JP4277554B2 - 所要時間推定装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、道路交通情報の対象となっていない道路リンクを通行するのに要する所要時間を推定する所要時間推定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、主要な道路については、例えば、VICS(登録商標)(Vehicle Information & Communication System:道路交通情報通信システム)など、無線によりその道路の混雑状況や特定の道路区間の所要時間などの道路交通情報が提供されている。このような道路交通情報提供システムにより提供される道路交通情報は、道路に設置された車両検知センサなどのセンサによるデータに基づくため、当該センサが設置されている道路に限定された情報だけが提供されている。
【0003】
そのため、このような道路交通情報提供システムでは、全ての道路についての所要時間が道路交通情報により提供されるわけではないことから、例えば、このように提供される道路交通情報を利用して現在地から目的地までの経路を探索するナビゲーション装置等では、最短時間で目的地へ到着できる経路を探索する際に、当該道路交通情報により所要時間に関する情報が提供されていない道路を含むと、その経路については所要時間を算出することはできない。
【0004】
そこで、道路交通情報が提供されていない道路についても所要時間を推定する技術の提案が望まれており、例えば、特許文献1や特許文献2において、道路交通情報により所要時間の情報が提供されていない道路に関する当該所要時間を推定する方法がいくつか提案されている。
【0005】
特許文献1には、道路上に車両の走行情報を得る複数の感知器を備えた道路に対して、感知器を有しない車線または任意の地点における交通流を推定する技術が開示されている。この技術は、道路全体の交通流をシミュレートし、その結果における、感知器が設置された場所の推定値が、実際の感知器からのデータと一致するように交通流のシミュレーションパラメータを調整するものである。
【0006】
また特許文献2には、道路を走行する車両から車両の位置等の情報を直接収集してその車両が走行した道路の所要時間を推定する技術が開示されている。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−222669号公報(第2頁〜第8頁、図1〜図9)
【特許文献2】
特開2003−16570号公報(第2頁〜第9頁、図1〜図11)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1による開示技術は、あくまでも感知器が設置された道路に対して、感知器が設置されていない車線またはその道路上の任意の位置を感知器のデータに基づいて推定する技術であり、いわば交通情報対象道路における「感知器によるセンサデータのない道路部分」についてのデータ補完技術である。そのため、元来、当該感知器が設置されていない道路、即ち、前述したような「道路交通情報により所要時間の情報が提供されていない道路」については、適用することはできないため、このような特許文献1による開示技術では「道路交通情報により所要時間の情報が提供されていない道路」に関する所要時間を推定することはできないという問題がある。
【0009】
また、特許文献2による開示技術は、走行している車両からデータを収集する装置が必要であることから、十分な数の車両からデータが収集できない場合においては、「道路交通情報により所要時間の情報が提供されていない道路」に関する所要時間を正確に推定することが困難になり、実用上の問題がある。
【0010】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、道路交通情報により所要時間の情報が提供されていない道路に関する所要時間を簡便に推定し得る所要時間推定装置を実現することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段および発明の作用・効果】
上記目的を達成するため、請求項1の所要時間推定装置では、道路交通情報の対象となっている交通情報対象道路リンクの所要時間データを含む交通情報を、外部から取得する交通情報取得手段と、前記交通情報取得手段により取得された前記交通情報に基づいて、道路交通情報の対象となっていない交通情報非対象道路リンクの所要時間を補間する所要時間補間手段と、前記交通情報取得手段により取得された前記交通情報および前記所要時間補間手段により補間された前記所要時間に基づいて、所要時間を推定する所要時間推定手段と、を備え、前記所要時間補間手段は、道路網を所定領域に区切って特定する所定領域特定手段と、前記所定領域内の前記交通情報対象道路リンクについて、各道路リンクの長さおよび前記所要時間データから当該各道路リンクの平均車速を算出し、算出された平均車速を所定の値で分類し、各分類に含まれる道路リンクの総距離を算出し、当該分類ごとの、道路リンクの総距離の比率を算出する、交通情報対象リンク混雑度分類手段と、前記所定領域内の前記交通情報非対象道路リンクについて、前記所定領域内の道路リンクに対して前記総距離の比率を維持するように、前記平均車速を割り当て、割り当てられた平均車速および道路リンクの長さから当該道路リンクの所要時間を推定する交通情報非対象リンク所要時間推定手段と、を備えることを技術的特徴とする。
【0012】
なお、「交通情報対象道路リンク」とは、道路に設置されて車両の走行情報を検出し得る車両走行情報検出手段から出力される車両走行情報に基づいて、当該道路に対応する道路リンクの所要時間が算出されており、当該所要時間が「道路交通情報」として入手可能な道路リンクのことをいう(以下同じ)。より具体的には、例えばインフラストラクチャとしての交通流計測センサ等のセンサデータからその道路の所要時間を直接算出でき、その算出値を利用することができる道路リンクのことである。また「交通情報非対象道路リンク」とは、車両の走行情報を検出し得る車両走行情報検出手段が設置されない道路リンクで、当該道路リンクの所要時間を「道路交通情報」として入手不可能な道路リンクのことをいう(以下同じ)。より具体的には、例えばインフラストラクチャとしての交通流センサ等が設置されておらず、その道路の所要時間をその道路のセンサデータから直接算出できない道路リンクのことである。
【0013】
請求項1の発明では、交通情報取得手段により、道路交通情報の対象となっている交通情報対象道路リンクの所要時間データを含む交通情報を外部から取得し、この取得された交通情報に基づいて、所要時間補間手段により道路交通情報の対象となっていない交通情報非対象道路リンクの所要時間を補間する。そして、交通情報取得手段により取得された交通情報および所要時間補間手段により補間された所要時間に基づいて、所要時間推定手段によって交通情報非対象道路リンクが含まれる所定位置間の所要時間を推定する。所要時間補間手段は、所定領域特定手段、交通情報対象リンク混雑度分類手段および交通情報非対象リンク所要時間推定手段を備え、道路網を所定領域に区切って特定すると、当該所定領域内の交通情報対象道路リンクについて、各道路リンクの長さおよび所要時間データから当該各道路リンクの平均車速を算出し、算出された平均車速を所定の値で分類し、各分類に含まれる道路リンクの総距離を算出し、当該分類ごとの、道路リンクの総距離の比率を算出する。また、所定領域内の交通情報非対象道路リンクについて、所定領域内の全道路リンクに対して総距離の比率を維持するように、平均車速を割り当て、割り当てられた平均車速および道路リンクの長さから当該道路リンクの所要時間を推定する。これにより、道路交通情報により所要時間の情報が提供されていない道路の所要時間をこのような補間により得ることができるので、別途、走行中の他の車両からデータを収集する装置等を設けることなく、当該道路についても所要時間を推定することができる。したがって、道路交通情報により所要時間の情報が提供されていない道路に関する所要時間を簡便に推定することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の所要時間推定装置の実施形態について図を参照して説明する。
まず、情報センタ20の構成を図1に基づいて説明する。
図1に示すように、情報センタ20は、主に、CPU21、メモリ22、地図/道路リンクDB23a、交通需要予測DB23b、通信制御装置(以下「CCU」という)25等から構成されている。なお「DB」とは、データベースの略記で、以下、データベースのことをこのように「DB」と記す。
【0019】
CPU21は、情報センタ20を制御する中央演算処理装置で、システムバスを介してメモリ22、地図/道路リンクDB23a、交通需要予測DB23b、CCU25等と接続されている。なお、このCPU21は、制御部、算術論理演算部等を備えており、メモリ22とともに例えばパーソナルコンピュータやワークステーションとして構成されるものである。
【0020】
メモリ22は、CPU21が使用する主記憶空間を構成する半導体メモリで、データバスを介してCPU21と接続されている。このメモリ22には、CPU21を制御するシステムプログラム22aのほか、各種制御プログラム22b〜22g等が格納されており、CPU21はこれらのコンピュータプログラムをメモリ22から読み出して逐次実行している。
【0021】
地図/道路リンクDB23aおよび交通需要予測DB23bは、CPU21が使用する補助記憶空間を構成するハードディスク装置、コンパクトディスク装置やディジタルバーサティルディスク装置等で、データバスを介してCPU21と接続されている。
【0022】
地図/道路リンクDB23aには、過去利用されていたものから最新のものに到るまでの道路地図データやこの道路地図データに付随する道路リンクデータが記憶され蓄積されている。この道路リンクデータには、後述する交通情報取得プログラム22cによって、例えばVICSセンタ等の交通情報センタ100から取得された交通情報対象道路リンクの取得所要時間データや所要時間補間プログラム22dによって補間された交通情報非対象道路リンクの補間所要時間データが含まれている。
【0023】
CCU25は、情報センタ20の外部との通信を制御する通信制御装置で、例えば、通信回線を介して接続されたインターネット等の電気情報通信網105や電話回線交換局110とCPU21と間のデータの授受に関する通信制御を担うもので、電話回線交換局110を介して、車両に搭載されたナビゲーション装置50とデータ通信を行ったり、また電気情報通信網105を介して交通情報センタ100から最新の取得所要時間データ等の道路交通情報を入手する機能を有する。なお、図1に図示されていないが、情報センタ20には、このほか情報センタ20の運用を指示操作するための入力装置や運用状態等を表示するための出力装置等が設けられている。
【0024】
一方、情報センタ20に対向するナビゲーション装置50は、情報センタ20とほぼ同様、主に、制御装置52、出力装置53、入力装置54、位置検出装置56、無線通信装置58等から構成されている。
【0025】
制御装置52は、情報センタ20のCPU21、メモリ22等と同様に、図略のCPUやメモリ等を備えている。このメモリには、情報センタ20から無線通信装置58を介して受信した所要時間データや入力装置54等を介して入力される探索条件等に基づいて独自に時間的に最短の経路を探索し案内し得る経路探索・案内プログラム52aや、情報センタ20から無線通信装置58を介して交通情報を取得し得る交通情報取得プログラム52b等が格納されている。
【0026】
出力装置53は、図略の入出力インタフェイスを介して制御装置52に接続されており、現在地から目的地までの経路案内情報や当該目的地に到着するまでにかかる推定所要時間等を画像や音声により出力し得る装置である。この出力装置53は、画像により経路案内を行う場合には、例えば、液晶表示器やCRT表示器により構成されており、ナビゲーション装置50の操作パネルに設けられている。また音声により経路案内を行う場合には、音声合成器、サウンドジェネレータ、アンプ、スピーカ等により構成されている。またこの両方により構成されて、画像と音声の双方により経路案内等を行うものもある。
【0027】
入力装置54は、ナビゲーション装置50の操作パネルに設けられている情報入力装置で、図略の入出力インタフェイスを介して制御装置52に接続されている。この入力装置54は、利用者が経路探索を希望する目的地等に関する情報を入力するもので、押圧式のスイッチを所定数並べた構成を採るものや、出力装置153の表面に設けられたタッチパネル式のもの、あるいは利用者の声を認識してナビゲーション装置50への入力情報に変換する、マイクロフォン、音声認識装置等で構成されているものもある。
【0028】
位置検出装置56は、ナビゲーション装置50が搭載された車両の現在位置を検出し現在位置データを出力するためのもので、例えば、複数のGPS衛星からの信号を受信して利用者の絶対位置を計測するGPSセンサや、車両の相対位置を計測するジャイロセンサにより構成されている。なお、ジャイロセンサは自律航法に使用されるもので、これにより計測される相対位置は、GPS受信機が衛星からの電波を受信できないトンネル内等において位置を得たり、GPS受信機によって計測された絶対位置の測位誤差を補正する等に利用される。
【0029】
無線通信装置58は、情報センタ20との間で無線通信回線によるデータの送受信を行うための無線通信機器で、図略の入出力インタフェイスを介して制御装置52に接続されている。例えば、携帯電話機、PHS等の無線通信システムを利用している。
【0030】
ここで、情報センタ20のメモリ22に格納されている、入力プログラム22b、交通情報取得プログラム22c、所要時間補間プログラム22d、所要時間推定プログラム22e、交通需要予測プログラム22f、出力プログラム22gの概要を説明する。
【0031】
入力プログラム22bは、所要時間補間プログラム22dにより補間すべき道路リンクのデータ等を地図/道路リンクDB23aから読み込む機能や、情報センタ20の利用者(車両70の乗員)がナビゲーション機能を利用する上で必要となる道路交通情報等の各種情報の要求をCCU25を介して受け付け、当該要求を他のプログラムや処理等に受け渡す機能を有するものである。
【0032】
交通情報取得プログラム22cは、インターネット等の電気情報通信網105に接続されたCCU25を介して交通情報センタ100(例えばVICSセンタ)から、所要時間を含む道路交通情報を取得する機能を有するもので、これにより時々刻々と変化する道路交通情報をリアルタイムに取得している。なお、この交通情報取得プログラム22cは、特許請求の範囲に記載の「交通情報取得手段」に相当するものである。
【0033】
所要時間補間プログラム22dは、後述するように、交通情報取得プログラム22cにより取得された道路交通情報に基づいて道路交通情報の対象となっていない交通情報非対象道路リンクの所要時間を補間する機能を有するものである。なお、交通情報非対象道路リンクとしては、例えばインフラストラクチャとしての交通流計測センサ等のセンサデータからその道路の所要時間を直接算出することができず、その算出値を利用することができない道路リンクが挙げられる。なお、この所要時間補間プログラム22dは、特許請求の範囲に記載の「所要時間補間手段」に相当するものである。
【0034】
所要時間推定プログラム22eは、交通情報取得プログラム22cにより取得された道路交通情報および所要時間補間プログラム22dにより補間された所要時間に基づいて、交通情報非対象道路リンクが含まれる所定位置間の所要時間を推定する機能を有するものである。なお、この所要時間推定プログラム22eは、特許請求の範囲に記載の「所要時間推定手段」に相当するものである。
【0035】
交通需要予測プログラム22fは、後述する所定の手順により道路リンクごとに時間帯別に交通需要を予測する機能を有するもので、これによって予測されたデータは交通需要予測DB23bに記憶され蓄積される。
【0036】
出力プログラム22gは、所要時間補間プログラム22dにより補間された補間所要時間を地図/道路リンクDB23aに書き込む機能や、入力プログラム22bにより受け付けられたナビゲーション装置50からの要求に応じて処理された結果を道路交通情報等の各種情報として、CCU25を介してナビゲーション装置50に出力する機能を有するものである。
【0037】
次に、本情報センタ20により処理される経路所要時間推定処理の流れを図2〜図12に基づいて説明する。なお以下説明する経路所要時間推定処理は、前述した入力プログラム22b、交通情報取得プログラム22c、所要時間補間プログラム22d、所要時間推定プログラム22e、交通需要予測プログラム22f、出力プログラム22gにより実行されるもので、システムプログラム22aのメインルーチン(DB作成・更新制御部)から一定時間の間隔で起動されるものである。なお、図13には、DB作成・更新制御部22a’として図示されている。
【0038】
図2に示すように、経路所要時間推定処理は、所定の初期化処理の後、まずステップS101によりリンク情報を取得する処理が行われる。この処理は、入力プログラム22bにより行われるもので、本経路所要時間推定処理の対象となる道路リンクのデータを地図/道路リンクDB23aから読み込む処理を行う。このステップS101により読み込まれる道路リンクのデータは、例えば、リンクの座標情報、リンクの長さ、リンクの種別等である。なお、図3には、これらの道路リンクに関する情報等に基づいて、所定の演算処理(コスト作成部)により作成されメモリやファイルを介して渡される道路リンクのコストに関する情報(コスト情報)の例が示されている。このコスト情報のデータ構造では、リンク情報はリンクIDと旅行時間情報とを含み、当該旅行時間情報は順方向の旅行時間と逆方向の旅行時間とを含んで構成されている。
【0039】
なお、図3のデータ構造で示されている「旅行時間」は所要時間のことで、例えば、道路交通情報の対象となっている交通情報対象道路リンクのデータに該当する場合には、当該道路リンクを順方向に走行した場合の所要時間に関するデータが「旅行時間(順)の項目」に格納されており、また当該道路リンクを逆方向に走行した場合の所要時間に関するデータが「旅行時間(逆)の項目」に格納されている。また道路交通情報の対象となっていない交通情報対象道路リンクのデータに該当する場合は、該当データが存在しないことを示すNULLデータ等が「旅行時間(順)の項目」および「旅行時間(逆)の項目」に格納されている。
【0040】
続くステップS103では、交通情報取得処理が行われる。この処理は、交通情報取得プログラム22cにより行われるもので、情報センタ20の外部、例えば交通情報センタ100(VICSセンタ等)からCCU25を介して交通情報対象道路リンクの所要時間データを含む交通情報を取得する処理を行う。
【0041】
次のステップS105では、所要時間補間処理が行われる。この処理は、所要時間補間プログラム22dにより行われるもので、具体的には、例えば図4に示すサブルーチンによる所要時間補間処理(その1)が行われる。ここで、所要時間補間処理(その1)の詳細を図4〜図9を参照して説明する。
【0042】
図4に示すように、所要時間補間処理(その1)では、まずステップS201によりリンク情報を所定領域ごとに分割する処理が行われる。この処理は、道路網を所定領域に区切って特定するもので、特許請求の範囲に記載の「所定領域特定手段」に相当するものである。具体的には、例えば、図5に示すように、地図/道路リンクDB23aから読み込まれる道路地図データに基づいて、例えば2次メッシュと呼ばれる区画ごとに道路リンク情報の集合を作成する処理を行う。この図5に示す例では、1区画、約10km四方に設定して区切ることにより愛知県内の道路地図データを21分割し、XY座標で表現した場合のX3Y3区画に相当する所定領域αを特定している。そして、このように特定された所定領域α内には、交通情報対象道路リンク(図5下段枠内に示す太実線)と交通情報非対象道路リンク(図5下段枠内に示す細実線)が混在していることが図5には示されている。
【0043】
次のステップS203では、交通情報対象道路リンクから混雑割合を算出する処理が行われる。この処理は、ステップS201により特定された所定領域内の交通情報対象道路リンクについて、各道路リンクの長さおよび所要時間データから各道路リンクの平均車速を算出し、算出された平均車速を所定の値で分類し、各分類に含まれる道路リンクの総距離を算出し、当該分類ごとの、道路リンクの総距離の比率を算出するもので、特許請求の範囲に記載の「交通情報対象リンク混雑度分類手段」に相当するものである。具体的には、例えば、図5に示した所定領域αの場合、図6(A) に示すように、当該所定領域α内に存在する交通情報対象道路リンクについてそれぞれの混雑度を算出し、次にその算出されたそれぞれの混雑度について当該所定領域α内の割合(総距離の比率)を求める。
【0044】
ここにいう混雑度とは、例えば、道路リンクの長さと所要時間(旅行時間)とから平均車速を算出し、当該道路リンクの種別(例えば、一般道路、都市高速道路、都市間高速道路等)に応じて与えられるもので、例えば、図6(B) に示す図表に示されているように定義される。なお、このような道路リンクの長さや種別は、道路地図データに付随して地図/道路リンクDB23aに格納されている。
【0045】
即ち、この図6(B) による定義の例では、一般道路の場合、平均車速が5km/h以下のときは「渋滞」、5km/hを超過して15km/h以下のときは「混雑」、15km/hを超過するときは「通常」に定義されている。また都市高速道路の場合、平均車速が10km/h以下のときは「渋滞」、10km/hを超過して30km/h以下のときは「混雑」、30km/hを超過するときは「通常」に定義されている。さらに都市間高速道路の場合、平均車速が20km/h以下のときは「渋滞」、20km/hを超過して50km/h以下のときは「混雑」、50km/hを超過するときは「通常」に定義されている。なお、この混雑度は、このように「渋滞」、「混雑」および「通常」の3段階に分ける場合のほか、例えば、より細分化してレベル1〜レベル10までの10段階に分けても良し、11以上の多段階に分けても良い。これにより混雑度の精度を高めることが可能になる。
【0046】
このようにして各交通情報対象道路リンクについて混雑度が算出されると、次にその算出されたそれぞれの混雑度について当該所定領域α内の割合が求められる。例えば、図6(A) に示す所定領域αの例では、当該所定領域α内の全ての交通情報対象道路リンクのリンク長総和を100%とした場合、これに対し、点線により表される「渋滞」に該当する道路リンクの割合は25%であり、また一点鎖線により表される「混雑」に該当する道路リンクの割合は10%であり、さらに破線により表される「通常」に該当する道路リンクの割合は65%である。
【0047】
ステップS205により需要予測データを取得する処理が行われる。即ち、交通情報対象道路リンクのそれぞれについての需要予測値を、それぞれのリンクIDをキーとして交通需要予測DB23bから取得する処理が行われる。
【0048】
ここで、交通需要予測DB23bについて図7を参照して説明する。
交通需要予測DB23bには、図7(A) に示すようなデータテーブルに従って各データが格納されており、このデータテーブルは、図7(B) に示すように、例えば、タウンページDBや交通量DBに基づいて交通需要予測プログラム22fによって作成される。具体的には、例えば、以下の手順により行われる。なお、タウンページDBは、NTT番号情報株式会社等により提供されるもので、「タウンページ」は登録商標である。
【0049】
まず、朝、昼、夜、平日、休日など人の移動に関するパラメータに応じて複数のOD(出発地、目的地の略記で、以下同じ。)をタウンページDBから選択する。次にODの数だけ経路探索を数回試行する。そして、道路リンク(順方向、逆方向別)ごとに通過回数をカウントする。ここで、ODの選択は、移動目的別に、例えば、通勤時の場合には、出発地をクリーニング店(人口に相関した施設)とし、目的地を会社(ビル)とする。また、娯楽時の場合には、出発地をクリーニング店として、目的地を人気観光地とする、などといったDBのジャンルから抽出する。
【0050】
また、ODの抽出は、人の移動目的として、例えば次のような分類が考えられる。出勤・登校、業務A(荷なし)、業務B(荷あり)、私事・娯楽、帰社、帰宅、業務用旅客者、業務用貨物車等である。まず、これら移動目的ごとにODのタウンページジャンルを設定する。例えば、出勤・登校をとりあげてみると、出発地は各家庭の自宅、目的地は会社とするなら、自宅のジャンルは人口と相関のあるような施設、例えばクリーニング店、会社のジャンルはビルとする。そして、ある地域の時間帯別流入出データや時間帯別の移動目的データおよび移動目的ごとのODのタウンページジャンルに基づき、移動目的ごとのOD座標情報をタウンページDBより適当に抽出する。なお、ある地域の時間帯別流入出データおよび時間帯別の移動目的データとしては、例えば、国土交通省実施の道路交通センサス等に基づき作成されたものがある(図7(B) に示す交通量DBがこれに該当する)。
【0051】
続くステップS207では、需要予測値について混雑閾値を設定する処理が行われる。即ち、ステップS203で算出された混雑度の割合と等しくなるように混雑の閾値を求める処理が行われる。具体的には、例えば、図6(A) に示す所定領域αの例において、ステップS205により需要予測値が図8(A) に示すように得られたとする。横軸を需要予測値(交通需要)とし、この需要予測値に対応する道路リンクの総距離を縦軸としてグラフを作成すると、図8(B) に示すような特性図が得られるので、ステップS203で得られた混雑度の割合と等しくなるような面積比でこの特性図による領域K、L、Mを分割する。この領域Kと領域Lとの境界(図8(B) に示す左側の太破線)が「通常」と「混雑」とを分ける混雑閾値となる。また領域Lと領域Mとの境界(図8(B) に示す右側の太破線)が「混雑」と「渋滞」とを分ける混雑閾値となる。
【0052】
なお、図8(B) に示す特性図の例では、ステップS203で得られた混雑度の割合が、「渋滞」は25%、「混雑」は10%、「通常」は65%であったことから、それぞれに対応させて領域Kは65%、領域Lは10%、領域Mは25%となるように設定されている。また、図8(A) に示す需要予測値は最大値が100になるように正規化されており、図8(B) に示すグラフの横軸もこれに併せて100を最大値に設定されている。
【0053】
ステップS209では、交通情報非対象道路リンクの混雑状況を推定する処理が行われる。この処理は、ステップS207により設定された混雑閾値に基づいて、所定領域内に存在する交通情報非対象道路リンクのそれぞれについて「渋滞」、「混雑」または「通常」のいずれかを推定する処理が行われる。例えば、図6(A) に示す所定領域αの例では、ステップS207により設定された混雑閾値に従って、「渋滞」、「混雑」および「通常」に振り分けると、図9(A) の上段左側に示す「需要予測値による各道路リンクの混雑状況」のように推定される。この「需要予測値による各道路リンクの混雑状況」において、「渋滞」は点線、「混雑」は一点鎖線、「通常」は破線によりそれぞれ表されている。また各線の太さによって、「交通情報対象道路リンク」(太線)、「交通情報非対象道路リンク」(細線)をそれぞれ表している。
【0054】
これに対し、図9(A) 上段右側には、図6(A) に示したものと同様に、交通情報による各道路リンクの混雑状況、即ち交通情報対象道路リンクについてそれぞれの混雑度が表されている。ここで、この「交通情報による各道路リンクの混雑状況」の所定領域α中には楕円で囲まれた道路リンクが3箇所存在するが、これは、先に説明した左側の「需要予測値による各道路リンクの混雑状況」の該当道路リンクとは混雑度が一致しない道路リンクを指している。このように「需要予測値による各道路リンクの混雑状況」が、「交通情報による各道路リンクの混雑状況」と相違した混雑度を推定した場合には、現実データである交通情報によるものを優先させるため、当該差異のある道路リンクについては「交通情報による各道路リンクの混雑状況」による混雑度を「需要予測値による各道路リンクの混雑状況」に上書きする処理が行われる。これにより、図9(A) の下段に示されるような「補間処理後の各道路リンクの混雑状況」が得られる。
【0055】
続くステップS211では、交通情報非対象道路リンクの所要時間を推定する処理が行われる。この処理は、所定領域α内の交通情報非対象道路リンクについて、所定領域α内の全道路リンクに対して所定領域α内の割合(総距離の比率)を維持するように、平均車速を割り当て、割り当てられた平均車速および道路リンクの長さから当該道路リンクの所要時間を推定するもので、特許請求の範囲に記載の「交通情報非対象リンク所要時間推定手段」に相当するものである。
【0056】
具体的には、ステップS207により設定された混雑閾値に従って、ステップS209により交通情報非対象道路リンクがそれぞれ「渋滞」、「混雑」および「通常」に振り分けられているので、所定領域α内の全道路リンクに対して所定領域α内の割合(総距離の比率)の維持できている。一方、平均車速の割り当ては、道路地図データに付随して地図/道路リンクDB23aに格納されている道路リンクの種別から、当該交通情報非対象道路リンクの道路種別がわかるので、これに基づいて、図6(B) 示した混雑度の定義の範囲内で、適当な平均車速を定義する。例えば、図9(B) に示すように、一般道路の場合、「渋滞」のときには車速を5km/h、「混雑」のときには車速を15km/h、「通常」のときには車速を40km/h、にそれぞれ定義されている。また都市高速道路の場合、「渋滞」のときには車速を10km/h、「混雑」のときには車速を30km/h、「通常」のときには車速を40km/h、にそれぞれ定義されている。さらに都市間高速道路の場合、「渋滞」のときには車速を20km/h、「混雑」のときには車速を50km/h、「通常」のときには車速を60km/h、にそれぞれ定義されている。これにより、各道路種別および混雑度に合わせた平均車速が定義されるので、これに従って各道路リンクごとに平均車速を決定することで、道路地図データに付随して地図/道路リンクDB23aに格納されている各道路リンクの長さをそれぞれに対応する平均車速により除算すれば各道路リンクとごとに所要時間が算出され推定できる。
【0057】
ステップS211により交通情報非対象道路リンクのそれぞれに対する所要時間が推定されると、ステップS213により分割した全ての所定領域について補間処理が完了したか否かが判断される。例えば、図5に示した愛知県の例では、21区画に分割された全てについてステップS203〜S211までの補間処理が終了するまで、これらの各ステップによる処理が各区画ごとに繰り返し行われる。そして、分割した全ての所定領域について補間処理が完了したと判断されると(S213でYes)、本所要時間補間処理(その1)を終了し、図2に示す本経路所要時間推定処理のステップS107に処理を移行する。
【0058】
ここで図2に戻ると、ステップS107ではリンク情報出力処理が行われる。この処理は、出力プログラム22gにより行われるもので、ステップS105により補間された交通情報非対象道路リンクの所要時間データを補間所要時間データとして、地図/道路リンクDB23aに書き込む処理が行われる。これにより図3に示す地図/道路リンクDB23aのデータ構造のうちの、旅行時間(順)および旅行時間(逆)のいずれの項目についても補間所要時間データが書き込まれることになる。
【0059】
続くステップS109では、所要時間推定処理が行われる。この処理は、所要時間推定プログラム22eにより行われるもので、特許請求の範囲に記載の「所要時間推定手段」に相当するものである。
【0060】
即ち、地図/道路リンクDB23aには、ステップS103により取得された交通情報対象道路リンクによる取得所要時間データとステップS105により補間された交通情報非対象道路リンクによる補間所要時間データとが書き込まれ、双方とも地図/道路リンクDB23aから読み出し可能な状態にあるので、これらの所要時間データに基づいて、交通情報非対象道路リンクが含まれる所定位置間の所要時間を推定する処理が行われる。
【0061】
例えば、車両70に搭載されたナビゲーション装置50や電気情報通信網105(例えばインターネット)に接続されたパーソナルコンピュータ120から、出発地および目的地に関するデータ(例えば経度・緯度による座標データ)を受け取り、出発地と目的地との間の最短時間経路を探索してその経路および所要時間を利用者に提供するサービスを行うものである。経路探索には、地図/道路リンクDB23aに格納されている道路地図データに基づいて、例えばダイクストラ法等による経路探索を行い、探索された各経路候補に含まれる交通情報対象道路リンクについては対応する道路リンクの取得所要時間データを、また当該経路に含まれる交通情報非対象道路リンクについては対応する道路リンクの補間所要時間データを、それぞれ地図/道路リンクDB23aから読み出してそれらの総和から当該所定位置間の所要時間を推定する。そして、所要時間が最小になる経路を最短時間経路として出力プログラム22gを介して利用者に出力する。この所要時間推定プログラム22eによる処理は、各道路リンクの所要時間をコスト値とし、各経路候補に含まれる道路リンクの所要時間の総和をいわゆる最適解を求める評価関数として、最短時間経路を求めるものである。
【0062】
このように、本実施形態に係る情報センタ20による経路所要時間推定処理では、図1および図2に示すように、交通情報取得プログラム22c(S103)により、道路交通情報の対象となっている交通情報対象道路リンクの取得所要時間データを含む交通情報を交通情報センタ100から取得し、この取得された交通情報の取得所要時間データに基づいて、所要時間補間プログラム22d(S105)により道路交通情報の対象となっていない交通情報非対象道路リンクの所要時間を補間する。そして、交通情報取得プログラム22c(S103)により取得された交通情報の取得所要時間データおよび所要時間補間手段により補間された補間所要時間データに基づいて、所要時間推定プログラム22e(S109)によって交通情報非対象道路リンクが含まれる所定位置間の所要時間を推定する。これにより、道路交通情報により所要時間の情報が提供されていない道路の所要時間をこのような補間により得ることができるので、別途、走行中の他の車両からデータを収集する装置等を設けることなく、当該道路についても所要時間を推定することができる。したがって、道路交通情報により所要時間の情報が提供されていない道路に関する所要時間を簡便に推定することができる。
【0063】
また、所要時間補間プログラム22d(S105)は、図4に示す所要時間補間処理(その1)により、ステップS201により道路網を所定領域αに区切って特定すると、ステップS203によって、当該所定領域α内の交通情報対象道路リンクについて、各道路リンクの長さおよび所要時間データから当該各道路リンクの平均車速を算出し、算出された平均車速を「渋滞」、「混雑」および「通常」からなる混雑度で分類し、これら「渋滞」、「混雑」および「通常」に含まれる道路リンクの総距離を算出し、これら分類ごとの、道路リンクの総距離に対する割合を算出する。また、ステップS211によって、所定領域α内の交通情報非対象道路リンクについて、所定領域α内の全道路リンクに対して所定領域α内の割合(総距離の比率)を維持するように、平均車速を割り当て、割り当てられた平均車速および道路リンクの長さから当該道路リンクの所要時間を推定する。これにより、交通情報対象道路リンクについての、道路リンクの長さおよびその所要時間データがわかれば、道路交通情報により所要時間の情報が提供されていない道路に関する所要時間を簡便に推定することができる。
【0064】
ここで、図2に示すステップS105による所要時間補間処理を実行するサブルーチンの他の例としての所要時間補間処理(その2)を、図10〜図12を参照して説明する。なお、この所要時間補間処理(その2)は、交通需要予測DB23bを必要としないところが図4を参照して説明した所要時間補間処理(その1)と異なる点である。
【0065】
図10に示すように、所要時間補間処理(その2)では、まずステップS301により、交通情報対象道路リンクを含む所定領域ごとにリンク集合を作成する処理が行われる。即ち、地図/道路リンクDB23aに格納された道路地図データからそれぞれの道路リンクの座標情報を取得して、交通情報非対象道路リンクが存在する範囲が交通情報対象道路リンクによって囲まれるように所定領域ごとに分割して、その所定領域に含まれるリンク集合を作成する処理が行われる。例えば、図11に示す例では、同図左側の道路地図β内から、点線により表される交通情報非対象道路リンクを実線により表される交通情報対象道路リンクにより囲まれるように、同図右側の所定領域βa 、βb 、βc ごとに分割しリンク集合を作成する。
【0066】
続くステップS303では、交通情報対象道路リンクを含む並行道路リンクを抽出して交通情報非対象道路リンクの所要時間を推定する処理が行われる。例えば、図11に示す所定領域βa の場合には、図12に示すように、交通情報非対象道路リンク(実線)を含む並行道路リンクである「互いに並列に位置する交通情報対象道路リンク同士」として「混雑」に相当する道路リンク(一点鎖線)と「通常」に相当する道路リンク(破線)とを抽出する。この並行道路リンクの抽出は、2つの道路リンクがなす角度が所定範囲内に入る程度に並列に位置しているか否かと、同一路線に面しているか否かと、により判断されて行われる。但し、図11に示す所定領域βc の場合のように、当該所定領域内に河川が含まれるときには、当該河川に架けられる橋を通る隣接した橋上の道路リンク同士が両橋上の道路リンクがなす角度が所定範囲内に入ないもの場合であっても、両橋上の道路リンクを並列に位置しているとみなすことがある。
【0067】
これにより、図12の下段に示すように、縦軸を所要時間、横軸を基準点からの距離としたグラフを作成すると、「混雑」に相当する道路リンク(一点鎖線)を基準点としてその所要時間を縦軸方向に表し(横軸左端)、当該基準点から最も離れた位置(横軸右端)に「通常」に相当する道路リンク(破線)の所要時間を縦軸方向に表すことにより、この両道路リンクの所要時間から両道路リンク間に位置する道路リンクの所要時間を補間することが可能となる。つまり、図12に示す例では、同図のグラフ中の太実線により得られる所要時間が補間された所要時間となる。
【0068】
ステップS305では、未確定の交通情報非対象道路リンクの所要時間を推定する処理が行われる。即ち、ステップS303では所要時間を推定することができなかった交通情報非対象道路リンクについてその所要時間を推定する処理がステップS305により行われる。ステップS303では所要時間を推定することができなかった交通情報非対象道路リンクとは、例えば、図11に示す所定領域βb のように、当該領域の周囲を囲んだ交通情報対象道路リンクのいずれにも並行に位置しない交通情報非対象道路リンクのことである。
【0069】
ステップS305では、このような未確定の交通情報非対象道路リンクの所要時間を、当該領域の周囲を囲んだ交通情報対象道路リンクのリンク長をその所要時間で除算することにより当該交通情報対象道路リンクの平均車速を算出し、未確定の交通情報非対象道路リンクのリンク長をこの平均車速で除算することによって、推定している。
【0070】
ステップS305により未確定の交通情報非対象道路リンクの所要時間も推定されると、ステップS307により分割した全ての所定領域について補間処理が完了したか否かが判断される。例えば、図11に示した道路地図βの例では、9前後の領域に分割された全てについてステップS303、S305による補間処理が終了するまで、これらの各ステップによる処理が各領域ごとに繰り返し行われる。そして、分割した全ての所定領域について補間処理が完了したと判断されると(S307でYes)、本所要時間補間処理(その2)を終了し、図2に示す本経路所要時間推定処理のステップS107に処理を移行する。
【0071】
このように、本実施形態に係る情報センタ20による経路所要時間推定処理では、図1および図2に示す経路所要時間推定処理の所要時間補間プログラム22d(S105)は、図10に示す所要時間補間処理(その2)により、交通情報非対象道路リンクと略並行に位置する交通情報対象道路リンクを抽出し(ステップS301、S303)、この抽出された交通情報対象道路リンクに関する所要時間データに基づいて当該交通情報非対象道路リンクの所要時間を推定する(ステップS303、S305)。これにより、交通情報非対象道路リンクに略並行に位置する交通情報対象道路リンクが存在すれば、道路交通情報により所要時間の情報が提供されていない道路に関する所要時間を簡便に推定することができる。
【0072】
なお、情報センタ20は、図1に示す構成に限られることはなく、例えば、図13に示すような構成を採る情報センタ220であっても良い。
即ち、図13に示すように、情報センタ220は、前述の情報センタ20と同様のハードウェア構成を採用しながら、経路探索部126、経路案内データ作成部127および予測処理部128を備えるように構成しても良い。なお、図13にはCPU、メモリ等の図示は省略されている。また前述の情報センタ20と実質的に同一の構成部分には図13において同一符号を付し、ここではこれらの説明を省略する。
【0073】
ここで、経路探索部126、経路案内データ作成部127、予測処理部128を説明する。なお、これらは、いずれもコンピュータプログラムにより実現されるもので、情報センタ220を構成するメモリ等のデータ記憶装置に格納されている。
【0074】
経路探索部126は、地図/道路リンクDB23a(地図DB23a1、道路リンクDB23a2)から得られる道路地図データやこの道路地図データに付随する道路リンクデータに基づいて、現在地等の出発地から目的地までの最短時間経路を探索する処理を行うもので、探索アルゴルズムとして、例えばダイクストラ法等が採用されている。なお、この経路探索部126により参照される道路リンクデータは、図14に示されるステップS101〜ステップS107の処理により作成更新されるもので、図15に示すような概念によるタイムスライド方式により最短時間経路が探索される。なお、図14では、前述した図2に示す経路所要時間推定処理を構成する処理ステップと実質的に同一の処理ステップには同一符号を付してあるので、本経路所要時間推定処理の詳細説明は省略する。
【0075】
経路案内データ作成部127は、経路探索部126により探索された最短時間経路を案内するために必要なデータを作成する処理を行うものである。当該データを作成するアルゴルズムとしては、例えば、本願出願人による特開2000−113388号公報に開示されているものがあり、作成された案内データは、経路案内データを要求したナビゲーション装置50に対しCCU25を介して送信される。
【0076】
予測処理部128は、現在の所要時間情報および過去のデータに基づいて例えば6時間後まで所定時間(例えば5分)ごとの所要時間を予測する処理を行うもので、第1実施形態で説明した、交通情報取得部(交通情報取得プログラム)22c、所要時間補間部(所要時間補間プログラム)22d、交通需要予測部(交通需要予測プログラム)22f等とともに、道路リンク作成部を構成するもので、本第2実施形態で追加されたものである。当該所要時間を予測するアルゴルズムとしては、例えば、特開昭63−49999号公報、特開平3−19100号公報や特開2002−260142号公報等に開示されているものがあるのでこれらの公知技術を用いる。
【0077】
この予測処理部128は、図14に示すように、ステップS105とステップS107との間に介在する所要時間予測処理として実行されることにより、例えば、時々刻々と変化する所要時間をタイムスライドコストデータとしてステップS107の道路リンクDB更新部(出力プログラム)22gに出力する。これにより、予測処理部128で作成されるデータは、例えば、図15に示すように10分ごとに推定されるタイムスライドコストデータとして経路探索部126により参照することができるので、経路探索部126ではタイムスライド方式により最短時間経路を探索することが可能となる。
【0078】
このように本実施形態に係る情報センタ220によると、経路探索部126および経路案内データ作成部127を備えている。これにより、情報センタ220では、道路交通情報により所要時間の情報が提供されていない道路に関する所要時間の情報を簡便に推定してデータベースを作成・更新し、さらに車両70等に搭載されたナビゲーション装置50から、現在地等の出発地から目的地までの最短時間経路を要求する情報を受信すると、経路探索部126により当該出発地から目的地までの最短時間経路をタイムスライド方式等により探索し、これにより得られた最短時間経路に関する情報に基づいて当該出発地から目的地までに必要となる経路案内情報を経路案内データ作成部127により作成する。そして、作成された経路案内情報を要求のあったナビゲーション装置50に対して送信する。したがって、ナビゲーション装置50では、道路交通情報により所要時間の情報が提供されていない道路に関しても、自ら経路探索することなく、当該出発地から目的地までに必要となる経路案内情報を得ることができ、利用者に当該最短時間経路案内情報を提供することができる。
【0079】
また、本実施形態に係る情報センタ220によると、予測処理部128を備えている。これにより、道路交通情報により所要時間の情報が提供されていない道路に関する所要時間の情報についても、道路交通情報により所要時間の情報が提供されている道路に関する所要時間の情報と同様に、所定時間ごとに所要時間を予測し、例えばタイムスライドコストデータとして所要時間データベースに蓄積することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る情報センタおよびナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態に係る経路所要時間推定処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】図2に示すリンク情報取得処理により取得される道路リンクデータのデータ構造例を示す説明図である。
【図4】図2に示す所要時間補間処理の一例による処理(その1)の流れを示すフローチャートである。
【図5】図4に示す所定時間補間処理(その1)によって分割される道路リンクの一例を示す説明図である。
【図6】図6(A) は、図4に示す所定時間補間処理(その1)によって算出される混雑割合の一例を示す説明図で、図6(B) は、混雑度の定義例を示す図表である。
【図7】図7(A) は交通需要予測DBに格納されている需要予測データテーブルの一例を示す説明図で、図7(B) は交通需要予測DBを作成する構成例を示す説明図である。
【図8】図4に示す所定時間補間処理(その1)による混雑閾値の設定例を示す説明図である。
【図9】図9(A) は、図4に示す所定時間補間処理(その1)によって推定される混雑状況の一例を示す説明図で、図9(B) は、車速の定義例を示す図表である。
【図10】図2に示す所要時間補間処理の他の例による処理(その2)の流れを示すフローチャートである。
【図11】図10に示す所定時間補間処理(その2)によって作成される道路リンクの集合例を示す説明図である。
【図12】図10に示す所定時間補間処理(その2)によって推定される交通情報非対象リンクの所要時間の補間例を示す説明図である。
【図13】本発明の実施形態に係る情報センタの他の構成例を示すブロック図である。
【図14】図13に示す情報センタによる経路所要時間推定処理の流れを示すフローチャートである。
【図15】図13に示す情報センタの経路探索部により実行されるタイムスライド方式による経路探索の概念を示す説明図である。
【符号の説明】
20、220 情報センタ(所要時間推定装置)
21 CPU(交通情報取得手段、所要時間補間手段、所要時間推定手段、所定領域特定手段、交通情報対象リンク混雑度分類手段、交通情報非対象リンク所要時間推定手段)
22 メモリ
22a システムプログラム
22a’ DB作成・更新制御部
22b 入力プログラム
22c 交通情報取得プログラム(交通情報取得手段)
22d 所要時間補間プログラム(所要時間補間手段)
22e 所要時間推定プログラム(所要時間推定手段)
22f 交通需要予測プログラム
22g 出力プログラム
23a 地図/道路リンクDB
23a1 地図DB
23a2 道路リンクDB
23b 交通需要予測DB
25 通信制御装置(交通情報取得手段)
50 ナビゲーション装置
70 車両
100 交通情報センタ(外部)
126 経路探索部
127 経路案内データ作成部
128 予測処理部
S103(交通情報取得手段)、S105(所要時間補間手段)、S109(所要時間推定手段)、S201(所定領域特定手段)、S203(交通情報対象リンク混雑度分類手段)、S211(交通情報非対象リンク所要時間推定手段)
Claims (1)
- 道路交通情報の対象となっている交通情報対象道路リンクの所要時間データを含む交通情報を、外部から取得する交通情報取得手段と、
前記交通情報取得手段により取得された前記交通情報に基づいて、道路交通情報の対象となっていない交通情報非対象道路リンクの所要時間を補間する所要時間補間手段と、
前記交通情報取得手段により取得された前記交通情報および前記所要時間補間手段により補間された前記所要時間に基づいて、所要時間を推定する所要時間推定手段と、
を備え、
前記所要時間補間手段は、
道路網を所定領域に区切って特定する所定領域特定手段と、
前記所定領域内の前記交通情報対象道路リンクについて、各道路リンクの長さおよび前記所要時間データから当該各道路リンクの平均車速を算出し、算出された平均車速を所定の値で分類し、各分類に含まれる道路リンクの総距離を算出し、当該分類ごとの、道路リンクの総距離の比率を算出する、交通情報対象リンク混雑度分類手段と、
前記所定領域内の前記交通情報非対象道路リンクについて、前記所定領域内の道路リンクに対して前記総距離の比率を維持するように、前記平均車速を割り当て、割り当てられた平均車速および道路リンクの長さから当該道路リンクの所要時間を推定する交通情報非対象リンク所要時間推定手段と、
を備えることを特徴とする所要時間推定装置。
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