでなく、潤滑油の含油場所としても極めて有効であるとともに、極めて強度のすべりによって金属相塑性流動し、摺動面における気孔の閉塞化しやすい状況に対する通気孔の確保に効果的に利用される。
【0045】
なお、添加されるその黒鉛分散粒子の平均粒径は、前記閉塞化防止に効果的な大きめの0.05〜0.3mm程度が好ましく、その添加量は焼結材料強度の点から5重量%以下とするのが妥当と考えられる。
【0046】
なお、本発明では、前記金属系摺動部材は履帯ブッシュと履帯ピンの間隙に挿入されていればその機能が達成されるため、必ずしもそれらの材料が履帯ブッシュの内周側に圧入または嵌合されているか、履帯ピン外周部に嵌合されている必要は無いが、走行時の履帯には履帯ピンと履帯ブッシュ間に軸方向へのわずかなスラスト力が作用し、前記金属系摺動部材にも軸方向への抜け力が作用することも考えられることや、履帯組み立て時の簡便性を図るためには、それらの材料が履帯ブッシュの内周側に圧入または嵌合されているか、履帯ピン外周部に嵌合されていることがより好ましい。
【0047】
また、前記偏荷重による最大応力のかかりにくい履帯ピン外周の中央部または履帯ブッシュ内周の中央部に溝を設け、その溝形状に沿うような形状の金属系摺動部材を加工することによって、溝部でスラスト力による抜け出しを防止することや、履帯ピンを圧入している履帯リンク側面でそのスラストを受けるようにすることが好ましい。
【0048】
さらに、本発明では、履帯ブッシュ両端面部内にリップシールなどの(オイル)シール装置を配し、履帯ピン外周面でシールすることによって、前記グリースや潤滑油の長期的保有性を高めると同時に外部からの土砂や泥水の浸入による履帯ブッシュの摩耗寿命を改善する構造とした。
【0049】
とくに、従来の乾式履帯では、田んぼなどの泥地、泥水地で走行する際、履帯ブッシュと履帯ピンの間隙部に泥水が侵入しやすく、履帯ブッシュ内周面と履帯ピン表面の摩耗によって履帯寿命が短くなりやすいので、履帯の長寿命化を図るために高価な湿式履帯を利用されることが多いが、本発明では、履帯ブッシュと履帯ピン間の間隙に金属系摺動部材を挿入し、前記泥や泥水の浸入する間隙を詰めること、および/または金属系摺動部材を発水性の潤滑油を含有できる構造の焼結体とすることによって、前記履帯ブッシュ内周面と履帯ピン表面の摩耗を軽減した。
【0050】
また、本発明では、履帯修理に関しても、高価な履帯ブッシュや履帯ピンの交換でなく、安価な前記金属系摺動部材の交換で再利用が可能になる。
【0051】
また、履帯ブッシュとその内周部に配置される履帯ピンから形成される間隙は、前述した履帯ブッシュの破損性から許容される最大の寸法にすることが望ましいことは明らかであり、本発明では、それらの間隙が直径差で0.4〜2.2mmとなるようし、その間隙に肉厚さが0.1〜1.0mmの潤滑油もしくはグリース等の潤滑材を蓄えることのできる構造の金属系摺動部材を配し、履帯ブッシュと履帯ピンとの隙間から金属系摺動部材の厚さを差し引いた残り隙間を直径差で1.0(0.4)mm以下に詰めることとした。
【0057】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による履帯具体的な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0058】
図1に、本発明の一実施形態に係る履帯の部分断面図が示されている。
【0059】
本実施形態の履帯1において、履帯ブッシュ2の両端が履帯リンク3に圧入され、この履帯ブッシュ2の内周側に履帯ピン4が挿入され、この履帯ピン4の両端部が履帯リンク5に圧入されることによって履帯リンク3,5が連結されている。また、履帯ブッシュ2の両端部には、外部からの土砂などの侵入を防止するためのシール装置6が配され、履帯リンク3,5が履帯シュー7にボルトで固定されることによって履帯1が構成されている。本実施形態においては、履帯ブッシュ2の内周面と履帯ピン4の外周面との間に潤滑油および/またはグリースなどの潤滑材を保有できる構造の金属系摺動部材8が配され、履帯ブッシュ2内周面と履帯ピン4外周面との隙間をできるだけ詰めるようにされている。このような構造を採用することで、履帯走行時に履帯ブッシュ2外周面にかかる荷重(偏荷重や衝撃的な荷重)を履帯ピン4にも分担させて、より過酷な走行時における疲労折損強度を高めるとともに、履帯ブッシュ2内周面と履帯ピン4外周面とのすべり(摺接)による焼付きを防止するようにされている。
【0060】
なお、前記金属系摺動部材8は、複数層の金属系摺動部材または金属系摺動部材と1層以上の制振材を重ねたり、それらの一部を接合するか、全体を一体化することによって、金属系摺動部材間または金属系摺動部材と制振材間の振動、微細なすべりによってより吸音効果を高められるようにされているものであっても良い。
【0061】
前記履帯ブッシュ2としては、炭素鋼、ボロン鋼、低合金鋼が用いられ、内外周部が高周波焼入れや浸炭焼入れ法によって表面層が硬化される。また、場合によっては油焼入れ等によって履帯ブッシュ2の肉厚全域を焼入れ硬化して使用される。
【0062】
また、履帯ピン4についても、その折損疲労強度を高めるためや履帯ブッシュ2内周面との摺接による焼付きや耐摩耗性を改善するために、炭素鋼、ボロン鋼、低合金鋼が用いられ、内外周部が高周波焼入れ法、浸炭焼入れ法、浸炭浸窒焼入れ法、窒化法および焼入れ法等の表面硬化処理によって表面層を硬化して使用される。
【0063】
さらに、本実施形態においては、前述のように潤滑油および/またはグリースなどの潤滑材を保有できる構造の金属系摺動部材8を配することによって、油性潤滑性が持たせられ、履帯ブッシュ2内周面と履帯ピン4外周面のすべり(摺接)による焼付きを有効に防止できる構造とされている。また、履帯ピン4外周面にTiNコーティング、浸硫窒化、リン酸塩皮膜処理、Crメッキ等の各種の表面処理方法を施し、摺接時の耐焼付き性を改善するようにするのが好ましい。
【0064】
前記金属系摺動部材8の潤滑油および/またはグリースなどの潤滑材を保有できる構造を得るには、第1の方法として、前記金属系摺動部材8に各種形状の穴をあけたものを利用する方法が好ましい。この方法は薄肉円筒状の金属系摺動部材に対しては機械加工によって容易に製造することが可能であり、また各種形状の穴をプレス加工であけた板状の金属系摺動部材を丸曲げて利用することができるので、好ましい方法であると言える。また、図2(a)〜(g)に示されるような所謂パンチングメタルを用いることができるので、市場入手性に優れ、低コストで加工できるという利点がある。
【0065】
前記金属系摺動部材8の潤滑油および/またはグリースなどの潤滑材を保有できる構造を得る第2の方法としては、通気性が確保されるような気孔を5〜30体積%もった金属系焼結摺動材料に潤滑用の油を含有させて利用する方法が好ましい。この第2の方法は摺接する面全体に潤滑油を均一に供給することができる点で第1の方法に比べてより好ましい。なお、より多量のグリースなどの潤滑材を保有するためには、この焼結摺動材料よりなる摺動部材に前述と同様の穴加工を施して利用するのがさらに好ましい。
【0066】
さらに、前記焼結摺動材料を使う第2の方法においては、図3に示されるように、履帯ピン4中心部にその軸方向に潤滑油貯蔵穴10とその半径方向に潤滑油供給穴11とを設けて、使用中に消費される焼結摺動材料中の潤滑油を供給するのが好ましい。この方法によれば、潤滑油貯蔵穴10を小さくできること、前記焼結摺動材料の穴加工費を安価にすることを可能にするだけでなく、従来の湿式履帯法においては、シール装置が劣化した場合に、容易に潤滑油が流出するのに対して、多孔質な焼結摺動材料が潤滑油を貯蔵する能力があることから、これらのトラブルを防止することができる。
【0067】
なお、前記金属系焼結摺動材料としては、それと接触する硬質な履帯ブッシュ2や履帯ピン4に対して軟質であり、走行時にかかる衝撃的な荷重に対する靭性に優れるとともに、履帯ブッシュ2と履帯ピン4が直接接触する場合に比べてより広い面積で接触することが、摺接時の面圧を緩和し、ひいては焼付き現象を抑えるように作用するためより好ましい。このため、前記金属系焼結摺動材料は鋼でできる履帯ブッシュや履帯ピンに比べ、より軟質で、ヤング率が小さいのが好ましく、さらに化学的にも鋼に対して焼付きにくい銅系摺動材料を用いるのがより好ましい。
【0068】
前記金属系摺動部材(焼結摺動材料よりなるものを含む)には、走行時において履帯ブッシュ2や履帯ピン4の軸方向への力が発生するので、金属系摺動部材の移動を防止する方法として、例えば図4(a)に示されるように履帯ピン4を圧入している履帯リンク5側面に金属系摺動部材8の端面が当たるようにその長さを調整することや、図4(b)に示されるように履帯ブッシュ2内周部または履帯ピン4外周部(の中央部近傍)の周方向に溝形状12を持たせ、この溝形状12に沿うように金属系摺動部材を加工することが好ましい。
【0069】
また、履帯ブッシュ2、履帯ピン4などの組み立て時の利便性を改善するために、図5(a)(b)に示されるように履帯ブッシュ2内周部に金属系摺動部材8を圧入もしくは嵌合することや、履帯ピン4の外周部に嵌合させておくことが好ましい。
【0070】
さらに、金属系摺動部材8を圧入もしくは嵌合した履帯ブッシュ2には、その両端面部に簡便なシール装置6を設けることが好ましい。こうすることで、保有する潤滑油やグリースなどの潤滑材の長期保存性を高めるとともに、外部からの土砂や泥水の浸入を顕著に高め、ひいては履帯の耐摩耗性を改善することができる。
【0071】
なお、前述のように、履帯ブッシュ2と履帯ピン4との隙間に金属系摺動部材8を挿入し、履帯ブッシュ2にかかる荷重に対して金属系摺動部材8を介して履帯ピン4とともに分担して受ける構造とすることによって、耐折損性を高め、摺接時の焼付きを防止する構造とし、かつ前記のように金属系摺動部材8を履帯ブッシュ2内周部に圧入または嵌合させ、履帯ブッシュ2と金属系摺動部材8間の摺動をなくす構造とすることによって、履帯ブッシュ2内周部に焼入れ硬化を必ずしも必要としない履帯ブッシュを利用できることが可能となった。すなわち、外周面からの高周波焼入れのみによって、外周面硬化層や端面部表面硬化層を形成させた履帯ブッシュを利用できることが可能となった。こうして、図18に示されている従来の履帯ブッシュの熱処理コストとその生産性に対して著しく優位になった。さらに、図6に示されるように、履帯ブッシュ2内周面に形成される溝加工や端面部に設置されるシール装置のための内周面加工が、前記外周面からの高周波焼入れ後の履帯ブッシュに対して容易にできることは、前記金属系摺動材料の圧入、嵌合などの機械加工精度を確保するのに極めて好ましい。また、前記金属系摺動部材8の履帯ブッシュ2からの抜け出しが履帯ブッシュ内周部の溝によって防止できることから、履帯ブッシュ2に対する金属系摺動部材8の嵌合力をあまり必要としないことも製造上の大きなメリットであると言える。
【0072】
また、図7に示されるような各種の硬化パターンを履帯ブッシュに付与する熱処理方法としては前述の図18に示されるような従来の熱処理技術が応用できる。ここで、例えば図7の(a)型は図18の(d)型を形成する技術を応用し、一旦全体硬化焼入れを実施した後に、両端部の内周部近傍を残して、内周部を高周波によって焼き戻す方法によっても形成できるが、二度の熱処理を必要とし、経済的に不利である。
【0073】
本発明のように、履帯ブッシュ内周部に硬化層を形成させる必要が無い場合や、さらに、端面部表面に硬化層を形成させる場合には、図7中の(c)型の硬化パターンは外周部からの移動高周波焼入れを実施し、履帯ブッシュ両端面部の加熱送り速度を遅くすることによって端面部表面に焼入れ硬化層を形成させるので好ましい。またさらに、図7の(c)型よりもより硬化層を深くした(d)型は、外周部からの高周波加熱条件をより深くして、かつ、その加熱後の冷却において深く硬化されるような鋼材成分を適正に保つことによって形成させるので好ましい。
【0074】
なお、前記金属系摺動部材を履帯ブッシュ内周部に圧入、嵌合および配置する方法は、円筒状もしくは略円筒状の金属系摺動部材を形成する方法として、図8に示されるような各種の方法が適用される。図8の(a)型は、板状の摺動部材を円筒状に丸曲げ加工し、履帯ブッシュ内周部にセットする際に、端面部で突き合わせて嵌合力を発生させるものであり、図8の(b)型は、板状の摺動部材を円筒状に丸曲げ加工し、突き合わせて溶接したものであり、図8の(c)型は、板状の摺動部材の両端面を丸曲げ加工した後にクリンチ接合するようにしたものである。
【0075】
さらに、前記金属系摺動部材を、内周部に溝を持つ履帯ブッシュに配置する方法としては、円筒状もしくは略円筒状の金属系摺動部材を拡張加工するようにしても良い。
【0076】
図9には、本発明の他の実施形態に係る履帯の断面図が示されている。
【0077】
前記実施形態では、履帯ピンおよび履帯ブッシュの両端を履帯リンクに圧入することによって履帯リンクを連結するようにしたものについて説明したが、本実施形態では、履帯リンクに圧入される固定ブッシュと、起動輪の歯が噛合される回転ブッシュとを備え、前記金属系摺動部材が前記固定ブッシュおよび/または前記回転ブッシュと前記履帯ピンとの間に配される構造の履帯に適用された例を示すものである。
【0078】
本実施形態の履帯21においては、履帯リンク22,22の内側端部22a,22aに形成される連結孔22b,22bに凹形状の固定ブッシュ23,23の外周部が圧入され、履帯リンク28,28の間には回転ブッシュ25が回転自在に嵌合されている。前記固定ブッシュ23,23の内側面と回転ブッシュ25の端面との間には第1シール26とスラストリング27とが介挿され、また、前記固定ブッシュ23,23の外側面は、履帯リンク28の外側端部28a,28aに配設される第2シール29とスラストリング30に当接するようにされている。そして、摺動部材24の内周面と履帯ピン31の外周面との間に、潤滑油および/またはグリースなどの潤滑材を保有できる構造の金属系摺動部材32が配されている。
【0079】
本実施形態の履帯21においても、金属系摺動部材32の潤滑油および/またはグリースなどの潤滑材を保有できる構造として、前記実施形態と同様、前記金属系摺動部材32に各種形状の穴をあけたものを利用する方法、通気性が確保されるような気孔を5〜30体積%もった金属系焼結摺動材料に潤滑油を含有させて利用する方法を用いることができる。
【0080】
本実施形態によれば、左右の履帯リンク28,28に固定ブッシュ23,23が圧入され、履帯の間に回転ブッシュ25が回転自在に嵌合されているので、左右の履帯リンク22,28の捩り剛性を十分に確保することができるとともに、固定ブッシュのみを用いるものに比べて、回転ブッシュを用いることによって起動輪の歯と噛み合う履帯ブッシュ外周部が摩耗するといった不具合の発生を回避することができる。
【0081】
【実施例】
以下、本発明の具体的実施例について説明する。
【0082】
(実施例1;履帯ブッシュ〜履帯ピン間隙と破壊強度の関係)
本実施例では外径59.4、内径38.6、長さ138.5mmの履帯ブッシュと履帯ピンを用いて、図10に示されるような衝撃疲労試験装置を用いて衝撃疲労試験を実施し、履帯ブッシュ破損強度に対する履帯ブッシュと履帯ピン間隙の影響を調査するとともに、履帯ブッシュ破損強度に対する金属系摺動部材の挿入作用について調査した。なお、履帯ブッシュはSCr440材を用いて、その外周面、内周面ともに高周波焼入れによってHRC45位置の硬化深さが約3mmとなるように焼入れし、180℃、3hrの焼戻し処理を施したものである。また、履帯ピンはS45BC材を850℃から水焼入れを施し、180℃、3hrの焼戻し処理を施したものであり、その硬化深さは約4mmである。
【0083】
また、衝撃疲労試験は履帯ブッシュ内周面に車体荷重W(この場合は18.5ton)を基準にして、1.5〜4Wの応力がかかるように調整して実施した。
【0084】
本実施例の結果を図11にまとめて示したが、履帯ブッシュのみでの破損強度に対して、履帯ブッシュと履帯ピンの間隙を、履帯ブッシュの内径を調整して直径差で1.0mm、0.4mm、0.2mmとした場合には約3倍、10倍、20倍の疲労強度が改善されることがわかった。
【0085】
さらに図12には、履帯ブッシュの内径を調整して、履帯ブッシュと履帯ピンの間隙が直径差で2.0mmとなるものに、燐青銅(Cu9Sn)とS45Cの板材(0.9mm厚さ)を挿入して、前記間隙を約0.2mmに詰めた結果を示したが、金属系摺動部材の挿入によって、履帯ブッシュの破損強度が顕著に改善されることは明らかである。
【0086】
なお、衝撃疲労試験後に挿入した金属系摺動部材は強度の荷重によってへたり傾向はあるものの、少なくとも、履帯ブッシュと履帯ピンの間隙が直径差で2.0mmとなるものに金属系摺動部材を挿入して、前記間隙を約0.2mmに詰めた本試験条件範囲内であれば、強度的な問題が無い範囲であることがわかった。また、前記金属系摺動部材を挿入した後の間隙に関しては、従来の履帯ブッシュと履帯ピンの間隙が0.4〜1.2mmを許容していることから、本発明においても1.0mm以下に抑えることが好ましいことは明らかである。
【0087】
またさらに、前記履帯ブッシュの内周面を高周波焼入れせずに、外周面の高周波焼入れを施した履帯ブッシュについても、図12の例と同じように0.9mm厚さの燐青銅(Cu9Sn)を挿入してその衝撃疲労試験を実施した結果を図12中に□印で示したが、前述した従来の履帯ブッシュと履帯ピンの間隙が0.4〜1.2mmを許容している結果との比較において強度的にも問題なく利用できることが分かる。
【0088】
(実施例2;CuAl系焼結板の製造と摺動試験結果)
300メッシュ以下のAl粉末、Sn粉末、TiH粉末、Si粉末、Mn粉末、Ni粉末、燐鉄粉末と電解銅粉末(福田金属CE15)を用いて表1に示した混合粉末を図13に示すJISの引張り試験片用金型にて成形圧力4ton/cm2で成形し、その試験片を真空焼結炉を用いて0.01torrの真空度、850、900、960℃で1hr焼結した後に、その試験片が割れない範囲で圧延し、同じ温度で1hr再焼結したもの(2S1R材)の硬さを測定し、さらに、それらの材料を定速摩擦摩耗試験法で、摩擦係数が急激に高くなる面圧と摺動速度から焼付き限界値(PV値)とその時点での摩耗量(△W、mm)を測定して摺動特性を評価した。
【0089】
【表1】
Figure 0004282284
【0090】
図14には、定速摩擦摩耗試験機の概念図、摺動試験片ホルダーおよび摺動試験条件が示されている。摺動試験片は板厚さ2mmで5mm角に加工した後、摺動試験片ホルダーにセットして試験に供した。摺動試験の面圧は100kg/cmから開始して、5分間に摩擦係数の異常や摩耗の異常が無ければ50kg/cm毎に昇圧しながら最大800kg/cmまで負荷した。
【0091】
各試験片のビッカース硬さHv、PV値および摩耗量の測定結果は表1にまとめて示した。この結果、主に以下のことが明らかになった。
1)Cu−Alに対するSn添加による硬さアップの寄与はほとんど無く、わずかにAl濃度が増すに連れて硬化するが、β単一組織になると圧延し難くなり、結果として硬度が低くなる。
2)Cu−Al、Cu−Al−Sn系焼結体の硬さアップに対するTiの添加の影響は極めて顕著であり、その作用は焼結温度が高いほど大きくなるが、これはTiの合金化の促進によるものであるが、同様の作用はMn、Ni、Siにおいても観察される。
3)定速摩擦摩耗試験による摺動特性を評価した結果、α相、(α+β)二相、β相の各組織材においてもSnの添加によって、摺動特性はより改善されることが分かった。
4)さらに、軟質なα相組織材料に比べて、(α+β)二相およびβ相組織材料の摺動特性は顕著に改善されることがわかった。
5)また、Ti、Si、Mn、Niなどの添加によって、耐摩耗性が改善されることも明らかになった。
【0092】
なお、表1中のNo.53〜No.55には900℃での真空焼結時間を5分と短くして、圧延と焼結を二度繰り返した(3S2R材)水準を示したが、No.54では非平衡状態でのβ相が粒界に沿って微細に析出することが確認され、摺動特性を改善することにもその影響が表れている。
【0093】
なお、本実施例では焼結体に割れが発生しない範囲での最大の圧延率を施しているが、その際の相対焼結密度は98以上にまで達するものが多く、したがって、最終圧延率をコントロールすることによって、本発明が希望する相対密度95〜70%の焼結板を製造できることは明らかである。
【0094】
さらになお、本実施例のようにAl粉末を直接的に利用する場合には散布粉末の状態で真空焼結した場合においても、緻密化は起こらず、必ず一旦圧密化した状態で焼結することが必要である。
【0095】
(実施例3;含油ができる構造の金属系摺動材料)
本実施例では、偏荷重下での耐焼付き性を改善する目的で、使用する金属系摺動材料の検討を行った。前記金属系摺動材料の摺動特性を評価するために、図15に示す摺動試験片を用い、図16に示される試験方法によって、摩擦係数が顕著に上昇したり、異音を発生したり、異常摩耗が進行した時点での面圧によってその耐焼付き性を評価した。
【0096】
なお、本実施例に用いた金属系摺動材料を表2に示したが、No.1〜No.5はAl青銅系焼結摺動材料、No.6、No.7は青銅の溶製材と焼結材料である。またさらに比較のために、S45C高周波焼入れ材料の摺動特性についても調査した。
【0097】
【表2】
Figure 0004282284
【0098】
本実施例の結果は、表2中にまとめて示したが、明らかに、鉄系摺動材料に比べて銅系摺動材料が好ましく、さらに、含油できる銅系焼結材料が好ましく、とりわけ、Al青銅系焼結材料が優れていることがわかる。特に、No.2〜No.5のβ相を含有する焼結材料は耐焼付き性に優れるとともに、極めて硬質になっており耐摩耗性にも優れることは容易に想像される。
【0099】
1本の履帯ブッシュにかかる最大の偏荷重は3.5W程度と推定されるが、それは極めて短時間の現象であり、履帯寿命を左右する最大頻度の荷重が1W程度のものであることを考慮すれば、摺動材料にかかる面圧としては500kg/cmに耐えることがより好ましく、表2に示すように、耐面圧性に優れたCu−Al系の焼結摺動材料が好ましいことは明らかである。本発明の主旨からすれば、前述のように履帯ブッシュと履帯ピンの間隙に金属系摺動部材を挿入した後の間隙を調整することによって、その摺動部材にかかる面圧を低減させることも可能であるので、挿入する金属系摺動部材の材質に関しては限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る履帯の部分断面図である。
【図2】図2(a)〜(g)は、金属系摺動部材の例である。
【図3】図3は、潤滑油供給方法説明図である。
【図4】図4(a)(b)は、金属系摺動部材の移動防止方法説明図である。
【図5】図5(a)(b)は、金属系摺動部材を履帯ブッシュ内周面に圧入もしくは嵌合させた構造を示す図である。
【図6】図6(a)〜(d)は、履帯ブッシュの内周面に形成される溝加工や端面部に設置されるシール装置を示す図である。
【図7】図7(a)〜(d)は、履帯ブッシュの熱処理硬化パターンを示す図である。
【図8】図8(a)〜(c)は、金属系摺動部材の形成方法説明図である。
【図9】図9は、本発明の他の実施形態に係る履帯の断面図である。
【図10】図10は、衝撃疲労試験方法説明図である。
【図11】図11は、履帯ブッシュ・ピン間隙とブッシュ破損強度との関係を示すグラフ(1)である。
【図12】図12は、履帯ブッシュ・ピン間隙とブッシュ破損強度との関係を示すグラフ(2)である。
【図13】図13は、引張試験片形状を示す図である。
【図14】図14(a)(b)は、定速摩擦摩耗試験機の概念図、摺動試験片ホルダーおよび摺動試験条件を示す図である。
【図15】図15は、摺動テストに供した試験片形状を示す断面図である。
【図16】図16は、摺動テストの試験装置の概念図(a)および試験条件(b)である。
【図17】図17は、履帯の斜視図(a)および断面図(b)である。
【図18】図18(a)〜(d)は、履帯ブッシュの熱処理硬化パターンを示す図である。
【図19】図19は、焼付き位置の模式図である。
【図20】図20は、銅合金と鉄の境界潤滑摩耗を示すグラフである。
【符号の説明】
1,21 履帯
2 履帯ブッシュ
3,5,22,28 履帯リンク
4,31 履帯ピン
6 シール装置
7 履帯シュー
8,32 金属系摺動部材
10 潤滑油貯蔵穴
11 潤滑油供給穴
12 溝形状
24 固定ブッシュ
25 回転ブッシュ

Claims (12)

  1. 外周部または外周部と内周部とが表面硬化された円筒状履帯ブッシュと、その履帯ブッシュの内周側に配置される履帯ピンと、前記履帯ブッシュおよび前記履帯ピンと別体で、前記履帯ブッシュと前記履帯ピンの間の間隙に配される少なくとも1層からなる金属部材からなり、
    この金属部材のうちの少なくとも1層が潤滑油および/または潤滑材を蓄えることのできる構造をもつ金属系摺動部材であり、この金属系摺動部材は、ヤング率が鋼よりも低く、5〜30体積%の通気孔を有する銅系焼結摺動材料からなり、この通気孔中に潤滑油が含浸されてなり、
    前記銅系焼結摺動材料は、5〜12重量%のAlと、0.3〜5重量%のTiとを含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなる銅系焼結材料用混合粉末を圧縮成形して焼結し、それに続いて得られた焼結体を再圧縮および再焼結する工程を1回以上繰り返して得られるCu−Al−Ti系焼結摺動材料である
    ことを特徴とする履帯。
  2. 外周部または外周部と内周部とが表面硬化された円筒状履帯ブッシュと、その履帯ブッシュの内周側に配置される履帯ピンと、前記履帯ブッシュおよび前記履帯ピンと別体で、前記履帯ブッシュと前記履帯ピンの間の間隙に配される少なくとも1層からなる金属部材からなり、
    この金属部材のうちの少なくとも1層が潤滑油および/または潤滑材を蓄えることのできる構造をもつ金属系摺動部材であり、この金属系摺動部材は、ヤング率が鋼よりも低く、5〜30体積%の通気孔を有する銅系焼結摺動材料からなり、この通気孔中に潤滑油が含浸されてなり、
    前記銅系焼結摺動材料は、5〜12重量%のAlと3〜6重量%のSnと、Ti、Ni、Co、Si、Fe、Pの1種以上0.5〜5.0重量%の範囲で含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなるCu−Al−Sn系焼結摺動材料である
    ことを特徴とする履帯。
  3. 前記履帯ブッシュは、履帯リンクに圧入される固定ブッシュと、起動輪の歯が噛合される回転ブッシュとを備え、前記金属部材が前記固定ブッシュおよび/または前記回転ブッシュと前記履帯ピンとの間に配される請求項1または2に記載の履帯。
  4. 前記金属系摺動部材には穴加工が施されて、その穴中に潤滑材が保有されている請求項1または2に記載の履帯。
  5. 前記履帯ピンの中心部に軸方向に潤滑油貯蔵穴とその半径方向に潤滑油供給穴とを設けて、これら潤滑油貯蔵穴および潤滑油供給穴を介して使用中に消費される潤滑油を前記銅系焼結摺動材料の通気孔中へ補給できるようにされる請求項4に記載の履帯。
  6. 前記履帯ピン外周部または履帯ブッシュ内周部に溝を設け、この溝形状に沿うような形状をもつ前記金属系摺動部材を用いることによって、履帯走行時の履帯ブッシュと履帯ピンとで構成される間隙から軸方向への金属系摺動部材の抜け防止が図られる請求項1〜5のいずれかに記載の履帯。
  7. 前記金属系摺動部材の軸方向への移動を防止するために、前記履帯ピンの両端が圧入されている履帯リンク側面がストッパーとして作用するようにされる請求項1〜5のいずれかに記載の履帯。
  8. 前記金属系摺動部材は、前記履帯ブッシュ内周部に圧入もしくは嵌合されるか、または、前記履帯ピン外周部に嵌合される請求項1〜5のいずれかに記載の履帯。
  9. 前記金属系摺動部材が前記履帯ブッシュ内周部に圧入もしくは嵌合された履帯において、履帯ブッシュの両端部近傍内周面にシール装置が取り付けられる請求項8に記載の履帯。
  10. 前記履帯ブッシュとその内周側に配置される履帯ピンから形成される間隙が、両者の直径差で0.4〜2.2mmになるようにし、その間隙に肉厚さが0.1〜1.0mmの金属系摺動部材が配され、全隙間が直径差で1.0mm以下に詰められる請求項1〜9のいずれかに記載の履帯。
  11. 前記銅系焼結摺動材料は、その焼結組織において少なくとも硬質なβ相が出現した組織となっており、その焼結組織の硬さがHv130以上である請求項1または2に記載の履帯。
  12. 前記銅系焼結摺動材料には、黒鉛、CaF等の固体潤滑材料が5重量%以下の範囲で分散されている請求項11に記載の履帯。
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