JP4260124B2 - 航空機用座席 - Google Patents

Description

本発明は、航空機の搭乗客が着座するための航空機用座席に関する。

従来、航空機用座席や車両用座席など乗り物の座席一般に共通する構造が特許文献１に記載されている。すなわち、乗り物の床に固定する脚部にベースフレームを固定して、そこにボトムフレームとシートバックフレームとを連結したものである。このように構成されたボトムフレームには着座者が座するボトムクッションが取り付けられ、シートバックフレームには着座者の背部を受けるシートバッククッションが取り付けられる。シートバッククッションは不図示の背板部材に取り付けられ、背板部材の側縁部および上縁部を囲むようにしてシートバックフレームが取り付けられる。

航空機用座席では、シートバックフレームをチューブフレームによって形成し、背板部材を補強している。着座者による荷重は、背板部材を介してこのシートバックフレームが受けている。

特開２００１−０５７９１６号公報

しかしながら、このような従来の技術では、着座者の荷重を受けるための強度を得るためにシートバックフレームの幅が広く、着座者側に突き出る部分が大きかった。このため、シートバックフレームが着座者に触れて着座感を損なわないようにするために、シートバックフレームと背板部材との段差を埋めるだけの厚さを有するシートバッククッションを装着していた。しかし、シートバッククッション自体から得られる着座感の点からは不要に厚い場合もあり、その分、着座空間が犠牲になったり、座席の重量が重くなったりすることがあるという問題点があった。

また、シートバックの美的外観の点から、目に触れる面には表生地あるいは別付けの意匠パネルを覆ってあるので、その分、部品点数が多くなっているという問題点があった。

さらに、これらのシートバッククッションおよび表生地の着脱は複雑な作業を必要とするので、着脱作業に手間がかかるという問題点もあった。

本発明は、このような従来の技術が有する問題点に着目してなされたもので、シートバックフレームを備えずに背板部材だけで着座者の荷重を受けることができるとともにシートバックフレームに起因した着座空間の犠牲をなくし、同時に座席の重量を軽減できる航空機用座席を提供することを目的としている。

さらに、部品点数の削減を可能にした航空機用座席を提供することを目的とする。

さらに、背板部材へのシートバッククッションの着脱が容易な航空機用座席を提供することを目的とする。

かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
［１］ 航空機の搭乗客が着座するための航空機用座席（１）において、
着座者の背中を受けるクッション（１２）を前面（１１ａ）に装着した背板部材（１１）と、該背板部材（１１）の後面（１１ｂ）に配設した、前記背板部材（１１）の強度を補強する補強メンバー（１３）と、からなるシートバック（１０）を備え、
前記背板部材（１１）は、面剛性を高める曲面状に形成したことを特徴とする航空機用座席（１）。

［２］ 前記曲面は、着座者を安楽な姿勢に維持する形状であることを特徴とする［１］に記載の航空機用座席（１）。

［３］ 前記クッション（１２）は、前記曲面に沿った形状に形成したことを特徴とする［１］または［２］に記載の航空機用座席（１）。

［４］ 前記補強メンバー（１３）と前記背板部材（１１）の後面（１１ｂ）との間隙をポケット（Ｐ）に形成したことを特徴とする［１］，［２］または［３］に記載の航空機用座席（１）。

［５］ 前記背板部材（１１）は、側縁が前記前面（１１ａ）から連続して一体に前方または後方に曲げられた側縁部（１１ｃ）を有し、該側縁部（１１ｃ）の内部（１１ｄ）は中空であることを特徴とする［１］，［２］，［３］または［４］に記載の航空機用座席（１）。

［６］ 前記側縁部（１１ｃ）の中空の内部（１１ｄ）は、横断面の形状が連続して変化していることを特徴とする［５］に記載の航空機用座席（１）。

［７］ 前記クッション（１２）を前記背板部材（１１）の前面（１１ａ）に着脱可能に装着するための装着部材（６０，７０）を備え、
前記装着部材（６０，７０）は、前記背板部材（１１）の前面（１１ａ）側に設けた第１部材（６１，７１）と、前記クッション（１２）側に設けた第２部材（６２，７２）と、から成り、該第２部材（６２，７２）は前記第１部材（６１，７１）に係止して前記クッション（１２）が前記背板部材（１１）の前面（１１ａ）に装着されることを特徴とする［１］，［２］，［３］，［４］，［５］または［６］に記載の航空機用座席（１）。

前記本発明は次のように作用する。
航空機用座席（１）のシートバック（１０）は、硬質樹脂によって形成された背板部材（１１）の前面（１１ａ）に着座者の背中を受けるためのクッション（１２）が装着されており、背板部材（１１）の後面（１１ｂ）には補強メンバー（１３）が設けられている。

背板部材（１１）に形成された曲面形状は、背板部材（１１）の面剛性を高める効果を発揮している。これにより、シートバックフレームによる背板部材（１１）の補強が不要になるとともに背板部材（１１）を薄くできる。従来は、クッション（１２）を厚くしてシートバックフレームと背板部材（１１）との段差を埋めていたが、シートバックフレームがないので、クッション（１２）は、クッション本来の機能として必要最小限の厚さにすることができる。その結果、シートバック（１０）全体を薄くすることができるので、シートバック（１０）の厚さによる着座空間の犠牲が少なくなって、着座空間を拡張することができる。また、シートバック（１０）の重量を軽量化することができる。さらに、背板部材（１１）の曲面は人間工学に基づいて、着座者に安楽感を与える形状を併せ持つように形成することができる。

背板部材（１１）の前面（１１ａ）に装着するクッション（１２）は、背板部材（１１）に装着する面を背板部材（１１）の前記曲面に沿った形状に形成してあり、背板部材（１１）への装着が容易であるとともに、前記曲面による安楽感を効果的にもたらすことができる。クッション（１２）は、さらに着座者の背中を直接に受ける面も前記背板部材（１１）の曲面形状に沿った曲面形状にしてもよく、これにより、さらにより良い安楽感をもたらすことができる。

背板部材（１１）の前面（１１ａ）と該前面（１１ａ）へのクッション（１２）の装着面とには、クッション（１２）を背板部材（１１）の前面（１１ａ）に着脱可能に装着するための装着部材（６０，７０）が設けられている。装着部材（６０，７０）としては、例えば、クッション（１２）の装着面と背板部材（１１）の前面（１１ａ）とに貼着したベルクロ（登録商標）等の面ファスナー（６０）である。これに替えて、あるいは、これに加えて、互いに嵌り合う形状に形成した嵌合部材（７０）をクッション（１２）の装着面と背板部材（１１）の前面（１１ａ）とに取り付けてもよい。クッション（１２）は薄いものでもよく、軽量であり、前記装着部材（６０，７０）によって容易に着脱できる。

背板部材（１１）の後面（１１ｂ）に設けた補強メンバー（１３）は、背板部材（１１）の強度を補強するものであり、背板部材（１１）と一体に形成してもよいし、別体に形成したものを後面（１１ｂ）に取り付けるようにしたものでもよい。背板部材（１１）はこの補強メンバー（１３）によって補強されるので、厚さを一層に薄くすることができる。

また、この補強メンバー（１３）は、背板部材（１１）の後面（１１ｂ）の両側からそれぞれ後席側に張出した側部（１３ａ）と、この側部（１３ａ）から連続して前記背板部材（１１）の後面（１１ｂ）に沿って該後面（１１ｂ）との間に所定の間隙を形成する正面部（１３ｂ）とから成っている。この補強メンバー（１３）の上縁部（１３ｃ）は、背板部材（１１）の後面（１１ｂ）との間に上向きの開口（１４）を形成している。一方、補強メンバー（１３）の下端部は少なくとも部分的に閉じられている。これにより、補強メンバー（１３）と背板部材（１１）の後面（１１ｂ）とによって形成された前記間隙は、ポケット（Ｐ）として利用することができる。このポケット（Ｐ）は、開口（１４）が上を向いているので、雑誌や新聞等の比較的長い物品でも片手で容易に出し入れすることができる。

航空機用座席（１）は、シートバック（１０）の後面側に後席の着座者が使用するためのテーブル（４０）を備えているが、補強メンバー（１３）は使用時の状態にあるテーブル（４０）の位置よりも上方に位置している。不使用時のテーブル（４０）は、物品の載置面（４１）が補強メンバー（１３）の正面部（１３ｂ）に面した状態に保持することができる。

なお、背板部材（１１）は、側縁が前面（１１ａ）から連続して一体に前方または後方に曲げられた側縁部（１１ｃ）を形成し、該側縁部（１１ｃ）を中空に形成してもよい。これにより、背板部材（１１）の強度がさらに向上するとともに、側縁部（１１ｃ）が中空であるので背板部材（１１）の重量の増加を小さく抑えることができる。

また、ＧＦＲＰ−ＣＦＲＰ等の複合材料の特質上、背板部材（１１）の表面は樹脂であるので、後面（１１ｂ）などの目視できる部分の表面処理の仕方によっては、表生地や意匠パネルなどで覆う必要をなくすことができる。これにより、部品点数を減らすことができるとともに、表生地や意匠パネルなどの装着作業を不要にすることができる。

本発明にかかる［１］の航空機用座席によれば、背板部材を曲面状に形成したことによって面剛性が高められる上に補強メンバーによって背板部材の強度を補強したことにより、主として背板部材が着座者からの荷重を受けることができるので、シートバックフレームによる背板部材の強度の補強が不要となり、シートバックをスリム化できる。この結果、シートバックの厚さによる着座空間の犠牲が少なくなり、着座空間を拡大させることができる。さらに、座席の重量を軽減でき、部品点数が減るとともに製造コストを下げることができる。

また、［２］に記載の航空機用座席のように背板部材の曲面を着座者が安楽な姿勢に維持される形状にすることが好ましく、これにより、クッションを薄くしても安楽姿勢をもたらす効果が発揮されるので、クッションを薄くすることにより、さらにシートバックのスリム化を図ることができ、着座空間の一層の拡大が可能になる。

また、［３］に記載の航空機用座席のようにクッションを背板部材の曲面に沿った形状に形成することが好ましく、これにより、背板部材への装着が容易であるとともに、背板部材の曲面がもたらす安楽感をそのまま発揮させることができるので、より快適な座席となる。

さらに、［４］に記載の航空機用座席は、補強メンバーと背板部材の後面との間隙をポケットとして形成してあり、このポケットに物品を出し入れするための開口が上を向いているので、雑誌や新聞等の比較的長い物品でも片手で容易に出し入れすることができる。

また、［５］および［６］に記載の航空機用座席のように背板部材の側縁を前面から連続して一体に前方または後方に曲げられた側縁部を形成して該側縁部を中空にしてもよく、これにより、背板部材の強度がさらに向上するとともに、側縁部が中空であるので背板部材の重量の増加を小さく抑えることができる。

また、［７］に記載の航空機用座席のようにクッションを背板部材の前面に着脱可能に装着するための装着部材を備えることが好ましく、装着部材は、背板部材の前面側に設けた第１部材とクッション側に設けた第２部材とが係止するので、クッションを背板部材の前面に装着できるとともに係止を外して容易にクッションを背板部材から離すことができる。

以下、図面に基づき本発明の好適な一実施の形態を説明する。
図１から図９までの各図は本発明の一実施の形態を示している。
図１は、本実施の形態にかかる航空機用座席を３席繋げた３人掛けの航空機用座席を斜め後方から見た斜視図であり、図２は、本実施の形態にかかる航空機用座席の側面図である。

航空機用座席１は、シートバック１０、シートボトム２０、アームレスト３０、テーブル４０などから構成されている。シートボトム２０は、ボトムフレーム２１の上に設けられている。このボトムフレーム２１は、ベースフレーム２２に連結されている。このベースフレーム２２は脚部２３によって支持されており、この脚部２３は、航空機の客室内の床に設置される。

シートバック１０は、硬質の樹脂によって成形された背板部材１１、その前面１１ａに装着されたクッション１２、および背板部材１１の後面１１ｂ側に設けられた補強メンバー１３から成っている。背板部材１１は、傾動可能にベースフレーム２２に連結されている。

背板部材１１は、例えば硬質樹脂によって形成され、面剛性を高めるために曲面状に形成されている。また、目視できる後面１１ｂなどは、表生地や意匠パネルなどで覆う必要のない表面処理、例えば、エンボス加工が施されている。このため、表生地や意匠パネルの装着を省いて部品点数を少なくできるので、シートバック１０の軽量化や製造工程の削減を図ることができる。図３から図６までは、それぞれ背板部材１１の横断面を示しており、図３は、図２のＡ−Ａ線断面図であり、図４は、図２のＢ−Ｂ線断面図であり、図５は、図２のＣ−Ｃ線断面図であり、図６は、図２のＤ−Ｄ線断面図である。また、図７は、背板部材１１の縦断面図である。

図３は、補強メンバー１３よりも上で背板部材１１の最上部近くの横断面を示している。全体が僅かに後面１１ｂ側に反るように湾曲している。背板部材１１の両側縁部１１ｃは、背板部材１１の前面１１ａから僅かに盛り上がっており、その内部は中空になっている。この側縁部１１ｃは、背板部材１１の強度を向上させる効果を有している。

図４は、図３に示した断面の位置よりも下方位置の断面を示している。この位置では、前面１１ａは、片側の側縁部１１ｃからもう一方の側の側縁部１１ｃまで滑らかな曲面が形成されており、図３に示した位置と同様に全体が僅かに後面１１ｂ側に反るように湾曲している。側縁部１１ｃは、図３に示した位置とは異なり、後面１１ｂ側に出ている。側縁部１１ｃの中空部分１１ｄは、図３に示した位置の中空よりも大きくなっている。側縁部１１ｃは、背板部材１１の強度を高める効果を有している。

側縁部１１ｃを覆うようにして補強メンバー１３が設けられている。補強メンバー１３は、背板部材１１とは別体に形成されたものであり、側縁部１１ｃを覆う両側部１３ａ，１３ａと、該両側部１３ａ，１３ａから連続して背板部材１１の後面１１ｂとの間に空間Ｓを形成する正面部１３ｂとから成っている。空間Ｓは、後述するようにポケットＰとして使用される。

図５は、図４に示した断面の位置よりも下方位置の断面を示している。この位置でも全体が僅かに後面１１ｂ側に反るように湾曲している。また、側縁部１１ｃおよび中空部分１１ｄがより大きくなっており、空間Ｓもさらに大きくなっている。

図６は、図５に示した断面の位置よりも下方で、アームレスト３０と略同じ位置における断面を示している。この位置でも全体が僅かに後面１１ｂ側に反るように湾曲している。また、側縁部１１ｃは後方に細長く突き出すような形状に変化している。この位置には補強メンバー１３に連続した部分はあるが、背板部材１１の前面１１ａとの間に空間Ｓはなく、したがって、ポケットＰは無い。

以上、図３から図６までに示した側縁部１１ｃおよび中空部分１１ｄは、横断面の形状が連続に変化している。上記したように、背板部材１１は側縁部１１ｃによって強度が一層に向上しているが、側縁部１１ｃの内部は中空部分１１ｄが形成されているので、シートバック１０の重量増加は僅かになっている。

図７に示したように、背板部材１１の縦断面は極めて緩やかなＳ字状の曲面状に形成されている。この縦断面に示された曲面形状と前記横断面に示された曲面形状とから曲面によって背板部材１１の面剛性が高められている。さらに、人間工学的に着座者が安楽感を得られる形状に形成されている。背板部材１１の上端部と下端部とはそれぞれ中空に形成されている。これにより、軽量化がなされている。後面１１ｂの中央部にはフランジ１８が設けられている。このフランジ１８は、補強メンバー１３の下部を支えるように位置しており、ポケットＰの底部をなしている。フランジ１８は、補強メンバー１３の下部を完全に塞いでもよいし、ポケットＰに収納する物品が落ちない程度に塞いでもよい。

前記補強メンバー１３が形成される位置は、図１、および図２の２点鎖線で示した使用状態にあるテーブル４０よりも上方である。

ポケットＰは、雑誌Мを縦に収納できるだけの深さを有している。ポケットＰへ物品を出し入れするための出し入れ口１４は、背板部材１１の後面１１ｂと補強メンバー１３の上縁部１３ｃとによって上向きに形成されている。この出し入れ口１４は、後面１１ｂに沿った横長の開口に形成されている。

図示したようにこの出し入れ口１４を上方に延長した空間には、ポケットＰへの物品の出し入れを妨げるような部材等が配設されておらず開放されている。上縁部１３ｃは、側部１３ａにおいては背板部材１１の後面１１ｂから下方に緩やかに傾斜している。したがって、出し入れ口１４の開口面は、背板部材１１の後面１１ｂから下方に緩やかに傾斜している。このため、シートバック１０がアップライトの状態でも、後席の着座者は出し入れ口１４を見ることができるので、ポケットＰへの物品の出し入れが容易にできる。

補強メンバー１３は、正面部１３ｂに取出し口１５が開設されている。取出し口１５の下縁部はポケットＰの底部よりも高い位置にある。この取出し口１５からもポケットＰに物品を出し入れすることができる。この取出し口１５は、不使用時のテーブル４０によって塞ぐことができる。テーブル４０は、その端部を、基端側が回動自在に枢支された２本のアーム５０の先端側に挟まれるようにして回動自在に枢支されている。不使用時のテーブル４０は、物品の載置面４１側を補強メンバー１３の正面部１３ｂに沿って保持させておくことができる。取出し口１５の周縁には、テーブル４０を保持したときに、載置面４１とは反対側の裏面４２と正面部１３ｂの面との間に殆ど段差が生じないように凹みが形成されている。この凹みに収納されたテーブル４０は、補強メンバー１３と一体感を醸し出すように保持される。

補強メンバー１３の正面部１３ｂ側には、テーブル４０を保持するためのテーブル保持部１７が出し入れ口１４の近くに設けられている。テーブル保持部１７は、補強メンバー１３の表面から一段凹んだ凹部１７ａと、該凹部１７ａに回動自在に設けられた回動部材１７ｂとから成る。

一方、テーブル４０の裏面４２側にも一段凹んだ凹部４２ａが設けられている。テーブル４０を正面部１３ｂに沿って保持される位置に位置させると、凹部４２ａとテーブル保持部１７の凹部１７ａとは略同一面になるので、回動部材１７ｂを回して該回動部材１７ｂの一部が凹部４２ａに掛かるようにすることによってテーブル４０を保持することができる。

図８の（Ａ）および（Ｂ）に示したように、背板部材１１の前面１１ａ側には、クッション１２を着脱可能に装着するための２種類の装着部材６０，７０が設けられている。この装着部材６０，７０それぞれは、互いに係止しあるいは嵌合する一対の部材であればよい。図示した例では、装着部材６０は面ファスナー６０であり、別の装着部材７０は、互いに嵌合する嵌合レール７０である。

面ファスナー６０は、表面のほぼ全面に亘って多数の鈎状部分が形成された第１テープ６１（第１部材）と表面のほぼ全面に亘って多数のパイル状部分が形成された第２テープ６２（第２部材）とが一対をなす。これら第１テープ６１と第２テープ６２とを密着させたときに鈎状部分とパイル状部分とが互いに係止するものである。図示したように、第１テープ６１は、前面１１ａの両側に沿って背板部材１１の長手方向（縦方向）に貼着されており、第２テープ６２は、クッション１２の装着面の両側に沿ってクッション１２の長手方向（縦方向）に貼着されている。なお、面ファスナー６０は、第１テープ６１と第２テープ６２との組合せで使用すれば、第１テープ６１および第２テープ６２のどちらを前面１１ａまたはクッション１２の装着面に取り付けてもよい。

嵌合レール７０は、図９の（Ａ）に示したように長手方向に凸状部分７１ａが延びた凸状レール７１と、図９の（Ｂ）に示したように長手方向に凹状部分７２ａが延びた凹状レール７２とが一対をなしており、凸状部分７１ａと凹状部分７２ａとが互いに嵌合するものである。凸状レール７１は、前面１１ａの上端部に横方向に取り付けられており、凹状レール７２は、クッション１２の装着面の上端部に横方向に取り付けられている。なお、嵌合レール７０は、凸状レール７１と凹状レール７２との組合せで使用すれば、凸状レール７１および凹状レール７２のどちらを前面１１ａまたはクッション１２の装着面に取り付けてもよい。

クッション１２は、前面１１ａへの貼着を容易にするとともに、背板部材１１に形成された着座者に安楽感を与える曲面形状の効果を減殺しないようにするために、装着面を前面１１ａの曲面形状に沿うように形成してもよい。さらに、全体形状を前面１１ａの曲面形状に沿った形状にしてもよい。

次に作用を説明する。
本発明の航空機用座席１は、背板部材１１の前面１１ａ側にはクッション１２を装着し、後面１１ｂ側には背板部材１１とは別体の補強メンバー１３を固設する。補強メンバー１３は、下端部がフランジ１８に支持される位置に配設する。前面１１ａへのクッション１２の装着は、前面１１ａの上部に取り付けられた凸状レール７１の凸状部分７１ａの一端からクッション１２の装着面の上端部に取り付けられた凹状レール７２の凹状部分７２ａの一端を嵌めてスライドさせ、凹状部分７２ａの全体を凸状部分７１ａに嵌め込む。その後、クッション１２を前面１１ａに合わせて前面１１ａ側に貼着された第１テープ６１と、クッション１２側に貼着された第２テープ６２とを密着させて互いに係止させればよい。

クッション１２は、装着面を後面１１ｂの曲面形状に沿うように形成することによって前記の装着作業をより容易にすることができる。また、クッション１２は、厚みを薄くした場合でも、前面１１ａの曲面形状がもたらす安楽感を減殺することなく発揮させることができる。

背板部材１１は、前記のように曲面化による面剛性の向上と補強メンバー１３による補強とがなされているので、薄くすることができるとともに補強のためのシートバックフレームを不要にしている。このため、背板部材１１とシートバックフレームとの段差をクッション１２の厚みで埋める必要がないので、クッション１２は、クッション本来の機能として必要最小限の厚みにすることができる。その結果、シートバック１０全体を薄くすることができ、着座空間を拡張することができる。また、シートバック１０の重量を軽量化することができ、部品点数も少なくすることができる。

背板部材１１の後面１１ｂに形成されたポケットＰは、出し入れ口１４が上方を向いており、出し入れ口１４よりも上には出し入れ口１４からの物品の出し入れを妨げるものがないので、片手で容易に出し入れすることができる。また、雑誌や畳んだ新聞のように比較的に長い物品でも途中で折り曲げたりすることなく、上から真直ぐにポケットＰ内に収納することができる。さらに、出し入れ口１４の開口面は、背板部材１１の後面１１ｂから下方に緩やかに傾斜しているので、開口面積が広く、後席の着座者が出し入れ口１４を直接に見ることができるので、ポケットＰへの物品の出し入れがより容易になっている。

補強メンバー１３の正面部１３ｂに保持されているテーブル４０は、使用せずに保持位置に保持された保持状態および使用のために保持位置から後部座席の着座者の前方に下げられた使用状態のいずれであっても、出し入れ口１４からの物品の出し入れには影響することがない。テーブル４０を使用状態にしたときは、補強メンバー１３の正面部１３ｂに形成された取出し口１５が着座者の前方に露出するので、この取出し口１５からポケットＰに物品の出し入れをすることができる。

なお、前記実施の形態においては、背板部材１１の両側から前面１１ａに突き出したシートバックフレームを有していないが、側縁を前面１１ａから連続して一体に前方に曲げ、内部を中空にした側縁部を形成して、背板部材１１の強度を高めるようにしてもよい。また、着座者の体側をサポートするように形成してもよい。

また、補強メンバー１３は、背板部材１１と一体に形成してもよい。

なお、本実施の形態では、面ファスナー６０および嵌合レール７０の２種類の装着部材を使用した例を示したが、何れか一方のみを使用してもよい。

また、装着部材は、互いに嵌り合う形状を有するものあるいは係止し合うものであればよく、前記の例に限定されるものではない。

本発明の一実施の形態に係る航空機用座席を示す斜視図である。 本発明の一実施の形態に係る航空機用座席を示す側面図である。 図２における、Ａ−Ａ線断面図である。 図２における、Ｂ−Ｂ線断面図である。 図２における、Ｃ−Ｃ線断面図である。 図２における、Ｄ−Ｄ線断面図である。 本発明の一実施の形態に係る航空機用座席の縦断面図である。 本発明の一実施の形態に係る航空機用座席の背板部材にクッションを装着する装着部材の配置例の説明図であり、（Ａ）は背板部材の前面側を示し、（Ｂ）はクッションの装着面側を示す。 図８における装着部材の一つを示す拡大図であり、（Ａ）は、背板部材の前面側に設けられた装着部材の一つを示し、（Ｂ）は、クッションの装着面側に設けられた装着部材の一つを示す。

符号の説明

Ｍ…雑誌
Ｐ…ポケット
Ｓ…空間
１…航空機用座席
１０…シートバック
１１…背板部材
１１ａ…前面
１１ｂ…後面
１１ｃ…側縁部
１１ｄ…中空部分
１２…クッション
１３…補強メンバー
１３ａ…側部
１３ｂ…正面部
１３ｃ…上縁部
１４…出し入れ口
１５…取出し口
１７…テーブル保持部
１７ａ…凹部
１７ｂ…回動部材
１８…フランジ
２０…シートボトム
２１…ボトムフレーム
２２…ベースフレーム
２３…脚部
３０…アームレスト
４０…テーブル
４１…載置面
４２…裏面
４２ａ…凹部
５０…アーム
６０…面ファスナー
６１…第１テープ
６２…第２テープ
７０…嵌合レール
７１…凸状レール
７１ａ…凸状部分
７２…凹状レール
７２ａ…凹状部分

Claims (7)

1. 航空機の搭乗客が着座するための航空機用座席において、
   着座者の背中を受けるクッションを前面に装着した背板部材と、該背板部材の後面に配設した、前記背板部材の強度を補強する補強メンバーと、からなるシートバックを備え、
   前記背板部材は、面剛性を高める曲面状に形成したことを特徴とする航空機用座席。
2. 前記曲面は、着座者を安楽な姿勢に維持する形状であることを特徴とする請求項１に記載の航空機用座席。
3. 前記クッションは、前記曲面に沿った形状に形成したことを特徴とする請求項１または２に記載の航空機用座席。
4. 前記補強メンバーと前記背板部材の後面との間隙をポケットに形成したことを特徴とする請求項１，２または３に記載の航空機用座席。
5. 前記背板部材は、側縁が前記前面から連続して一体に前方または後方に曲げられた側縁部を有し、該側縁部の内部は中空であることを特徴とする請求項１，２，３または４に記載の航空機用座席。
6. 前記側縁部の中空の内部は、横断面の形状が連続して変化していることを特徴とする請求項５に記載の航空機用座席。
7. 前記クッションを前記背板部材の前面に着脱可能に装着するための装着部材を備え、
   前記装着部材は、前記背板部材の前面側に設けた第１部材と、前記クッション側に設けた第２部材と、から成り、該第２部材が前記第１部材に係止して前記クッションが前記背板部材の前面に装着されることを特徴とする請求項１，２，３，４，５または６に記載の航空機用座席。

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