JP4265202B2 - 導電性樹脂組成物、導電ロール及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、導電性樹脂組成物、導電ロール及びその製造方法に関し、更に詳しくは、特に、電子複写機、プリンターなどに使用される導電ロールに好適な導電性樹脂組成物、該樹脂組成物からなる導電ロール及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真複写機やプリンターの帯電方式において 近年、オゾン発生対策として従来の高電圧を必要とするコロトロン又はスコロトンを利用した方式から、低電圧を利用した接触式帯電ローラーや帯電ブラシ、又は非接触式の針状帯電器を用いた方式への転換が進んでいる。このうち導電性帯電ロールは上記した静電気現象を利用した電子写真方式で 感光体や帯電保持部材に電荷を与えるために使用されるロールで、通常、金属製の軸芯の外周部にカーボンブラックや金属粉体を混入せしめて導電性を付与したゴム或いは発泡体を配置することによって得られている。従来の導電ロールはゴムや弾性体或いは発泡体の様に、いわゆるニップ幅を確保するために或る柔らかさを確保しつつ、その樹脂内もしくは表面に導電性物質を分散させて導電性を付与している。しかしながら、内包する導電性物質の導電性が高過ぎ、且つ導電性物質の分散の調整が困難なため導電性の制御が難しく、均一性・安定性に問題があった。
【0003】
これらの問題に対して、導電性を制御し、且つ安定化・均一化するためにフェライトを導電性材料として使用した導電性部材が提案されている。例えば、Mn−Znフェライトの微粉末をポリプロピレン樹脂に分散させた導電性プラスチックベルトがトナー転写ベルトとして提案されている(特許文献1参照)。また、導電性顔料としてCu−Mg−Znフェライトをフッ素樹脂塗料中に分散させてシリコーンゴムローラーの上に浸漬塗布し、厚さ10μmの被覆層を形成させた帯電部材が提案されている(特許文献2参照)。更に、フェライトをシリコーンゴム中に分散させた導電性シリコーンゴムロールが提案されている(特許文献3参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平5−66685号公報
【特許文献2】
特開平8−185013号公報(第6頁、実施例6)
【特許文献3】
特開平9−151323号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献に記載の導電性部材は、いずれもフェライトの含有率が低いために曲げ弾性率が低く、感光体への帯電性付与を安定化させるために剛性を必要とする導電性帯電ロール用途においては未だに不十分であった。また、特許文献2に開示されている帯電部材は、シリコーンゴムローラー上にフェライトを含有する12μmの被覆層を設けるものであり、耐久性・信頼性・加工コスト等に問題がある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、かかる実情に鑑み、上記従来技術の問題点を解決するべく鋭意研究の結果、特定のソフトフェライト粒子粉末の導電性とその安定性に着目し、これを比較的多量に樹脂に配合することにより、適切な導電性と曲げ弾性率を有する導電性樹脂組成物が得られ、該樹脂組成物を用いた導電ロールが感光体表面の帯電電圧を適正なレベルで安定化させるとともに、優れた研削精度を有することを見出し、本発明に到達した。
【0007】
すなわち、本発明の請求項1に係る導電性樹脂組成物は、30〜70体積%のソフトフェライト粒子粉末と70〜30体積%の樹脂とからなり、前記ソフトフェライト粒子粉末はNi−Znフェライト粒子粉末とMn−Znフェライト粒子粉末からなり、Ni−Znフェライト粒子粉末とMn−Znフェライト粒子粉末の重量比が5:95から80:20であり、平均粒子径が、サブシーブサイザー法で1.0〜9.0μmであり、体積固有抵抗が1.0×101 〜5.5×104 Ω・mで、曲げ弾性率が5.0×109 〜8.0×1011Paであることを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項2に係る導電性樹脂組成物は、75μmを超えるソフトフェライトの粒子及び又はその凝集物を実質的に含有しないことを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項3に係る導電性樹脂組成物は、ソフトフェライト粒子粉末がカップリング剤で表面処理されていることを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項4に係る導電性樹脂組成物は、樹脂がポリアミド12樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)から選ばれる樹脂からなることを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項5に係る導電性樹脂組成物は、ペレット状であることを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項6に係る導電ロールは、導電性樹脂組成物で成形されたことを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項7に係る導電ロールは、金属製軸芯の外周に導電性樹脂組成物を配置したことを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項8に係る導電ロールの製造方法は、導電性樹脂組成物を射出成形機に供給し、金型のキャビティには金属製軸芯を装着し、軸芯の周囲に導電性樹脂組成物を射出成形することを特徴とする。
【0015】
本発明の請求項9に係る導電ロールの製造方法は、ペレット状の導電性樹脂組成物を用いることを特徴とする。
【0016】
本発明の請求項10に係る導電ロールの製造方法は、粉末状の導電性樹脂組成物を混練機に供給し、混練・溶融した樹脂組成物を射出成形機のシリンダー部に導き、金型のキャビティには金属製軸芯を装着し、該軸芯の周囲に導電性樹脂組成物を射出成形することを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明に係る導電性樹脂組成物は、30〜70体積%のソフトフェライト粒子粉末と70〜30体積%の樹脂とからなり、前記ソフトフェライト粒子粉末はNi−Znフェライト粒子粉末とMn−Znフェライト粒子粉末からなり、Ni−Znフェライト粒子粉末とMn−Znフェライト粒子粉末の重量比が5:95から80:20であり、平均粒子径が、サブシーブサイザー法で1.0〜9.0μmであり、体積固有抵抗が1.0×101 〜5.5×104 Ω・mで、曲げ弾性率が5.0×109 〜8.0×1011Paであることを特徴とする。
【0018】
尚、本発明において、導電性の評価はその逆数である体積固有抵抗によって行う。導電性が低いものは体積固有抵抗が高く、逆に導電性が高いものは体積固有抵抗が低くなる関係にある。
【0019】
本発明に用いられるソフトフェライト粒子粉末は、Ni−Znフェライト粒子粉末、Mn−Znフェライト粒子粉末を組み合わせたものである。これらは、他の金属酸化物に比して、導電性が比較的高く、且つ化学的に安定しているという特徴を有する。
【0020】
Ni−Znフェライト粒子粉末は、主成分のFe2 O3 、NiO、ZnO、それぞれの金属酸化物のモル比が50±11%、19±11%、及び31±11%であって、副成分のCu、Mg、Bi、Si、Ca、B等の金属が酸化物として重量比でそれぞれ0〜6%程度添加されたフェライト粒子粉末であり、通常のNi−Znフェライト粒子粉末の製造方法で製造されることが体積固有抵抗の制御上好ましい。
【0021】
Mn−Znフェライト粒子粉末は、主成分のFe2 O3 、MnO、ZnOそれぞれの金属酸化物のモル比が53±11%、32±11%、及び15±8%であって、副成分のSi、Mg、Ca、Cu、B、Bi等の金属が酸化物として重量比率でそれぞれ0〜2%程度添加されたフェライト粒子粉末であり、通常のMn−Znフェライト粒子粉末の製造方法で製造されることが体積固有抵抗の制御上好ましい。
【0022】
Ni−Znフェライト粒子粉末は、Mn−Znフェライト粒子粉末に比して導電性が低いので、導電性が高いMn−Znフェライト粒子粉末と組み合わせることによって、所望の導電性と曲げ弾性率を有する導電性樹脂組成物を設計することができる。
Ni−Znフェライト粒子粉末とMn−Znフェライト粒子粉末との重量比は、5:95〜80:20である。好ましくは、5:95〜75:25である。Ni−Znフェライト粒子粉末重量の割合が80%を越えると、体積固有抵抗が高くなって帯電性(導電性)が悪化する傾向があるので好ましくない。
【0023】
ソフトフェライト粒子粉末の粒子径は、製造時の該成分組成固有の粒子成長及び焼結の状態と粉砕条件で決まるが、樹脂との混練性を考慮して設計することが好ましい。
このような観点から、ソフトフェライト粒子粉末の平均粒子径は、サブシーブサイザー法で、1.0〜9.0μmであり、好ましくは、1.5〜8.0μmである。
【0024】
ソフトフェライト粒子粉末の平均粒子径が1.0μm未満では 該フェライト粒子粉末の樹脂中への分散が容易ではなく、一方、平均粒子径が9.0μmを超えると巨大な粒子が一部混在するために、該大粒子が存在する部分とその他の部分との導電性が相対的に大きく異なるという分布が発生するので好ましくない。
【0025】
樹脂中への分散性を良好にするためには、分散させるソフトフェライト粒子粉末の粒子径は、数μm以上が好ましい。しかし、成形物の導電性の均一性を確保するためには粒子径は小さいことが好ましい。この相反する現象を解決する1つの手段として、上記したように、導電性が相対的に大きく、成形物への導電性の寄与が大きいMn−Znフェライト粒子は比較的小さく、導電性へ寄与が相対的に小さいNi−Znフェライト粒子は比較的大きく設計するのが好ましい。
【0026】
また、75μmを超える巨大な粒子、あるいは凝集物を実質上除去することが、上述した導電性の均一化に有効である。また、後述する様に、成形体表面を研削する場合、部分的欠損(フェライト粒子粉末の欠落)が小さく且つ少ないことが実用上特に有効である。これらの巨大な粒子、あるいは凝集物は、風力分級機を使用するか、或いは目開きが75μm以下の篩を通すことにより、実用上問題の無い含有量、すなわち、概ね0.3重量%以下に低減することができる。
【0027】
本発明の目的である導電性を満足するために、Ni−Znフェライト粒子粉末やMn−Znフェライト粒子粉末以外に、例えば酸化ケイ素やチタン酸バリウムなどの水分や空気(酸素)に対して安定なフィラーを、適宜少量添加することは何ら差し支えない。
【0028】
導電性の安定、特に水分の影響に対する安定性の確保は、導電ロールにとって重要特性の1つである。本発明で採用するソフトフェライト粒子粉末は、水分・湿気に対して物理化学的に安定であるが、カップリング剤を粒子表面に処理して使用することが好ましい。ソフトフェライト粒子表面をカップリング剤で被覆しておくことによって、フェライト粒子の分散が均一化されるだけでなく、導電ロールの導電性への水分の影響を最小化することができる。
【0029】
カップリング剤は、一般に市販されているシラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤等が有効であるが、特に、日本ユニカー社製 A−1120のようなアミノ基を有するシランカップリング剤が比較的安価で、樹脂との混練性に優れている点で好適である。これらカップリング剤は、ソフトフェライト粒子粉末100重量部に対して、通常0.1〜0.9重量部使用される。カップリング剤の処理量が0.1重量部未満では、上記処理効果が十分でなく、一方、0.9重量部を超えると混練物表面に未吸着分がにじみ出す危険性が高まる。
【0030】
本発明に用いられる樹脂としては、ソフトフェライト粒子粉末との樹脂組成物とした場合に、5.0×109 〜8.0×1011Paの曲げ弾性率を有する成形体を与えるような樹脂が用いられる。このような樹脂としては、例えば、ポリアミド6、ポリアミド12等のポリアミド樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、液晶樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)などが好適であり、これらは単独で又は2種以上組み合わせて用いられる。また、エチレンビニルアセテート樹脂(EVA)やエチレンエチルアクリレート樹脂(EEA)、或いはその他のエラストマーなどの比較的弾性率が低い樹脂であっても、ソフトフェライト粒子粉末との樹脂組成物としての曲げ弾性率が5.0×109 〜8.0×1011Paであれば採用できる。
【0031】
また、対湿度信頼性の観点からは、吸湿性が小さい熱可塑性樹脂、すなわち、ポリアミド12樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)等が特に好適である。また、対湿度信頼性と成形性・生産性の両者の観点からはポリアミド12樹脂が選択され、対湿度信頼性の観点からはポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)が選択される。
【0032】
本発明の導電性樹脂組成物は、30〜70体積%のソフトフェライト粒子粉末及び70〜30体積%の樹脂からなる。ソフトフェライト粒子粉末が70体積%を超えると、混練・成形が難しく、また、30体積%未満では曲げ弾性率が低くなり過ぎ、形状が変形しやすくなるために、後述するように、導電ロールの研削精度が確保できない。好ましくは35体積%以上である。更に、エチレンエチルアクリレート樹脂のように柔らかい樹脂を使う場合には、40体積%以上が好ましい。
【0033】
本発明の導電性樹脂組成物は、更に、加工助剤、安定剤、その他、この種の導電性樹脂組成物に通常用いられる各種の添加剤を含有することができる。加工助剤としては、川研ファインケミカル社製 アマイド−6S等の滑剤が好ましい。加工助剤の好適な添加量は、0.01〜0.3重量%である。加工助剤の量が0.01重量%未満では十分な効果が期待できず、一方、0.3重量%を超えるとロール表面への滑剤の拡散・滲み出しが多くなり、帯電に悪影響を及ぼす場合がある。
【0034】
本発明の導電性樹脂組成物は、通常の方法で混練・造粒して、いわゆるペレットとして得ることができる。具体的には、ソフトフェライト粒子粉末30〜70体積%に樹脂70〜30体積%を添加し、必要に応じ、加工助剤等の添加剤を添加して混練・溶融し、ダイから押し出されるストランドを数ミリの長さにカットすることにより得られる。
【0035】
本発明の導電性樹脂組成物は、特に導電ロールとして好適であり、各種の成形方法により導電ロールとされる。
例えば、ペレット状の導電性樹脂組成物は、通常の射出成形方法で金型キャビティに射出することで導電ロールを成形することができる。該キャビティに予め金属軸芯を装着しておけば、軸芯インサート射出成形法で容易に導電ロールを成形することができる。軸芯は予め、表面をメッキし、更に必要に応じて表面処理してもよい。
【0036】
また、粉末状の導電性樹脂組成物は、混練機に供給し、所定の温度で混練し、溶融した樹脂組成物を溶融した状態で射出成形機のシリンダー部に導き、金型のキャビティには金属製軸芯を装着し、該軸芯の周囲に導電性樹脂組成物を射出成形することにより、導電ロールを成形することができる。本成形方法は、樹脂の溶融状態を連続で保持する時間が長いので、樹脂温度が均一となり、射出成形が安定するので、特性の安定した導電ロールを得ることができる。
【0037】
更に、本成形方法は、ペレットを射出成形機で可塑化・成形する場合に比して、滑剤等の加工助剤を必ずしも同等量必要としないので、該添加剤による、ブリード、汚染、機械強度の低下等を減少させることができる。更にまた、本成形方法は、ペレット化工程を省略することができるので、生産性が高く、生産コストが低減される利点がある。
【0038】
上記の如くして得られる本発明に係る導電ロールは、1.0×101 〜5.5×104 Ω・mの体積固有抵抗を有する。
体積固有抵抗が1.0×101 Ω・m未満では、導電ロールが接触時に感光体や電荷保持体上の電荷がリークすることにより十分な帯電ができず、一方、体積固有抵抗が5.5×104 Ω・mを超えると、感光体や電荷保持体上に帯電不足が生じ、十分に帯電できない。好ましい体積固有抵抗は、1.0×102 〜5.0×104 Ω・mである。
【0039】
導電ロールは、感光体もしくは帯電保持部材に直接帯電させるため、その寸法形状には高い精度が要求される。そのために、必要に応じ、該導電ロールの外周面を研削する必要があるが、ゴムや発泡体の様に剛性が低い導電ロールの場合は、研削寸法精度が低くなる。これに対して、剛性が高い場合、高い寸法精度を確保することができる。導電ロールの軸が金属製であれば、該研削加工寸法精度は更に高めることができる。
【0040】
上記の如くして得られる本発明に係る導電ロールは、5.0×109 〜8.0×1011Paの曲げ弾性率を有する。
曲げ弾性率が5.0×109 Pa未満では、上記したように、導電ロールの研削精度を確保できないだけでなく、導電ロールの押し付け圧により導電ロールの接触面積が増加し、導電ロール及び感光体等の回転トルクが増加する。また、導電ロールがたわみ変形するために導電性が不均一になる。一方、曲げ弾性率が8.0×1011Paを超えると、導電ロールと感光体等の被帯電部材との接触が悪くなり、十分に帯電されない。
【0041】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、これらは本発明を何ら制限するものではない。
尚、以下の記載において、体積固有抵抗、曲げ弾性率、感光体表面の帯電電圧は、それぞれ下記の方法で測定した。
【0042】
体積固有抵抗:
得られたペレットをφ25mmの円柱空間に充填し、240±10℃に加熱後、円柱の高さ方向に圧力を加え、厚さ約10mmの円盤状サンプルを準備し、該試験片の表面を#1000のサンドペーパーで研磨して、スキン層(樹脂リッチ層)を除去した。該表面調整後の試験片を断面積2.419×10-4m2 のステンレス製平面電極で挟み、5Nの加重を掛け、ホイーストンブリッジ法で抵抗を測定した。印加電圧は直流20Vであった。
【0043】
曲げ弾性率:
ASTM−D790に準拠した。
【0044】
感光体表面の帯電電圧:
富士通社製レーザービームプリンター(Model F9682E2)のプリンターに上記導電ロールを挿入し、シャフトに600〜700Vを印加し、感光体上の表面電位を表面電位計で測定した。
【0045】
実施例1〜4
サブシーブサイザー法で平均粒子径6.0μmのNi−Znフェライト粒子粉末(戸田工業社製、商品名BSN−714)と、サブシーブサイザー法で平均粒子径3.2μmのMn−Znフェライト粒子粉末(戸田工業社製、商品名BSF−547)とを所定の重量比率で混合し合計100重量部とし、0.5重量部のアミノ基含有シランカップリング剤(日本ユニカー社製、商品名A−1120)で表面処理した後、滑剤(川研ファインケミカル社製、商品名アマイド−6S)を0.2重量部、ポリアミド6樹脂(宇部興産社製、商品名P1010)粉末を所定の量加えた該混合物を240℃±10にコントロールされたφ25mmの二軸混練機で溶融・混練し、米粒大のペレットからなる導電性樹脂組成物を得た。
【0046】
該ペレットを、通常の射出成形機で、金属製の軸芯(シャフト)を装着した金型の該軸芯の周囲に射出成形(軸芯インサート射出成形)して、導電ロールを得た。
【0047】
実施例5
Ni−Znフェライト粒子粉末及びMn−Znフェライト粒子粉末をそれぞれあらかじめ篩に掛けて、75μmを超える粒子および凝集物を除去し、それらの含有量を0.3重量%以下とし、実施例1〜4と同じ方法でそれぞれを55重量部、45重量部を使用し、フェライト粒子粉末含有率が60体積%になる様にフェライト粒子粉末と樹脂等の混合物を調製後、溶融・混練し、ペレットからなる導電性樹脂組成物を得た。得られたペレットの曲げ弾性率は実施例3の約1.2倍(1.7×1010Pa)になり、軸芯インサート導電ロール表面を研削した際、巨大粒子や凝集物による表面の荒れや小さな欠けなどの欠陥がほとんど認められなかった。感光体表面の帯電電圧は655±15Vで安定していた。
【0048】
実施例6
実施例5と同様にして得たフェライト粒子粉末と樹脂等の混合物からなる導電性樹脂組成物を混練機(TEX30、日本製鋼所製)で溶融・混練し、樹脂組成物が溶融したままの状態で射出成形機(J350EX、日本製鋼所製)のシリンダーに導き、以下通常の軸芯インサート射出成形によって軸芯インサート導電ロールを得た。本方法では、ペレットの状態を経ることなく粉体組成物から直接簡素化された工程で導電ロールを得ることができ、極めて効率的であった。
【0049】
実施例7〜8
Mn−Znフェライト粒子粉末とNi−Znフェライト粒子粉末とを所定の重量部比率で、ソフトフェライト粒子粉末含有率をそれぞれ所定の体積%とし、樹脂としてエチレンエチルアクリレート樹脂(EEA樹脂、三井デュポン製エバフレックス 702)を採用し、滑剤としてサンワックス171P(三洋化成社製商品名)を採用したこと以外は、実施例1〜4と同様の方法で、軸芯インサート導電ロールを得た。
【0050】
実施例9
樹脂としてポリアミド12樹脂(ダイセル社製商品名A1709P)を採用し、粗粒子除去操作を実施せず、フェライト含有率を変更したこと以外は、実施例6と同様の方法で、軸芯インサート導電ロールを得た。
【0051】
実施例10〜11
樹脂として、実施例9で用いたポリアミド樹脂12、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS樹脂、東レM−3910)をそれぞれ採用し、滑剤として、それぞれアマイド6S又はサンワックス171Pを採用し、実施例5と同様の方法で、軸芯インサート導電ロールを得た。
【0052】
実施例12〜13
Mn−Znフェライト粒子粉末及びNi−Znフェライト粒子粉末の粒子径をそれぞれ変更した以外は実施例1〜4と同様にして、軸芯インサート導電ロールを得た。実施例12の導電ロールはソフトフェライト粒子粉末が比較的大きいため、帯電電圧のバラツキが大きい傾向にある。一方、実施例13はソフトフェライト粒子粉末が比較的小さいため、分散が難しく帯電電圧のバラツキが大きくなる。いずれも導電ロール組成のミクロな均一性の乱れの影響によるものと考えられる。
【0053】
実施例14
Ni−Znフェライト粒子粉末とMn−Znフェライト粒子粉末の重量比を80:20に変更した以外は実施例1〜4と同様にして軸芯インサート導電ロールを得た。得られた導電ロールは体積固有抵抗がやや高くなり、感光体表面の帯電電圧がやや低かった。
【0054】
比較例1〜2
ソフトフェライトの含有率をそれぞれ74体積%、25体積%に変更した他は実施例3と同様にして軸芯インサート導電ロールを得ようとしたが、比較例1はソフトフェライト粒子粉末の含有率が高過ぎるため、粘度が高く樹脂との混練が不可能であった。一方、比較例2はソフトフェライト粒子粉末の含有率が低過ぎるため、曲げ弾性率が低過ぎ、その結果、得られた軸芯インサート導電ロールは研削精度が悪く実用性の乏しいものであった。
【0055】
以上の実施例1〜14と比較例1〜2の結果を表1及び表2にまとめた。
【0056】
【表1】
【0057】
【表2】
【0058】
【発明の効果】
以上のように、本発明の導電性樹脂組成物は、適切な導電性と曲げ弾性率を有し、特に、導電ロールに有用である。本発明の導電性樹脂組成物からなる導電ロールは、安定且つ均一な導電性を有するとともに、導電ロールの研削精度を確保することができる。また、本発明の導電性樹脂組成物によれば、導電ロールを射出成形法によって得ることができ、更に、ペレットを経ないで、粉体状の樹脂組成物から直接導電ロールを射出成形することにより、工程が簡素化された安価な方法で生産することができる。
Claims (10)
- 30〜70体積%のソフトフェライト粒子粉末と70〜30体積%の樹脂とからなり、
前記ソフトフェライト粒子粉末はNi−Znフェライト粒子粉末とMn−Znフェライト粒子粉末からなり、Ni−Znフェライト粒子粉末とMn−Znフェライト粒子粉末の重量比が5:95から80:20であり、平均粒子径が、サブシーブサイザー法で1.0〜9.0μmであり、
体積固有抵抗が1.0×101 〜5.5×104 Ω・mで、曲げ弾性率が5.0×109 〜8.0×1011Paであることを特徴とする導電性樹脂組成物。 - 75μmを超えるソフトフェライトの粒子及び又はその凝集物を実質的に含有しないことを特徴とする請求項1に記載の導電性樹脂組成物。
- ソフトフェライト粒子粉末がカップリング剤で表面処理されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の導電性樹脂組成物。
- 樹脂がポリアミド12樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)から選ばれる樹脂からなることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の導電性樹脂組成物。
- ペレット状であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の導電性樹脂組成物。
- 請求項1〜5の何れか1項に記載の導電性樹脂組成物で成形されたことを特徴とする導電ロール。
- 金属製軸芯の外周に導電性樹脂組成物を配置したことを特徴とする請求項6に記載の導電ロール。
- 請求項1〜4の何れか1項に記載の導電性樹脂組成物を射出成形機に供給し、金型のキャビティには金属製軸芯を装着し、軸芯の周囲に導電性樹脂組成物を射出成形することを特徴とする請求項7に記載の導電ロールの製造方法。
- 請求項5に記載の導電性樹脂組成物を用いることを特徴とする請求項7に記載の導電ロールの製造方法。
- 請求項1〜4の何れか1項に記載の導電性樹脂組成物を混練機に供給し、混練・溶融した樹脂組成物を射出成形機のシリンダー部に導き、金型のキャビティには金属製軸芯を装着し、該軸芯の周囲に導電性樹脂組成物を射出成形することを特徴とする請求項7に記載の導電ロールの製造方法。
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JP2002322396A JP4265202B2 (ja) | 2002-11-06 | 2002-11-06 | 導電性樹脂組成物、導電ロール及びその製造方法 |
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