JP4261790B2 - トナー、画像形成方法及びプロセスカートリッジ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法,静電記録法,静電印刷法,トナージェット方式記録法などを利用した記録方法に用いられるトナー、及び該トナーを用いた画像形成方法及びプロセスカートリッジに関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真法は、種々の手段により感光体上に静電荷像を形成し、次いで該静電荷像をトナーにより現像し、必要に応じて紙の如き転写材にトナー画像を転写した後、加熱、圧力、加熱加圧或いは溶剤蒸気により定着し、トナー画像を得るものである。
【0003】
上述の最終工程であるトナー像を紙の如きシートに定着する工程に関して種々の方法や装置が開発されているが、現在、最も一般的な方法は熱ロ−ラー又は加熱フィルムを介した固定発熱ヒーターによる圧着加熱方式である。
【0004】
加熱ローラーによる圧着加熱方式は、トナーに対し離型性を有する熱口一ラーの表面と被定着シートのトナー像面を加圧下で接触しながら被定着シートを通過させることによりトナー像の定着を行うものである。この方法は熱ローラーの表面と被定着シート上のトナー像とが加圧下で接触するため、トナー像を被定着シート上に融着する際の熱効率が極めて良好であり、迅速に定着を行うことができる。
【0005】
加熱ローラー表面と軟化・溶融状態にあるトナー画像が加圧下で接触するために、トナー像の一部が定着ローラー表面に付着・転移し、次に被定着シートにこれが再転移することにより被定着シートを汚す、オフセット現象が生じる。このオフセット現象は定着速度や定着温度の影響を大きく受ける。一般に定着速度が遅い場合は、加熱ローラーの表面温度は比較的低く設定され、定着速度が速い場合は、加熱ローラーの表面温度は比較的高く設定される。これは、トナーを定着させる為に加熱ローラーからトナーに与える熱量を、定着速度によらずほぼ一定にするためである。
【0006】
被定着シート上のトナーは、何層かのトナー層を形成している。定着速度が速く、加熱ローラーの表面温度が高い系においては、加熱ローラーに接触するトナー層と、被定着シートに接触している最下層のトナー層との温度差が大きくなる。加熱ロ一ラーの表面温度が高い場合には、最上層のトナー層が過剰に軟化・溶融してオフセット現象を起こしやすくなる。また、加熱ローラーの表面温度が低い場合は、最下層のトナーは定着するに充分な程度に溶けないために、被定着シート上にトナーが定着しない低温オフセットという現象が起きやすい。
【0007】
この問題を解決する方法として、定着速度が速い場合には、定着時の圧力を上げて被定着シートへトナーをアンカーリングさせる方法が、通常行われている。この方法だと、加熱ローラー温度をある程度下げることができ、トナーの高温オフセット現象を防ぐことは可能となる。しかし、トナーにかかるせん断力が非常に大となるために、被定着シートが定着ロ−ラーに巻きつき、巻きつきオフセットが発生したり、定着ローラーから被定着シートを分離するための分離爪の分離あとが定着画像に出現しやすい。さらには、圧力が高いがゆえに、定着時にライン画像が押しつぶされたり、トナーが飛び散ったりして定着画像の画像劣化を生じ易い。
【0008】
トナーのオフセット現象を改良することとトナーの定着性を改良することは同一視されてきたが、結着樹脂の分子量分布あるいは低融点ワックスの添加による定着性向上とオフセット改良では限界があり、不十分である。
【0009】
また、定着部材、クリーニング部材の離型性を向上してオフセットを改良する試みもトナーの離型性が不十分である場合には、使用初期の段階では充分なオフセット防止効果が期待できても長期間使用した場合には各部材の経年劣化を生じ、最終的にはオフセットが発生する場合がある。
【0010】
また、トナーは離型性を付与することを目的としてワックスを含有させる場合があるが、経年劣化した定着部材やクリーニング部材に対しては充分なオフセット防止効果を維持するためには、多量のワックスを含有させる必要がある。この場合にはトナーの現像性すなわち、画像濃度の低下、カブリ濃度の上昇等の問題が生じ、更にはトナー粒子に含有されるワックスの分散状態を制御するのが困難であり、トナーが遊離したワックスを多量に含有することになる。結果的に、感光体上のトナーのクリーニングが充分にできずに残存し、画像欠陥となる場合がある。
【0011】
また、トナーの離型性及び定着性の改良を目的として、トナー製造時にワックス類が添加されているが、トナー粒子にワックス類を均一に分散することは困難である。ワックスの分散が不充分であることはトナーの定着性能ばかりでなく、現像性にも問題が生じやすく、特に近年、微粒子化が進んでいるトナーにおいてはこの問題は顕著となる。
【0012】
特開平6−118700号公報では、高温域での帯電量の低下を抑制することを目的として、常温でのtanδと高温でのtanδの比が特定の範囲にあるトナーが開示されているが、トナー粒子におけるワックスの分散は改良されていない。
【0013】
特開昭61−279864号公報では、形状係数SF−1及びSF−2を規定したトナーが開示され、特開昭63−235953号公報には機械的衝撃力により球形化した磁性トナーが開示されているが、トナーの転写性及び定着性の改良は不充分である。
【0014】
特開平10−97095号公報、特開平11−202557号公報では、トナーの転写性を改良することを目的として特定の円形度を有するトナーが開示されている。
【0015】
特開平11−149175号公報では、トナーの転写性、定着時の飛び散り等を改良することを目的として機械的衝撃力により表面処理されたトナーが開示されている。これらのトナーでは転写性は改良されるもののトナー粒子にワックスを均一に分散する点では改良の余地がある。
【0016】
特開昭57−171345号公報では、スチレン系単量体、(メタ)アクリル系単量体、不飽和ポリエステル樹脂の共重合体を結着樹脂とする現像剤が開示され、特開昭62−195681号公報では、特定の分子量、ガラス転移温度を有するビニル系樹脂を特定量含有するポリエステル樹脂を結着樹脂の主成分として含有する現像剤が開示されているが、定着性及びワックスの分散性は十分に改良されていない。
【0017】
特開平11−153885号公報では、特定の分子量を有するポリエステル樹脂と特定の構造を有するビニル系ポリマーを反応することにより得られる樹脂からなるトナーバインダーが開示されているが、定着性及びワックスの分散性は十分に改良されていない。
【0018】
特開2000−56511号公報では、結着樹脂がハイブリッド樹脂成分を含有し、特定の溶媒に溶解しない不溶分を特定量含有し、テトラヒドロフラン可溶分が特定の分子量分布を有するトナーが開示されているが、高温高湿環境下における画像形成に関しては、未だ改善の余地を有している。
【0019】
特開平9−146292号公報では、定着性及びカブリの改良を目的として特定の動摩擦係数を有するポリアルキレン微粒子を含むトナーの定着画像の接触角が特定の範囲にあるトナーが開示され、特開平9−244294号公報では特定の動摩擦係数を有するポリアルキレン微粒子を含むトナーにおいて、トナーの接触角とトナーの誘電正接が特定の関係を満足するトナーが開示されているが、トナーの転写性及びワックスの分散性は改良されず、定着性の改良も不充分である。
【0020】
特開2000−47428号公報、特開2000−47429号公報、特開2000−47430号公報では、トナーの定着性及び定着部材へのトナー付着改良を目的として特定の接触角を有するトナーが開示されているが、トナーの転写性の改良は充分とはいえないものである。
【0021】
特開2000−284531号公報では、特定の誘電正接を有し、荷電制御剤として有機ジルコニウム化合物を含有するトナーが開示されているが、トナーの転写性の改良は充分とはいえないものである。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、トナー粒子中にワックスが良好に分散されており、低温定着性及び耐高温オフセット性に優れたトナーを提供することにある。
【0023】
本発明の目的は、熱ロール定着器を使用する中〜高速機、あるいは、耐熱フィルムを介した固定発熱ヒーターによる圧着加熱定着方式を使用する中〜低速機において、常温常湿及び高温高湿環境下においても安定した画像濃度を示すトナーを提供することにある。
【0024】
さらに本発明の目的は、常温常湿及び高温高湿環境下においても高品質の画像を得ることができる画像形成方法を提供することにある。
【0025】
本発明の目的は、トナー粒子中にワックスが良好に分散されており、耐久により経時劣化した定着部材へのトナー付着及びオフセットが改良されたトナー、又は該トナーを用いる画像形成方法或いはプロセスカートリッジを提供することにある。
【0026】
【課題を解決するための手段】
本発明は、結着樹脂、着色剤及びワックスを少なくとも含有するトナーであって、(a)該トナーの誘電正接が、温度90乃至125℃の範囲に極大値を有し、前記誘電正接の極大値が、6.0×10−2乃至10.0×10−2であり、(b)該トナーの示差走査熱量計(DSC)で測定される昇温時のDSC曲線において、温度85乃至140℃の範囲に少なくとも1個の吸熱ピークもしくはショルダーを有し、(c)該結着樹脂が、ビニル系重合体ユニットとポリエステルユニットを含有するハイブリッド樹脂を含有することを特徴とするトナーに関する。
【0027】
また、本発明は、(I)静電荷像を担持するための像担持体に担持されている静電荷像をトナーにより現像してトナー画像を形成する現像工程;(II)該像担持体上に形成されたトナー画像が中間転写体を介して、または介さずに記録材に転写する転写工程;及び(III)該記録材に転写されたトナー画像を該記録材に加熱定着する定着工程;を少なくとも有する画像形成方法において、上記構成のトナーを用いることを特徴とする画像形成方法に関する。
【0028】
また、本発明は、像担持体上に形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する画像形成装置に用いられ、同装置から着脱可能に構成されているプロセスカートリッジであって、i)像担持体、ii)該像担持体上の静電潜像をトナーで現像してトナー像を形成する現像手段、及びiii)前記像担持体を帯電する帯電手段、前記像担持体上に静電潜像を形成する潜像形成手段、前記トナー像を記録材に転写する転写手段、及び記録材にトナー像が転写された後に前記像担持体上に残留したトナーを除去するクリーニング手段、からなる群より選ばれる少なくとも1つの手段とが、一体に支持され、前記トナーとしては、上記構成のトナーを用いることを特徴とするプロセスカートリッジに関する。
【0029】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、結着樹脂がハイブリッド樹脂を含有し、トナーの誘電正接が特定の範囲にあり、且つ85〜140℃の範囲にトナーの吸熱ピーク或いはショルダーがある場合に、トナーの現像性、転写性及びカブリが改良され、耐久により経時劣化した定着部材へのトナー付着及びオフセットが改良されることを見出した。
【0030】
本発明のトナーは、周波数100kHzで測定した誘電正接が、温度90乃至125℃の範囲に極大値を有し、該極大値が6.0×10−2乃至10.0×10−2であれば良いが、好ましくは6.5×10−2乃至9.0×10−2となる場合であり、更に好ましくは6.9×10−2乃至8.0×10−2となる場合である。
【0031】
結着樹脂としてハイブリッド樹脂を含有するトナーにおいては、通常、樹脂成分中のTHF不溶分が多く、磁性体やワックスといった添加物の分散が困難である。しかしながら、周波数100kHzで測定した誘電正接が、温度90乃至125℃の範囲に極大値を有し、該極大値が6.0×10−2乃至10.0×10−2である場合には、良好な分散が達成される。
【0032】
誘電正接が温度90乃至125℃の範囲に極大値を有さない場合、誘電正接が10.0×10−2超となる場合、誘電正接が6.0×10−2未満となる場合のいずれの場合においても、現像性に劣るようになり、特に、高温高湿環境下に放置後の画像濃度が著しく低下しまい、また、高温高湿環境に限らず、耐久による画像濃度低下等の画像安定性に劣るようになってしまう。
【0033】
トナーの誘電正接の値は、結着樹脂の組成に主に依存するものであるが、トナーの表面性や表面に存在する成分にも左右される。そのため、結着樹脂、ワックスを選択することにより誘電正接の値をコントロールすることができ、また、トナーの製造条件によってもコントロールすることができる。
【0034】
本発明の効果は、トナーが特定の円形度を有するときに特に顕著な効果が得られる。本願発明のトナーは、3μm以上の粒子において、円形度(a)=0.950以上の粒子を個数基準の累積で70%以上含有することが好ましく、より好ましくは70乃至95%含有する場合であり、更には75乃至93%であり、特には77乃至90%含有することが好ましい。円形度0.950のトナーの含有量が70%未満の場合には、トナーの転写性が不十分である場合があり、更に、トナーのトータルとしての比表面積が大きくなり磁性体やワックス等のトナーからの遊離の確率が高くなるため、定着性や現像性に劣るようになることがあり好ましくない。また、この場合には、誘電正接のコントロールが困難となる。円形度0.950のトナーの含有量が95%を超える場合には、低湿下でのトナーのチャージアップが生じることがあり好ましくない。またこの場合にも、トナーの誘電正接のコントロールが困難となる。
【0035】
本発明のトナーは、1乃至30mgKOH/gの酸価を有することが好ましく、より好ましくは5乃至25mgKOH/gの酸価を有する場合であり、更に好ましくは7乃至20mgKOH/gの酸価を有する場合である。もし、酸価が1mgKOH/g未満となる場合、或いは30mgKOH/gを超える場合のいずれにおいても、高温高湿環境下での画像形成において濃度の低下が生じ、また耐久時にも画像濃度の低下が生じ、画像濃度安定性に劣るようになるため好ましくない。
【0036】
本発明のトナーにおいて、結着樹脂は5乃至60質量%のTHF不溶分を含有することが好ましく、より好ましくは10乃至50質量%含有するものであり、更に好ましくは15乃至40質量%含有するものである。もし、トナーの結着樹脂に含有されるTHF不溶分が5質量%未満となる場合、或いは60質量%を超える場合のいずれにおいても、低温定着性及び耐高温オフセット性の両立が難しくなり好ましくない。
【0037】
本発明においては、結着樹脂として、ポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットからなるハイブリッド樹脂を含有する樹脂が用いられるが、好ましくは、結着樹脂中の50質量%以上がハイブリッド樹脂である樹脂が用いられ、より好ましくは、55質量%以上であり、特に60質量%以上であることが好ましい。
【0038】
本発明のトナーにおいて、ハイブリッド樹脂を含有する結着樹脂は、トナーのTHF可溶分に関し、分子量3000乃至15000の領域にメインピークを有し、Z平均分子量(Mz)と重量平均分子量(Mw)の比(Mz/Mw)が30乃至1000であることが好ましく、より好ましくは分子量5000乃至12000の領域にメインピークを有し、比(Mz/Mw)が50乃至700となる場合であり、更に好ましくは分子量6000乃至10000の領域にメインピークを有し、比(Mz/Mw)が100乃至500となる場合である。もし、分子量3000乃至15000の領域にメインピークを有さない場合には、比(Mz/Mw)が30乃至1000の範囲にあっても低温定着性と耐高温オフセット性との両立が困難となる傾向にあり、分子量3000乃至15000の領域にメインピークを有しても、比(Mz/Mw)が30未満となる場合、あるいは1000を超える場合にも低温定着性と耐高温オフセット性とを両立しにくくなってしまう。
【0039】
結着樹脂がハイブリッド樹脂を含有する場合には、13C−NMR測定によりハイブリッド樹脂に特有のカルボキシル基のシグナルが、ポリエステルのエステル結合またはカルボン酸に由来するカルボキシル基及びビニル系重合体の(メタ)アクリル酸エステルのカルボキシル基とは異なる位置に観察されるため、13C−NMR測定により、結着樹脂中のハイブリッド樹脂の存在を確認することができる。非磁性トナーの場合には、そのままで測定試料とすることができるが、磁性トナーでは、磁性体が13C−NMRの分解能を阻害するため、トナーを濃塩酸水溶液中に添加して室温で70乃至80時間撹拌し、磁性体を溶出してから測定を行う。13C−NMRスペクトルの測定例を表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
本発明のトナーにおいて、ハイブリッド樹脂のポリエステルユニットを形成するモノマーとしては以下のものが挙げられる。
【0042】
アルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、下記(2)式で表されるビスフェノール誘導体及び下記(3)式で示されるジオール類が挙げられる。
【0043】
【外1】
(式中、Rはエチレン又はプロピレン基を示し、x及びyはそれぞれ1以上の整数であり、かつ、x+yの平均値は2〜10である。)
【外2】
【0044】
酸成分としては、フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸の如き芳香族ジカルボン酸類又はその無水物;こはく酸、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸の如きアルキルジカルボン酸類又はその無水物;炭素数6〜12のアルキル基で置換されたこはく酸もしくはその無水物;イタコン酸、フマル酸、マレイン酸及びシトラコン酸の如き不飽和ジカルボン酸類又はその無水物;が挙げられる。
【0045】
本発明に関わるハイブリッド樹脂の製造に用いられるポリエステルは、飽和ポリエステルと不飽和ポリエステルが質量比で50:1乃至1:1で混合して用いられることが好ましく、より好ましくは質量比で30:1乃至3:1で混合して用いられる場合であり、特に好ましくは、質量比で20:1乃至5:1で混合して用いられる場合である。該質量比で50:1未満であり、不飽和ポリエステルの割合が少ない場合には、ビニル系重合体との付加重合反応が不十分となり、トナーとしての耐高温オフセット性が不十分となってしまいやすく、不飽和ポリエステルが、該質量比で1:1を超えて多く含有される場合にはトナーの低温定着性が阻害されてしまいやすく好ましくない。
【0046】
本発明に係るハイブリッド樹脂において、ポリエステルユニットは不飽和、飽和にかかわらず10乃至70mgKOH/gの水酸基価を有し、酸価と水酸基価の比(Av/OHv)は0.1乃至2であることが好ましく、より好ましくは15乃至60mgKOH/gの水酸基価を有し、酸価と水酸基価の比(Av/OHv)は0.5乃至1.5となる場合であり、特に好ましくは20乃至50mgKOH/gの水酸基価を有し、酸価と水酸基価の比(Av/OHv)は0.7乃至1.2となる場合である。水酸基価が10mgKOH/mg未満である場合には、ビニル系重合体とのエステル化が不十分であり、トナーとしては耐高温オフセット性が不十分となってしまいやすく、水酸基価が70mgKOH/g超である場合にはビニル系重合体とのエステル化が過剰となり、トナーの低温定着性が阻害され好ましくない。
【0047】
本発明にトナーにおいて、ハイブリッド樹脂を構成するポリエステルは不飽和、飽和にかかわらず重量平均分子量(Mw)が2000乃至50000となり、重量平均分子量と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)は2乃至20であるが、好ましくは重量平均分子量(Mw)が3000乃至20000となり、重量平均分子量と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)は2.5乃至10となる場合であり、特に好ましくは重量平均分子量(Mw)が5000乃至15000となり、重量平均分子量と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)は2.7乃至5となる場合である。重量平均分子量(Mw)が2000未満となり、重量平均分子量と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が2未満あるいは20超となる場合には、トナーの耐高温オフセット性が不十分となり、重量平均分子量(Mw)が1万超となり、重量平均分子量と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が2未満あるいは10超となる場合には、トナーの低温定着性が阻害され好ましくない。
【0048】
ハイブリッド樹脂のビニル系重合体ユニットとしては、スチレンモノマーと他のビニルモノマーとの共重合体であることが好ましく、スチレンモノマーに対するコモノマーとしては、ビニルトルエンの如きスチレン誘導体;アクリル酸;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸フェニルの如きアクリル酸エステル;メタクリル酸;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸フェニルの如きメタクリル酸エステル;マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノブチル、マレイン酸メチル、マレイン酸ジメチルの如き二重結合を有するジカルボン酸或いはそのエステル化物;アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル;ブタジエン;塩化ビニル、酢酸ビニル、安息香酸ビニル;エチレン、プロピレン、ブチレンの如きエチレン系オレフィン;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトンの如きビニルケトン;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテルが挙げられる。これらのビニルモノマーを単独もしくは2種以上を用いることができる。
【0049】
本発明のビニル系重合体ユニットを製造する場合に用いられる重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(−2メチルブチロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2−(カーバモイルアゾ)−イソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチル−プロパン)、メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイドの如きケトンパーオキサイド類、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−クミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、m−トリオイルパーオキサイド、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシカーボネート、ジ−メトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシカーボネート、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエイト、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエイト、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシアリルカーボネート、t−アミルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート,ジ−t−ブチルパーオキシアゼレートが挙げられる。
【0050】
本発明ではビニル系共重合体ユニット及び/又はポリエステルユニット中に、両樹脂ユニットと反応し得るモノマー成分を含むことが好ましい。ポリエステル樹脂ユニットを構成するモノマーのうちビニル系重合体ユニットと反応し得るものとしては、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸の如き不飽和ジカルボン酸又はその無水物が挙げられる。ビニル系重合体ユニットを構成するモノマーのうちポリエステルユニットと反応し得るものとしては、カルボキシル基又はヒドロキシ基を有するものや、アクリル酸もしくはメタクリル酸エステルが挙げられる。
【0051】
ビニル系重合体ユニットとポリエステルユニットの反応生成物を得る方法としては、先に挙げたビニル系重合体ユニット及びポリエステルユニットのそれぞれと反応しうるモノマー成分を含むポリマーユニットが存在しているところで、どちらか一方もしくは両方のポリマーユニットの重合反応をさせることにより得る方法が好ましい。
【0052】
ハイブリッド樹脂において、ポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットの組成は、質量比で20:80乃至70:30であることが好ましく、より好ましくは40:60乃至50:50となる場合である。もし、ハイブリッド樹脂組成物を形成するポリエステルユニットの組成比が20質量%未満となる場合、70質量%を超える場合のいずれの場合でも、低温定着性及び耐高温オフセット性の両立が困難となる傾向があり好ましくない。
【0053】
このようなハイブリッド樹脂、ビニル系重合体及びポリエステル樹脂を有する樹脂組成物を調製できる製造方法としては、例えば、以下の(1)〜(6)に示す製造方法を挙げることができる。
【0054】
(1)ビニル系重合体ユニット製造後に、これの存在下にポリエステルユニット及びハイブリッド樹脂を製造する方法である。ハイブリッド樹脂はビニル系重合体ユニット(必要に応じてビニルモノマーも添加できる)とポリエステルモノマー(アルコール、カルボン酸)及び/またはポリエステルとの反応により製造される。この場合も適宜、有機溶剤を使用することができる。好ましくは、この工程でワックスを添加する。
【0055】
(2)ポリエステルユニット製造後に、これの存在下にビニル系重合体ユニット及びハイブリッド樹脂を製造する方法である。ハイブリッド樹脂はポリエステルユニット(必要に応じてポリエステルモノマーも添加できる)とビニルモノマー及び/またはビニル系重合体ユニットとの反応により製造される。好ましくは、この工程でワックスを添加する。
【0056】
(3)ビニル系重合体ユニット及びポリエステルユニット製造後に、これらの重合体ユニット存在下にビニルモノマー及び/またはポリエステルモノマー(アルコール、カルボン酸)を添加することによりハイブリッド樹脂を製造する。この場合も適宜、有機溶剤を使用することができる。好ましくは、この工程でワックスを添加する。
【0057】
(4)ハイブリッド樹脂を製造後、ビニルモノマー及び/またはポリエステルモノマー(アルコール、カルボン酸)を添加して付加重合及び/又は縮重合反応を行うことによりビニル系重合体ユニット及びポリエステルユニットが製造される。この場合、ハイブリッド樹脂は上記(1)乃至(3)の製造方法により製造されるものを使用することもでき、必要に応じて公知の製造方法により製造されたものを使用することもできる。さらに、適宜、有機溶剤を使用することができる。好ましくは、この工程でワックスを添加する。
【0058】
(5)ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂及びハイブリッド樹脂をそれぞれ製造後にブレンドする方法である。ブレンドは有機溶剤(例えば、キシレン)に溶解・膨潤した後に有機溶剤を留去するものであり、好ましくは、このブレンド工程でワックスを添加して製造される。ハイブリッド樹脂は、ビニル系重合体とポリエステル樹脂を別々に製造後、少量の有機溶剤に溶解・膨潤させ、エステル化触媒及びアルコールを添加し、加熱することによりエステル交換反応を行って合成されるエステル化合物を用いることができ、また、上記(1)乃至(3)の製造方法により製造されたものを使用することもできる。
【0059】
(6)ビニルモノマー及びポリエステルモノマー(アルコール、カルボン酸
等)を混合して付加重合及び縮重合反応を連続して行うことによりビニル系重合体ユニット、ポリエステルユニット及びハイブリッド樹脂が製造される。さらに、適宜、有機溶剤を使用することができる。好ましくは、この工程でワックスを添加する。
【0060】
上記(1)乃至(5)の製造方法において、ビニル系重合体ユニット及び/またはポリエステルユニットは複数の異なる分子量、架橋度を有する重合体ユニットを使用することができる。
【0061】
上記の(1)〜(6)の製造方法の中でも、特に(2)の製造方法が、ビニル系重合体ユニットの分子量制御が容易であり、ハイブリッド樹脂の生成を制御することができ、かつワックスを添加する場合にはその分散状態を制御できる点で好ましい。
【0062】
本発明のトナーにおいて、ハイブリッド樹脂と併用できる重合体は、ビニル系重合体、ビニル系共重合体、ポリエステル樹脂、ポリオール樹脂、フェノール樹脂、天然変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油系樹脂が上げられるが、好ましくは、ビニル系重合体(例えば、スチレンと(メタ)アクリル酸エステルの共重合体)、ポリエステル樹脂が挙げられ、特に好ましくは、ポリエステル樹脂が用いられる。これらの重合体は同種、異種にかかわらず適宜混合して使用することもできる。
【0063】
本発明のトナーにおいて、トナーに含有されるワックスは示差走査熱量計(DSC)で測定される昇温時のDSC曲線において、温度85乃至140℃の範囲に少なくとも1個の吸熱ピークもしくはショルダーを有すれば良いが、好ましくは温度90乃至135℃の範囲に吸熱ピークもしくはショルダーを有する場合であり、更に好ましくは温度95乃至130℃の範囲に吸熱ピークもしくはショルダーを有する場合である。もし、温度85乃至140℃の範囲に吸熱ピークもしくはショルダーのいずれも有さない場合には、定着部材へのトナー付着が発生し、且つ顕著なオフセットが生じてしまう。
【0064】
本発明のトナーに含有されるワックスは、GPCで測定されるメインピーク分子量(Mp)が300乃至20000であり、比(Mw/Mn)が1.0乃至20であることが好ましく、より好ましくはMpが500乃至15000であり、比(Mw/Mn)が1.1乃至18となる場合であり、更に好ましくは700乃至10000、比(Mw/Mn)が1.2乃至15となる場合である。もし、Mpが300未満の場合にはトナー粒子におけるワックスの分散粒径が小さくなりすぎ、Mpが20000を超える場合、或いは比(Mw/Mn)が20を超える場合には分散粒径が大きくなりすぎ、どちらの場合でもワックスの分散粒径を制御することが困難であり、良好なトナー中への分散が難しいため好ましくない。
【0065】
本発明のトナーに含有されるワックスとしては、炭化水素ワックス、ポリエチレンワックスまたはポリプロピレンワックス、水酸基またはカルボキシル基を有するワックス、或いはこれらのワックスをビニル基を有するモノマー(以下、ビニルモノマーという)で変性したワックスが好ましい。
【0066】
本発明のトナーにおいて、好ましく用いられる炭化水素ワックスは、一酸化炭素及び水素を原料とするアーゲ法により得られる炭化水素の蒸留残分から、あるいはこれらを水素添加して得られる合成炭化水素の如きワックスがよい。更に、プレス発汗法、溶剤法、真空蒸留の利用や分別桔晶方式により炭化水素ワックスの分別を行ったワックスであっても良い。
【0067】
また、水酸基またはカルボキシル基を有するワックスとしては、下記式(1)で表せる構造を有するワックスが例示される。
【0068】
式(1):
CH3−(CH2−CH2)a−CH2−CH2−A
(式中、Aは水酸基またはカルボキシル基を表し、aは20乃至60の整数を表す。)
本発明において用いられるワックスとしては、より好ましくはビニルモノマー或いは酸基を有するモノマーで変性したワックスであり、更に好ましくはビニルモノマー或いは酸基を有するモノマーで変性した炭化水素ワックスまたはポリエチレンワックスであり、特に好ましくは芳香族ビニルモノマーで変性した炭化水素ワックス、またはマレイン酸モノエステル或いはマレイン酸無水物で変性したポリエチレンワックスである。これらのワックスは結着樹脂製造時に、結着樹脂を製造する組成物中に添加されることが好ましい。ビニルモノマー或いは酸基を有するモノマーで変性することにより、結着樹脂へのワックスの分散性を向上させることができる。ワックスが分散性に優れている場合には、トナー製造時、溶融混練の工程においてトナー組成物の溶融粘度が磁性体等の添加物を分散させるのに適した範囲となり、磁性体等の分散性も向上する。そのため、遊離ワックスや遊離磁性体の発生を抑制することができ、トナーの誘電正接を本発明の範囲にコントロールすることが容易になる。
【0069】
本発明のトナーにおいて、ワックスの変性に用いることのできるモノマーとしては、例えばスチレン、ビニルトルエンの如きスチレン誘導体;アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸フェニルの如きアクリル酸エステル;メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸フェニルの如きメタクリル酸エステル;マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸ハーフエステル類;マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノプロピル、マレイン酸モノブチル、マレイン酸モノオクチル、マレイン酸ジメチルの如き二重結合を有するジカルボン酸或いはそのエステル化物;アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ブタジエン、塩化ビニル、酢酸ビニル、安息香酸ビニルの如きモノマー;エチレン、プロピレン、ブチレンの如きエチレン系オレフィン;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトンの如きビニルケトン;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテルが挙げられる。これらのモノマーを単独、若しくは併用して用いることができる。より好ましくはスチレンモノマー、又はマレイン酸モノブチル或いはマレイン酸無水物により変性する場合であり、トナー粒子におけるワックスの分散を均一にできるばかりでなく、トナーの流動性、保存性及び低温定着性を向上させることができるため好ましい。
【0070】
本発明のトナーにおいて、ワックスの変性には上記のモノマーとともに不飽和ポリエステル樹脂を使用することもでき、使用するポリエステル樹脂のモノマーは、アルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル1,3−ヘキサンジオール、水素添加ビスフェノールA、下記式(2)で示されるビスフェノール誘導体、また下記式(3)で示されるジオール類が挙げられる。
【0071】
【外3】
【0072】
[式中、Rはエチレンまたはプロピレン基を示し、x及びyはそれぞれ1以上の整数であり、かつx+yの平均値は2〜10である。]
【外4】
【0073】
[式中、R’はエチレン、プロピレンまたはターシャリブチレン基を示す。]
また酸成分としては、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸の如き芳香族ジカルボン酸類;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸の如きアルキルジカルボン酸類または酸無水物;炭素数6〜18のアルキル基で置換されたコハク酸もしくはその酸無水物である。
【0074】
不飽和ジカルボン酸としては、フマル酸、マレイン酸及び無水マレイン酸を例示することができ、これらの不飽和ジカルボン酸はエステルであっても良い。
【0075】
本発明のトナーにおいて、ワックスの変性量はワックスの変性に使用したビニルモノマー量で定義する。
【0076】
本発明のトナーにおいてワックスが、スチレン変性ワックスである場合には、スチレン、の添加量は、母体ワックス100質量部に対し、10乃至100質量部添加されている場合であり、好ましくは20乃至80質量部添加されている場合であり、より好ましくは30乃至50質量部添加されている場合である。
【0077】
又、ワックスが、マレイン酸モノブチル又はマレイン酸無水物で変性されたワックスである場合には、マレイン酸モノブチル又はマレイン酸無水物の添加量は、母体ワックス100質量部に対し、5乃至40質量部添加されている場合であり、好ましくは7乃至30質量部添加されている場合であり、より好ましくは10乃至25質量部添加されている場合である。
【0078】
本発明のトナーにおいてワックスが、スチレン及びマレイン酸モノブチルで変性されたワックス、或いはスチレン及びマレイン酸無水物で変性されたワックスである場合には、スチレンは上記の変性量の範囲が好ましく、マレイン酸モノブチル又はマレイン酸無水物の変性量は、母体ワックス100質量部に対し2乃至20質量部変性されているものであり、好ましくは5乃至10質量部変性されているものである。
【0079】
本発明のトナーにおいてワックスが、スチレン、マレイン酸モノブチル或いはマレイン酸無水物及びポリエステルで変性されたワックスである場合には、スチレン及び、マレイン酸モノブチルの変性量は上記の範囲が好ましく、ポリエステルの変性量は母体ワックス100質量部に対し、10乃至100質量部変性されているものであり、好ましくは20乃至80質量部変性されているものであり、よりは好ましく30乃至50質量部変性されているものである。
【0080】
本発明のトナーにおいて、ワックスは、結着樹脂100質量部に対して1〜20質量部、より好ましくは3〜10質量部含有させることが好ましい。
【0081】
本発明に係る変性ワックスにおいて、ワックスの変性に使用できる重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(−2メチルブチロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2−(カーバモイルアゾ)−イソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチル−プロパン)、メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイドの如きケトンパーオキサイド類、1,1,−ジ−(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジシンナモイルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−クミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、m−トリオイルパーオキサイド、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシカーボネート、ジ−メトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシカーボネート、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエイト、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエイト、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエイト、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシアリルカーボネート、t−アミルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート,ジ−t−ブチルパーオキシアゼレートがあげられるが、好ましくは1,1,−ジ−(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンあるいはジシンナモイルパーオキサイドを使用する場合であり、これらの重合開始剤は単独で使用してもよく、混合して使用しても良い。
【0082】
特にワックスの変性に用いる重合開始剤として、過酸化物系重合開始剤を使用すれば、変性を効率良く行うことができるため好ましい。
【0083】
本発明のトナーにおいて、ワックスは混練工程でトナーに添加・分散することもできるが、好ましくは結着樹脂の製造工程で樹脂に添加することであり、この場合にはワックスの均一分散が更に容易になる。
【0084】
本発明のトナーにおいて、ビニル系重合体ユニットを製造する重合反応を行う以前に、未変性のワックスを添加し、後のトナー製造工程で変性したワックスを添加しても良い。
【0085】
本発明のトナーにおいて、トナーの重量平均粒径(D4)は4乃至10μmであり、トナーの粒度分布において、粒径10.1μm以上の粒子を50体積%未満含有することが好ましく、より好ましくは重量平均径が5乃至9μmであり、トナーの粒度分布において、粒径10.1μm以上の粒子を40体積%以下含有するであり、更に好ましくは重量平均径が5.5乃至8μmであり、トナーの粒度分布において、粒径10.1μm以上の粒子を20体積%以下含有する場合である。もし、トナーの重量平均粒径が4μm未満となる場合、或いは10μmを超える場合、粒径10.1μm以上の粒子を50体積%を超えて含有する場合のいずれにおいてもトナーの円形度を本発明に好適な範囲にすることが困難となり好ましくない。
【0086】
本発明のトナーは、荷電制御剤を含有することが好ましい。荷電制御剤としては、公知のもの(例えば、有機金属化合物、樹脂荷電制御剤等)をいずれも用いることができるが、好ましくは、有機アルミニウム化合物、有機鉄化合物が挙げられる。
【0087】
有機アルミニウム化合物とは、芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族モノカルボン酸及び芳香族ポリカルボン酸とアルミニウム化合物とが反応した化合物(例えば、有機アルミニウム錯化合物(錯体、錯塩)または有機アルミニウム塩)であリ、好ましくは2モルの3,5−ジ−ターシャリーブチルサリチル酸と1モルのアルミニウム元素からなる有機アルミニウム化合物である。該有機アルミニウム化合物は、トナーにアルミニウム元素として、0.02乃至2質量%含有するものであるが、好ましくは0.05乃至1.5質量%含有するものであり、更に好ましくは0.1乃至1質量%含有するものである。もし、トナーに含有される有機アルミニウム化合物がアルミニウム元素として0.02質量%未満の含有量となる場合には、トナーの高温オフセットが劣るようになる場合があり、2質量%を超える場合には、トナーの低温定着性が劣るようになる場合があり好ましくない。
【0088】
本発明のトナーにおいて、有機鉄化合物とは、モノアゾ化合物と鉄化合物が反応した化合物であり、該有機鉄化合物は、トナーに鉄元素として、0.02乃至2質量%含有するものであるが、好ましくは0.05乃至1.5質量%含有するものであり、更に好ましくは0.1乃至1質量%含有するものである。もし、トナーに含有される含有される有機鉄化合物が鉄元素として0.02質量%未満となる場合には、高温高湿環境下でのトナーの画像濃度安定性が低下する場合があり、2質量%超となる場合には、常温低湿環境下でのトナーの画像濃度安定性が低下する場合があり好ましくない。
【0089】
本発明のトナーにおいて用いることのできる有機鉄化合物としては、下記式(4)で表せるモノアゾ化合物と鉄原子からなる有機鉄化合物が挙げられる。
【0090】
【外5】
【0091】
本発明のトナーにおいて、荷電制御剤として有機アルミニウム化合物を用いた場合には、トナーの溶融混練工程でアルミニウムと結着樹脂のカルボキシル基との相互作用、すなわち配位子の交換反応と推定される一種の錯形成反応が起こり、トナーの結着樹脂にTHF不溶分が形成される。結果、トナーの耐オフセット性が向上し、且つワックスの分散状態を本発明のトナーに好適な状態にすることが可能となる。
【0092】
トナーが磁性トナーの場合は、着色材の役割をかねて磁性体が用いられる。トナーに含有させることのできる磁性体としては、マグネタイト、マグヘマタイト、フェライトの如き磁性酸化物を用いることができ、より好ましくは鉄以外の元素を含有する磁性酸化鉄及びその混合物である。
【0093】
例えば、リチウム、ベリリウム、ボロン、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、リン、イオウ、ゲルマニウム、チタン、ジルコニウム、錫、鉛、亜鉛、カルシウム、バリウム、バナジウム、クロム、マンガン、コバルト、銅、ニッケル、ガリウム、インジウム、銀、パラジウム、金、白金、タングステン、モリブデン、ニオブ、オスミニウム、ストロンチウム、イットリウム、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム及びビスマスからなる群より選ばれる少なくとも一つ以上の元素を含有する磁性酸化鉄である。リチウム、ベリリウム、ボロン、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、リン、ゲルマニウム、チタン、ジルコニウム、錫、イオウ、カルシウム、バリウム、バナジウム、クロム、マンガン、コバルト、銅、ニッケル、ストロンチウム、ビスマス及び亜鉛が好ましい。特に好ましくは、異種元素としてマグネシウム、アルミニウム、ケイ素、リン及びジルコニウムから選択される元素を含有する磁性酸化鉄である。これらの元素は酸化鉄結晶格子に取り込まれても良いし、酸化物として酸化鉄中に取り込まれていても良いし、表面に酸化物あるいは水酸化物として存在しても良いが、酸化物として含有されるのが好ましい。
【0094】
これらの元素は、磁性体生成時に各々の元素の塩を混在させpH調整により、粒子中に取り込むことが出来る。また、磁性体粒子生成後にpH調整、あるいは各々の元素の塩を添加しpH調整することにより粒子表面に析出させることが出来る。
【0095】
これらの元素を含有する磁性体は、一般的にトナーの結着樹脂との親和性が良好であり特定の酸価を有する結着樹脂ではより効果的であるばかりでなく、荷電制御樹脂を本発明に好適な状態に分散するにも好影響を与える。また、これらの磁性体の粒度分布は狭く、かつ結着樹脂への分散性も良好であることからトナーの帯電均一化及び安定化を改善する効果も有する。これは近年、トナー粒子が小粒径化していることから帯電性の不均一性によるトナーの凝集性の改良が求められており、より重要視されている。この結果、本発明において主に意図しているトナーにおいて画像濃度の向上、カブリの改善等の現像性改良効果が顕著であり、本発明のトナーにおいても好ましいものである。
【0096】
これらの異種元素の含有率は、磁性酸化鉄の鉄元素を基準として0.05〜10質量%であることが好ましく、より好ましくは0.1〜7質量%含有する場合であり、特に好ましくは0.2〜5質量%含有する場合であり、さらには、0.3〜4質量%含有する場合である。含有量が0.05質量%未満となる場合には、上記、これらの元素の含有効果がなく、良好な分散性、帯電均一性が得られなくなる。また、10質量%より多くなると電化の放出が多くなり帯電不足を生じ、画像濃度の低下、カブリの増加等があり好ましくない。
【0097】
また、これらの異種元素の含有分布において、磁性体の表面近傍に多く存在しているのが好ましい。具体的には、酸化鉄に含有される鉄元素の溶解率が20質量%のときに、異種元素の溶解率が、全異種元素の存在量の20〜100%質量であることが好ましく、より好ましくは25〜100質量%となる場合であり、特に好ましくは30〜100質量%となる場合である。異種元素の表面存在量を多くすることにより分散効果及び電気的拡散効果をより向上することができる。
【0098】
これらの磁性体の個数平均粒径は0.05〜1.0μmが好ましく、さらには0.1〜0.5μmのものが好ましい。磁性体のBET比表面積2〜40m2/gが好ましく、さらには4〜20m2/gのものが好ましい。磁性体の磁気特性は、磁場795.8kA/mで測定した飽和磁化が10〜200Am2/kgが好ましく、さらには70〜100Am2/kgがより好ましい。残留磁化は1〜100Am2/kgが好ましく、さらには2〜20Am2/kgが好ましい。抗磁力は1〜30kA/mが好ましく、さらには2〜15kA/mがより好ましい。これらの磁性体は結着樹脂100質量部に対して20〜200質量部添加して用いられる。
【0099】
磁性体に含有される元素は、蛍光X線分析装置SYSTEM3080(理学電機工業(株)社製)を使用し、JIS K0119蛍光X線分析通則に従って、蛍光X線分析を行うことにより測定することができる。元素分布については、塩酸またはフッ酸により溶解してくる元素量の経時変化をプラズマ発光分析(ICP)測定により定量することにより知ることができる。
【0100】
磁性体の個数分布は、透過型電子顕微鏡により拡大撮影した写真をデジタイザー等で測定することにより求めることができる。磁性体の磁気特性は、振動試料型磁力計VSM−3S−15(東英工業社製)を用いて外部磁場795.8kA/mで測定したものである。磁性体の比表面積はBET法に従って、比表面積測定装置オートソーブ1(湯浅アイオニクス社製)を用いて試料表面に窒素を吸着させ、BET多点法を用いて算出することができる。
【0101】
本発明のトナーが非磁性トナーの場合には任意の適当な顔料または染料を着色剤として使用できる。顔料としては例えば、カーボンブラック、アニリンブラック、アセチレンブラック、ナフトールイエロー、ハンザイエロー、ローダミンイエロー、アリザリンイエロー、ベンガラ、フタロシアニンブルーが使用することができ、結着樹脂100質量部に対して0.1〜20質量部添加すればよいが、好ましくは0.2〜10質量部添加することである。また、同様にして、染料としては例えば、アゾ系染料、アントラキノン系染料、キサンテン系染料、メチン系染料が使用することができ、結着樹脂100質量部に対して0.1〜20質量部添加すればよいが、好ましくは0.3〜10質量部添加することである。
【0102】
本発明のトナーに流動性向上剤を添加しても良い。流動性向上剤は、トナー粒子に外添することにより、流動性が向上し得るものである。例えば、フッ化ビニリデン微粉末、ポリテトラフルオロエチレン微粉末の如きフッ素系樹脂粉末;湿式法シリカ、乾式法シリカの如き微粉末シリカ、微粉末酸化チタン、微粉末アルミナ、それらをシランカップリング剤、チタンカップリング剤、シリコーンオイルにより表面処理を施したものが挙げられる。
【0103】
好ましい流動性向上剤としては、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成された微粉体であり、いわゆる乾式法シリカ又はヒュームドシリカと称されるものである。例えば、四塩化ケイ素ガスの酸素・水素焔中における熱分解酸化反応を利用するもので、基礎となる反応式は次の様なものである。
【0104】
SiCl4+2H2+O2→SiO2+4HCl
この製造工程において、塩化アルミニウム又は塩化チタン等の他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによってシリカと他の金属酸化物の複合微粉体を得ることも可能であり、シリカとしてはそれらも包含する。その粒径は、平均の一次粒径として、0.001〜2μmの範囲内であることが好ましく、特に好ましくは、0.002〜0.2μmの範囲内のシリカ微粉体を使用するのが良い。
【0105】
ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成された市販のシリカ微粉体としては、例えば以下の様な商品名で市販されているものがある。
【0106】
さらには、該ケイ素ハロゲン化合物の気相酸化により生成されたシリカ微粉体に疎水化処理した処理シリカ微粉体がより好ましい。
【0107】
疎水化方法としては、シリカ微粉体と反応あるいは物理吸着する有機ケイ素化合物等で化学的に処理することによって付与される。好ましい方法としては、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成されたシリカ微粉体を有機ケイ素化合物で処理する。
【0108】
有機ケイ素化合物としては、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、β−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサンおよび1分子当り2から12個のシロキサン単位を有し末端に位置する単位にそれぞれ1個宛のSiに結合した水酸基を含有するジメチルポリシロキサンがある。さらに、ジメチルシリコーンオイルの如きシリコーンオイルが挙げられる。これらは1種あるいは2種以上の混合物で用いられる。
【0109】
流動性向上剤としては、メタノールウェットアビリティーが30%以上のものが好ましく、より好ましくは50%以上である。また、BET法で測定した窒素吸着による比表面積が30m2/g以上、好ましくは50m2/g以上のものが良好な結果を与える。
【0110】
このような流動性向上剤は、トナー粒子100質量部に対して0.01〜8質量部、好ましくは0.1〜4質量部使用するのが良い。
【0111】
本発明のトナーにおいて、各種特性付与を目的として、流動性向上剤の他に、種々の添加剤を使用することができ、例えば、以下に示す添加剤である。
【0112】
(1)研磨剤としては、チタン酸ストロンチウム、酸化セリウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化クロムの如き金属酸化物;窒化ケイ素の如き窒化物;炭化ケイ素の如き炭化物;硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウムの如き金属塩がある。
【0113】
(2)滑剤としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレンの如きフッ素系樹脂粉末;ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムの如き脂肪族金属塩がある。
【0114】
(3)荷電制御性粒子としては、酸化錫、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ケイ素、酸化アルミニウムの如き金属酸化物;カーボンブラック、樹脂粒子がある。
【0115】
これらの添加剤は、トナー粒子100質量部に対して0.05〜10質量部添加されるが、好ましくは0.1〜5質量部添加することであり、これらの添加剤は単独または複数種を混合して使用してもよい。
【0116】
磁性トナーの場合には、2種以上の添加剤を用いることが現像の耐久安定性及び放置後の現像安定性の観点から好ましい。非磁性一成分現像方法の場合には、酸化チタンまたはアルミナを用いるのが、流動性向上及び画像均一性の観点から好ましい。
【0117】
本発明のトナーは、キャリアと混合して二成分現像剤として使用してもよく、キャリアの抵抗値は、キャリア表面の凹凸度合い、被覆する樹脂量を調整して106〜1010Ω・cmにするのがよい。
【0118】
キャリア表面を被覆する樹脂としては、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタアクリル酸エステル共重合体、アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸エステル共重合体、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ポリアミド樹脂、アイオノマー樹脂、ポリフェニレンサルファイト樹脂あるいは、これらの樹脂の混合物を使用することができる。
【0119】
キャリアコアの磁性材料としては、フェライト、鉄過剰型フェライト、マグネタイト、γ−酸化鉄の如き酸化物、鉄、コバルト、ニッケルのような金属あるいはこれらの合金を用いることができる。また、これらの磁性材料に含有される元素としては、鉄、コバルト、ニッケル、アルミニウム、銅、鉛、マグネシウム、錫、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムが挙げられる。
【0120】
次に、本発明のトナーが好ましく用いられる画像形成法について説明する。
【0121】
図1及び図2を参照しながら、本発明の画像形成方法を実施し得る画像形成装置の一例について説明する。一次帯電器2で像担持体(感光体)1表面を負極性又は正極性に帯電し、アナログ露光又はレーザー光による露光5により静電潜像(例えば、イメージスキャニングによりデジタル潜像)を形成し、トナー層厚規制部材11としての磁性ブレードと、磁極N1,N2,S1及びS2を有する磁石23を内包している現像剤担持体(現像スリーブ)4とを具備する現像器9の磁性トナー13で静電潜像を反転現像又は正規現像により現像し、トナー像を形成する。現像領域において像担持体1の導電性基体16と現像スリーブ4との間で、バイアス印加手段12により交互バイアス,パルスバイアス及び/又は直流バイアスが印加されている。トナー像は、中間転写体を介して、又は、介さずに記録材Pへ転写される(図1においては、中間転写体を用いていない装置を例示)。記録材Pが搬送されて、転写部にくると転写帯電器3により記録材Pの背面(感光体側と反対面)から正極性または負極性の帯電をすることにより、感光体表面上の負荷電性磁性トナー像または正荷電性磁性トナー像が記録材P上へ静電転写される。除電手段22で除電後、感光体1から分離された記録材Pは、ヒーター21を内包している加熱加圧ローラー定着器7により記録材P上のトナー画像は、加熱加圧定着される。
【0122】
転写工程後の感光体1に残留する磁性トナーは、クリーニングブレード8を有するクリーニング手段で除去される。クリーニング後の像担持体1は、イレース露光6により除電され、再度、一次帯電器2により帯電工程から始まる工程が繰り返される。
【0123】
像担持体(例えば感光ドラム)1は、感光層15及び導電性基体16を有し、矢印方向に回転する。現像剤担持体4である非磁性の円筒状現像スリーブは、現像部において静電潜像担持体1表面と同方向に進むように回転する。非磁性の円筒状現像スリーブの内部には、磁界発生手段である多極永久磁石(マグネットロール)23が回転しないように配されている。現像器9内の磁性トナー13は現像剤担持体4に塗布され、かつ現像剤担持体4の表面と磁性トナー粒子との摩擦によって、磁性トナー粒子はトリボ電荷が与えられる。さらに磁性ブレード11を円筒状の現像スリーブ4の表面に近接して(間隔50〜500μm)、多極永久磁石の一つの磁極位置に対向して配置することにより、磁性トナー層の厚さを薄く(30〜300μm)かつ均一に規制して、現像部における像担持体1と現像剤担持体4の間隙と同等又は間隙よりも薄い磁性トナー層を形成する。現像剤担持体4の回転速度を調節することにより、現像スリーブ表面速度が像担持体1の表面の速度と実質的に等速、もしくはそれに近い速度となるようにする。磁性ブレード11としては、鉄製のものを用いる他、永久磁石を用いて対向磁極を形成してもよい。現像部において現像剤担持体4に交流バイアスまたはパルスバイアスをバイアス手段12により印加しても良い。
【0124】
本発明の如く特定の誘電的性質を有するトナーを用いる場合には、画像濃度とカブリをともに良好な状態にするために、現像領域において像担持体と現像剤担持体との間に印加する交流バイアスは、振動数fが600〜4000Hzであればよいが、好ましくは800〜3000Hzであり、特に好ましくは1100〜2500Hzとなる場合であり、このときにVppは500〜3000Vであればよい。
【0125】
現像部におけるトナー粒子の転移に際し、感光体面の静電的力及び交流バイアスまたはパルスバイアスの作用によってトナー粒子は静電潜像側に移行する。
【0126】
磁性ブレード11のかわりに、シリコーンゴムの如き弾性材料で形成された弾性ブレードを用いて押圧によって磁性トナー層の層厚を規制し、現像スリーブ上に磁性トナーを塗布しても良い。
【0127】
本発明の画像形成方法においては、像担持体として、アモルファスシリコン(a−Si)、有機光導電体(OPC)、セレン、その他の無機光導電体を用いることが可能であるが、潜像電位の耐久安定性の点でa−Si又はOPCを用いることが好ましく、高速機においては、感光体の耐久性が要求されることから、a−Siを用いることが特に好ましい。
【0128】
図3は、本発明の画像形成方法を実施し得る画像形成装置の他の例を示す。電圧印加手段120により電圧を印加されている一次帯電手段としての接触(ローラー)帯電手段119により像担持体としての感光ドラム101の表面を負極性に帯電し、レーザー光の露光115によるイメージスキャニングにより、デジタル潜像が感光ドラム101上に形成される。次に、トナー層厚規制部材111としての弾性規制ブレードを有し、多極永久磁石105が内包されているトナー担持体としての現像剤担持体108が具備されている現像装置によって、上記のデジタル潜像が、ホッパー103内のトナー104によって反転現像される。図3に示す様に、現像領域Dにおいて感光ドラム101の導電性基体は接地されており、現像スリーブ108にはバイアス印加手段109により交互バイアス、パルスバイアス及び/又は直流バイアスが印加されている。次に、記録材Pが搬送されて転写部に来ると、転写手段としての接触(ローラー)転写手段113により記録材Pの背面(感光ドラム側と反対面)から電圧印加手段114で帯電されることにより、感光ドラム101の表面上に形成されているトナー画像が接触転写手段113で記録材P上へ転写される。次に、感光ドラム101から分離された記録材Pは、定着手段としての加熱加圧ローラー定着器117に搬送され、該定着器117によって記録材P上のトナー画像の定着処理がなされる。
【0129】
転写工程後の感光ドラム101に残留するトナー104は、クリーニングブレード118aを有するクリーニング手段118で除去される。残留するトナー104が少ない場合にはクリーニング工程を省くことも可能である。クリーニング後の感光ドラム101は、必要によりイレース露光116により除電され、再度、一次帯電手段としての接触(ローラー)帯電手段119による帯電工程から始まる上記工程が繰り返される。
【0130】
上記の一連の工程において、感光ドラム(即ち、像担持体)101は感光層及び導電性基体を有するものであり、矢印方向に動く。現像剤担持体である非磁性の円筒の現像スリーブ108は、現像領域Dにおいて感光ドラム101の表面と同方向に進む様に回転する。現像スリーブ108の内部には、磁界発生手段である多極永久磁石(マグネットロール)105が回転しない様に配されている。現像剤容器103内の磁性トナー104は、現像スリーブ108上に塗布されて担持され、且つ現像スリーブ108の表面との摩擦及び/又は磁性トナー同士の摩擦によって、例えば、マイナスのトリボ電荷が与えられる。更に、弾性規制ブレード111は現像スリーブ108を弾性的に押圧する様に設け、トナー層の厚さを薄く(30〜300μm)且つ均一に規制して、現像領域Dにおける感光ドラム101と現像スリーブ108との間隙よりも薄いトナー層を形成させる。現像スリーブ108の回転速度を調整することによって、現像スリーブ108の表面速度が感光ドラム101の表面の速度と実質的に等速、もしくはそれに近い速度となる様にする。現像領域Dにおいて、現像スリーブ108に現像バイアス電圧として、交流バイアス又はパルスバイアスをバイアス印加手段109により印加しても良い。この交流バイアスは周波数fが600〜4000Hzであればよいが、好ましくは800〜3000Hzであり、特に好ましくは1100〜2500Hzとなる場合であり、このときにVppは500〜3000Vであればよい。
【0131】
現像領域Dにおける現像剤の移転に際し、感光ドラム101の表面の静電気力、及び交流バイアス又はパルスバイアスの如き現像バイアス電圧の作用によって、トナーは静電潜像側に移転する。
【0132】
本発明の画像形成方法をファクシミリのプリンターに適用する場合には、光像露光Lは受信データをプリントするための露光になる。図4はこの場合の一例をブロック図で示したものである。
【0133】
コントローラ131は画像読取部130とプリンター139を制御する。コントローラ131の全体はCPU137により制御されている。画像読取部からの読取データは、送信回路133を通して相手局に送信される。相手局から受けたデータは受信回路132を通してプリンター139に送られる。画像メモリには所定の画像データが記憶される。プリンタコントローラ138はプリンター139を制御している。134は電話である。
【0134】
回線135から受信された画像(回線を介して接続されたリモート端末からの画像情報)は、受信回路132で復調された後、CPU137は画像情報の複号処理を行い順次画像メモリ136に格納される。そして、少なくとも1ページの画像がメモリ136に格納されると、そのページの画像記録を行う。CPU137は、メモリ136より1ページの画像情報を読み出しプリンタコントローラ138に複合化された1ページの画像情報を送出する。プリンタコントローラ138は、CPU137からの1ページの画像情報を受け取るとそのページの画像情報記録を行うべく、プリンター139を制御し、CPU137は、プリンター139による記録中に、次のページの受信を行っている。以上の様に、画像の受信と記録が行われる。
【0135】
本発明のトナーを製造するには、上述したトナー構成材料をボールミル、ヘンシェルミキサー等を用いて十分に混合してから、熱ロールニーダー、エクストルダー等の熱混練機を用いてよく混練し、冷却固化後、機械的に粗粉砕し、次にジェット気流または機械的に微砕粉し、これを分級することによりトナーを得る方法が好ましい。これ以外の製造法としては、結着樹脂を構成すべきモノマーに所定の材料を混合しして乳化懸濁液とした後に、重合してトナーを得る重合法トナー製造法;コア材、シェル材からなる所謂マイクロカプセルトナーにおいて、コア材あるいはシェル材、あるいはこれらの両方に所定の材料を含有させる方法;結着樹脂溶液中に構成材料を分散した後に、噴霧乾燥することによりトナーを得る方法が挙げられる。さらに必要に応じて所望の添加剤とトナー粒子とをヘンシェルミキサー等の混合機により十分に混合し、本発明のトナーを製造することができる。
【0136】
本発明に用いられるトナーの好ましい製造方法について説明する。
【0137】
本発明のトナーを最適に生産できる粉砕・分級システムは、図5に示すように、結着樹脂及び着色剤を少なくとも含有する混合物を溶融混練し、得られた混練物を冷却した後、冷却物を粉砕手段によって粗粉砕し、得られた粗粉砕物からなる粉体原料を、第1定量供給機に導入し、少なくとも中心回転軸に取り付けられた回転体からなる回転子と、該回転子表面と一定間隔を保持して回転子の周囲に配置されている固定子とを具備し、且つ間隔を保持することによって形成される環状空間が気密状態となるように構成されている機械式粉砕機内に、上記第1定量供給機から所定量の粉体原料を該機械式粉砕機の粉体導入口を介して導入し、該機械式粉砕機の上記回転子を高速回転させることによって粉体原料を微粉砕する。該微粉砕物を機械式粉砕機の粉体排出口から排出して第2定量供給機に導入し、第2定量供給機から所定量の微粉砕物を、交差気流とコアンダ効果を利用して粉体を気流分級する多分割気流式分級機に導入し、該多分割気流式分級機内で微粉砕物を少なくとも微粉体、中粉体及び粗粉体に分級し、分級された粗粉体を粉体原料と混入し、上記機械式粉砕機に導入して粉砕し、分級された中粉体からトナーを生成するシステムである。
【0138】
この装置システムにおいて、図6に示すように、トナー粉原料となる粉砕原料は、先ず、粉砕手段である機械式粉砕機201に第1定量供給機215を介して所定量導入される。導入された粉砕原料は、機械式粉砕機201で瞬間的に粉砕され、補集サイクロン229を介して第2定量供給機262に導入される。次いで振動フィーダー263を介し、更に原料供給ノズル276を介して分級手段である多分割気流式分級機261内に供給される。
【0139】
また、この装置システムにおいて、第1定量供給機215から粉砕手段である機械式粉砕機201に導入される所定量と、第2定量供給機262から分級手段である多分割気流式分級機261に導入される所定量との関係を、第1定量供給機215から機械式粉砕機201に導入される所定量を1とした場合、第2定量供給機262から多分割気流式分級機261に導入される所定量を好ましくは0.7〜1.7、より好ましくは、0.7〜1.5、更に好ましくは、1.0〜1.2とすることがトナー生産性及び生産効率という点から好ましい。
【0140】
通常、本発明の気流式分級機は、相互の機器をパイプのごとき連通手段で連結し、装置システムに組み込まれて使用される。そうした装置システムの好ましい例を図6は示している。図6に示す一体装置システムは、多分割分級装置261(図10に示される分級装置)、定量供給機262、振動フィーダー263、捕集サイクロン264、捕集サイクロン265、捕集サイクロン266を連通手段で連結してなるものである。
【0141】
この装置システムにおいて、粉体は、適宜の手段により、定量供給機262に送り込まれ、ついで振動フィーダー263を介し、原料供給ノズル276により3分割分級装置261内に導入される。導入に際しては、10〜350m/秒の流速で3分割分級機261内に粉体を導入する。3分割分級機261の分級室を構成する大きさは通常[10〜50cm]×[10〜50cm]なので、粉体は0.1〜0.01秒以下の瞬時に3種類以上の粒子群に分級し得る。そして、3分割分級機261により、大きい粒子(粗粒子)、中間の粒子、小さい粒子に分級される。その後、大きい粒子は排出導管271aを介して、補集サイクロン266に送られ機械式粉砕機201に戻される。中間の粒子は排出導管272aを介して系外に排出され捕集サイクロン265で補集されトナーとなるべく回収される。小さい粒子は、排出導管273aを介して系外に排出され捕集サイクロン264で捕集され、トナー材料からなる粉体原料を生成するための溶融混練工程に供給されて再利用されるか、或いは廃棄される。捕集サイクロン264,265,266は粉体原料を供給ノズル276より分級室に吸引導入するための吸引減圧手段としての働きをすることも可能である。また、この際分級される大きい粒子は、第1定量供給機215に再導入し、粉体原料中に混入させて、機械式粉砕機201にて再度粉砕することが好ましい。
【0142】
また、多分割気流式分級機261から機械式粉砕機201に再導入される大きい粒子(粗粒子)の再導入量は、第2定量供給機262から供給される微粉砕品の質量を基準として、0乃至10.0質量%、更には、0乃至5.0質量%とすることがトナー生産性上好ましい。多分割気流式分級機261から機械式粉砕機201に再導入される大きい粒子(粗粒子)の再導入量が10.0質量%を超えると、機械式粉砕機201内の粉塵濃度が増大し、装置自体の負荷が大きくなるのと同時に、粉砕時に過粉砕され熱によるトナーの表面変質や機内融着を起こしやすいのでトナー生産性という点から好ましくない。
【0143】
この装置システムにおいて、粉体原料の粒度は、18メッシュパス(ASTME−11−61)が95質量%以上であり、100メッシュオン(ASTM E−11−61)が90質量%以上であることが好ましい。
【0144】
また、この装置システムにおいて、重量平均粒径が10μm以下(更には8μm以下)のシャープな粒度分布を有するトナーを得るためには、機械式粉砕機で微粉砕された微粉砕物の重量平均粒径が4乃至10μm、4.0μm以下が70個数%以下、更には65個数%以下、10.1μm以上が25体積%以下、更には20体積%以下が好ましい。また、分級された中粉体の粒度は、重量平均粒径が5乃至10μm、4.0μm以下が40個数%以下、更には35個数%以下、10.1μm以上が25体積%以下、更には20体積%以下が好ましい。
【0145】
本発明のトナーの製造方法を適用した上記装置システムにおいては、粉砕処理前の第1分級工程を必要とせず、粉砕工程及び分級工程を1パスで行うことができる。
【0146】
本発明のトナー製造方法に使用される粉砕手段として好ましく用いられる機械式粉砕機について説明する。機械式粉砕機としては、例えば、川崎重工業(株)製粉砕機KTM、ターボ工業(株)製ターボミルなどを挙げることができ、これらの装置をそのまま、あるいは適宜改良して使用することが好ましい。
【0147】
本発明においては、これらの中でも図7、図8及び図9に示したような機械式粉砕機を用いることが、粉体原料の粉砕処理を容易に行うことが出来るので効率向上が図られ、好ましい。
【0148】
以下、図7、図8及び図9に示した機械式粉砕機について説明する。図7は、本発明において使用される機械式粉砕機の一例の概略断面図を示しており、図8は図7におけるD−D’面での概略的断面図を示しており、図9は図7に示す回転子314の斜視図を示している。該装置は、図7に示されている様に、ケーシング313、ジャケット316、ディストリビュータ220、ケーシング313内にあって中心回転軸312に取り付けられた回転体からなる高速回転する表面に多数の溝が設けられている回転子314、回転子314の外周に一定間隔を保持して配置されている表面に多数の溝が設けられている固定子310、更に、被処理原料を導入する為の原料投入口311、処理後の粉体を排出する為の原料排出口302とから構成されている。
【0149】
以上のように構成してなる機械式粉砕機での粉砕操作は、例えば次のようにして行う。
【0150】
即ち、図7に示した機械式粉砕機の粉体入口311から、所定量の粉体原料が投入されると、粒子は、粉砕処理室内に導入され、該粉砕処理室内で高速回転する表面に多数の溝が設けられている回転子314と、表面に多数の溝が設けられている固定子310との間の発生する衝撃と、この背後に生じる多数の超高速渦流、並びにこれによって発生する高周波の圧力振動によって瞬間的に粉砕される。その後、原料排出口302を通り、排出される。トナー粒子を搬送しているエアー(空気)は粉砕処理室を経由し、原料排出口302、パイプ219、補集サイクロン229、バグフィルター222、及び吸引フィルター224を通って装置システムの系外に排出される。本発明においては、この様にして、粉体原料の粉砕が行われるため、微粉及び粗粉を増やすことなく所望の粉砕処理を容易に行うことが出来る。
【0151】
また、粉砕原料を機械式粉砕機で粉砕する際に、冷風発生手段321により、粉体原科と共に、機械式粉砕機内に冷風を送風し、機械式粉砕機本体はジャケット構造316を有する構造とし、冷却水(好ましくはエチレングリコール等の不凍液)を通水することにより、粉砕機内の雰囲気温度を0℃以下、より好ましくは−5〜−15℃、更に好ましくは−7〜−12℃とすることがトナー生産性という点から好ましい。粉砕機内の渦巻室の室温を0℃以下、より好ましくは−5〜−15℃、更に好ましくは−7〜−12℃とすることにより、熱によるトナーの表面変質を抑えることができ、効率良く粉砕原料を粉砕することができる。粉砕機内の雰囲気温度が0℃を超える場合、粉砕時に熱によるトナーの表面変質や機内融着を起こしやすいのでトナー生産性という点から好ましくない。また、粉砕機内の雰囲気温度を−15℃より低い温度で運転しようとすると、上記冷風発生手段321で使用している冷媒(代替フロン)をフロンに変更しなければならない。
【0152】
現在、オゾン層保護の観点からフロンの撤廃が進められている。上記冷風発生手段321の冷媒にフロンを使用することは地球全体の環境問題という点から好ましくない。
【0153】
なお、冷却水(好ましくはエチレングリコール等の不凍液)は、冷却水供給口317よりジャケット内部に供給され、冷却水排出口318より排出される。
【0154】
また、粉砕原料を機械式粉砕機で粉砕する際に、機械式粉砕機の渦巻室212の室温T1と後室320の室温T2の温度差ΔT(T2−T1)を30〜80℃とすることが好ましく、より好ましくは35〜75℃、更に好ましくは37〜72℃とすることがトナー生産性という点から好ましい。機械式粉砕機の温度T1と温度T2とのΔTを30〜80℃、より好ましくは35〜75℃、更に好ましくは37〜72℃とすることにより、熱によるトナーの表面変質を抑えることができ、効率良く粉砕原料を粉砕することができる。機械式粉砕機の温度T1(入口温度)と温度T2(出口温度)とのΔTが30℃より小さい場合、粉砕されずにショートパスを起こしている可能性があり、トナー性能という点から好ましくない。また、80℃より大きい場合、粉砕時に過粉砕されている可能性があり、熱によるトナーの表面変質や機内融着を起こしやすいのでトナー生産性という点から好ましくない。
【0155】
また、粉砕原料を機械式粉砕機で粉砕する際に、機械式粉砕機の入口温度は、結着樹脂のガラス転移点(Tg)に対して、0℃以下であり且つTgよりも60乃至75℃低くすることがトナー生産性という点から好ましい。機械式粉砕機の入口温度を0℃以下であり且つTgよりも60乃至75℃低くすることにより、熱によるトナーの表面変質を抑えることができ、効率良く粉砕原料を粉砕することができる。また、出口温度は、Tgよりも5乃至30℃、更には、10乃至20℃低いことが好ましい。機械式粉砕機の出口温度をTgよりも5乃至30℃低くすることにより、熱によるトナーの表面変質を抑えることができ、効率良く粉砕原料を粉砕することができる。
【0156】
また、回転する回転子314の先端周速としては80〜180m/secであることが好ましく、より好ましくは90〜170m/sec、更に好ましくは100〜160m/secとすることがトナー生産性という点から好ましい。回転する回転子314の周速を80〜180m/sec、より好ましくは90〜170m/sec、更に好ましくは100〜160m/secとすることで、トナーの粉砕不足や過粉砕を抑えることができ、効率良く粉砕原料を粉砕することができる。回転子の周速が80m/secより遅い場合、粉砕されずにショートパスを起こしやすいのでトナー性能という点から好ましくない。また、回転子314の周速が180m/secより速い場合、装置自体の負荷が大きくなるのと同時に、粉砕時に過粉砕され熱によるトナーの表面変質や機内融着を起こしやすいのでトナー生産性という点から好ましくない。
【0157】
また、回転子314と固定子310との間の最小間隔は0.5〜10.0mmであることが好ましく、より好ましくは1.0〜5.0mm、更に好ましくは1.0〜3.0mmとすることが好ましい。回転子314と固定子310との間の間隔を0.5〜10.0mm、より好ましくは1.0〜5.0mm、更に好ましくは1.0〜3.0mmとすることで、トナーの粉砕不足や過粉砕を抑えることができ、効率良く粉砕原料を粉砕することができる。回転子314と固定子310との間の間隔が10.0mmより大きい場合、粉砕されずにショートパスを起こしやすいのでトナー性能という点から好ましくない。また回転子314と固定子310との間の間隔が0.5mmより小さい場合、装置自体の負荷が大きくなるのと同時に、粉砕時に過粉砕され熱によるトナーの表面変質や機内融着を起こしやすいのでトナー生産性という点から好ましくない。
【0158】
本発明の粉砕方法は、粉砕工程前の第1分級を必要としないため、トナーが微粒子化されることにより、粒子間の静電凝集が高まり、本来は第2分級手段に送られるトナーが再度第1分級手段に循環されることにより過粉砕となった微粉及び超微粉が発生しない。さらに、シンプルな構成に加え、粉砕原料を粉砕するのに多量のエアーを必要としない構成のため、電力消費が低く、エネルギーコストを低く抑えることができる。
【0159】
次に、本発明のトナー製造方法を構成している分級手段として好ましく用いられる気流式分級機について説明する。
【0160】
本発明に使用される好ましい多分割気流式分級機61の一例として、図10(断面図)に示す形式の装置を一具体例として例示する。
【0161】
図10において、側壁82及びGブロック83は分級室の一部を形成し、分級エッジブロック84及び85は分級エッジ77及び78を具備している。Gブロック83は左右に設置位置をスライドさせることが可能である。また、分級エッジ77及び78は、軸77a及び78aを中心にして、回動可能であり、分級エッジを回動して分級エッジ先端位置を変えることができる。各分級エッジブロック84及び85は左右に設置位置をスライドさせることが可能であり、それにともなってそれぞれのナイフエッジ型の分級エッジ77及び78も左右にスライドする。この分級エッジ77及び78により、分級室92の分級域90は3分画されている。
【0162】
原料粉体を導入するための原料供給口95を原料供給ノズル76の最後端部に有し、該原料供給ノズル76の後端部に高圧エアー供給ノズル96と原料粉体導入ノズル97とを有し且つ分級室92に開口部を有する原料供給ノズル76を側壁82の右側に設け、該原料供給ノズル76の下部接線の延長方向に対して長楕円弧を描く様にコアンダブロック86が設置されている。分級室92の左部ブロック87は、分級室92の右側方向にナイフエッジ型の入気エッジ79を具備し、更に分級室92の左側には分級室92に開口する入気管74及び75を設けてある。また、図6に示すように入気管74及び75には、ダンパーのごとき第1気体導入調節手段80及び第2気体導入調節手段81と静圧計88及び静圧計89を設けてある。
【0163】
分級エッジ77,78、Gブロック83及び入気エッジ79の位置は、被分級処理原料であるトナーの種類及び所望の粒径により調整される。
【0164】
また、分級室92の上面にはそれぞれの分画域に対応させて、分級室内に開口する排出口71,72及び73を有し、排出口71,72及び73にはパイプの如き連通手段が接続されており、それぞれにバルブ手段のごとき開閉手段を設けてよい。
【0165】
原料供給ノズル76は直角筒部と角錘筒部とからなり、直角筒部の内径と角錘筒部の最も狭い箇所の内径の比を20:1から1:1、好ましくは10:1から2:1に設定すると、良好な導入速度が得られる。
【0166】
以上のように構成してなる多分割分級域での分級操作は、例えば次のようにして行う。即ち、排出口71,72及び73の少なくとも1つを介して分級室内を減圧し、分級室内に開口部を有する原料供給ノズル76中を該減圧によって流動する気流と高圧エアー供給ノズル76から噴射される圧縮エアーのエゼクター効果により、好ましくは流速10〜350m/secの速度で粉体は原料供給ノズル76を介して分級室に噴出し、分散する。
【0167】
分級室に導入された粉体中の粒子は、コアンダブロック86のコアンダ効果による作用と、その際流入する空気のごとき気体の作用とにより湾曲線を描いて移動し、それぞれの粒子の粒径及び慣性力の大小に応じて、大きい粒子(粗粒子)は気流の外側、すなわち分級エッジ78の外側の第1分画、中間の粒子は分級エッジ78と77の間の第2分画、小さい粒子は分級エッジ77の内側の第3分画に分級され、分級された大きい粒子は排出口決定される。さらに、分級点は、分級気流の吸引流量あるいは原料供給ノズル76からの粉体の噴出速度等の影響を受ける。
【0168】
本発明の気流式分級機は、特に電子写真法による画像形成方法に用いられるトナー又はトナー用着色樹脂粉体を分級する場合に有効である。本発明のトナーの製造に用いられる機械式粉砕機としては、例えば、KTM粉砕機(川崎重工業社製)、ターボミル(ターボ工業社製)等が挙げられ、これらの機械式粉砕機は適宜改良して使用することができる。
【0169】
本発明のトナーに係る物性の測定方法を以下に列挙する。
【0170】
(1)トナー及び結着樹脂の酸価測定
JIS K 0070に記載の測定方法に準拠して行う。
測定装置 :電位差自動滴定装置 AT−400(京都電子社製)
装置の校正:トルエン120mlとエタノール30mlの混合溶媒を使用する。
測定温度 :25℃
試料調製 :トナー1.0g又は結着樹脂0.5gをトルエン120mlに添加して室温(約25℃)で約10時間マグネチックスターラーを用いて撹拌して溶解する。更にエタノール30mlを添加して試料溶液とする。
測定操作:
▲1▼200mlのビーカーにトナー1.0g、或いは結着樹脂0.5gを精秤して入れる。試料の重さW(g)とする。これにトルエン120mlを添加して撹拌・溶解する。25℃で約10時間撹拌してから、エタノール30mlを添加してトルエンとエタノールの混合溶液とする。同時にブランクテスト用として同量のトルエンとエタノールのみからなる混合溶液を調製しておく。
▲2▼0.1mol/lの水酸化カリウムのエタノール溶液を用いて、ブランクテストを行う。この時の水酸化カリウム溶液の使用量をB(ml)とする。
▲3▼次に、トナー試料溶液の滴定を行う。この時の水酸化カリウム溶液の使用量をS(ml)とする。
▲4▼次式により酸価を計算する。fはKOHのファクターである。
【0171】
酸価(mgKOH/g)={(S−B)×f×5.61}}/W
(2)THF可溶分の分子量測定
40℃のヒートチャンバ中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに溶媒としてTHFを毎分1mlの流速で流し、THF試料溶液を約100μl注入して測定する。試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出した。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、例えば東ソー社製あるいは、昭和電工社製の分子量が102〜107程度のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。また、検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。なおカラムとしては、市販のポリスチレンジェルカラムを複数本組み合わせるのが良く、たとえば昭和電工社製のshodex GPC KF−801,802,803,804,805,806,807,800Pの組み合わせや、東ソー社製のTSKgelG1000H(HXL),G2000H(HXL),G3000H(HXL),G4000H(HXL),G5000H(HXL),G6000H(HXL),G7000H(HXL),TSKguard columnの組み合わせを挙げることができる。
【0172】
試料は以下のようにして作製する。
【0173】
試料をTHF中に入れ数時間放置した後、十分振とうしTHFと良く混ぜ(試料の合一体がなくなるまで)、更に12時間以上静置する。このときTHF中への浸漬時間が24時間以上となるようにする。その後、サンプル処理フィルター(ポアサイズ0.2〜0.5μm、たとえば、マイショリディスクH−25−2東ソー社製などが利用できる)を通過させたものを、GPCの試料とする。試料濃度は、樹脂成分が0.5〜5mg/mlとなるように調整する。
【0174】
(3)テトラヒドロフラン(THF)不溶分の測定
THF不溶分を測定しようとするトナー試料を0.5乃至1.0gを精秤し、円筒ろ紙(東洋濾紙者製、No.86R、寸法は外形28mm×高さ100mm)に入れてソックスレー抽出器にかけ、抽出溶媒であるTHFは200ml使用する。抽出はオイルバスの温度を120乃至130℃に制御して使用し、1回の還流に要する時間は120乃至150秒になるよに調整する。抽出時間は10時間とする。抽出終了後は円筒濾紙を70℃で10時間減圧乾燥し、下記式からTHF不溶分を算出する。
【0175】
【外6】
【0176】
式中、W1はトナー試料の質量、W2は結着樹脂のTHF可溶成分、W3はトナーに含有される結着樹脂以外の成分(例えば、磁性体、ワックス、外添剤等である)を表す。
【0177】
(4)ワックスの吸熱ピーク温度測定
示差走査熱量計(DSC測定装置)、DSC−7(パーキンエルマー社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
【0178】
測定試料は5mgを精秤し、これをアルミパンに入れ、リファレンスとしての空のアルミパンを用い、30〜200℃の温度範囲で昇温速度10℃/分で測定を行う。この昇温過程で、温度60〜200℃の範囲におけるDSC曲線のメインピークの温度をもってワックスの吸熱ピーク温度とする。
【0179】
(5)結着樹脂のガラス転移温度(Tg)測定
示差走査熱量計(DSC測定装置)、DSC−7(パーキンエルマー社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
【0180】
測定試料は5mgを精秤し、これをアルミパンに入れ、リファレンスとしての空のアルミパンを用い、30〜200℃の温度範囲で昇温速度10℃/分で測定を行う。この昇温過程で、温度40〜100℃の範囲におけるDSC曲線にメインピークの吸熱ピークが得られる。このときの吸熱ピークが現れる前後のベースラインの中間点の線とDSC曲線との交点をガラス転移温度(Tg)とする。
【0181】
(6)トナーのDSC曲線の測定
上記ワックスの吸熱ピーク温度及び結着樹脂のガラス転移温度測定と同様にして、トナーの昇温過程におけるDSC曲線を測定する。このDSC曲線からもワックスの吸熱ピーク温度及びトナーの結着樹脂のガラス転移温度(Tg)を知ることができる。
【0182】
(7)ワックスの分子量測定
ワックスの分子量分布はゲルパーミェーションクロマトグラフィー(GPC)により次の条件で測定される。
【0183】
GPC測定条件
装置:GPC−150C(ウォーターズ社)
カラム:GMH−HT30cm2連(東ソー社製)
温度:135℃
溶媒:o−ジクロロベンゼン(0.1%アイオノール添加)
流速:1.0ml/min
試料:0.15質量%の試料を0.4ml注入
以上の条件で測定し、試料の分子量算出にあたっては単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量較正曲線を使用する。さらに、Mark−Houwink粘度式から導き出される換算式でポリエチレン換算することによって算出される。
【0184】
試料は、以下のように調製する。
【0185】
試料をo−ジクロロベンゼン中に入れ、150℃に設定したホットプレート上でサンプルビンを加熱し、試料を溶解する。試料がとけたらあらかじめ加熱しておいたフィルターユニットに入れ、本体に設置する。フィルターユニットを通過させたものをGPC試料とする。また試料濃度は、0.15質量%に調整する。
【0186】
(8)トナーの粒度分布の測定
本発明において、トナーの平均粒径及び粒度分布はコールターカウンターTA−II型(コールター社製)を用いて行うが、コールターマルチサイザー(コールター社製)を用いることも可能である。電解液は1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調製する。ISOTON R−II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)が使用できる。測定法としては、前記電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を0.1〜0.5ml加え、更に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、前記測定装置によりアパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、2.00μm以上のトナーの体積,個数を測定して体積分布と個数分布とを算出した。それから本発明に係る体積分布から求めた重量基準の重量平均粒径(D4)(各チャンネルの中央値をチャンネル毎の代表値とする)を求めた。
【0187】
チャンネルとしては、2.00〜2.52μm未満;2.52〜3.17μm未満;3.17〜4.00μm未満;4.00〜5.04μm未満;5.04〜6.35μm未満;6.35〜8.00μm未満;8.00〜10.08μm未満;10.08〜12.70μm未満;12.70〜16.00μm未満;16.00〜20.20μm未満;20.20〜25.40μm未満;25.40〜32.00μm未満;32.00〜40.30μm未満の13チャンネルを用いる。
【0188】
(9)トナーの損失誘電率の測定
4284AプレシジョンLCRメーター(ヒューレット・パッカード社製)を用いて、1kHz及び1MHzの周波数で校正後、周波数100kHzにおける複素誘電率の測定を行うことで得られる。
【0189】
トナーを0.5〜0.7g秤量し、39200kPa(400kgf/cm2)の荷重を2分間かけて成型し、直径25mm,厚さ1mm以下(好ましくは、0.5〜0.9mm)の円盤状の測定試料にする。この測定試料を直径25mmの誘電率測定治具(電極)を装着したARES(レオメトリック・サイエンティフィック・エフ・イー社製)に装着し、温度150℃まで加熱して溶融固定する。その後、温度25℃まで冷却する。測定周波数は100Hzとし、測定試料に0.49〜0.98N(50〜100g)の荷重をかけた状態を維持しながら、1℃/分の昇温スピードで160℃まで加熱しながら、15秒間隔で測定を行う。測定試料を交換しながら同様の測定を3回行って、平均値を算出することにより得られる。
【0190】
(10)水酸基価の測定
JIS K0070に記載の測定方法に準拠して行う。
【0191】
試料0.5gを100mlのメスフラスコに精秤し、これにアセチル化試薬5mlを正しく加える。その後100℃±5℃の浴中に浸して加熱する。1〜2時間後フラスコを浴から取り出し、放冷後水を加えて振り動かして無水酢酸を分解する。更に分解を完全にするため再びフラスコを浴中で10分間以上加熱し放冷後、有機溶剤でフラスコの壁を良く洗う。ガラス電極を用いて0.5モルの水酸化カリウムエチルアルコール溶液で電位差滴定を行うことによりOH価を求める。
【0192】
(11)トナーの円形度の測定
発明における円形度は下式により求められる。
【0193】
【外7】
【0194】
ここで、「粒子投影面積」とは二値化されたトナー粒子像の面積であり、「粒子投影像の周囲長」とは該トナー粒子像のエッジ点を結んで得られる輪郭線の長さと定義する。
【0195】
具体的には、トナーの円形度はFPIA−1000(東亜医用電子社製)を用いて測定することができる。
【0196】
測定の概略は、東亜医用電子社(株)発行のFPIA−1000のカタログ(1995年6月版)、測定装置の操作マニュアル等に記載されているが、具体的な測定方法としては、不純物を除去した水100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩を0.1〜0.5ml加え、トナー試料を0.1〜0.5g程度加える。試料を分散した懸濁液は超音波(50kHz、120W)を1〜3分間照射し、カット率が大きくなった場合でも装置の精度が保てるだけの粒子濃度を維持することができる様に懸濁液におけるトナーの粒子数を1.2〜2.0万個/μlに調整する。
【0197】
この試料分散液を、フラットで扁平な透明フローセル(厚み約200μm)の流路(流れ方向に沿って広がっている)に通過させる。流路には、フローセルの厚みに対して交差して通過する光路を形成するように、ストロボとCCDカメラが、フローセルに対して相互に反対側に位置するように装着されている。試料分散液が流れている間に、ストロボ光がフローセルを流れている粒子の画像を得るために1/30秒間隔で照射され、その結果、それぞれの粒子は、フローセルに平行な一定範囲を有する2次元画像として撮影される。それぞれの粒子の2次元画像の投影面積及び投影像の周囲長から上記の円形度算出式を用いて各粒子の円形度を算出する。尚、0.60μm以上159.21μm未満の円相当径を有する粒子を測定の対象とする。
【0198】
(12)無機微粉体のメタノールウェットアビリティーの測定
トナーに添加されている無機微粉体のメタノールウェットアビリティーは粉体濡れ性試験機(WET−100P、レスカ社製)を用いて測定することができる。 100mlのビーカーに純水(イオン交換水または市販の精製水)50mlを入れ、無機微粉体0.2gを精秤して添加し、攪拌しながらメタノールを3ml/分の割合で滴下する。水溶液に無機微粉体が沈降、分散しはじめると溶液の透過度が低下するのでこの時のメタノール滴下量(ml)をメタノールウェットアビリティーとする。
【0199】
【実施例】
本発明のトナーを実施例によって説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0200】
[変性ワックスの製造例1]
キシレン200質量部に、表2に示した炭化水素系ワックスであるフィッシャートロプシュワックス(b)を100質量部を添加し、撹拌しながら110℃まで加熱した。窒素を通気しながら、スチレンモノマーを35質量部及び、重合開始剤である(2,2’−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン)0.8質量部を1時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに3時間撹拌を継続し、還流温度まで過熱した。その後、減圧下で溶媒であるキシレンを減圧留去することにより、本発明のワックス(W−1)を得た。得られた変性ワックス(W−1)はピーク分子量が950、Mw/Mn=2.5、吸熱ピーク温度は97℃であった。
【0201】
[変性ワックスの製造例2〜8]
変性ワックスの製造例1において、表3に示すビニルモノマー及び母体ワックスを用いた以外は同様にして、変性ワックス(W−2)〜(W−8)を得た。
【0202】
【表2】
母体ワックスの物性
【0203】
【表3】
【0204】
[樹脂製造例1]
テレフタル酸:30.5モル%、フマル酸:3.5モル%、トリメリット酸:1.3モル%、アルケニルコハク酸(平均炭素数12のアルケニル基を有する):15モル%、式(2)で表せるビスフェノールA誘導体(R:エチレン基、x+y=2.4):24モル%及び式(2)で表せるビスフェノールA誘導体(R:プロピレン基、x+y=2.2):24モル%からなる不飽和ポリエステル(1)(酸価22mgKOH/g、水酸基価34mgKOH/g、ピーク分子量9000、ガラス転移温度53℃)25質量部と、テレフタル酸:34モル%、トリメリット酸:13モル%、アルケニルコハク酸(平均炭素数12のアルケニル基を有する):15モル%、式(2)で表せるビスフェノールA誘導体(R:エチレン基、x+y=2.4):24モル%及び式(2)で表せるビスフェノールA誘導体(R:プロピレン基、x+y=2.2):24モル%からなる飽和ポリエステル(酸価20mgKOH/g、水酸基価33mgKOH/g、ピーク分子量9300、ガラス転移温度54℃)75質量部及びワックス(W−1):9.5質量部を還流管、攪拌機、温度計、窒素導入管、滴下装置及び減圧装置を備えた反応容器にキシレン200質量部と共に投入した。そして、窒素を導入しながらキシレンが還流するまで加熱した。ビニル系重合体ユニットを形成するモノマーとしてスチレン73質量部、アクリル酸ブチル21質量部、マレイン酸モノブチル6質量部及び重合開始剤としてジ−t−ブチルパーオキサイド2質量部からなるモノマー混合物を添加して8時間ラジカル重合反応を行い、不飽和ポリエステルにビニル系重合体がグラフトしたハイブリッド樹脂(1)、飽和ポリエステル及びビニル系重合体の溶液混合物を得た。
【0205】
減圧下、キシレンを留去することにより、上記ハイブリッド樹脂(1)、ハイブリッド樹脂(1)のポリエステルユニットの水酸基とビニル系重合体ユニットのアクリル酸ブチル及びマレイン酸モノブチルからブタノールが脱離することにより生成したカルボン酸あるいは酸無水物とがエステル結合することにより生成したハイブリッド樹脂(2)、飽和ポリエステルとビニル系重合体とが上記ハイブリッド樹脂(2)と同様にエステル結合して生成したハイブリッド樹脂(3)及び変性ワックス(W−1)を主成分とする樹脂組成物を得た。この樹脂組成物は分子量11000にメインピークを有し、ガラス転移温度55℃、酸価は17mgKOH/gであり、水酸基価は14mgKOH/gであり、約28質量%のTHF不溶分を有していた。これをハイブリッド樹脂組成物(HB−1)とする。
【0206】
[樹脂製造例2〜8]
樹脂製造例1において、変性ワックス(W−1)のかわりに変性ワックス(W−2)〜(W−8)を添加した以外は同様にして、本発明のハイブリッド樹脂組成物(HB−2)〜(HB−8)を得た。
【0207】
[樹脂製造例9]
樹脂製造例1において、ワックス(W−1)を添加しなかった以外は同様にして本発明のハイブリッド樹脂組成物(HB−9)を得た。
【0208】
[樹脂製造例10]
キシレン200重量部を還流管、攪拌機、温度計、窒素導入管、滴下装置及び減圧装置を備えた反応容器に投入した後に、スチレン80質量部、アクリル酸ブチル18質量部、マレイン酸モノブチル1.5質量部、ジビニルベンゼン0.5質量部、及び重合開始剤としてジ−t−ブチルパーオキサイド2.0質量部を投入して窒素を通気しながら還流温度まで加熱して12時間保持した。次にキシレンを減圧留去することにより、Mw=28万、Mw/Mn=27.3、酸価が2.3mgKOH/gであるビニル系重合体を得た。
【0209】
[樹脂製造例11]
テレフタル酸:26モル%、無水トリメリット酸:7モル%、ドデセニルコハク酸:16モル%及び式(2)で表せるビスフェノールA誘導体(R:プロピレン基、x+y=2.4):45モル%からなるポリエステル樹脂を製造した。該ポリエステル樹脂は、Mw=87000、Mw/Mn=13.5、酸価10.1mgKOH/gであった。
【0210】
[樹脂製造例12]
樹脂製造例1において、変性ワックス(W−1)のかわりに表2のワックス(c):7質量部を添加した以外は同様にして、ハイブリッド樹脂組成物(HB−10)を得た。
【0211】
[樹脂製造例13]
樹脂製造例1において、変性ワックス(W−1)のかわりに表2のワックス(d):7質量部を添加した以外は同様にして、ハイブリッド樹脂組成物(HB−11)を得た。
【0212】
[実施例1]
・ハイブリッド樹脂組成物(HB−1) 109.5質量部
・荷電制御剤 2質量部
(式(4)のモノアゾ化合物2モルと鉄原子1モルからなる有機鉄化合物)
・磁性体 90質量部
(個数平均粒径0.18 μm、保磁力9.6kA/m、飽和磁化83Am2/kg、残留磁化15Am2/kg)
上記、原料混合物を130℃に加熱された2軸混練押出機によって溶融混練を行った。混練物は放冷後、カッターミルで組粉砕して18メッシュパスが97質量%、100メッシュオンが92質量%の粉体原料(1)を得た。
【0213】
粉体原料(1)を図6に示す装置システムで粉砕及び分級を行った。機械式粉砕機201には、ターボ工業社製ターボミルT−250型を用い、図9に示す回転子314と固定子310の間隙を1.5mmとし、回転子314の周速を115m/sで運転した。
【0214】
本実施例では、テーブル式の第1定量供給機215にて粗粉砕物からなる粉体原料を、40kg/hの割合で機械式粉砕機201に供給し、粉砕した。機械式粉砕機201で粉砕された粉体原料は、排気ファンからの吸引エアーに同伴されながらサイクロン229にて捕集され、第2定量供給機2へと導入される。なお、このとき、機械式粉砕機内の入口温度は−10℃、出口温度は46℃、入口温度と出口温度のΔTは56℃であった。また、この時に機械式粉砕機301で粉砕されて得られた微粉砕物(1)は、重量平均粒径が7.1μmであり、粒径4.0μm以下の粒子が28個数%、且つ粒径10.1μm以上の粒子を2.8体積%含有するシャープな粒度分布を有していた。
【0215】
次に、上記の機械式粉砕機201で粉砕されて得られた微粉砕物(1)を、第2定量供給機262に導入し、振動フィーダー263、原料供給ノズル276を介して44kg/hの割合で図10の構成を有する多分割気流式分級機61に導入した。該多分割気流式分級機61では、コアンダ効果を利用して、粗粉体、中粉体及び微粉体の3種の粒度に分級される。多分割気流式分級機61への被粉砕物の導入に際しては、排出口71、72及び73の少なくとも1つを介して分級室内を減圧することによって生じる原料供給ノズル76中の気流と、高圧エアー供給ノズル96から噴射される圧縮エアーを利用した。導入された微粉砕物(1)は、0.1秒以下の瞬時に、粗粉体G、中粉体M−1及び微粉体の3種に分級された。
【0216】
分級されたもののうち、粗粉体Gは捕集サイクロン266で捕集した後、先に説明した機械式粉砕機201に2.0kg/hの割合で導入し、再度粉砕工程に導入した。
【0217】
上記の分級工程で分級された中粉体(M−1)は、分級効率(投入された粉体原料の全量に対する最終的に得られた中粉体の量の比率)が88%であった。
【0218】
中粉体(M−1):100質量部に疎水性シリカ微粉体(BET比表面積:300m2/g、メタノールウェットアビリティー:92%)1.0質量部をヘンシェルミキサーにて外添添加して本発明のトナー1とした。
【0219】
トナー1は、重量平均粒径(D4)が7.6μmであり、粒径10.1μm以上の粒子を7.5体積%含有するシャープな粒度分布を有しており、円形度=0.950以上の粒子が個数基準の累積で77.7%であった。またトナー1の誘電正接(tanδ)は、温度112℃に極大値を有し、そのときの誘電正接(tanδ)は7.6×10−2であり、示差走査熱量計(DSC)で測定される昇温時のDSC曲線において、温度103℃に吸熱ピークを有していた。トナー1の物性値を表4に示す。
【0220】
トナー1を用いて、常温常湿環境(室温23℃湿度55%RH)、常温低湿環境(室温23℃湿度5%RH)及び高温高湿環境(室温30℃湿度80%RH)でキヤノン社製複写機NP−6085(プロセススピード:約500mm/秒、熱ロール定着、定着設定温度185℃)で10万枚の耐久試験を行って、画像特性を評価したところ、表5に示す様に良好な結果が得られた。
【0221】
[実施例2]
実施例1のトナーの製造方法において、機械式粉砕機の回転子314の周速を124m/sで運転した以外は同様にしてトナーを製造し、重量平均粒径(D4)が6.8μm、粒径10.1μm以上の粒子を3.0体積%含有するシャープな粒度分布を有しており、円形度=0.950以上の粒子が個数基準の累積で81.9%である本発明のトナー2を得た。トナー2の物性値を表4に示す。また、トナー2を用いて、実施例1と同様に画像評価を行った。評価結果を表5に示す。
【0222】
[実施例3]
実施例1のトナーの製造方法において、機械式粉砕機の回転子314の周速を105m/sで運転した以外は同様にしてトナーを製造し、重量平均粒径(D4)が9.3μm、粒径10.1μm以上の粒子を30.6体積%含有する粒度分布を有しており、円形度=0.950以上の粒子が個数基準の累積で72.1%である本発明のトナー3を得た。トナー3の物性値は表4に示す。また、トナー3を用いて、実施例1と同様に画像評価を行った。評価結果を表5に示す。
【0223】
[実施例4〜10]
実施例1において、ハイブリッド樹脂組成物(HB−1)のかわりに、ハイブリッド樹脂組成物(HB−2)〜(HB−8)を使用した以外は同様にしてトナーを製造し、トナー4〜10を得た。トナーの物性値を表4に示す。
【0224】
また、トナー4〜10を用いて、実施例1と同様に画像評価を行った。評価結果を表5に示す。
【0225】
[実施例11]
実施例1において、ハイブリッド樹脂組成物(HB−1)のかわりに、ハイブリッド樹脂組成物(HB−9):100質量部及びワックス(W−1):9.5質量部を使用した以外は同様にしてトナー11を得た。トナーの物性値を表4に示す。
【0226】
また、トナー11を用いて、実施例1と同様に画像評価を行った。評価結果を表5に示す。
【0227】
[比較例1]
実施例1において、ハイブリッド樹脂組成物(HB−1)のかわりにハイブリッド樹脂組成物(HB−10):107質量部を使用した以外は同様にして比較用中粉体(RM−1)を得た。
【0228】
この比較用中粉体(RM−1)を用いて、実施例1と同様に疎水性シリカ微粉体を外添して比較用トナー1を得た。比較用トナー1は、重量平均粒径が7.1μm、粒径10.1μm以上のトナー粒子を22.3体積%有し、円形度(a)=0.950以上の粒子を個数基準で67%有する。また誘電正接(tanδ)は、温度106℃に極大値を有し、そのときの誘電正接(tanδ)は2.3×10- 2であり、示差走査熱量計(DSC)で測定される昇温時のDSC曲線において、温度100℃に吸熱ピークを有していた。トナーの物性値を表4に示す。
【0229】
また、比較用トナー1を用いて、実施例1と同様に画像評価を行った。評価結果を表5に示す。
【0230】
[比較例2]
実施例1において、ハイブリッド樹脂組成物(HB−1)のかわりにハイブリッド樹脂組成物(HB−11):107質量部を使用した以外は同様にして、比較用トナー2を得た。比較用トナー2の誘電正接(tanδ)は、温度109℃に極大値を有し、そのときの誘電正接(tanδ)は5.3×10- 2であり、示差走査熱量計(DSC)で測定される昇温時のDSC曲線において、温度144℃に吸熱ピークを有していた。トナーの物性値を表4に示す。
【0231】
また、比較用トナー2を用いて、実施例1と同様に画像評価を行った。評価結果を表5に示す。
【0232】
[比較例3]
実施例1のトナーの製造方法において、粉体原料(1)を図11に示すようなフローで粉砕及び分級を行った。但し、粉砕手段としては、図13に示す構造を有する衝突式気流粉砕機を用い、第1分級手段としては図12の構成のものを用い、第2分級手段としては図10の構成のものを使用した。
【0233】
図13に示す衝突式気流粉砕機では、高圧気体供給ノズル661を接続した加速管662の出口663に対向して衝突部材664を設け、加速管662に供給した高圧気体により、加速管662の中途に連通させた粉体原料供給口665から加速管662内に粉体原料を吸引し、粉体原料を高圧気体とともに噴出して衝突部材664の衝突面666に衝突させ、その衝撃によって粉砕し、粉砕物を粉砕室668内から粉砕物排出口667より排出させている。
【0234】
図12において、401は筒状の本体ケーシングを示し、402は下部ケーシングを示し、その下部に粗粉排出用のホッパー403が接続されている。本体ケーシング401の内部は、分級室404が形成されており、この分級室404の上部に取り付けた環状の案内室405と中央部が高くなる円錐状(傘状)の上部カバー406によって閉塞されている。
【0235】
分級室404と案内室405の間の仕切り壁に円周方向に配列する複数のルーバー407を設け、案内室405に送り込まれた粉体材料とエアーを各ルーバー407の間より分級室404に旋回させて流入させる。
【0236】
案内室405の上部は、円錐状の上部ケーシング413と円錐状の上部カバー406間の空間からなっている。本体ケーシング401の下部には、円周方向に配列する分級ルーバー409を設け、外部から分級室404へ旋回流を起こす分級エアーは分級ルーバー409を介して取り入れている。分級室404の底部に、中央部が高くなる円錐状(傘状)の分級板410を設け、該分級板410の外周囲に粗粉排出口411を形成する。また、分級板410の中央部には微粉排出シュート412を接統し、該シュート412の下端部をL字形に屈曲し、この屈曲端部を下部ケーシング402の側壁より外部に位置させる。さらに該シュートは、サイクロンや集塵機のような微粉回収手段を介して吸引ファンに接続しており、該吸引ファンにより分級室404に吸引力を作用させ、該ルーバー409間より分級室404に流入する吸引エアーによって分級に要する旋回流を起こしている。
【0237】
本比較例の第1分級手段の気流分級機は上記の構造から成り、供給筒408より案内室405内に上記のトナー製造用の粗砕物を含むエアーを供給すると、この粗砕物を含むエアーは、案内室405から各ルーバー407間を通過して分級室404に旋回しながら均一の濃度で分散されながら流入する。
【0238】
分級室404内に旋回しながら流入した粗砕物は、微粉排出シュート412に接続した吸引ファンにより生起された、分級室下部の分級ルーバー409間より流入する吸引エアー流にのって旋回を増し、各粒子に作用する遠心力によって粗粉と微粉とに遠心分離され、分級室404内の外周部を旋回する粗粉は粗粉排出口411より排出され、下部のホッパー403より排出され、再度、粉砕機に投入される。
【0239】
また、分級板410の上部傾斜面に沿って中央部へと移行する微粉は、微粉排出シュート412により排出される。排出された微粉は、第2分級手段を経て、更に細分化され、トナーとなる中粉体が分取される。
【0240】
上記の分級工程で分級された比較用中粉体(RM−3)を用いた以外は実施例1と同様に外添して比較用トナー3を得た。
【0241】
この比較用中粉体(RM−3)を用いて、実施例1と同様に疎水性シリカ微粉体を外添して比較用トナー3を得た。比較用トナー3は、重量平均粒径が7.8μm、粒径10.1μm以上のトナー粒子を5.3体積%有し、円形度(a)=0.950以上の粒子を個数基準で62%有する。また誘電正接(tanδ)は、温度110℃に極大値を有し、そのときの誘電正接(tanδ)は4.9×10- 2であり、示差走査熱量計(DSC)で測定される昇温時のDSC曲線において、温度103℃に吸熱ピークを有していた。トナーの物性値を表4に示す。
【0242】
また実施例1と同様にして評価した結果を表5に示す。
【0243】
[比較例4]
比較用中粉体(RM−3)を衝撃式表面処理装置(USP 6033817に開示)を用いて表面処理を行い比較用中粉体(RM−4)を得た。
【0244】
この比較用中粉体(RM−4)を用いて、実施例1と同様に疎水性シリカ微粉体を外添して比較用トナー4を得た。比較用トナー4は、重量平均粒径が7.3μmであり、粒径4.0μm以下を粒子の22個数%含有し、粒径10.1μm以上の粒子を7.9体積%含有しており、円形度a=0.950以上の粒子が個数基準の累積で78.2%である。また誘電正接(tanδ)は、温度129℃に極大値を有し、そのときの誘電正接(tanδ)は4.4×10- 2であり、示差走査熱量計(DSC)で測定される昇温時のDSC曲線において、温度103℃に吸熱ピークを有していた。トナーの物性値を表4に示す。
【0245】
また、比較用トナー4を用いて、実施例1と同様に画像評価を行った。評価結果を表5に示す。
【0246】
[比較例5]
実施例1において、ハイブリッド樹脂組成物(HB−1)のかわりに、樹脂製造例10で製造したビニル系共重合体を使用した以外は同様にして比較用トナー5を得た。トナーの物性値を表4に示す。
【0247】
また、比較用トナー5を用いて、実施例1と同様に画像評価を行った。評価結果を表5に示す。
【0248】
[比較例6]
実施例1において、ハイブリッド樹脂組成物(HB−1)のかわりに、樹脂製造例11で製造したポリエステル樹脂を使用した以外は同様にして比較用トナー6を得た。比較用中粉体には分級工程でも除去できない微粒子(粒径は1μm未満と推定される)を多量に含有していた。走査型電子顕微鏡を用いて比較用中粉体(RM−1)を観察したところ、磁性体と推定される微粒子が多量に観察された。トナーの物性値を表4に示す。
【0249】
また、比較用トナー6を用いて、実施例1と同様に画像評価を行った。評価結果を表5に示す。
【0250】
【表4】
【0251】
【表5】
【0252】
以下に、本実施例における評価方法及び評価基準を示す。
(1)画像濃度は、マクベス濃度計(マクベス社製)でSPIフィルターを使用して、直径5mmの円形画像の反射濃度を測定して求めた。
(2)トナーのワックス分散性のランク
トナーを偏光板に取り付けた光学顕微鏡を用いて低倍率(例えば、30から100倍)で観察し、500個のトナー粒子当りで,トナーから遊離しているワックスの粒子の存在を示す輝点の数を測定した。
【0253】
ランク5:偏光板を通して輝点なし
ランク4:1〜10個の輝点(実用上問題ない程度)
ランク3:11〜20個の輝点(画像のカブリ濃度が高くなる程度)
ランク2:21〜30個の輝点(感光体ドラム上にワックスが固着する程度)
ランク1:30個以上の輝点(感光体ドラム上にワックス及びトナーが固着する程度)
(3)トナー付着のランク
定着部材へのトナー付着は、常温常湿環境での10万枚の耐久試験を行った後の定着部材へのトナー付着を目視で判定し、以下の評価基準に基づいて評価を行った。
【0254】
ランク5:まったくトナー汚染発見られず
ランク4:軽微な汚染有るが、実用的には許容できる
ランク3:目視で容易に判別できる汚染見られる
ランク2:顕著な汚染見られる
ランク1:紙の表面、裏面等に汚染トナーが付着する
(4)カブリ濃度のランク
「REFLECTMETER MODEL TC−6DS」(東京電色社製)により測定したプリントアウト画像の白地部分の白色度と転写紙の白色度の差から、カブリ濃度(%)を算出し、画像カブリを評価した。
【0255】
ランク5:カブリ濃度が3%未満
ランク4:カブリ濃度が5%未満
ランク3:カブリ濃度が7%未満
ランク2:カブリ濃度が10%未満
ランク1:カブリ濃度が10%以上
(5)定着性のランク
定着性は、耐久試験終了後、画像濃度0.8のハーフトーン画像を画出しして、得られた画像を50g/cm2の加重をかけたシルボン紙で5往復摺擦し、摺擦前後の画像濃度の低下率を測定することにより評価した。
【0256】
ランク5:摺擦による濃度低下率が5%未満
ランク4:摺擦による濃度低下率が10%未満
ランク3:摺擦による濃度低下率が15%未満
ランク2:摺擦による濃度低下率が20%未満
ランク1:摺擦による濃度低下率が20%以上
(6)耐オフセット性のランク
ランク5:まったく発生せず
ランク4:軽微なオフセット発生するが、実用的には許容できる
ランク3:目視で容易に判別できるオフセット発生
ランク2:顕著なオフセット発生
ランク1:紙がローラーに巻き付く
(7)ブロッキングのランク
トナーを10g秤量して容量100mlのカップにいれ、50℃一定に温度制御された恒温槽に5日間放置してトナーの流動性の変化を目視で判定する。
【0257】
ランク5:トナーの流動性が変化しない
ランク4:トナーの流動性が若干悪化する
ランク3:容易に崩れるが、トナーの凝集物が一部見られる
ランク2:全体が凝集気味であるが、容易にくずれる
ランク1:全体が凝集し、容易にくずれない
【0258】
【発明の効果】
本発明によれば、トナー粒子におけるワックス分散に優れ、耐久により経時劣化した定着部材へのトナー付着及びオフセットが改良されたトナーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像形成方法を実施し得る画像形成装置の一例を示す説明図である。
【図2】図1に示す画像形成装置の現像部の拡大図を示す。
【図3】本発明の画像形成方法を実施し得る画像形成装置の一例を示す説明図である。
【図4】本発明の画像形成方法を用いた画像形成装置をファクシミリ装置のプリンターに適用する場合のブロック図である。
【図5】本発明のトナーの製造方法を説明する為のフローチャートである。
【図6】本発明のトナーの製造方法を実施する為の装置システムの一具体例を示す概略図である。
【図7】本発明のトナーの粉砕工程において使用される一例の機械式粉砕機の概略断面図である。
【図8】図7におけるD−D'面での概略的断面図である。
【図9】図7に示す回転子の斜視図である。
【図10】本発明のトナーの分級工程に用いられる多分割気流式分級機の概略断面図である。
【図11】従来の製造方法を説明する為のフローチャートである。
【図12】従来の第1分級手段に用いられる分級機の一例の概略断面図である。
【図13】従来の衝突式気流粉砕機の概略断面図である。
Claims (18)
- 結着樹脂、磁性体及びビニルモノマー或いは酸基を有するモノマーで変性したワックスを少なくとも含有する磁性トナー粒子を有する磁性トナーであって、
該トナー粒子が、結着樹脂、磁性体及びワックスを溶融混錬後、機械式粉砕機を用いて微粉砕することによって製造されたものであり、
(a)該トナーの誘電正接が、温度90乃至125℃の範囲に極大値を有し、前記誘電正接の極大値が、6.0×10−2乃至10.0×10−2であり、(b)該トナーの示差走査熱量計(DSC)で測定される昇温時のDSC曲線において、温度85乃至140℃の範囲に少なくとも1個の吸熱ピークもしくはショルダーを有し、(c)該結着樹脂が、ビニル系重合体ユニットとポリエステルユニットを含有するハイブリッド樹脂を含有することを特徴とする磁性トナー。 - トナーの誘電正接が、温度95乃至120℃の範囲に極大値を有することを特徴とする請求項1に記載の磁性トナー。
- トナーの誘電正接が、温度100乃至115℃の範囲に極大値を有することを特徴とする請求項1に記載の磁性トナー。
- トナーの誘電正接の極大値が、6.5×10−2乃至9.0×10−2であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の磁性トナー。
- トナーの誘電正接の極大値が、6.9×10−2乃至8.0×10−2であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の磁性トナー。
- トナーの示差走査熱量計(DSC)で測定される昇温時のDSC曲線において、温度90乃至135℃の範囲に少なくとも1個の吸熱ピークもしくはショルダーを有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の磁性トナー。
- トナーの示差走査熱量計(DSC)で測定される昇温時のDSC曲線において、温度95乃至130℃の範囲に少なくとも1個の吸熱ピークもしくはショルダーを有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の磁性トナー。
- トナーの3μm以上の粒子において、円形度(a)=0.950以上の粒子を個数基準の累積で70%以上含有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の磁性トナー。
- トナーの3μm以上の粒子において、円形度(a)=0.950以上の粒子を個数基準の累積で70乃至95%含有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の磁性トナー。
- トナーの酸価が1乃至30mgKOH/gであることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の磁性トナー。
- トナーに含有されている結着樹脂は、テトラヒドロフラン(THF)不溶分を全樹脂成分基準で5乃至60質量%含有することを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の磁性トナー。
- トナーの結着樹脂は、テトラヒドロフラン(THF)不溶分を全樹脂成分基準で10乃至50質量%含有することを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の磁性トナー。
- トナー中の結着樹脂のテトラヒドロフラン(THF)可溶分が、ゲルパーミェーションクロマトグラフィー(GPC)測定によるクロマトグラムにおいて、分子量3000乃至15000の領域にメインピークを有し、Z平均分子量(Mz)と重量平均分子量(Mw)との比(Mz/Mw)が30乃至1000であることを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の磁性トナー。
- トナーが、荷電制御剤として有機鉄化合物を含有することを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の磁性トナー。
- トナーは、重量平均径が4乃至10μmであり、トナーの粒度分布において、粒径10.1μm以上の粒子を50体積%未満含有することを特徴とする請求項1乃至14のいずれかに記載の磁性トナー。
- トナーは、メタノールウェットアビリティーが30%以上である流動性向上剤が外添されていることを特徴とする請求項1乃至15のいずれかに記載の磁性トナー。
- (I)静電荷像を担持するための像担持体に担持されている静電荷像をトナーにより現像してトナー画像を形成する現像工程;
(II)該像担持体上に形成されたトナー画像が中間転写体を介して、または介さずに記録材に転写する転写工程;及び
(III)該記録材に転写されたトナー画像を該記録材に加熱定着する定着工程;を少なくとも有する画像形成方法であって、
前記トナーが、請求項1乃至16のいずれかに記載の磁性トナーであることを特徴とする画像形成方法。 - 像担持体上に形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する画像形成装置に用いられ、同装置から着脱可能に構成されているプロセスカートリッジであって、i)像担持体、ii)該像担持体上の静電潜像をトナーで現像してトナー像を形成する現像手段、及びiii)前記像担持体を帯電する帯電手段、前記像担持体上に静電潜像を形成する潜像形成手段、前記トナー像を記録材に転写する転写手段、及び記録材にトナー像が転写された後に前記像担持体上に残留したトナーを除去するクリーニング手段、からなる群より選ばれる少なくとも1つの手段とが、一体に支持され、
前記トナーが、請求項1乃至16のいずれかに記載の磁性トナーであることを特徴とするプロセスカートリッジ。
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