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JP4282016B2 - 希土類焼結磁石の製造方法 - Google Patents

希土類焼結磁石の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、Nd−Fe−B系に代表される希土類焼結磁石を製造する際に用いられる原料粉体に関し、特に原料粉体を顆粒化することにより、磁場中成形時の金型への充填性を向上させて高い生産性を得るとともに、希土類焼結磁石の小型化への対応を容易にすることのできる技術に関するものである。
希土類焼結磁石を製造する際、焼結に供する原料粉末を微細化することにより飽和磁束密度及び保磁力等の磁気特性を確保している。ところが、原料粉末の微細化は、成形体の寸法精度、生産性を阻害する要因となる。
原料粉末は磁場中での加圧成形により成形体を構成する。この磁場中成形において、静磁場又はパルス磁場を印加して原料粉末の粒子を配向させる。この磁場中成形時、原料粉末が微細であるほどその流動性が悪く、金型への充填性が問題となる。粉末の金型への充填性が劣ると、金型へ粉末を十分に充填することができないために成形体の寸法精度が得られない、あるいは金型への充填自体に時間がかかって生産性を阻害するという問題がある。特に薄肉形状や複雑形状の成形体を精度よくかつ効率的に作製することは困難である。
原料粉末の流動性向上の手段の一つとして原料粉末の顆粒化が試みられている。例えば、特開平8−107034号公報(特許文献1)および特開平8−88111号公報(特許文献2)は希土類金属粉末にバインダを添加したスラリをスプレードライすることにより顆粒化する提案を行っている。
また、特公平7−6025号公報(特許文献3)は、希土類金属粉末に磁界を印加して顆粒化する提案を行っている。
特開平8−107034号公報 特開平8−88111号公報 特公平7−6025号公報
特許文献1及び2によれば、顆粒を作製することにより流動性を向上することができる。しかし、一次合金粒子同士を例えばPVA(ポリビニルアルコール)といったバインダで結着しているため、一次合金粒子同士の結着力が比較的強い。このように結着力の強い顆粒を磁場中成形に供しても、各一次合金粒子を配向させることは容易ではない。したがって、得られる希土類焼結磁石は配向度が低く磁気特性、特に残留磁束密度(Br)が低いものとなる。また、バインダに含まれる炭素が磁気特性低下の要因となることから、このバインダを除去する工程が必要となる。
特許文献3によれば、加圧体作製時の磁界印加工程および顆粒を金型に充填後、磁気特性を向上させるための交流磁界印加工程を要する。また、磁界を印加した顆粒であるため残留磁化による流動性の低下が懸念される。
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、優れた流動性を有する顆粒を用い、成形体の寸法精度の向上及び生産性の向上を図るとともに、特性を大きく低下させることなく希土類焼結磁石を製造する方法等を提供することを目的とする。
上述したような課題に対し、本発明者らは、バインダを用いることなく顆粒を作製することを検討した。その結果、バインダを用いず、一次合金粒子を加圧して予備成形した後、これを解砕することで顆粒を作製することができ、この顆粒は金型充填時の流動性に優れること、さらに一次合金粒子の結着力のみで作製されたこの顆粒は、磁場中成形時に印加される磁場により一次合金粒子に容易に分離して、良好な配向状態を実現できることを確認した。
したがって本発明は、希土類焼結磁石の原料粉(一次合金粒子)をそのまま加圧成形して第一の成形体を形成する工程と、この第一の成形体をそのまま解砕することで原料粉同士をファンデルワールス力のみで結着させた顆粒を作製する工程と、顆粒を金型キャビティに投入する工程と、顆粒に磁場を印加し、かつ加圧成形することにより第二の成形体を得る工程と、第二の成形体を焼結する工程と、を備えることを特徴とする希土類焼結磁石の製造方法を提供する。
このとき、顆粒を金型キャビティに投入する工程では、0.07〜0.6mmの粒径を有した顆粒を金型キャビティに投入するのが好ましい。
このようにして作製される顆粒は、顆粒を構成する粒子が、バインダ等を用いることなく、ファンデルワース力のみによって結着され、他の結着力を有するバインダ等の固体成分等によって結着されていない。しかも、本発明では、磁場を印加することなく、顆粒を作製している。したがって、磁界を印加した顆粒のように残留磁化による流動性の低下が生じることもなく、安息角が50°以下、さらには47°以下といった高い流動性を有した顆粒を作製できる。これにより、金型キャビティへの迅速な投入を実現し、しかも高い磁気特性の希土類焼結磁石を得ることが可能となる。このような顆粒を得るには、第一の成形体を形成する工程で、原料粉を0.03〜1.3ton/cm2の圧力で加圧するのが良い。また、3.8〜4.35g/ccの成形体密度を有した第一の成形体を形成するようにしても良い。
加えて、第一の成形体を形成する工程で、原料粉に潤滑剤を添加しても良い。
また本発明は、R214B相(Rは希土類元素から選択される1種又は2種以上の元素、TはFe又はFe及びCoを含む遷移金属元素から選択される1種又は2種以上の元素)を含む組成を有し、平均粒径が2.5〜6μmである原料粉に適用することが望ましい。
本発明によれば、原料粉を加圧成形し、これを解砕することで得た顆粒を用いるため、脱バインダ処理を行う必要がなく、成形体の寸法精度を向上しつつ希土類焼結磁石の生産性を向上するとともに、磁気特性の向上に寄与する。
以下、実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
本発明では、粉末同士を加圧成形して予備成型体を形成した後、この予備成型体を解砕することで顆粒を得る。つまり、バインダ等の結着機能を有するものを用いることなく、一次合金粒子(原料粉)同士をファンデルワース力のみで結着させることで顆粒を形成している。このような顆粒の結着力は、従来のPVA等のバインダによる結着力に比べて極めて弱い。したがって、本発明により得られた顆粒は、磁場中成形時に印加される磁場によって容易に崩壊し、一次合金粒子に分離する。そのため、高い配向度を得ることができる。これまで、バインダを用いることが顆粒作製の前提として考えられてきたが、バインダを用いることなく形成した顆粒においても、高い流動性が得られることを見出した価値は大きい。しかも、この顆粒は、磁場印加により崩壊するため、磁場中成形を行う希土類焼結磁石にとって好適である。加えて、従来の顆粒技術を用いた場合には必須とされていた脱バインダ工程を省くことが可能であり、工程的な利点をも含んでいる。
以上の顆粒化技術を適用した希土類焼結磁石の製造方法について以下説明する。
原料合金は、真空又は不活性ガス、望ましくはAr雰囲気中でストリップキャスト法、その他公知の溶解法により作製することができる。ストリップキャスト法は、原料金属をArガス雰囲気などの非酸化性雰囲気中で溶解して得た溶湯を回転するロールの表面に噴出させる。ロールで急冷された溶湯は、薄板または薄片(鱗片)状に急冷凝固される。この急冷凝固された合金は、結晶粒径が1〜50μmの均質な組織を有している。原料合金は、ストリップキャスト法に限らず、高周波誘導溶解等の溶解法によって得ることができる。なお、溶解後の偏析を防止するため、例えば水冷銅板に傾注して凝固させることができる。また、還元拡散法によって得られた合金を原料合金として用いることもできる。
R−T−B系焼結磁石を得る場合、R214B結晶粒を主体とする合金(低R合金)と、低R合金よりRを多く含む合金(高R合金)とを用いる所謂混合法を本発明に適用することもできる。
原料合金は粉砕工程に供される。混合法による場合には、低R合金及び高R合金は別々に又は一緒に粉砕される。粉砕工程には、粗粉砕工程と微粉砕工程とがある。まず、原料合金を、粒径数百μm程度になるまで粗粉砕する。粗粉砕は、スタンプミル、ジョークラッシャー、ブラウンミル等を用い、不活性ガス雰囲気中にて行なうことが望ましい。粗粉砕に先立って、原料合金に水素を吸蔵させた後に放出させることにより粉砕を行なうことが効果的である。水素放出処理は、希土類焼結磁石として不純物となる水素を減少させることを目的として行われる。水素吸蔵のための加熱保持の温度は、200℃以上、望ましくは350℃以上とする。保持時間は、保持温度との関係、原料合金の厚さ等によって変わるが、少なくとも30分以上、望ましくは1時間以上とする。水素放出処理は、真空中又はArガスフローにて行う。なお、水素吸蔵処理、水素放出処理は必須の処理ではない。この水素粉砕を粗粉砕と位置付けて、機械的な粗粉砕を省略することもできる。
粗粉砕工程後、微粉砕工程に移る。微粉砕には主にジェットミルが用いられ、粒径数百μm程度の粗粉砕粉末を、平均粒径2.5〜6μm、望ましくは3〜5μmとする。ジェットミルは、高圧の不活性ガスを狭いノズルより開放して高速のガス流を発生させ、この高速のガス流により粗粉砕粉末を加速し、粗粉砕粉末同士の衝突やターゲットあるいは容器壁との衝突を発生させて粉砕する方法である。
混合法による場合、2種の合金の混合のタイミングは限定されるものではないが、微粉砕工程において低R合金及び高R合金を別々に粉砕した場合には、微粉砕された低R合金粉末及び高R合金粉末を窒素雰囲気中で混合する。低R合金粉末及び高R合金粉末の混合比率は、重量比で80:20〜97:3程度とすればよい。低R合金及び高R合金を一緒に粉砕する場合の混合比率も同様である。なお、成形時の潤滑及び配向性の向上を目的とした脂肪酸又は脂肪酸の誘導体や炭化水素、例えばステアリン酸系やオレイン酸系であるステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エチレンビスイソステアリン酸アミド、炭化水素であるパラフィン、ナフタレン等を微粉砕時に0.01〜0.3wt%程度添加することができる。
以上で得られた微粉砕粉末を顆粒化する。
本発明では、微粉砕粉末を加圧成形して予備成型体(第一の成形体)を形成した後、この予備成型体を解砕することで、顆粒を作製する。
これには、微粉砕粉末を、金型キャビティ内に充填し、プレス機にて、この金型を所定のプレス圧力にて加圧成形して予備成型体を得る。
このとき、予備成型体を形成するために加えるプレス圧力は、特に制限されないが、プレス圧力が低すぎると顆粒自体の強度が過度に弱くなるために壊れやすく、その結果、顆粒が崩れて微粉砕粉末となり、流動性が低下する。また、後述の解砕工程において、微粉砕粉末は篩を通過してしまうため、所定の粒径範囲の顆粒の収量が小さくなってしまう。逆に、プレス圧力が高すぎると、磁場中成形時に顆粒が十分に崩壊せず、配向性が低下するために、磁気特性(特にBr)が低下する要因となる。
このため、予備成型体を形成するためのプレス圧力は、0.03〜1.3ton/cm2とするのが好ましく、これにより、予備成型体の密度を3.8〜4.35g/ccとするのが好ましい。
次いで、この予備成型体を解砕機や乳鉢等にて解砕し、解砕物を得る。そして、この解砕物を、目開き寸法の異なる二つの篩(第1篩と第2篩)を用い、所定の粒径範囲の解砕物を回収する。すなわち、目開き寸法の大きな第1篩を通過し、目開き寸法の小さな第2篩を通過しない解砕物を回収するのである。これにより、得られる顆粒は、第1篩の目開き寸法より小さく、かつ第2篩の目開き寸法より大きな粒径を有していることになる。このとき、回収する解砕物の粒径は、0.07〜0.6mmとするのが好ましい。
このようにして得られた顆粒は、微粉砕粉末同士の結着力のみによって、微粉砕粉末同士が結着されている。このとき、微粉砕粉末同士の接点には、微粉砕粉末同士を結着させるためのバインダ等の固体成分を実質的に含まない。ただし、粉砕性の向上並びに成形時の配向性の向上のために潤滑剤を添加した場合、この潤滑剤の固体成分が微粉砕粉末表面および接点に存在することを許容するものとする。
上記顆粒は磁場中成形に供される。
磁場中成形における成形圧力は0.3〜3ton/cm2(30〜300MPa)の範囲とすればよい。成形圧力は成形開始から終了まで一定であってもよく、漸増または漸減してもよく、あるいは不規則変化してもよい。成形圧力が低いほど配向性は良好となるが、成形圧力が低すぎると成形体(第二の成形体)の強度が不足してハンドリングに問題が生じるので、この点を考慮して上記範囲から成形圧力を選択する。磁場中成形で得られる成形体の最終的な相対密度は、通常、50〜60%である。
印加する磁場は、12〜20kOe(960〜1600kA/m)程度とすればよい。この程度の磁場を印加することにより、顆粒は崩壊して一次合金粒子に分解される。印加する磁場は静磁場に限定されず、パルス状の磁場とすることもできる。また、静磁場とパルス状磁場を併用することもできる。
次いで、成形体を真空又は不活性ガス雰囲気中で焼結する。焼結温度は、組成、粉砕方法、平均粒径と粒度分布の違い等、諸条件により調整する必要があるが、1000〜1200℃で1〜10時間程度焼結すればよい。
焼結後、得られた焼結体に時効処理を施すことができる。この工程は、保磁力を制御する重要な工程である。時効処理を2段に分けて行なう場合には、800℃近傍、600℃近傍での所定時間の保持が有効である。800℃近傍での熱処理を焼結後に行なうと、保磁力が増大するため、混合法においては特に有効である。また、600℃近傍の熱処理で保磁力が大きく増加するため、時効処理を1段で行なう場合には、600℃近傍の時効処理を施すとよい。
次に本発明が適用される希土類焼結磁石について説明する。
本発明は、特にR−T−B系焼結磁石に適用することが望ましい。このR−T−B系焼結磁石は、希土類元素(R)を25〜37wt%含有する。ここで、本発明におけるRはYを含む概念を有しており、したがってY、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuの1種又は2種以上から選択される。Rの量が25wt%未満であると、R−T−B系焼結磁石の主相となるR214B相の生成が十分ではなく軟磁性を持つα−Feなどが析出し、保磁力が著しく低下する。一方、Rが37wt%を超えると主相であるR214B相の体積比率が低下し、残留磁束密度が低下する。またRが酸素と反応し、含有する酸素量が増え、これに伴い保磁力発生に有効なRリッチ相が減少し、保磁力の低下を招く。したがって、Rの量は25〜37wt%とする。望ましいRの量は28〜35wt%、さらに望ましいRの量は29〜33wt%である。
また、本発明が適用されるR−T−B系焼結磁石は、ホウ素(B)を0.5〜4.5wt%含有する。Bが0.5wt%未満の場合には高い保磁力を得ることができない。一方で、Bが4.5wt%を超えると残留磁束密度が低下する傾向がある。したがって、Bの上限を4.5wt%とする。望ましいBの量は0.5〜1.5wt%、さらに望ましいBの量は0.8〜1.2wt%である。
本発明が適用されるR−T−B系焼結磁石は、Coを2.0wt%以下(0を含まず)、望ましくは0.1〜1.0wt%、さらに望ましくは0.3〜0.7wt%含有することができる。CoはFeと同様の相を形成するが、キュリー温度の向上、粒界相の耐食性向上に効果がある。
また、本発明が適用されるR−T−B系焼結磁石は、Al及びCuの1種又は2種を0.02〜0.5wt%の範囲で含有することができる。この範囲でAl及びCuの1種又は2種を含有させることにより、得られるR−T−B系焼結磁石の高保磁力化、高耐食性化、温度特性の改善が可能となる。Alを添加する場合において、望ましいAlの量は0.03〜0.3wt%、さらに望ましいAlの量は、0.05〜0.25wt%である。また、Cuを添加する場合において、望ましいCuの量は0.15wt%以下(0を含まず)、さらに望ましいCuの量は0.03〜0.12wt%である。
本発明が適用されるR−T−B系焼結磁石は、他の元素の含有を許容する。例えば、Zr、Ti、Bi、Sn、Ga、Nb、Ta、Si、V、Ag、Ge等の元素を適宜含有させることができる。一方で、酸素、窒素、炭素等の不純物元素を極力低減することが望ましい。特に磁気特性を害する酸素は、その量を5000ppm以下、さらには3000ppm以下とすることが望ましい。酸素量が多いと非磁性成分である希土類酸化物相が増大して、磁気特性を低下させるからである。
R−T−B系焼結磁石に本発明を適用することが望ましいが、他の希土類焼結磁石に本発明を適用することも可能である。例えば、R−Co系焼結磁石に本発明を適用することもできる。
R−Co系焼結磁石は、Rと、Fe、Ni、MnおよびCrから選ばれる1種以上の元素と、Coとを含有する。この場合、望ましくはさらにCuまたは、Nb、Zr、Ta、Hf、TiおよびVから選ばれる1種以上の元素を含有し、特に望ましくはCuと、Nb、Zr、Ta、Hf、TiおよびVから選ばれる1種以上の元素とを含有する。これらのうち特に、SmとCoとの金属間化合物、望ましくはSm2Co17金属間化合物を主相とし、粒界にはSmCo5系を主体とする副相が存在する。具体的組成は、製造方法や要求される磁気特性等に応じて適宜選択すればよいが、例えば、R:20〜30wt%、特に22〜28wt%程度、Fe、Ni、MnおよびCrの1種以上:1〜35wt%程度、Nb、Zr、Ta、Hf、TiおよびVの1種以上:0〜6wt%、特に0.5〜4wt%程度、Cu:0〜10wt%、特に1〜10wt%程度、Co:残部の組成が望ましい。
以上、R−T−B系焼結磁石、R−Co系焼結磁石について言及したが、本発明は他の希土類焼結磁石への適用を妨げるものではない。
ストリップキャスト法により、26.6wt%Nd−5.8wt%Dy−0.25wt%Al−0.53wt%Co−0.07wt%Cu−1.0wt%B−Feの組成を有する原料合金を作製した。
次いで、室温にて原料合金に水素を吸蔵させた後、Ar雰囲気中で600℃×1時間の脱水素を行なう水素粉砕処理を行なった。
水素粉砕処理が施された合金に、粉砕性の向上並びに成形時の配向性の向上に寄与する潤滑剤を0.05〜0.1%混合した。潤滑剤の混合は、例えばナウターミキサー等により5〜30分間ほど行なう程度でよい。その後、ジェットミルを用いて平均粒径が5.0μmの微粉砕粉末を得た。
以上の微粉砕粉末を、プレス機にて、表1に示すプレス圧力で加圧成形して予備成型体を得た。
この予備成型体を、乳鉢にて解砕して解砕物を得た後、得られた解砕物を用いて以下のようにして顆粒を作製した。所定の間隔を隔てて、36メッシュの篩(第1篩)と83メッシュの篩(第2篩)を上下方向に配置した。なお、第1篩が上側に位置している。第1篩の上に、得られた解砕物を載せた後に、第1篩及び第2篩をともに所定時間振動させた。振動終了後に、第2篩上に残存した顆粒を採取した。この顆粒は、第1篩及び第2篩の目開き寸法より、180〜425μmの粒径を有していることになる。なお、図1に作製された顆粒の外観SEM像を示す。図1には、顆粒化する前の微粉砕粉末の外観SEM像も併せて示している。
得られた顆粒について、以下の方法に基づいて安息角を測定した。その結果を表1に併せて示す。
安息角測定方法:60mmφの円のテーブルの上に、一定高さから篩を通して少しずつ顆粒を落下させた。顆粒の山が崩壊する直前で顆粒の供給を停止した。円テーブルの上にできた顆粒の山の底角を測定した。円テーブルを120°ずつ回転し、計3箇所について角度を測定し、その平均を安息角とした。
また、比較のため、顆粒化することなく微粉砕粉末のままの状態(比較例1)、バインダとしてポリスチレンを含むスラリをスプレードライして得られた顆粒(比較例2)、微粉砕粉末に磁界を印加して作製した顆粒(比較例3)について、同様に安息角を測定し、その結果を表1に示した。
Figure 0004282016
次いで、得られた顆粒を磁場中成形した。具体的には、15kOeの磁場中で1.4t/cm2の圧力で成形を行い、成形体を得た。得られた成形体を真空中およびAr雰囲気中で1080℃まで昇温し4時間保持して焼結を行った。次いで得られた焼結体に800℃×1時間と560℃×1時間(ともにAr雰囲気中)の2段時効処理を施した。
得られた焼結磁石の磁気特性を測定した結果を表1に示す。
比較のため、比較例1の微粉砕粉末を上記と同様にして磁場中成形、焼結及び時効処理を施して得られた焼結磁石、バインダとしてポリスチレンを含むスラリをスプレードライして得られた顆粒を上記と同様にして磁場中成形、焼結及び時効処理を施して得られた焼結磁石(比較例2)、微粉砕粉末に磁界を印加して作製した顆粒を上記と同様にして磁場中成形、焼結及び時効処理を施して得られた焼結磁石(比較例3)についても、同様に磁気特性を測定し、その結果を表1に示した。
表1に示すように、比較例1の微粉砕粉末の安息角が60°であるのに対して、加圧成形して作製した顆粒においては、安息角を50°以下とし流動性を向上することができる。比較例3の、微粉砕粉末に磁界を印加して作製した顆粒は安息角が54°である。この顆粒は、顆粒作製時に印加した磁界によって顆粒に磁場が残留しており、これによって顆粒の流動性が低下していると考えられる。これに対し、加圧成形して作製した顆粒は高い流動性を備えている。特に、プレス圧が0.05ton/cm2以上、予備成型体密度が3.85g/cc以上の実施例2〜10では、安息角が49°以下、さらにプレス圧が0.45ton/cm2以上、予備成型体密度が4.15g/cc以上の実施例5〜10では、安息角が47°以下となっており、さらに高い流動性を示している。
また、加圧成形して作製した顆粒から得られた焼結磁石は、いずれもPVA等のバインダを用いた顆粒から焼結磁石を作製した比較例2に比べれば大幅に高い磁気特性を備え、プレス圧が1.2ton/cm2以下、予備成型体密度が4.35g/cc以下の実施例1〜8では、微粉砕粉末を磁場中成形して得られた焼結磁石(比較例1)、磁界を印加して作製した顆粒から得られた焼結磁石(比較例3)と同等の磁気特性を備えることがわかる。比較例2を見ればわかるように、PVA等のバインダを用いた顆粒から焼結磁石を作製する場合、脱バインダ処理を行なわなければ磁気特性の低下が著しく、製造工程を簡略化しつつ高い磁気特性を得ることができる本発明の効果は顕著である。
流動性の良い顆粒を用いるメリットとして、狭間口の金型への粉体充填性の容易さが挙げられる。それを確認するためにフィーダテストを行った。通常の量産工程において金型へ粉体を供給するためにフィーダという装置が使用される。このフィーダは、金型の上で水平方向に往復運動をする箱であり、箱の下部には供給孔が空けられている。箱の中には一定量の粉がためられており、この箱が往復運動すると、箱下部の供給孔から金型内部に粉が落ちる仕組みになっている。流動性の良い粉ほど、一定回数の往復運動で多くの粉が落ちることになる。そこで、金型キャビティに見立てた3mm×20mmの空隙を設け、この上で、加圧成形により作製された顆粒を往復運動させた。往復運動のスピードは0.4m/sとし、5往復で上記隙間に落下した粉の重量を測定した。この5往復を1回の測定対象とし、15回の測定を繰り返した。比較のため、顆粒化されていない上記微粉砕粉末(比較例1)についても同様に測定を行った。測定結果を図2に示すが、顆粒を用いることにより、金型キャビティへの充填性を向上できることが確認された。
実施例で作製された顆粒外観を示すSEM像である。 実施例で行ったフィーダテストの結果を示すグラフである。

Claims (7)

  1. 希土類焼結磁石の原料粉をそのまま加圧成形して第一の成形体を形成する工程と、
    前記第一の成形体をそのまま解砕することで前記原料粉同士をファンデルワールス力のみで結着させた顆粒を作製する工程と、
    前記顆粒を金型キャビティに投入する工程と、
    前記顆粒に磁場を印加し、かつ加圧成形することにより第二の成形体を得る工程と、
    前記第二の成形体を焼結する工程と、
    を備えることを特徴とする希土類焼結磁石の製造方法。
  2. 前記顆粒を作製する工程では、安息角が50°以下の前記顆粒を作製することを特徴とする請求項1に記載の希土類焼結磁石の製造方法。
  3. 前記顆粒を金型キャビティに投入する工程では、0.07〜0.6mmの粒径を有した前記顆粒を前記金型キャビティに投入することを特徴とする請求項1または2に記載の希土類焼結磁石の製造方法。
  4. 前記第一の成形体を形成する工程では、前記原料粉を0.03〜1.3ton/cm2の圧力で加圧することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の希土類焼結磁石の製造方法。
  5. 前記第一の成形体を形成する工程では、3.8〜4.35g/ccの成形体密度を有した前記第一の成形体を形成することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の希土類焼結磁石の製造方法。
  6. 前記第一の成形体を形成する工程では、前記原料粉に潤滑剤を添加することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の希土類焼結磁石の製造方法。
  7. 前記原料粉は、R214B相(Rは希土類元素から選択される1種又は2種以上の元素、TはFe又はFe及びCoを含む遷移金属元素から選択される1種又は2種以上の元素)を含む組成を有し、平均粒径が2.5〜6μmであることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の希土類焼結磁石の製造方法。
JP2004282688A 2004-09-28 2004-09-28 希土類焼結磁石の製造方法 Expired - Fee Related JP4282016B2 (ja)

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