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JP4275777B2 - 自動変速機の変速制御装置 - Google Patents

自動変速機の変速制御装置 Download PDF

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JP4275777B2
JP4275777B2 JP25606198A JP25606198A JP4275777B2 JP 4275777 B2 JP4275777 B2 JP 4275777B2 JP 25606198 A JP25606198 A JP 25606198A JP 25606198 A JP25606198 A JP 25606198A JP 4275777 B2 JP4275777 B2 JP 4275777B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は自動変速機の変速制御装置に関し、より詳しくはシフトアップ時に現在段(前段)係合要素に供給する作動油圧を適正に制御するようにした車両用の自動変速機の変速制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動変速機は複数列のギヤ列を備え、そのギヤ列により構成される複数の動力伝達経路を、クラッチ、ブレーキなどの係合要素を選択的に係合させて入力回転の変速を行わせる。そのような自動変速機は、現在段(前段)の動力伝達経路設定用の係合要素を解放すると共に、次段(行先段)の動力伝達経路設定用の係合要素を係合させて変速を行う。
【0003】
変速をスムーズかつタイムラグなく行わせるためには、現在段および次段の係合要素の解放または係合タイミングを正確に設定すると共に、現在段および次段の係合要素の解放から完全係合に至るまでの制御を適正に行う必要がある。その意図から、例えば特開昭62−246653号公報において変速指令発生後、現在段係合要素の作動油圧を低下させてスリップ制御してイナーシャを吸収する手法が提案されている。
【0004】
しかしながら、従来技術で提案する手法によるとき、どの時点で現在段クラッチがスリップし始めたのか検出するのが困難である。そこで本出願人も特開平6−307524号あるいは特開平8−277921号公報などにおいて、現在段の制御期間を幾つかのステップに分け、現在段クラッチに供給する作動油圧を減圧し、次いでスロットル開度や機関トルクに基づいてクラッチのスリップ(滑り)をフィードバック制御する技術を提案している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、現在段クラッチの状態、例えば、経時劣化、プレート温度あるいは変速状態などによってスリップ状態は変化し、目標値通りに油圧制御してもスリップ開始点は変化する。また、現在段クラッチが減圧によってスリップし始めると、クラッチの摩擦状態が変化するため、平均油圧を少し上げる必要があるが、このときクラッチのスリップを所定範囲に抑えて現在段の制御期間を短くすることができれば、クラッチの耐久性が向上し、次段制御にスムーズに連続させることができる。
【0006】
従って、この発明の目的は、クラッチなどの係合要素の経時劣化などの変化の如何に関わらず、スリップ開始点を安定させて安定した変速制御を実現すると共に、係合要素のスリップを所定範囲に抑えて現在段の制御期間を短くし、よって係合要素の耐久性を向上させ、さらに次段制御にスムーズに連続させることができるようにした自動変速機の変速制御装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1項にあっては、入出力部材間に形成された複数の動力伝達経路と、前記動力伝達経路を選択的に設定する複数の係合要素と、前記係合要素の係合作動油圧を油圧指令信号に応じて制御する係合制御手段とを備え、シフトアップ信号に基づいて、前記複数の係合要素のうち現在段係合要素の作動油圧を低下させてスリップ制御しつつ開放させると共に、次段係合要素を係合させて現在段から次段へのシフトアップを行う自動変速機の変速制御装置において、前記現在段係合要素が第1目標スリップ率となるように油圧指令信号を決定する第1ステップ、前記現在段係合要素のスリップ率が第2目標スリップ率となるようにフィードバック制御する第2ステップ、前記第1ステップにおける前記現在段係合要素の実スリップ率を検出し、検出したスリップ率の最大値前記第2目標スリップ率との差から予め設定された特性に基づいて決定される補正値を用いて前記第1ステップ油圧指令信号を補正する油圧指令信号補正手段、および補正された前記油圧指令信号次回のシフトアップ時の第1ステップの油圧指令信号として決定する次回油圧指令信号決定手段、を備える如く構成した。
【0008】
これによって、クラッチなどの係合要素の経時劣化などの係合要素の状態の如何に関わらず、スリップ開始点を安定させ、よって安定した変速制御を実現すると共に、係合要素のスリップを所定範囲に抑えて現在段の制御期間を短くし、よってその耐久性を向上させ、かつ次段制御にスムーズに連続させることができる。
【0009】
請求項2項にあっては、前記第2ステップの油圧指令値を前記第1ステップの油圧指令値より大きく決定する如く構成した。
【0010】
これによって、上記した作用効果に加え、クラッチなどの係合要素の摩擦状態の変化に対して安定した変速制御を実現することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に即してこの発明の実施の形態を説明する。
【0012】
図1は、この発明に係る自動変速機の制御装置の構成を示す概略説明図である。
【0013】
自動変速機1はトルクコンバータ8を備え、トルクコンバータ8は内燃機関9aの出力軸9に接続される。トルクコンバータ8のタービン(図示せず)は、変速機入力軸8aに接続される。
【0014】
自動変速機1は、変速機入力軸8a上に並列に配置された第1、第2および第3遊星歯車列G1,G2,G3を有する。各遊星歯車列はそれぞれ、中央に位置する第1、第2、第3サンギヤS1,S2,S3と、これら第1、第2、第3サンギヤと噛み合ってその回りを自転しながら公転する第1、第2、第3プラネタリピニオンP1,P2,P3と、このピニオンを回転自在に保持してピニオンの公転と同一回転する第1、第2、第3キャリアC1,C2,C3と、このピニオンと噛み合う内歯を有した第1、第2、第3リングギヤR1,R2,R3とから構成される。
【0015】
第1遊星歯車列G1および第2遊星歯車列G2はダブルピニオン式遊星歯車列であり、第1ピニオンP1および第2ピニオンP2は、図示のようにそれぞれ2個のピニオンギヤP11,P12と、P21,P22とから構成される。
【0016】
第1サンギヤS1は入力軸に常時連結され、第1キャリアC1は常時固定される。第1リングギヤR1は第3クラッチK3を介して第2サンギヤS2に連結され、さらに第2サンギヤS2は第1ブレーキB1により固定保持可能とされる。第2キャリアC2は第3キャリアC3に連結されると共に、出力ギヤ8bに連結され、第2キャリアC2および第3キャリアC3の回転が、変速機の出力回転となる。
【0017】
第2リングギヤR2は第3リングギヤR3と直結され、これら両リングギヤR2,R3は一体となって第2ブレーキB2により固定保持可能であり、かつ第2クラッチK2を介して変速機入力軸と係脱自在に連結される。第3サンギヤS3は第1クラッチK1を介して変速機入力軸と係脱自在に連結される。第2ブレーキB2と並列にワンウェイクラッチOWCが配設される。
【0018】
このように各要素(第1〜第3サンギヤS1〜S3、第1〜第3キャリアC1〜C3、および第1〜第3リングギヤR1〜R3)、変速機入力軸8aおよび出力ギヤ8bを連結して構成した自動変速機において、第1〜第3クラッチK1〜K3および第1,第2ブレーキB1,B2を係脱制御することにより、変速段の設定および変速制御を行うことができる。
【0019】
具体的には、表1に示すように係脱制御すれば、前進5速、即ち、1ST(1速)、2ND(2速)、3RD(3速)、4TH(4速)および5TH(5速)、後進1速(RVS)からなる変速段を設定することができる。尚、各変速段での減速比(レシオ)は各ギヤの歯数により変化するが、表1にその一例を参考に示す。
【0020】
【表1】
Figure 0004275777
【0021】
表1において、1ST(1速)における第2ブレーキB2にカッコを付しているが、これは第2ブレーキB2を係合させなくてもワンウェイクラッチCOWにより駆動側の動力伝達がなされるからである。即ち、第1クラッチK1を係合させれば、第2ブレーキB2を係合させなくても、1STのギヤ比(変速比)での駆動側の動力伝達は可能であり、1STが設定される。
【0022】
ただし、駆動側とは逆の動力伝達はできず、このため、第2ブレーキB2を係合させればエンジンブレーキの効く1STとなり、第2ブレーキB2が非係合のときはエンジンブレーキが効かない1STとなる。
【0023】
かかる摩擦係合要素への油圧供給を制御するために、マイクロコンピュータからなるコントローラ200が設けられる。
【0024】
また、変速機入力軸8aの近傍には磁気ピックアップからなる回転数センサ202と、同様に、出力ギヤ8bの近傍に配置されて変速機出力回転数が配置されて変速機入力回転数Ninに比例した信号を出力すると共に、出力ギヤ8bの近傍には同様に磁気ピックアップからなる回転数センサ204が配置されて変速機出力回転数Noutに比例した信号を出力する。
【0025】
また、運転席近傍のシフトレバー208にはレンジセレクタスイッチ206が接続され、運転者が選択したギヤレンジに対応する信号を出力する。
【0026】
さらに、内燃機関9aのクランク軸(図示せず)の近傍にはクランク角センサ210が配置されて機関回転数NEに比例した信号を出力すると共に、スロットル弁(図示せず)にはスロットル位置センサ212が接続されてスロットル開度θTH(機関負荷)に比例した信号を出力する。
【0027】
また、車両のドライブシャフト(図示せず)の付近には車速センサ214が配置され、自動変速速機1が搭載される車両の走行速度である車速Vに比例した信号を出力する。
【0028】
これらセンサの出力は、コントローラ200に入力される。
【0029】
検出されたそれらパラメータに基づき、コントローラ200は、ソレノイドバルブSA〜SEを励磁(通電あるいはオン)あるいは非励磁(非通電あるいはオフ)し、油圧制御回路300において第1、第2、第3クラッチK1,K2,K3および第1、第2ブレーキB1,B2などの係合要素への油圧供給を制御する。油圧制御回路300において油圧は5個の油圧センサPS(後述)を介して検出され、その検出値もコントローラ200に送られる。
【0030】
続いて、上記した係合要素の係脱制御を行うための油圧制御回路300を、図2および図3に基づいて説明する。尚、図2および図3はそれぞれ油圧制御回路の各部を表し、これら2つの図により1つの油圧制御装置を構成する。
【0031】
尚、各図の油路で終端に丸囲みのアルファベットを付したものは、他方の図の同じ丸囲みアルファベットがついた油路と接続されることを表す。また、×印は、そのポートがドレンに開放することを示す。
【0032】
ブレーキ、クラッチの作動制御は、図2の下部に示すタンクからポンプ10(油圧源)により供給される作動油の油圧を利用して行われる。ポンプ10から油路12に吐出された高圧作動油は、レギュレータバルブ14によって所定のライン圧に調圧される。
【0033】
尚、ポンプ10からの吐出油の一部はレギュレータバルブ14から油路16に送り出され、トルクコンバータのロックアップ制御用に供給される。尚、油路18に送り出された作動油は、図示しないリリーフバルブを介してタンクに戻される。
【0034】
上記の如くライン圧に調圧された油路12の作動油は、変速制御のため、該当する各部に供給される。油圧回路には、シフトレバー208を介して運転者のマニュアル操作により作動させられるマニュアルバルブ20と、そのマニュアル操作を検出したコントローラ200によってデューティ比制御される5個のシフトソレノイドバルブSA〜SEと、それらマニュアルバルブ20とシフトソレノイドバルブSA〜SEの作動に応じて作動する6個の油圧作動バルブ22,24,26,28,30,32と、4個のアキュムレータ34,36,38,40と、5個の油圧センサPSとが配設される。
【0035】
尚、ソレノイドバルブSAおよびSCはノーマルオープンタイプのバルブであり、ソレノイドがオフのとき開放される。一方、ソレノイドバルブSB,SDおよびSEはノーマルクローズタイプのバルブであり、ソレノイドへの通電がオフのとき閉止される。
【0036】
上記したバルブ20,SA〜SE,22,24,26,28,30,32による作動油の供給制御により、変速制御およびトルクコンバータのロックアップクラッチの作動制御がなされるが、各ソレノイドバルブSA〜SEの作動とこの作動に伴い設定される速度段との関係は、表2に示すようになる。尚、この表2におけるオン・オフは各ソレノイドバルブSA〜SEに備えられる電磁ソレノイドのオン・オフを表す。オンのときは、デューティ比制御がなされる。
【0037】
【表2】
Figure 0004275777
【0038】
変速制御について以下説明する。まず、シフトレバーによりDレンジが選択され、マニュアルバルブ20のスプール20aがD位置に移動した場合を説明する。図3において、スプール20aの右先端フック部がD(3,2)で示す位置まで右動されてスプール20aがD位置になると、ライン圧に調圧された作動油が供給される油路12は油路42と連通する。
【0039】
油路12はソレノイドバルブSCに接続され、油路42はソレノイドバルブSEに接続されることから、ソレノイドバルブSCおよびソレノイドバルブSEには常時ライン圧が作用する。さらに、油路42はソレノイドバルブSAにも接続されることから、ソレノイドバルブSAにも常時ライン圧が作用する。尚、この明細書で左右、上下などの方向は添付図面における方向を示す意味で使用する。
【0040】
油路12から分岐した油路12aはリバースプレッシャスイッチングバルブ22の右端油室に、油路12から分岐した油路12bはプレッシャリリースバルブ24の左端油室に、油路42から分岐した油路42aはアウトギヤコントロールバルブ26の右端油室にそれぞれ接続される。そのため、リバースプレッシャスイッチングバルブ22およびアウトギヤコントロールバルブ26は左方に、プレッシャリリースバルブ24は右方にライン圧で常時押圧される。
【0041】
Dレンジが選択された場合、機関負荷(スロットル開度θTH)および車速Vに応じて変速段が決定され、その変速段となるように各ソレノイドバルブSA〜SEの作動が表2に示されるように制御される。
【0042】
以下、一例として3速(3RD)が設定される場合を例にとってクラッチおよびブレーキの作動について説明すると、その場合にはソレノイドバルブSCおよびSDがオンからオフに切り替わり、全てのソレノイドバルブがオフとなる。これにより2速(2ND)の状態から、ソレノイドバルブSCが開放され、ソレノイドバルブSDが閉止される。ソレノイドバルブSAが開放されているため、第1クラッチK1は係合されたままである。ソレノイドバルブSDが閉止されるので、油路54はソレノイドバルブSDの内部を介してドレンに連通し、よって第1ブレーキB1が解放される。
【0043】
一方、ソレノイドバルブSCが開放されると、ライン圧が油路52に供給され、これに連通する第3クラッチK3が係合させられる。この際、第4アキュムレータ40の作用によりショックが軽減される。このようにして第1クラッチK1および第3クラッチK3が係合されて3速(3RD)が設定される。
【0044】
尚、3速(3RD)においてはソレノイドバルブSDが閉止され、油路54および油路54bを介してプレッシャデリバリバルブ28の左端部に作用していた油圧も零となる。しかし、油路78を介して供給される作動油圧により、スプール28aの右動状態は保持される。従って、2速(2ND)の場合と同様にソレノイドバルブSEをオンすれば、その出力圧によりロックアップクラッチの制御を行うことができる。
【0045】
上記の如くしてクラッチ、ブレーキが係脱され、変速が行われるが、以下、この発明に係る変速制御装置の動作を、シフトアップ、より具体的にはスロットル開度が所定値以上のときに行われるパワーオン・シフトアップを例にとって説明する。
【0046】
図4はその制御を示すサブルーチン・フロー・チャートで、前記したコントローラ200で行われる処理である。
【0047】
先ず、S10において変速指令、より具体的にはシフトアップ指令、例えば2速から3速にシフトアップ指令が発生されたか否か判断し、肯定されるときはS12に進んで前記したようにソレノイドバルブSEをオンからオフにし、ロックアップクラッチを開放する。
【0048】
次いでS14に進み、タイマ(ダウンカウンタ)に所定値T1をセットしてダウンカウント(時間計測)を開始し、S16に進んで所定時間T1が経過したか否か判断する。所定時間T1はクラッチ供給油圧制御に入る前にロックアップクラッチの開放を完全に行える程度の時間を求めて設定する。
【0049】
S16において所定時間T1が経過したと判断されるとS18に進み、制御期間をステップ1(STEP1)とすると共に、処理JOBをJOBEとする。
【0050】
図5は図4の作業を示すタイム・チャートであるが、図示の如く、変速指令信号が発生され、T1時間経過した時点からの制御の初期をステップ1とし、そこでの作業をJOBEとする。
【0051】
次いで、S20に進み現在段供給油圧用減トルク値QTRQを決定(算出)する。図6はその作業を示すサブルーチン・フロー・チャートである。
【0052】
以下説明すると、まずS100において現在段の供給油圧用減トルク値QTRQの初期値QTRQ0を以下のように算出する。
QTRQ0=RESLOPE×TTRQABS+RECONTACT+CR
【0053】
ここで、RESLOPE:演算係数、TTRQABS:機関トルクに応じた基本値(図示しないテーブルを機関回転数NEおよび吸気管内絶対圧PBA(図示しない絶対圧センサで検出)から検索して求める)、RECONTACT:変速段別の加算値、CR:スロットル開度補正項である。
【0054】
現在段の供給油圧用減トルク値QTRQは、ステップ1における実クラッチスリップ率eCLO(後述)が目標クラッチスリップ率(「第1目標スリップ率」という)ECLO2(後述)となるように、機関トルクに応じて算出する。
【0055】
詳しくは、初回プログラムループであるときは、上記に示す式よりQTRQの初期値QTRQ0の算出を行い、2回目以降のループであるときは、前回算出された供給油圧用減トルク値QTRQ0をそのまま保持する。尚、供給油圧用減トルク値QTRQ0はより具体的には、前記ソレノイドバルブのデューティ比(PWM制御)に対応したトルクを示す値として決定される。
【0056】
次いでS102に進み、現在の変速段(ギヤ)Soが次段(目標段あるいは行先段)SAを超えているか否か判断する。図示例のようにシフトアップであるときはS102の判断は否定されてS104に進み、図7にその特性を示すマップを車速Vから検索してシフトアップ車速補正項QTRQuを求め、S106に進み、供給油圧用減トルク値QTRQに求めた補正項QTRQuを加算して増加補正する。
【0057】
他方、S102で肯定、換言すればシフトダウンと判断されるときはS108に進んで図8にその特性を示すマップを車速Vで検索してダウンシフト車速補正項QTRQdを求め、S110に進み、供給油圧用減トルク値QTRQから求めた車速補正項QTRQdを減算して減少補正する。
【0058】
図4フロー・チャートの説明に戻ると、次いでS22に進んでステップ1における実クラッチスリップ率eCLOを以下のように検出(算出)する。
eCLO=(Nout/Nin)×i
ここで、Nout=変速機出力軸回転数(出力ギヤ8bの回転数)、Nin:変速機入力軸8aの回転数、i:レシオ(変速比)である。
【0059】
次いでS24に進んで検出(算出)したクラッチスリップ率eCLOが前記したステップ1における目標クラッチスリップ率(第1目標スリップ率)ECLO2未満になったか否か判断する。具体的には現在段クラッチが目標量スリップしているか否か判断する。図5にその第1目標スリップ率ECLO2を示す。第1目標スリップ率ECLO2は、機関の状態および変速段毎に適宜設定する。
【0060】
S24で否定されるときはS18に戻って上記処理を繰り返すと共に、肯定されるときはS26に進み、ステップ1が終了してステップ2(STEP2)が開始したと判断すると共に、ステップ2での作業をJOBFとする。
【0061】
続いてS28に進み、第1ステップで検出された現在段の実クラッチスリップ率eCLOの最大値ECLORを決定し、S30に進み、決定した最大値ECLORとステップ1の目標スリップ率ECLO2に基づいてステップ2における目標クラッチスリップ率(「第2目標スリップ率」という)ECLOrefを図示の如く算出する。即ち、ステップ1の最大実スリップ率と目標スリップ率の平均値を求め、それをステップ2の目標ステップ率とする。
【0062】
次いで、S32に進み、下記の如く、算出した第2目標スリップ率ECLOrefと(ステップ1での)最大実クラッチスリップ率ECLORの偏差ECLOdifを絶対値で求める。
ECLOdif=|ECLOref−ECLOR|
【0063】
そして、求めた偏差から図9にその特性を示すテーブルを検索して補正値QTRQαを求める。
【0064】
次いでS34に進んで求めた補正値QTRQαを加算して供給油圧用減トルク値QTRQを増加補正し、ステップ2における供給油圧減トルク値QTRQとする。即ち、ステップ2の油圧指令値(供給油圧用減トルク値QTRQ)は、前記第1ステップの油圧指令値(供給油圧用減トルク値QTRQ)より大きく決定する。これによって、クラッチなどの係合要素の摩擦状態の変化に対して安定した変速制御を実現することができる。
【0065】
続いてS36に進んで求めたQTRQを記憶する。
【0066】
次いでS38に進んで上記の如く求めた供給油圧用減トルク値QTRQを補正する。図10はその作業を示すサブルーチン・フロー・チャートである。
【0067】
図10を説明すると、先ずS200において適宜設定したOWC制御目標スリップ率から実クラッチスリップ率eCLOを減算し、差、即ち、現在のスリップ率偏差ECLNを算出する。次いで算出した偏差ECLNおよび係数KDNTを用いて目標偏差SECLOを以下の式から求める。
SECLO=ECLN×KDNT/100
【0068】
次いでS202に進み、実クラッチスリップ率eCLOの変化分(1階差分値あるいは微分値)SeCLOを算出し、目標偏差SECLOが変化分以上か否か判断する。目標偏差SECLOが変化分SeCLO以上と判断されるときは、S204に進んで供給油圧用減トルク値QTRQから所定値TRQowcを減算して減少補正すると共に、目標偏差SECLOが変化分SeCLO未満と判断されるときは、S206に進んで供給油圧用減トルク値QTRQに所定値TRQowcを加算して増加補正する。
【0069】
次いでS208に進んで上記した目標偏差SECLOが上限値SECLMAX以上か否か判断し、肯定されるときはS210に進んで目標偏差SECLOを上限値SECLMAXに書き換えると共に、否定されるときはS210をスキップする。
【0070】
図4の説明に戻ると、次いでS40に進んでJOBFが終了したか否判断する。具体的には、次段クラッチスリップ率を検出し、それが所定値ECLOa1を超えたか否か判断して行う。S40で否定されるときはS28に戻り上記処理を繰り返すと共に、肯定されるときはステップ2が終了し、JOBFが終了したと判断してプログラムを終了する。
【0071】
尚、図5に示す如く、次段クラッチスリップ率が所定値ECLOa1に達する、換言すれば、次段クラッチの係合が十分な値に達した、現在段クラッチを開放する。
【0072】
尚、次回以降の変速制御にあっては、JOBE(ステップ1)で、現在段の供給油圧用減トルク値QTRQは、前述の如く、JOBF(ステップ2)で記憶した供給油圧用減トルク値QTRQに基づいて決定される。
【0073】
また、現在段係合要素のクラッチの摩擦係数の値はクラッチのスリップ開始に伴って減少してクラッチなどに過度のスリップを生ぜしめるため、JOBFで実クラッチスリップ率の最大値決定し、決定値と第2目標スリップ率の偏差に基づいて現在段の供給油圧用減トルク値QTRQを補正する(図4のS34)。従って、JOBF(ステップ2)での供給油圧用減トルク値QTRQは、JOBF(ステップ1)のそれに比して大きい値に設定される。
【0074】
ここで、特許請求の範囲の表現に対応して説明すると、この実施の形態においては、入出力部材間に形成された複数の動力伝達経路と、前記動力伝達経路を選択的に設定する複数の係合要素と、前記係合要素の係合作動油圧を油圧指令信号に応じて制御する係合制御手段とを備え、シフトアップ信号に基づいて、前記複数の係合要素のうち現在段係合要素の作動油圧を低下させてスリップ制御しつつ開放させると共に、次段係合要素を係合させて現在段から次段へのシフトアップを行う自動変速機の変速制御装置において、前記現在段係合要素が第1目標スリップ率(ECLO2)となるように油圧指令信号(QTRQ)を決定する(図4のS20、図6のS100ないしS110)第1ステップ、前記現在段係合要素のスリップ率が第2目標スリップ率(ECLOref)となるようにフィードバック制御する(図4のS30)第2ステップ、前記第1ステップにおける前記現在段係合要素の実スリップ率を検出し、検出した実スリップ率の最大値(ECLOR)と前記第2目標スリップ率との差(ECLOdef)から予め設定された特性に基づいて決定される補正値を用いて前記第1ステップ油圧指令信号を補正する油圧指令信号補正手段(S30,S32)、および補正された前記油圧指令信号次回のシフトアップ時の第1ステップの油圧指令信号として決定する次回油圧指令信号決定手段(S36)を備える如く構成した。
【0075】
また、前記第2ステップの油圧指令値を前記第1ステップの油圧指令値より大きく決定する(S34)如く構成した。
【0076】
この実施の形態は上記の如く、ステップ2(JOBF)で決定された供給油圧を次回のシフトアップ時のステップ1(JOBE)の供給油圧とするので、現在段クラッチの減圧時にクラッチのスリップが過度になることがなく、クラッチおよび磨耗材の耐久性を向上させることができると共に、次段クラッチ供給油圧制御にスムーズに移行させることができる。
【0077】
また、現在段クラッチへの供給油圧を減少することで、クラッチがスリップし始めたときの摩擦係数の変化に対して安定したフィードバック制御を実現することができる。
【0078】
また、前記第1ステップの油圧指令値より第2ステップの油圧指令値の方を大きく設定するため、クラッチプレート温度の変化、油温の変化に対して、すなわち、クラッチの摩擦係数の変化に対しても安定したスリップ制御、ひいては変速制御を実現することができる。
【0079】
尚、上記において、プラネタリ式の自動変速機を例にとったが、特開平8−184367号公報に開示されるような平行軸式の自動変速機を用いても良い。
【0080】
【発明の効果】
請求項1項にあっては、クラッチなどの係合要素の経時劣化などの係合要素の状態の如何に関わらず、スリップ開始点を安定させ、よって安定した変速制御を実現すると共に、係合要素のスリップを所定範囲に抑えて現在段の制御期間を短くし、よってその耐久性を向上させ、かつ次段制御にスムーズに連続させることができる。
【0081】
請求項2項にあっては、上記した作用効果に加え、クラッチなどの係合要素の摩擦状態の変化に対して安定した変速制御を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る自動変速機の制御装置の構成を示す概略説明図である。
【図2】図1の制御装置の部分油圧回路図である。
【図3】図2と同様の部分油圧回路図である。
【図4】図1に示す制御装置の動作を示すフロー・チャートである。
【図5】図4フロー・チャートの動作を説明するタイム・チャートである。
【図6】図4フロー・チャートの供給油圧用減トルク値QTRQの算出作業を示すサブルーチン・フロー・チャートである。
【図7】図6フロー・チャートで使用する補正項QTRQuのテーブル特性を示す説明グラフである。
【図8】図6フロー・チャートで使用する補正項QTRQdのテーブル特性を示す説明グラフである。
【図9】図4フロー・チャートで使用する補正値QTRQαのテーブル特性を示す説明グラフである。
【図10】図4フロー・チャートの供給油圧用減トルク値QTRQの補正作業を示すサブルーチン・フロー・チャートである。
【符号の説明】
1 自動変速機
8 トルクコンバータ
8a 変速機入力軸
9 機関出力軸
10 ポンプ
PS 油圧センサ
SA,SB,SC,SD,SE ソレノイドバルブ
K1,K2,K3 クラッチ(係合要素)
BR1,BR2 ブレーキ(係合要素)
20 マニュアルバルブ
22,24,26,28,30,96 油圧作動バルブ
34,36,38,40 アキュムレータ
200 コントローラ

Claims (2)

  1. 入出力部材間に形成された複数の動力伝達経路と、前記動力伝達経路を選択的に設定する複数の係合要素と、前記係合要素の係合作動油圧を油圧指令信号に応じて制御する係合制御手段とを備え、シフトアップ信号に基づいて、前記複数の係合要素のうち現在段係合要素の作動油圧を低下させてスリップ制御しつつ開放させると共に、次段係合要素を係合させて現在段から次段へのシフトアップを行う自動変速機の変速制御装置において、
    a.前記現在段係合要素が第1目標スリップ率となるように油圧指令信号を決定する第1ステップ、
    b.前記現在段係合要素のスリップ率が第2目標スリップ率となるようにフィードバック制御する第2ステップ、
    c.前記第1ステップにおける前記現在段係合要素の実スリップ率を検出し、検出した実スリップ率の最大値と前記第2目標スリップ率との差から予め設定された特性に基づいて決定される補正値を用いて前記第1ステップの油圧指令信号を補正する油圧指令信号補正手段、
    および
    .補正された前記油圧指令信号次回のシフトアップ時の第1ステップの油圧指令信号として決定する次回油圧指令信号決定手段、
    を備えたことを特徴とする自動変速機の変速制御装置。
  2. 前記第2ステップの油圧指令値を前記第1ステップの油圧指令値より大きく決定することを特徴とする請求項1項記載の自動変速機の変速制御装置。
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