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JP4267258B2 - アルカリ乾電池用正極合剤、その製造方法及びアルカリ乾電池 - Google Patents

アルカリ乾電池用正極合剤、その製造方法及びアルカリ乾電池 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はアルカリ乾電池の正極合剤、その製造方法及びアルカリ乾電池に関し、詳しくは吸液性を損なうことなく離型性に優れた二酸化マンガン含有率の高いアルカリ乾電池用正極合剤の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
アルカリ乾電池は、中空円筒状に成型された正極材料が、正極となる容器に収容され、その内部にセパレータを介してゲル状負極材料が配置されて電池として構成されている。このようなアルカリ乾電池において、一般に広く用いられている二酸化マンガンを正極活物質としたアルカリ乾電池は、二酸化マンガンと、正極材料の導電性を向上させるために黒鉛などの炭素系導電材が配合され正極材料として用いられている。
【0003】
ところで、最近は、携帯電子機器の普及に伴い、電池の高容量化の要請が強く、アルカリ乾電池の正極活物質については、従来より放電持続時間の向上を目的として、正極合剤中の黒鉛などの炭素系導電材の含有量を減少させて活物質である二酸化マンガンの含有量を増加させることが検討されてきた。
【0004】
ところが、正極合剤中の黒鉛は、導電剤としてだけではなく正極合剤成形時の離型剤としての役割も果たしており、黒鉛の含有率を減少させると成形体と成形型との間の摩擦が大きくなってくる。この摩擦力が大きいと正極合剤成型時に成形型の磨耗が激しくなって成形型の交換が頻繁になることや、場合によっては成形型自体の破損も考えられ、製造上のみならずコスト的にも多大な問題が生じることがあった。
【0005】
この問題を解決する手段として、例えば、正極合剤中にステアリン酸カルシウムやステアリン酸亜鉛等のステアリン酸塩を含有させて正極合剤成形時の離型性を改善する方法(特公平5−48578号公報参照)が有効と考えられてきた。しかしながら、ステアリン酸塩を正極材料混合時に添加して含有させた後に顆粒状合剤を造粒して正極合剤を加圧成形した場合、離型剤としての十分な効果を得るためには多量のステアリン酸塩を添加する必要があるが、この場合、ステアリン酸塩の撥水性により成形合剤の吸液性が悪くなり、その後の電池製造工程であるアルカリ性電解液の注入時に、電池設計上必要な所定量の電解液を正極合剤に吸液させるのに時間がかかり生産性が落ちるという欠点が生じることが分った。
【0006】
そこで、正極合剤を造粒によって顆粒状に成形した後、その表面にこのステアリン酸塩を添加し、顆粒状合剤の表面にステアリン酸塩被覆を施して正極合剤の吸液性を損なうことなく、離型性を改善する試みが行われている(特開平10−83810号公報参照)。この方法によれば、確かに離型性は改善されるものの、製造される電池の放電性能が十分ではなく、現在の電池に対する要求を充分満足するものではなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記状況に鑑みてなされたもので、その目的は正極合剤の吸液性を損なうことなく離型性に優れ、かつ放電特性に優れた二酸化マンガン含有率の高い、高性能な亜鉛アルカリ電池用正極合剤を実現することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
第1の本発明は、正極材料である二酸化マンガンと炭素系導電材を少なくとも含有する顆粒合剤を成形してなるアルカリ乾電池用正極合剤において、顆粒状正極合剤表面にエチレンビス飽和脂肪酸アミドが二酸化マンガンに対して0.02〜2.0質量%の割合で添加されていることを特徴とするアルカリ乾電池用正極合剤である。
【0009】
第2の本発明は、二酸化マンガンと炭素系導電材を少なくとも含有する正極合剤を造粒化して顆粒状正極合剤とし、これを加圧成形するアルカリ乾電池用正極合剤の製造方法において、造粒工程後の顆粒状正極合剤に、エチレンビス飽和脂肪酸アミドを二酸化マンガンに対して0.02〜2.0質量%の割合で添加して分散させ、これを加圧成形することを特徴とするアルカリ乾電池用正極合剤の製造方法である。
【0010】
第3の本発明は、亜鉛負極ゲルと正極合剤がセパレータを介して正極缶内に収納されており、該亜鉛負極ゲル内に負極集電棒が挿入されて、該負極集電棒の頭部に当接した負極端子を兼ねる金属封口板と前記正極缶とガスケットを介して密封口されているアルカリ乾電池において、正極合剤として、二酸化マンガンと導電剤としての黒鉛を含有する顆粒状正極合剤と、その顆粒状正極合剤表面にエチレンビス飽和脂肪酸アミドが二酸化マンガンに対して0.02〜2.0質量%添加されている密閉型アルカリ乾電池用正極合剤を用いたことを特徴とするアルカリ乾電池である。
【0011】
第4の本発明は、二酸化マンガンと炭素系導電材を少なくとも含有する正極合剤を備えたアルカリ乾電池において、該正極合剤が、反射赤外分光分析法による吸収スペクトルにおいて、3400〜3200cm−1及び3000〜2800cm−1の波長域に吸収を有するものであることを特徴とするアルカリ乾電池である。
【0012】
上記本発明において、顆粒状正極合剤表面に付与するエチレンビス飽和脂肪酸アミドの配合量は、正極活物質である二酸化マンガンに対して0.02〜2.0質量%の範囲が好ましい。その理由は、配合量が上記範囲を下回った場合には、成形抜き圧の低減効果が不十分で、成形型を抜く際に軋み音が発生し成形型を痛める恐れが大きく、一方、配合量が上記範囲を上回った場合には、添加量を増加させてもそれに応じた成形抜き圧の低減の改善効果が見られないばかりではなく、電解液の吸液性にも悪影響が生ずる恐れが大きいからである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した電池について、図面を参照しながら詳細に説明する。(電池構造)
図1は、本発明をいわゆるインサイドアウト構造(電池缶体が正極側、電池蓋側が負極側となっている構造)と呼ばれているJIS規格のLR6形(単3形)の電池に応用した例である。
図1において1は、正極端子を兼ねる有底円筒形の金属缶であり、この金属缶1の内部に中空円筒状に成形された正極活物質を含有する正極合剤2が金属缶1の内面に接触するように収容されている。この正極合剤2の中空内部には不織布などからなる有底円筒状のセパレータ3を介して、すでに一般に公知のゲル状亜鉛負極材料4が充填されている。そして、この負極材料4には金属棒からなる負極集電棒5が挿着され、この負極集電棒5の一端は負極材料4の表面から突出してリング状金属板7及び陰極端子を兼ねる金属封口板8に電気的に接続されている。そして、正極となる金属缶1内面と、負極集電棒5の突出部外周面には、二重環状のポリアミド樹脂からなる絶縁ガスケット6が配設され、これらは絶縁されている。また、金属缶1の開口部はかしめられて液密に封止されている。
【0014】
(正極合剤)
本発明の正極合剤は、正極活物質、導電性付与剤としての炭素系導電材、及び必要に応じて用いられるポリオレフィン等のバインダー、及びその他の添加剤成分からなる正極合剤材料を顆粒状に成形し、その表面に潤滑性を向上させるためのエチレンビス飽和脂肪酸アミドを被覆し、所要形状に成形したものである。
【0015】
また、本発明において用いられる炭素系導電材としては、黒鉛、カーボンブラックなど公知の電池用炭素系導電材を用いることができるが、特に黒鉛が好ましい。
さらに、本発明において用いるバインダーとしては、電池の正極合剤用バインダーとして公知の物質を用いることができるが、そのうちでポリオレフィンが好ましい。本発明において、ポリオレフィンを添加する理由は、正極合剤において黒鉛を減量した場合、正極合剤の結着性が低下し、正極合剤の保形性が低下するのを防止するものであり、黒鉛より少量で正極合剤成分を結着することができる。本発明においては、ポリオレフィンとして、ポリエチレン及びポリプロピレンが挙げられる。これらのポリオレフィンは、正極合剤に粒子状で添加される。その平均粒径は、およそ5〜500μmの範囲が好ましい。
【0016】
また、正極合剤には、正極合剤成型時に電解液を混合することにより成形性及び導電性を改善することができる。
【0017】
本発明において、正極合剤成型時の潤滑剤として用いられるエチレンビス飽和脂肪酸アミドは、次の化学式1で表される物質であり、常温で固体で、潤滑性に優れている材料である。
R−CO−NH−C−NH−CO−R (化学式1)
(式中、Rは、炭素数15〜19の直鎖または分枝している飽和アルキル基である。)
本発明において用いられるエチレンビス飽和脂肪酸アミドとしては、エチレンビスステアリン酸アミドが、正極合剤の吸液性を損なうことがなく潤滑性、及び放電性能を改善することができるため、最も望ましい。
本発明において、このエチレンビス飽和脂肪酸アミド化合物は、粉末状で用いることが好ましく、その好ましい粒径は、106μm以下である。粒径が上記範囲を上回った場合、エチレンビス飽和脂肪酸アミドが正極合剤顆粒表面を十分均一に被覆できず、潤滑性改善の効果が発揮されない。
【0018】
上記正極合剤において用いられる正極合剤材料の成分の配合比率は、正極活物質:炭素系導電材:バインダーが、質量比にして100:3〜12:0.05〜0.5の範囲が好ましい。
炭素系導電材の量がこの範囲を下回った場合、放電容量は向上するが、正極活物質の導電性が低下し、起電力が低下するとともに重負荷放電特性が低下する。一方、上記範囲を上回った場合、成形性、成形作業性は良好となるが、正極活物質の量が制限されるため、放電容量が低下する。
また、バインダーの量がこの範囲を下回った場合、成形体の強度が低く電池制作時に歩留まりが低下する。一方、バインダーの量がこの範囲を上回った場合、正極活物質の量が制限されるため、放電容量が低下する。
本発明において、このエチレンビス飽和脂肪酸アミドの配合量は、正極活物質である二酸化マンガンに対して、0.02〜2.0質量%の範囲が好ましい。
【0019】
(正極合剤)
また、本発明は、二酸化マンガンと炭素系導電材を少なくとも含有する正極合剤であって、反射赤外分光分析法による吸収スペクトルにおいて、3400〜3200cm−1及び3000〜2800cm−1の波長域に吸収を有するものであることを特徴とするアルカリ乾電池である。
赤外分光分析の吸収スペクトルにおいて、波長域3400〜3200cm−1の吸収は、鎖状第2級酸アミドのN−Hの伸縮振動に起因するものであり、この吸収を有する物質は、極性が大きく水との親和性がある。一方、波長域3000〜2800cm−1の吸収は、アルキル基の第2級炭素のC−H伸縮振動に起因するものであり、これは極性が小さく、水との親和性に乏しく、炭素系導電材表面との親和性が高い。このように、これら両吸収を有する物質は、電池系において正極合剤、及び電解液である水の両者との親和性のバランスがよいため、このような物質を被覆した正極合剤を用いた電池は、吸液性を損なうことなく離型性を備えることにより、電池として貯蔵後の放電特性に優れた電池が実現できる特徴を有するものである。
前記、波長域に吸収を有する材料としては、次の化学式2で表される物質が挙げられる。
R−CO−NH−C−NH−CO−R (化学式2)
(式中、Rは、炭素数15〜19の直鎖または分枝している飽和アルキル基である。)
これらの材料の内、特にエチレンビスステアリン酸アミドが好ましい。
【0020】
(正極合剤の製造)
以下、本発明の正極合剤の製造について、そのプロセスを示す図2を用いて、より詳細に説明する。
図1中、21ないし24が、本発明において用いる原材料であり、S21ないしS27が製造過程の工程であり、25が得られる正極合剤である。以下これらの工程を順次説明する。
【0021】
(S21:ドライ攪拌)
正極活物質である二酸化マンガン粉末に、炭素系導電材粉末を加え万能攪拌ミキサーにてドライ攪拌する。
【0022】
(S22:ウェット攪拌)
上記ドライ攪拌によって得られた混合粉末100質量部に対し、電解液を添加して万能攪拌ミキサーにてウェット攪拌する。この工程により、上記ドライ攪拌で混合した正極合剤成分粉末が、相互に凝着し成形可能となる。この工程において用いる電解液の量は、正極合剤成分100質量部に対して、2〜7質量部程度である。
【0023】
(S23:圧縮)
上記工程において配合された正極合剤は、次いで、ローラコンパクタと呼ばれるロール状プレス機によって圧縮加圧され、造粒のために充填密度を高められる。このローラコンパクタは、双ロール間に正極合剤を供給し、加圧して充填密度を高めるものであり、圧縮応力は、印加力をローラ幅で割った0.5×10〜5×10N/cmの範囲のものが好ましく、1.5×10〜3.5×10N/cmの範囲がより好ましい。これによって、1mm以下の厚さの板状の被圧縮物が得られる。
【0024】
(S24:破砕)
上記工程によって処理された正極合剤は、圧縮塊状となっている。これを用いて成形体を作製するためには一旦粒状に造粒する必要がある。そのためにロール表面に互いに嵌合する突起を有する双ロールを用いたグラニュレータによる破砕処理を行う。圧縮塊状に成形された正極合剤はこのグラニュレータに通すことによって、粒状に破砕される。
【0025】
(S25:篩い分け)
次に、14〜60メッシュの自動篩分機にて分級して、粒径250〜1180μm程度の顆粒状正極合剤を選別し分級する。
【0026】
(S26:混合攪拌)
上記工程によって得られた顆粒状合剤に、エチレンビス飽和脂肪酸アミド粉末を所定量添加し、混合撹拌する。これまでの工程によって、エチレンビス飽和脂肪酸アミド粉末を顆粒状正極合剤表面に付着させた顆粒状合剤が製造される。
【0027】
(S27:成形)
上記工程で造粒された顆粒状正極合剤粒子は、次いで、金型を用いて正極合剤に成形される。
インサイドアウト型電池の正極合剤は、中空円筒状をしており、中央のマンドレルを有し、所要の体積を有する円筒形状の金型中に上記正極合剤粒子を充填して、雄型を圧入することにより成形が行われる。このときの成形圧力は、0.5×10〜9.8×10Paの圧力が好ましい。成形圧力が上記範囲を下回った場合、必要な正極合剤の充填密度が得られず、また、粒子同士の接触も確保しにくくなるので、電池とした場合、所定の放電容量が得られない。一方、成形圧力が上記範囲を上回った場合、正極合剤中に電解液が浸透しにくくなり、その利用率を下げてしまう。
【0028】
以後、この正極合剤を用い、他の亜鉛負極ゲル、セパレータ、集電棒、正極缶、封口板等の電池部品と組み合わされ電池として組み立てられる。
【0029】
(正極合剤の分析)
本発明の正極合剤は、顆粒状合剤の表面にエチレンビス飽和脂肪酸アミドの粒子が被覆されている。このような正極合剤表面に存在する物質は、拡散反射を用いた赤外線分光分析法によって分析することができる。
一般に、固体物質表面に存在する物質の分析方法としては、赤外分光分析、紫外可視光分光分析、蛍光分析などの手法があり、適宜分析対象物の状態に応じて選択して採用される。本発明の分析対象である正極合剤は、可視光領域において不透明であって、主たる成分が無機物質であり、微少量の有機物質が添加された混合物である。このような正極合剤の分析として、上記紫外可視光分光分析あるいは蛍光分析による分析手法によっては分析ができなかった。
本発明の分析方法では、赤外領域の3300〜3200cm−1の領域及び3000〜2800cm−1の領域に同時に吸収のピークが存在する場合(図3)に、本発明のエチレンビス飽和脂肪酸アミドが存在すると判断できる。
【0030】
【実施例】
(実施例)
まず、二酸化マンガンに対して7質量%の黒鉛を含有する顆粒状合剤を造粒した。次に、エチレンビスステアリン酸アミドを二酸化マンガンに対して0.02〜2.0%の添加量で添加して分散したものを、JIS規格LR6形(単3形)用のサイズの円筒状の成形型に、同一密度で加圧成形して成形合剤を得た。離型剤としての効果の判断基準として、成形型から、正極合剤を取り出す際に必要な圧力すなわち抜き圧を測定した。その結果を図4に示す。
【0031】
また、正極端子を兼ねるJIS規格LR6形(単3形)用の有底円筒形の金属缶1内に上述した成形合剤を収納して、これを所定の圧力で中空円筒状に再度加圧成形して金属缶1の缶壁に密着させて正極合剤2とした。更に正極合剤2の中空部にアセタール化ポリビニルアルコール繊維の不織布からなる有底円筒状セパレータ3を挿入した。このセパレータ3内に電解液を約2g注入して20分後に余剰の電解液を吸い上げ、その重量差から電解液吸液量(n=10平均値)を求めた。その結果を図5に示す。
【0032】
この電解液吸液量調査に用いたものを、図1に示したJIS規格LR6形(単3形)アルカリ電池に組み立てた。ゲル状負極重量を一定にして組み立てた電池の放電容量(n=10平均値)を測定した。その結果を図6に示す。
【0033】
また、これらの実験に併せて、エチレンビスステアリン酸アミドに代えてステアリン酸亜鉛を用い、他の点は上記実施例と同様にして正極合剤を作成し電池を組み立てた。これらについても上記実施例と同様に抜き圧、電解液級液量及び放電特性を測定した。これらの結果を、図4、図5及び図6に併記する。
【0034】
図4、図5及び図6の結果から明らかなように、エチレンビスステアリン酸アミドを用いた本発明においては、ステアリン酸亜鉛を用いた場合と比較して、抜き圧、電解液吸液量及び放電特性において優れていることは判明した。
【0035】
以上のことから、二酸化マンガンと炭素系導電材を含有する顆粒状合剤に、エチレンビスステアリン酸アミドを二酸化マンガンに対して200〜20,000ppm添加して分散した場合に効果があることが確認された。
【0036】
本発明では特に円筒形インサイドアウト構造のアルカリ電池を想定して中空円筒状の成形体を加圧成形する説明をしてきたが、言うまでもなく、成形体の形状としては中空円筒状に限らず、ボタン形電池及びコイン形電池に内填するための円盤ペレツト状の成形体にも適用可能である。
【0037】
【発明の効果】
以上に説明した本発明の正極合剤によれば、吸液性を損なうことなく、離型性に優れ、かつ貯蔵放電特性に優れた二酸化マンガン含有率の高い、高性能なアルカリ乾電池用正極合剤が得られる。
また、本発明の正極合剤の製造方法によれば、正極合剤プレス成型時の抜き圧が低減されることにより、エネルギーコストが低減され、また、成型時の抜き圧上昇に伴う正極合剤成形体の破損が防止され歩留まりが向上する。さらに、成形型の摩耗が減少し製造コストの面で有利である。
さらに、本発明の電池によれば、放電性能が改善された電池が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明により製造されたJIS規格LR6形(単3形)アルカリ乾電池の断面図。
【図2】 本発明の正極合剤の製造工程を示すプロセスフロー図。
【図3】 本発明の正極合剤の赤外分光分析によって得られるチャートの一例を示すグラフ。
【図4】 本発明実施例と比較例において、潤滑剤の添加量と成形抜き圧との関係を示すグラフ。
【図5】 本発明実施例と比較例において、潤滑剤の添加量と電解液吸液量との関係を示すグラフ。
【図6】 本発明実施例と比較例において、潤滑剤の添加量と放電性能を比較したグラフ。
【符号の説明】
1・・・正極缶
2・・・正極合剤
3・・・セパレータ
4・・・ゲル状亜鉛負極
5・・・負極集電棒
6・・・絶縁ガスケット
7・・・リング状金属板
8・・・金属封口板

Claims (4)

  1. 二酸化マンガンと炭素系導電材を少なくとも含有する顆粒状正極合剤を成形してなるアルカリ乾電池用正極合剤において、該顆粒状正極合剤表面にエチレンビス飽和脂肪酸アミドを該二酸化マンガンに対して0.02〜2.0質量%の割合で添加することを特徴とするアルカリ乾電池用正極合剤。
  2. 二酸化マンガンと炭素系導電材を少なくとも含有する正極合剤を造粒化して顆粒状正極合剤とし、これを加圧成形するアルカリ乾電池用正極合剤の製造方法において、造粒工程後の顆粒状正極合剤に、エチレンビス飽和脂肪酸アミドを該二酸化マンガンに対して0.02〜2.0質量%の割合で添加して分散させ、これを加圧成形することを特徴とするアルカリ乾電池用正極合剤の製造方法。
  3. 正極合剤と亜鉛負極ゲルとがセパレータを介して正極缶内に収納されており、該亜鉛負極ゲル内に負極集電棒が挿入されて、該負極集電棒の頭部に当接した負極端子を兼ねる金属封口板と前記正極缶とガスケットを介して密封口されているアルカリ乾電池において、該正極合剤として、二酸化マンガンと炭素系導電材を少なくとも含有し、かつ表面にエチレンビス飽和脂肪酸アミドが被覆されている顆粒状正極合剤を成形した正極合剤を用いたことを特徴とするアルカリ乾電池。
  4. 二酸化マンガンと炭素系導電材を少なくとも含有する正極合剤を備えたアルカリ乾電池において、該正極合剤が、反射赤外分光分析法によって観測した吸収スペクトルにおいて、3400〜3200cm−1及び3000〜2800cm−1の波長域に吸収を有するものであることを特徴とするアルカリ乾電池。
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